世田谷区DX推進方針バージョン1 リデザインせたがや 令和3年3月 コンセプト リデザインせたがや DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、 デジタル技術の導入や活用をきっかけに、「変革」 し続けていくこと。 コロナ禍において、様々な分野で導入が加速したデジタル技術は、人々の日々の生活に必要不可欠なものとなり、社会全体を変えています。それは地方自治体も例外ではありません。 先行して変化している人々の生活に、地方自治体が追いつかないといけません。世田谷区はデジタル化によって行政サービスの向上を目指してきました。 これまでの取組みを活かしながら、日々変わる区政課題、デジタル技術を踏まえて、続けること、改めること、始めることを考え、行政サービス、参加と協働、区役所3つの観点からこれからの世田谷区をデザインし再構築していく。 そのコンセプトを「 リデザインせたがや」と定めました。 区民や地域団体、事業者、すべての人は、時間や場所を選ばず区役所に関わる、手続きすることができる。 区役所は、生み出した資源(時間、空間、ヒト、コスト)を公共サービスに還元する。 行政の新たな価値を創造する理念が込められています。 そのために、まず、私たち自身が、職務を 「 Re・Design 」 していきます。 方針策定の背景 1社会的背景 あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用したこれまでにないビジネスモデルが展開され、個人の生活や企業の経営戦略、そして行政にも変化が生じてきています。 私たちの身近な生活では、個人におけるモバイル端末保有率が 84.0% 、20 64 歳までの保有率は 90% 以上となっており、将来的にも個人の生活におけるネット環境を始めとしたデジタル化の影響は多大なものとなっています。 さらに、コロナ禍における感染予防対策を契機に、テレワーク や オンライン 会議 システムなど社会的に ICT 活用の有効性・必要性が改めて認識されるようになってきました。 国においても、経済産業省が平成30 年に「 DX レポート」を示し、企業における DX の必要性など、デジタル化による社会変革を求めています。 2区の情報化に係る計画 区では、区の更なる情報化の進展を目指し、区の情報化に係る政策を総合的かつ計画的に推進することを目的として、「世田谷区情報化推進計画」を策定しています。 区の最上位の行政計画である「世田谷区基本計画」に基づく個別計画として位置付けています。 基本計画等の効果的な実現に向け、ICT を活用して区政の活性化を促すとともに、区・区民・各種団体等の多様な主体によるつながりが広がるまちづくりを支えていくことを区の情報化の方針とし、「区民の力を活かす情報化」、「行政経営を支援する情報化」、「情報化基盤の強化」の3つを情報化政策として掲げていま す。情報化政策の具体的な取組みは、「世田谷区基本計画」の進行等に合わせて全庁的な調整を図りつつ、区の情報化における実施計画としての位置付けである「世田谷区情報化事業計画」に基づき推進しています。 3これまでの取組み 区ではこれまで、窓口での待ち時間を減らすためのシステムの充実や業務の効率化、福祉の現場の情報共有など、人々の暮らしを支える行政サービスの基盤のアップデートに取り組んできました。 多くの人が「区役所」に関わる手続きの場面において、区は、区民の困りごとに丁寧に対応するため、 対面でのコミュニケーションを大切にしながら、施設予約システムや電子申請の システムなどを 導入し、区民の利便性の向上を図ってきました。 また、防災マップアプリや子育て応援アプリの配信、SNSを活用した情報 発信など 、人々のモバイル端末の 利用に 合わせた 取組みや、全区立小中学校の ICT 環境 整備や児童生徒へのタブレット配付なども進めています。 区役所庁内においても、文書管理、財務会計、人事庶務のシステム化や紙資料の削減、近年では RPA の活用、モバイルワーク環境の整備など、継続的に内部業務改革を進めているところです 。 4区の方向性 コロナ禍を背景に、令和2年度後半から令和3年度における区政運営の指針として「世田谷区政策方針」を策定しました。その柱の1つとして「施策事業の本質的な見直し、事業手法の転換」を掲げ、 ICT 等を活用した行政サービ の向上に取り組むとともに、時代の変化に敏感な若い世代の提案を受け入れ、新し いスタイルの働き方で区の業務の効率化を一層進めていくこととしています。今後、これらの取組みをさらに加速させていくとともに、区としてDXをどう捉え、どう推進していくのか、あらためて方向性を示すため、「世田谷区 DX 推進 方針 Ver.1( 案 」を定めることとしました。 本方針は、情報化推進計画に掲げる3つの情報化政策を根本的に見直すものではありません。 変わりゆく社会情勢や行政ニーズに柔軟に対応するため 、デジタルデバイドの課題も踏まえた上で、デジタル技術を導入することによる「変革」にこれまで以上に重点を置き、区の全組織をあげて取り組んでいきます 。 デジタルデバイドとは、インターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差 方針 DXを推進する羅針盤として定める3つの方針をもとに、具体的な取組みを進めていく。取組みの検証を踏まえ、本方針を次期基本計画に統合することで、更なるDX の推進を図る。 方針1 行政サービスのリデザインせたがや 区民の視点からの変革 区民の視点や困りごとに立ち返り、行政サービスを再構築していく。 区民は、デジタル化によって、時間や場所を選ばず、必要な情報を得たり問合せや手続きができる。 