せたがや自治政策研究所 Newsletter 2023年1月号No.47 SETAKEN NEWS せた研写真ニュース 12月21日(水) 教育総合センター研修室「たいよう」で第4回庁内オープンゼミを実施しました。 今回は、施設営繕担当部の小柴直樹部長をお招きし、「誰も置き去りにしない『まちづくり』とはー「街づくり」から「まちづくり」を考えるー」というテーマでお話いただきました。詳細は、次号にて報告します。 令和4年度せたがや自治政策研究所公開セミナー「コロナ禍における『つながり』を考える」を実施しました 主任研究員 古賀 奈穂 日 時 令和4年11月26日(土)13時〜17時 会 場 オンライン開催 内 容 基調講演 早稲田大学文学学術院 石田光規教授 活動報告 NPO法人せたがや子育てネット代表理事 松田妙子氏 研究発表 せたがや自治政策研究所政策研究員 小山弘美氏 せたがや自治政策研究所研究員 目的 新型コロナウイルス感染症の影響により、孤立・孤独などの地域課題が深刻化したり、顕在化している。孤立・孤独研究の第1人者である石田光規先生の基調講演のほか、せたがやフードパントリー実行委員会活動で活躍する松田妙子氏の活動報告、令和3年7月にせたがや自治政策研究所で実施した「地域生活とコミュニティに関する調査」の研究発表を踏まえ、「つながり」の未来について何ができるか、パネルディスカッションで一緒に考えました。 内容 石田光規先生(早稲田大学文学学術院教授) 「現代社会における孤立問題:地域社会は再生するのか」 現代社会で孤立・孤独が問題となった背景やなぜ自治体が孤立に対応しにくいのか、「問題のない孤立」と「介入すべき孤立」との違いについて、「居場所」のあり方などについてお話をいただきました。 ? 松田妙子氏(NPO法人せたがや子育てネット代表理事) 「支援の手を『あつめて』『むすぶ』〜『おたがいさま』と『恩送り』」 おでかけひろば、子ども食堂、せたがや子どもフードパントリーなど、区内での子育て支援に関する幅広い活動事例についてご報告いただきました。 ? せたがや自治政策研究所研究発表 昨年7月に実施した「地域生活とコミュニティに関する調査」の調査結果を踏まえ、3つの構成(第 1報告「地域生活とコミュニティに関する調査」調査概要、第2報告「地域社会からみた「つながり」―地域参加の状況変化をつかむ」、第3報告「個人からみた『つながり』―世田谷区における孤立・孤独の現状―」を報告しました。 ? パネルディスカッション 「世田谷でつなぐ 世田谷でつながる」 前半の内容をふまえ、居場所を起点とした「つながりの自己調達」のあり方やSNSによる新しい参加のかたち等、今後区において「つながる」ためにどのようなことができるかについて議論し、理解を深めました。 第3回庁内オープンゼミを実施しました せたがや自治政策研究所では、研究成果や研究のプロセスで得られた様々な知見を庁内職員で共有し、職員同士で考え、議論できるオープンな場として「庁内オープンゼミ」を開催しています。今回は「地域交流×●● タマリバタケから地域交流を考える」をテーマに、NPO法人neomuraのみなさまをお招きし、第3回オープンゼミを開催しました。 実施概要 日時 令和4年11月22日(火)15:00〜17:00 会場 タマリバタケ(世田谷区上野毛3−25)および二子玉川分庁舎大会議室 講師 NPO法人neomura T タマリバタケ見学 タマリバタケとは、区が保有する公共用地を活用した提案型協働事業の一つで、地域コミュニティの場としての「タマリバ」と地域の農園である「ハタケ」が組み合わさったものです。オープンゼミの前半は、タマリバタケを見学しながらお話を伺いました。 U neomuraやタマリバタケの活動のご紹介 NPO法人neomuraの新井さん(代表理事)と武井さん(理事)に、NPO法人neomuraやタマリバタケの活動についてご紹介いただきました。 今回は実際にタマリバタケの活動に参加している方々にもご参加いただき、お話を伺うことができました。