目 次 はじめに 1ページ 1.本庁舎の場所及び敷地条件 3ページ (1)本庁舎の場所 3ページ (2)敷地条件 3ページ 2.本庁舎の規模 4ページ (1)本庁舎の規模(延床面積) 4ページ (2)駐車場・駐輪場の規模 5ページ (3)地域行政制度・地方分権改革等との関係 5ページ 3.整備手法等 6ページ (1)区を取り巻く社会状況 6ページ (2)本庁舎等配置シミュレーションについて 6ページ @検討パターン Aシミュレーションの条件 (3)本庁舎等配置シミュレーションの結果(特徴や課題) 8ページ @本庁舎等配置シミュレーションにおける各パターンの特徴と課題 A検討パターンの比較 (4)本庁舎等の整備手法について 12ページ (5)世田谷区民会館について 12ページ (6)世田谷総合支所について 13ページ 4.中間のまとめ 14ページ 5.今後の検討の進め方 15ページ (1)基本構想 15ページ @備えるべき機能 A本庁舎の規模(延床面積) B整備手法 C事業手法等 D総事業費 Eその他 (2)事業スケジュール 16ページ 資料編 17ページ 【資料1】本庁舎等建築年数等一覧 19ページ 【資料2】本庁舎等配置図 20ページ 【資料3】本庁舎等規模試算 21ページ 【資料4】本庁舎等配置シミュレーション(解体建設手順) 23ページ 【資料5】事業手法等 44ページ 【資料6】庁舎計画推進委員会及び同検討部会、同作業部会開催経過 45ページ 【資料7】本庁舎等整備シンポジウム結果概要 47ページ はじめに 世田谷区では、平成 16 年度から 4 ヵ年にわたって、庁舎整備に関する調査研究を実 施した結果、築 50 年近くを経過した本庁舎等について区民サービス面や災害対策面、 環境対応面などで様々な課題や問題点が明らかとなりました。 平成 20 年 5 月には、27 出張所等地区で報告会を開催し、翌 6 月には区民意識調査 を実施するなど、本庁舎等が抱える課題や問題点について、区民の方に周知するとと もにご意見等の把握に努めてきました。 これらの結果を踏まえ、世田谷区は、平成 20 年 9 月に、区役所本庁舎等について、 改築の方向で検討に取組むこととしました。 平成 20 年 10 月に学識経験者、地域団体の代表、公募区民等で構成される「世田谷 区本庁舎等整備審議会」を設置し、全 10 回にわたる審議を経て、平成 21 年 8 月に審 議会から「@現庁舎の課題や問題点を抜本的に解決するためには、本庁舎等の一部ま たは全部を取り壊し、改築することが必要である。」、「A場所については、歴史的な経 緯等から現在の敷地が望ましい。しかし、交通の利便性等から移転の可能性について、 今後、検討が必要である。」、「B厳しい社会・経済状況の中で、その経費が区民の負担 によってまかなわれることを考慮し、区民の理解を得ながら進められたい。」旨の答申 をいただきました。しかし、リーマンショックの影響などから区の検討は進まず、方 針を決定するに至りませんでした。 また、区議会においては、平成 13 年から平成 23 年まで、「地方分権・庁舎問題等対 策特別委員会」が設置され、庁舎問題について議論が行われました。 その後、平成 23 年 3 月の東日本大震災の発生や社会状況の変化、施設整備には多年 を要することなどから、これまでの調査研究や審議会答申を踏まえ、平成 25 年 3 月に は、当面の対策として災害対策本部機能を強化するための非常用電源等を整備すると ともに、同年 4 月からは、本庁舎が抱える課題や、諸問題への抜本的な解決に向けて 庁内検討を再開しました。翌 5 月には、関係所管部からなる本庁舎等整備計画プロジ ェクトチームを新たに設置し、庁舎の場所等について整理してきました。 平成 25 年 9 月からは、専管組織(庁舎計画担当課)を設置するとともに、副区長を トップとする庁舎計画推進委員会を立ち上げました。その検討部会において、有識者 アドバイザーの方から東日本大震災を踏まえた本庁舎の役割など、審議会答申以後の 新たな視点による本庁舎のあり方や、区民サービス、環境対策、庁舎整備を進める上 での技術的な点など、多角的かつ専門的な助言・ご意見をいただきました。また、同 年 11 月には無作為抽出による区民ワークショップを開催し、区民の方からもご意見を いただきました。 これらの検討結果を踏まえ、区は平成 26 年 3 月に「本庁舎等整備方針」(以下「整 備方針」という。)