世田谷区第3期 文化・芸術振興計画 世田谷区 平成30(2018)年3月 この計画書には、より多くのかたに情報提供をするため、ページの表紙に音声コードをつけています。活字文章読み上げ装置を使って、内容を音声で聞くことができます。 表紙裏面です このページは白紙です はじめに 文化・芸術は、私たちの心にゆとりや潤いをもたらすとともに、創造性や人間性を育み、人と人を結びつけ、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成する力をもつものです。 世田谷には世田谷文化生活情報センター、世田谷美術館、世田谷文学館などの公立施設をはじめ、民間の美術館やギャラリー、劇場やライブハウスなどの文化施設が数多く存在し、多彩な文化・芸術活動が展開されています。また、地域に受け継がれてきた伝統的な祭りやイベントなど、区民による様々な文化・芸術活動が活発に行われてきました。 区ではこのような特性を継承し、さらなる文化・芸術の振興を図るため、平成30年度より「世田谷区第3期文化・芸術振興計画」に基づき、施策の推進に取り組んでまいりました。 令和2年から始まった新型コロナウイルス感染症拡大は、イベントの中止や延期、集客の制限など、文化・芸術活動に深刻な影響を与え、いまなお厳しい状況が続いており、私たちが文化・芸術に触れ、親しむ機会も失われてきました。しかし、そのような困難な状況が続き、人々の心が疲弊する中においても、文化・芸術は、私たちに安らぎや希望を与えてくれ、生きていくうえで必要不可欠なものであるとして、その価値を再認識することになりました。 このような状況を踏まえ、このたび、令和4年度から2年間の区の文化・芸術振興の指針となる「世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)」を策定いたしました。本計画では、世田谷の多彩で豊富な文化・芸術の灯が途絶えることのないよう、文化・芸術活動の継続支援などに取り組むこととしております。 今後も、本計画の目指すべき姿を実現するため、区民の皆様、文化・芸術に携わる皆様と連携・協力し、着実に取組みを進めてまいります。引き続き、ご理解、ご協力をお願いいたします。 最後に、本計画の策定にあたりご尽力をいただきました、第3期文化・芸術振興計画(調整計画)検討委員会の委員の皆様をはじめ、貴重なご意見をいただきました多くの区民の皆様に、厚くお礼を申し上げます。 令和4年3月 世田谷区長 保坂 展人 目次 第1章 計画の策定にあたって 1ページ (1)第3期文化・芸術振興計画(調整計画)の趣旨 1ページ (2)計画の位置づけ 2ページ (3)計画の期間 3ページ   第2章 文化・芸術を取り巻く状況 4ページ (1)国・東京都の動向 4ページ (2)世田谷区の文化・芸術の特色と歩み 5ページ (3)新型コロナウイルス感染症の影響 7ページ (4)第3期計画の取組み状況 9ページ 施策目標1 世田谷の文化・芸術の魅力を発信する 9ページ 施策目標2 区民の誰もが文化・芸術に親しむ 10ページ 施策目標3 個人や団体の文化・芸術活動を支える 11ページ 施策目標4 次代の文化・芸術を担う人材を育む 12ページ 施策目標5 文化資源を次代へ継承し、文化・芸術の力を活かし・つなぐ 13ページ (5)第3期計画の推進から見えた課題 14ページ   第3章 計画の基本的考え方 15ページ (1)基本理念 15ページ (2)将来像 16ページ (3)第3期調整計画策定にあたっての視点 17ページ (4)計画の体系 18ページ   第4章 文化・芸術施策の展開 20ページ (1)施策目標 20ページ (2)施策の方向と具体的な取組み 21ページ 1 発信する 21ページ 2 親しむ 25ページ 3 支える 28ページ 4 育む 32ページ 5 活かし・つなぐ 35ページ   第5章 計画推進の方策 40ページ (1)成果指標と目指す目標 40ページ (2)連携強化 40ページ (3)アフターコロナを見据えた事業のあり方 41ページ (4)計画の進捗管理 42ページ 資料編 43ページ 1 世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)検討委員会設置要綱 44ページ 2 世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)検討委員会委員名簿 45ページ 3 文化芸術基本法 46ページ 4 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律 53ページ 5 世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例 57ページ 6 世田谷区区民意識調査「文化活動について」 60ページ 7 区政モニターアンケート「世田谷区の文化・芸術振興施策について」 69ページ 1ページ  第1章 計画の策定にあたって (1) 第3期文化・芸術振興計画(調整計画)の趣旨 世田谷区では、平成18年4月、「区民一人ひとりが生き生きと暮らし、誇りを持って住むことができる地域社会の実現」をめざして、「世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例」を施行し、その理念を具現化するために、平成19年3月、「世田谷区文化・芸術振興計画(平成19年度から21年度)」を策定し、施策を推進してきました。 その後、社会状況や世田谷区を取り巻く状況などを踏まえ、2つの調整計画と第2期計画の策定を経て、「第3期世田谷区文化・芸術振興計画(平成30年度から令和3年度)」(以下「第3期計画」という。)を策定し、文化・芸術振興施策の推進に取り組んできました。 このたび、平成30年に策定した「第3期計画」が令和3年度で最終年度を迎えることから、「第3期文化・芸術振興計画(調整計画)」(以下、「第3期調整計画」という。)を策定します。「第3期調整計画」は、第3期計画を継承しつつ、コロナ禍により大きく変化する社会状況や、これまでの計画の推進から見えた課題等に基づき、施策の方向、具体的取組みを一部見直し、区の新たな文化・芸術振興施策の方向性を定めるものです。 第3期計画期間中に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大は、経済活動のみならず、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催延期など、あらゆる分野に及び、文化・芸術分野にも大きな影響を与えました。 感染防止対策のための規制は、令和2年2月の文化イベントの自粛要請に始まり、東京都では計4回の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置、リバウンド防止措置等の発出により、文化イベントの中止や延期、観客数の制限など、活動が大きく制限され、人々に外出自粛が求められる中、「不要不急」という言葉が文化・芸術に向けられるなど、文化・芸術活動に携わる人々にとって非常に厳しい状況が続いてきました。 こうした状況を踏まえ、区では、令和2年度、「せたがや元気出せArtsプログラム」として、「アーティスト支援事業」「民間文化・芸術施設支援事業」「世田谷文化生活情報センター劇場施設利用料金の減額」の3つの支援策を実施し、さらに、令和3年度には、依然として活動の再開・継続が難しい状況が続いていたことから、「せたがや元気出せArtsプログラム2021『文化・芸術活動継続支援事業』」を実施し、コロナ禍における文化・芸術の振興に取り組んできました。 2ページ  「第3期調整計画」の計画期間であるこれからの2年間は、コロナ禍を経験し、ニューノーマルの環境下で、区の文化・芸術の再生を図る重要な時期であり、区民、アーティスト、文化・芸術団体、民間の文化・芸術施設など、文化・芸術にかかわるあらゆる人々と連携・協力し、この困難を乗り越え、世田谷の文化・芸術振興の推進に取り組んでいきます。 (2)計画の位置づけ 本計画は、文化芸術振興基本法を改めた「文化芸術基本法」及び「世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例」に基づき、文化・芸術振興施策を推進する計画として策定します。 また、区の上位計画である「世田谷区基本構想」「世田谷区基本計画」や関連計画である「第2次世田谷区教育ビジョン・調整計画」「せたがやノーマライゼーションプラン」などと連携・整合性を図っていきます。 なお、本計画上の文化・芸術とは「文化芸術基本法」に規定しているものに加え、年中行事等の地域の伝統的文化、景観・風景・街並み等の文化的な環境、生活様式等、人間の生活とその精神活動に関わることを想定しています。 〇文化芸術基本法による規定(参考) 第8条 「文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術(メディア芸術を除く)」 第9条 「映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術(メディア芸術)」 第10条 「雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊その他の我が国古来の伝統的な芸能」 第11条 「講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く)」 第12条 「生活文化(茶道、華道、書道、食文化その他の生活に係る文化)、国民娯楽(囲碁、将棋その他の国民的娯楽)並びに出版物及びレコード等」 第13条 「有形及び無形の文化財並びにその保存技術」 第14条 「各地域における文化芸術の公演、展示、芸術祭等、地域固有の伝統芸能及び民俗芸能に関する活動」 3ページ (3)計画の期間 本調整計画の計画期間は、令和4年度から令和5年度までの2か年とします。 図を掲載しています。 4ページ 第2章 文化・芸術を取り巻く状況 (1)国・東京都の動向  国は、平成29年6月に、「文化芸術振興基本法」を改正し、「文化芸術基本法」に改めました。「文化芸術基本法」では、その基本理念に、年齢、障害の有無や経済的な状況にかかわらず等しく文化芸術を鑑賞することなどができる環境の整備や児童・生徒等に対する文化芸術に関する教育の重要性、観光、まちづくり、国際交流などの各関連分野における施策との有機的な連携等が新たに規定されました。 平成30年3月には、「文化芸術基本法」に基づき、「文化芸術推進基本計画(第1期)」を策定し、文化芸術政策の目指すべき姿や基本的な方向性を示すとともに、文化芸術立国の実現に向けて、文化芸術の本質的な価値、社会的・経済的価値を明確化しています。 また、平成30年6月、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮、社会参加の促進を目的とする「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が施行され、その基本理念として、障害の有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞・参加・創造することができる環境の整備や障害者による芸術上価値が高い作品等の創造への支援などを掲げています。平成31年3月には、同法7条の規定に基づき、「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画」を策定し、障害者による文化芸術活動を推進する上での基本的な方針や施策の方向性等を定めました。 さらに、令和3年6月には、「文化財保護法」の一部を改正し、無形文化財及び無形の民俗文化財について、幅広く文化財の裾野を広げて、継承や存続が厳しくなる状況に対して、文化芸術基本法第12条の生活文化(茶道、華道、書道、食文化その他生活に係る文化など)も含めた多様な無形の文化財の積極的な保護を図るため、国の登録制度を創設しました。 東京都は、平成27年3月、東京都の芸術文化振興における基本指針、国際的に発信する東京の文化政策の世界戦略を示した『東京文化ビジョン』を策定し、取組みとして8つの文化戦略と10の主要なプロジェクトを掲げ、その実現に取り組んでいます。さらに、令和3年度に新たな都政の羅針盤とする総合計画として策定した「『未来の東京』戦略」では、「ビジョン18 文化・エンターテインメント」として、文化やエンターテインメントで世界を惹きつける東京をめざして施策を展開することを示しています。 5ページ  (2)世田谷区の文化・芸術の特色と歩み @区の動向 区では、平成18年4月に、区の文化・芸術振興を図るため、「世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例」を施行し、この条例に基づき、平成19年度を初年度とする「世田谷区文化・芸術振興計画」を策定しました。その後、2つの調整計画、第2期計画の策定を経て、「第3期世田谷区文化・芸術振興計画」を策定し、文化・芸術振興施策の推進に取り組んできました。   A文化施設等を核とした文化・芸術事業の展開 昭和50年代前半、地域の文化・芸術に触れる機会や場を求める区民の声の高まりを受け、昭和61年3月、都立砧公園内に、「世田谷美術館」を開設しました。その後、世田谷ゆかりの作家やその遺族からの寄贈により、平成5年7月「向井潤吉アトリエ館」、平成15年11月「清川泰次記念ギャラリー」、平成16年4月「宮本三郎記念美術館」を世田谷美術館の分館として開設しました。世田谷美術館は、世田谷ゆかりの作家・画家の作品などを収蔵し、恵まれた自然環境を活かした空間の中で、“芸術とは何か”というテーマのもと、展覧会をはじめ、講座やワークショップなど、様々な活動を通して、芸術との出会いの場を提供しています。 昭和61年、世田谷文化会議からの提言を受けて文学館整備の検討が進められ、平成7年4月、東京23区では最初の地域総合文学館として、「世田谷文学館」を開設しました。世田谷にゆかりのある作家の原稿や資料などを収蔵し、世田谷の文学遺産を次代に承継するとともに、身近な文学者や世田谷の風土を学び、知る場として、映画、音楽、演劇、朗読、創作活動など、ジャンルを超えた幅広い活動を行う文学館を目指し、展覧会の開催、様々な教育普及活動を展開しています。 平成9年4月、区は、さらに区民の文化向上に寄与するため、創造的な文化施設として、「世田谷文化生活情報センター」を開設しました。