令和4年9月の「区長の談話室」(ゲスト:坂倉杏介氏)

最終更新日 令和4年10月10日

ページ番号 200621

令和4年9月の「区長の談話室」

令和4年9月4日・11日放送 区長の談話室「ウェルビーイングという生き方をご存じですか?」

※9月11日は9月4日の再放送です。

ウェルビーイングとは、体や心の健康だけではなく身の回りの環境・暮らしやすさなども地域の健康として形づくる、という考え方です。世田谷区では尾山台地区で、まちの暮らしを地域の人たちの創意工夫で考えていく「おやまちプロジェクト」が注目をされています。東京都市大学とのコラボレーションで「おやまちウェルビーイング・リビングラボ」という、ウェルビーイングで持続可能な地域を生み出す大学連携も発足しています。また玉川野毛町公園の拡張にあたって、住民参加による協働の公園づくり「玉川野毛町パークらぼ」という取組みも始まっています。2つの具体例からウェルビーイングな生き方を考えていきます。

ゲストとテーマ紹介

  • パーソナリティ:皆さま、いかがお過ごしですか?「区長の談話室」の時間です。保坂区長、今日もよろしくお願いします。
  • 区長:よろしくお願いします。
  • パーソナリティ:今日のテーマは、「ウェルビーイングな生き方」について、具体的な例をご紹介しながら考えていきます。さっそくゲストをご紹介しましょう。東京都市大学都市生活学部准教授の坂倉杏介さんです。よろしくお願いします。
  • 坂倉氏:よろしくお願いします。
  • パーソナリティ:坂倉さんと区長のご縁もお付き合いも長いと伺いました。
  • 区長:そうですね。世田谷区で10年ほど前に空き家を活用して地域のコミュニティを活性化できないか、ということを研究する勉強会とかシンポジウムをやりました。その際に、坂倉先生がまだ慶応大学にいらっしゃったころ、港区で空き家活用を先んじてやられていたことがあって、シンポジウムにお呼びしたり、そういった中で多分お知り合いになっていただいたと思います。
  • パーソナリティ:そういった由縁もあるということで。坂倉さんも世田谷に縁があるんですよね。
  • 坂倉氏:そうですね。出身が世田谷区成城9丁目で。あまり世田谷の街には大人になってからは関わっていなかったですが、区長にお声がけいただいたりとか、8年前かな、東京都市大学、世田谷玉川地区尾山台にある大学に着任して、地元の大学で働けるということでやっています。
  • パーソナリティ:心強い方ですね。
  • 区長:そうですね。それでもうとにかく、坂倉さんが都市大に来られて等々力キャンパスに落ち着いたというか、落ち着いてないんでしょうけれども、あの尾山台の街がもうガラリと変わり始めてですね、後から詳しく話していただきますけれども、「おやまちプロジェクト」と言ってですね。尾山台の街を、子どもたちと、商店街と、そして、東京都市大学の学生さんや坂倉先生とお互いがコラボしながら、ほとんど全国でも最先端を行くですね、コミュニティ作りが進んでいます。

