世田谷区本庁舎等整備報告会 日時:平成27年2月14日(土)午後3時から午後5時30分 会場:国士舘大学多目的ホール                  ○司会(長岡庁舎計画担当課長) 皆様こんにちは。本日は、世田谷区本庁舎等整備報告会に御参加いただき、まことにありがとうございます。私は、本日、司会を務めさせていただきます世田谷区総務部庁舎計画担当課長、長岡と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)  それでは、ただいまより、世田谷区本庁舎等整備報告会を始めさせていただきます。始めるに当たりまして、席はなるべく前のほうに詰めてお座りいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  初めに、資料の確認をさせていただきます。皆様方、受付でおとりいただきました封筒に入った資料がございます。  封筒の中身につきましては、ちょっと見ていただきたいんですけれども、一番上に小さい紙が入っております。これは意見・質問票となっております。  その次がピンクのチラシです。  その次にA4左上にホチキスどめをしてある資料がありまして、まず、表紙がありまして、その次に折り畳んであるA3のもの、基本構想(中間まとめ)(案)【概要版】となっています。  その次にとまっているのが、今回シミュレーションを行いました検討パターン比較表が2枚あります。  別の資料としまして、最後にA4のアンケートがあります。資料は以上ですが、よろしいでしょうか。もしない方がいらっしゃいましたら、近くにいる係員にお声をかけていただければと思います。  なお、今御説明しました資料の中の意見・質問票につきましては、お時間の関係がございまして、意見、質問がある方につきましては、この用紙にて受け付けを行います。区からの検討状況の説明の後の休憩時間の中で、今のところの予定ですと16時15分から16時30分の15分間を休憩時間と考えております。この時間の中で質問票を提出いただければと思います。大体16時20分ごろになりましたら係員が回収を始めますので、よろしくお願いしたいと思います。本日の報告会では、区から本庁舎等整備基本構想の検討状況についてお知らせをするとともに、これからの本庁舎のあり方等について、本日御来場の皆様方からその質問票で御意見をいただき、基本構想の策定に向けて活用させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  なお、本日は、広報用としまして報告会を記録するために撮影しております。撮影した写真につきましては、区の広報紙やホームページに掲載させていただく予定ですので御了承ください。  それでは初めに、世田谷区長、保坂展人より御挨拶を申し上げます。 ○保坂区長 皆さんこんにちは。世田谷区長の保坂展人です。今日はこの会場に、世田谷区本庁舎等整備報告会に御参加をいただいて、まことにありがとうございます。  区役所本庁舎、目の前を通って来られた方も多いと思いますけれども、大変長いこと区民にも親しまれ、また、世田谷のまちづくりの中心を担ってまいりました。世田谷区では平成16年から4年間、調査研究を行い、平成21年に審議会答申、私が就任したのが平成23年4月27日になりますが、ちょうど東日本大震災がその1カ月半前、3・11に起きております。こういったことを踏まえながら、3月末で終わる今年度、そして来年度の2年間をかけて、本庁舎等整備に関する基本構想をつくっていくことになっております。現在の庁舎の一部を残して改築する、あるいは全てを改築するのか、幾つかのパターンを描きながら、後ほどの涌井先生の講演の後、担当課長から現在の検討状況の説明があると思いますけれども、現在検討中ですから、本日の報告会は検討状況の現段階での報告ということになります。世田谷区役所のこれからの機能、5年、10年と大きく時代は変わっていくだろう。その中でどのような役割を果たしていくべきなのか、そして、工事の手順や工期、住民サービスを続けていくということも含めて、これから1年かけてまとめていく予定であります。  そういう意味で、世田谷区役所がこれから約10年かけて、その間にオリンピック・パラリンピックもございます。また、最近では、オリンピックの競技、馬術に関して、馬事公苑で開催をするように計画が変更されるということも公表されています。馬事公苑というと、1940年(昭和15年)のオリンピック予定地として整備されてきました。しかしながら、戦争によって当時の日本は返上することになりましたが、昭和39年(1964年)には馬術の会場。そしてまた、オリンピック会場としてもし使われるということであれば大変喜ばしいことだと思っておりますし、持続可能な社会、そして、スクラップ・アンド・ビルドという、つくっては壊し、つくっては壊しということではなく、風雪に耐えるしっかりしたこれまでの区役所のフォルムも生かしながら、新しい機能をどれだけ効果的に入れていけるのかというところを工夫してまいりたいと思います。  そういう意味で本日は、TBSの「サンデーモーニング」でコメンテーターとしておなじみの涌井史郎(雅之)さんに、まずはこの時代の状況を語っていただき、そこからこの報告会を始めていきたいと思います。これからの時間、ぜひ最後まで、御参加をいただいている皆さんとともにつくり上げていきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手) ○司会 ありがとうございました。  それでは引き続きまして、基調講演に移らせていただきます。本日の講師を御紹介いたします。東京都市大学教授の涌井雅之先生でいらっしゃいます。簡単にプロフィールを御説明いたしますが、涌井先生は造園家でいらっしゃいまして、ランドスケープアーキテクトとして活躍されています。人と自然の空間的共存をテーマに多くの作品や計画に携わっていらっしゃいます。ハウステンボスのランドスケープ計画ですとか、愛・地球博のプロデューサーなどをおやりになって、いろいろな御活躍をされております。現在は東京都市大学環境学部教授でいらっしゃいまして、首都高速・大規模更新検討委員会委員長等も務められていらっしゃいます。今お話しありましたけれども、TBSの「サンデーモーニング」などのコメンテーターとしても活躍されています。  本日は「環境革命の時代に 市民にとっての公共施設を考える」というテーマでお話をいただく予定でおります。  それでは、先生、よろしくお願いいたします。 ○涌井史郎(雅之) ただいま御紹介いただきました涌井でございます。私が今日ここに参ったのは、今日の報告会、これからどのような区役所づくりの方向があるのかということを皆さんと同じ立場で伺うつもりで実は来ております。したがって、基調講演というお話がありましたけれども、私はいろいろなことを考えて区役所のありようというものを考えていただきたいなという希望を持って、皆さんと同じ立場でお話をさせていただければうれしいと思っているわけであります。  そんなことで、ぶっちゃけて言いますと私も実は世田谷区民であると同時に、今年で70歳なんですね。これができ上がるのが80歳ですよ。その80歳の私のための区役所であってほしくない。つまりこれから若い人たち、あるいは世田谷を愛している未来の世田谷区民の方たちが、生き生きとこの世田谷区を自分のふるさとだと思って暮らせるような中での区役所の位置づけはどうあるべきかというお話をしていきたい。  このパワーポイントにジッパーで形造られたクエスチョンマークがあるんですけれども、これは一体どういう意味かというと、みんなで考えて、みんなでジッパーをあけるようにして答えを出しましょうという意味合いだと御理解いただきたいと思います。  話は多岐にわたるわけですけれども、東日本大震災から数えて、もうそろそろ4年目です。私はこのことを非常に重く受けとめています。というのは、国の復興委員会の幾つかの委員長として3・11の問題を考えていくと、おのずとこうした問題と区役所の問題というのが深く関わると考えるからです。それはなぜかというと、昨今さまざまな形で自然災害が多発・激甚化する可能性が非常に高いからです。  御案内のとおり、まだ非常に警戒しなければならないのはマグニチュード9、しかも、津波の震源が2カ所あって、これがあれだけの大津波を引き起こしたんですが、皆さん、マグニチュード9以上の地震があれば、必ずマグニチュード7に匹敵するような、いわゆる揺れ戻しがなければおさまらないんです。ところが、いまだにそれが起きていない。なおかつ、その震源は、御存じのとおり、地震の記録を見ていただくとわかるんですが、嫌なことに南下し始めているんですね。岩手県沖、宮城県沖、現在では福島県と茨城県沖で地震が起きている。これがもし想定されている東京湾北部地震と連動するようなことあれば大変なことになるという思いがあります。  あわせて、つい数年前まで富士山大爆発なんていうと、三文週刊誌のガセネタだと思っていたんですが、実は御案内のとおり、あの3・11のその日に富士山直下でかなりの地震があったことの御記憶があるかもしれません。山体膨張まではいかないまでにしても、現在富士山に対する警戒心はかなり高くなっている。国は挙げて何を心配しているかというと、東海・東南海・南海3連動地震であります。すなわちこのような状況で我々は、災害はいつ来ても当たり前だということを念頭にしなければいけない。  世田谷区は、保坂区長を陣頭指揮にしてさまざまな形で東北の支援をやっておられます。私は陸前高田の委員長もやっておるんですが、このスライドは陸前高田の桜ラインという、津波が来たときに、どこまで津波が来たかというところに桜の木を市民みんなで植えようという運動のポスターです。ここにある「私たちは、悔しいんです。」という一言。なぜ悔しいのかというと、先祖の教えを自分たちがしっかり読み説いていればこれだけの被害は起こさなかった。したがって、後世の人たちにも我々の苦しみを奇禍として津波に備えてほしいから、桜が咲いているところ、あそこまで津波が来たんだよという情報を共有したい。これが実はこの思いにつながっているんです。  皆さんもお聞き及びだと思いますが、奇跡の一本松ってあります。何か私がうなだれて見ている、あの松です。実はこの地区は、東北の岩手県では珍しく7万本の美しい松と砂浜でできていて、東北地方の人たちは一生に1回はここで海水浴をやった。ちなみに、千昌夫もここの出身なんですね。そのような思い出の場所なんです。日本の白砂青松のモデルにもなっていますし、文化庁の名勝指定も受けている。これが全部流されて、たった1本しか残らなかった。もしこの1本が枯れて撤去されてしまったら、自分たちは何をよりどころにしてこの土地で生きていけばいいのかという思いが深まった。こういうさまざまな思いが重なっているわけですけれども、我々が気をつけなければいけないのは、今までは自然災害と単純に考えてきた。ところが、そうでもない。地震と雷、火事、おやじというのがありますけれども、地震と火山爆発、津波は確かに神様のいたずらかもしれないけれども、そのほかの災害については我々人間が余りにも欲をかき過ぎた結果、地球にさまざまな変動をもたらして、それが自然災害の引き金になっているという事実を頭に入れなければなりません。  最近まで気象庁は絶対に認めなかったんですけれども、ここへ来てようやく「竜巻」という言葉を使うようになりました。ついこの間までは「突風」という言葉でしか使わなかった。