世田谷文化生活情報センターは、「暮らし×デザインの交流拠点」をコンセプトに、日常の暮らしに身近なデザイン、文化、環境などをテーマとした、展示、ワークショップ、セミナーなどを実施し、新しいライフスタイルを提案する「生活工房」と、区民に国内外の質の高い演劇などを提供するとともに、ワークショップや講座等を通じ、区民自らが文化・芸術活動を実践する場を提供する「世田谷パブリックシアター」、身近な地域で様々なジャンルの音楽に親しむことのできる環境づくりを目指す「音楽事業部」で構成されています。 6ページ 加えて、令和2年4月、在住外国人の増加や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京2020大会」という)を契機とした国際化気運の高まり等を踏まえ、国際施策の充実・発展に向けて、世田谷文化生活情報センターに新たな組織として「国際事業部」を設け、「せたがや国際交流センター」を開設しました。 また、区内には民間の美術館、劇場、ライブハウス等の多彩で豊富な文化資源があり、美術や演劇、音楽活動が活発に行われています。さらに、個人や団体による文化・芸術に関する自主的な活動や文化施設を支えるボランティアによる活動、地域の文化祭や日本文化、伝統文化などの継承や発信など行うNPO活動などが各地域で行われており、区民の文化・芸術に対する関心は高い状況にあります。    B世田谷区民会館の再整備 世田谷区民会館は、区の中心部に立地しており、最寄り駅である松陰神社前駅からは徒歩5分、梅ヶ丘駅からも徒歩圏内で、路線バスも整備されており、アクセスが良好な環境にあります。また、北側には国士舘大学、周辺には緑豊かな若林公園や松陰神社があり、文教の地にふさわしい生涯活動等の拠点でもあります。 この区民会館を多様な文化・芸術活動拠点施設として再整備します。令和3年7月から始まった世田谷区本庁舎等整備工事*において、ホールについては、舞台や音響・照明設備の全面的な改修を行い、エントランスホール、ホワイエ及び楽屋については改築し、また、新たに練習室を設けるなど、機能の向上を図っています。 本施設は、世田谷区の全区的集会機能とともに、区民自治と協働・交流の拠点となるよう、講演会や式典等のほか、音楽や演劇等のイベントや興行など、多様な公演に対応できるホール(多目的ホール)として、文化・芸術の魅力を区内外に広く発信していきます。 世田谷区本庁舎等整備工事による区民会館休館期間中は、他総合支所の区民会館ホールなど、区が保有する公共施設を活用するとともに、区内大学との連携・協力により大学施設を含む地域の資源を活用しながら、文化・芸術活動が継続できるよう努めています。 *世田谷区役所の建替え、世田谷区民会館ホールの保存改修等の総称 C歴史・文化財等の伝統文化の継承と普及事業の展開  区では、昭和37年に刊行した『新修世田谷区史』の編纂事業により、郷土史の資料の収集・研究に取り組み、昭和39年には、東京23区では最初となる「世田谷区立郷土資料館」を開設し、文化財や歴史資料等の調査・研究を進めてきました。  7ページ また、昭和52年に「世田谷区文化財保護条例」を制定し、指定や登録により文化財の保存と活用を図り、文化財の総合調査を進めるとともに、区民への文化財の公開や郷土学習の支援に取り組んできました。また、岡本公園民家園・次大夫堀公園民家園を開設し、展示や紹介のほかに、文化財に触れて、体験するという形で文化財の積極的な活用にも取り組んできています。 しかし、社会経済状況の変化に伴い、文化財の周辺環境も大きく変貌し、かつての世田谷の姿を思い起こさせる資料や環境が少なくなっており、多くの文化財の保存も難しい状況にあります。さらに令和2年からのコロナ禍での生活様式の変化などを受けて、継承が難しくなってきたものが多く見受けられます。 この時代背景を踏まえ、歴史・文化、風景などを保護・継承していくことは現代の社会的要請であると捉え、行政として啓発等を積極的に行う必要があります。そのため、保護の視点にとどまらず、これらを活用した地域の歴史・文化・風景などに対する理解や愛着を社会的に醸成していかなくてはなりません。特に、指定等がなされない文化財は、人々の暮らしの中に埋もれてその価値を見出されずにいます。 このような状況に対応するために、文化財を複合的に捉え、個々の文化財だけではなく群としての価値や魅力、全体としてのつながりをわかりやすく示し、地域住民等の理解へとつなげていくことが重要であることから、区では、地域の歴史・文化や風景等の保護・継承に関する施策を一貫した考えをもって進めていくため、平成29年4月に「世田谷区文化財保存活用基本方針」を策定し、5つの基本方針に基づき保存と活用を進めてきました。 今後、文化財の保護に関する取組みと併せて、歴史・文化財等の伝統文化を、次の世代に継承していくための普及啓発事業の取組みについても、世田谷デジタルミュージアムなど、デジタルによる啓発事業等に取り組みながら、コロナ禍において実際の文化財に触れ、体験し、継承していくあり方も、さらに検討していく必要があります。 (3) 新型コロナウイルス感染症の影響  令和2年から始まった新型コロナウイルス感染症拡大により、東京都では、計4回の緊急事態宣言による緊急事態措置(令和2年4月7日〜令和2年5月25日、令和3年1月8日〜令和3年3月21日、令和3年4月25日〜令和3年6月20日、令和3年7月12日〜令和3年9月30日)が実施され、様々なイベントや公演が中止となり、多くのアーティスト等の活動や発表の機会が制限されました。また、文化施設においても、観客同士の距離をとることや入場制限、休館を余儀なくされるなど、様々な影響を与えました。一方で、コロナ禍によるデジタル化の急速 8ページ な進展など、新しい生活様式への移行が進み、文化・芸術の分野においても、新たな手法を取り入れた事業展開が広がってきました。 このような状況下で、国は、アーティストや文化・芸術団体、文化施設等のデジタル化による事業展開等を支援する多種多様な支援策を、また、都は、文化の灯を絶やさないための対策として、アーティスト等を支援する「アートにエールを!東京プロジェクト」などをそれぞれ実施しました。 区においても、令和2年度、コロナ禍で活動の制限を余儀なくされたアーティストや団体、民間の文化・芸術施設等を対象とした文化・芸術活動継続支援事業「せたがや元気出せArtsプログラム」を、令和3年度には、区内のアーティストや文化・芸術団体の主体的・積極的な文化・芸術活動の再開・継続を後押しするため「せたがや元気出せArtsプログラム2021」を実施し、支援に取り組んできました。 9ページ (4) 第3期計画の取組み状況 第3期計画では、目指すべき姿「心潤う、文化・芸術のまち 世田谷」の実現に    向けて、5つの施策目標に基づき取組みを進めてきました。 施策目標1 世田谷の文化・芸術の魅力を発信する 世田谷区内には、公立文化施設や民間文化・芸術施設等で、さまざまな文化・芸術活動が展開されており、各施設から多様な情報が発信されています。 また、これまで、世田谷発の文化・芸術は、国内の文化・芸術を牽引する役割を果たしてきました。区民の財産である世田谷の文化・芸術の魅力を区民が知り、身近に感じることが、世田谷の魅力を高めることにつながります。区が進める「まちなか観光」とも連携を図りながら、さまざまな媒体を活用して、世田谷の文化・芸術に関する情報を効果的に区民や国内外に発信していきます。 施策の方向 ・世田谷の文化・芸術情報の収集・発信 ・世田谷の文化・芸術の魅力を高め、広める取組み 取組み内容 ・「世田谷芸術百華〜せたがや文化プログラム〜」や「せたがや文化マップ」など、紙媒体を用いた、文化・芸術事業の情報発信に取り組んだ。また、SNSや動画配信サイト等の情報発信ツールを活用し、世田谷の文化・芸術の魅力を広める取組みを行った。 評 価 ・情報革新が進み、多くの人がスマートフォンなどの情報機器を活用する時代を迎える中、デジタル技術を活用し、新たな生活様式にも対応した情報発信の工夫を行っていく必要がある。 ・電子媒体での情報取得が困難な方に向けた一定の配慮も必要である。 ・観光部門などとの連携によって、より多くの方への周知が可能となった。 ・動画配信サイトの活用等により、多くの人の目に触れやすい情報発信を実施している。 ・アフターコロナにおいて、今後のまちの賑わいと地域のさらなる活性化に向けた 文化事業の検討が必要である。 10ページ 施策目標2 区民の誰もが文化・芸術に親しむ 文化・芸術は、心に潤いをもたらし、ゆとりを感じる力があります。区内の文化施設では、国内外に誇れる演劇、音楽、美術、文学など多彩な公演や展覧会等が行われています。 また、各地域では、まちの魅力を高め、活性化を図るため、地域の文化資源や文化・芸術団体、民間施設と連携を図りながら、様々な文化・芸術活動が展開されています。 また、これらの活動を契機に、新たに文化・芸術活動に関心を持つ区民が増えています。高齢者や障害者、外国人等、区民の誰もが、これらの文化・芸術活動にふれ、体験・参加し、気軽に親しむことができる機会を充実していきます。 施策の方向 ・文化・芸術を身近に鑑賞・体験できる機会の充実 ・誰もが文化・芸術に触れることのできる取組み 取組み内容 ・「どこでも文学館」や「まちかどコンサート」等のアウトリーチ事業を展開し、   身近に文化・芸術を体験できる機会の充実を図った。 ・「鑑賞サポート」や「施設内サイン」の拡充等、誰もが文化・芸術に触れることの できる環境整備に取り組んだ。 評 価 ・区民が文化・芸術に触れる機会の創出とアーティストの活動の場の提供の両面から、新たな事業スキームを検討する必要がある。 ・アフターコロナにおいて、文化活動によるまちの賑わいを図る文化事業の取組みの検討が必要である。 ・ユニバーサルデザインの考え方により、ハード・ソフト両面での施設の安全性や  利便性を考慮した施設運営が必要である。 ・施設に足を運べない方や興味はあるが足を運ぶまで至らない方などに向けて、文化・芸術に気軽に触れ、親しむという観点から、デジタル技術の活用等による新たな事業手法の検討が必要である。 ・託児サービスやベビーカーの貸し出し、親子向けプログラムの実施等、ニーズを捉えた取組みにより、子育て世代も安心して鑑賞できる環境を生み出している。 11ページ 施策目標3 個人や団体の文化・芸術活動を支える 区内には、若手の俳優や画家など、次の時代を担う芸術家が世田谷を拠点に活動しています。また、区民の音楽や演劇などの団体等が、様々な文化・芸術活動を行っています。さらに、日本文化の魅力を広めるために、地域やNPO 法人などが活発に活動を繰り広げています。区内を拠点に活動する次代を担う芸術家等や区民の文化・芸術活動を支えていくことは、世田谷の文化・芸術の魅力を高めることにつながっていきます。 また、高齢社会の到来により、高齢者の文化・芸術活動への参加や、ボランティアとして世田谷の文化・芸術活動を支える区民が増えていくことが見込まれることから、今後の世田谷の文化・芸術活動を支えていく仕組みづくり・取組みを推進していきます。 施策の方向 ・区民の文化・芸術活動の支援 ・世田谷の文化・芸術を支える人材の支援 取組み内容 ・世田谷美術館の「区民ギャラリー」「講堂」、世田谷文学館の「講義室」等、施設の貸出しを行うことで、場の提供による活動支援を実施した。 ・「世田谷区芸術アワード“飛翔”」、「ネクスト・ジェネレーション」、「世田谷文学賞」などにより、人材の発掘・支援を行った。 ・コロナ禍で活動や事業が制限されたアーティストや団体、民間文化・芸術施設等の活動支援事業を実施した。 評 価 ・補助事業等のスキームは、区民ニーズと社会経済状況等を踏まえたうえで、より効率的・効果的な内容となるよう、毎年度、検証し、一層の工夫が必要である。 ・アフターコロナにおいて、区民の文化・芸術活動のさらなる活性化のため、活動・発表・交流の「場の提供」等の支援を、継続、拡充する必要がある。 ・区民団体の活動の充実のため、世代などを超えて交流できる仕組みづくりが必要である。 ・事業を支えるボランティアの新たな獲得に向けた仕掛けを検討する必要がある。 ・事業実施にあたり、様々な世代のボランティアが活躍できる仕組みの検討が必要である。 12ページ 施策目標4 次代の文化・芸術を担う人材を育む 乳幼児期から文化・芸術に触れることは、想像力と創造性を育み、多様な価値観を受け入れ、人と人との絆を結ぶ社会の基盤を形成していくことが期待されます。絵本を通じて物語の世界を楽しむことや自然環境とのふれあい、動物園、植物園、美術館などで本物の事象に触れることも興味・関心を広げるきっかけとなり、この積み重ねが、感受性を豊かにしていくことにつながります。 区では、これまで、主に小中学生を対象に、美術の鑑賞教室や演劇によるワークショップ、せたがやジュニアオーケストラの支援などを行ってきました。次代を担う子どもたちを育むために、これまでの取組みに加え、乳幼児期から遊びの中で、文化・芸術に気軽に触れられる機会の提供を充実させていきます。 施策の方向 ・子どもの創造性を育む取組みの推進 取組み内容 ・うたやおはなしを演奏とともに届ける「コトコトさんのドレミ図書館」や区内大学との連携・協働による「乳幼児を対象とした文化・芸術体験プログラム」など、乳幼児に向けた文化・芸術体験事業を実施した。 ・小中学生を対象とした、「美術・古典の鑑賞教室」、「演劇ワークショップ」、「せたがやジュニアオーケストラ」など鑑賞・体験ができる事業を実施し、それぞれの年代に合わせた文化・芸術に触れ、感受性や創造性を育む機会の充実に取り組んだ。 評 価 ・学校や保育園など、日々子どもたちと接する現場の声やニーズを聞き取り、ニーズに即した事業展開を図ることが必要である。 ・乳幼児期から「本物」「本場」といった、より良質な文化・芸術体験ができる取組みを拡充していく必要がある。 13ページ 施策目標5 文化資源を次代へ継承し、文化・芸術の力を活かし・つなぐ 世田谷区には「世田谷のボロ市」や「浄真寺のお面かぶり」をはじめとした、地域に支えられ、人々の生活と深く結びついてきた、季節感のある伝統文化が残されています。このような伝統文化や、歴史的建造物、文化的風景などの文化資源を活かしたまちづくりを進めることが、生活の中に文化を感じ、世田谷ならではの魅力の発信につながります。世田谷区では、今後も人々の暮らしの中で育まれてきた幅広い文化を活用し、保存・継承していく取組みを進めていきます。 また、地域や民間施設、NPO法人と連携を図りながら、世田谷の文化資源や文化・芸術を活かしたまちの魅力づくりを進めていくとともに、海外との姉妹都市交流や東京2020大会、アメリカ合衆国ホストタウン・共生社会ホストタウンへの登録を契機とした様々な国との文化交流を進めていきます。 【施策の方向】 ・世田谷の文化資源や伝統文化を活かし継承する取組みの推進 ・文化・芸術の力を活かしたまちの魅力づくり ・多文化共生と国際交流の推進 取組み内容 ・文化財ボランティア講座によりボランティアを育成し、文化財の次代への継承のため、人材の育成・活用を充実していく施策を推進した。 ・地域にある文化資源を散歩コースとして紹介し、活用することで、地域の魅力づくりを推進した。 ・外国人向け日本語教室等の講座を開催する他、多言語や「やさしい日本語」を活用して行政情報や生活情報を発信する等、在住外国人の生活基盤の充実に取り組んだ。 ・せたがや文化財団国際事業部と連携して「せたがや国際メッセ」を開催するなど、多文化共生の意識啓発や区民の国際交流の機会拡充を推進した。 評 価 ・文化にかかわる人材の高齢化等による人材・後継者不足が課題であり、次世代への継承の具体策の検討が必要である。 ・区民にとって貴重な財産である指定文化財の保存・修理は、社会経済状況等も踏まえ、安全性や文化財の重要度を考慮した保存・改修方針等の検討が必要である。 ・まちの賑わい、地域の活性化の観点からも産業振興や観光部門等との連携を一層強化する必要がある。 ・日本語の教育に関しては、令和元年6月公布の「日本語教育の推進に関する法律」に基づき、教育の機会拡充など、地域の実情に応じた推進に取り組む必要がある。 ・「やさしい日本語」は、行政の情報発信の手段のみならず、日本人との交流をする際にも活用できることから、職員への普及はもとより、区民や関係機関への周知を進める必要がある。 ・令和元年度実施の「外国人区民意識・実態調査」によると、外国人の情報入手手段はインターネットの割合が多いことから、「外国人の方へ」のホームページの情報提供など、対応の強化に努める必要がある。 ・せたがや文化財団国際事業部と連携し、各交流イベント等を区民ニーズや社会経済状況を踏まえ、より効果的に開催し、区民一人ひとりの相互理解を深め、人権を尊重し、ともに暮らしていける多文化共生の意識づくりを一層進める必要がある。 14ページ (5)第3期計画の推進から見えた課題 第3期調整計画の策定に向け、検討委員会では、第3期計画の検証や第3期調整計画の考え方等について意見交換を行い、以下のように課題を整理しました。 @ 区民ニーズや社会経済情勢等を踏まえた広報や事業実施 ・文化・芸術における区民ニーズを的確に把握するとともに、新しい生活様式やアフターコロナの対応など、社会経済情勢の変化を踏まえた、より効率的、効果的な情報発信や事業の構築が必要である。 ・コロナ禍で急速に進展した、映像配信などのオンラインを活用した文化・芸術活動を、今後も継続するための仕組みづくりや環境整備が求められている。    A 文化・芸術の次世代への継承 ・伝統文化や文化財にかかわる人材、展覧会やイベント等の事業を支えるボランティアの高齢化による担い手不足は喫緊の課題であり、次世代への着実な継承を図るため、育成支援が必要である。 ・若手芸術家など、次代の文化・芸術を担う人材の一層の育成支援が必要である。    B 文化・芸術活動に取り組む団体等の支援 ・文化・芸術活動のさらなる活性化及び新型コロナウイルス感染症の影響による、文化・芸術活動の停滞等の状況や世田谷の文化の灯を消さないという観点からも、区民の主体的な文化・芸術活動の支援を継続・充実する必要がある。    C年齢、国籍、障害の有無等にかかわらず、誰もが参加、体験できる機会の充実 ・誰もが文化・芸術を鑑賞し、参加、体験できる機会の提供を確実なものとするため、事業手法、事業内容の見直しや文化事業を通じた交流ネットワーク、文化・芸術活動への参加の促進など、環境整備に取り組む必要がある。    D身近に感じられる文化・芸術の推進 ・多彩で豊富な文化資源など、世田谷の文化・芸術の区内外への積極的な発信に努めるとともに、文化・芸術を身近に感じ、興味を持ち、親しんでもらえるよう一層の取組みが必要である。    Eまちのにぎわい・魅力づくりへの貢献 ・まちのにぎわいの創出や世田谷の文化・芸術の魅力を高め発信するため、地域における多様な文化資源の活用や文化・芸術活動の支援など、庁内、団体、民間施設、大学等とも連携した文化施策を展開する必要がある。  第3章 計画の基本的考え方 15ページ (1)基本理念 世田谷は、みどり豊かな武蔵野の自然にあふれ、閑静な住宅地として発展し、文化・芸術に携わる人々は、その魅力に惹かれ移り住むようになりました。その歴史は、今日に受け継がれ、世田谷の多くの区民は、区内各地域における活発な演劇活動、自主的かつ積極的な文化・芸術活動、またその活動を支えるボランティア活動等を行うなど、文化・芸術に高い関心を持っています。また、世田谷には日本の文化・芸術の牽引役として活動されている方も多くいます。さらに、世田谷は、文学、映画等の作品の舞台として数多く登場しており、区民にとって文化・芸術が身近に感じられる環境にあります。 これらは区民のかけがえのない財産であり、世田谷の大きな魅力でもあります。区はこれらの財産を活かし、文化的な環境の向上に努めるとともに、すべての区民が文化・芸術に触れ、文化的な環境を享受し、文化・芸術に関する活動に取り組むことができるようにすることが、区としての重要な責務であると考えています。 誰もが心に潤い、ゆとり等を感じることができる区民生活及び地域社会の実現に向け、区、区民、民間団体等の協働による文化・芸術の振興に関する施策を推進するために、世田谷区における文化及び芸術の振興に関する基本理念を『世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例』で謳っています。 16ページ (2)将来像 世田谷区には、等々力渓谷や国分寺崖線などのみどり豊かな自然、古墳や歴史的な建造物などが残されています。また、世田谷美術館、世田谷文学館、世田谷文化生活  情報センター、世田谷区民会館などの区立文化施設をはじめ、民間の美術館や劇場等の文化施設も数多く存在し、区民が身近に文化・芸術に触れることができる環境があります。 また、区内の各地域では、伝統的な祭りやイベントなど、区民による様々な文化・芸術活動などが活発に行われています。 こうした世田谷区の多彩な文化資源、文化的環境を活かし、区民が文化・芸術に親しみ、参画し、また、民間団体、大学等と連携・協働しながら「心潤う、文化・芸術のまち 世田谷 〜文化・芸術に親しみ、魅力を発信する」の実現を目指します。 心潤う、文化・芸術のまち 世田谷 〜文化・芸術に親しみ、魅力を発信する 17ページ (3)第3期調整計画策定にあたっての視点 世田谷区の豊かな文化的環境や、区民の活発な文化・芸術活動など、せたがやらしさを活かしたこれまでの取組みを継承しつつ、第3期計画の推進から見えた課題やコロナ禍により大きく変化する社会状況等を踏まえ、将来像『心潤う、文化・芸術のまち 世田谷〜文化・芸術に親しみ、魅力を発信する』の実現に向け、第3期計画から引き続き、以下の4つを計画策定にあたっての視点として、世田谷の文化・芸術の振興を推進していきます。 T 身近に感じられる文化・芸術の推進 ●多彩で豊富な文化資源など、世田谷の文化・芸術を区民の誰もが知り、身近に感じ、誇りに思えるような取組み及び区内外へ情報発信     U 文化・芸術で次の時代を担う人材の育成 ●若手をはじめ、新進のアーティスト等の多様な文化・芸術活動の支援や、文化・芸術を通して子どもの創造性・多様な価値観を育むための機会の提供 V 誰もが参画・協働できる文化・芸術環境の整備 ●高齢者や障害者、外国人などとの文化・芸術を通した交流やコミュニティへの参加の促進、区と大学、民間施設・団体等との連携の推進 W 地域の文化資源や伝統文化の保存・継承 ●歴史的建築物などの歴史的資産を含めた風景等の文化的環境を活かしたまちづくりや文化的環境及び伝統文化の保存・継承を通した文化を創造する取組みの推進       18ページ・19ページ (4)計画の体系 図を掲載しております。 20ページ 第4章 文化・芸術施策の展開 (1)施策目標 第3期調整計画における施策目標については、これまでの第3期計画の成果や評価を踏まえたうえで、第3期計画で推進してきた5つの施策目標を継承します。   施策目標1 ●世田谷の文化・芸術の魅力を発信する 施策目標2 ●区民の誰もが文化・芸術に親しむ 施策目標3 ●個人や団体の文化・芸術活動を支える 施策目標4 ●次代の文化・芸術を担う人材を育む 施策目標5 ●文化資源を次代へ継承し、文化・芸術の力を活かし・つなぐ 施策目標推進の体系について、図を掲載しております。 21ページ (2)施策の方向と具体的な取組み 5つの施策目標を推進する施策の方向と具体的な取組みについては、第3期計画の推進から見えてきた課題や文化・芸術を取り巻く社会状況等を踏まえ、次のとおり定めます。 1 発信する 世田谷区内では、公立文化施設や民間の文化・施設等において、様々な文化・芸術活動が展開されています。また、各地域・地区では、文化財や伝統文化等の文化資源を活かした活動や文化・芸術に関するイベントなど、多様な活動が活発に行われています。このような世田谷の文化・芸術の魅力を区内外に伝えるため、デジタル技術を活用した発信を強化するとともに、紙媒体での発信に継続して取り組む等、多様な手法を用いた情報発信を推進します。 (1)世田谷の文化・芸術情報の収集・発信 『第3期計画の推進から見えた課題』 @区民ニーズや社会経済情勢等を踏まえた広報や事業実施 D身近に感じられる文化・芸術の推進   情報通信技術の目覚ましい発展や新型コロナウイルス感染症拡大を背景に、社会全体において、デジタル技術を活用した情報の捉え方や発信の方法を変革する動きが急速に進んでいます。 区では、様々な世田谷の文化・芸術に関する情報を、目的や対象とする相手を明確化し、ホームページ、アプリケーション、SNS、動画配信等によるデジタル技術を用いた発信とともに、従来の紙媒体の広報等、多様な手法で情報発信をしていきます。 また、様々な手法で情報のネットワークを広げるとともに、SNSを活用し、情報を受ける側からも発信し広がっていく仕組みづくりに取り組んでいきます。 地域の特色を踏まえた情報を集約することにより、より実用的で親しみやすい情報発信を行います。 22ページ  【取組み内容】 ○世代や目的、新しい生活様式に対応したICT等の活用による情報発信    <取組み例> 1ホームページ、SNS、動画配信サイトなどのデジタル技術を活用した情報発信の充実とともに、引き続き冊子、文化情報誌等の紙媒体も活用し、多様な媒体による情報発信を行います。【生活文化政策部、せたがや文化財団】   2撮影可能な展覧会や撮影スポットの設置など、SNSを活用した、受けて側からも広がる、区民参加型の情報発信の仕組みを構築します。【せたがや文化財団】 3交通沿線・広域生活・文化拠点を軸としたお散歩コースや地域の特色に触れる情報発信を、デジタル媒体や紙媒体を用いて行います。【生活文化政策部】 4区の魅力を集めたまちなか観光HP「エンジョイ!SETAGAYA」との連携を推進します。【生活文化政策部、経済産業部】 5デジタル技術を活用した区の歴史や文化資 料を発信する「コレクション検索」や「世田谷デジタルミュージアム」等を活用した情報発信を推進します。【生涯学習部、せたがや文化財団】 6リーフレットやホームページ等を通じて風景づくりに関する情報を発信し、区民・事業者の風景づくりに関する理解の促進を図っていきます。【都市整備政策部】 23ページ (2)世田谷の文化・芸術の魅力を高め、広める取組み  『第3期計画の推進から見えた課題』 @区民ニーズや社会経済情勢等を踏まえた広報や事業実施 D身近に感じられる文化・芸術の推進 Eまちのにぎわい・魅力づくりへの貢献 区の多様な文化資源を活用し、区、民間、NPO法人、区民等が連携して、世田谷の魅力を高め、広めていく取組みを推進していきます。また、文化・芸術と観光分野との連携により、効果的な情報発信に取り組みます。 取組み内容】 ○文化・芸術の力やせたがやらしい文化を広める取組みの推進    <取組み例> 1商店街、町会・自治会、ボランティア等との連携により、三軒茶屋の街全体が劇場となる「世田谷アートタウン『三茶de大道芸』」を実施し、区内外に区の魅力を広め、地域の活性化を図る取組みを推進します。【せたがや文化財団】 2自然や文化施設、歴史的建造物などの観光スポットを紹介する観光情報冊子を配布し、区の多様な魅力を広める取組みを推進します。【経済産業部】 24ページ 3国際的作品の招聘や、国内の公共劇場・美術館等との広報協力、共同制作などを進め、区の文化資源の魅力を広める取組みを推進します。【せたがや文化財団】 4世田谷区が持つ魅力(自然・風景、商店街、文化施設、祭り・イベントなど)をPRするために制作したプロモーションビデオを区公式YouTubeチャンネルや外部情報サイトに公開し区内外にその魅力を広めます。【経済産業部】 「せたがやらしさについて」 第3期文化・芸術振興計画(調整計画)検討委員会では、文化・芸術における「せたがやらしさ」について、次のような意見が出されました。 徳富蘆花旧邸地を活かした「蘆花まつり」下北沢音楽祭 「地域のイベントが多く、人と人との絆を大切にしている文化があり、商店街がそれを支えている」、「三軒茶屋で実施される『三茶de 大道芸』では、まちの賑わいづくりに区や地元商店街、町会等が協力し、積極的に活動している」、「下北沢音楽祭や二子玉川で行われているキネコ国際映画祭など、地域集団から非営利法人まで、多様な活動主体が文化・芸術活動に積極的に関わり、質の高い芸術、アーティストの演奏などが地元の有志や寄附で成り立っている」、「世田谷のボロ市のような伝統文化が継承されている一方で、神社の広場を使ったクラシックコンサートを毎年実施する地域がある」、「文化財と伝統文化、伝統的な生活文化と新しい生活文化が融合している」「区民の生活の中にアートがある」、「障害者アートの先進的な取組みをかなり早い段階から行っている」「住宅都市でありながら、世田谷パブリックシアター、世田谷美術館や五島美術館、世田谷文学館など、高い評価を得ている文化・芸術施設を持つ創造都市である」など。 25ページ 2 親しむ 区内の文化施設では、国内外に誇れる、多彩な文化・芸術活動が行われています。また、各地域では、まちの魅力を高め活性化を図るために、様々な活動が展開されており、これらの活動を契機として新たに文化・芸術に関心を持つ区民が増えています。 年齢、国籍、障害の有無、また、経済的状況にかかわらず、区民の誰もが文化・芸術に触れ、鑑賞、体験、参加し、親しむことができる環境を整えます。    (1)誰もが、文化・芸術を身近に鑑賞・体験ができる機会の充実  『第3期計画の推進から見えた課題』 C年齢、国籍、障害の有無等にかかわらず、誰もが参加、体験できる機会の充実 D身近に感じられる文化・芸術の推進 Eまちのにぎわい・魅力づくりへの貢献    年齢、国籍、障害の有無、また、経済的状況にかかわらず、誰もが文化・芸術に触れ、親しむことができるよう、地域や団体、民間施設等と連携し、アウトリーチ活動を積極的に行います。