また、都市計画課の柿澤係長からは提案型協働事業としての「タマリバタケ」をご説明いただきました。 参加者のアンケートからは、「行政だけ、NPOだけではない共同事業としてのアプローチや、多様な人材が偶然集まる面白さが印象に残った。」、「地域の人たちが自分たちの活動や体験について積極的に発言されていて心から楽しんで参加しているのだと感じた。」という声が見られ、様々な視点から地域交流を考える場となりました。 ちょっとよくわからなかったので大杉所長に聞いてみました 世田谷トラストまちづくりが実施する「まちづくりファンド30周年まちづくりデイ」の「玉川地域のまちづくり30年で何が起きたか」を聴講しました。登壇者の玉川まちづくりハウスの伊藤さんは、30年前から九品仏まちづくりセンター管内で中間支援の活動をしている方です。昨年度、せた研の庁内オープンゼミでお話いただいたおやまちプロジェクトの高野さんが行う「タタタハウス」の活動と合わせてのご発表でした。 まちづくりデイでお話を伺っていると、集まれる場を作る、楽しそうなことを続けることで周りの人を誘い込む、ところはタタタハウスさんや先日庁内オープンゼミで伺ったneomuraさんと、玉川まちづくりハウスさんで30年間行ってきた活動に共通していると思いました。 区には「世田谷トラストまちづくり」という大きな中間支援組織があり、多くのNPOなどの地域活動を支援しています。 先生がいつもおっしゃっているコミュニティ支援の中間支援組織というのは、トラまちのほかにも玉川まちづくりハウスやタタタハウスのような取り組みをいうのでしょうか。 中間支援組織にはいろいろな形態が考えられるでしょう。中間支援とは元来「媒介すること」です。中間というと、行政と支援を受ける側の中間みたいなイメージですが、ひと・もの・金・情報といったリソースを調達するための媒介です。リソースの調達先は行政に限られませんから、行政と民間の中間というだけではありません。また、行政はよく中間支援のために大きいセンターを一つだけつくったりしますが、そうした方法では必ずしもうまくいきません。 そこで、自ら活動している団体が、他の団体の間をつなぐことで、お互いに支え合いながら中間支援的な機能を果たしていくことが考えられます。それがビジネスになったり、パワーの源になったりとお互いにつながりをつくっていくイメージです。世田谷区のようないろいろな活動が活発な地域ではそのような中間支援組織のあり方が望ましいのではないでしょうか。 現在、メンバーの高齢化などで疲れ気味の団体も多くなってきている中で、そういった団体ともどうつながっていくのかを考えていく意味でも、中間支援機能は重要になってくるでしょう。 かつて世田谷区や横浜市といった大都市部では、自分の暮らしを自分だけで完結することはできないなかで、どうつながりをつくっていくか、という活動が1950-60年代あたりから出てきました。それが組織化され、一部がNPOになったりしています。団塊の世代を中心に盛り上がったNPOも、世代交代が進まないことが昨今問題となってきています。 一方で、先日参加したまちづくりデイのシンポジウムでは、若いパネリストの間から「自分たちはまちづくりをやっているわけではない」という話が出ていたのが印象的でした。発想としては「まちづくり」というより「くらしづくり」。自分のくらしがどうありたいかです。そうはいっても、「マイホーム主義」で自分だけのくらしの中に閉じこもるわけではない、広がりをもったくらしづくりを中心に発想をもっています。 ある意味での原点回帰のようなかんじで、普遍的で閉じていない。楽しさや喜びでつながり、つらさや悲しさを分かち合う、という姿勢です。若い人たちは人口規模としても少ないことから、団塊世代と比べるとその活動は目立たないかもしれません。そういう若い人達の活動をどう支えていくか、彼らが持っているノウハウや力などを、どう生かしていくか。 両面から中間支援組織を考えていくことが重要です。 庁内の組織間も、あいだをつなぐ機能を持つことでよりよい区民サービスにつながるかもしれませんね。 せた研も、庁内の中間支援組織を目指します!