第4章 砧地域 4-1.砧地域の概況と街づくりの主な課題 4-1-1.概況 (1)地域のなりたち ・本地域は区の西部に位置し、主に住宅地が広がる台地と、農地と住宅が混在する多摩川沿いの平地からなります。台地と平地の境には、貴重な湧水や植物、樹林地を持つ国分寺崖線(用語解説あり)が広がっています。 ・大正の終わりに成城学園の立地を契機に誕生した成城は、当初より計画的な街づくりが行われ、にぎわいと落ち着きをあわせ持つ「学園のまち」として発展しました。 ・比較的古くから大学や映画撮影所、研究所があり、また、近年では世田谷美術館が立地するなど教育・文化施設が多く存在する創造的・文化的環境の整った地域でもあります。 ・地域内には、区のイメージを代表するみどりと調和した良好な住宅地が広く分布していますが、近年は社宅の廃止や事業所の移転などにより大規模な集合住宅も増えています。 (2)地域の姿 ・水と緑の風景軸である国分寺崖線のみどりをはじめ、砧公園など大規模な公園があり、住民一人あたりの公園面積は5地域の中で最も広く、みどり率(用語解説あり)も30%を超え最も高い状況にあります。また、区内の生産緑地(用語解説あり)の約4割が本地域にあります。しかしながら、みどり率、生産緑地ともに減少しています。 ・千歳船橋駅から喜多見駅までの各駅周辺には、ウルトラマン商店街をはじめ地域の特性に合った個性的な商店街があり、区民の生活を支えています。 ・岡本公園民家園や次大夫堀公園民家園では、往時の世田谷の農村風景と生活環境などを再現し、四季折々に様々な催し物を行い、現代に生きる文化財として注目を集めています。 ・環状8号線が南北に通っているものの、地域内の道路ネットワークはまだ十分に形成されておらず、都市基盤整備が不十分な状況です。 ・地域の南西部では、東京外かく環状道路(用語解説あり)の建設が始まっており、今後の地区の変化を見据えた街づくりが求められています。 砧地域の位置と町名 成城、祖師谷、千歳台、船橋、喜多見、宇奈根、鎌田、岡本、大蔵、砧、砧公園 ・本区全体のなりたちについては、都市整備の基本方針の12 ページに、「市街地形成の沿革」として示している (3)地域の現況等のデータ ・住居系の土地利用面積割合と人口密度が、区内5地域で最も低く、公園系の割合が最も高い地域です。 ・専用住宅(用語解説あり)の平均宅地面積は最も大きい状況にありますが、100平方メートル未満の敷地数は過去20年間で112%増加しています。また、道路率は最も低く、細街路率も世田谷地域とほぼ同等の割合となっています。 【位置・面積・地勢】 ・本区の西部に位置し、西側は調布市と狛江市、南側は多摩川を挟んで川崎市に隣接 ・面積は1,355.9ヘクタール(2位/5地域) ・本地域は多摩川低地と武蔵野台地とに大きく分けられ、武蔵野台地を野川や仙川、谷戸川が侵食。野川の左岸側には国分寺崖線(用語解説あり)が延び、標高差20メートルを超える急傾斜地となっている 【人口・世帯】 ・人口は156,425 人(5地域中3位) ・世帯は73,103 世帯(5地域中4位) ・平均世帯人員は2.14 人/世帯(5地域中1位) ・人口密度は115 人/ヘクタール(5地域中5位) ・人口は今後20 年間で、16,800 人増加(1.11 倍)の見込み ・高齢者人口の割合は平成25 年で19.1%、20 年後は23.5%の見込み(区平均は23.0%) 【土地利用】 ・住居系の割合は43.1%(区平均は49.4%)で、5地域で最も低いが、平成3年から平成23 年で5.9 ポイント増加し、5地域で最大 ・商業系の割合は5.5%(区平均は6.4%) ・工業系の割合は1.3%(区平均は1.1%)で、平成3年から平成23 年で1.1 