なぜならば、竜巻というものを日本の気象学の中では定義できなかったからです。すなわちそのぐらい竜巻というのはめったやたらにある現象ではなかったということなんですが、御案内のとおり、きのうも厚木で竜巻が起きている。なぜそんなことが起きているのかということを考えなければならない。それは、我々人間の活動量が地球が持っている復元力を奪って、結果としては気候変動を起こし、今、世界の学者の間で大体の共通解になっているのは、これまでを100とすると、今後10年以降未来に、我々人間の欲望を低下させない限り、130の割合で災害は激甚化するであろうというような話になっているということにも我々は目を向けなければならないということであります。  御承知のとおり、我々は何が幸せかというと、今日より明日、明日より明後日がいい。つまりトレンドで未来を描きやすいんです。右肩上がりで描いていくことになれてきました。産業革命以来、社会がよくなるのは成長なんだという神話の中に我々はどっぷりつかってきた。つい最近までは確かにそうでした。しかし、これを見てください。人口の伸び方、ひどいでしょう。なぜこのように伸びてしまったんでしょうか。ちょっと手前でへこんでいるところは、ヨーロッパでペストやコレラが大流行して、多くの人たちが亡くなった。その結果、世界人口が少なくなったということなんです。ところが、その後、がんと急角度で世界人口が伸びている。一体なぜ伸びたんでしょうか。この原因はたった1つです。原油を精製して石油にして以来なんですよ。地球の表面積は御承知のとおり変わりません。したがって、農耕地の面積もさほど増えていないんです。しかし、石油製品を農薬あるいは化学肥料にすることによって、単位面積当たりの収穫量が増えた、これで多くの人口を賄うことができた。あわせて、著しい医学の発達によって幼児死亡率を下げることに成功した。この2つが相まって、世界人口が増えてしまった。しかし、我々は、経済的に、今日より明日、明日より明後日のほうがいいという気持ちを持っているんですが、地球は成長しません。半径6400キロメートルの地球が8000キロメートルになることはないんですよ。そうであるとすれば、地球の中に生まれているさまざまな自然の恵みは、人口が増えることによって分け前の争いにつながっていきます。これが未来の社会像です。人口が増えて、仲間が増えてよかったという反面、実は分け前の争いが激化していく状況にあるということにも目を向けなければならない。  そうすると、一体何かというと、我々は地球環境の限界を知って、そして今の我々の暮らしと地球環境の限界をどういう形で逆算的に考えるのか。すなわちトレンドで物を考えていくのではなくて、バックキャスト、限界から今を考えるという発想に立たなければならないというのがもう明らかなんです。もし司馬遼太郎さんが元気だったら、あの「坂の上の雲」の次の小説は、私は「坂の下の泥沼」という小説になるのではないかと思うのであります。すなわち、今の我々はそのぐらい危機的な状況にある。今、我々が至急調整しなければいけないのは、言うまでもなく人間と自然のバランスです。自然が持つ環境容量の範囲の中で人間がいかに活動するか。  そしてもう1つは、南半球と北半球に経済格差が生じているという現象があります。したがって、南半球、発展途上国や最貧国の人たちは、先進国の人を疎ましく思っている。これが最近、イスラム国であるとか、そういうところにも飛び出しているかもしれないんですね。そういうフリクションをなくすためにも、先進国がどうやって成長を抑制していくのか、そして、これから暮らしを少しでもよくしたいという人たちのために、どのぐらい自分たちの成長を抑止した結果の成果を分かち合っていくのかという問題を考えなければなりません。  一番大事なことは3番目なんです。それは何かというと、地球の容量は一定です。地球の中でもとに戻す力も一定です。しかし、我々の現在の世代の人間が欲をかいて、地球環境の容量を大きくオーバーしたり、あるいは逆に戻す力をそいでしまうと、一体何が起きるでしょうか。実は、我々がよくても、次の世代、その次の世代、さらにその次の世代、どんどん我々の子孫が苦しい状況に追い込まれることになります。つまり我々は、将来の世代のとり分を今奪っている、こういう事態にならないようにするには一体どうしたらいいかというのが大きな課題なんです。  しかし、皆さん、文学者ってすごいなと思うんです。我々科学者がそういうことを言うのは当たり前なんですけれども、そこにもございますように五木寛之さんが「下山の思想」という本を書かれている。もう登山の時代は終わった、山を下るというのは悪いことではないんだ、そこに大きなヒントがあるんだよということまで書かれている。まさにそういう状況だと思います。「下山の思想」という発想の中で、今度は日本を考えてみましょう。日本は急速に山を下らざるを得ないんですよ。どうしてでしょう。それは、御承知のとおり、私を含めた高齢者社会、超高齢社会です。そして、安心して子育てができないという状況から少子化が動いてきます。そうなると、現実に労働して物をつくる労働生産人口がどんどん小さくなってくる。ということは、結局将来になればなるほど1人の若者が多くの高齢者を背負うという構図になります。  これに対して経団連という団体が将来予測をしています。今、我々日本は、ついこの間、中国に抜かれましたから、世界で第3位の経済大国だと言っているんですが、じゃ、30年後はどうなのというと、何と驚いたことに、最悪のシミュレーションで第18位、最善でも第13位。つまり日本は極東の一先進国という姿になってしまう―なってもいいんですよ。なってもいいんですが、そういうことになると、結局は何が起きるのかというと、行政サービスが大きく後退したり、我々自身の暮らしをどんどんダウンサイジングしていくことが必要になってくるという状況になるわけです。それが結果としては、政府は一生懸命高齢化社会対応ということでいろいろな問題を挙げているわけですけれども、この中で一番大事なことは、赤く書いてあります「地域力の強化と安定的な地域社会の実現」、そして「安全・安心な生活環境の実現」、これは確かに大事なんですね。この問題をどう解決していくのかというのが、結果としては、自分がどこの区にいて、どのような自治体行政の中にいるのかということと密接不可分だということ。  皆さん、片方では集落崩壊がどんどん進んでいく。例えば47都道府県の中で人口が半分になるという県が16あるんですよ。このように日本もどんどん様変わりしていく。それに対して今、非常に乱暴な案が動こうとしているんですね。それは一体何かというと、これです。つまり日本列島は国土計画というのがあって、この国土計画に基づいて公共投資や何かが配分されてきた。そのそもそもは一体何かというと、皆さんの中でも―お若い方が多いから御存じない方が多いのかもしれませんけれども、かつて「貧乏人は麦を食え」というようなことを言った1500円のカレーライスを召し上がっていた池田勇人さん、彼が何と言ったか。所得倍増計画というのを出したんです。確かに彼は見事に、ある一面ではその経済政策を成功させたんですよ。そのときに出した国土計画というのは東海道メガロポリス構想、すなわち東京と大阪に国の全ての投資を振り向けて、そこが元気になって、結局は、今流行りの言葉で言うとトリクルダウン効果。どこぞの総理大臣が言っていますけれども、どこかが豊かになれば、やがてその波及効果が下に落ちてくるんだから、日本が豊かになるという構想を出したわけです。  それに対して猛烈な反発をしたのが田中角栄です。冗談ではない、同じ日本国民でありながら、なぜ偏ったところだけが経済成長するんだ、同じ税金を払っているんだから、同じ日本国にいる国民は均質でなければならない。これが結果としては何を生んだのかというと「均衡ある国土の発展」という言葉を生んでいるんです。実はこれがさまざまな形で公共事業を生み出してきた原因にもなった。どちらがよかったかは別なんですが、今それと同じ議論が起きているんです。それはなぜかといえば、日本の経済成長がストップしてしまう。今の経済的な位置をしっかりするためには、名古屋と東京の間にリニア新幹線を走らせて、名古屋を東京の郊外に置いて、約5000万人の消費人口と生産人口を集めて、そこだけをしっかりエンジンにして、あとはその経済効果で潤っていく以外にないという発想が今どんどん動き始めている。地方が切り捨てられるという状況です。これも何かというと、成長こそ我々の未来を保証するんだという間違った神話、その結果なんです。  では、世田谷というのはどういう区であるべきなのか。これは区長さんがお考えになるし、世田谷の行政の方がお考えになることですから、私は余りああだこうだはないんですけれども、しかし、少なくとも4つの論点はあるだろうと。  1つは、人口減少・少子高齢化社会における区役所などの再編と利活用のあり方はどうなんだ。論点2は、まちの活力と個性を支える多様な公共施設のモデル像としての区役所施設の形態とその運営のあり方はどうなんだ。論点3は、災害などの非常時に自分を守り、近隣の人々と手を携えて地域を守る内発性の高い安全な地域を作る上に区役所が果たす役割はどうなんだ。論点4は、区を故郷と考え住み続ける意欲を掻き立てる、楽しく絆に溢れたコミュニティを醸成するに相応しい、エネルギーや物の自律的再生循環による持続的未来に果たす役割、そして自然共生の思想の総和が景観に投影された快適で安心で誇れる区を創造するためのシンボルとしての区役所の機能とデザイン、あるいはありようはどうなんだ。少なくとも、この4つの論点を絶対にクリアしなければいけないと私は考えています。これは、ぜひ区の関係の方々に考えていただきたい論点だなと思うところなんです。  一方で言うと、今まで我々は社会資本にだけ、例えば道路だとか、鉄道だとか、そういうものが充実していればいい世の中ができると考えてきました。しかし、世田谷はどうでしょうか。社会資本も充実しているけれども、その傍らで緑が多いという現実があるんです。だから、我々は世田谷がいいんですよ。今この会場にも世田谷の緑いっぱいを一生懸命やろうという方々がおいでになっているようですけれども、とにかく今までは社会資本にだけ偏って、ひたすら経済成長すればいいと考えてきた、そちらに投資が振り向けられてきた。しかし、先ほど来ずっとお話ししているように、これからもう1つ大事なものは自然資本財なんです。すなわち自然資本への配慮と社会資本の整備の両方がなければ災害に強いまちをつくることはできないんです。ここに「レジエンス性」と書いてありますけれども、レジエンス性というのはよく新聞にも出てくるので、ちょっと解説しますと、こういうことなんですよ。人間の力が自然をずっと押していく。しかし、人間の力がある一定程度であればもとへ戻る。つまり地球というのは、ある程度おかしくしても、もとに戻る力がある。ところが、この割合を過ぎてしまうと―これ、重要な書類なんだけれども、曲げてしまいます―もとへ戻らない。つまりもとに戻る力があることをレジエンス性が高いと。それは、適正な社会資本と自然資本がやっぱり共存しているということがすごく大事です。  そうはいいながらも、じゃ、世田谷区民が世田谷区、東京都、日本、これだけを考えていけばいいのか。そんなことはありません。全ての経済が国際的な動きの中、グローバリズムを否定することはできない。したがって、国際的な1つの考え方というものも目線の中に置かないといけない。社会資本の充実と国際性の間には、例えばオリンピックという話が出ましたけれども、そういったような形で日本の、あるいはこの地域の国際競争力なり、国際的な評価を得ることにつながっていきます。