世田谷区公共施設白書2017 平成29年3月 詳細な内容については以下の担当部署へご連絡ください。 施設営繕担当部公共施設マネジメント推進課 電話 03-5432-2608 ファクシミリ 03-5432-3044 以下、概要 世田谷区公共施設分布図 平成29年4月1日現在(本編1〜13ページ) T.公共施設白書の目的、対象範囲 1.公共施設白書作成の目的(本編17ページ) 現在、区の人口は住民基本台帳によると、平成28年4月1日現在887,994人(外国人含む)となっており、社会情勢次第では今後も増加傾向にあると予想され、人口増加により、保育施設や高齢者施設等の行政需要や区民ニーズが高まり施設整備が急務となります。一方で世田谷区の公共施設の多くは昭和30年から50年代に整備され、今後30年間で築年数が60年を超える建物が全体の過半以上を占めることになります。それらの建物は、これから大規模な改修や建て替え等が必要な時期を迎え、施設の維持管理経費の他に施設更新費用の増大が見込まれます。限られた財政状況の中で、健全な財政状況を保ちつつ公共施設の質を確保するためには全庁的な公共施設のマネジメントを行い、様々な工夫をしながら施設を適切に維持・管理していくことが必要になります。 また、国土交通省は、平成24年の笹子トンネル天井板崩落事故を受け、「インフラ長寿命化基本計画」を策定し、その行動計画として総務省より各自治体に「公共施設等総合管理計画」の策定要請が出されました。 区では、平成17年と平成26年にそれぞれ「公共施設整備方針」を策定し、施設の合築・複合化や既存施設の長寿命化、新築の抑制、施設機能の廃止などにより、効率的・効果的な施設整備に努めてきましたが、総務省の要請を踏まえ、将来的な財政見通しに基づいて、公共施設を適切に管理、保全、更新するための「公共施設等総合管理計画」を策定いたしました。 平成25年9月には「公共施設整備方針(平成26年3月)」策定のための基礎データとして様々な観点から区が保有・管理する施設の現状を整理した「公共施設白書2013」を作成しましたが、「公共施設等総合管理計画」策定を機に、施設データを更新した「公共施設白書2017」を発行することにより、今後の公共施設整備・運営の適正化を推進するにあたっての資料として活用していきます。   2.公共施設白書の対象範囲(本編18ページ) (1)公共施設白書の対象とした施設 区が保有・管理する施設(借上げ含む)は、住民の福祉を増進する目的で住民の利用に供するための図書館や区民集会施設などの「公の施設」や自治体の事務所である「庁舎」などがあります。なお、「公共施設白書2017」では、公の施設のうち、別に調書などを作成している公園や道路は対象外としています。 世田谷区が保有・管理する施設 対象施設 庁舎等、区民集会施設、防災施設、交流施設(区民健康村施設)、文化・学習施設、スポーツ施設、リサイクル関連施設、高齢者施設、障害者施設、児童福祉施設、その他の福祉施設、自転車関連施設、住宅施設、学校教育施設、その他の施設(倉庫・公衆便所等) 対象外施設 公園、道路 (2)対象となる公共施設の範囲(区が保有・管理する施設) 公共施設は、区が財産として保有するほか、国や東京都、民間などの建物を借りて設置しているものもあり、「公共施設白書2017」では、下記の施設を対象としています。 @ 区が所有する建物で、区が直営・委託・指定管理により運営している施設。 A 区が所有する建物で、民間事業者等が運営・サービスを行っている施設。 B 民間事業者等が所有する建物で、区が直営・委託・指定管理により運営している施設。 C 民間事業者等が所有する建物で、区が借上げて民間事業者等が運営・サービスを行っている施設。 ただし、区の施設を使用している場合でも、民間事業者等の事務所や営利目的の喫茶店等は対象外とします。また、区の土地を使用している場合で、民間事業者が所有する建物で自主運営している施設は対象外とします。 この公共施設白書の対象施設は、886施設です。この内、施設の場所を区が所有しているものは、土地の区・民間等所有を合わせて774施設あります。また、施設の場所を民間等から借上げているものは112施設です。(複合施設は、施設ごとに計上しています) 運営形態別で見ると、区の直営施設が388施設あり、委託が219施設、指定管理が188施設、その他が91施設となります。 U.土地と人口・世帯、財政状況 1.世田谷区の土地(本編21ページ) 平成27年10月1日現在、区の土地の面積は58.049kuとなっています。地域別で見ると、玉川地域が15.809kuで一番大きく、烏山地域が7.715kuで一番小さい地域となります。