ポイント低下 ・公園系の割合は10.1%(区平均は5.6%)で、5地域で最も高い 【建築物・宅地・防災・みどり・道路】 ・棟数密度は37.8 棟/ヘクタール(区平均は44.3 棟/ヘクタール)で、5地域で最も低い ・3 階建て専用住宅棟数の変化(平成3年から平成23 年)は、282 棟から2,400 棟に増加 ・利用建ぺい率(用語解説あり)は42.2%(区平均は46.2%)で、5地域で最も低い ・利用容積率(用語解説あり)は112.5%(区平均は127.3%)で、5地域で最も低い ・平均宅地面積は292.9 平方メートル(区平均は241.8 平方メートル)で、5地域で最も大きい ・専用住宅の平均宅地面積は181.7 平方メートル(区平均は158.0平方メートル)で、5地域で最も大きい。100 平方メートル未満の敷地数は、平成3 年から平成23 年で112%増加 ・耐火率(用語解説あり)は60.2%(区平均は60.2%) ・不燃領域率(用語解説あり)は67.3%(区平均は65.0%) ・木防(用語解説あり)建ぺい率は16.8%(区平均は18.5%)で、5地域で最も低い ・旧耐震木造(用語解説あり)棟数密度6.5 棟/ヘクタール(区平均は9.2 棟/ヘクタール)で、5 地域で最も低い ・みどり率(用語解説あり)は33.7%(区平均は24.6%)で、5地域で最も高い ・地域住民一人当たりの公園面積は6.93 平方メートル/人(区平均は2.96 平方メートル/人)で、5地域で最も大きい ・生産緑地(用語解説あり)面積の変化(平成3 年から平成23 年)は、59.2ヘクタール から39.9ヘクタール(33%減少)で、5地域で最大の減少率 ・道路率は12.9%(区平均は14.5%)で、5地域で最も低い。平成18 年から平成23 年で0.5 ポイント増加 ・細街路率は34.7%(区平均は36.2%) ・都市計画道路の整備率は38.9%(区平均は50.9%) ・主要生活道路(用語解説あり)の整備率は26.1%(区平均は37.7%) 【地域資源】 ・せたがや百景(用語解説あり)は、船橋の希望丘公園、祖師谷つりがね池、宇奈根氷川神社 など26 箇所 ・地域風景資産(用語解説あり)は、静嘉堂緑地の自然林、岡本の富士見坂−岡本3 丁目の坂、成城の桜並木といちょう並木、成城の富士見橋と不動橋、喜多見・歴史の道〜慶元寺・氷川神社界わい など22 箇所 ・上記のほか、世田谷美術館、ウルトラマン商店街、野川、仙川、登戸道、筏道 など多くの地域資源がある 出典:世田谷の土地利用2011、世田谷区土地利用現況調査(用語解説あり) 、住民基本台帳(平成26年1月1日現在)、世田谷区将来人口の推計(平成26年2月)、世田谷区都市公園等調書(平成26年4月1日現在)、世田谷区道路整備白書(平成26年4月) 4-1-2.街づくりの主な課題 都市整備の基本方針における世田谷区をとりまく状況や、前項の概況などを踏まえ、本地域の街づくりの主な課題を、5つのテーマに沿って示します。 (1)テーマ1「安全で災害に強いまちをつくる」に関すること ・消防活動が困難とされる区域(用語解説あり)や近距離の避難が困難とされる区域が多くみられ、区域を含む地区全体の防災性を高めることが必要です。 ・豪雨時の大規模水害や内水氾濫(用語解説あり)などの水害に備えた、河川改修や下水道整備のほか、雨水流出抑制施設(用語解説あり)の整備等の総合的な対応が求められています。 (2)テーマ2「みどり豊かで住みやすいまちをつくる」に関すること ・みどり率は区内5地域のうちで最も高く、みどりとみずが豊かな地域ですが、宅地化の進行等により農地や樹林地など民有のみどりは年々減少傾向にあります。 ・20年後の将来人口予測では、人口の増加率と増加数は5地域で最大であり、開発などによる街なみやみどりへの影響を踏まえた対応が求められます。 (3)テーマ3「活動・交流の拠点をもつまちをつくる」に関すること ・成城学園前駅周辺地区は主要な地域生活拠点としての役割を担えるよう、地区特性を活かした機能の充実が必要です。 ・地域生活拠点をはじめ、区民の身近な活動・交流の場となるような拠点については、機能の充実と活性化を図ることが必要です。また、身近に商店街のない地区への対応が必要です。 (4)テーマ4「地域資源の魅力を高めるまちをつくる」に関すること ・地域資源の魅力を高めるまちをつくるため、本区が誇る自然資源である国分寺崖線(用語解説あり)の風景や、多摩川沿いに残る世田谷の原風景ともいえる農村風景などの活用が望まれます。 ・また、多くの埋蔵文化財が発掘され、江戸初期に大名の陣屋がおかれていたことや、学園のまち成城、映画撮影所、世田谷美術館などがあり、このような歴史・文化資源の活用も望まれます。 (5)テーマ5「誰もが快適に移動できるまちをつくる」に関すること ・都市計画道路や主要生活道路(用語解説あり)の整備が遅れており、道路率は区内5地域で最も低い状況にあり、各拠点や施設をつなぐ道路や南北交通のネットワークの形成が必要です。  また、歩行者や自転車利用者の空間確保による安全性の向上が求められています。 ・広域からの通過交通による環状8号線や世田谷通りなどの交通渋滞の発生や、住宅地への通り抜け車両の流入がみられ、対応が必要です。 4-2.砧地域の目標、骨格と土地利用の方針 4-2-1.目標〜地域のまちの姿〜 基本計画(地域計画)における、本地域のまちの将来像を以下に示します。 みどりとみずと農の豊かな 砧の原風景を未来に引き継ぐまち 歴史と伝統を大切に 文化とにぎわい・交流の元気のあるまち あらゆる世代が健やかでこころふれあう 災害に強い安全・安心のやすらぎのあるまち これらのまちの将来像を踏まえ、都市整備の基本方針の都市づくりビジョン、前項の街づくりの主な課題などに基づきつつ、概ね20年後を見据えた本地域のまちの姿を、以下のとおりテーマ別に沿って設定します。 地域のまちの姿 ・地震や火災、水害など災害に強い市街地が整備された、安全・安心のまち ・多摩川緑地、砧公園、国分寺崖線(用語解説あり)などがもつ、恵まれた自然・生態系を大切にするまち ・にぎわいと元気あふれるコミュニティの形成された生活拠点と、誰もが利用できる身近なみどりの拠点のあるまち ・みどりとみずと農の豊かな原風景と、ゆとりある街なみを後世に残すまち ・南北方向等の道路が整備され、歩行者や自転車利用者にとって安全で快適に移動できる交通ネットワークが充実したまち 4-2-2.地域の骨格と土地利用の方針 (1)地域の骨格プラン 都市整備の基本方針における都市づくりの骨格プランと、地域のまちの姿に基づき、本地域の基本的骨組みを示します。 ・成城学園前駅周辺地区は、駅西口の駅前広場や砧区民会館、まちの玄関口となる複合的な駅ビルなどが整備され、商業などの機能が充実し、区民の交流の「核」であるとともに地域外に居住する区民も多く利用する拠点として「主要な地域生活拠点」と位置づけています。 ・祖師ヶ谷大蔵駅周辺地区は、住宅地と駅周辺および商店街通りの商業地が調和した、安全で暮らしやすい街づくりを進め、地域の「核」となる区民の身近な交流の場として「地域生活拠点」と位置づけています。 ・区民の日常生活に必要な商業・業務機能が集積した、地区の交流の場として、新たに「地区生活拠点」を位置づけます。 ・砧公園一帯、岡本静嘉堂緑地一帯、成城みつ池緑地一帯などをみどり拠点と位置づけるとともに、みどりに恵まれ、様々な生物が生息する国分寺崖線(用語解説あり)とその周辺を、「水と緑の風景軸(用語解説あり)」と位置づけています。 ・世田谷通り並びに地域の中央を南北に貫き、二子玉川駅周辺から成城学園前駅周辺を経由する補助216号線、補助217号線および多摩堤通りとその沿道などを、「主要生活交通軸」と位置づけています。 拠点や軸等の名称 生活拠点 主要な地域生活拠点 位置づける場所 成城学園前駅周辺地区 拠点や軸等の名称 生活拠点 地域生活拠点 位置づける場所 祖師ヶ谷大蔵駅周辺地区 拠点や軸等の名称 生活拠点 地区生活拠点 位置づける場所 千歳船橋駅、喜多見駅の各周辺地区 拠点や軸等の名称 新たな機能を持つ拠点等 災害対策拠点 位置づける場所 砧総合支所周辺地区 拠点や軸等の名称 都市軸 都市活力と交通の軸 位置づける場所 環状8号線とその沿道 拠点や軸等の名称 都市軸 主要生活交通軸 位置づける場所 補助216 号線、補助217 号線および多摩堤通り、世田谷通りの各道路とその沿道 拠点や軸等の名称 みどりの拠点および水と緑の風景軸 みどりの拠点 位置づける場所 砧公園一帯、岡本静嘉堂緑地一帯、祖師谷公園、成城みつ池緑地一帯、成城学園周辺、次大夫堀公園一帯 拠点や軸等の名称 みどりの拠点および水と緑の風景軸 水と緑の風景軸 国分寺崖線とその周辺 拠点や軸等の名称 みどりの拠点および水と緑の風景軸環境保全ゾーン 位置づける場所 多摩川 (2)地域の土地利用の方針 9つに区分した土地利用ごとの方針を示すとともに、方針図でその位置を概略で示します。なお、大規模な土地利用転換の際は、都市基盤整備を進めるとともに、地区の特性や周辺住宅地と調和した土地利用を誘導します。 (1)駅周辺商業地区 ・成城学園前駅の周辺地区は、地域外に居住する区民も多く利用する場として、商業・業務、文化、行政等の機能が充実するよう土地利用を誘導します。 ・祖師ヶ谷大蔵駅の周辺地区は、区民の日常生活に関わる商業・業務、行政等の機能が集積し、区民の身近な交流の場となるよう土地利用を誘導します。 ・千歳船橋駅と喜多見駅の周辺地区は、区民の日常生活における商業・業務等の機能が集積するよう土地利用を誘導します。 (2)近隣商店街地区 ・住宅地等の中にある商店街は、それぞれの特徴を生かし、周囲の住宅地との調和を図りつつ、身近な商業地としての土地利用を誘導します。 (3)幹線沿道地区 ・環状8号線の沿道は、主として事務所・店舗・サービス施設等が立地する地区として、後背の住宅地環境と調和を図りつつ、都市の活力を生み出す場として育むとともに、基幹的な避難路、延焼遮断帯(用語解説あり)を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 (4)地区幹線沿道地区 ・世田谷通りや補助54号線などの沿道は、後背の住環境と調和を図りつつ、住宅と店舗などが共存するとともに、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 (5)低層住宅地区 ・戸建て住宅や低層の集合住宅からなる良好な住環境を維持します。 (6)住宅地区 ・地域特性に応じた住環境の保全や改善、住宅相互の調和を図りつつ、生活利便施設などが適切に配置された土地利用を誘導します。 (7)住商複合地区 ・世田谷通りの北側などにみられる住商複合地区は、大学や研究所等の立地を維持します。 (8)準工業地区 ・船橋などの準工業地区は、生産環境の保全とともに住環境との調和を図ります。 (9)河川環境地区 ・多摩川およびその河川敷は、自然環境の保全やみどり豊かで水辺に親しめる環境の創出を図ります。 砧地域の骨格と土地利用の 4-3.