世田谷区基本計画(素案) 平成25年9月 世 田 谷 区 目 次 1 策定の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2 視点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 3 主要な課題と重点政策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 4 分野別政策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18    健康・福祉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 子ども若者・教育 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 暮らし・コミュニティ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 都市づくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61 5 地域計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73 6 実現の方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 96 資料編 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101 1 策定の背景 策定にあたって  基本計画は行政運営の基本的な指針であり、中長期的な展望を踏まえ、向こう10年間の施策を総合的かつ体系的に明らかにする、最上位の行政計画です。  自治体としての自律性、主体性に基づいて策定することが求められています。  基本計画は、計画の意義を示す「策定の背景」、基本方針等を示す「視点」、先導性・創造性、分野横断的な観点から区政を牽引する「主要な課題と重点政策」、行政分野ごとの個別計画を総合的に調整する方針と施策体系を示す「分野別政策」、地域ごとの将来像を示す「地域計画」、区民・事業者・行政のパートナーシップによるまちづくりや区民参加、自治体経営の推進(執行体制、地域行政、公共施設等)について示す「実現の方策」の各章立てで構成されています。  基本計画には、計画策定の背景および中長期的な展望として、基本構想でも触れられている人口構成や家族形態の変化などの課題認識を示すとともに、区財政の見通し、公共施設や都市インフラの老朽化等の状況、自治権拡充の動向といった点について示し、今後の区政の推進にあたって踏まえるべき点を明確にします。 世田谷区をめぐる状況 1.区の歴史  世田谷区は、武蔵野台地に広がる成熟した住宅地、豊かに流れる多摩川、多摩川から野川沿いに続く緑の国分寺崖線、世田谷の原風景とも言える農の風景、歴史が織り込まれたまち、にぎわいのあるまちなど、人々の生活や文化に根ざした個性的で多様な都市風景を形作っています。  1932年(昭和7年)から1936年(昭和11年)にかけて、2町4村(世田谷町、駒沢町、玉川村、松沢村、千歳村、砧村)の合併により、構成された世田谷区は、成り立ちを異にする幾つかの特徴的な区域を抱え、都市近郊農村から郊外住宅地へと変わりました。  世田谷区の地域社会は、関東大震災後の復興や、その後の第二次大戦後の復興から近年までの人口流入により、区民の新旧融合を柔軟に繰り返してきました。そうしたなかでも、個性や独自の歴史や特色を持ちながら、お互いの特徴を消しあうことなくゆるやかに共存し、多様性のあるコミュニティが構築され、区民主体で課題解決が進められてきました。  みどりとみずに恵まれた住宅都市を背景とし、多くの文化人が輩出されるとともに、その環境を愛する区民の尽力によって豊かな住宅環境が保全されています。 2.社会動向  わたしたち世田谷区民は、この20年の間にバブル経済の崩壊と長期にわたるデフレ経済を経験し、予想を超えて進むグローバル化や高度情報化の進展、急速に進む少子高齢化や都市化に伴う家族形態の多様化や人と人のつながりの希薄化、格差の拡大による深刻な問題などに直面してきました。  また、2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災とその後の原子力発電所の事故の災禍は、許容量を越えた災害に対する既存の社会システムの脆さをあらわにし、わたしたち一人ひとりの生き方や地域社会のあり方の土台を揺さぶることになりました。  人々の間では、人と人との助けあいや自ら考え、行動することの重要性が再認識されてきており、これまで当たり前のように思っていた日常生活の営み、区民と行政の関係についても、改めて見直す必要があります。 3.人口  区の人口は、2013年(平成25年)1月1日現在で、860,749人(日本人845,922人、外国人 14,827人)、世帯数は448,179世帯となっています。  世帯数を見た場合、1995年(平成7年)の364,208世帯から、約1.23倍に増加する一方、世帯あたりの人員は、2.09人から、1.92人となり、世帯の小規模化が進んでいるといえます。また、毎年全人口の1割弱が転出・転居するなど、人口の流動も激しいといえます。  65歳以上の高齢者人口の割合は、1995年(平成7年)の13.5%から2013年(平成25年)には19.3%へとなり、5.8ポイント上昇するなど、高齢化が着実に進行しているといえます。0〜14歳の年少人口の割合は、高齢者人口と同様の年次で見た場合、11.3%から11.5%と微増となっています。  また、世田谷区の人口(日本人のみ)は、今後も増加傾向が続き、2023年(平成35年)には、873,000人になると推計されます。  年齢3階層別人口では、年少人口(0〜14歳)が2013年(平成25年)の97,521人(11.5%)から約1万人増加し、108,000人(12.3%)に、高齢者人口(65歳以上)は、163,484人から約1万7千人増加し、180,000人(20.7%)へと増加となります。  しかし、生産年齢人口については、584,917人(69.2%)から585,000人(67%)と人口は横ばいではあるものの、年少人口と高齢者人口の増加に伴い、構成比については減少します。  2024年(平成36年)以降は、今後の社会動向により大きな影響を受けますが、その後も続く高齢者人口の増加に伴い、総人口の微増傾向が続くと推測される一方、年少人口については、減少に転じ、区においても少子高齢化が急速に進んでいくと見込まれます。 4.土地利用等  区の面積は、5,808ha であり、土地利用の約9 割が住居系で占められており、住宅地としての特徴を色濃く示しています。  地域の貴重な資源であるみどりは、2011年(平成23年)調査時のみどり率が24.6%でした。  世田谷区は、都心や郊外へ延びる東西の中距離鉄道が発達しており、補完的に近距離の移動を目的としたバス網と、区内の各駅を結ぶ路線を中心に発達しています。そのようななか、南北公共交通の強化をはじめ、安全安心かつ快適に移動できることが求められており、新たな公共交通環境の整備が必要といえます。 5.地域資源  代表的な地域・地区コミュニティの組織である町会・自治会196団体の加入率は、2012年(平成24年)7月時点では約57.1%と、1991年(平成3年)の66.21%から低下傾向にあります。  ここ数年にわたる地域の活性化に向けた支援の成果として、2009年(平成21年)から2010 年(平成22年)にかけては、わずかに上昇に転じていますが、長期間で見た場合、集合住宅の増加等により、地域のつながりが薄れているという傾向は否めません。  一方、福祉・子育て、環境保全などさまざまな分野で、NPO 法人等による活動が活発です。1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災の際の災害対策等の活動を契機に、行政のさまざまな限界を超えて、公的サービスを提供できる存在として、NPO 法人等の活動に対する意識が高まったことによるものです。区では、1999年(平成11年)のNPO 法施行の初年度においては、NPO 法人認証数は23団体でしたが、14年経過した2013年(平成25年)3月には、471団体と増加しています。  一方、学校を拠点としたコミュニティも活発であり、1997年度(平成9 年度)から、全国に先駆け、区立小・中学校に「学校協議会」が設置され、さらには、「おやじの会」の活動など、児童・生徒の健全育成、地域防災活動、学校教育の充実等に取り組んでいます。また、2013年度(平成25年度)から、全区立小・中学校が地域運営学校となり、保護者や地域住民等が一定の権限と責任を持って学校運営に参画するなど、地域とともに子どもを育てる教育を推進しています。  内産業においては、2004年(平成16年)の区内事業所総数が、25,750箇所でしたが、2012年(平成24年)の調査では、24,435箇所と減少していますが、区においては、情報通信業(1.4%)や、医療・福祉(1.2%)の部門が微増傾向にあります(※平成19年度に産業分類を改訂)。 6.公共施設  世田谷の公共施設は、1960年代(昭和30年代)半ばから1980年代(昭和50年代)の半ばにかけての人口増加に伴い、小・中学校をはじめとして多くが整備されました。今日、これらの施設は建築から50年を経過し、改築や大規模改修が集中する時期を迎えており、その経費が大きな財政負担となっています。区の公共施設は、2013年(平成25年)4月現在において、855施設あり、他の住宅都市と比較しても、整備の量的水準は概ね上回っている状況にあります。 7.財政状況  世田谷区の財政状況は、ここ数年、税収等の大幅な好転が見込めないなか、社会保障関連経費や公共施設の改築・改修経費の増加などに対応するため、基金からの繰入れや特別区債の発行により財源を確保せざるを得ない厳しい状態が続いています。  こうした状況においても、区は、子ども・若者、高齢者、障害者への支援の充実、環境に配慮したまちづくり、災害対策の強化などの重点施策を着実に推し進めていかなければなりません。  このような状況に対応するため、区では2005年度(平成17年度)には、行政経営改革計画を策定し、民間活力の活用や、外郭団体の改善、職員定数の削減等、行政改革・経営改革を積極的に進めてきました。また、2010年度(平成22年度)においては、より強固で安定した財政運営基盤を構築し、安全・安心の取組みや子育て支援などの区政の重点課題に確実に取り組んでいくため、「政策点検方針」に基づく各施策事業の聖域なき点検・検証を行い、徹底した見直しを全庁で図ったところです。  さらには、2012年度(平成24年度)においては、新たな行政経営改革を推進するため、基本方針を策定し、2013年度(平成25年度)を実施時期とする利用者負担等の見直しをはじめとする行政経営改革に着手しました。  今後の世田谷区の財政見通しとしては、歳入では、国の経済見通し等を踏まえ、特別区税、特別区交付金については、概ね現在の水準が続くと見込んでいます。  一方、歳出では、社会保障費の増加傾向が続くなか、公共施設の改修・改築経費の増等により、投資的経費が大幅に増加する見込みです。これらに加えて、今後の税制改正等の動きによっては、区財政への大きな影響が懸念されるところです。このように、歳入と歳出の両面で予断を許さない環境下において、将来の財政需要や景気の変動に対応していくためには、たゆまぬ行財政改善の取組みが不可欠であり、これにより持続可能な財政基盤をより強固なものとすることが重要です。 8.地方分権  地方分権一括法(地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律)が1999年(平成11年)7月に公布、2000年(平成12年)4月から施行されたことにより、特別区制度改革が始まり、基礎的な地方公共団体として、東京都が処理するものを除き、住民に身近な事務が都から特別区へ移譲し、実施されました。  また、特別区は「基礎的な地方公共団体」として位置づけられるとともに、特別区の自主性・自律性を高めるため、都区財政調整制度の改正や、清掃事業をはじめとする住民に身近な事務が移管されましたが、都区の役割分担などの課題が残されており、検討が進められています。  一方、国においては、地方分権改革推進法が、2006年(平成18年)12月に公布、2007年(平成19年)4月から施行され、同法に基づき地方分権改革の推進に関する基本的事項を検討するために、地方分権改革推進委員会が設置されました。  この委員会では、2008年(平成20年)5月の第1 次勧告を皮切りに、2009年(平成21年)11 月の第4次勧告まで実施され、政府は同年12月に地方分権改革推進計画を決定しました。  その後、地域主権戦略大綱やアクションプランを踏まえ、2011年(平成23年)4月に「地域の自主性および自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第1次一括法)および「国と地方の協議の場に関する法律」、「地方自治法の一部を改正する法律」が成立しました。同年8月には第2次一括法が成立し、さらに、2013年(平成25年)3月には、「地方分権改革推進本部」が内閣に設置され、同年6月に第3次一括法が成立しました。これを受けまして、区においては、世田谷の地域性を踏まえ、区民生活向上の観点から、独自基準を盛り込んだ条例等の制定・改定に取り組んでいます。  また、区においては、基礎自治体における住民自治の充実や、行政と住民との協働推進の考え方を踏まえ、1995年(平成7年)から当時の出張所(27箇所)に身近なまちづくり推進協議会を設置しました。各地区における特性や特色を活かしたコミュニティ活動の活性化を図るため、本庁(全区)をはじめ、全国に先駆けて都市内分権として、平成3年より地域行政制度をスタートさせ、三層構造による総合支所(地域)、出張所・まちづくりセンター(地区)がそれぞれ連携を図り、参加交流の場の設置、人的資源の発掘・育成の促進等を区の役割として果たしています。 2 視点 基本計画の位置づけ  本計画は、区民生活のニーズと世田谷区の抱える課題に対して、区民とともに実現をめざす将来目標を設定し、向こう10 年間に区が重点的に取り組む施策の方向性を明らかにした区政運営の基本的な指針です。  区民・事業者・各活動団体の活動により営まれている世田谷という地域社会を住民自治と協働を基調に、地域の資源を最大限活用し発展させるための地域経営の指針となります。  また、区の各行政分野の個別の計画を総合的に調整する指針の役割を果たし、中期的展望に基づき、具体的な事業を推進する実施計画と行政経営改革計画を連動させ、推進を図ります。 1.主要な課題と重点政策  本計画において特に重視すべき主要な課題の解決に向けて、基本計画全期間(10年間)を通じて、区民、事業者、行政がともに取り組むべき、基本構想に掲げる「九つのビジョン」を貫き、基本計画全体を牽引する重点的な政策を示します。 2.分野別政策  基本構想の「九つのビジョン」を行政の各分野において具体化するとともに、基本構想で示された目標や理念を踏まえて法定計画などの個別計画を策定するため、各分野の課題や方針、施策の方向を明らかにします。 3.地域計画  住民自治をより発展させ、地域の意思を反映した施策を展開するため、地域や地区の将来像として、地域の住民参加のもとで「地域計画」を明らかにしています。 4.実現の方策  基本計画を推進するうえでの、区民参加のあり方や執行体制等をはじめとする自治体経営について、取組みの方向性を明らかにしています。 5.計画の期間等  2014年度(平成26年度)から2023年度(平成35年度)までの10年間の計画ですが、今後、区を取り巻く社会経済状況などの大きな変化があった場合には、必要な調整を図ることとします。 基本方針  基本構想が示す九つのビジョンの実現に向け、以下の3 つを基本計画における基本方針とします。 ○住民自治の確立 −参加と社会的包摂−  区民が主体的に地域を運営する住民自治の確立に向けて、区の計画や条例の策定などへの区民参加の機会を充実するとともに、地域行政を進め、住民の意思を尊重した区政運営を行います。  また、だれであれ同じ世田谷区の一員として受け入れ、それぞれが自らの意思で生き方を選択しながら地域社会に参加することができる、社会的包摂のしくみをつくります。 ○環境と調和した地域社会の実現  みずとみどりに恵まれた良好な生活環境を守り、次の世代に伝えるとともに、都市の新たな魅力や活力を創出するため、一人ひとりの暮らし方や都市機能のあり方を見直します。生活を支える環境・エネルギーへの取組みや災害への備えを、区民、事業者、行政それぞれが主体的に進めることにより、環境と調和のとれた、何かあっても立ち直れる復元力を持った地域社会をつくります。 ○自治権の拡充と持続可能な自治体経営の推進  地方分権の動きの中で、東京都内で最大の人口を擁する基礎自治体として、地域の実情や区民のニーズを踏まえ、主体性や独自性を持った政策展開を図ります。都区制度改革を進め、区への権限委譲や財政自主権の確立など自治権の拡充をめざすとともに、限られた資源を最大に生かして行政経営改革に取り組むことにより、強固で安定した財政基盤を確立し持続可能な自治体経営を行います。 3 主要な課題と重点政策  この20年間、世田谷区を取り巻く経済・社会環境は大きく変わりました。とりわけ、経済や文化を中心に人やモノ、カネ、情報が国境を越えて動きまわるグローバル化や地球資源の限界などの環境問題に直面しています。東日本大震災、その後の原子力発電所の事故は、日頃からの災害への備えや、エネルギー問題などの都市の生活を支える安全の問題を改めて認識しました。また、環境と共生する暮らしのほか、老朽化が進む都市基盤の更新を進めていく必要があります。  一方、高齢化が確実に進むなかで、高齢者の単身世帯が増えています。核家族化や単身世帯の増加が、日々の暮らしのなかで、孤立しがちな都市での生活に大きな影響を及ぼします。孤立や孤独に対応した、新たなつながりの構築が、地域社会の安定と安心を支えます。  こうした変化の激しい時代、多様化する区民ニーズに、常に最善の施策を組み立て続ける必要があります。未来の見通しが容易ではないなかにあって、今後10年間の施策展開の姿勢や、手法を改めて明確にする必要があり、そのことを明確にして重点政策に取り組む必要があります。  区がこれまで、区民とともに築いてきたさまざまな取組みや知恵も踏まえて、区民とともに歩みを進めます。 (課題としての3つの方法論とマッチング) マッチング(つながり・組み合わせ) 1 参加  地域の課題解決には、これまでも区と区民、団体、事業者は情報を共有しつつ、適切な役割分担のもと連携しながら、多様なまちづくりを進めてきました。  今後、直面するさまざまな課題の解決に向けて、区は、さまざまな機会を通じて、広く主体的な参加を呼びかけ、施策を展開します。 2 協働  高齢化の進展、子育て支援、災害への備え、環境共生、都市づくりなど、今後、地域の課題は広がり、質量ともに増えていくことが予想されます。こうしたなかで、区だけではなく、民間の資源を活かし、区と区民、事業者は適正な役割分担のもと、責任を分かち合い、ともにまちづくりを進めます。 3 ネットワーク  課題の解決のためには、個別の取組みや一人の力にとどまらず、ソフト、ハード、区と区民、事業者はともに力を合わせて、より一層の施策の効果を高める必要があります。そのため、あらゆる取組みと連携、補完しあうことで、ネットワークの力を発揮させます。  