表紙 まちをデザインする 世田谷区都市デザイン課 1982年から 1ページ2ページ見開き 世田谷の都市デザイン デザインという言葉は、意匠に加え、企画立案する、構想をまとめる、という意味をもちます。 世田谷区が都市デザインという言葉を掲げた昭和50年代は、高度成長期が終焉し、機能に加え都市空間に対する質や魅力への問いかけが始まったころでした。 この30年間、企画立案から仕組みづくり、普及啓発を通じて、区民とともに様々な都市デザインの取り組みを手がけてきました。その成果は現在に活き、そして未来に繋がっていきます。 1ページ 年表 1975年(昭和50年)  区長公選制復活 1980年(昭和55年)  都市美委員会発足 重点事業への都市デザインの導入、公共及び民間施設のデザイン等に対する提言を行う。 2ページ  年表続き 1982年(昭和57年)  都市デザイン室発足 企画部に設置。外部のコンサルタントやデザイナー等もスカウト。 1983年(昭和58年)  ネコサイン 区役所豪徳寺駅周辺に、招き猫にちなんだネコの案内サインを設置。 1984年(昭和59年)  都市美せたがや叢書 都市美委員会で調査、計画した内容をまとめた冊子。計6巻。 せたがや百景 候補の2700景から区民投票を経て決定。選定後はサインの設置、百景ラリー、百景展などを展開。 3ページ 年表続き 1984年(昭和59年)  せたがや界隈賞スタート 世田谷のまちづくりを先導する魅力的な施設や都市空間を表彰。92年までに5回実施し22箇所が受賞。 桜丘区民センターとプロムナード 区民センターの建設に合わせ、敷地内広場と周囲の道路を一体的にデザイン。 1985年(昭和60年) 都市美シンポジウム 区民がつくる魅力のまち世田谷を皮切りに、88年まで計4回開催。 タヌキサイン 砧公園周辺にタヌキの案内サインを設置。 1986年(昭和61年) 用賀プロムナード 用賀駅から砧公園までを結ぶコミュニティ道路。(8ページに説明あり) おもいはせの路 二子玉川駅から九品仏駅まで、自然や文化にふれながら歴史的景観のある所を結んだ道。 梅ヶ丘ふれあい通り 梅ヶ丘界わいを中心とした、参加と福祉のまちづくり。(8ページに説明あり) 4ページ 年表 1986年続き けやき広場 馬事公苑と世田谷通りを結ぶ道の広場的整備。(8ページに説明あり) 1987年(昭和62年) 弦巻プロムナード 教育会館の建設に伴い、小学校や緑道と連携してプロムナードを整備。 都市デザインモニター 87年のモニター会議を皮切りに94年まで実施。 公共トイレコンペ トイレの設計、シンボルマーク等を募集。 1988年(昭和63年) 煙突コンペ 清掃工場の建て替えを機に煙突の色彩デザインを募集。全国から1040点の応募があった。 まちづくりリレーイベント 子どもと環境、長寿社会と環境などをテーマに、95年まで年間10回以上開催。 バス停コンペ バス停のある小広場のアイデアを募集。粕谷地蔵尊前のバス停広場(芦花恒春園前バス停)として実現。 5ページ 年表続き 1989年(平成元年) 瀬田中学校辻広場 辻や小広場のひと工夫でまちを魅力的に。 1990年(平成2年) 公共サイン計画 5支所展開を見据え出張所館名デザイン等を調整。 1991年(平成3年) まちづくり攻略本1 5地域を個性化して魅力ある街をつくっていくためのデザインガイドを発行。 ゆずり橋整備 絵陶板、タイムカプセルなど、子どもたち思いが詰まった橋。手作り郷土賞受賞。 きしべの路 野川、丸子川に沿って野鳥や虫、かつての農村風景にもふれることができる道。 やさしいまちづくりデザインノート トイレ、道路、公園など、やさしいまちづくりのヒントを掲載。 1992年(平成4年) 世田谷まちづくりセンター設立 区民、企業、行政によるパートナーシップ型まちづくりの推進を目的に設立。 1993年(平成5年) やさしいまちづくりのための施設整備要綱策定 民間施設のバリアフリー整備誘導を開始。 6ページ 年表続き 1994年(平成6年) ハートビル法施行 特定建築物のバリアフリー対応を努力義務化。 1995年(平成7年) 福祉のいえまち推進条例施行 ハートビル法に基づく条例。97年より届出制度スタート。 1996年(平成8年) 福祉のまちづくり学校及び講座 福祉のいえまち条例に基づく整備基準を区民参加で検討。 1997年(平成9年) 街並みづくり講座 風景づくり条例制定に向け区民と検討。 