世田谷区都市整備方針 第二部「地域整備方針」玉川地域 第3章 玉川地域 3―1.玉川地域の概況と街づくりの主な課題 3―1―1.概況 (1)地域のなりたち(注) ・本地域は区の東南部に位置し、面積は5地域の中で最も広いエリアです。地域には玉川通り、目黒通り、環状8号線の幹線道路(用語解説あり)が通っています。鉄道は、田園都市線、大井町線、東横線、目黒線の各路線が通っており、二子玉川、用賀、等々力などの各駅を起点とするバス交通網とあわせて、地域の公共交通サービスを担っています。 ・大正から昭和にかけて、民間による宅地開発や玉川全円耕地整理事業(用語解説あり)などが行われたことで、地域の約87%で都市基盤が整い、都市近郊の住宅市街地として発展してきました。 ・近年では、二子玉川駅周辺で再開発事業が進められ、区や本地域における交流の一大拠点、東京の西の玄関口として発展しています。また、目黒通りから多摩川を跨ぐ等々力大橋(仮称)の整備が予定されており、都市間の連携強化や神奈川方面への道路交通網のさらなる向上が期待されています。 (2)地域の姿 ・みどり率(用語解説あり)は区の平均をやや上回っており、農地も比較的多くあります。しかしながら、近年では相続等に伴う農地の転用や土地の細分化などが進み、みどりが年々減少する傾向にあります。 ・駒沢オリンピック公園など大規模な公園が多くある一方、区民が気軽に憩うことのできる身近な広場や公園が不足している地区もあります。 ・二子玉川や用賀には大規模な商業店舗やオフィスが集積しています。各商店街では、地域コミュニティの場として機能するとともに、多世代が交流する様々なイベントが行われ、まちに活気を生み出しています。 ・地域には、玉川八景と呼ばれた眺望で江戸時代から風向明媚な景勝地としても知られていた国分寺崖線をはじめ、23区唯一の渓谷である東京都指定名勝である等々力渓谷など、身近で自然に触れあえる場所が多くあり、区内外から多くの人が訪れます。また、五島美術館や宮本三郎記念美術館、長谷川町子美術館などの文化施設が数多くあります。 玉川地域の位置と町名  東玉川 、奥沢 、玉川田園調布 、玉堤 、等々力、尾山台 、上野毛 、野毛 、中町 、上用賀、用賀 、玉川 、瀬田 、玉川台 、駒沢三〜五丁目、駒沢公園 、新町 、桜新町 、深沢 (注)本区全体のなりたちについては、都市整備の基本方針の12 ページに、「市街地形成の沿革」として示している (3)地域の現況等のデータ ・人口、世帯数ともに世田谷地域に次いで多い地域ですが、人口密度は区内5地域中4番目と低い状況にあります。 ・街区は概ね格子状に配置された地区が多く、道路率、みどり率(用語解説あり)ともに高いことから比較的ゆとりのある住環境の市街地が形成されています。一方、不燃領域率(用語解説あり)も最も高い状況にありますが、一部に低い地域があります。 位置・面積・地勢 ・本区の南東部に位置し、東側は目黒区と大田区に、南側は多摩川を挟んで川崎市に隣接 ・面積は1,581.4ヘクタール(1位/5地域) ・地域の多くは標高30〜40メートル 前後の武蔵野台地に属し、九品仏川や呑川が浅い谷を形成。