世田谷区会計基準 平成30年3月30日 29世会計第257号                      序章 本会計基準は、世田谷区における一般会計、特別会計(地方自治法第209条第1項に定める一般会計及び特別会計をいう。以下同じ。)の財務諸表を作成する際の基準を示したものである。 第1章 総則 1 基本的な考え方 (1)複式簿記の記帳方法による財務諸表の作成 本基準は、複式簿記の記帳方法による正確な会計帳簿を通じて財務諸表を作成する際の基準を示すものである。 (2)「費用」及び「収入」の概念 世田谷区の行政活動は営利を目的としていないため、その成果を、企業会計でいう「「費用」と「収益」の合理的な対応」という経済的因果関係でとらえて損益計算書を作成することは適当ではない。したがって、本基準においては、企業会計における「収益」という概念ではなく、世田谷区の行政活動の実施に伴い発生した「費用」とその財源としての「収入」という概念を用いて、両者の対応関係及びその差額を明らかにすることとした。 (3)「費用」及び「収入」の計上基準 「費用」及び「収入」の計上基準として、現金主義ではなく、発生主義を採用する。したがって、「費用」及び「収入」は、現金の支出時点及び収入時点において計上されるのではなく、その取引や事象が当該会計期間に発生した時点において計上される。 (4)「資産」及び「負債」の計上 貸借対照表には、世田谷区が所有する財産(換金価値のある実物財産及び法的権利)及び世田谷区が負担する法律上の債務だけでなく、発生主義会計に基づく「資産」及び「負債」を計上する。 2 財務諸表の体系 世田谷区の財務諸表の体系は、貸借対照表、行政コスト計算書、キャッシュ・フロー計算書、正味資産変動計算書及びこれらに関連する事項についての附属明細書とする。 3 基本的作成方法 財務諸表の作成にあたっては、公有財産台帳等の計数を基本として開始貸借対照表を作成する。それ以後は、複式簿記による記帳方法を用いて正確な会計帳簿を継続し、期末に公有財産台帳等との照合その他の決算整理手続を経て、財務諸表を作成する。 4 作成基準日 作成基準日は、会計年度末(3月31日)とする。ただし、会計年度末から地方自治法第235条の5に定める出納の閉鎖までの期間(以下「出納整理期間」という。)における歳入及び歳出並びにそれに伴う資産及び負債の増減等を反映した後の計数をもって会計年度末の計数とする。 5 計数の単位 財務諸表に掲記される科目その他の事項の金額は円単位とする。ただし、必要に応じ、千円単位又は百万円単位等をもって表示することができる。 なお、採用単位未満の金額は四捨五入による。 第2章 貸借対照表 1 作成目的等 (1)作成目的 貸借対照表は、基準日時点における世田谷区の資産、負債及び正味資産の状況を明らかにすることを目的として作成する。 (2)作成方法 貸借対照表は、会計帳簿に記録された各勘定の残高のうち、資産勘定、負債勘定及び正味資産勘定の次期繰越高を集計することにより作成する。 2 作成基準 (1)区分及び分類 貸借対照表は、「資産の部」、「負債の部」及び「正味資産の部」の3つの部に区分する。 資産項目と負債項目については一年基準に従って、基準日の翌日から1年以内に回収又は履行の期限が到来するものを流動資産又は流動負債とし、それ以外のものを固定資産又は固定負債として区分する。 また、資産、負債及び正味資産の各科目は、一定の基準に従って明瞭に分類する。 (2)配列 資産及び負債の科目の配列については、原則として流動性の高いものから順に記載する流動性配列法を採用する。 3 資産項目 資産については、現金預金、収入未済、有形固定資産、無形固定資産、重要物品、投資その他の資産等を計上し、その形態を表す科目によって表示する。 また、貸借対照表価額については取得原価を基本として算定するが、世田谷区にはインフラ資産等企業会計にはない資産概念が存在することから、それぞれの資産の所有目的に応じた評価基準及び評価方法について別に定めることを妨げない。 (1)流動資産 @ 現金預金 現金預金とは、地方自治法第235条の4第1項に定める普通地方公共団体の歳入歳出に属する現金(以下「歳計現金」という。)をさす。この場合、貨幣及び貨幣代用物のほか、歳計現金の保管形態としての金融機関への短期預金を含むため、一括して現金預金として表示する。  A 収入未済 会計年度末における調定額と収入額との差額をさす。「調定」とは、地方自治法第231条の規定に基づき、収入の原因、債務者、金額等を調査し、決定する行為であり、この「調定」の段階で「収入」を認識する。 @ 地方税収入未済 特別区税の収入未済を計上する。 A その他収入未済 地方税収入未済以外の収入未済を計上する。 B 不納欠損引当金 特別区税、使用料等の収入未済の一部については、時効の完成等によって不納欠損となる可能性があるため、徴収不能見込額を不納欠損引当金として計上する。その計上に際しては、過去の不納欠損実績率等の合理的な基準を引当率とし、それを収入未済額に乗じた額を基本とする。 なお、個々の債権の状況に応じた、より合理的な算定方法が存在する場合には、当該方法により引当金を計上することを妨げない。 C 基金積立金 財政調整基金及び、減債基金のうち流動資産に区分されるものが該当する。 財政調整基金は、年度間の財源調整を図り、財政の健全な運用に資するために設けられるものである。その取崩にあたっては、使途が限定されず、比較的機動的な対応ができることから、財政調整基金は流動資産に掲記する。 また、減債基金のうち、1年以内に償還が予定されている区債の償還の財源として充当されるものは、流動資産に掲記する。 D 短期貸付金 貸付金のうち、1年以内に回収が予定されているものが該当する。 E 貸倒引当金 短期貸付金のうち一部については、返還免除や減免となる可能性があるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上する。その計上に際しては、過去の貸倒実績率等の合理的な基準を引当率とし、それを短期貸付金残高に乗じた額を基本とする。 なお、個々の債権の状況に応じた、より合理的な算定方法が存在する場合には、当該方法により引当金を計上することを妨げない。 F その他流動資産 その他、上記以外の流動資産を計上する。ただし、金額的に重要性があるものについては独立の科目で表示する。 (2)固定資産 固定資産は、行政財産、普通財産、重要物品、インフラ資産、ソフトウェア、リース資産、建設仮勘定及び投資その他の資産に分類して表示するとともに、行政財産及び普通財産は、各々を有形固定資産及び無形固定資産に区分する。 また、固定資産の評価は取得原価を基礎として算定する。 なお、償却資産については取得原価から減価償却累計額を控除した価額を掲記し、減価償却累計額は科目別に注記する。 (ア)固定資産に属する科目 @ 行政財産及び普通財産 地方自治法第238条第1項各号に定める公有財産のうち、有形固定資産及び無形固定資産は、同条第4項に定める行政財産及び普通財産に分類して掲記する。 @ 有形固定資産 地方自治法第238条第1項各号に定める公有財産のうち、土地、建物、工作物(取得価額が100万円以上のもの)及び立木をいい、土地、建物、工作物及びその他有形固定資産に分類して掲記する。ただし、下記に定めるBインフラ資産に属するものを除く。 A 無形固定資産 地方自治法第238条第1項各号に定める公有財産のうち、地上権等の用益物権、特許権や著作権、商標権等の無体財産及びこれらに準ずる権利が該当し、地上権及びその他無形固定資産に分類して掲記する。 A 重要物品 地方自治法第239条第1項に定める物品で世田谷区が所有するもののうち、世田谷区物品管理規則(昭和60年3月世田谷区規則第28号)第43条第1項に規定する重要物品とする、取得価額が100万円以上のものが該当する。 