同時に国際性と自然資本の間には、先ほど来申し上げているように、我々1人1人が地球環境に対する負荷を軽減する必要がありますから、そういう観点で持続的な地球の未来を担保することができる。  ところが、そういう世の中ができると、じゃ、何がメリットとしてあるのか、これが大事です。皆さん、世界中の研究機関、例えばアメリカでいうとポートランドという町を言いましょう。これはシリコンバレーのすぐ近くで、アメリカで一番魅力的な都市だと言われているんです。この都市はなぜ世界中で多くの研究者が集まり、スタンフォード大学を含めて、世界の物づくりの一番クリエーティブな部分を担っているのか。それは緑が多いんですよ。いつも最先端のことをやっている人はすごく高ストレスになる。ところが、緑のところに行くとストレスが解消できる。だから、自然資本と社会資本がバランスしたところでは実はクリエーティビティがある、そして将来に非常に可能性のある新しい将来の産業社会をつくることができる。その産業社会も、もう1つ大事なことは企業。昔は財閥、そして今は企業、今度は個業という時代になるんですよ。皆さんのお子さんたちを見てください。パソコンでほとんど仕事ができる。そうなると、わざわざ企業に属さなくても、個業でも十分によりよい生活をエンジョイすることができるという方法、こういうイノベーションが日本の中に起きてきます。  さて、そういう中で一番身近なことを考えてみましょう。世田谷区が何か災害があったときに安全なのかどうか。確かに江東3区とか、あるいは都心3区と比べれば、世田谷は先祖の自然資本というものを備えているだけに安全です。ただし、環状7号線周辺にはまだまだいろいろな課題があります。そういう中で将来の世代が、これを見ていただいてもわかるように安全な暮らしを担保するためには、やっぱり区役所の機能って大事だよねという話になります。例えば木密、すなわち戦後すぐに農地の上に、道路計画も立たないうちに、とにかく住むことが大事だということでどんどんどんどん家を建ててしまって、結果としては木造密集地帯になってしまった。消防自動車が入ろうとしても入れない、ホースを伸ばしていかなければ消火活動ができない。こういったところがどこにあるのというと、これを見ていただくとわかるように、大体環状7号線を取り囲んで存在するんです。なぜならば、環状7号線のところはずっと農地だったからです。だから、安くて、早く住宅を持つことができた。その結果がこういう現象にあらわれているわけで、結果としては今、そこがすごく災害に脆弱な地域になっている。世田谷にも一部そういう部分があるということは、防災マップということから考えても否めないわけであります。  もう1つこの中で重要なのは、我々は幾ら冷静でも、災害になると必ずパニックを起こすんですよ。これはNHKのクラウドというビッグデータから見た放送で世田谷をモデルにした番組を見ていただくと、いろいろなところで、災害だ、災害だ、災害だと騒いでいくと、矢印の方向を見ていただくと人がさまざまな行動をとって、必ずしも避難計画に定められたような行動をとらない。そうすると、ますますその中で、御高齢の方とか小さいお子さんたちを……。大人がそういう方向へ、健常者が走っていくわけですから、それにひきずられて、結果としては災害弱者になっていくという可能性が非常に強いんです。そのときに一体何がとりでになるのか。もちろんいろいろあるんですけれども、そのとりでになる一義的なとりでは何かというと、区役所を頂点にした公共施設なんですよ。学校にしても、公園にしても。これがどのようにネットワークされているのか。二義的には何か、地域防災機能です。すなわちその地域のコミュニティの人たちがどのくらいお互いをよく知り合って、お互いがその行動を助け合えるかどうか、この仕組みがなければ、結果としては我々は災害弱者になってしまう。ましてや、先ほど来ずっと申し上げているように、地球環境の悪化とともに自然災害が非常に甚大な被害をもたらすという状況になっているわけですから、今までより3割悪くなるんですよ。だとしたら、よっぽどそうした方向に対して我々は気を使わなければならない。健常で元気な人たちは別ですけれども、御高齢の方とか、あるいは小さいお子さんとか、小さいお子さんの手を引くお母さんとか、こういう人たちが安全で安心な地域をつくるため、それは一体何かといえば、やっぱりコミュニティを充実させること、公共施設の配置がそれに即していること、この2つは必須の課題なんです。  昔、江戸ではたくさん火事がありました。皆さん、お祭りってありますでしょう。お祭りって、何だと思いますか。お祭りというのは平時の防災訓練なんですよ。なぜならば、お祭りがあるということになると、神様の前の仕事ですから、みんな役割分担をするんです。おみこしの警備は君、おみこしの担ぎ手を集めるのは君、お神酒所は君がやる、そして交通整理は君がやる。だから、災害が多いとお祭りが多くなる。お祭りだけではない、例えば戦争もそうです。京都の応仁の乱が起きたすぐ後に祇園祭ができた。こういうことから考えても、昔からコミュニティや地域の助け合いのきずながどうあるのかということを考えていかないといけない。  しかし、もう1面、世田谷区役所の問題を考えるときに文化的な側面を考えなければならないということがあります。皆さんよく御存じかどうかわかりませんけれども、どのような人たちにも太陽の光と自然の風は共有する権利があると考えたのがル・コルビュジエという人なんです。このル・コルビュジエのところに学びに行った日本人が前川國男さんという人なんです。この前川國男さんの弟子たちが、丹下健三とか、大谷幸夫とか、いろいろな建築家を輩出している。それは単に建物を建てる技術の伝承ということではなくて、ル・コルビュジエが持っていた思想をいかに建築に投影するのかということで、弟子たちがみんな育ってきた。これはある種の非常にいい傾向です。ただし、ル・コルビュジエという人は産業革命のど真ん中にいた人ですから、工業化ということに非常に関心を持っていました。全てのものは合理的でなければならない、機能的なものは美しい、こういう発想の方だったんです。ですから、ちょっと今の時代とは視点が違う。だけれども、ル・コルビュジエの一番弟子の前川國男さんがつくった見事なものが世田谷区役所なんです。そして、その弟子の内井昭蔵さんがつくったものが世田谷美術館という系譜なんです。日本には前川建築というのが結構あります。例えば青森県弘前市ではこんなに多くの前川建築があって、弘前という町は前川建築を生かし続けることでまちづくりをしています。じゃ、世田谷はどうなんだ。私は、ル・コルビュジエも、前川國男さんも尊敬していますけれども、その話と先ほど来の話をどう切り分け、どう一体化するかというのは非常に重要な課題なんです。その辺にも世田谷区役所の議論の難しいところがある。前川國男のデザインのフォルムは世田谷の文化です、世田谷区民の大きな宝です。しかし、その宝と未来をどう調和させるかということが今回の区役所の問題では非常に重要な課題だなと思っています。  これからの時代は、皆さん、なぜ私が今ル・コルビュジエとはちょっと違う時代になったと申し上げたかというと、保坂区長みずからがそれを実践されて、いろいろな壁にぶち当たって御苦労されているわけですけれども、私は、保坂さんの視点というのは、上から目線で行政をやるというのではなくて、ユーザー・オン・デマンド、区民の側から欲しがっているものをずっと積み上げながら、そして1つの結論を出していく、こういうやり方をとっているんだろうと思うんです。多くの人たちがいろいろ議論して、その合意形成の上にゴールがある。これは手間もかかります、エネルギーも要ります。しかし、これからの行政というのは、先ほど来、私が災害を例にとってお話をしたように、みんなの力で1つのことをなし遂げるという「共」の世界をつくる以外にないという発想からすれば、そのアプローチは非常に正しいと思うんです。新しい公共というのは。ただし、苦情を受けたり、サービスがあったら、まあ、考えますから、このようにやりましょうということで行政があるのではなくて、みんなと一緒に考えて、行政もこうやります、しかし、皆さんもこうしてください。そういう協働の体制をとらなければ幾らお金があっても足りない世の中になる。その協働の仕組みというのは、例えば区長が、おい、これ、協働してやろうやという話ではないんです。皆さんとともに語り合いながら、これは協働の部分、これは行政の役割部分、こういう整理の仕方をしていなければいけない。  そうだとすると、区役所のあり方はどうなるのか。つまり区職員が働きやすい条件も大事ですよ。でも、こういうほうが区民をマネジメントしやすいという観点からの設計なのか、あるいは区民がみんなで世田谷区を盛り立てて、ともにつくり上げていこうという目線からの区役所なのか、全くそれが違う。そういう意味でいえば、新しい時代の新しい公共サービスに対応した区役所の姿はどうあるべきなのかという議論もしなければならないという話だと私は思います。  今、我々は2つの選択肢にかかっているんですよ。「釣りバカ日誌」のスーさんでいくのか、浜ちゃんでいくのか。つまり豊かさを追い求めていくという社会を世田谷区につくるのか、あるいは豊かさを深めていくという社会をつくっていくのか、こういうことがあります。なぜならば、地球には限界があるし、災害は起きるし、さまざまな形で我々に大きな負荷がかかってくる。その中で自分たちのライフスタイルは一体何が一番望ましいのか。私もついこの間まで、自分の幸福というのは    すなわち欲しいものが買えることが幸福だと考えてきました。そういう面では一生懸命働いてきました。でも、自分の身の回りにいろいろなものがそろってくるにつれて、いや、そうではないだろうなと。浜ちゃんを見るにつけ、うらやましいなと。やはり人生は何が満足かといえば、今日ここにお見えになっている皆さん、全く僕は浜ちゃん型の幸せを実現している人だと思うんだけれども、自分が目指しているものに自分の人生の時間をどのくらい割くことができるか。常に前向きに、ポジティブに生きていくという人たち、すなわち自己実現というんですが、実はマズローという人が、人間の欲求には生理的欲求があり、それが満足できると、その次は安全の欲求があり、その次に所属と愛の欲求があって、その次には一生懸命やっていることを認めてくれる承認の欲求があって、最後には自己実現の欲求という自分らしく生きていくということがあるんだと言っているんです。うちの夫婦関係を見てもそうだなと思わないわけではないんですけれども、そういうことなんです。だから、自分らしく生きていくということにどれだけ心を動かしているのかということが豊かな証拠だと。内閣府が調査してみますと、1978年をきっかけにして、何が一番あなたは幸せですか、生活の重点はどこにあるんですかといったら、今は圧倒的に心が豊かなほうがいいと答えているんです。すなわち自分が定住しているその場所は、やはり心が豊かで、豊かさが深められて、地縁結合型、すなわち土地でえにしがつながっている。スピードではなくて、ゆっくりだけれども、楽しみを深められる、経済を優先するよりも、自己実現型というのが望ましい地域かなと思うんです。  そうはいっても、人間はぜいたくですから、両方欲しくなるということがあります。だから、一生懸命なスーさん型でもいいんですよ。でも、世田谷はすごいですね。スーさんが浜ちゃんになりたいというときには、川場村に行けばいいという話になるわけですから。