地域の南縁部は多摩川低地に属し、武蔵野台地との境は標高差20メートル 程度の急斜面の国分寺崖線(用語解説あり)を形成 人口・世帯 ・人口は215,139 人(2位/5地域)(注1) ・世帯は105,940 世帯(2位/5地域)(注1) ・平均世帯人員は2.03 人/世帯(2 位/5地域)(注1) ・人口密度は136 人/ヘクタール(4 位/5地域)(注1) ・人口は今後20 年間で、13,800 人増加(1.07 倍)の見込み(注2) ・高齢者人口の割合は平成25 年で19.1%、20 年後は23.8%の見込み(区平均は23.0%)(注2) 土地利用 ・住居系の割合は47.7%(区平均は49.4%)で、烏山地域とほぼ同じ ・商業系の割合は7.3%(区平均は6.4%)で、世田谷地域と並び最も高い ・工業系の割合は1.0%(区平均は1.1%)で、平成3年から平成23 年で0.7 ポイント低下 建築物・宅地・防災・みどり・道路 ・棟数密度は40.9 棟/ヘクタール(区平均は44.3 棟/ヘクタール) ・専用住宅(用語解説あり)の100 平方メートル未満の敷地数は、平成3 年から平成23 年で90%増加(4,209 敷地から7,987 敷地) ・耐火率(用語解説あり)は63.8%(区平均は60.2%)で、5地域で最も高い ・不燃領域率は68.6%(区平均は65.0%)で、5地域で最も高いが、一部に50%未満の地域がある ・木防(用語解説あり)建ぺい率は17.0%(区平均は18.5%) ・旧耐震木造(用語解説あり)棟数密度は7.6 棟/ヘクタール(区平均は9.2 棟/ヘクタール) ・みどり率は26.5%(区平均は24.6%) ・地域住民一人当たりの公園面積は3.68 平方メートル/人(区平均は2.96 平方メートル/人)(注3) ・生産緑地(用語解説あり)面積の変化(平成3 年から平成23 年)は、36.0ヘクタール から25.4ヘクタール(29%減少) ・道路率は16.1%(区平均は14.5%)で、5地域で最も高い。平成18 年から平成23 年で0.5 ポイント増加 ・細街路率は24.3%(区平均は36.2%)で、5地域で最も低い ・都市計画道路の整備率は64.1%(区平均は50.9%)で、5地域で最も高い(注4) ・主要生活道路(用語解説あり)の整備率は61.5%(区平均は37.7%)で、5地域で最も高い(注4) 地域資源 ・せたがや百景(用語解説あり)は、等々力渓谷と等々力不動、多摩川の緑と水、馬事公苑界わい など25 箇所 ・地域風景資産(用語解説あり)は、用賀プロムナード、富士見橋より見た富士山の見える眺望、奥沢海軍村ゆかりの風景 など19 箇所 ・主な文化財は、駒沢大学耕雲館、浄真寺(梵鐘や三仏堂等)、上野毛稲荷塚古墳出典:世田谷の土地利用2011、世田谷区土地利用現況調査(用語解説あり) (注1)住民基本台帳(平成26年1月1日現在)(注2)世田谷区将来人口の推計(平成26年2月) (注3)世田谷区都市公園等調書(平成26年4月1日現在)(注4)世田谷区道路整備白書(平成26年4月) 3―1―2.街づくりの主な課題 都市整備の基本方針における世田谷区をとりまく状況や、前項の概況などを踏まえ、本地域の街づくりの主な課題を、5つのテーマに沿って示します。 (1)テーマ1「安全で災害に強いまちをつくる」に関すること ・地域の多くで都市基盤が整っていますが、一方で、幅員6m以上の道路や空地が不足している地区について、地区全体の防災性を高めるとともに、避難路の沿道や避難場所の周辺地区などの防災性を高めることが必要です。 ・豪雨時の大規模水害や内水氾濫(用語解説あり)などの水害に備えた、河川改修や下水道整備のほか、雨水流出抑制施設(用語解説あり)の整備等の総合的な対応が求められています。 ・防災とならび防犯に対する住民意識が高まっており、犯罪のない街づくりが求められています。 (2)テーマ2「みどり豊かで住みやすいまちをつくる」に関すること ・みどり率(用語解説あり)は区の平均をやや上回っていますが、一方で、農地などの民有地のみどりが減少しつつあることから、豊かな自然や農地の保全、新たなみどりの創出に加え、連続したみずとみどりの空間づくりを進めることが必要です。 ・相続等による宅地の細分化や大規模な開発などによるみどりの減少を防ぎ、ゆとりのあるみどり豊かな住宅地の維持、保全を図っていくことが必要です。 (3)テーマ3「活動・交流の拠点をもつまちをつくる」に関すること ・広域生活・文化拠点である二子玉川駅周辺地区においては、市街地再開発事業(用語解説あり)の完了後も引き続き総合的な街づくりを進めることが必要です。 ・地域生活拠点をはじめ、活動・交流の核となるような拠点について、機能の充実と活性化を図ることが必要です。 ・大規模な公園が多くありますが、一方で、区民が気軽に憩うことができる身近な公園や広場が不足している地区があり、整備を計画的に進めることが必要です。 ・身近に買い物ができる商店などが減少しており、住宅街における利便性の向上が課題となっています。 (4)テーマ4「地域資源の魅力を高めるまちをつくる」に関すること ・地域資源の魅力を高めるまちをつくるため、多摩川や国分寺崖線(用語解説あり)、等々力渓谷などの自然資源のほか、九品仏やサザエさん通り、五島美術館などの活用が望まれます。 (5)テーマ5「誰もが快適に移動できるまちをつくる」に関すること ・鉄道とバスその他の公共交通機関の乗換えが不便な地区が多く、交通結節機能の強化が必要です。 ・鉄道による地域の分断や、交通渋滞の発生などの問題を抱えている地区への対応が必要です。 ・交通渋滞の発生や住宅地への通り抜け車両の進入が増加しており、広域的な道路ネットワークの形成が必要です。 ・身近な交通機関である、自転車の利用環境を向上させることが必要です。 3―2.玉川地域の目標、骨格と土地利用の方針 3―2―1.目標〜地域のまちの姿〜 基本計画(地域計画)における、本地域のまちの将来像を以下に示します。地域で育む安心・安全と笑顔のまち 国分寺崖線(用語解説あり)や等々力渓谷などの 自然豊かな住みよいまちにぎわいと元気あふれる魅力的なまち。 これらのまちの将来像を踏まえ、都市整備の基本方針の都市づくりビジョン、前項の街づくりの主な課題などに基づきつつ、概ね20年後を見据えた本地域のまちの姿を、以下のとおりテーマ別に沿って設定します。 3―2―2.地域の骨格と土地利用の方針 (1)地域の骨格プラン 都市整備の基本方針における都市づくりの骨格プランと、地域のまちの姿に基づき、本地域の基本的骨組みを示します。 ・二子玉川駅周辺地区は、再開発事業により都市基盤の整備や土地の高度利用、都市機能の更新が図られています。また、自然環境と調和し安全で魅力ある商業・業務・住居機能を備えた、本区を越えた広域的な交流の場として「広域生活・文化拠点」と位置づけています。 ・自由が丘駅に隣接し、良好で利便性の高い住宅地と健全な商業地の調和の取れた発展を図っている奥沢駅・自由が丘駅周辺地区、地域の行政の中心で、まちなか観光(用語解説あり)の拠点でもある等々力駅・尾山台駅周辺地区については、地域の「核」となる区民の身近な交流の場として「地域生活拠点」と位置づけています。 ・区民の日常生活に必要な商業・業務機能が集積した、地区の交流の場として、新たに「地区生活拠点」」を位置づけます。 ・地震や火災、水害等の自然災害に強く、防犯にも配慮した安全で安心して暮らせるまち ・先人たちから受け継いだ、みどり豊かで都市基盤の整った街なみを維持・発展させるとともに、農のある風景を守り伝え、環境にやさしく快適で住みよいまち ・二子玉川をはじめとした、地域の個性を活かした商店街のにぎわいや、業務などの機能が充実した交流と生活の拠点が身近にあり、誰もが歩いて暮らせるまち ・国分寺崖線や等々力渓谷などの豊かな自然資源をはじめ、サザエさん通りや九品仏等の歴史・文化資源を活かした、魅力あふれるまち ・人・自転車・車が安全に行きかう道路と、利用しやすい公共交通機関の環境整備が進み、誰もが安心して快適に移動できるまち地域のまちの姿 ・玉川総合支所周辺地区については、総合支所が地域の防災機能を担っていることを踏まえ、「災害対策拠点」に位置づけています。 ・みどりに恵まれ、様々な生物が生息し、みどりやみずの風景が連なった国分寺崖線(用語解説あり)とその周辺を、「水と緑の風景軸(用語解説あり)」と位置づけています。 拠点や軸等の名称 生活拠点 広域生活・文化拠点 拠点や軸等 位置づける場所 二子玉川駅周辺地区 拠点や軸等の名称 地域生活拠点 拠点や軸等 位置づける場所 用賀駅周辺地区、等々力駅・尾山台駅周辺地区、奥沢駅・自由が丘駅周辺地区 拠点や軸等の名称 地区生活拠点 拠点や軸等 位置づける場所 桜新町駅周辺地区、九品仏駅周辺地区、上野毛駅・中町周辺地区および東深沢商店街地区 拠点や軸等の名称 新たな機能を持つ拠点等 災害対策拠点 拠点や軸等 位置づける場所 玉川総合支所周辺地区 拠点や軸等の名称 都市軸 都市活力と交通の軸 拠点や軸等 位置づける場所 環状8号線、玉川通り(国道246号)、目黒通りの各道路とその沿道   拠点や軸等の名称 都市軸 主要生活交通軸 拠点や軸等 位置づける場所 ○補助154 号線、世田谷通り、多摩堤通り(補助125 号線)の各道路とその沿道 拠点や軸等の名称 みどりの拠点および水と緑の風景軸 みどりの拠点 拠点や軸等 位置づける場所 ○馬事公苑・東京農業大学、駒沢オリンピック公園、園芸高校一帯、九品仏一帯、等々力渓谷・玉川野毛町公園、二子玉川公園水と緑の風景軸 ○国分寺崖線とその周辺環境保全ゾーン ○多摩川 (2)地域の土地利用の方針 9つに区分した土地利用ごとの方針を示すとともに、方針図でその位置を概略で示します。なお、大規模な土地利用転換の際は、都市基盤整備を進めるとともに、地区の特性や周辺住宅地と調和した土地利用を誘導します。 (1)駅周辺商業地区 ・二子玉川駅の周辺地区は、本区を越えた広域的な交流の場として、商業・業務、文化・交流・レクリエーションなど多様な機能が充実するよう土地利用を誘導します。 ・用賀、等々力、尾山台、奥沢、自由が丘の各駅の周辺地区は、区民の日常生活に関わる商業、行政等の機能が集積し、地域の「核」となるよう土地利用を誘導します。 ・桜新町、上野毛、九品仏の各駅の周辺地区は区民の日常生活における商業・サービス機能が集積するよう土地利用を誘導します。 (2)近隣商店街地区 ・東深沢商店街地区など住宅街の中にある商店街は、それぞれの特徴を活かし、周囲の住宅地との調和を図りつつ、身近な商業地としての土地利用を誘導します。 (3)幹線沿道地区 ・環状8号線、玉川通り(国道246号)、目黒通りの沿道は、主として事務所・店舗・サービス施設等が立地する地区として、後背の住宅地環境と調和を図りつつ、都市の活力を生み出す場として育むとともに、基幹的な避難路、延焼遮断帯(用語解説あり)を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 (4)地区幹線沿道地区 ・補助154号線、補助212号線などの沿道は、後背の住環境と調和を図りつつ、住宅と店舗などが共存するとともに、延焼遮断帯を形成する防災性の高い土地利用を誘導します。 (5)低層住宅地区 ・戸建て住宅や低層の集合住宅からなる良好な住環境を維持します。 (6)住宅地区 ・地域特性に応じた住環境の保全や改善、住宅相互の調和を図りつつ、生活利便施設などが適切に配置された土地利用を誘導します。 (7)住商複合地区 ・用賀駅の西側の住商複合地区は、業務・商業施設等の立地を維持します。 (8)準工業地区 ・桜新町などの準工業地区は、生産環境の保全とともに住環境との調和を図ります。 (9)河川環境地区 ・多摩川およびその河川敷は、自然環境の保全やみどり豊かで水辺に親しめる環境の創出を図ります。 玉川地域の骨格と土地利用の方針図 3―3.玉川地域のテーマ別の方針 街づくりの主な課題を解決するとともに、地域のまちの姿を実現するための、5つのテーマからなるテーマ別の方針を示します。地域の特性や課題などを踏まえ、主要なテーマを中心に記載します。方針図は、テーマT〜Xの重ね合わせで示します。 (1)テーマ1  安全で災害に強いまちをつくる 延焼遮断帯(用語解説あり)や延焼遅延帯(用語解説あり)を整備する ・未整備の都市計画道路や主要生活道路(用語解説あり)の整備を促進し、延焼遮断帯に囲まれた防災生活圏(用語解説あり)と延焼遅延帯に囲まれたミニ防災生活圏(用語解説あり)の形成を図ります。 地区の安全性を向上させる ・消防活動困難区域(用語解説あり)や不燃領域率(用語解説あり)の低い地区では、地先道路(用語解説あり)の整備を進め、災害に強い道路ネットワークの形成を図るとともに、公園や小広場の整備、消防水利(用語解説あり)の充実、建築物の不燃化と隣棟間隔の確保など総合的な防災・減災対策を進め、「震災に強く、しなやかで復元力のある街づくり」の実現を図ります。 ・大規模敷地では地域の安全性に貢献するよう、建て替えなどの機会にあわせ、防災上有効なスペースの確保と緑化を促進します。 災害時の拠点と物資輸送を確保する ・玉川総合支所が災害対策拠点であることを踏まえ、防災や減災の観点に加え、人や物資の流れが円滑になるよう配慮し、災害に強い拠点を形成します。 ・幹線道路(用語解説あり)や緊急輸送道路(用語解説あり)沿いの建築物の不燃化・耐震化を進めます。 水害を抑制する ・河川に近い区域や、浸水被害が心配される地区を中心に豪雨・浸水対策を進めます。 日常の安全・安心を確保する ・生活道路の整備にあたっては、隅切り等の整備による見通しの確保と、スピードを出しにくい道路構造や通過交通の抑制などの検討を進めます。また、交通安全に配慮した街づくりを進めるとともに、道路と宅地が相互に見通せる沿道の環境づくりを進め、明るく犯罪のない街づくりをめざします。 (2)テーマ2  みどり豊かで住みやすいまちをつくる みどりとみずを守り育てる ・建築物の共同化(用語解説あり)等によるオープンスペースの創出、道路沿道での視覚効果の高い緑化、屋上緑化などにより、みどりの創出を図ります。 ・呑川親水公園、呑川緑道、九品仏川緑道、谷沢川、丸子川などの多くの緑道や水辺、街路樹および民有地のみどりなどでネットワークを形成し、多様な生物が生息できる緑環境と水環境の創出を図ります。 ・農業文化の継承を進め、地域に残された貴重な農地の保全やみどりの維持・創出を図ります。 良好な住環境の維持・向上を図る ・国分寺崖線(用語解説あり)から多摩川沿いにかけての地域は風致地区制度(用語解説あり)などを活用し、みどり豊かでゆとりのある住宅地の形成を図ります。 ・上用賀地区、玉川田園調布地区などをはじめとする、都市基盤の比較的整った良好な住宅地等において土地の細分化を防止するとともに、みどりの保全・創出を図ります。 ・住宅団地の建て替えの際は、周辺環境との調和をめざし、一団地の住宅施設(用語解説あり)の変更や周辺を含めた地区計画(用語解説あり)の策定など、地区の特性にあわせた施策の展開を図ります。 (3)テーマ3  活動・交流の拠点をもつまちをつくる 活力ある生活拠点とする ・広域生活・文化拠点である二子玉川駅周辺地区は、商業・業務・文化・交流・レクリエーションなど様々な機能を備え、にぎわいと居住、自然環境の調和が図れた魅力ある拠点とするため、住民・事業者・区が協働して街づくり活動を進めます。また、商店街において連続性の確保やコミュニティの場の形成を進めるなど、人の交流や買い物・散策が楽しめる新たなまちの形成をめざします。 ・奥沢駅・自由が丘駅周辺地区をはじめとする地域生活拠点では、建築物の共同化(用語解説あり)などによる歩行空間やみどり空間の確保に努めるとともに、交通結節機能の強化を図り、活気ある拠点の形成をめざします。 ・九品仏駅周辺地区などの地区生活拠点では、商店街の連続性に配慮するとともに、オープンスペースやみどりの確保に努め、身近で親しみやすい拠点の形成を図ります。 身近に活動・交流の場をつくる ・二子玉川公園や(仮称)上用賀公園、玉川野毛町公園など、特色ある公園の整備を進めます。また、東玉川、奥沢、等々力地区等で、身近な公園・広場の整備を進め、区民にとって身近な活動・交流の場づくりを進めます。 ・住宅街における買い物などの利便性の維持・向上のため、幹線道路(用語解説あり)や地区幹線道路(用語解説あり)の沿道では周辺環境に配慮しながら、生活利便施設の誘導を図ります。 地区の特性を活かした産業環境づくりを進める ・活力ある産業環境を形成するため、幹線道路である環状8号線や玉川通り、目黒通りの沿道において、魅力ある沿道型業務施設等の立地を促進します。 ・準工業地区は、生産環境の保全・充実により、ものづくりの振興を図ります。 (4)テーマ4  地域資源の魅力を高めるまちをつくる 地域の貴重な自然資源を守り、育てる ・「世田谷区のみどりの生命線」とも言われる国分寺崖線(用語解説あり)や、等々力渓谷などの豊かな自然を保全します。 ・多摩川は、自然環境の保全に配慮し、水際の環境整備など、みずとみどりに親しめる空間づくりを進めます。 ・深沢八丁目無原罪(むげんざい)特別保護区(用語解説あり)、瀬田四丁目広場、九品仏一帯など、地域の歴史を伝える貴重なみどりである社寺林や屋敷林を保全します。 風景の魅力を高める ・奥沢海軍村周辺や新町住宅地など歴史ある良好な住宅地、大山道や筏道といった古道や文化財など地域に残る歴史的資産、五島美術館や長谷川町子美術館、宮本三郎記念館をはじめとする文化施設など、地域の資源を活かした魅力ある風景づくりを進めます。○水と緑の風景軸(用語解説あり)や風致地区(用語解説あり)に指定されている地域をはじめ、富士山や多摩川を望む国分寺崖線など、地域の豊かな地形やみどりを活かした個性ある風景づくりをめざします。 (5)テーマ5  誰もが快適に移動できるまちをつくる 渋滞を解消し、住宅街の通過交通を減らす ・大井町線の立体化を促進し、鉄道により分断されていた歩行者・自転車・自動車交通の円滑化を図ります。 ・東京外かく環状道路(用語解説あり)の東名以南をはじめとする広域的な道路ネットワークの形成を促進し、環状8号線や玉川通り、目黒通りの渋滞解消、住宅街への通り抜け車両の減少を図ります。 