世田谷区産業ビジョン 区民・産業がつくる 世田谷の新たな価値と豊かさ 多様な産業の連携により支える、生活と仕事と交流の場として魅力的なまちを目指して  産業革命、IT革命に匹敵する大きな変化の時代に入ったと言われています。世界経済のグローバル化が進展するとともに、IoTやAI、ロボット、ビッグデータの活用、自動運転の実用化に向けた取組みなど10年前には夢物語だったことが現実に起こっています。このような新たな技術革新の動きは、人々の生活や就業構造等が劇的に変わる可能性を有しています。  私たちは、人口90万人を擁する都内最大の自治体として、これから始まる技術革新の動きが、生活や仕事・学びを大きく変える可能性を見ながら「成熟都市」にふさわしい産業のあり方や未来を描いてみました。 このたび、平成30年度から10か年を見通して産業のあり方を明らかにする「世田谷区産業ビジョン」を策定いたしました。 このビジョンでは、商業、工業、農業といった従来からの枠組みにとらわれずに、福祉、環境、建設などといった多様な産業の横断的な連携により、区民の生活を支えることを基本に据え、全体を構成しています。そのうえで、新たな産業技術の活用により伝統的な産業の継続・発展を図るとともに、いわゆるスタートアップ企業のような新たな産業分野を開拓する事業者の育成も視野に入れています。  今後も、住宅都市としての住みやすさという特長を活かしつつ、働く場として、また、人々の交流や賑わいの場としての魅力のあるまちを目指して、それを支える産業振興に取り組んでまいります。  最後に、本ビジョンは、「世田谷区産業ビジョン懇話会」からのご提言をもとに検討を重ねたうえで策定をいたしました。約2年にわたり真摯なご議論をいただきました懇話会委員及び関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。 平成30年3月 世田谷区長 保坂 展人 目 次 世田谷区産業ビジョン策定の趣旨 1ページ Ⅰ現行産業ビジョンの振り返り 4ページ Ⅱ社会環境の変化 6ページ Ⅲ世田谷区産業ビジョンの背景と全体イメージ 12ページ Ⅳメインテーマ 14ページ Ⅴ7つのありたい姿 15ページ  【区民生活の視点から】   1 住み慣れたところで、充実した日々がおくれる活力あるまち 16ページ   2 安全・安心、快適で環境と調和したまち 18ページ  【産業活性化の視点から】   3 人の生活を豊かにし、地域を育む産業 20ページ   4 世田谷の特性を活かした多様な産業 22ページ   5 働く人が活躍できる機会の創出 24ページ  【まちづくりの視点から】   6 世田谷の魅力が様々な交流を促し、さらなる賑わいを生み出すまち 26ページ   7 環境にやさしく、潤いに満ちた生活や事業ができるまち 28ページ Ⅵ施策の体系  施策の体系 31ページ   1世田谷産業の基盤づくり    ①産業創造基盤 32ページ   2世田谷人材の育成と活躍    ②雇用・労働環境の充実 34ページ    ③世田谷人材の育成と活躍促進 36ページ   3豊か・安心・快適な区民生活創造    ④区民生活や地域環境を支え高める商店街振興 38ページ    ⑤地域や生活に身近なものづくりの産業 40ページ    ⑥区民とともにつくる世田谷農業 42ページ    ⑦区民が見つけ楽しむ世田谷観光 44ページ    ⑧安全・安心な消費環境づくり  46ページ   4活力ある産業の育成と創造 ⑨世田谷生活に活力を与える生活関連産業の育成 48ページ    ⑩ものづくり技術を活かした産業の推進 50ページ    ⑪世田谷の特性を活かした農業力の強化 52ページ    ⑫まちなか観光が生み出す産業の活性化 54ページ    ⑬事業者と消費者がつくる豊かな消費生活 56ページ   5人と事業所とまちが創る成熟都市せたがや    ⑭潤いと活力に満ちた地域づくり 58ページ    ⑮建設産業などが支える家・まち・都市の充実・発展 60ページ    ⑯農のある都市環境の維持・形成 62ページ    ⑰世田谷観光プロモーションの強化 64ページ    ⑱消費者市民社会の実現 66ページ Ⅶせたがや価値創造プロジェクト 69ページ   プロジェクト1:地域と共に生活価値の創造を促す機能づくり 70ページ   プロジェクト2:コンパクトで多様な都市型ライフスタイルを支える産業の育成 72ページ   プロジェクト3:「3(×2)×1型農業」の推進と多面性の強化 74ページ   プロジェクト4:せたがや産業創造プラットフォームの設置とネットワークの形成 76ページ   プロジェクト5:世田谷人材マッチングの仕組み 78ページ Ⅷ推進のしくみ 80ページ Ⅸ資料編 81ページ   1世田谷区産業ビジョン懇話会 82ページ   (1)世田谷区産業ビジョン懇話会活動記録 (平成28年7月から平成30年3月まで) 82ページ   (2)世田谷区産業ビジョン懇話会委員名簿 83ページ   (3)提言 84   (4)懇話会座長より~世田谷区産業ビジョンの策定にあたって~ 88ページ   (5)世田谷区産業ビジョン懇話会 会則 89ページ   2世田谷区の産業政策に係る意見交換会 90ページ   3区民意見募集の結果について 92ページ   4用語集 96ページ 世田谷区産業ビジョン策定の趣旨 1.本ビジョン策定の目的   将来にわたって本区産業の振興を図っていくための基本的な指針として、2008年度(平成20年度)からの10年間を期間として策定した世田谷区産業ビジョンが2017年度(平成29年度)で区切りを迎えました。   この間、世界経済は、一部保護主義や内向き傾向の高まりはみられるもののグローバル化が進展するとともに、第4次産業革命といわれる新たな産業技術の活用により生産性の向上や雇用のあり方の変化など様々な産業構造の変革が起きています。  わが国も、世界的な産業構造の変革の影響を受けており、経済産業省の「新産業構造ビジョン」によると、IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどにより、これまで実現不可能と思われていた社会の実現が可能になることに伴い、今後、人々の生活や産業構造、就業構造等が劇的に変わる可能性が指摘されています。  このように社会全体が大きく変化することが想定される中で、世田谷区の産業の10年後の将来像を描き切ることは難しいことですが、新たな産業技術や産業構造などの変化にあわせて、区内においても新たな産業分野の開拓と成長を推進していくことは、今後10年にわたる区内産業の充実・発展を実現するためには必要不可欠な要素です。  その一方で、将来的に発生が不可避とされる大規模災害への対応や、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)といった大型スポーツイベントの開催に伴う、インフラ整備やインバウンドの増加などに対応するためには、これまでものづくり産業が培った技術等を活かすとともに、建設業、観光産業などの活躍が重要となっています。さらに、区内の全ての産業が、時代の変化にあわせた新たな視点から活性化を図っていくことが必要不可欠となってきています。  まちづくりの視点からは、この10年間において急速に進んだ二子玉川の再開発や下北沢駅周辺の整備など世田谷のまちが大きく変わってきており、今後さらに、成熟した都市における潤いに満ちた生活や事業を実現していくためには、区民それぞれのライフスタイルを実現することが重要となってきます。  また、社会的には少子高齢化が進んでいるといわれている中で、世田谷区は高齢者と子どもがともに増加しており、それに伴い区民の必要とする産業の態様も変わってきています。  すなわち、商業・工業・農業といった枠組みにとらわれるのではなく、福祉、環境、建設など様々な産業分野を横断的にとらえて、区民生活を支えることが重要となります。  以上のような区及び区内産業を取り巻く社会経済環境の変化を的確にとらえ、グローバルな視野を持ちつつ、新たな時代のトレンドやニーズに対応していくことを目的として、2018年度(平成30年度)から10ヵ年を見通した世田谷区産業ビジョン(以下「ビジョン」という。)とビジョン実現のための方針や施策等を策定します。 2.計画期間  ビジョンの期間は2018年度(平成30年度)から概ね10年間とします。 3.ビジョンの位置付け  ビジョンは、「世田谷区基本構想」(2013年(平成25年)9月決定、20年間)、「世田谷区基本計画」(2014年度(平成26年度)から10年間)を踏まえ、「世田谷区新実施計画(後期)」や「世田谷区農業振興計画」など関連する諸計画との整合を図りながら、2018年度(平成30年度)からの区内産業のあり方とあるべき方向性について、長期的視点からの戦略的な取組みを示す産業政策の指針となります。  また、世田谷区産業振興基本条例第3条の産業の振興を総合的に実施するための指針の役割も担います。 4.ビジョンの構成  ビジョンは、世田谷区産業ビジョン策定の趣旨、Ⅰ 現行産業ビジョンの振り返り、Ⅱ 社会環境の変化、Ⅲ 世田谷区産業ビジョンの背景と全体イメージ、Ⅳ メインテーマ、Ⅴ 7つのありたい姿、Ⅵ 施策の体系、Ⅶ せたがや価値創造プロジェクト、Ⅷ 推進のしくみにより構成されています。 Ⅰ現行産業ビジョンの振り返り         2008年度(平成20年度)からの現行産業ビジョンの総括と「10年後の世田谷の姿」についての振り返りを行っています。 Ⅱ社会環境の変化                近年における社会環境全体の変化について考察しています。 Ⅲ世田谷区産業ビジョンの背景と全体イメージ ビジョンを構成する7つのありたい姿など全体イメージを示しています。 Ⅳメインテーマ                 ビジョン全体を貫く基本的な考えです。 Ⅴ7つのありたい姿             10年後の世田谷の産業の将来像と、それに向けた取組みの方向性を記述しています。 Ⅵ施策の体系                 ビジョンで指し示すありたい姿の実現に向けて、施策体系及び個々の施策内容を示しています。 Ⅶせたがや価値創造プロジェクト         ビジョンの指し示すありたい姿の実現に向けて、各関係機関などの連携のもと、施策の体系を横断的に貫き、新たな価値創造を目的とした5つのプロジェクトを想定します。 Ⅷ推進のしくみ                 ビジョンのありたい姿の実現、及びそのための施策の展開にあたっての、関係産業団体間の連携を示しています。 Ⅰ.現行産業ビジョンの振り返り 1.現行産業ビジョンの総括  現行の産業ビジョンは、2008年度(平成20年度)から10年間の社会環境の変化やライフスタイルの多様化を踏まえ、区民生活の質を支え、高め、地域社会の発展に寄与するものとして策定しました。その中で、現行産業ビジョンでは、10年後の世田谷の姿を、10の将来像として定め、実現に向けて様々な施策を展開してきました。  その結果、区内における中心的な産業として位置付けられた、「商業・サービス業」・「工業・ものづくり」・「農業・農地」はそれぞれ現行産業ビジョンの下において一定の役割を果たしてきたといえます。  商業・サービス業においては、生活支援拠点型商店街が増加し、防犯カメラの設置が進むにつれて犯罪件数が減少するなどの成果に繋げてきました。また、商店街が地域の区民の日常生活を支える公共的な役割は、ますます大きくなっています。  工業・ものづくりにおいては、製造業の事業者数・従業員数は減少傾向にあり後継者の育成に課題を有する一方で、住工共生まちづくりの推進により区民のものづくりに関する認知度は上昇し、建設業をはじめとする都市インフラ整備産業が増加傾向となるなど、都市の基盤として重要な役割を担っています。  農業・農地においては、農家戸数や農地面積が減少傾向にあるものの、近年は微減に留まっており、農地面積は23区内において2番目に多いなど、良好な生活環境の保全に大きな貢献を果たしています。  この間、将来的に発生が不可避とされる大規模災害への対応や、ラグビーワールドカップ2019や東京2020大会といった大型スポーツイベントの開催に向けた、インフラ整備やインバウンドの増加、AIをはじめとする新たな産業技術の進化など、区を取り巻く社会環境の見通しが劇的に変化しており、区の産業政策の指針である産業ビジョンとそれに基づく区民生活や区の産業等のあり方も新たに見直す必要があります。  今後は、商業、工業、農業の枠組みにとらわれず、福祉、環境、建設なども含め、地域を支える多様な産業を育成・支援していくとともに、世田谷区の魅力を発信する観光プロモーションの推進も含めて産業横断的な連携を促進していくことで、さらなる区内産業の振興と地域経済の活性化を推進していくことが重要であると認識しています。 2.現行産業ビジョン「10の将来像」の振り返り  現行産業ビジョンで定めた10の将来像ごとに、これまでの取組みを振り返ると、「将来像1 歩いて暮らせる生活エリアで安全・安心な生活を送り続けることができる まち」については、10年前に比べ、生活支援拠点型商店街の数が増加するとともに、AEDの設置件数や防犯カメラの設置台数が増加し、犯罪件数も減少していることから、商店街の果たす公共的役割は大きくなっています。  「将来像2 魅力と個性に溢れ、子どもから高齢者までさまざまな世代の区民が快適で充実した生活を楽しむことができる まち」については、区内商店街数は微減していますが、商店街振興を目的としてまちバルやまちゼミなどの新たな取組みを始めており、区民意識調査でも、友人、知人に薦めたい世田谷の魅力として、商店街(賑わい、雰囲気等)を挙げる人が30.3%に上るなど、商店街のまちの拠点としての魅力が広く認知されています。  「将来像3 さまざまなひと・もの・情報の交流が生み出すにぎわいと活気に満ち、新たな交流を生み出す まち」については、二子玉川以外の広域生活・文化拠点エリア(三軒茶屋、下北沢)での小売業の売り上げ等は縮小傾向にありますが、区内の観光イメージは認知度が高まっていることから、世田谷区の魅力の認知と新たな交流の創出が徐々に進んでいるといえます。  「将来像4 世田谷を魅力的にするためのさまざまな能力を有した人材の集う まち」については、区内就業者数及び昼夜間人口比率が増加しており、就業する場としての集積機能は向上していますが、雇用者側と求職者とのマッチングが実現出来ていない業種もあり、より一層の雇用機会の創出の取組みを充実させることが課題となっています。  「将来像5 仕事と調和した潤いのある生活が営める まち」については、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業は、大幅に増加していることから、事業者側の意識改革が進んでいることが分かります。今後とも、更に生活と仕事の調和の取れた環境づくりを進めていくことが重要です。  「将来像6 事業者が新たなビジネスに取り組んだり、安定した経営が可能な活気ある まち」については、民営事業者数が増加していることから、ビジネス環境が徐々に整備されているといえます。一方で、以前に比べ企業へのあっせんや融資等の事業者の経営基盤を強化する制度の認知や活用は減少傾向にあります。今後、区内産業の経営基盤を強化していくためには、産業支援施策の積極的な周知や利用促進活動を実施することが必要です。  「将来像7 世田谷の資源・特性に見合った産業やビジネスがある まち」については、小売業等の従業者数は減少傾向にありますが、特に二子玉川への情報通信事業者の移転などにより情報通信業の事業者数及び従業者数が大幅に増加しています。また、区民生活の利便性を支える各種サービス業が増加していることから、区民が自分たちの住むまちや地域での生活を楽しむことができる新たな環境が創出されてきているといえます。  「将来像8 ものづくりが地域に貢献し、活躍する魅力的な まち」については、この間、製造業の事業所や従業者の数が減少傾向にあるなど、ものづくり産業を取り巻く環境は厳しいものになっております。一方で、地道な地域への貢献活動などにより、区民のものづくりへの認知度は、以前に比べ僅かながら増加しております。  「将来像9 世田谷の自然環境や生活環境と産業が共生した まち」については、農家戸数や農地面積等が減少傾向であることに加え、「世田谷みどり33」の取組みは、10年前と比べると2016年度(平成28年度)現在みどり率が25.18%にとどまっています。もっとも、みどり率は平成23年度の調査時点(24.60%)から比べると上昇し、近年は都市生活の中で、区民が自然を享受する環境は増加傾向にあります。  「将来像10 産業の健全な発展に裏付けられた自立都市:世田谷」については、自立した地域経済を成立させる上では、地域に根ざした産業形成が重要であり、医療、福祉やサービス産業の事業所及び従業者の数が増加していますが、ものづくり産業は減少している状況です。人財の活用という視点からは、起業・創業支援、女性の社会進出、多様な人材の活用を推進している状況にあります。都市基盤づくりからは、区内沿線の駅の立体化や道路整備等、人やものの流れを円滑化する都市整備が行なわれてきました。また、二子玉川駅の再開発による大型小売店の展開等、新たな地域資源も作られており、都市整備、産業が連携し、区民生活の利便性の向上が図られています。 Ⅱ.社会環境の変化 1.