「おやまちプロジェクト」について

  • パーソナリティ:今、お話にもあったように、おやまちプロジェクトというものは、世田谷の中のウェルビーイングの一環でもあるんですよね。そういった関係性というのも、教えていただけますか?
  • 坂倉先生:はい。今ウェルビーイングという言葉が結構よく使われるようになりましたけれども、おやまちプロジェクトってまさにまちづくりというか、街でいろんな人が主体的に活動する、1人1人のウェルビーイングを大事にしたそういう活動なんだと思うんですよね。今、街のために自己犠牲して頑張るとかではなくて、1人1人がいい状態、いい人生を歩めるような街にしていこうみたいなことで、そんな意味でもすごく注目されています。
  • 区長:今ですね、世田谷区教育委員会教育長が渡部先生で、当時、尾山台小学校の校長先生だったんですね。その当時、子どもたちを学校に閉じ込めておかないで、街にもどんどん出していこう、そして、キャリア教育っていってね、世の中の仕組みや、働く現場、そして大人たちがどんな苦労しながら日々生きているのかということを、子どもたちが実感的にこう体得していくっていうことを実現したいという教育理念がおありで、ひょんなところから、このプロジェクトが始まったと聞いています。
  • 坂倉氏:そうなんです。まず最初に、私が都市大に移って、商店街の理事をされていた当時小学校のPTA会長でもあった高野雄太さん、地元の用品店の3代目の30代の男性ですけど、すごく街のことを心配して、大丈夫だろうかということで、大学に訪ねてきてくださったんですね。色々お話を聞いていて、大学と商店街と一緒にやりましょうと。ただ、商店街のイベントに学生が参加させてもらうというよりも、なんか全くこれまでやってなかったことから始めましょうということで、ホコ天、夕方、商店街の路上で、学生がいろんな人がおしゃべりしたりとか、子どもが遊べる場所を作ろうみたいな、そういうことをやって、ゼミ活動を始めたんですね。それを伝え聞いた、渡部先生が、ちょっと面白いことやっているから校長室に来なさいと。
  • 区長:そうですか、
話しに行ったんじゃなくて呼ばれたんですか?なんか叱られるのかな?なんて。
  • パーソナリティ:お声がけいただいて。
  • 坂倉氏:そうですね。先生に呼ばれるって、悪いことしか思い浮かばないんですけど。それで、校長室に高野さんと一緒に行って、(尾山台小学校の)おやじの会の神武先生も一緒だったんですけど、4人でいろんなこと話をしても皆さん全く分野が違うけれども、こんなことやりたいあんなことやりたいとその場でまとまりはしなかったんだけど、この4人でなんか始めたら、ちょっとこれまでと違うことできそうだ、みたいな予感を全員感じて、じゃあ次なんかやってみようというふうに始まったのが、おやまちプロジェクトです。
  • パーソナリティ:これ、尾山台とかではなく、おやまちというネーミングもまた素敵ですよね。
  • 坂倉氏:それはですね、渡部先生がつけたんですけど、あのなんか尾山台プロジェクトだと、尾山台の住所の人だけに閉じてしまうので、もうちょっとふわっと、いろんなあの辺りの人のみんなのことにしたいのでと言って、渡部先生がおやまちプロジェクトってつけてくれたんです。
  • 区長:商店街にテントを張ったりしてね、その中で子どもがちょっと宿題やったりとか、いろんなことを試し始めて、会うたびにですね、やっていることが増えていくのに当時驚きました。
  • パーソナリティ:最近ではどんな活動されているんですか。