すべての区民にとって、行政サービスの選択と利用のハードルを下げ、快適なサービス利用をデザインしていく。 方針2 参加と協働のリデザインせたがや 多様化の推進 区民や地域団体、事業者、行政などが、それぞれコミュニケーションをとったり、地域活動に参加する機会を、デジタル化の推進により多様化する。 民間企業やNPO などは、地域の課題解決のための活動をする上で、電子申請やオープンデータ、行政の協力体制から、世田谷区での活動を選択する。 方針3 区役所のリデザインせたがやデジタル技術やデータを活用した業務改善により資源を生み出し、対人・相談業務や企画立案などにより注力するなど、業務を再構築する。 BCP対策やワークスタイル改革として、職員が社会情勢やライフステージの変化にも対応し、業務の維持・向上ができる強固な基盤を構築する。 取組み方法 まず、即着手できるものからスモールスタートし、トライアンドエラーによる改善を進めると同時に、中長期的視点に立った研究・検討を行う。その結果や国・都の動向等を踏まえ、ビジョンと具体的な取組みをDX 推進計画等に位置付けた上で、常に改善を繰り返しリデザインを加速していく。 リデザインの取り組みイメージ 方針 行政サービスのリデザイン 手続きのリデザイン 現状、平日の日中に仕事をしている区民は、区役所で手続きをするために仕事を休んでいる。 実現する姿、電子申請システムを使い、いつでも、どこでも、オンラインで手続きをすることができる。 問合せのリデザイン 現状、行政サービスでわからないことがある区民は、平日の日中に区役所に電話している。 実現する姿、AIチャットボットを使い、いつでも、どこでも、気軽に質問ができる。 区民相談のリデザイン 現状、本庁舎から遠くに住んでいる区民は、窓口で相談したくても、気軽に行きにくい。 実現する姿、身近なまちづくりセンターに行き、オンラインで専門的な相談ができる。 方針 参加と協働のリデザイン コミュニティ活動のリデザイン 現状、区民がコミュニティの場やイベントに集まるとき、感染症のリスクを感じている。知り合いがいないと参加しにくい。 実現する姿、対面とオンラインを選ぶことができ、オンライン会議システムを使って気軽に参加することができる。 区政参加のリデザイン 現状、事業に参加した区民は、紙のアンケートにその場で記入して、感想や意見を伝えている。 実現する姿、オンラインアンケートを使い、二次元コードやホームページから、いつでも気軽に感想や意見を入力することができる。 地域課題解決のリデザイン 現状、社会課題解決に取り組む団体が、独自のデータ収集をするために時間とコストを割いている。 実現する姿、オープンデータを使い効率的にデータ収集し、世田谷区の課題の発見・解決に取り組むことができる。 方針 区役所のリデザイン 手続き受付のリデザイン 現状、職員は紙で書類を受け付け、内容や押印の確認に時間を割いている。 実現する姿、電子申請システムにより手続きをデータで受け付け、内容の確認方法が簡素化、自動化されている。 紙文化のリデザイン 現状、職員ごとに紙資料を保有するため、紙資源や時間・空間を要している。 実現する姿、資料は業務ごとにキャビネットの紙資料またはデータで保存され、退庁時のデスクには書類がない。 政策立案のリデザイン 現状、社会の流行や一部の行政ニーズが政策立案に大きく影響している。 実現する姿、データに基づいた課題認識やニーズ把握により、サイレントマジョリティの意見も読み取り、政策立案に活用する。 推進体制 1組織 デジタル戦略プロジェクトチーム 副区長をトップとする組織横断的なプロジェクトチーム 以下「 PT 」を設置。推進方針の策定から今後の取組みまで検討し 、組織横断的な指示を迅速に行っていく。 基本計画等推進委員会の部会として位置付ける。 座長 政策経営部担任副区長 副座長 政策経営部長、総務部長 メンバー 政策企画課長、経営改革・官民連携担当課長、ICT 推進課長 、総務課長、区政情報課長、職員厚生課長、庁舎整備担当課長 令和3年度には民間 アドバイザーの受入れも検討 実施体制 区のDX 実現に向けた旗振り役としてデジタル改革担当部を設置し、実施体制の強化を図る。 デジタル改革担当部は、デジタル戦略PT 、政策 経営部、総務部と連携しながら、3つの方針の取組みを加速させるために 、教育総務部ほか、各所管部が実施する施策の深化やマッチングを牽引し、区のDXを強力に進めていく。 2人材 民間人材活用 DXの取組みを推進するため、デジタル人材の確保に向けた競争が激化する中、民間企業の副業推進や地方公務員制度の改正を踏まえて、DX全体の計画への助言や個別プロジェクトなどに民間人材を活用していく。 職員育成 リデザインの取組みの成功体験を積み重ね職員の意識改革を進めるとともに、 IT リテラシー向上のための研修の実施、民間人材派遣・交流などを検討する。 デジタル化によって職員に求められる能力にも 変化が生じるため、人材育成のあり方を含め、体系的な研修体制や ICT 関連に特化したキャリアパス、専門職の創設など職員の人材育成に係る取組みの検討を進める。 3協働 産学官のネットワーク 民間企業や大学、他自治体とのネットワークを活かし 、民間かける大学かける行政 や、民間かける民間 、他自治体との取組みを推進する。 民間活力の推進 公共サービスを 直営(行政サービス)で 行う発想から 、民間と連携した取組みや民間ビジネス・活動を誘発する発想にシフトする。 オープンデータの活用推進や地域BWA の活用、区 の官民連携提案窓口「 せたがやコラボ 」等の推進を通じて、地域特性を踏まえた新たなサービスの提供、 区のフィールドを活用した実証実験の実施など、 区民・事業者自体の活動 や区との協働を促進する。