世田谷区本庁舎等整備シンポジウム 日時:平成26年5月29日(木曜日)午後6時30分〜午後9時00分 会場:国士舘大学多目的ホール                 ○司会(長岡庁舎計画担当課長) 皆さんこんばんは。本日は、世田谷区本庁舎等整備シンポジウムに御参加いただき、まことにありがとうございます。私は、本日、司会を務めさせていただきます世田谷区総務部庁舎計画担当課長、長岡と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、ただいまより、世田谷区本庁舎等整備シンポジウムを始めさせていただきます。  初めに、資料の確認をいたします。皆様方、受付でおとりいただきました、まず封筒に入った資料がございます。それとは別にもう1つあった資料は、パネリストの野沢先生の説明の資料としてお渡ししております。  封筒の中身につきましては、ちょっと見ていただきたいんですけれども、一番上にこの小さい紙が入っています。これは意見・質問票となっています。  その次がピンクのチラシです。  折り畳んであるA3のものが整備方針概要版。  最後に、A4のアンケートです。―よろしいでしょうか。もしない方がいらっしゃったら、近くにいる係員にお声かけをしていただければと思います。  なお、今御説明しました資料の中の意見・質問票につきましては、お時間の関係がございまして、意見、質問がある方につきましては、この用紙にて受け付けをいたします。昨年の11月に開催した区民ワークショップ発表者からの意見をプログラムの中でいただく予定になっていますけれども、その後、時間としましては19時15分ごろに係員が回収いたします。そういう予定でおりますので、よろしくお願いいたします。また御案内さしあげます。本日のシンポジウムは「世田谷区本庁舎等整備方針とこれからの庁舎のあり方」をテーマとしております。本日御来場の皆様方からその質問票でいただいた御意見につきましては、基本構想の策定に向けて活用させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  なお、本日は、広報用といたしましてシンポジウムを記録するため、写真の撮影をしております。撮影したものにつきましては区の広報紙やホームページ等に掲載させていただく予定でありますので、御了承いただきたいと思います。  それでは初めに、世田谷区長、保坂展人より御挨拶を申し上げます。それではお願いします。 ○保坂区長 皆様こんばんは。(拍手)世田谷区長、保坂展人です。本日は、お忙しい中、世田谷区本庁舎等整備シンポジウムに御参加をいただきありがとうございます。  本庁舎、世田谷区の庁舎をどのように考えていくか。前熊本区長時代の平成16年から4年間、調査研究あるいは審議会答申などがありました。その後、東日本大震災があり、災害対策あるいは地域のあり方、さまざまな論点が出てまいりました。本年3月に本庁舎整備についての基本的方針というものをまとめたわけですけれども、きょう御登壇いただくアドバイザーの先生方には、私自身も忌憚ない御意見を何度か伺いました。考え方、描き方、そして時代との対応、さまざま論点が出たかと思います。こういったものを踏まえて、3月に大枠の方針をまとめたわけですけれども、私としては貴重な御意見、きょう御発言いただくパネリスト、庁舎問題のアドバイスをしていただいた先生方のお話を区民の皆さんにぜひ直接に聞いていただき、また、一緒に議論ができたらと思っているところです。  限られた時間でございます。区からの説明の後、先生方のお話として、会場の皆さんからのいろいろな御質問や論点などを交えまして、この庁舎整備についてのテーマをできる限り深める機会にしたいと思います。  本日は、御参加ありがとうございました。(拍手) ○司会 ありがとうございました。  それでは引き続きまして、これまでの世田谷区本庁舎等整備に係る検討経過を、今般策定いたしました本庁舎等整備方針を中心に、私から説明させていただきます。先ほど御説明しましたお配りした資料及び前方のスクリーンをごらんいただきながらお聞きいただければと思います。先ほどお配りした資料につきましては、A3の概要版ですね。これをお開きいただきまして、前のほうのスクリーンには、初めの5枚程度はこの概要版に載っていないものを映します。写真の6枚目から概要版の中身とほぼ同じような形で説明していきますので、よろしくお願いしたいと思います。  それではまず、スクリーンをごらんいただきまして、初めに、ここは国士舘大学ですけれども、道を挟みまして向う側にある世田谷区の本庁舎が建っている敷地ですね。あそこに建っている建物は大きく分けてこの4つになります。一番下の世田谷区民会館が一番古くて34年にできています。築年数55年ということになります。その次が一番上の第1庁舎が35年にできています。その次が第2庁舎、昭和44年です。第3庁舎は新しくて、平成4年に竣工という形になっています。  次は、世田谷区本庁舎の耐震補強の状況です。阪神・淡路大震災後に耐震診断を行いまして、耐震補強を行っております。下の写真を見ていただきますと、窓のところにはめ込んである格子状になっているものが補強の部分でございます。  次に、本庁舎の特徴を何点か御説明いたします。まず、設計につきましては、代表的な近代建築家の1人である前川國男氏が設計しております。この方は、ほかにも国立西洋美術館ですとか東京文化会館などを設計している方です。第1庁舎と区民会館は、中庭を中心とした空間をコンリートの打ちっ放しの建物が囲む独特な構成となっています。また、第2庁舎は後から建築されたことから、第1庁舎と区民会館との統一性を考慮された配置となっております。  次に、本庁舎の敷地、ちょっと見にくいんですけれども、真ん中にあるのが敷地の平面図になっていまして、その周りに緑の部分が点在している。緑色の部分が緑のある部分ということですね。北側の国士舘大学、東側に噴水、南側にケヤキ、池とかがあって、西側に第2庁舎があってという状況になっております。  次に、本庁舎整備の検討経緯等を簡単に御説明いたします。まず、平成16年度から平成19年度に、先ほど区長からもありましたが、調査研究を行ってきました。区役所庁舎等の現状と問題点を整理してきました。平成20年から21年にかけて本庁舎等整備審議会を開催いたしまして、平成21年の8月に審議会の答申をいただきました。その後、ここにはちょっと書いていないんですけれども、リーマンショックの影響から検討が進んでこなかったという状況がございました。平成25年になりまして、また本格的な検討を始めまして、先ほどもお話しありましたけれども、きょうも来ていらっしゃっていますけれども、有識者アドバイザーの方から、災害対策・区民サービス・環境対策等の意見をいただき、また、無作為抽出による区民ワークショップを行いまして、区民の方からも意見をいただきました。そして、ことしの3月に整備方針策定という流れになっております。  ここからが整備方針の中身について、繰り返しになりますけれども、今度はこれとあわせて見ていただければと思います。  まず、本庁舎の基本的な考え方ということで、本庁舎の目指すべき方向ということを5点ここに挙げております。まず、高い耐震性と災害対策本部機能を備えた庁舎を目指すというのが1点目です。2点目としましては、区民のふれあいと交流を育む開かれた場としていきます。3点目としましては、ライフサイクルコストを抑えた庁舎を目指していきます。4点目としましては、環境への配慮をしていきます。5点目としましては、将来の人口・技術革新等の変動への柔軟な対応ができるような庁舎を目指していきますという内容になっております。  次が備えるべき機能です。大きくいうと、区民サービス、災害対策、右に行っていただきまして、環境対策、その他という形でまとめてあります。  区民サービスにつきましては幾つかありますが、代表的なものを。わかりやすく親しみやすい窓口、あるいは区民活動・交流拠点としての場、すべての人にやさしい庁舎(ユニバーサルデザイン)などを挙げております。  災害対策につきましては、大震災を想定した耐震性の確保、中枢管理機能の強化、災害時の行政機能継続性を確保していくというものを挙げております。  右の上の環境対策につきましては、高い環境性能を備えた庁舎、自然エネルギー・熱利用等の活用などを挙げております。  その他としましては、情報通信技術(ICT)の活用と技術進化への将来対応というものを挙げております。  次はいよいよ本論というか、大きなポイントの1つとなっております。まず、本庁舎の場所についてでございます。先ほど来説明しておりますが、平成21年度に審議会の答申をいただいております。その中には歴史的経緯等から本庁舎の場所は現在地が望ましいが、交通・周辺環境から移転の可能性についても検討が必要であるという答申をいただきました。これを受けまして、区としましては、災害対策や環境面、交通の利便性等の観点から検討してきましたが、用地取得・用途地域等の関係で、現在地以外に望ましい場所を見出すことはできませんでした。そして、一番下にあるように、本庁舎の場所は現在地とする。ただし、世田谷総合支所は別の場所を含めて検討しますということで整理いたしました。  2点目の本庁舎の規模(延床面積)です。こちらにつきましては現在の延べ床面積、本庁舎として使っている延べ床面積は約2万8000平米になります。一般的な延べ床面積の算出方法として、総務省基準から積算しますと約4万5000平米となります。また、別の方法、利便性や機能性などを配慮しながら積み上げていった方式でやると約6万平米ということ。これはうちのほうで過去にやったシミュレーションでそうなりました。ただ、具体的には決めることができなかったものですから、現段階では本庁舎の規模は最低で4万5000平米とする、具体的な規模につきましては基本構想の中で検討する。後でまた説明しますが、今年度、来年度の2年間で基本構想をやるという流れになっておりますので、具体的にはそこでやっていくということで整理しました。  次の3点目もポイントの1つです。本庁舎の整備手法ということで、現本庁舎につきましては、老朽化・狭あい化・分散化、さらに災害対策等、問題と課題があります。これらの問題を抜本的に解決するために、一番下、本庁舎等の一部または全部を取り壊し、10年後を目途に改築する。そして、一部か、全部かについては、この後、今年度平成26年度、平成27年度の2年間の基本構想の中で検討するという形で整理しました。  次に、地域行政制度・地方分権改革との関連性ということで、一番下を見てほしいんですが、今後の本庁舎等整備の検討に当たりましては、地域行政の展開に関する検討や、現在進められている地方分権改革による国や都からの事務移管等の動向を踏まえてまいりますという形で考えております。  世田谷らしさということで、世田谷らしい本庁舎を目指していきます。具体的には、何点か挙げてありますが、緑と調和した環境、敷地全体の中で建物や広場、緑をどう配置していくか、周辺環境との連続性などを考慮しながら検討を進めていきます。そして、世田谷らしい本庁舎を目指していきます。  次に、今後の検討の進め方。今後というのは平成26年度以降という意味です。今後の検討の進め方としまして、まず基本構想ということで、その下のところを見ていただくと、今後おおむね2年間―これは、平成26年度、平成27年度という意味です―を基本構想の策定の期間といたします。