主要な政策課題  本資料は、政策点検方針に基づく取組みの結果から直ちには読み取りにくい当面の政策課題について、平成23〜26年度の間に、以降の行政運営に大きな影響を及ぼすと見込まれる新たな計画等を中心に例示として抽出したものである。 〈目 次〉      区政全般 1.自治権の拡充   1ページ 2.世田谷区基本構想 2ページ 3.世田谷区基本計画 3ページ   基本計画策定に関連する計画等 4ページ    公共施設整備方針    外郭団体改善の取組み    世田谷区産業振興計画(調整計画)    世田谷区一般廃棄物処理基本計画    世田谷区地域保健医療福祉総合計画    せたがやノーマライゼーションプラン    世田谷区都市整備方針    世田谷区教育ビジョン 4.世田谷区実施計画・行政経営改革計画  6ページ   実施計画・行政経営改革計画策定に関連する計画等 7ページ    債権管理重点プラン    住民税等の納付方法の拡張・電子化    公会計手法の改善   (仮称)第2期世田谷区文化・芸術振興計画    世田谷区男女共同参画プラン調整計画   (仮称)世田谷区地球温暖化対策実行計画    新たな健康せたがやプラン    世田谷区ユニバーサルデザイン推進計画    世田谷区みどりとみずの行動計画    世田谷区道路整備方針    世田谷区教育ビジョン第3期行動計画    世田谷区教育の情報化推進計画    世田谷区立図書館ビジョン及び子ども読書活動推進計画 企画総務領域  5.本庁舎等の整備の推進 9ページ 区民生活領域 6.国民体育大会、全国障害者スポーツ大会の開催及び生涯スポーツ社会実現に向けた施設の整備・拡充 10ページ 7.「環境先進都市 エコシティせたがや」の実現  11ページ 8.地域産業の振興  12ページ 9.都市農業の振興と農地保全の推進  14ページ 保健福祉領域  10.世田谷区障害福祉計画 16ページ 11.梅ヶ丘病院跡地利用の検討 17ページ 12.高齢者医療制度改革  18ページ 13.第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定 19ページ 14.発達障害児支援   20ページ 15.「子ども・子育て新システム」に対応した子ども施策の構築  21ページ 16.区立保育園民営化に係る今後のあり方  22ページ 17.中長期の視点に立った新BOPのあり方  23ページ 都市整備領域  18.住宅・建築物の耐震化の推進 24ページ 19.都市型水害対策の推進 25ページ 20.第三次住宅整備方針策定に伴う重点プロジェクトの推進 26ページ 21.にぎわいの拠点の整備 27ページ 22.二子玉川駅周辺地区における基盤整備 28ページ 23.世田谷みどり33の推進 29ページ 24.道路基盤整備等の推進 30ページ 25.京王線連続立体交差事業に併せた沿線街づくり 32ページ 26.公共交通機関(新規バス路線等の導入)の拡充 33ページ 27.自転車走行環境整備の推進 34ページ 教育領域  28.区立幼稚園のあり方に係る今後の方針の策定 35ページ 29.学校の適正規模化・適正配置の更なる推進 36ページ 30.世田谷9年教育の推進 37ページ 課題1 自治権の拡充  住民に最も身近で総合的な行政主体である基礎的自治体が、これまで以上に自主性と自立性を向上させ、十分な権限と財政基盤を有し、高度化する事務に的確に対応するためには、基礎的自治体と広域自治体のあり方や、地方税財政のあり方を改革し、税財源基盤を確立するなど、引き続き分権改革を促進する必要があり、下記のとおり検討が進められている。 1.都区制度改革   平成12年度の都区制度改革により、都は広域自治体として、特別区は基礎的自治体として、新たな都と特別区の関係がスタートした。しかし、都区の役割の明確化とそれに伴う財源配分のあり方について課題が残されており、平成18年に都区共同の検討組織である「都区のあり方検討委員会」が設置され、@都区の事務配分A特別区の区域のあり方B税財政制度について、検討が進められている。基礎的自治体としての特別区の自主性・自立性を高める観点からも、都区制度の改革を進めていく必要がある。 2.国における地方分権改革  平成21年度の政権交代以降、地域主権戦略大綱が閣議決定され、それを中心に地域主権改革が進められている。地域主権戦略会議では、地方の事務の実施やその方法を縛る義務付け・枠組みの見直し、基礎自治体への権限委譲、国の出先機関改革、地方へのひも付き補助金の一括交付金化など、今後の地方自治制度の抜本的な改革につながる取組みが進められている。世田谷区は84万区民が生活する基礎的自治体として、区民自治を基調としながら、分権時代にふさわしい自治体のありようを模索し、適切な対応を図っていく必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  都区制度改革ならびに国の地方分権改革を課題ととらえ、直近の情報を共有し、多角的かつ具体的に課題等の検討を行うため、部長会メンバーで構成した「自治推進委員会」を平成14年に庁内に設置した。さらに、自治体の財政基盤を拡充させることが大前提という認識のもと、財政自主権拡充を目指し、都区財政調整制度に関する世田谷区独自の改革試案を平成15年度より作成し、平成18年からは対外的にも情報発信を行ってきた。また、都区制度改革および国の地方分権改革を早期に実現し、区の自治権をさらに拡充させるため、特別区長会を通じ「地方分権改革の推進」に対する要望書を、毎年国に提出している。 2.今後想定される取組み 「都区のあり方検討委員会」で進められている都区の事務配分の検討のなかで、区に移管の方向で整理された事務については、具体化に向けた検討が都区間で進められていくが、なかでも児童相談所設置などに関する事務は、別途検討組織を設けて実務レベルの検討が行われる。国の地方分権改革については、「基礎自治体への権限委譲」や「地方の事務の実施やその方法を縛る義務付け・枠付けの見直し」などの基礎的自治体に関わる関連法案が、平成23年の通常国会に提出される予定である。世田谷区としては、引き続き「自治推進委員会」において、都区のあり方と地方分権改革のいずれの場合も、23区共同と区独自の対応を包括的に検討し、世田谷区の新しい自治体像の確立に向けた検討体制の強化を図っていく。 課題2 世田谷区基本構想  基本構想(平成6年9月に議決)は、区の望ましい将来像の実現に向けて、区民主体のまちづくりを進め、自治の発展をめざす、区政の基本的な指針である。基本理念として、「人間尊重のまちづくり」「環境と共生する社会の実現」「区民自治の確立」を掲げ、「生命と健康を守り長寿を喜びあえるまち」「いきがいと文化を育むまち」等5つの将来像の実現を図る。現基本構想は、策定から16年間が経過し、この間、わが国の経済の低迷に伴う区民生活の不安定化、少子高齢社会の進展による高齢者の孤立化など、昨今著しく社会状況が変化していることを鑑みると、基本構想の改定自体が区の新たな検討課題となってくることが想定される。また昨今、自治基本条例として基本構想の要素を包含する条例を制定する自治体も見られる。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  基本構想は、一般的に概ね20年間を想定し策定されている。区ではそのもとで、10か年の基本計画(現計画期間は、平成17年〜26年度)と、その年次別計画として3〜5か年の実施計画(現計画期間は、平成20年〜23年度)を策定し、取組みを進めている。 2.今後想定される取組み  当面平成24年度を初年度とする実施計画の策定が課題であるが、平成27年度以降の基本計画のあり方、更にはこれらの前提となる基本構想が、策定来20年を迎える平成26年度頃の時点を考慮すると、まず基本構想の改定について一定の判断をする時期にきている。 課題3 世田谷区基本計画  現基本計画(平成17〜26年度)は、世田谷区基本構想のもと、策定時より10年間を通して、区民とともに実現を目指す5つの将来目標(安全で安心なまち、魅力的で活力あふれるまち、健康でやすらぎのあるまち、世田谷の文化を育み未来が輝くまち、区民が創るまち)を設定している。基本計画策定時から社会情勢はさらに変化し、例えば安全で安心なまちづくりの考え方も、防災、防犯の観点のみならず、高齢者の見守りなど生活上の不安への対応も必要となるなど、新たな検討課題が現出している。また、低迷する日本経済の下での厳しい財政状況を鑑み、歳入に見合った持続可能な長期計画が必要となっている。 1.現在までの取組み状況  区民とともに実現を目指す5つの将来目標の実現のために、各担当部で個別の計画、方針を策定し、施策、事業を実施している。また、主要な課題については世田谷区実施計画により、年次別に具体の取組みを進めている。(世田谷区実施計画・行政経営改革計画の項を参照) 2.今後想定される取組み  引き続き計画の期間内において、将来目標の実現に向けた取組みを進めるとともに、次期計画の策定に向けて課題の整理等を行う。 基本計画策定に関連する計画等 公共施設整備方針   平成17年度から、向こう10か年の公共施設の整備、統合、合築、廃止、機能連携の方針として公共施設整備方針を策定し、公共施設の整備を計画的に推進してきた。しかし、区には、昭和30〜40年代の建物を中心とした、老朽化が進んだ施設が多く、施設の更新需要が集中する一方、財政状況が厳しい中、計画に沿った施設整備を推進していくことが困難な状況である。平成24年度以降の取組みでは、厳しい財政状況の下でも効果的、効率的に公共施設の整備を行うために、改築複合化と併せ、改修による施設の延命、事後的な大規模修繕から予防的な計画修繕への移行の為の中長期修繕計画の策定や、施設自体のあり方の検討等を反映する必要がある。 外郭団体改善の取組み  外郭団体の一層の活性化を図り、経営の改善・効率化を進めるために、平成17年4月に「外郭団体改善方針」を策定した。区の支援・関与の見直しなど、改善方針に基づく区の取組みについては、実施計画、行政経営改革計画との整合性を図り推進している。また、各外郭団体は、改善方針に基づき改善計画を策定し、目標年次を定め、必要な改善を行っている。平成23年度に策定する平成24年度以降の新たな改善計画については、新たな実施計画・行政経営改革計画との整合を図るとともに、政策点検結果を踏まえ計画を策定することとし、計画の着実な推進に向けた進行管理を図っていく。改善方針は、策定から5年が経過することから、今後、次期改善方針の策定に向けて課題の整理等を行う。 世田谷区産業振興計画(調整計画)  現産業振興計画は、世田谷区産業ビジョンを具体的に実現するための計画として、平成20年度から概ね10か年の計画として策定した。前期振興計画期間は区の実施計画との整合を図ることから平成20〜23年度までとし、前期計画期間終了時に、各事業の推進状況や検証を行い、社会状況の変化などを踏まえ、必要な見直しを行うこととしている。国内外における社会状況の変化、それに伴う世田谷区内産業を取り巻く環境、業況等の変化、区の政策課題等を踏まえた事業内容・事業計画とするとともに、世田谷区実施計画との整合性を図り、平成24〜26年度を計画期間とした「世田谷区産業振興計画(調整計画)」を策定し、区内産業の振興を推進する。 世田谷区一般廃棄物処理基本計画  区では、平成17〜26年度までの10年間の計画を定め、「環境に配慮した持続可能な社会」を実現するための4つの基本方針に沿った施策と目標を掲げている。引き続き、中・長期的視点から区の一般廃棄物(ごみ及びし尿等)に関する施策の方向性を総合的に明らかにするために、平成26年度中に新たな計画(平成27〜36年度)を策定する必要がある。新たな計画では、現行計画での施策の推進状況や計画の前提となる諸条件の変化等を踏まえるとともに、東京都、清掃一部事務組合の計画との整合を図って計画を策定し、着実な推進を図っていく。 