  • 坂倉氏:元々高野さんのお店、学校用品店なんですけれども、そのお店にみんなで集まって学生も寄ったりとかはしていたんですけれども、去年、そのお店をリノベーションして、用品店や文房具屋さんの機能も残しながら、もっといろんな人が、街の人が、そこに立ち寄ってコミュニケーションが取れるような場所にしようと、キッチンを作ったり、ちょっとカフェっぽくしてリノベーションをすると。2階を大学が借りて、リビングラボというんですけれども、いろんな社会の問題を街の中で地域の人と一緒に考えて、実験していこうという研究室を作ってやっています。
  • パーソナリティ:最近もシンポジウムも開催されてお話も伺ったんですよね。
  • 区長:そうですね、そのシンポジウムも、おやまちプロジェクトを中心に都市大で開かれ、私も呼ばれて伺って。
  • 坂倉氏:ありがとうございます。
  • 区長:驚いたのはね、やっぱり100人以上の人が来ているんですよ。
  • パーソナリティ:大盛況ですね。
  • 区長:それで年齢層もすごく幅広くて、でも、やはり中心になった人が、その高野さんと言って、まだ若い人なんで、やっぱり地域活動っていうと、比較的高齢の方が熱心だけど、なかなか若い人がいなくてっていう嘆きが多いんですが、おやまちの場合、結構若い方、そしてあと親たちですよね、小学生中学生の。それぞれにやりたいことをですね、おやまちで繋がるそのパーティーがあったり、子ども食堂で、カレーを出すプロジェクトがあったりとか、「おやまちバー」とかね。面白い展開を見せていて、もういくつも紹介されましたよね。
  • 坂倉氏:そうですね。シンポジウムとかサロンみたいな、ちょっと街のことを真面目に普段そんなこと喋らないから考えてみようって会もやるんですけど、同時に、先程出たように商店街の路上で人工芝を敷いて人がおしゃべりできるようにしたりとか、商店街沿いのワイン屋さんで立ち飲みのバーをしたり、気軽に入れる。「そういうのはまちづくりなの?やってなんの意味あるの?」みたいに真面目な人からは言われるかもしれないのだけど、でも逆に、そういうことをやることが仲間を増やしていくのにすごい大事で、裾野を広げていくんですっていうんですかね。元々、問題意識があってこういうことやりたいんだっていう人だけでやっていても広がらないので、おやまちプロジェクトの良さ、ふくよかさってのは、そういう本当にいろんな人に参加の機会が開かれてるってことだと思うんですよね。
  • 区長:教育の世界では、よく地域が支える学校って言葉があって、そのイメージとして学校にいろんな地域の人がサポーターとか助っ人で来てくれて支えられるというイメージなんですが、おやまちは逆で、子どもたちが街の中に出て行って、その小さな街の担い手として役割を果たしながら地域と繋がると。ここがやっぱり子どもにとっても、ずっといいですよね。
  • 坂倉氏:そうですね。はい。
  • パーソナリティ:お子さんも参加型にできるってことですよね。
  • 坂倉氏:今年の3月ですけど、尾山台小学校とおやまちマルシェという活動をして、尾山台小学校は渡部生生の頃から地域に出ることをすごく推奨していたんだけど、この2年間ほとんどできなくなっちゃって、もう6年生が卒業する時には、その集大成で、なんかやりたいねっていうふうに先生が思って、子どもたちに「何やりたい?何やりたい?」って聞いて、聞く授業にも私たちも行かせてもらったんですけど、そしたらやっぱり「街のお店で働きたい!お店の前に屋台を出して、そのお店のものをお店の人と一緒にこう売るっていうのを実際にやりたい!」みたいな話をしたんですね。「それ大変じゃん」と言ったんですけれども、商店街の方も協力してくれて、18店舗かな、3月に子どもたちが4、5人でひとグループで1つのお店に行って、お店の人にお話を聞いて、何をどんな思いで売ってるのかっていうのを取材して、そのポップとかポスターとかを作ったりとかしてやるっていうのを、3月に開催しました。
  • パーソナリティ:素敵!母としても、その地域のコミュニティに魅力があると住みたくなる街になりますもんね。