区民の方々や議会の御意見、さらに職員の意見を聞きながら進めてまいります。具体的な項目としましては以下のとおりです。備えるべき機能、本庁舎の規模(延床面積)、整備手法、事業手法、総事業費、本庁舎と世田谷区民会館について、本庁舎と世田谷総合支所について、以上について検討し、整備をしてまいります。  最後ですが、今後の取り組みの流れというか、スケジュール、これは大変大まかなものになっております。こちらにつきましては、内容によって変わるんですが、一般的な手法で進めた場合として例示的にあらわしています。基本構想、設計、建設工事、合わせて10年間ということで考えております。下のほうを見ていただくと、整備手法や事業手法、2020年東京オリンピック・パラリンピックへのインフラ整備を初めとする社会経済状況の変化等による影響も考えられますが、現段階では、10年後を目途に改築に取り組みますという形で考えておるところでございます。  私からの経緯、整備方針に関する説明につきましては以上でございます。御清聴ありがとうございました。  それでは続きまして、昨年の11月の終わりごろに実施いたしました本庁舎整備に係る区民ワークショップに御参加いただき、グループごとの意見などを発表していただきました。きょうは、そのときに発表していただいた方にお越しいただいております。そこで議論された内容や、今回区の整備方針を踏まえた御意見や御感想などをお話しいただくというふうに考えております。この去年やった区民ワークショップにつきましては、本庁舎のあり方について区民同士で幅広く話し合い、その意見を今後の区の検討の中で生かしていくために開催したものでございます。  なお、このワークショップ、5グループの体制で実施いたしましたが、本日は、第1グループ、第2グループ、第5グループの3名の発表者の方に御参加いただいております。  それではまず、第1グループで発表者を務めていただきました鹿野様よりお話をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○鹿野氏 鹿野でございます。本日はありがとうございました。  それでは、基本的なところで、ワークショップの皆さんで討議したことについて御報告させていただければと思ったんですけれども、今お話しいただいたところで、ほぼ皆さんの御意見、問題点は出ていたかと思います。その後、いただいた資料等で、やはりここだけは事前に伺っておきたいというようなことについて、二、三お話しさせていただきたいと思います。  1つは、本庁舎、総合支所等の延べ床面積についてのお話がかなり具体的な数字として出ていたんですけれども、災害対策本部のことについてはまだ未定ということで、数字の御指摘をいただいていないんです。実際には、物流が入ったり、自衛隊が入ったり、空からのアクセスがあったりしたときにどのぐらいのスペースが必要なのか。このあたりのところの数値を出していただかないと、全体の構想が見えてこないのではないか。それから、駐車場とか駐輪場も入っていませんという御指摘をいただいているんですけれども、そういったことについても、やはり全体的なスペースを確定していただきたい、予測していただきたいということが1つあります。  今回のワークショップで出席された方、10代から30代の方が4名、40代の方を含めた8名で、10代から30代の方を合わせると全体の17%、10代から40代までの方を合わせると、大体35%御出席いただいています。私がいただいた資料、今後の取り組みということで、完成まで、新庁舎開庁までに約10年間。その間、今の私たちの年代はもうかなりの高齢になっていますので、今そういった世代の人たちを中心的にお話しさせていただいたということではちょっと問題があるのではないか。基本構想の2年間にもっと若い世代の方たちに参加していただきたいというのが私の考えです。具体的にどういうことが可能なのか、きょうおいでいただいた講師の先生に教えていただきたいんですけれども、提案として言えることは、例えば学校の授業や児童生徒などの地域活動の中に、この庁舎の建てかえとか、世田谷区の未来に関するプロジェクトを導入していただきたいということが1つあると思います。それぞれのグループとか年齢に応じてレポートもあり、絵画もあり、工作などで発表していただくことも可能かもしれませんし、学校間での交流とかクラブ活動、シンポジウムの開催などでお話ししていただくこともいいのではないかと。やはり積極的にそういった世代の方たちへの参加が見えてくるのではないかと思います。  もう少し世代を上げて、大学のゼミとか個別分野での課題の研究といったプロジェクトを持ってもいいと思いますので、やはり環境対策とか、ユニバーサルデザインとか、そういった問題。刻々と進化していますし、グローバル化していますので、今行われているゼミとか、個別のプロジェクトとか、産学協働でも、産官民の3つの協働でもいいと思うんですけれども、そういった中で実際に今回のプロジェクトを検討していただけたらいいのではないかと思いました。実際の業務比較とか、そういったものまで含めて、アイデアを出していただくようなことも可能なのではないだろうかと思います。  世田谷区もいろいろな姉妹都市とか、地域交流とか、これからも含めて出てくると思いますので、そういったところにも声をかけて、やはり世界に発信していく世田谷区のプロジェクトであってほしいと考えました。  以上、これから提案させていただきたいことはそういうことです。ありがとうございました。(拍手) ○司会 鹿野様、どうもありがとうございました。  それでは引き続きまして、ワークショップのときに第2グループで発表者を務めていただきました矢口様よりよろしくお願いしたいと思います。 ○矢口氏 昨年ワークショップに参加させていただきました矢口と申します。きょうはお越しくださいましてどうもありがとうございます。  大分以前から区庁舎に来るたびに老朽化が目につき、いつ建てかえるんだろうとずっと思っていました。ほかの区庁舎を見る機会も多いのですが、よその区の区庁舎を見るにつけ、車椅子が余裕を持って通れる広さに、今の時代の公共施設はこうでなくてはと思ったりしました。そうした中で昨年、思いがけずワークショップに参加する機会を得まして、改めて区庁舎を見学したのですが、雨漏りがするなどの老朽化や設備の古さなどをつぶさに見ることになり、それに加えて建て増しや手直しを重ねた施設は、障害を持つ人や高齢者、子ども連れなど最も区役所の利用を必要とする人にとって、さぞかしわかりにくく、使いにくいだろうなという感想を持ちました。  また、それとは別に、11月のワークショップへの参加の呼びかけに、待っていましたとばかりに応募したのは、ぜひ申し上げたいことがあったからでした。それは世田谷区に新しい音楽ホールが欲しいということです。世田谷区には文学館と美術館があります。でも、音楽館はありません。世田谷区の庁舎を建て直すのであれば、ぜひこの機会に音楽ホールをつくってほしいと思いました。今でも世田谷区民ホールがあるではないかとおっしゃる向きもいらっしゃるでしょう。何でもこの区民ホールは東京文化会館を設計した前川國男氏の設計ということで、文化的価値という観点から残すべきという意見もかなりあるようです。しかし、私は世田谷区民合唱団に所属しておりますが、使う側からしてみればこの施設も限界があると思わざるを得ません。一言で言えば、ここではベートーベンの第九は歌えないのです。私たちは毎年世田谷フィルハーモニー管弦楽団と合同で演奏会を開きます。第九やステージ形式のオペラを演奏するのですが、このとき世田谷区民会館ではできません。このときは昭和女子大学人見記念講堂を借ります。300人を超すオケと合唱団の人数を受け入れることのできる舞台は、世田谷区では人見記念講堂しかないんです。  しかも、このとき一番私たちの頭を悩ませていること。  第1、控室から下手の舞台のそでに立つには、舞台の後ろを足音を殺しながらでないとたどり着けません。  第2、楽屋のトイレが圧倒的に少なく、体調管理に苦慮する。  第3、発表前の声出し、リハーサルルームがないんですね。世田谷区には、プロも、アマチュアも含めてたくさんの音楽家がおります。世田谷区在住の作曲家、指揮者、演奏家、たくさんおります。また、アマチュアのうち、合唱だけをとってみても非常に数多くの合唱団があります。数は把握しておりません。世田谷区合唱連盟に所属していない小さな合唱団、学校PTAの合唱団などを含めると、かなりの人口になると推測しております。会うと、皆様おっしゃいます、音楽ホールが欲しい。この前のシンポジウムでも音楽ホールが欲しいというのは、ここ第2班のほかにもほかの2つの班から出まして、たまたまそこで音楽をやっている人ともう抱き合って、そうなのよねと言い合いました。今の時代、音楽とは、聞くだけのものではなく、やるものなんです。やる者の視点からつくられた音楽ホールが欲しいんです。小さな合唱団のための小ホール、第九やオペラを演奏できる大ホール、本番前に音出しができるリハーサル室、練習室、大勢が使用できる控室、そうしたものを兼ね備えた音楽ホールが欲しいのです。  また、もし新しくつくりかえるのであれば、今のうちに言っておきたいことがあります。それは、楽屋にたくさんのトイレをつくってほしいということです。コンサートのときは、いつもトイレに行列ができます。きょうたまたま世田谷区民合唱団の役員の方が来ているんですけれども、きょう聞いたんですが、お客様のトイレも少ないといった苦情も最近出るそうです。いつもトイレのときは、特に女子はトイレに行列ができますね。本番の時間を気にしながら。  さらに言っておきたいことは、もう和式のトイレは要らないんです。洋式のトイレだけにしてほしいんです。というのは、もう結構皆さん高齢化で、ひざが痛いとか、腰が痛いとか言って、私は和式は座れませんという人が大勢います。ですから、トイレに並んでいるのも洋式ばかりで、和式があいていたりするんですね。コンサートをしていますと、裾の長いドレスを着ていますので、汚れるのが嫌なんですね。だから、そういった意味でも洋式がいいんです。  トイレの話はそのぐらいにしまして、できれば本番の打ち上げができる飲食店、お茶が飲める喫茶店も欲しいですね。本番の後は大抵打ち上げをします。  第1庁舎ができたのは昭和35年、世田谷区民会館ができたのは昭和34年、それから50年以上が経過しています。その間、人々のライフスタイルが変わり、ニーズも変わり、規模も変わりました。50年前にできた区庁舎は50年前の社会のあり方や規模に対応してつくられております。今や区庁舎は現在のニーズや規模に応えられているとは言いがたいと感じます。私は音楽をする者の立場から具体例を述べさせていただきましたが、実は単なる応急処置的な手直しでは対応できない、もっと重大な問題を抱えていると私たちは考えています。それは、少子化対策の問題、バリアフリーの問題、防災対策の問題、IT化対応の問題などです。この機会に次の50年の使用にたえられるような構造と規模を持った区庁舎への建てかえを切に希望しております。  どうもありがとうございました。(拍手) ○司会 矢口様、どうもありがとうございました。  引き続きまして、第5グループで発表いただきました角田様、よろしくお願いいたします。 ○角田氏 ただいま御紹介にあずかりました角田と申します。  