こういう両方の複核構造を持っている。このこともよく考えて、世田谷区役所というものを考えなければならない。今申し上げてきたように、これからは自助と公助の間に、顔が見える助け合いの互助、顔は見えないけれども、お互いが地域の人間なんだという共助、この自助、互助、共助、公助という4つのファクターを満足するような地域社会をつくる以外に方法はないんです。  昔はお役人さんが偉かった。だから、私というものが非常に圧迫されていた。そこで、仲間とか、あるいは層とか、いろいろな形で「共」の仕組みをつくって、農民一揆なんかもそうです。これで対応したんです。ところが、それが戦後になって、お役人さんは頭がいいですから、戦後社会は民衆化するんだから「公」だけではだめだというので、実は「共」を取り込んだんですよ。それで「公共」という言葉になってしまったわけだ。何となくお互いが助け合う「共」の部分は外出しになってしまった。だから、行政の規模はどんどん膨らんで、行政サービスもものすごく膨らんで、住民もまた、そういう過剰なサービスやいろいろなサービスがあって当たり前。自分の家の前に猫の死体があったら、僕は自分で片づけましたよ。今はどうかといったら、電話をして、おい、うちの前に猫の死体があるから持っていってくれよという話になってしまうんですよ。隣近所に落ち葉が落ちていたら掃いていましたよ。ところが、今や、この間もうちの―これはだめだ。余り詳しく言うと、私の住所を言うとあれだ。かみさんが落ち葉を一生懸命集めて掃除していたら、うちの中に入らないでくれと。別にうちの中ではないですよ、道路なんだから。せっかくまちをきれいにしても、そういう話になってしまう。こんな話はだめなんですよ。みんなでどうやって新しい「共」という社会をつくっていくのか、これらは災害や何かに非常に大事です。  そういう意味でいえば、区役所という施設が一体何なのか、ここに1つのヒントがあると思います。例えば新潟県長岡市が「まちなか広場」という言葉を使っている。実はこのものが市役所なんです。中には体育館もあり、そしてホールもある。体育館とホール兼用なんですけれども、ショッピングセンターもあって、コミュニティセンターがあるんです。その中に何となく役所があるんです。だから、役所の敷居が高いという感じではなくて、遊びに行くという感じなんです。そのついでに住民票をとってきたり、ちょっと相談に行くなんていうやり方のところもあります。  あるいはこれです。富山市ははやらなくなった百貨店に手を入れて別なショッピングセンターに切りかえて、ここに人を集めるために駐車場ビルと路面商店とを一体化したものをつくって、その道路の上に屋根をかけて、まちなか広場という形に変える。つまり多くの人たちがあそこに行ってみようと思うような雰囲気をつくりながら、そこに公共施設としての機能を巧みに織り込んでいくというやり方もあるんですね。これはある種のコミュニティを育てるということになりますし、世田谷の中にさまざまな「共」の世界ができていけば、その「共」の世界の人たちが一堂に会してお互いの絆を確かめ合うという場に役所が使われるという可能性もある。つまりさまざまなメニューにどう対応できるのかということと、10年先に仕上がる区役所というのは密接不可分だと。さあ、それに対して一体どういう答えを出してくれるんでしょうかというのが今日の私の話であります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) ○司会 涌井先生、大変勉強になる話をありがとうございました。涌井先生には、後でまた、質疑応答の中で御登壇いただきます。ありがとうございます。  それでは引き続きまして、これまでの世田谷区本庁舎等整備に関する検討経過をこの後、私から御説明させていただきます。今般策定いたしました本庁舎等整備基本構想(中間まとめ)(案)を中心にこれから説明させていただきます。お配りした資料の中でA4縦の資料、左上クリップどめの資料があると思います。こういう表紙のついた資料です。1枚めくると、こういうA3の【概要版】が入っています。これをお手元に出していただいて、あとスクリーンでも同じような内容で映させていただきます。  それでは、本庁舎等整備基本構想(中間まとめ)(案)の内容に基づきまして御説明をさせていただきます。  まず、これまでの検討経過ということで、皆様方、こちらの左上のところにも同じようなことが書いてありますので、あわせてごらんいただければと思います。平成16年度から4年間、調査研究をしてまいりまして、その後、平成20年度に出張所で報告会をやり、また、意識調査等も行ってまいりました。審議会を立ち上げまして、平成21年度には審議会から答申をいただきました。そして、平成13年度から平成22年度にかけましては、区議会で委員会を設置して議論をいただいたところでございます。その後、リーマンショック等の影響で検討がとまっておりましたけれども、先ほど来、御説明もありましたけれども、平成23年3月の東日本大震災の発生等もありまして、平成24年度、区では災害対策本部機能強化工事を行いました。こちらは第1庁舎から第3庁舎に災害対策本部を移しまして、発電とか給水の施設を設置したような状況でございます。平成25年度からは本庁舎整備に関する庁内の検討を再開いたしまして、有識者アドバイザー会議では学識経験者の方からいろいろ意見をいただき、また、区民ワークショップ等も開催しまして区民の方々からも意見をいただきながら、平成26年3月に本庁舎等整備方針を策定いたしました。  ここには書いていないんですけれども、去年の3月に策定した整備方針のポイントは3つありまして、1つ目は本庁舎の場所は現在地とする、2つ目は本庁舎の規模は最低4万5000平米とする、3つ目は本庁舎等の一部または全部を取り壊し、10年後を目途に改築するという3つのポイントとなっております。この後、基本構想(中間まとめ)(案)のそれぞれの項目の中でもう1度整理して御説明いたします。平成26年度から基本構想に着手いたしまして、平成26年5月にシンポジウム等も開催して区民の方々に報告し、意見をいただいてまいりました。このたび平成27年2月、今月、本庁舎等整備基本構想(中間まとめ)(案)を策定いたしました。中間まとめということですけれども、基本構想につきましては、平成26年度から平成27年度のおおむね2年間で策定する予定にしております。  ここからは基本構想の項目ごとに説明していきます。本庁舎の場所につきましては、先ほど申し上げた平成26年3月策定の整備方針におきまして、本庁舎の場所は現在地とすることを決めているところでございます。  次に、本庁舎の規模についても整備方針の中で最低でも4万5000平米ということでまとめているところなんですけれども、今回基本構想の検討の中で総務省の旧基準に基づきまして、現在の世田谷区の正規職員数をもとに算出してみると約4万6000平米となりました。ちなみに、仮に非常勤職員を含めて算出してみると約5万5000平米となりました。仮に世田谷区の延べ床面積を正規職員1人で割るという平均の面積を見てみると、仮に4万5000平米としたときには約23平米になるという計算になります。これは去年23区、ほかの区も調べてみたんですけれども、その平均が約28平米ということで、仮に4万5000平米にしたとしても、まだちょっと狭いような状況でございます。現時点では約4万5000平米を最低規模としていますけれども、非常勤の執務スペースですとか災害対策本部としてのスペース、区民交流スペースなどが含まれていない状況です。今後は本庁舎の具体的な規模について、そのようなものも考慮しつつ検討を進めていきます。  次なんですけれども、本庁舎の規模の中で駐車場・駐輪場の規模につきましては、過去の調査研究や現在の利用状況を踏まえまして、現段階としましては、駐車場約300台、駐輪場約700台、バイク置き場約250台ということで、これはさっきの4万5000平米とは別に地下部分に約1万5000平米として想定しているところでございます。今後、人や車の動線等を検討する中で、具体的な計画台数をさらに精査していく予定でおります。その下のほうに書いてある地域行政制度・地方分権改革等との関係につきましては、今後の地域行政の展開、地方分権改革による事務移管の動向も踏まえて、今後本庁舎の整備の検討を進めてまいります。  次に、整備手法等についてなんですけれども、本庁舎等の整備手法の検討につきましては、平成26年3月に策定した整備方針において、そこに書いてあるようにまとめてあります。まず、現本庁舎につきましては、もう御存じのように老朽化・狭隘化・分散化しており、さらに災害対策、ユニバーサルデザイン等の区民サービス、環境対応等に問題がある。このような問題を抜本的に解決し、これからの社会の要請に対応できる本庁舎等のあるべき姿の実現のために、本庁舎等の一部または全部を取り壊し、10年後を目途に改築するというように去年3月につくった整備方針の中では整理させてもらっています。その一部か、全部かの部分については、平成26年度、平成27年度の基本構想の中で検討することとしております。  次に、ここからが今回の基本構想の中で検討している状況の御説明となります。この間、本庁舎等配置シミュレーションをやってきました。全部改築する案から一部残し保存改修する案まで、10パターンについて、比較しやすいよう延べ床面積を仮に4万5000平米(区民会館を除く)と、配置シミュレーションを行いました。  次はちょっと字が細かくなっておりますが、そのシミュレーションをする上での条件として、左のほうに項目があります。これを簡単に説明させていただきます。まず、本庁舎の規模は、先ほど来申し上げているとおり、仮に4万5000平米として検討しております。ただ、それぞれのパターンでマックスのボリュームについても試算いたしました。  2つ目の項目といたしましては災害対策、特に耐震性の確保の部分についてです。本庁舎の部分につきましては、免震構造としてシミュレーションしております。区民会館については、保存改修する案については耐震補強で見ています。ただ、新築する場合については庁舎の中に区民会館ホールを入れるようなシミュレーションになっていますので、それは庁舎と同じ免震ということで想定しております。  3つ目の項目としましては本庁舎等の世田谷らしさについてということで、こちらは現在の特徴、配置、空間、中庭は現状と同程度の空間を確保するということで想定しております。  近隣への配慮も考慮しております。  次の仮庁舎については1つの大きなポイントなんですけれども、大規模な仮設庁舎が不要な案を検討しております。  駐車場・駐輪場については、先ほど申し上げたような内容でございます。  総事業費につきましては、建設工事費だけではなくて、改修工事費や耐震(免震)補強費、解体工事費等、そこに書いてあるような工事費用を含んで試算しております。あと、現在の物価で8%の消費税で試算しているところです。  敷地中央の区道についてなんですけれども、パターンによっては得られる効果が異なるため、道路を残す場合のほか、廃道する場合も含めて検討しております。  次は先ほどの条件と似ているんですけれども、実際に10パターンのシミュレーションをした後に、シミュレーションした各パターンの特徴とか課題を整理するにあたっての項目と視点についてです。結果も含めた簡単な説明なんですけれども、まず、1つ目の項目は先ほども条件の中でありましたけれども、庁舎の延べ床面積につきましては最低4万5000平米確保できたかということで、結果的には1つの案だけが4万5000平米を確保できなかった。