また、幅広い層に応じたプログラムを展開し、区民の誰もが参加し、文化・芸術に親しむことができる機会を提供していきます。 【取組み内容】 ○年齢、国籍、障害の有無、また、経済的状況にかかわらず、身近なところで文化・芸術に触れ、親しむことができる機会の充実   <取組み例> 1区内各所で開催される無料のコンサートや、収蔵品を活用した安価で楽しめるコレクション展を開催し、誰もが、気軽に鑑賞できる機会を提供します。 【せたがや文化財団】 26ページ 2学校や高齢者・障害者施設等への出張公演やワークショップを実施し、文化・芸術に親しむ機会を提供します。【せたがや文化財団】 3展覧会の鑑賞ガイドや公演の音声サポートなど、様々な鑑賞サポートを行い、誰もが文化・芸術にふれ、楽しむことができる機会の提供に取り組みます。【せたがや文化財団】 4親子で文化・芸術を鑑賞できる環境の整備や子ども向けのプログラム、ワークショップを実施し、親子で楽しむことができる機会を提供します。【せたがや文化財団】 5美術、音楽、文学、演劇、生活デザイン等、ジャンルに捉われない展示を実施し、文化・芸術に親しむ機会を充実します。【せたがや文化財団】 6商店街や区内で行われるイベントにアーティストを派遣し、誰もが身近な場所で文化・芸術に触れる機会とまちの賑わいの創出に取り組みます。【生活文化政策部】    27ページ 【取組み内容】 〇音楽・演劇など多様な文化・芸術活動の拠点となる区施設の整備    <取組み例> 1様々な用途に対応可能な世田谷区民会館の再整備(ホール部分の改修、楽屋・ホワイエ・エントランスホール部分の改築や練習室・親子観覧席等の新設による機能向上)を行います。【世田谷総合支所、庁舎整備担当部】 2区のユニバーサルデザイン推進条例に基づき、誰もが安心して施設を利用できるよう、施設整備を行います。【せたがや文化財団、庁舎整備担当部】 3空間の確保や施設内サイン、多言語表記等を取り入れた、ユニバーサルデザインの取組みを推進します。【せたがや文化財団、世田谷総合支所、庁舎整備担当部】   *世田谷区民会館の再整備工事期間中においては、他総合支所の区民会館ホールなど、区が保有する公共施設を活用するとともに、区内大学や包括協定を結んだ川崎市、近隣自治体等との連携・協力により、代替場所を確保し、文化・芸術活動が継続できるよう努めていきます。 28ページ 3 支える 区内では、区民の文化・芸術活動団体や芸術家、文化施設等が世田谷を拠点として活発に活動を行っています。また、次代を担う若手芸術家も世田谷を拠点に活動しています。区民や文化施設、次代を担う芸術家等の文化・芸術活動を支えていくことは、世田谷の文化・芸術の魅力を高め、広めることにつながります。今般の新型コロナウイルス感染症拡大により、様々な分野の文化・芸術活動が甚大な影響を受けました。私たちの心に潤いを与えてくれる魅力ある世田谷の文化・芸術が途絶えることのないよう、活動の継続を支援する仕組みづくりや取組みを推進します。   (1)区民、団体の文化・芸術活動や文化施設等の支援 『第3期計画の推進から見えた課題』 A文化・芸術の次世代への継承 B文化・芸術活動に取り組む団体等の支援 C年齢、国籍、障害の有無等にかかわらず、誰もが参加、体験できる機会の充実   新型コロナウイルス感染症拡大は、アーティスト等、文化・芸術活動に携わる人々に多大な犠牲を強いることになりましたが、その経験は、文化・芸術の価値や重要性を再認識する機会ともなりました。 区民や団体の文化・芸術活動、文化施設等の活動が途絶えることのないよう、発表の機会の提供や事業連携、活動支援に関する情報提供など、文化・芸術活動の継続支援の充実に取り組みます。 年齢、国籍、障害の有無、また、経済的状況等にかかわらず、区民の誰もが多様な文化・芸術活動ができるよう、身近に文化・芸術活動に取り組める場の充実を図っていきます。また、障害者の創作活動を支援し、作品の魅力を発信するとともに、障害者が文化・芸術活動に参加しやすい環境の整備に取り組んでいきます。 29ページ  【取組み内容】 ○ 誰もが、文化・芸術活動をできる機会や支援の充実     <取組み例> 1区民活動団体への広報支援や事業費補助などの活動支援を行います。【生活文化政策部】 2新型コロナウイルス感染症拡大により大きな影響を受けたアーティストや文化・芸術団体、文化施設等が活動を継続できるよう、社会経済情勢の変化等を踏まえた支援に取り組みます。【生活文化政策部】 3区民が身近な地域で文化・芸術活動ができるよう支援するとともに、文化・芸術に親しむ機会の創出に取り組みます。【生活文化政策部】 4区内のアマチュア団体の発表の場として、「世田谷パブリックシアター」や「シアタートラム」を提供し、活動の支援を行います。【せたがや文化財団】   5「区民絵画展・写真展」を実施し、区民に発表の場の提供を行います。【せたがや文化財団】 6区民の誰もが参加できる区民のための学習の場「世田谷市民大学」を実施し、市民自治の担い手となる人材の育成を推進します。          【生活文化政策部】 7障害者施設等の美術展開催や障害者アートを支援し、文化・芸術活動の参画者拡大と障害への理解促進を図ります。【せたがや文化財団、障害福祉部】 30ページ 8詩・短歌・俳句・川柳・随筆等の作品を募集、入賞作品を冊子「文芸せたがや」に掲載することにより、区民の創作活動の発表の場を提供します。【せたがや文化財団】 (2)次代を担う人材の発掘・育成・支援 『第3期計画の推進から見えた課題』 A文化・芸術の次世代への継承   これからの文化・芸術の創造を担う若手芸術家の支援や、その創作活動を支える舞台技術者、学芸員などの専門的な人材の育成・支援に取り組んでいきます。また、文化施設等で実施する事業や育成プログラムにも積極的に参加してもらい、生きがいや心の豊かさの醸成にもつなげていきます。    【取組み内容】 ○ 次代の文化・芸術活動を担う人材の発掘、育成、交流・活動支援    <取組み例> 1有望な劇作家、演出家、劇団の発掘、育成を図る「ネクスト・ジェネレーション」を実施し、次代の担い手を生み出す取組みを推進します。【せたがや文化財団】 2区内の大学などからの学生インターンシップや研修生の受入れを通じ、文化・芸術を  支える人材の育成に取り組みます。【せたがや文化財団】 3優れた舞台芸術を生み出す人材を育成するため、講座や研究会などを実施します。【せたがや文化財団】 31ページ 4文化・芸術活動を支えるボランティアの積極的な募集を行い、事業を通した人材育成と世代を超えた交流を推進します。【せたがや文化財団】 5学芸員の資格取得を目指す実習生等を受け入れ、現場等での体験学習を通した、次代を担う人材の育成に取り組みます。【せたがや文化財団】 6美術鑑賞教室など、団体で来館した子ども達に美術館での過ごし方や作品の楽しみ方を伝える美術館ボランティア「鑑賞リーダー」の育成に取り組みます。【せたがや文化財団】 コロナ禍における区の支援策について 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、さまざま な文化事業が休止を余儀なくされ、区民が文化・芸術に親 しむ機会やアーティストの活動機会が大きく制約を受けま した。また、アーティストの活動の場であり、世田谷区の 魅力の一つとなっているライブハウスや小劇場などの民間 の文化・芸術施設では、観客を入れての事業実施が困難と なるなど、厳しい状況が続いていました。こうした状況を踏まえ、区では令和2年度、「せたがや元気出せArtsプログラム」として、「アーティスト支援事業」「民間文化・芸術施設支援事業」「世田谷文化生活情報センター劇場施設利用料金の減額」の3つの支援策を実施しました。 「アーティスト支援事業」では、プロのアーティストを対象に文化・芸術活動に関する動画企画や動画作品の募集を行い、採用した計38件(うち2件辞退)の作品をせたがや元気出せArtsプログラムのYouTubeチャンネルで配信し、活動継続の支援を行いました。また、映像配信事業にかかる経費の一部を補助する「民間文化・芸術施設支援事業」では、ライブハウスや小劇場、映画館等の38施設に対し1施設50万円を上限に補助を行いました。さらに、世田谷文化生活情報センター劇場施設において新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として入場者数を制限していたことから、利用料金の一部を減額し、劇団等利用団体の負担軽減を図る取組みを行いました。 令和3年度には、コロナ禍の中、依然として活動の再開・継続が難しい状況が続いていたことから、区内のアーティストや文化・芸術団体等が感染防止対策を講じたうえで主体的・積極的に行う公演や展示等の文化・芸術事業にかかる経費の一部を補助する「せたがや元気出せArtsプログラム2021」を実施しました。 この事業には、様々なジャンルの音楽家、画家、舞踏家、劇団などの個人や団体、ライブハウスやアートホールなどの民間文化・芸術施設から応募があり、それぞれが自主的に企画する音楽ライブや演劇、パフォーマンスなどの事業、約40件に補助を行い、文化・芸術活動の継続支援に取り組みました。 32ページ 4 育む 子どもの頃から文化・芸術に触れ、体験することは、感性や想像力を育み、これからの社会を生き抜く力の基礎を身に付けることにつながると期待されます。 絵本を通じて物語の世界を楽しむことや自然環境とのふれあい、美術館などで本物の事象に触れることも興味・関心を広げるきっかけとなり、この積み重ねが豊かな感受性を育みます。 次代を担う子どもたちを育むため、全ての子どもや青少年が文化・芸術に触れ、親しむことができる環境づくりと機会の充実に取り組みます。     (1)次代を担う、子ども・若者の創造性を育む取組みの推進 『第3期計画の推進から見えた課題』 C年齢、国籍、障害の有無等にかかわらず、誰もが参加、体験できる機会の充実 D身近に感じられる文化・芸術の推進   家庭環境にかかわらず全ての子どもや青少年が文化・芸術に親しむことができるよう、保育園や幼稚園、学校等の教育現場や各文化施設と連携し、年齢に応じた文化・芸術を体験・創造する機会を充実させていきます。 また、子ども・青少年の文化・芸術の学習・表現活動を高める取組みとして、様々なジャンルのプログラムを展開するとともに、保護者にも関心をもってもらい、子どもたちの参加につなげることができるよう、学校やその他関係機関と連携した取組みを推進していきます。 【取組み内容】 ○次代の文化・芸術の担い手である子ども・若者が鑑賞・体験できる機会の充実       33ページ   <取組み例> 1保育園、幼稚園と連携した乳幼児向けの文化・芸術プログラムを検討・実施します。【せたがや文化財団】 2夏休みや冬休みに行われる子ども向けのプログラムを広報する冊子を発行し、文化・芸術を鑑賞・体験できる機会の周知を行います。【生涯学習部】 3文化・芸術を通した子どもたちの社会性・創造性を高める取組みとして「せたがやジュニアオーケストラ」を運営・支援し、地域に根差した活動を行います。【せたがや文化財団】 4継続的な体験・学習の機会を設けるため、夏休みや冬休みを利用したワークショップを実施します。【せたがや文化財団】 5古典芸能や美術をより身近に感じられるよう、狂言の公演とワークショップを行う「古典芸能鑑賞教室」や展覧会鑑賞と美術館施設見学を行う「美術鑑賞教室」を実施します。【せたがや文化財団】 6子どもを対象とした演劇やダンスのワークショップを実施します。【せたがや文化財団】 7乳幼児が文化・芸術に触れられる環境づくりの一層の推進に向けて、区内保育園・幼稚園と連携し、乳幼児向けの文化・芸術プログラムを実施していきます。【教育政策部】 34ページ 8音楽活動やダンス活動等をしている中高生のグループを対象に、自らが主体的に運営する「ティーンエイジ・カーニバル」を開催し、若者たちの自立支援の一助として発表の場を提供していきます。【子ども・若者部】 9「将棋事業」を通じて、日本古来の伝統文化である、将棋のルールや礼儀作法等を楽しく学ぶ機会を提供します。【生活文化政策部】 35ページ 5 活かし・つなぐ 世田谷には、地域に根ざし、受け継がれてきた歴史や文化財、史跡、建造物などとともに、人々の暮らしの中で育まれてきた伝統文化や風景が数多くあります。今後も、こうした世田谷の豊かな文化資源を保存・継承・活用する取組みを進めていきます。 また、世田谷の豊かな文化資源を活かした国際交流や交流事業等を実施するとともに、様々な支援を通じた多文化共生の推進に取り組みます。 (1)区や区民の多様な文化資源やせたがやらしさを活かした取組みの推進 『第3期計画の推進から見えた課題』 A文化・芸術の次世代への継承 C年齢、国籍、障害の有無等にかかわらず、誰もが参加、体験できる機会の充実 Eまちのにぎわい・魅力づくりへの貢献   区内の文化資源を保存・活用するためには、地域との連携が不可欠であることから、行政と区民が協働した地域ぐるみの取組みを推進します。また、文化資源を活用した昔あそび体験や郷土学習の場など、地域の歴史や風習をわかりやすく伝える機会の充実に取り組みます。身近にある歴史的建造物などを次代に残していくため、その価値や魅力をより多くの区民に伝える事業や情報発信に取り組み、保存・継承への理解の促進と意識の醸成を図ります。    【取組み内容】 ○文化資源などを活用したまちづくり、観光事業の取組みの推進   36ページ  <取組み例> 1美術館・文学館において地域との連携を図り、地域行事の参加・支援を行います。【せたがや文化財団】 2世田谷の農村の暮らしぶりや風習等を再現している民家園などの体験事業を、より充実させて実施します。【生涯学習部】 3地域に密着したテーマを中心とした講座を実施し、地域の歴史や伝統文化を学ぶ機会 の提供に取り組みます。【総合支所】 4地域の歴史や文化資源を活かした事業を実施します。【総合支所】 地域の歴史や文化資源を活かした事業の展開 東京都指定無形民俗文化財である「世田谷のボロ市」の開催支援(世田谷地域)、1978年より羽根木公園内の梅林で実施している、「せたがや梅まつり」の開催(北沢地域)、地域の文化資源に位置付けた「大山道」や23区唯一の渓谷である「等々力渓谷」を活かした事業展開(玉川地域)、多摩川の水辺に親しんでもらうとともに、周辺環境の美化に努める「たまがわ花火大会」(砧・玉川地域)の開催や徳富蘆花の旧邸地を活かした「烏山地域蘆花まつり」の開催支援(烏山地域)など、各地域の歴史や文化資源を活かした事業を通じて、ふるさと意識の醸成とふれあいのある場(機会)づくり、まちづくりに取り組んでいます。       