三軒茶屋駅周辺まちづくり基本方針概要版 はじめに 三軒茶屋の歴史・まちのなりたち 三軒の茶屋から始まったまち 網下ケ道しるべに描かれた三軒の茶屋のイラスト 明治40年(1907年)通称玉電の開業 鉄道・道路沿線を中心に市街化が進む 昭和30年(1955年)の三軒茶屋交差点の様子の写真 玉川通りで首都高速道路の建設が進む 昭和45年(1970年)の三軒茶屋の街並みの写真  市街地再開発事業による駅前の拠点整備 キャロットタワーの写真 策定目的 三軒茶屋駅周辺では、広域生活・文化拠点として、交通の利便性と魅力の向上、地域活力の増進と発展を目指すことが求められています。 その実現に向けては、都市機能を適切に更新するとともに、区民・事業者・区の連携により、駅周辺の将来像を見据えた、ソフトとハード一体の新たな総合的まちづくりに取り組むことが有効であると考えられます。 そこで、都市整備方針などの上位計画や地域の特徴・歴史を踏まえながら、本区の東の玄関口としてのまちのビジョン(将来像)を示し、実現していくため、「三軒茶屋駅周辺まちづくり基本方針(以下、「本基本方針」という。)」を策定します。 対象区域 本基本方針では、東急田園都市線沿線、東急世田谷線沿線、三軒茶屋を通過するバス路線沿道等を「日常的に三軒茶屋を利用する生活圏(三軒茶屋生活圏)」として捉え、この範囲に及ぼす影響を視野に入れながら、三軒茶屋交差点を中心とした概ね半径300m以内を方針策定の対象区域とします。 三軒茶屋駅周辺のまちのビジョンと方針 三軒茶屋駅周辺のまちのビジョン 新化し続ける交流のまち 三茶Crossing Crossing:英語で「交差点/横断(名詞)」もしくは「(複数のものが)交差する/(複数のものを)掛けあわせる(動詞)」等の意味。街道の交差点にあった三軒の茶屋に始まるまちの歴史や「人と人が交流する」「道路や鉄道が交差する」「地上のまちと地下鉄が交差する」「様々な機能を掛けあわせる」等の意味を込めている。 三軒茶屋駅周辺のまちのビジョンのパース 方針1「つたえる」(まちの個性を継承・強化する) 三軒茶屋らしい空間やバランス、多世代を集める文化・歴史を継承していくとともに、 まちづくりにおける様々な主体との連携や交流を促進しコミュニティの強化を図ります。 方針2「つなげる」(まちを支えつなぐ) 交通結節点の形成と多様な空間の創出によりまちの南北の分断を解消し、回遊性を高め る。加えて、災害発生時に倒壊や火災発生の恐れのある建物を減らしていくとともに、平 常時から防災体制の強化に取組み、ハード・ソフトの両面において駅周辺の安全性・防災 性を確保します。 方針3「はぐくむ」(魅力を育て機能を高める) 三軒茶屋駅周辺における新しい働き方やライフスタイル、文化・観光などの魅力を育 て、発信する。さらに、まちとして進化し続けるため、利便性の高い駅前の機能をバラン スよく高めていきます。 特色1 継承し、残していきたいまちの魅力 特色2 空間・動線や安全面で課題の多い都市基盤 特色3 発展の契機を活かした新しい魅力創出の可能性 ビジョン実現の方策 方針1「つたえる」(まちの個性を継承・強化する)に基づく方策 方策のイラスト 1- @ 共存・MIXを維持する ・商店街を中心とした面的なにぎわいを継承していく。 ・小さな店舗と住居が共存するヒューマンスケール※2のにぎわいを継承していく。 ・創意工夫のある空間利用や起業・創業マインドを継承していく。 1- A 界わい文化を継承する ・街道の歴史に由来する界わい文化を継承する。 ・若者を引き付ける界わいを継承する。 ・地域に根付いた文化・芸術の拠点として、地域に親しまれる文化施設、  公共施設等のさらなる活用を図る。 