世田谷区地域保健医療福祉総合計画  本計画に基づき、世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、せたがやノーマライゼーションプラン、健康せたがやプラン等の各専門分野計画を定め、各種施策を着実に推進している。高齢化の更なる進展、国レベルでの介護保険や障害福祉の制度見直し検討、子どもを取り巻く環境の変化、健康づくり意識の高まりなど、保健医療福祉に関わる社会状況の変化へ的確に対応していくために、平成27年度以降の区が取るべき保健医療福祉政策の方向性を示す次期計画を策定する必要がある。策定にあたっては、国や都の情勢や動向に十分留意し、地域保健福祉審議会での議論を尊重しながら明確な方向性を示していく。 せたがやノーマライゼーションプラン  国レベルでは、障害福祉を取り巻く制度の見直しが議論されており、平成24年には新たな障害者基本法に基づく障害者基本計画が、また平成25年には障害者自立支援法が廃止され、(仮称)障害者総合福祉法が施行される見込みであるなど、制度の見直しが議論されており、この動向を踏まえ、新たな枠組み等に対応していくための次期プランを策定する必要がある。策定には、世田谷区基本計画や世田谷区地域保健医療福祉総合計画との整合を図り、障害福祉計画との統合も含めて、国の議論や法改正等の動向に十分留意し、地域保健福祉審議会及び障害者施策推進協議会での議論を尊重していく。 世田谷区都市整備方針  世田谷区全体としての将来像や街づくりの基本方針および街づくり推進の基本的理念などを明らかにするため、施策の方向性や基本姿勢を表した「都市整備基本方針」と、地域の将来像、街づくりの基本方向および推進すべき事業を明らかにし、各地域の課題に基づいた都市整備に関する方針を示した「地域整備方針」で構成される。新たな20年間(平成27〜46年度)の都市整備の方向性を明らかにするために、住民参加を取り入れながら地域整備方針の事業化重点地区評価作業及び各種分野別方針・計画との整合を図りつつ、都市整備基本方針・地域整備方針の見直し検討を行う。 世田谷区教育ビジョン  今後10年間の教育の方向性を示すものとして平成17年3月に世田谷区教育ビジョン(平成17年〜26年度)を策定し、これに基づき教育施策を推進している。世田谷区教育ビジョンでは、世田谷の目指す子ども像を掲げ、その実現に向け、地域とともに子どもを育てる教育など5つの施策の柱を立てている。また、これまで第1期および第2期行動計画を策定し、具体的な取組みを行なってきた。23年度は第2期行動計画の最終年度であり、23年度中に第3期行動計画(平成24〜26年度)を策定する必要がある。 課題4 世田谷区実施計画・行政経営改革計画 1.世田谷区実施計画  現実施計画(平成20〜23年度)は、「世田谷区基本計画(平成17〜26年度)」を具体的に実現するために、前実施計画の推進状況を踏まえ、4か年の計画を年次別に示している。平成23年度は、計画の最終年度であり、現実施計画の推進状況と、各部が掲げる当面の政策課題を踏まえて、平成24年度以降の新たな実施計画を策定する必要がある。 2.世田谷区行政経営改革計画  現行政経営改革計画は、「世田谷区基本計画(平成17〜26年度)」に基づき、計画期間中に特に重点的に取り組む課題を5つの「重点取組み」として掲げ、4年間(平成20〜23年度)の取組み内容、目標を掲げている。平成23年度は計画の最終年であり、政策点検の結果を踏まえて、見直しを計画的に推進すべき課題を整理し、平成24年度以降の新たな計画を策定する必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  現世田谷区実施計画・行政経営改革計画の計画期間中に、現下の厳しい財政状況を背景にして、平成21年度には、世田谷区外部評価委員会における議論も踏まえながら、「実施計画・行政経営改革計画等の緊急見直し方針」を定めて見直しを行った。また、平成22年度には、世田谷区政策検証委員会の提言を受け、「政策点検方針」を定め、実施計画事業を含めた全事業の点検を行った。点検の結果を踏まえ、実施計画の計画数値の調整を行うとともに、行政経営改革計画では、新たに税外収入の取組みとして、公有財産の貸付や、ネーミングライツ等を追加するなど、状況に即した見直しを図っている。 2.今後想定される取組み  平成23年度中に策定に取り組む平成24年度以降の新たな計画(平成24〜26年度)は、各事業の取組みについて「政策点検にもとづく全事業の点検結果」や各種分野別計画との整合を図るとともに、財政計画の今後の見通しを踏まえて策定する必要がある。 なお、基本構想の改定に応じた基本計画の見直しが決まれば、それを念頭において実施計画のあり方を早急に詰める必要がある。 実施計画・行政経営改革計画策定に関連する計画等 債権管理重点プラン  区の各年度決算における全債権の収入未済額は、危機的な景気悪化の影響を受け、増加の傾向が続いているため、新たなプラン(平成24〜26年度)を策定し、これまで以上に債権の管理に力を注ぐ必要がある。債権管理にかかる知識やノウハウを一層活用するとともに、他自治体の動向、電子化の進展等を踏まえて検討を行い、引き続き区政運営の基盤となる財源を確保し、負担の公平・公正性を確保するため、プランに基づく具体の取組みを進めていく。 住民税等の納付方法の拡張・電子化  インターネットの普及や、電子決済の利用が進むなど、生活様式が変化する中、さらに区民の利便性を高め、滞納の発生を抑制して収納率の向上を図るためには、簡単に納付できる納付環境の整備が必要である。効率的、効果的な納付方法の拡張に向け、マルチペイメント(ATM納付含む)、クレジット納付等の検証、検討を進めていく。 公会計手法の改善  現行の単年度・現金主義の記録では、トータルのコスト計算や費用対効果が把握できない。これらの課題を解決するために、公会計への複式簿記、発生主義の導入を検討する必要がある。併せて、財務会計システムの修正について検討する。わかりやすい財務情報の公表や、事業評価の仕組みづくりについて、関係所管と情報共有・課題整理を行いながら、調整を図っていく。 (仮称)第2期世田谷区文化・芸術振興計画  心に潤いやゆとり等を感じることができる区民生活及び地域社会を実現するために、「世田谷芸術百華」イベントへの参加人数や区民団体の増加などに加え、今後なお一層の取組みや事業の発展及び推進体制の充実を図ることが必要である。また、平成23年度は現計画の最終年度であり、23年度中に新たな計画(平成24〜28年度想定)を策定する必要がある。 世田谷区男女共同参画プラン調整計画  国の第3次基本計画も踏まえ、男女共同参画プランの調整計画を策定する。男女共同参画プランにおいては、「重点取組み」として「ドメスティック・バイオレンス防止の取組み」を掲げているが、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための基本計画として、男女共同参画プランの調整計画の中での位置付けを検討していく。 (仮称)世田谷区地球温暖化対策実行計画  都内最大の43万世帯84万区民を有する区として、区内のCO2発生の4割を占める家庭部門のCO2の削減を中心として、区民、事業者、区が一体となっての積極的な取組みが必要となる。環境基本計画(調整計画 平成22〜26年度)の実行計画である(仮称)世田谷区地球温暖化対策実行計画(平成24〜28年度想定)を策定する中で、区民、事業者、区の役割を明らかにし、相互に連携し一体となって取り組んでいく。 新たな健康せたがやプラン  現行のプランが平成23年度末で終了することから、新たな健康せたがやプランを策定する。今後の区民の健康の維持・増進、疾病等の予防対策の強化、健康に関する安全安心の確保等について、今後区が進めていく施策のあり方や事業の具体的な内容、目標等を明らかにする必要がある。 世田谷区ユニバーサルデザイン推進計画  すべての区民が自らの意思で行動し、あらゆる分野の活動に参加することができる社会を築くため、前期計画期間の各施策・事業の取組みを踏まえて、平成24〜26年度の後期推進計画を策定する。実施計画や各種分野別計画との整合を図るとともに、財政計画の今後の見通しを踏まえて策定し、着実な推進を図っていく。 世田谷区みどりとみずの行動計画  みどり率の向上に向け行動計画(平成20〜23年度)を策定し、公園緑地の整備、農地保全方針の策定、緑化地域制度の導入等に取り組んできた。平成23年度は行動計画の最終年度となり、この間の進捗状況を踏まえ、さらに持続的かつ計画的に公有地及び民有地のみどりを増やしていくため、次期行動計画を策定する必要がある。区民・事業者とともにみどりとみずの保全と創出に取組む施策を継続的かつ計画的に推進していくとともに、さらに効果的な施策を検討していく。 世田谷区道路整備方針  平成12年に改定され、平成23年度までに取り組むべき事項を定めた現在の道路整備方針(調整計画)が23年度末で終了する。また、平成8年に策定した「世田谷区地先道路整備方針」も策定後10年以上が経過している。今後の道路整備を総合的に捉え、遅れている道路整備を着実に進めるために、これらの方針を統合して地区幹線道路から地先道路までを網羅した、新たな世田谷区道路整備方針を策定する。 世田谷区教育ビジョン第3期行動計画  今後10年間の教育の方向性を示すものとして平成17年3月に世田谷区教育ビジョン(平成17年〜26年度)を策定し、これに基づき施策を推進している。平成23年度は第2期行動計画の最終年度であり、これまでの推進状況等を踏まえて、平成23年度中に第3期行動計画(平成24〜26年度)を策定する必要がある。 世田谷区教育の情報化推進計画  ICTを活用した「わかる授業」や情報教育の推進、校務情報のセキュリティ確保や校務の効率化などを通じて教育の情報化を推進し、学校教育の質の向上を図ることが大きな課題となっている。これまでの推進状況や財政計画の今後の見通しを踏まえ、関連計画との整合を図りながら、23年度中に次期の情報化推進計画(平成24〜26年度)を策定し、着実な推進を図る。 世田谷区立図書館ビジョン及び子ども読書活動推進計画  地域の生涯学習拠点としての図書館機能を充実するため、「世田谷区立図書館ビジョン」に基づき、平成23年度中に、第2期行動計画(平成24〜26年度)を策定するとともに、子どもたちの読書環境の整備を推進するため、第2次子ども読書活動推進計画、同第1期行動計画(平成24〜26年度)を策定する。 課題5 本庁舎等整備の推進  区の庁舎は、地域行政制度のもとで本庁・5総合支所・27出張所等を基本に展開され、各々の位置づけに応じて平常時には区民サービスの拠点機能を、非常時には災害対策拠点機能を担うものとしている。非常時には災害対策本部機能を担う第1庁舎・第2庁舎、近接する世田谷区民会館は、建築後40〜50年が経過し23区の中でも最も古い庁舎となりつつあり、老朽化・狭あい化等により、この間改築等整備を進めてきた他区に比べ、災害対策面はもとより、区民サービス面、環境対応面などにおいても大きく立ち遅れている。このため本庁舎等が抱える問題点や課題に対し、抜本的な解決を図るため、今後の取組みの方向を定める必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.本庁舎等整備の調査研究(平成16〜19年度) (1)4か年の調査研究では@災害対策機能の不足、A区民利用・サービス機能の不足、B環境負荷低減の取組みの不足、C執務スペースの業務非効率が明らかとなり、また改修か改築かという選択肢について比較検証がなされた。 (2)検討対象敷地として、現在地を含め6か所について多岐にわたる視点からの評価が示された。 (3)庁舎問題の抜本的解決を図るために庁舎建替え(改築)に向けた具体的な検討に早急に取り組む必要がある。 2.調査研究を踏まえた取組み (1)区はこの調査研究結果を「区のおしらせ」特集号、27出張所等地区ごとの庁舎問題報告会等を通じて広く周知を図るとともに、意識調査を実施した。 (2)庁舎問題に係る意識調査(地域団体代表、区政モニター、区民等約600人、回収率80%)では、災害対策拠点としての建物の強度について、約90%の方が必要ありとした他、参考となる結果が得られた。 3.本庁舎等整備審議会(平成20〜21年度、10回開催、平成21年8月答申)  区はそれまでの取組みを踏まえ、地方分権・庁舎問題等対策特別委員会を始めとする議会の議論等を踏まえ、「改築の方向で検討する」こととし、改めて条例に基づく審議会に諮問し、次のとおり答申を得た。 (1)現庁舎の課題や問題点を抜本的に解決するためには、本庁舎等の一部または全部を取り壊し、改築する必要がある。 (2)場所については、歴史的な経緯等から現在の敷地が望ましい。しかし交通の利便性等から移転の可能性について今後検討する必要がある。 (3)厳しい社会・経済状況の中で、経費を負担する区民の理解を得ながら進められたい。 4.今後想定される取組み (1)区は、審議会答申を踏まえて取り組んでいるが、現時点で移転の可能性は見い出せない。 (2)平成23年度は引き続き諸課題の整理を進め、庁舎規模、事業の進め方、財政負担等改めて議論・検討する資料を作成する。 (3)平成24年度以降、中・長期かつ全区的観点から取組みの方向性を定める必要がある。 課題6 国民体育大会、全国障害者スポーツ大会の開催及び生涯スポーツ社会実現に向けた施設の整備・拡充  平成25年度に開催予定の第68回国民体育大会(東京国体)では、テニス、ソフトテニスが区立総合運動場、大蔵第二運動場及び都立駒沢オリンピック公園総合運動場で、また第13回全国障害者スポーツ大会では、卓球、フライングディスクが都立駒沢オリンピック公園総合運動場で行われる。このため、区は、開催に向け必要な施設の整備等を行う必要がある。また、最近の健康ブーム、スポーツへの関心の高まりに伴い、区民のスポーツへの参加意欲も増大している。これらを背景に、様々な機会を通して区議会、各スポーツ団体、利用する区民などから、スポーツ施設の整備・拡充を求める声が多く寄せられている。このため、生涯スポーツ社会の実現に向け、区民だれもが身近な地域でスポーツに親しむ場を整備していく必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  大蔵第二運動場の取得をはじめ、総合運動場においては、体育館の大規模改修、野球場の人工芝生化、陸上競技場への夜間照明の新設、テニスコートの利用時間の拡大、国体開催に向けたテニスコートの人工芝の張替えなどにより、スポーツ施設の充実と利用機会の拡大を図ってきた。 2.今後想定される取組み  大蔵第二運動場において、国体開催に向けてテニスコートの芝の張替えを行う。また、既存施設の整備、有効活用に努めるとともに、公園・河川・空き地空間や民間施設・大学施設の活用、学校への夜間照明の設置、区施設の複合化に合わせた体育室の設置など、既存施設の有効活用施策を中心にスポーツ施設の整備を図っていく。 課題7 「環境先進都市 エコシティせたがや」の実現  区は、世田谷区基本構想において、基本理念として、「環境と共生する社会の実現」を掲げ、将来像として「快適な環境のなかで住み続けられるまち」の実現をめざすとしている。良好な環境を将来の世代に引き継ぎ、持続可能で安心して暮らせる社会を形成していくためには、喫緊の地球温暖化の問題解決に、自治体として区民と一体となって果敢に挑戦することが求められている。都内最大の43万世帯84万区民を有する住宅都市世田谷区として、区内のCO2発生の4割を占める家庭部門のCO2の削減を中心として、区民、事業者、区が一体となって積極的に取り組んでいく必要がある。 このことから、「世田谷区環境基本計画(調整計画)」を平成22年5月に策定し、重点施策として@低炭素社会の実現A環境に配慮した生活意識やライフスタイルの確立B区民・事業者・区の協働による環境啓発事業の推進を掲げている。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  現在、調整計画の個別計画として、現行の「省エネビジョン」に代わる、新たな温室効果ガスの削減目標と削減にいたる取組み等を明らかにする「(仮称)世田谷区地球温暖化対策実行計画」の平成23年度中の策定に向け、「世田谷区温暖化対策実行計画懇談会」を立ち上げて、学識経験者、事業者、区民から意見聴取を行うとともに、環境共生会議及び同幹事会等において庁内意見の取りまとめなどに取り組んでいる。 2.今後想定される取組み (1)実行計画の策定   今後、特に地域社会の低炭素化を中心に、5年程度の短期計画、20年程度の中期計画、40年程度の長期計画を、都・国の計画等と整合をとりながら、策定、実施していく。 (2)リーディングプロジェクト   実行計画策定にあわせ、特に短期目標の実現に向けて、以下の優先課題に重点的に取組む。 @エコ住宅の推進  民間住宅の省エネ化率の向上に向けて、区内工務店等のネットワーク化を図り、区民のエコ住宅改修に対する普及・啓発活動を支援する。また、設置者に対する助成を行うことにより、住宅の省エネ化に有効な家庭用省エネ機器の導入促進を図る。 Aエコ区役所の実現  区内最大の事業者として、民間事業者に率先した先駆的な取組みとして、全区役所施設を地域の省エネ活動の先駆的モデル施設と位置づけ、段階的に全施設の低炭素化を実現していく。また、地区の区施設を地区省エネの拠点と位置づけ、区民に向けて、省エネライフスタイルを浸透させていく。 B省エネ型ライフスタイルの展開  区民が低炭素型の生活様式を自らの問題として確立し、実行できるよう、区民、事業者、行政の連携のもと、地域 全体の低炭素化を、様々なイベント(特にNPO、区内大学等との連携)等を活用して、省エネ型ライフスタイルの普及の中で実現していく。 (3)産業分野等との連携   区内事業者と連携し、住宅都市世田谷の特性を生かした環境負荷低減と良好な環境の創出とともに、地域経済の活性化をめざしていく。 課題8 地域産業の振興 1.公共的役割を担う商店街づくり  産業ビジョンでは、「商店街は地域の区民の日常生活を支える公共的役割を担う」と位置づけ、現在、産業振興公社と連携し、商店街振興のためのさまざまな支援を行っている。一方で、全国的な商店街の現状は、シャッター通りに象徴されるように衰退傾向にあり、買い物弱者対策等新たな課題が生まれている。区は、商店街の実情を十分に把握し、産業ビジョンに示す商店街の役割を担える商店街づくりのための支援策を講じていく必要がある。 2.「文化産業大国・日本」を担う新たな都市型産業の推進 −R246ものづくりロード構想−  国道246号線は、日本の最先端の文化・情報の発信拠点、文化産業を牽引する情報コンテンツ産業が集まるルートであり、情報ハイウェイと呼ばれている。新たな都市型産業の誘致・集積を図るため、区は、民間主導により二子玉川地区への映像・コンテンツ・情報関連産業の誘致を決定し、平成22年度〜24年度の3年間の補助事業の実施、推進事業体の選定を行い、国が推進する文化産業を軸とした経済発展の一翼を担いうる産業クラスターの創出を推進している。 区は、用賀・情報産業集積地、桜新町・ものづくり地域、三軒茶屋・クリエータ地域、池尻・ものづくり学校を結ぶ、R246ものづくりロード計画を新たに策定し、文化・情報ものづくり産業を機軸にした区内産業振興を図る必要がある。  3.準工業地域における「ものづくり工業」の振興 −既存ものづくり工業の振興− (1)準工業地域においては、マンション化が進み工業立地が困難な状況にある。一方準工業地域以外に既存不適格工業事業者が多く存在し、準工業地域への転入を希望している。住工共生ルール(地区計画等・工業用地登録システム)の策定と、区内最大の準工業地域である桜新町において、ものづくり工業の再生・発展に向け、周辺地区の国施設、未利用地等を活用した都市型ものづくり企業の誘致、高付加価値型・複数中小企業用の工場整備等を図る必要がある。 (2)平成22年11月に国土交通省は東名ジャンクション道路区域を決定した。また当該地区の街づくりについて、砧総合支所は平成22年8月に「東名ジャンクション周辺地区街づくり方針」を決定し、東名高速をはさむ多摩堤通り沿いに「商店や地元のものづくり事業所等、住商工が調和した街づくりを目指す」エリアを指定した。外環道路区域内にある工業事業者等の移転も視野に、砧総合支所、都市整備部と連携し、地区のまちづくり手法による地区の面的整備を目指す必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.公共的役割を担う商店街づくり (1)現在までの取組み    商店街が行う商店街活性化のための事業や商店街連合会・商店街振興組合連合会事業への支援策として、各種の補助事業を行うとともに、商人塾への支援や商店街経営学校等、商店街振興の担い手育成のための取組み、さらには地域と共生し地域を支える商店街づくりをモデル事業として展開するなど、商店街振興のための支援をおこなってきた。                                                   (2)今後想定される取組み   これからの商店街は、自らが、現況課題の認識のもとに将来展望をもち、会員が一致協力して、活性化に向けて取り組み、これを区が支援する構図が区が進めるべき商店街振興と考える。そのため、今後の商店街の衰退化や、これに伴う買い物難民対策、地域や地域経済の活性化策としての商店街振興、少子高齢化など地域実情・実態に対応した 商店街づくり、地域の中核を担い、街づくりと連動した商店街づくりなど今日的・将来的課題を見据えた商店街・商業振興策を検討し具現化して、商店街振興につなげていく。 2.新たな都市型産業の推進 (1)現在までの取組み状況   平成22年度から、二子玉川地区におけるデジタル映像コンテンツ産業集積事業を開始。桜新町準工業地域での住工共生の取組み、ものづくり学校については、目標数値を定め、入居者の施設退去後の区内事業展開を図っている。 (2)今後想定される取組み   二子玉川東地区再開発(第二街区・平成26年度竣工予定)におけるシネマコンプレックス、映像関連施設との事業連携、大規模オフィス棟への更なる関連事業者誘致・集積を図り、産業クラスターが拡大するよう補助事業者による取組みが進展する予定である。二子玉川地区が、映像文化を核とした広域生活拠点として発展するよう取り組む。また、区内ミニ産業クラスター創出を誘導、加速させるため、ものづくり文化産業にかかるベンチャービジネス、ソーシャルビジネス等を視野に、融資制度、移転補助などの支援策を充実させ、桜新町準工業地域等への事務所開設などの誘導を行 うなど、R246ものづくりロードの具体化に取組む。 3.準工業地域における「ものづくり工業」の振興 (1)現在までの取組み状況  @指導要綱に基づき、集合住宅建設について建築確認前に工業団体への事前協議をさせ規制誘導を行っているが、指導であり実効性が担保されていない。このため平成21年度に桜新町をモデルに住工共生・地域イメージアップの取組みをまとめ、平成22年度には住工共生ローカルルール(地区計画による規制、工業用地登録システムによる誘導)素案を策定する予定。 A区内工業団体が東名ジャンクション道路区域、喜多見地区等の工業事業者をまとめ、地区まちづくりに関与できるように取り組んでいる。 (2)今後想定される取組み @平成23年度に、桜新町地区において、住工共生ローカルルールの具体化を図る取組みを進める。また、ものづくり工業・準工業地域のイメージ向上を図り、世田谷らしいものづくり産業拠点づくりを進める。 A「東名ジャンクション周辺地区街づくり方針」(砧総合支所)の具体化の取組みの早期開始が望まれている。工業事業者の廃業、区外移転を食い止めるため、国や都への働きかけを強め将来の地区展望を示していく。 