B インフラ資産 行政財産のうち、道路及び橋梁をいい、これらの資産と一体となって機能するものを含む。インフラ資産は、有形固定資産を土地と土地以外に分類して掲記する。 C ソフトウェア コンピュータを機能させるように、指令を組み合わせて表現したプログラム等をいい、当該ソフトウェアの利用により、将来の費用削減が確実なものが該当する。 ソフトウェア仮勘定(製作途中にあるソフトウェアをいい、当該資産を取得するために要した支出の累計額をいう。)もあわせて計上する。 D リース資産 所有権移転ファイナンス・リース取引におけるリース物件が該当する。 E 建設仮勘定 建設又は製作途中にある有形固定資産及びインフラ資産をいい、当該資産を取得するために要した支出の累計額を掲記する。 F 投資その他の資産 @ 有価証券 地方自治法第238条第1項第6号に定める区の保有する債券等が該当する。 A 出資金及び出捐金 地方自治法第238条第1項第7号に定める出資金及び出捐金が該当する。 B 長期貸付金 貸付金のうち、1年を超えて回収される予定のものが該当する。 C 貸倒引当金 長期貸付金のうち一部については、返還免除や減免となる可能性があるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上する。その計上に際しては、過去の貸倒実績率等の合理的な基準を引当率とし、それを長期貸付金残高に乗じた額を基本とする。    なお、個々の債権の状況に応じた、より合理的な算定方法が存在する場合には、当該方法により引当金を計上することを妨げない。 D その他債権 地方自治法第240条第1項に定める債権のうち、流動資産に属するもの以外の保証金、納付金等が該当する。 E 基金積立金 基金のうち流動資産に該当するものを除く基金を掲記する。さらに内訳科目として、「減債基金」、「特定目的基金」及び「定額運用基金」に分類して掲記する。 F その他投資等 信託受益権等が該当する。 (イ)固定資産の減価償却 @ 有形固定資産及びリース資産のうち償却資産については、原則として定額法により残存価額1円まで減価償却を行う。耐用年数等は、別途定める基準による。 A 無形固定資産のうち償却資産については、原則として定額法により残存価額0円まで減価償却を行う。耐用年数等は、別途定める基準による。 B 重要物品については、原則として定額法により残存価額1円まで減価償却を行う。耐用年数等は、別途定める基準による。 C ソフトウェアについては、原則として耐用年数を5年として、定額法により残存価額0円まで減価償却を行う。 4 負債項目 負債については、還付未済金、特別区債、借入金、引当金等を計上し、その形態を表す科目によって表示する。 (1)流動負債 @ 還付未済金 過誤納金のうち当該会計年度末までに支払が終了しなかったものをいう。 A 特別区債 特別区債のうち、1年以内に償還を予定するものが該当する。 B 短期借入金 借入金のうち、1年以内に返済義務が生じるものが該当する。 C リース債務 所有権移転ファイナンス・リース取引におけるリース債務のうち、1年以内に期限が到来するものが該当する。 D 未払金 会計年度末までに支払義務が発生したが、その支払いが当該年度内に終了していないもののうち、還付未済金を除くものが該当する。 E 賞与引当金 翌会計年度に支払われる予定の賞与のうち、当期の負担に属するものが該当する。 F その他流動負債        流動負債のうち上記以外のものが該当する。ただし、金額的に重要性があるものについては独立の科目で表示する。 (2)固定負債 @ 特別区債 特別区債のうち、1年を超えて償還を予定するものが該当する。 A 長期借入金 借入金のうち、1年を超えてから返済義務が生じるものが該当する。 B リース債務 所有権移転ファイナンス・リース取引におけるリース債務のうち、流動負債となるもの以外のものが該当する。 