参加・協働・ネットワークという施策展開の手法や姿勢は、個々別々に行われていたのでは、多様化・複雑化する地域社会にあっては、充分に機能しないことがあります。これらをマッチングしていく必要があります。 『マッチング(つながり・組み合わせ)』  「マッチング」とは、複数の多種多様なものを、共有した目的に向けて、より大きな成果が得られるように組み合わせることを指します。需要と供給のミスマッチや、アンバランスなどが「マッチング」による結果、最適化され、新たなまちづくりの力が生み出されます。区民ニーズと施策、個人と団体、行政と民間、雇用、施策など、幅広く常にマッチングを図ります。 ○重点政策のねらい  重点政策は、基本構想(案)の「九つのビジョン」に込められた目標や理念を踏まえ、確実に主要な課題を解決し、諸施策を展開するにあたり、特に重要な政策についてその目的と方向性を掲げ、関係部門が連携し、区民・事業者とともに、総合的に展開することをねらいとしています。  今後10年間にわたり、区は、その実現に努めていきます。その過程のなかで、総力をあげて政策実現のノウハウを重ね、区民との協働を進めるなかで、基本計画全体をリードしていきます。 ○選定の視点  重点政策の選定にあたっては、基本方針をもとに、分野別政策で取り上げた各課題に沿って、横断的に取り組んでいきます。そのうえで、この10年間を見据え、課題解決のキーポイントとなる施策を中心に重要性・先駆性・象徴性・創造性などを総合的に考慮し、「六つの重点政策」を選定しています。 1 未来の世田谷を担う教育の推進、子育て・若者支援、子どもにやさしいまちづくり  成長とともに活躍の場を地域に拡げ、多世代との交流や体験の積み重ねにより、社会の一員としての自らの力を自覚し発揮できるよう、地域・学校・家庭と連携して支える取組みを通じて、子ども・若者が輝くまちづくりをめざします。 【趣旨】 ・世田谷らしい豊かな教育基盤を活かして、「世田谷9年教育」の推進などを通し、子どもの一人ひとりの個性・能力を伸ばし、これからの社会をたくましく生き抜く力を学校・家庭・地域が連携・協働してはぐくみます。 ・配慮を要する児童・生徒への教育的ニーズの高まりやいじめ・虐待の増加など、子どもたちを取り巻く環境の変化に対応した教育の推進が求められています。このため、小・中学校における特別支援教育にかかわる体制強化を進めるとともに、いじめ防止対策推進法も踏まえ、教育相談機能・不登校対策のさらなる充実を図っていきます。 ・家庭や地域の子育ての孤立を防ぐために、家庭の中で親子のふれあう時間、子ども同士、子どもと大人の交流の大切さや、子どもの声をめぐる近隣トラブルを乗り越えて地域の理解を広げ、子育て・子どもの育ちにやさしいまちづくりを進めます。 ・若者は世田谷の今、そして未来の担い手です。児童館や社会教育施設など青少年活動の場のさらなる活用を通じて、若者の参加・参画と地域での主体的な活動を支援します。 ・支援の必要な子ども・若者を支えるための、相談・支援機関、就労や自立支援団体などのネットワークの充実を図り、地域社会との信頼関係の構築や社会生活の移行をめざします。 ・ひとり親家庭の子どもや障害のある子ども、経済的困窮にある子どもなど、支援を必要とする子どもの置かれた状況に応じたきめ細かな支援に取り組みます。潜在的な保育ニーズの充足も視野に入れ、保育園待機児解消に向けた多様な保育サービスの拡充と幼児教育の場の確保とともに、在宅での子育てを支援するおでかけ・子育てひろばや、ほっとステイなどを地域コミュニティの中で連携して充実し、活用を進めます。 (基本方針) 「住民自治の確立−参加と社会的包摂」「環境と調和した地域社会の実現」 (キーワード) 「子どもの成長と活躍する場」「地域で育つ子ども」「子ども社会から地域へ」「公園デビューから児童館デビューへ」「子どもの参加・参画」「子どもは社会で育つ」「生き抜く力をはぐくむ」 【内容】 検 討 中 【関連施策】 分野別政策       施策テーマ(小分野) 健康・福祉       地域支えあいの推進 子ども若者・教育    知育・徳育・体育の充実、特別支援教育・教育相談・不登校対策の充実、子どもの成長と活動の支援、若者の活動と交流の推進、地域の子育て支援の推進、支援を必要とする子どものサポート 暮らし・コミュニティ  区民の地域活動への参加促進 2 高齢者・障害者等の在宅生活を支えるための地域包括ケアシステムと住まい  高齢者人口や、介護保険の要介護認定者の数、障害者の数が年々増加傾向にあり、子育て世帯の孤立化や育児不安の軽減が課題となっているなか、区民の誰もが住みなれた地域で、安心して健やかに暮らし続けることができるよう、身近な地域で公的サービスだけではなく、区民、地域活動団体、各種事業者などと連携・協力して、多様な主体による行き届いた保健・医療・福祉サービスが提供される地域づくりをめざします。 【趣旨】 ・誰もが住みなれた地域で、健やかに安心して暮らし続けられるよう、高齢者・障害者から子育て家庭など、支援を必要とする人が身近な地域で相談し、適切な支援が受けられる地域包括支援システムの構築をめざします。 ・地域包括ケアシステムを構築するためには、いつまでも元気に暮らすためにその基礎となる健康づくり等を推進するとともに、身近な地域において、ニーズの発見・把握や総合的な相談、包括的・継続的な支援、社会資源の開発等が必要です。 ・地域の見守りや区民相互の助けあい、支えあいを促進するとともに、区民、地域の活動団体、事業者等との協働による取組みを発展させ、新たな社会資源の開発やサービスの拡充を図ります。 ・良質な住宅ストックを確保するとともに適切な維持管理を促進し、さまざまな人が安心して暮らすための居住支援や、誰もが地域で住み続けられる住まいづくりを進めます。 (基本方針) 「住民自治の確立−参加と社会的包摂」「環境と調和した地域社会の実現」 (キーワード) 「総合的な相談」「コーディネート機能」「専門相談の支援」「身近な地域や地区」「見守り・支えあい活動」「福祉のまちづくり」「多様な住まい」「グループホーム、ケア付住宅」「選択できる住まい」「自立からの入居」「安心できる・楽しい暮らし」「こころとからだの健康づくり」 【内容】 検 討 中 【関連施策】 分野別政策       施策テーマ(小分野) 健康・福祉       相談支援機能の確立と強化、保健・医療・福祉の連携強化、在宅生活を支える保健福祉サービスの整備、見守り施策の推進、地域支えあいの推進、生涯を通じた一人ひとりの健康づくりの推進 子ども若者・教育    地域の子育て支援の推進、支援を必要とする子どものサポート 暮らし・コミュニティ  区民の地域活動への参加促進 都市づくり       様々な住まいづくりの推進、多様な住まいの確保と居住支援 3 安全で災害に強いまちづくり  東日本大震災は生活環境や、都市づくりに影響を与え、日ごろからの災害に対する意識を大きく変えました。災害に強い都市づくりを進めるとともに、災害時においては、高齢者等への安否確認等が必要かつ重要となり、出張所・まちづくりセンターを中心とした地域で支えあう体制の整備を進めます。 【趣旨】 ・東日本大震災(3.11)は都市づくりに大きな影響を与えました。区民の生命、財産、コミュニティ等を守るために、東京都による首都直下地震の被害想定を踏まえ、木造住宅密集地域の解消、建築物の耐震化、集中豪雨対策、道路や公園などの「都市の骨格づくり」を進めて災害へ備え、減災により都市のレジリアンス(復元力)を高めます。 ・災害発生時には、ひとりぐらしの高齢者や介護を必要とする人、障害のある人など、他者の手を借りる必要がある方の安否を確認するとともに、避難誘導が必要です。地域の助けあい活動を基盤とした支援体制の整備を進めます。 (基本方針) 「環境と調和した地域社会の実現」「住民自治の確立−参加と社会的包摂」「自治権の拡充と持続可能な自治体経営の推進」 (キーワード) 「都市機能のあり方を見直す」「建物の不燃化・耐震化」「災害時を支援する顔と顔がみえるネットワーク」 【内容】 検 討 中 【関連施策】 分野別政策       施策テーマ(小分野) 健康・福祉       地域防災力の向上(災害時要援護者支援の推進) 暮らし・コミュニティ  区民の地域活動への参加促進、地域防災力の向上、啓発活動の推進(地域のコミュニティ力の向上) 都市づくり       道路ネットワークの計画的な整備、公園・緑地の計画的な整備、都市基盤の適正な維持・更新、木造住宅密集地域の解消、建築物の耐震化の促進、豪雨対策の推進 4 自然の恵みを活かして小さなエネルギーで暮らすまちの実現  エネルギーを取り巻く環境が見直され、一人ひとりの暮らし方を考える時期にあります。自然と共生し、再生可能エネルギーの活用と省エネにつながる身近な行動を実践するなど、個人のライフスタイルの転換、他自治体と連携した地域間でのエネルギーの活用の取組みを進めます。 【趣旨】 ・東日本大震災と原子力発電所の事故により、エネルギーを取り巻く状況は大きく見直すことを余儀なくされています。限られた資源のなかで、環境と共生し、持続可能な地域社会をつくるために、新たなエネルギーの有効利用が求められています。また、地球温暖化による気温の上昇は、自然環境や経済、さらには私たちの健康や生命にも重大な影響を及ぼす重大な問題であり、地球温暖化対策の推進は喫緊の課題でもあります。 ・私たちは、これまで築いてきた、みどりとみずに育まれた豊かな世田谷の生活環境を、次の世代に引き継いでいく責務があります。そのためには、環境に配慮したライフスタイルへの転換が必要となります。世田谷らしい、みどりとみずの豊かな住環境を保全・創出していくとともに、環境と共生し、調和した暮らし方を提案し、施策展開の軸に環境を据えて、環境共生都市をめざします。 ・環境に配慮したまちづくりを進めるために、これまでの都市のあり方を見直し、自然と共生しながら、小さなエネルギーを効率よく利用するまちへと転換を図ります。再生可能エネルギーを中心としたエネルギーの地産地消を促進するとともに、住宅の環境性能の向上などの省エネルギーの推進に取り組みます。さらに、再生可能エネルギーの普及促進や、新たな環境技術の進展を見据え、他自治体との地域間連携を進めます。 ・自然環境を次世代に継承するため、地域の自然・歴史など地域資源を活用して、持続可能な社会を実現するための学習を支援していきます。 (基本方針) 「環境と調和した地域社会の実現」「住民自治の確立−参加と社会的包摂」「自治権の拡充と持続可能な自治体経営の推進」 (キーワード) 「小さなエネルギーで豊かに暮らすライフスタイル」「エネルギーの地産地消と地域間連携」「みどりとみず」「みどり33」「良好な住宅都市の形成」「環境にやさしい交通環境の整備」 【内容】 検 討 中 【関連施策】 分野別政策       施策テーマ(小分野) 子ども若者・教育    生涯学習社会の実現 暮らし・コミュニティ  再生可能エネルギーの活用と省エネルギーの推進、環境に配慮したライフスタイルへの転換 都市づくり       様々な住まいづくりの推進、地下水の涵養と保全ならびに雨水の利活用、協働によるみどり豊かなまちづくりの推進、世田谷らしいみどりとみずの保全・創出、自転車利用環境の整備 5 世田谷の文化の創造と知のネットワークづくり  文化施設や芸術・表現などの文化資源は、生活に潤いや精神的な豊かさをもたらすものです。さまざまな年代の、多様な区民が文化資源にふれ、感じ、学ぶことで、心豊かな、ネットワークを形成し、世田谷からの文化発信や時代に即した公共文化施設のあり方を整えます。さらに、生涯を通じた学びの場の充実など、学びと文化を育んでいきます。 【趣旨】 ・世田谷には、美術館、文学館、文化生活情報センターなどの公共文化施設だけでなく、民間文化施設として、劇場や音楽ホールなど多くの施設が点在しています。さらには、図書館をはじめ、地域の伝統文化や歴史的文化財など、多彩な文化資源があります。また、区内には芸術・文化の第一線で活躍する方も多く住んでいます。こうした文化資源の魅力を高めるとともに、広く内外に発信し、地域に活かしていくことで、区民の文化的な生活を豊かにします。 ・区民の学習活動の基盤となる図書館には、資料・情報や学習活動支援を求め、多世代・多様な区民が集まり、コミュニティの中になくてはならない空間となっています。 ・こうした図書館にある情報や知の蓄積を、多様な区民ニーズに対応し、より柔軟に提供できるよう、中央図書館、地域図書館などからなる図書館ネットワークを確立します。また、資料の充実やICTの活用などにより、区民の課題の解決や学びによる生活の質を高める知と学びと文化の情報拠点とするとともに、地域に開かれた「学びと文化を育む場」としてネットワークを築いていきます。 (基本方針) 「住民自治の確立−参加と社会的包摂」「自治権の拡充と持続可能な自治体経営の推進」 (キーワード) 「区内にある多彩な文化・芸術資産の魅力」「生活の中に文化を感じる」「地域的な伝統文化、文化財」「区民が生涯を通じて学びあい、世代を超えた交流」 【内容】 検 討 中 【関連施策】 分野別政策       施策テーマ(小分野) 子ども若者・教育    知と学びと文化の情報拠点としての新たな図書館の創造、生涯学習社会の実現、文化財の保護・普及活動の推進 暮らし・コミュニティ  区民の地域活動への参加促進、多彩な文化・芸術資源の魅力発信、商業・サービス業の振興、まちなか観光の推進 6 豊かなコミュニティ活動の発展と住民自治の推進  町会・自治会をはじめとする地域のコミュニティは、新たな人材の確保や、参加のきっかけをつかめない人たちの掘り起こしなどが課題となっています。参加の新たなしくみを構築し、参加意欲を醸成する必要があります。地域の人同士がつながる場や、それを支援するコーディネーターの活用などのしくみを整えます。 【趣旨】 ・災害への備えをはじめ、防犯などの安全安心の活動、高齢者や子どもの見守り支えあい、青少年・若者支援、生涯学習の場と世田谷には地域のコミュニティに支えられた活動が数多くあります。これらの世田谷の財産を引き継ぎ、広げ、次世代に伝えていく必要があります。 ・集合住宅の増加により、町会・自治会への加入の呼びかけが困難な状況にあり、その中核を担う役員の高齢化が進み、町会・自治会をはじめとする地域のコミュニティは活動の継続が懸念され、新たな人材の確保が課題となっています。一方、コミュニティ活動に参加していない区民も、参加のきっかけがない、メリットを感じられないなどの理由から、コミュニティ活動への参加が進んでいるとは言い難い状況となっています。 ・この状況を変えていく取組みを区民とともに築き、地域の住民が地域の課題を解決したり、公共サービスを運営していく新たな住民自治のしくみを作っていく必要があります。参加する人がメリットを共有できる活動をつくる、地域の人同士がつながる場や連携する場をつくる、地域の活動を支援するコーディネーターを活用するなど、コミュニティを活性化し、地域人材の確保に取り組み、協働のしくみを進めます。 ・地域の街づくりでは、区民と区がともに地域のことについて考え、地区の特性にあったルールや取組みを進めていく区民参加の街づくりを推進します。 (基本方針) 「住民自治の確立−参加と社会的包摂」「自治権の拡充と持続可能な自治体経営の推進」 (キーワード) 「人と人のつながり」「多様性を認めあう社会」「ゆるやかなつながり」「町会・自治会」「NPO 活動」「小学校は一つの拠点」「協働型の地域社会」「地域の世代交代」「喜びを共有できる地域社会」「福祉文化」「地域の絆」 【内容】 検 討 中 【関連施策】 分野別政策       施策テーマ(小分野) 健康・福祉       介護予防の総合的な推進、地域支えあいの推進、見守り施策の推進 子ども若者・教育    地域の子育て支援の推進、支援を必要とする子どものサポート 暮らし・コミュニティ  区民の地域活動への参加促進、区民が参画する団体の活性化促進、区と活動主体及び活動主体同士の連携・協働促進、多文化共生の推進、啓発活動の推進(防犯意識の向上等の啓発活動の推進) 都市づくり       地区街づくりの推進 4 分野別政策  自治体として、やらなければならない政策全般について示すものであり、各分野別政策における今後の方針を整理し、取組みの方向性等を示します。 健康・福祉  健康づくりの推進  相談支援体制の確立及び保健・医療・福祉の連携強化  区民、事業者等との協働による地域づくり  保健福祉サービスの質の向上と権利擁護の促進  地域福祉を支える基盤整備 子ども若者・教育  若者が力を発揮する地域づくり  地域社会を創る生涯学習の充実  子どもが育つ環境づくり  質の高い学校教育の充実  子ども・子育て家庭への支援 暮らし・コミュニティ  多様性の尊重  地域コミュニティの促進  文化・芸術の推進  生涯スポーツの推進  快適で暮らしやすい生活環境の創造  産業振興・雇用促進  安全・安心のまちづくり 都市づくり  災害に強い街づくり  みどりとやすらぎのある快適な住環境の推進  魅力ある街づくり  交通ネットワークの整備  都市基盤の整備・更新 健康・福祉 【主要な課題による展開】  一人ひとりの健康づくりの大切さが根底にあります。社会全体に影響を及ぼすような健康課題や、災害発生時に備えた安全安心の確保など、健康危機管理が重要です。  こうしたなか、誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、高齢者・障害者から子育て家庭など、支援を必要とする人が身近な地域で相談し、適切な支援が受けられる地域包括ケアシステムの構築をめざしていきます。 1.健康づくりの推進 【現状・課題等】 ○世界的にがんや循環器疾患などのNCD(Non Communicable Disease:非感染性疾患)の予防と管理を行う政策の重要性が認識されているなか、区においても肥満や糖尿病、がんなどの生活習慣病が増加傾向にあり、疾病の発生予防と重度化予防を重視した生活習慣病対策が課題です。また全国的に自殺者が高い水準で推移し、世田谷区においても毎年150人前後が自殺で亡くなっていることからも、こころの健康づくりへの支援が課題です。 ○新型インフルエンザ等の新興・再興感染症、食品等の食中毒、医薬品による健康被害など、生命や健康を脅かす事態が発生しており、感染症等の健康危機に備えた体制整備や災害時における要医療者の支援、飲料水や食品の安全・安心の確保等が課題です。 ○各地域では、区民との協働のもとで様々な健康づくり施策を推進してきました。一方で、「世田谷区民の健康づくりに関する調査」(平成22年度)では、健康づくりに関する意識は高いものの、実践に結びついていない実態が見られます。ライフステージに応じて健康に関する高い意識を実践的に結びつけることができる環境整備に努める必要があります。 ○世田谷区の介護保険の認定率は、全国や東京都の平均と比較して高い水準で推移しています。一方で、平均寿命は、全国平均を上回っているとともに東京23区の中でも上位に位置しています。介護が必要になる恐れがある高齢者を適切に把握し、介護予防教室への参加を積極的に促していくとともに、介護予防の取組みを区民全体へ周知を図る必要があります。 【取組み事業の内容】 (1)生涯を通じた一人ひとりの健康づくりの推進 ・社会全体に大きな影響を及ぼす健康課題や、区民の健康づくりの基本となる課題として、がん対策を含む「生活習慣病対策の推進」と自殺対策を含む「こころの健康づくり」を重点的かつ総合的に取り組みます。 (2)健康に関する安全と安心の推進 ・新型インフルエンザ対策等の新興・再興感染症対策の充実や災害発生時に備えた医療体制等の整備など、区民の健康に関する安全と安心を確保するため、必要な環境整備や健康危機管理に取り組みます。 (3)介護予防の総合的な推進 ・介護が必要となる恐れのある高齢者(二次予防事業対象者)を効率的・効果的に把握し、介護予防事業の普及啓発を行うとともに、介護予防教室の案内に努め参加者を増やすなど、健康づくり、スポーツ等との政策と連携し、区民の多様なニーズに対応した施策の展開を図ります。 【関連する法令、条例、個別計画等】 地域保健法、健康増進法、食育基本法、がん対策基本法、自殺対策基本法健康づくり推進条例、健康せたがやプラン第二次、第3期世田谷区障害福祉計画、第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画 【取組み事業の体系】 健康づくりの推進  生涯を通じた一人ひとりの健康づくりの推進  ・生活習慣病対策の推進(がん対策を含む)  ・こころの健康づくり  健康に関する安全と安心の推進  ・健康危機管理  介護予防の総合的な推進  ・介護予防事業 2.相談支援体制の確立及び保健・医療・福祉の連携強化 【現状・課題等】 ○世田谷区の高齢者人口は増え続けており、2025年(平成37年)には、団塊の世代が後期高齢者となることから、今後も支援が必要な高齢者の増加が予測されます。また、障害者の数は年々増加傾向にあり、さらに難病や発達障害等が新たな対象となるなど、障害者制度の対象が拡大しています。 ○高齢者、障害者、子どもなど、個別の法律等に沿った相談支援を行っていますが、介護と障害、子育てなどの問題が複合化しているケース、地域の人が問題に気づき相談するケース等の適切な相談支援が必要です。 ○地域住民が身近なところで気軽に相談ができるように、相談機能の利便性の向上を図る必要があります。また、多様化、複雑化する相談内容や制度の狭間の問題に対して、公的な関係機関やインフォーマルサービスなどへつなげられるように、相談支援のコーディネート機能の強化を図る必要があります。 ○高齢化の進展に加え、療養病床再編や入院期間短縮の動きもあり、医療と介護を要する高齢者の地域での療養生活への支援の重要性が増しています。 【取組み事業の内容】 (1)相談支援機能の確立と強化 ・高齢者だけではなく、障害者や生活困窮者及びその家族、子育て家庭などを対象とし、身近な地域で気軽に住民の誰もが利用しやすい総合的な相談窓口体制の整備を進めます。 ・高齢者の介護ニーズや児童の保育ニーズなどのように顕在化している問題だけでなく、地域に潜在する虐待やドメスティックバイオレンス、生活困窮、ひきこもりなどの課題等を抱える家庭を、社会福祉協議会等と連携し、地域の中で発見・把握し、必要な援助・支援を行う体制をつくります。 (2) 保健・医療・福祉の連携強化 ・高齢者等が在宅等で安心して療養ができる体制の構築に向けて、「医療連携推進協議会」のもとにさらなる在宅療養の体制強化を図るため、保健・医療・福祉関係者の連携を推進します。 ・認知症対策について、医療機関との連携を強化し、認知症の方を早期に発見し、医療や福祉による早期対応の体制を確立させます。 【関連する法令、条例、個別計画等】 介護保険法、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、地域保健医療福祉総合計画、第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、せたがやノーマライゼーションプラン、第3期障害福祉計画 【取組み事業の体系】 総合相談体制の確立及び保健・医療・福祉の連携強化  相談支援機能の確立と強化  ・相談支援の確立  保健・医療・福祉の連携強化  ・(仮称)認知症在宅支援センターの開設 3.区民、事業者等との協働による地域づくり 【現状・課題等】 ○高齢化や核家族化の急速な進展に伴い、高齢者のひとりぐらしや、高齢者のみ世帯が増加しています。地縁や血縁などの絆の希薄化が進んでいるとともに、プライバシーを重視したライフスタイルが定着してきており、孤立死や虐待、消費者被害などの問題が増えています。 ○高齢者等への支援を必要とする人の日常生活の異変を速やかに相談機関や専門機関につなげ、必要なサービスや支援、見守りを提供するなど、地域におけるネットワークづくりが重要です。 ○ひとりぐらしの高齢者等が、地域とかかわりを持ちながらいつまでも安心して生活できるよう、地域住民による自主的・自発的な支えあい活動を支援し、拡充していく必要があります。 ○災害時に自力で避難が困難な高齢者や障害者といった災害時要援護者に対する、安否確認や避難支援を円滑に行うには、町会・自治会、民生委員・児童委員等との連携を強化する必要があります。 ○災害時要援護者支援として、地域での担い手確保や、一般、専門ボランティアの活用のしくみづくり、区民・事業者と連携した共助の取組みの拡大などが課題です。 【取組み事業の内容】 (1)見守り施策の推進 ・地区のさまざまな活動団体が主体的に参加するネットワークを展開し、地区内に普及啓発を図ることにより、高齢者の異変をあんしんすこやかセンターなどの相談機関に速やかにつなげ、見守りや必要な支援を提供するしくみを構築します。 (2)地域支えあいの推進 ・社会福祉協議会と連携し、活動の場の確保や整備を進めるとともに、住民と協働し地域福祉を向上させるため、見守りや権利擁護施策等における地域人材の活用と育成を推進します。 (3)地域防災力の向上(再掲) ・地区の防災拠点である出張所・まちづくりセンターを中心に、地域における災害時要援護者への支援に取り組みます。 【関連する法令、条例、個別計画等】 地域保健医療福祉総合計画、せたがやノーマライゼーションプラン−世田谷区障害者計画−、第3期障害福祉計画、第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画 【取組み事業の体系】 区民、事業者等との協働による地域づくり  見守り施策の推進  ・地区高齢者見守りネットワーク  地域支えあいの推進  ・地域支えあい活動 4.保健福祉サービスの質の向上と権利擁護の促進 【現状・課題等】 ○地域住民の互助による見守りや支えあいの取組みをより一層促進し、近隣の住民同士の協力関係を築くとともに、虐待防止のネットワークや、成年後見制度など、権利擁護の取組みを充実させ、支援を必要とする人の生活の安心を守っていく必要があります。 ○福祉ニーズが多様化・複雑化し、サービス提供事業者も年々増加しているなか、サービスの質を担保することで区民が安心してサービスを利用できる環境整備への取組みが、一層重要性を増しています。 【取組み事業の内容】 (1)高齢者・障害者の権利擁護の促進 ・権利擁護の取組みについて、成年後見制度等の普及啓発や区民後見人の育成を図るとともに、後見活動の長期化・多様化に対応するため法人後見活動の取組みを推進するなど、社会動向を注視しながら利用者のニーズにあった支援に社会福祉協議会と連携して取り組みます。 (2)保健福祉サービスの質の向上 ・事業者の苦情・事故報告書や第三者評価等を活用して指導助言を行うとともに質の評価のあり方等も検討しながらサービス改善を支援していきます。また、サービスに関する情報を積極的に発信し、利用者の自己選択を支援するとともに、計画的かつ適正な指導検査によってサービスの質を担保します。 【関連する法令、条例、個別計画等】 地域保健医療福祉総合計画、せたがやノーマライゼーションプラン−世田谷区障害者計画−、第3期障害福祉計画、第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画 【取組み事業の体系】 保健福祉サービスの質の向上と権利擁護の促進  高齢者・障害者の権利擁護の促進  ・成年後見制度等権利擁護の取組み  保健福祉サービスの質の向上  ・第三者評価による質の向上 5.地域福祉を支える基盤整備 【現状・課題等】 ○高齢者人口は、増加の一途をたどっており、要介護高齢者も増えるなか、今後も引き続き高齢者へのサービス基盤を確保していく必要があります。国が介護給付の中・重度者への重点化を方針として打ち出すなか、軽度者の日常生活を支援する総合的なサービスの提供に取り組み、介護予防の施策を効果的に展開していく必要があります。 ○障害者が地域で自立した生活が送れるよう、グループホームの確保が重要ですが、障害状況に応じた多様なニーズに対応できるグループホーム等の整備が進んでいない状況にあります。 ○障害者就労支援センターが中心となり、施設の就労支援へのサポートなどを行うことにより、障害者就労は着々と進んでいますが、さらに発達障害などの障害特性に合わせた就労支援を進め、障害者の多様な働き方について検討する必要があります。 ○ライフステージに応じた日中活動を中心とした社会参加が進められるよう、個別ニーズに応じた多様な活動の場、移動支援やコミュニケーション支援等の充実が必要です。 ○急激な社会状況の変化に応じた新たなサービスや、地域での着実なサービス提供を一層推進していくため、保健医療福祉の連携がますます重要となることに加え、区民の在宅生活を支える全区的なしくみづくりが必要となっています。 ○高齢者をはじめとして子ども・障害者も含めた支援のできる福祉人材の確保及び育成を充実していく必要があります。 ○若年層の就労自立に力を注ぎ、早期に生活保護を脱却できるような就労支援策や生活保護に陥らせない対応、また、就労意欲喚起等、若者が将来に期待が持てるしくみが求められています。 【取組み事業の内容】 (1)在宅生活を支える保健福祉サービスの整備 ・高齢者や障害者等が可能な限り住みなれた地域で日常生活を送ることができるよう、地域密着型サービスや障害者グループホーム等の計画的な整備・誘導を図るとともに、家族介護者の負担軽減等を図るため、ショートステイの基盤確保を推進します。 ・障害者の社会参加を推進するため、障害者の就労支援を促進するとともに、個々のニーズに応じた多様な活動の場、日中活動プログラムの充実を図ります。 ・都立梅ヶ丘病院跡地の一部に、相談支援・人材育成、健康づくり、高齢者支援、障害者支援などの全区的な保健医療福祉の拠点機能の整備を図ります。 (2)福祉人材の確保及び育成 ・福祉・人材育成センターの機能を見直して、子どもや障害者への対応も含めた福祉人材育成拠点として発展させ、多機関・多職種との連携を推進するなど、機能の拡充を図ります。 (3)総合的な生活困窮者への支援 ・生活困窮者の就労に関する相談や支援、自立支援等に関する課題を整理し、様々な取組みの連携、不足機能の補完等、新たな就労支援のしくみを整備します。 【関連する法令、条例、個別計画等】 介護保険法、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、第3期障害福祉計画、せたがやノーマライゼーションプラン、梅ヶ丘病院跡地利用基本構想調整プラン 【取組み事業の体系】 地域福祉を支える基盤整備  在宅生活を支える保健福祉サービスの整備  ・地域密着型サービスの基盤整備  ・障害者グループホーム等の整備誘導  ・全区的な保健医療福祉拠点の整備  福祉人材の確保及び育成  ・福祉・人材育成センターの機能拡充  総合的な生活困窮者への支援  ・就労支援のしくみの整備 子ども若者・教育 【主要な課題による展開】  少子化等により、子ども同士や多世代の関わりが希薄化しているといえます。地域での子育て力や、教育力の向上が不可欠であり、子どもや家庭への支援やサポートが必要です。一方、コミュニケーション力が不足するなど、自立した生活ができない若者等へ家庭、学校、地域で一体となった支援に取り組みます。 1.若者が力を発揮する地域づくり 【現状・課題等】 ○若者が地域で活動することは、世代を超えた地域交流の活性化とともに、若者自身もさまざまな経験を積み重ねながら成長することが期待できます。しかし、地域に関心を示さない若者、参加の機会や情報を得られない若者も多く見受けられます。 ○地域の中にも中学・高校生世代が中心となって、同世代だけでなく多様な地域住民とも主体的に関わりのもてる場所や自主的に活動できる場所が必要とされています。今できることに加え、次代の地域のリーダーとなる若者の育成と、活躍できる身近な場づくりが求められています。さらに中高生世代の居場所としての役割も果たしている児童館や青年の家といった施設の機能や、活動時間帯、使用目的などに応じた使用方法等のあり方を検討していきます。 ○フリーターや派遣をはじめとした非正規雇用の増加とともに、就労意欲があるにもかかわらず就労に結びつかない、自らの適性にマッチした仕事に就くことができない若者がいるなかで、ひきこもり、ニートといわれる就労が困難な若者の支援の必要性が高まっています。 ○長い間の孤立した生活から社会性やコミュニケーション力などの問題が生じて、生きづらさを抱えたまま自立した生活ができない若者、親の収入に依存した生活を送る若者が多いという状況は社会的損失でもあり、こうした若者が将来の生活困窮の予備軍とも想定されています。小・中学生のころからのいじめや社会への不適応が原因で、不登校やひきこもり、精神疾患等の二次障害を抱え、社会に居場所のない若者が見られることから、家庭・学校・地域の連携した予防的支援が必要になっています。 【取組み事業の内容】 若者が多様な交流のなかで成長し、活躍する場を地域とのかかわりのなかで作り、若者を核とした地域の活性化をめざすとともに、対人関係をうまく築けない若者などへの支援に取り組みます。 (1)若者の活動と交流の推進 ・若者が地域や社会とつながることができる場や機会の充実に取り組み、若者の持つ構想力や行動力、活動力などを町会・自治会・地域活動団体の協力・連携により、地域の活性化に活かします。 (2)若者の社会的自立の促進 ・若者に対して、将来の職業イメージの醸成、進路への方向性を自ら定め、能力を活かせるよう支援するとともに、就職活動の実践能力の獲得を高め、就労に結びつけます。また、小・中学校では、子どもたちに、社会の構成員としての自覚を醸成し、社会的・職業的自立に向けた能力を育成します。 (3)生きづらさを抱えた若者* の支援 ・安心して利用でき、対人関係や社会生活に対する自信を取り戻せるような「居場所」を創設し、相談支援機能の強化を図るとともに「専門支援機関」と有機的に連携し、重層的に支援が行えるしくみを構築します。また、若者の問題に対応したこころの健康づくりに取り組みます。 *学校生活や就労時の体験、対人関係でのつまずきなどを起因として、社会生活や他者との関わりがうまくいかず、めざす生き方に向かって進めない、または、目指す方向がわからないために悩んでいる若者を指します。 【関連する法令、条例、個別計画等】 子ども計画後期計画、(仮称)第2次教育ビジョン、産業振興計画 【取組み事業の体系】 若者が力を発揮する地域づくり  若者の交流と活動の推進  ・地域の担い手づくり  若者の社会的自立の促進  ・若年者の就労支援  生きづらさを抱えた若者の支援  ・総合的な若者支援拠点の整備  ・こころの健康づくり(若者の問題に対応) 2.地域社会を創る生涯学習の充実 【現状・課題等】 ○教育委員会における学校・家庭・地域の連携、協働による地域の教育基盤の整備は、PTA や青少年委員の活動などによって一定の成果をあげています。今後は、地域の多様な社会的資源と連携協働して、区民参画型の事業を充実させ、学習の成果を社会生活や地域コミュニティへの参加に結び付けていく支援が求められています。 ○図書館については、課題解決支援機能の拡充、区民ニーズや社会状況の変化に柔軟に対応できる図書館ネットワークや運営体制の検討、電子化への対応に取り組むとともに、来館困難者を含む図書館未利用者のニーズなども踏まえ、多様化する課題へ対応する新たな図書館機能の検討・充実が求められています。 ○区内で発見され、継承されている文化財について、登録・指定制度を活用した適切な保護・保存を図るとともに、郷土の歴史、文化を学習しようとする多様な区民ニーズに対応できる場と機会が求められています。 【取組み事業の内容】 (1)生涯学習社会の実現 ・区民が地域の生涯学習事業への区民の主体的な参画と活動支援を通して、学習の成果を生かし地域の絆を育てるコミュニティの創造をめざします。 (2)社会教育の充実 ・地域で共に学びあい、育ちあう学習活動を支援するとともに、学習の成果を生かして社会的な貢献につながる環境づくりを進め、次の世代と社会の担い手を育てます。 (3)知と学びと文化の情報拠点としての新たな図書館の創造 ・中央図書館の機能拡充をめざすとともに、図書館ネットワーク(まちかど図書室、図書館ターミナル含む)や、施設の整備・充実、課題解決支援の方策を検討・実施します。また、子ども読書活動推進のため、家庭、地域、学校における子どもの読書活動の充実を図ります。 ・新たな図書館機能について検討を進め、新たな図書館像を示す第2次図書館ビジョンを策定します。 (4)文化財の保護・普及活動の推進 ・文化財の普及・啓発を担う自主的な区民組織との連携や区民ボランティアの育成・活用など、区民と協働した取組みにより、文化財等の保護・保存及び普及・啓発を行います。郷土の歴史、文化を学習しようとする区民を総合的に、継続的に支援できる場として(仮称)郷土学習センターを整備し、郷土の歴史・文化を継承します。 【関連する法令、条例、個別計画等】 (仮称)第2次教育ビジョン、教育の情報化推進計画、図書館ビジョン(第3期行動計画)、第2次子ども読書活動推進計画(第2期行動計画)、第2期文化・芸術振興計画 【取組み事業の体系】 地域社会を創る生涯学習の充実  生涯学習社会の実現  ・学校を核にした地域コミュニティづくり  社会教育の充実  ・地域資源を生かした学習の充実  知と学びと文化の情報拠点としての新たな図書館の創造  ・中央図書館の機能拡充、図書館ネットワークの整備  文化財の保護・普及活動の推進  ・(仮称)郷土学習センターの整備 3.子どもが育つ環境づくり 【現状・課題等】 ○少子化や核家族化の進展により、子ども同士や多世代がかかわりを持つ機会、生き生きと遊び、育つ場と機会が少なくなっています。また、安全で安心な出産、子育て環境の整備等の子どもと親の健康づくりに取り組んでいます。 ○家族構成や生活形態の変化など社会環境の変容ととともに、子どもや家庭と地域社会とのかかわりが希薄になっており、子どもが生き生きと地域の中で育ち、学ぶことができるよう地域の子育て力、教育力の向上が必要です。 ○仕事と子育ての両立を図るため、区民の価値観や就労形態に応じたワーク・ライフ・バランスの推進が必要です。また、女性の就労率の高まりや就労構造の変化に伴い、子ども・子育てに対するニーズが多様化するなか、国の新たな子ども・子育て支援の方向性を踏まえたサービス提供体制の充実を図るとともに、区民が安心して幼児教育・保育サービスを選択・利用できるよう質の向上が求められています。 ○若年齢での妊娠や出産といった子育てにおけるきめ細かい支援が必要な層や、ひとり親に対する子育て支援の講習や相談機会を増やす必要があります。 ○親と子が向き合う時間が減っていること、地域のさまざまな立場の大人と出会う機会の少ないことなどに加え、ゲーム機や情報通信機器の子どもへの普及により、子ども同士の遊び方の変化や、大人との交流の機会が減少しており、人とコミュニケーションが上手く取れない子どもも増えています。 【取組み事業の内容】 (1)地域の子育て支援の推進 ・学校・家庭・地域が連携し、子ども同士が安全に遊び、それを見守る地域の人がいる場づくりや、親子の参加できる交流・講座等、子どもと親の健康づくりや地域で子育てを支援する場と機会を増やします。 (2)保育・幼児教育の充実 ・国の子ども・子育て関連3法等を踏まえ、幼児教育の充実のための研究・研修等の機能や、地域の子育て支援の拠点的機能を担う施設整備、保育施設間におけるネットワークの支援や人材育成の強化など、幼児教育と子育て支援事業の充実に向けたさらなる環境の整備を図ります。 (3)子育て家庭の支援の推進 ・家庭教育への支援、子育てや子育て支援に関する情報提供を充実するとともに、子育て中の親子が身近な場所で気軽に立ち寄り、交流・相談ができる場や子どもを一時的に預かる場を充実することにより、保護者の学びの機会の充実、育児や子育ての負担感の軽減や孤立の予防を図ります。 (4)子どもの成長と活動の支援 ・地区の子育てネットワークの強化・充実を図ることにより、それぞれの年齢や成長に対応する体験や社会参加の場を確保し、子どもの自主性を尊重しながら自立を応援します。 【関連する法令、条例、個別計画等】 子ども・子育て関連3法、母子保健法、子ども計画後期計画、(仮称)第2次教育ビジョン 【取組み事業の体系】 子どもが育つ環境づくり  地域の子育て支援の推進  ・社会全体で子どもを育む地域活動の支援  保育・幼児教育の充実  ・幼児教育充実のための研究・研修機能の整備  ・保育サービスの充実と質の維持、向上  子育て家庭の支援の推進  ・在宅での子育て支援の充実  子どもの成長と活動の支援  ・子どもの参加・参画 4.質の高い学校教育の充実 【現状・課題等】 ○たくましく生きていくための基盤となる豊かな人間性、豊かな知力、健やかな身体を育むとともに、理数・英語教育や、体力の向上、教育の情報化など、変化の激しいこれからの社会に欠かすことのできない資質・能力を育む授業を推進する必要があります。 ○「障害者の権利に関する条約」に基づくインクルーシブ教育システムの構築など、共生社会の実現に向けたさまざまな取組みを踏まえ、特別支援教育を一層推進することが求められています。また、多様化・複雑化する児童・生徒とその保護者が抱える問題の解決を支援するため、学校内外の教育相談機能や不登校対策のさらなる充実を図る必要があります。 ○子どもたちの教育に直接携わる教員の資質・能力の向上が必要とされています。特に、近年増加している若手教員の育成が急務となっています。また、教員の職務は増加しており、子どもたちに向き合う時間や教員同士のコミュニケーションが減少していることから、校務の改善に向けた取組みも急がれます。 ○学校が、東日本大震災以降、災害時の避難所として果たす役割が一層注目されるなど、地域コミュニティに果たす役割も重視され、児童・生徒の学習・生活の場だけでなくさまざまな役割を担うように変化してきています。 【取組み事業の内容】 (1)知育・徳育・体育の充実 ・子どもたちの考える力と表現する力、それらを支える学ぶ意欲と基礎・基本の育成を図るとともに、理数・英語教育や、教育の情報化の推進、一人ひとりの体力向上や食育の推進に取り組みます。 (2)特別支援教育・教育相談・不登校対策の充実 ・特別支援教育を一層進めるために、障害の種別や地域バランス等に配慮しながら、特別支援学級の計画的な整備や学校での指導体制、学校への支援体制の充実を図ります。また、いじめや児童虐待などへの対応を含め、児童・生徒とその保護者が抱える問題の解決を支援するため、学校内外の教育相談機能の充実や第3のほっとスクールの設置など、不登校対策の充実を進めます。 (3)信頼される学校づくり ・教員の研修・研究機能を強化し、資質・能力を高めるとともに、校務の効率化を図るための校務システムの改善等を進め、教員が児童・生徒と向き合う時間を増やす取組みを推進します。 (4)教育環境の整備 ・ユニバーサルデザインに基づいた改築や、リノベーション、改修等計画的・効果的な取組みを避難所や地域活動の拠点など、地域コミュニティの核としての学校の役割等、今後の教育施策に配慮し実施します。 【関連する法令、条例、個別計画等】 (仮称)第2次教育ビジョン、教育の情報化推進計画、子ども計画後期計画、障害者の権利に関する条約、障害者基本法、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画、せたがやノーマライゼーションプラン 【取組み事業の体系】 質の高い学校教育の充実  知育・徳育・体育の充実  ・世田谷9年教育の推進  特別支援教育・教育相談・不登校対策の充実  ・特別支援教育体制および教育相談機能・不登校対策の充実  信頼される学校づくり  ・教員の資質向上による質の高い学校教育の実現  教育環境の整備  ・学校施設の整備 5.子ども・子育て家庭への支援 【現状・課題等】 ○区に寄せられる育児の悩みや孤立を訴える相談件数が増えていることに加え、支援を要する家庭の課題が困難かつ複雑化しており、早い段階からの継続した支援の必要性が高まっています。 ○教育相談に寄せられる相談が複雑・多様化しており、学校だけの対応では解決が困難な事例も多くなっています。また、家庭や学校で居場所がないと感じている子どもたち、あるいは長期の不登校やひきこもりの子どもたちにとって、安心して過ごせる居場所が必要とされています。 ○ひとり親家庭やステップファミリー(継父母と生活する家庭)などが増加しており、継続した支援の取組みの拡充が必要です。また、地域から孤立しがちな10代同士の若年の子育て家庭や外国人の家庭などへの、きめ細かな対応が求められています。 ○地方分権の動きにおいて、都と特別区の役割を整理するための方向性について、検討が進められており、児童相談所設置などの児童福祉事務の移管については、今後の動向に注視する必要があります。 【取組み事業の内容】 (1)支援を必要とする子どものサポート ・せたホッとでの相談や支援の結果を活用して、子ども自身が相談しやすい環境の充実を図るとともに、身近なところに子どもが気軽に立ち寄れる、相談ができる、学習支援を受けられるなど、家庭や学校とは違う「居場所」づくりを進めます。 (2)支援を必要とする家庭のサポート ・気軽な相談機会の提供による早期対応から、複雑化した課題に対応する専門性の高い支援まで行う子ども家庭支援センターの機能を充実し、子育て家庭を切れ目なく重層的に支える態勢を築きます。 【関連する法令、条例、個別計画等】 子ども計画後期計画、健康せたがやプラン第二次、(仮称)第2次教育ビジョン 【取組み事業の体系】 子ども・子育て家庭への支援  支援を必要とする子どものサポート  ・子どもに関わる人材育成、相談機能の充実と居場所づくり  支援を必要とする家庭のサポート  ・子ども家庭支援センターの機能強化、子育て家庭への支援の充実 暮らし・コミュニティ 【主要な課題による展開】  区民一人ひとりが住民自治の担い手であるという自覚を持つことが大切です。町会・自治会をはじめ、地域活動団体間のネットワークが形成され、役割を意識し、次世代育成、人づくりなどの活動ができる環境を整備します。 1.多様性の尊重 【現状・課題等】 ○基本的人権が侵されることなく、一人ひとりが自分らしく生き、すべての人が尊重される社会の実現に向け、多様性を認め合うとともに、あらゆる人権侵害の根絶に向けた人権意識の啓発・理解促進が必要です。 ○これまでの区の取組みが必ずしも、固定的性別役割分担意識の解消につながっていないことから、より一層の男女共同参画意識の啓発が必要です。 ○DV に関する相談件数は依然として増加傾向にあり、DV 防止のためには啓発・相談充実、関係機関との連携強化による支援のあり方が重要です。 ○世田谷区内の在住外国人の人口比率は1.8%程度と低いものの、人口は2013年(平成25年)1月1日現在で、14,827人と多くの外国人が暮らしています。災害時の対応や福祉・保健・教育などの行政サービス情報を多言語で提供するなど、多文化共生施策の推進が求められています。 【取組み事業の内容】 (1)人権擁護の推進 ・一人ひとりが自分らしく生き、お互いの個性を尊重し、認め合うとともに、多様性や人権課題への理解を深めるために、人権意識の啓発や理解促進に努め、人権擁護を推進します。 (2)男女共同参画の推進 ・男女共同参画に関する区民意識・実態調査により実態を把握し、男女共同参画推進のためのさまざまな取組みを進めるとともに、男女共同参画センター“らぷらす”における事業の充実による男女共同参画意識の向上を図ります。 (3)DV 防止の取組み ・DV 防止の取組みとして、若年からのデートDV を含めたDV の未然防止・早期発見の取組みを充実します。 (4)多文化共生の推進 ・ライフイン世田谷(外国語版の便利帳)や区のホームページの自動翻訳など、多言語による情報提供を進めるとともに、福祉・保健・教育など、さまざまな行政サービスにおいて多言語による情報発信を充実させ、また、災害時の外国人支援についても、その対応力を高めます。 【関連する法令、条例、個別計画等】 人権教育及び人権啓発の推進に関する法律、男女共同参画社会基本法、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、男女共同参画プラン調整計画、配偶者等暴力防止基本計画、ワーク・ライフ・バランス推進指針 【取組み事業の体系】 多様性の尊重  人権擁護の推進  ・人権意識の醸成、理解促進  男女共同参画の推進  ・男女共同参画意識の啓発、ワーク・ライフ・バランスの推進  DV 防止の取組み  ・相談事業の実施、未然防止・早期発見に向けた啓発  多文化共生の推進  ・多言語による情報の発信 2.地域コミュニティの促進 【現状・課題等】 ○区民の一人ひとりが住民自治の担い手であるという自覚を持って、主体的にまちづくり、コミュニティづくりにかかわっていくことが求められています。 ○多くの区民が町会・自治会の活動に参加し、地域活動団体間の連携・ネットワークが十分に形成されることで、それぞれの団体の活動が活性化され、地域コミュニティの基盤が強化されていくことが必要です。 ○地域の担い手である区民、町会・自治会、地域活動団体、事業者などのさまざまな活動主体が、区とともに、区政や地域の課題について情報共有を進めるとともに、目標を共有し、相互の責任や役割を認識しながら連携・協働し、公共サービスや地域の課題解決を担っていくことが求められています。 ○高齢者の健康長寿を推進するためにも、高齢者の多様な活動を支援していくとともに、元気な高齢者が地域社会と関わりを持ち、地域活動の担い手として活動できる環境づくりが求められています。 【取組み事業の内容】 (1)区民の地域活動への参加促進 ・子どもから高齢者までの幅広い世代による、持続的な地域活動への参加・参画を促すための支援や環境整備に取り組みます。 (2)区民が参画する団体の活性化促進 ・町会・自治会への加入促進や地域活動団体、NPO 等の市民活動団体等の団体間の連携やネットワークの形成、機会の創出、情報提供など、活動団体の魅力向上や活性化へ向けた継続的な支援をします。 (3)区と活動主体及び活動主体間同士の連携・協働促進 ・行政との協働に加え、活動主体間相互の協働のさらなる推進に向けた環境整備や支援を行います。 (4)地域住民が参加、運営するしくみづくり ・区民や活動団体とともに築き、地域の住民等が地域の課題を解決し、公共サービスを運営する新たなしくみづくりに取り組みます。 【関連する法令、条例、個別計画等】 (仮称)町会・自治会への加入促進及び地域社会の活性化を進める条例 【取組み事業の体系】 地域コミュニティの促進  区民の地域活動への参加促進  ・子どもから高齢者まで幅広い世代による地域活動への参加、促進  区民が参画する団体の活性化促進  ・地域活動団体の自主的活動への支援  区と活動主体及び活動主体間同士の連携・協働促進  ・活動主体間の自主的な連携・協働への支援  地域住民が参加、運営するしくみづくり  ・公共サービス運営の新たなしくみづくり 3.文化・芸術の推進 【現状・課題等】 ○文化・芸術は、人々に、潤いある生活や心豊かな人生をもたらすとともに、人々をつなぐ力があります。こうした文化・芸術の持つ力は、教育、福祉、観光・産業等への効用が認識され、コミュニティの活性化を推し進めるものとして期待されています。 ○区内には、世田谷美術館、世田谷文学館、世田谷パブリックシアターほか、民間の美術館等の文化施設など、多彩で豊富な文化資源がありますが、それが区民に十分に伝わり、享受されているとはいえない状況にあります。 ○文化・芸術活動を行うための練習及び発表会場が少なく、活動場所の確保、多目的ホールや音楽ホールの整備が求められています。 ○区内に多数存在している文化・芸術活動団体による、自主的な団体同士の交流ネットワークのしくみ、高齢化社会に対応した、文化施設の整備や交通の利便性を高める取組みなど、ソフト・ハード両面の工夫を図ることが求められています。 【取組み事業の内容】 (1)多彩な文化・芸術資源の魅力発信 ・民間や大学施設と協働して、区内の美術、文学、音楽、演劇、伝統芸能など、 文化・芸術資源の情報を一元化し、提供する取組みや、気軽に地域を散策できる 文化マップを発行するなど、区内外への情報発信を行います。 (2)文化・芸術の振興と活動支援 ・区民に芸術性豊かな文化事業を提供するとともに、区民生活に役立つ文化・芸術の取組みを推進します。また、若手や区内在住のアーティスト、区民の文化・芸術活動、相互交流やネットワークづくりへの支援を行います。 【関連する法令、条例、個別計画等】 文化及び芸術の振興に関する条例、第2期文化・芸術振興計画 【取組み事業の体系】 文化・芸術の推進  多彩な文化・芸術資源の魅力発信  ・新たな文化・芸術情報の発信  文化・芸術の振興と活動支援  ・芸術性豊かな文化事業の実施  ・文化・芸術の力を区民生活に発揮する取組みの推進  ・若手アーティスト、区民の文化・芸術活動への支援  ・民間施設等との連携等による場の確保と充実 4.生涯スポーツの推進 【現状・課題等】 ○文部科学省が実施している「体力・運動能力調査」によると、1985年(昭和60年)以降、子どもの体力は低下傾向にあります。2001年(平成13年)以降は、その傾向に歯止めがかかってきていますが、昭和60年と比較すると、依然として子どもの体力は低い水準にあります。 ○スポーツを行う理由は、世代や性別によって異なっており、そうしたなかで、それぞれがスポーツ活動に取り組むことは、生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営むために不可欠なものであり、区民の健康の保持・増進を図るため、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進を行っていくことが必要です。 ○地域スポーツ振興の担い手としての総合型地域スポーツクラブは、様々な年代の人たちが集まり、年齢や興味・関心、技術等に応じたスポーツ機会を提供するクラブとして、注目されており、区民が主体的に参画する地域スポーツ環境のさらなる整備が必要です。 【取組み事業の内容】 (1)地域におけるスポーツ活動の推進 ・区民の健康増進や体力向上、さらには人と人との交流の促進、地域の活性化を図るため、区民が主体的に運営し、地域コミュニティの中心となる総合型地域スポーツクラブの設立・育成を図ります。また、これらを牽引できるような地域のスポーツ指導者等の確保、充実に努めるとともに、ライフステージに応じたスポーツに触れる機会や楽しむ機会を創出します。 (2)子どもの体力向上に向けたスポーツ施策の充実 ・幼児期からの子どもの体力向上方策の推進、学校の体育に関する活動の充実、子どもを取り巻く社会のスポーツ環境の充実を図ります。 (3)スポーツの場の確保・充実 ・既存のスポーツ施設等において、子どもや高齢者、障害者など、誰もが安全に気軽に利用できるようスポーツ施設のバリアフリー化やユニバーサルデザインへの取組み、夜間照明設備設置などによる施設利用の拡充を図ります。特に、総合運動場と大蔵第二運動場の一体的整備については、世田谷を代表する施設として、多種目、多世代、多機能な先駆的な施設整備に取り組みます。また、公共的空間等を活用した新たな場の整備にも取り組みます。 【関連する法令、条例、個別計画等】 (仮称)スポーツ推進計画(平成26年度〜平成35年度)、スポーツ基本法、スポーツ基本計画(文部科学省)、東京都スポーツ推進計画 【取組み事業の体系】 生涯スポーツの推進  地域におけるスポーツ活動の推進  ・総合型地域スポーツクラブの設立、支援  子どもの体力向上に向けたスポーツ施策の充実  ・スポーツ事業、学校、地域における体力向上のための支援  スポーツの場の確保・充実  ・総合運動場と大蔵第二運動場一体化に向けた整備、公共的空間等を活用した場の整備、既存スポーツ施設等の拡充 5.快適で暮らしやすい生活環境の創造 【現状・課題等】 ○地球温暖化などの環境問題が生じたことで、従来の環境に対する負荷が大きい大量生産、大量消費を前提とした社会経済システムから循環型社会へと移行し、持続可能な社会としていくことが求められています。 ○地球温暖化の主たる原因である二酸化炭素の区における排出量(2010年/平成22年度)は、1990年(平成2年度)と比べ、12.6%増加しているが、特に増加したのは、民生家庭部門と民生業務部門であり、家庭部門では、世帯数の増加、業務部門では、事務所ビルや商業施設の増加、高層化による床面積の増加が主な要因と考えられます。 ○良好な環境を将来の世代に引き継ぎ、持続可能な社会を形成していくため、単なる物質的な豊かさや利便性を追求するのではなく、環境に負荷をかけない社会に移行していくことが必要であり、ライフスタイルそのものの転換が必要です。 ○省資源・省エネルギーの一層の推進は、持続可能な社会の形成に不可欠であり、区民一人ひとりが、ごみの発生・排出抑制に目を向け、不用なものを持たない、ものを大切にする暮らし方に転換していくことが必要です。 ○世田谷らしい、自然環境や良好な住環境を次世代に引き継いでいくために、きれいな空気・水・土を確保し、騒音や振動を減らし、快適に暮らすための生活環境を確保していくことが必要です。 【取組み事業の内容】 (1)環境に配慮したライフスタイルへの転換 ・「小さなエネルギーで豊かに暮らすまち世田谷」の実現に向け、継続的な省資源・省エネルギー、二酸化炭素の削減に向けた行動の啓発を図るとともに、環境教育・環境学習を推進します。併せて、一人ひとりの区民、事業者それぞれが環境に配慮した行動の実践を図ります。 (2)再生可能エネルギーの活用と省エネルギーの推進 ・エネルギーを有効に活用し、持続可能な地域社会を築くために、区民や事業所の再生可能エネルギーの導入を促進するとともに、エネルギーの地産地消や、交流自治体等との地域間で連携したエネルギーの活用に取り組み、小さなエネルギーで豊かに暮らすまち世田谷の実現をめざします。 (3)ごみ減量と循環型社会の形成 ・健康で快適な生活を次世代に引き継ぐことができる「環境に配慮した持続可能な社会」をめざし、ごみの発生を抑え、資源の有効活用を推進します。 (4)快適で安らぎのある生活環境の維持・確保 ・快適で安らぎのある生活環境を確保するため、環境美化の推進や、大気や水質の汚染を防止するための環境監視の取組み、都市生活型公害の抑制に努めます。 (5)エコ区役所* の実現と環境に配慮した公共施設整備 ・公共施設における省エネルギー化、再生可能エネルギーの導入、緑化を進めるとともに、環境マネジメントシステム等の環境配慮の取組みを推進し、率先して環境負荷の低減に取り組みます。 *ここでいう「区役所」は、庁舎だけでなく、区立小・中学校、区民施設等、すべての区施設を指します。 【関連する法令、条例、個別計画等】 環境基本条例、環境基本計画、地球温暖化対策地域推進計画、一般廃棄物処理基本計画、みどりとみずの基本計画、第三次住宅整備方針 【取組み事業の体系】 快適で暮らしやすい生活環境の創造  環境に配慮したライフスタイルへの転換  ・区民、事業者とのパートナーシップによる環境行動の実践  再生可能エネルギーの活用と省エネルギーの推進  ・再生可能エネルギーの地産地消や地域間連携の推進と省エネの推進  ごみ減量と循環型社会の形成  ・ごみの発生抑制に向けた取組み  快適で安らぎのある生活環境の維持・確保  ・環境監視活動や環境美化の推進  ・空き家等の適正管理の推進  エコ区役所の実現と環境に配慮した公共施設整備  ・公共施設の低炭素化と環境配慮の取組みの推進 6.