を策定しました。整備方針では、「@本庁舎の場所は、現在地とす る。」、「A本庁舎の規模は、最低で約45,000uとする。」、「B本庁舎等の一部又 は全部を取り壊し、10年後を目途に改築する。」ことを基本として、検討を進めるこ ととしました。 1.本庁舎の場所及び敷地条件 (1)本庁舎の場所 本庁舎の場所は、これまでの歴史的経緯や他の公有地等の関係から、前述のとおり 整備方針において、現在地とすることを決めました。  なお、現在、区役所西側の補助154号線の整備が進められており、周辺の道路環 境も改善されてきています。また、区は、平成16年1月に「世田谷区役所周辺地区 防災街区整備地区計画」を策定し、災害に強いまちづくりを進めています。さらに、 東京都が進める「木密地域不燃化10年プロジェクト」として、補助52号線の整備 や「不燃化特区制度」の活用により、一層の不燃化の促進に取り組みます。 《現在の本庁舎の周辺図》 《現在の本庁舎等配置図》 (2)敷地条件 敷地面積:21,707 u(東側敷地:11,342 u、西側敷地:10,365 u) 用途地域等:第二種住居地域 準防火地域 第三種高度地区(45m) 建ぺい率・容積率:建ぺい率 60% 容積率 300% 日影規制 :5時間・3時間/H=4m 2.本庁舎の規模 (1)本庁舎の規模(延床面積) 本庁舎に必要な延床面積は、整備方針において、最低で約45,000uとしました。 この面積は、平成19年度の調査研究時に、当時の正規職員数をもとに算定していま すが、当時と比較して、現在の正規職員数は微増ですが、算定には含まれていない非常 勤職員数は約1.5倍に増加しています。 今回、改めて平成26年4月1日現在の正規職員数をもとに、他自治体でも試算上使 用されている、総務省の「旧地方債事業費算定基準」の例により本庁舎に必要な延床面 積を算出したところ、約46,000uとなりました。また、区の業務に重要な役割を担 い、近年人数が増えている非常勤職員数も含めて算出すると、約55,000uとなりま した。 さらに、平成26年4月現在で都内23区の本庁舎の延床面積等を調査したところ、 各区の正規職員だけで比べても、一人当たりの平均延床面積は、約28uという結果と なりました。世田谷区の本庁舎の延床面積を45,000uと仮定し、平成26年4月1 日現在の正規職員数1,975人で算出すると、一人当たり約23uとなります。(砧総 合支所の正規職員一人当たりの延床面積とほぼ同じ) 現時点では、整備方針で定めた約45,000uを本庁舎の最低規模としていますが、 非常勤職員の執務スペース、災害対策本部として十分に必要なスペース、区民交流スペ ースなどが含まれておらず、延床面積が不足することも見込まれるため、今後、詳細な 検討が必要です。また、経費等の効率性の観点から、本庁舎周辺の借り上げを含めた区 の施設の集約も考慮しつつ、検討を進めていきます。 (2)駐車場・駐輪場の規模 過去の調査研究や現在の利用実態などをもとに、現段階では、駐車場約300台、 駐輪場約700台、バイク置場約250台を想定し、庁舎の延床面積(約45,00 0u)とは別に、地下部分に計約15,000uとします。 今後、車や人の動線等の検討を進めていく中で、計画台数を精査していきます。 (3)地域行政制度・地方分権改革等との関係 世田谷区の執行体制としての地域行政制度は、本庁(全区)、総合支所(地域)、出 張所・まちづくりセンター(地区)の三層制からなっており、区民に密着した総合的 なサービス、地域の実態に即したまちづくりなどを実現するために業務を展開してい ます。 現在、世田谷区は、高齢化の進展など社会状況の大きな変化や東日本大震災を経験 したことによる地域コミュニティの重要性の再認識などを背景に地域行政について見 直し検討を進め、地区防災や地域包括ケアの地区展開等の取り組みを進めています。 今後の本庁舎等整備の検討にあたっては、地域行政の展開に関する検討や地方分権改 革による国や都からの様々な事務移管等の動向を踏まえていきます。 3.整備手法 (1)区を取り巻く社会状況 東日本大震災や、多発している大規模災害により、本庁舎には、区民の安心・安全を守る 防災拠点としての災害対策本部機能の強化が、より一層求められています。 これまでの本庁舎等整備の検討の中でも、区民や有識者などから、本庁舎の狭あい化・ 分散化を解消し、災害対策機能を強化すべきとのご意見をいただいてきました。 