世田谷区本庁舎等整備(検討素材) 平成28年2月 世田谷区 1ページ 世田谷区本庁舎等整備(検討素材)について 本庁舎等の整備は、現在の基本構想の 20年間を超え、21世紀半ばを長期にわたり世田 谷区政を支える拠点の整備です。本庁舎等整備に向けた基本構想を策定するにあたっては、 これからの区政展開の方向性を見据えながら、区民、区議会とともに創る本庁舎等の基本 構想とする必要があります。このため、これまでの取組みを踏まえながらも、一度立ち止 まり、28年度前半に、区民、学識経験者の参画を得て、幅広くオープンな議論を行い、区 民の皆さんにも広く周知し、参加と協働により、平成 28年 8月に素案、平成 28年 11月に 基本構想(案)としてとりまとめることとしました。 この検討素材は、本庁舎等整備にあたり、これまでの議論と検討内容を振り返り、必要 となる論点を提示するものです。改めて、世田谷区に必要な本庁舎等の整備内容を決定す るにあたり欠かすことのできない視点や掘り下げていくべき論点をまとめています。 2ページ 目次 第1章.本庁舎等整備の背景4ページ 1.本庁舎等整備検討の経緯4ページ 2.現庁舎の位置づけ・評価と課題6ページ 第2章.本庁舎整備の理念8ページ 1.基本理念8ページ 2.将来を見据えた行政組織改革と本庁舎9ページ 3.理念を実現するための踏まえるべき視点9ページ 第3章.本庁舎整備の基本的方針(案)10ページ 1.基本的方針10ページ 2.基本的方針に対応する個別機能(整備課題)11ページ 3.本庁舎等の配置と形状に関するコンセプト等について12ページ 第4章.個別機能(整備課題)ごとの整備方針(案)13ページ 基本的方針1.区民自治と協働・交流の拠点としての庁舎13ページ 基本的方針2.区民の安全・安心を支える防災拠点となる庁舎15ページ 基本的方針3.すべての人に分かりやすく、利用しやすい、人にやさしい庁舎18ページ 基本的方針4.機能的・効率的で柔軟性の高い庁舎21ページ 基本的方針5.環境に配慮し環境負荷の少ない持続可能な庁舎23ページ 第5章.世田谷区民会館25ページ 1.基本的な考え方25ページ 2.施設計画25ページ 3.今後の課題26ページ 第6章.本庁舎等の規模27ページ 1.基本条件27ページ 2.新庁舎の規模(延床面積)29ページ 3.世田谷区民会館の規模30ページ 4.駐車場・駐輪場等の規模30ページ 3ページ 第7章.事業計画31ページ 1.事業方式31ページ 2.設計者・施工者選定方式31ページ 3.財政計画32ページ 4.事業スケジュール33ページ 5.今後の進め方34ページ 資料編35ページ 【資料1】本庁舎等整備検討の主な経緯36ページ 【資料2】区民及び有識者からの意見聴取に関する主な取り組み37ページ 【資料3】現庁舎等の概要43ページ 【資料4】敷地条件等45ページ 【資料5】配置と形状に係るイメージ図48ページ 【資料6】本庁舎等規模試算51ページ 【資料7】事業方式等53ページ 4ページ 第1章.本庁舎等整備の背景 1.本庁舎等整備検討の経緯 (1)これまでの主な経緯 世田谷区では、平成 16年度から 4ヵ年にわたって、庁舎整備に関する調査研究を実施し た結果、築 50年近くを経過した本庁舎等について区民サービス面や災害対策面、環境対応 面などで様々な課題や問題点が明らかとなりました。 平成 20年 5月には、27出張所等地区で報告会を開催し、翌 6月には区民意識調査を実 施するなど、本庁舎等が抱える課題や問題点について、区民の方に周知するとともにご意 見等の把握に努めてきました。 これらの結果を踏まえ、世田谷区は、平成 20年 9月に、区役所本庁舎等について、改築 の方向で検討に取組むこととしました。 平成 20年 10月に学識経験者、地域団体の代表、公募区民等で構成される「世田谷区本 庁舎等整備審議会」を設置し、全 10回にわたる審議を経て、平成 21年 8月に審議会から 「@現庁舎の課題や問題点を抜本的に解決するためには、本庁舎等の一部または全部を取 り壊し、改築することが必要である。」、「A場所については、歴史的な経緯等から現在の敷 地が望ましい。しかし、交通の利便性等から移転の可能性について、今後、検討が必要で ある。」、「B厳しい社会・経済状況の中で、その経費が区民の負担によってまかなわれるこ とを考慮し、区民の理解を得ながら進められたい。」旨の答申をいただきました。しかし、 リーマンショックの影響などから区の検討は進まず、方針を決定するに至りませんでした。 また、区議会においては、平成 13年から平成 23年まで、「地方分権・庁舎問題等対策特 別委員会」が設置され、庁舎問題について議論が行われました。 その後、平成 23年 3月の東日本大震災の発生や社会状況の変化、施設整備には多年を要 することなどから、平成 25年 3月には、当面の対策として災害対策本部機能を強化するた めの非常用電源等を整備しました。一方、本庁舎等整備の課題は避けられないとして、庁 内での検討を進めるプロジェクトチームを設置し、準備を再開しました。 平成 25年 9月からは、専管組織(庁舎計画担当課)を設置するとともに、副区長をトッ プとする庁舎計画推進委員会を立ち上げました。その検討部会において、有識者アドバイ ザーの方から東日本大震災を踏まえた本庁舎の役割など、本庁舎のあり方や、区民サービ ス、環境対策、庁舎整備を進める上での技術的な点など、多角的かつ専門的な助言・ご意 見をいただきました。また、同年 11月には無作為抽出による区民ワークショップを開催し、 区民の方からもご意見をいただきました。 これらの検討結果を踏まえ、区は平成 26年 3月に「世田谷区本庁舎等整備方針」(以下 「整備方針」という。)を策定し、「@本庁舎の場所は、現在地とする。」、「A本庁舎の規模 は、最低で約45,000uとする。」、「B本庁舎等の一部又は全部を取り壊し、10年後 を目途に改築する。」ことを基本として、検討を進めることとしました。 平成 26年度からは、本庁舎等整備基本構想に着手し、庁内で連携して世田谷区民会館や 世田谷総合支所の場所を検討するとともに、本庁舎等配置の複数パターンのシミュレーシ ョンを行い、本庁舎等の一部改築か全部改築かについて、仮設庁舎の要否や解体建設手順、 5ページ 総事業費等を比較・検討してきました。また、平成 26年 5月には本庁舎等整備シンポジウ ムを行い、整備方針を説明するとともに、区民や有識者の方からご意見や提言をいただき ました。 また、平成 27年 2月に、区のおしらせで本庁舎等整備に向けた検討経過をお知らせする とともに、本庁舎等整備報告会を開催し、区民の方へ周知するとともに意見を伺いました。 これらの結果を踏まえ、区は平成 27年 3月に「本庁舎等整備基本構想(中間まとめ)」 (以下「中間まとめ」という。)を策定し、「@本庁舎等の整備手法については、引き続き、 区民サービスや機能性の向上、災害対策機能の強化、総事業費の抑制、また、現在の本庁 舎等の特徴である庁舎と区民会館と低層棟が中庭を囲む景観の継承に向けて検討を進め る。」、「A世田谷区民会館については、現在と同規模(1,200人規模)で、現在地で整備す る。」、「B世田谷総合支所の場所については、三軒茶屋を候補として交通至便地域への移転 を検討していくが、一定の窓口機能を本庁に残す必要や災害対策・区民交流スペース等の 必要性を考慮し、引き続き最低 45,000uとして検討する。」ことを基本として、概ね 2024 年度の竣工を目指し、整備・改築に取り組むこととしました。 27年 9月には、現在の本庁舎等の特徴である中庭を囲む開放的な配置(庁舎と区民会館 とそれらをつなぐ低層棟のピロティが中庭を囲む空間)を継承することとして、区議会第 3回、第4回定例会でご議論いただいたところですが、景観や現庁舎の保存にこだわらず、 機能やコスト、工事期間の短縮を優先すべきとのご意見が多く出され、改めて議論を深め ることとしました。 本庁舎等の整備は、現在の基本構想の 20年間を超え、21世紀半ばを長期にわたり世田 谷区政を支える拠点の整備です。これからの区政展開の方向性を見据えながら、区民、区 議会とともに創る本庁舎等の基本構想とする必要があります。このため、これまでの取組 みを踏まえながらも、28年度前半に、区民、学識経験者の参画を得て、幅広くオープンな 議論を行い、区民の皆さんにも広く周知し、参加と協働により、平成 28年 8月に素案、平 成 28年 11月に基本構想(案)としてとりまとめることとしました。 (2)最近の主な取組み 本庁舎等整備の検討においては、本庁舎等整備シンポジウム、区民参加によるワークシ ョップや有識者アドバイザー会議等を開催し、区民や有識者からもご意見をいただきなが ら、進めてきた。(いただいたご意見の詳細については、資料編参照) 6ページ 2.現庁舎の位置づけ・評価と課題 (1)現庁舎設計の意図とその実現・成果 現世田谷区民会館及び区役所第1庁舎は、1957年(昭和 32年)に実施された区民会 館設計競技(コンペ)において、前川建築設計事務所が設計者として選定された。コン ペの時代背景には、戦前においては武蔵野の自然と田園地帯だった世田谷に、部分的に 文化人などが居住する住宅地なども開発されてきており、戦後には、広範なエリアが住 宅地として開発され、人口が急増している状況があった。 コンペで要求された施設内容は、ホール(公会堂)のほかに図書館、集会室、展示場、 結婚式場などの複合施設(公民館)であり、同一敷地に建設される区役所庁舎について は、コンペ段階ではその概略の配置のみを提案するものとされた。 設計者は配置計画について、「市民の生活の場に連なる空間を主体として考え、その空 間を創り出すものとして区民会館と区庁舎がおかれたといってもよいと思う。」と述べて いる。雑誌「建築文化」1961年 6月号より なお、現在の本庁舎敷地については、区民より一部土地の寄贈を受けて整備されたも のである。 建設当時、敷地内に植樹されたケヤキは大きく成長し、庁舎と一体となり、落ち着い た佇まいを構成し、緑あふれる空間となり、多くの区民に親しまれている(平成 25年度 に、世田谷区風景づくり条例に基づく地域風景資産として、「世田谷区庁舎のケヤキ並木 が作る広場の風景」が選定)。 また、庁舎と区民会館と低層棟のピロティに囲まれた中庭については、子どもから老 人まで日頃から区民が憩う場としてのみならず、新年のつどい、新年子どもまつり、新 成人のつどい(成人式)、産業フェスタ、ふれあいフェスタなど、区民会館と一体となっ たイベントの場、バザーやフリーマーケットなどの場として利用されるとともに、ケヤ キ並木など、緑と調和した環境となっており、50年以上にわたって区民に親しまれて きた。 さらに、レストランけやきの前面のサンクンガーデン(池)や、ケヤキ並木と調和し た噴水など、竣工当時にはなかったものも、区役所庁舎の景観として今や欠かせない要 素となっている。 一方、人口増や行政事務の拡大から、第2庁舎、第3庁舎と建設され、さらに周辺の 施設へと分散化した。また、地域行政制度に基づく総合支所の創設により、区役所本庁 舎と区民との関係も変わってきている。また、区民会館においては、当初の結婚式場が 廃止され、図書館も移転しており、当初想定されたコミュニティ施設としての意味合い は変容してきているが、区民会館は全区的な発表・表現の場であることは変わっていな い。 7ページ (1)現庁舎の課題 整備方針で示したとおり、来庁者の利便性や職員の執務環境も含め、以下のような課 題が生じている。 施設や設備の老朽化 本庁舎は、第1庁舎が昭和35年、第2庁舎が昭和44年、世田谷区民会館が昭和 34年に建設され、第1庁舎、世田谷区民会館は築50年以上経過している。