せたがや自治政策研究所 Newsletter 2022年10月号No. 44 SETAKEN NEWS 活動報告 9月13日(火) 教育総合センター研修室で「せたがや版データアカデミー Future Policy Seminar(第6回)」を実施しました。 せたがや自治政策研究所では、次期基本計画の策定にあわせて、若手職員がデザイン思考で「未来のせたがや」を考える場として、 せたアカFPS(せたがや版データアカデミー Future Policy Seminar:フューチャーポリシーセミナー)を6月より実施しています。 第6回では、政策形成にアート思考やデザイン思考を取り入れるため、株式会社カラーコード代表取締役の浅井由剛氏にご講義いただき、 @「デザインとアートのそれぞれが、どの様なプロセスで創造に関与しているのか」や、A「アイデアを人に伝えるための技術」についてお話いただきました。 せたがや自治政策Vol.14を発行しました せたがや自治政策研究所では、このたび令和3年度の研究・活動の成果として、研究・活動報告書「せたがや自治政策Vol.14」を発行しました。 令和3年度は、「世田谷区におけるコミュニティの現状とコロナ禍の影響」、「世田谷区でEBPMを推進しデータ利活用を進めるために」、「世田谷区の人口動向の分析」 をテーマに調査研究を行い、報告書をとりまとめました。 1 世田谷区におけるコミュニティの現状とコロナ禍の影響  【概要】2021年度にせたがや自治政策研究所で区民2500人を対象に「地域生活とコミュニティに関する調査」を行いました。地域のコミュニティの現状と、 コロナ禍前後の変化について調査をしたところ興味深い結果となりましたので報告します。 2 世田谷区でEBPMを推進しデータ利活用を進めるために    【概要】このレポートは世田谷区で根拠に基づく政策立案(以下EBPM)を推進し、データ利活用を進めるためには「まず何が必要なのか」を整理し、 何をすべきかを論考することで、今後の世田谷区のEBPMの推進に資することを目的としています。今後EBPMを推進していくために解決すべき課題として「推進体制の整備」「人材育成」「オープンデータの質の向上」を提案しています。 3 世田谷区の人口動向の分析                     【概要】本稿は、世田谷区の人口動向を分析し、次期基本計画の将来人口推計(2022〜2023年度に予定)に活用することを目的としています。 コロナ禍により将来の見通しが難しくなっていることから、将来の仮定を検討する前提として、コロナ禍の影響を受けた1〜2年の足元の変化を分析しました。 また、地域別推計の精度向上の手がかりを探るため、住宅開発等がそのエリアの人口動向に大きなインパクトをもたらすことを事例調査で把握しました。 さらに、課税データを分析し、人口推計と合わせた活用について考察しました。 4 活動レポート ・「小さなまちの拠点」に関する調査研究 活動報告   ・中核市における地域行政               ・地域行政史とアーカイブスの構築 活動報告      ・政策形成力向上のための人材育成手法         大杉所長のコラム「チャイムの響き」 第6回 基本計画審議会とデジタルツールによる区民参加 所長 大杉 覚 第5回のこのコラムでも触れましたが、9月8日の夕方6時から、世田谷区区役所庁議室にて、世田谷区基本計画審議会の第1回会合がいよいよ開催されました。 委員の互選という規定で、筆者が会長に選ばれました。身の引き締まる思いです。 基本計画審議会については区のホームページに会合等で配布される資料などが掲載されています。 また、当日の会合の様子は、youtubeでも配信されています。なお、傍聴についてですが、会場での傍聴に加えてオンラインでの傍聴も可能になっています (第2回についてはこちらをご参照ください)。 現在事務局から示されている基本計画策定のスケジュールでは、本年度いっぱいをかけて8回ほどの会合を重ねて答申をまとめる予定です。 審議会答申を踏まえて、基本計画案をまとめ、令和5年度中にとりまとめる予定となっています。 審議会での審議と並行して、デジタルツールを活用した継続的な意見交換の実施が予定されています。 また、区民意識調査や区政モニターアンケートなども計画案策定の重要な資料として活用されます。 審議会での審議は、時間の限られたなかでもありますので、委員間での議論やそれに対する行政側からの説明などで手一杯となりがちです。 ですが、リアルにせよオンラインにせよ傍聴いただいた区民の方々、あるいは、動画を視聴された区民の方々からのご意見も随時受け付けていくことはいうまでもありません。 計画案自体は、来年度の取りまとめの過程でパブリックコメントにかけることになるのですが、それを待つことなく、区民の意見表明の機会が担保されるべきなのは当然でしょう。 区民の方々からいただいた意見については、役所内はもちろんのこと、審議会メンバー間でも共有し、必要に応じて審議会の場でも触れられればと考えています。 ところで、先ほど、「デジタルツールを活用した継続的な意見交換の実施」が予定されていると書きました。最近注目されている住民参加手法に、 デシディムdecidimというものがあるのを耳にされた方もおられるかもしれません。今回の世田谷区での基本計画策定でも活用を視野に入れているとのことです。 コード・フォー・ジャパンCode for Japanによりますと、デシディムとは、「『我々で決める』を意味するカタルーニャ語にちなんで、 2016年にスペインのバルセロナ市で開発された市民参加のためのデジタルプラットフォーム」1のことです。その特徴として、 「参加型プラットフォーム」「オープンソース」「一つのコミュニティ」の3つを挙げています。詳細はコード・フォー・ジャパンのホームページを見ていただきたいのですが、 誰もが政策形成のプロセスに参加できるばかりか、そのプロセスを設計できる公開性が特徴だということです。 日本では、自治体でいうと、加古川市(兵庫県)や横浜市が先行して様々な取組みをはじめていることが知られています。 加古川市のホームページを覗いてみますと、「スマートシティ構想の実施状況」といったものから、「みんなが使えるスマホ講座」「新たに完成する複合施設愛称募集」 といったものまで、それこそ自在に活用されているようです。 世田谷区でも今回の基本計画策定を契機に、この計画策定だけではなく、多様な区民参加の機会の確保という観点からも、 デシディムをはじめとしたデジタルツールの活用が期待されます。 1Code for Japan ホームページhttps://www.code4japan.org/activity/decidim参照。