表紙 世田谷区第二次多文化共生プラン 概要版 令和6年3 月 世田谷区 1ページ目 第1章 計画の背景 1 計画策定の趣旨・背景 計画策定の趣旨・背景のイメージ図があります。 「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」第9条に定める行動計画として、平成31年3月に「世田谷区多文化共生プラン」を策定しました。 その後、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行や在留外国人数の増加及び多国籍化、改正入管法の施行などの多文化共生を取り巻く社会情勢の変化を踏まえつつ、 世田谷区の更なる多文化共生の推進を図るため、令和6年4月よりスタートする「世田谷区第二次多文化共生プラン」の策定を進めてきました。 2 国、東京都、区の動向 国の動向 「地域における多文化共生推進プラン」の改訂、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」の決定 在留資格「特定技能」の創設、「出入国管理及び難民認定法」改正法案の可決・成立 地方公共団体における、日本語教育の推進に必要な施策実施の努力義務化、日本語教育機関の認定制度化 東京都の動向 「人」と「人」とのつながりによる地域コミュニティ活性化を支援する東京都つながり創生財団の設立 地域日本語教育の推進に関して、地方公共団体が共通して踏まえるべき視点や目標を示した「東京における『地域日本語教育の体制づくり』のあり方」の策定 世田谷区の動向 区の国際・多文化共生施策をより効果的に推進するため、情報発信や場(機会)の提供を行う公益財団法人せたがや文化財団国際事業部(せたがや国際交流センター)の開設・運営 ネットワーク間での相互連絡・情報交換を進め、外国人のための専門家相談会を協働で実施する東京外国人支援ネットワークへの加盟 ウクライナ避難民の受入れにあたり、具体的な課題や支援の内容を検討する「世田谷区ウクライナ避難民の受入れ及び支援に関するプロジェクトチーム」の設置 2ページ目 第2章 第一次プランの評価 1 各施策の取組み状況・評価 基本方針1地域社会における活躍の推進 令和4年度の主な実績 三茶de大道芸 来場者数約100,500人 せたがや国際メッセ 来場者数約2,000人 「おたがいさまbank」 登録者数3,218人(令和5年3月時点) 外国人との意見交換会 外国人参加者数30人 外国人区民の意識・実態調査 回収数199件(10.1%) 評価 ・外国人区民への各種調査や外国人との意見交換会を通して、在住外国人の生活状況並びに区に対する満足度やニーズ等について認識することができた。 ・コロナ禍の影響もあり、区の事業への参加・活躍の機会を十分に設けることができなかった。 ・コロナ禍に学んだ様々な事業の手法等を活かしながら、より多くの方が参加できる・参加しやすい場づくりに努める。 基本方針2 誰もが安心して暮らせるまちの実現 令和4年度の実績 外国人向け日本語教室 年3期実施 参加者数63人 せたがや日本語サポーター講座 参加者数 初級78人、中級19人 職員向け「やさしい日本語」研修 受講者数63人 庁内における多言語冊子・チラシ数 30種 せたがや国際交流センター(クロッシングせたがや) 来館者数 4,012人 帰国・外国人児童・生徒のための教育相談室 相談件数558件 タブレット端末によるテレビ電話通訳サービス利用件数 438件 評価 ・日本語教室については、参加希望者の増加に伴い、令和5年度には回数を拡充して実施するなど、外国人等が自立した生活を送るために必要な日本語の支援を実施した。 ・テレビ電話通訳サービスを導入したタブレット端末を庁内に配置し、外国人等に対する安定的な窓口運営に努めた。 ・広報物や施設の案内板等の多言語化を進めるとともに、毎年職員向けに研修を行うなど、「やさしい日本語」の認知・理解度の向上にむけて啓発に努めた。 ・外国人区民の意識・実態調査の結果を踏まえ、取組みの充実に加え認知度の向上に向けて、外国人等に分かりやすい効果的な情報発信を強化する必要がある。 