1999年(平成11年) 都市デザイン室から都市デザイン担当へ(8ページに説明あり) 風景づくり条例制定 自主条例としてスタート。2001年より届出制度も開始。 街並みづくりフォーラム 地域風景資産の選定方法を区民と検討。 バリアフリー世田谷プラン21 UD推進計画の前身。 2002年(平成14年) 第1回地域風景資産の選定 風景づくり活動が期待できる魅力的な風景を区民参加で36箇所選定。 7ページ 年表続き 2003年(平成15年) 改正ハートビル法施行 バリアフリー対応が建築基準法関連規定として義務化。これをふまえ、2006年に福祉のいえまち推進条例を改正。 2004年(平成16年) 松陰神社通り商店街バリアフリー整備 福祉のいえまち推進条例の推進地区の整備。店前を段差なく歩けるよう、排水溝を道路の中央へ。 2005年(平成17年) 水と緑の風景軸指定 国分寺崖線を中心としたエリアを風景づくり重点区域に指定。 景観法施行 景観に関する計画や条例に強制力を持たせることが可能に。 2007年(平成19年) UD推進条例及びバリアフリー建築条例施行 ハートビル法と交通バリアフリー法の一本化に伴い、福祉のいえまち条例を移行。 景観法に基づく景観行政団体となる 都内区市町村で初。 2008年(平成20年) 第2回地域風景資産の選定 30箇所を選定し全66箇所に。 風景づくり計画策定及び風景づくり条例改正 景観法に基づく届出制度の運用開始。 せたっち誕生 ユニバーサルデザインの普及啓発キャラクター。(8ページに説明あり) 2009年(平成21年) UD推進計画第1期策定 普及啓発リーフレットを区民参加で毎年発行。 8ページ左側 年表続き 2010年(平成22年) 千歳烏山駅周辺地区バリアフリー整備 UD推進条例の推進地区として整備。 2012年(平成24年) 風景づくり10年を発行 地域風景資産選定から10年の状況を区民参加でまとめる。 2013年(平成25年) 都市デザイン課発足(8ページに説明あり) 都市づくりに対するニーズの多様化への対応。 2014年(平成26年) 第3回地域風景資産の選定 20箇所選定し、全86箇所に。 2015年(平成27年) 都市デザイン研修開始 都市デザインに関する職員向けの講座。 都市デザインフォーラム開始 都市デザインに関して様々な視点から区民と考える場。 UD推進計画第2期策定 UDスタイル発行開始。 風景づくり計画改定 届出制度を強化。 地域風景資産クイズラリー実施 めざせ観光資源 梅ヶ丘駅豪徳寺駅山下駅界わい街づくりデザイン指針 梅ヶ丘病院跡地を中心とした界わいのまちづくりの指針。 北沢デザインガイド 小田急線地下化に伴う上部利用施設のデザインの指針。 8ページ中央 コラム カッコいいが合言葉 都市デザイン室から都市デザイン課へ 近年、区役所でもカタカナの組織は珍しくないが、1982年の都市デザイン室誕生当時には、衝撃的なネーミングであった。室という括りも、独特の存在感を漂わせていた。 都市デザイン室は、せたがや百景の選定に始まり、道路や公園など公共施設の整備に取り組み、街づくりへの区民の参画を定着させ、区内各所に個性的な成果を残した。 そして、それらの成果を制度として結実させた福祉のいえまち推進条例、風景づくり条例の制定を契機に、一時代の役割を終え解体する。 その後、都市デザイン担当(係)がUDと風景づくりを中心に取り組んだ期間を経て、2013年に都市デザイン課として復活した。 都市デザイン課といっても、特に変わったことや斬新な取り組みを目指すわけではない。だが例えば、安全性や機能性を満たし、色や形にもこだわった車は魅力的である。 新生都市デザイン課の業務も、かくありたい。 ユニバーサルのせたっち 名前 せたっち 性別 オス 身長 90cmくらい ユニバーサルデザインという言葉の、さるの発音にかけて、おさるさんのキャラクターとして誕生。 平成20年10月11日が誕生日。なぜなら、その日の区民ワークショップで提案があったから。 ユニバーサルデザインの各種の普及啓発に登場。 平成27年以降はデザイナーより使用許諾権を得て、世田谷区以外の団体でも使ってもらえるようになりました。 8ページ右側 コラム続き みちにホール?さろん? 用賀プロムナード 用賀駅から世田谷美術館を結ぶアート感覚に富んだコミュニティー道路。10mごとに百人一首が彫られ、詠み終わると美術館のある砧公園に到着。 