産業振興・雇用促進 【現状・課題等】 ○大型店やチェーン店の進出、小売業間の競争激化、個店経営者の高齢化や後継者難など、商店街を取り巻く状況は厳しく、区内商店街の会員数は減少しています。 ○企業・従業員ともに、ワーク・ライフ・バランスの取組みの必要性を認識しているものの、取組みを行っている企業の割合は半数以下であり、従業員の認識は1割程度と低い状況にあります。 ○雇用・就労の多様化を基点に、産業界と地域人材がともにつくる就業機会の創出を目指し、多様なライフスタイルに合わせた働く環境の整備が必要です。 ○住宅都市という都市の特性を踏まえて、本社機能のみの事業所や、小規模工場などのものづくりが住宅と混在しながら操業していますが、1965年代(昭和40年代)以降、土地の高騰や宅地化の進行、公害問題等で工場や事業所の区外移転が進み、区内の工場、事業所数は減少しています。 ○区内農家は農地を効率的に利用するなど、区民に配慮した農業経営を行い、農産物直売所による顔の見える販売形態が魅力の一つとなっていますが、相続発生や土地に対する高額な税負担により農地を手放す傾向にあり、区内の農地面積、農家数は減少しています。 ○区内の観光資源や新たな発想から独自性のある世田谷の魅力、ブランドを創出し、内外への発信と地域の活性化を進めていますが、さらなる民間事業者との連携、強化が必要です。 【取組み事業の内容】 (1)世田谷産業の基盤づくり ・起業・創業を支援するとともに産業交流を促進させ、新たな付加価値や新たなビジネスの創出を支援するほか、社会情勢の変化や事業所、区民のニーズを踏まえ、世田谷の特性を活かした産業振興を推進します。 (2)世田谷人材の充実と活用 ・地域産業の経営基盤の強化と次世代の担い手を確保するために、各産業の柱となる人材や後継者の育成を推進するとともに、働く人と事業者のニーズにマッチした多様な就業機会の創出と、ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、雇用環境の整備を図り、職住近接につなげます。 (3)商業・サービス業の振興 ・地域住民の生活を支えるための商品・サービスの提供、安全・安心への対応、居場所づくりなどを進め、生活支援拠点としての商店街づくりを推進します。 (4)工業・ものづくりの振興 ・準工業地域の保全やものづくり事業所の特性を活かした工業・ものづくりの振興を推進します。 (5)都市農業の振興 ・世田谷農業の将来を担う農業者を支援し、安定した経営の確保を目指すとともに、区民へ身近に農作業体験ができる場や機会を提供することにより、都市生活に欠かすことのできない貴重な財産である世田谷の農業・農地を保全し、都市農業の振興を図ります。 (6)まちなか観光の推進 ・観光関連事業者等との連携体制を強化し、民間事業者を主体とした観光事業の促進や、世田谷ブランドを活用した事業を展開します。 【関連する法令、条例、個別計画等】 産業ビジョン、産業振興計画、ワーク・ライフ・バランス推進指針 【取組み事業の体系】 産業振興・雇用促進  世田谷産業の基盤づくり  ・起業・創業等の相談事業による産業の振興  世田谷人材の充実と活用  ・人材育成、後継者育成のしくみづくり  商業・サービス業の振興  ・商店街を中心とする生活支援拠点づくり  工業・ものづくりの振興  ・地域に展開しているものづくりなどの振興  都市農業の振興  ・世田谷農業の振興、促進  まちなか観光の推進  ・まちなか観光協議会による観光情報の発信等の取組み 7.安全・安心のまちづくり 【現状・課題等】 ○災害発生時には、行政による「公助」だけでなく、住民一人ひとりによる「自助」や地域住民による「共助」の取組みが非常に重要です。区の災害対策の拡充を図るとともに、町会・自治会等による地域の助けあい活動が円滑に行われるためには、日頃からの意識づけや主体的な取組みが必要ですが、一方で、近年の自然災害の被害者の多くが高齢者等であることから、災害時要援護者対策についても検討していくことが求められています。 ○世田谷区内の犯罪発生件数は、2002年(平成14年)をピークに10 年連続で減少しているが、「振り込め詐欺」は後を絶たず多額の被害が発生しており、被害者の多くが高齢者であることを踏まえると、高齢者を狙った犯罪防止が強く求められています。また、犯罪発生件数が減少し、治安自体は改善傾向にあるにもかかわらず、区民意識調査の結果からも「防犯・地域安全の対策」へのニーズは依然高い状態にあり、「犯罪被害に遭うかもしれない」という不安感の解消が必要です。 ○消費生活と経済社会との関わりが多様化・複雑化し、地域や家族のつながりが希薄するなか、高齢者世帯を狙った悪質商法等の消費者トラブルも深刻化しています。 ○一人ひとりの消費者が、自主的・合理的に行動できるよう消費者の自立を支援するために、消費生活情報の学習機会の提供や各種講座の実施など、消費者啓発・教育をさらに充実していくことが求められています。 【取組み事業の内容】 (1)地域防災力の向上 ・災害時の被害を最小限にするため、住民の防災意識をより一層高めるなど、自助・共助の推進を図るとともに、災害時に備えた地域防災計画の推進、備蓄物資の充実、避難所などの生活環境の整備、災害時要援護者への支援に取り組みます。併せて、出張所・まちづくりセンターを地区防災支援担当として位置づけ、地域で支えあう体制をつくり機能強化を図ります。 (2)啓発活動の推進 ・区民の防犯意識の向上を図り、犯罪被害を防止するとともに、わかりやすく、正確でスピーディーな情報発信と高齢者への啓発活動の充実を図ります。 (3)消費者の自立支援 ・高齢者や若者など消費者の被害に遭いやすい区民に対して、出前講座等の啓発事業を進め、消費者被害の未然防止を図ります。 (4)消費生活相談の充実 ・複雑化・多様化している消費者トラブルについては、消費生活相談の機能を強化し、さらには高齢者に対しては、具体的な犯罪事例の説明など、わかりやすい対応を行います。 【関連する法令、条例、個別計画等】 災害対策基本法、災害対策条例、地域防災計画、消費者基本法、消費生活条例、消費生活センター条例 【取組み事業の体系】 安全・安心のまちづくり  地域防災力の向上  ・出張所・まちづくりセンターの防災機能の強化  ・災害時要援護者支援の推進  啓発活動の推進  ・わかりやすい情報発信、啓発活動の充実  消費者の自立支援  ・関係機関との連携による消費者教育の展開  消費生活相談の充実  ・消費生活相談の機能強化 都市づくり 【主要な課題による展開】  住宅都市世田谷において、区民が安全で快適に暮らしていくための都市環境の保全とデザイン構築が必要です。  区では、みどりの保全創出や、住環境の向上、快適に安全に移動できるしくみづくり等、多くの取組みを行っています。区民・事業者・区が一体となり、魅力あるまちづくりを進めていきます。 1.災害に強い街づくり 【現状・課題等】 ○東日本大震災の教訓や、都による首都直下地震の被害想定の見直し等を踏まえ、木造住宅密集地域等の防災性向上へ向けた建物の不燃化、耐震化などの防災・減災対策のスピードアップや大規模災害後を見据えた都市の復興街づくりのさらなる取組みが求められています。 ○近年における局所的集中豪雨に対応していくため、河川・下水道整備の推進および、雨水の流出を抑制する流域対策を推進する必要があります。 ○安全で安心して暮らせる市街地を形成するため「都市の骨格づくり」を目指し、再開発事業、道路事業等により防災性を向上させる道路、駅前広場等の都市基盤整備や、公園等みどりの拠点づくりを進める必要があります。 ○災害に強く、災害からの復元力を持つ市街地の形成が求められており、災害時の一時集合場所等では、駅前広場等の適切な施設配置・整備とともに、周辺道路とのネットワーク化を図る必要があります。 【取組み事業の内容】 (1)木造住宅密集地域の解消 ・従来の修復型街づくりや公共整備型街づくりの手法に加え、都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」の有効活用を図り、地域住民の理解と協力のもとに、道路や公園等の木密地域の基盤整備や建物の不燃化を加速します。また、新たな防火規制区域の指定や地区計画等による規制、誘導等により、木造住宅密集地域の解消を図ります。 (2)建築物の耐震化の促進 ・耐震改修促進計画に基づき、緊急輸送道路や木造住宅密集地域などで建築物の耐震化を優先的に進めるため、耐震化に向けた普及啓発や、耐震化支援制度の拡充を図ります。 (3)復興街づくりの推進 ・被害想定及び地域防災計画等の上位計画の見直しに合わせ「防災街づくり基本方針」及び「都市復興プログラム」を見直し、地域復興訓練の実施など事前の復興街づくりに関する取組みを推進します。 (4)豪雨対策の推進 ・集中豪雨への対応能力を高めるため、「世田谷区豪雨対策基本方針・行動計画」に基づき、都と連携して浸水対策に取り組むとともに、区民や事業者等に対する普及啓発活動等をさらに進め、浸水被害の軽減を図ります。 (5)道路ネットワークの計画的な整備(再掲) (6)公園・緑地の計画的な整備(再掲) (7)連続立体交差事業等による安全安心の拠点づくり(再掲) (8)魅力あるにぎわいの拠点づくり(再掲) 【関連する法令、条例、個別計画等】 都市計画法、都市再生特別措置法、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律、道路法、都市公園法、下水道法、河川法、土地収用法、土地区画整理法、都市再開発法、建築物の耐震改修の促進に関する法律、東京都建築安全条例(都)、街づくり条例、道路の構造の技術的基準に関する条例、公共物管理条例、区立公園条例、区立身近な広場条例、東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例(都)、都市整備方針、防災街づくり基本方針、みどりとみずの基本計画・行動計画、地域防災計画、耐震改修促進計画、豪雨対策基本方針・行動計画、都市計画公園・緑地の整備方針、震災復興マニュアル、都市復興プログラム、せたがやみちづくりプラン、道路橋示方書、区部における都市計画道路の整備方針(都)、防災都市づくり推進計画(都)、木密地域不燃化10 年プロジェクト(都) 【取組み事業の体系】 災害に強い街づくり  木造住宅密集地域の解消  ・「木密地域不燃化10 年プロジェクト」の活用などによる不燃化の促進  建築物の耐震化の促進  ・耐震改修促進計画に基づく施策の推進  復興街づくりの推進  ・都市復興プログラムの実践  豪雨対策の推進  ・豪雨対策行動計画に基づく都市型水害の軽減 2.みどりとやすらぎのある快適な住環境の推進 【現状・課題等】 ○市街化の進行に伴い、農地の宅地転換や相続等による開発により宅地の細分化が進んでいます。また、大規模敷地での土地利用転換などの際に周辺の街並みにそぐわない高層建築物の建築が行われるなど、住環境の悪化が懸念されています。また、農地の減少や開発により、民有地のみどりが減少し、動植物の多様性も失われつつあります。 ○日々の暮らしをエコなスタイルに変え、住宅の省エネ性能を高める必要があり、地域コミュニティ活性化などのために空き家等を有効活用し、地域に開かれた住まいを普及していくことが求められています。 ○地区の特性に沿った住環境の向上・保全に向け、緑化の推進や低炭素の街づくりなどさまざまな課題に対応していく必要があります。 ○みどり33の実現に向けて、今あるみどりを保全するとともに、区民や事業者の理解と協力を得ながら民有地のみどりを保全創出する取組みが必要であり、そのためには、区が支援するしくみづくりが課題です。 【取組み事業の内容】 (1)様々な住まいづくりの推進 ・住宅の長寿命化、省エネ、再生可能エネルギーの活用、緑化、雨水利用による環境共生住宅及び環境配慮型住宅リノベーションを推進するとともに、空き家等の活用を支援し、住宅資産の有効活用を図ります。 (2)土地利用の適正化 ・適正な土地利用を誘導し、みどりとやすらぎのある住環境整備を進めるため、建物の高さや敷地規模などの新たなルールを策定します。 (3)地区街づくりの推進(再掲) (4)協働によるみどり豊かなまちづくりの推進 ・区民が、みどりとみずにふれあう機会等を提供するとともに、自主的な活動の支援やボランティアの育成を進めるなど、みどりとみずへの関心が一層高まるような取組みを進めます。 (5)世田谷らしいみどりとみずの保全・創出 ・民有地のみどりを保全・創出するため、市民緑地、特別緑地保全地区、緑地協定、農業公園の都市計画決定等各種法制度の活用等多様な手法を活用し、生垣や壁面緑化等、区民が身近に感じることができる効果的なみどりを創出します。 (6)公共施設の緑化推進 ・公共施設が地域のみどりのシンボルとして美しい景観を形成し、潤いややすらぎを与える拠点とするため、公共施設の緑化を積極的に進めます。 (7)地下水の涵養と保全活用 ・雨水浸透ます、トレンチなどの雨水浸透施設設置についての技術的支援、助成金制度、及び自然面の確保等により、都市型水害の軽減並びに、防止および、湧水や井戸水等の地下水の涵養を図ります。また、雨水タンクなどの雨水貯留施設の設置を進め、都市型水害の軽減並びに生活用水としての利活用を図ります。 (8)多様な住まいの確保と居住支援 ・良質な住宅ストックの確保、住宅の適切な維持管理の促進、福祉施策との連携などにより、さまざまな人が安心して暮らせるための支援、誰もが住み続けられる住まいづくりを進めます。 【関連する法令、条例、個別計画等】 都市計画法、都市緑地法、都市の低炭素化の促進に関する法律、都市整備方針、第三次住宅整備方針、みどりとみずの基本計画・行動計画、街づくり条例、長期優良住宅の普及の促進に関する法律、エネルギーの資料の合理化に関する法律、環境基本条令 【取組み事業の体系】 みどりとやすらぎのある快適な住環境の推進  様々な住まいづくりの推進  ・環境配慮型住宅リノベーション助成の実施  ・空き家等の有効活用  土地利用の適正化  ・新たな街づくりルールの策定  協働によるみどり豊かなまちづくりの推進  ・区民との協働による、みどりとみずの創出  世田谷らしいみどりとみずの保全・創出  ・緑地保全制度、緑化助成制度によるみどりの創出  公共施設の緑化推進  ・公共施設における積極的な緑化推進、地域の機運向上  地下水の涵養と保全ならびに雨水の利活用  ・豪雨対策行動計画に基づく流域対策の取組み  多様な住まいの確保と居住支援  ・住まいサポートセンターの機能充実 3.魅力ある街づくり 【現状・課題等】 ○今後10年は、人口の増加が見込まれることから住宅需要は高く推移すると考えられ、区民が安全で快適に暮らしていくための都市環境の保全と都市全体のデザイン構築に取り組む必要があります。また、安全で住みやすい快適な環境を保全・育成するため、今後も区民参加の街づくりのさらなる推進が必要です。 ○人々の生活や文化に根差した個性的で、多様な都市風景を形づくっている魅力ある世田谷らしい風景の創出が求められます。また、だれもが自由に様々な活動に参画し、自己実現できるような地域社会の実現に向けて、ユニバーサルデザインによる生活環境の整備が求められています。 ○誰もが安全に利用でき、界わいを結び、街中を活性化させる、区民にとって身近な道路ネットワークの形成を総合的に進めるとともに、商業・文化・芸術・スポーツ施設などを有するにぎわいのある地区では、区内外からの人の往来が多く滞留性も高いため、安全安心を確保する都市の防災機能が充実した市街地の形成が求められています。 ○京王線(笹塚駅〜仙川駅間)では、連続立体交差事業により開かずの踏切を解消し、交通渋滞や踏切事故、鉄道による地域分断を解消するとともに、都市計画道路や駅前広場の整備により、交通結節機能の向上や防災機能を強化するとともに、併せて沿線各駅の街づくり計画を策定し、安全・安心かつ魅力ある駅周辺街づくりを進める必要があります。 【取組み事業の内容】 (1)地区街づくりの推進 ・鉄道立体交差化や外かく環状道路などの都市施設の整備、大規模団地の建替え等など、地区の状況に応じて、街づくり条例を踏まえ、区民参加を基本とした合意形成を図りながら、地区計画等の策定及び見直しに取り組んでいきます。 (2)魅力ある風景づくりの推進 ・風景づくり条例に基づく各種支援制度を活用し、区民の風景づくり活動の充実を図るとともに、事業者に対しては、届出制度を活用して風景づくりへの配慮・理解を求めることにより魅力ある風景を創出します。 (3)ユニバーサルデザインのまちづくり ・ユニバーサルデザイン推進計画の着実な推進とともに、ユニバーサルデザインの施策・事業のスパイラルアップ(点検・評価・改善)を継続的に推進します。 (4)安全で快適な歩きやすい道路環境の整備 ・歩道の新設、改良や電線類地中化などを進め、安全で快適な歩きやすい道路環境を創出します。 (5)魅力あるにぎわいの拠点づくり ・区民、事業者、区との連携、協働により、地域の文化に触れ合いながら買い物や観光を楽しむことができる、安全性が高い魅力的で活力にあふれた、にぎわいのあるまちを形成します。 (6)京王線駅周辺街づくりの推進 ・連続立体交差事業により、開かずの踏切解消を図り、併せて都市計画道路や駅前広場の整備事業の推進に合わせて、各駅の周辺街づくりに取り組みます。 【関連する法令、条例、個別計画等】 都市整備方針、電線類地中化五ヵ年計画、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、ユニバーサルデザイン推進条例、ユニバーサルデザイン推進計画、景観法、風景づくり条例、風景づくり計画、改定交通まちづくり基本計画、都市計画法、道路法、街づくり条例、京王線沿線街づくり基本条例、京王線沿線駅前広場基本構想 【取組み事業の体系】 魅力ある街づくり  地区街づくりの推進  ・地区特性に応じた地区計画等策定の推進  魅力ある風景づくりの推進  ・世田谷らしい魅力的な風景の創出  ユニバーサルデザインのまちづくり  ・多くの人が利用しやすい生活環境をつくる  安全で快適な歩きやすい道路環境の整備  ・安全で快適な道路環境整備の推進  魅力あるにぎわいの拠点づくり  ・地域の特性に沿った再開発事業の推進  京王線駅周辺街づくりの整備  ・京王線連続立体交差事業等の実施及びその周辺整備 4.交通ネットワークの整備 【現状・課題等】 ○区内の鉄道網は、都心を中心に放射状(東西)に伸びており、区民の都心への移動の利便性は高いものの、南北方向への移動の利便性は低い状況にあります。そのため、区民のだれもが快適かつ安全に移動できる、良好な公共交通環境の整備を推進するために、南北公共交通の強化に向けた取組みを進めることが課題です。 ○低炭素社会の実現に貢献する自転車の利用については、健康志向や東日本大震災の教訓による自転車への関心の高まり、レンタサイクルの整備等により、広く区民に浸透してきています。一方、自転車関与事故は、交通事故全体の約4割を占めており、自動車と自転車の事故だけでなく、歩行者と自転車による重大事故も発生しています。そのため、自転車を地域交通を支える交通手段として位置づけ、自転車走行環境のネットワーク化や自転車と他の交通手段との連携、コミュニティサイクル・ネットワークの拡充など、自転車利用環境の整備が課題となっています。 ○世田谷ナンバーの導入が決まり、このことを機に区では、セーフティードライブを呼びかけ、交通事故を減らし、重大事故を抑制する地域をめざした取組みに着手していくことが必要です。 