「玉川野毛町パークらぼ」について

  • 区長:細田さん(パーソナリティ)ね、そういう坂倉先生のコーディネートをするいろんなものを繋ぎ合わせていただけるお力を借りて、実はですね、古墳のある公園で、野毛町公園ありますよね、こちらの方がですね、隣に国土交通省の官舎が以前ありまして、これが全部売却するということで、世田谷区で買いました。かなり広いですね。2.7ヘクタールですかね。今、その官舎と言っても、古くからあるので、結構緑豊かな空間なんですね。これをどういうふうに設計しようかっていうことでプロの方も入っているんですが、公園作りをみんなで参加型でということで、坂倉先生に中心になっていただいてワークショップ(玉川野毛町パークらぼ)をだいぶやっていただいたんですね。
  • パーソナリティ:はい。公園も手掛けていらっしゃる。
  • 坂倉氏:そうですね。あのランドスケープとか植物の専門家では全然ないんですけれども、でも今はやっぱりいろんな人の思いがちゃんと生かされる、できた後もいろんな人に使ってもらえる公園にしなきゃいけないということで区長に言われて、専門家がかっこよくデザインするだけっていうのは違うと思うんだけども、「いろんな人の要望を聞いたら全ての要望が盛り込まれて、足し算足し算になって、誰にも欲しくないものになっちゃうじゃん!どうすればいいですか?」というふうに伺って。足し算でやりたいものを全部並べると多分公園として成り立たないですよね。だから、野毛町の公園ではみんながやりたいことの足し算じゃなくて、100年後から遡って「100年前の人たちはこんなすごいいい公園を作ってくれたんだね。ありがとう」って言ってもらえるような公園にしましょうよっていうようなことを、いろんな人の話の中からそういうテーマが浮かび上がってきて、いろんなものを詰め込みすぎない余白がある、いろんな人がいろんなふうに使えるような公園を目指そうよということで、ワークショップをやってきていますね。
  • パーソナリティ:区長、環境整備された公園もとっても私たちにとっても嬉しいんですが、意見を取り入れてくださるなんて、またさらに愛着が湧きますよね。
  • 区長:この野毛町公園の拡張予定地、こういったワークショップをやりながら公園を開いてどうぞ来てくださいっていう日がありまして、先日行ってきたんですよ。そしたら入口のところにですね、循環っていうグループの皆さんがいてですね、これを見てくださいとのことで、「私たちの家庭で出た生ごみを堆肥化してここに置いています」と。「こんな野菜が、ナスができていたりね、野菜が収穫できるんですよと。名付けて、ぐるぐる回る循環なんですよ。」っていう説明をしてくれた方に、「皆さん、どの辺りにいらっしゃるんですか?」って聞いたら、全員、「隣のマンションです。」マンションの住民の皆さんだったんですね。「いや、最初はちょっとクレーム言ったかもしれません。だけど、今やプレーヤーです」って言っていただいたのは、とても印象的でしたね。
  • パーソナリティ:東京だとなかなかね、その地元密着っていうのには1歩距離があったりはするんですが、皆さんじゃあ、本当にコミュニティとして参加されているんですね。
  • 坂倉氏:そうですね。最初から仲間ってありえないので、仰るように最初はちょっとおそるおそる警戒して。
  • 区長:ちょっと何が始まるのかな?ってね。
  • 坂倉氏:そう。「なにされるの?なんならちょっと文句でも言わなきゃみたいに思っていたんだけれども。」という思いも話をして聞いてもらえて、逆に、他の人のこんな公園だったらいいなみたいな思いも聞けて、そのデザイナーの方も真摯にみんなのお話を聞いて、提案してくれてやっているうちに、自分もなんかできることあるんじゃないかみたいな形でどんどん参加してくれる方が増えてきていて、ほんとに単に、自分の要望を言うとか、欲しいものを作ってくださいというだけじゃなくて、自分もその作るプロセスに入れることがその人のウェルビーイングも高めてくれるんだろうなと思っています。みんなでデザインするって結構、それだけ聞くとすごく楽しそうでいいですが、でも実際話し始めると、もうその人のやりたいこととか、経験とか、もうまちまちなので、なかなか収集がつかなくなる。でも、この野毛町の公園ってすごくいいのは、工事が始まるのが来年なのですよ。だから、今、まだ空き地なんですよ。その空地の状態でまだ何もないんだけど、「みんなで使ってみようよ。みんなでやりたいことを試しにやってみよう」とその経験を共有すると、「子どもが遊ぶとこんなふうになるんだ」とか、実際にこの生えているものを見て、「これで何ができるかな」みたいな、そういう話ができるっていうのはすごいいい進め方だなと思っています。
  • パーソナリティ:未来がありますね。
  • 区長:意外とね、面白いと思ったのは、何もないっていうのもいいねという意見ですね。
  • 坂倉氏:そうですね。「これはこのままでいいじゃん」っていうことを仰る方もいて・・・
  • パーソナリティ:0から始まっていくっていうところのもワクワクしますよね。
  • 区長:草っぱらっていうのもいいよね。
  • 坂倉氏:綺麗な公園じゃなくても全然楽しいんだっていうね。
  • パーソナリティ:作られすぎているわけでもなく。
  • 区長:何にも作ってないっていうのは新鮮だね、とね。
  • 坂倉氏:あと、剪定材とかはできちゃった公園って捨てないといけないんですけど、切ったものをとりあえず置いといてもらったりとかすると、その枝を使って子どもが遊び始めたりとか、なんかどうやったら完成した後の公園でもこういうふうに使えるかっていうのは、これは、行政にお願いしても多分100パーセントできないから、使い手の住民がどういうふうにそれができるように運営しようかみたいな話にもなっていますね。
  • パーソナリティ:何かね、ほんと価値があったからこそ、ということで、生き甲斐だったりやりがいだったり、そしてもっと遊びがいだったりと、ほんとウェルビーイングな活動に繋がりますものね。また後半でも、持続可能な社会とウェルビーイングについてお話を伺っていきたいと思います。