そのた め、躯体や外装・内装の劣化が進むとともに、空調や電気など各種設備の旧式化・老 朽化等により、効率が悪く、省エネルギーが充分に図られていない。また、バリアフ リー化や情報通信技術(ICT)の基本設備、防犯・セキュリティ面への対応が不十分と なっている。 狭あい化 人口の増加や東京都からの事務移管、区の業務の多様化等により狭あい化が進み、 窓口や待合スペース、事務スペース、会議・打合せスペース等が不足しており、効率 的な行政事務の遂行及び充実した区民サービスの提供に支障をきたすだけでなく、窓 口におけるプライバシーの確保等も課題となっている。また、多くの区民が多目的に 利用できるパブリックスペースや、来庁者の駐車場や駐輪場も不足している。 分散化 本庁舎は第1庁舎、第2庁舎、第3庁舎(世田谷総合支所のほかプレハブ含む)を はじめ、分庁舎(ノバビル)、城山分庁舎、三軒茶屋分庁舎など、多くの建物に分散さ れている。また、狭あい化に起因した民間ビル等の借り上げも多く、費用面の問題と 同時に、本庁舎全体としても、関係部署間の連絡などの面で行政事務機能の非効率化 を招いている。来庁者にとっても、用件によっては庁舎を行き来する必要があり、区 民にとって分かりづらく、利用しにくい庁舎となっている。 災害対策 平成24年6月から平成25年3月にかけて、災害対策本部の中枢となる本部長室 等及び非常用の電源や水の確保に係る諸設備の強化を図るため、第1庁舎と比べて耐 震性の優れた第3庁舎を応急整備し、第1庁舎から本部長室等の移転を行った。しか し、東日本大震災や多発する自然災害により、本庁舎に求められる危機管理機能は以 前よりも一層高まっており、88万区民の災害対策の中枢管理機能を果たすには未だ 十分ではない。区民の安心・安全を守る防災拠点として、さらに高い耐震性能が求め られている。 8ページ 第2章.本庁舎整備の理念 1.基本理念 世田谷区の最上位計画となる「世田谷区基本計画(平成 26年度から平成 35年度)(副題: 子どもが輝く参加と協働のまちせたがや)」では、次のような基本方針を示しています。 ・住民自治の確立-参加と社会的包摂- ・環境と調和した地域社会の実現 ・自治権の拡充と持続可能な自治体経営の推進 これらを踏まえ、21世紀半ばを長期にわたり区政を支える拠点となる世田谷らしい本庁 舎像とするため、次の 3つを本庁舎整備における基本理念として想定します。 《基本理念1》 地域内分権と住民自治を確立し、「参加と協働・交流」の区政を推進するため の拠点としての庁舎 《基本理念2》 持続可能性があり、人や地域にやさしく安全で、区民に長く親しまれ、愛され る庁舎 《基本理念3》 武蔵野の自然と田園地帯だった世田谷の歴史に育まれた郷土意識と、近代 以降の住民増と空間の広がりを意識した、環境と調和した「88万都市」にふさ わしい庁舎 9ページ 2.将来を見据えた行政組織改革と本庁舎 (1)県レベルの大自治体でありながら、フラットな組織と透明性の確保 (2)縦割りから横つなぎへ、マッチングの推進 (3)地域・地区を重視した地域行政制度の推進、本庁と地域・地区の役割分担の見直し (4)児童相談所の移管をはじめとした都区制度改革と自治権の拡充の推進 3.基本理念を実現するための踏まえるべき視点 (1)区民自治と協働・交流の拠点としての本庁舎 (2)災害時の拠点としての本庁舎 (3)これからの基礎自治体のあり方と本庁舎 (4)これからの区民サービスのあり方と本庁舎 (5)執務環境の優れた創造的空間のあり方と本庁舎 (6)環境負荷を抑えた本庁舎 (7)フレキシブルで長寿命・持続可能な庁舎 10ページ 第3章.本庁舎整備の基本的方針(案) 1.基本的方針 第1章で設定した基本理念の実現に向け、整備方針及び中間まとめ等を踏まえ、本庁舎 整備の基本的方針として、以下の5つを挙げることができます。 【基本的方針1】区民自治と協働・交流の拠点としての庁舎 区民自治の拠点として、行政サービスの提供に留まらず、幅広い区民がふれあい、交 流することのできる場所として、区民が気軽に立ち寄れ、多様な情報の共有や憩うこと のできる区民に親しまれる庁舎を目指します。また、景観や周辺環境にも配慮します。 【基本的方針2】区民の安全・安心を支える防災拠点となる庁舎 高い耐震性を確保し、災害時も十分に機能が発揮される建物とするとともに、災害対策本部と して、区民の生命や財産を守るための機能を強化していきます。また、セキュリティの確保に も配慮し、安全・安心な庁舎を目指します。 【基本的方針3】すべての人に分かりやすく、利用しやすい、人にやさしい庁舎 窓口サービスの利便性を高め、区民ニーズにあった便利で利用しやすい庁舎とするとともに、 ユニバーサルデザインの考え方に基づき、高齢者や障害者、子ども連れの方や外国人など、利 用される方の立場に立ったきめ細やかな配慮によって、すべての人にやさしい庁舎を目指しま す。 【基本的方針4】機能的・効率的で柔軟性の高い庁舎 本庁機能の集約を図り、華美にならず、適正な執務空間を確保するとともに、今後の 行政需要の多様化、社会情勢の変化、情報技術の高度化など、様々な変化に対応できる、 機能的・効率的で柔軟性の高い庁舎を目指します。 【基本的方針5】環境に配慮し環境負荷の少ない持続可能な庁舎 CO2の削減に向け、省エネルギー化を図るとともに、自然の恵みの積極的利用とエ ネルギーの有効活用、施設緑化など環境負荷低減策を可能な限り導入し、環境にやさし い庁舎を目指します。また、維持管理しやすい構造や材料の導入などにより、施設の長 寿命化とライフサイクルコストの低減を目指します。 11ページ 2.基本的方針に対応する個別機能(整備課題) 1.で設定した5つの基本的方針の実現に向けて具体的な検討を進めるため、基本的方 針の各項目に対応する個別機能(整備課題)を以下のように整理することができます。 【基本的方針1】区民自治と協働・交流の拠点としての庁舎 《個別機能(整備課題)》 ・区政への区民の参加と協働を推進する機能 ・景観及び周辺環境との調和 【基本的方針2】区民の安全・安心を支える防災拠点となる庁舎 ・災害対策機能 ・セキュリティ対策 【基本的方針3】すべての人に分かりやすく、利用しやすい、人にやさしい庁舎 ・窓口サービス ・ユニバーサルデザイン ・交通アクセス 【基本的方針4】機能的・効率的で柔軟性の高い庁舎 ・執務環境 ・議会機能 【基本的方針5】環境に配慮し環境負荷の少ない持続可能な庁舎 ・環境対策 ・持続可能性 12ページ 3.本庁舎等の配置と形状に関するコンセプト等について (1)本庁舎等の配置と形状に関するコンセプトについて 現在の本庁舎等は、庁舎と区民会館とそれらをつなぐ低層棟のピロティが中庭を囲む 景観が特徴的であり、多くの区民が集う中庭は、長い間親しまれてきた。こうした景観 を継承し、第1庁舎と区民会館と低層棟の配置と高さを、できるだけ現在と同程度とす ることとして、平成27年9月に本庁舎等の配置案を示したところだが、区議会におい ては、狭あい化・分散化を解消し、機能面を優先し、東敷地に庁舎を集約すべきとの意 見も多く出され、改めて議論を深めることとした。 そのため、象徴的な二つの案について、区民サービス、職員の執務効率、経済性、工 事期間、環境への影響、景観等に係るメリット・デメリットを明確にしたうえで、本庁 舎等の配置と形状に関する区としてのコンセプトを構想することとする。 なお、具体的な配置や形状については、設計者からの提案を受けて、基本設計を作成 する中で、最終的に決定することとなる。 <案1:敷地内に中低層の庁舎を展開する案> ・横の移動による区民サービス・執務 ・ボリュームをとるためには、2棟構成とする必要がある <案1:庁舎の機能を集約し、中高層棟による1棟構成を基本とする案> ・上下移動による区民サービス・執務 ・1棟でボリュームの確保可能 (2)歴史の継承について 世田谷区民会館、区役所第1庁舎及び第2庁舎は、近代建築の代表的建築家の一人で ある前川國男氏の設計によるものであり、50年以上区民に親しまれてきたことから、 建物の一部を保存すべきという意見がある一方、施設の安全や区民や職員の利用環境等 の面から、現庁舎の保存にこだわらず、新たな庁舎を創るべきという意見もある。 こうしたことを踏まえ、現庁舎が積重ねてきた歴史をいかに引き継いでいくかという 点についても検討していくこととする。 13ページ 第4章.個別機能(整備課題)ごとの整備方針(案) 第3章で整理した基本的方針に基づく個別機能(整備課題)の整備方針について、具体 的に検討する必要があります。 また、それぞれの基本的方針を実現する機能を確保していくためには、それを構成する 建築、外構、設備等、建物と空間のあり方が大きく影響をしていきます。個別機能の整備 方針と合わせて、こうした建物と空間のあり方についても議論の論点としていきます。 【基本的方針1】区民自治と協働・交流の拠点としての庁舎 (1)区政への区民の参加と協働を推進する機能 ア 参加と協働の機能 ・区民、区民団体、事業者、NPO等と行政が協働して政策形成していくワークスペ ースとなるよう、執務室、会議室を含め、工夫していく。 ・会議室等については、夜間や閉庁時にも区民が利用できるよう、導線、管理方法な どについて検討する。 イ 交流機能 ・区民同士の交流、国際交流、国内交流の場として、様々な利用に対応できる空間の 整備を検討する。整備にあたっては、同じ敷地内に区民会館があることに留意し、 効果的・効率的な施設計画となるよう検討する。 ・災害時には、災害対策活動にも活用が可能な空間としての整備を検討する。 ・ロビー、エントランスは、来庁者が快適に過ごせるよう、明るく開放的な空間とな るよう配慮するとともに、様々な区民活動の成果物の発表、展示スペース、ミニコ ンサートなど、多目的に使用できるよう整備することを検討する。 ・閉庁時にも、適切な管理のもとでイベント開催などに利用可能な空間として整備す ることも検討する。 ウ 広場機能 ・現在の中庭が、「新年のつどい」や「新年子どもまつり」、「新成人のつどい」など、 長い間区民に親しまれ、区民会館と一体的に利用されてきたことを踏まえ、イベン ト会場や区民の憩いの場として利用できる広場の整備について検討する。 エ 情報発信機能 ・区政情報や区の文化・歴史等に関する資料やパンフレットなど、様々な情報を集約 して提供する情報コーナーの設置を検討する。 ・掲示板、展示スペースや区議会放送用のテレビを設置するとともに、コピーサービ ス等の充実も検討する。 14ページ オ 利用者サービス ・食堂(レストラン)や喫茶店(カフェ)の設置を検討する。 ・区内障害者施設の生産品の販売等を行うスペースの整備を検討する。 ・来庁者の利便性向上を図るため、金融機関ATMの設置や売店などの民間利便施設 の導入を検討する。 ・来庁者に開放する Wi-Fiアクセスポイントの整備を検討していく。また、Wi-Fiの 活用方法については、区民の利便性に配慮する。 ・デジタルサイネージなどを活用した区民への情報提供の充実についても検討を進め ていく。 (2)景観及び周辺環境との調和 現在の本庁舎等は、中庭を囲み中低層の建物を配置することにより、周辺環境と調和 しており、こうした長年区民に親しまれてきた景観の継承について、個別機能ごとの整 備方針などを考慮しながら、総合的に検討していく必要がある。また、「世田谷区風景づ くり条例」に基づく地域風景資産として、「世田谷区庁舎のケヤキ並木が作る広場の風景」 が選定されていることにも配慮していく必要がある。 本庁舎敷地周辺は住宅地であり、整備後の建物規模が現状よりも大きくなることから、 建物高さや日影の影響、圧迫感、さらには施設に起因する風害、光害、騒音・振動、電 波障害等、周辺環境に十分配慮していく必要がある。 