具体の内容は、この後の各パターンの説明の中でいたします。  2つ目の項目としましては仮設庁舎・仮設駐車場の場所の確保についてなんですけれども、できるだけ仮設庁舎が必要のないような内容でシミュレーションができたかどうかというところなんですけれども、実はこれは4つの案が中庭に仮設庁舎が必要で、さらに、敷地の外に仮設駐車場が必要になってしまうような状況になりました。詳細は後でまた、各パターンで説明いたします。  工程/工事期間については、当然短い工期でできるかどうかというのが視点になるんですけれども、実際庁舎については業務を継続しながら執務室を移転するような工事を想定しておりますので、短いと5年、長いと7年半というような結果になりました。  次の区民会館休館期間についてです。区民会館は庁舎と違って、工事をしているときには使えないという状況になってしまいます。こちらの区民会館を保存改修する案については、その改修している期間だけ使えないということになるので、1年半から2年ということで短くなるんですけれども、区民会館自体を改築する案は、順番に壊していって、最初に壊して、最後に区民会館をまた新しくつくることになってしまって、4年半から6年使えなくなってしまう。これも後でまた、具体的にお話しします。  総事業費については、当然できるだけ抑制するということで考えておるところです。  中庭を囲む開放的な配置(景観)の継承については、現在の特徴である庁舎と区民会館が中庭を囲み、建物が低層棟のピロティでつながる景観を継承できるかということで、こういうポイントでそれぞれのパターンについて内容を確認して評価しました。これについては後でまた言うんですけれども、多くのパターンで低層棟の跡に高層の建物を建てるような形になってしまって、中庭を望む景観に影響を与える結果になってしまっているような状況です。  区民へのサービス環境もわかりやすいものかどうかということで見ています。  災害対策(耐震性の確保)については先ほど申し上げたような形で、庁舎については全て免震でシミュレーションいたしました。だから、耐震性の確保には問題はないんですけれども、既存庁舎を免震化するというのは結構総事業費がかかる、高くなるような結果になりました。  環境への影響につきましては、解体・地下工事による廃棄物、CO2等の発生を抑制できるかという視点で見ています。全部改築する場合には解体工事の影響が大きいんですけれども、改築しなくても地下3層まで確保しなければいけないようなパターンも出てきて、地下工事の影響があるパターンもありました。  ちょっと長くなりましたけれども、次は、皆さんのお手元に、【概要版】の次にあるパターン。2つに分かれていて、5個ずつ載っているんですけれども、こちらを見ていただくと全部で10個あります。今、映っているのは皆さんのお手元にはなくて、この後、これの内容について御説明しているものが皆さんのお手元にあります。初めにこちらの画面を見ていただきたいんですけれども、シミュレーションした10個のパターンはここにお示ししたパターンになります。  初めの3つ、(1)−aから(1)−cまでが全面改築の案となっています。(1)−bというのは全面改築で上をつないでいるものです。3つ目の(1)−cが東側に建物が集中して、西側の南のところに区民会館とプラスの事務所がある状況になっています。  上の4つ目の(2)の案は第1庁舎のみを残して改修する案です。  上の一番右の(3)−aが区民会館ホールだけを残して改修する案です。ほかは建てかえる。今度は下の6個目の(3)−bの案は、区民会館(ホール 低層棟南側)を残す。その次の(3)−cが区民会館(ホール・低層棟)を全部残す案です。  (4)−aが第1庁舎と区民会館(ホール)を残す。(4)−bが第1庁舎・区民会館(ホール・低層棟)も全部残す。  最後の(5)が第1・第2庁舎、区民会館(ホール・低層棟)を残す。一応この10個のパターンについて具体的にシミュレーションを行いました。  次に出てくる画面は皆さんのお手元にあるこれと同じものです。簡単に御説明しますので、画面を見ながら、細かいところは、恐縮ですけれども、お手元の資料を見ながら聞いていただきたいと思います。これは前半の5つのパターンなんですけれども、スペースがなくて項目の見出しをつけなかったのですが、4万5000平米はこの5つのパターンは全てクリアしています。  その下の項目、庁舎面積が最大どのぐらいまでいくかというのはここに出ています。これを見ていただくと、結構余裕があって、みんな6万平米ぐらいいっている状況です。その下のところ、仮設庁舎が必要かどうかという欄なんですけれども、この5つの案は仮設庁舎は必要ないです。その下が工期です。工事をするのにどのぐらいかかるかというところなんですけれども、この5つの案は大体5年から6年ぐらいかかるような状況になっております。  その下がまた1つポイントなんですけれども、区民会館がどのぐらい停止してしまうか、利用できなくなってしまうかというところです。区民会館につきましては、全面改築については、例えば今の区民会館のところを初めに壊して、順番に建てかえていって、最後に西の南のところに区民会館を入れ込むので、初めに壊して、最後のほうで建てるので、工事している6年間はずっと使えなくなってしまうような状況になります。逆に言うと、(3)−aという案はここに区民会館ホールを残して改修するんですけれども、これはここを工事しているときだけ使えない、期間は2年ぐらいということで、割と区民会館の使えない期間が短いという特徴があります。その下の総事業費については(3)−aの333億円が一番低くて、全面改築の3つも大体同じぐらいです。この辺が総事業費が低いという状況になっています。  その下の中庭を望む景観についてどうなっているかというのは、ここにある5つの案、全部中庭を望む配置とか景観については結局、例えば(3)−aであっても、ここに7階建ての庁舎を建てるので、こちらから見たときに今みたいな景観が見えない。第1庁舎がこうあって、区民会館があるのはいいんですけれども、ここが高くなってしまっているので、今のような配置にはなっていないような状況になっています。  一番下の欄が総評的になっているんですけれども、簡単に言うと、全面改築の3つの案につきましては、課題解決ができ、コストも抑えられている。ただ、区民会館休館期間がちょっと長いので、区民サービスへの影響が大きい。それが初めの3つの案です。  (2)の第1庁舎を残す案は免震化しているので、かなりの費用がかかっています。ということで、コスト、費用がちょっと高くなっていることと、区民会館休館期間も長いような状況になっています。  (3)−aについてはコストが抑えられて、区民会館休館期間も短いということで、相対的には優位な案になっているんですけれども、ただ、申し上げたみたいに、中庭を望む景観については、ここに7階建てが建ってしまうので、そこに課題があるような状況です。  次の後半5つのパターンについては、まず面積のところから見ていただくと、一番最後の(5)のパターンだけ4万5000平米にいかなかったという状況です。検討パターン比較表Aです。こちらにつきましては面積については4万5000平米、一番最後の(5)だけいっていないです。あとは大丈夫です。  1つ飛ばしまして、仮設庁舎の部分です。仮設校舎は真ん中の案以外、左側の2つの案、右側の2つの案の4つの案については仮設庁舎が必要という状況になっております。仮設庁舎については、さっきもちょっと言いましたけれども、中庭に仮設庁舎を建てる、あとは敷地の外に仮設駐車場が必要になってくる。それは、例えばこの案で見ると、ここの西側の北のところから順番に建物を建てていく。今、西側の北のところには駐車場がありますので、その分を外で見なくてはいけない状況になります。  工期については、この中では一番右の(5)が一番短くて、長いものだと7年半になってしまうという状況です。区民会館休館期間は、この5つの案は全て区民会館(ホール)を残して改修しますので、短くて済む、1年半から2年ぐらいの休館期間で済むような状況になっています。  総事業費については、第1庁舎を残す場合は免震にしているとかというのがあって、5つの案ともにかなり高くなっているという状況です。  中庭を望む景観については、当たり前ではあるんですけれども、(4)−bと(5)はこの建物が残りますので、結局中庭を望む景観はそのまま残るような状況です。  一番下の総評を見ていただきたいんですけれども、全体的に見ると、先ほど申しましたように左の(3)−b、(3)−c、右のほうの(4)−b、(5)の4つについては敷地の外に仮設駐車場を確保する必要がある、現時点ではその適地を見出すことができていないような状況になっています。真ん中の(4)−aについては区民会館の休館期間も短いですし、ただ、既存庁舎の免震化にコストがかかりますけれども、これについては相対的には優位な案になります。  項目は載っていないんですけれども、さっきちょっと申し上げました災害対策という意味で耐震性の確保では、庁舎については全て免震で見ていますので、全て確保できているということになります。  環境への影響については全面改築の部分は、庁舎の廃棄物が出る、CO2が出るというのはありますけれども、逆にここにある5つの庁舎を残す案については、(3)−bと(3)−cと(4)−bと(5)については地下を3層までつくるような状況になりますので、それはそれでCO2とか環境に影響が出てきているような状況でございます。  それでは次に、中間のまとめの部分です。今、説明しましたように10パターンについて比較・検討してきました。さまざまな観点からその特徴と課題を一定程度整理できましたが、それぞれにさまざまな課題が残る結果となりました。特に、長い間区民に親しまれてきた庁舎と区民会館とそれらをつなぐ低層棟のピロティが中庭を囲む景観は、世田谷らしさを象徴しており、これを継承するためには、各パターンの組み合せ、他の先進事例など更なる検討が必要であるというふうに整理しております。引き続き、区民サービスや機能性の向上、災害対策機能の強化、総事業費の抑制、また、現在の本庁舎等の特徴やフォルムの継承に向けて検討を進めてまいります。  中間のまとめの次のポイントなんですけれども、世田谷区民会館についてです。こちらにつきましては、現在地以外に望ましい場所を見出せなかった、88万自治体として全区的な集会施設の必要性は高い等の理由によって、現在と同規模(1,200人規模)で、現在地で整備することといたします。  次に、世田谷総合支所についてです。今後、三軒茶屋を候補として、交通至便地域への移転を検討していきますが、現時点では、移転先・移転時期は未定となっています。本庁舎等整備は、世田谷総合支所の面積も含めて検討を進めてまいります。一定の窓口機能を本庁に残す必要性、災害対策本部のスペース等を考慮すると、本庁舎の規模は引き続き最低4万5000平米で検討するということでございます。  今後の検討の進め方につきましては、中間まとめに基づいて、今後そこに書いてある項目の詳細を検討していきます。平成27年度までの構想期間内に基本構想を策定していきます。まず、備えるべき機能、本庁舎の規模(延べ床面積)、整備手法、事業手法等、総事業費等です。今後、節目節目で区民ワークショップなど、さまざまな手法で区民の御意見を伺うとともに、議会や職員からも意見を聞きながら進めていきます。  