課題9 都市農業の振興と農地保全の推進  都市農業及び農地は、新鮮で安全な農産物を区民に提供するだけではなく、体験農園や子ども達の学習の場、また、緑豊かな潤い空間の創出、災害時のオープンスペースの確保など多面的機能を有する貴重な資源である。しかし、高額な税負担や後継者不足などの原因で、農家戸数と農地面積は、減少が続いており、この15年間の農地面積の推移を見ても、約44%も減少している。このような状況が将来的にも継続した場合、世田谷の農業は存続も危ぶまれる状況であり、都市農業の振興と農地保全は喫緊の課題である。こうした状況に歯止めをかけるとともに、世田谷らしい都市農業の展開と効果的な農地保全を図るためには、世田谷の農業・農地が区民共有の貴重な宝であるとの認識に立ち、幅広い区民の理解と協力を得ながら、都市農業の振興と農地保全に向けた取組みを総合的に推進していく必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況 (1)都市農業振興の取組み  平成21年3月に、平成21年度から10年間を計画期間とする「世田谷区農業振興計画」を策定し、多様な農業者の育成・支援や区民に信頼される都市農業経営の推進、多くの区民が参加できる多様な農業の展開など5つの基本方針に基づき、認定・認証農業者制度や流通促進モデル事業などの新たな施策を実施し農業振興を図っている。 (2)農地保全の取組み @みどりとみず政策担当部との共同により、農地保全に向けできる限りの方策を実施するという方針に基づき、平成21年10月に「世田谷区農地保全方針」を策定し、関係者等への周知を図った。 A都内の市街化区域内農地を有する38自治体が参加する「都市農地保全推進自治体協議会」(事務局・練馬区 世田谷区長は、副会長)の活動として、フォーラムや国等への要望活動を行った。 B東京23区に農地を有する10区が参加する「都市農地懇談会」(事務局・世田谷区)の活動として、23区区民等に対する都市農業・農地のPR事業を行った。 2.今後想定される取組み (1)都市農業振興の取組み @「世田谷区農業振興計画(調整計画)」の策定  平成23年度後半から、計画の進捗状況や社会経済情勢の変化、国の政策動向などを踏まえた見直し作業を行い、平成24年度中に、平成25年度から平成30年度までを計画期間とする「世田谷区農業振興計画(調整計画)」を策定する。 A今後の重点的な取組みとしては、農家の支援による農業経営基盤の強化とともに区民の間で高まっている農業への参加意欲を活用した区民農園や農業体験農園など多様な区民参加型農業を新たな発想により展開する必要がある。 (2)農地保全の取組み @「世田谷区農地保全方針」に基づく取組みの推進 ・みどりとみず政策担当部との連携を図り、保全方針に基づく「農業振興拠点の整備運営計画」(平成23年度末)を策定する。 ・新たな取組みとして、今後想定される未利用駐車場等の農地への転換などを視野に入れた施策などについて検討を行う必要がある。 A「都市農地保全推進自治体協議会」の活動   参加自治体との連携を図りながら、農地保全に向けた活動を継続していく。 B「都市農地懇談会」の活動  「都市農地保全推進自治体協議会」の活動との整合性を図りながら、引き続き23区の都市農地・農業のPR活動を行うとともに、23区固有の課題解決に向け制度改正や財源確保の検討を行い、実現に向けて国や東京都への要望活動などに取り組む。 課題10 世田谷区障害福祉計画 1.障害者自立支援法の制定 平成18年4月に障害者自立支援法が制定され、第88条で区市町村に障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に関する計画(市町村障害福祉計画)を策定することが定められた。 2.第2期世田谷区障害福祉計画  第2期世田谷区障害福祉計画(平成21〜23年度)は「市町村障害福祉計画」として策定し、3年間の障害福祉サービス等のサービス供給見込量等を年次別に示している。平成23年度は、計画の最終年度であり、平成23年度中に平成24年度以降のサービス供給見込量等を示す必要がある。 3.国における法制度改革の状況等  国は平成21年12月に、「障がい者制度改革推進本部」を設置し、「障害者の権利に関する条約(仮称)」の締結に必要な国内法の整備を始めとする障害者に係る制度の集中的な改革を行うこととしている。平成22年6月には、「障がい者制度推進会議」においてとりまとめた「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第1次意見)」を最大限尊重して改革の推進を図ることを閣議決定した。この中では、現行の障害者自立支援法を廃止し、制度の谷間のない支援の提供、個々のニーズに基づいた地域生活支援体系の整備等を内容とする(仮称)「障害者総合福祉法」を平成25年8月までに施行するために、必要な検討を行うこととしている。このことから、平成24年度以降の障害福祉計画については、今後の国の動向を踏まえて検討していく必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  平成21年4月に第2期世田谷区障害福祉計画を策定し、この計画に基づき障害福祉サービス等の供給を着実に実施している。国は、障害者自立支援法に変わる新たな制度の構築に向けて、「障害者制度改革推進会議」の「総合福祉部会」において検討を進め、平成22年12月には新たな制度構築までのつなぎ法案として、「障害者自立支援法改正法」を公布した。  区では、これまでの国の検討状況等を注視し、平成24年度以降の世田谷区障害福祉計画の位置づけや検討体制等について検討してきた。 2.今後想定される取組み  国は「総合福祉部会」において発達障害者や高次脳機能障害等支援の狭間にいた人たちの支援のあり方などさまざまな論点から検討を進めるとともに、「障害者自立支援法改正法」では相談支援の充実や障害児支援の強化などが示され、障害児通所サービスの実施主体の都から区への移管に伴う対応やサービス等利用計画案を勘案した「支給決定プロセスの見直し」などが求められている(平成24年4月1日施行)。平成24年度以降の世田谷区障害福祉計画については、これらの国の検討状況を踏まえて庁内検討委員会を立ち上げ、具体的な障害施策の取組みや障害福祉サービス等のサービス供給見込み量等計画内容の検討を行う。また、制度改正後の計画については、障害者計画(ノーマライゼーションプラン)との統合も視野に入れながら、平成25年度に施行を予定している(仮称)障害者総合福祉法の内容を踏まえて検討する。 課題11 梅ヶ丘病院跡地利用の検討  都立病院改革の一環として、梅ヶ丘病院の閉院が示されて以降、区議会等において存続を求める意見、跡地を区が取得して利用するよう求める要望、提案等が出されるなか、区は跡地利用を想定した調査研究を進めてきた。そのうえで区は平成22年2月、「跡地全体を対象として保健医療福祉サービスの全区的な拠点を中心に整備、展開する考え方のもとで跡地を取得する方向で検討する」こととし、平成22年度は、施設機能を中心とする「基本構想」をまとめ、併せて他課題についても一定の整理を行う。都では平成23〜24年度にかけて、既存施設の解体を行う計画であり、このスケジュールを念頭に引き続き実現可能性等具体的な検討を進め、跡地取得の可否について区としての最終的判断を行う必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.都立梅ヶ丘病院跡地利用調査研究(平成20〜21年度) (1)跡地では保健医療福祉サービスに係る4つの拠点機能(高齢者等の在宅復帰・在宅療養支援機能、障害者の地域生活への移行・継続支援機能、健康を守る機能、相談支援・人材育成機能)を一体的に整備することが有効であるとした。 (2)区の財政的支援が必要と思われる施設運営に係る収支試算、公示価格並みを想定した場合の用地費(約145〜175億円)などを調査研究しまとめた。 2.当面のスケジュール 平成22年度   土壌汚染調査等、解体設計(都) 平成23〜24年度 解体工事等(都) 平成24〜25年度 用地の売買協議(都区) ※都有地は原則として一般競争入札で売却され、本件のように地元区が福祉目的に利用する場合はそれによらない売却もあり得るとされている。 3.一体的な解決が求められる3つの課題 (1)施設機能   莫大な用地費に見合う真に必要な施設機能を特定する必要があり、各施設の整備主体、運営主体の参加可能性を含めた見極めや、それに即した初期投資、ランニングコストにおける区の負担を試算し、財政見通しとの整合性を検証する。 (2)事業の枠組み・事業期間   事業実施の場合、区並びに民間による複数の整備主体、運営主体における統一的な取組みが求められるが、多様な主体の選定方法や手順、及びその結果を踏まえた整備、運営のスタートまでには相当の期間が想定される。このため可否判断にあたっては、事業の枠組み・事業期間にかかわる取組みの方策を付帯的に明らかにし、議論する必要がある。 (3)財政見通しとの整合性   中長期の財政見通しとの整合性が不可欠である。 4.今後想定される取組み 平成23年3月  「梅ヶ丘病院跡地利用基本構想」の策定           (他関連課題による資料等も合わせて編成) 平成23年度    補足調査 平成23〜24年度 必要に応じた都との協議、区としての方向性の議論、検討 課題12 高齢者医療制度改革 1.後期高齢者医療制度の状況  平成20年4月に創設された「後期高齢者医療制度」は、75歳以上の高齢者は独立した都道府県単位の医療制度に加入するものであり、運営主体は「後期高齢者医療広域連合」である。高齢社会における医療費の急速かつ大幅な増加に対応するため、高齢者と現役世代の負担割合を明確にして世代間の連帯で支えるとともに、高齢者一人ひとりに保険料負担を求め、原則として同じ所得であれば同じ保険料とすることで高齢者の負担の公平化を図る仕組みである。しかしながら、75歳到達と同時に加入すること、「後期高齢者」という名称が用いられたこと、保険料を年金から天引きする制度であること等が、国民の十分な理解を得られなかったこともあり、国は後期高齢者医療制度を廃止することとした。 2.新たな医療制度の具体的な検討  国は新たな医療制度の具体的な検討を行うため、平成21年11月に「高齢者医療制度改革会議」を設置して、検討を進め、平成22年8月20日に中間とりまとめが、12月20日には、最終報告が公表された。最終報告では、平成25年3月に新しい高齢者医療制度を施行して高齢者を国保と被用者保険に戻したうえで、国保については、第1段階として75歳以上を都道府県単位の財政運営とし、第2段階で平成30年度から全年齢で都道府県単位化の財政運営とするとしている。これに対して全国知事会では、新しい高齢者医療制度について、新制度移行に対する必要性の乏しさ、市町村国保の構造的な問題解決や財源に関する議論の欠如等を指摘して反対の意向を示しているが、厚生労働省は最終報告を受け法案化作業にとりかかり、平成23年の通常国会への改正法案提出をめざしている。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  特別区は、国民健康保険については、従来より統一保険料方式を採用して運営していること等から、課長会による「高齢者医療制度に関する高齢者合同研究会」を設置し、制度改革が特別区に与える影響を検討し,課題を整理してきた。特別区長会では、平成22年8月、高齢者医療制度改革会議「中間とりまとめ」(案)に対する緊急申し入れを行い、医療保険は、国民生活の基本に係るセイフティネットであり、将来にわたって安定的で持続可能な制度を構築していくためには、拙速を避け慎重に議論を尽くした上で真に抜本的な改革案を取りまとめ、国民や地方自治体の合意を得て検討を進めるよう申し入れをおこなった。 2.