また、長期にわたる工事となるため、工事は安全を最優先として、騒音、振動、塵埃 等に最大限配慮した計画や工法などを検討する。 15ページ 【基本的方針1】区民の安全・安心を支える防災拠点となる庁舎 (1)災害対策機能 区には、区民の生命、身体及び財産を災害から保護するという重大な責務が課せられ ており、災害時には、世田谷区地域防災計画に基づき、本庁舎に災害対策本部を設置し、 防災関係機関及び区民等の協力を得て、全力を挙げて災害応急対策に努めることとして いる。 そのため、災害対策本部として、区の災害対策の中枢管理機能を果たすための必要な 機能を備えた、災害に強い庁舎を目指し、新庁舎を整備していく必要がある。 ア 高い耐震性の確保 ・本庁舎は、災害対策本部として、国土交通省が定めた「官庁施設の総合耐震・対津 波計画基準」の最高水準である「構造体T類、非構造部材A類、建築設備甲類」を 確保することを基本とする。 ・災害対策本部は、大規模地震発生直後から速やかに機能する必要があるため、免震 構造を基本とした構造を検討していく。 イ 災害対策本部機能の強化 ○災害対策本部室 ・迅速かつ的確な意思決定ができるように災害対策本部の中枢機能(災害対策本部長 室、災対統括部、災対総務部、災対財政・広報部、区長室、副区長室、防災無線室 など)をできる限り同一フロアに配置することが望ましい。また、停電時における 16ページ エレベーターの停止などを考慮して、災害対策本部室は中層階(3階程度)への配 置を検討する。 ・災害対策本部室は、平時は庁議など活用できるよう工夫する。 ・災害対策本部室に近接して、災害時の対応について具体的な作業を行う室の整備が 必要である。平時は会議室の使用を前提に、災害対策本部室との一体的な整備につ いて検討していく。 ○必要な諸室等 地域防災計画との整合性、必要な規模、財政面などを考慮し、災害対策活動に必要 な以下の諸室等の導入を検討していく。なお、導入にあたっては、専用の室を設ける のではなく、平時には会議室などとして活用することを前提として検討する。 ・警察、消防、自衛隊など防災関係機関の活動・待機場所 ・ライフラインの確保や復旧を担う民間事業者の活動・待機場所 ・他自治体支援職員の活動・待機場所 ・報道機関等への情報提供、記者の取材・待機場所 ・職員の仮眠室やシャワー室 ・エフエム世田谷などを活用した情報発信の場所 ・ヘリポート ○広場空間 緊急車両の駐車場や物資の集積場所など、庁舎や区民会館と連携して、様々な用途 に使用可能な広場を確保していく必要がある。災害時における多目的空間としての広 場の整備について、具体的な活用方法や広さについて検討していく。また、仮設トイ レを設置する設備等についても検討していく。 ウ 行政機能の継続性の確保 ○ライフラインのバックアップ機能 ライフラインが遮断された場合に備えて、ライフラインが復旧されるまでの一定期 間(最低 3日間)、業務を継続できるよう、バックアップ機能を整備する。なお、検討 にあたっては、地震のみならず、豪雨や雷、雪など、様々な災害を想定していく。 ・商用電力の供給途絶時への対応として、72時間以上連続運転可能な非常用発電設備 及び燃料備蓄設備を設置する。また、コージェネレーションシステムや水素燃料電 池などによる供給電源の多重化についても検討する。 ・水道供給の途絶に備え、飲料水やトイレ等に使用可能な貯水槽の設置、井戸の整備 による井戸水の活用などについて、現在ある設備の活用も含め、検討していく。 ○備蓄スペース 災害発生から数日間は、支援物資等が供給されない事態が想定されるため、必要な 資機材や食料、飲料水、簡易トイレ等を保管するスペースが必要となる。保管する物 品の種類や量、搬入経路、必要な備蓄スペースの規模等についても、検討していく。 ○情報通信機能 ・新庁舎の整備にあたっては、システム、ネットワークの維持運用の観点から、サー バーの仮想化やクラウド化により、必要なスペースは減少傾向にあることも踏まえ、 17ページ 事務センターの機能の一部を本庁舎に集約することも検討していく。 ・災害時の情報収集や情報発信に活用できるシステム等について、他自治体における 先進事例なども参考に、様々な可能性について検討していく。 (2)セキュリティ対策 ア エリア区分 行政情報・個人情報の保護や防犯上の観点などから、庁舎内のゾーニングを明確化し、 区民及び職員の動線に配慮しながら、それぞれのエリアに応じたセキュリティ対策を検 討する。 《エリア区分イメージ》 @誰でも利用できる 開庁時間は誰もが自由に利用できるエリア(ロビー、待合スペース、エレベーター、 廊下など) A来庁者と職員のみ利用できる 相談や届出等を行う人が利用するエリア(窓口カウンター、打合せスペースなど) B職員のみ利用できる 職員のみが入室可能なエリア(執務スペース、更衣室など) C特定の職員のみ利用できる 限られた職員のみが入室可能なエリア(サーバー室など) イ 設備等 ・サーバー室など重要諸室について、ICカードや生体認証システムなどの導入による 入退室管理を検討する。 ・窓口カウンターからパソコンの画面が見えないようにするなど、情報保護に十分配 慮した配置・空間構成とする。 ・個人情報や機密性の高い書類の保管のために、施錠可能な保管庫を確保する。 ・庁舎出入口付近や庁舎内の適切な場所への防犯カメラの設置を検討する。 ・中央監視室や機械警備の設置について検討する。 ・時間外の出入口については、休日・夜間など閉庁時の来庁者に対して、利用しやす い場所に設置するとともに、防犯性を考慮する。 ・地域の防犯性を高めるために、死角のない空間や周辺への明るさの提供に配慮する。 18ページ 【基本的方針3】すべての人に分かりやすく、利用しやすい、人にやさしい庁舎 (1)窓口サービス ア 案内機能の充実 ○総合案内等 ・入口近くに総合案内を設けるとともに、見通しが良く、分かりやすい組織配置とす ることで、区民がスムーズに目的の窓口に行くことができるよう検討する。 ・初めて手続に訪れた区民が、スムーズに手続ができるよう、申請書類等の記載補助 も行うフロアマネージャーの配置を検討する。 ○案内表示(サイン)等 ・案内表示は、分かりやすく、組織改正にも対応できるフレキシブルな形式を検討す る。 ・誰もが分かりやすい案内表示となるよう、窓口の動線構成を工夫するとともに、手 続の名称や目的別の表示をすることなどを検討する。 イ 窓口機能の整備 ○利便性の向上 ・区民の移動距離を短くし、分かりやすく便利な窓口とするため、窓口機能をできる 限り低層階に集め、利用者ニーズや手続等の関連性が高い窓口はできるだけ同一フ ロアに配置することなどを検討する。 ○業務に応じた窓口カウンター ・各部署の業務内容に応じた、ローカウンター、ハイカウンターの適切な配置を検討 する。 ・仕切りのあるカウンターを設けるなど、プライバシーに配慮し、誰もが安心して利 用できる窓口環境となるよう検討する。 ウ 相談機能の充実 ・利用頻度や相談内容に応じて、カウンター併設の相談ブースや共用または専用の個 室形式の相談室の適切な配置を検討する。 ・相談室は、個人情報やプライバシー保護のため、遮音性に配慮することを検討する。 エ 待合い空間の充実 ・快適に過ごせる待合い空間を整備するとともに、子ども連れの方も安心して利用で きるように、キッズスペースや授乳室などの設置を検討する。 ・電光掲示板や大型モニター等の設置により、利用者に分かりやすく効率的な窓口サ ービスシステムの導入を検討する。 オ 今後の課題 ○世田谷総合支所の移転との関係 世田谷総合支所が移転する場合、区民サービス維持の観点から引き続き本庁舎に残 19ページ ることになる一定の窓口機能について検討していく。 ○地域行政制度やマイナンバー制度との関係 本庁舎の窓口のあり方に大きな影響を与える地域行政の展開に関する検討やマイナ ンバー制度の動向を踏まえ、検討していく。 (2)ユニバーサルデザイン ア すべての人にやさしい庁舎 ・「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方 を踏まえ、「世田谷区高齢者、障害者等が安全で安心して利用しやすい建築物に関す る条例(通称:バリアフリー建築条例)」、「世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例」 に基づき、利用者の立場に立った、きめ細かな配慮によって、すべての人が利用し やすい庁舎を目指していく。 ・具体的なユニバーサルデザインに関する助言等については、ユニバーサルデザイン アドバイザーなどの活用も検討していく。 イ 利用しやすい移動空間の整備 ・誰もが歩きやすいよう、段差のない動線や車椅子での移動スペースの確保、手すり の設置等について検討する。 ・エレベーターは、すべての人にとって使いやすく、安全を考慮し、配置や大きさ、 案内情報などの設備等について配慮する。 ・視覚障害者へ配慮するため、点字、音声案内、音声誘導装置、誘導ブロック等の設 置を検討する。 ・各種表示等に、外国語を併記するなど、外国人に配慮する。 ・駐車場、駐輪場からの移動距離をできるだけ短くするとともに、動線も工夫し、区 民の利便性向上に配慮する。 ウ 利用しやすい設備の整備 ・誰もが利用しやすい環境を整備するため、多機能トイレやオストメイト対応設備の 適正な配置について検討する。その他一般トイレについても、障害者や高齢者の利 用に配慮した計画を検討する。 ・聴覚障害者へ配慮するため筆談用ボードの窓口への配備、磁気ループの設置などに ついて検討する。 (3)交通アクセス ・本庁舎等整備に関わる交通環境の把握のため、平成 27年度に、本庁舎敷地周辺の交 通量調査を実施した。調査内容は、敷地周囲の道路及び交差点の交通量と本庁舎駐 車場出入口の入出庫台数の実地調査を行った上で、本庁舎等整備に伴う開発交通量 を見込んだ場合の周辺道路や交差点の処理能力の検証を行ったものである。結果と しては、自動車交通については本庁舎等整備後の開発交通量を見込んでも、周辺の 20ページ 交通環境への影響はないものと考えられた。 ・また、交通環境に関わるその他の要素としては、路線バスやタクシーへの対応や、 歩行者、自転車を含めた総合的な交通環境の検討が必要である。 ・特に路線バスについては、現在の本庁舎敷地の南東角に3路線の起終点となる折返 し所において、誘導員による後進(バック)入庫の形であるため、歩行者との錯綜 等が課題となっており、本庁舎等整備では、対応を検討していく必要がある。 ・タクシーについても、計画上の適切な対応を検討していく必要がある。 ・自転車アクセスの状況から駐輪場台数の検証や、各種車両交通と歩行者交通の関係、 駅やバス・タクシーからの動線、それらを踏まえたメインアプローチ(正面玄関) の位置等についても総合的に検討し、整備計画に反映していく必要がある。 ・さらに、将来を見据えて、新しい交通手段の開発も視野に入れながら、検討を進め ていく必要がある。 ・補助154号線の整備が進んだことにより、区民の動線も新たな視点から検討する ことが可能になっている。現在の西側敷地と補助154号線のアクセスについては、 敷地の拡張も視野に入れながら検討する必要がある。 《敷地現況図挿入》 21ページ 【基本的方針4】機能的・効率的で柔軟性の高い庁舎 (1)執務環境 ア 執務空間の整備 ・部・課の間に間仕切りを設けないオープンフロアを基本とし、各課や職員間のコミ ュニケーションが図りやすい機能的・効率的な空間とする。 ・インターネット、庁内 LAN環境の整備など、情報通信技術(ICT)を積極的に活用し ていくとともに、今後のさらなる技術進展にも対応可能となるよう、必要な設備・ 機器等を設置するスペースについても検討していく。 ・組織改正に伴うレイアウト変更にも柔軟に対応できるよう、床下に一定の配線空間 を設けたフリーアクセスフロアの導入などについて検討する。 ・執務室の机や椅子・配置を統一化し、組織改正や異動の際には人だけが動く、ユニ バーサルレイアウトの導入を検討する。 ・部署間の連携を考慮した配置とし、同一部に属する課をできるだけ同一階に配置し、 相互関連性の強い部署は、できるだけ近接した階・エリアに配置するなど、効率的 に業務が行えるよう配慮する。 イ 会議室等の整備 ○会議室 ・職員の会議・打合せスペースとしてだけでなく、区民、区民団体、事業者、NPO などが参画し、協働で政策形成していく場としてのスペースを整備・確保していく。 ・利用頻度や利用状況を考慮し、大・中・小会議室を配置する。 ・会議室は可動間仕切り等を採用するなど、必要に応じて規模を変更できる仕様の採 用も検討する。 ・会議室内には、電源コンセント、ネットワーク配線、スクリーン等を配置し、ICT 機器の利用に配慮した仕様を検討する。 ・会議室の集約配置か、各フロアへの分散配置かについて、検討していく。 ・情報保護の観点から、遮音性に配慮するとともに、利用目的に応じ、プライバシー に配慮した動線の確保などについても検討する。 ○打合せ・作業スペース ・日常的な打合せや作業、OA機器が設置できる共用スペースを、各部署の特性に応じ て、執務室内や各フロアに確保できるよう検討する。 ウ 書庫・倉庫の整備 ・文書管理システムを引き続き運用するとともに、文書保管量のスリム化を図り、必 要な文書保管スペースを確保する。 ・視認性や開放性に配慮しつつ、ローキャビネットや天井までの壁面収納を使い分け、 効率的な収納スペースとする。 ・集密書架の採用やファイリング方式の共通化などによる省スペース化を検討する。 ・各種イベント等の物品や作業道具などを保管できる倉庫の適切な配置を検討する。 22ページ エ 職場環境の整備 ・更衣室や休養室などは、職員数を考慮し、男女別に適切に配置する。 ・区民の利用も可能な職員用食堂を設けるとともに、食事などにも利用できる休憩ス ペースの設置も検討する。 ・健康増進法の趣旨を踏まえ、受動喫煙防止策を検討する。 (2)議会機能 ア 基本的考え方 イ 必要な諸室 ウ 求められる機能 ※議会機能については、地方分権・本庁舎整備対策等特別委員会における議論を踏まえ、 検討していく。 23ページ 【基本的方針5】環境に配慮し環境負荷の少ない持続可能な庁舎 (1)環境対策 ア 高い環境性能を備えた庁舎 ・「自然の力と人の暮らしが豊かな未来をつくる〜環境共生都市せたがや〜」の実現に 向け、本庁舎等はその先導的役割を果たすため、CO2の削減に向け、省エネルギ ー化を図るとともに、自然の恵みの積極的利用とエネルギーの有効活用を図る。 ・近隣との調和に配慮しつつ、良好な地域環境の創出に向け、施設緑化等の環境への 配慮を積極的に講じていく。また、環境配慮の取り組みを区民が学習する機能を設 けることも併せて検討する。 ・環境に配慮した資材を活用するとともに、建設による環境負荷の低減にも配慮し、 総合的に環境品質の高い庁舎とするため、国土交通省が定めた「官庁施設の環境保 全性基準」を踏まえた整備を行うとともに、建築環境総合性能評価システム(CASBEE) に基づく上位ランクを視野に入れた検討を進めていく。 イ CO2削減及び省エネルギーの推進 ・CO2の削減を図るため、照明・空調等によるエネルギー負荷の抑制と建築物の断 熱や熱負荷軽減等を図る方策の活用を検討するとともに、省エネルギー技術の動向 も見据えつつ、費用対効果を考えながら導入可能な技術について積極的に検討する。 ・エネルギー使用と維持管理の最適化を図るため、エネルギーの使用状況と設備の運 転効率に係るマネジメントシステムの導入を検討していく。 ウ 自然の恵みとエネルギーの有効活用 ・太陽光、地中熱、自然通風などの自然エネルギーや、雨水、地下水などの自然の恵 みの積極的な活用を検討していく。 ・コージェネレーションシステム、水素燃料電池などの環境性能が高い分散型エネル ギーの導入について、災害時の活用も踏まえ検討する。 エ 施設緑化等環境への配慮 ・区役所一帯はみどりの拠点となっていることから、若林公園や烏山川緑道などとの みどりのネットワークに配慮し、植栽や壁面・屋上などの施設緑化を推進する。 ・都市部におけるヒートアイランド現象の抑制に配慮した舗装材の活用など、環境に 配慮した庁舎となるよう検討していく。 ・再生材など安全で環境負荷低減に配慮した資材を使用するとともに、建設副産物の 抑制とリサイクルを進め、建設による環境負荷の低減を図る。 24ページ (2)持続可能性 ア ライフサイクルコストの低減 ・庁舎の設計、施工、維持管理・運営、改修など、イニシャルコスト、ランニングコ スト、そして危機対応コストも含めた、総費用(ライフサイクルコスト)の低減に 向けて取り組む。 ・維持管理に優れた構造・材料の採用など、維持管理のしやすさ、維持管理費用の抑 制にも配慮し、長期的に期待される性能を発揮できる経済性に優れた庁舎となるよ う検討する。 イ 将来の変化への柔軟な対応 ・将来の行政ニーズや行政組織の変更に対応し、可能な限り長期間にわたり使用でき る庁舎となるよう、スケルトン・インフィル(躯体と内部を分離し、内部の変更に 柔軟に対応できる方法)の考え方などを参考にした設計や工法などの採用を検討す る。 25ページ 第5章.世田谷区民会館 1.基本的な考え方 現世田谷区民会館と同様に、講演会や式典等のほか、音楽や演劇等のイベントにも対応 が可能な多目的ホールとして整備することとしている。 2.施設計画 (1)ホール機能 @舞台 ・プロセニアム形式の舞台とし、音楽利用に配慮した可動式の音響反射板の設置を検討 する。 ・各種吊物機構や照明など、適正な設備の設置について検討する。 ・舞台に隣接した楽器庫や舞台備品倉庫などの整備を検討するとともに、大型車両によ る搬出入に対応し、荷捌きが可能な搬入口を検討する。 A客席 ・現世田谷区民会館と同程度の 1,200席を想定し、舞台までの距離や見やすさに配慮し た配置、積層計画を検討するとともに、各種舞台調整室や親子室などの設置を検討す る。 ・客席椅子の形状や材質、横幅や列の前後の間隔に配慮し、客席の快適性を確保すると ともに、高齢者や障害者に配慮した動線と設備を計画する。 ・固定席を基本としつつ、災害時にも活用できるよう、一部可動する機能についても検 討する。 B楽屋 ・適切な設備を備えた楽屋を整備するとともに、隣接して給湯室やトイレ、シャワーな どの整備についても検討する。 (2)多目的機能 @集会室 ・会議や研修、講演会等の利用に対応した集会室を整備する。利用者ニーズに応じて、 部屋の広さを変更できるよう、可動間仕切りの設置も検討する。 A練習室 ・公演の練習やリハーサルを行えるよう、音楽、ダンス、演劇などそれぞれの目的にあ った機能を備えるとともに、楽屋、展示、懇親会会場など、様々な用途に活用できる ように検討する。 (3)交流機能 @ホワイエ 26ページ ・開演前や幕間などに交流・休憩するための空間を計画し、多目的トイレを含め、男女 それぞれ適切な数のトイレを計画する。 Aレストラン・カフェ ・文化活動の情報交換の場として、区民が気軽に訪れ、ホールを利用しない区民も立ち 寄り、交流することができる場として、レストランやカフェなどの設置を検討する。 (4)その他施設計画における留意点 ・ユニバーサルデザインの考え方に基づき、すべての人が利用しやすい施設となるよう 検討する。 ・災害時にも有効に機能する施設計画とするため、物資集積などの災害時の活用につい ても検討する。 ・駐車場、駐輪場については、本庁舎の整備計画と合わせて検討し、必要な台数を計画 する。 3.今後の課題 (1)管理運営 施設の位置づけや機能などの検討を踏まえて、適切な管理運営方法(直営、業務委託、 指定管理など)を選択していく。 (2)区民会館の休館期間 工事期間中、区民会館を使用することができない期間が生じることから、今後、休館 期間の短縮等について検討を進めるとともに、休館期間中の代替手法についても検討し ていく。 (3)事業費 区民会館の整備費は、庁舎などの事務所建設よりも、コスト高になるのが一般的であ るため、維持管理の容易性や費用対効果を十分に検証しながら、できる限り事業費の抑 制に努める。 27ページ 第6章.本庁舎等の規模 基本条件を見据えた上で、本庁舎に入る職員を想定し、本庁舎等の規模を見定める必要 があります。 1.基本条件 (2)将来人口 世田谷区の人口は、平成 28年 1月 1日現在で、883,289人(外国人含む)であり、「88 万都市世田谷」になっている。今後の社会動向等の影響にもよるが、高い定住意向等に よる高齢者人口の増加、転入超過による生産年齢人口の微増、年少人口についても出生率 の上昇により緩やかな増加傾向にある。 世田谷区総合戦略(案)の人口ビジョンにおける将来人口推計では、仮定値を変えた3 パターンを推計しており、そのうち、2つのパターンでは、平成 62年(2050年)の時点 で、世田谷区の人口は、100万人を超えるとしているが、若年層の転入超過が維持できな いと仮定したパターンでは、約77万人に減少するとされているなど、世田谷区の人口の 動向についても予断を許すことはできない。 また、全国人口の年齢構成では団塊世代が多くを占めているのに対して、世田谷区の人 口の年齢構成では、団塊ジュニア世代が多くの割合を占めていることから、世田谷区は全 国より遅れて高齢化を迎えることになり、その規模の大きさから、生産年齢人口の急減と 高齢人口の急増について示唆されている。 (2)行政のあり方の変化と本庁舎 本庁舎の規模を構想する際には、人口の動向と同時に、今後、50年を見据えた行政組 織改革も視野に入れて検討する必要がある。現在の区の取り組みの方向性として、以下の 視点を挙げることができる。 <視点1>縦割りから横つなぎへ。マッチングの推進。 <視点2>地域・地区を重視した地域行政制度の推進。本庁と地域・地区の役割分担の見直し。 <視点3>マイナンバー導入後の事務の変化。 <視点4>児童相談所の移管をはじめとした自治権の拡充の推進。 <視点5>高齢化の進展等に対応した、社会保障制度の拡充。 28ページ (3)新庁舎へ集約を検討する施設 @施設の集約 現在、本庁舎敷地外にある以下の施設について、借り上げ施設の賃料負担や施設の 利用の実態等を踏まえながら、新庁舎へ集約することについて検討する。 施設名・住所・所有・延床面積 分庁舎(ノバビル)・世田谷4-22-11・借上・900u 城山分庁舎・世田谷4-24-1・区・1,248u 三軒茶屋分庁舎(御幸ビル)・太子堂2-16-7・借上・区使用部分4,592u 美松堂・若林4-31-7・借上・区使用部分・171u MKアースビル・世田谷1-11-18・借上・1,380u プレハブ会議室・世田谷4-19-10・区・162u 厚生会館・豪徳寺2-28-3・区・2,205u 事務センター・弦巻2-23-1・区・2,588u 東京日産太子堂ビル・太子堂3-25-9・借上・373u A世田谷総合支所 世田谷総合支所については、総合支所の機能拡充の方向性や、地域住民との距離を勘 案し、交通至便のところに整備することを視野に入れ、民間と連携しながら、三軒茶屋 を候補地として、引き続き移転を検討していく。 また、世田谷総合支所が移転する場合、区民サービス維持の観点から、引き続き本庁 舎に残る一定の窓口機能について検討していく。 (4)想定議員数 区条例により議員定数を 50名としていることから、議員数 50名により検討する。 29ページ 2.