タイトル 令和4年度公金運用計画 (計画期間 令和4年6月から令和5年5月まで) 令和4年6月策定 作成所属 世田谷区会計室 目次 1.区を取り巻く経済・金融動向と公金運用計画の考え方 2.歳計現金等 (1)資金収支の見通し (2)歳計現金等の管理・運用 3.積立基金 (1)積立基金残高 (2)積立基金の管理・運用 (3)積立基金運用実績 内容 1.区を取り巻く経済・金融動向と公金運用計画の考え方 政府は、デフレからの脱却を確実なものとし、経済再生と財政健全化の双方を同時に実現していくことを基本的姿勢としている。 令和4年5月に発表された月例経済報告では、我が国の経済の基調判断を「景気は、持ち直しの動きがみられる。」としている。 先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、感染症による影響を注視する必要があるとしている。 一方、金融情勢をみると、日本銀行は、平成28年9月の政策委員会・金融政策決定会合において、2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現させるため、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、短期金利に対するマイナス金利の適用の継続に加え、長期金利(10年)も引き続きゼロ%程度で操作していくことを決定した。令和4年4月の政策委員会・金融政策決定会合でも、この金融政策は維持されている。 このため、当面、金利は極めて低い水準で推移していくものと考えられている。 財務省出典の資料を参考に、平成25年4月から令和4年5月までの金利状況(各月初日の数値)を折れ線グラフに表わしている。 一方、区の財政状況は、歳入の根幹である特別区税、特別区交付金ともに、前年度から大幅な増収を見込んだものの、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響や、今般の国際情勢が及ぼすエネルギー価格等の高騰、欧米におけるインフレの国内への波及など、地域経済の動向は不透明さを増し、先行きが懸念される状況となっている。 こうした状況の中で、資金を効率的に管理・運用していくには、収支予測をできるだけ的確に把握する必要がある。このため、四半期ごとに庁内に依頼していた大口収支計画の報告を平成23年11月から月次報告に切り替えるなど、きめ細かな対応に努めている。 また、過去と比較しても極めて低い金利水準など公金運用には困難な状況が続く中、収益補完型の運用が必要との観点から、世田谷区中期財政見通しも踏まえつつ、20年債による資金配分を実施するなど、創意工夫に努めた運用を行っている。 今後とも、こうした取組みのもとで、区を取り巻く経済・金融動向等を注視しながら、世田谷区公金管理方針に基づく安全性(元本の保全)を重視して、流動性(現金化の容易度)に万全の注意を払いながら、効率性(収益の向上)を目指していく。 2.歳計現金等 歳計現金等とは、一般会計、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療会計、介護保険事業会計、学校給食費会計、歳入歳出外現金、高額療養費等資金貸付基金、美術品、文学資料等取得基金、以上の総額をいう。 (1)資金収支の見通し 令和4年度の資金収支の状況は、例年同様に特別区税や国民健康保険料を収納する時期の関係から、年度当初から6月にかけて一時的に収支の差がなくなることなどが予想される。 しかし、その後は令和4年度賦課分の納期がはじまることから、基本的には収入超の状況が続き、年度を通じても収入が支出を上回ると予想される。 (2)歳計現金等の管理・運用 支払準備資金を指定金融機関の普通預金で管理する。 支払準備資金が不足する場合は、金額と期間を踏まえた上で、繰替運用を行う。 歳計現金等は、地方自治法第235条の4で、「最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない」と定められている。 各所属からの毎月ごとの大口収支計画の報告等をもとに、支払いに支障をきたすことのないように継続的な注意を払った上で、日々の支払いに備えるための支払準備資金は、指定金融機関の普通預金で管理する。 歳計現金等全体で支払準備資金が不足することが見込まれる場合は、金額と期間を踏まえた上で、積立基金からの繰替運用を行う。 繰替運用での対応も困難な場合には、起債の時期を前倒しするなど、臨機応変に対応していく。 3.積立基金 (1)積立基金残高 積立基金残高は、令和3年度(令和4年3月末現在)は約1263億円に推移している。 表1 積立基金の残高推移については、次のとおりである。     財政調整基金の令和4年3月末現在の残高は381億2千百万円、2年度決算時残高は381億2千百万円、元年度決算時残高は330億3千9百万円、30年度決算時残高は319億6千百万円である。 減債基金の令和4年3月末現在の残高は64億5千4百万円、令和2年度決算時残高は64億5千4百万円、元年度決算時残高は64億4千百万円、平成30年度決算時残高は64億2千6百万円である。義務教育施設整備基金の令和4年3月末現在の残高は146億9百万円、2年度決算時残高は146億9百万円、元年度決算時残高は145億7千6百万円、平成30年度決算時残高は145億4千8百万円である。 庁舎等建設等基金の令和4年3月末現在の残高は350億6千5百万円、2年度決算時残高は300億6千5百万円、元年度決算時残高は293億4千6百万円、平成30年度決算時残高は243億5千8百万円である。 都市整備基金の令和4年3月末現在の残高は81億1千9百万円、2年度決算時残高は81億1千9百万円、元年度決算時残高は80億6千5百万円、平成30年度決算時残高は80億4千9百万円である。 地域保健福祉等推進基金の令和4年3月末現在の残高は8億8千2百万円、2年度決算時残高は8億8千2百万円、元年度決算時残高は9億1千2百万円、平成30年度決算時残高は9億9千6百万円である。 