一方、近年、公共施設の老朽化が進み、建替えを検討している施設が多数存在するこ とから、より効率的・効果的な整備となるよう、機能性を向上させながら既存施設の長 寿命化を図ることが求められてきています。 また、世田谷区民会館、区役所第1庁舎及び第2庁舎が、東京文化会館や神奈川県立 音楽堂などを設計した近代建築の代表的建築家の一人である前川國男氏の設計(※1) によるものであることから、これらの既存建物を一部保存すべきというご意見をいただ く一方、施設の安全や区民や職員の利用環境面等から既存建物は取り壊し全部改築すべ きというご意見もいただいております。 (※1)区民会館と第1庁舎については、DOCOMOMOJapan(近代建築の記録と保存を 目的とする国際組織の日本支部)により、高い文化的価値と歴史的意義があるとされ、 「日本におけるモダン・ムーブメントの建築 174 選」に選定されました。 (2)本庁舎等配置シミュレーションについて 本庁舎等の整備手法(本庁舎等の一部改築又は全部改築)については、この基本構想 の中で、本庁舎等配置の複数シミュレーション等により検討していくこととしています。 今回、全部改築する案から、一部の庁舎等を残し保存改修する案まで、10パターンに ついて、相互に比較しやすいように延床面積を仮に45,000u(区民会館を除く) として、シミュレーションを行いました。 @検討パターン (1)−a:全面的に建替える場合 (1)−b:全面的に建替え、東西庁舎を渡り廊下で接続した場合 (1)−c:全面的に建替える場合(東敷地に庁舎機能を集約する場合) (2) :第1庁舎のみ保存改修する場合 (3)−a:区民会館(ホール部分)のみ保存改修する場合 (3)−b:区民会館(ホール部分及び低層棟南側)のみ保存改修する場合 (3)−c:区民会館(ホール部分及び低層棟)のみ保存改修し、東西庁舎を一体 的に接続した場合 (4)−a:第1庁舎及び区民会館(ホール部分)を保存改修する場合 (4)−b:第1庁舎及び区民会館(ホール部分及び低層棟)を保存改修する場合 (5) :第1庁舎及び第2庁舎及び区民会館(ホール部分及び低層棟)を保存 改修する場合 Aシミュレーションの条件 ア)本庁舎の規模(延床面積)について 本庁舎の規模は、整備方針において、分散化や狭隘化を解消するため、最低で約 45,000uとしていることから、シミュレーションにおいては、前述のとおり各 パターンで延床面積を仮に45,000uとして検討しました。 なお、具体的な規模については、今後、検討していきます。 イ)災害対策について どのように耐震性を確保していくかについては、今後、具体に調査を行い、検討を 進めていきますが、今回のシミュレーションについては、以下の条件で検討しました ・本庁舎 本庁舎(既存庁舎の保存改修の場合を含む)は、免震構造とし、災害時に速やかに 初動・救援等の応急対策活動の中心となる区の災害対策本部に求められる水準である 耐震安全性T類相当(Is 値 0.9 相当)を確保することとします。 ・世田谷区民会館 世田谷区民会館ホールについては、保存する場合、耐震補強により、文化施設とし て求められる水準である耐震安全性U類相当(Is 値 0.75 相当)を確保することとしま す。また、新築する場合は、今回のシミュレーションにおいては、庁舎の中に建設す る計画となっているため、本庁舎と同じ耐震性としました。 ウ)本庁舎の世田谷らしさについて 整備方針にあるとおり、現在の本庁舎等は、中庭(広場)を囲む開放的な配置で、 ケヤキ並木など緑と調和した環境となっています。こうした特徴をなるべく活かした 配置とし、中庭(広場)は現状と同程度の空間を確保することとします。 エ)近隣への配慮について 本庁舎等の整備にあたっては、西敷地にある空地も活用していく必要があります。 その際は、法律上建てられる位置よりも配慮したもの(後退等)とし、近隣への影響 をなるべく少なくすることとします。 オ)仮設庁舎について 現在の本庁舎敷地外において仮設庁舎の候補地を検討しましたが、まとまった適地 を見出すことはできませんでした。 シミュレーションにあたっては、来庁者の負担が極力少なくなるよう本庁舎の敷地 内における改築手順等を工夫し、大規模な仮設庁舎が不要な案を検討することとしま す。 カ)駐車場・駐輪場について 規模は、2.「本庁舎の規模」(2)のとおりとします。 