新庁舎の規模(延床面積) 現在の本庁舎は、21,707uの敷地に、第1庁舎・第2庁舎・第3庁舎・第3庁舎 (プレハブ)を合わせて延床面積23,743uの庁舎群で構成されている。 新庁舎の規模(延床面積)については、周辺に分散している施設を集約することを前提 に、総務省の「旧地方債事業費算定基準」(以下「地方債基準」という。)を参考に非常勤 職員数を含まずに算定した数値に基づき、中間まとめにおいては、最低で約45,000uとしてきたが、庁舎内で執務をすると想定される非常勤職員数や世田谷総合支所の移転 なども考慮し、今後さらに検討していく。 新庁舎の規模を考える際には、以下の視点で検討する必要がある。 (1)「地方債基準」による算定 「地方債基準」は、職層ごとの人数をもとに、事務室面積や倉庫面積、会議室面積等を 算出し、庁舎面積を導きだすもので、あくまでも参考数値だが、庁舎の規模を算定する際 の指標としては、「地方債基準」を利用することが一般的である。 平成27年4月1日時点での常勤職員数をもとに、周辺に分散している分庁舎(ノバビ ル)、城山分庁舎、三軒茶屋分庁舎を集約することとして算出した面積は、約46,000u、非常勤職員も入れた職員数をもとに算出した面積は、約57,000uとなる。(詳し くは資料編のとおり。) (2)世田谷総合支所の移転に関する視点 三軒茶屋に移転を検討している世田谷総合支所のスペースについて、本庁に引き続き残 すべき機能も含め、考慮する必要がある。 世田谷総合支所の平成27年4月1日時点での常勤職員数をもとに「地方債基準」で算 出した面積は、約4,000u、非常勤職員も入れた職員数をもとに算出した面積は、約 6,000uとなる。(詳しくは資料編のとおり。) (3)区の将来像の視点 1の基本条件で記載したとおり、世田谷区の中長期的な人口の変化、地域行政制度をは じめとした行政組織、行政事務のあり方について、考慮する必要がある。 (4)新たに確保を検討するスペースの視点 本庁舎の理念の一つである「参加と協働」を推進する拠点とするためには、区民が交流 するスペース、区と区民が協働で活動するスペースを確保することを検討する必要がある。 また、災害時には災害対策本部が活動するために十分なスペースを確保することも必要 である。平時は会議室などとして活用することを前提として、必要な諸室の導入について、 地域防災計画との整合性、必要な規模、財政面などを考慮し、検討していく。 30ページ 3.世田谷区民会館の規模 前述のとおり、ホールの客席数については、現在と同規模(1,200人規模)を想定 するが、今後、本庁舎と同じ敷地内にあることに鑑み、本庁舎の機能と調整し、具体的な 規模について、精査していく。 4.駐車場・駐輪場等の規模 (1)駐車場・駐輪場・バイク置場の規模 駐車場等の規模については、過去の調査研究時に算定した数値に基づき、駐車場約300台、駐輪場約700台、バイク置場250台を想定し、庁舎の延床面積とは別に、 地下部分に計約15,000uとしてきたが、今後、利用実態等を踏まえ、さらに精査 していく必要がある。 (2)その他 物品の搬出入のスペースや、健康診断の車両、観光バスなどが駐車できるスペースに ついても確保していく。具体的な規模については、引き続き検討していく。 31ページ 第7章.事業計画 1.事業方式 本庁舎整備の事業方式としては、主なものとして、@従来型公共事業方式、APFI事業 方式が挙げられるが、近年、いくつかの新たな事業方式が検討されるようになってきてい る。 住宅地にある世田谷区の本庁舎等の立地なども踏まえつつ、それぞれの方式の特徴を考 慮したうえで、世田谷区にとって最も有効な事業方式を選択することとする。(事業方式の 詳細については、資料編参照) 2.設計者・施工者選定方式 基本理念を実現する庁舎を建設するためには、基本構想をよく理解し、世田谷らしい本 庁舎像を描くことができ、区民、行政と創造的なキャッチボールをすることができる設計 者・施工者を選定する必要がある。 また、本事業は、難易度の高い、同敷地において業務を継続しながらの工事を実施する ため、工事を実現するための技術力や経験を有する設計者・施工者を選定する必要がある。 設計者・施工者の選定方式にはいくつかの方式があるが、上記を考慮し、世田谷区にと って最も有効な選定方式を選択することとする。(選定方式の詳細については、資料編参照) 32ページ 3.財政計画 (1)概算事業費 本庁舎等の配置や形状、規模等により、事業費も大きく変わってくるため、現段階で は、平成 27年 9月に示した配置案の中で、最も事業費が高くなる案に基づき施設規模を 45,000uとする仮定のもとに算定すると以下のとおりとなる。 建設工事費386億円 解体工事費10億円 移転・引越費4億円 調査・設計費(基本設計、実施設計、工事監理費等)8億円 合計408億円 ※建設単価については、他自治体の新庁舎及びホール建設事例を参考に、平成 27年 4 月 1日時点の物価で算定した。また、消費税については、増税が予定されていること を踏まえ、10%で算定している。 なお、基本構想段階での事業費は、建物仕様、外構計画など、不確定要素が多い中で の概算として算定している。 ※現段階では、平成 27年9月4日の地方分権・本庁舎整備対策等特別委員会にて報告 した、「本庁舎等整備基本構想(素案)の検討状況について」の参考資料「配置パタ ーン比較表」における、第1庁舎及び低層棟を保存改修する案に基づき算定した。 (2)整備にあたっての財源の考え方 本庁舎等整備については、多額の財政負担を伴う事業であり、整備にあたっては、 財政負担の平準化のため、基金や起債の活用が不可欠である。 庁舎等建設等基金については、27年度の補正予算にて総額約 59億円の積み立てに より、残高が約 150億円となる見込みであるが、今後の梅ヶ丘拠点整備や玉川総合支所 の改築において、その一部の活用を見込んでいる。それらの大型事業への対応を適切に 行うためには、さらなる残高の確保が必要であり、28年度当初予算からの積み立てに 加え、本庁舎等整備開始年度までの各年度において、一定額の積み立てを予定している。 起債については、世代間負担の平準化を図る上で有効な手段であるが、後年度負担が 過度なものとならないよう留意する必要がある。基金と起債をバランスよく活用するこ とで、一般財源の負担を軽減する財政計画を組み立てていく必要があり、今後、事業手 法と事業費の確定にあわせて、さらに精査していく。 また、国庫補助金をはじめとした各種補助金など、活用可能な財源がないか引き続き 研究するとともに、新庁舎におけるレストラン、売店、駐車場など、民間のノウハウを 活用することが可能な施設等については、さらなる区民サービスの向上を図るとともに、 税外収入など区の収入確保が可能な仕組みについても検討していく。 33ページ 《財源内訳(想定)》 各種補助金等未定 庁舎等建設等基金210億円 起債148億円 一般財源50億円 合計408億円 (3)資金計画 設計H29からH31 事業費6億円 工事H32からH39 事業費402億円 工事期間単年度約50億円 (内訳) H29からH31 一般財源6億円 H32からH39 基金210億円、起債148億円、一般財源44億円 工事期間単年度 基金約26億円、起債約18億円、一般財源約6億円 4.事業スケジュール 本庁舎等の配置や形状、事業手法、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ のインフラ整備をはじめとする社会・経済状況の変化等による影響も考えられるが、現段 階では、2020年度(平成32年度)に着工できるよう取り組んでいく。なお、民間の 技術も活用しながら、なるべく工期が短くなるよう様々な手法を検討していく。 34ページ 5.今後の進め方 (1)区民参加 庁舎は区民共有の財産であることから、本庁舎の整備のプロセスそのものが区民の参 加と協働によるものとなるよう、工夫を重ねていく。 まずは、本検討素材に基づき区民参加による検討委員会における議論を経たうえで、 基本構想(素案)を策定し、その後、地域住民との意見交換会、パブリックコメントな どにより、区民の方々の意見を聴取し、基本構想を策定していく。 基本構想以降についても、それぞれの段階で、様々な手法で、幅広く区民の方々の意 見を聴きながら進めていく。 (2)総事業費について 3.財政計画で仮に示した事業費は、あくまでこれまでの検討過程で最も事業費が高 くなる案をもとに試算した概算事業費である。 緩やかな景気回復基調の中で、平成28年度の予算編成においては、歳入増を見込ん だところだが、現在の世界経済の動向や国の税制改正の動きなどを踏まえると、区財政 の先行きは決して楽観できる状況にはない。本庁舎整備は、多額の財政負担を伴う事業 であり、区の将来の財政運営への影響を見据え、総事業費に最も大きな影響を与える庁 舎の規模や工期などについて十分な検討を行い、総事業費の抑制に努める必要がある。 35ページ 資料編 【資料1】本庁舎等整備検討の主な経緯36ページ 【資料2】区民及び有識者からの意見聴取に関する主な取り組み37ページ 【資料3】現庁舎等の概要43ページ 【資料4】敷地条件等45ページ 【資料5】配置と形状に係るイメージ図48ページ 【資料6】本庁舎等規模試算51ページ 【資料7】事業方式等53ページ 36ページ 資料1本庁舎等整備検討の主な経緯 平成16から19年度 平成16年度から19年度にわたり庁舎整備に関する基礎的な調査研究を実施 平成 20年1月23日 区のおしらせ「災害に強い公共施設づくり特集号」を発行 平成 20年度 5月「世田谷区役所庁舎問題報告会」を出張所等地区別 27か所で実施。延べ参加人数 361名 6月から7月「世田谷区役所庁舎問題に係る意識調査」を実施。対象者 597名、回答者 478名 9月6日区のおしらせ「庁舎問題特集号」を発行 11月13日から3月12日 世田谷区本庁舎等整備審議会第 1回〜第 5回開催 平成21年度 4月14日から8月4日 世田谷区本庁舎等整備審議会第6回から第10回開催 8月13日世田谷区本庁舎等整備審議会答申書を審議会から区長に提出 平成22年度 4月から審議会答申から明らかな課題とこれに関連する諸課題の整理・検討として、窓口等のあり方に 関する整理・検討を行うとともに、本庁舎等の敷地に関する整理・検討を行う。 平成13年から平成23年 区議会において、地方分権・庁舎問題等対策特別委員会が設置され、庁舎問題について議論 平成23年度 7月1日世田谷区本庁舎等災害対策本部機能強化検討委員会(庁内検討 PT)を設置 2月27日検討委員会の結果報告として、本庁舎等の災害時の機能継続性に関する調査結果及び応急整備 計画案など全体の検討結果を区議会企画総務常任委員会へ報告 平成24年度 4月1日総務課に庁舎計画担当係長を設置、庁舎計画担当部を廃止 8月から3月本庁舎等災害対策本部機能強化工事(災害対策本部長室等機能の第一庁舎から第三庁舎への移転、給排水設備の充実等) 平成25年度 5月31日から8月21日 本庁舎等整備計画PT第1回から第3回開催。本庁舎の場所等について検討 9月1日総務部に庁舎計画担当課を設置 10月28日から12月27日 庁舎計画推進委員会検討部会(有識者アドバイザー会議)第1回から第3回開催 11月30日本庁舎整備に係る区民ワークショップ開催 2月10日本庁舎等整備方針(案)を地方分権・地域行政制度対策等特別委員会へ報告 3月31日本庁舎等整備方針策定 平成26年度 5月29日本庁舎等整備シンポジウムを実施。参加人数 94名。 2月9日本庁舎等整備基本構想(中間まとめ) (案 )を地方分権・地域行政制度対策等特別委員会へ報告 2月14日本庁舎等整備報告会を実施。