1.庁内オープン・ゼミ せたがや自治政策研究所の研究員の政策形成能力の向上を図ることを目的として平成19年度より実施していた「政策研究塾」を、令和元年度より内容により全庁から聴講生を募って開催する形式に変更し実施している。令和2年度からは研究所の研究成果や研究のプロセスで得られた様々な知見を庁内職員で共有し、職員同士で考え、議論できるオープンな場として「庁内オープン・ゼミ」を開催した。 令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策として、人数を制限した区民会館ホールでの実施とし、参加できない職員向けには映像データを庁内公開サイトに掲載し、後日視聴できるようにした。参加者には事前に質問事項を書面で募集、内容に反映し、ディスカッションのテーマに取り上げた。実施後のアンケート調査も行い、Newsletter 25号に掲載し概要とともに庁内周知を行った。 2.特別区長会調査研究機構への参加 特別区長会調査研究機構は平成30年6月、特別区長会が、特別区及び地方行政に関わる課題について、大学その他の研究機関、国及び地方自治体と連携して調査研究を行うことにより、特別区長会における諸課題の検討に資するとともに、特別区の発信力を高めることを目的として設置した。平成31年4月から、広く特別区の行政運営に資する課題等について調査研究を行っており、せたがや自治政策研究所では「将来人口推計のあり方」に提案区として参加しているほか、平成31年度より引き続き「SDGs」にメンバーとして参加している。 3.地域行政通史作成プロジェクト (1) アーカイブスの構築 地域行政の関連資料を整理・電子化し、アーカイブス化する作業を行った。 (2)「地域行政のあゆみ」のパネル展示 10月17日に世田谷区民会館ホールにて開催された「これからの地域コミュニティとまちづくりを考えるシンポジウム」(地域行政課主催)において、「地域行政のあゆみ」パネル展示を行った。 (3)Newsletterへの連載 24号から28号に資料でよくわかる 地域行政制度のひみつを連載 4.他所管との連携 (1)地域行政の推進(地域行政課との連携) 政策研究「地域行政の推進」の調査研究にあわせて、(仮称)「地域行政推進条例」を所管する地域行政課との連携に取り組んだ。 「地域内分権に関する資料」の提供 第5回地域行政検討委員会(12月3日開催)への資料提供および資料説明 (仮称)「地域行政推進条例」にかかる研究会(9月23日開催) 中央大学教授 礒崎初仁氏を講師に関係職員との意見交換等を実施 (2)農業・農地保全にかかる研究会(都市計画課等との連携) 令和元年度「自治体経営のあり方研究会」では、提言1として「都市としての価値の向上」を掲げた。住環境と暮らしの価値向上の具体策に向けた研究として、都市計画課との連携事業を行った。都市計課が企画・実施した「農業・農地保全にかかる研究会」への助言・支援を行った。 ・第1回農業・農地保全にかかる研究会(3月12日開催) 5.データの整備と活用 研究所運営方針第3の役割として、研究所では政策立案にかかる基礎的データを収集・分析・提供・蓄積し、活用・発信している。 Newsletterによる庁内への発信 社会調査マスターへの道 社会調査の正しい知識を身につけることを目的とした連載記事を18-29号に掲載(令和元年度より継続) 『Web調査の有効な学術的活用を目指して』について 日本学術会議の提言で示されたWeb上で実施する社会調査についての解説を23号に掲載 データを活用した政策形成の場へ EBPMやデータ利活用に関するコラムを24号に掲載 世田谷区の人口5か月連続で減少 住民基本台帳データに基づく人口動向についての解説を26号に掲載 6.情報収集・発信 (1)学会等派遣 調査研究や将来的に政策立案に役立つ情報を収集するため、各分野の学会等へ研究員を派遣している。本年度はコロナ禍により多くの学会において大会の縮小や中止、オンラインでの開催となった。 (2)学術機関紙「都市社会研究」の発行 自治・協働のさらなる発展を目指すとともに、区民の主体的な地域活動を全国に発信し、加えて幅広い分野の研究者や地域活動に取り組む住民との研究交流を通じて、区の政策形成の基盤づくりを図ることを目的に学術機関誌「都市社会研究」を平成20年度より発行している。 13号の特集テーマは「これからの自治体経営とプラットフォームの構築」として、テーマに造詣が深い有識者の論文5本、公募の論文2本、研究ノート2本を査読の結果掲載し、活動報告3本を掲載した。  掲載論文等に関しては、世田谷区ホームページで公開している。 都市社会研究2021(第13号) 掲載論文等一覧 特集論文「これからの自治体経営とプラットフォームの構築」 牧原 出 人口減の未来を見越した自治体経営とは何か? 沼尾 波子 「公共私の連携」から考える自治体行財政運営の課題 日高 昭夫 都市自治体における町内会自治会のあり方 坂倉 杏介 都市型コミュニティとプラットフォームのあり方 谷亀 腰Y ワークショップの試行・展開、エリアマネジメントの発進、そして「グランドデザイン」の試みへ 論文 横山 智樹 原発事故後の統治と被災者の〈生〉 米岡 秀眞 高齢者雇用と若年者雇用の間における関係性と労働組合の影響力 研究ノート 美浦 幸子 世田谷区における障害児の母親の就労状況と支援策の検討 衣川 智久 東京 23 区における住民参加と協働に関する行政の取り組みの実態と評価 活動報告 笑恵館クラブ 永続につながるストーリーが生まれる家 NPO 法人せたがや子育てネット コロナ禍におけるせたがやこどもフードパントリー実行委員会活動からみえた地域子育て支援ネットワークの意味 長尾 剛 世田谷の自然と共生した地域づくりの明日を拓く「フラワーランド」 (3)庁内外への研究成果発信 @ホームページ 世田谷区のホームページで研究所の活動内容について紹介している。本年度は研究所の政策研究の紹介を新たに掲載した。 A せたがや自治政策 平成20年度より前年度の調査研究・活動報告書を毎年発行している。令和2年度は令和元年度の研究成果・活動報告を取りまとめ、「せたがや自治政策 vol. 12」として5月に発行した。内容は区のホームページで公開しているほか、世田谷区立図書館、区政情報センターにも配架している。 B庁内公開サイト 職員向けに研究所の発行物や研究成果、国勢調査データ等による社会地図、毎月発行のNewsletterを掲載している。今年度は、当日参加できなかった職員にも時間を選ばず視聴ができるよう、実施した庁内オープン・ゼミの動画やスライドも掲載した。 C研究成果報告会 研究成果の庁内周知を図るため、平成30年度より年度末に研究報告会を実施している(令和元年度は新型コロナウイルス感染症対策のため実施せず)。令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策として、オンラインでの実施とした。具体的には動画を撮影し、学識経験者のコメント動画を追加して、職員向けに動画を庁内公開サイトに掲載し、後日視聴できるようにした。 内容 所長挨拶 研究所研究員による報告 世田谷区における「小さなまちの拠点」形成 地区レベルの地域コミュニティと区行政のかかわりかた 地域行政に関する研究 パーソナルネットワークにおける恋人との紐帯を測定する意義?壮年単身者調査の再集計から? 令和3年度事業計画及び中期運営方針について 有識者コメント 放送大学特任教授 森岡 C志 先生 東京大学先端科学技術研究センター教授 牧原 出 先生 東洋大学教授 沼尾 波子 先生 (4) Newsletter 令和元年度より庁内への情報発信をより強化するため、庁内広報誌への記事掲載を行うとともにNewsletterを再び開始し、毎月発行の上、全庁あてにメールで周知した。「社会調査マスターへの道」の連載のほか、令和2年度は所長のコラムの連載、データ活用や地域行政アーカイブスに関する連載など、庁内職員向けに情報発信を行った。