砧地域のテーマ別の方針 街づくりの主な課題を解決するとともに、地域のまちの姿を実現するための、5つのテーマからなるテーマ別の方針を示します。地域の特性や課題などを踏まえ、主要なテーマを中心に記載します。方針図は、テーマ1〜5の重ね合わせで示します。 (1)テーマ1 安全で災害に強いまちをつくる 【延焼遮断帯(用語解説あり)や延焼遅延帯(用語解説あり)の整備を進める】 ・延焼遮断帯を構成する都市計画道路の優先的な整備にあわせ、沿道の不燃化を進めるとともに、緑化の推進や空地の確保を進め、延焼遮断帯や延焼遅延帯の整備を進めます。 ・延焼遅延帯として重要な役割を担う主要生活道路(用語解説あり)の整備を促進します。また、小田急線の連続立体交差事業(用語解説あり)を契機とし、延焼遅延帯として機能するよう側道の整備を進めます。 ・幅員8メートル以上の既存道路、鉄道敷・河川、大規模施設用地、一団地の住宅施設(用語解説あり)、公園・運動場、公共施設、連担する不燃建築物などの既存ストックを活用し、これらをつなげて延焼遅延効果を持つ空間のネットワーク形成を図ります。 【地区の安全性を向上させる】 ・防災上課題のある地区は、建築物の不燃化や耐震化、地先道路(用語解説あり)の整備や狭あい道路(用語解説あり)の拡幅整備、消防水利(用語解説あり)の確保、ブロック塀の安全対策などを進めます。 ・消防活動困難区域(用語解説あり)を解消するため、地先道路の整備を進め、地域の防災性の向上を図ります。 ・都市基盤が未整備なまま市街化が進行している地区は、土地区画整理事業(用語解説あり)や開発行為、建築物の個別建て替えなど、様々な機会をとらえて道路整備に取り組みます。また、地区計画制度(用語解説あり)を活用し安全性の向上を図ります。 ・広域避難場所(用語解説あり)等へのアクセス路としての安全性を高めるため、歩道幅員の確保や、電線類の地中化などを進めるとともに、広域避難場所等の周辺の地先道路整備に優先的に取り組みます。 ・砧総合支所が災害対策拠点であることを踏まえ、広域避難場所の成城学園一帯と連続して、安全で迅速に人や物資が相互に移動できる機能の強化を図ります。 【水害を抑制する】 ・野川や仙川などの治水能力の向上を促進するとともに、道路・公園や民間敷地などへの雨水流出抑制施設(用語解説あり)の設置を進めます。 (2)テーマ2 みどり豊かで住みやすいまちをつくる 【みどりを守り育てる】 ・本地域は、国分寺崖線(用語解説あり)や多摩川、野川、仙川、まとまった農地、公園・緑地等の、みどりとみずの資源に恵まれています。これらを保全するとともに、緑道や街路樹、民有地のみどりなどでネットワークを形成し、多様な生物が生息できるみどり環境とみず環境の創出を図ります。 ・公共公益施設の新築や改築時には、既存樹木を保全し活用するとともに、新たなみどりの創出を図ります。 ・民間開発や民間住宅などの建築に際しては、緑化地域制度(用語解説あり)の運用や条例による緑化指導などにより、みどりの保全や創出を図ります。 ・環状8号線などの幹線道路(用語解説あり)等の沿道の緑化を進めます。 ・本地域に広がる農地の保全のため、農地の生産緑地地区(用語解説あり)への追加指定を進めるとともに、特に野川の西側に広がる農地保全重点地区(用語解説あり)では、農地や屋敷林を都市計画公園・緑地に指定し、農業公園などとして保全を図ります。 【みずを守り育てる】 ・国分寺崖線などの湧水・地下水の一層のかん養(用語解説あり)・保全のため、雨水浸透施設(用語解説あり)の設置を進めます。また、自然のみずとのふれあいの場や、災害時に必要な水の供給源などとして活用します。 【地区特性に応じたみどり豊かな住宅地等の整備を進める】 ・開発行為や土地区画整理事業(用語解説あり)などの機会をとらえ、公園・緑地等の設置を進めます。