参加人数 178名。 3月31日本庁舎等整備基本構想(中間まとめ)策定 平成27年度 6月本庁舎等整備検討に係る有識者からの意見聴取 9月4日本庁舎等整備基本構想(素案)の検討状況を地方分権・本庁舎整備対策等特別委員会へ報告 10月27日から12月庁舎計画推進委員会作業部会において、具体的な機能面について検討。 37ページ 資料2区民及び有識者からの意見聴取に関する主な取組み @有識者アドバイザー会議 《開催経過》 第1回 平成25年10月28日 テーマ 本庁舎に求められる機能と本庁舎整備 意見聴取項目 「本庁舎に求められる機能(災害対策)・東日本大震災を踏まえた災害対策本部機能等 第2回 平成25年11月18日 テーマ 「本庁舎に求められる機能と本庁舎整備」 意見聴取項目 「本庁舎に求められる機能(環境対策)」「本庁舎に求められる機能(区民サービス)」 第3回 平成25年12月27日 テーマ 「本庁舎に求められる機能と本庁舎整備」 意見聴取項目 「本庁舎に求められる機能(災害対策)等」「世田谷らしい本庁舎について」 《有識者アドバイザー名簿》 アオヤマヤスシ 明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授、元東京都副知事 アベシンタ 東京農業大学地域環境科学部造園科学科准教授、世田谷区都市計画審議会委員 サイトウケイコ 武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授、世田谷区ユニバーサルデザイン環境整備審議会委員 スミヨシヨウジ 東京都市大学工学部建築学科教授、世田谷区建築審査会委員 ノザワマサミツ 武蔵野美術大学客員教授、野沢正光建築工房代表 《概要》 有識者アドバイザーの方々から、主に以下のような意見(アドバイス)をいただきま した。 求められる機能(災害対策)について ○現状の第3庁舎の図面を見る限り、政令市規模の世田谷区の災害対策の中枢管理機能 を果たせるとは思えない。建設・電力・ガソリン・廃棄物事業者など、民間事業者が 機能しないと、役に立たない。その人たちやプレスを集める場所が必要。 ○災害対策については、3・11や今回の大島の例を考えると、世田谷区の本庁の危機管 理機能を区民は答申よりもっと強く求めていると思う。 ○日常の区民サービスでも、災害時でも、本庁舎は大規模自治体の中枢管理機能を担う ことが大切。 38ページ ○現在の本庁舎の立地は災害時に自衛隊や重機が集まる場所として考えたときに、災害 時の拠点として適していないと思った。環八などの大きな道路に面した支所がそのよ うな機能を担うべき。4万平米のどこかを支所が担うべき。 求められる機能(環境対策)について ○敷地全体の中で、オープンスペース、緑、建物をどう配置するのかというグランドデ ザインの視点での検討が必要であり、その中で、環境負荷軽減という方向を目指して いくべきである。 ○敷地周辺のオープンスペースとの関連性を考えるべきである。 ○広場機能をきちっとつくっていくべきであり、この規模でいいか考えていくべきであ る。 ○庁舎の場所を鳥の眼から見ると連続した緑の中にあって、大きな敷地面積の中で果た すエコロジカルな役割を考えるべきである。 ○ライフサイクルCO2を考えると、既存建物の撤去という膨大なCO2発生をCASBEE(建築物総合環境性能評価システム)の判定に取り込まなければならない。 求められる機能(サイン、ユニバーサルデザイン対策)について ○サインシステムについては、組織上の連続性の中で考えなければならない。駅や最寄 りの交通機関からの動線の連続性も大事だと思う。また、組織の改変は必ず生じるの で、変化に対してフレキシブルに対応するべき。 ○災害の面からも、さらに、オリンピック、パラリンピックを控え、これまで以上にユ ニバーサルデザインが重要となる。 ○非常時のユニバーサルデザインや、パラリンピックで障害者等が集団で来庁した時の ことなども研究するべき。 ○ユニバーサルデザインについては、マニュアルはできていて、あとは、具体的にどの ように計画していくかということだ。 ○庁舎の上下階の移動はバリアになる。それに対して水平移動はわかりやすい誘導さえ あれば、比較的行いやすい。 ○市役所の高層化によりオフィスビル化された庁舎は、ワンストップサービス窓口が入 口付近に整備されていて、バリアフリー化されているように見えるが、職員同士が各 階で何をやっているのかわからず、市民サービスがうまくいっていないという状況が ある。 求められる機能(区民サービス)について ○区民サービスの視点からすれば、ここに存在している建物は一体化するか、又は、連 続しているべきである。 ○区民サービスとしては分かりやすさが大切。どこに行っても区民にとって同じ動きで あること、人の動きの基本的骨格が明確になっていることが大事である。 ○災害時は、ここは現地本部機能になると思うが、区民の交流拠点としての機能も大切。 新しい区役所には、交流拠点としてのイメージ性、象徴性が必須。 ○答申の中に、エントランスを区民利用スペースとするというような記載があるが、区 役所全体が区民利用スペースである必要がある。 ○区民サービスの中の、人が集まる機能には色々な集まり方があり、集まるための場の デザインを検討していくと、世田谷らしくなっていくのではないか。 ○本庁舎、総合支所、出張所、まちづくりセンターなど、地域行政のあり方の中で、本 庁の機能を検討していく必要がある。 ○答申では、地域行政制度は現状を前提としているが、今後、本庁から総合支所へ自治 権を委ねていくことになると思う。そうなったら、本庁はスリムでよいという話にな るかというと、そうではない。むしろ、世田谷区としての意思統一等、今まで以上の 39ページ 本庁の機能が必要になる。 整備の考え方について ○本庁舎の整備は、@構造、A機能(区民ニーズ、ボリューム等)、B区民がどの程度本 庁舎に愛着を持っているか(有名建築家の建築物に対する考え等)の三点くらいが大き なポイントとなる。 ○耐震性の問題もあるが、機能が古い。現在、都心の建物が崩されているのは、物理的 というより、機能的に老朽化しているためである。 ○機能を考え、仮に現庁舎を残し、新庁舎を別に作った場合、残した庁舎を何に使うか が問題となる。結局壊すという話になっているところが多い。 ○ボリュームの問題で、一部残すということはありえるのか?一部残して、高層建築を 後ろに造って、それで調整するということが結構あるが、世田谷区はそんなに高層建 築をつくれる場所ではないはず。 ○デザインのどこを残すのか、あるいはどこを継承するのか。実際の建物の一部を残す のではなく、デザイン性で継承する方法もある。 ○世田谷区役所には区民会館があったというのが特徴。10〜30人のホールとか小さなギ ャラリーとか、区民が利用できるイメージは大事にしないといけない。 ○今あるものを残していくだけでなく、要素やエキスをうまく使いながら、歴史性・地 域性をいかに継承していくかが大切である。 ○本庁舎の機能のうち、象徴性をどう考えるか議論していくべき。歴史や文化、地域特 性というのが考えられるが、特に地域特性としては自然や景観というものが大事。 ○この建物の良さを評価すべきである。すべて残すということではなく、空間や要素を 残すということもある。報告書にあるように、機能がダメだから建替えたいという理 由づけでは、区民の理解を得るのは難しい。 ○報告書に載っている求められる機能は、最低限やらないといけないこと。それとは別 に、どういうところに特徴を持たせるかという議論をしないといけない。この二つを どうやってうまく調整していくかが大事だ。 ○行政も区民もいいと思っても、一方で敷地条件でうまく残せないので、こういう空間 構成をやりましょうとなっていく。こういう魅力がある、でも、こういうボリューム が必要です、というのをどう解いていくか。そうすると面白いものができてくる。 ○調査報告書が出た後に、サステーナブルソサエティー(持続可能な社会)という考え 方が提唱され、世の中の考え方が変わった。 ○皆様がここで働いていて不満があるのは分かるが、この庁舎をどうやってリスペクト しながら継続させていくかを考えるべきだと思う。 ○古いところを尊重しながら全く新しい機能を入れていくというヨーロッパの建築家た ちがやっているような仕事を、日本の建築家はやることになる。そのためには、たぶ んコンペだろうと思う。 ○50年前の区長の想いを受け、前川國男が行政サービスの拠点である庁舎と、区民が 集まる区民会館と広場を配置した。当時の区長の想いを活かしていってほしい。 ○東京文化会館は前川建築で、世田谷区民会館とほぼ同時期にできているが、改修をし てきれいに維持されているため、壊すという考えはおきない。世田谷区民会館は応急 処置しかしていないので、東京文化会館とはメンテナンスの差だ。 ○敷地を貫いている道路をなくし、将来的に一体的な場所として、敷地が連続する方向 で考えていくべき。 区民との関わりについて ○構造とか規模とか機能の問題は誰でも納得してくれる。建替えなければならないとい う話になる。ただ、その後に、区民がどう思っているか、どう関わってくるかをちゃ 40ページ んと説明しないと、単純に建替えは進まないような気がする。 ○入り口の段階から区民が参加をすれば、後から反対という話にはならない。 ○建替えについて、全部か一部かを考える上で、環境共生やユニバーサルの視点は欠か せないが、そこに、区民・職員がどのように参画していくかが大切。 ○この議論を自発の市民とやる場を設けるべき。すべてを委ねるというわけではなく、 何か一つは委ねていく。もう一つは議会の意見も聞くべきだと思うが、開かれた場で、 区民と相談しながら進めていただきたい。立川市では、市民・議会・行政からなる3 ユーザー会議で、検討した。 ○新築というのは、一般的には区民には抵抗があると思う。ソウル市のように、新築す る時に、組織や意思決定機構、区民サービスなど抜本的に変革する必要があると思う。 A本庁舎整備に係る区民ワークショップ 開催日時:平成25年11月30日 テーマ:本庁舎に必要な機能(区民サービス、災害対策、環境対策など) 参加者:満18歳以上の区民を対象として無作為抽出された 1,347人に募集案内を送 付し、当日は23人の区民が参加した。 ※主な意見等、実施結果については、本庁舎等整備方針(平成26年3月策定)参照 B本庁舎等整備シンポジウム 開催日時:平成26年5月29日 テーマ:世田谷区本庁舎等整備方針とこれからの本庁舎のあり方について パネリスト:あおやまやすし(明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授) あべしんた(東京農業大学地域環境科学部造園科学科准教授) さいとうけいこ(武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授) のざわまさみつ(武蔵野美術大学客員教授) ほさかのぶと(世田谷区長) 参加人数:94名 ※主な意見等については、本庁舎等整備基本構想(中間まとめ)(平成27年3月策定)参照 C本庁舎等整備報告会 開催日時:平成27年2月14日 内容:・涌井雅之(東京都市大学教授)による基調講演 ・本庁舎等整備基本構想(中間まとめ)(案)について説明 ・意見交換 参加人数:178名 ※主な意見等については、本庁舎等整備基本構想(中間まとめ)(平成 27年3月策定)参照 41ページ D本庁舎等整備検討に係る有識者からの意見聴取 開催日時:第1回平成27年6月1日 第2回平成27年6月23日 有識者:うづきもりお(早稲田大学社会科学部教授) こばやしまさみ(明治大学理工学部建築学科教授) わくいまさゆき(東京都市大学環境学部教授) ◎第1回平成27年6月1日 <主な意見> ○面積について ・本庁舎改築を契機に大胆な地域行政の推進を図り、本庁をスリム化すべき。 ・今後、窓口の相談が濃密になり、プライバシーの関係で、囲われたスペースが必要にな り、面積も増えてくるのではないか。 ・現在の本庁舎の職員一人あたりの面積が14u、整備後の本庁舎を45,000uとすると一 人当たり23u(23区平均は28u)とのことだが、まだ狭い感じがする。 ○整備手法(一部改築または全部改築)等について ・庁舎を建てた時の前川氏の想いを再確認したい。 ・バスターミナルからケヤキ並木と水路のアプローチを経てピロティから中庭に至る空間 とそれを囲む第 1庁舎と区民会館の壁面構成と高さの関係が魅力的。これが「最も保存 すべき記憶の風景」。 ・第1庁舎と区民会館とそれらをつなぐピロティが中庭を囲む景観が特徴的。真ん中のス ペースは大切。 ・第1庁舎、区民会館、低層棟は残すべき。 ・第1庁舎1階のホールは残すべき。 ・区民会館のファサードも広場のモニュメントにしてはどうか。 ・ファサードを残すのは違和感がある。 ・東側敷地は、建物の高さや配置を大きく変えずに内部と壁面の改修のみで対応すべき。 景観を継承するには、建物の配置や高さを変えないことが大切だ。 ・区民会館の跡に9階を建てたら、南側の民家に圧迫感を与え、広場への日差しも暗くな る。 ○検討の進め方について ・複数案を説明し、区民参加で議論すべき。区は、それぞれの案のいいところを加味して 案を修正して決定すればいい。 ・基本構想策定時に区民との合意形成、建築家団体等への説明責任を果たしておく必要が ある。 ・区民や建築家団体等への説明は重要な手続きであるため、全体スケジュールを明確にし た上で、慎重に行うべき。 ・今回の設計は保存改修という大変難しい業務になる可能性があり、区民参加も必要なの で、設計者選定手法として立川市で行った「2段階プロポーザル方式」が望ましい。 ○その他 42ページ ・庁舎に求められるのは以下の3点。@防災機能、A区民のコミュニティの中核、B庁舎 の文化的側面としてのファサードのデザイン。 ◎第 2回平成27年6月23日 <主な意見> ○整備手法(一部改築又は全部改築)等について ・庁舎を建てた時の考え方も大切だが、未来に向けてどうするかということも大切。 ・「記憶の継承」が大切だと思う。材料など必ずしも残すことではない。抽象的でよいと思 う。 ・区本庁舎だけでなく、周辺も一緒に考えるべき。松陰神社の商店街、ボロ市などトータ ルで考えていくことが必要。周辺も入れたコンセプトを継承するべき。 ・第1庁舎の1階のロビーと内階段を残して、外観を現在と似たものとし、全面改築でい いのでは。 ・区民会館は、継承していくという考えもあるのではないか。 ・国際文化会館は、ボロボロで壊すという状況になっていたが、リノベーションして10 年経つ。耐震補強して、地下にホールも作った。 ・区民会館は、今と同規模で、多目的だが、バックヤードの充実が必要。 ・等々力競技場のリノベーションで、客席の幅を広げたら、7割くらいになった。区民会 館もリノベーションではきびしいかもしれない。 ・高知市役所は改築にあたって、小中高生の子ども達とワークショップをやり、市長室の 丸テーブルなどを保存し、使うことにした。 ・世田谷通りから国士舘までの都市計画道路の整備と、あわせて整備していければいい。 ○検討の進め方について ・「基本構想案」の内容に、設計者選定の方法と基本設計、実施設計のスケジュールを書き 込むべき。 ・「基本構想(中間まとめ)」の内容は、ハードに偏り過ぎである。一般的にはもっとソフ トの内容の書き込みが多いので、「整備方針(26年3月策定)」の内容を加えて、安全安 心、さらに夢を持てるような内容にするべき。 ・今まで見た「基本構想」では配置案を出すケースはなかった。案を絞る必要も配置案を 出す必要もないと思う。 ・設計者選定は8から9ヶ月かかる。区民も入れて、区民にも公開で、案を選ぶほうがいい。 区が、10パターンのような案を出すと、設計のときに、その案にとらわれるので、今 回は、言葉の表現だけにしたほうがいい。 ・「基本構想」では、整備手法案を文章で書き、イメージ図や総事業費も載せ、住民参加に ついても記載していくべき。 ○その他 ・職員にとっては、スペースが狭いということが切実だと思う。 ・高層化の流れもあるが、世田谷は世田谷らしくしていくべきだ。 43ページ 資料3現庁舎等の概要 【本庁舎関連施設配置図挿入】 【本庁舎敷地配置図挿入】 44ページ 【各庁舎等の概要の表挿入】 45ページ 資料4敷地条件等 1.本庁舎の場所 本庁舎の場所は、これまでの歴史的経緯や他の公有地等の関係から、前述のとおり 整備方針において、現在地とすることとしました。 なお、区役所西側の補助154号線も開通し、周辺の道路環境も改善されてきてい ます。また、区は、平成16年1月に「世田谷区役所周辺地区防災街区整備地区計画」 を策定し、災害に強いまちづくりを進めています。さらに、東京都が進める「木密地 域不燃化10年プロジェクト」として、補助52号線の整備や「不燃化特区制度」の 活用により、一層の不燃化の促進に取り組むこととしています。 《周辺図挿入》 場所の特性 ・区の中心部に立地している ・北側は国士舘大学(広域避難場所に指定)に隣接 ・緑豊かな若林公園や松陰神社が隣接 ・世田谷税務署、都税事務所、世田谷図書館などの公共施設が集積している (28年度に世田谷合同庁舎竣 工予定 ) ・最寄駅(松陰神社前駅)からは徒歩5分であり、路線バスも整備されており、アクセスは良好 46ページ 2.敷地条件 (1)敷地の概要 @敷地面積:21,707u(東側敷地11,342u、西側敷地:10,365u) A用途地域等:第二種住居地域準防火地域第三種高度地区(45m) B建ぺい率・容積率:建ぺい率60%・容積率300% C日影規制:5時間・3時間/H=4m D接道条件:東側(世区街5):11m(※注) 北側(主113):10m(西側区間)、11m(東側区間) 西側(補助154号線):15m 南側:東敷地南側約4.5m、西敷地南側8m 敷地中央区道:8m(北側区間)、10m(南側区間) Eその他・地形等:・東側敷地は概ね平坦であるが、西側敷地の西から 南西方向に向けては4m程度下がる形で高低差を有している。 ・敷地が中央の区道により分断されている。 ※注:都市計画道路世区街5号の道路線形が、第1庁舎の東側のバルコニー(鉄筋コンクリート) と重なって設定されている。新庁舎建設時には、その部分までセットバックが必要となる。 (2)法的条件 @都市計画:「世田谷区役所周辺地区防災街区整備地区計画」 区役所本庁敷地周辺には世田谷区役所周辺地区防災街区整備地区計画が定められ ている(世田谷区都市計画決定)。地区計画の目標としては、「東京都の防災都市づ くり推進計画<基本計画>で重点整備地域とされた本地区において、「逃げないですむ 防災街づくり」を目指す。広域避難場所地区の文教的土地利用を積極的に誘導し、 十分な安全性を確保する。また、避難場所周辺市街地の不燃化と避難路の整備を進 め、道路及び建築物により、災害に強い市街地を形成していく。」ことが定められて いる。 区役所敷地は、この地区計画において、広域避難場所外周C地区に指定されてお り、土地利用に関する基本方針として、「広域避難場所への輻射熱を低減させ、かつ 災害に強い市街地形成と良好な住宅地の保全、及び地区内避難路を確保する。また、 用途地域の特性に応じた土地利用を誘導する。」ことが定められている。 また、災害時には避難路や延焼を防ぐ道路として、日常では安心して往来できる 道路として、敷地中央の区道が地区防災施設 6号、南側の道路が同 7号に指定され ている。 47ページ A関係法令:本庁舎整備に関係する法規・条例等の主なものを以下に示す。 法令 .都市計画法 .建築基準法 .消防法 .駐車場法 .高齢者、障害者等の移動等の円滑化に関する法律(バリアフリー法) .エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネルギー法) .景観法 .都市緑地法 ほか 条例 .東京都建築安全条例 .東京都駐車場条例 .東京都環境基本条例 .都民の健康と安全を確保する環境に関する条例 .東京都景観条例 .世田谷区環境基本条例 .世田谷区都市計画法に基づく開発許可の基準に関する条例 .世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例 .世田谷区高齢者、障害者等が安全で安心して利用しやすい建築物に関する条例 .世田谷区中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例 .世田谷区みどりの基本条例 .世田谷区風景づくり条例 ほか B既存不適格について 現在の区役所本庁舎施設建築物においては、第 1庁舎が国士舘大学敷地に対する 日影規制に抵触しており、区民会館(ホール棟)が中央の区道を挟んで本庁舎西側 敷地に対する日影規制に抵触している。これらの建物は日影規制が施行される前の 建設であることから、「違法建築」ではないが「既存不適格」の状態とされ、建替え や増改築等を行う場合には、原則として不適格状態の解消が求められる。 48ページ 資料5配置と形状に係るイメージ図 1基本構想(中間まとめ)(平成27年3月)より 《比較表挿入》 49ページ 《比較表の続き挿入》 50ページ 2平成27年9月4日特別委員会報告より 《比較表挿入》 51ページ 資料6本庁舎等規模試算 ●平成27年4月1日現在本庁舎等職員数 庁舎/正規職員数(再任用フルタイム含む)/再任用職員数(短時間のみ)非常勤職員数/職員数計 第1庁舎/685/39/116/840 第2庁舎/674/56/245/975 第3庁舎(プレハブ含む)/329/24/103/456 世田谷区民会館/36/0/4/40 分庁舎(ノバビル)/74/2/29/105 城山分庁舎/169/8/13/190 三軒茶屋分庁舎(御幸ビル)/55/1/15/71 美松堂/4/0/1/5 MKアースビル/10/1/3/14 プレハブ会議室/10/0/26/36 厚生会館/32/0/3/35 事務センター/19/0/1/20 総計 2,097/131/559/2,787 ※東京日産太子堂ビルについては、平成27年4月1日時点では借上げていなかったため、表に 記載していない。 《第3庁舎職員の内、世田谷総合支所の職員数》 世田谷総合支所/226/11/90/327 52ページ ●旧地方債事業費算定基準による試算(平成27年4月1日現在) @本庁舎等【常勤職員数のみ(フルタイム再任用含む)】 ※美松堂、MKアースビル、プレハブ会議室、厚生会館、事務センター除く 庁舎面積46,461u A本庁舎等【非常勤職員数を含む】 ※美松堂、MKアースビル、プレハブ会議室、厚生会館、事務センター除く 庁舎面積57,543u B世田谷総合支所【常勤職員数のみ(フルタイム再任用含む)】 庁舎面積4,479u C世田谷総合支所【非常勤職員数を含む】 庁舎面積6,187u 53ページ 資料7事業方式等 1.事業方式 事業方式については、住宅地にある世田谷区の本庁舎等の立地なども踏まえつつ、それ ぞれの方式の特徴を考慮したうえで、検討する必要がある。 (1)事業方式の類型 本事業に想定される事業手法としては、主なものとして、@従来型公共事業方式、 APFI事業方式が挙げられ、これらについては過去の調査・研究などにおいても概略の 整理を行ったところであるが、近年における社会情勢などを反映して、いくつかの新 たな事業方式が検討されるようになってきており、以下においてこれらの概略の整理 を行うこととする。 @従来型公共事業方式 公共事業において一般的に採用されてきた方式であり、「設計・施工分離」の原則の 下、先行して設計業務を実施し、設計図書に基づき、入札等の方法によって施工者を 選定し、建設工事を行うものである。 確実性・安定性があり、発注者側も習熟しており、設計(基本/実施)、施工などの 各段階ごとに検証・確認が可能である反面、公共事業の発注・契約に関するルールと、 予算年度の制約があるとともに、特に施工面の技術的難易度が高い場合などにおいて、 設計段階における施工会社の技術的ノウハウ等の活用について、設計と施工のギャッ プが生じる可能性がある。 一連の事業を、公共発注上の理由から分離・分割して実施することとなるため、各 段階を通じて一貫性を確保する、適切な事業運営が発注者側に求められることに留意 する必要がある。 A PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)事業方式 民間の資金及び各種ノウハウの活用を主眼として、定められたルールの下に設計・ 施工(建設工事)・維持管理・運営等を一括して民間事業者(事業体)と契約し、実際 の事業の実施は民間事業者が主体となって進める方式である。主に欧米で先行して普 及し、日本では 1999年の PFI法(通称)施行により正式に導入された。 PFI事業の主な形態として、施設建設後に所有権を公共に引渡した上で、民間事業者 が維持管理・運営を行う「BTO(Build・Transfer・Operate)方式」と、事業期間中は 施設の所有権を民間に置いたままで維持管理・運営を行い、事業終了時に所有権を公 共に移転する「BOT(Build・Operate・Transfer)方式」があるが、庁舎等の場合は、 民間に所有権を留める意味合いが薄く、税制上の問題等もあることから、前者が基本 となるものと考えられる。 資金調達から、設計、施工、維持管理・運営を通した、トータルな民間活力・ノウ 54ページ ハウの導入が図れ、@以外の事業方式の中では、法的基盤整備や制度設計が明確にな されている反面、PFI法の所定の手続き等が求められ、庁舎整備に要する期間が長期化 する。 事業化検討段階において VFM(バリュー・フォー・マネー)の検証を行い、適正に VFMが得ら れない場合は、PFI事業として実施することはできないことに留意する必要がある。 Bその他の新たな事業方式 a)デザインビルド(DB)方式 特に施工面の技術的難易度が高いプロジェクトなどの場合に、設計段階から施工会 社が有する技術的ノウハウ等を導入することを主眼として、設計と施工を一括して施 工会社又はこれを含む事業体と契約し、設計から建設工事までを一連の事業として実 施する方式である。これまでの公共工事においては「設計・施工分離」の原則との整 合性の観点から一般的には採用されてこなかったが、平成27年5月の国土交通省「入 札契約方式ガイドライン」に明記された。 設計段階から、施工者が有する技術的ノウハウ等を導入、反映することができ、設 計・施工の連携に基づくコスト合理化の可能性がある反面、事業や各業務の遂行プロ セスが不透明になり、技術面や品質、コストの内容等に対する公共事業としての妥当 性検証が難しくなるリスクがある。 PFI方式に比べ手続等の合理化によるスケジュール短縮が見込めるが、@従来型公共 事業方式に比べると庁舎整備期間は長くかかること、本来の制度趣旨は、特に技術的 難易度が高い場合などとされていることに留意する必要がある。 b) DBO(DBM)方式【「O」は運営(Operation)、「M」は維持管理(Maintenance)を指す】 PFIと類似する方式として、設計・施工・維持管理・運営を通した民間ノウハウの活 用を主眼として、資金調達は公共で行い、設計・施工(建設工事)・維持管理・運営等 を一括して民間事業者(事業体)と契約する方式である。 設計、建設、維持管理・運営を通した、幅広い民間活力・ノウハウの導入が図れ、 コスト合理化の可能性がある反面、PFI方式並みに精緻な条件設定とモニタリング等の 配慮を行わないと、事業や各業務の遂行プロセスが不透明になり、技術面や品質、コ ストの内容等に対する公共事業としての妥当性の検証が難しくなる恐れがある。 PFI方式に比べ手続等の合理化によるスケジュール短縮が見込めるが、@従来型公共 事業方式に比べると庁舎整備期間は長くかかることに留意する必要がある。 c) ECI(Early Contractor Involvement)方式 DB方式と同様に、設計段階から施工会社が有する技術的ノウハウ等を導入すること を主眼としつつ、「設計・施工分離」を確保する方法として検討されたものである。 設計業務の適切な段階において、施工会社から技術提案を求め、最も優れた(効果 的な)技術提案を行った施工会社と設計協力業務の契約を締結し、この会社から施工 技術等に関する支援・協力を受けながら、設計会社が施工会社の技術力等を反映した 設計業務の遂行を行う。 55ページ @従来型公共事業方式の優位点はそのままに、設計段階から施工者が有する技術的 ノウハウ等を導入、反映することができる反面、施工会社の協力業務受託が工事受注 に直結してしまう形になると、実質的に特命受注と同様になり、競争原理が働かなく なる恐れがある。 実施事例が少なく、試行段階にあるものと考えられ、ECI方式の適正な運用のための 仕組みを十分に検討する必要があることに留意する必要がある。 d)官民共同事業方式 近年の他区事例において、豊島区(市街地再開発事業の中で民間施設と一体的に庁 舎を整備)や、渋谷区(敷地の一部に定期借地権による民間事業を導入することで公 共施設の整備費用負担をなくす)など「官民共同事業方式」の事例が出てきている。 ただし、これらの例は都心部の一等地における高容積開発手法の適用、庁舎敷地の 余剰容積の活用による民間事業誘致が可能といった条件下での特殊事例であり、一般 的な庁舎整備の手法とは言えないものと考えられる。 2.設計者・施工者選定方式 本事業は、難易度の高い、同敷地において業務を継続しながらの工事を実施するため、 配置計画・施設計画やデザインの力量と同時に、工事を実現するための技術力や経験を 評価して、適切な設計者及び施工者を選定する必要がある。 設計者及び施工者の選定方式は、事業方式と密接に関係する部分があり、設計と施工 を分離する場合、あるいはPFI事業方式やDB方式等でも基本設計を先行させる場合には、 設計者の選定と施工者の選定を別に扱うこととなるが、それ以外の PFI方式や DB方式に おいては、設計と施工を一体的に実施する事業者を選定することとなる。 これらの点を踏まえて、以下に各選定方式の概略の整理を行う。 (1)「設計・施工分離」における設計者選定方式 @入札方式 業務内容及び仕様を提示し、それに対する業務報酬額の競争入札を行い、金額の多 寡によって設計者を選定する方式である。 手続きにかかる発注者の業務負担が小さく、金額の多寡という明確な要因によるた め、結果は最も明解になる反面、設計業務の特性上、競争入札によることは妥当では ないという考え方が一般的になっており、国土交通省もその観点からプロポーザル方 式等を推奨している状況も含めて、入札による設計者選定は採用されない傾向が有力 になっている。 56ページ Aプロポーザル方式 対象の業務に対する考え方や課題の解決方法、実施方針や体制などについて、提案 書の提出を求め、審査により、業務を履行するうえで最も適切な考え方や能力、技術 力などを有する随意契約の相手方となる候補者を選定する方式。あくまでも能力を有 する委託先を選定するものであり、案を選定する設計競技(コンペ)方式とは異なる。 発注者側・応募者側双方の過度な負担を回避できるとともに、最も妥当な「設計者」 を特定するもので「案」を選ぶものではないことから、選定時の提案内容に拘束され ず、双方の協議により柔軟に変更・修正・調整が可能である反面、設計者選定段階で は、実際の建築の内容が確定されず、結果に直結する明解さに欠ける。 過度に詳細な図面や具体的なデザインを求めたり、それらに偏った審査が行われる と、実質的にコンペ方式と変わらないこととなり、プロポーザル方式のメリットが減 少する可能性もあることに留意する必要がある。 B設計競技(コンペ)方式 具体的な施設計画(概略設計)案の提出を求め、審査により最も優れた案を特定し、 その案の提出者に業務を委託する方式。 施設計画やデザイン等において独創性が求められる場合(例えば記念建造物等)に おいては、多様な発想・アイデアに基づく提案を受けることができるとともに、実際 の建築の内容が予め明確になり、原則的にはほぼその通りに実現する反面、発注者側・ 応募者側双方の負担が大きいとともに、「案」を選ぶというコンペ方式の性格上、選定 した「案」の拘束性が強く、特定後の大幅な変更などはコンペ方式の趣旨に沿わない ものとされる。 詳細かつ明確な条件書を提示し、応募者側の提案作成期間も適切に設定する必要が あり、これらを欠いた場合には真に要求に沿った案が得られない恐れがあることに留 意する必要がある。 C QBS(資質評価)方式 特定の提案を求めず、資料提出とヒアリング等により、実績・経験・能力・姿勢・ 人柄などの「資質」を評価して最適な設計者を選定する方式。 発注者側・応募者側双方の負担が小さいとともに、特定の条件や提案に限定されず、 設計者の資質のみを純粋に評価できる反面、特定の提案等がないことから、何を基準 に評価するかが難しいとともに、候補者のリストアップの方法と客観性・公平性の確 保が課題となる。 実績偏重になると、候補となる設計者を予め限定してしまう可能性があることに留 意する必要がある。 57ページ (2)「設計・施工分離」における施工者選定方式 @競争入札方式 従来の公共事業において、地方自治法及び会計法に基づき、主に採用されてきた方 式であり、設計図書を提示して工事金額の競争入札を行い、金額の多寡によって落札 者(施工者)を決定する方式である。 制度的な基盤は確立されており、基本的には大きな問題は無いと考えられるが、技 術的に高度な案件では、金額の多寡のみによる施工者選定の妥当性に疑問もあり、そ の場合には次項の「総合評価落札方式」を妥当とすべき場合も想定される。 A総合評価落札方式 競争入札方式について、技術的に高度な案件など、金額の多寡のみによる施工者選 定が妥当でないと考えられる場合に、業務体制や施工計画などに関する技術提案を併 せて求め、これらの評価と入札金額を総合的に判断して落札者(施工者)を決定する 方式である。 競争入札方式を補完する方法として、信頼性・確実性は十分にあると考えられるが、 技術提案等の評価及び総合評価の内容について説明責任が求められる。 (3)「設計・施工一括」における設計・施工者選定方式 PFI方式や DB/DBO(M)方式など、「設計・施工一括」の事業方式における設計者及 び施工者の選定は、施設の設計及び施工に関する要求条件などを定めた要求水準書に 基づき、設計・建設方針や概略設計案、施工計画案などを含めた業務提案書(※PFI及 び DBO(M)の場合には維持管理・運営業務の計画を含む)の提出と金額の提示を求め、 それらの総合的な審査により、事業者を特定する方法によることとなる。 適切な事業者選定を実現するためには、事前の企画段階において「導入可能性調査」 によるシミュレーションを十分に行った上で、業務全般に亘る詳細かつ過不足のない 業務要求水準書を作成するとともに、客観性の確保に配慮した評価基準の作成、審査 委員会の組成、実際の事業者選定プロセスの運営管理など、相当量の発注者側業務を 適正に遂行する必要がある。