国内総人口と世帯構造変化について (1)国内人口が減少する一方、特別区部への人口流入が進む  日本の総人口は、2015年(平成27年)10月時点の国勢調査において、外国人を含め1億2,709万4,745人で前回調査よりも0.8%減となり、1920年(大正9年)の調査開始以来、初めての人口減少となりました。  国内の人口が減少する中、東京都をはじめとする大都市圏への人口流入が鮮明になっており、東京圏の1都3県を含む8都県では、前回調査時よりも人口増となっています。都県別の人口増は、東京都が約35万6千人と最も多く、次いで、神奈川県(約7万8千人)、愛知県及び埼玉県(約7万2千人)などとなっています。都内でも特に特別区部における人口増が顕著であり、前回調査時よりも約32万7千人の増加となっています。 本区の人口は90万107人 (2018年(平成30年)1月1日時点)と特別区部において最多で、人口推移も社会増に伴い、過去最高値を記録中であり、特に20歳前後を中心とした若年層の大幅な転入が顕著となっています。 2)高齢化の進展に加え、単独世帯が増加  日本の総人口を年齢3区分別にみると、15歳未満人口は1,588万6,810人(12.6%)、15〜64歳人口は7,628万8,736人(60.7%)、65歳以上人口は3,346万5,441人(26.6%)となっており、総人口に対する15歳未満の割合は調査開始以来最低となっている一方、65歳以上の割合は、調査開始以来最高となっており、少子高齢化が顕著に進んでいます。本区では2018年(平成30年)1月時点で、15歳未満人口は10万6,801人(11.9%)、15〜64歳人口は61万1,398人(67.9%)、65歳以上人口は18万1,908人(20.2%)となっており、全国や東京都の平均と比較すると、少子高齢化は顕著ではありません。平成29年 世田谷区将来人口の推計によると、年少人口はこれからも増加し続ける傾向にありますが、一方で高齢者人口の増加も進み、2042年(平成54年)には高齢者人口が2018年(平成30年)時点の約1.41倍となる見込みとなっています。  また、日本全体で世帯構造が変化してきており、「平成29年版高齢社会白書」によると、1980年(昭和55年)では三世代世帯の割合が最も多かったものの、近年では夫婦のみの世帯が約3割と最も多く、単独世帯と合わせて半数以上を占めています。また、本区では、「平成27年国勢調査」から見ると、約半数が単独世帯であり、そのうち、65歳以上の高齢単身者世帯が2割弱を占めています。高齢者の近年のライフスタイルの変化を見てみると、ネットショッピングの利用に関しては、12年間で5倍以上の利用になっており、購入品は「医療品・健康食品」、「保険」、「食料」、「贈答品」、「旅行関係費」などが多くなっています(「平成27年家計消費状況調査」)。  また、ネットショッピングを含めた全消費活動においては、若年層と比較し、「パック旅行費」や「園芸品・同用品」、「スポーツクラブ使用料」への消費支出割合も多く、健康に気を配り、旅行や余暇を楽しむ高齢者の姿が見て取れます。  国立社会保障・人口問題研究所の調査「日本の世帯数の将来推計(全国推計)-2013(平成25)年1月推計-」によると、単独世帯及び65歳以上の高齢単身者世帯は、一般世帯数が減少に転じる2020年(平成32年)以降も増加する見通しであり、本区でも高齢単身者世帯の増加が想定され、こうした世帯のライフスタイルの動向にも注意することが必要です。 2.国内経済・産業の状況 (1)景気の持ち直しによる企業の人手不足が顕著  日本経済は、バブル経済が崩壊して以降、失われた20年と呼ばれるデフレ経済下で、成長率低迷の期間を経験してきました。その一方で2012年(平成24年)の安倍政権誕生から現在にかけ、アベノミクスのもとでの財政支出拡大等を中心とした景気の押し上げや、消費税率引き上げ前の需要増等により、GDP成長率は上向き傾向であり、緩やかな景気回復の動きが続いています。  また有効求人倍率は近年増加し、2017年(平成29年)6月時点では1.5倍を超えており、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は、1.01倍となり、2004年(平成16年)の調査開始以来、初めて1倍を超え求人が求職を上回りました。日本商工会議所が行った「人手不足等への対応に関する調査(平成29年7月3日)」においては、約60%以上の企業が「不足している」と回答しており、企業の人手不足感が一段と顕著になっています。業種別では、特に宿泊・飲食業の不足感が最も高くなっており、背景として訪日外国人増加や東京2020大会開催に伴うホテル・商業施設開設による需要増などがあることが想定されます。他にも運輸業、介護・看護、建設業でも6割以上が「不足している」と回答しており、背景に高齢化社会や、インターネットの通信販売の利用者増加、東京2020大会開催などがあることが想定されます。  本区の隣接区を含む求人数の推移を見てみると、2010年(平成22年)以降、増加傾向を示しており、2016年(平成28年)時点では有効求人倍率(新規学卒者及びパートタイム除く)が2.95倍となっています。本区における中小企業の業況DI調査(2017年(平成29年)1月-3月)では、経営上の問題点に関しても4期連続で「従業員の確保難」が1位となり、回答率も34.1%となっています。また、2位は「人件費の増加」となり、今後も東京2020大会に向け更に人手に関するニーズが高まってくることが想定され、これらの対策が必要となります。 (2)産業構造の変化に伴うサービス産業化、医療・福祉へのニーズの高まり  先進諸国の多くを始め、日本でもサービス産業化が進んでおり、2015年(平成27年)時点(「平成27年国勢調査」)で第1次産業〜第3次産業の就業者割合はそれぞれ4.0%、25.0%、71.0%となっており、雇用の多くを第3次産業に頼っている現状があります。  近年従業者が顕著に増加している産業は、医療・福祉であり、微増傾向にある産業は、情報通信業、不動産業、物品賃貸業、教育・学習支援業などとなっています。  本区における従業者数変化は、「経済センサス」の調査結果によると、楽天の移転に伴う情報通信業の増加や、医療・福祉の増加が特に顕著となっているほか、東京都と業種構成を比較すると相対的に教育・学習支援、医療・福祉等の分野の構成比が高くなっています。「平成28年度世田谷区高齢者ニーズ調査・介護保険実態調査」によると、かかりつけ医療機関が区内にいる区民が7割強と高く、区内医療機関に対する利用割合が高いことに加え、介護が必要になった場合に希望する居住として自宅を挙げた人が半数以上にのぼるなど、今後ますます自宅周辺地域の利便性やサービスの充実が求められます。 (3)第4次産業革命の進展  近年、IoT(Internet of Things)、ビックデータ、人工知能(AI)やロボットなどの新たな技術が急速に進展し、新たな商品やサービスが創出されつつあります。  例えば、人工知能では対話や自然言語処理、画像認識、ビックデータ解析などの分野で応用が進み、AIを活用した自動運転の試行実験や資産運用などが行われつつあります。IoTではものづくりや工場、介護等の現場業務の改革において、人やモノ、環境の動きをデータ化し、分析による改善や連携による自動化などの実現が可能となっています。また、ロボット分野では産業用ロボットによる従来人間によって行われていた労働の補助や代替が進むとともに、サービスロボットは災害対応やインフラ点検、施設警備、清掃、医療で活用され始めています。  これら第4次産業革命の進展は、生産、販売、消費等の経済活動に加え、健康、医療、公共サービス等の幅広い分野や、人々の働き方、ライフスタイルにも影響を与えることが想定されます。また、近年の労働力不足の補填、生産性向上など区内産業の課題解決の糸口となることも期待されます。   3.その他の社会トレンド (1)モノからコトへ、観光の多様化が進む  近年、日本では観光を国の成長戦略の柱と位置付け、ビザ緩和や訪日外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充、プロモーションなど様々な取組みを行ってきました。それらの成果により、2016年(平成28年)の訪日外国人旅行者数は、2,404万人となり、4年連続で過去最高を更新しています。  また近年の観光形態として、職場旅行などの団体旅行は減少しており、一方で家族や友人などの個人・小グループ旅行が増加しています。観光地においても、有名観光地を巡るだけでなく、個々人の興味関心に伴い、地域固有の歴史や文化、生活等を体験する形へ変わりつつあります。  なお、観光選択のきっかけとして、SNS等の情報発信が影響することも多くなっており、観光の多様化が進みつつあります。訪都外国人観光客が行った活動としては、「日本食を楽しむ」、「ショッピング」、「街歩き」が上位3項目を占めており、食文化やまちなか観光などへのニーズの高まりが見受けられます。(「平成27年度国外外国人旅行者行動特性調査(東京都)」)  本区では、来訪者と区民が交流し、まちの魅力をともに楽しむ「まちなか観光」をさらに進めるため、2013年(平成25年)に発足した「世田谷まちなか観光協議会」を、2016年(平成28年)に「世田谷まちなか観光交流協会」に進化させ、現在観光によるおもてなし事業を推進し、「まちなか観光」の情報を区内外に積極的に発信しています。  今後、東京2020大会開催に向けて、観光客の増加が見込まれる中、本区の魅力を広く発信し、継続的に人を呼び込むことが必要となります。 (2)シェアリング・エコノミーの台頭  近年、ICTの普及に伴い、個人が保有する遊休資産(自動車、衣服等)を、インターネットを介して他者に提供するシェアリング・エコノミーが普及しつつあります。具体的には車や駐車場をシェアする「シェアサービス」、衣服やモノなどを売買する「ネットフリーマーケット」などが挙げられます。法整備の関係もありますが、日本再興戦略や未来投資戦略にもシェアリング・エコノミーが記載されているなど、政府も力を入れて推進していることから、今後更にサービスが展開されていくことが想定されます。 分野 家事代行 サービス概要 家事等のスキルを、家事を依頼したい個人に仲介するサービス  事業者の例 ANYTIMES、タスカジ、家事代行ひろば 分野 子守り サービス概要 子守りを仲介するサービス                  事業者の例 AsMama、キッズライン 分野 スキル サービス概要 様々なスキル提供を個人に仲介するサービス          事業者の例 ココナラ、クラウドワークス 分野 空間シェア サービス概要会議室、空き店舗等を、利用を希望する個人に仲介するサービス 事業者の例 スペースマーケット、Spacee SHOPCOUNTER、スペースシェア 分野 駐車場シェア サービス概要 空き駐車場を、借りたい個人に仲介するサービス      事業者の例 トメレタ、SKYZ 分野 農地シェア  サービス概要 休耕地を、借りたい個人に仲介するサービス      事業者の例 シェア畑 分野 車の共同使用 サービス概要 車の共同使用を仲介するサービス          事業者の例 Cafore、Anyca 分野 車の相乗り  サービス概要 車の相乗りを仲介するサービス 事業者の例Notteco、Hitch me 分野 食事   サービス概要 自宅での料理体験を、旅行者等に仲介するサービス  事業者の例 TADAKU、キッチハイク 分野 外国人向けガイド サービス概要外国語での案内サービスを、外国人旅行者に仲介するサービス 事業者の例 Huber(TOMODACHI GUIDE)、Voyagin 出典:内閣官房IT総合戦略室「シェアリングエコノミーに関する検討経緯」 Ⅲ 世田谷区産業ビジョンの背景と全体イメージ  世田谷区は、住環境や交通の便が良く緑も多いなど、良好な住宅都市としての性格が強いといえます。各種統計調査の結果を見ても、区内に居住している様々な属性の人々に「世田谷のどこがよいか」を問いかけてみると、「環境が良く住みやすい」という回答が多く、多様性を尊重した成熟度の高い住宅都市という意味での世田谷区のブランドの強さがうかがえます。 そのため、今後10年間を見据えた世田谷の産業政策のあり方を考えていく際には、区民が充実した日々を送ることができ、安全・安心、快適な環境を享受できるように、産業が支えていくという視点が重要です。 【区民生活の視点から】 ①住み慣れたところで、充実した日々がおくれる活力あるまち ②安全・安心、快適で環境と調和したまち  次に、住宅都市としての特色を有する世田谷区においても、単に住む場所であるというだけではなく、仕事の場及び経済活動の場でもあることを意識し、地域を育む区内産業を支援していくことが重要です。経済活動の場としての産業を活性化していくためには、商業、工業、農業といった枠組みにとらわれず、サービス業、観光、福祉等の世田谷の特性を活かした産業や、世田谷区の基礎的な都市基盤を構築するためのインフラ整備に貢献する建設産業など多様な産業を育成することも必要です。また、職住近接を視野に入れた柔軟な働き方を整備し、区民生活の質を向上させる社会を作り上げていくことも必要な視点です。 【産業活性化の視点から】 ③人の生活を豊かにし、地域を育む産業 ④世田谷の特性を活かした多様な産業 ⑤働く人が活躍できる機会の創出  さらに、まちなかの魅力の効果的な発信や、交通の要衝でもある広域生活・文化拠点(三軒茶屋・下北沢・二子玉川)を中心とした商業・サービス業の振興などにより、さらなるまちの賑わいや潤いに満ちた生活を生み出すまちづくりを目指します。他方で、都市農業など世田谷のみどりの維持・保全に貢献し、良好な都市環境を生み出すことができる産業の育成・支援も重要です。その意味で、今後10年にわたって、人々の交流や賑わいの創出と環境にやさしく潤いに満ちた社会との調和が取れたまちづくりに区内産業が貢献していくという視点をもって産業振興を進めていきます。 【まちづくりの視点から】 ⑥世田谷の魅力が様々な交流を促し、さらなる賑わいを生み出すまち ⑦環境にやさしく、潤いに満ちた生活や事業ができるまち このように「区民生活」・「産業活性化」・「まちづくり」の3つの視点から今後10年間の世田谷区の産業政策を実効的に進めていくにあたっては、区民の産業に対するニーズ、社会全体及び区内の経済産業動向の変化、都市環境の中における産業の実態などを的確に把握していきます。 (図)世田谷区産業ビジョンの全体イメージ 新たな産業ビジョンのテーマ「区民・産業がつくる 世田谷の新たな価値と豊かさ」 現況と課題 世田谷産業を考える3つの視点 〔区民生活の視点から〕 家族構成、所得、買物、昼夜間人口、子育て・介護、生活・居住、安全・安心、他 〔産業活性化の視点から〕 主要産業、商業、工業、建設、サービス業、農業、観光、雇用・労働、他 〔まちづくりの視点から〕 人口、特定地域での開発、交通、3つの広域生活・文化拠点、土地利用、地域資源、他 7つのありたい姿 〔区民生活ビジョン〕 ①住み慣れたところで、充実した日々がおくれる活力あるまち ②安全・安心、快適で環境と調和したまち 〔産業活性化ビジョン〕 ③人の生活を豊かにし、地域を育む産業 ④世田谷の特性を活かした多様な産業 ⑤働く人が活躍できる機会の創出 〔世田谷のまちビジョン〕 ⑥世田谷の魅力が様々な交流を促し、さらなる賑わいを生み出すまち ⑦環境にやさしく、潤いに満ちた生活や事業ができるまち 1 世田谷産業の基盤づくり 2 世田谷人材の育成と活躍 3 豊か・安心・快適な区民生活創造 4 活力ある産業の育成と創造 5 人と事業所とまちが創る成熟都市せたがや Ⅳ メインテーマ テーマ:区民・産業がつくる 世田谷の新たな価値と豊かさ  世田谷区の特性である多様性を活かし、区民・産業が一体となって、世田谷独自の新たな共通価値を創造し、区民生活の充実、産業の活性化、成熟したまちづくりといった豊かな地域社会づくりに繋げるための指針として、新たな産業ビジョンのテーマを「区民・産業がつくる 世田谷の新たな価値と豊かさ」とします。  世田谷区の特性として、長く本区にお住まいの方、新たに移り住んで来た方、仕事や学校に通われている方、海外経験が豊富な方など、多彩な経験・能力を有する人材が、多様な価値観、ライフスタイルを持って区内で活動しているという点が挙げられます。  こうした現状認識を踏まえて、世田谷区の産業の将来のありたい姿として、多様かつ充実した人材が存在するといった世田谷の特長を活かして、区内産業が活性化していくとともに、区民それぞれが自己のライフスタイルにあった働き方を選択して活躍できるようになることを目指します。その上で、区民と産業が一体となって、多様性を尊重しながら世田谷独自の新たな価値の創造を実現していきます。  すなわち、量的な豊かさではなく区民生活の質的な充実を図るととともに、新たな産業の創造や成長を受け入れる柔軟な風土とそれぞれのライフスタイルに応じた働き方の推進など多彩な選択肢が存在している成熟都市の実現を目指しながら、新たな価値と豊かさをみんなで創造・共有し、安全・安心で充実した生活がおくれるまち「世田谷」を構築していきます。  上記のメインテーマは、世田谷産業の将来像を端的に表現するものであり、世田谷産業の新たな時代を切り開くキーワードとなるとともに、産業振興のみにとどまらず、区民生活を豊かにし、まち全体の魅力の向上にも繋がるフレーズです。 Ⅴ 7つのありたい姿 【区民生活の視点から】 1.住み慣れたところで、充実した日々がおくれる活力あるまち 2.安全・安心、快適で環境と調和したまち 【産業活性化の視点から】 3.人の生活を豊かにし、地域を育む産業 4.