今後想定される取組み 最終報告では、都道府県と市町村の事務分担については、「都道府県」は、財政運営、標準(基準)保険料率の設定を行い、「市町村」は、資格管理、標準(基準)保険料率に基づく保険料率の決定、賦課・徴収、保険給付、保健事業等を行うことを基本とし、地域の実情に応じ、広域連合を活用して運営することも考えられるとしている。 当区としては、今後の国の情勢や動向を見据えつつ、区が担っていく役割を適切に果たすための体制を整備する必要がある。 平成23年度は制度設計の進捗状況により、システム改修準備を行い、平成24年度から組織体制を整備し、システム改修等の具体的な準備を進める。 課題13 第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定  高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画は、区の高齢者に関する施策を総合的・計画的に推進するための計画で、介護保険法等の規定に基づく3年を一期とする計画である。国は、急速な高齢化の進展、特にひとり暮らし高齢者、認知症高齢者が増加している実態を踏まえ、高齢者が要介護状態になっても、可能な限り住み慣れた地域において継続して生活できるよう、介護、医療、生活支援等のサービスを一体的に提供する「地域包括ケア」の体制を整備することを第5期計画策定の留意点として示している。また、平成24年度には、介護保険制度の見直しも予定されている。区は、国や介護保険制度改正の動向を注視するとともに、24時間随時訪問サービスの実施、地域密着型サービスの整備・誘導等、区が重点的に取り組んできた高齢者の在宅生活を支えるサービスを引き続き充実・強化することが求められている。区は、第4期計画の取り組みの成果と課題を踏まえ、平成23年度中に第5期の計画(平成24年度〜26年度)を策定する必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  平成22年度に、世田谷区地域保健福祉推進条例に基づき、第5期計画(平成24年度〜26年度)の基本的な考え方及び施策の方向性、その他計画策定に係る事項に関して、地域保健福祉審議会に諮問した。また、調査審議を行うため、地域保健福祉審議会に高齢者福祉・介護保険部会(学識経験者、医療関係者、公募委員を含む区民及び事業者により構成する)を設置する予定である。 2.今後想定される取組み  地域保健福祉審議会の高齢者福祉・介護保険部会において具体的な調査審議を行い、審議会から答申を受ける。また、国の介護保険制度改正等の動向を注視し、平成23年度中に議会の意見をはじめ、パブリックコメントなどを通して、区民、事業者及び関係団体の意見をいただき、審議会答申を踏まえて計画策定を行う。 課題14 発達障害児支援 「世田谷区子ども計画(平成17〜26年度)」において、「配慮を要する子どもへの支援」を施策の主要な柱立ての一つとし、配慮を要する子どもを地域社会全体で支えていくこととしている。これを受け、発達障害児支援に取り組んでいくため『発達障害児支援基本計画』及び『発達障害児支援実施計画(平成21年度〜23年度)』を策定した。 障害者自立支援法の一部改正が平成24年4月1日に施行されることにより、発達障害が障害者自立支援法の対象となることが明確化されるとともに、放課後等デイサービス・保育所等訪問支援が創設されるなど、障害児支援が強化される。この法改正を踏まえ、区の取組みを検討していく必要がある。更に、「障害者総合福祉法(仮称)」の制定(平成24年制定、25年8月施行)が予定されており、国の動向を十分に注視していく必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  知的、身体、精神の3障害は、障害別に立法化され、それぞれの施策が展開されてきた。それらに比べ、発達障害は、家族を含め社会全体における理解度が低く、サービス提供もなかったことで、その取組みが大きく遅れていた。このような状況を踏まえ、発達障害児への支援を推進するため『発達障害児支援基本計画』及び『発達障害児支援実施計画』を策定し、「早期対応・早期発見」、「個別的継続支援」、「相談から療育までの一貫した支援体制整備」、「地域支援基盤の整備」について、具体的な取組みを進めてきた。 2.今後想定される取組み  平成24年4月施行の障害者自立支援法の一部改正は、区が先進的に進めてきたこれまでの発達障害児支援施策に大きな影響を与えることが予想されるため、社会情勢の変化等も考慮しながら、第二期発達障害児支援実施計画(平成24年度〜26年度)の内容を検討する。 課題15 「子ども・子育て新システム」に対応した子ども施策の構築 1.国の動き 国は、少子化による人口減少社会の到来や、出産や結婚をめぐる状況の変化、諸外国と比較して低い水準の子ども・家族関係の支出、待機児童問題、働き方への多様化、子育て支援のニーズの深化・多様化という現状と課題に対応した、子どもと子育て支援のための仕組みが必要であることから、幼保一体化を含め、新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築を進めることとした(平成21年12月8日)。 その後、「子ども・子育て新システム検討会議」を設置し、平成22年6月29日に少子化社会対策会議にて決定された「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」をベースに、有識者等で構成する「基本制度」「幼保一体化」「こども指針(仮称)」の3つのワーキングチームを設置し、具体的な制度内容の検討を進めている。 2.「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」抜粋 (1)給付設計 @基礎給付(すべての子ども・子育て家庭が対象) ・子ども手当(現金給付) ・子育て支援(現物給付) ・妊婦検診 等 A両立支援・保育・幼児教育給付(仮称) ・産前・産後・育児休業給付(仮称) ・幼保一体給付(仮称) ・放課後児童給付(仮称) (2)工程 平成23年通常国会に法案提出、平成25年度施行を目指す。 ※国及び地方の恒久財源を確保しながら平成25年度の本格施行に向けて段階的に実施する。 ※待機児童解消対策、現金・現物給付の一体的提供など、平成23年度から 実施できるものは前倒しして実施する。 3.区への影響 「子ども・子育て新システム」は、子どもに関する施策について 広範な検討をしていることから、大きな影響が見込まれると想定され、国の動向を十分に注視していく必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況 「世田谷区子ども計画」に基づき、計画期間(平成17年度〜26年度)のうち、平成17年度〜 21年度は前期計画と位置づけ、在宅子育て支援を中心に、発達障害児の早期支援、児童虐待予防・早期発見・早期対応、基盤整備の各施策に取り組んだ。その後、社会経済情勢の変化を踏まえ、平成22年度を初年度とする後期計画を策定し、「子どもの保育環境の整備」、「支援を必要とする家庭のサポート」、「子どもの成長の支援」を重点に据えて取り組んでいる。 計画の推進にあたっては、教育委員会、世田谷保健所を始めとする庁内組織との連携 や、関係団体への情報提供や提言を受けることなどを通じて事業の推進を図っている。 ※子ども計画は、子ども条例の推進計画であり、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画及び児童福祉法に基づく保育計画を含んでいる。 2.今後想定される取組み 「子ども・子育て新システム」は、幼保一体化や子ども手当をはじめとする、子どもに関する施策について広範な検討をしていることから、新システムの制度設計に応じ、保育施設整備等を含む保育計画、発達障害児支援実施計画、新BOP事業など、子ども計画に関する現行施策の再編成や内容の見直しなど、大きな影響が見込まれると想定され、国の動向を十分に注視しながら検討していく必要がある。 課題16 区立保育園民営化に係る今後のあり方  働く女性の増加等に加え、就業形態の多様化などから、夜間、休日、年末保育等新たな保育ニーズに応える取組みが求められるようになった。保育園の民営化については、行政経営改革計画に基づき各総合支所管内に1箇所実施し、5箇所開設後に評価検証することとしている。平成22年度内には、区立保育園民営化検証委員会から報告書が出される予定となっており、区はこれを受けて改めて議会はもとより広くご意見等いただきながら今後のあり方を検討していく。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.民営化の取組み (1)目的 @多様な保育ニーズへの対応   長時間延長保育、休日・年末保育に加え、生後57日目からの産休明け保育を実施する園の拡大を図る。 A保育サービスの活性化と質の向上   質の高い保育を実施している事業者の選定により、区の保育サービス全体がニーズに応えより柔軟に対応していける態勢づくりの契機とする。 B行政運営の効率化     施設運営の効率化によって保育サービス待機児、在宅子育て家庭への支援等施策のための財源確保を図る。 (2)区立保育園民営化ガイドライン @区では、民営化の実施にあたり、対象園の保護者はもとより広く区民にあらかじめ民営化に関する十分な情報提供が必要と考え、民営化の際の基準、ルールとなるガイドラインを作成することとした。  A区は、区立保育園民営化に関する意見交換会(様々な立場の保護者、保育園関係者、専門家等)からの提言を受けて平成17年、区立保育園民営化ガイドラインを策定し、これに基づき平成18年4月以降順次民営化園への移行を図り、平成22年4月に5箇所目を開設した。(経堂、烏山、等々力、砧、松原保育園)。 2.民営化の検証  第三者委員から成る区立保育園民営化検証委員会は、この間の取組みについて成果の検証、プロセスの検証、総体的検証を行い、平成22年12月の中間報告を経てこの平成23年2月には最終的な報告が行われる予定である。  3.今後想定される取組み                                    区は、検証委員会の報告を受け、改めて議会はもとより広くご意見等いただきながら今後のあり方を検討していく。 課題17 中長期の視点に立った新BOPのあり方 1.新BOPの状況  新BOP事業は、区立小学校を利用して行う総合的な放課後対策事業として実施しており、子どもたちが、新BOP室、校庭、体育館等の学校スペースを活用しながら様々な遊びを展開し、異年齢児間の交流及び創造性、自主性、社会性等の育成を図っている。平成11年度から全国に先駆け区立小学校を活用(余裕教室、校庭・体育館、特別教室)した総合的な放課後対策事業(昭和39年度からの学童クラブ、平成7年度からのBOPを統合)として実施しており、平成17年度には全区立小学校で実施している。   2.課題への対応  保護者の就労形態の多様化が進み、利用児童が増加しているほか、就労時間等に合わせた時間延長を求める利用者も多い。こうした状況は今後も続くものと想定され、利用児童の安全を確保し、保護者の就労を支援する考え方のもと、新BOPの大規模化への対応と時間延長等の検討が必要となっている。また、配慮を要する児童の受け入れ環境整備の促進が求められている。 3.国の動き  国においては「子ども・子育て新システム」(別項目参照)の検討において、「放課後児童給付(仮称)」について対象者の拡大、時間延長等議論が進められており、大きな影響があると想定される。そのため、今後も国の動向を十分に注視していく必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  平成22年度から、新BOPの大規模化への対応として、新BOP(学童クラブ)室のスペースの拡大をはじめ、各学校の状況等を踏まえて、活動スペースの確保・拡大を図っている。