第5グループというのは、グループは全部で5つありまして、3つのグループしか代表が来ていないんですけれども、御都合があって参加できなかったんだと思いますが、去年の11月30日(土)午後の時間を使って、御連絡いただいた中からワークショップに希望を申し上げた30人ぐらいの人が集まりまして、5つのグループに分かれて、それぞれのグループで、これは専門家の間ではKJ法と言うんだと思いますけれども、5つのグループに分かれて集まったそれぞれが本庁舎の整備に関して、小さなメモ用紙にテーマを書き込む。それにはいろいろなことを書いていいんですけれども、勝手にいろいろなことを書くんです。それをみんなで整理整頓して、議論の種にするようなやり方で、こういう議論には大変適した方法だとされていることです。そこでまとまったことが、皆さん方のお手元にはないかもしれませんが、世田谷区本庁舎等整備方針という冊子の後ろのほうに資料としてまとめられまして、私はそこの第5グループでのことを少しお話ししたいと思います。  各グループ同じだったと思いますけれども、第5グループでは庁舎に関して、当然のことでしょうけれども、設備の面。設備がああでもない、こうでもないという話ですね。それから、3・11とか、そういうことがあったこともありますけれども、災害対策の面。それから、世田谷区は大変広い地域で、それぞれ区民サービスはいろいろなことがあるわけですけれども、行政サービスの面から見て。それから、最も大事かなと私は思いますけれども、財政がどうなのかというような面から。それから、今、第2グループの矢口さんからもお話しありました文化芸術も区民としては大変興味深い点ですけれども、文化芸術あるいはイメージの面からのコメントがございました。  第5グループ、小さなグループだったですけれども、議論は大変多面的に行われまして、食堂の利便性とか大ホールの有用性など利用者の立場に立った細かな話から、将来の世田谷区を想定した計画、立案、そうあるべきだというような、やや将来的な、あるいは長期裁量、そういうものまで含まれておりました。それを細かに申し上げるのは、この資料を見ていただければよろしいですからいいんですけれども、個人的な印象ですが、財政面に問題がなければ、区民の皆さんの利便性が向上するような整備計画、なるべく早く発進させたらいいのではないかなと思う感じでした。たった30人ぐらいの人が集まった、人数が少ないのではないかとお感じの方がいらっしゃるかもしれませんが、ワークショップはワークショップなりに大変成果があったのではないかなと思います。それがまず1つ。  それから、私が仰せつかっていることは、世田谷区本庁舎等整備方針を読んで、その感想などを述べてくださいと言われております。皆さん方のお手元には世田谷区本庁舎等整備方針【概要版】というA3判のものがあるかと思いますけれども、先ほど課長さんからいろいろ御説明を受けた内容が書かれているものです。どんなものでも同じだと思いますけれども、施設設備というのは、時間がたてば時間がたっただけ、いろいろあちこち不都合が出る。それは、皆さん方がお住まいの御自宅もそうだと思うんです。私も自宅とか、あるいは車なんかだって、時間がたつとだんだんぐあいが悪いところが出てきます。だから、時を経れば、それだけでいろいろな問題が生じてくるわけですけれども、配付された資料。御説明いただいた、つくってから50余年も、55年もたっているというのは、古い建物だけれども、きっと何かあるだろうなと。そのような気はして、11月30日(土)ですけれども、見学の時間もありましたので、中を見させていただいております。  実際に庁舎内を見学して、先にお話しになったお二方からもお話しありましたけれども、雨漏りをしているようなところがあったり、ちゃんとメンテナンスをやっているのかしらと思うようなところもございました。とにかく来庁する皆さん方、どなたも狭いとか、古いとか、そういうことを感じていることは確かかなという印象を持ちました。だけれども、狭いとか、古いとかいうものに対する対策にはいろいろな方法があるわけで、それは専門の先生方が集まったり、あるいは専門家が集まっておやりになればよろしいんだと思いますけれども、リニューアルというのは俗に言う領域もあるようですから、古い建物を少しリニューアルして、それなりに使いやすくなることもあるかもしれないな、そのような感じはいたします。  しかし、ともかく、区役所の庁舎については、このまま放置するという選択肢はないだろうなという感じがいたします。大規模な修繕、相応規模の改築、増改築とか、減改築とかいう言葉があるんですけれども、増改築ということでしょう。あるいは新築、それらを組み合わせてどうにかやっていくんだろうなというような気はいたします。しかし、私は、こういう話を聞くときにつくづく思うんですけれども、区役所庁舎は行政の実務的な業務を行う場所ということですから、業務について少し見直しをして、時の移り変わりに応じて新しい仕事は必ずふえてくるわけです。新しい仕事がふえてきても、古い、要らなくなる仕事はないんだという御意見もあるかもれませんけれども、どんな組織でも業務は経時的に増加はしますけれども、古くなって要らなくなろうものもあるのではないか、あるいは合理化できるところもあるのではないかと思うんです。そういう意味で、時代の移り変わりによって必要性がほとんどなくなってきたような業務、あるいは業務プロセス、そうしたものを見直す。  私が区に出したメモ書きの中には、余りいい例ではなかったんですけれども、米穀手帳の例を書きましたけれども、今はあんなものはありませんし、必要ないものはなくなるわけですけれども、そういうことがありました。あるいは、業務の進め方なんかについても、これは悪い例ですけれども、皆さん方よく御存じの社会保険庁、今ありません。別な組織に変わったわけですけれども、それはそれなりに理由があったんですが、そのようなことも含めて、設備にばかり目を向けないで、現在の実際の業務についても見直しをよくやっていただいて、整備方針の中にもその種のことが書いてありますので、私は安心をしておるわけでございますけれども、区民の皆さんが―私も区民ですから、私たちですけれども、今、音楽ホールについても御要望がございました。私たち区民がやってほしい、つくってほしい、してほしい、そういう要望をなるべく多く業務、サービスの中に取り入れて、庁舎の議論とともに並行していただければいいのではないかなと思うわけです。  それと、私はちょっと気になっているんですけれども、こういう庁舎整備のいきさつについて、リーマンショックの影響とか東日本大震災の影響というような説明が中に書かれているわけです。少しぜいたくかもしれませんけれども、建物というのはつくったときから、もうすぐ老朽化が始まるわけですよ。ですから、先を見通すことにつながるのかもしれませんが、どのようなことが起こっても余り強い影響を受けないようなきちんとした将来計画、老朽化を見越した日ごろの積み上げ。合理的な業務処理についての研究とか財政的な備えということになるんでしょうけれども、そういうことが大事なのではないかなと個人的には考えております。  5分ぐらいと言われているのに、ちょっと延びたかもしれませんけれども、思ったことを勝手に言わせていただきました。ワークショップでどのように行われたか、皆さん方、参加なさっていない方は御興味あるかと思いますけれども、ワークショップではそのような話し合いがなされて大変よかったかな、私も大変勉強になりました。(拍手) ○司会 角田様、どうもありがとうございました。3人の皆様方、貴重な御意見ありがとうございました。3人の方々へもう1度拍手をお願いしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)  それではここで、舞台上のセッティングを変更したいと思いますので、10分間休憩なんですけれども、その間に、先ほど御説明しましたが、会場にお入りになったときにこの意見・質問票をお配りしているんですけれども、御意見、御質問のある方はこちらに書いていただいて、この10分の休憩の中で係員がお伺いして、回収をさせていただきたいと思います。もしまだ、意見がおありで、書いていない方がいらっしゃれば今書いていただきまして、客席の間を職員が通りますので、お出しいただければと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、これから10分間、ちょっと細かくて恐縮なんですけれども、19時24分までお休みということでお願いしたいと思います。ただ、会場のセッティングをしますので、基本的にはお席でお待ちいただくような形でお願いしたいと思います。 〔休憩〕 ○司会 それでは、質問票の回収も終わったみたいですので、そろそろパネルディスカッションを始めさせていただきたいと思います。  それでは、整備方針策定に当たり、御意見を頂戴した有識者アドバイザーの皆様と区長によりパネルディスカッションを進めていきたいと思います。  それではまず、パネリストの方々を御紹介したいと思います。  向かって右側の方から、明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授の青山?様でございます。(拍手)  東京農業大学地域環境科学部造園科学科准教授の阿部伸太様でございます。(拍手)  武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授の齋藤啓子様でございます。(拍手)  武蔵野美術大学客員教授の野沢正光様でございます。(拍手)  向かって右側になります。世田谷区長、保坂展人でございます。(拍手)  なお、本日、所用により御欠席ですが、有識者アドバイザーがもう1人いらっしゃいまして、東京都市大学工学部建築学科教授の住吉洋二様も整備方針策定におきましては御意見をいただいております。  それではこれより、進行は萩原総務部長により行います。それでは、萩原部長、よろしくお願いいたします。 ○萩原総務部長 進行役を務めさせていただきます総務部長の萩原と申します。よろしくお願いいたします。  パネリストの先生方につきましては、今御紹介させていただきましたように、昨年度、区に設置した庁舎計画推進委員会の検討部会において御助言をいただいた先生方でございます。そこでは多角的かつ専門的な御意見などもいただきましたので、この場で御紹介いただければと思っております。御発言につきましては、あいうえお順で並んでいただいておりますので、青山先生からお願いしたいと思いますが、進行上、5分ぐらいでお願いできればと思います。  では、青山先生、お願いいたします。 ○青山氏 青山でございます。今ワークショップのお話を聞いていて、ほとんど論点は出尽くしているかなと思いました。  私は、現代の庁舎の整備を考えると4つ論点があると思います。1つは防災です。それから、省エネルギーです。それから、バリアフリーです。それで機能です。機能というのはどういうことかというと、50年前には、普通自治体というのは国や政府の方針をどう消化して仕事をするかというのが中心だったと思います。現在はそういうことは全然なくて、いかに国や都に歯向かって、区民の立場で仕事をするのか。その場合、やはり区民の価値観も非常に多様化しているので、それを調整する場というのが基本的な区役所なんだと思います。そういう意味でいうと、とにかく今の世田谷区の庁舎は何とかしなければいけないというのは、きょういただいた資料にもワークショップの皆さんの論点がたくさん出ていて、そのとおりだと思います。  