世田谷の特性を活かした多様な産業 5.働く人が活躍できる機会の創出 【まちづくりの視点から】 6.世田谷の魅力が様々な交流を促し、さらなる賑わいを生み出すまち 7.環境にやさしく、潤いに満ちた生活や事業ができるまち 【ありたい姿1】~区民生活の視点から~  住み慣れたところで、充実した日々がおくれる活力あるまち 【現状と課題】  区の人口は増加傾向にあるとともに、高齢化が進展し、2017年度(平成29年度)現在の区の高齢者数は18万人近くとなっています。さらに、2025年(平成37年)には団塊の世代が75歳を超え、10年後の2027年(平成39年)には20万人近くに達するとの人口推計もなされています。 その中で、世田谷区民の定住意向は、ここ10年以上にわたって8割を超えており、自然や街並みなど生活環境が良く、住みやすい「住宅都市」であることが本区の特徴となっています。そして、定住意向の強さは、高齢になった後もいつまでも住み慣れたところで、充実した日々を送りたいという願望につながります。  定住意向の強い高齢者を中心とした地域住民を、地域の商店街が日常生活の拠点として支えてきましたが、インターネット取引の発展やコンビニなど利便性の高いチェーン店舗の興隆などにより、若者の商店離れが進むとともに、高齢者も買物に行くことができなくなる等、地域住民の商店街への足が徐々に遠のきつつあります。 また、区内には駅や商店街から離隔があり、かつ、交通・インフラ整備が進んでいないなどの理由により、高齢者を中心として買物に不便を生じている地域が一部存在しています。  商店街の中に目を向けると、商店街への加入者が減少傾向であるとともに、空き店舗も目立つようになっています。  商店街は、地域住民の毎日の買物の場所として存在するだけではなく、認知症の方の見守りや消費者被害防止など区民の日常生活全般を支える公共的役割を果たしているといえます。   今後とも商店街の活力を維持・増進していくためには、魅力的な個店の創出や中心となる若手リーダーの育成により、商店街の魅力をブラッシュアップし、利便性の高い商店街を作っていくことが課題です。 【将来像】 高齢者や子育て世代等、区内に住むすべての方が、住み慣れた地域で充実した活力ある日常生活を送ることができる社会 【実現に向けて】 ★商店街の公共的役割のさらなる深化 ★商店街の魅力向上による地域産業の活性化と地域ネットワークの強化 ★若手リーダー等地域人材の育成と支援体制の構築  【取組みの方向性】 ◎商店街周辺の事業者が一体となって地域の活性化に取り組みます。  ◎子育て支援や高齢者の買物支援といった社会課題の解決のために、商店街と民間事業者・地域活動団体等との連携の取組みを進める等、商店街の公共的役割をさらに深化させます。 ◎区民にとって商店街が身近な存在となるよう、商店街を構成する個店の魅力を効果的に発信する取組みを進めていきます。  ◎高齢者や子育て世代をはじめとする消費者側が担い手となる商店街振興の取組みを実施するなど、地域住民の参加を促す「仕組み」を構築していきます。  ◎地域の活性化に向けて若手リーダーを育成し、創業・起業や人材育成などを促進するとともに、それを支える組織体制の構築を行っていきます 【ありたい姿2】~区民生活の視点から~ 安全・安心、快適で環境と調和したまち 【現況と課題】  ここ10年程度の間、区民要望の高い事業としては、「災害に強いまちづくり」、「高齢者福祉の充実」、「防犯・地域安全の対策」など区民生活の安全・安心に関わるものが上位を占めます。  東日本大震災を経験して、区民の安全・安心という意味では、公助だけでなく自助や共助の重要性についても意識されるようになりました。商店街の自主的な取組みとして、街路灯の敷設、防犯カメラの設置、AEDの設置などが進んでいることも自助・共助の取組みの例であり、防犯・防災対策を通じて商店街が区民の日常生活を支える公共的役割を果たしてきました。  また、建設事業者をはじめとする地元の事業者も、地域貢献活動としての防災訓練への参加や、災害発生時の道路等の復旧事業への協力等を内容とする協定の締結などを通じて、自助・共助による地域の安心・安全の維持に大きな役割を果たしています。 他方で、区と商店街が連携して高齢者の見守り活動を行っていますが、高齢者の消費者トラブルは、本人以外の周囲の人から相談が寄せられることも多く、本人が契約内容を十分に理解していないのに、事業者の勧められるまま高額の契約をした、同じ事業者から次々に契約をさせられたなどのケースもあり、消費生活の安全・安心の取組みについては、更に充実していく必要があります。 安全・安心な生活に加えて快適な生活環境の維持も区民要望が高い事項です。快適な生活環境を維持するための指標の一つとして、みどり環境の充実が挙げられます。そして、我々の身の回りに存在するみどりの創出・保全に農地が重要な役割を果たしていますが、その認知度や関心度は低いことが課題となっています。 【将来像】  災害に強く、犯罪の少ない環境とみどりの保全による良好な住環境とを、区民がともに持続的に享受できる社会 【実現に向けて】 ★産業の横断的な連携による防災、防犯、豊かな消費生活のための取組みの推進 ★都市農業の振興によるみどり豊かな区民生活の持続的発展 【取組みの方向性】 ◎街路灯、AED、スタンドパイプの設置など商店街の公共的役割の維持・発展に取り組んでいきます。 ◎建設業が、世田谷区の都市基盤を整備・維持する役割を果たすと同時に、災害等緊急時には緊急対応、復旧・復興対応を中心的に担うことを想定し、これを重要な都市産業と位置づけ、地域内循環による振興を図るとともに、公共事業の活用による区内事業者の育成などに取り組みます。 ◎消費者団体や商店街、あんしんすこやかセンター、警察などと連携することにより高齢者 の消費者被害を未然に防止していきます。 ◎区民から顔が見えるところで耕作が行われ、新鮮な農産物を提供するという地産地消の推進や、区民が農業を体験できる機会の拡大などに取り組むとともに、区内農地を災害時の避難場所や復興事業の拠点として活用していきます。 ◎観光農園等の区内における消費喚起につながる事業や農産物の生産から製造・販売、サービスの提供までを一体として行う農業の6次産業化などに取り組んでいきます。 【ありたい姿3】~産業活性化の視点から~ 人の生活を豊かにし、地域を育む産業 【現況と課題】 ここ10年間において、区内産業全体の中ではサービス業が年々増加傾向にあり、その中でも「情報通信業」と「医療、福祉」が大きく伸びています。 「情報通信業」に関しては、ICTの発展を要因として挙げることができ、「医療、福祉」については、区民の保育需要の高まりに伴う保育待機児対策としての保育園の増加や要介護認定者の増加による介護保険サービスの需要の高まりに伴う介護事業者の増加などが起因していると考えられます。また、今後、高齢化の進展により自宅で過ごす高齢者向けの宅配サービスなどが増加し、それを支える物流産業等に従事する人材がますます求められることも想定されます。 このように各種サービス産業関連事業者が増加し、それに従事する従業員数が大きく伸びる中、区民生活を支えるサービス産業を支える人材の育成は必要不可欠です。 一方で、世田谷区内産業のここ10年程度の状況を見ると、製造業の事業者数は減少しています。従来から区内には、技能五輪国際大会で金メダルを受賞した造園技術など、優れた技能を有するものづくり事業者が多く存在し、区民の生活を様々な側面から支えてきました。しかし、近年のものづくり事業を取り巻く環境は、若年者の労働人口の減少に伴う人材や後継者の不足、国内市場の縮小や準工業地域における住宅化の進展などにより厳しさを増しています。 こうした状況の中、区内産業の競争力を高め、労働人口の減少を補うためには、AI(人工知能)やロボット、IoT(モノのインターネット)といった高度化した産業技術を活用し、生産性の向上や技術革新を進めていくことが必要です。その上で、人が担ってきた仕事をIoTを活用したサービスに置き換えていくなど従来の労働形態とは異なる新しい働き方の創出と、新しい価値を生み出していける人材の育成を進めることが必要です。  全体として、世田谷区の産業構成は、住宅都市としての区民の日常生活を支えるサービス産業の比率が高い一方で、伝統的なものづくり産業などは減少傾向にあります。そのような状況の中で、いずれも都市の価値を高め、地域において区民生活を支える産業として、ともに維持・発展させていくための仕組みづくりが課題となります。 【将来像】 新たなサービス産業と、AIやロボット、IoTなど最新の産業技術の活用により生産性を向上させた地域のものづくり産業が、区民生活の利便性を高めて地域の活力を生み出していく社会 【実現に向けて】 ★区民生活を支える産業の充実と、地域と産業の共生の実現 ★社会環境の変化に対応した、新しい産業技術の活用とそれに対応する人材の育成 【取組みの方向性】  ◎区内産業に携わる人材と事業者とのマッチングや、定着支援事業、相談事業などを実施していきます。  ◎高齢者の増加に伴い、高齢者の自宅での生活を充実させる住宅サービス、利便性の高い宅配サービスなど生活関連産業の成長を促進していきます。  ◎保育サービス、介護サービスや教育・学習支援サービスなど地域生活を支える産業の充実を図っていきます。  ◎ものづくりに対する住民理解、人材育成、技術の承継を含め、環境を整えていくとともに、居住環境と操業環境が調和した住工共生のまちづくりを継続的に進めます。  ◎区内産業全体の生産力の向上や付加価値の拡大、労働力不足の解消を実現するために、AIやロボット、IoTなど新たな産業技術の活用及び産業の振興を促進します。  ◎区内産業全体の経営支援と事業承継を強化するため、実態に即した経営アドバイスを行うといった積極的かつ能動的な経営支援策に、区、関係団体、専門家などが連携して一体となって取り組んでいきます。 【ありたい姿4】~産業活性化の視点から~ 世田谷の特性を活かした多様な産業 【現況と課題】 世田谷区は世帯あたりの所得額が約506万円と23区で7番目に高く、用途地域の90%以上が住居地域であるなど、「豊かな住宅都市」という性格を有し、世間一般的にもそのようなイメージが強いといえます。 また、本区は、民間の住みたい街ランキングなどで上位に位置付けられており、良好な住環境と、暮らしの快適さ、そして二子玉川や三軒茶屋、下北沢、成城学園前などの人気の高い街が点在していることなどから、様々な世帯層から人気の高い都市になっています。 このように暮らしやすい住宅都市としての側面が強く表れている世田谷区の産業の特性としては、都心とは異なり、大手の事業所が少なく、食料品や理・美容、クリーニングなど、日々の生活を支える業種をはじめとする卸売業・小売業及び飲食・生活関連サービス業が区内事業所全体の約50%(平成26年7月現在)を占めています。  近年は二子玉川に大規模な情報通信事業者の本社が移転するなど、情報通信業が増えるとともに介護事業所、保育関連施設等医療・福祉関連の事業所が増加しています。  さらに、区内では500団体を超えるNPOなど様々な団体が精力的に地域活動を行っており、その中で近年徐々に注目を浴びているのが、ビジネスの視点から地域課題の解決を目指すソーシャルビジネスの取組みです これに対して、東京2020大会に向けて需要が高まる宿泊業については、一般の方々が利用することができる宿泊施設は現在12施設にとどまり、観光客を受け入れるには十分とはいえません。そのため、今後住宅宿泊事業法の施行をきっかけに、制度の整備が進むことが想定される、いわゆる民泊事業の活用が重要な課題となると捉えています。  世田谷の特性は多様な区民ニーズと多彩な経験・能力を有する人材の豊富さにあります。区民の多様なニーズに応えるべく、豊富な地域人材を活用しながら、多様な産業を育成していくことが大きな課題です。 【将来像】 地域密着型の産業が、産学金公連携の仕組みや区内の様々な人材を活用しながら、区内においてソーシャルビジネスや地域ビジネスを創出するともに、高度な産業技術の活用などにより海外等でグローバルに活躍することも可能な社会 【実現に向けて】 ★産学金公の連携による、既存産業の維持・向上と新たな技術の活用促進 ★多様性を活かした新たな産業の育成と地域課題解決に向けた事業の支援 【取組みの方向性】 ◎金融機関や大学、産業団体等と連携して産業技術の開発、創業や事業承継の支援の強化など様々な産業施策を実施していきます。 ◎情報通信産業を中心として、新たな事業領域を開拓し、急成長を遂げるスタートアップ企業の創業支援・誘致などにより、世田谷発の新たなビジネスモデルの開発とそれを担う事業者の育成を推進します。 ◎事業者の社会的責任を認識し、様々な社会のニーズを価値創造や市場創造に結びつけるCSR活動を育てていきます。 ◎区内の様々な団体や人材をソーシャルビジネス・地域ビジネス等に結び付け、継続的な活動を促進し、全国へ発信していきます。 ◎小額の資金で起業することができ、テレワークなど柔軟な働き方を選択することが可能なマイクロビジネスの活用を進めていきます。 ◎国内や海外の消費者に向けた販路拡大につなげていくことも視野に入れ、電子商取引(EC)など市場規模の拡大を続けている事業について区内事業者の取組みを積極的に推進していきます。 ◎在留外国人や留学生、海外生活経験者など国際色豊かな多様な人材を、観光をはじめとする区内の様々な産業分野において活用することで、社会全体における経済のグローバル化と産業構造の変革への対応を進めていきます。 【ありたい姿5】~産業活性化の視点から~ 働く人が活躍できる機会の創出 【現況と課題】  2018年(平成30年)1月の労働力調査では、全国の完全失業者数は159万人であり、92ヶ月連続で減少するなど景気の緩やかな回復とともに、全体として雇用環境が改善されている状況です。そして、世田谷区、渋谷区、目黒区を管轄とする渋谷公共職業安定所の有効求人数及び有効求人倍率は、2010年度(平成22年度)以降増加傾向を示しており、2016年度(平成28年度)時点では有効求人倍率が3.55倍となっています。  もっとも、全体として雇用が回復傾向にある中で、前記労働力調査によれば、若年者の完全失業率は全年齢平均と比較して依然として高く、少子化で若手人材が不足している現状も勘案すると、若年者の雇用に関しては大きなミスマッチが生まれていると考えられます。  特に、女性の活躍推進が強く求められるとともに、高齢化の進展、子育て家庭のニーズの多様化、東京2020大会に向けた建設需要の増加など様々な社会状況の変化が生じている中で、「医療・福祉」、「建設」などの業種における経営上の課題として、人材不足が生じています。 このような保育・介護など社会福祉の専門職や建築・土木技術職などの人材不足の局面を打開するために、中小企業をはじめとする区内企業は、時代をリードした人材確保の取組みにチャレンジしていく必要があります。 一方で、働く意欲があるにも関わらず、自分のライフスタイルにあった働き方で働くことができないという働き方のミスマッチも生じています。たとえば、子育てや介護をしている方は、それを契機に会社を辞めたり、自分の能力を活かした事業を始めたくても資金不足や適当な場所がない等の理由で就業をあきらめている方も少なくありません。 このように就職機会に恵まれない女性、若者、高齢者などに対する就労支援総合窓口の充実を図るとともに、区内事業所等の雇用を支援するための総合的サ-ビス拠点として、2013年(平成25年)10月から「三軒茶屋就労支援センター(三茶おしごとカフェ)」を開設しました。今後、三軒茶屋就労支援センターを中心として、自己の個性や能力を十分に発揮することができる働き方や職場環境の整備をしていくことが大きな課題となっています。 【将来像】  働く人それぞれのキャリア、ライフスタイルなどにあわせた働き方を選択することにより、各人の個性や能力を存分に発揮することができる社会 【実現に向けて】 ★就業マッチングの実現や多様な働き方による新たな価値を創出する人材の育成 ★自己の個性や能力を活かす働き方を選択でき、働き続けられる環境づくり 【取組みの方向性】 ◎一般就労のほか、女性、若者、高齢者、障害者等にカウンセリング相談や職業紹介、就労支援セミナーを実施するなどの就労支援策を統合し、区内で就労が可能となるよう就労環境の整備を進めていきます。 ◎保育事業や介護事業などの福祉型産業や建設業など雇用のミスマッチが大きい業種を中心として、人材の確保に取り組んでいきます。 ◎行政機関だけではなく、産業団体、大学、金融機関をはじめとした創業支援事業者などの関係機関との連携を強化しながら、各機関の強みを生かした質の高い創業支援活動を行っていきます。 ◎個々人のライフスタイルにあった多様な働き方を選択できる社会環境を整備するために、企業と連携したテレワークの推進、託児付ワークスペース、創業支援を目的としたコ・ワーキングスペース、インキュベーション施設等の整備など様々な働く環境の整備に積極的に取り組みます。 ◎仕事以外の余暇の時間を最大限に生み出すことで、個々人の仕事と生活の調和を高い次元で実現するとともに、区民がコミュニティ活動に参加する時間を創出することも目的として職住近接の取組みを進めていきます。 【ありたい姿6】~まちづくりの視点から~ 世田谷の魅力が様々な交流を促し、さらなる賑わいを生み出すまち 【現況と課題】  わが国は人口減少社会に突入しており、地方においては地域経済の衰退と人口減少に歯止めをかけるべく、地方の自治体を中心として、観光事業やシティプロモーションの取組みが活発化しています。