C 退職給与引当金 退職手当の性格は賃金の後払いであるとの考え方に立ち、既に労務の提供が行われている部分については負債として認識し、「退職給与引当金」として計上する。 D その他引当金 その他の引当金が該当する。 E その他固定負債 上記以外の固定負債が該当する。ただし、金額的に重要性があるものについては独立の科目で表示する。 5 正味資産 正味資産とは、貸借対照表における資産総額と負債総額の差額をさす。「正味資産」は単一の科目として計上し、内訳表示は行わないが、前年度末からの増減額を、「(うち当期正味資産増減額)」として、「正味資産」の末尾に記載する。 6 貸借対照表の標準的な様式 貸借対照表の標準的な様式は、貸借対照表(第1号様式)のとおりとする。 第3章 行政コスト計算書 1 作成目的等 (1)作成目的 行政コスト計算書は、一会計期間における世田谷区の行政活動の実施に伴い発生した「費用」を発生主義により認識し、その「費用」と財源としての「収入」との対応関係、及びその両者の差額(以下「収支差額」という。)を明らかにすることを目的として作成する。 (2)作成方法 行政コスト計算書は、複式簿記による記帳方法により、現金に係る収支の記録を資本取引あるいは損益取引に区分していくことにより作成する。また、発生主義により把握する減価償却費、引当金等の非現金取引を、複式簿記の記帳方法により加減することによって「費用」及び財源としての「収入」を算定して作成する。 2 作成基準 (1)区分 行政コスト計算書は、通常の活動から発生する「通常収支の部」と、特別の事情により発生する「特別収支の部」とに区分する。「通常収支の部」は、さらに「行政収支の部」と「金融収支の部」とに区分する。 (2)科目 行政コスト計算書の科目は、日々の予算執行における仕訳を基礎とすることから、費用については世田谷区における歳出の予算科目に準じて設定し、収入については歳入の予算科目に準じて設定する。 3 計上する項目 (1)通常収支の部のうち行政収支の部 @ 行政収入 @ 地方税 特別区税が該当する。                     A 地方譲与税 地方譲与税が該当する。 B 地方特例交付金 地方特例交付金が該当する。 C その他交付金 利子割交付金、配当割交付金、株式等譲渡所得割交付金、地方消費税交付金、自動車取得税交付金及び交通安全対策特別交付金が該当する。 D 特別区財政調整交付金 特別区財政調整交付金が該当する。 E 国庫支出金 国庫支出金のうち行政サービス活動に充当されるもの(直接行政サービスに要した経費及び他の区分(社会資本整備等投資活動及び財務活動)に属さない支出に充当される財源としての収入をさす。以下同じ。)が該当する。 F 都支出金 都支出金のうち行政サービス活動に充当されるものが該当する。 G 保険料 国民健康保険事業会計における国民健康保険料、介護保険事業会計における介護保険料及び後期高齢者医療会計における後期高齢者医療保険料が該当する。 H 分担金及負担金 分担金及び負担金のうち行政サービス活動に充当されるもの並びに国民健康保険事業会計の療養給付費交付金、前期高齢者交付金、共同事業交付金及び介護保険事業会計の支払基金交付金が該当する。 I 使用料及手数料 使用料及び手数料が該当する。 I@ 財産収入 財産貸付収入等が該当する。 IA 諸収入(受託事業収入) 受託事業収入が該当する。 IB 諸収入 収益事業収入、物品売払代金等が該当する。 IC 寄附金 寄附金等が該当する。  ID 繰入金 他会計からの繰入金のうち行政サービス活動に充当されるものが該当する。 IE その他行政収入 上記以外の行政収入が該当する。 A 行政費用 @ 人件費 給料、職員手当、共済費等の人件費が該当する。 A 物件費 委託料、役務費、需用費、使用料及び賃借料等が該当する。ただし、下記に定めるB維持補修費、C扶助費、D補助費等及びE投資的経費に属するものを除く。 