世田谷区における「小さなまちの拠点」の形成 古賀 奈穂 (せたがや自治政策研究所研究員) [概要] 近年、行政主導ではなく地域住民が中心となって運営する「小さなまちの拠点」が数多く形成されている。 「小さなまちの拠点」は地域の茶の間や交流サロン、まちの居場所など様々な名称で呼ばれ、 地域包括ケアの居場所的役割や新たなコミュニティの創造が期待されている。 本稿では世田谷区における「小さなまちの拠点」形成の意義および拠点の継続運営に対する自治体の支援のあり方について、 区と他自治体の特徴的な8つの事例をもちいて論点を整理した。 とりわけ8つの事例に共通する、拠点立ち上げ段階での「ハード整備とソフトな活動の結びつき」、 実践段階での「補助金や助成金に依存しない活動資金の確保」、 継続段階での「多世代の交流が自発的に行われるための開かれた場と常設性」の 3つの論点に対する自治体の役割について、中長期的な視点から展望を述べる。