また、開発行為などに伴う宅地内の緑化を進めるため、みどりの基本条例の届出に際し、必要に応じて緑地協定(用語解説あり)を誘導します。 ・国分寺崖線など本地域特有の自然環境や景観を守るため、風致地区制度(用語解説あり)などを活用し、みどり豊かでゆとりのある住宅地等の形成を図ります。 ・大規模な住宅団地の建て替えなどにあわせて、地区計画(用語解説あり)などの手法も活用し、周辺の住環境などに配慮した街づくりを誘導します。 ・東名ジャンクション周辺地区では、周辺環境に配慮しながら適正な土地利用を誘導し、みどりとみずとの調和をめざした街づくりを進めます。また、整備される道路などの状況を踏まえ、主要生活交通軸となる道路の沿道などでは、身近なものが買える商業施設などが立地し、安全・安心で暮らしやすいまちの形成をめざします。 ・土地区画整理事業を施行すべき区域(用語解説あり)のうち、土地区画整理事業による整備が困難な地区については、東京都の「周辺区部における土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のためのガイドライン(用語解説あり)」に基づき、土地区画整理事業に代わる整備手法の検討を行い、無秩序な市街化を抑制します。 (3)テーマ3 活動・交流の拠点をもつまちをつくる 【活力ある生活拠点とする】 ・成城学園前駅周辺地区は、おしゃれでみどり薫る主要な地域生活拠点とするため、駅周辺の商業地と閑静で良好な住宅地の双方が調和し、景観に配慮した街づくりを進めます。 ・祖師ヶ谷大蔵駅周辺地区は、まちのにぎわいに満ちた地域生活拠点とするため、景観に配慮した地域のコミュニティの場となるような商店街の形成を進めます。 ・千歳船橋駅と喜多見駅周辺地区は、地区の交流の場となる地区生活拠点とするため、区民の日常生活に必要な環境を確保するとともに、身近なコミュニティの場としての機能を誘導します。 ・身近に商店街がない地域の利便性の向上のため、幹線道路や地区幹線道路の沿道等では周辺環境に配慮しながら、生活利便施設の誘導を図ります。 【誰もが利用できるみどりの拠点とする】 ・砧公園一帯は、みどり、文化、スポーツなどの様々な機能の施設整備を進め、誰もが利用できる魅力あるみどりの拠点とします。 【活力ある産業環境とする】 ・環状8号線沿道や世田谷通りの一部(砧一丁目)沿道は、敷地や街区の規模、後背地の住環境などに配慮しながら、魅力ある沿道型商業・業務・サービス施設等の立地を進めます。 ・船橋五・六丁目の準工業地区は、生産環境の保全と共に住環境と調和した住工共存の街づくりを進めます。 (4)テーマ4 地域資源の魅力を高めるまちをつくる 【自然資源の魅力を高める】 ・国分寺崖線(用語解説あり)の緑地や湧水などの自然環境は、多様な生物を育む場として、また貴重な地域風景資産の一部として、後世に残していけるよう保全します。また、民有樹林地や水辺についても、公有化に努め、公園・緑地とすることで、自然資源の確保を進めます。 ・住宅地においては、垣・さくの緑化、敷地内の緑化を進めるとともに、保存樹木・保存樹林地(用語解説あり)の保全に努め、みどりの保全と創出を図ります。 ・みどりとみずおよび農のある風景が多く残る地区では、自然や生態系を大切にし、国分寺崖線や農地の保全、環境共生等に係る、世田谷・みどりのフィールドミュージアム(用語解説あり)などの活用により、身近なみどりとみずの魅力に触れることのできる学習・体験の場を提供します。 【風景の魅力を高める】 ・水と緑の風景軸(用語解説あり)(国分寺崖線とその周辺)や風致地区(用語解説あり)に指定されている地域をはじめ、地域の豊かな地形やみどりなどの風景特性を活かした個性ある風景づくりをめざします。