1- B コミュニティを維持し強化する ・大学や区民と連携したまちづくりの土壌を活かし、日常的に三軒茶屋駅周辺を利用する人々がいきいきと活動・交流できる場づくりを行う。 ・コミュニティを育む交流空間の充実を図る。 ・区民の参画ネットワークを維持し、育成する。 方針2「つなげる」(まちを支えつなぐ)に基づく方策 方策のイラスト 2 - @ シームレスな交通結節点を形成する ・地下から地上までシームレス※3に接続し、スムーズな移動や乗り換えを実現する。 ・駅周辺に不足している歩行者空間の充実を図る。 ・高齢化や狭い路地の多いまちの構造に対応した近距離移動手段の充実を図る。 ・バリアフリーの歩行動線を確保することで南北の分断を解消し、まちの回遊性を高める。 2 - A 出会いと交流の空間を創出する ・鉄道事業者との連携により、地下空間の活用を図る。 ・みどりなどを活用した憩いの空間としての利用や、その他多様な使い方ができる新しいパブリックスペースを創出し、まちをつなぐ。 ・駅直近の建物と駅への動線が連続的につながる空間を創出する。 2 - B 災害に備え安全・安心と支え合いを育む ・駅周辺に残存する老朽建築物の更新や幹線沿道建築物の不燃化を促進し、まちの防災性を向上させる。 ・大規模災害等により徒歩による帰宅が困難となった人(帰宅困難者)の安全・安心を確保する。 ・三軒茶屋・太子堂各地区の取組みへの支援や駅周辺の商店街や事業所等との連携を強化し、平常時から防災対策を推進する。 方針3「はぐくむ」(魅力を育て機能を高める)に基づく方策 3 - @「暮らす」と「働く」を両立する ・新しい働き方を可能にする機能を導入し、職住近接を推進する。 ・起業・創業に係る優遇措置や各種支援メニューにより、希望する人々が起業しやすく、多種多様な事業が生まれる環境を充実させる。 ・三軒茶屋駅周辺で働きながら交流できる場づくりを行う。 ・三軒茶屋駅周辺で働き続けるための支援機能を充実させる。 3 - A人を呼び込む魅力をつくる ・東急世田谷線など地域資源を活かした観光を推進し、三軒茶屋らしさを世界に向けて発信する。 ・商業のグローバル化に対応したまちづくりを行う。 ・新しいライフスタイルや文化を創造・発信する機能を強化する。 3 - Bまちの機能をバランスよく高める ・交流人口の滞在時間を増やす機能を導入する。 ・利便性の高い駅直近に機能の集約と用途の複合化を図る。 ・用途地域の見直しや地区計画の策定も含め、空間ニーズの変化に対応した土地利用を実現していく。 ・開発の機会などを捉え、質の高いみどりある空間を創出する。 社会状況に対応したまちづくりの視点 まちづくりの具体的な取組みを策定する際には、まちを取り巻く環境変化を捉え、これからの社会のあり方を見据える必要があるため、以下の視点に基づき検討していくものとします。 視点1持続可能な都市経営 視点2安全・安心 視点3ダイバーシティ(多様性) 視点4グローバル/ローカル 視点5戦略的な公民連携の推進 具体的な取組みにむけて 本方針のイメージを多様な主体で共有しながらまちづくりを進めていくため、三軒茶屋駅周辺のまちの個性やポテンシャルを活かした機能イメージと基盤整備イメージを示します。 三軒茶屋駅周辺の機能イメージ 三軒茶屋駅周辺を概ね以下に挙げる4つのゾーンに分け、機能イメージを示します。また、引き続き交流や連携が必要な下北沢や東急世田谷線沿線と三軒茶屋を結ぶ交流の軸の形成を図ります。 三軒茶屋駅周辺の基盤整備イメージ 三軒茶屋駅周辺の都市基盤には課題も多くあります。今後交通結節点の形成と多様な空間の創出により南北のまちの分断を解消し、まちの回遊性を高めていくため、三軒茶屋駅を中心として以下の方策を展開する基盤整備イメージを示します。