基本方針3 多文化共生の意識づくり及び偏見・差別の解消 令和4年度の実績 キネコ国際映画祭 参加者数86,332人 人権啓発イベント 来場者数137人 外国人のためのまち歩きツアー 参加者数30人 多文化理解講座 実施7回 参加者数延べ307人 にほんご交流会 実施4回 参加者数延べ222人 評価 ・様々な機会を捉えて、イベントや講座等の実施により多様な文化を理解し合える意識の啓発を進めることができた。 ・外国人区民の意識・実態調査の結果から、コロナの影響によりこれまでになかった新たな差別が発生していることが分かった。 ・偏見・差別の解消に向け、引き続き多文化共生の意識啓発に努めていく必要がある。 3ページ目 第3章 計画の概要 1計画の位置づけ 本計画の位置づけのイメージ図があります。 この計画は、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」第9条に定める、多文化共生施策を総合的かつ計画的に推進するための行動計画である。 「世田谷区基本構想」「世田谷区基本計画」に示されたビジョンや基本方針と整合を図りつつ、「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」等他の行政計画と補完・連携しあうものとして位置づける。 2 計画期間 区の基本計画や実施計画との整合性を図るため、令和6年度から令和9年度までの4か年とする。 なお、計画期間中に社会情勢等の変化などにより、計画に新たに盛り込むべき事項等が生じた場合は、必要に応じて見直しを行う。 4ページ目 コラム1 せたがや国際交流センターについて 多文化共生に関する情報発信や活動団体のネットワーク作りの拠点として、令和2年4月、公益財団法人せたがや文化財団に国際事業部が新設され、三軒茶屋駅上にせたがや国際交流センター(クロッシングせたがや)が開設されました。 せたがや国際交流センターでは、主に外国にルーツのある人や、地域で活動している団体、国際交流や多文化共生に興味のある人に向け、暮らしに役立つ情報提供、地域活動団体の紹介や、暮らしにおける困りごとの相談窓口の案内を行っています。 また、日本人住民・外国人住民が、互いの文化について理解を深めるための講座や交流イベントの開催、交流に関わる活動団体相互のネットワークの拡充・活性化を図り、外国人住民の地域社会への参画や、地域活動の場を広げていくことをめざしています。 コラム2「やさしい日本語」とは 「やさしい日本語」とは、外国人や高齢者、障害のある人などにも分かるように配慮して、簡単にした日本語のことです。阪神・淡路大震災をきっかけに、外国人等が災害発生時に適切な行動をとれるように考え出されました。 災害時のみならず、日本人住民と外国人住民が地域で共に暮らし活躍していく多文化共生社会の実現には、お互いに歩み寄りながらコミュニケーションをとる「やさしい日本語」の活用が重要です。 世田谷区では、平成29(2017)年12月に、日本語を母語としない方にどのように情報を届けるか、必要とする地域での情報をどのようにして正しく理解してもらうか、情報を発信する担当者に向けての考え方を整理した「世田谷区多言語表記及び情報発信の手引き」を作成し、その中で「やさしい日本語」について掲載しています。 「やさしい日本語」で伝えるポイント 1.難しい言葉は使わず、簡単な言葉に言い(書き)換える。 2.あいまいな表現は使わず、具体的に伝える。 3.漢字にはルビ(ふりがな)をつける。 4.外来語(カタカナ語)はなるべく使わない。 5.文末はなるべく「です」「ます」「してください」に統一する。 5ページ目 計画の体系 計画の体系図があります。 基本理念である「誰もが共に参画・活躍でき、人権が尊重され、安心・安全に暮らせる 多文化共生のまち せたがや」のもと、3つの基本方針に基づく施策を展開しています。 基本方針1 誰もが安心して暮らせるまちの実現 言語や文化の違いによる生活上の不便や不安を解消できるように、多言語、「やさしい日本語」での情報提供や日本語学習の支援をはじめとした、生活全般にわたっての支援を行う。 具体的施策 日本語支援の充実、行政情報の多言語化・「やさしい日本語」化の推進、生活基盤の充実、災害等に対する備えの充実、ICTを活用した環境整備 基本方針2 地域社会における活躍の推進 外国人等が、地域社会の一員として様々な活動に参加し貢献できるように、外国人等自らが地域課題を捉え、参画する機会をつくる。 