全面的に建てかえるのか、移転するのか。移転はしないということで来ているんだと思いますけれども、第1庁舎と区民ホールだけをいじるのか、それとも第2庁舎、第3庁舎だけでなくて、全部いじるのかとか、いろいろ案はあり得ると思うので、私はそういう具体的な案をどんどん出し合って、検討していくといいのではないかと思います。ただ、その場合に、専門家の意見はたくさん聞いたほうがいいんですが、まず私が長年勤務した都庁では、私がちょうど課長から部長になる時代に有楽町から新宿に庁舎を新築して引っ越しました。そのときの切実な体験からいうと、ぜひ高名な建築家には依頼しないほうがいいと。まず美術館とか博物館で成功した芸術家、建築家の方は、本当に都庁のような庁舎には向いていないというのが実感でございます。  有楽町の都庁舎は完膚なきまで壊して、私たちは移転しました。都民からも全く批判はありませんでした。当時、世界的に有名な建築家の設計でしたけれども、完膚なきまでに壊して、残したのはたった1つ、庭にあったほかの作者がつくった太田道灌像だけを国際フォーラムに残してきましたけれども、それに対して全く私たちは批判を聞いたことがございません。ところが、不幸なことに、移転した先も同じ高名な、世界的な第一人者の建築家だったので、非常に使い勝手が悪い。私たちは有楽町の第1、第2、第3庁舎の敷地を現在そのまま残してありまして、いつか必ずあそこに戻ろうと言っているぐらいなんです。でも、今の新宿の都庁舎もデザインは物すごくすばらしいと思います。デザインはすごくいいんですけれども、来られる都民の方とか働く職員にとっていいかというと、塔が2つあるものですから、エレベーターも2つに分かれていて、そこでまごつく、時間もかかるということで、私たちはほかの階に移動するのに15分見なければいけない、同じ庁舎の中でもというのを行ってすぐ覚えたわけですけれども、はっきり言って職員に設計させるのが私は一番いいと思います。それに区民が参加してやる、つまり使う人たちで設計すると。もちろん専門的な計算や何かは専門家にやっていただくんですけれども、そのほうが、さっきいろいろ区民ホールでトイレの話が出てきました。練習場所だの、カフェの話が出てきました。まさにそういう話をする人たちが設計するというぐらいのほうがいいものができるだろうと思います。  もう1つ言っておきたいのは防災。防災については、一般論でいうと、自治体の職員というのは、日本一ぼろな庁舎でいいから、そこで日本一の仕事をするという心構えを持っているんですが、今の世田谷区役所の庁舎は余りに機能性が悪いので、例えば階段が広いとか。つまり普通の会社と違って、区役所って物すごくお互いの課の調整が多いんですね。たらい回しはしないということで。そうすると、やっぱり階段が広いということはすごく大事なことなんですね。その種のことが専門家はなかなか思いがいかないというのがあると思います。あと、さっき言ったように機能が変わってきているので、区民とかとの打ち合わせスペースが相当広く必要だということになります。その種の配慮が必要だと思います。  そういうことでいうと、もしかすると10年は待てないのかなとも思います。そもそもきょうも、せっかくこんな大きいホールを使っているんですから、区長、どうなんですか。10年先と言っているから人が来ない。そうすると、議論も盛り上がらない、そうすると、進まないということになるので、何か大胆な案を、直ちに着手しますとか、うそでもいいから言ってしまって、それで区民の議論を盛り上げるとかしたほうが物事が進むということも―でも、ちゃんと落としどころとか逃げ道はつくっておいて、そういうことをやるという手もあるかもしれないですけれども、とにかくいろいろな案がここで百家争鳴で出てくるようにして議論を盛り上げることがとても大切なことだと思います。(拍手) ○萩原総務部長 ありがとうございました。先ほどの区民の発表の方の御意見も踏まえて、さまざまな御指摘をいただきました。  続いて、阿部先生、いかがでしょうか。 ○阿部氏 こんばんは。まずもっておわびしたいのは、学生が急に演習でけがをしてしまいまして、それでちょっとおくれたんですけれども、申しわけありませんでした。  5分ということで、私の立場から少しコメントをさせていただければなと思います。  総合的な部分はお話しいただきましたけれども、私は東京農業大学で造園科学科ということで、中でも都市緑地計画を専門にやっております。その関係で、以前やった報告書ですとかを見させていただいて、基本的な考え方は押さえられているなという印象を持った一方で、緑の部分がどうも飾りとしてしか見えないような印象を持ちました。そんなことで、そのお話を2つばかりさせていただいて、それから、きょうはワークショップのお話をいただきましたので、そこを受けて、少しお話をして、そして、じゃ、これから具体的にどうしていくかというようなことで3つお話しします。  まず、緑の立場からいうと、グランドデザインができていないなというのが1つと、今も広場はありますけれども、こういった広場を大事にした上で、もっと面的な緑を入れていくということが考えられないのかな。この2点を強く思った次第です。  グランドデザインとはどういうことかといいますと、近代都市をつくっている日本の中で造園の立場は弱いというのがあるんですけれども、近代都市をつくって中で造家と造園ができる。造家はそのうち建築というふうに名前を変えていきましたけれども、やっぱりセットなんです。ややもすると、建物を建てて、余ったところに、じゃ、木を植えておいてというような都市開発が今までは多く行われてきました。そういった中で、いわゆる緑を植えるオープンスペースと建物をセットで全体をどうしていくんだというようなマスタープラン、グランドデザイン、地のデザインをやっていくことが大事なのではないかなと感じられました。  特に緑というのは、面的にあることによって都市環境の改善も言われております。それから、ちょっと木陰ができるだけで、そこで人々のいろいろなシーン、生活スタイル、ライフスタイルシーンを演出できるということもあります。それから、特に広場というのは人々が集まってくる中心的な施設にはなくてはならないものだと思いますので、その辺をもうちょっと積極的に考えていく必要があるのではないかなと思いました。  ワークショップでいただいたお話の中で、ぜひ学校とか若い人にというようなお話もありました。私たちの演習でも結構やってはいるんですね。ここを対象にして計画したいというのも何チームかいまして、毎年そういうものを出しているんですけれども、なかなか表に出す機会がないので、ぜひ出していきたいなという気持ちがあります。もしかしたら、そういうのは、学生にとってみれば非常に大事なモチベーションを上げていく機会ですので、2年間構想段階、企画の段階がありましたので、ぜひああいうところをうまく生かしてやっていただけると、こちらとしてはうれしい。もっと言うと、若い子ですね。中学校、小学校、高校生といった人たちも、この2年間でうまく巻き込んでいくといいのかなというのが印象です。  矢口さんと角田さんから、音楽ホールですとか、レストランだとか、文化芸術という言葉が出てきました。これは日本で初めて日比谷公園ができたときがそうなんですけれども、独立採算でやっていく仕掛けをいかにつくっていくかが大事なんです。公園は税金を使って管理するというふうに思われがちですけれども、日比谷公園というのは松本楼があり、野外音楽堂がありということで、自分たちで収益を上げて管理していくという仕掛けをつくっていたんですね。ですので、例えばそういった音楽ホールだとか質のいいレストランを入れてあげて、ここの全体を管理していくような財源を確保していくということもあり得るのではないかな。そういった意味からも、あっていい施設ではないかなという印象は持ちました。  あと30秒ほどですので、もうちょっと簡単にいきますけれども、じゃ、実際にそういったものを踏まえて、どうやってやっていこうかとなったときに、やっぱりひっかかるのは、今の建築を残すのか、残さないのかということです。それがどうしてもひっかかってくる。古いから壊すというスタンスは、恐らく違うと思います。私は、残せとも言いませんし、残すなとも言いません、建てかえろとも言いませんけれども、古くても、うまく使っていけばということもあります。それが町の履歴だとか重さ、深さになっていくこともありますので、そこはこれからいろいろ考えていきたい。そのときに、区民の皆さんがどれだけこの建築に対して思いがあるのか、やっぱりこの2年をかけて、ここいっぱい埋まるぐらいの人数で、いろいろな世代の人で考えていくことが必要なのではないかなということがあると思います。  いろいろ出ていた中で、やはり分散ということ。分散しては機能性が非常に低いからまとめていくのか。ただ、分散していても、システムを整えて、流れをよくしていくのか、こういったことも考えられると思いますので、いろいろ課題は山積だとは思いますけれども、とりあえず5分と言われた中で印象を申し上げさせていただきますと、この辺で一旦切りたいと思います。  ありがとうございました。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。(拍手)  では、齋藤先生、お願いいたします。 ○齋藤氏 私は幾つかの観点から話をしたいと思います。  1つは、私は桜丘2丁目で幼稚園時代を過ごして、小学校は桜丘小学校に通っておりました。そのとき、今でも鮮明に覚えているんですけれども、幼稚園の年長さんぐらいのときだったと思うんですけれども、区民会館に映画を見に来ているんですね。そのとき、私の記憶では「小さいおうち」を見たと思うんです。この区民会館ができたのが昭和34年とおっしゃっていましたから、私の記憶が正しければ、幼稚園のときに見たのは多分昭和36、37、38年ぐらいではないかなと思います。そのときの建物の様子は覚えていないわけなんですけれども、そこで非常に文化的な、初めての映画との出会いがあったということは今でもとてもよく覚えています。そのように、区役所が事務的な、機能的な大変大事な側面をつかさどっているのと同じように、地域の中ではそこに触れるさまざまなアプローチがあるという視点をちょっと話したいと思います。  もう1つは、私は学校運営委員会の委員をやっておりまして、その学校は世田谷区役所の地域の中にある世田谷中学校です。以前は山崎中学校という場所だったんですけれども、若林中学校と統合して今は世田谷中学校という名前になりました。山崎中学校の時代に、中学生と社会科の授業で自分たちの町のことを勉強するということをやりました。梅ヶ丘駅あたりから松陰神社駅ぐらいまでがこの中学校の学区域の範囲なんですけれども、中学生たちは、小学校のとき、中学校のとき、区民会館を利用したり、中庭でいろいろなイベントがあったり、そういうものに参加したりして、まだそのときは中学生だから、20歳にはなっていないんですけれども、将来、成人式をこのあたりで迎えるような自分たちの生活の中にこの空間があるというわけです。  その勉強の中で、20年後の自分たちの町をどうしたいかという最後の発表があったんですけれども、意外とディズニーランドみたいにしたいという意見は1つもなくて、古いものを大事に使っていきたい、緑を残したい、5つの班のうち4つの班がそのような発表でした。