税源偏在是正措置に対する特別区緊急共同声明  国は、「日本全体が人口減少局面にあり、東京一極集中の傾向が加速している」として、 『地方創生』を実現するという大義名分のもと、都市と地方の税源の偏在の是正を進めています。  これまでも、地方税である法人住民税法人税割を一部国税化し、消費税率10%段階において、 さらに拡大する法改正をしています。これにより、特別区は、今年度分だけでも約628億円、 消費税率10%段階においては1,000億円を超える規模の減収が予想されています。  また今般の平成30年度税制改正において、地方消費税清算基準の不合理な見直しが強行され、 特別区の減収額は約380億円、10%段階においては約485億円となります。  さらに、ふるさと納税については、返礼品を目的とした寄附の増加により、 各区の平成30年度予算案における「ふるさと納税による特別区民税の減収額見込み」が、 ワンストップ特例導入等の制度拡充後、4年間で約34倍の約312億円にまで達する見込みです。  これらを合わせた特別区全体の影響額は現時点で1,300億円超、 消費税率10%段階においては2,000億円に迫る規模であり、 これは、特別区における人口50万人程度の財政規模に相当する衝撃的な額です。  加えて、昨年12月に発表された、平成30年度与党税制改正大綱には 「特に偏在性の高い地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について検討し、 平成31年度税制改正において結論を得る」とあり、さらに都市部から税源を吸い上げる動きが見受けられます。  特別区は、首都直下型地震への備え、超高齢化への対応、子育て支援策や社会インフラ老朽化対策など、 大都市特有の膨大な行政需要を抱えています。 また、東京 2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた開催都市としての万全な体制づくりなど、 取り組むべき喫緊の課題が山積しており、決して財源に余裕がある訳ではありません。  このような状況の中で、来年度の予算編成にも大きな支障を来しています。  今必要なことは、自治体間で財源を奪い合うことではなく、全国各地域がともに発展・成長しながら共存共栄を図る取組です。 特別区は、平成26年度以降、「特別区全国連携プロジェクト」を通じて、全国の自治体と連携を深め、 東京を含む全国各地域の活性化、まちの元気を生み出す取組を積極的に展開しています。  地域間の税収格差の是正は、本来、地方交付税で調整されるべきであり、 特別区を狙い撃ちし、地方自治体間に不要な対立を生むような制度は認められません。  特別区長会は、区民サービスを死守するため、 23区共同でこれらの税源偏在是正措置に対して断固反対することを、ここに緊急声明として発表します。 平成30年2月16日 特別区長会会長 西川太一郎