37ページ  【取組み内容】 ○文化資源の保存と継承   <取組み例> 1文化財ボランティアを育成するとともに、地域の文化財の担い手を育てるなど、人材の育成・活用を充実していくための施策を推進します。【生涯学習部】 2各図書館の地域特性や歴史に応じた資料展示、講演会などの事業を実施し、地域の文化情報を発信します。【生涯学習部】 3文化・芸術作品や有形・無形の文化財、歴史的遺産の収蔵、蓄積、整理の基盤の充実について調査・検討をしていきます。【生涯学習部】 4風景づくり活動を行う団体の登録及び団体間の情報共有や専門家による助言等の支援を行います。【都市整備政策部】 38ページ (2)多文化共生と国際施策の推進 『第3期計画の推進から見えた課題』 C年齢、国籍、障害の有無等にかかわらず、誰もが参加、体験できる機会の充実 D身近に感じられる文化・芸術の推進 区では、東京2020大会を契機として、国内外から多くの方々が世田谷区を訪れることを見込み、「世田谷おもてなし・交流・参加プロジェクト」を立ち上げるとともに、世田谷文化生活情報センターに「国際事業部」を新たに設置し「せたがや国際交流センター」を開設するなど国際交流の推進への準備をしていました。また、アメリカ合衆国のホストタウン・共生社会ホストタウンとして、国際交流を始めとした様々な取組みを予定していました。残念ながら、新型コロナウイルス感染症拡大により、当初予定していた国際交流等の取組みを計画どおり実施することはできませんでしたが、今後もこれらの準備で培った経験とホストタウンの理念を活かし、世田谷の豊かな文化資源を活かした国際交流や、外国の文化・習慣等に対する相互理解を深める講座等を通して多文化共生を進めていきます。また、外国人向けの多言語表記や日常生活への支援、地域との交流などの取組みを推進します。なお、これらの取組みを含めた諸施策は、第3期計画策定後、区が新たに策定した「世田谷区多文化共生プラン」(平成30年度〜令和5年度)に基づき推進します。     39ページ 【取組み内容】 〇外国人への支援や交流事業等の推進    <取組み例> 13つの姉妹都市との更なる交流を促進するとともに、新たな交流について検討していきます。【生活文化政策部】 2多くの人に多文化共生、国際交流について考えてもらえるよう、関係機関と連携しながら、様々なテーマの講座に取り組んでいきます。【せたがや文化財団】 3多文化共生の基礎知識から外国人の文化、教育等、様々な分野の講義を行い、多文化共生にかかわるボランティアの養成を行います。【せたがや文化財団】 4せたがや文化財団国際事業部と連携して実施する交流事業「せたがや国際メッセ」を開催し、国際交流の機会や多文化共生の意識啓発・周知を強化し、参加しやすい環境づくりを進めます。【生活文化政策部】 5庁内において多言語化を促すとともに、「やさしい日本語」を活用した外国人にもわかりやすいホームページの作成に取り組みます。【生活文化政策部】 40ページ  第5章 計画推進の方策 (1)成果指標と目指す目標 第3期調整計画の将来像の実現に向け、引き続き第3期計画策定時に設けた成果指標により評価を行い、それぞれの目標を設定します。目指す目標の設定年度は、第3期調整計画の最終年度である令和5年度末としています。 図を掲載しています。 (2)連携強化 庁内連携 第3期調整計画は、文化・芸術の振興を、区民生活の充実や質の向上、地域の活性化等に資するため、まちづくりや教育、産業、福祉、多文化共生など、幅広い分野を対象として、総合的に文化・芸術政策を推進するものです。 推進にあたっては、庁内における関連部署との連携が重要であり、また、次期計画の策定を見据え、中長期的な文化・芸術振興のあり方や、方策等について整理していくためにも、これまで以上に連携を強化し、取組みを進めていきます。 公益財団法人せたがや文化財団との連携 せたがや文化財団は、区において幅広い文化事業を展開するとともに、区民の多様な文化創造活動・市民活動・交流活動を支援することにより、地域文化の振興と心豊かな地域社会の形成に寄与することを目的として、平成15年4月に設立されました。平成23年4月には公益財団法人となり、文化・芸術に関する活動の幅を広げています。 区は、これまでに引き続き、区の文化資源である世田谷文化生活情報センター、分館を含む世田谷美術館、世田谷文学館の指定管理業務を令和4年度から8年度まで 41ページ の5年間、せたがや文化財団に委託します。 せたがや文化財団が持つ6つの分野、「生活デザイン」「演劇(舞台)」「美術」「文学」「音楽」「国際交流」で培ってきたノウハウを活かし、質の高い魅力ある事業を展開していきます。 本計画の将来像「心潤う、文化・芸術のまち 世田谷 〜文化・芸術に親しみ、魅力を発信する」を達成するための施策目標「発信する」「親しむ」「支える」「育む」「活かし・つなぐ」を、着実に推進するため、せたがや文化財団の総合力、専門能力を活かすとともに、更なる連携強化を図り取組みを進めていきます。   産学官民連携 本計画を着実に推進し、世田谷の文化・芸術を振興していくためには、区民、地域の文化・芸術活動団体、アーティスト、商店街、NPO、大学等の教育・研究機関、さらに文化・芸術に関心を持つ様々な人々と連携・協働して取り組むことが重要です。  区はこれまでも様々な団体や関係機関等と連携を図りながら、文化・芸術振興の取組みを進めてきましたが、今後、さらに多様な主体と連携を図り、区の文化・芸術施策の充実に取り組みます。   (3)アフターコロナを見据えた事業のあり方 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う文化・芸術活動の制限下においては、無観客の公演や展示の映像配信、オンライン形式でのワークショップ等、これまでにない様々な取組みが行われました。このような取組みは、施設に出かけることが難しい方やこれまで文化・芸術に触れる機会のなかった層にも鑑賞や参加の幅を広げることにつながり、従前の事業継続が困難な状況下で、新たな可能性を見出すことになりました。 アフターコロナにおいては、これまでの取組みや事業の充実とともに、こうした新たな取組みを継続して行い、より多くの区民が文化・芸術の魅力を知り、触れることができる機会の創出に取り組みます。 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けるアーティスト等の支援においては、令和2年度に、文化・芸術活動継続支援事業「せたがや元気出せArtsプログラム」を、令和3年度には、「せたがや元気出せArtsプログラム2021」を実施しましたが、世田谷の文化・芸術の灯を消さないため、今後も、様々な状況を見極めながら方策を検討し、支援の継続に取り組みます。 42ページ (4)計画の進捗管理  本計画に基づく施策の進捗は、毎年度、事業ごとに『計画に基づき(Plan)、実行し(Do)、評価し(Check)、改善する(Action)』サイクルを用いて進捗管理を行い、必要に応じて計画の見直しを行います。 計画期間中、今般の新型コロナウイルス感染症拡大など、文化・芸術を取り巻く環境に大きな変化が生じた場合等においては、その影響や区民ニーズを的確に捉え、状況を判断し、迅速かつ柔軟に施策事業の見直し等を行います。   43ページ 資料編の目次 1 世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)検討委員会設置要綱 44ページ 2 世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)検討委員会委員名簿 45ページ 3 文化芸術基本法 46ページ 4 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律 53ページ 5 世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例 57ページ 6 世田谷区区民意識調査「文化活動について」60ページ 7 区政モニターアンケート「世田谷区の文化・芸術振興施策について」 69ページ 44ページ 1 世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)検討委員会設置要綱 令和2年11月26日 2世文芸第263号 (目的及び設置) 第1条 世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)(以下「計画」という。)の策定に係る事項を検討するため、世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)検討委員会(以下「委員会」という。)を設置する。 (所掌事務) 第2条 委員会は、計画の案について検討する。 (組織) 第3条 委員会は、生活文化政策部長の職にある者及び有識者、学識経験者等のうちから区長が委嘱する委員10名以内で組織する。 (委員の任期) 第4条 委員の任期は、令和2年12月15日から令和4年3月31日までとする。 (委員長及び副委員長) 第5条 委員会に委員長及び副委員長を置き、委員長は委員の互選により、副委員長は委員長の指名によりこれを定める。 2 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。 3 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。 (会議) 第6条 委員会は、委員長がこれを招集する。 2 委員会は、必要があると認めるときは、委員以外の者の出席を求め、その意見、説明等を聴き、又は委員以外の者に必要な資料の提出を求めることができる。 (部会) 第7条 委員会は、必要があると認めるときは、委員会に部会を設けることができる。 (庶務) 第8条 委員会の庶務は、生活文化政策部文化・芸術振興課において処理する。 (委任) 第9条 この要綱の施行に関し必要な事項は、委員長が別に定める。 附則 この要綱は、令和2年12月15日から施行する。    45ページ                              2 世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)検討委員会委員名簿 飯島 祥夫 (区民委員) 三軒茶屋銀座商店街振興組合理事長 今村 まゆみ フリーランス 観光まちづくりカウンセラー 垣内 恵美子 政策研究大学院大学教授 委員長 川崎 賢一 駒澤大学教授、世田谷市民大学運営委員 副委員長 前沢 知子 (区民委員) アーティスト(絵画、写真、現代美術) 片桐 誠 生活文化政策部長 (敬称略:50音順) 46ページ  3 文化芸術基本法 発令 :平成13年12月7日 法律第148号 最終改正:令和1年6月7日 法律第26号   目次 前文   第一章(第一条―第六条) 第二章(第七条・第七条の二) 第三章(第八条―第三十五条) 第四章(第三十六条・第三十七条) 附則    文化芸術を創造し、享受し、文化的な環境の中で生きる喜びを見出すことは、人々の変わらない願いである。また、文化芸術は、人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに、人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである。更に、文化芸術は、それ自体が固有の意義と価値を有するとともに、それぞれの国やそれぞれの時代における国民共通のよりどころとして重要な意味を持ち、国際化が進展する中にあって、自己認識の基点となり、文化的な伝統を尊重する心を育てるものである。 我々は、このような文化芸術の役割が今後においても変わることなく、心豊かな活力ある社会の形成にとって極めて重要な意義を持ち続けると確信する。 しかるに、現状をみるに、経済的な豊かさの中にありながら、文化芸術がその役割を果たすことができるような基盤の整備及び環境の形成は十分な状態にあるとはいえない。二十一世紀を迎えた今、文化芸術により生み出される様々な価値を生かして、これまで培われてきた伝統的な文化芸術を継承し、発展させるとともに、独創性のある新たな文化芸術の創造を促進することは、我々に課された緊要な課題となっている。 このような事態に対処して、我が国の文化芸術の振興を図るためには、文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重することを旨としつつ、文化芸術を国民の身近なものとし、それを尊重し大切にするよう包括的に施策を推進していくことが不可欠である。 ここに、文化芸術に関する施策についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、文化芸術が人間に多くの恵沢をもたらすものであることに鑑み、文化芸術に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、文化芸術に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術に関する活動(以下「文化芸術活動」という。)を行う者(文化芸術活動を行う団体を含む。以下同じ。)の自主的な活動の促進を旨として、文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。 47ページ (基本理念) 第二条 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されなければならない。 2 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術活動を行う者の創造性が十分に尊重されるとともに、その地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう考慮されなければならない。 3 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、国民がその年齢、障害の有無、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない。 4 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、我が国及び世界において文化芸術活動が活発に行われるような環境を醸成することを旨として文化芸術の発展が図られるよう考慮されなければならない。 5 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、多様な文化芸術の保護及び発展が図られなければならない。 