淡路瓦を用いた、いらかみちゾーンは、みちのホール、ギャラリー、サロン、並木みちと表情をかえる。 歩かせたいのか魅せたいのか、今も色あせることなく公共施設のあり方を問いかけている。  バリアフリーの先駆者 梅ヶ丘やさしいまちづくり 住民参加による福祉のまちづくりのモデル事業。 歩道の段差からガードレール、電話ボックスまで、住民、障がい者、区が話し合い、研究し合い、公共施設に区民参加とやさしい整備イコールバリアフリーの発想をとりいれた全国的にも先進的な事例。 梅ヶ丘なくして今の日本のバリアフリーはない。 けやきパーキング? けやき広場 けやき広場が道路だということを知っていても、この道路が1940年の幻のオリンピックにむけて整備されたことを知っている人は少ないだろう。 この、区内で一番太くて短い道路は、巨大駐車場と化していたが、雄大なけやきと広い幅員を活かし、今やふるさと区民まつりで区民に親しまれる広場的な歩行者専用道路へと姿をかえた。 9ページから10ページ 都市デザインの仕事 ナウアンドトゥモロー 都市デザイン課が現在取り組んでいる事業や、これから取り組んでいく事業などについてまとめています。 9ページ ナウ 街の魅力アップ 様々なまちづくりや施設整備と連携し、街のトータルデザインや公共サインのコーディネートなどに取り組んでいます。 参加のデザイン ワークショップやセミナー、コンペ、まち歩きなど、区民と楽しく学び考えることができる、多様な参加の場をデザインしています。 都市デザインフォーラム UDや風景づくりの枠を超えて、魅力的なまちのデザインを区民と考える場を企画、実施しています。 都市デザイン研修 都市デザインの視点や発想を職員が学び、自らの職務に活かしていくため職員研修を実施しています。 風景づくり計画の運用 計画に定められた様々な施策の実施に向けて、新たな調査や計画作りを進めています。 風景づくり活動の推進 風景づくり活動を行う区民や事業者など多様な主体の協働による風景づくりを推進しています。 地域風景資産 地域の活動により魅力的な風景をつくりだしている地域風景資産を選定し、多くの人に広めています。これまでに計3回の選定で86箇所が選ばれています。 風景づくりの届出 景観法、風景づくり計画等に基づいて、建設行為等の形態、意匠、色彩など、風景づくりの基準に適合した計画となるよう指導、誘導しています。 風景づくりアドバイザー 地域風景資産などの風景づくり活動を行う団体等の活動を支援するため、風景づくりアドバイザーを派遣しています。 UD推進計画の運用 毎年度、計画に定められている事業について、点検、評価、改善のスパイラルアップの取り組みをおこなっています。UD審議会から講評や提案をいただいています。 小規模な店舗や集合住宅の改修助成 既存の小規模な店舗等のUD改修に助成をしています。身近な生活環境をより利用しやすくする施策のひとつです。 出張講座 区職員が学校の授業や市民団体の勉強会に出向き、UDの知識や考え方を広める活動をしています。 UDの届出 バリアフリー法、UD条例に基づき、段差解消やトイレ整備など、より多くの人が利用しやすい施設になるよう審査、誘導を実施しています。 UDアドバイザー 公共施設をより使いやすくするために、障害当事者や利用者とともに設計段階からUDの視点で助言しています。 10ページ トゥモロー 都市デザイン 馬事公苑が2020年東京オリンピック、パラリンピック競技大の会場となります。開催期間中はもちろんのこと、その後も大会のレガシーを引き継げるようなデザインが重要です。様々な機会、場所を捉えて、街の、トータルデザインを考えていきます。 風景づくり 界わい形成地区の指定や屋外広告物の風景誘導、また公共施設の風景づくり指針など、これから先もまだまだ楽しみな事業が盛りだくさんです。風景づくりに終わりはありません。未来は今日と昨日があってこそです。今までの取り組みを大切にしながら、明日の風景づくりを進めています。 ユニバーサルデザイン(UD) いつでも、どこでも、誰でも楽しく暮らせる街を目指して、UDの様々な取り組みを進めています。例えば、情報のユニバーサルデザインです。どんなに素敵な情報も、伝わらなければ広まりません。ちょっと困ったことでも、届くことで直ります。誰もが共有できるような情報のUDを進めていきます。 奥付 平成28年4月発行 発行 都市整備政策部 都市デザイン課 編集 株式会社世田谷社 イラスト、デザイン協力 澤田麻里絵 市川徹