具体的施策 多文化共生の地域交流促進、地域活動への参加促進、区政への参画推進 基本方針3 多文化共生の意識づくり及び偏見・差別の解消 誰もが参加しやすい、多様な文化についての理解を深める機会をつくるとともに、人権に関する意識の醸成等を通じ、外国人等への偏見や差別の解消をめざす。 具体的施策 多様な文化を受け入れる意識の醸成、学校教育における多文化共生に関わる教育の推進、多文化共生・国際交流等を目的とした活動・団体支援の充実 不当な差別的取扱いへの対応強化 6ページ目 重点施策について 基本方針1の重点施策 生活基盤の充実 生活情報の提供や相談体制の整備のほか、生活全般にわたる支援を充実させることで、安心して暮らせるまちが実現する。 基本方針2の重点施策 地域活動への参加促進 外国人等が地域活動に参加することで、新たな視点や発見が期待できるなど、日本人住民・外国人住民双方の多文化共生の意識が広がる。 基本方針3の重点施策 多様な文化を受け入れる意識の醸成 互いの文化や習慣等への理解を深め人権を尊重し合うことで、偏見や差別の解消に繋げることができる。 数値目標 各施策における第一次プランの成果を踏まえ、数値目標を以下のとおり設定する。 多文化共生が進んでいると思う区民の割合(世田谷区民意識調査) 2023年度の状況 37.7% 2025年度末の目標 50% 2027年度末の目標 55%以上 外国人等の地域活動への参加が進んでいると思う区民の割合(世田谷区民意識調査) 2023年度の状況 15.6% 2025年度末の目標 25% 2027年度末の目標 30%以上 外国人等に対する偏見や差別が減少していると思う区民の割合(世田谷区民意識調査) 2023年度の状況 31.1% 2025年度末の目標 40% 2027年度末の目標 45%以上 外国人等の生活基盤が充実していると思う区民の割合(外国人アンケート調査) 2023年度の状況 52.5% 2025年度末の目標 65% 2027年度末の目標 75%以上 外国人等に対する偏見や差別が減少していると思う区民の割合(外国人アンケート調査) 2023年度の状況 42.6% 2025年度末の目標 50% 2027年度末の目標 55%以上 7~8ページ目 第4章 施策の展開 基本方針1 誰もが安心して暮らせるまちの実現 主な課題 ・外国人等のニーズに沿った日本語学習機会の提供 ・多言語、「やさしい日本語」を活用したわかりやすい情報発信 ・外国人等が必要な情報を得られる環境づくり ・災害時の情報発信及び情報の多言語化等 ・区ホームページを中心としたICT技術の活用 施策の主な方向性 ・時間に限りがある方などでも参加できる、参加しやすい日本語の学習機会の提供を行う。 ・外国人等に向け分かりやすい情報を提供できるよう、多言語や「やさしい日本語」の活用、ユニバーサルデザインにも留意した情報の表記及び発信を行う。 ・様々な分野における外国人等の困りごとの解決に向け、引き続き安定した相談窓口を運営し、関係各課・団体等と連携した取組みを充実させる。 ・災害に備えた情報発信に加え、災害発生時に活用可能な情報の収集・整理・更新と手法の改善及び啓発を行う。 ・区ホームページを中心に、「やさしい日本語」での発信やSNS等も活用しながら情報にアクセスしやすい環境づくりを進める。 施策 日本語支援の充実の具体的な取組み(抜粋) ・外国人向け日本語教室の拡充  ・にほんご交流会の実施  ・せたがや日本語サポーター講座の実施   ・ オンラインでの日本語学習に関するウェブサイト等の情報提供 ・地域日本語教室との情報連絡会の実施 等 施策 行政情報の多言語化・「やさしい日本語」化の推進の具体的な取組み(抜粋) ① 情報発信における多文化共生意識の醸成  ・職員向け「やさしい日本語」研修等の実施 等 ② サイン等の多言語化 ・ 各種行政冊子、チラシ等の多言語化及び「やさしい日本語」の活用  ・ 公共施設館名表示・区広報板・街区表示版等の多言語化 ・ 英語・中国語・「やさしい日本語」によるNewsletterの発行 ・ 日本語以外を母語とする人々への利用案内等(区立図書館) 等 重点施策 生活基盤の充実の具体的な取組み(抜粋) ・外国人相談窓口の運営  ・タブレット端末による通訳サービス等の活用促進  ・ せたがや国際交流センター(クロッシングせたがや)の運営(せたがや文化財団)  ・帰国・外国人児童・生徒のための教育相談室の運営  ・専門家相談会の実施  ・ 日本語以外を母語とする人々への資料提供等(区立図書館) 等 施策 災害等に対する備えの充実の具体的な取組み(抜粋) ・外国人向け防災教室の実施  ・ 「災害時区民行動マニュアル」(マップ版)多言語版の配布 ・広域避難場所標識の多言語化  ・「外国人支援担当」非常配備態勢の指定  ・「世田谷区防災ポータルサイト」による情報発信 等 施策 ICTを活用した環境整備 の具体的な取組み(抜粋) ・ホームページの多言語表示及び自動翻訳サービスの運営 ・外国人向けページの充実  ・公衆無線LAN環境の整備拡充 等 9~10ページ目 基本方針2 地域社会における活躍の推進 主な課題 ・交流事業や、外国人等が活躍できる場づくりにおける言語的な不安の軽減 ・地域コミュニティやボランティア活躍機会の見える化 ・日本人住民の意識についても把握する機会の創出 施策の主な方向性 ・各事業の実施にあたり、多言語や「やさしい日本語」の活用を進め、せたがや国際交流センターと連携しながら、外国人等も参加しやすい環境づくりに努める。 ・誰もが地域活動へ参加し活躍できるように広く参加促進を行うとともに、機会があることの更なる周知を行う。 ・調査や意見交換会を引き続き実施し、日本人住民の意識の把握にも努める。 施策 多文化共生の地域交流促進の具体的な取組み(抜粋) ・トライアングルフェスタの実施 ・せたがや国際メッセの実施  ・English Tableの実施 ・「やさしい日本語」でまち歩き  ・外国人向け英語によるまち歩き ・子ども企画の実施  ・多文化共生の地域づくりに関する担い手の育成 等 重点施策 地域活動への参加促進の具体的な取組み(抜粋) ・町会・自治会など地域活動団体に対する理解促進 ・「おたがいさまbank」への登録促進 ・外国人ボランティアの活躍機会拡充 ・区内におけるイベントや地域活動等の情報提供 施策 区政への参画推進の具体的な取組み(抜粋) ・区民意識調査の実施 ・外国人との意見交換会の実施 ・外国人アンケート調査の実施 ・日本人住民への意識調査 等 基本方針3 多文化共生の意識づくり及び偏見・差別の解消 主な課題 ・受入れ社会の人権意識の醸成について、継続・強化 ・学校における人権尊重の視点に立った多文化共生意識を醸成する取組みの推進 ・多文化共生・国際交流活動団体への支援の強化 施策の主な方向性 ・偏見・差別の解消に向け、人権についての学習等を通じて多様な文化を受け入れる意識の醸成に努める。 ・学校においても、教員向けの人権教育研修など、国際理解教育に加え人権尊重の視点に立った取組みを進める。 ・様々な団体による多文化共生や国際協力を目的とした活動等に対し、広く支援を行う。 重点施策 多様な文化を受け入れる意識の醸成の具体的な取組み(抜粋) ① イベント ・人権啓発イベントの実施 ・英語による絵本の読み聞かせ ・子ども向け多文化理解イベントの実施(区立図書館) 等 ② ボランティア ・ 世田谷区ホームステイボランティア家庭登録制度への登録促進 ・観光ボランティアガイド事業の実施 ③ 研修・講座等 ・多文化理解講座の実施 ・多文化共生啓発リーフレットの作成・配布 ・人権に関する意識の啓発 等 施策 学校教育における多文化共生に関わる教育の推進の具体的な取組み ・海外派遣等を通じた国際交流事業の実施 ・国際理解教育の充実  ・小学校の「外国語活動」の充実 ・多様な手法による英語教育の充実 ・多文化共生事例の紹介 ・多文化共生等の理解促進に向けた人権教育研修等の実施 施策 多文化共生・国際交流等を目的とした活動・団体支援の充実の具体的な取組み ・国際平和交流基金助成による団体支援  ・国際活動団体への支援 施策 不当な差別的取扱いへの対応強化の具体的な取組み ・男女共同参画・多文化共生施策に対する苦情相談・申立て等への対応  11ページ目 第5章 推進体制 推進体制図のイメージ図があります。 この計画は、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」第9条1項に基づき「世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会」の意見を聴き、 「国際化推進委員会」及び「国際化推進協議会」による全庁的な検討を行うとともに、区民意見募集等で幅広い区民の意見・要望を尊重し反映しています。