せたがや自治政策研究所 Newsletter 2023年秋号No.53 発行日:2023年11月8日 SETAKEN NEWS せた研写真ニュース 9月25日(月)に教育総合センター研修室「ほし」にて、 せた研の研究活動中間報告会を開催しました。報告会では、「地域コミュニティの実態に関する調査研究」と「データ整備と活用」のプロジェクトについて、 進捗を報告しました。 せた研の研究活動中間報告会を実施しました! 9月25日(月)教育総合センター研修室で、研究活動中間報告会を実施しました。 報告会では、「地域コミュニティの実態に関する調査研究」と「データ整備と活用」のプロジェクトについて、進捗を報告しました。有識者として、駒澤大学法学部政治学科教授の内海麻利先生、東京大学大学院人文社会系研究科准教授の祐成保志先生、東京都立大学都市環境学部都市政策科学科教授の松井望先生をお招きし、プロジェクトについてアドバイスをいただくともに、庁内職員と意見交換を行いました。 1 プロジェクト 地域コミュニティの実態に関する調査研究 本プロジェクトからは、2つの調査研究について中間報告を行いました。 一つ目の報告は、令和3(2021)年に区民を対象に実施した郵送調査「地域生活とコミュニティに関する調査」(以下、「調査」という。)についてです。これまで、調査実施、詳細分析等を行ってきましたが、今年度は「調査研究報告書」の取りまとめに向けて以下の調査研究に取組んでいます。 まず、「コロナ禍における家事労働の分析(仮)」です。これは調査結果に基づいた新たな分析の視点として取組んでいるもので、家事労働の負担は男性に比べ女性の方が増加しており、また、女性の中でも年齢によって差があることが見えてきました。 次に「まちづくりセンター所長および町会・自治会長インタビュー」では、コロナ禍において町会・自治会はどのように活動を行ってきたか、また、コロナの状況が緩和されつつある現在、どのような展開を迎えているかについて、3地区の所長及び町会長等にお尋ねし、その内容とインタビューから分かるコロナ禍による影響を報告しました。 二つ目の報告は、「小さなまちの拠点」に関する調査研究についてです。現在研究所では、地域にあり、誰もが利用でき、居場所的な役割が期待できるような「拠点」(例:子ども食堂、サロン、認知症カフェ)についてのデータベース化を進めています。その活用例として、区内6歳未満人口比率とおでかけひろばの立地について地図に「見える化」して発表しました。 2 プロジェクト『データの整備と活用』 本プロジェクトの目的は、「庁内にEBPMの考え方が広まり、データを活用した政策立案が行われるようになる」ことです。そのために必要なこととして、@庁内にEBPMの考え方を広める、A活用できるデータを整備する、B整備したデータを活用する人を育成することの3つを挙げ、プロジェクトに取り組んでいます。今回は、このうちの「A活用できるデータを整備する」として、せた研で作成した『ダッシュボード』の試作品を発表しました。 ダッシュボードには、地域ごとに@現況、A変化、B傾向の3つのデータと社会地図を載せました。今後、せたアカCRFで参加者に使ってもらいながら改良を進めていきます。 「データを通して地区・地域を見ることがなぜ必要か」 をみんなで考えました (せたアカCRF+せた研ゼミ実施報告) 区職員には世田谷区のまちをともに考える人材を「つなぐ、支える、掘り起こす」ことが求められています。この時、データにより状況を把握する、データを区民や事業者と共有する、などデータはお互いの理解を深めるためのツールと捉えることができます。現在せた研ではせたがや版データアカデミーCase Review Forum第2シーズン「データで見る世田谷区の地区・地域」を実施しています。10月13日(金)に教育総合センター研修室で開催された第1回では、せた研の大杉所長の講義とミニワークショップを行いました。 「データを通して地区・地域を見ることがなぜ求められるか」をテーマとした講義に合わせて、グループに分かれてミニワークショップを行いました。各グループとも職層も職域も異なるメンバーとなりました。