B 維持補修費 維持補修費が該当する。ただし、施設の増改築等資産価値を増加させ、又は耐用年数を増加させるものは含まず、それらは資産計上される。 C 扶助費 扶助費が該当する。生活扶助や医療扶助等、生活保護法、児童福祉法、老人福祉法等に基づき、世田谷区から被扶助者に対して直接支給される経費をさす。 D 補助費等 負担金補助及交付金等が該当する。他団体に対する負担金、補助金及び交付金等のうち、世田谷区の資本形成に寄与しないものが該当する。 E 投資的経費 投資的経費のうち、その支出の性質及び金額の僅少性等の理由により、固定資産の取得原価に算入されないものが該当する。 F 繰出金 他会計に対する繰出金が該当する。 G 減価償却費 償却資産の減価償却費を計上する。 H 不納欠損引当金繰入額 「不納欠損引当金」の当期発生額を計上する。 I 貸倒引当金繰入額 「貸倒引当金」の当期発生額を計上する。 I@ 賞与引当金繰入額 「賞与引当金」の当期発生額を計上する。 IA 退職給与引当金繰入額 「退職給与引当金」の当期発生額を計上する。 IB その他引当金繰入額 「その他引当金」の当期発生額を計上する。 IC その他行政費用 上記以外の行政費用を計上する。 (2)通常収支の部のうち金融収支の部 @ 金融収入 @ 受取利息及配当金 特別区預金利子、株式配当金等が該当する。 A 金融費用 @ 公債費(利子) 特別区債の支払利息が該当する。 A 特別区債発行費 特別区債を発行する際に要した経費が該当する。 B 特別区債発行差金 特別区債を割引発行した場合の券面額と発行価額との差額をさす。 C 他会計借入金利子等 他会計や基金からの借入金に対する利子等をさす。 (3)通常収支差額 行政収支の差額と金融収支の差額の合計額をさす。 (4)特別収支の部 @ 特別収入 @ 固定資産売却益 固定資産(有価証券、出資金及び出捐金を除く)の売却による収入額又は債権額のうち、帳簿価額を上回る額が該当する。 A その他特別収入 有価証券、出資金及び出捐金の売却益、引当金の当期取崩益等が該当する。 A 特別費用 @ 固定資産売却損 固定資産(有価証券、出資金及び出捐金を除く)の売却による収入額又は債権額のうち、帳簿価額を下回る額が該当する。 A 固定資産除却損 固定資産を除却した場合に、除却直前の帳簿価額全額を計上する。 B 災害復旧費 投資的経費(資産計上されないもの)のうち災害復旧に関わるものが該当する。 C 不納欠損額 当期に不納欠損処理を行った収入未済のうち、不納欠損引当金を超える分等を計上する。 D 貸倒損失 当期に貸倒処理を行った貸付金のうち、貸倒引当金を超える分等を計上する。 E その他特別費用 有価証券、出資金及び出捐金の売却損、同評価損等上記以外の特別費用を計上する。 (5)当期収支差額 通常収支差額と特別収支差額との合計額をさす。 (6)一般財源充当調整 事業別財務諸表等の作成において、一般財源を収入した事業等の当該一般財源相当額を減額するため並びに各事業等の行政サービス活動において投入された一般財源の額を計上するための科目である。 (7)再計 事業別財務諸表等の作成において、当期収支差額と、一般財源充当調整に係る調整を行った後の金額を計上する。 4 行政コスト計算書の標準的な様式 行政コスト計算書の標準的な様式は、行政コスト計算書(一般会計・特別会計)(第2号様式)及び行政コスト計算書(事業別等)(第2号の2様式)のとおりとする。 第4章 キャッシュ・フロー計算書 1 作成目的等 (1)作成目的 キャッシュ・フロー計算書は、資金の流れを「行政サービス活動」、「社会資本整備等投資活動」及び「財務活動」に区分し、各作成単位における区分別の収支の状況を報告することを目的として作成する。 (2)作成方法 キャッシュ・フロー計算書は、原則として、官庁会計方式による日々の現金収支を「行政サービス活動」、「社会資本整備等投資活動」及び「財務活動」の3区分に並べ替えることにより作成する。 