6 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、地域の人々により主体的に文化芸術活動が行われるよう配慮するとともに、各地域の歴史、風土等を反映した特色ある文化芸術の発展が図られなければならない。 7 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、我が国の文化芸術が広く世界へ発信されるよう、文化芸術に係る国際的な交流及び貢献の推進が図られなければならない。 8 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、乳幼児、児童、生徒等に対する文化芸術に関する教育の重要性に鑑み、学校等、文化芸術活動を行う団体(以下「文化芸術団体」という。)、家庭及び地域における活動の相互の連携が図られるよう配慮されなければならない。 9 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術活動を行う者その他広く国民の意見が反映されるよう十分配慮されなければならない。 10 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することが重要であることに鑑み、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野における施策との有機的な連携が図られるよう配慮されなければならない。 (国の責務) 第三条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、文化芸術に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、文化芸術に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (国民の関心及び理解) 第五条 国は、現在及び将来の世代にわたって人々が文化芸術を創造し、享受することができるとともに、文化芸術が将来にわたって発展するよう、国民の文化芸術に対する関心及び理解を深めるように努めなければならない。 48ページ (文化芸術団体の役割) 第五条の二 文化芸術団体は、その実情を踏まえつつ、自主的かつ主体的に、文化芸術活動の充実を図るとともに、文化芸術の継承、発展及び創造に積極的な役割を果たすよう努めなければならない。 (関係者相互の連携及び協働) 第五条の三 国、独立行政法人、地方公共団体、文化芸術団体、民間事業者その他の関係者は、基本理念の実現を図るため、相互に連携を図りながら協働するよう努めなければならない。 (法制上の措置等) 第六条 政府は、文化芸術に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない。 第二章 文化芸術推進基本計画等 (文化芸術推進基本計画) 第七条 政府は、文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、文化芸術に関する施策に関する基本的な計画(以下「文化芸術推進基本計画」という。)を定めなければならない。 2 文化芸術推進基本計画は、文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な事項その他必要な事項について定めるものとする。 3 文部科学大臣は、文化審議会の意見を聴いて、文化芸術推進基本計画の案を作成するものとする。 4 文部科学大臣は、文化芸術推進基本計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の施策に係る事項について、第三十六条に規定する文化芸術推進会議において連絡調整を図るものとする。 5 文部科学大臣は、文化芸術推進基本計画が定められたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 6 前三項の規定は、文化芸術推進基本計画の変更について準用する。 (地方文化芸術推進基本計画) 第七条の二 都道府県及び市(特別区を含む。第三十七条において同じ。)町村の教育委員会(地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第二十三条第一項の条例の定めるところによりその長が同項第三号に掲げる事務を管理し、及び執行することとされた地方公共団体(次項において「特定地方公共団体」という。)にあっては、その長)は、文化芸術推進基本計画を参酌して、その地方の実情に即した文化芸術の推進に関する計画(次項及び第三十七条において「地方文化芸術推進基本計画」という。)を定めるよう努めるものとする。 2 特定地方公共団体の長が地方文化芸術推進基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、当該特定地方公共団体の教育委員会の意見を聴かなければならない。 第三章 文化芸術に関する基本的施策 (芸術の振興) 第八条 国は、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術(次条に規定するメディア芸術を除く。)の振興を図るため、これらの芸術の公演、展示等への支援、これらの芸術の制作等に係る物品の保存への支援、これらの芸術に係る知識及び技能の継承への支援、芸術祭等の開催その他の必要な施策を講ずるものとする。 49ページ (メディア芸術の振興) 第九条 国は、映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術(以下「メディア芸術」という。)の振興を図るため、メディア芸術の制作、上映、展示等への支援、メディア芸術の制作等に係る物品の保存への支援、メディア芸術に係る知識及び技能の継承への支援、芸術祭等の開催その他の必要な施策を講ずるものとする。 (伝統芸能の継承及び発展) 第十条 国は、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊その他の我が国古来の伝統的な芸能(以下「伝統芸能」という。)の継承及び発展を図るため、伝統芸能の公演、これに用いられた物品の保存等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (芸能の振興) 第十一条 国は、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く。)の振興を図るため、これらの芸能の公演、これに用いられた物品の保存等への支援、これらの芸能に係る知識及び技能の継承への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (生活文化の振興並びに国民娯楽及び出版物等の普及) 第十二条 国は、生活文化(茶道、華道、書道、食文化その他の生活に係る文化をいう。)の振興を図るとともに、国民娯楽(囲碁、将棋その他の国民的娯楽をいう。)並びに出版物及びレコード等の普及を図るため、これらに関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (文化財等の保存及び活用) 第十三条 国は、有形及び無形の文化財並びにその保存技術(以下「文化財等」という。)の保存及び活用を図るため、文化財等に関し、修復、防災対策、公開等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (地域における文化芸術の振興等) 第十四条 国は、各地域における文化芸術の振興及びこれを通じた地域の振興を図るため、各地域における文化芸術の公演、展示、芸術祭等への支援、地域固有の伝統芸能及び民俗芸能(地域の人々によって行われる民俗的な芸能をいう。)に関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (国際交流等の推進) 第十五条 国は、文化芸術に係る国際的な交流及び貢献の推進を図ることにより、我が国及び世界の文化芸術活動の発展を図るため、文化芸術活動を行う者の国際的な交流及び芸術祭その他の文化芸術に係る国際的な催しの開催又はこれへの参加、海外における我が国の文化芸術の現地の言語による展示、公開その他の普及への支援、海外の文化遺産の修復に関する協力、海外における著作権に関する制度の整備に関する協力、文化芸術に関する国際機関等の業務に従事する人材の養成及び派遣その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、前項の施策を講ずるに当たっては、我が国の文化芸術を総合的に世界に発信するよう努めなければならない。 (芸術家等の養成及び確保) 第十六条 国は、文化芸術に関する創造的活動を行う者、伝統芸能の伝承者、文化財等の保存及び活用に関する専門的知識及び技能を有する者、文化芸術活動に関する企画又は制作を行う者、文化芸術活動に関する技術者、文化施設の管理及び運営を行う者その他の文化芸術を担う者(以下「芸術家等」という。)の養成及び確保を図るため、国内外における研修、教育訓練等の人材育成への支援、研修成果の発表の機会の確保、文化芸術に関する作品の流通の促進、芸術家等の文化芸術に関する創造的活動等の環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 50ページ (文化芸術に係る教育研究機関等の整備等) 第十七条 国は、芸術家等の養成及び文化芸術に関する調査研究の充実を図るため、文化芸術に係る大学その他の教育研究機関等の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 (国語についての理解) 第十八条 国は、国語が文化芸術の基盤をなすことにかんがみ、国語について正しい理解を深めるため、国語教育の充実、国語に関する調査研究及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする。 (日本語教育の充実) 第十九条 国は、外国人の我が国の文化芸術に関する理解に資するよう、外国人に対する日本語教育の充実を図るため、日本語教育に従事する者の養成及び研修体制の整備、日本語教育に関する教材の開発、日本語教育を行う機関における教育の水準の向上その他の必要な施策を講ずるものとする。 (著作権等の保護及び利用) 第二十条 国は、文化芸術の振興の基盤をなす著作者の権利及びこれに隣接する権利(以下この条において「著作権等」という。)について、著作権等に関する内外の動向を踏まえつつ、著作権等の保護及び公正な利用を図るため、著作権等に関する制度及び著作物の適正な流通を確保するための環境の整備、著作権等の侵害に係る対策の推進、著作権等に関する調査研究及び普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。 (国民の鑑賞等の機会の充実) 第二十一条 国は、広く国民が自主的に文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会の充実を図るため、各地域における文化芸術の公演、展示等への支援、これらに関する情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 (高齢者、障害者等の文化芸術活動の充実) 第二十二条 国は、高齢者、障害者等が行う文化芸術活動の充実を図るため、これらの者の行う創造的活動、公演等への支援、これらの者の文化芸術活動が活発に行われるような環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 (青少年の文化芸術活動の充実) 第二十三条 国は、青少年が行う文化芸術活動の充実を図るため、青少年を対象とした文化芸術の公演、展示等への支援、青少年による文化芸術活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (学校教育における文化芸術活動の充実) 第二十四条 国は、学校教育における文化芸術活動の充実を図るため、文化芸術に関する体験学習等文化芸術に関する教育の充実、芸術家等及び文化芸術団体による学校における文化芸術活動に対する協力への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (劇場、音楽堂等の充実) 第二十五条 国は、劇場、音楽堂等の充実を図るため、これらの施設に関し、自らの設置等に係る施設の整備、公演等への支援、芸術家等の配置等への支援、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 (美術館、博物館、図書館等の充実) 第二十六条 国は、美術館、博物館、図書館等の充実を図るため、これらの施設に関し、自らの設置等に係る施設の整備、展示等への支援、芸術家等の配置等への支援、文化芸術に関する作 51ページ 品等の記録及び保存への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (地域における文化芸術活動の場の充実) 第二十七条 国は、国民に身近な文化芸術活動の場の充実を図るため、各地域における文化施設、学校施設、社会教育施設等を容易に利用できるようにするための措置その他の必要な施策を講ずるものとする。 (公共の建物等の建築に当たっての配慮等) 第二十八条 国は、公共の建物等の建築に当たっては、その外観等について、周囲の自然的環境、地域の歴史及び文化等との調和を保つよう努めるものとする。 2 国は、公共の建物等において、文化芸術に関する作品の展示その他の文化芸術の振興に資する取組を行うよう努めるものとする。 (情報通信技術の活用の推進) 第二十九条 国は、文化芸術活動における情報通信技術の活用の推進を図るため、文化芸術活動に関する情報通信ネットワークの構築、美術館等における情報通信技術を活用した展示への支援、情報通信技術を活用した文化芸術に関する作品等の記録及び公開への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (調査研究等) 第二十九条の二 国は、文化芸術に関する施策の推進を図るため、文化芸術の振興に必要な調査研究並びに国の内外の情報の収集、整理及び提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 (地方公共団体及び民間の団体等への情報提供等) 第三十条 国は、地方公共団体及び民間の団体等が行う文化芸術の振興のための取組を促進するため、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 (民間の支援活動の活性化等) 第三十一条 国は、個人又は民間の団体が文化芸術活動に対して行う支援活動の活性化を図るとともに、文化芸術活動を行う者の活動を支援するため、文化芸術団体が個人又は民間の団体からの寄附を受けることを容易にする等のための税制上の措置、文化芸術団体が行う文化芸術活動への支援その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならない。  (関係機関等の連携等) 第三十二条 国は、第八条から前条までの施策を講ずるに当たっては、芸術家等、文化芸術団体、学校等、文化施設、社会教育施設、民間事業者その他の関係機関等の間の連携が図られるよう配慮しなければならない。 2 国は、芸術家等及び文化芸術団体が、学校等、文化施設、社会教育施設、福祉施設、医療機関、民間事業者等と協力して、地域の人々が文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会を提供できるようにするよう努めなければならない。 (顕彰) 第三十三条 国は、文化芸術活動で顕著な成果を収めた者及び文化芸術の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとする。 (政策形成への民意の反映等) 第三十四条 国は、文化芸術に関する政策形成に民意を反映し、その過程の公正性及び透明性を確保するため、芸術家等、学識経験者その他広く国民の意見を求め、これを十分考慮した上で政策形成を行う仕組みの活用等を図るものとする。 52ページ (地方公共団体の施策) 第三十五条 地方公共団体は、第八条から前条までの国の施策を勘案し、その地域の特性に応じた文化芸術に関する施策の推進を図るよう努めるものとする。 第四章 文化芸術の推進に係る体制の整備 (文化芸術推進会議) 第三十六条 政府は、文化芸術に関する施策の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るため、文化芸術推進会議を設け、文部科学省及び内閣府、総務省、外務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省その他の関係行政機関相互の連絡調整を行うものとする。 (都道府県及び市町村の文化芸術推進会議等) 第三十七条 都道府県及び市町村に、地方文化芸術推進基本計画その他の文化芸術の推進に関する重要事項を調査審議させるため、条例で定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くことができる。 附則 抄 (施行期日) 1 この法律は、公布の日から施行する。 附則 (平成二九年六月二三日法律第七三号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から施行する。 (文化芸術に関する施策を総合的に推進するための文化庁の機能の拡充等の検討) 第二条 政府は、文化芸術に関する施策を総合的に推進するため、文化庁の機能の拡充等について、その行政組織のあり方を含め検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 附則 (平成三〇年六月八日法律第四二号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成三十一年四月一日から施行する。 附則 (令和元年六月七日法律第二六号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から施行する。     53ページ 4 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律    発令 :平成30年6月13日 法律第47号 最終改正:平成30年6月13日 法律第47号 目次 第一章 総則(第一条―第六条) 第二章 基本計画等(第七条・第八条) 第三章 基本的施策(第九条―第十九条) 第四章 障害者文化芸術活動推進会議(第二十条) 附則 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、文化芸術が、これを創造し、又は享受する者の障害の有無にかかわらず、人々に心の豊かさや相互理解をもたらすものであることに鑑み、文化芸術基本法(平成十三年法律第百四十八号)及び障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、障害者による文化芸術活動(文化芸術に関する活動をいう。以下同じ。)の推進に関し、基本理念、基本計画の策定その他の基本となる事項を定めることにより、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図ることを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「障害者」とは、障害者基本法第二条第一号に規定する障害者をいう。 (基本理念) 第三条 障害者による文化芸術活動の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。 一 文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、国民が障害の有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるよう、障害者による文化芸術活動を幅広く促進すること。 二 専門的な教育に基づかずに人々が本来有する創造性が発揮された文化芸術の作品が高い評価を受けており、その中心となっているものが障害者による作品であること等を踏まえ、障害者による芸術上価値が高い作品等の創造に対する支援を強化すること。 三 地域において、障害者が創造する文化芸術の作品等(以下「障害者の作品等」という。)の発表、障害者による文化芸術活動を通じた交流等を促進することにより、住民が心豊かに暮らすことのできる住みよい地域社会の実現に寄与すること。 2 障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を講ずるに当たっては、その内容に応じ、障 54ページ 害者による文化芸術活動を特に対象とする措置が講ぜられ、又は文化芸術の振興に関する一般的な措置の実施において障害者による文化芸術活動に対する特別の配慮がなされなければならない。 (国の責務) 第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、障害者による文化芸術活動の推進に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (財政上の措置等) 第六条 政府は、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。 第二章 基本計画等 (基本計画) 第七条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(以下この章において「基本計画」という。)を定めなければならない。 2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 障害者による文化芸術活動の推進に関する施策についての基本的な方針 二 障害者による文化芸術活動の推進に関し政府が総合的かつ計画的に実施すべき施策 三 前二号に掲げるもののほか、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 基本計画に定める前項第二号に掲げる施策については、原則として、当該施策の具体的な目標及びその達成の時期を定めるものとする。 4 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、経済産業大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならない。 5 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 6 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、適時に、第三項の規定により定める目標の達成状況を調査し、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 7 第四項及び第五項の規定は、基本計画の変更について準用する。 (地方公共団体の計画) 第八条 地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における障害者による文化芸術活動の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない。 2 地方公共団体は、前項の計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表す 55ページ るよう努めるものとする。 第三章 基本的施策 (文化芸術の鑑賞の機会の拡大) 第九条 国及び地方公共団体は、障害者が文化芸術を鑑賞する機会の拡大を図るため、文化芸術の作品等に関する音声、文字、手話等による説明の提供の促進、障害者が文化芸術施設(劇場、音楽堂、美術館、映画館等の文化芸術活動のための施設をいう。第十一条において同じ。)を円滑に利用できるようにその構造及び設備を整備すること等の障害の特性に応じた文化芸術を鑑賞しやすい環境の整備の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。 (文化芸術の創造の機会の拡大) 第十条 国及び地方公共団体は、障害者が文化芸術を創造する機会の拡大を図るため、障害者が社会福祉施設、学校等において必要な支援を受けつつ文化芸術を創造することができる環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 (文化芸術の作品等の発表の機会の確保) 第十一条 国及び地方公共団体は、障害者の作品等の発表の機会を確保するため、文化芸術施設その他公共的な施設におけるその発表のための催し(障害者の作品等が含まれるように行われる一般的な文化芸術の作品等の発表のための催しを含む。)の開催の推進、芸術上価値が高い障害者の作品等の海外への発信その他の必要な施策を講ずるものとする。 (芸術上価値が高い作品等の評価等) 第十二条 国及び地方公共団体は、芸術上価値が高い障害者の作品等が適切な評価を受けることとなるよう、障害者の作品等についての実情の調査及び専門的な評価のための環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 2 国及び地方公共団体は、芸術上価値が高い障害者の作品等について適切に記録及び保存が行われることとなるよう、その保存のための場所の確保その他の必要な施策を講ずるものとする。 (権利保護の推進) 第十三条 国及び地方公共団体は、障害者の作品等に係るこれを創造した障害者の所有権、著作権その他の権利の保護を図るため、関連する制度についての普及啓発、これらの権利に係る契約の締結等に関する指針の作成及び公表、その締結に際しての障害者への支援の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。 (芸術上価値が高い作品等の販売等に係る支援) 第十四条 国及び地方公共団体は、芸術上価値が高い障害者の作品等に係る販売、公演その他の事業活動について、これが円滑かつ適切に行われるよう、その企画、対価の授受等に関する障害者の事業者との連絡調整を支援する体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 (文化芸術活動を通じた交流の促進) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害者による文化芸術活動を通じた交流を促進するため、障害者が小学校等を訪問して文化芸術活動を行う取組の支援、特別支援学校の生徒等と他の学校の生徒等が文化芸術活動を行い、相互に交流する場の提供、文化芸術に係る国際的な催しへの障害者の参加の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。 56ページ (相談体制の整備等) 第十六条 国及び地方公共団体は、障害者による文化芸術活動について、障害者、その家族その他の関係者からの相談に的確に応ずるため、地域ごとの身近な相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 (人材の育成等) 第十七条 国及び地方公共団体は、第九条の説明の提供又は環境の整備に必要な知識又は技術を有する者、第十条の支援を行う者、第十二条第一項の評価を担う専門家、前条の相談に応ずる者その他の障害者による文化芸術活動の推進に寄与する人材の育成及び確保を図るため、研修の実施の推進、大学等における当該育成に資する教育の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。 (情報の収集等) 第十八条 国は、障害者による文化芸術活動の推進に関する取組の効果的な実施に資するよう、国内外における当該取組に関する情報の収集、整理及び提供を行う等、障害者による文化芸術活動に関する調査研究の推進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする。 (関係者の連携協力) 第十九条 国及び地方公共団体は、第九条から前条までの施策の円滑かつ効果的な推進のため、国及び地方公共団体の関係機関、障害者による文化芸術活動を支援する社会福祉法人その他の団体、大学その他の教育研究機関、事業者等の相互間の連携協力体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。 第四章 障害者文化芸術活動推進会議 第二十条 政府は、文化庁、厚生労働省、経済産業省その他の関係行政機関の職員をもって構成する障害者文化芸術活動推進会議を設け、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うものとする。 2 前項の関係行政機関は、障害者による文化芸術活動の推進に関し学識経験を有する者によって構成する障害者文化芸術活動推進有識者会議を設け、同項の連絡調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。 附 則 (施行期日) 1 この法律は、公布の日から施行する。 (文化芸術振興基本法の一部を改正する法律の一部改正) 2 文化芸術振興基本法の一部を改正する法律(平成二十九年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。 附則第一条ただし書を削る。 附則第三条第五号を削る。     57ページ  5 世田谷区文化及び芸術の振興に関する条例   平成18年3月14日 条例第18号 文化及び芸術は、創造性の源として社会的価値を生み出し、人々の心に潤い、ゆとり等をもたらし、豊かな人間性をはぐくみ、人々の生活の質を向上させる力を持っている。文化及び芸術に親しむことは、人の悲しみ及び痛みを想像する力を培い、人を慈しむ心を芽生えさせ、ひいては、世界中の人々が共に平和に暮らす社会の実現につながっている。さらに、近年、地域との関わりが希薄になりがちな子どもたちは、文化及び芸術に触れることにより、表現する力を身に付け、社会性を高めることが期待され、また、福祉及び医療の分野において、文化及び芸術は、いやし及び生きがいとなるとともに、治療に役立てられている。そこで、経済的な豊かさの中にあって、こうした文化及び芸術の持つ力又は果たす役割を改めて見つめ直し、行政の基本的施策として位置付け、その振興を図ることが、今求められている。 世田谷は、みどり豊かな武蔵野の自然にあふれ、閑静な住宅地として発展し、文化及び芸術に携わる人々は、その魅力にひかれて移り住むようになった。そのような歴史は、今日に受け継がれ、区内各地域における活発な演劇活動、多くの文化及び芸術に関する自主的かつ積極的な活動、文化施設を支えるボランティア活動等に見られるように、多くの区民は、文化及び芸術に関する活動に親しみ、文化及び芸術に高い関心を持っている。また、世田谷は、文化及び芸術の様々な分野において第一人者と目される人々による活動も活発に行われており、まさに日本の文化及び芸術をけん引しているといっても過言ではない。さらに、世田谷は、文学、映画等の作品の舞台として数多く登場しており、区民にとって、文化及び芸術が身近に感じられる環境にある。 これらのものは、区民のかけがえのない財産であり、世田谷の魅力を支える大きな要素でもある。区は、これらの財産を活かし、文化的な環境の向上に努めるとともに、すべての区民が文化及び芸術に触れ、文化的な環境を享受し、文化及び芸術に関する活動に取り組むことができるようにすることが、重要な使命であると考える。 ここに、文化及び芸術の振興についての基本理念を明らかにし、区、区民、民間団体等の協働による文化及び芸術の振興に関する施策により、心に潤い、ゆとり等を感じることができる区民生活及び地域社会を実現するため、この条例を制定する。 (目的) 第1条 この条例は、区の文化及び芸術の振興に関する基本理念を定め、区の責務について明らかにするとともに、文化及び芸術の振興に関する施策(以下「振興施策」という。)を推進することにより、区民一人ひとりが生き生きと暮らし、誇りを持って住むことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。 (基本理念) 第2条 文化及び芸術の振興に関する基本理念は、次のとおりとする。 (1)文化及び芸術に関する活動における自主性及び創造性は、尊重されなければならない。 (2)文化及び芸術を鑑賞し、その活動に参加し、及び創造することのできる環境の整備が図られなければならない。 (3)文化及び芸術の振興に当たっては、区、区民、民間団体、他の自治体等の相互の連携が図られなければならない。 58ページ (区の責務) 第3条 区は、前条に規定する基本理念に基づき、文化及び芸術の振興を図るための計画を策定し、及び振興施策を推進するものとする。 2 区は、振興施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。 3 区は、区が行う施策について、文化及び芸術の振興を図る視点を取り入れるよう努めるものとする。 (文化及び芸術に触れることができる機会の充実) 第4条 区は、区民が身近な場所で文化及び芸術に触れることができる機会の充実を図るため、事業を実施し、及び環境の整備を行うものとする。 (自主的な活動に対する支援) 第5条 区は、文化及び芸術に関する区民の自主的な活動に対し、その場所及び機会の提供、助成その他の必要な支援を行うものとする。 (文化及び芸術に関する専門的知識又は技能を有する者に対する支援等) 第6条 区は、文化及び芸術に関する専門的知識又は技能を有する者の発掘、育成、確保及び登用に努め、これらのものに対し、必要な支援を行うものとする。 2 区は、区民と文化及び芸術に関する専門的知識又は技能を有する者との交流の促進を図るため、その場所及び機会の提供に努めるものとする。 (地域文化及び伝統文化の保存、継承及び発展) 第7条 区は、将来にわたって地域文化及び伝統文化を保存し、継承し、及び発展させるために必要な施策を推進するものとする。 (国際交流の推進) 第8条 区は、区民と外国の諸都市の市民との相互理解及び親善を図るため、文化及び芸術に関する活動を通じた国際交流を推進するものとする。 (高齢者、障害者等の文化及び芸術に関する環境の整備) 第9条 区は、高齢者、障害者等が文化及び芸術に親しみ、又は文化及び芸術に関する活動を活発に行うことができるよう環境の整備に努めるものとする。 (青少年の文化及び芸術に関する活動の充実) 第10条 区は、青少年の豊かな人間性の形成に資するため、青少年が文化及び芸術に触れ、又は文化及び芸術に関する活動を活発に行うことができるよう必要な施策を推進するものとする。 (学校教育における文化及び芸術に関する活動の充実) 第11条 区は、学校教育において、児童及び生徒が文化及び芸術に触れることができる機会を設け、並びに児童及び生徒が文化及び芸術に関する活動に積極的に取り組むことができるよう必要な施策を推進するものとする。 (情報の提供) 第12条 区は、文化及び芸術に関する情報の収集に努めるとともに、区民が多様な媒体を通じてこれらを利用することができるよう情報の提供を行うものとする。 (顕彰) 第13条 区は、区の文化及び芸術の振興に大きく寄与したもの並びに文化及び芸術に関する活 59ページ 動において著しい功績のあったものを顕彰することができる。 (文化及び芸術の振興に関する委員会の設置) 第14条 文化及び芸術の振興に関し、助言を受け、及び意見を聴き、並びにこれを振興施策に反映させるため、文化及び芸術の振興に関する委員会を設置する。 2 前項に規定する委員会の運営に関し必要な事項は、区長が別に定める。 附則 この条例は、平成18年4月1日から施行する。 60ページ 6 世田谷区区民意識調査「文化活動について」 (1)調査概要 @調査の目的 この調査は、区民が区政に対してどのような意見・要望を持っているかを把握し、今後の区政を進めていくうえでの基礎資料とすることを目的としています。 A調査設計 (1)調査対象   世田谷区在住の満18歳以上の男女 (2)対象数   4,000人(内訳/日本国籍3,913人、外国籍87人) (3)抽出方法   層化二段無作為抽出法 (4)調査方法   郵送配布・回収またはインターネットによる回答 (5)調査期間   令和3年5月25日〜6月4日 (6)有効回答数   2,086人(内訳/日本国籍2,056人、外国籍30人)             (有効回収率52.2%) 標本構成の図を掲載しています 61ページ (2)調査結果 @区内文化資源の認知度 「行ったことがある」は公立の文化施設が6割、歴史的な文化資源が4割半ば 問 あなたは、区内にある美術館や文学館、劇場、文化財・史跡などの文化資源について、どの程度、ご存知ですか。次の項目について、あてはまるものを選んでください。(○はそれぞれ1つずつ) 調査結果の図を掲載しています <調査結果> 区内の文化資源についてどの程度知っているか聞いたところ、「行ったことがある」は、公立の文化施設(59.9%)が6割で最も高く、歴史的な文化資源(46.8%)が5割近く、民間の文化施設(26.9%)が3割近くとなっている。《知っている》は、公立の文化施設が9割近くで最も高い。 62ページ 区内の文化資源の認知度(時系列) 調査結果の図を掲載しています <調査結果> 「公立の文化施設」について平成26年度からの時系列の変化をみると、「行ったことがある」は平成26年度(58.9%)から令和3年度(59.9%)で大きな違いはみられない。 「民間の文化施設」について平成26年度からの時系列の変化をみると、「行ったことがある」は平成26年度(27.9%)から令和3年度(26.9%)で大きな違いはみられない。 「歴史的な文化資源」について平成26年度からの時系列の変化をみると、「行ったことがある」は平成26年度(47.9%)から令和3年度(46.8%)で大きな違いはみられない。 63ページ 区内の文化資源の認知度 調査結果の図を掲載しています <調査結果>  「公立の文化施設」について性・年齢別にみると、「行ったことがある」は女性の60歳代で8割近くとなっている。「知らない」は女性の10・20歳代で3割近く、男性の10・20歳代で2割を超えている。 64ページ 区内の文化資源の認知度 調査結果の図を掲載しています <調査結果> 「民間の文化施設」について性・年齢別にみると、「行ったことがある」は男性の70歳代で5割となっている。「知らない」は男性の30歳代でほぼ6割、女性の10・20歳代で5割を超えている。 65ページ 区内の文化資源の認知度 調査結果の図を掲載しています <調査結果> 「歴史的な文化資源」について性・年齢別にみると、「行ったことがある」は男性の70歳代で6割半ばとなっている。「知らない」は女性の30歳代、男性の10・20歳代、30歳代で4割を超えている。 66ページ A 区内の文化資源環境への満足度 《満足している》が5割近く 問44 あなたは、区内の文化・芸術に親しめる環境に満足していますか。(○は1つ) 調査結果の図を掲載しています <調査結果> 区内の文化資源環境への満足度を聞いたところ、「どちらかといえば満足している」(どちらかといえば満足している%)が4割を超え、「満足している」(8.6%)と合わせた《満足している》(50.2%)が5割となっている。一方、「どちらかといえば満足していない」(15.3%)と「満足していない」(5.9%)を合わせた《満足していない》(21.2%)は2割を超えている。 67ページ 区内の文化資源環境への満足度(時系列) 調査結果の図を掲載しています <調査結果> 平成30年度からの時系列の変化をみると、《満足していない》は、平成30年度(23.9%)から令和3年度(21.2%)でわずかに減少している。 68ページ 区内の文化資源環境への満足度 調査結果の図を掲載しています <調査結果>  性・年齢別にみると、《満足している》は男性の70歳代は5割半ば、女性の10・20歳代と50歳代で6割近くとなっている。《満足していない》は女性の30歳代で3割近く、男性の40歳代と60歳代で2割半ばとなっている。 69ページ 7 区政モニターアンケート「世田谷区の文化・芸術振興施策について」 (1)調査概要 @調査の目的 区政モニターアンケートは、区政モニターとして委嘱した区民から、区政に対する意見、要望、提案等を収集し、区政の参考にすることを目的としています。 A調査設計 (1)対象数 195人 (2)調査方法 郵送配布、郵送回収法及びEメールによる送受信 (3)調査期間 令和2年5月29日から6月12日 (4)有効回答数 182人(回収率93.3%) B数値の見方 (1)数値についてはすべて百分比(%)で表示する。 (2)百分比は回答者数(該当設問においては該当者数)を100%として算出し、本文および図表の数字はすべて小数点第2位を四捨五入してある。したがって比率の合計が必ずしも100%にならない場合がある。同様にいくつかの選択肢の小計が、本文中の数字と合致しない場合がある。 (3)複数回答の設問は、すべての比率が100%を超えることがある。 (4)特に断りがない場合の設問のn値は182である。 ※n値とはサンプル数(アンケート回答件数)   70ページ 標本構成の図を掲載しています 71ページ (2)調査結果「世田谷区の文化・芸術振興施策について」 @区の文化・芸術施策として、どのようなことを重視してほしいと考えますか。(○は5つまで) 調査結果の図を掲載しています 72ページ A区では、小学校4年生、中学校1年生を対象に美術鑑賞教室の実施や小学校6年生を対象とした古典芸能鑑賞教室などを実施しています。あなたは、児童・生徒等に対する文化・芸術の関わりについて、何が重要だと考えますか。(○はいくつでも) 調査結果の図を掲載しています 73ページ B区では、視覚障害者の美術鑑賞や区内特別養護老人ホームへの移動演劇などを実施しています。あなたは、高齢者・障害者など誰もが、文化・芸術や創作活動を鑑賞するにあたり、どのような取り組みが必要だと思いますか。(○は3つまで) 調査結果の図を掲載しています 74ページ Cまちの魅力向上や賑わいづくりにあたり「文化・芸術」にどのようなことを期待しますか。(○はいくつでも) 調査結果の図を掲載しています ※「まちなか観光」とは、おしゃれな街や豊かな自然、文化・芸術の発信スポットなど、地域の魅力をつなぎ合わせ、街をゆっくり歩きながら再発見・認識してもらう世田谷スタイルのことです。     75ページ D区は海外3都市の姉妹都市(バンバリー市・ドゥブリング区・ウィニペグ市)のほか、台湾・高雄市、アメリカ・ポートランド市などとの交流があります。こうした海外諸国・諸都市との文化・芸術交流について、どのようなことを期待しますか。(○はいくつでも) 調査結果の図を掲載しています 76ページ E身近な生活や暮らしにおける「文化」について、どのような印象をお持ちですか。(○は3つまで) 調査結果の図を掲載しています 77ページ F 区では、美術、文学、演劇、音楽などを対象に若手アーティスト等の発掘を目的とした「世田谷区芸術アワード“飛翔”」を実施し、世田谷区から世界へ羽ばたく取り組みを行っています。あなたは、若手アーティストの育成にはどのようなことが必要だと思いますか。(○はいくつでも) 調査結果の図を掲載しています このページは白紙です。 世田谷区第3期文化・芸術振興計画(調整計画)令和4 年3 月発行 編集・発行/ 世田谷区生活文化政策部文化・芸術振興課 〒156-0043 東京都世田谷区松原6-3-5 梅丘分庁舎3 階 電話 03 - 6304 - 3427 FAX 03 - 6304 - 3710 (世田谷区広報印刷物登録番号 2054) 裏びょうしです。 このページは白紙です