区民の皆さんもワークショップをされて、ここの課題というのを洗い出して、こんなことを解決したらいいのではないかというふうに多分提案してくださっていると思うんですけれども、中学生たちは自分たちの町に対して結構保守的というんですかね。今、育まれている環境を非常に大事にしたい、自分が大人になったときもそうであってほしいということを思っていることが勉強の過程の中で感じました。  言いたいことは、そういったシンボル性というか、公共施設は長い間変わらないでいることで地域の中の記憶だとか象徴性を獲得するものだということです。今の庁舎は古いだけあって、それだけ獲得しているものがあるということですね。ですから、これからどのような形になっていくか、わかりませんけれども、それ以降の何十年かの間にまた、新しくそういった歴史性や記憶、シンボル性を獲得していくものになってほしいなと思いました。  もう1つは、私は実は世田谷区役所で働いていたときがありまして、十数年間働いていたんですけれども、確かに狭いとか、資料を置いておく場所がないとか、働く立場からも非常にいろいろな課題はあります。これは職員の皆さんも感じているところだと思います。  ただ、その間、バリアフリーですとかユニバーサルの視点で公共施設を見直すというワークショップを毎年ずっと続けておりまして、この区役所周辺、区役所の中、これらもかなり、何度も何度も点検をして、提案を区民の皆さんとつくっています。そのユニバーサルなデザインについてなんですけれども、これは新しい建物になるか、ならないかにかかわらず、整備されなければいけない課題だと思っています。だから、ある意味、10年待てないわけです。そういう意味では、今ある空間をどのようにしていったらいいのか。物理的にどうしたらいいのかということと、あとサービスをどうしていったらいいのかという両方から考えていく中で、その次のステップをきちんと出していかなければいけないのではないかなと思います。  そういう意味では、分散型なのか、集約型なのかという議論がありますけれども、やっぱり垂直移動というのは、さっき都庁の例もありましたけれども、どんなにエレベーターが何基も動いていても、かなりバリアなんですね。それは、健常の人にとってもやっぱり移動しにくいというものがあります。ですから、必要とされる面積を積み上げていって集約していくと、どうしても大きいボリュームになってしまうと思うんですけれども、そのとき、果たしてそれが使いやすいのかどうか、ユニバーサルなものなのかどうか、これは本当にもうちょっと時間をかけてゆっくり考えていきたい課題だなと思っています。しかも、この世田谷1丁目ですか。豪徳寺や松陰神社があるような世田谷の中では歴史的な景観が残っている中で、どういうボリュームで考えていったらいいのか、分散型にすることはできるのか。それから、文化的な施設も、例えば国士舘大学のこのようなホールを使わせていただくとか、いろいろな民間のものを併用して活用していく方策はないのかとか、そういった外側との連携ということも考えながら進めていければいいのではないかなと思いました。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。(拍手)  では、野沢先生、お願いいたします。 ○野沢氏 野沢です。よろしくお願いします。  さっき話がありましたアドバイザーの検討会、我々で議論したんですけれども、お相手をしてくださったのは庁舎問題にかかわる人たち、区の行政の方だけという感じの会議だったんですね。ですから、できるだけこのお話は、区民の皆さんの財産というか、税金で、もちろんよそのお金も入るのかもしれませんが、区民の皆さんがオーナーとして登場する区の公共的施設として整備されるということですから、ぜひ皆さんの自発でこの問題について、御自身の責任も含めて、楽しみも含めて考えるようなフィールドをつくっていただいて、そこで今、行政の中での検討では、10年後ですか、8年後ですか、になる話が、もっと急ぐべきだということになったり、あるいはどういう形でその仕組みを転がしていったらいいかということを考えていただくという、非常にあれですけれども、格好よく言えば自発的な民主主義が動くのがすごく大事なのではないかなと思います。  具体的に設計事務所をやっているのはこの中では僕だけなのかなと思うんですけれども、僕は立川の市役所をコンペという仕掛けでやることになりまして、数年前にやりました。そのときは、ずっと議論していたのは、3ユーザー会議というのがありまして、行政の方と議員の方のグループと自発の市民のグループが、どういう市役所にしたらいいかという報告書をずっとつくったりしました。その中で僕らは呼ばれて、役割を果たしにいったと。そういう意味では、さっき青山先生が言われたような形をとったということになるかと思います。そうすることは、やっぱり自分たちのタックスで自分たちの建物を建てたということで、一番落ちつきどころのいい、心配のないものができる方法だし、Aさんの言うこととBさんの言うこととCさんの言うことを調整することになると、私の言っていることの一部はちょっと控えておこうみたいな、非常に成熟した仕組みができるんだなと僕はそのとき本当に感じました。ですから、まずそれが一番だなと思います。  もう1つは、名前を具体的に言うのはあれですけれども、前川國男さんは丹下健三さんのような方だったかどうかはちょっとおいておきますが、前川國男という人は相当誠実な建築家だったと思います。だけれども、50年前に50年後が予測できたかというと、それは難しかったのかもしれない。たしか17万人だった区民が80万人以上になっているわけですよね。その状態を想像できたかというと、それでは、80万人用の建物を建てましょうということはあり得たかというと、多分世田谷区にもカヤぶきの家がいっぱいあるような時代だったはずです。50年前は。それは多分物すごく難しいことだと思います。ですから、何らかの格好でこの建物の周辺を含めて、この建物を含めて、4万平米なり何なりがちょうどいいのかどうかはわかりませんけれども、改修されるということはちっともあっていけないことではもちろんないと思います。それは間違いなくそうです。  しかし、これから35年後の日本の人口は九千数百万人だという話があります。50年前よりももっと短い。これからこの建物が建つのに10年かかるとすると、それから25年後です。それから25年後の日本の人口は九千数百万人で、2100年、今から85年後ですから、この建物ができてから75年後には6000万人台になるというふうに予測されていて、それは間違いないんだと。今の子どもの数とかからですね。そういう社会になったときに、その大きな建物なり何なりがどのぐらい必要なのかみたいなことまで市民グループの方々と行政の方々等のこの建物に対する計画の中で考えていかなければならないのかもしれないですよね。どのぐらい考えられるかはわからないですよ。それが1つすごく大事なことかもしれないな。僕はそれを考えてみる楽しさがユーザーになることの楽しみなのかもしれないなとも思います。  もう1つは、外国の例を言うのはあれですけれども、外国の公共建築を幾つか見ていますと、インターネット等でチェックしますと、時折、さっきのお話にあったコンサートホール。例えばロイヤル・フェスティバル・ホールなんかは1年半ぐらいお休みしているときがあります。2年ぐらい前にロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールが1年半ぐらい休みました。パリにできたポンピュドーセンターもそのちょっと前に1年ぐらい休みました。建物ができて20年ぐらいたつと、1年半ぐらい休むんですね。何で休むかというと、やっぱりさっきのトイレだの、雨漏りだの、どこが狭いだの、オフィスが足りないだの、リハーサルルームが足りないだの、いろいろなことが起きるんです。あと、一番簡単にいうと設備がまずくなる。つまり、今一生懸命環境に配慮した建物にしますと言っていますよね。それは今の技術による環境に配慮した建物なんですね。例えば10年前の環境技術と今の環境技術は全く違います。20年ぐらいたったら、今建てたもの。これの場合は10年後ですけれども、今、計画して、5年後に設計して、10年後にできるとしたら、10年後にできた建物は15年ぐらいたつと、また陳腐な設備、陳腐な環境技術の建物になります。だから、彼らは20年ごとぐらいに1年ぐらい休んで……。  区役所の場合には休めませんから、順次やるんだと思いますが、大きく手を入れて、ロイヤル・フェスティバル・ホールばかり言いますけれども、ロイヤル・フェスティバル・ホールはこのホールより古いですよね。戦後すぐにできたホールですけれども、過去に2回か3回、1年ぐらいのお休みをもらっています。そこで2020年型に直すんですね。つまり骨は1950年型でも、設備だとか、さっきのノーマライゼイーションだとか、あるいは椅子と椅子の間隔みたいな解決であるとか、裏方を直す。そういうことによって建物は2020年型になるということを彼らは知っていると思います。そのほうが豊かな建物になるということも知っているような気がします。  やっぱりよく言う、格好よく言えば、今のストックの時代であるとかサステイナブル。片仮名ばかりであれですけれども、要は持続可能な社会というのは、今ある金をどんどこ使っていくと、日本の今の経済みたいになってしまうぞみたいな話があって、使えるものは使っていく。使えないものは使わない、使えないようなものとして処分していく。そこで新しい、過去と今が重なり合っているという風景なり、そういう町をつくっていくことが多分、過去を忘れないことにもなると思うんです。過去が全部なくなってしまった町というのは、やっぱりあしたどうしていいかわからないような町になるのではないかという気が僕は少しします。家の中に1つか2つ、伊万里の小さな皿があるとか、そういう楽しみというのは町にもあるはずです。そういうことを考えながらこの計画を進めていっていただきたいなと思うんです。だから、それは、さっき皆さんおっしゃっていますから大丈夫ですけれども、全部壊すとか、全部残すとか、そういうヒステリックというか、そういう慌ただしい議論ではなくて、ゆっくりみんなで賢くなっていくというプロセスを踏みながら、みんなで参加して、みんなが納得する。もちろん妥協もするんだと思いますが、そういうプロセスがいいのではないかなと思います。(拍手) ○萩原総務部長 ありがとうございました。さまざまな御意見を伺ってまいりました。  では、これまでの発表とか先生方のコメントに関して、また区長から何か発言をお願いいたします。 ○保坂区長 じゃ、これまでのお話の中で、特に青山先生からもう少し明確に打ち出して、関心を喚起してというアドバイスをいただきました。アドバイザーとしての青山先生の御発言の中で非常に考えるきっかけになった一言がございまして、それは、区役所あるいは行政組織なるものの組織のあり方というものは、今日的時代においてこれでいいのかということをおっしゃいました。まあ、いいわけはないと思うんですけれども、よく考えてみると、日本全国、今でも小さな村にある村役場が肥大化し、増殖して、世田谷区も含めて行政の組織になっているし、建物になっている。そこをもう1度考えてみて、あるいはもっと言えば1回壊して、この時代に対応するようにつくりかえて、その上で、この組織にはこういう建物ということで考えてはどうかというのが、発想を展開する1つの糸口になったかと思います。  