快適で利用しやすい交通環境の整備を進める ・駅の交通結節機能を強化し、公共交通ネットワークの充実を図ります。 歩行者や自転車利用者の安全性と快適性を高める ・都市計画道路や主要生活道路(用語解説あり)の整備、建築物の共同化(用語解説あり)、商店街の壁面後退などにより安全で快適な歩行空間や自転車走行空間の確保に努めます。 玉川地域のテーマ別の方針図 3―4.玉川地域のアクションエリアの方針 地域のまちの姿を実現するため、今後、概ね10年間にわたり街づくりを優先的に進める地区と、その方針を示します。 (地区は50音順) (1)地区計画(用語解説あり)などを策定し、街づくりを進めていく地区(一部、地区計画や地区街づくり計画(用語解説あり)などが策定されている地区を含む) 3−1 奥沢駅・自由が丘駅周辺地区 ・奥沢と自由が丘それぞれの特性を活かしながら、商店街の壁面後退や連続性の確保などによる、回遊性のある、歩いて楽しいまちの実現を図ります。 ・建築物の共同化(用語解説あり)などの手法を活用して歩行空間やみどり空間の確保に努めるとともに、交通結節機能を強化し、駅と一体となった活気ある拠点を形成します。 ・自由が丘駅周辺の駐輪施設の拡張やレンタサイクルポートの整備の検討を進め、自転車利用環境の向上を図ります。 ・奥沢駅周辺は、コミュニティの核となる駅前空間や公共施設の再整備を進めるなど、災害に強く安全な拠点の実現を図ります。 3―2 上野毛駅・中町周辺地区 ・上野毛駅周辺は商店街の連続性の確保、歩行空間の充実などにより活気ある商店街の形成をめざすとともに、地区に相応しい商店の立地を進め、近隣の住宅地に配慮した商店街の形成を図ります。 ・豪雨・浸水対策を推進し、水害に強い街づくりを進めます。 3―3 九品仏駅周辺地区 ・区民に身近な商店街の形成や、駅前空間の整備を図るとともに、みどりの多い周辺環境と調和した住環境の形成を図ります。 3―4 桜新町駅周辺地区 ・サザエさん通りや長谷川町子美術館などの地域資源を活かしながら、街なみと調和し、歩いて買い物がしやすい商店街づくりを進めます。 ・準工業地区において生産環境の保全とともに住環境と調和した住工共生の街づくりを進め、地区全体において住・商・工のバランスのとれたまちの形成を図ります。 3―5 新町・駒沢四丁目地区 ・幅員6m以上の道路ネットワークの形成、建築物の不燃化などにより、災害に強い街づくりを進めるとともに、防犯の視点を考慮した、安全で快適な住環境の形成を図ります。 3―6 瀬田五丁目周辺地区 ・地区計画(用語解説あり)に基づき、区画道路などの都市基盤整備を進めながら、農業公園を中心にした農のある風景の保全とみどり豊かな住宅地の形成を図ります。 3―7 玉川野毛町公園周辺地区 ・野毛三丁目から等々力渓谷へと連なるみどり空間の一層の充実・保全を図るとともに、住宅地においては環境と調和した住宅地の形成を図ります。 3―8 等々力駅・尾山台駅周辺地区 ・等々力駅周辺は、地域行政の中心としての役割や、等々力渓谷を有する観光拠点であることを踏まえ、交通結節機能を強化するとともに、住・商のバランスがとれ、周辺の豊かな自然環境にも配慮した、住民にも来街者にもやさしいみどり豊かなまちの実現を図ります。 ・玉川総合支所が災害対策拠点であることを踏まえ、大井町線の立体化と等々力大橋(仮称)の建設を促進し、災害時の人や物資の円滑な移動空間の確保を図ります。 ・尾山台駅周辺地区は商店街の連続性の確保や、建築物の共同化(用語解説あり)などによるオープンスペースの確保により歩いて楽しいまちの実現を図ります。 