また、全国的に訪日外国人観光客が著しい増加傾向にあり、2016年(平成28年)には初めて2,000万人を越え、2,400万人に達することとなりました。 一方、世田谷区では人口が90万人を超え、現在も人口が増加傾向にあります。2017年(平成29年)の世田谷区将来人口推計によれば、世田谷区の総人口は一貫して増加を続け、2042年(平成54年)には108万人を超えるとされています。  世田谷区においても、近年シティプロモーションや観光事業に係る取組みに力を入れています。世田谷の魅力は、自然や文化、歴史など区民が日常生活の中で親しみ、守ってきたものにあります。外国人観光客の消費動向が、買い物に代表される「モノ消費」から日本の自然や歴史、文化等を体験する「コト消費」に変化している中、こうした世田谷の魅力をつなぎ合わせて巡る「まちなか観光」を推進していくことは、付加価値の高い観光につながるものとして、ますます重要となっています。さらには、東京2020大会の開催を契機として国内外から多くの観光客の来訪が見込まれる中、効果的な観光事業の展開により、インバウンドをはじめ数多くの誘客を図っていくことが課題となっています。 また、世田谷区は都内をはじめとする他の市区町村から見ると一定程度のブランド力があると評価されており、それが区外から人を呼び込む1つの要因となっています。  世田谷のブランド力は、豊かな自然、歴史的な趣のある文化財、活力ある大学、創造性溢れる文化施設、賑わい溢れる商店街等が有機的に結合することにより形成されています。そして、世田谷のブランド力を広める手段として、世田谷のブランドの発信を目的に2014年(平成26年)から導入された「世田谷ナンバー」、区内の名産品を指定している「世田谷みやげ」、区内産農産物を象徴する「せたがやそだち」などに関連した様々な取組みを実施してきました。「世田谷ナンバー」は交通事故の減少など区民の交通安全の意識の向上も目的としています。 そのような世田谷のブランド力をさらに洗練させるとともに、効果的な発信手法を組み合わせていくことで、区外の方々にも世田谷への愛着を感じてもらい、人々の交流を活発化させ、賑わいのあるまちを創出することが重要な課題です。 【将来像】  世田谷の魅力やブランド力が広く浸透し、世田谷区を拠点として国内外の様々な人や地域との交流を促進することで、多様な魅力と賑わいが次々と生み出されていく社会 【実現に向けて】 ★人々の交流と体験を生み出すまちなか観光の推進 ★地域資源の活用と効果的な情報発信による、持続的な産業振興に向けた取組みの促進 【取組みの方向性】 ◎観光客が区内の自然や歴史・文化に触れたり、区民の日常生活そのものを体験することができる魅力的な観光事業を地域団体や区内の宿泊施設など様々な地域資源を活用しながら推進することにより、観光客と区民との交流を生み出すまちなか観光の拡充を図ります。 ◎東京2020大会を契機として外国人観光客が増加する中、語学力を持った区内人材の活用や外国の言語や文化に対応したおもてなしの取組みの推進など、インバウンドに対する受入環境整備を促進し、国際交流の視点を取り入れた観光事業に取り組みます。 ◎区外からの来訪者を増加させ、区内消費を喚起することで、経済波及効果を高めることを目的として、区、産業振興公社及び「世田谷まちなか観光交流協会」を中心とした民間事業者や地域の団体等が緊密に連携し、幅広い分野の事業者や団体の知恵、ノウハウなどを最大限に活用しながら、効果的な情報発信や戦略的な事業展開を進めていきます。 ◎世田谷のブランド力を高め、国内外にその魅力を広く発信するために、図柄入りナンバープレートの導入や普及、プロモーションビデオ活用など、区の魅力のプロモーションを強化する取組みを推進していきます。 【ありたい姿7】~まちづくりの視点から~  環境にやさしく、潤いに満ちた生活や事業ができるまち 【現況と課題】  世田谷区における農地は、農業生産という本来の目的に加え、環境、防災、子どもへの学習など様々な面から大きな役割を果たしています。区は、都市農業の重要性の啓発に努めるとともに、都市農業の保全に向けた法律や税制の整備を他区市と連携して国に強く求めてきました。しかし、農地面積は減少傾向にあります。さらに、生産緑地地区の指定を受けた土地の多くは、指定後30年を迎える2022年(平成34年)には宅地化の対象となります。このような状況を踏まえて、都市農地の新たな活用方法を検討することが大きな課題となります。 環境にやさしいまちづくりの観点からは、「みどり33」の取組み、建物や住まいづくりにおける環境への配慮、環境への負荷が少ないライフスタイルや事業活動も重要です。東日本大震災を契機として環境・エネルギーへの意識が高まり、省エネルギーや再生可能エネルギー活用の重要性が増している中、LED照明や次世代自動車(電気、燃料電池等)など、環境に関連する新たな技術の進展や普及拡大を踏まえ、産業面での展開を図っていくことが必要です。  潤いに満ちた生活や事業の実現という点では、世田谷区内の商業業務機能及び文化情報発信機能が集積し、世田谷区を超えた広域的な交流の場としての「広域生活・文化拠点」と位置付けられる三軒茶屋・下北沢・二子玉川が拠点となっています。  三軒茶屋・下北沢は、起業・創業等の取組みにより新たな産業が生まれ育つ区内の賑わいの拠点として機能し、二子玉川は、二期にわたる再開発事業等を経て、ICT関連企業などが拠点を置く大型オフィスビルが建設されるなど、各地域が人や産業の一大集積地となっています。  このような「広域生活・文化拠点」における賑わいを区内全域に広げ、都市の成熟化を進めるとともに、充実した区民生活の実現と区内産業の振興につなげていくことが課題です。  また、女性、若者、高齢者、障害者など誰もが潤いに満ちた生活を送り、区内で元気に働くためには、区内事業所において柔軟かつ多様な働き方を推進することや、職住近接により新たな時間を生み出し、自分のライフスタイルを確立することやコミュニティ活動に参加しやすくすることも新たな価値と捉えています。 【将来像】  みどり豊かで良好な生活環境を有する住宅地域と活気に溢れた産業集積地域とが調和した環境において、誰もが潤いに満ちた生活を送り、区内で元気に働くことができる社会 【実現に向けて】 ★農地の保全や再生可能エネルギーの活用などを通じた良好な都市環境の構築 ★職住近接の推進とまちの活性化による、仕事と生活の調和がとれたまちづくり 【取組みの方向性】 ◎みどり環境の維持・向上を目的として、国や都の動きを視野に入れながら、学校教育や福祉事業との連携による農業公園の活用、生産緑地の宅地化の問題が顕在化する2022年度(平成34年度)を見据えて、国の法改正や税制改正を踏まえ、生産緑地の貸借制度の運用など農地の保全策を進めていきます。 ◎環境にやさしい生活や事業活動を進める観点から、住まいや建物の省エネルギー化、再生可能エネルギーの普及拡大、LED照明や次世代自動車(電気、燃料電池等)の普及、水素エネルギー等の次世代エネルギーの利活用などに関連する産業の振興に向けて、国や都、他自治体、産業関係団体など幅広い連携を図りながら、区内事業者の活用を進めていきます。 ◎「広域生活・文化拠点」などを中心とした新たな産業の育成や起業・創業機能の充実・強化、AIやIoT、ロボットなど今後社会的ニーズが高まることが想定される新たな産業技術を活用したICT関連産業の誘致などに取り組みます。 ◎地球環境や経済活動、人々の暮らしなどを持続可能とすることを目的として、2015年(平成27年)の国連総会において採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の考え方も取り入れながら、事業者の環境配慮行動の促進、節度ある消費行動(エシカル消費)に関する普及・啓発活動等を通じた消費者市民社会の実現などに取り組みます。 Ⅵ 施策の体系 大分類 〔課題軸〕 1 世田谷産業の基盤づくり 2 世田谷人材の育成と活躍 3 豊か・安心・快適な区民生活創造 4 活力ある産業の育成と創造 5 人と事業所とまちが創る成熟都市せたがや 中分類〔テーマ軸〕 商業・サービス ものづくり・建設 農業・農地 まちなか観光 消費生活 個別施策 ①産業創造基盤 ②雇用・労働環境の充実 ③世田谷人材の育成と活躍促進 ④区民生活や地域環境を支え高める商店街振興 ⑤地域や生活に身近なものづくりの産業 ⑥区民とともにつくる世田谷農業 ⑦区民が見つけ楽しむ世田谷観光 ⑧安全・安心な消費環境づくり ⑨世田谷生活に活力を与える生活関連産業の育成 ⑩ものづくり技術を活かした産業の推進 ⑪世田谷の特性を活かした農業力の強化 ⑫まちなか観光が生み出す産業の活性化 ⑬事業者と消費者がつくる豊かな消費生活 ⑭潤いと活力に満ちた地域づくり ⑮建設産業などが支える家・まち・都市の充実・発展 ⑯農のある都市環境の維持・形成 ⑰世田谷観光プロモーションの強化 ⑱消費者市民社会の実現 1.「世田谷産業の基盤づくり」・①産業創造基盤 【施策体系とその概要】 ①産業創造基盤 ⅰ.起業・創業支援  地域経済に活力をもたらすためには、地域産業の新たな担い手を創出する起業・創業の役割が重要です。国等と連携して起業しやすい環境を整備するとともに、女性、若者、高齢者など幅広い層による起業を促進する取組みを進めます。また、ビジネスの視点で地域課題や社会的課題を解決するソーシャルビジネスや少額の費用で起業を可能にするマイクロビジネスなど、多種多様な事業が新たに生まれる取組みを推進します。 ⅱ.経営の安定化・活性化  経営環境が大きく変化し、競争が激化する中、資金繰りや販路拡大をはじめ、事業再生や事業承継など区内中小事業者が抱える経営課題は多岐にわたっており、豊富な経験や知識を有する経営支援コーディネーターによる専門的な支援等を通じて、区内産業基盤の安定化と経営力強化につなげていきます。また、区内産業の活性化・高度化に向け、知的財産取得に対する支援等、区内産業のさらなる発展につながる取組みを推進していきます。 ⅲ.産学金公検討・連携体制の構築と推進  国内市場の縮小化や経済のグローバル化により、区内企業には産業競争力のさらなる向上が求められています。区内大学が持つ優れた人材や知的・物的資源と金融機関等が持つ様々な経営支援ノウハウや企業間ネットワークを相互に活用できる連携体制をさらに広げ、質の高い経営支援に取り組むとともに、区内産業の新たな担い手を育成する取組みを推進します。 ⅳ.地元金融機関等との連携  区内では、地元金融機関をはじめ産業支援団体など地域産業を支える多様な支援機関が存在します。こうした支援機関との連携をさらに強化することにより、各支援機関の強みを生かした支援を促進し、起業・創業支援や経営支援のほか、事業承継やソーシャルビジネスに係る支援などの分野において効果的な支援を行うことができるよう取り組んでいきます。 ⅴ.産業情報の効果的な発信と連携  区内産業のさらなる発展に向け、ビジネスマッチングや異業種交流会など世田谷の産業をPRする取組みを推進することにより、区内企業の販路開拓や新たなビジネスモデルの開発等につなげます。また、観光事業と連携して区内産業の魅力を発信することにより、誘客を促進し、地域経済の活性化を図ります。 Column「せたがや産業フェスタ」  せたがや産業フェスタは、区内産業団体の青年層が、区や産業振興公社と連携しながら、商業・工業・農業をはじめとした区内産業から生まれる有形無形財産を「世田谷ブランド」として確立し、認知・理解を促進する機会として開催されています。 世田谷にゆかりのあるお店自慢の逸品を指定した「世田谷みやげ」や区内産の農産物「せたがやそだち」の販売、区内のものづくりを身近に感じてもらう体験教室の開催のほか、世田谷の商業・工業・農業によるコラボ商品の販売など、区内産業への関心を高め、新しい発見や体験の場を創出する多彩な取組みを展開することで、区民をはじめ多くの人々に世田谷の産業を発信しています。 2.「世田谷人材の育成と活躍」・②雇用・労働環境の充実 【施策体系とその概要】 ②雇用・労働環境の充実 ⅰ.ライフスタイルに応じた働き方ができる環境づくり  働く意欲のある誰もが、自分にあった働き方で働けるようにするには、企業は多様な人材に対応した職場環境の整備等が、また求職者はキャリアチェンジも視野に入れて自身の能力を最大限に発揮できることが重要です。仕事(職種)や働き方等のミスマッチの解消のため、三軒茶屋就労支援センターを拠点とし、就職のあっせんや相談はもとより、ハローワーク等の関係機関や世田谷若者総合支援センターとも連携をとりながら、求職者のキャリアチェンジや企業の環境整備を意識したセミナーや面接会等を実施し、雇用のミスマッチの解消に取り組んでいきます。 ⅱ.ワーク・ライフ・バランスの推進   仕事を通して働きがいを見つけ、心身ともに充実させることが、生活の安定に繋がっていきます。また、住んでいる近くで働くことができれば、顔と顔の見える関係の中で仕事と生活の調和が可能になります。とりわけ、子育てや介護をしている世代の働き方改革を進めることで、地域での活動を活発化し,子育ても介護も地域で共有できる可能性を広げていきます。そのために新たな就労形態等の拡大と環境整備を促進していきます。 ⅲ.世田谷の特性を活かした産業への就労機会拡大   景気の好況に関わらず、学校を卒業した後も特定の職に就かない若者が一定数存在しているため、セミナーや就労体験を通して働くことの魅力を発信するなど就労支援を行い、就職意欲を高めます。また、働く意欲があるにも関わらず、育児や介護、体力等でフルタイム等既存の労働条件・労働環境では働けない女性・高齢者などが存在するため、関係各課や関係機関等と連携しながら、女性や高齢者が能力を発揮し、活躍できる仕組みとして、多様な働き方が可能な職場環境の充実を事業者側に促し、雇用のミスマッチ解消を進めます。さらに、障害者雇用促進プログラムにより、企業の障害者雇用を進めます。 ⅳ.女性・若者・高齢者・障害者の雇用拡大に向けた支援  景気の好況に関わらず、学校を卒業した後も特定の職に就かない若者が一定数存在しているため、セミナーや就労体験を通して働くことの魅力を発信するなど就労支援を行い、就職意欲を高めます。また、働く意欲があるにも関わらず、育児や介護、体力等でフルタイム等既存の労働条件・労働環境では働けない女性・高齢者などが存在するため、関係各課や関係機関等と連携しながら、女性や高齢者が能力を発揮し、活躍できる仕組みとして、多様な働き方が可能な職場環境の充実を事業者側に促し、雇用のミスマッチ解消を進めます。さらに、障害者雇用促進プログラムにより、企業の障害者雇用を進めます。 ⅴ.勤労者福祉機能等の向上  中小企業の福利厚生の充実などのほか、事業者の健康づくりの取組みへの支援などにより、事業者の健康経営に対する意識の向上を促していきます。また、メンタルヘルス対策の拡充、セクハラ・パワハラの防止・多様な働き方等に係る労働相談などの取組みを通じて、勤労者福祉機能等の向上を図ります。 Column「子どもの近くで働くことができるワークスペース」  子育て等と仕事を両立し多様な働き方を選べるようにするなど、「働き方改革」が社会全体に求められている。しかしながら、現状では、保育施設に子どもを預けてフルタイムで働くか、働かずに在宅で子育てをするかの「0か10」の選択をせまられる状況にある。また、短時間勤務や在宅勤務なども導入され始めているが、区内企業においては制度が整っていない事業所も多い。  区民や区内企業等で働く人の働き方改革が進むよう環境整備を進め、働き続けたい方や働きたい方を増やし、特に人材不足が顕著な区内企業の従業員の離職防止と新たな雇用の創出につなげていくことが求められている。  区では、ワークスペースと利用者の子どもを預かる機能を併せ持った「子どもの近くで働くことができるワークスペース補助事業」をモデル実施する。 2.「世田谷人材の育成と活躍」・③世田谷人材の育成と活躍促進 【施策体系とその概要】 ③世田谷人材の育成と活躍促進 ⅰ.産業に係る専門力・技術力の向上  今後より一層人材獲得が難しくなる若年者を中心に、世田谷の産業の特性にあわせた人材確保を進めます。また、新たなビジネスモデルや新製品の開発への支援のほか、知的財産権取得に向けた支援を推進し、区内企業の専門性や技術力の向上につなげます。 ⅱ.産業を支える若手・中堅人材・後継者の育成   ウェブによる区内企業の魅力発信のほか、インターンや求職者が実際に仕事を体験したり、現場を見たりすることで、入社後の仕事を理解させ、イメージの相違による離職率を低下させます。また、上司と部下の認識の相違の解消や働きがいの認識の共有など社内のコミュニケーションを高めて社員の定着率を向上させます。そして、このような取組みにより中核となる人材の育成・活躍を進めます。 ⅲ.地域人材・NPOの育成と活動機会の創出   社会的課題や地域課題の解決に取り組むNPOが、ビジネスの視点を取り入れてその活動を持続的なものにできるよう、ソーシャルビジネスの支援に取り組んでいきます。また、高齢者の長年の知識や経験を活かした生きがい就業への支援や小額の資金での起業を可能にするマイクロビジネスへの支援を推進するなど、地域に存在する活力ある人材の活躍機会を創出します。 3.「豊か・安心・快適な区民生活創造」・④区民生活や地域環境を支え高める商店街振興 【施策体系とその概要】 ④区民生活や地域環境を支え高める商店街振興 ⅰ.地域特性を活かした魅力を生み出す商店街の形成  各商店街を形成する既存の個店の魅力の掘り起こしや、その魅力を地域の消費者に周知する機会の充実などにより、商店街を中心とした地域の賑わいの創出と、地域全体の活性化に繋げていきます。