今後の事業スケジュールとしましては、一般的な手法で進めた場合には、ここに書いてあるように、基本構想策定の後、設計事業者選定、基本設計、実施設計、施工事業者選定、解体、建設工事をやるような流れになります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックや社会経済状況の変化等による影響も考えられますけれども、現段階では、おおむね2024年度の竣工を目指して、改築に取り組んでいきます。  以上、今検討している状況についての説明ということでございました。御清聴ありがとうございました。  それでは、ここから15分間の休憩に入ります。今4時22分ですから、これから15分間、4時37分ぐらいまで―細かいですね、すみません。後でまた御案内いたしますけれども、この間に、御来場のときにお渡ししました意見・質問票を回収させていただきます。御意見、御質問のある方は、お近くに係員がお伺いしたときにお渡しいただければと思います。大変恐縮ですけれども、意見・質問票につきましては、できるだけこの後の中で御紹介させていただきたいと思いますので、ある方はこの休み時間に御提出をお願いしたいと思います。この後、区から説明等をさせていただきます。  それでは、休憩に入ってください。ありがとうございます。 ○司会 皆さんお待たせしました。それでは引き続きまして、会場の皆様からいただきました意見・質問票をもとに区から説明をさせていただきます。また、先ほど基調講演をしていただきました涌井先生にも御意見をいただきたいと思いますので、お座りになっていただいています。  それでは、これより進行は萩原総務部長より行いますので、よろしくお願いいたします。 ○萩原総務部長 では、たくさんの御質問、御意見をいただきましたので、時間的にも全てにお答えするのは難しいところがありますけれども、幾つか類似した御意見はまとめてお答えをさせていただきたいと思います。  では最初に、区民会館とか総合支所のことについても幾つか御質問いただきました。例えば、今の世田谷区民会館を整備することとされていますけれども、区民としては、設備の古さ、音響の悪さ、使い勝手の不便を感じております。世田谷美術館はあるものの、音楽ホールがないのはとても残念です。これをつくりかえることはできないでしょうかという御質問がございます。 ○長岡庁舎計画担当課長 それでは、私からまず、今の状況を踏まえながら御説明させていただきます。質問票に書いてあるとおり、もう50年以上たっている建物で、音響もできた当時よりは悪くなっていると言われています。先ほど中間のまとめの検討状況の報告でもありましたけれども、区民会館につきましては現在の場所で、1200人規模で整備をしていくということで考えているところなんですけれども、今の区民会館は御存じのように音楽専用のホールではないんです。担当所管と連携して今後検討していくことになると思うんですけれども、今までみたいに音楽もできて、また、講演会とか区民交流等多目的に使っていけるような機能になっていくものと思っているところです。規模的にも、先ほど申しましたように現状でいくと。  ただ、区民会館を新しくつくるか、改修するか、いずれの場合においても、バリアフリー化をして、耐震性も高めていく。楽屋とかも古くなっていますし、スペースも狭い。今、練習場がないような状況なんですけれども、そういった楽屋についても改善して、練習スペースもつくれるように、いわゆるバックヤード機能を向上させるようなところはやっていきたいと考えております。  いずれにしましても、今後担当所管と庁内で検討して、いいものをつくっていくことになると思います。 ○萩原総務部長 区民会館について、似たような御意見ですけれども、ちょっと違うのは、現在の区民会館を残す方向に賛成です、楽屋スペースを広げてくださいというような御質問もありました。今、課長から答えたものの中にもその部分が含まれておりますので、御紹介をさせていただきました。  次に、規模とか組織のあり方についての御質問も幾つかいただいております。5支所への分権化を図り、職員を配置換えして本庁の職員数を減らす考えはないのか、それによって延べ床面積は減らせないのかというお話、御意見でございます。これについては私からお答えします。  身近なところでさまざまな行政サービスを展開することはもちろん行政の基本だと思っていまして、例えばいろいろな種類のサービスをある程度1カ所でまとめて申請できるような総合窓口を総合支所に置くような方向でいろいろ検討しております。一方、本庁はそれを調整する役割ですとか中枢機能が残るということもございますので、その辺をどうバランスよくとっていくかということは考えていかなければいけないと思っています。もちろん職員数を大きく増やすということは考えておりませんし、スリムな行政を展開するために、面積についても精査していきたいと思っています。  ただ、今、本庁は、区民の交流スペースだとか、災害対策のいろいろな中枢機能を行うためにはまだややスペースが足りないようなこともございますので、面積を抑制するという意識は持ちつつも、必要な面積を考えていきたいと思っております。  整備手法、事業手法について幾つかいただいております。現庁舎は耐震補強がされているみたいですが、現庁舎をそのまま使うことはできないのでしょうか。この辺の質問がございました。 ○長岡庁舎計画担当課長 じゃ、それについても私から。今ありました現庁舎の耐震補強についてなんですけれども、確かに現庁舎については、まず第1庁舎については耐震補強を数年前にやりまして、現在Is値で言うと0.6という状況になっています。第2庁舎も0.6です。第3庁舎については比較的新しく建てていることもあって、Is値で言うと1.0以上あるという状況です。国の基準からすると、災害対策本部を置く施設についてはIs値0.9以上が必要であるとなっていますので、先ほどちょっと申し上げましたけれども、3・11以降、第1庁舎から第3庁舎に災害対策本部を移しているという状況でございます。区民会館についても、実は今0.6という状況になっています。先ほど御説明した10個のパターンのシミュレーションの中での考え方としては、ちょっと細かく説明しなかったんですけれども、庁舎については0.9以上を目指すということで免震でシミュレーションしています。もし区民会館を残すということになれば、区民会館については国の基準で言えば文化施設としてのU類相当ということで、Is値0.75をクリアすればいいことになりますので、一応そういったシミュレーションをしているところです。  ですから、ちょっと御説明が長くなりましたけれども、現庁舎を仮に残すということになれば、今のIs値0.6ではちょっと低いので、そこを変えていく。シミュレーションでは免震で変えるとしていますけれども、やり方としては耐震で変えていくやり方もあります。ただ、耐震ですと耐震壁をかなりたくさん入れて、執務スペースの自由度が少なくなってしまったり、窓の部分が潰れてしまったりすることもあるので、ちょっとコストはかかるんですけれども、今のシミュレーションでは免震を想定しているような状況でございます。 ○萩原総務部長 ちなみに、Is値0.6というのは、今、第1庁舎がそうなんですけれども、かなり大きい地震があった場合、倒壊はしないというレベルでございます。第3庁舎はIs値1.0以上ということで、かなり耐震性は高いんですけれども、第3庁舎は当面の間という形で、長期間の維持を想定したつくりとはなっていないということはございます。その辺はちょっとお知らせしておきたいと思います。  次は、現在の事務所の狭隘のぐあいはどの程度なのか、改築して新しい歴史を始めるのもよいと思いますというような御意見でした。 ○長岡庁舎計画担当課長 じゃ、それについても私から。先ほど現在の職員数で4万5000平米で仮に見たときには1人当たり23平米ぐらいになりますよという話をさせてもらったんですけれども、今の世田谷区の本庁舎の延べ床面積は大体2万8000平米ぐらいになります。これを今の職員数約2000人の常勤職員数で割ると、平均で見ると約14平米ということになります。先ほど申し上げたみたいに去年の夏にほかの区も調査してみたんですけれども、23区全体の平均で見ると職員1人当たりの本庁舎の延べ床面積は約28平米になるんですね。そうやって考えると、今現在の世田谷区の1人当たりの面積は平均の大体半分ぐらいしかないということになります。ということで、今の世田谷区はかなり狭いという状況になっています。  もう1つ、どこの区も今は非常勤職員が増えていまして、その辺を考慮するとどうなっていくかということになります。それを総務省の旧地方債庁舎起債基準面積から考えると、常勤職員だけ見ているところなんですけれども、先ほど申し上げたみたいに仮に今の世田谷区の本庁舎の常勤職員プラス非常勤職員を含めてその算式に当てはめてみると、面積は5万5000平米となるというふうな状況になっています。 ○萩原総務部長 次は、景観といいますか、空間です。区庁舎、区民会館とその広場の空間は区民の日常的な交流の場として広く親しまれています。この空間は50年余り以前に、建築家前川國男によって区民に親しまれる庁舎と広場として構想されたものです。この庁舎、広場の良質な空間を保ちつつ更新していく視点をぜひ持ち続けてくださいという御意見でございました。世田谷区役所の特徴としまして、先ほどもちょっとありましたけれども、中庭を囲む空間は区民からも非常に長く親しまれて、ワークショップなどでも、これを大切にしてほしいという御意見が出されました。先ほど低層棟という言葉が出てきたと思うんですけれども、第1庁舎と区民会館の間にある集会室はちょっと低い棟になっていまして、その下を抜けるとちょうど中庭に行ける。外から見ると、全体的に中庭、庁舎が望める。その中庭でいろいろな区民が集えるといった景観が非常に大事だというような意見はさまざま聞いております。こういった世田谷らしさというのは、新しい庁舎においても大事にしていきたいと考えております。  ちょっと具体のことです。工期6年は長過ぎる。総事業費がいずれも300億円を超えている。高層階でスペースを保持し、余剰の土地をそのまま将来の公共サービスへの担保としてはいかがか。さらには、工期はオリンピックの時期を挟むし、もっと労働力の余裕があるように少し先に延ばしてもよいのではないかというような御意見でございました。 ○長岡庁舎計画担当課長 今いろいろな御意見が入っていたと思うんですけれども、まず、総事業費についてなんですが、先ほどのシミュレーションの中で考えても、333億円から369億円までという間の結果と今なっています。4万5000平米を今の物価で見たときの総事業費ということですので、これで見てもらうとわかるんですけれども、一番右の最後のところに今後の事業スケジュールがあって、全体で約10年での竣工を目指しているんですけれども、後半の五、六年で解体、建設工事に入っていくようなスケジュールになっています。コストとその事業費とスケジュールをあわせて考えると、まず2020年。ちょうど2020年が見えるようになっていますけれども、2020年が東京オリンピック・パラリンピックの年となって、このまま順調にいけば、その前の2019年から本庁舎の解体、建設工事に入るような予定になっております。一般的にオリンピックって、その1年前にプレイベントをやるので、2年前には工事が終わっているというふうに言われていますので、一応ぎりぎりではあるんですけれども、オリンピックの工事にはかからないようにうちの解体、建設工事に入っていくようになっています。  