【取組み事業の内容】 (1)公共交通環境の整備 ・南北公共交通の強化等に向けて、既存バス路線の活用や都市計画道路等の整備にあわせた新規バス路線の導入など、バス事業者、警察との連携や関係機関への働きかけなど様々な観点から公共交通ネットワークの充実を図る施策展開に取り組みます。合わせて、開かずの踏切を解消するため、道路と鉄道の連続立体交差化に向け、区民とともにその実現に取り組みます。 (2)自転車利用環境の整備 ・区民・事業者・警察・区の協働により、駐輪場やレンタサイクルポートなどの整備を進め、また、新たな道路整備や既存道路の改修等にあわせ、自転車専用通行帯やブルーゾーンなどを整備し、自転車走行環境のネットワーク化を進めます。これらとともに、自転車利用のルール遵守とマナー向上に向け、区民を主体として自転車をより安全に利用できるまちづくりを推進します。 【関連する法令、条例、個別計画等】 交通まちづくり基本計画、自転車等の利用に関する総合計画、自転車走行環境整備指針、道路整備方針、都市計画法、道路法、環境基本法、道路運送法、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の推進に関する法律、都市整備方針、ユニバーサルデザイン推進計画、都市の低炭素化の促進に関する法律 【取組み事業の体系】 交通ネットワークの整備  公共交通環境の整備  ・道路と鉄道の連続立体交差化、南北公共交通の強化  自転車利用環境の整備  ・自転車安全利用の推進  ・自転車走行環境ネットワークの整備 5.都市基盤の整備・更新 【現状・課題等】 ○都市計画道路の整備率が5割にも達しておらず、区内の道路整備は十分ではなく、交通渋滞の発生、通過車両による住環境の悪化、防災空間の不足など、安全で快適な区民生活を営むうえで、多くの問題が生じています。 ○都市計画公園・緑地の整備率は53%、区民一人当たりの公園面積は2.79u(目標6u)と、区内の公園整備は十分ではなく、レクリエーションや防災など求められている機能が十分に発揮されていません。また、地域による公園の偏りや、施設の老朽化など多くの課題を抱えています。 ○区内全駅における交通広場の整備が遅れており、また、駅周辺部は、老朽化した木造建築物が多く存する地区もあり、防災上の課題となっており、道路、公園などの基盤整備に加えるとともに、不燃化等による防災性の向上が求められています。 ○災害に強く安全で、区民が安心して暮らせる街づくりには、安定したインフラの 更新等は不可欠なものとなっており、計画的な維持・更新が求められています。 【取組み事業の内容】 (1)道路ネットワークの計画的な整備 ・2014年(平成26年度)策定の「(仮称)せたがやみちづくりプラン」に基づき、優先的に整備すべき路線について計画的な事業化を図ります。 (2)公園・緑地の計画的な整備 ・公園、緑地を適切に配備し、みどり豊かな住環境の形成および緑道や街路樹等とのみどりのネットワーク形成を図るとともに、災害対策の核となる公園・緑地を重点的に整備します。 (3)連続立体交差事業等による安全安心の拠点づくり ・道路と鉄道の連続立体交差化に合わせ、都市計画道路や駅前広場の整備により、交通結節機能の向上や防災機能の強化を図り、にぎわいの拠点整備を推進します。 (4)都市基盤の適切な維持・更新 ・道路、公園等都市基盤の適切な維持・更新を進めることで、災害に強く、安全で快適な街づくりを進めます。 【関連する法令、条例、個別計画等】 都市計画法、都市再開発法、土地区画整理法、道路法、土地収用法、都市公園法、都市再生特別措置法、公共物管理条例、区立公園条例、区立身近な広場条例、道路の構造の技術的基準に関する条例・同施行規則、都市整備方針、区部における都市計画道路の整備方針、都市計画公園・緑地の整備方針、(仮称)せたがやみちづくりプラン、みどりとみずの基本計画・行動計画、橋梁長寿命化修繕計画、道路橋示方書 【取組み事業の体系】 都市基盤の整備・更新  道路ネットワークの計画的な整備  ・着実な用地取得と道路築造  公園・緑地の計画的な整備  ・緑地保全、公園用地買収等によるみどりとみずの住環境を創出  連続立体交差事業等による安全安心の拠点づくり  ・小田急線上部利用、京王線連続立体交差事業等の推進  都市基盤の適切な維持・更新  ・道路・公園・橋梁等基盤施設の適切な維持・更新 5 地域計画 1 基本的な考え方  世田谷区は、1991年(平成3年)4月、地域行政制度をスタートしました。以来20数年、「打てば響くまちづくりをめざして」さまざまな取組みがなされ、地域行政は88万都市世田谷を支える大きな幹に成長しました。  地域計画は、これまでの地域行政の展開の実績に基づき、地域からの発想により、地域の特性・個性を踏まえて、その将来像を描き、地域における計画を明らかにするものです。 2 地域計画について  各地域の特性と地区におけるまちづくり活動の目標(地区ビジョン)を踏まえ、めざしていく将来像(まちの将来像)を明らかにしています。また、基本計画の分野別政策等と整合を図り、推進します。 3 構成 (1)地域の特性 地域の歴史経緯と現状、地域の構造、土地利用、道路・交通、人口、区民活動などの要素を整理し、地域の特性を明らかにして、地域の主要課題を記載しています。 (2)まちの将来像 地域としてめざしていく将来像と取組みの方向を記載しています。 『地区におけるまちづくり活動の目標(地区ビジョン)』を紹介します。  地区ビジョンとは、地域計画の検討にあたり、各地区において、まちづくり活動等を行っている団体等の議論を経てまとめられた、今後10 年間に地区として、めざしていくまちづくり活動の目標(地区ビジョン)です。  各地区における活動団体は、地区ビジョンの実現に向けて、連携を取りながら取組みを進め、総合支所など区は実現に向けて支援を行います。 地域ごとの人口推計(単位/人) 各1月1日 区分     平成25年   平成35年 世田谷地域  232,076   237,652 北沢地域   141,127   135,646 玉川地域   209,354   219,385 砧地域    153,077   164,155 烏山地域   110,288   115,782 世田谷地域 地域の特性 地域のなりたちと姿 世田谷地域は区の東部に位置し、区役所をはじめ税務署・登記所・都税事務所等があり、区の行政上の中心となっています。 この地域は室町時代から吉良氏の領地であり、江戸と小田原を結ぶ交易の地として、大山道沿いに街並みが発展してきました。三軒茶屋は、現在の世田谷通りと国道246号線の三叉路のあたりにあった、三軒の茶屋に由来し、今でも世田谷地域の商業の中心地となっています。 区役所の周辺は幕末の思想家・吉田松陰を祀った松陰神社、上町駅の近くには江戸時代の彦根藩世田谷領の代官の住宅(代官屋敷)があるなど、歴史がしのばれる地域です。また、源頼朝の乗った馬にまつわる「馬引沢伝説」や、世田谷城主・吉良頼康の寵愛を受けながら、悲しい最期を遂げた常盤姫の「さぎ草悲話」など伝説が残る地でもあります。 江戸時代、世田谷区の地域は幕府領や彦根藩の飛び地でしたが、明治以降、東京府に移管され、1889年(明治22年)の町村制施行により、現在の世田谷区の基盤となる6村体制が確立しました。このうち世田谷村と駒沢村の多くが、現在の世田谷地域へと引き継がれています。 環状7号線の東側は、大正から昭和にかけて農地が宅地化され、郊外型ベッドタウンのはしりとなった地域であり、古くからの木造住宅が密集する市街地が広がっています。西側は一部で農地もみられる一般的な住宅地となっていますが、近年は、宅地の細分化や中高層マンションの建設が進んでいます。 暮らしの姿 区内5地域のなかで人口が最も多く、2013年(平成25年)1月現在で、約23万6千人と、人口密度も最も高くなっています。 世田谷地域は都心から近く、流出入率の高い20代から30代の単身世帯が多いという特徴があります。今後転入などの社会増により、しばらく緩やかな人口増加が見込まれるとともに、高齢化が急速に進むと予測されています。近年では出生数も増加しており、保育サービスをはじめ、子育て環境の充実も課題となっています。 古くから宅地化が進んだ木造住宅密集地域では、都市基盤が未整備で老朽化した建物も多く、防災性の向上をめざし、市街地の不燃化や災害時の避難経路の確保、延焼防止のための道路の整備を進めています。 みどりの貴重な資源である民有地の緑や農地は減少する傾向にあり、世田谷地域のみどり率は、区内の5地域の中で最も低くなっています。また、世田谷地域の1人当たりの公園緑地面積は区の平均を下回っており、地域内でのみどりの保全・創出が課題となっています。 地域内には首都高速3号線、玉川通り、環状7号線、世田谷通りの幹線道路が通っており、道路網の骨格を成していますが、高齢化が進む地域にとって、横断歩道の整備など、日常生活での移動のしやすさが課題となっています。 目黒通りと甲州街道を結ぶ補助第154号線の整備が進められており、不足している南北交通の強化を図るため、バス路線の導入が課題となっています。 にぎわいと地域の活動 事業所、従業者数ともに5地域で最も多く、小売や飲食業をはじめ、事業活動が活発に行われています。 三軒茶屋や経堂、松陰神社前など、駅を中心に発達している商店街は、従来から地域のコミュニティ空間としてもにぎわいを見せています。国道246号線沿いの三宿交差点付近では、個性的な店が集まり、新たなにぎわいを生み出しています。また、三軒茶屋には「音響家が選ぶ優良ホール100選」に選定された世田谷パブリックシアターがあり、全国から人々が訪れています。 代官屋敷周辺では、戦国時代の楽市を由来とし、430年もの伝統を持つ「世田谷のボロ市」が開催され、冬の風物詩となっています。大正14 年に開通した世田谷線は、区民の身近な乗り物として親しまれ、沿線イベントとして「萩・世田谷幕末維新祭り」「三茶de大道芸」などが行われており、世田谷公園で開催される「環境ネットフェスタ」、「経堂まつり」等のイベントも定着し、区外からの集客もあるなど、大きなにぎわいを生んでいます。 青年層の参加が少ないという課題がありますが、世田谷地域内46町会・自治会を始め、多くの人々のかかわりを得て地域活動が展開されています。子どもから高齢者までの支えあいネットワークづくり、地区ごとの避難所運営訓練や防災訓練なども、それぞれ工夫しながら進められています。また、地域内には多くの大学があり、学校と地域が災害時協定を結ぶなど、防災活動などを通じて連携を深めています。 めざしていく将来像 (まちの将来像) 世田谷の歴史と文化を大切にし、交流とにぎわい、活力のあるまち ● 多様な世代が交流し、豊かな地域コミュニティに支えられたまちをつくります。 ● 「世田谷のボロ市」をはじめとする地域の祭りやイベントなど賑わいを大切にします。 ● 学生など多くの若者が、ともに地域活動に参加するまちをつくります。 ● 歴史に親しみ、文化・芸術活動をとおして創造性豊かなまちをつくります。 ● 快適で便利な、活力ある商店街を大切にします。 安心して豊かな気持ちで暮らせるまち ● 緑道など地域の資源を活用し、地域の交流の中で主体的に健康づくりに取り組むまちをつくります。 ● 子どもが健やかに育つよう、身近な地域で、相談や見守り、支えあいのネットワークをつくります。 ● 障害者や支援の必要な高齢者が、地域で安心して暮らせるよう、地域福祉サービスの充実を図ります。 ● 町会・自治会、民生・児童委員、医療機関、あんしんすこやかセンター、サービス事業者、社会福祉協議会、NPO、ボランティアなど、多岐にわたる関係機関とのネットワークを築き、地域包括ケアシステムの構築に取り組みます。 災害に強く安全で、いつまでも住み続けたいまち ● 地域の絆を大切にし、いざという時に助け合えるまちをつくります。日ごろからの防犯活動や実践的な防災訓練、避難所運営訓練を実施し、犯罪のないまち、災害に強いまちをめざします。 ● 区役所周辺や太子堂・三宿地区などの木造住宅密集地域の不燃化や建物の耐震化をはじめ、道路や公園などの基盤整備も着実に進め、災害に強い街をつくります。 ● 民有地の緑化を進めるなど、一人ひとりがみどりを大切にし、みどりの保全・創出を図り、潤いのあるまちをつくります。 ● 安全な歩行空間の整備や自転車の走行環境の整備を進めるとともに、バス路線の充実を図るなど、快適で移動しやすいまちをめざします。 地区におけるまちづくり活動の目標(地区ビジョン)【世田谷】 ※ 地区は、出張所・まちづくりセンターの管轄する27の区域。( )内は町名。 池尻地区(池尻、三宿)※ ● 災害に強い助け合いのまち ● 犯罪のない安全安心のまち ● 支えあいのやさしいまち 池尻地区は、人びとが住み、集い、交流するまちとして、ともに安全・安心に豊かに暮らせるまちをめざします。 大地震等災害に対しては向う三軒両隣の助け合いが、犯罪のないまちには多様な団体のネットワークが、また、高齢者や要介護者の支援には地区の支えあいが、欠かせません。このように、人びとが助け合い、多様なコミュニティが相互に連携するまちづくりを進めます。 太子堂地区(太子堂、三軒茶屋) 『 住んでよかったまち太子堂・三軒茶屋』から、『住み続けたいまち太子堂・三軒茶屋』へ ● 教訓を活かした安全・安心の基盤づくり ● 多世代交流による太子堂・三軒茶屋の元気づくり ● 自分のまち、太子堂・三軒茶屋を好きになる環境づくり 都市型震災に備え、災害に強い街づくりを進めるため、自助、共助の意識を高め、いざというときに助け合えるコミュニティを育みます。 自主的な区民参加、活動に支えられているまちをめざして、まちづくりの担い手の育成や持続的なネットワークづくりを進めます。 まちの緑化を進めるとともに、太子堂・三軒茶屋らしい歴史・文化・産業を育み、未来につなげます。 若林地区(若林、三軒茶屋) ●未来を担う若い世代を育み。笑顔がはじけるまちづくり ●誰もが助け合い、安全安心で心豊かに暮らせるまちづくり ●互いが寄り添い、支え合う優しいまちづくり 子育て世代や青少年の誰もが、笑顔で積極的にまちづくり事業に参画でき、次のまちの担い手となれるよう、町会や学校など様々な団体間の情報共有化を進め、健全で魅力ある環境を創出します。 来るべき大震災などの災害時や身近に起こりえる犯罪などの緊急時に対応できるよう、まちのみんなが防災・防犯に対する知識やスキルを向上させ、お互いが協力し助け合えるような態勢を強化するとともに拡大させていきます。 介護予防と健康づくり施策の効果的な事業連携を推進します。また、様々な団体による支えあいや見守り活動を連携により展開し、まちの誰もが信頼しあえる心優しいまちづくりを推進します。 上町地区(世田谷、桜、弦巻) ●安全・安心、誰もがいつまでも住み続けたいまちづくり ●つながり・活気・活き活きとしたまちづくり ●『世田谷のボロ市』歴史・文化・伝統、次世代につなぐまちづくり  実践的な防災対策と防犯対策に積極的に取り組み、生涯を通して安全で安心して住み続けられるまちをめざします。 「人とのふれあい・つながり・思いやり」など住民同士の交流や絆を大切にするとともに、若者の地域参加や商店街の活性化を図り、イキイキと活気のあるまちをめざします。 大場家代官屋敷(国重要文化財)と世田谷のボロ市(都無形民俗文化財)に象徴される歴史や文化のまちとして、ボロ市を継承しながら、まちの活性化と地域住民の交流の場となるまちをめざします。 経堂地区(経堂、宮坂、桜丘) ● 安心 ・安全のためにみんなで備えるまち ● ご近所の顔が見え、互いを思いやるやさしいまち ● 活気があり、緑豊かできれいな環境を保つまち  経堂・宮坂・桜丘で生活していて心が安らぎ、住み続けたいと思えるまちであるためには、子どもからお年寄りまで誰もがいきいきと暮らせる環境・態勢を作っていかなければなりません。日頃からの人と人とのつながりや人を思いやる気持ちが災害時にも大きな力となります。  現在、地域活動の基盤となっている町会を中心に、より多くの地域住民や地域活動団体がつながっていくために、さまざまな機会をとらえ交流し、絆を強めていきます。 下馬地区(下馬、野沢) ● 緑豊かで安全・安心なまち ● 誰もが健やかに暮らせるまち ● みんなが集いふれあうまち  公園や緑道にある花壇の育成管理等を通じて、花による緑化を推進するとともに、防犯パトロールや清掃活動等を通じて、地区全体を大勢で見守り、犯罪のない明るく美しいまちをめざします。  また、実践的な避難所運営訓練等を繰り返し行うことにより、協力態勢を構築し、災害に強いまちをつくります。  学校、保護者、地域住民が一体となって、子どもたちの健やかな成長を育むとともに、健康増進に関する活動やイベントを通じて、誰もがいつまでも元気でいきいきと暮らせるまちをめざします。  子育て支援や高齢者等の見守り活動など、お互いに支えあい、ふれあう活動を促進し、地域住民の交流を深め、挨拶と笑顔があふれるまちをめざします。 上馬地区(上馬、駒沢) ● 災害時に助け合える安全・安心なまち ● 高齢者と子どもにやさしいまち ● みどりが多く環境のよいまち  各種団体のネットワークを強化し、災害時に助け合えるまちをめざします。高齢者や子どもたちを地域全体で見守り支えあうやさしいまちを作っていくとともに、まちの緑化を進め、あらゆる世代が交流できる活気あるまちをめざします。 北沢地域 地域の特性 地域のなりたちと姿  北沢地域は区の北東部に位置して、南北に環状7号線が通っています。小田急線、京王線、井の頭線、世田谷線の鉄道の結節点となっている、下北沢、明大前、下高井戸、豪徳寺などの駅は駅前商業地として商店街が形成されています。  明治期に「代沢茶」と呼ばれた茶栽培に代表されるように、北沢地域は純農村の姿をとどめていましたが、大正から昭和にかけての私鉄の開通や、関東大震災の後、旧世田ケ谷村などの東部地域に都心からの移転により人口が急増し、郊外住宅地へと大きく姿を変えていきました。  昭和の初期から昭和年代の北沢地域の基盤整備は、区画整理や耕地整理に加えて、旧松沢村全村に及ぶような面的な建築線指定によっても行われました。その結果、現在でも良好な住宅地として残されているところが多くなっています。  戦後の人口急増の中で、木造賃貸アパートの増加など、太子堂・北沢など区の東部地域は、木賃アパートベルト地帯に組み込まれ、災害に弱い密集市街地となっています。このため、現在、北沢3・4丁目などの地区において災害に強いまちづくりに取り組んでいます。地域には、室町時代に吉良氏が築いた館の一部が世田谷城址公園として残り、館跡は井伊家の菩提寺である現在の豪徳寺であるといわれています。また、勇壮な神輿が見られる北沢八幡や代田八幡神社の祭、大きな天狗が下北沢を練り歩く天狗まつり、区の指定無形文化財である代田の餅つきや森厳寺の針供養など、古い伝統と歴史が残されています。 暮らしの姿  北沢地域は、桜上水・赤堤地区などにわずかに農地が残されていますが、ほとんど市街化されており、緑率も世田谷地域に次いで少ない状況です。大規模な住宅団地も少なく、住宅建替えにあたり、大きな敷地はマンションに、小さな敷地は更に小分けされた戸建になる傾向にあります。  人口は減少傾向にありましたが、2013年(平成25年)には、約14万1千人と増加に転じました。  高齢化は他の地域に比べて高く、また、要介護認定者は、現在、約5千7百人であり、地域では、ミニディやサロン、自主活動グループによる高齢者に対する活動も活発です。梅丘地区では、高齢者の見守り活動に取り組んでいます。また、都立梅ヶ丘病院跡地では、全区的な保健医療福祉の拠点施設が開設される予定です。  下北沢駅周辺では、小田急線の連続立体交差事業等に合わせた街づくりが進められており、小田急線の地下化や井の頭線の改良工事、駅前広場の整備などにより駅周辺の景色は、今後大きく変わります。また、京王線の連続立体交差事業も予定されており、明大前駅をはじめ、各駅周辺の街づくりが進められていきます。 