キ)総事業費について 総事業費については、建設工事費や改修工事費、耐震(免震)補強費、解体工事費、 仮設庁舎費、引越費、調査・設計費などの費用について試算しています。また、消費 税については、現在の税率(8%)で試算しています。 なお、あくまでシミュレーションにおいて比較するために試算したものであり、総 事業費の見込みについては、次の検討段階において算出していきます。 ク)敷地中央の区道について 現状の敷地中央の道路には、法的に区道(道路法)、位置指定道路(建築基準法)、 世田谷区役所周辺地区防災街区整備地区計画における地区防災施設(都市計画法)の 3つの位置づけがあります。廃道する場合は、日影規制や容積率を敷地一体で考える ことができる、敷地が一体となり設計の自由度が高まるなどの効果がある反面、東側 敷地の日影規制が実質厳しくなるなどの面もあります。 また、全部改築の場合は、一団地認定を受けることで日影規制や容積率に関して廃 道と同様の効果を得ることができます。 パターンによって得られる効果が異なるため今回のシミュレーションでは、道路を 残す場合のほか、廃止する場合も検討することとします。 なお、廃止する場合には、近隣住民の理解が不可欠であることや、手続きに時間を 要することから、全体の事業スケジュールが1年から数年程度延長される可能性があ るため、その点も含めて評価していくこととします。 (3)本庁舎等配置シミュレーションの結果(特徴や課題) 前述の10パターンについてシミュレーションを行い、延床面積、仮設庁舎の要否 や解体建設手順、工期、総事業費、災害対策(耐震性の確保)、環境への影響等につい て比較・検討を行った結果、主に次のような特徴や課題があげられました。 @本庁舎等配置シミュレーションにおける各パターンの特徴と課題 項目 庁舎延床面積 視点 整備方針で定めた最低約45,000uを確保することは可能か 特徴・課題 パターン(5)のみ、45,000u確保することができない 項目 仮設庁舎及び仮設駐車場の場所の確保 視点 敷地外に仮設の場所を確保せずに工事できるか 特徴・課題 パターン(3)−b、(3)−c、(4)−b、(5)については、中庭に仮 設庁舎を建設するとともに、敷地外に仮設駐車場を確保しなければならない ※現時点では、敷地外に適地を見出すことはできていない 項目 工程/工事期間 視点 工程が少なく、短い期間で工事が完了するか 2期工事で完了(約5年)パターン(1)−c 4期工事で完了(約7年半)パターン(3)−c、(4)−b 3期工事で完了(約6年)上記以外(パターン(5)については約5年半で完了) 項目 区民会館休館期間 視点 区民会館の利用できない期間を短くできるか 特徴・課題 休館期間が比較的短い(約1年半〜2年) パターン(3)−a、(3)−b、(3) −c、(4)−a、(4)−b、(5) 休館期間が長い(約4年半〜6年)上記以外 項目 総事業費 視点 総事業費を抑制できるか 特徴・課題(3)−aが最も低く、次に、(1)−c、(1)−a、(1)−bの順となり、 この4パターンについては比較的低い。 項目 中庭を囲む開放的な配置(景観)の継承 視点 現在の特徴である、庁舎と区民会館が中庭を囲み、建物が低層 棟のピロティでつながる景観を継承できるか 特徴・課題 現在の景観は失われる パターン(1)−c 低層棟跡地に高層棟が建つため、中庭を望む景観に影響を与える パターン(1)−a、(2)、(3)−a、(3)−b、(4)−a 敷地北側で東西の庁舎を接続するため、現在の三角形の広がりが失われる パターン(1)−b、(3)−c 現状どおり継承することができる パターン(4)−b、(5) 項目 区民へのサービス環境 視点 区民の動線等がスムースで分かりやすいものか 特徴・課題 機能的な配置が可能 パターン(1)−a、(1)−b、(1)−c、(3)−a 既存建物と新築建物の接続(階高)に課題がある パターン(2)、(4)−a 地下の空間が多く、機能的な配置が比較的制限される パターン(3)−b、(3)−c、(4)−b、(5) 項目 災害対策(耐震性の確保) 視点 目標とする耐震性を確保できるか 特徴・課題 本庁舎については、すべてのパターンにおいて、免震構造と したが、既存庁舎の免震化は、総事業費が高くなるという課題が残る パターン(2)、(4)−a、(4)−b、(5) ※既存庁舎を耐震補強する場合は、室内に多くの耐震壁を 設置することになり、レイアウトの自由度が低く、区民サービ スに支障をきたす可能性がある。 