ただ、区においては本庁舎の建設だけではなくて、ほかのいろいろな施設の建設もしていますので、そういったところとの兼ね合いを含めながら進めていかなければいけないと思っております。  事業費についても、実際に解体、建設工事をするタイミングでは、今のこのシミュレーションよりは若干上がるような形。今後、平成27年度においては具体的な事業費の計画というのも立てていかなければいけないんですけれども、それは何といっても整備手法をもう少しちゃんと絞って、それで立てていくことになるんですが、それを平成27年度はやることになると思います。  いずれにしましても、事業費についてはなるべくコストを下げて計画していくということと、区としましては、要するにたくさんのお金を一遍に払う年度がないように、平準化するような形でお金を支出していけるような財政計画も、庁舎の事業計画を来年度もう少し精査していきながら、財政計画もそれに合わせて整備していく、なるべくコストを下げてということで考えておるところでございます。 ○萩原総務部長 整備手法について、例えば(1)−aがいいですとか、(3)−aがいいとか、あるいはどんな基準で10案から選ぶのか、検討に文化の視点がないとか、幾つか整備手法に関する御意見をいただきました。現在のところ、今日お示しした10パターンの中から、これというのではないということです。10パターンでいろいろ検討したんですけれども、それぞれ良い面、課題、ございます。今後いろいろな新しい整備の手法とかも出てくるでしょうし、新たないろいろな他自治体の事例も見ながら、その10のうちのどれかということではなくて、それを十分意識しつつも、それを組み合わせた案ですとか、新しい技術を入れたものについても考えていきたいと思っております。  先ほどの中で涌井先生に対する質問も幾つかあって、浜ちゃんとスーさんの考え方をもうちょっと説明してほしいということがありましたので、涌井先生、お願いします。 ○涌井史郎(雅之) 非常にスライドをよく見ていただいている方がいらっしゃって、浜ちゃんのところには風景型と書いてあって、スーさんのほうには景観型と書いてある、この違いが何ですかという御質問ですね。実はこれは明確で、急いで生きている人は刺激的なものが好きなんですよ。だから、刺激的な景観をすごくいいと思う。しかし、じっくりそこに定住している人たちは、刺激的なものがあってもなれてしまうんです。東京スカイツリーのことを考えてみてください。スカイツリーができたころは物すごく刺激的だったのに、今はあれがそびえていても、何となくああという感じになってくる。つまり我々のまなざしは際立って珍しいものというよりも、むしろ落ちついて物を見られる、あるいはその場所と同調できるような土地の遺伝子と溶け込んでいくわけですから。そういうものを風景と言うんですけれども、そういう風景的なもののほうがいいねという話で、浜ちゃん型は風景、スーさん型は景観という言葉を使ったというふうに御理解いただきたいと思います。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。  例えば21世紀にふさわしいサイバー・アドミニストレーション・オフィスを実現するための庁舎を考えることが必要ですという御意見でございました。今後IT化が社会の進展とともに進むわけでございますので、こういったITにも十分対応できるような行政ですとか庁舎ということを十分意識しながら考えていきたいと思います。  規模の想定に際して、人口減少傾向をどう考えていますかということです。一般的には少子高齢化ということですけれども、世田谷区は子どもさんが毎年7000人台生まれまして、就学前の人口が毎年1000人ずつ増えているような状況もございます。この第1庁舎ができた昭和35年の世田谷区の人口は六十数万人でした。今は88万人と言われておりまして、当面人口の上昇傾向が続くと考えております。かといって、華美で過大な施設ということではありませんけれども、そういったこれからの人口の推移も十分考えていきたいと思います。  御近所の方なんでしょうか、周りの家の日当たりは大丈夫ですか、工事中の騒音はというお話ですけれども、この辺の法令をクリアするのはもちろんですが、そういう時期に至った場合には近隣の皆様に迷惑をかけないような手法といいますか、説明も十分にやっていきたいと思っております。  具体的な廃道の件です。ちょうど世田谷区役所の2庁舎と中庭の間に道路が入っています。あの区道を廃道したり、あるいは近くの土地を取得するなど、その形状改善の努力をするべきと思うが、いかがというような御質問でありました。 ○長岡庁舎計画担当課長 廃道につきましては、先ほどのシミュレーションの中で廃道する可能性というか、仮に廃道したときにはこういうパターンでこうなりますよということも含めて10パターンで検討してきているところです。本庁舎敷地の真ん中の道につきましては法的には幾つかの位置づけがあって、区道であったり、位置指定道路であったり、ここ、広域避難場所である北側の国士舘大学に通じている地区防災施設、避難路の位置づけになっているということです。そういう意味で、廃道するには都市計画決定で廃道していかなければいけないような手続が必要だということが今回の検討の中で、わかったところです。  ただ、廃道したほうがいいのではないかというふうないろいろな意見を伺っている中で、確かに廃道すると日影規制や容積率を敷地一帯で見ることができる、あるいは敷地の建物の設計の自由度が高まるなどの効果があるとは聞いています。ただ、ちょっと細かい話ですけれども、廃道して、敷地を一体にすると東側と西側が1つになりますので、西側の部分は敷地が大分下がっているというか、低いんですね。そうすると、東側の日影規制が事実上厳しくなるなんていう面もあることがわかってきました。  また、もう1つわかったことは、例えば今回のシミュレーションで全面改築の案なんかで考えると、別の方法で一団地認定というのがあって、全部改築する場合には一団地認定を受けることができて、それによって、日影規制、容積率は廃道と同じ効果を得ることができるというふうな状況です。初めに申し上げたみたいに、そのような効果とかデメリット的なものもいろいろあるみたいなんですけれども、いずれにしても、廃道する場合には近隣の方々の御理解が必要となりますので、今後、案を検討していく中で、廃道しないでいくとどうなって、廃道するとどうなるという検討をさらに進めながらやっていきたいと思っています。 ○萩原総務部長 お金の件の御質問もありました。国のケースだけれども、借金がたくさん増えているときなので、できるだけ安価なもので対応すべきと考えるということでございます。世田谷区は昨年度、二十数年ぶりでしたか、区の借金と貯金がちょうど逆転したということで、借金から一時的には立ち直ったわけですけれども、その辺は気を緩めることなく、区の財政計画もしっかり立てながら、例えば基金を積み立てていくとか、これからいろいろな財政計画も考えていかなければならないと思っています。もちろん華美にならずに、費用の抑制にも十分留意しながら考えていきたいと思います。  質問が非常にたくさん出て、時間内には答えられないはずなので、後ほどこういった意見や質問を公開して、基調講演ですとか議論の中身をホームページ等で掲載してほしいが、どうかというようなお尋ねがございました。今日の議論の中身ですとか寄せられた意見等については集約して、区のホームページ等、区民の方にも公開、公表していきたいと思っています。  非常に多くの御質問、御意見をいただきました。類似の意見はまとめて総括的にお答えさせていただきましたけれども、また区長から、個別のことでもいいですし、全体を通してでもいいですけれども、コメントをしたいと思います。 ○保坂区長 たくさんの御質問ありがとうございました。また、その前に、涌井先生からも大変御示唆に富んだ問題提起をいただきましてありがとうございました。  まず、世田谷区役所の現状で言うと、単に建築されてから古くなっているというだけではなくて、たくさんの分庁舎といいますか、いわゆる目に見える世田谷区役所以外に離れたところにたくさんの建物を借りていたり、分散化しているというのが現状です。ですから、それを少なくとも1つの場所で仕事ができるようにしていけたらということがあります。  今10年という、涌井先生が80歳という話でしたけれども、全部でき上がるのが10年という構想でありまして、建築の手法とかにもよるんですが、10年までは何の日の目も見ないということではなくて、その手前の例えば6年、7年あたりから少しずつ部分的に建ち上がってきて、全部ができ上がるのが10年ということなので、涌井先生も76歳くらいのころから姿が見えてくるようなことを現在考えています。  涌井先生のお話にもあったんですが、区役所を区の職員、あるいは私も含めた、いわゆるサービスを供給する側、サプライサイドから考えるのか、あるいは区民の側から考えるのか。実は両方から考えなければいけないんですが、つい前者の側で進みがちになる傾向ってあると思います。そのことから言うと、御質問にもいろいろあったと思うんですが、この10月にいわゆる共通番号制度が始まるんですね。国民全員に共通番号が付番されて、来年の大体1月、2月くらいにそのカードが発給されるようになると。やがてそのカードが行き渡ってくると、住民票だとか、そういう御本人の確認とか証明のたぐいの文書交付がだんだん減っていくだろうと言われています。  そこで、先ほどの御質問にあったような、もっと総合支所の分権自治を強化して、そして今、世田谷区ではまちづくりセンター・出張所27カ所で防災や福祉の身近な窓口づくりを総力を挙げて取り組んでいるところなんですが、そういう意味では10年後の世田谷区だけではなくて、いわゆる市役所とか区役所の機能はかなり変わっていくんだろうと思います。ICTも今はスマホとかが主流ですけれども、多分10年後は別の端末が主流になっていることと思います。そういうことから言うと、できるだけ―現在海外の市役所を幾つかお訪ねすると、やっぱり区民の皆さんが自分たちの家だ、自分たちのホームグラウンドだ、シティホールということで、お客さんを迎えたり、あるいは親しい人と訪ねたり、家族で行ったり、結婚式をやったり、そういう使われ方をしています。世田谷区役所も、かつては結婚式とかやった時期もあるようですけれども、もう1度区民の皆さんが区民会館だけではなくて、さまざまな活動が行われていく場にしていけたらいいなと思っています。その中でも、やはり区民会館というのは大事なので、実際に私も多分年間六、七十回、区民会館で客席から見たり御挨拶したりしますけれども、さまざまな文化芸術、表現活動、あるいは講演会などが行われています。そういう中で、とりわけ音楽であったり、演劇であったり、さまざまな表現活動をされている方たち、あるいはそれをきちんと表現できる場をつくってほしいという声をいただいておりますので、区民会館を残すか、あるいは建てかえて、新しくするのか。両面あるわけですけれども、どんな区民会館にするべきなのかということについては、ぜひ御意見を聞いていきたいと思っています。  そして、区民会館も含めて、これから世田谷区役所の機能を充実させていくということ。先ほどスライドを使ったまとめで、1つはこの10パターンを示して、いろいろ見てきたけれども、そこでわかったことをもう1度総合して、1つは区民に親しまれてきた庁舎や低層棟が区民会館とつながって、中庭があるという風景、景観を継承していくという部分には取り組んでいこう。