特に喜多見や宇奈根に多く分布する遺跡や寺社等の良好な樹林地を保全し周辺の風景の魅力を高めます。 ・農地が比較的まとまって残っている地区は、農地を都市の貴重な資源ととらえ農のある風景として保全に努めます。 ・まちの骨格となる幹線道路(用語解説あり)等の沿道緑化や街なみの統一などの風景づくりを進めます。また、古道や水辺、緑道等は、舗装材の工夫などにより風景づくりを進めます。 ・次大夫堀公園や岡本静嘉堂緑地などは、その周辺地域の風景づくりを誘起する公園整備を進めます。 ・喜多見地区などには、世田谷の原風景ともいうべき、社寺やみどり豊かな農地、古道などが残っており、こうした資産を活かした街づくりを進めます。 ・富士山への眺めを多くの人が楽しむことができる景観重要公共施設(用語解説あり)や、世田谷を特徴づける風景と感じられる場所は、地域住民との連携により保全や整備などに取り組みます。 【地域資源を有効活用する】 ・大規模な土地利用転換の際は地区計画制度(用語解説あり)を活用して、まとまったみどりの創出や沿道のみどりの保全・創出、公開空地(用語解説あり)の整備などを進めます。 ・東名ジャンクション(仮称)(用語解説あり)の整備に伴い創出される上部空間等の利用については、当該周辺地区の地域特性を踏まえた有効活用を図ります。 ・民家園や学園のまち成城、映画撮影所、美術館など地域の歴史・文化資源を活かした魅力ある街づくりを進めます。 (5)テーマ5 誰もが快適に移動できるまちをつくる 【歩行者や自転車利用者の安全性と快適性を高める】 ・歩行者や自転車利用者が安全で快適に移動できるよう、道路や公園、河川・水路・緑道等を活用し歩行者などの空間を確保するとともに、ネットワーク化を進めます。 【各拠点や施設をつなぐ】 ・各拠点や主要施設をつなぐ地区幹線道路(用語解説あり)や主要生活道路(用語解説あり)の整備促進のため、計画的かつ継続的な取り組みを進めます。 ・南北方向の交通渋滞の解消と主要生活交通軸の形成のため、これを構成する都市計画道路等の整備にあわせ、交通ネットワークの形成を図ります。また、沿道では地域間交流のシンボル軸としての景観向上や緑化などを進めます。 【交通環境の質を高める】 ・駅周辺や日常生活の主要な動線となる道路は、ユニバーサルデザイン(用語解説あり)の視点に立った整備・改善を進めます。 ・東京外かく環状道路(用語解説あり)の東名以南をはじめとする広域的な道路ネットワークの形成を促進し、環状8号線や世田谷通りの渋滞解消、住宅地等への流入抑制や安全性確保に向けた取り組みを進めます。 4-5.砧地域のアクションエリアの方針 地域のまちの姿を実現するため、今後、概ね10年間にわたり街づくりを優先的に進める地区と、その方針を示します。 (地区は50音順) (1)地区計画(用語解説あり)などを策定し、街づくりを進めていく地区(一部、地区計画や地区街づくり計画(用語解説あり)などが策定されている地区を含む) 【4-@大蔵三丁目地区】 ・住宅団地の建て替えにあたっては、国分寺崖線(用語解説あり)の景観や周辺環境と調和を図るとともに、道路や公園などの都市基盤の整備などによる、良好な居住環境の形成に貢献できる街づくりを進めます。 【4-A成城一〜九丁目地区】 ・成城憲章(用語解説あり)を踏まえ、国分寺崖線やまちなかのゆとりあるみどりの保全と創出を基本とする成城らしさに溢れた街なみを継承し、いつまでも住み続けられる街づくりを進めます。 【4-B祖師谷二丁目地区】 ・住宅団地の建て替えにあたっては、地域に必要な道路や公園などの都市基盤の整備などによる良好な居住環境の形成に貢献できる街づくりを進めます。 