項目 環境への影響 視点 解体工事及び地下工事による廃棄物や CO2 等の発生を抑制でき るか 特徴・課題 解体工事による影響が大きい(全部改築) パターン(1)−a、(1)−b、(1)−c 地下工事による影響が大きい(地下3層まで) パターン(3)−b、(3)−c、(4)−b、(5) 項目 既存建物の保存の有無 視点 既存建物の保存の有無 特徴・課題 保存しない パターン(1)−a、(1)−b、(1)−c 保存する 上記以外 (4)本庁舎等の整備手法について 本庁舎等配置シミュレーションの結果の主な特徴と課題については、P9「@本庁舎 等配置シミュレーションにおける各パターンの特徴と課題」のとおりです。 必要とされる最低延床面積(45,000u)については、第1庁舎・第2庁舎及 び区民会館を保存改修するパターンでは確保することが難しいですが、他のパターン では確保可能です。 総事業費は、全パターンの試算結果として約333億円から369億円となり、上 下の金額の幅は約36億円となっています。 業務を継続させながら、順次、執務室等を移転する工事のため、工期は、2期約5 年から4期約7年半と長期となることが想定されます。また、区民会館を利用できな い期間が、改修では約1年半から2年、改築では約4年半から6年と想定されます。 保存改修する庁舎等によっては、仮設庁舎及び仮設駐車場が必要となり、その確保 は大きな課題となります。今後、公共施設の再配置等により、一時的に使用可能な施 設が生じれば、解体建設手順の中で活用可能か検討していきます。 現在の本庁舎等の特徴でもある、中庭を囲む開放的な配置(庁舎と区民会館とそれ らをつなぐ低層棟のピロティが中庭を囲む空間)については、多くのパターンで低層 棟跡地を高層化することとなり、景観に影響を与える結果となりました。 今回想定した各パターンを総合的に勘案すると、「区民会館ホールを保存改修し庁舎 を改築するパターン」、「第1庁舎と区民会館ホールを保存改修するパターン」が比較 上は考慮されるパターンとなりますが、それぞれにおいて、様々な課題も残る結果と なりました。 現在の本庁舎等は、庁舎と区民会館とそれらをつなぐ低層棟のピロティが中庭を囲 む景観が特徴的であり、多くの区民が集う中庭は、長い間親しまれてきました。 こうした、現在の本庁舎等における世田谷らしい景観を継承していくためには、今 回想定したシミュレーションの結果だけではなく、各パターンの組み合わせ、他の先 進事例、最近の建築手法等について、さらに検討を加える必要があります。 今後、現在の本庁舎等の特徴やフォルムを継承し、総事業費を抑え、区民の方々に 使いやすい庁舎を目指し、引き続き検討を進めていきます。 (5)世田谷区民会館について ○区民会館は各総合支所管内に1箇所ずつ設置され、区民の文化、コミュニティの場と して幅広く利用されています。また、地域防災計画において災害時における食料及び 生活必需品等の集積地に指定されています。 ○なかでも、世田谷区民会館は、本庁舎に併設され、他の地域が400人規模であるの に対し、1,200人規模のホールを擁していることから世田谷地域の集会施設であ るとともに、世田谷区の全区的集会機能の一部を併せ持っています。 ○利用実態や財政面や工期面、区民サービス面を考慮して、別の場所も含め検討してき ましたが、現在地以外に望ましい場所を見出せなかったことや、88万区民の自治体 として全区的な区民集会施設の必要性は高いこと、また、本庁舎と全区的集会施設が 同敷地内にあるという歴史的経緯、区民や有識者からの意見等も踏まえ、現在と同規 模(1,200人規模)で、現在地で整備することとします。 (6)世田谷総合支所について ○総合支所は平成3年度の地域行政制度発足以降、区内5か所に設置され、以来、地域 住民に密着した地域行政を推進してきました。 ○なかでも、世田谷総合支所は、地域行政制度発足以降、本庁舎と一体として行政サー ビスを実施してきていますが、他の総合支所と同様、総合支所機能として独立して存 在してもよいのではないか、また、区民の利便性の観点から、交通至便な場所への移 転が望ましいのではないか等の考え方もあります。 ○今後、世田谷総合支所の場所については、別途、担当所管において、三軒茶屋を候補 として、交通至便地域への移転を検討していきますが、現時点で移転先や移転時期は 未定です。