また、配慮を要する児童の受入れ学年を6年生まで延長するとともに、多機能トイレ(バリアフリー化、トイレシャワー等)の設置を学校の全面改築等にあわせて順次計画的に進めるなど、環境整備を行っている。さらに、中長期の視点に立った「新BOPのあり方」について検討を行っている。 2.今後想定される取組み 国の「子ども・子育て新システム」の動向を注視しながら、新BOPの大規模化への対応、配慮を要する児童への対応、利用時間延長、自己負担導入等、中長期的視点に立った新BOPのあり方を引き続き検討する必要がある。 課題18 住宅・建築物の耐震化の推進  首都直下地震による建築物の被害・損傷を未然に防ぎ、区民の生命・財産を守る目的で平成19年度に「世田谷区耐震改修促進計画」を策定した。計画の策定から概ね3年経過することから、より一層の耐震化を促進するため、実施状況等に関する検証を行い、平成23年6月を目途に計画の改定を行う。また、耐震改修促進計画に基づき、区民の目線に立ち、使いやすさや即効性・有効性のある耐震支援制度となるよう見直し及び拡充を図る必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況 (1)普及啓発  区広報紙掲載、リーフレットの配布、町会・自治会への回覧、防災訓練等への参加、耐震化アンケート調査による普及啓発及び事業の周知など (2)木造住宅の耐震化   助成要綱の制定、戸別ポスティングによる事業周知、出張耐震相談会の開催など (3)非木造住宅・建築物の耐震化   助成要綱の制定、出張耐震相談会の開催、緊急輸送道路沿道建築物所有者への戸別訪問と相談会の開催など 2.今後想定される取組み  平成23年6月を目途に改訂する「世田谷区耐震改修促進計画」に基づき、総合的な普及啓発を図るとともに、訪問相談事業及び、各種耐震診断・耐震改修助成などを拡充し、住宅・建築物のより一層の耐震化の推進を図る。また、東京都が平成23年度中に緊急輸送道路沿道建築物所有者に対し、耐震診断義務化の条例を制定する方向のため、都と連携して、所有者等への普及啓発、助成要綱の拡充検討を進める。 課題19 都市型水害対策の推進  近年頻発している局所的な集中豪雨から区民の生命と財産を守り、「水害に強い安全・安心のまち世田谷」を目指して、平成21年10月に「世田谷区豪雨対策基本方針」、平成22年3月に「世田谷区豪雨対策行動計画」を策定した。   1.世田谷区豪雨対策基本方針 10年後(平成29年度)の目標並びに30年後(平成49年度)の目標を設定するとともに、目標を達成するために、「河川・下水道の整備」、「流域対策」、「家づくり・まちづくり対策」、「避難方策」の4つの柱を掲げた。 2.世田谷区豪雨対策行動計画 「基本方針」で定めた4つの柱について、平成29年度までに行うべき「施策」、「取組内容」、「年次計画」等を示した。取組みを着実に推進していくためには、区の関係部署はもとより、東京都、さらには区民等の協力が必要不可欠である。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  豪雨対策行動計画に基づき、各施策を実施しているところである。 主な取組みとしては、@下水道枝線工事・桝及びL形溝設置工事の施工 A野川・仙川の河川改修、下水道分流地域における雨水管整備(東京都)B谷沢川流域の水路・在来管現況調査の実施 C豪雨対策、雨水流出抑制について関係機関等へのPR、周知 D河川水位監視用ライブカメラの増設 E「世田谷区雨水流出抑制施設の設置に関する指導要綱」の制定、施行 F区管理施設工事おける雨水流出抑制施設設置等が挙げられる。 2.今後想定される取組み  今後も、豪雨対策行動計画に基づき、各施策を実施していくことになるが、豪雨対策や雨水流出抑制についてのPR・周知を継続し、理解と協力を得ながら着実な推進を図る。こうした中で、豪雨対策に大きく寄与する下水道雨水管の整備については、区の受託事業としての取組みも視野に入れつつ、早期整備に向け積極的に取り組む。また、平成22年6月の東京都技術会議の最終提言を受け、東京都、関係区による谷沢川・丸子川流域の総合治水対策を検討する会議体の構築にも積極的に取り組み、特に谷沢川未改修区間の流下施設(河川・下水道)の早期整備を促進する。 課題20 第三次住宅整備方針策定に伴う重点プロジェクトの推進  現計画である世田谷区第二次住宅整備後期方針(平成18〜22年度)の策定以降、区の住まいをめぐる状況は大きく変化している。平成18年度に40年にわたって住宅の「量」の確保を主眼としてきた「住宅建設計画法」が廃止され、「質」の向上を主眼とする「住生活基本法」が制定された。これに伴い、市場重視と消費者利益の保護、ストック重視、住宅ネットワークの構築、福祉・まちづくり・環境等の分野との連携強化、地域の実情を踏まえたきめ細かな政策展開、住宅関連産業の健全な発展などを目指した住宅政策が求められている。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況 第三次住宅整備方針について、平成21年12月に住宅委員会に諮問し、平成22年7月に中間まとめを受け、素案策定後10〜11月にパブリックコメントを実施した。さらに平成22年12月に住宅委員会から最終答申を受け、平成23年3月に策定する。 2.今後想定される取組み 住まいをめぐる状況を踏まえ、平成23〜32年度までを計画期間とする第三次住宅整備方針を平成23年3月に策定し、5つの基本方針とそれに基づく16の基本施策を示す。さらに、区民の住まいづくりに関して重要な5つの課題についての対策事業を、重点プロジェクトとして位置づけ、前期5年間で着手する。 【重点プロジェクト】 1高齢者の居住支援プロジェクト 2マンション維持管理支援プロジェクト 3住宅資産活用プロジェクト 4住宅関連情報提供プロジェクト 5環境配慮住宅促進プロジェクト      第三次住宅整備方針の策定と合わせて、一部の重点プロジェクトについては、平成23年度実施に向け、年度内着手に向け準備を進めている。事業の立ち上げにあたっては、地域の住民、マンション管理士団体、NPO、地域の住宅関連事業者をはじめとして、様々な主体との連携・協働により展開していく。 課題21 にぎわいの拠点の整備  人が憩い、集うことができる「にぎわいと魅力ある核づくり」を目指し、84万都市世田谷区にふさわしい都市づくりのため、世田谷区都市整備方針において、広域生活拠点に位置付けている三軒茶屋、二子玉川、下北沢において、地区の課題を解決し、にぎわいの拠点づくりを推進していく必要がある。各地区ともに鉄道駅を中心として商業施設が集積するなど、地域特性を活かしたにぎわいを形成してきた。しかしながら、道路、公園等の都市基盤整備が不十分であると共に老朽建物が集積する部分も見受けられることから、火災時の延焼の恐れや消防活動に支障があるなどの防災上の課題がある。また、無接道、狭隘な道路に接する敷地も多く、建て替えが困難、高度利用が図れないなど、土地利用上の課題も抱えている。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況 (1)二子玉川  駅東側に位置する二子玉川東地区において、平成16年度に市街地再開発事業の認可を受け再開発による街づくりに取り組んできた。平成22年度末にはT期事業が完成予定である。 (2)下北沢  現在、事業中の小田急線(代々木上原駅〜梅ヶ丘駅間)連続立体交差事業および複々線化事業による鉄道地下化に伴い線路跡地が生じることから、総合的な線路跡地の利用(以下、「上部利用」という。)により、沿線における防災環境の向上、地域の活性化、市街地環境の維持・向上を図る必要がある。このため、平成22年度中に上部利用の区の考え方を示す上部利用計画(区案)を策定する予定である。 (3)三軒茶屋  三軒茶屋駅周辺地区において、これまで市街地再開発事業などによる面的な整備を目指し、キャロットタワー、サンタワーズなどの事業を完成させた中で、現在、三軒茶屋二丁目地区において、三軒茶屋二丁目センター地区及び三軒茶屋二丁目B地区の二つの準備組合により街づくりの検討を進めている。 2.今後想定される取組み (1)二子玉川  T期事業に続き再開発事業の中央に位置するU期事業では、公益的施設として子育て支援機能や高齢者支援機能、文化・教育機能の確保及び新たな都市型産業を確保するよう協議・調整を進めると共に補助事業を導入し、一層魅力ある賑わいの拠点としての発展を目指す。※事業期間 平成22〜26年度(二子玉川東地区市街地再開発事業) (2)下北沢  区案に基づき鉄道事業者等関係機関と協議を進め、上部利用計画決定(平成24年度以降)ならびに補助事業を導入しつつ、駅前広場、通路などの計画的な施設整備に取り組む。 (3)三軒茶屋  三軒茶屋二丁目地区の一体的な街づくりを進めるため、平成23年度以降、地元の合意形成の熟度に応じて地区計画を策定する。地元準備組合による市街地再開発事業へ向けた取り組みを支援し、引き続き三軒茶屋全体の発展を目指す。 課題22 二子玉川駅周辺地区における基盤整備((仮称)二子玉川公園、再開発エリア周囲の道路ネットワーク整備)  広域生活拠点である二子玉川駅周辺地区の都市基盤を強化するため、再開発事業に合わせて(仮称)二子玉川公園、及び再開発エリア周囲の道路網を整備する必要がある。  (仮称)二子玉川公園については「みどりとみずのネットワーク」の拠点として、また、広域避難場所である多摩川河川敷と一体的に利用でき、防災機能を備えた公園(面積 約6.3ha)として整備する。地域に愛され、利用される公園となるよう、整備内容は住民参加による検討を基本として進めている。 また、道路については、二子玉川駅の交通結節機能を強化するため交通広場を整備し、公園と多摩川河川敷を一体化するため多摩堤通りの一部をトンネル化するなど、再開発事業などと一体的に整備を進める。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  公園については、住民参加による検討を踏まえ、平成22年6月に「基本計画」を策定した。現在、多摩川や国分寺崖線のみどりとみずを活かした公園づくりを目指し、富士山を望める広場や庭園など多世代が利用でき、また、雨水貯留施設設置など緊急時にも活用できる施設整備に向けた基本設計を進めている。  道路については、再開発事業にあわせて整備を進め、平成22年度末までに約2.0km(計画約2.8km)の整備が完了する。 2.今後想定される取組み  公園は、平成24年度末の一部完成(庭園を含む西側約半分)を目指して、平成23年度に実施設計や一部整備工事に着手する。引き続き、ワークショップなどにより、住民参加による花植えや清掃活動などの管理・運営に向けた取り組みを進める。  道路は、再開発事業が完了予定の平成26年度末までに全路線の完成を目指している。  公園及び道路の整備に際しては、環境に配慮した新技術を導入するなど、整備や管理費用の縮減を進めるとともに、国庫交付金の導入など財源の確保に努める。  課題23 世田谷みどり33の推進  区は、区制100周年となる2032年(平成44年)に区の面積の1/3(※みどり率33%)をみどりとする「世田谷みどり33」を推進しており、この達成を通じて、「みどりとみずの環境共生都市世田谷」を実現し、潤いのあるまちづくりをすすめていくこととしている。 世田谷みどり33に向けての柱となる「世田谷区みどりとみずの基本計画(平成20〜29年度)」の期間中には、112haのみどりとみずを増やし、みどり率25.56%(平成18年)を27.5%へ向上させることを目標としている。その実現に向け「世田谷区みどりとみずの行動計画(平成20〜23年度)」を策定し、公共及び民間のみどりを保全し創出するために、公園緑地の整備、農地保全方針の策定、緑化地域制度の導入等に取り組んできた。しかしながら、厳しい財政状況においても、引き続き世田谷みどり33を推進していくためには、さらに効率的、効果的な手法等の検討、区民・事業者との協力・協働の推進に取組んでいく必要がある。 ※みどり率とは:緑が地表を覆う部分に公園区域・水面 を加えた面積が地域全体に占める割合 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  現「みどりとみずの行動計画」に基づき、「世田谷みどり33」をめざして様々な施策を展開してきた。 (1)世田谷らしいみどりとみずの保全として、農地保全方針の策定、名木百選のPRなどを行った。 (2)地域の水循環の回復と水環境再生のため、水辺再生計画を策定し、深沢の杜緑地や等々力渓谷公園等を整備した。 (3)地域にあったみどりとみずの創出では、東京厚生年金スポーツセンター等の用地の計画的な取得や、桜木ふれあい緑地等の公園緑地を整備した。また、学校の校庭芝生化や保育園など公共施設の屋上緑化等も計画的に進めている。都市緑地法に基づく緑化地域制度の導入やガーデニングフェア、ガーデニングコンクールの開催、生垣・屋上・壁面緑化など区民への助成により、みどりのまちづくりを推進している。 (4)みどりとみずのある暮らしを応援するため、フィールドミュージアムの整備、みどりの推進員や管理協定団体への講習会の開催、みどりと花いっぱい運動の推進など区民と協働でまちのみどりを増やしている。 なお、厳しい財政状況を踏まえ、公園いきいき事業や公共施設緑化等一部事業の縮小・休止の見直しを行った。 2.今後想定される取組み  「世田谷みどり33」の実現に向け、平成23年度、次期行動計画(平成24年度〜26年度)の策定に取組む。行動計画策定にあたっては、今後の財政計画の見通しも踏まえ、「みどりとみずの基本計画」の4つの基本方針に基づき、国分寺崖線、屋敷林、農地などのみどりの保全、水循環の回復、公園緑地の整備、公共施設の緑化、民有地のみどりのまちづくりなど、区民・事業者とともにみどりとみずの保全と創出に取り組む施策を継続的かつ計画的に推進していくとともに、さらに効果的な施策を検討していく。また、維持管理の効率化、各種補助金・交付金の活用、区民・事業者との協働の推進等により、財政負担の軽減を目指していく。 課題24 道路基盤整備等の推進 1.新たな道路整備方針の策定  地区幹線道路や主要生活道路の整備の遅れから、生活道路に通過交通が流入する等、様々な問題が生じており、2010年の区民意識調査では、地域における日常の困りごとの第1位が「道路が狭くて危険」となっている。こうした背景から、「道路整備方針」及び「地先道路整備方針」を策定し、道路整備を計画的かつ効果的に取り組んできている。 「道路整備方針」は、平成22年度に改定予定であったが、東京外環道や京王線立体化等の国や都の大規模な基盤整備を見定めた上で改定する必要があるため、方針の改定時期を平成24年度に変更し、それまでの期間に区が取り組むべき事項について定めた「道路整備方針の調整計画」を策定し、主要な生活道路の整備に取り組んでいる。「地先道路整備方針」は、平成8年に策定され、これに基づき各総合支所で策定した「地域地先道路整備計画」も策定後概ね10年を経過していることから、改定の時期を迎えている。これまで「道路整備方針」と「地先道路整備方針」は別の方針であったが、道路の段階構成や道路ネットワークの観点から、地区幹線道路から地先道路までを一体として捉えて取り組む必要がある。  2.電線類地中化整備及び環境対策の推進  歩道の電柱が歩行者や車いすなどの通行を妨げ、林立する電柱や輻輳する電線が都市景観を損ねとともに、災害時の電柱倒壊や電線の切断等によって避難や救急活動、物資輸送、電力・通信サービスの供給に支障が生じた実例から、こうした問題を解消し、安全で安心な道づくりのため、電線類地中化整備を計画的に推進する必要がある。また、都市特有の環境問題であるヒートアイランド現象が一因と考えれるゲリラ豪雨の発生により、区においても都市型水害が発生している。赤外線反射材を含む舗装材を塗布する遮熱性舗装や、舗装内部の保水材に蓄える水分の気化により熱を奪う保水性舗装、舗装材の空隙から雨水を地下に浸透させる透水性舗装などの環境配慮型舗装を推進し、路面温度の低減や地下水涵養等を図り、ヒートアイランド対策や豪雨対策、地球環境への負荷低減に取り組む必要がある。 3.道路台帳情報の整備  道路台帳に関わる情報は、窓口で年間4万件以上の提供を行っており、需要の多い情報となっている。現在、紙ベースの道路現況平面図(道路背景図)を電子地図化する作業に取り組んでおり、今年度完了する予定となっている。今後は電子地図化した情報を最新に保つための年次補正や新しい図面に基づいた調書の作成に取り組むとともに、このデータの利活用について庁内の関係所管課と連携し、検討を進めていく必要がある。 4.地籍調査事業の推進  地籍調査とは、一筆ごとの土地について、その所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成することであり、国土調査法及び国土調査促進特別措置法に基づき行われている。本調査のメリットとしては、土地境界をめぐるトラブルの未然防止や円滑な土地取引、災害時における迅速な復旧・復興、道路をはじめとする区有財産の適正管理等が挙げられ、区民にとって非常に有益なものである。 世田谷区では、2班体制で、1工区約5haを2カ年かけて調査し、年間約10haのペースで事業を進めている。厳しい財政状況や、地籍調査自体が土地所有者の所在や境界の確認等に、多くの時間と労力を費やすことなどから、事業の大幅なスピードアップについては難しい状況があり、他の事業手法との連携を図るなど更なる工夫が必要である。 1.新たな道路整備方針の策定 (1)現在までの取組み状況   各地域の課題や、東京外環道・京王線立体化等の大規模都市基盤整備について課題を整理してきており、国や交付金等の動向を的確に見定めながら検討を進めている。 (2)今後想定される取組み  道路整備を着実に推進していくため、現在の「道路整備方針(調整計画)」と「地先道路整備方針」を統合し、新たな方針策定に取り組む。策定にあたっては、今後の財政計画の見通しも踏まえ、これまでの手法に加え、様々な事業手法の導入を検討するとともに、以下の方向性で取り組む。地先道路から幹線道路まで総合的にとらえた道路ネットワークの構築に配慮するとともに、東京外環道整備に伴う周辺街づくりや京王線沿線街づくりの動き等、現在進みつつある地元の街づくりの動きとの整合を図っていく。また、「みどり33」や「交通まちづくり基本計画」等の既成計画を踏まえ、ユニバーサルデザインを推進し、誰もが快適に通れる「ゆとりあるみちづくり」や渋滞解消・道路緑化により環境負荷を軽減し、「街が生き生きするみちづくり」を新たな視点として取り入れていく。 2.電線類地中化整備及び環境対策の推進 (1)現在までの取り組み状況  平成8年度から21年度までに4度策定した整備計画に基づき整備を進め、平成21年度末までに道路延長で約7.8qの路線で電線類地中化を行った。また、平成15年度から21年度末までに、遮熱性舗装を約26,000u、保水性舗装を約2,000u整備し、透水性舗装を昭和50年代から21年度末までに約1,000,000u整備した。 (2)今後想定される取組み  平成21年度策定の「世田谷区電線地中化整備5カ年計画」に基づき、地区幹線道路等の新設や拡幅、改築にあわせた整備などにより、電線類地中化整備を推進する。平成26年度を目途に次期電線類地中化整備計画の検討を進める。また、豪雨対策行動計画に基づき、道路新設・改良にあわせて、沿道土地利用や地下水位等の状況を考慮のうえ、透水性舗装や遮熱性舗装、保水性舗装等を着実に推進する。 3.道路台帳情報の整備 (1)現在までの取組み状況  道路台帳の整備状況については、区は昭和60年代に道路現況平面図を紙台帳として完成していたが、平成19年度からは公共基準点を活用した、座標を持つ電子地図としての道路台帳の再編成に着手し、平成22年度中には完成する予定となっている。 (2)今後想定される取組み  道路台帳情報を最新の状態に保つための年次補正及び道路台帳調書の整備を行っていく。また、経費圧縮の検討及び庁内における道路台帳情報の共有化による利便性や区民サービス向上に関する検討を進め、道路台帳情報の利活用に向けたシステム並びに仕組みの構築に向け取り組んでいく。 4.地籍調査事業の推進 (1)現在までの取組み状況  平成16年度から地籍調査事業に取組み、区が実施主体となって地籍調査を完了した地区面積は、6年間で約50haとなっている。 (2)今後想定される取組み  現計画の新規着手地区が平成24年度までとなっているため、次期着手地区選定を平成23年度に行い、事業を推進していく。また、地籍調査の事業拡大に向け、国土調査法の一部改正を踏まえて、民間委託等をはじめとする事業手法の検証及び土地区画整理事業を始めとする市街地開発事業等との連携を図り、地籍調査以外の測量及び調査の活用を検討する。 課題25 京王線連続立体交差事業に併せた沿線街づくり  区内の鉄道は、区民生活の根幹をなす大動脈であり、公共交通において重要な都市施設である。しかし、沿線地域では、開かずの踏切によって、交通渋滞の発生、地域間の分断や踏切事故の危険性など様々な問題を抱えており、区をあげて解決すべき大きな課題として、開かずの踏切の早期解消と沿線まちづくりに積極的に取り組んでいるところである。そこで、区内で最も多くの開かずの踏切を抱える京王線の開かずの踏切解消に向けた抜本的な対策として、現在、東京都及び京王電鉄が事業主体となり京王線連続立体交差化・複々線化事業の都市計画決定に向けた取組みが行われている。区では、連続立体交差事業の進捗に併せ、沿線の側道計画及び駅前広場の都市計画決定に向けて、東京都、京王電鉄及び隣接区である杉並区との連携・調整を図りながら取り組んでいるところである。今後は、平成23年度駅前広場の都市計画案作成、平成24年度の都市計画決定、その後の事業化等に向けて一体的な沿線街づくりをより一層進めていく必要がある。また、沿線地域において安全安心の街づくりを進める観点からも、平成23年度以降、各駅周辺地区から地区街づくり計画の原案の提出を受け、地区街づくり計画の策定に向け、この機に効果的な作業を進める必要がある。  現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況 平成21年 5月   世田谷区京王線沿線街づくり基本方針の策定      10月   京王線沿線駅前広場基本構想の策定   11月   都市高速鉄道10号線及び関連側道計画の都市計画素案等説明会 平成22年 12月 明大前駅及び千歳烏山駅駅前広場都市計画素案説明会の開催   平成23年予定    都市高速鉄道10号線及び関連側道計画の都市計画案等説明会   2.今後想定される取組み 平成23年度 明大前駅及び千歳烏山駅駅前広場都市計画案の策定 平成24年度 連続立体交差事業及び関連する側道計画、駅前広場の都市計画決定 平成25年度 事業認可 概ね10年後 事業完了  なお、連続立体交差事業に伴う側道計画や駅前広場等の都市計画の決定に際しては、広く住民の皆さまに計画案を示しながら進め、事業推進においても、ご協力いただく地権者の方々の再建に配慮し、住民の皆さまのご理解のもと効果的な事業の進捗を図っていく。  課題26 公共交通機関(新規バス路線等の導入)の拡充  区では、これまで、公共交通不便地域の解消や南北交通の強化、また、高齢社会における地域間の移動利便性の向上を図るため、7つの新規コミュニティバス路線の実現を図ってきた。 世田谷区には今だに、北部を中心に公共不便地域が存在している。また区内には狭い道路が多く、バス走行可能な道路がほとんどないため、バスコース設定が困難な状況である。今後は庁内検討委員会の議論を重ね、特に京王線・小田急線間の南北方向の移動利便性向上のため、道路整備の進捗状況を見据えながらバス走行可能な道路を確保し、交通管理者等と調整をして新規コミュニティバス路線の導入等を図る。