2 作成基準 (1)資金の範囲 「資金」の範囲は、現金及び現金同等物とする。 現金とは、手元現金及び要求払預金である。現金同等物とは、「世田谷区公金管理方針」で歳計現金等の保管方法として定められた預金をいう。 (2)区分 キャッシュ・フロー計算書は、「行政サービス活動の部」、「社会資本整備等投資活動の部」及び「財務活動の部」に区分する。 @ 「行政サービス活動」によるキャッシュ・フローとは、世田谷区が直接行政サービスを行うために要した経費(世田谷区の資本形成に寄与するものを除く。)及び他の区分(後述のA社会資本整備等投資活動及びB財務活動)に属さない支出、並びに税収、国庫支出金 (社会資本整備等投資活動に充当されるものを除く)、都支出金(同)、業務収入及び金融収入等の現金収入をさす。 A 「社会資本整備等投資活動」によるキャッシュ・フローとは、固定資産の取得及び売却並びにその財源としての国庫支出金等の受入、現金同等物に含まれない貸付金及び出資金等の投資の取得及び売却並びに基金への繰出及び繰入等に係る現金収入及び支出をさす。 B 「財務活動」によるキャッシュ・フローとは、外部からの資金の調達及びその償還に係る現金収入及び支出をさす。 なお、行政サービス活動及び社会資本整備等投資活動を総称して行政活動と呼ぶ。 (3)科目 キャッシュ・フロー計算書の科目は、日々の予算執行による現金の収支の流れが基本となることから、支出については世田谷区における歳出の予算科目に準じた科目を設定し、収入については歳入の予算科目に準じて設定する。 3 計上する項目 (1)行政サービス活動 @ 収入 @ 税収等 地方税、地方譲与税、地方特例交付金、その他交付金及び特別区財政調整交付金が該当する。 A 国庫支出金等 国庫支出金(行政サービス活動に充当されるもの)及び都支出金(同)が該当する。 B 業務収入その他 保険料、分担金及負担金、使用料及手数料、財産収入、諸収入(受託事業収入)、諸収入、寄附金及び繰入金(行政サービス活動に充当されるもの)が該当する。 C 金融収入 受取利息及配当金が該当する。 A 支出 @ 行政支出 人件費、物件費(資産計上されないもの)、維持補修費、扶助費、補助費等(同)、投資的経費(同)及び繰出金が該当する。 A 金融支出 公債費(利子・手数料)、他会計借入金利子等が該当する。 B 特別支出 災害復旧事業支出(資産計上されないもの)が該当する。 B 行政サービス活動収支差額 行政サービス活動の部の収入と支出との差額をさす。 (2)社会資本整備等投資活動 @ 収入 @ 国庫支出金等 国庫支出金(社会資本整備等投資活動に属するもの)、都支出金(同)及び分担金及負担金(同)が該当する。 A 財産収入 財産売払収入(同)が該当する。 B 基金繰入金 基金繰入金(同)が該当する。さらに内訳科目として、「財政調整基金」、「減債基金」、「特定目的基金」、「定額運用基金」に分類して掲記する。 C 貸付金元金回収収入等 貸付金元金回収収入に係る諸収入が該当する。  A 支出 @ 社会資本整備支出 物件費(社会資本整備等投資活動に属するもの)、補助費等(同)及び投資的経費(同)が該当する。 A 基金積立金 基金積立金が該当する。さらに内訳科目として、「財政調整基金」、「減債基金」、「特定目的基金」、「定額運用基金」に分類して掲記する。 B 貸付金・出資金等 貸付金、出資金及び出捐金等が該当する。 B 社会資本整備等投資活動収支差額 社会資本整備等投資活動の部の収入と支出との差額をさす。 (3)行政活動キャッシュ・フロー収支差額 行政サービス活動収支差額と社会資本整備等投資活動収支差額との合計額をさす。 (4)財務活動 @ 収入 @ 特別区債 特別区債発行による収入をさす。 A 他会計借入金等 他会計からの借入金等による収入をさす。 B 基金運用金借入 基金からの借入金による収入をさす。 C 繰入金 特別会計からの特別区債の元本償還の財源として繰り入れる収入をさす。 