そのため、本庁舎等整備については、世田谷総合支所部分の面積も含めて 検討を進めていくこととします。なお、検討中に移転先が見出せた場合でも、区民サ ービス維持の観点から、一定の窓口機能を本庁に残す必要があるとともに、前述した とおり、非常勤職員の執務環境や災害対策、区民交流スペース、他の区施設の移設・ 集約等の必要性を考慮すると、本庁舎の規模は、引き続き最低45,000uとして 検討していきます。 4.中間のまとめ ○本庁舎等の整備手法については、今回の本庁舎等配置シミュレーションで、庁舎及び 区民会館の全面改築案から、それぞれの庁舎等の保存改修の組み合わせによる案など 10パターンを想定し、その比較検討を行いました。 検討においては、延床面積、仮設庁舎の要否、全体工期及び区民会館休館期間、総 事業費、中庭を囲む開放的な配置の継承、区民へのサービス環境や耐震性の確保など 様々な観点から、その特徴と課題を一定程度整理することができました。 しかしながら、今回の検討では、それぞれの建築物単体ごとの改築及び改修の組み 合わせでパターン化したため、最近の建築手法による庁舎整備までには踏み込むこと ができず、課題も残る結果となりました。 特に、長い間区民の方々に親しまれてきた庁舎と区民会館とそれらをつなぐ低層棟 のピロティが中庭を囲む特徴的な景観は、世田谷らしさを象徴しており、これを継承 するためには、各パターンの組み合わせ、他の先進事例、最近の建築手法など更なる 検討を行う必要があります。 今後、引き続き、区民サービスや機能性の向上、災害対策機能の強化、総事業費の 抑制、また、世田谷区本庁舎等の特徴やフォルムの継承に向けて検討を進めていくこ ととします。 ○世田谷区民会館については、現在と同規模(1,200人規模)で、現在地で整備す ることとします。 ○世田谷総合支所については、地域行政の見直しの中で、交通至便な三軒茶屋を候補と して移転を検討していきます。世田谷総合支所の整備が本庁舎整備のスケジュールと 整合してくるかは今後の課題ですが、その整備が具体化すれば、一定の窓口機能を本 庁舎に残す必要がある中で、その本庁舎規模への影響も並行して検討していきます。 5.今後の検討の進め方 (1)基本構想 この中間まとめに基づき、以下の項目について詳細を検討し、平成27年度までの構 想期間内に、基本構想を策定していきます。検討にあたっては、庁舎が区民共有の財産 であることに鑑み、区民ワークショップなど、様々な手法で、それぞれの段階で幅広く 区民の方々のご意見を伺うとともに、議会のご意見、さらに、職員からも意見を聴きな がら進めていきます。 @備えるべき機能 区民ニーズや職員ニーズを抽出し、備えるべき機能について、具体的に検討してい きます。 A本庁舎の規模(延床面積) 備えるべき機能や非常勤職員を含めた必要な執務環境、部門別人員、将来の社会動 向等を踏まえ、具体的な諸室構成や配置及び面積条件等を検討し、整備規模を精査し ていきます。また、華美にならずに、機能的で適切な規模の庁舎を目指していきます。 B整備手法 本庁舎等の整備手法については、引き続き、区民サービスや機能性の向上、災害対 策機能の強化、総事業費の抑制、また、世田谷区本庁舎等の特徴やフォルムの継承に 向けて検討を進めていきます。 C事業手法等 事業手法については、従来型公共事業方式、PFI事業方式、DB(デザインビル ド)方式などについて整理しました(資料編参照)。今後、区民ニーズへの対応や財政 負担等を検討し、総合的に判断していきます。 D総事業費 本庁舎の規模や整備手法・事業手法等の検討結果を踏まえ、必要な財源を確保し、 本庁舎等整備の総事業費の見込みを算出していきます。 また、多額の財政負担を伴うことが見込まれることから、計画的かつ着実な財政基 盤の確保に取り組んでいきます。 Eその他 基本構想策定後は、設計に着手するため、設計に必要な諸条件を固めていきます。 (2)事業スケジュール 庁舎整備は、これまでの一般的な手法で進めた場合、基本構想の策定、設計事業者 選定、基本設計、実施設計、施工業者選定を経て、新庁舎の建設に着手することにな ります。 整備手法や事業手法、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへのインフ ラ整備をはじめとする社会・経済状況の変化等による影響も考えられますが、現段階 では、概ね2024年度の竣工を目指し、改築に取り組みます。