みどりのトラスト基金の令和4年3月末現在の残高は81億4千5百万円、2年度決算時残高は81億4千5百万円、元年度決算時残高は81億1千9百万円、平成30年度決算時残高は80億8千5百万円である。 国際平和交流基金の令和4年3月末現在の残高は3億5千3百万円、2年度決算時残高は3億5千3百万円、元年度決算時残高は3億5千3百万円、平成30年度決算時残高は3億5千3百万円である。 住宅基金の令和4年3月末現在の残高は13億7千3百万円、2年度決算時残高は13億7千3百万円、元年度決算時残高は15億5千百万円、平成30年度決算時残高は17億9百万円である。 文化振興基金の令和4年3月末現在の残高は3千3百万円、2年度決算時残高は3千3百万円、元年度決算時残高は6千2百万円、平成30年度決算時残高は7千万円である。 子ども基金の令和4年3月末現在の残高は1億7千4百万円、2年度決算時残高は1億7千4百万円、元年度決算時残高は1億7千7百万円、平成30年度決算時残高は1億7千万円である。 災害対策基金の令和4年3月末現在の残高は25億8千百万円、2年度決算時残高は25億8千百万円、元年度決算時残高は25億5千4百万円、平成30年度決算時残高は10億5千万円である。 児童養護施設退所者等奨学基金の令和4年3月末現在の残高は1億8千8百万円、2年度決算時残高は1億8千8百万円、元年度決算時残高は1億3千7百万円、平成30年度決算時残高は1億3百万円である。 スポーツ推進基金の令和4年3月末現在の残高は7億4千百万円、2年度決算時残高は7億4千百万円、元年度決算時残高は6億6千9百万円、平成30年度決算時残高は4億7千5百万円である。 世田谷遊びと学びの教育基金の令和4年3月末現在の残高は2千3百万円、2年度決算時残高は2千3百万円、元年度決算時残高は2千百万円、平成30年度決算時残高は2千万円である。 介護給付費準備基金の令和4年3月末現在の残高は94億4千4百万円、2年度決算時残高は94億4千4百万円、元年度決算時残高は69億7千2百万円、平成30年度決算時残高は55億8千5百万円である。 令和4年3月末現在の積立基金総額は1263億5百万円、2年度決算時は1213億5百万円、元年度決算時は1129億9千5百万円、平成30年度決算時は1039億5千9百万円である。なお、計数については、百万円未満を四捨五入しているため、合計等と一致しない場合がある。また、令和3年度については、決算認定前のため3月末の数値である。 (2)積立基金の管理・運用 積立基金は、基金別の状況等を把握した上で、基金全体で一括運用する。 資金の流動性を確保した「短期的な運用」と安全性を重視しつつ、比較的高い利回りを確保できる「長期的な運用」を組み合わせた資金配分を目指していく。 世田谷区中期財政見通し(令和4〜8年度)による見通しなども視野に入れ運用していく。 運用にあたっては、世田谷区公金管理方針及び世田谷区公金管理方針実施要領に基づき、各基金の設置目的並びに積立及び取崩の計画等も考慮しながら、効率性等の観点から、基金全体で一括運用していく。 運用方法としては、資金の流動性(一般会計等への繰替運用や基金取崩への対応)を確保した短期的な運用 と、安全性を重視しつつ、比較的高い利回りを確保できる長期的な運用 を組み合わせた資金配分を目指していく。 長期的な運用については、現行の金融緩和政策のもとで、金利の低下が進み、今後も低い水準での推移が続くとみられている中、満期償還を迎えた10年債の再投資を基軸とした運用(ラダー型運用)の効率性は大幅に低下している。 このため、現状のような金利状況における長期的な運用については、当面、収益補完の観点から、金利動向等を適宜・適切に見極めながら、20年債による資金配分も効果的に実施していく。 また、環境改善や社会貢献等を資金使途とする債券(いわゆるESG債)については、安全性・流動性・効率性を考慮した上で購入について検討する。 短期的な運用は、預金運用により進めていくことを基本とする。資金の流動性の確保を重視しつつ、相対的には高い利子収入額を確保できる期間1年程度の定期性預金(譲渡性預金)などの運用に努めていく。 こうした資金配分については、世田谷区中期財政見通し(令和4〜8年度)による基金残高の見通しなども視野に入れて、必要な対応を図っていく。 令和4年度の資金配分については、前年度と同様に、債券運用(30%程度)・預金運用(70%程度)を一つの目安とするが、上記の運用による4年度基金利子収入の目標等は表2のとおりである。 表2 積立基金利子収入について、4年度目標額は2億3千6百万円以上である。なお、3年度実績額は2億4千4百万円、2年度実績額は2億4千百万円である。 (3)積立基金運用実績 定期性預金の金利の低下が進んだため、預金運用の利子収入額は減少したものの、債券運用の利子収入額は、一部の債券について額面超過分の償却が終了し利子収入が始まったことなどで増加し、表3のとおり令和3年度の利子収入は、令和2年度を上回る2億4400万円台を確保した。 表3 積立基金の運用実績 基金運用全体の3年度の平均利回りは0.20%で、2年度の0.21%と比べると、0.01ポイント減少した。 基金運用全体の3年度の利子収入は244,147,276円で、2年度の241,187,995円と比べると、2,959,281円増加した。 内訳として、債券運用の3年度の平均運用割合は25.80%で、2年度の27.73%と比べると1.93ポイント減少、3年度の平均利回りは0.70%で、2年度の0.68%と比べると0.02ポイント増加した。 債券運用の3年度の利子収入は223,182,546円で、2年度の213,210,326円と比べると、9,972,220円増加した。 預金運用の3年度の平均運用割合は74.06%で、2年度の69.32%と比べると4.74ポイント増加、 3年度の平均利回りは0.02%で、2年度の0.04%と比べると0.02ポイント減少した。 預金運用の3年度の利子収入は20,961,169円で、2年度の27,910,602円と比べると、6,949,433円減少した。 繰替運用の3年度の利子収入は3,561円で、2年度の67,067円と比べると、繰替運用の実施減に伴い63,506円減少した。