3―9 馬事公苑周辺地区 ・馬事公苑一帯が広域避難場所(用語解説あり)であることを踏まえ、災害時に円滑な避難ができるよう、大規模敷地を中心に避難上有効なオープンスペースを確保するとともに、周辺の不燃化や安全対策を進めます。 ・豪雨・浸水対策を推進し、水害に強い街づくりを進めます。 ・馬事公苑を中心にみどり空間の一層の充実・保全を図ります。 ・防災・減災対策に加え、これまで培ってきたみどり豊かで良好な街なみの維持・保全を図ります。 ・主要生活交通軸である世田谷通りや、用賀中町通り沿道などにおいては、地域における生活利便施設の誘導を図ります。 3―10 東玉川・奥沢地区 ・災害や犯罪に強く、みどり豊かでゆとりのあるまちを形成するため、幅員6m以上の道路ネットワークの形成、オープンスペースの確保、建築物の不燃化、隣棟間隔の確保に加え、住宅街への通過交通の進入防止やスピードの抑制、道路と宅地の相互が見通せる生活道路の検討などを進めます。 3―11 東深沢商店街地区 ・商店街がにぎわいとコミュニティの中心となるよう、商店の連続性の確保や建築物の共同化などの手法を活用したオープンスペースの充実、みどりの創出を図ります。 ・狭あい道路(用語解説あり)の拡幅整備を促進し、災害に強い安全な街づくりを進めます。 3―12 二子玉川駅周辺地区 ・広域生活・文化拠点として、にぎわいや魅力、良好な環境を維持し、地域活力の増進と地域の発展を図るため、区民・事業者・区が連携して、駅の東西でバランスのとれた一体的な街づくりの取り組みを進めます。 ・居住者・来街者・就業者など多くの人が文化・芸術・健康・スポーツに親しめる交流の場づくりを進めるとともに、豊富な自然資源を活かし、安全で快適にまちなかを散策・回遊できるまちの形成を図ります。 ・多摩川沿いの二子橋から上流側の地区では堤防整備を促進するなど、水害に強い街づくりを進めます。また、兵庫島周辺や二子玉川公園と連続した水際環境の整備など、みどりとみずのネットワークづくりを進めます。 ・西地区において導入されたゾーン30(用語解説あり)の検証を進め、生活道路の交通安全に配慮した街づくりを進めます。また、商店街の連続性の確保により、にぎわいとコミュニティの充実を図ります。 ・玉川三丁目地区は、地区街づくり計画(用語解説あり)に基づいて老朽建築物の不燃化や区画道路の整備を進めるなど、安全な市街地の形成を図ります。 3―13 用賀駅周辺地区 ・駅前を中心に商業・業務機能の集積を図りながら、周辺の住宅地と調和した市街地の形成を図ります。また、都市計画道路の補助212号線の整備にあわせて、隣接する桜新町駅周辺地区と一体となった沿道環境の形成を図ります。 ・豪雨・浸水対策を推進し、水害に強い街づくりを進めます。 (2)既に策定された地区計画(用語解説あり)などに基づき、街づくりを進めていく地区 3―14 環八沿道地区 ・沿道地区計画(用語解説あり)に基づき、後背地の住宅地との調和を図りながら商業・業務地として誘導するとともに、建築物の不燃化を促進し、みどりとうるおいのある良好な沿道の街なみを形成します。 3―15 玉川田園調布一・二丁目地区 ・地区計画および地区街づくり計画に基づき、敷地の細分化防止、壁面線の指定、緑化などを進めるとともに、地域住民と協働してみどり豊かでゆとりのある住宅街の形成を図ります。 3―16 目黒通り沿道地区 ・目黒通りが緊急輸送道路(用語解説あり)であることなどを踏まえ、地区街づくり計画に基づき、沿道の建築物の耐震化・不燃化を進めます。