持続可能な社会とウェルビーイング

  • パーソナリティ:今日の区長の談話室は、ウェルビーイングな生き方について具体的な例をご紹介しながら考えております。ゲストは、東京都市大学都市生活学部准教授の坂倉杏介さんをお迎えしています。区長、やはり、社会と科学の視点で街と文化をどう創造していくのかという都市大の坂倉さんのお力って偉大ですね。
  • 区長:そうですね。特に、時代はこれから変わってきますよね。10年後、20年後はどうなっているか非常に予測がしにくいんですけれども、公園などがいらなくなるってことは、もう絶対に予想できないわけですね。むしろ必要性は高まっていると思います。実はですね。世田谷区内でも100年を越した建物っていうのも数えるくらいしかないんですね。ところが世界、いろんな都市に行くと、まず公園に行ってみるっていう人も多いと思うんですけども、あと、僕なんか、動物園なんかも行くんですが、公園って、平気で200年前、300年前のものっていうのは今も楽しまれていますよね。日本の日本庭園もそうです。そういう意味ではですね、建物がメッセージだっていう考え方、しかし、その命の期間っていうのは、そんなに長くない。しかし、公園というのは、平気で100年単位で街の中に、地域の中にいろんなドラマを織り成していくという意味では、公園を設計する、そこに参加するって、すごいことなんですね。
  • パーソンリティ:公園は受け継いでいくものでもありますので、ほんとそこが場所になっていきますものね。
  • 坂倉氏:ほんとにそうですね。野毛町の公園をデザインしてくださる忽那さんと話をしていて、公園って、そもそも人のウェルビーイングのためにあったはずなんだけど、今現在は、公園の性能とかコストとか管理がどうかとか、住民参加がされてデザインしたかどうかみたいな、そういうのがいい公園かどうかで計られている。だけど、「公園というのは、そもそも人の社会生活を豊かにしていく場所ですよね」っていうのを仰ってくださって、そうなんですよ。だから、自分がそこでどういうふうなことができるかっていうことや、それを作るプロセスに参加するっていうことも、自分の達成感とか力を発揮できるっていうのでもいいし、あと私の研究で言うと、社会生活だけじゃなくて、やっぱり、歴史とか自然とか、人間の社会を超えた世界に繋がるっていうのも、人のすごい心の満たされる状態にすごく繋がっていて、だから公園を作るっていうのは、そこで仲間もできるし、自分のやりたいこともできるんだけど、街のすごい昔からの歴史とか自然に触れる機会にもなるし、ほんとにみんな生き生きとして参加してくださっている人多いですね。
  • パーソナリティ:世田谷としても、そういった魅力を増やしていきたいですよね。
  • 区長:そうですね。実は、世田谷区で、私も区長になってから、その公園の持つ価値に気づき、そして特にアメリカのオレゴン州ポートランドで、実際に公園作りを手掛けたランドスケープの企業集団というか、そういう人たちの話を聞いて非常に感銘したのは、ポートランドの東の方で、やはり移民をしてきた人たちは、とても生活はかなり厳しくて、貧困層の多いところで、犯罪がやや多かった、それが課題で、お互い言葉が通じなかったりするので、そこでですね、もう70種類以上の言語で、200回、300回のワークショップを、何年もやったっていうんですね。それで、その設計された公園っていうのは、とてもさりげなく、その人がお互い話すようなキッチンカーが並ぶコーナーがあって、そこで食べるようなスペースがあったり、スケボーでですね、オープンした時、見たんですが、すごい体格のいいお兄さんと小学生が、綺麗に並んで順番待っていたりとか、それから遊具ですかね、健康遊具も、お年寄り用のもあったり、うんと小さな赤ちゃん用のブランコとかね。なんかよく考えられていて、いろんな多世代の人が、多言語でここなら出会えるというような設計で作られたっていうのを見て、なるほど、その都市におけるストレスとか、あるいはそのリスクとかいうものをうまく回避して、いいコミュニティを作っていくために、公園ってすごいツールだなと思いましたね。
  • パーソナリティ:憩いの場になりますからね。でも、坂倉さん、そういったお話も聞いた中で、世田谷区を通じてその持続可能な社会とウェルビーイングな生き方を提供するために、どういうふうに、今後活動されていきたいな、というふうに思ってらっしゃいますか。
  • 坂倉氏:はい、そうですね。おやまちプロジェクトや野毛町の公園のワークショップをやっていて、それはまちづくりだったり、公園のデザインっていうふうに言われていたんだけども、そもそも何のためにやっていたんですか?と言うと、やっぱり1人1人のウェルビーイング。ウェルビーイングって、健康であるだけじゃなく、気持ちいいとか楽しいだけでもなく、1人1人がその繋がりを感じられたりとか、自分が生きている意味を感じられたりとか、1人1人違う多様なその自分のいい状態でできるだけあり続けられる、そういう社会を作ろうっていう、それは、どんな分野でも、究極のゴールとしてちゃんと設定しておいて悪くはないですね。我々結構そういうの、忘れちゃっていて、何のためにやっていたんだっけ?みたいなことになっていたと思うんですね。ですから、そのおやまちプロジェクトは小さいプロジェクトですけど、いろんなことをそれぞれの人がチャレンジして、それは小さいかもしれないんだけれども、いろんな主体がいろんなことを重ねていくことによって、いつか、今はないんだけど、こういう暮らしが、みんなの当たり前の気持ちになっていくといいなと思いながら、ちょっとずつ皆さんとやっていますね。