そういう意味では、担当課長から説明があった中で地域行政制度、つまりはあるコンサルタントの方、世田谷区もこれ以上赤字が膨らむと大変だということでいろいろ呻吟してきたわけですけれども、ある方に、区長、総合支所とか地域の行政施設を全部廃止して、中央に統合すれば財政はよくなりますよというアドバイスを受けたんですが、結論として、今現在、世田谷区が直面している88万人という人口、超高齢化社会が始まり、また、子ども増社会、1000人ずつ5歳以下の子どもがふえている、また、1000人ずつ認知症の方もふえているという、なかなか困難な課題。特に区の窓口には今以上に多くの問題が寄せられるだろうことを踏まえると、地域行政制度を強化するということで考えています。つまり総合支所ですね。今ある玉川総合支所は5年後に改築をしようということで、現在計画を進めているところなんですね。そうすると、本庁舎の議論の中でポイントになるのは、世田谷総合支所を、例えば交通の利便性がいい三軒茶屋とかいうところへ、本庁から切り離して、いわば総合支所として取り出すかどうか、あるいはそれが実際できるのかどうかというところが1つポイントになろうかと思いますけれども、全体としては地域行政制度を強化し、27カ所あるまちづくりセンター・出張所も身近な福祉の窓口であったり、防災上のさまざまな住民組織のネットワークのかなめということで再定義をいたしまして、これをいたしていこうというふうに思っています。  多分建築物というのは、やっぱり思想といいますか、物の見方、考え方、哲学、いろいろなものが出てくるんだろうと思います。多分この世田谷区役所の中庭は、誰もがさまざまな思い出、あるいは心象風景となっていて、それだけではなくて、多様な区民の活動の、いわば空間的な保障になっているのかなとも思います。ですから、これからの庁舎の議論は、もちろん本庁舎はそういう問題を、今ワークショップ参加者の皆さんからもあったように、狭隘であったり、実務的に非常に使いづらい、あるいは人口密度が多過ぎて、多々問題を重ねているということは事実ですので、なるべく皆さんの意見を聞いて、もう少し議論が進むように基本構想立案の論点を絞り込んでいきたいと思っております。 ○萩原総務部長 どうもありがとうございました。先ほど各先生方から5分をということで御発言いただきましたけれども、これまでのほかの先生のお話を聞いたり、また、区長の発言もお聞きされて、ちょっと補足しておこうということがございましたらどうでしょうか、ありますでしょうか。 ○青山氏 ちょっとだけ。今、区長がおっしゃったのは、別の面からいうと、日本は、政府があって、都道府県があって、区市町村があります。これを三層制というんですけれども、そういう国は珍しくて、普通は四層制か、五層制なんです。例えばニューヨーク市でいうと、連邦政府があって、ニューヨーク州があって、ニューヨーク市があって、マンハッタン区とか、クイーンズ区とか、ブロンクス区とかあって、これで四層制ですね。区長の選挙もします。それに加えて、あとコミュニティーで、五十幾つのBIDがそれぞれの区にあるというふうな五層制をとっているわけです。大体そのぐらいが普通であって、世田谷区なんかは88万都市なので、日本でいえば政令指定都市だし、県で世田谷区よりか人口が少ない県はたくさんあります。 ○保坂区長 7つです。 ○青山氏 そういうところですから、総合支所の自治権を拡大していくというようなコミュニティー自治を進めることがあっていいのではないかということなんです。  もう1つ、スピードが大事だということでいうと、防災のとき、区市町村によっては防災センターだけ堅固な建物をつくったりするところがあるんですが、区民からすると、実際に災害が起きたときこそ、教育部門も、福祉部門も機能してもらわないと困るわけでして、もし災害が起きたときには機能しないでいいという部門があったとしたら、それはふだんも要らないはずなんですね。ですから、私は、やはり防災センターだけ耐震強度が高ければいいというものではなくて、区役所の本当に必要な部分であれば、それはやはり区役所全体が強固な建物になるということは不可欠な話だと思います。  待ったなしという面でいうと、やはりバリアフリーと省エネ化は待ったなしだと思います。特にここでオリンピックが6年後です。オリンピックがあるということは、パラリンピックが来るということです。パラリンピックのウエートというのは近年物すごく増してきておりまして、ここで日本全体のバリアフリー化が一気に進みます。そういう背景も考えていかなければいけない。  省エネも同じです。オリンピックの理念の1つがサステナビリティーであって、水と緑は当然飛躍的にふえていくことになると思います。この6年間に。オリンピックが来るからふえるのは、ちょっと業腹で、しゃくなんですけれども、こういう機会にこういうものはふやしていかなければいけないというところもあるので、やはり相当急ぐ面があるのかな。  さらに、スポーツ人口とスポーツの観客はこの6年間に飛躍的にふえると思います。さらに言うと、今のオリンピックは文化イベントでもあります。オリンピックが来る1年前から各施設においてスポーツイベントを試しにやらなければいけないんですけれども、同時にオリンピックのルールでは、オリンピックが来る3年前から文化イベントを全国で展開するというルールになっていますから。時代としても、日本人がこれから音楽とか、アートとか、エンターテインメントだとか、そういったものに対する志向は飛躍的に高まる時期に来ていますので、これがオリンピックで拍車がかかることになるので、そういった要素も考えなければいけないということだと思います。そういう意味でいうと、世田谷区政も一大転換をする時期に来ているので、これと庁舎移転と同時に区民全体で議論することはすごく大切なことではないかと思います。 ○阿部氏 1つだけ。公園というか、緑の空間と防災の絡みなんですけれども、関東大震災があった後、公園様という投書があったと言われています。公園に逃げ込んだ人が命を救われて、公園のありがたさを実感した。それによって、下町を中心に三大公園、隅田公園、錦糸公園、浜町公園という大きな公園と52の小公園ができました。52の小公園、小さな公園は小学校とセットで置いたんですね。防災で大事なのは日常的に行きなれているところであるかどうか、逃げ込む先がですね。そういったところが大事だったということです。その意味で考えると、区庁舎の場所は日常的に皆さんが来る場所である。そういうことからしても、やっぱり広場は非常に大事であるし、逃げてきた人だとか、周りの町との関係の中から緑も必要になってくるようなことがあると思うんです。ですので、そういった意味でも、やはり緑の空間をここに入れていくことが必要なのではないかな。  ただ、そうなったときに、この敷地面積でどれだけいけるんだよというような話もありますけれども、例えば密集したパリの町の中では、建物は、古いものは、基本的には割と残しているんですよね。だけれども、そこに新しいものを入れていくときに、例えば近代的な商業施設があったりしたら、建物もリニューアルしつつ、その上に緑の空間、公園をかぶせていくような仕掛けもやったりしている。その仕掛けを考えると、やれないことはないのではないかなという気もしますので、ぜひそういった空間をあわせ持つ庁舎であってほしいなというのが緑の立場からの印象です。 ○齋藤氏 ちょっとだけ。今、緑の空間のお話があったんですけれども、世田谷区役所のオープンスペースのことなんです。いわゆる中庭の部分なんですが、このオープンスペースは、区民のいろいろな参加の歴史から見ても、やっぱり大変多様に使われていた空間ではないかなと思います。室内のミーティング、室内でのいろいろな市民参加の会議ですとか、そういうのもとても必要なものだったんですけれども、オープンスペースがあることで区民の人たちの参加の形態が多様になった、これは世田谷の特徴の1つなのではないかなと思います。きょうは時間がないので、1つ1つの事例を言うことはできないんですけれども、市民の皆さんが点検をして、こういうところが区役所のよかったところだよねというものを必ず挙げていただければなと思います。  もう1つ、屋内のスペースなんですけれども、多分ここ十数年、20年ぐらいの間に区民の人と市役所の人、または区民の人同士が区役所を使ってミーティングをしていくという機会が相当ふえたのではないかなと思っています。そういう参加型の施設の利用の工夫というんですか。そのようなものも場所があればいいというものでもなくて、どんな動線をつくるのか。そういったことも含めて、区役所は区民も利用する。ただ、それは事務的な利用だけではなくて、参加の場として利用していくという視点も検討の中にぜひ入れていきたいなと思っています。 ○野沢氏 時折その20年ごとに見直すということをちゃんとやるということをしてこなかった今の区民会館と区役所については、本当に残念な状況にあると思っています。ですから、その残念な状況は、だんだんだめになっていくようなことをしていたのか、どんどんだめにしていったのか、僕は両方あるような気がします。古いままにしてあるのも問題だということはさっきも申し上げたつもりです。そういう意味では、本当にいろいろなことを考えて、ここでは議論し尽くせないほどいろいろなことを考えて、その面倒くさいマトリックスを楽しそうに解くという作業をみんなでしていくことになるんだろうな。多分公共建築というのは、本当は全部、どの公共建築物もそう。学校もそうだし、その他の建物もそうしていかなければいけないと思います。  50年たったから、古いから壊そうという話をもしも世田谷の学校に当てはめると、世田谷の学校は100ありますから、50年たったら、また50年前に建てた建物を壊す。つまり毎年2校ずつ学校をつくり続けることを永遠にやめないということをしないと、今の50年たったものは古いという理屈の矛盾から僕らは抜け出せないことになるんですね。ですから、やっぱり新しい物の考え方に一大転換しなければいけないと思います。それは、文化的な視点も踏まえて、安直でない、新しい、よく考えられた……。50年後の人がよくやってくれたと言うようなものにしないわけにはいかないんだろうと思います。  ここに日本建築家協会の世田谷のグループの人が自発でつくった資料がありまして、これは古い資料です。前の区長さんが計画を進められて、先ほどのリーマンショックで頓挫したときに、この計画はないのではないかということで、我々がその計画に対して対抗案をつくったときのものです。だから、今のものではありません。だけれども、そのときの計画案は、区民会館を壊して9階建ての建物を建てるというのが第1ステージで、それから徐々に建てかえていくというステージ、計画だったんです。それの絵、このようになるのではないかというのがこの小さい紙にある、下の赤い建物です。  区民会館のところにしか高いのは建たないんです。後ろのほうに影が落ちますから、一番区民会館は壊さざるを得ないという絵になっていまして、これが僕は安直だと思うんです。そうすると、上の絵に―余りシルエットがはっきり写っていませんけれども、その前、南側にある住宅にとっては背中に9階建ての建物がそびえ立つというプロジェクトになっていたんです。改築してはいけないなんて、何にも言っていないんですけれども、こういう案は安直だろうというので、僕らはこのときに4階建てぐらいだったかな。今の第3庁舎以降をいじれば4万平米は建ちます。それで、第1庁舎と区民会館は徹底的にリニューアルすると。