「若者が参加したくなるまちづくりイベント」や「どんなデータが必要か」について話し合い、盛り上がりました。 コロナ禍の町会・自治会  特別研究員 鈴木 颯太  新型コロナウイルスの国内での感染が取りざたされるようになり、間もなく4年が経とうとしています。この間に、感染拡大を抑え込む目的で「ソーシャル・ディスタンス」が呼びかけられたこともあり、対面でのやり取りが中心の地域活動、とりわけ町会・自治会での活動に少なからず影響がありました。 せた研では2021年に「地域生活とコミュニティに関する調査」を実施し、町会・自治会を含めた地域コミュニティの実態把握に努めてきました。 この調査結果をより深めることを目的に、今年度せた研ではプロジェクトの1つとして、一部の地区のまちづくりセンター所長、およびそこでご紹介いただいた町会長・自治会長を対象にしたインタビュー調査を行いました。 同調査で設けた問いは大きく分けて以下の2つです。 @コロナ禍に町会・自治会はいかに対応してきたのか? Aコロナ禍が落ち着きつつある現在、町会・自治会はどのように活動を再開しはじめているのか? すでに調査は終了し、結果をまとめる段階に入っていますが、調査票調査だけでは把握が困難だった質的な事柄が多く明らかになりつつあります。詳しくは来年公開される予定の報告に譲りますが、町会・自治会は千差万別の状況と条件の中、各団体なりの判断や工夫に基づいてコロナ禍に対応してきているという点は強調しておきたいところです。 報告ではこうしたコロナ禍における町会・自治会の活動事例を記録するとともに、より詳細に個別具体的なあり方を紹介していく予定です。 [文献] 金澤良太,小山弘美,古賀奈穂2022「世田谷区におけるコミュニティの現状とコロナ禍の影響」せたがや自治政策研究所『せたがや自治政策』Vol.14 緊急告知 せた研研究活動報告会を開催します! 日時:令和6年1月24日(水)午後2時20分〜午後5時 場所:教育総合センター研修室「たいよう」 詳細は12月1日に区ホームページにてお知らせします! 多くの方のご参加をお待ちしております! せた研の活動報告とお知らせ(8月〜10月) せた研ゼミの模様をせたがや動画にアップしました 令和5年度第1回せた研ゼミ「自分の仕事を深く考えてみよう!文章で伝えてみよう!」と、令和5年度第2回せた研ゼミ「自治権拡充に向けた特別区の在り方とは?」について、区公式YouTubeチャンネル「せたがや動画」にアップしました。 自治体学会のポスターセッションに参加しました 8月26日(土)に第37回自治体学会川崎大会が開催され、ポスターセッションに参加しました。せた研からは、昨年度に実施したせたがや版データアカデミーや将来人口推計の活用、データの整備についてまとめ、発表しました。 「世田谷区地域行政 オーラルヒストリー」を発行しました (財)世田谷区都市整備公社まちづくりセンター初代所長の卯月盛夫さんや、第1回ふるさと区民まつりを担当された馬場秀行さんの当時のお話を読むことができます。 <インタビューにご協力いただいた方々> (1)霜村 亮氏(元地域行政担当部地域行政担当課長)(2)板谷 雅光氏(元政策経営部長・元地域福祉部長)(3)卯月 盛夫氏(元世田谷まちづくりセンター所長)(4)馬場 秀行氏(元総務部副主幹(文化事業担当))(5)永山 和夫氏(元総務部長)(6)秋山 光男氏(現玉川消防懇話会会長)(7)西澤 和夫氏(元制度改革・政策担当課長)(8)金澤 弘道氏(元保健福祉部長)  令和4年度せたがや自治政策研究所報告書 『せたがや自治政策Vol.15』を発行しました 区ホームページにて公開しています。 <主な研究テーマ> ・社会調査データに見る世田谷区の地域コミュニティの変容 ・政策形成力の向上とデータ活用の推進 せた研メンバーで読書会を開催しました 10月5日(木)に第1回せた研読書会を開催しました。せた研の研究をより深めるために、選定した課題書籍『地域でアクションリサーチ』について各自が読み、それぞれの研究テーマや興味関心に基づいて好きな章を選び、感想や意見を発表しました。それぞれの発表から、書籍の内容や研究への深い理解や議論につながりました。