また、空き店舗への新規店舗の誘致などにより、商店街を形成する事業者が一体となって、地域に根差した魅力ある商店街の充実・発展を推進します。 ⅱ. 「まちの力」の参加促進  消費者や子育て世帯など、商店街のサポーターになる地域人材を活用するとともに、地域の町会自治会やNPOなどと協働してイベント等の商店街事業を実施するなど「まちの力」の参加を促します。また、地域の小・中学校や高校・大学との連携を促進するなど、地域住民全体の参加によるまちづくりを促進します。 ⅲ.商店街のマネジメント機能の育成   産業活性化アドバイザーの活用などによる商店会の維持・活性化に向けた支援と、商店街を戦略的に牽引するリーダーの育成、商店街への加入促進・商店街の組織力強化などの取組みを総合的に組み合わせることにより、全体として商店街のマネジメント機能を育成していきます。 ⅳ.商店街が担う公共的役割への支援  AED・防犯カメラ・スタンドパイプの設置・維持管理補助の継続、買い物弱者支援など、地域の安全・安心のための取組みを進めます。また、Wi-Fiの整備など観光情報ニーズへの対応といった取組みにより、地域における公共的役割を果たす拠点として商店街の機能の充実を進めていきます。 3.「豊か・安心・快適な区民生活創造」・⑤地域や生活に身近なものづくりの産業 【施策体系とその概要】 ⑤地域や生活に身近なものづくりの産業 ⅰ.住工共生まちづくりの推進  区内準工業地域において、居住環境と操業環境が調和した「住工共生まちづくり」を進めていきます。また、準工業地域内では、今後もまちの様相が変化していくことが予想され、中長期的には住民へのPRと意見聴取を踏まえ、まちづくりのあり方を総合的に検討していきます。 ⅱ.環境・エネルギーに係る取組み推進  地球温暖化など、環境問題が深刻化する中、環境負荷を抑えたライフスタイルが求められており、企業の環境問題に対する理解や意識の向上も一層求められています。環境負荷の軽減に向けた事業者の意識啓発を進めるとともに、事業所における環境配慮の促進や省エネルギー化等を進めていきます。 ⅲ.準工業地域の維持・保全   区内のものづくり企業が、良好な居住環境と操業環境を確保できるよう、区内での立地継続を支援するとともに、区内産業の活性化を図ります。また、準工業地域を中心として限られた工業用地の保全を図ります。 ⅳ.住宅・建築産業などの支援による住生活の価値向上   住宅都市世田谷の魅力の維持・向上を図っていくためには、区民の暮らしを支える産業の一つとして、地域の住宅関連産業の健全な発展や住宅の質の維持向上が必要です。環境配慮型住宅の普及促進や住宅の耐震化、不燃化を促進するなど住宅・建築産業の人材確保・事業承継等に対する支援を進めます。 3.「豊か・安心・快適な区民生活創造」 ・⑥区民とともにつくる世田谷農業 【施策体系とその概要】 ⑥区民とともにつくる世田谷農業 ⅰ.顔の見える農業の推進  区内の農業は、区民から顔が見えるところで耕作が行われ、新鮮で安全安心な農産物が、農家の庭先などにある直売所等で直接区民に提供されているという特長があります。このような都市農業特有の特長を活かした農業を推進するため、区民が農家の畑で農作業を体験したり、区民が畑で野菜や果樹の収穫を体験する機会を設けるなど、農家と消費者である区民が直接交流できる事業を実施します。 ⅱ.地産地消の推進   区における農業の活性化と農業経営の確立を図るためには、地産地消の推進が不可欠です。既に直売所やファーマーズマーケットなどを通じて一部実現していますが、区の東部を中心とした農地の空白地域などでは、十分とはいえません。このため、農業団体と連携した即売市や農業イベントでの即売会の開催などを通じて情報発信・PRの強化を図ります。さらに、農業団体や学校給食関係者との連携を通じ、学校給食への供給体制を構築していきます。 ⅲ.みんなで育てる「せたがやそだち」    区内産の農産物を「せたがやそだち」と名づけてブランド化を推進し、イメージアップと消費の拡大を図っていきます。また同時に、区民のライフスタイルに応じた様々な農業体験の機会を提供することを通じて、区民に直接「せたがやそだち」に接してもらい、都市農業や農地のもつ多面的機能についての理解を深めてもらうきっかけ作りとします。 3.「豊か・安心・快適な区民生活創造」 ・⑦区民が見つけ楽しむ世田谷観光 【施策体系とその概要】 ⑦区民が見つけ楽しむ世田谷観光 ⅰ.魅力発見・活用等の促進  世田谷には区民自身が楽しみ、愛着を深めてもらうことのできる観光資源が数多く点在しています。こうした資源を最大限活用することができるよう、区内の民間事業者、商店街、大学、NPOなどが中心となり、様々な立場や幅広い世代の人々が連携して観光資源の再発見や新たな発掘につなげる取組みを充実させていくとともに、こうした資源を多くの区民が共有することのできる取組みを推進し、地域内循環による経済波及効果の発生を促進します。 ⅱ.まちなか観光の魅力を高める取組み促進   区内の多彩な観光資源をつないで巡る「まち歩き」のさらなる推進により、個々の観光資源の魅力を向上させるとともに、マーケティング調査の実施を通じてニーズに基づいた効果的な観光事業を展開するなど、「まちなか観光」の価値と魅力を高める取組みを促進していきます。そして、ラグビーワールドカップ2019日本大会や東京2020大会を契機として国内外から多くの観光客の来訪が見込まれる中、「まちなか観光」を通じて世田谷ならではの「おもてなし」を提供できるよう、区民や民間事業者、大学、NPOなどと、区が一体となって機運の醸成を図ります。 ⅲ.多様なまちなか観光情報の受発信環境の整備   区民がまちなか観光を身近に感じ、気軽にまち歩きが楽しめるよう、多様なニーズに応じた観光情報を様々なツールを活用しながら発信していきます。そして、区民がそれぞれのニーズに応じた観光情報を容易に入手できるよう、事業者等と連携しながらハード面をはじめとする環境整備に取り組みながら、世田谷の魅力の向上に繋げていきます。 3.「豊か・安心・快適な区民生活創造」・⑧安全・安心な消費環境づくり 【施策体系とその概要】 ⑧安全・安心な消費環境づくり ⅰ.消費生活の安全・安心の確保  消費生活相談員を中心とした相談体制の拡充と相談資質の向上により、全体的な消費者のサポート体制を強化するとともに、商品・サービスにおける事故情報を適宜消費者に提供し、消費者の選択時の安全・安心を担保します。また、幅広い年代に応じた情報伝達ルートを通じた多面的、効果的啓発活動の推進を図っていきます。 ⅱ.消費者被害の救済対応   悪質な相談事例等を情報発信し、消費者被害の予防を図るとともに、悪質かつ複雑な消費者被害事例について、弁護士、専門相談機関等と連携した相談体制を構築していきます。 ⅲ.効果的な啓発活動   出前講座・消費生活講座など各種講座の実施により、消費者問題に関する意識の向上と消費者被害の未然防止を図るとともに、子ども・若者期からを対象とする年代別にきめ細かい啓発事業を展開し、消費生活関連情報を効果的に提供します。 4.「活力ある産業の育成と創造」・⑨世田谷生活に活力を与える生活関連産業の育成 【施策体系とその概要】 ⑨世田谷生活に活力を与える生活関連産業の育成 ⅰ.区民生活を支えるサービス産業の振興  高齢化に伴う高齢者市場の拡大、子育て支援ニーズの高まり、買い物手段の多様化など時代とともに刻々と変化する区民のニーズに対応し、一人ひとりのライフスタイルにあわせて、その生活を豊かにするための、区民生活に密接に関連したサービス産業の創出・成長を支援していきます。 ⅱ.地域課題解決に向けた取組みの推進   子育て支援や、高齢者の見守り活動、女性の起業支援など、区内には特定のテーマをもって課題解決に取り組む団体や個人が様々な活動を展開しています。こうした活動を事業面や資金面において支援するとともに、活動への協力者や支援機関とのネットワークを構築して様々な社会的課題、地域課題の解決を図り、区民生活を豊かにするサービスや仕組みを区民の身近な地域に定着させていきます。 ⅲ.多様な産業主体との連携促進   区内において、様々な産業分野において取組みを進めている事業者同士の交流や意見交流の場を設定することなどにより、同業種間のみならず、異業種間の連携交流を進め、ビジネス機会の創出や産業技術の高度化につながるよう支援を行います。 Column「北九州e-PORT構想(北九州市)」 「IT」と「物流」の国際拠点都市を目指す北九州市において、本市のネットワーク集積や立地面などの優位性を最大限に活かし、「響灘ハブポート」(sea-PORT)「新北九州空港」(air-PORT)という海・空の物流に関する国際ハブポートの整備に加え、第3の国際ハブを「情報の港」(e-PORT)として整備し、ICTサービスを電気や水道のように、いつでも簡単・便利に使える社会づくりを目指している。北九州地域の民間企業・自治体・学術研究機関(産・学・官)のIT社会への適応、地域のIT需要をe-PORT上に結集し、市場として顕在化させることで、利用者本位の次世代IT関連産業を創出・育成、そしてe-PORT上にITサービスを集積させ、市民にとって簡単・便利に利用できるサービスが生まれることにより、市民生活のIT社会への適応支援を目的にしている。  こうした取組みは「北九州e-PORT構想2.0」へと進化し、地域課題解決のためのサービスを提供する産学官民金のネットワーク、全体を管理する「北九州e-PORT推進機構」などで構成され、個別サービスの展開主体者である、ベンチャー企業や起業家、第二創業フェーズにある中小企業など、新しい事業の立ち上げを行う企業・団体等の「事業体」へ「e-PORTパートナー」が「コンソーシアム」へ参画・連携して支援を行うプログラムが「e-PORTチャレンジ」となっている。 4.「活力ある産業の育成と創造」・⑩ものづくり技術を活かした産業の推進 【施策体系とその概要】 ⑩ものづくり技術を活かした産業の推進 ⅰ.環境に配慮したものづくりの充実  地球温暖化対策や廃棄物の減量など環境問題に対する事業者責任の観点からの対応を促すとともに、太陽光発電設備の導入などによる自然エネルギーの活用など、再生可能エネルギーの利用促進等の充実を図ります。 ⅱ.生活の身近にある安全で快適な産業・技術の推進   AIやIoTなどに代表される絶え間なく進化を続ける新しい産業技術を育成するとともに、当該新技術の活用により小売業やものづくり事業のような地元に根差した従来からの地域産業の維持・発展を目指していきます。 4.「活力ある産業の育成と創造」・⑪世田谷の特性を活かした農業力の強化 【施策体系とその概要】 ⑪世田谷の特性を活かした農業力の強化 ⅰ.多様な担い手の育成  区内農業は家族経営により行われており、これまで農家の中で後継者が確保されてきましたが、進展する高齢化や担い手不足に対応するため、後継者はもとより新たな担い手を育成していく必要があります。特に女性が共同経営者として活躍できるよう支援するほか、ネットワーク作りや能力開発も支援していきます。また、農家をサポートする援農ボランティアの育成・確保も行っていきます。 ⅱ.区民に信頼される農業経営の推進   農業者の創意工夫による生産性向上や高付加価値化の取組みを支援するとともに、直売を主体とした少量多品目生産という特徴を踏まえた経営力の強化に向けた支援を行います。また、認定・認証農業者を中心に、農業経営力の強化に向けたハード・ソフト両面の取組みを支援するとともに、認定・認証農業者を増やすことを目的とし、認定・認証農業者以外の農家の経営についても底上げを図ります。 ⅲ.経済活力を創出する都市型農業のモデルづくり   区内産農産物について、飲食店への販売方法の検討や加工品等の新商品の開発、地域ブランドとしての「せたがやそだち」を活用した差別化、高付加価値化の取組みを推進していきます。特に、江戸東京野菜のひとつである大蔵大根の栽培技術と固定種の継承などを通じ生産の拡大を図り、「せたがやそだち」のシンボルとして区内産農産物のイメージアップを図っていきます。さらに、大都市の強みを活かした魅力ある農業経営の展開に向け、6次産業化による加工品の開発、マルシェへの出店や農家レストランの開設など工夫を凝らした取組みを支援します。 Column 大蔵大根-世田谷の伝統野菜-」  ここ最近、江戸東京野菜が注目を浴びています。  世田谷区においても、城南小松菜や下山千歳白菜が知られていますが、最も知名度が高いのが大蔵大根です。  大蔵大根は、江戸時代に豊多摩郡(現在の杉並区あたり)の源内という農民が作り出した「源内つまり大根」が原種と言われ、その名の通り、円筒形で先端が丸くつまっているのが特徴です。それが世田谷の大蔵原に伝わり改良を重ねて「大蔵大根」となりました。  古くから大蔵一帯は、多摩川を南にした大蔵原と呼ばれる黒ボク地帯で耕土が深く、大根の栽培適地として知られていました。  区内産の大蔵大根は、優れた形状と品質で市場の好評を博し、昭和40年代まで世田谷の各地で栽培されていましたが、昭和49年に誕生した病気に強く栽培しやすい青首大根の普及により少しずつ姿を消していきました。  しかし、世田谷の古きよき野菜を見直そうという動きの中で、「区内の農産物をPRするためにも、地元ゆかりの野菜である大蔵大根を作ろう」と平成9年に区内農家が栽培を再開し、今では「せたがやそだち」の野菜の一つとして人気を得ています。  大蔵大根は11月中旬~12月にかけてJAの共同直売所や農家の庭先販売などで買うことができます。 4.「活力ある産業の育成と創造」・⑫まちなか観光が生み出す産業の活性化 【施策体系とその概要】 ⑫まちなか観光が生み出す産業の活性化 ⅰ.世田谷の魅力を堪能できる観光事業の推進  区内には、自然、歴史的建造物、文化施設や商店街など魅力的な観光資源が点在しており、これらをつなぎ合わせたまち歩きのさらなる推進に取り組みます。そして、多くの観光客に満足いただける世田谷らしいまちなか観光の実現に向け、マーケティング調査等を通じて事業の磨き上げを図り、区内へのさらなる誘客と地域の賑わいの創出、そして消費の拡大につなげます。 ⅱ.観光関連産業の取組み活性化と協働促進   区内には世田谷の魅力向上に取り組む事業者や団体等が精力的に活動を行っており、観光事業の推進には、こうした民間資源との緊密な連携が欠かせません。世田谷の観光事業を担う民間事業者、NPO、大学等が相互に連携しながら、民間資源をつなぐ仕組みを作り、各事業者や団体の特徴や強みを最大限に活用した観光事業を相互に連携しながら取り組んでいきます。また、ラグビーワールドカップ2019日本大会や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、観光による「おもてなし」の取組みをオール世田谷の体制で進めることにより、区内産業の活性化を図るとともに、こうした取組みに伴い創出された気運や体制などをレガシーとして、将来に引き継いでいきます。 ⅲ.さらなる誘客に向けた観光プロモーションの強化   世田谷のまちなか観光の魅力を様々な手段で区内外に発信し、その浸透を図ることはさらなる誘客に向けて重要となっています。SNSや映像等を含めた様々な発信ツールの活用や多言語による対応に取り組むとともに、ビッグデータを活用した効果的なプロモーションを推進して情報発信力を強化し、外国人をはじめ多くの観光客の区内への誘客を図ります。 ⅳ.外国人をはじめとする観光客に対する受入環境の向上   外国人をはじめとする観光客が快適にまち歩きができるよう、多言語によるサインや公衆無線LAN環境などのハード整備を推進するとともに、都や産業団体、事業者等と連携して多様な文化や習慣に十分配慮した「おもてなし」に取り組むなど、受入環境の向上を図ります。 4.「活力ある産業の育成と創造」・⑬事業者と消費者がつくる豊かな消費生活 【施策体系とその概要】 ⑬事業者と消費者がつくる豊かな消費生活 ⅰ.見守りネットワークの形成  消費者安全確保地域協議会の設置・運用により、高齢者等の身近にいる人々への情報提供を充実するとともに、「みまもり安心商店街」や、福祉領域の既存の高齢者見守りネットワーク等の活用と連携、情報交換により、高齢者等が安全・安心に暮らせる社会づくりを目指します。 ⅱ.危害等の防止   区民が安全・安心な生活を送ることができるように、関係機関等と連携して製品・サービス(役務の提供)等に対する監視等を進めます。また、区民からの相談や情報提供を受け付け、消費者が利用可能な各媒体を通じた、消費者トラブル、事故情報の発信や注意喚起とともに、必要に応じた事業者調査、指導により区民の消費生活の安全・安心の確保に努めます。 ⅲ.取引等の適正化   区民の日常生活にとって重要度や必要性の高い契約・取引について、消費者の権利と責任についての意識啓発など事業者と消費者の対等な取引関係の構築に努めていきます。また、悪質商法・悪質業者排除に向けた関係機関への意見具申などを積極的に行っていきます。 ⅳ.商品表示の適正化   商業、工業、農業、観光など、各産業部門と連携し、各分野における商品等の適正表示に関する普及啓発を進め、産業界全体として消費者被害の防止を図るための環境整備を図ることにより、あわせて消費喚起も目指していきます。 5.「人と事業所とまちが創る成熟都市せたがや」・⑭潤いと活力に満ちた地域づくり 【施策体系とその概要】 ⑭潤いと活力に満ちた地域づくり ⅰ.