世田谷区地域保健医療福祉総合計画 概要版 (平成26年度〜平成35年度) 1.計画の概要 ◎世田谷区地域保健医療福祉総合計画とは 本計画は、行政運営の基本的な指針である、世田谷区基本計画で示される今後の方向性を踏まえた、平成26年度から35年度までの10年間の計画です。 高齢者や障害者、子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者など、誰もが地域で暮らしていく際に必要となる保健、医療、福祉の各分野の基本的な考え方を明らかにする計画とします。 保健、医療、福祉のすべての施策を網羅的に扱うのではなく、各分野で共通の基盤となり、今後10年間で取り組むべきものについての、基本的、横断的な考え方を示すものです。 保健、医療、福祉のそれぞれの施策、事業については、本計画を踏まえ、第4期障害福祉計画や第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、子ども計画等で検討し、具体化を図ります。 保健福祉関係の個別計画関連イメージ の図があります。 2.地域福祉を推進する基本的な考え方 ◎地域福祉の推進 ・急速な高齢化の進展とともに、核家族化やひとり暮らし世帯の増加等により家族形態が変容する中で、福祉や介護、医療等のニーズは増大するとともに多様化しています。 ・一方、町会・自治会の加入率も低下傾向にあるなど、地域のつながりが希薄化し、家族や地域コミュニティによる支えあいが難しくなっています。こうした中で、地域においては、虐待、DV、自殺やひきこもりなど、見えにくい課題や、多くの問題が関係しあっている複合問題も生じています。 ・これらの地域の課題を早期に発見するとともに、増大し、多様化する区民ニーズに適切に対応するには、行政と区民、地域の活動団体、事業者等が協働・連携して地域課題に取り組み解決を図る、地域福祉を推進していく必要があります。 ・本計画では、地域福祉は、従来の福祉制度が対象とする課題だけでなく、保健、医療、福祉等に関する区民の課題を対象とし、区民の身近な地域において、行政と区民、地域の活動団体、事業者等が協働・連携して解決していくものとして考えています。 ◎地域福祉を推進する上での視点 ・年齢、性別、国籍の違い、障害等の有無にかかわらず、互いの差異や多様性を認めあう、社会的包摂の考え方を基本とし、地域福祉を推進します。 ・核家族化の進展やひとり暮らし高齢者が増加する中で、これまでの家族や親族の支援があることを前提とした考え方を転換し保健、医療、福祉の施策や事業を検討していく必要があります。 ・支援の対象を、高齢者、障害者などの属性ではなく、「生活のしづらさを抱えた人、支援を必要とする人」としてとらえます。 ・要介護高齢者や障害者、子ども家庭、若者、生活困窮者を含めて、自分らしい生き方、自立や自己実現を支援していく、という視点から支援を考えます。 ・ユニバーサルデザインの視点を持ち、ハード・ソフトの両面から、誰もが安心して暮らし続けられるまちづくりを推進する必要があります。 ・できるだけ介護や医療が必要にならず、健康で過ごせるようにするための“予防”が重要であり、個人でできる予防、地域で取り組む予防、さらに広域で行う予防など、具体的な取組みを促進する必要があります。 ・既存の社会資源や地域のネットワーク、地域の強みや課題など、様々な分野や主体を「マッチング(横つなぎ、組み合わせ)」※1させて、新たな雇用や社会資源の創出、地域経済の活性化を進めます。 ・高齢者や障害者を、サービスを受ける人、という固定的な見方をせず、その力を活かし、地域社会の担い手として活躍できるような環境づくりを進めます。 ・施策や事業の実施にあたっては、民間の活力を活用する等の多様な手法を導入するとともに、施策の優先度や効率性、効果等を検証し、必要な見直しを行います。 ※1 複数の多種多様なものを、共有した目的に向けて、より大きな成果が得られるように組み合わせること ◎今後の施策を展開する3つの柱 ・高齢者や障害者、子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者など、支援を必要とするあらゆる人が、身近な地区※2で相談することができ、多様なニーズに対応した保健、医療、福祉などのサービスが総合的に提供される、地域包括ケアシステムの構築を目指します。 ・あんしんすこやかセンターと社会福祉協議会が連携して、地域における課題の発見・把握から、相談支援、サービス提供、社会資源開発、情報発信を行うなどの、個別支援と地域支援を組み合わせて支援するコミュニティソーシャルワークを推進します。 ・あんしんすこやかセンターの担当地区を中心に地域福祉を推進するという考え方に立ち、地区における地域づくりや地域活動を推進していきます。 ・区民や地域福祉活動団体、事業者など、様々な主体が多様性を認めあい、ともに地域の課題に取り組み、ともに支えあう地域社会づくりを進めます。 ・これまで地域福祉の推進を担ってきた、区民や社会福祉協議会、社会福祉法人等、地域の活動団体とともに、NPO、商店街、民間事業者等の様々な主体と協働し、新たな社会資源の開発や地域づくりを行います。 ・区民への総合的な支援を行うためには、従来の保健福祉の関係機関や団体との連携だけでなく、幅広いネットワークを構築する必要があり、教育関係者や弁護士等の司法関係者、まちづくりに携わる人々など、区民の生活に関連する幅広い領域で活動する人々と連携し、地域福祉の推進を図ります。 このような地域福祉を推進する基本的な考え方に基づき、以下の3点を柱として、今後の施策を展開していきます。 1.地域包括ケアシステムの推進 2.区民、事業者等との協働による福祉の地域づくり 3.地域福祉を支える基盤整備 ※2 本計画における地区とは、あんしんすこやかセンターの担当地区を指す。 3.今後の施策の方向 ◎地域包括ケアシステムの推進 (1)地区における総合相談 ・あんしんすこやかセンターでは、高齢者だけではなく、障害者や子育て家庭、生きづらさを抱えた若者、生活困窮者などの生活上の困りごとや悩みに対して早期に相談窓口に足を運び相談を受けられるよう、身近な地区での総合相談を実施します。 ・あんしんすこやかセンターによる身近な地区での相談は、相談者の問題状況を聞き取って初期のアセスメントを行い、ニーズを整理し、状況に応じた支援や関係機関への引き継ぎを行います。 ・虐待等の緊急対応を要する場合や、高齢者、障害者、子ども等の特定分野の場合は、それぞれの専門機関や事業者等へ引き継ぎます。 (2) 包括的・継続的ケアマネジメント※3支援 ・あんしんすこやかセンターでは、家庭などにおいて問題をかかえている高齢者の複合問題を中心に対応し、社会資源を有機的に連携させたサービス提供のマネジメントを包括的・継続的に行うほか、支援が困難なケースを抱えるケアマネジャーに対する指導・助言等を行います。 ・あんしんすこやかセンターから引き継いだ、障害者、子ども家庭、若者、生活困窮者の専門機関や各事業者等は、複合問題を含め、社会資源を有機的に連携させたサービス提供のマネジメントを包括的・継続的に行います。 ・あんしんすこやかセンターは、関係機関や事業者等が参加する地区レベルの地域ケア会議を開催し、事例検討等を行いながら、事業者等の包括的・継続的なケアマネジメントの力を高めていきます。 ・あんしんすこやかセンターが行う総合相談や包括的・継続的ケアマネジメントに対しては、総合支所が、保健師や社会福祉士などの専門職を含む、チームアプローチにより、後方支援(バックアップ)を行います。 (3)地区におけるネットワークの構築 ・あんしんすこやかセンターは、地区の医療機関、介護事業者、民生委員・児童委員、社会福祉協議会等の関係機関や団体等が参加する地区レベルの地域ケア会議を開催し、包括的・継続的な支援を行うためのネットワークを構築します。 ・地区レベルの地域ケア会議では、具体的な事例に対する支援のあり方や連携について協議するとともに、地区における課題や必要とする社会資源について検討します。 ※3 包括的・継続的ケアマネジメントとは、支援を要する本人の機能や能力を最大限に生かしその人らしい自立した生活を継続するため、本人の意欲や適応能力などの維持や回復を援助するとともに、課題の解決に有効だと考えられるあらゆる社会資源を自己決定に基づきコーディネートし、本人や家族が必要なときに必要な支援を切れ目なく活用できるように援助していくケアマネジメントのこと。 ※地域包括ケアシステムによる区民を支援するイメージ図 があります (4)社会資源の発掘・開発 ・区は、保健、医療、福祉等の専門機関や民生委員・児童委員、町会・自治会、民間事業者、関係機関等による全区レベルの地域ケア会議を開催し、それぞれの地区で見出された地域課題や先進的な取組みについて、情報の共有やニーズの把握、検討を行います。 ・地域ケア会議の検討等を踏まえ、区は必要な社会資源の整備について、個別の行政計画等に位置づけるなどして、施策化や事業化を図ります。 ・より多くの区民が地域の福祉に積極的に参加できるよう、空き家・空き室等を活用した家庭的保育事業やサロンなどの地域住民運営型公共サービス等による新たな社会資源の開発を進めます。 ・サロンやミニデイなどの地域の支えあい活動支援等を担っている社会福祉協議会と連携を図り、地区におけるインフォーマルサービスの開発を行い、区民が参加しやすい基盤の拡充を図ります。 (5)保健、医療、福祉の連携 ・在宅での治療の継続や看取りのニーズに対して、保健、医療、福祉等の関係者と連携し、在宅療養支援の取組みを推進します。 ・区民の主要な健康課題である生活習慣病の対策や食育の推進、こころの健康づくり、がん対策などにおいて、区民や医療関係者、事業者等と連携を図ります。 (6)健康づくりと介護予防等の総合的な推進 ・予防を広くとらえ、介護予防や障害の重度化防止等の予防事業などのほか、生涯を通じた健康づくりやまちづくりを含め、区全体で総合的な取組みを推進します。 ・元気な高齢者から要支援者まで幅広い方を対象に、閉じこもり予防や生きがいづくり等の視点を持ちながら、自立支援に向け、様々な社会資源を活用して、予防事業を推進します。 ・安心して出産や子育てができる環境の整備から高齢者の健康づくりまで、ライフステージやそれぞれの状況に応じた健康づくりに取り組みます。 (7)認知症対策 ・今後も増加が予想される若年性認知症を含む認知症対策について、相談・支援体制の強化をはじめ、本人の居場所づくり、早期診断・早期対応体制の整備による自立生活支援の推進、医療や福祉の連携による包括的な医療・介護サービスを提供できる体制づくりを進めます。 ・認知症ケアにおいては、医療と介護が連携して、本人や家族の生活を支えていくことが重要であり、日常生活支援のための医療や介護サービス、見守り等が包括的に提供される体制を目指して、認知症初期集中支援チーム等の新たな取組みを進めます。 ・区における専門的かつ中核的な認知症施策の全区的拠点として、認知症在宅生活サポートセンターを設置し、訪問サービスによる在宅支援のサポート機能や家族支援のサポート機能、技術支援・連携強化機能等の5つの機能について順次事業化を進め、あんしんすこやかセンター等の認知症在宅支援の後方支援を行います。 (8)多様な住まい等の確保 ・地域での生活の基盤となる「住まい」について、民間事業者や空き家の活用の方策を検討し、高齢者、障害者をはじめとして、それぞれの暮らし方に対応できるよう、グループホームや「都市型軽費老人ホーム」、「サービス付高齢者向け住宅」などを含む、多様な住まいの確保を図ります。 ◎区民、事業者等との協働による福祉の地域づくり (1)ともに支えあう福祉の地域づくり ・年齢、性別、国籍の違いや障害の有無等にかかわらず、互いの差異や多様性を認めあい、ともに生きる地域社会づくりを進めます。 ・区民、町会・自治会、民生委員・児童委員、社会福祉協議会、医療機関、ボランティア、NPO、民間事業者などの地域の様々な構成員が参加・協働して、地域の課題に取り組みます。 ・社会福祉協議会を中心として、地域で活動している団体や人材を支援し、活性化させるための支援(中間支援機能)を充実させ、強化を図ります。 (2)災害時要援護者支援の強化 ・発災直後の初動期においては、高齢者や障害者など、自力で避難することが困難な方への支援を強化するため、町会・自治会を中心とした取組みに加え、民生委員・児童委員、社会福祉協議会、介護サービス事業者、中学校、高等学校、大学などと連携を図り、多様な担い手による重層的な支援体制の整備を進めます。 ・社会福祉協議会やボランティア協会と連携し、専門職や一般のボランティアの受け入れや派遣方法を検討するとともに、受入拠点を確保するなど、被災者支援の取組みを進めます。 (3)地域人材の育成・活用 ・元気な高齢者をはじめ、学生や働いている人、団塊、シニア世代など幅広い世代から地域福祉を支える新たな担い手を発掘し、人材の確保に努めます。 ・区民に身近な地域で活躍する民生委員・児童委員は、高齢者や障害者、児童等の虐待の予防や早期発見等、地域福祉を推進する上で欠かせない人材であり、活動に対する支援を行い、次なる担い手の人材確保を図ります。 (4)寄附文化の醸成、基金の活用 ・寄附は誰でも参加することができる一つの社会貢献であり、区民からの寄附が、地域福祉の推進に大きく寄与することを広く周知し、区民の理解を得ながら、寄附文化の醸成を図ります。 ◎地域福祉を支える基盤整備 (1)福祉人材の育成・活用 @専門人材 ・梅ヶ丘拠点整備における福祉人材育成・研修センターは、高齢者、子ども、障害者を対象とした専門人材育成の拠点とし、人材の確保、定着、育成を図ります。また、質の高い福祉サービスの提供や保健福祉の先進的な活動や情報を発信するため、自ら研究に取り組むとともに関係者の研究活動を支援します。 ・福祉施設や介護事業者等において、職員を適切に監督・指導できるよう、総合調整能力を習得するため、管理者やケアマネジャーを対象とした研修(スーパーバイザー養成研修等)を実施します。 ・研修参加(受講)の動機付け対策として、研修修了証の発行や研修受講状況の公表などを行っていますが、キャリアパス制度導入セミナーの実施等によるキャリアパス制度導入支援等、さらなる効果的な方策を実施していきます。 A区の職員 ・区の保健福祉関連職員の、地域への支援や指導・助言等を行うために必要な専門スキルの取得や向上へ取り組むとともに、保健師や社会福祉士等の専門職の配置や活用を進めます。また、マッチングやコーディネート能力の向上を図ります。 (2)保健医療福祉の全区的な拠点づくり ・区民の在宅生活を支援するため、梅ヶ丘拠点整備を通じて、保健、医療、福祉が連携し、身近な地域のサービスをバックアップ・補完するとともに、今後の取組みをリードする先駆的な機能の実現を図ります。 ・梅ヶ丘拠点整備においては、公民連携により「相談支援・人材育成機能」、「健康を守り、創造する機能」、「高齢者等の在宅復帰・在宅療養支援機能」、「障害者の地域生活への移行・継続支援機能」の4つの拠点機能を一体的に整備します。 (3)多様なサービス提供手法の導入 ・障害者施設のニーズ増加や老朽化に対応するため、都有地や国有地などを活用するとともに、民間事業者による整備や維持管理など、多様な手法による計画的、効率的な整備や維持管理に取り組みます。 ・子ども・子育て支援新制度における、認可保育所への多様な事業主体の参入については、保育サービスの質を維持・向上できる仕組みづくりを進めます。 ・現在の保育待機児童の状況や今後も保育ニーズの高まりが続くことから、公有地の活用や学校改築の機会を捉え施設整備を行うとともに、民有地の利用など区民の協力による整備を進めます。 (4)先進的な技術の活用 ・介護が必要な方の自立支援や介護者の負担軽減、介護人材不足へ対応するために、IT機器や介護ロボットなどの先進的な技術の活用や新しい福祉機器の導入促進を図るとともに、これまでと異なる視点での取組みとして、ひとり暮らし高齢者等の見守り支援やコミュニケーション支援等、区民や介護事業者等が必要に応じて、適切な活用が図れるよう啓発や誘導を進めます。 (5)保健福祉サービスの質の向上 ・利用者や地域住民が、保健福祉サービスの質に高い関心を持ち、個々に質を評価することが、サービスの質の向上につながってきます。そのため、区は、事業者に情報の透明度を高める取組みを促す等、情報のアクセシビリティの向上により、利用者の自己選択を支援します。 ・地域主権改革に伴う権限移譲等により自治権の拡充が進むなか、法令基準に基づく指導検査を計画的・体系的に実施していくことで、適正なサービス水準の確保を図ります。 (6)権利擁護の推進 ・認知症高齢者や知的障害者など、本人の判断能力が十分でない人を支援するため、成年後見制度等の普及啓発や利用相談、区民後見支援員・区民成年後見人の養成を進めます。また、近年ニーズが高まりつつある任意後見など、利用者のニーズにあった支援の仕組みづくりに社会福祉協議会と連携して取り組みます。 ・高齢者や障害者、配慮を要する子どもや声をあげにくい子ども等の虐待を防止するため、関係機関との連絡会や協議会等とのネットワークを強化します。また、広く区民に対して制度の普及啓発を図るとともに、事例研究、人材育成等を充実させ、早期発見、早期対応、再発防止に取り組みます。 (7)生活困窮者への総合的な支援 ・若年層をはじめとした生活保護受給者が急増する中で、保護開始前のより早い段階での就労支援等、生活困窮者の自立支援機能の強化を図ります。 ・世田谷区生活困窮者自立相談支援センターを設置して、社会福祉協議会との連携、民間事業者の活用のもと、生活困窮者の相談対応、アセスメント、本人の能力や希望に沿った支援プログラムにつなげていく体制づくりを進めます。 ・生活困窮者の就労支援を強化するため、福祉事務所やハローワークをはじめとした雇用関連機関とのより一層の連携強化を図ります。 (8)関連分野との連携の推進 ・生活困窮家庭の子どもに対する学習支援や社会体験の機会の提供、子どもの養育などの親の学びの取組みにおいて、教育領域との連携を図り推進します。 ・消費者の利益の擁護及び増進を図っていくため、悪質、違法な商品購入や契約等により区民の生命、身体、健康または財産が侵害されないための取組みを進めます。 ・中高年世代が培ってきた知識や経験、技術などが地域社会に活かせるよう、地域の活動団体やNPO、せたがや生涯現役ネットワーク等の参加につなげていきます。 4.計画の推進に向けて ◎地域保健福祉行動指針 世田谷区地域保健福祉推進条例第17条に基づき、地域保健福祉の推進にかかる施策の目標を実現するため、区、区民及び事業者等が行うべき事項を策定します。 区民が安心して地域で暮らし続けられるよう、区や区民、地域活動団体、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会、医療機関、事業者などの地域の様々な主体が役割を担い、連携・協働して地域福祉を推進します。 ◎施策や事業の進め方 (1)地域包括ケアシステムの構築 ・今後、区が取り組んでいく地域包括ケアシステムは、支援を必要とする区民が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、包括的・継続的なケアを提供していく仕組みです。 ・この仕組みを構築するには、支援を必要とする区民のニーズを的確に把握し、ケアマネジメントによる専門性の高い相談支援を実施するために、区が、目指すべき包括的・継続的なケアマネジメントの方向性を明確にし、相談支援を行う庁内関係部署や事業者に対して適切な支援や進行管理を行っていく必要があります。 ・また、包括的・継続的なケアを提供していくには、支援を必要とする区民のニーズや地域の課題を把握した上で、公的サービスやインフォーマルサービス等の社会資源を拡充するとともに、適切な連携が図れるよう、サービス提供事業者や関係機関とネットワークを構築していく必要があります。 ・こうした課題は、一朝一夕に解決できるものではありませんが、区では、次のような取組みを推進しながら、地域包括ケアシステムの構築を目指していきます。 @相談支援体制の充実 ・相談支援体制の充実に向け、区民が身近な地域で保健福祉に関する相談ができ、適切な支援につながるよう、あんしんすこやかセンターにおける相談対象者を拡大して、包括的・継続的なケアマネジメントを推進するためのモデル事業を実施します。 ・モデル事業を検証し、全区展開を図るとともに、あんしんすこやかセンターが区民にとってわかりやすい相談窓口となるよう、出張所・まちづくりセンターとの一体化を公共施設整備方針に位置づけ計画的に進めていきます。 A社会資源の開発 ・介護保険サービスや障害福祉サービス、保育施設等の公的な基盤や社会資源の確保は、区が個別計画(高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、障害福祉計画、子ども計画等)で、中長期的な見通しを立てながら整備計画を策定します。 ・地域における区民の福祉活動を支援してきた社会福祉協議会の職員を、地域福祉のコーディネーターとして各出張所・まちづくりセンター内に段階的、計画的に配置し、社会資源の開発・ネットワーク化や地域活動の支援、情報発信等を促進します。 B福祉人材の確保・育成 ・梅ヶ丘整備拠点に移転(平成31年度開設予定)が計画されている福祉人材育成・研修センターについては、現在行っている、主に高齢者に対する介護人材の研修等のほか、障害者や子どもを対象とした民間の福祉人材の確保・育成についても順次、取り組みます。 (2) 持続可能な施策や事業の推進 ・保健、医療、福祉の基盤については、高齢者、障害者、子ども、健康づくり等の個別計画の中で、ニーズを把握するとともに、直接的な整備経費や運営経費等の後年度負担も含めて財政計画とも整合を図り、中長期的な展望を持って計画的に進めていきます。 ・新実施計画等に沿って事業の見直しを行い、スクラップ・アンド・ビルドや限られた財源での効果的な事業執行、施策・事業の継続性と政策目的を踏まえた区民負担等のあり方の見直しに取り組みます。 ・寄附のインセンティブが高まるような取組みを行うとともに、基金が地域福祉の推進のためにより有効に活用できるよう制度の見直しを行います。 ・公共施設整備方針に基づいた公共施設の維持管理に努めるとともに、施設の新設や老朽化した公共施設の再整備にあたっては民間活用や複合化を図るなど、効果的・効率的な施設整備を進めます。 ・健康づくりや介護予防、早期発見、早期対応の視点を重視した施策や事業を推進し、区民の健康寿命の延伸を図りながら、介護や医療に関する費用の抑制に努めます。 ◎計画の進行管理 本計画を今後の地域福祉の推進に役立てるために、計画の進行管理を着実に行います。 ・本計画は個別の事業計画や評価指標を持っていないため、特徴的な項目を選択して、その変化、動き等を総合的に整理したものや個別計画の進捗状況の報告を活用して本計画の進行管理をします。 ・地域包括ケアシステムについては、相談支援の実施状況や包括的・継続的ケアマネジメントを実施する上での課題等について世田谷区地域保健福祉審議会に定期的に報告し、評価・検証を行っていきます。 ・各計画の進捗状況等についても、世田谷区地域保健福祉審議会に定期的に報告を行い、本計画の進行管理を行います。 ・計画の進行状況について、区民・事業者等に対し公表し、情報の共有を図ります。 ・法や制度、社会経済状況等の大きな変化があった場合は、適宜見直しを行います。