にぎわいと地域の活動  地域の事業所は約4千6百箇所、従業者数約4万2千人になります。事業所は下北沢駅周辺の集積が大きく、明大前や下高井戸駅周辺にも集積が見られます。商店の売り上げは下北沢駅周辺地区で地域の商品販売額の約半数を占めています。  下北沢は、飲食店や商店のみならず、劇場やライブハウス、古着や骨董など特色のある店も多く、1年を通して音楽祭や演劇祭、伝統的な祭りなどの多くのイベントが開催され、若者をはじめ多くの人が訪れる街となっています。  北沢地域の町会加入率は約78%と区の平均約57%を大きく上回っています。要援護者支援協定やスタンドパイプの数では他の地域を上回り、防災や防犯活動に熱心に取り組んでいます。  北沢地区では「シモキタクリーン作戦」や「落書き消し隊」など地区の環境美化、青少年の健全育成などにさまざまな団体が一体となって取り組んでいます。  梅まつりが開催される羽根木公園は、長い歴史をもつ「雑居まつり」や子どもが自由に遊ぶ「プレーパーク」発祥の地であり、北沢地域はボランティア活動や福祉関係のNPOの活動が活発な地域でもあります。 「健康まねきの会」の活動や、新代田地区の「まちぐるみ運動会」など、地域の中でいつまでも健康でいきいきと暮らす取組みが進められています。 めざしていく将来像 (まちの将来像) ともに支えあい、絆をはぐくみ、健康を招くまち ● 隣近所、町ぐるみで常日頃からの協力、支援体制を進めます。 ● 町会・自治会、商店街、さまざまな協議会、実行委員会などの連携により、要援護者支援、高齢者の見守りネットワークなど区民主体の活動を推進します。 ● 都立梅ヶ丘病院跡地の保健医療福祉の拠点施設の整備に合わせ、地域との連携を図り、高齢者や障害者など誰もが住みなれた地域で生き生きと暮らせるようにします。 ● 「きたざわ健康まねきの会」とともに、「健康きたざわプラン」を推進します。 ● 児童・障害者・高齢者などの虐待やDV のない地域づくりに努めます。 ● 地域包括ケアシステムの構築に取り組みます。 モダンと伝統が織りなす、若さとにぎわいのあるまち ● 区民主体・区民参加のイベントや区民相互のネットワークづくりの連絡会などの活動を支援し、コミュニティ形成、連帯意識の醸成に努めます。 ● 子どもを育む地域活動の支援や活動団体の交流など、次代を担う子どもたちを育てます。 ● 外国人などの来街者が気軽に街を楽しめるようなまちなか観光の仕組みを整備します。 ● 区民の活動を支援する区民利用施設、スポーツ施設を整備します。 災害に強く、安全で住みよいまち。 ● 小田急線の連続立体交差事業、駅前広場・道路の整備、鉄道上部利用、井の頭線盛土工事などに合わせた駅周辺街づくりを進めます。 ● 京王線の連続立体交差事業に合わせ、駅前広場や道路の整備、駅周辺街づくりを進めます。 ● 災害に強い街づくりの進展に合わせ、不燃化特区制度の活用などにより、防災街づくりを進めます。 ● 町会・自治会の地区防災力の向上を支援し、初期消火、避難所運営などに素早い対応が図れるように支援します。 ● 防災・防犯、安全・安心の地域・地区づくりを進めます。 ● 大学と連携し、防災時の対応や街づくり、地域の活性化などに取り組みます。 ● 残された貴重な農地を保全するとともに、緑の創出に努めます。 地区におけるまちづくり活動の目標(地区ビジョン)【北沢】 梅丘地区(代田、梅丘、豪徳寺) 地域で見守り支えあうまちづくり梅丘  地域の誰もが孤立せず、求めているときに必要な支援が受けられるよう、相談機関、地域団体、近隣住民が繋がり、相互に顔の見えるネットワーク(地域の絆)づくりをめざします。 代沢地区(代沢、池尻) 代沢の絆が育む次代に輝く芽  代沢で育まれてきた地域の絆を活かし、子どもの成長を見守ると共に、世代を超えた人々との交流や地域活動、代沢地区に根付いている伝統・文化・自然環境と触れ合う機会を多く体験させることで、地域に愛着を持った代沢の次代を担う子どもを育てていくまちをめざします。 新代田地区(代田、羽根木、大原) 明るく安心、楽しく健康的な生活の出来る新代田  外に出て体を動かすことなどを通じて、仲間や顔見知りが増え、より多くの住民同士が顔の見える、いつまでも楽しく安心して住み続けられるまちをめざします。 北沢地区(北沢) 文化と生活の交差点、子どもから高齢者まで誰もがいきいきと安心して暮らせるきたざわのまち  文化と生活が交差している環境を踏まえ、子どもから高齢者まで、誰もの心が触れ合い、気軽に挨拶をかわし互いに見守りながら安全で誰もがいきいきと安心して暮らしているまちをめざします。 松原地区(松原) 地域・いきいき・支えあい( ふれあい松原)  地域活動を充実させながら、住民同士の日ごろからのつながりを深めていきます。また、住民が互いに高齢者の支え合い活動に取り組むことにより、相互扶助への気運を高め、誰もが安心して元気に暮らせるまちをめざします。 松沢地区(赤堤、桜上水) 見守る・備える・つなげる、輝くまちへ!  地域・住民が互いに助け合い、支えあい、挨拶を交わし見守るやさしいまち。災害に備え、安全で安心して暮らせるまち。子どもから高齢者まで、世代を超えて楽しく交流できる思いやりあふれる輝くまちをめざします。 玉川地域 地域の特性 地域のなりたちと姿  玉川地域は区の南部に位置し、5地域の中で最も広いエリアです。多摩川や等々力渓谷、国分寺崖線などに豊かな自然が残り、閑静な住宅街が広がる地域です。早くから民間による宅地開発や玉川全円耕地整理事業などが行われ、道路等が計画的に整備された街として発展してきました。  多摩川沿いの台地には石器時代・古墳時代の遺跡が分布しており、特に野毛大塚古墳では刀剣等が発掘され全国の注目を集めました。大正初期には新町住宅(桜新町)を玉川電気鉄道と東京信託株式会社が提携して開発し、隣接する田園調布とともに田園都市の様相を明らかにしました。  戦後は、東京オリンピックの開催を契機に、駒沢公園の整備や環状8号線・駒沢通り等の幹線道路も整備が進み、近代的で明るい雰囲気が地域にもたらされました。近年では、二子玉川駅周辺で再開発事業が進められ、区や玉川地域における交流の一大拠点、東京の西の玄関口として発展しています。  地域には、江戸時代に田畑の灌漑用(かんがいよう)に掘られた次大夫堀用水や、東京都の無形民俗文化財である浄眞寺のお面かぶり、奥澤神社の大蛇のお練りなど、古い伝統と歴史が残されています。 暮らしの姿  現在の玉川地域には、等々力渓谷や国分寺崖線などに多くの緑が残っています。また、貴重な緑である農地も比較的多く残されており、果物や野菜などが栽培され、ぶどうのもぎとりや、みかん狩りなどが行われています。  みどり率は5地域の中で3番目です。近年、相続等により、宅地化される場合は、集合住宅では大規模化(マンション化)、戸建住宅では小規模化(細分化)となる傾向にあります。  人口は緩やかな増加傾向にあり、2013年(平成25年)には約20万9千人となっています。  要介護認定者数は、現在、約7,200人であり、世田谷地域に次いで2番目に多くなっています。地区では、ミニディやサロン、自主活動グループによる高齢者に対する活動も活発に行われています。  災害時の対策として、東日本大震災以降に地域の大学等と災害時の協定を結び、災害時における応急・復旧対策の強化を図っています。 にぎわいと地域の活動  地域の事業所は約6千4百箇所、従業者数は約6万5千人であり、二子玉川や用賀には大規模な商業店舗やオフィスが集積しています。また、各駅周辺などの商店街は、地域住民のコミュニティの場であるとともに、イベント等でまちに活気が生まれています。  一方、東京都指定名勝である等々力渓谷は、武蔵野台地の南端を谷沢川が浸食してできた、延長約1 キロメートルの東京23区内唯一の渓谷で、身近に自然に触れ合える場所として、区内外から多くの人が訪れる観光スポットとなっています。  その他、地域に古くから伝わっている行事に加え、近年は、「二子玉川花みず木フェスティバル」、「世田谷区たまがわ花火大会」、馬事公苑での「せたがやふるさと区民まつり」、「世田谷246ハーフマラソン」など数々のイベントなども地域に定着し、地域住民の交流の場となっています。  玉川地域は、古くから住む人びとの結びつきが強い地域でもあり、伝統的な行事や文化的な遺産等を自分たちで守っていこうという意識を強く持っています。また、災害時要援護者支援協定や、防災・防犯活動にも熱心に取り組んでおり、地域の活性化に貢献しています。 めざしていく将来像 (まちの将来像) 地域で育む安心・安全と笑顔のまち ● 地域住民による地域活動の活性化や幅広い世代の参加促進のための支援や協働を行い、地域力の向上をめざします。 ● 地域活動や地域交流のための区民利用施設の改修等を計画的に進めます。 ● 防災訓練や避難所運営訓練等、地域住民による災害対策の活動を支援し、また、地域の大学等との連携を進めることにより、地域の防災力の向上を図るとともに、安全な市街地の形成等の防災街づくりを推進します。 ● 町会・自治会や民生・児童委員、社会福祉協議会、青少年地区委員、地域のNPO等と連携・協力し、地域福祉を推進します。また、子育てや青少年健全育成、健康づくりへの支援を推進します。 ● ユニバーサルデザインのまちづくりを推進し、だれもが自由に様々な地域活動に参加することができるまちをめざします。 国分寺崖線や等々力渓谷などの自然豊かな住みよいまち ● 「世田谷のみどりの生命線」である国分寺崖線や等々力渓谷等、玉川地域の豊かな自然の保全に取り組みます。また、社寺林や屋敷林など玉川地域の歴史を伝えるみどりの保全・継承に努めます。 ● 二子玉川公園や(仮称)上用賀公園の整備などにより、新たなみどりの創出を推進します。 ● 瀬田農業公園の整備等により農業振興を図るとともに、中町・深沢・等々力地区等で都市農地の保全に努めます。 ● 地区計画等により良好な住環境を守るとともに、宅地開発等が行われる際は、地域の環境・特性に合わせた街づくりを進めます。 にぎわいと元気あふれる魅力的なまち ● 商店街や地域団体等による各種イベントを支援し、各地区のにぎわいやコミュニティの更なる活性化を図るとともに、子どもから高齢者まで多世代が交流できるまちをめざします。 ● 神社仏閣、美術館等の豊富な歴史・文化資産を活かし、まちの魅力を高めていきます。 ● 日常的に文化・芸術に触れることができる環境を活かし、まちの活性化を図ります。 ● 二子玉川駅周辺地区については、にぎわいのあるまちなみを生かし、駅の東側と西側の一体的な街づくりに取り組むことにより、自然環境、暮らし、にぎわいの調和がとれた魅力ある街をめざします。 地区におけるまちづくり活動の目標(地区ビジョン)【玉川】 奥沢地区(東玉川、奥沢) 「子どもからお年寄りまで みんながいきいきと安全で安心して暮らせる 絆に結ばれた支え合いのまちをめざして」  幅広い世代の方々がいきいきと暮らせるように、子育て、高齢者福祉、健康づくりなどの様々な自主活動を継続・充実させていきます。また、要援護者への支援体制と地域の絆づくりに寄与する事業に取り組みます。 九品仏地区(玉川田園調布、奥沢) 「郷土愛を育み、より安全・安心で、人と人とのつながりのあるまちへ」  世代に、より住みやすい生活環境を残すために、ふるさと意識の向上に向けた啓発を図りながら、幅広い交流をすすめ、地区住民が少しずつ力を出し合う、災害に強いまちづくりを進めます。 等々力地区(玉堤、等々力、尾山台) 「郷土愛あふれる活力あるまちへ〜みずと緑と伝統を核として〜」  緑や自然、伝統を尊び継承していく活動を引き続き推進するとともに、幅広い年代の方々が協働して、老若男女を対象とする多様なまちづくり事業を展開し、郷土愛あふれ活力あるまちを持続させていく土台をつくります。 上野毛地区(上野毛、野毛、中町) 「互いに支えあえるまちづくりをめざして」  地域活動に積極的に取り組んでいる区民を中心に、地区の様々な世代の方がお互いに地区の助け合い・支えあい活動が担えるようめざします。  また、自助・共助の一端を担ってもらえるような体制づくりに取り組んでいきます。 用賀地区(上用賀、用賀、玉川、瀬田、玉川台) 「みどりの多い、支えあい・助け合いのある心豊かで安全なまちを目指して」  青少年育成事業を通じて、幅広い世代の交流を図り、その輪を広げていくとともに、災害発生時に住民が自主的に活動していくための整備や、あんしんすこやかセンターと連携して安心して住み続けられるまちづくりを行います。 深沢地区(駒沢、駒沢公園、新町、桜新町、深沢) 「笑顔であいさつを交わすみどりあふれるまち」  住民同士が笑顔であいさつを交わし、世代間の交流が促進され、地区の問題を一緒に考え解決を図っていけるような地区を目指します。  また、地区の「安全安心」と「緑化と緑地の保全」活動への理解と協働を呼びかけていきます。 砧地域 地域の特性 地域のなりたちと姿  砧地域は区の西部に位置し、主に住宅地が広がる台地と、農地と住宅が混在する多摩川沿いの平地からなる地域です。台地と平地の境には、貴重な湧水や植物、樹林地を持つ国分寺崖線が広がるみどりとみずが豊かな地域です。  地域内にはみどりと調和した良好な住宅地が広く分布し、世田谷区の代表的なイメージを形成しています。しかし、近年は社宅の廃止や事業所の移転等により大規模な集合住宅も増えています。  野川や仙川の周辺では、紀元前の集落跡や古墳等、多くの埋蔵文化財が発掘されています。また、喜多見地区周辺は、江戸初期に喜多見藩二万石がおかれ、現在の東京23区に該当する区域内では唯一となる大名の陣屋が存在した地区であり、慶元寺や氷川神社を始め、歴史と農村文化の名残をとどめる神社・史跡や伝統芸能等の文化遺産も多くなっています。  大正の終わりに成城学園の立地を契機として誕生した成城は、当初より計画的なまちづくりが行われ、にぎわいと落ち着きを併せ持つ「学園のまち」として洗練された雰囲気をもって発展してきました。  比較的古くから大学や映画撮影所、研究所があり、また、近年では世田谷美術館が立地するなど教育・文化施設が多く存在する創造的・文化的環境の高い地域でもあります。 暮らしの姿  砧地域の人口は、2013年(平成25年)4月1日現在、約15万3千人で大規模敷地の土地利用転換等により人口が増加の傾向にありますが、人口密度は他地域と比べて最も低くなっています。年齢構成は、区の平均と比較して乳幼児と青少年人口が多く、高齢者の割合が若干低くなっていますが、近年は高齢化率の上昇が著しく区の平均に近づきつつあります。10 年後の将来人口予測では、人口の伸びが一番大きい地域でもあります。  砧公園など大規模な公園が立地し、住民一人あたりの公園面積は区内5地域の中で最も広く、地域のみどり率も30%を超え最も高くなっています。また、区内の生産緑地の約4割が砧地域に存在し、都市化の進展にもかかわらず多くの農地が残されているなど、みどりとみずの豊かな環境に恵まれています。しかしながら、みどり率、農地面積ともに漸次減少傾向にあり、みどりの創出や農地の保全が求められています。  また、小田急線については、喜多見駅から梅ヶ丘駅間の連続立体交差事業が終了しましたが、駅前広場や側道については引き続き整備が進められています。道路・交通環境の面では、環状8号線が南北に通っているものの、地域内の道路ネットワークはまだ十分に形成されていません。コミュニティバス路線が、地域の交通機関として大きな役割を担っています。  地域の南西部では、東京外かく環状道路の建設が始まっており、今後の地区の変化を見据えた街づくりが求められています。 にぎわいと地域の活動  小田急線の千歳船橋駅から喜多見駅までの各駅周辺には、ウルトラマン商店街をはじめ地域の特性に合った個性的な商店街があり、区民の生活を支えています。  また、農地では野菜を中心に様々な農作物が作られており、地域内の多くの直売所等で販売されるなど地産地消の農業が展開されています。  岡本公園民家園や次大夫堀公園民家園では、往時の世田谷の農村風景と生活環境などを再現し、四季折々に様々な催し物を行い、現代に生きる文化財として注目を集めています。  1978年(昭和53年)から開催されている「たまがわ花火大会」は、夏の風物詩として定着し、多くの人びとに親しまれ区民の「ふるさと」意識と「区民相互の連帯」意識の醸成に役立っています。  砧地域では、住民が中心となり、文化創造や福祉につながる活動、環境を守り育てる活動など住民主体のまちづくり活動が盛んに行われています。特に、町会・自治会等による高齢者の支え合い活動が多くの地区で行われる等、区民活動がますます活発になっています。また、地域の絆や区民の防災力を高める活動も多くなっています。  「祖師谷ふるさとフェスティバル」や「成城さくらフェスティバル」、「船橋ふれあいまつり」、「喜多見地区区民まつり」、「砧地区緑化まつり」等地区ぐるみの祭りが定着し、住民相互の交流も活発に行われています。 めざしていく将来像 (まちの将来像) みどりとみずと農の豊かな砧の原風景を未来に引き継ぐまち ● 国分寺崖線や野川、仙川など、みどりとみずの保全に努めるとともに、自然を守り育成する良好な住環境に恵まれたまちづくりを総合的に推進します。 ● みどりの育成に必要な地下水を涵養し、貴重な湧水地の保全を図ります。 ● 地域の南部と北部を中心に分布する都市農地を、ふれあいのある農業の拠点とするとともに、農のある風景、みどりと風土を地域の資源として保全していきます。 ● 東京外かく環状道路と周辺のみどりとみずが調和したまちづくりをめざします。 歴史と伝統を大切に文化とにぎわい・交流の元気のあるまち ● 「田園都市」「学園都市」として、人・自然・文化の調和のとれたまちづくりをめざすとともに、文化遺産、文化施設、運動施設や公園等、地域の資産や資源を継承・活用した地域特性あふれるまちづくりを推進します。 ● 地域のまちづくり活動を支援し、大学や企業等の地域活動とも連携、交流して、協働によるふれあいとにぎわいのあるまちづくりを推進します。 ● 地域と学校の交流を積極的に推進し、小・中学校施設を地域住民の様々な活動の場として活用していくとともに、多様な学習意欲に応える生涯学習の環境づくり・プログラムづくりを行い交流の場を広げます。 ● 地域や地区の生活の拠点として、商店街におけるにぎわいと元気あふれるコミュニティの形成を推進します。 あらゆる世代が健やかでこころふれあう災害に強い安全・安心のやすらぎのあるまち ● 各地区で実施している地区包括ケア会議を基盤として、医療・介護・福祉領域の様々な立場を理解しあい、絆を深め、顔の見える関係づくりを進めます。 ● 地域で安心して子育てができるよう、子育て相談や各種健診、児童虐待予防対策を充実させるとともに、すべての子どもたちがいきいきと育ち、遊び、学べる環境を整備します。 ● 区民一人ひとりがより良い生活習慣を身につけ、運動を始めとする身体活動による生活習慣病予防や食育等健康づくりの活動を通じて、こころ豊かな暮らしを育むまちをつくります。 ● 地域を支える道路ネットワークの整備を始めとする基盤整備により、安全性や利便性を向上させるとともに、地震や水害など災害に強い安全・安心なまちづくりに努めます。 ● 防災訓練や避難所運営訓練等を通じて地域住民の防災意識の高揚と防災行動力の向上に努め、地域全体の防災力を高めます。 地区におけるまちづくり活動の目標(地区ビジョン)【砧】 祖師谷地区(祖師谷、千歳台) 笑顔あふれる支えあいのまち祖師谷  地区の中心を南北に走る祖師谷通りには活気あふれる商店街があります。この賑わいをより発展させ、地区に住む誰もが笑顔で行き交うことができる支えあいのまちの実現に取り組みます。 成城地区(成城) みどりと文化の薫る学園都市成城  成城学園と共に発展してきた成城のまち。そこに息づく様々な歴史や自然・文化的資産の特色を生かし、協働に基づく魅力あるまちづくりの推進を図ります。 