もう1つは、災害対策の指令塔としてしっかり力を果たしたり、さまざまな機能を集約して、職員も、区民の皆さんも、しっかり使えるような、その両面を追求して1つの案にこれからさまざまな専門の方の御意見も入れながらまとめていきたいと思っているところです。  いずれにしても、88万都市の庁舎をつくるということは、すぐれてどちらの方向を向けて歩むのかという問題だと思います。東京都庁にも議会棟と高層棟があるのは御存じだと思います。そこに広場があります。ただ、多分それほど活発には使われていないように思います。世田谷区役所の場合はかなり活発に、年に何回も広場を埋めるような催しがされています。ぜひそういうすぐれた集積というものがさらに開花するように保障していきたいと思っています。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。総括的なお答えを区長からさせていただきました。  ちょっと補足で幾つか細かい点があるので、御紹介だけしておきます。新豊島区役所や大宮ソニックシティ、アクロス福岡など、高層複合ビルにして、商業施設、オフィスマンション等を併設すれば建設費は商用部分だけで回収可能なのではないかとか、あるいは民間資金を活用したらどうか、設計者の選定はどのように進めるのか、いろいろ具体的な御質問までいただきました。区でもいろいろな他自治体の事例も把握しております。例えば渋谷区なんかは敷地の中に超高層のマンションを建てまして、そこの定期借地料で区は負担なく建てられるというような手法だということも承知しておりますけれども、今の世田谷区役所の敷地ですと、例えば第1庁舎のところは4階建てぐらいまでしか建てられない、区民会館のところは9階程度までというふうないろいろな法令上の制約もございます。また、住宅地の中にあるという位置のことも十分留意しながら、世田谷らしい施設整備に努めていきたいと思っております。  それでは、涌井先生、よろしいですか。今、区に対するいろいろな御質問もありましたし、先ほど区から今の検討状況を御紹介させていただきましたけれども、先生のお立場で何か御示唆があればいただければと思います。 ○涌井史郎(雅之) 今の10のパターンを拝見させていただいて、私もなるほどなと思ったんですけれども、ちょっと残念なことがあったんですね。それは、例えば区の職員1人当たり23平米、それを合算すると何平米という計算の結果を示していただいた。これはこれでわかるんです。しかし、もっと必要なのは、私は区民に供するパブリックのスペースが中庭を含めてどのぐらいの規模なのか。こういう規模感を数量化することはすごく大事で、オフィスマネジメントだけが区役所なんだという発想になると、今みたいな積み上げの数字だけが出るんですけれども、そうではない区民会館も含めて、あるいは中庭を含めて、どういうパブリックのサービスが供給できる面積があるのかという数量も同じように重視した数字をぜひ披瀝していただきたい。実はこれは区長の姿勢とぴったり一緒だと思うんです。オフィスの機能だけに限定すればこういう積み上げだというのはわかるんだけれども、総合的にはどうなのか。  もう1つ必要な視点があると思うんです。それは、区役所から2キロ範囲ぐらいは、区役所の姿形によって地区構造が変わっていく可能性があるんですよ。そうすると、区役所だけが変わるということではなくて、この地域全体が変わっていくという可能性があるわけです。そういうものに対する展望なり、あるいはまなざしというのももう1つ持つ必要があるのではないかと。要するにそのぐらい影響度が高い。例えばここから区役所がいなくなったらどうなるのということを考えてみれば、すごくわかると思うんです。区役所があればこそ成り立っているお店なり、あるいはサービス機能って、この周りにたくさんある。そうすると、それは置いてけぼりになってしまうという話になりますね。同じように、ここに腰を据えて、ある一定の多くの区民たちがここに集まる、そして、シティホールと区長はおっしゃったけれども、そういう機能を持っていくようになっていくと、実は周りも変わっていくかもしれない。  防災の観点からいっても、ここに新しい防災機能が設けられて、隣の国士舘大学にもそうした防災機能があるとすると、このエリアで一体どのぐらいの人たちがどのぐらい救えるのかとか、避難面積として1人当たりどれぐらいになるのかとか、あるいは場合によって仮設しなければいけないときにはどういうことが考えられるのかとか、備蓄だとか、そういうことについてどういうサービスができるのかとか、そういう論点も出てくる可能性があるので、この2つの論点をぜひあわせわざとして披露していただきたいなというのが私のお願いです。 ○保坂区長 大切な御指摘だと思います。ある市役所では、市民を公募して、かなり大勢集まったそうですけれども、やはり市民が土日でも区役所、市役所に来て、ミーティングをしたり、あるいはさまざまな催しをしたりというスペースと役所で使うところをうまく区分けして、役所が閉まっている土日も使えるように工夫をした例なども見てまいりましたし、また、涌井先生の後段の御紹介にあった広場を―長岡市役所ですか。ああいった形の、用がなくても、どうぞ来てください、また、そう言わなくても行きたくなるような場所をどのようにつくっていくのか。やはり区民自身が活発な活動を常に展開していると。その力は、世田谷区は実はものすごくあるわけなんですけれども、それと役所の構造、建物や施設の構造、デザインの考え方をしっかり組み込んだものにしたいなと思っております。  防災の観点で少し長岡課長から最初に説明があったんですけれども、東日本大震災の経験で、これは平成25年にできたのかな。区役所の駐車場がありますが、駐車場に向かって左手を見ていただくと、窓のないコンクリート1階建ての建物があります。これが72時間稼働の非常用電源なんです。72時間給油をしないで稼働する。発災後72時間、一定の電気はそこで確保したということと、その奥に井戸給水システムがございます。これは災害時、5万人分の飲料水、水を供給することが、その非常用電源と相まってできるという装置なんです。ただ、この国士舘大学にもシンクロナイズドスイミングの練習をするすごく水量の多いプールがあって、常時水がある。国士舘大学では浄水器を実は置いていてくれて、その水自体も水源にできるということで、この一帯は水に関しては一定の体制はございますということをつけ加えておきます。 ○萩原総務部長 では、時間の関係もございまして、今、手元で計算したら質問のカードが63枚ありまして、その中にいろいろ、いっぱい幾つも箇条書きであるものですから、質問とか御意見が百数十ということなので、とても全てを御紹介できないのは本当に大変申しわけないんですけれども、先ほど会場の方からの意見にもありましたように、出されました御質問ですとか御意見は区で整理して、また、その対応についても考えて、ホームページ等で区民の方にも公表していきたいと思っております。  じゃ、最後に涌井先生から、今日の御感想か何かを一言いただいて、区長から締めの挨拶をさせていただきます。 ○涌井史郎(雅之) ありがとうございます。  さすが世田谷だなと思うんです。区役所を考えるといったら、これだけ大勢の皆さんがお集まりになって、しかも、お帰りになった方が余りいないんですよね。熱心にお聞きになっている。これはまさに郷土愛のかがみだなというふうに思えるわけですけれども、これからは、先ほど来、私がずっと申し上げているようにいろいろな形で、ダイナミックに世の中が変わってくるんですね。皆さん、10年前の携帯電話を思い出してください。だったら、これから10年後、ますます社会は変わりますよ。同じように入れ物の区役所も変わっていくと思うんです。そういう中で、上から目線の行政なのか、あるいはサービスを受ける側から積み上げていった結果、どういう行政の姿がいいのか。  ただし、ここには覚悟が要ります。下から積み上げていって、こうしてくれと言った以上は、自分たちはこれについて……。そうでないと、どんどんお金が高くなってしまいますから。これについて責任を持つんだという話になっていって、いわゆる公、民が本当に連携して、そして新しい公民協働の姿をつくっていきながら、いたずらに財政規模を膨らませるだけではないという姿をどう描き出すかということが僕は非常に重要だと思うんです。例えば区役所の建物も、オフィスワーカーの積み上げで計算したら360億円。だけれども、そこにさまざまな市民サービスが供給されていて、それを積み上げて400億円になったら、じゃ、それが高いのか、安いのかという別な観点での議論も必要だと思うんです。330億円を280億円にしたら、それでいいと。だけれども、市民にとっては何の使い勝手もない単なるオフィスビルができた、そちらのほうがいいのか。これは違うと思います。未来に対してどれだけ意味のある投資ができるのかというところに全ての価値基準がかかってくるわけです。今日は、面積だとかお金の価値だけで判断しない、1つの新たな世田谷区の方向というものがこれに表現されるんだというふうに私は理解したいなと思いました。  ありがとうございました。(拍手) ○保坂区長 今日は、長いこと御参加いただきましてありがとうございました。涌井先生も本当にいい問題提起をありがとうございました。  今日こうして報告会ということで、冒頭お話ししたようにこれは中間報告であります。したがって、これからの1年をかけて、じゃ、どういう形状にしていくのか。今お話に出た区民が利用するというスペースはどのような形になるのかということも含めて、できる限りその節目節目で情報をオープンにしながら、そしてまた、こういったホールでの会だけではなくて、ワークショップなども重ねて、また、それぞれの分野から、防災ではどうなのか、あるいは芸術表現を含んだ区民会館のあり方はどうなのかとか、幾つかそういう柱が立つと思います。ICTの利用なり、これから変わる窓口を想定してどうなのかというようなことと、そういう柱を立てつつ、区民の皆さんに参加していただきながら、我々としても最良の時代を見据えた、風雪に耐え得るものをつくっていきたい。今こうやって検討して、お話ししている日本の中では高層ビルですね。赤坂プリンスホテルでしょうか、二十数年で解体したというようなことも現実にあります。こうやって準備するものが二十数年で解体なんていうことにならないように、やはりしっかりと長い年月を耐えていくように、そして、これまで風雪に耐えてきた世田谷区役所のまさに原風景というものも巧みに継承しつつ、新しい機能がそこにしっかり入っていくというものを考えていきたいと改めて決意いたしました。  今日はどうもありがとうございました。(拍手) ○司会 ありがとうございます。涌井先生、長時間ありがとうございました。  それでは、これをもちまして、世田谷区本庁舎等整備報告会を終了いたします。  1つだけ。今日私のほうで区の検討状況を報告いたしまして、【概要版】で御説明しましたけれども、元の冊子というのもあります。これは今日はお持ちしていないんですけれども、区のホームページでアップしていますので、興味のある方はごらんいただきたいと思います。  今日御来場の皆様、本当に長時間にわたり御参加ありがとうございました。お手元にアンケート用紙をお配りしておりますので、御記入いただきまして、アンケート用紙はロビーで回収させていただきます。本日は本当にありがとうございました。