東京文化会館のようなすてきな―東京文化会館と世田谷区民会館は同い年ですから、東京文化会館のようなすてきなリニューアルをして、きょうのお話にあったようなホールになるかどうか。300人、200人の合唱団で、100人のオーケストラが乗るかどうかは、僕もちょっとやばいなと思いましたけれども、今日的なさっき申し上げたような今の快適さが問題なのは、建物の?体ではなくて、装備、設備、バリアフリーその他が問題なのだ、省エネが問題なんです。それは?体のせい、コンクリートのせいではないんですね。ほかの部分のせいなんですね。その辺を考えて、文化的な継続も含めた一大転換を見事にやり遂げたら、どこにもない、世田谷にしかない見事な成果があらわれるんだろうと思うんです。そのためにどういう仕組をつくったらいいかを皆さんが考えてくださる、あるいは皆さんと行政の方々と議会の方々みんなで考えてくださることがすごく楽しそうなプロジェクトでいいなと思っているなということです。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。  ではここで、10分間ほど休憩をさせていただきまして、さっき細かい時間を言っておりましたけれども、8時23分ということで10分間休憩をさせていただきます。その後、後半に移ります。 〔休憩〕 ○司会 それでは、パネルディスカッションを引き続き始めさせていただきたいと思います。  これからは、先ほど会場の皆様からいただきました意見・質問票をもとに、パネリストの方々からコメントをいただくとともに、区からもコメントさせていただきたいと思います。  それでは、進行につきましては、先ほど同様、萩原総務部長、お願いします。 ○萩原総務部長 では、引き続き進めさせていただきます。  意見・質問票を先ほど回収いたしましたけれども、全部で32枚ということで、件数はその中で複数書いた方もおられました。御協力ありがとうございました。お時間の関係もございますので、全ての御意見、御質問にお答えするのは難しいと思いますけれども、類似しているものについてはまとめるなどしてコメントしていただきたいと思います。  バリアフリー、緑、防災関係について幾つかいただきました。例えばユニバーサルデザインの先進的な研究を取り入れたものにしてほしいとか、地下を防災拠点に、地上を緑化し、区民の憩いの場にといった御意見、災害時に迅速に対応できるように災害対策の拠点として早く建て直すべきだというようなこと。このバリアフリーとか緑の関係、防災対策を急げという御意見、御質問等について先生方、先ほども幾つか御示唆いただきましたけれども、何か補足するような、あるいは新たにお話しいただけるようなことはございますでしょうか。  では、齋藤先生、お願いいたします。 ○齋藤氏 バリアフリーとかユニバーサルデザインのことについてなんですけれども、全く早く整備を進めなければいけない部分ではないかなと思います。実際に20年以上前から区民の人たちが点検をして、こういうふうにしたらいいと提案しています。さっきの野沢先生のお話にもあったんですけれども、古いものも、その都度、その都度ちゃんと点検して、新しくしていく必要があるのではないかということも、全くそのとおりの部分だなと思います。例えばトイレですとかは今少しずつふえてきてはいるんですけれども、やはり時間外のアプローチですとか、そういう部分ではシステムで改善できる部分も多いのではないかなと思っているんですが、そこはまだ、全く着手されていないところなのかなと思います。こういうことは多分、今、改善することで、新しい建物を計画していくときに必要な部分が見えてくるのではないかなと思っています。  最新の設備についてなんですけれども、これも今の時点の最新の設備というのは、20年後には古くなるわけで、そういったものも見越しながら、皆さんと常に検証していく必要があるのかなと思います。  障害の種類と言ったら失礼なんですけれども、いろいろなタイプによって、バッティングするような課題もたくさんあると思うんですけれども、そういうものも立場の違う人同士が一緒に考え合える機会をぜひつくっていければいいのではないかなと思っています。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。ユニバーサルとか緑、防災というふうにくくってしまいましたが、じゃ、野沢先生、お願いいたします。 ○野沢氏 これは僕が言うことではなくて、本当は青山先生が直接お話しされればいいと思うんですけれども、アドバイザー会議の中で青山先生がおっしゃられた中で僕が一番衝撃的だったのは、防災拠点、防災というのはどうやっていくのかという話。そのロジスティクスというのかな。兵たんというんですか、僕は、要はその状況をイメージできていないなと思いました。防災センターがあるだけでは防災にならないというのがそのことなんですけれども、要は自衛隊が来たり、土建会社がブルドーザーを持ってきたり、大勢の人材と資材がわっと来る。瓦れきを片づけるとか、そういうことなんだと。そのほかに、救援物資とかがどかんと来ると。そうなると、相当幅の広い道路のそばとか、そういうところの話だよというのが、僕は、ああ、そうかと思いました。ここに拠点があるのは悪くないと思うんですけれども、本当に関東大震災みたいなものが来たときのことをきちんとイメージできるということが僕らの頭の中にないなというのと、気がついたら、よくわからないんですけれども、さっきの総合支所みたいなものの考え方がすごい大事になるなというのをそのとき気がつきました。  そういう意味では、ここにあるものはヘッドクオーターでみたいな話が防災なんだろうなというものがそのとき僕の気がついたことです。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。幾つか分野、いろいろなことが聞かれておりますが、何か補足はありますか。  では、青山先生、どうぞ。 ○青山氏 今、指名されたので。防災は、今おっしゃっていただいたことでいいんだと思います。要は区役所は中枢管理機能を果たさなければいけない。危機管理の分野ではこれをオフサイトというんですけれども、ほかにデポが必要だと。ここにいろいろな物だの、人だのが集まる。これをオンサイトというんですけれども、両方必要だということと、その間に通信機能の確保が必要だということだと思います。  区民サービスを継続するには、福祉でも、教育でも、被災者支援でも、要するに情報システムが壊れていないということがすごく大切なので、それを確保しておくこと自体が防災機能になるということだと思います。  水と緑についてですけれども、これからの時代は水と緑には絶対的な価値があるというふうに考えないと、私は間違えてしまうと思います。20世紀でも都市公園というものは、もともとは荒れ地だったり、畑だったり、練兵場だったところにつくっていったものなんですけれども、そもそも市街化したところの緑を残すという発想ではなくて、一旦市街化したところに緑をつくっていくというのが都市公園とか、水とか緑の発想であって、明治神宮なんかも練兵場や畑だったところを今はああいう森にしたわけですけれども、東京都も都立水元公園は平たんなところ、畑だったところを今はメタセコイアなんかを植えて育てたわけですけれども、ニューヨークのセントラルパークもそうだし、ロンドンのハイドパークやリージェンツパークもそうだと思います。だから、世田谷区で庁舎と区民会館を建てかえるといったら、当然水と緑をふやすという発想が必要なんだろうと思います。そういう考え方でこの問題を考えたほうがいいだろうと思います。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。  区長にはまた、最後のほうでコメントをいただきますけれども、建設の整備手法についても幾つか御意見等をいただきました。例えば建てかえではなく、今あるものをどのようにすればいいか、使い続けられるのかを基本方針にすべきだとか、世田谷区は広いので、本庁舎を大きく建てるのではなく、分散型が理想と考えるがどうかとか、あるいは逆に、全面改築しか区長の決断はあり得ない、引き延ばすのはいかがかというような御意見もいただきました。先ほどの御発言の中からもいろいろなことをおっしゃっていただきましたけれども、こういった整備手法について何か補足することがあれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。―よろしいですか。先ほど大分御意見をいただきましたので、そのような意見を会場からいただいております。  そのほか、区民のアイデアで愛される庁舎をということで、もっと区民の意見をというような御意見をいただいております。ソフト面ですけれども、この辺で何か助言とかございましたら教えていただければと思います。  じゃ、野沢先生。 ○野沢氏 さっきもう既にお話しさせていただいたかもしれないんですけれども、立川は17万人ぐらいしか市民がいないのに新庁舎建設市民100人委員会というのをつくったんですね。100人委員会というのをつくれと言ったのも市民なのかもしれないんですけれども、行政が100人委員会をつくりまして、その100人委員会がコンサルも何も呼ばずに自分たち―1人某大学の先生はいらっしゃいましたけれども、その方が代表者みたいになって、百二、三十人の方々で市庁舎を建てかえるについての議論を始めて、1年そこそこかな、2年ぐらいで市民案の基本構想。新しい市庁舎についての市民の基本構想というものをつくったんですね。その基本構想を市が受けて、市の基本構想というものにしたんですけれども、中身はほとんど同じものなんです。今度は市民がつくった基本構想をもとにしてできた市の基本構想が動き出したわけですけれども、その中には、設計者を公募で選べとか、いろいろなことがあって、そういうプロセスを踏んで、全てを公開しろと。建設会社を決めるのも全部公開でやるということをずっと継続して、市民の代表者。100人の方の後、そこから再度手を挙げられた20人ぐらいの方々だったと思いますけれども、その方々がずっと、さっき申し上げた3ユーザー会議というものを仕切られたわけです。だから、行政は実はすごい楽をしたんだろうと思います。ほとんどの作業は市民がみずから担ってやりました。公開のコンペをやって、1次審査、2次審査とかやって、建設会社を決めるのも公開で、出てきたアイデアなどを採点したりして。採点するのは専門家に依頼していましたけれども、設計者を選ぶときなんかは市民の投票もありました。ですから、こういうものは、いかに人の仕事にしないで、本当のユーザーであり、オーナーである市民の方々がこの計画に参画する。その参画することを行政が楽しみにしてくれるといいますか、普通のことなんだと思って考えてくださる。あるいは議会の方も市民の方が直接責任を持って入ってきてくれることをもう1つの形の民主主義の姿なんだと思ってくださる。そういう一種の成熟した、けなし合うとか、あるいは非難し合うとか、そういうのではない建設的な建設計画を進めていくというプロセスがすごく大事なんだろうなと、私のちょっとした経験から思います。ぜひそうしてほしいと思います。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。  青山先生、どうぞ。 ○青山氏 区民のアイデアを募るというのは非常にいいと思います。