A 支出 @ 公債費(元金) 特別区債の元本償還による支出をさす。 A リース債務返済 リース債務の返済のための支出をさす。 B 他会計借入金等償還 他会計借入金等の元本返済による支出をさす。 C 基金運用金償還 基金からの借入金の元本返済による支出をさす。 B 財務活動収支差額 財務活動の部の収入と支出との差額をさす。  (5)収支差額合計 行政活動キャッシュ・フロー収支差額と財務活動収支差額との合計額をさす。 (6)一般財源充当調整 事業別財務諸表等の作成において、一般財源を収入した事業等の当該一般財源相当額を減額するため及び各事業等の行政サービス活動において投入された一般財源の額を計上するための科目である。内訳として、行政サービス活動、社会資本整備等投資活動及び財務活動それぞれにおける計上額を記載する。 (7)前年度からの繰越金 前年度からの繰越金をさす。現金及び現金同等物の期首残高に相当する。 (8)形式収支 (5)「収支差額合計」と(7)「前年度からの繰越金」との合計額をさす。 事業別財務諸表等の作成においては、(5)「収支差額合計」に(6)「一般財源充当調整」を加減した額と(7)「前年度からの繰越金」との合計額をさす。 4 キャッシュ・フロー計算書の標準的な様式 キャッシュ・フロー計算書の標準的な様式は、キャッシュ・フロー計算書(一般会計・特別会計)(第3号様式)及びキャッシュ・フロー計算書(事業別等)(第3号の2様式)のとおりとする。 第5章 正味資産変動計算書 1 作成目的等 (1)作成目的 正味資産変動計算書は、一会計期間における貸借対照表の正味資産の部の項目の変動状況を明らかにすることを目的として作成する。 (2)作成方法 正味資産変動計算書は、正味資産の項目ごとの変動状況を、変動要因ごとに区分することにより作成する。 2 作成基準 (1)区分 正味資産の各項目は、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は変動要因ごとにその金額を表示する。 (2)変動要因 固定資産等の増減、特別区債等の増減、その他内部取引による増減及び当期収支差額に区分して表示する。    3 計上する項目 @ 開始残高相当 本基準に準拠して作成された平成30年度期首の開始貸借対照表作成時に、その性質又は発生原因を明確にすることができないものが該当する。 A 国庫支出金 国庫支出金のうち資本形成に寄与する支出(社会資本の整備等に使われるもの)に充当されるものは、行政コスト計算書上の収入とせずに正味資産に直接加算するものとする。 B 都支出金 都支出金のうち資本形成に寄与する支出(社会資本の整備等に使われるもの)に充当されるものは、行政コスト計算書上の収入とせずに正味資産に直接加算するものとする。 C 負担金及繰入金等 負担金及繰入金等のうち資本形成に寄与する支出(社会資本の整備等に使われるもの)に充当されるものは、行政コスト計算書上の収入とせずに正味資産に直接加算するものとする。 D 受贈財産評価額 無償で受け入れた資産は、行政コスト計算書上の収入とせずに正味資産に直接加算するものとする。 E 内部取引勘定 会計間又は事業間等で、固定資産の所管換など、勘定科目の金額の異動があった場合、移し換える勘定科目の相手科目として計上する。なお、項目名は、会計間のものは会計間取引勘定、事業間等のものは事業間等取引勘定とする。 F 一般財源充当調整 事業別財務諸表等の作成において、社会資本整備等投資活動又は財務活動に投入された一般財源の額を計上する。 G その他剰余金 正味資産のうち上記に分類されない科目が該当する。 4 正味資産変動計算書の標準的な様式 正味資産変動計算書の標準的な様式は、正味資産変動計算書(一般会計・特別会計)(第4号様式)及び正味資産変動計算書(事業別等)(第4号の2様式)のとおりとする。 第6章 注記 世田谷区の財務諸表には、以下の事項を注記として記載するものとする。 