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況 <区で導入を図ったコミュニティバス路線> (1)平成10年10月  玉堤循環路線(タマリバーバス) (2)平成13年 6月   南北路線 (3)平成13年10月  希望ヶ丘路線(八幡山ルート) (4)平成15年3月   喜多見・宇奈根地区路線(狛江ルート)      (5)平成15年 3月  希望ヶ丘路線(千歳船橋ルート) (6)平成17年12月  祖師谷・成城地域循環路線(せたがやくるりん) (7)平成19年 4月  喜多見・宇奈根地区路線(二子玉川ルート) <新規コミュニティバス導入等に向けた取り組み> 平成22年5月、今後のコミュニティバス路線の開設等を図ることを目的に庁内横断的なコミュニティバス路線導入等に関する庁内検討委員会を立ち上げ、その後6月、8月、12月に検討委員会の下部組織である作業部会において検討を進めている。 2.今後想定される取組み  短期(平成23年度〜) 経堂駅・八幡山駅間路線(予定)の実験運行本格運行  中期(平成26年度〜) 経堂駅・桜上水駅間路線(予定)の導入  長期         道路整備に併せた新規コミュニティバス路線等の導入           課題27 自転車走行環境整備の推進  近年の自転車にかかわる交通事故の激増や社会全体の環境意識と健康意識の高まりなどが背景となり、自転車利用の安全確保と更なる利用の促進を実現するための自転車走行環境整備は、低炭素社会の実現に向けた取組みなどの施策ともあいまって区民の関心、ニーズも高まっている。 自転車走行環境の整備については現行の「世田谷区自転車等の利用に関する総合計画(平成13〜22年度)」に基づき実施しているが、現在、社会状況の変化等を踏まえ、平成23年度を初年度とする「(改正)世田谷区自転車等の利用に関する総合計画(平成23〜32年度)」の策定準備を進めており、これと整合した計画的な整備とネットワーク化を推進する必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  平成19年度から社会実験やモデル整備により自転車走行空間の整備手法の検討を進め、これまでの成果を整理して、平成22年度より「世田谷区自転車走行環境整備指針」として運用開始した。現在、課題として残っている、歩道のない道路での自転車の安全走行の誘導方策などについて、交通管理者協議と区民との協働を継続しており、さらに交通安全の確保と自転車走行環境の向上に有効な整備手法の確立を図っている。 2.今後想定される取組み  自転車走行環境整備手法の確立のために、試験施工と交通量調査等による効果検証を実施するほか、自転車専用通行帯(ブルーゾーン)等の認知度向上のためのモデル整備や、沿道調整のための整備案作成に取り組み、着実に推進を図っていく。ただし、現段階では自転車走行環境整備単独の量的な年次整備計画の策定ではなく、原則、道路整備方針による道路新設整備計画や土木事業実施計画に基づく整備を進める方針である。 課題28 区立幼稚園のあり方に係る今後の方針の策定 1.区立幼稚園とこれまでの用途転換  区では、昭和30年代から同40年代にかけての幼児人口増加と幼稚園教育普及に伴う需要増大に伴い、区民要望に応じて、昭和41年度から昭和54年度にかけて計13園の区立幼稚園を開設した。その後、幼児人口減少等もあり、城山幼稚園(平成7年度に不登校児童・生徒の支援施設ほっとスクール)、下馬幼稚園(12年度に私立認可保育園)、旭幼稚園及び羽根木幼稚園(19年度に私立認定こども園)の計4園の用途転換を推進してきた。   2.子どもを取り巻く環境変化への対応  更に、現在に至るまでの間も、子どもを取り巻く環境は大きな変化が生じており、今日、幼稚園需要の漸減傾向や保育サービス需要の増大への対応、幼保一元化への期待や要配慮児への対応、幼稚園・保育園と小学校との連携などが課題となっている。区立幼稚園は、区内の私立幼稚園とともに定員充足率の低迷もあり、私立幼稚園を量的に補完するという開設当時の目的は既に達成し、機能転換を図る時期にある。区内の幼児教育ニーズの多様化などに柔軟に対応するため、現在の区立幼稚園は、その発展形態として幼保一元化等の取組みが求められている。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況  区教育委員会では子ども部など区長部局とともに、平成21年6月に区立幼稚園の今後のあり方を検討するための検討委員会を設置し、今後の幼児教育、区立幼稚園について、平成22年5月には「あり方について(中間のまとめ)」を、また区議会・幼稚園関係団体等の意見や区民アンケート結果等を踏まえ、9月に「あり方について(案)」を、さらに区議会や関係団体等の意見、国による「子ども・子育て新システム」の動向等を踏まえ、12月に「今後の区立幼稚園のあり方について(以後「あり方」)を取りまとめた。  この「あり方」では、今後の幼児教育と区立幼稚園のあり方について、幼保一元化等の推進や保育環境の整備、幼稚園・保育園と小学校との連携、要配慮児への支援等の取り組みの方向性、今後の区立幼稚園の検討すべき用途転換類型等として、5つの類型等を提案した。 2.今後想定される取組み  今後は、この「あり方」に基づき、国の幼保一体化等を巡る新システムの制度内容の動向等を注視するとともに、保育サービス待機児の状況も見極めながら、今後の幼児教育と区立幼稚園の用途転換等について、平成23年度以降、国の検討内容・状況との整合を図りつつ、具体的な方策等取り組みについて検討し、今後の方針として策定の上で、取り組みを推進していく。   課題29 学校の適正規模化・適正配置の更なる推進 1.区立小・中学校の状況  区立小・中学校の児童数・生徒数の将来推計を見ると全体としては、向こう15年程度微増または横ばい傾向が継続すると見込まれているが、地域や学校区の単位で見ると、増加傾向や減少傾向の偏在化が今後固定化するとともに、強まっていくことが考えられる。大規模化傾向が顕著な学校では、教室の不足が懸念され、小規模化傾向にある学校では、学校の活性化のための方策など適切な対応が求められる。また、校舎の老朽化も進行している。   2.具体的な方策・第1ステップ(平成20〜25年度)の推進 区立小・中学校の状況を背景に「世田谷区立小・中学校の適正規模化・適正配置に関する基本的な考え方」(平成20年8月)及び「世田谷区立小・中学校の適正規模化・適正配置に関する具体的な方策」(平成21年3月)を策定した。これらに基づき、区立小・中学校の児童数・生徒数の今後の推移や学校施設の老朽化を念頭に、大規模化・小規模化・老朽化の3課題を総合的にとらえながら、平成21〜平成25年度までの概ね5年間(第1ステップ)の具体的な年次計画を着実に推進する必要がある。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況 (1)大規模化に対する具体的な方策   通学区域内の児童数増加に対応するため、4小学校(二子玉川小学校・砧南小学校・千歳小学校・千歳台小学校)の増築及び一部改築を進めている。なお、児童数の動向や財政状況等を考慮し、工事期間の短縮や工事時期の調整を行い、千歳台小学校は平成24年度の供用開始、他の3校は平成25年度の供用開始を予定している。 (2)小規模化に対する具体的な方策   小規模化傾向が続くと見込まれる中学校で、学校間が近接している2学校群(若林中学校と山崎中学校、船橋中学校と希望丘中学校)の学校統合を進めている。若林中学校と山崎中学校を統合して設置する「世田谷中学校」は平成23年4月に開校し、船橋中学校と希望丘中学校を統合する新校は平成24年4月に開校する。 (3)老朽化に対する具体的な方策   平成20年度に現山崎中学校と現船橋中学校を改築校に選定し、平成21年度には改築計画基本構想を策定し、平成22年度には基本設計に取り組んでいる。また、平成21年度には、「次期改築候補校の選定の考え方」をまとめ、平成22年度には2校の次期改築候補校の選定を行う。 2.今後想定される取組み  第2ステップの具体的な方策(平成26〜31年度)については児童数・生徒数の推移等を見極めながら、計画期間の前年度(平成25年度)までに取組みの方向を明らかにする。 課題30 世田谷9年教育の推進  「世田谷9年教育」は、「教育ビジョンが目指す子ども像」を実現するため、教育基本法や学校教育法などの改正を踏まえ、小・中学校の主体性を尊重しつつも、義務教育9年間を一体ととらえ、新学習指導要領の実施を機に、区立小・中学校が一体となって、21世紀を生きる児童・生徒一人ひとりの有する個性や能力を伸ばし、自立した個人として生きる基礎を培い、基本的な資質を養う、区民の高い期待と信頼に応えられるより質の高い教育を実現していこうとする取組みである。  「世田谷9年教育」は次の3つの柱を中心に推進する。 (1)世田谷区教育要領 「世田谷区教育要領」は、新学習指導要領を踏まえ、世田谷区の義務教育9年間で学習する各教科等の目標・内容等を定める。 各区立学校は、国の法令や学習指導要領等に従いつつ、地域や学校の実態及び児童・生徒の心身の発達段階や特性を十分考慮し、「世田谷区教育要領」に基づいて教育課程を編成し、世田谷区にふさわしい質の高い教育を実現していく。 (2)学校運営 各学校は、近隣の区立小・中学校で構成するグループ「学び舎」を構成する。各「学び舎」は、教育目標や重点目標、行動計画などを設定し、小・中学校が協働して、一人ひとりの児童・生徒の9年間の義務教育に対して責任をもつ学校運営を進める。そして、地域の教育力と特色を活かしつつ、「地域とともに子どもを育てる学校運営」を一層推進する。 (3)教職員の研修・研究及び学校への支援の充実 教職員の研修・研究のセンター的な機能を担う場の整備や、教育委員会が主催する研修会等の改善、「世田谷区立小学校教育研究会(世小研)」と「世田谷区立中学校教育研究会(世中研)」の活動の充実など、研修・研究体制の改善・充実を図る。 現在までの取組み状況、今後想定される取組み等 1.現在までの取組み状況 (1)平成20年2月に、学識経験者・学校長・保護者や地域の代表などによる「世田谷9年教育検討委員会」を設置し検討を進め、平成22年3月に、検討委員会から「検討のまとめ」が示された。区教育委員会は、それを踏まえ、同年4月に「『世田谷9年教育』推進に向けた基本的な方針」(以下「基本的な方針」)を策定した。 (2)平成22年度より全区立小・中学校をグループ化(各グループを「学び舎」と称する)し、「学び舎」による学校運営の試行を開始した。 (3)新学習指導要領を踏まえ、世田谷区の義務教育9年間で学習する各教科等の目標・内容等を定めた「世田谷区教育要領」の作成に取り組み、平成23年1月に「世田谷教育要領」素案(小学校版)を作成した。  ≪世田谷区教育要領の特徴≫   ・教科「日本語」とともに「ことばの力」の育成を全教科を通じて行う。  ・世田谷9年教育で育てたい力・資質である「豊かな人間性」「豊かな知力」「健やかな身体」を各教科を通して育成する。  ・発展的に行う学習、繰り返して行う学習内容を定め、世田谷区の子どもにふさわしい質の高い学習を行う。 (4)平成20年度より現在まで、4つの地域の区立小学校8校、区立中学校4校を「世田谷9年教育パイロット校」に指定し、「世田谷9年教育」の実現に向けた先進的な取組みを実践・研究している。 2.今後想定される取組み  「基本的な方針」に基づき、引き続きパイロット校での試行等も踏まえながら、中学校版の世田谷区教育要領の作成など、「世田谷9年教育」の実現に向けた取組みを進め、平成23年度より全小学校で、平成24年度に全区立小・中学校で「世田谷9年教育」を試行実施し、平成25年度からの完全実施を目指す。また、教科「日本語」の充実をはじめ教職員の研究・研修体制の充実等に取り組み、質の高い学校教育の実現を図っていく。