区民の利便性向上に資する都市型コンパクトライフの実現に向けた産業支援 区内の駅周辺や拠点地域などを中心として、防災や医療などの各種機能や利便性の高い商業・サービス業等を集積させるとともに、建設、情報通信、商業・サービス業その他の事業者の連携による各種支援サービスの提供により、産業政策の視点から安全・安心で利便性の高いコンパクトな都市生活の実現を目指します。 ⅱ.広域生活・文化拠点を中心とした交流促進による産業の活性化の推進   三軒茶屋・下北沢・二子玉川といった商業業務機能や文化情報発信機能が集積し、世田谷区を超えた広域的な交流の場である広域生活・文化拠点を中心として産業振興と観光振興を図り、区内・区外の垣根を越えた人の交流を促すとともに、区内全体への経済波及効果の伸張を目指します。 ⅲ.都市開発に伴う新たなまちづくりと一体となった商店街振興の推進   二子玉川駅周辺など、都市開発に伴い大型の商業集積が進み、多くの来訪者等により賑わいある買物や飲食等の環境が形成されている街の中で、大型店等の特性を加味しつつ、商店街やそれを構成する個々の店舗の特徴や個性を強化し、イベント等の機会も含め、来街者、地域住民の買物等のニーズに応えるべく互いに補い合う取組みを進めて行きます。 ⅳ.タウンマネジメント機能の育成による地域内連携と商業機能の充実   下北沢、二子玉川をはじめとして、都市環境の向上を目的に各種開発が進んできていますが、都市の魅力を維持・向上させて行くには、地域住民や事業者等、地域で暮らす人や事業を営む会社等の主体的な地域を良くして行きたい意識とそのための活動等が不可欠であり、タウンマネジメントの観点から各地域における都市機能や地域内連携の充実等を促します。 5.「人と事業所とまちが創る成熟都市せたがや」・⑮建設産業などが支える家・まち・都市の充実・発展 【施策体系とその概要】 ⑮建設産業などが支える家・まち・都市の充実・発展 ⅰ.建設・建築関連産業の振興  区民一人ひとりが住み慣れた自宅やまちで便利で快適な生活を送れるように、区の都市基盤、生活基盤を支える建設・建築関連産業の振興を図っていきます。災害時の緊急対応が可能な体制を確保することも想定し、人材の育成、建設需要の喚起、資機材の確保・活用と技術の承継、防災活動への参加と災害時の緊急対応といった地域内循環を促すことで、建築・建設関連産業の健全な振興と地域経済の発展を目指します。また、都市のインフラ整備を効果的に推進するために、公共事業等の受注機会の確保などを通じて区内事業者を育成し、あわせて、区内産業全体の振興に向けた波及効果を高めていきます。 ⅱ.都市インフラ高度化に向けた整備、推進   道路整備事業や都市再開発事業にあわせて、産学金公連携や同業種間又は異業種間の連携などにより、建設・建築関連産業技術の高度化を進めることで、都市基盤を強固にするための都市インフラ整備や災害対策を進め、区内産業振興のための基盤整備につなげていきます。 5.「人と事業所とまちが創る成熟都市せたがや」・⑯農のある都市環境の維持・形成 【施策体系とその概要】 ⑯農のある都市環境の維持・形成 ⅰ.農地・緑地の保全推進と活用促進   生産緑地法改正による指定要件緩和を踏まえ、関係部署・JA等と連携して農地の保全に向けた有効活用策等の検討を行っていきます。また、生産緑地の貸借の促進に係る今後の制度改正を見据え、関係機関と連携しながら防災、レクリエーション、食育など多面的機能を一層発揮させるための支援を図っていきます。また、他自治体と連携しながら世田谷区として、買取り申出された生産緑地の各自治体による買取りへの財政的支援を国に対し引き続き要望していくことなどにより、全体として都市農地と都市のみどりの保全を目指していきます。 5.「人と事業所とまちが創る成熟都市せたがや」・⑰世田谷観光プロモーションの強化 【施策体系とその概要】 ⑰世田谷観光プロモーションの強化 ⅰ.世田谷独自の多様な魅力を高めるための観光プロモーションの推進  産業振興公社や民間事業者、NPO、区民等との連携により、世田谷のブランドイメージを形作るとともに、社会の変化や産業のトレンドにあわせて、世田谷区独自の多様な魅力や価値の創出を図っていきます。 ⅱ.世田谷型MICEの推進によるまちの賑わいの創出   大型の宿泊施設や観光施設が乏しい世田谷区において、住宅都市としてこれまでに築いてきた都市の文化を活かした賑わいを作って行くことが望まれます。そのために、下北沢、三軒茶屋、二子玉川、成城、烏山など、各地区に根付く都市の文化や特性等を活かして世田谷型のMICEを創り出し、地域の観光イベントなどをつなぎ合わせて区全体の賑わいづくりに活かして行きます。 ※MICE:meeting(会議)、incentive tour(報奨旅行)、convention(国際会議)、exhibition/event(展示会・イベント)の頭文字を組み合わせた造語。多くの集客が見込まれ、経済効果の大きいビジネス関連イベント。また、それを開催するための大型施設を指す。 ⅲ.自治体間の連携による共同の観光プロモーションの取組み   自治体間交流を通じて、地方都市における地方創生の支援に取り組むとともに、世田谷の魅力を地方に浸透させることを目的として当該地方都市等の連携による世田谷型の観光プロモーションを仕掛けることで、地方創生と世田谷の魅力の発信による産業の振興を実現します。 ⅳ.世田谷の地域経済を活性化させるための効果的な広報活動の推進   世田谷の魅力のアップに向けた広報活動やイベント運営等に取り組むとともに、SNSやアプリなど新たな情報発信手法の活用、ターゲットを定めた情報発信方法の工夫等の取組みを通じて、世田谷産業の魅力や観光情報を効果的に区内外に発信し、区内外からの誘客と消費喚起を実現し、産業活性化につなげていきます。 Column「奈良から始める奈良ならではの「MICE(マイス)」のカタチ「C-MICE」(奈良市観光協会)」  奈良市は1300年の歴史が生み出してきた資源を有効に活用し、多く観光客でにぎわう「文化観光集客都市」を目指しており、様々な宿泊施設、そして奈良春日野国際フォーラム 甍 I・RA・KAや奈良県文化会館などのコンベンション施設も有した都市である。なお、MICEは奈良県の一般財団法人奈良県ビジターズビューローが中心に行っている。  そんな中、公益社団法人奈良市観光協会は、地方創生交付金事業として、平成28年度からの3か年で、奈良ならではの MICE(=C-MICE)を軸とした新たな観光力強化事業に取り組んでいる。平成28年度は、キックオフとして、構想ジャーニー及び公開シンポジウム「NEXT-1300 NARA」を開催した。脈々と受け継がれてきた奈良のDNA をベースに、次の1300年後の未来を見据えたイノベーションを創発していくことを目的に推進していくことにしている。なお、「C-MICE」とは、奈良ならではの歴史ある場所・体験を通した小規模で(Compact) 市民に開かれた(Civic)創造的(Creative)なイノベーションを共創、創発する場のこと。 5.「人と事業所とまちが創る成熟都市せたがや」・⑱消費者市民社会の実現 【施策体系とその概要】 ⑱消費者市民社会の実現 ⅰ.消費者の自立支援  産業部門及び福祉部門と連携した消費者啓発活動の促進と消費者各自のニーズに合わせた消費者教育の推進を進めるとともに、 「エシカル消費」(倫理的消費:環境や社会に配慮した工程・流通で製造されているかの視点で行う消費行動)や「フェアトレード」(公正な貿易:開発途上国の生産品を、現地生産者の生活支援や環境保護などを配慮した適正な価格で取引する仕組み)の普及など、新たな視点に立った啓発活動を組み合わせることにより、適正な消費行動の実現による持続可能な社会を目指していきます。 Column「エシカル消費」 エシカル((英)ethical 倫理的な、環境や社会に配慮した)  環境や人・社会、また地域に配慮した消費行動のこと。  具体的には、グリーン購入やエコマーク付製品、リサイクル製品、フェアトレード製品※等の購入や地産地消、応援消費などがその一例である。地元商店街での買い物も地域や環境に配慮された消費行動であるといえます。  買い物の際にその商品が作られた背景を意識してみたり、エシカルな商品であることの認証マークを確認したり手にとってみることなど、持続可能な社会のために、意識さえすれば毎日の生活の中でエシカル消費は実践できます。  ※フェアトレード製品(開発途上国の生産者への適正で公正な価格の保証や、人権・環境に配慮した一定の基準が守られている製品のこと) Column「自立した消費者を目指して ~区民講師の会~」  世田谷区では1992年度(平成4年度)からボランティアの区民講師を活用して消費生活問題等に関する出前講座を実施しています。  区民講師は、区が実施する所定の講座の修了者で消費生活課区民講師として登録します。また消費生活に関する知識をより深めていく目的で自主学習グループ「ひとえの会」を結成し、1993年(平成5年)から活動を開始しており、区民講師は同時に「ひとえの会」にも登録しています。  世田谷区の出前講座は「ひとえの会」とともに実施しており、区民が区民目線で、暮らしに役立つ情報を分かりやすく伝えることで親しみやすいと大変好評です。  区民が講師を務め区民に啓発することは、地域社会の中で消費生活問題に関心を持ち、自ら考え行動する自立した消費者の育成のため重要な役割です。  「ひとえの会」は2018年(平成30年)に会結成25周年を迎えるが、今後も世田谷区の特色を活かした出前講座について更に充実させて実施していきます。   Ⅶ せたがや価値創造プロジェクト ビジョンに表した7つのありたい姿の実現に向けて、施策横断及び組織横断の観点で、各関係団体・機関などが連携して、せたがや全体に価値創造をもたらす先導的かつ総合的な5つのプロジェクトを創設し、進めていきます プロジェクト1:地域と共に生活価値の創造を促す機能づくり                ■趣  旨■  人口の増加やさらなる高齢化が予想される世田谷区においては、各地域で、安全・安心、快適な日々の生活を維持することや、今後も、魅力的で居心地の良い地域生活の継続とさらなる向上を図っ ていくことが世田谷区の魅力を高めていきます。  地域において、区民が生活しやすい安全・安心、快適な生活を維持・向上できるように、同じ地域の住民や会社等と一緒になって、生活価値の向上を促すとともに、新たな価値を創造する場や機会づくりの支援を行っていきます。  日頃の消費生活を支えるとともに、引き続き公共的な役割を担っていく観点から、地域の商店街等が中心となって関係各所、そして顧客等と連携して、生活支援や生活価値創造の機能を担っていきます。 ■展開手法■  商店街をフィールドにして、商店街関係者と顧客や企業、NPOなど同じ地域で生活やビジネスに携わる関係者が一体となって、検討の場づくりを行い、生活価値創造を促進するまちづくりを推進して行きます。   該当施策④区民生活や地域環境を支え高める商店街振興   該当施策⑨世田谷生活に活力を与える生活関連産業の育成   該当施策⑫まちなか観光が生み出す産業の活性化   該当施策③世田谷人材の育成と活躍促進   該当施策⑧安全・安心な消費環境づくり プロジェクト2:コンパクトで多様な都市型ライフスタイルを支える産業の育成       ■趣  旨■  世田谷区は交通アクセスの良い地域も多く、区民の生活環境への評価は高くなっています。その一方で、東京23区で2番目に広い面積(58.05 km²)を有する世田谷区の中には、駅や買物先へのアクセス環境が必ずしも良くない場所があり、そこでは高齢者を中心に移動不安や買物弱者が生じるなど社会的孤立状況が現出することが懸念されます。また、区内の空き家は5.3万戸、空き家率は10.4%であり、特にマンションの空き家率は12.8%となっています(出典:総務省「平成25年住宅・土地統計調査」)。これは、東京23区で最も多く、今後特に前記の交通アクセスがあまり良くない地域などでは、増加傾向となることが予想されます。 欧米都市の中には、持続可能な歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりを産業活性化につなげているところがあります。土地利用の規制、交通インフラの整備をはじめとした様々な都市政策を進めたことに伴い、市民の暮らしやすさが向上するとともに、都市開発に係る雇用創出や関連産業の活性化、そして様々な産業誘致や集積化も進み、高い経済成長率を実現しています。 海外等の先進的な成熟都市の取組み等を参考にして、世田谷区に見合った安全・快適な暮らしやすいコンパクトな生活創造と、それを支える産業の振興を進めて行きます。 ■展開手法■  移動不安や買物弱者、社会的孤立が心配される区民等の困りごとや要望の把握を進め、区内の駅周辺の集合住宅などを中心とした利便性の高い商業・サービス業等の集積と、空き家対策などを視野に入れて自宅の安全管理や有効利用等に向けた総合マネジメントの推進により安全・安心で快適な区民生活を実現します。それに伴い、都市整備、住宅改修等に関わる産業の活性化と、まちなかでの安全、快適な生活の実現に向けて、区内の大手企業、鉄道事業者等を中心に、建設、IT、各種サービス業、その他事業者によるチームを形成し、各種生活支援サービスを提供します。   該当施策⑤地域や生活に身近なものづくりの産業   該当施策⑨世田谷生活に活力を与える生活関連産業の育成   該当施策⑩ものづくり技術を活かした産業の推進   該当施策⑭潤いと活力に満ちた地域づくり   該当施策⑮建設産業などが支える家・まち・都市の充実・発展 プロジェクト3:「3(×2)×1型農業」の推進と多面性の強化                  ■趣  旨■  区内には92.6haの農地がありますが(2016年(平成28年))、農地も農家戸数も減少の一途を辿っています。その一方で、農地等を活用した様々なふれあい事業、そして「せたがやそだち」のPRなども功を奏して、世田谷区産の農作物等の人気は高く、各所で求める声は多く聞こえます。  また、飲食・サービス業をはじめとする第3次産業は本区を代表する産業の1つで、雇用力は最も高く、稼ぐ力も高い特性があり、優れた調理技術等に裏付けられ多くの人を惹きつける人気店も少なくありません。地方都市における農業等と比べると、他都市からも顧客を集める力が高い飲食店が多い大消費地の中にある世田谷農業は、消費者へのアプローチが容易であるという利点を有します。  そこで、飲食店での調理やその技術を「ものづくり」に見立て【小文字の×2】として、集客力が高いという世田谷区の商業・サービス業(第3次産業)の利点と、消費者との距離が近いという強みを持つ「せたがやそだち」などの農作物(第1次産業)を結び付けた様々な取組みを進めていきます。そして、せたがや独自のデマンドチェーンの構築を行うとともに、全体として区民や区外の消費者等の世田谷農業への理解度向上に寄与する仕組みを構築して行きます。 ■展開手法■  農家、飲食店に本取組みについて説明し、理解を求めるとともに、個々のニーズを把握します。そして、各飲食店が区内農作物等の特長を理解して、顧客ニーズに応えるメニュー開発を進めていきます。 その上で、関係者が協力して流通の効率化(低炭素化)、イベント等による効果的なPR等を着実に進めていくとともに、商業・サービス業と農業が一体となって様々な広がりを持つ取組みを実行していきます。   該当施策⑥区民とともにつくる世田谷農業   該当施策⑨世田谷生活に活力を与える生活関連産業の育成   該当施策⑪世田谷の特性を活かした農業力の強化   該当施策①産業創造基盤   該当施策⑯農のある都市環境の維持・形成 プロジェクト4:せたがや産業創造プラットフォームの設置とネットワークの形成      ■趣  旨■  世田谷区では、これまで区内産業の抱える課題等について、産学金公の連携による検討会議の開催などを進め、本ビジョン等の検討をはじめとして、様々な施策検討なども行い、事業承継に対する支援窓口の設置、まちなか観光推進に向けた体制づくりなどに繋げてきました。そうした検討の場で議論されてきたことの1つに「せたがやの特性や強みを活かしたブランドの形成」があります。緑が多く生活しやすいなどの理由から、都市としての世田谷の評価は高く、芸能人や高額納税者等も多く居住しています。  このように「生活しやすい住宅都市:世田谷」としての高い評価の要因は、それぞれの街で賑わいを創出している商店街とそれ構成する小売、飲食、サービス業などの魅力的な個店、様々な技術を有するものづくり産業、地産地消のせたがや農業、区内に立地している16の大学とその学生など様々な地域資源によるクリエイティブな連携にあります。  今後ますます経済や社会のグローバル化が進展していく中で、都市間競争や企業間の競争が激化するとともに、企業同士の境界線があいまいになり、オープン化、ネットワーク型企業が増加していくことが想定されます。IoT、AIといった新たな産業技術が進化し、私たちの生活や社会での活用が進んでいく中で、「生活しやすい住宅都市:世田谷」の維持・向上に向けて、「せたがや生活スタイル」、「せたがやワークスタイル」、そして「せたがやビジネスシーンやモデル」をより洗練させていくことが重要です。  そこで、区内の産学金公等により構成される「(仮)せたがや産業創造プラットフォーム」を設立し、上述のような観点から生活スタイルやビジネスモデルづくりを進め、国内外に向けて「世田谷型産業」のプロモーションを進めて行きます。 ■展開手法■  区内の産学金公等により構成される「(仮称)せたがや産業創造プラットフォーム」(以下「プラットフォーム」という。)