その場合、今おっしゃったような方法もあるし、その中で、例えば防災でいえば生活用水をどれだけ区役所の下にタンクをつくるかとか、具体的にいうと、今までは1人1日3リットルと地域防災計画は普通できているんですけれども、それは飲料水だけなので、生活用水が必要だねということになってきていて、墨田区役所は地下に2000トンためているんですね。都立高専を荒川区につくったときは9万トンためたんですね。それから、墨田区にスカイツリーをつくったときは地下に生活用水を7000トン、いざというときに使えるようにしてあるわけですけれども、その種のこととか、あるいは環境面でいうと、ヒートポンプとか、コージェネとか、水素でも、地熱利用でも、何でもいいですけれども、風力とか太陽光って大抵かけ声倒れで失敗している例が多いので、その種の新技術で日本初の新技術、省エネ技術っていろいろあると思うので。  ちなみに、スカイツリーも地熱発電を利用しているんですけれども、地下2000メートルぐらいのところですけれども、その種の最新技術で、さすが世田谷と言われるようなものを取り入れていくということも大切ではないかと思います。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。  あと事務レベルで答えられそうなものは、例えば庁舎面積について、本当に限られた敷地面積で必要な機能が何かを検討しているのかとか、財源はどうするのかといったような御意見、御質問をいただきました。庁舎面積につきましては、例えば国の補助金もある程度の基準がございまして、職員1人当たりに何平米の何という計算方式もありますけれども、それだけではなくて、世田谷区役所は区民との交流、あるいは区民のものでもございますので、こういった交流のスペースとか、先ほど出ましたような防災上必要な災害対策本部機能をより充実できるような面積をこれから具体的に計算していきたいと思います。  また、財源につきましては、平成26年度予算では特別区税が多少上向きの状況がありまして、歳入等ちょっとふやしておりますけれども、そうはいっても決して予断を許さないということでございますので、これからの経済状況だとかをしっかり踏まえて、また、例えば基金を積み立てるとか、しっかりした裏づけを持った計画を進めていきたいと考えております。  それから、これはもう御意見ということで幾つかいただいておりますので、まとめて紹介させていただきたいと思います。例えば10年は長過ぎる、なるべく早くしてほしいとか、あるいは長期スパンで50年後までの世田谷を思い描くべきであるとか、ソフト面でいいますと、区民にわかりやすいワンストップのロビーになるような広い庁舎にすべきというような御意見もいただきました。音楽ホールが欲しいという御意見をいただく一方、音楽ホールより図書館を見直してほしいというような、学生が勉強するための図書館が欲しいという趣旨の御意見もいただいております。役所は必ず手狭になる、専門家の意見も聞いてその辺を対応してほしいというような御意見もいただきました。分類すると、大体そのような意見をいただいております。  では、全般を通してですけれども、何か御意見とか、ちょっと補足しておきたいということがあれば、先生方の御意見を伺った後に、また区長からまとめてコメントしたいと思います。先生方いかがでしょうか、お手を挙げていただいて。  じゃ、阿部先生、よろしくどうぞ。 ○阿部氏 1番目の質問と2つ目の質問に対しても言いそびれていた部分がありますので、その辺でお話ししておきます。  順序は逆になりますが、区民のアイデアについていうと、せっかく2年という期間があるんですから、そこでやっぱり入れていく必要があるのではないかな。私は都市計画系の話もやるもので、日本の都市計画のパイオニアと言われている石川栄耀なんかは当初から、都市計画というのは、行政と、そこに関係する人たちが両輪でやっていくという考え方でやろうとしていた意図があるんですね。ですが、それがいろいろな理由で今のような状況になっているんですが、それはおいておいて、彼がもう1個やったことの中で非常に注目すべきだなというのは、子どもたちにまちづくりに対する関心を持ってもらうということをやっているんですね。海外、ヨーロッパとかを回ってきたそれを「私達の都市計画の話」という副読本にまとめているんですね。ですから、子どものころからそういうものを育てていくことが大事なのではないかな。そういった意味でも、小学生、中学生、高校生、大学生もそうですけれども、こういったものをうまく巻き込んでいく、そういういろいろな仕掛けがあると思うんです。我々なんかは、コンペなんかをやってもらうと非常に喜んでいるんですね。やったりしますので。そのような仕掛けを考えていくというのが必要なのではないかなという気がします。  それと1個目、防災と緑の話の質問をされたときに、緑の話は何かおまけ的だったので、ちょっとタイミングを逸した部分もあるんですけれども、かなり具体的なアイデアとして、地下に防災センターをつくって、地上に緑、公園というようなお話がありましたが、それだけではなくて、いろいろなタイプがあると思うんです。2階、3階上げた上に広場にしていくだとか、そういうものもあると思います。先ほどパリの話ではLes Halles(レアール)地区というのがありまして、パリ市のホームページを見てもらいますと出てくると思います。残念ですが、フランス語ですけれども、そういったものとか、立川の昭和記念公園にそういった文化施設があって、あそこなんかもまさにそういった丘の下に建物があるような空間になっています。そういったいろいろな事例を子どもたちだけではなくて、我々もいろいろな事例を学びながら、こんなものがいいのではないかというものを考えていくといいのではないかなという気がします。  私が緑、緑と言うのは単なる環境の話だけではなくて、整備計画の中で世田谷らしさは何かということをうたっているところなんですね。世田谷は全国の緑の自治体の中で割と頑張っているほうだという話になっているんです、一応専門の分野では。ですから、そういったこともあって、やっぱり雑木林がだんだん都市化されていって、そういった自然と緑とが調和している町だ、そのイメージを大事にしてほしいなというのがあって、緑、緑と言わせていただいているという御理解をいただければなと思います。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。会場等の関係でもしあればもうお一方程度ということでよろしいでしょうか。―では、いろいろ御意見をいただきました。保坂区長から総括的な意見とか御挨拶をさせていただきたいと思います。 ○保坂区長 ありがとうございました。またいろいろ御意見、会場からも出していただいてありがとうございました。  まず、本庁舎整備ということですけれども、前川國男さんという方が設計をされたということで、この間、例えば神奈川県立音楽堂、その隣に建っている青少年センター。音楽堂は昔のままなんですが、耐震だけやってある。青少年センターはリノベーションして、ほとんど新築なのかなと思えるぐらい手を入れたというパターンを見てきました。また、東京文化会館もまた新しく改修に入るという、1999年の改修とその後の改修についても勉強させてもらいました。  また、野沢先生からあった立川市役所も、今週の月曜日に行ってまいりました。市民参加で基本構想までつくったというのは非常に驚きなんですが、入ってすぐ、エレベーターが、ちょうど車椅子が2台横に並んで上れるような形になっているんですね。そういったところも市民の意見から出たということですし、夜の10時まで環境の問題であるとか、福祉だとかいうことで、市民がさまざま話し合うスペースが庁舎の片側に寄っているんですね。昼間はオープンになっているんですが、市役所職員が働いているフロアとミーティングルームとの間に夜になると仕切りがおりてきて、いわば10時までは市民は自由に使っている。市役所の中でワークスペースには直接は立ち入れないようになっているなどの構造も市民からのアイデアだったというふうにも聞いています。  もう1つ感心したのは免震構造です。東日本大震災の直前にでき上がって、駐車場の柱のところにゴムのパッキンがつけられていましたけれども、被害ゼロだったということで、実は二本松市役所にも被災地支援で行ってきました。東日本大震災、福島市、福島県でやはり相当揺れましたけれども、免震構造でほとんど被害はなかったということで、免震ということはぜひ入れていきたいなと思いますし、どのような形で本庁舎を整備しようかというところで、きょうはその1回目の試みでシンポジウムということで御参加いただいていますけれども、もう少し……。例えば一部か全部を改築しますというふうに今のところはまとめてあるんですけれども、全部改築するのか、一部改築するのかというところでは、やっぱり全体の庁舎のスペースを、世田谷総合支所というものを抱えながらやるのか、どうなのか、あるいは区民会館ホールのリノベーションは無理だという結論を私はまだ出していません。いろいろな手法はあるだろうと思っていて、しかし、無理なら、それは考えなければいけないということなんですけれども、少なくとも、その辺の論点をもう少し区の側でも絞って、また区民の皆さんに集まっていただきながら、もっとその工程を示して、参加のプロセスを明示できるような取り組みをしていきたいと思います。  また、青山先生からお話があった災害時の水なんですが、一応世田谷区役所の脇に井戸を掘っておりまして、災害時には飲料水で5万人分が出る仕組みになっております。また、ここ国士舘大学に、ちょうど道路を挟んだ隣の体育館のプールはかなり深いプールでありまして、そのプールに蓄えている水を災害時には出していただくという取り組みもしております。  また、整備にかける時間が長いというお話が出ております。ただ、梅丘の都立梅ヶ丘病院の跡地を区が購入するという、かなり巨額の出費になるんですけれども、これはどうしても必要だということで計画をしています。先ほどちょっと触れましたけれども、玉川総合支所の改築、建てかえということも5年後に予定していますし、また、都市公園を拡張しよう、防災機能もつけていこうということを組み込みながら、それこそ持続可能な財政がきっちりできるように責任を持って進めていくという中で、10年というのは、そういったことをクリアしながらという比較的安全運転で財政計画を立ててのことですけれども、また皆さんの意見を聞きながら、じゃ、そのピッチをもう少し早めるのかどうかということについても話し合っていきたいと思います。 ○萩原総務部長 ありがとうございました。きょう先生方から、また、会場の皆様からいただきましたたくさんの御意見や御指摘、こういったメモを十分確認させていただきまして、今後の基本構想の策定の中で生かしてまいりたいと思います。  では、意見交換は終了させていただきまして、マイクを司会に戻します。 ○司会 それでは、パネリストの先生たちに拍手をお願いしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)  それでは、時間となりましたので、これをもちまして世田谷区本庁舎等整備シンポジウムを終了いたします。御来場の皆様方、長時間にわたる御参加、まことにありがとうございました。  なお、お手元にアンケート用紙をお配りしております。御記入いただきまして、アンケート用紙はロビーにて回収させていただきます。本日は御来場、まことにありがとうございました。