1 重要な会計方針 財務諸表作成のために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法をいい、財務諸表作成のための基本となる次に掲げる事項を記載する。 @ 有形固定資産及び無形固定資産の減価償却の方法 A 有価証券、出資金及び出捐金の評価基準及び評価方法 B 引当金の計上基準 C その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項 2 重要な会計方針の変更 重要な会計方針を変更した場合、次に掲げる事項を記載する。 @ 会計処理の原則又は手続を変更した場合には、その旨、理由及び当該の変更が財務諸表に与えている影響の内容 A 表示方法を変更した場合には、その内容 B キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲を変更した場合には、その旨、変更の理由及び当該キャッシュ・フロー計算書に与えている影響の内容 3 重要な後発事象 会計年度終了後、財務諸表を作成する日までに発生した事象で、翌年度以降の財務状況等に影響を及ぼす後発事象のうち、次に掲げるものを記載する。 @ 主要な業務の改廃 A 組織・機構の大幅な変更 B 地方財政制度の大幅な改正 C 重大な災害等の発生 D その他重要な後発事象 4 偶発債務 会計年度末においては現実の債務ではないが、将来、一定の条件を満たすような事態が生じた場合に債務となるもののうち、次に掲げるものを記載する。 @ 債務保証または損失補償に係る債務負担行為のうち、履行すべき額が未確定なもの A 係争中の訴訟で損害賠償請求等を受けているものの中で重要なもの B その他主要な偶発債務 5 追加情報 財務諸表の内容を理解するために必要と認められる次に掲げる事項を記載する。 @ 出納整理期間について、出納整理期間が設けられている旨及び出納整理期間における現金の受払等を終了した後の計数をもって会計年度末の計数としている旨 A 歳入歳出外現金(地方自治法第235条の4第3項に規定する、普通地方公共団体の所有に属しない保管現金)の状況 B 利子補給等に係る債務負担行為の翌年度以降の支出予定額 C 繰越事業に係る将来の支出予定額 D 一時借入金等の実績額等 E その他財務諸表の内容を理解するために必要と認められる事項 6 その他 (1)貸借対照表関係 @ 固定資産の減価償却累計額 A 有価証券、出資金及び出捐金並びに貸付金の内訳 B 特別区債及び借入金の償還予定額 C その他必要な事項 (2)行政コスト計算書関係 @ 収入科目の内容及び計上基準 A その他必要な事項 (3)キャッシュ・フロー計算書関係 @ 財務活動における特別区債収入の内訳 A 行政コスト計算書の当期収支差額と、キャッシュ・フロー計算書の行政サービス活動収支差額との差額の内訳 B その他必要な事項 (4)正味資産変動計算書関係 @ 正味資産の変動に重大な影響を及ぼす財産の移管等 A その他必要な事項 第7章 附属明細書 財務諸表の内容を補足するため、有形固定資産及び無形固定資産附属明細書、引当金明細書など必要な附属明細書を作成する。 有形固定資産及び無形固定資産附属明細書の標準的な様式は、有形固定資産及び無形固定資産附属明細書(第5号様式)のとおりとする。 引当金明細書の標準的な様式は、引当金明細書(第6号様式)のとおりとする。 第1号様式 貸借対照表 第2号様式 行政コスト計算書(一般会計・特別会計) 第2号の2様式 行政コスト計算書(事業別等) 第3号様式 キャッシュ・フロー計算書(一般会計・特別会計) 第3号の2様式 キャッシュ・フロー計算書(事業別等) 第4号様式 正味資産変動計算書(一般会計・特別会計) 第4号の2様式 正味資産変動計算書(事業別等) 第5号様式 有形固定資産及び無形固定資産附属明細書 第6号様式 引当金明細書