設立に向けた準備を進めるとともに、IoT、AIを活用したワークスタイル、ビジネス等についての社会経済トレンドや市場動向の分析・把握を行います。そして、プラットフォームでは「せたがやワークスタイル」や「せたがやモデル」等の検討を行い、国等との協力・連携のもと、社会経済状況に向けたマーケティングと国内外の都市に向けたプロモーションを強力に推進し、区内関連産業全体の創造と振興を図ります。   該当施策①産業創造基盤   該当施策⑨世田谷生活に活力を与える生活関連産業の育成   該当施策⑩ものづくり技術を活かした産業の推進   該当施策③世田谷人材の育成と活躍促進   該当施策⑰世田谷観光プロモーションの強化 プロジェクト5:世田谷人材マッチングの仕組み               ■趣  旨■  90万人を超える人口を抱える本区では、様々な知見や技術等を有する区民が相当数居住しています。  人口減少、経済のグローバル化、AIやIoTなど産業技術の発展など、我々の生活する社会が変化して行く中、人が担う仕事が限られたり、複数の企業が優れた能力を持つ人材を部分的にシェアリングするなど会社と会社員との関係も変化していくことが想定されます。また、育児・介護等生活スタイルに合わせた働き方やフリーランスの増加など働き方の多様化や人材の流動化など、今後、働き方と生活スタイルが大きく変わって行くことが予想されています。そのような中で、新たな仕事形態とそれに対応できる人材の多様な組み合わせが必要となることが想定されます。  そこで、人材の宝庫である本区では、こうした社会環境の変化を念頭に、区民が仕事を通じて幸せになるマッチングの仕組みづくりを検討・構築して行きます。 ■展開手法■  先行事例を学びつつ、区内における人材ニーズとそのトレンド等を把握するとともに、仕事をしたい人とその人の有する知見や技術等を類型化したデータの整理を進めます。また、人材マッチング会社等と連携して、官民連携による仕組みの安全性を担保した人材マッチングの仕組みを検討します。また、女性・若者・高齢者・障害者など様々な属性を有する人材の特性とニーズ特性等を適切に組み合わせることにより、就労側・雇用側双方にとって最適な仕事のマッチングを実効的に図って行ける仕組みを構築し、安定的に運用して行きます。   該当施策①産業創造基盤   該当施策②雇用・労働環境の充実   該当施策③世田谷人材の育成と活躍促進   該当施策⑰世田谷観光プロモーションの強化 Ⅷ 推進のしくみ  ◎推進に向けた役割  本ビジョンの推進にあたっては、区、産業振興公社、関連団体、事業者、金融機関、大学等の研究機関等がそれぞれの役割を担い、お互いに協働して取り組んでいくことが重要です。  区は、本ビジョンで掲げたテーマや7つのありたい姿の実現に向けて、各施策の取組みの目標や手順、その取組みにおける進行管理とフォローを行っていきます。  進行管理にあたっては、「世田谷区産業ビジョン懇話会」の学識経験者を中心として、必要な関係主体を適宜追加したメンバー構成で「(仮)世田谷区産業ビジョン評価会議」を設置し、定期的(年度末1回程度)に評価を行いながら着実に取組みを進めていきます。  また、事業者や関連団体などとの連携、情報共有、事業活動支援などを通して、各主体が活動しやすい環境づくりに向けて、総合的なコーディネート役を担います。さらに、国、都、その他関係機関と連携しながら、区内産業全体の支援につながる施策を進めていきます。  産業振興公社、関連団体は、区内事業者の活性化に向けた各種支援を行うとともに、関係機関と連携し、事業者の事業活動環境の整備を進めていきます。また、ビジョンの進行に合わせて、区、産業振興公社、関連団体の役割分担を見直しながら、新たな時代に対応して、組織体制・連携体制を構築していきます。  さらに、本ビジョンの推進とありたい姿の実現のためには、事業者自ら自主的・主体的に取り組んでいくことが、極めて重要です。地域の経済団体への加入等を通じて事業者間の連携が進み、事業者全体が地域貢献的な活動や労働環境の充実などに取り組むことで、区内産業の充実・発展と地域経済の活性化につながっていきます。  以上のような役割分担や連携体制により、本ビジョンの実現に向けて取組みを進めてまいります。 Ⅸ 資料編 1 世田谷区産業ビジョン懇話会  (1)世田谷区ビジョン懇話会活動記録  (2016年(平成28年)7月から2018年(平成30年)3月まで)  (2)世田谷区産業ビジョン懇話会委員名簿  (3)提言     ありたい姿の実現に向けて必要なこと(施策提言等)     世田谷区産業ビジョン策定にあたっての検討素材 -現況・課題・ありたい姿・施策体系イメージ-  (4)懇話会座長より~世田谷区産業ビジョンの策定にあたって~ (5)世田谷区産業ビジョン懇話会 会則 2 世田谷区の産業政策に係る意見交換会 3 区民意見募集の結果について 4 用語集 1 世田谷区産業ビジョン懇話会 (1)世田谷区産業ビジョン懇話会活動記録 (2016年(平成28年)7月から2018年(平成30年)3月まで)  新たな世田谷区産業ビジョンの策定に向けて、学識経験者や区内産業団体代表等から構成された「世田谷区産業ビジョン懇話会」を設置し検討を進めてまいりました。 懇話会では、世田谷区の産業や生活に係る現状や課題、将来像、今後のありたい姿に向けて議論し、新たな産業ビジョンのテーマを「区民・産業がつくる 世田谷の新たな価値と豊かさ」とするなど案の検討や、区長への提言を行いました。 主な活動記録は以下のとおりになります。 第1回 世田谷区産業ビジョン懇話会[2016年(平成28年)7月25日(月)] 【内容/議事】 1 区長あいさつ 2 出席者及び各委員の紹介 3 議事 1)座長の選任 2)新産業ビジョンにおける策定趣旨のご説明 3)策定スケジュールおよび検討体制について 4)現産業ビジョン及び産業振興計画並びに世田谷区産業の現況確認 第2回 世田谷区産業ビジョン懇話会[2016年(平成28年)10月25日(火)] 【内容/議事】 1)現行産業ビジョンの現況について 2)現行産業振興計画の進捗評価について 3)新産業ビジョンに係る方向性及び方針案について 第3回 世田谷区産業ビジョン懇話会[2017年(平成29年)1月31日(火)] 【内容/議事】 1)新産業ビジョンの方針及び構成について 2)将来像(7つのありたい姿)や方向性について 3)世田谷区産業ビジョン懇話会から区への提言について 第4回 世田谷区産業ビジョン懇話会[2017年(平成29年)3月16日(木)] 【内容/議事】 1)新産業ビジョンの施策体系及びメインテーマについて 2)7つのありたい姿、実現に向けたキーワードについて  3)懇話会提言案について 第5回 世田谷区産業ビジョン懇話会[2017年(平成29年)7月4日(火)] 【内容/議事】 1)世田谷区産業ビジョン懇話会委員の新たな委嘱について 2)これまでの世田谷区産業ビジョン策定にあたっての現況について 3)世田谷区産業ビジョン施策体系表及び想定事業案について 第6回 世田谷区産業ビジョン懇話会[2017年(平成29年)12月19日(火)] 【内容/議事】 1)世田谷区産業ビジョン(案)及び世田谷区産業振興計画(案)について [前回懇話会後の経過も含め]          2)その他 (2)世田谷区産業ビジョン懇話会名簿 氏 名 備 考 委 員◎三井 逸友            嘉悦大学大学院教授 ビジネス創造研究科長 委 員 阿部 武司            国士舘大学教授 政経学部経済学科経済学研究科経済学専攻 委 員 桜井 陽子            特定非営利活動法人全国女性会館協議会顧問 世田谷区立男女共同参画センターらぷらす館長 委 員 渋谷 往男            東京農業大学教授 国際食料情報学部国際バイオビジネス学科 委 員 永井 光浩(平成29年7月3日まで)(前)IID世田谷ものづくり学校事務局長 委 員 武田 献 (平成29年7月4日から) IID世田谷ものづくり学校事務局長 委 員 大場 信秀           東京商工会議所世田谷支部会長 委 員 桑島 俊彦           世田谷区商店街連合会会長 委 員 井上 治三郎(平成29年7月3日まで)(前)公益財団法人世田谷工業振興協会会長 委 員 片平 三郎 (平成29年7月4日から)公益財団法人世田谷工業振興協会会長 委 員 飯田 勝弘           (前)世田谷区内農協協議会会長 委 員 神保 和彦           一般社団法人東京都信用金庫協会会長 委 員 市川 望美           非営利型株式会社ポラリス代表 取締役 ファウンダー 委 員 柴田 真希           NPO法人まちこらぼ代表理事 委 員 田崎 恵子           世田谷区消費者団体連絡会代表 委 員 谷口 松生           (前)ひとえの会代表 ◎は、世田谷区産業ビジョン懇話会座長になります。 (3)提言 新たなビジョン及び計画の策定にあたり、世田谷区の産業の現状認識、産業の将来像、望ましい姿に向けて必要なこと等について議論されました。 この度、「世田谷区産業ビジョン懇話会提言~新たな産業ビジョン及び産業振興計画策定に向けて~」としてまとめられ、平成29年4月26日に区長に提出されました。 ①提言の項目  1.世田谷区の産業及び生活に係る現状認識について (1)産業の現状について (2)世田谷が持つ「ブランド」 (3)働くという視点での区民生活 2.将来の世田谷区の産業や生活等のあり方と課題意識について (1)将来の世田谷区の姿 (2)将来の区民生活 (3)将来の産業 3.区民生活、産業、成熟都市せたがやとして望ましいこと (1)豊か・安心・快適な区民生活に向けて (2)活力ある産業の育成に向けて (3)成熟都市せたがやに向けて 4.ありたい姿の実現に向けて必要なこと(施策提言等) (1)多様な働き方施策 (2)人材育成施策 (3)区民生活創造施策 (4)産業育成施策 (5)成熟都市せたがや形成施策 (6)産業基盤づくり施策 5.新たな産業ビジョンのテーマについて 6.資料 7.世田谷区産業ビジョン懇話会 委員名簿 ② 「4.ありたい姿の実現に向けて必要なこと(施策提言等)【懇話会提言書抜粋】」 (1)多様な働き方施策 ○身近な地域の中で働き続けられる施策 ○コワーキングスペース提供等の活動や、育児を終えた女性たちのネットワークづくりによるITを活用した時間と場所の制約を超えた働き方 ○立地環境等に見合ったシェアオフィスの取組み ○雇用のミスマッチングへの取組みと人手不足解決に向けたAIやIoT導入 ○ソーシャルビジネスの促進と支援 (2)人材育成施策 ○女性や若い人達が活躍できる施策 ○キャリアを積んできた高齢層のノウハウや知識を活かす施策 ○区内大学生の積極活用と後継者育成 ○長期的視点での後継者人材育成 (3)区民生活創造施策 ○生活支援拠点の形成 ○住工共生のまちづくり ○せたがや流の地産地消農業 ○産業とNPOの情報マッチングの仕組みづくりとコーディネーション ○消費者が安心して生活できる対策促進 ○交通不便地域での買い物支援 (4)産業育成施策 ○生活支援型サービス産業の振興 ○区内のものづくり技術を活かした取組み促進 ○建設業向け施策強化 ○せたがや農業の特徴を活かした取組み促進 ○インバウンド観光客向け民泊等の振興 ○生活意識の高いせたがやブランドを維持する商品・サービスづくり ○区内大学との連携 ○小規模企業への支援 (5)成熟都市せたがや形成施策 ○小さなエリアごとの多極化 ○空き店舗に関する企業のテレワーク拠点としての利用促進 ○区内私鉄沿線における広域連携 ○農地の多面的利用促進 ○世田谷ブランドの効果的なプロモーション ○区民がまちなか観光に参加し、楽しむ取組み推進 (6)産業基盤づくり施策 ○起業・創業の促進 ○世田谷区内だけではなく区外との連携体制の構築と活動促進 ○地元金融機関との連携 ○個人事業主へのベンチャー支援(税制面での優遇等) ○産業・交通インフラの環境整備 ○データ等の活用による地域経済予測   ③ 「5.新たな産業ビジョンのテーマについて 【懇話会提言書抜粋】」  現在の産業ビジョンのテーマ「区民・地域・世田谷を産業が支えていく 区民・地域・世田谷が産業を育んでいく」は、産業の健全な発展に裏付けられた自立都市:世田谷をめざして、産業の振興を通じた魅力的な地域社会づくりの指針として設定しています。このテーマは世田谷区内産業の特徴を的確に捉え、産業のあり方を上手く表現していることから、懇話会における議論の過程において、次の10年にも通ずるテーマであるとの意見も出されました。  その中で、今回の懇話会では、世田谷区の特性について、長く本区にお住まいの方、新たに移り住んで来た方、仕事や学校に通われている方、海外からお越しの方など、多彩な経験・能力を有する人材が、多様な価値観、ライフスタイルを持って区内で活動しているという共通認識が得られました。  そうした現状認識を踏まえて、世田谷区の産業の将来のありたい姿を考察すると、多様かつ充実した人材が存在するといった世田谷の特長を活かして、区内産業が活性化していくとともに、区民それぞれが自己のライフスタイルにあった働き方を選択して活躍できるようになることが重要と考えます。 その上で、区民と産業が一体となって、世田谷独自の新たな価値を創造し、そうした価値をみんなで共有しながら豊かで充実した生活を送れる世田谷を構築していくことが求められると想定しています。  そこで、本懇話会では、世田谷産業の将来像を端的に表現する新たな産業ビジョンのテーマとして下記を提案させていただきます。世田谷産業の新たな時代を切り開くとともに、産業振興のみにとどまらず、区民生活を豊かにし、まち全体の魅力の向上にも繋がるフレーズとして、広く浸透していくことを望みます。   テーマ:区民・産業がつくる 世田谷の新たな価値と豊かさ (4)懇話会座長より~世田谷区産業ビジョンの策定によせて~  世田谷区産業ビジョン懇話会は、各産業団体の代表者や学識経験者、地域金融機関、消費者の代表など多様な主体により構成され、平成28年7月から始まりました。懇話会では、各委員が様々な視点から意見を出し合い、世田谷の産業の課題や将来のあり方などについて、活発な議論を行いました。  今後の産業政策のあり方について考える際に議論に上ったのは、世田谷の都市としての特徴とは何かということです。世田谷区の人口は90万人を超え、東京23区の中では最も多く、現在も増加傾向にあります。世帯あたりの所得額も約506万円と23区で7番目に高く、用途地域の90%以上が住居地域であるなど、「豊かな住宅都市」という性格を有し、世間一般的にもそのようなイメージが根強いといえます。  また、長く本区にお住まいの方、新たに移り住んで来た方、仕事や学校に通われている方、海外からお越しの方など、多彩な経験・能力を有する人材が、多様な価値観、ライフスタイルを持って区内で活動していることも特徴であるとの共通認識を持つことができました。  今回の産業ビジョンでは、そのような住宅都市としての世田谷において、多彩な個性を有する区民と産業が一体となって、世田谷独自の新たな価値を創造し、そうした価値をみんなで共有しながら豊かで充実した生活を送れるまち世田谷を構築するという意味で、「区民・産業がつくる世田谷の新たな価値と豊かさ」を新たな産業ビジョンのテーマに設定しました。  このテーマのもと、さらに議論は進み、AIやIoTといった新たな産業技術の活用やSDGs(持続可能な開発目標)といった最新の視点も取り入れながら、ある意味で挑戦的な産業ビジョンが完成に至りました。従来からの商業、工業、農業といった産業分野ごとの枠組みだけにとらわれるのではなく、「区民生活」・「産業活性化」・「まちづくり」の3つの視点から産業を横断的にとらえたうえで、10年後の世田谷区の産業のあり方を「7つのありたい姿」として示すという全体の構成は他自治体でもあまり例がないものと認識しています。  このビジョンが完成に至るまでのプロセスにおいては、産業ビジョン懇話会委員をはじめとする外部専門家の議論にとどまらず、区民の意見を多角的に聴取するとともに、区内部の関連所管部職員にも積極的な意見や提言をいただいており、そのことが産業横断的な連携というコンセプトに魂を吹き込んでいるものと考えています。  ビジョンは完成した後が勝負であり、ビジョンに書かれた10年後のありたい姿の実現に向けてどのように取り組んでいくかが重要です。その意味で、本ビジョンの推進にあたって、区、産業振興公社、関連団体、事業者、金融機関、大学や研究機関などが区民とともに、それぞれの役割を担い、お互いに協力協働して取り組んでいくことが重要です。この視点を忘れずに、今後とも将来の世田谷の産業のあり方について議論と検証を続け、新たな時代の変化に対応した産業政策を立案・実行するとともに、より良い世田谷のまちの実現に向けて研鑽を重ねていくことを望みます。  私自身も産業ビジョン懇話会の座長を務めさせていただいただけでなく、人生の半ばを世田谷区民として過ごしてきた身として、今後の世田谷区の産業ビジョンの進捗について、可能な限り見守っていきたいと考えております。 平成30年3月             世田谷区産業ビジョン懇話会座長 三井 逸友 (5)世田谷区産業ビジョン懇話会 会則 平成28年5月30日28世商第177号 (目的及び設置) 第1条 世田谷区産業ビジョン及び世田谷区産業振興計画の策定にあたり、外部の意見を参考にするため、世田谷区産業ビジョン懇話会(以下「懇話会」という。)を設置する。 (所掌事項) 第2条 懇話会は、世田谷区産業ビジョン及び世田谷区産業振興計画の策定にあたり、産業の将来像、産業政策のあり方及び産業振興の取り組みについての意見を提案する。検討内容によっては、懇話会の提言としてまとめ、区に報告できるものとする。 (会員の構成) 第3条 懇話会は、学識経験者、産業団体代表、金融機関代表、NPO法人、消費者代表等の15名以内で構成する。 (会員の任期) 第4条 会員の任期は、平成28年7月から平成30年3月までとする。 (座長) 第5条 懇話会に座長を置く。 2 座長は、学識経験者の会員から懇話会で選任する。 3 座長は、懇話会を代表し、会務を総理する。 4 座長に事故があるとき、又は座長が欠けたときは、座長が委任した会員が、その職務を代理する。 (会議の開催) 第6条 懇話会は、座長が招集する。 2 懇話会は、必要に応じて随時開催する。 (意見聴取) 第7条 懇話会は、必要があると認めたときは、関係者に出席を求め、その意見、説明等を聴き、又は必要な資料の提出を求めることができる。 (庶務) 第8条 懇話会の庶務は、産業政策部商業課において処理する。 (補則) 第9条 この会則に定めるもののほか、懇話会の運営に関する事項その他必要な事項は、座長が定める。 附 則 この会則は、平成28年5月31日から施行し、平成30年3月31日をもって、その効力を失う。 2 世田谷区の産業政策に係る意見交換会 (1)趣旨    区の産業界の中心を担う若手人材及び将来区の産業に携わる仕事に就く可能性がある学生等から意見を聴取することで、より未来を見据えた産業ビジョンや区の魅力発見・発信を可能とするため、意見交換会を実施しました。 (2)日時    平成29年7月17日(月・祝) (3)意見交換会の内容    ①形式:ワールドカフェ及びワークショップ形式    ②構成:2部構成   1部「世田谷区産業ビジョンについて ~今後10年間の世田谷区の産業政策のあり方について~」   2部「世田谷のプロモーションビデオを作ろう ~皆に伝えたいSETAGAYAの魅力とは?~」  (4)講師     平田 隆之 <プロフィール等>     NPO法人市民プロデュース 理事長     山口市地域づくりアドバイザー     町田市協働推進フェスティバル「まちカフェ!」コーディネーター 等  (5)意見交換の流れ    ①開催にあたってのごあいさつ    ②本日の目的 「世田谷の今後10年間の産業のあり方についてアイデア集め」    ③世田谷区の産業施策についての説明 ~世田谷区産業ビジョン(素案)の概要と観光プロモーションについて~    ④世田谷区産業ビジョンについて ~今後10年間の世田谷区の産業政策のあり方について~     各参加者が課題や意見を出し合い、議論を行ないました。 (6)テーマについて    5班(A、B、C、D、E)に分かれ、テーマ毎に「10年後にどうあったらいいか?」について話し合い、話し合いの結果を模造紙にまとめ、発表を行ないました。    <各班のテーマ>  A班:産学金公連携の構築をどのように進めていくか?     起業創業支援をどのように進めていくか?  B班:ライフスタイルに応じた働き方をどのように実現するか?     若手・中堅人材・後継者の育成をどのように行うか?  C班:未来の商店街を担う若手人材をどのように育成していくか?     未来の商店街において、個店の魅力や新たなサービスをどのように進めていくか?  D班:新たな産業技術をどのように活かしていくか?     世田谷において、新たに必要な産業は何か?  E班:今後都市農地をどのように保全していくか?     地産地消をどのように推進していくか? (7)意見交換会当日の様子  ① 平田講師による説明  ② 世田谷区の産業施策についての説明  ③ 各班の様子  ④ 発表の様子  ⑤ 成果物の一例<当日のまとめ><まとめ> 3 区民意見募集の結果について   世田谷区産業ビジョン及び世田谷区産業振興計画の策定については、素案を取りまとめた際、区民意見募集を行い、結果幅広い意見をいただきました。 (1)区民意見募集期間    平成29年10月15日から平成29年11月6日まで (2)意見提出者数    26件[提出方法:ホームページ16人、FAX1団体、窓口持参9団体] (3)意見件数50件 項目7つありたい姿について   2件   建設業の位置付けについて   10件   建設業への振興について   36件   将来人口推計を踏まえた施策について 1件   事業計画について(世田谷区産業振興計画)1件 (4)区民意見募集の結果及び区の考え方について    ※ページ数は、区民意見募集時の「世田谷区産業ビジョン(素案)」及び「世田谷区産業振興計画(素案)」のものになります。 [項目] 7つのありたい姿について [意見・提案等] 2017年3月16日に開催された第4回産業ビジョン懇談会で検討した際の産業ビジョン(案)は、p.28「ありたい姿7」の【現況と課題】の「三軒茶屋・下北沢は」の後に「区内の文化・芸術の中心地として発展し、」という文言があったが、今回公表された案では削除されている。商業地域として形成されてきた歴史的経過があり、その蓄積を生かし発展させるという視点が大切であるので、文言を復活させることを提案する。 [区の考え方] ご指摘のとおり、三軒茶屋・下北沢は世田谷区基本計画においても、「広域生活・文化拠点」として位置付けており、これまで区内の文化・芸術の中心地として発展した経緯があり、今後もこの役割を担っていくことが想定されますので、提案された「区内の文化・芸術の中心地として発展し、」という文言の加筆については、表現方法も含めて検討いたします。 [意見・提案等] p.28の【現況と課題】は「起業・創業」に言及しているにもかかわらず、それに対応するはずのp.29【取組みの方向性】には「起業・創業」の文言がないため、「『広域生活・文化拠点』などを中心とした」と「新たな産業の育成や」の間に、「起業・創業機能の充実・強化による」を追加することを提案する。 [区の考え方]  p28【現況と課題】とp29【取組みの方向性】を対応させるため、ご指摘いただいた内容を踏まえ、表現方法などについて検討いたします。 [項目]建設業の位置付けについて [意見・提案等]建設産業は地域に根付いた産業で、区民が生活していくためには欠かすことができない産業です。建設業を産業ビジョンで位置づけを明確にし、産業計画で具体的な振興策を図ってください。<同趣旨のご意見他7件> [区の考え方] 建設業については、地域の安全・安心や区民の快適な住環境などを支える産業であると考えております。新たな世田谷区産業ビジョンではこれまでの商業・工業・農業といった枠組みにとらわれるのではなく、様々な産業分野を横断的にとらえて、区民生活を支えることが重要となると考えております。これらを踏まえ、世田谷区産業ビジョンの中では「建設業」を区民生活を支える重要な都市産業として位置付け、産業振興計画の中で具体的な振興策を検討してまいります。 [意見・提案等]建設業は日頃から防災や減災に取り組み、大規模災害が発生すれば人命救助などにいち早く取り組む地域防災の要です。建設業を産業ビジョンで位置づけを明確にし、産業計画で具体的な振興策を図ってください。<同趣旨のご意見他1件>  [区の考え方]建設業は、住宅整備や防災活動等の安全・安心の取組みなどにより「地域の守り手」として、区民生活を支援する役割を有するとともに、道路整備や都市再開発といったインフラ整備事業を通じて、産業を活性化させ、まちの機能を向上させるための都市基盤づくりを担っているといえます。これらを踏まえ、世田谷区産業ビジョンの中では「建設業」を区民生活を支える重要な都市産業として位置付け、産業振興計画の中で具体的な振興策を検討してまいります。 [項目] 建設業への振興について [意見・提案等]一般区民は建設業のことをよく知りません。建設業の真の姿を知っていただくための広報活動を行ってください。<同趣旨のご意見他5件>  [区の考え方]現在区では、建設業の人材確保事業や建設業体験ツアー等を通して、建設業の持つ魅力や働きがいを知っていただく取組みを行っております。今後とも、人材確保事業などを通じた建設業の魅力などに関するPR活動について、ホームページ等の区の広報媒体も活用しながら、取り組んでまいります。 [意見・提案等]公共事業を通じて、区内の建設事業者を育成し、地域経済の循環を図ってください。<同趣旨のご意見他2件>  [区の考え方]区内建設事業者の育成及び建設業を通した地域経済の循環については、公共事業だけでなく、区内の建設・建築関連事業全体で、区内人材・技術などの地域資源の有効活用、地域での新たな建設需要の喚起、地域貢献活動などの有機的な組み合わせにより、地域循環を促していきたいと考えております。 [意見・提案等]≪ドボジョ活躍への未来≫首都圏では女性建設作業員の積極的活用が増加しています。東京都においても女性の有資格者を置くことを条件とした入札制度が導入されています。「ドボジョ(土木女子)」や「けんせつ小町」などと呼ばれ今後大いに期待を持たれており、政府も2019年までに女性技術者・技能者を2014年の2倍に増やす計画である。現在、技術者の女性比率は4~5%と低水準であるが、世田谷区と企業とが共同主催者となり女性が活躍できる建設業を理解してもらうイベントなどを継続して行い、世田谷区がモデルケースとされるよう協力を求めます。<同趣旨のご意見他8件>    [区の考え方]区では建設業に限らず、人材確保事業等により、女性の就労支援や社会復帰等の施策に取り組んでまいりました。女性の技術者・技能者を増やしていくことで、建設業のみならず、区内の産業界全体で女性が活躍できる環境づくりを形成していくことは重要だと考えております。 いただいたご意見につきましては、区と企業等が連携したイベントの開催も含め、更に女性が働きやすい環境を創出するための参考とさせていただきます。 [意見・提案等]産業政策の視点から入札制度改革や地域に貢献する地元建設業者の独自評価の検討を行ってください。<同趣旨のご意見他6件>  [区の考え方] 区の入札制度等につきましては、公正性、透明性、経済性等の観点から、適正に運用していく必要があると考えております。 いただいたご意見については、関係所管に伝え、今後の施策の参考とさせていただきます。 [意見・提案等]耐震補強工事・環境リノベーション補助事業などを拡充・拡大を図り、区内建設事業者の受注機会の確保を推進してください。<同趣旨のご意見他1件>  [区の考え方] いただいたご意見につきましては、関係所管に伝え、今後の施策の参考とさせていただきます。 [意見・提案等]区民に対して、区内の優良建設業者の紹介事業などを行ってください。<同趣旨のご意見他2件>  [区の考え方]いただいたご意見につきましては、関係所管に伝え、今後の施策の参考とさせていただきます。 [意見・提案等]世田谷区産業政策部の中に「建設業課(担当係)」を設け、建設業の振興が総合的に図られるようにしてください。<同趣旨のご意見他2件>  [区の考え方]産業の振興につきましては、区全体の産業の底上げを目指し、産業政策部として様々な施策に取り組んでいるところです。今後も、区内全体の産業の活性化を実現できる組織体制の構築を視野に入れ、産業振興に取り組んでまいります。 [意見・提案等]2014年11月15日に「第30回 トイレシンポジウム」が開催されました。このような区民と建設業者が共に参加できるようなイベントを定期的に開催してほしい。<同趣旨のご意見他2件>  [区の考え方] 現行においても、産業フェスタやビジネスマッチング交流会など区民と事業者が触れ合うことができる機会を設けております。いただいたご意見を踏まえ、区民と建設事業者が共に参加できるイベントの活用について、検討してまいります。 [項目] 将来人口推計を踏まえた施策について  [意見・提案等]区の人口が90万人を超えたと発表がありました。それに伴って当然のことながら高齢者も増えるはずである。増加に伴い、追いつく施策が重要であると考える。 [区の考え方]最新の人口推計では、25年後には、高齢者人口(65歳以上)が7万人以上増加することになり、平成40年代には超高齢社会へ突入すると見込まれます。この推計を踏まえ、適切な産業施策が実施できるように、取り組んでまいります。 [項目] 事業計画について(世田谷区産業振興計画) [意見・提案等]産業振興計画については、1/4の13に「ソーシャルビジネス(コミュニティビジネス)」とあるが、ソーシャルビジネスは領域、コミュニティビジネスは空間と、異なる概念であるため、3/4の35のように「ソーシャルビジネス・コミュニティビジネス」と表記することを提案する。 [区の考え方]ご提案のとおり、「ソーシャルビジネス」と「コミュニティビジネス」は、異なる概念として用いられることが多いと考えております。ご提案いただいた表記に変更いたします。   4 用語集   【世田谷区産業ビジョン 用語集】 1ページ[用語]IoT         [説明文]モノのインターネット(Internet of Things)の略語。機械や製品にセンサーや通信機能を搭載し、あらゆる「モノ」をインターネットで接続する技術の総称。 1ページ[用語]ビックデータ     [説明文]従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群。 1ページ[用語]AI         [説明文]人工知能(Artificial Intelligence)の略語。人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現させようという一連の基礎技術。 4ページ[用語]インバウンド      [説明文]外国人が訪れてくる旅行のこと。 8ページ[用語]DI         [説明文]ディフュージョン・インデックスの略語。採用系列の各月の値を3ヶ月前と比べた変化方向を合成して作成した指数。 10ページ[用語]SNS         [説明文]Social Networking Serviceの略語。人と人との社会的な繋がりを維持・促進する様々な機能を提供する、会員制のオンラインサービス。 11ページ[用語]シェアリング・エコノミー[説明文]典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービス。 11ページ[用語]ICT         [説明文]情報通信技術(Information and Communication Technology)の略語。 19ページ[用語]6次産業化       [説明文]農林漁業者が生産した農林水産物を活用し、新商品を開発、新たな販路の開拓(輸出も含む)等を行う取組み。 21ページ[用語]3Dプリンター     [説明文]3DCADの設計データ(STLデータ)をもとにして、スライスされた2次元の層を1枚ずつ積み重ねていくことによって、立体モデルを製作する機械のこと。 23ページ[用語]スタートアップ企業   [説明文]「スタートアップ(Startup)」とも呼ばれ、新しいビジネスモデルで急成長を目指す、市場開拓フェーズにあるベンチャー企業のことをいう。 23ページ[用語]ソーシャルビジネス   [説明文]地域社会の課題解決に向けて、住民、NPO、企業など、様々な主体が協力しながらビジネスの手法を活用して取り組むこと。 23ページ[用語]CSR         [説明文]Corporate Social Responsibilityの略語。収益を上げ配当を維持し、法令を遵守するだけでなく、人権に配慮した適正な雇用・労働条件、消費者への適切な対応、環境問題への配慮、地域社会への貢献を行うなど、企業が市民として果たすべき責任をいう。 23ページ[用語]テレワーク     [説明文]ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。 25ページ[用語]コ・ワーキングスペース [説明文]独立して働く個人が、机・椅子・ネットワーク設備などの実務環境を共有しながら仕事を行う場所。 25ページ[用語]インキュベーション [説明文]新しいビジネスの成長・事業化を促進することすることで、その施設をインキュベーション施設と呼ぶ。 29ページ[用語]エシカル消費     [説明文]倫理的消費:環境や社会に配慮した工程・流通で製造されているかの視点で行う消費行動。 42ページ[用語]ファーマーズマーケット [説明文]地元の生産者が集まって食材を消費者に直売する市場のこと。 64ページ[用語]MICE     [説明文]meeting(会議)、incentive tour(報奨旅行)、convention(国際会議)、exhibition/event(展示会/イベント)の頭文字を組み合わせた造語。多くの集客が見込まれ、経済効果の大きいビジネス関連イベント。また、それを開催するための大型施設を指す。 66ページ[用語]フェアトレード     [説明文]公正な貿易:開発途上国の生産品を、現地生産者の生活支援や環境保護などを配慮した適正な価格で取引する仕組み。 74ページ[用語]デマンドチェーン [説明文]顧客の需要と言う観点に即した生産や販売などの一連の活動。 世田谷区産業ビジョン 発行日   平成30年3月 編集・発行 世田谷区産業政策部商業課       〒154-0004       世田谷区太子堂2-16-7 三軒茶屋分庁舎4階       電話番号 :03-3411-6644       FAX番号:03-3411-6635 (広報印刷物登録番号№1617)