船橋地区(船橋、千歳台) みんながつくる賑わいと活気のあるまち船橋  「森繁通り」の活性化や駅前広場の活用による周辺商店街の発展や「船橋の小径」等地区名所のPR、地区のおまつりやイベント、「子どもぶんか村活動」をはじめとする船橋地区独自の活動等の更なる充実により、賑わいと活気あふれるまちをつくります。 喜多見地区(喜多見、宇奈根、鎌田) 子ども達で活気あふれるまち喜多見  喜多見地区の特色であるみどりとみずの豊かさと、次大夫堀公園や二子玉川緑地などで行われている自然とのふれあい活動などをより広げ、次代を担う子ども達が元気に集い健やかに育つまちをつくります。 砧地区(岡本、大蔵、砧、砧公園) まちを知り、まちを守り、次代を育み、未来を語り合う交流の輪が広がるまち砧  砧・大蔵・岡本、それぞれのまちの伝統・文化やさまざまな資産を大切にし、尊重しあい、助け合い、健やかな未来を語り合えるまちをつくります。 烏山地域 地域の特性 地域のなりたちと姿  烏山地域は区の北西部、武蔵野台地のほぼ南端に位置し、仙川、烏山川の流れがつくる小さな起伏はあるものの、地域全体は比較的平坦な台地となっています。烏山地域を東西に走る甲州街道は、江戸五街道の一つで、烏山は高井戸宿と布田宿の中間、「間あいの宿しゅく」(休憩用の宿)として賑わい、街道両側には整然と地割りされた集落が形成されていました。  1915年(大正4年)の京王線開通以降、郊外住宅地としての開発により人口が増加し、駅周辺を中心に発展し続けていますが、現在も、農地や宅地のみどりもかしこに見られ、武蔵野の自然豊かな風情が残っています。  1919年(大正8年)、東京・巣鴨より敷地面積61,000坪に開放病棟や作業場のある東京府松澤病院(現:東京都立松沢病院)が上北沢に移転しました。現在、病院の建て替えにあわせ地域住民の要望と関係機関との連携により、憩いの空間として将軍池広場の開設や周辺道路の整備が進められています。  北烏山は、関東大震災後、都心部から移転してきた寺院が集まった「烏山寺町」と呼ばれる地域があります。また、芦花公園駅周辺は、文豪徳冨蘆花が移り住んだ「蘆花恒春園」や区立の文学館もある、歴史と文化の香り高い地域です。  1991年(平成3年)4月、地域行政制度発足により烏山総合支所は、現在の上北沢地区、上祖師谷地区、烏山地区の3地区をエリアとして開設されました。様々な伝統行事などを通じて、住民と地域、行政が気軽に話し合い、協働してまちづくりに取り組んでいる住民パワーあふれる地域です。 暮らしの姿  烏山地域の人口は、2013年(平成25年)1月現在で、約11万人と、面積は7.72kuと5地域のなかで最も人口が少なく面積も最も小さくなっています。人口密度は駅周辺が高いものの、地域全体では区内平均を若干下回り、比較的ゆったりとした環境です。人口構成は、高齢者の割合が2割を超え、今後も緩やかに高齢化率は上昇し、中でも高齢者単身世帯の大幅な増加が予想され、地域の見守り・支えあいネットワークが必要です。  また、公的集合住宅が多く、今後、建て替えの予定もあるため、転出転入の増加、生産年齢人口層の単身世帯や子育て世帯の増加により人口は伸び続ける見込みです。多世代の住民や新たな転入者も参加したまちづくり・防災活動等を通じた地域交流が求められています。  東西に京王線が通り、都心へのアクセスに便利ですが、開かずの踏切により南北の交流・交通が遮断され、不便をきたしています。今後の京王線連続立体交差事業に伴い、総合的な交通網の充実や駅周辺のまちづくりが求められています。また、広域的な幹線道路として甲州街道と環状8号線が整備されていますが、地域全体の体系的な生活道路の整備が求められています。  みどり率は、区の平均値を若干上回る25.8%ですが、今後もみどりの保全・創出を進めていく必要があります。貴重な農地のみどりを減らさないよう、保全及び適切な土地利用の誘導は重要な課題です。南部には区民憩いの場である蘆花恒春園や祖師谷公園、松沢病院脇の将軍池広場などがありますが、一人当たりの公園面積は、区全体の平均を下回っており、充実していく必要があります。 にぎわいと地域の活動  商業地は、京王線駅周辺および甲州街道等の幹線道路沿線にみられます。特に、千歳烏山駅周辺では身近な日用品店や飲食店等が多く、生活の利便性に加えて烏山区民センターとその前の広場を利用した商店街や住民による地域のイベントが積極的に開催されるなど、年間を通し常に賑わいが見られます。  また、各地区では、町会・自治会や商店街、様々な地域活動団体により、住民相互のコミュニティや絆づくり、さらには賑わいのあるまちづくりを目指した多種多様なイベントが活発に開催され、地域力の向上に寄与しています。  みどり豊かな地域の農地は、新鮮な農産物の供給源であるとともに、区民が土に親しむ機会となる区民農園や、気軽に収穫体験できる農園が多くあり、好評を得ています。  地域住民が中心となった環境を守る活動や環境美化活動、放置自転車クリーンキャンペーンや上北沢駅周辺の路上禁煙地区の取組み等も積極的に行われています。  現在、烏山地域は、バス路線のない交通が不便な地域も散在するため、自転車の利用者が多く、その対応として利用マナーや全教育等の活動が活発です。  さらに、ミニディやいきいきサロンなど地域の自主グループが、高齢者の見守りや支えあいを行うネットワーク活動「からすやま 共に支えあう いきいきネット」は、世田谷区内でも先駆的な取組みとなっています。 めざしていく将来像 (まちの将来像) 地域がつくる、活気あふれる賑わいと笑顔のあるまち ● 京王線の開かずの踏切が解消されるため、賑わいのある商店街を中心に、南北の交流と人びとが集う魅力あふれるまちをつくります。 ● 伝統ある地域のまつりとともに、区民主体の様々なイベントを大きく発展させ、豊かなコミュニティに支えられた活気あふれるまちをめざします。 ● 地域の困りごとは、地域自らで解決できるよう、自助・共助のコミュニティづくりを支援し、相談窓口の連携を図るなど、心の通うまちをつくります。 ● 地域活動の核となる町会・自治会について、転入者や若い世代が積極的に参加する仕組みづくりと、経験豊富なベテランとの調和のとれた活動が活発に行われるよう支援します。 ● あらゆる世代、地域の団体、さらには関係機関が、実践的な防災訓練等を進め、防災力の高いまちをつくります。 武蔵野の面影を残す自然と文化の落ち着きの中で安心と安全をともにつくるまち ● 京王線連続立体化に伴う駅前周辺の整備にあたっては、人の交流・コミュニティづくりを視点に、周辺道路等の整備やバス路線導入に向け、総合的な街づくりを進めます。 ● 地域の軸となる都市計画道路、主要生活道路等の整備を総合的に推進し、利便性の向上とともに、災害時における延焼の遮断や遅延、緊急車両の通行、避難路確保等、災害に強い街づくりを進めます。 ● 大規模な利用の転換が見込まれる土地や公共住宅団地の建て替えについては、周辺の自然環境との調和や道路やコミュニティ拠点となる広場の整備等を働きかけていきます。 ● 地域に残された貴重な農地や屋敷林を保全するとともに、住宅敷地等の緑化など都市景観の美しいまちづくりを区民、事業者とともにめざします。 ● 旧甲州街道や烏山寺町のたたずまいを活かし、宙水の保全並びに蘆花恒春園や文学館を核とした歴史と文化、風土が調和した魅力のあるまちをつくります。 あらゆる世代がいきいきと元気で暮らせるこころのふるさと烏山 ● 町会・自治会、あんしんすこやかセンターや地域社会福祉協議会、民生委員・児童委員、NPO 等の地域の活動を通し、子ども、障害者、高齢者をあたたかく支え見守るネットワークを発展させます。 ● 日頃から保健と福祉、医療との連携を図り、地域でいつまでも健康で安心して暮らせるよう、こころとからだの健康づくりや相談支援の充実を図ります。 ● 子どもが健やかに育ち、住んでいる烏山に誇りが持てるよう、地域と保育園、児童館、図書館、学校、事業者等が協力・連携した育ち、遊び、学ぶ仕組みをつくります。 ● ごみの減量化や雨水利用、自然エネルギーの有効活用、スマートシティへの取組みなど環境保護への区民活動を支援し、地域の環境意識を高めます。 ● 大学等と連携した身近な地域でのレクリエーションや文化や歴史に造詣の深い地域住民による生涯学習の充実など、健康で豊かな生活を支援します。 地区におけるまちづくり活動の目標(地区ビジョン)【烏山】 上北沢地区(上北沢、八幡山) 「自分たちのまちは自分たちで守り、育てていく あったか上北沢」〜お互いが顔見知りになりみんなで力を合わせてまちを守ろう〜  上北沢地区高齢者見守りネットワークや防災活動を通して、お互いが顔見知りとなるよう良好なコミュニケーションを育み、絆をさらに深めるとともに、安全・安心な地区まちづくりを広げていきます。 上祖師谷地区(上祖師谷、粕谷) 「音楽と花と文学と笑顔があふれるまち 上祖師谷・粕谷」〜誘いあい、知りあい、支えあいの地域の絆〜  蘆花恒春園と祖師谷公園に囲まれた上祖師谷・粕谷は、音楽をテーマにしたイベントや花づくりの行事が多く行われています。また、地元の文豪、徳冨蘆花のゆかりの地でもあります。今後も、継続的な地域活動を通じ、誘いあい、知りあい、支えあいの絆を広げていきます。 烏山地区(給田、南烏山、北烏山) 「手を取り合って、楽しく地域の絆を広げよう 烏山」〜継続的な地域活動が導く地域のコミュニケーション〜  歴史ある地元のまつりや商店街、烏山区民センター前広場を中心に広がっている賑わいや交流等を大切にしながら、新たに転入された方やNPO をはじめ、地域の様々な団体とさらに楽しく地域の絆を広げていきます。 6 実現の方策  まちづくりへの主体的な参加を基本に、区民・事業者・行政のパートナーシップにより、基本計画を実現していくことが必要です。  その方策として、区は、参加、協働、ネットワークなどにより、各政策を実行し、確実に支えていくために、計画の確実な推進、執行体制の整備、地域行政の推進、財政運営、行政改革、公共施設の整備、維持・管理などに取り組みます。 T 課題としての方法論の取組み (1)参加 ○人権の尊重  すべての人は、自分の存在と尊厳が守られ、自由に幸せを追い求めることのできる権利「人権」を持っています。家庭や地域・職場・学校において、一人ひとりが自分らしく生き、他の人たちとともに、皆が幸せに暮らしていくためには、お互いの個性を尊重し、認め合うことが必要です。区では、女性・子ども・高齢者・障害者・外国人・性的マイノリティなどを理由に差別されることなく、多様性を認め合い、人権への理解を深めるため、人権意識の啓発や理解の促進を推進します。 ○区民参加の環境整備 ・住民自治を支援するため、区民との信頼関係のもと、情報公開の充実・区政の透明化を進めます。また、紙や電子など幅広い媒体を工夫・活用し、情報の受発信力を高め、区政に関心のある区民を一人でも多く増やしていくため、区政情報をわかりやすく、繰り返し伝えます。 ・ソーシャル・ネットワーキング・サービスをはじめとする新たな技術・サービスの普及に対応した研究・実践を行うなど、情報通信技術を効果的に活用し、区民サービス向上のための情報化を推進します。また、区が保有する各種情報のオープンデータ化による区民参加の促進など、情報公開のあり方について、引き続き検討を進めます。 ○区政への参加  防災や地域での支えあいなど、共通課題の共有やその解決のため、区民活動を進めていくうえで、さまざまなアイデアを出しあうなど、広く区民が参加する場と機会を増やしていきます。併せて、参加型によるワークショップや提案発表会など、多様な参加手法の充実に努めます。 (2)協働 ○協働によるまちづくり  防災、環境、福祉の支えあい活動ほか、さまざまな分野での活発な区民主体の活動により、まちづくりが展開されてきました。区では、こうした活動への場や機会の提供、活動助成ほか、さまざまな支援をしています。  今後も、区民・事業者・区が、地域の課題解決のために、まちづくり活動の目標を共有し、役割と責任を分かち、協働によるまちづくりを進めていくことが重要です。  そのための場やしくみについて、区民とともに進めます。 ○寄付文化の醸成と支えあいの循環  ともに地域社会を支え、活力ある地域を創るため、区は、復興支援、福祉、子育て、まちづくり活動などへの資金提供を繰り返し呼びかけるなど、寄付文化の醸成と広がりに努めます。また、区民相互の支えあいの活動の裾野を広げ、循環するしくみが重要です。世田谷の支えあいによる協働の礎を築きます。 (3)ネットワーク ○区は、区民との協働を互いに強めて、情報共有と区民参加を図ります。 ○広域協力と自治体間交流  近隣自治体と連携しながら広域的な課題解決に取り組みます。縁組協定を結ぶ川場村をはじめ他の自治体との関係を深め、互いの特色を生かして災害時の協力体制などを築くほか、親善や相互理解のための国際交流も進めていきます。 ○大学や企業との連携・協力  災害時に備えて、すべての事業所(商業・工業・農業に関わる各団体をはじめ、民間非営利団体等の地域活動団体や大学、高校など)における相互間の協力体制や、防災区民組織との連携を図り、地域との協力体制づくりを推進します。また、健康、スポーツ、生涯学習、まちづくり、地域の活性化などのため、大学や企業と連携・協力し、まちづくりを進めます。 U 持続可能な自治体経営 (1)計画の推進  基本計画のほか、新実施計画を確実に推進するため、計画の進行管理に努め、職員参加のもと、各施策の評価を引き続き行います。また、区民や学識経験者で構成する評価委員会などによる評価のほか、評価結果や改善結果を区民へ公表するなど、区民とともに計画の策定・実施・評価を進めます。 (2)執行体制の整備 ・組織のスリム化に努めつつ、適宜、区政の課題に確実かつ効果的に応えていける簡素な組織体制を整備・維持します。 ・引き続き、適正な定数管理に努めるとともに、円滑に世代交代を進め、地方分権時代にふさわしい経営感覚や専門知識を持ち、危機対応や政策形成の能力に優れ、区民との協働を進める人材の育成・配置を計画的に行います。 (3)地域行政の推進 ・住みなれた地域で安心した暮らしを支えるため、地域社会での見守りや支えあいの関係を向上する取組みが求められています。これら地域コミュニティの形成を推進するため、現地性(区民の暮らしの場での取組みが望ましいということ)が高い取組みについては、地域・地区を重視します。 ・地域や地区でのコミュニティ活動を基盤として、地域社会を発展させる観点から、参加と協働を踏まえて地域行政を推進します。 (4)自治権の拡充と財政運営、強固な財政基盤 ・地方分権の動きを注視するとともに、国へのさらなる働きかけなどを実施します。また、児童相談所、教員人事、都市計画決定などの都区制度改革を他機関と連携・協力しながら進めます。 ・社会構造や行政需要の変化に的確に対応できるよう、自治権拡充と財政自主権の確立に取組み、新たな歳入の確保や財源の効率的な配分、施策の優先度に基づく再構築などの行政改革を進め、財政基盤の強化を図ります。 ・中期的な計画見通しのもとで、健全で円滑な財政運営に努めるため、財政の見える化を進め、効果的効率的な財務会計制度の運用を図ります。 (5)行政改革の推進 ・自立した自治体としての権限の拡充、区民参加と協働の推進、コスト意識を向上した民間活力の推進、職員の率先行動と区民サービス向上のための職場改革を進めます。そのため、これまでの行政経営改革を継続し、新たな実施計画の中で、行政改革を徹底します。 ・社会保障・税に関する番号制度への対応を図るとともに、業務・システムの標準化、省力化など、区民サービス向上のための行政運営を進めます。 ・外郭団体を取り巻く社会環境が大きく変化しているなかで、これまでの実績を踏まえ、新たなニーズに対応した区と外郭団体の連携のあり方を検討するとともに、外郭団体のより一層の効率的・効果的な経営体制を確立するための取組みを進めます。 【外郭団体改革の取組み方針】 ○外郭団体の存在意義を再検証し、外郭団体が担う役割と民間事業者等による公共サービス提供が可能な事業との違いを明確にします。団体の本来の役割である公益性と専門性を活かし、区民サービスの向上と経営効率化による経営基盤の強化をめざすとともに、それぞれの役割に応じ、団体のあり方の抜本的な見直しを検討し、団体の統合又は廃止、事業再編等を進めます。 ○外郭団体における中期目標の設定やその実現のための計画を策定し、その着実な実施に取り組むとともに、定期的に経営状況の分析、事業評価を行い、その進捗状況等を公表します。 ○外郭団体への委託事業について、外郭団体の専門性・独自性等を生かした適切なサービス提供となっているか、区による直営や民間事業者への委託等と比較して、優位性、効率性があるかなど検証し、当該団体へ委託することの適否について検討を継続します。 ○区から外郭団体への補助金について、団体の存在意義及び事業の公益性等から補助の必要性を精査するとともに、事業運営の効率化の徹底を求め、補助金の適正化を進めます。 ○区から外郭団体への職員派遣について、各団体の自主・自立を一層進める観点から、固有職員の育成状況や組織運営の効率性・柔軟性等を見極めながら、計画的削減を進めます。 (6)公共施設の整備  必要な区民ニーズなどに対応しながら、老朽化の進行により、増加する施設更新などの経費を抑制し、効率的・効果的な公共施設の整備、維持管理に取り組みます。 【公共施設整備の基本方針】 ○既存施設等の有効活用  既存施設は、中長期保全計画に基づく予防保全に取り組むとともに、老朽度や利用状況、経費、環境負荷などを踏まえ、可能な限り既存施設の長寿命化を検討します。また、複合化などにより生じた跡地は、他の施設の改築時の活用を検討し、活用がない場合には売却とします。 ○施設整備、維持管理経費の抑制  施設の維持管理について、民間活力の活用や高効率設備の導入などにより経費抑制を図るとともに、施設整備の建設コストについて、インハウスVEなどにより経費抑制を図るほか、PFIなど民間活力の活用も検討します。 ○施設総量の抑制  効率的・効果的な施設整備を行うため、民営化を検討するとともに、学校を含めた公共施設の改築時には複合化を推進するなどにより、新たな施設の建設を可能な限り抑制します。また、土地・建物を借上げている施設は、返還を進めます。 ○配置の見直し  既存施設の持つ機能を最大限に発揮するため、用途転換や多機能化を図るとともに、地区会館、区民集会所など同種の施設機能については、より効果的に施設機能を発揮させるため、区分の見直しを含めた再編を行います。 ○求められる機能の充実  再生可能エネルギー等の活用などによる環境負荷の低減を図るとともに、防災機能の確保や、ユニバーサルデザインの推進など利用者の視点に立ち、公共施設に求められる機能の充実に努めます。 【今後10年間の主な取組み】 ・本庁舎、玉川総合支所など、老朽化した大規模施設の整備 ・出張所・まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターの複合化 ・区民集会施設など、施設機能の見直しによる再編 ・都立梅ヶ丘病院跡地を活用した福祉施設の整備 ・区立幼稚園の用途転換による幼保一体化 ・学校跡地、国家公務員宿舎跡地の有効活用 資料編 基本構想・基本計画の策定にあたり、策定経過等を含めた資料を添付します。 【掲載項目:例示】 ・世田谷区基本構想審議会名簿 ・基本構想策定の経過 ・区民参加の概要  区民と区長とのテーマ別意見交換会(平成24年5月〜25年1月)  無作為抽出による区民ワークショップ(平成24年6月)  区民意見・提案発表会(平成25年1月)  基本構想シンポジウム(平成25年6月)  地域別タウンミーティング(平成25年7月) 発行日  平成25年9月 発行   世田谷区政策経営部 世田谷区基本構想・政策研究担当部 〒154-8504 世田谷区世田谷4-21-27 電話(03)5432−1111(代)