【4-C東名ジャンクション周辺地区】 ・道路などの都市基盤整備にあわせ、安全・安心で利便性の高い土地利用を図るとともに、誰もが移動しやすく生活環境の心地よいみどり豊かな市街地の形成を図ります。また、周辺地区と連続する野川沿いについてはみどりとみずのネットワークなどの充実を図ります。 ・東名ジャンクション(仮称)(用語解説あり)の整備に伴い創出される環境施設帯(用語解説あり)や道路の蓋掛け上部など上部空間等の利用については、周辺の居住環境との調和を図るとともに、地域コミュニティの場の創出や新たな地域資源としての有効活用に向けた整備を進めます。 (2)既に策定された地区計画などに基づき、街づくりを進めていく地区 【4-D大蔵地区】 ・国分寺崖線の自然環境の保全ならびに良好な居住環境の維持のため、国分寺崖線に配慮した住宅の誘導、道路・公園等の都市基盤整備を進め防災機能および生活利便性の高い安全・安心な街づくりを進めます。 【4-E鎌田一丁目地区】 ・みどりの確保と狭あい道路(用語解説あり)の解消などを行い、みどり豊かで防災性の高い街づくりを進めます。 【4-F環八沿道地区】 ・沿道地区計画(用語解説あり)に基づき、後背地の住宅地との調和を図りながら商業・業務地として誘導するとともに、建築物の不燃化を促進し、みどりとうるおいのある良好な沿道の街なみを形成します。 【4-G喜多見駅周辺地区】 ・地区生活拠点の実現に向けて、駅周辺の商業地と良好な住宅地の双方が調和した街づくりを進めます。 【4-H砧一・三丁目地区】 ・地区の防災性の向上を図るとともに、安全で快適かつ文化的な住環境および周辺環境と調和した街づくりを進めます。 ・広域避難場所(用語解説あり)である砧公園・大蔵運動公園一帯への避難経路の確保や歩行者の安全性の確保のため整備を進めます。 【4-I砧三・五丁目世田谷通り沿道地区】 ・世田谷通りの商店街として、土地の合理的かつ健全な高度利用と広域避難場所への安全な避難路の形成を図る街づくりを進めます。 【4-J成城学園前駅周辺地区】 ・主要な地域生活拠点の実現に向けて、駅周辺の商業地と良好な住宅地の双方が調和した街づくりを進めます。 ・駅西口交通広場や駅前小広場の整備、駅周辺の既存道路の改良等を行い、安全で快適、豊かな歩行者環境整備の街づくりを進めます。 【4-K成城八丁目地区】 ・より高い水準の住環境を実現するため、みどり豊かで良好な住宅地を保全、育成します。 【4-L祖師ヶ谷大蔵駅周辺地区】 ・地域生活拠点の実現に向けて、住宅地と駅周辺および商店街通りの商業地が調和し、防災機能を備えた安全で暮らしやすい街づくりを進めます。 ・商店街通りなどは、歩行者にとって安全で快適な交通環境となるよう整備を進めます。 【4-M千歳台六丁目地区】 ・地区内の防災性の向上を図り、安全・安心な街づくりを進めます。 【4-N千歳船橋駅周辺地区】 ・地区生活拠点の実現に向けて、駅周辺商店街の活性化を図るとともに、周辺住宅地と調和し、防災機能を備えた活力があり快適に生活できる魅力ある街づくりを進めます。 【4-O】宇奈根地区、大蔵・岡本・鎌田地区、大蔵・喜多見地区、喜多見・成城地区、喜多見地区、喜多見北部地区、成城地区、祖師谷地区、千歳台地区 ・みどり豊かな住環境を生み出すとともに、農地などの自然環境を保全、育成し、農地と住宅地が共存する街づくりを進めます。 【4-P】宇奈根西部地区、宇奈根東部地区、打越地区、鎌田前耕地地区、喜多見南部地区、喜多見東住宅地区、喜多見宮之原住宅地区、砧五丁目地区、成城四丁目住宅地区、田直地区、千歳台二丁目住宅地区、千歳台六丁目区画整理地区 ・地区計画(用語解説あり)に基づき、土地区画整理事業(用語解説あり)の効果の維持増進を図り、建築物の誘導など良好な住環境のある街づくりを進めます。