最後に

  • パーソナリティ:本当に貢献してくださっていますが、坂倉さんとってのウェルビーイングは今どういうふうに考えてらっしゃったりするんですか。
  • 坂倉氏:はい、私もそうですけど、私だけじゃない、いろんな人が、そもそもその人の本来感っていうか、その人の持ち味が十分に発揮できるような状態を見つけたときの、そのエネルギーっていうか。やっぱりちょっと生きづらいなとか、優秀な人なんだけども、ちょっと頑張りすぎているなとか色々あると思うんですね。それがなんかある時、ふっとこう、少し手放して緩んで、ああなんか、ほんとに自分の自分らしい今時間を過ごせている、みたいな人がどんどん増えていくといいなと。そういう時間って得られるんだっていうふうにみんな実感してくれれば家庭に閉じるわけでもなく、お仕事だけに頑張るわけでもなく、やっぱり街とか暮らしの近くで時間を過ごそうとか、そこでいろんな人と関わりたいって思ってくれると、街はほんとにどんどんどんどん活気が増していくんじゃないかなと思いますね。
  • パーソナリティ:癒してくれる、背中をしてくれるような存在に、また世田谷区がなっていくといいですよね。
  • 区長:そうですね。ウェルビーイングっていろんな言い方あると思いますけれども、大人ももう1度子どもになれる、子どもは本来の子どもに戻れるっていうのが、例えば公園のワークショップを通しても見えてきた姿でしょうし、今、世田谷区で上用賀公園と言って、関東中央病院のお隣にある財務省の官舎跡にも3ヘクタールのですね、公園を拡張しようとしています。あと、烏山の方でね、烏山の7丁目緑地、ここはもう今日行ってきたんですが、鬱蒼としたですね、鈴かけの木なんて巨木があって、まあ世田谷の森みたいな、こういうところをうまく残しながら、みんなが楽しめる、そして、緑まだまだ少ないですから、緑も増やしていけるといいなと思っています。
  • パーソナリティ:ウェルビーイングとして持続的な幸せを作りながら、という場所が世田谷区でありますように、皆さんのお力添えもただけたらと思っております。さあ、今日はたっぷりとお話を伺わせていただきました。保坂区長、そして坂倉さん、ありがとうございました。
  • 区長:ありがとうございました。
  • 坂倉氏:ありがとうございました。

写真令和4年9月

左よりパーソナリティ、坂倉氏、保坂区長

関連リンク

このページについてのお問い合わせ先

世田谷区

電話番号 03-5432-1111

ファクシミリ 03-5432-3001