なお、区の面積は平成27年3月に国土交通省国土地理院より発表された面積で58.084kuから58.049kuに変更されました。 〔図表U-1:地域別面積表〕                           世田谷12.324Ku、北沢8.652Ku、玉川15.809Ku、砧13.549Ku、烏山7.715Ku、合計58.049Ku ※平成27年10月1日現在の国土交通省国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」 区の土地を、用途地域別に見ると、ほぼ過半が第1種低層住居専用地域となり、住居系の用途地域が約89%を占めています。また商業系は約8%、工業系は約1%、無指定は2%となり住居系以外は少ない状況にあります。 用途地域の割合を23区で比べると住宅系の割合は23区で1番大きく、商業系の割合は2番目に小さい状況です。   2.人口と世帯(本編23ページ) (1)区の人口・世帯の総数 平成28年4月1日現在の区の人口と世帯数は、人口887,994人、世帯数は464,939世帯となっています。 〔図表U-4:人口・世帯数(外国人含む)〕平成28年4月1日現在 世帯数 464,939世帯 人口 総数887,994人 男422,316人 女465,678人 ※住民基本台帳に基づいた人口を記載しています。 (2)年齢別人口 年齢別〔図表U-5〕では、0〜14歳の年少人口が104,577人(約12%)、15〜64歳の生産年齢人口が604,991人(約68%)、65歳以上の老年人口が178,426人(約20%)となっています。また、平成27年度とその10年前、20年前との人口数と割合を比べると、各世代とも人口数は増加傾向にありますが、割合で見ると、生産年齢人口の割合が下がっていることが分かります。 〔図表U−5:年齢別人口〕平成28年4月1日現在 年少人口(0〜14歳)総数104,577人(11.8%) 男54,087人(6.1%) 女50,490人(5.7%) 生産年齢人口(15〜64歳)総数604,991人(68.1%) 男293,987人(33.1%) 女311,004人(35.0%) 老年人口(65歳以上)総数178,426人(20.1%) 男74,242人 女104,184人(11.7%) 合計 総数887,994人(100.0%) 男422,316人(47.6%) 女465,678人(52.4%) ※( )内は人口総数に占める割合   年齢別人口の割合を23区で比べると世田谷区は年少人口の割合は、全体の9番目、生産年齢人口の割合は11番目となり平均的ですが、老年人口の割合は19番目となり、23区中では、老年人口の割合が少ない状況が分かります。 (3)地域別人口 地域別では、世田谷地域が最も多く243,988人、次いで玉川地域219,491人、砧地域159,662人、北沢地域148,815人、烏山地域116,038人となっています。 また、年齢別人口を見ると、生産年齢人口(15〜64歳)、老年人口(65歳以上)ともに世田谷地域が最も多く、年少人口(0〜14歳)は玉川地域が最も多くなっています。 3.財政状況(本編28ページ) (1)歳入 平成27年度の歳入決算額は約2,823億円で前年度と比較して約5.5%の増となっています。これは、納税者数の増などにより特別区税が増収となったほか、地方消費税交付金が地方消費税率引き上げの平年度化により増額となりました。 ただし、ふるさと納税の拡大や人口動向、さらには経済動向に影響されるため、歳入は不透明な状況です。 〔図表U-13:平成27年度一般会計歳入決算額〕 特別区税1,155億円(40.9%) 特別区交付金465億円(16.5%) 地方消費税交付金194億円(6.9%) その他交付金等76億円(2.7%) 国庫支出金395億円(14.0%) 都支出金197億円(7.0%) 特別区債43億円(1.5%) 繰越金2億円(0.1%) その他297億円(10.5%) 合計額2,823億円 (2)歳出 平成27年度の歳出決算額は約2,721億円で前年度と比較して約6.1%の増となっています。歳入と歳出の年度推移は、平成25年度より増加傾向にありますが、歳出を人件費と行政運営費、投資的経費の3つに分類した性質別内訳で表すと、行政運営費が増加し、人件費と投資的経費はほぼ横ばいとなっています。 今後の歳出の見込みとしては、社会保障関連経費の増加をはじめ、梅ヶ丘拠点施設の整備や学校などの老朽化した公共施設の改築・改修経費の増加が見込まれます。 ※人件費…職員給与や退職手当、議員等報酬を含む。 ※行政運営費…様々な政策の経費を含む、人件費や投資的経費以外の経費。 ※投資的経費…支出の効果が長期にわたる経費。建設事業費や用地取得費、積立金など。    V.区が保有・管理する施設の状況 1.総延床面積、建物数及び施設数(本編31ページ) (1)総延床面積 区が保有・管理する施設(借上げを除く)の建物の総延床面積は、平成28年7月1日現在、約1,242,254uとなっています。(借上げを含めると約1,291,742uとなります) 下記の図〔図表V-1〕は区の「財産に関する調書」より建物の総延床面積の推移をグラフ化したものです。対象としている施設が違うものの、昭和55年(1980年)より推計を見ると、右肩上がりに延床面積が増加し、平成25年3月31日現在は約1,207,979uであったものが平成28年3月31日現在では約1,219,430となり、3年間で約11,451u増加しています。 区では、平成17年度(2005年)に「公共施設整備方針」、平成26年(2014)に新たな「公共施設整備方針」を策定し、「既存施設の改築を除き、新たな施設を原則として整備しない」ことを基本に進めてまいりました。しかし、行政需要の増加に伴い複合化した施設の跡地を引き続き公共施設として活用していることや、学校改築時には政令を基準にした標準設計により建替え前より面積が増加することなどにより、延床面積は緩やかではありますが、増加傾向にあります。 今後は、「公共施設等総合管理計画」を着実に推進し、施設の維持・更新にかかる経費の抑制を目標とし、更なる施設規模の適正化に取り組む必要があります。 〔図表V-1:財産に関する調書による建物総延床面積の推移〕 昭和55年度772,615u 平成17年度1,162,735u 平成24年度1,207,979u 平成27年度1,219,430u  ※平成17年「公共施設整備方針」策定 (2)建物数及び施設数 区が保有・管理する施設(借上げを含む)を施設(機能)別にみると、「公共施設白書2013」では平成25年度855施設であったものが平成28年度886施設となり、31施設増加しています。増減の内訳は、約3年間で増加が38施設、廃止が29施設、施設の定義見直しによる追加が22施設となっています。 同様に複合施設を1とした建物数では、平成25年度605であったものが、平成28年度611となり、6増加しています。 ※基準日は、平成25年度を4月1日、平成28年度を7月1日としています。 ※施設数、建物数とも民間等からの借上げを含みます。 ※小・中学校、同一敷地内に複数の建物(棟)がある場合は、複数の建物(棟)を1建物として算出しています。 (3)建物数及び施設数の内訳 施設(機能)数の用途別の内訳では、児童福祉施設が184で全体の約21%と最も多く、次いで学校教育施設が112で約13%、区民集会施設が99で約11%、高齢者施設が90で約10%などとなっています。 @施設数 〔図表V−2:施設数の用途別内訳〕平成28年7月1日現在 庁舎等 67施設(庁舎、総合支所、出張所、まちづくりセンター等) 区民集会施設 99施設(区民会館、区民センター、地区会館等) 防災施設 23施設(広域用防災倉庫、水防倉庫等) 交流施設 2施設(区民健康村施設) 文化・学習施設41施設(図書館、美術館、文学館、教育センター等) スポーツ施設 23施設 (運動場、温水プール、公園内スポーツ施設等) リサイクル関連施設 6施設(リサイクル啓発施設、中継所等) 高齢者施設 90施設(あんしんすこやかセンター、通所介護施設等) 障害者施設 52施設(相談施設、障害者日中利用施設等) 児童福祉施設 184施設(保育園、児童館、新BOP等) その他の福祉施設 8施設(母子生活支援施設、ボランティア施設等) 自転車関連施設 68施設(レンタサイクルポート、自転車等駐車場等) 住宅施設 61施設(区営住宅、特定公共賃貸住宅等) 学校教育施設 112施設(小学校、中学校、幼稚園等) その他の施設 50施設(保健センター、職員住宅、倉庫、公衆便所等) 合計886施設  A単独・複合別建物数 区が保有・管理する施設(借上げを含む)を建物別に見ると、建物総数は611あり、このうち単独施設が418、複合施設が193となっています。 単独施設は、区が所有する建物が334、民間等からの借上げが84となっており、複合施設は、区が所有する建物が180、民間等からの借上げが13となっています。 B建物構造別建物数 区が保有・管理する施設(借上げを含む)を構造別に見ると、鉄筋コンクリート(RC)造が412施設で全体の約67%、鉄骨(S)造が127施設で全体の約21%であり、併せて全体の約88%を占めています。 C建築年数別建物数 区所有建物を建築年数別に見ると、建物数514の内、大規模改修が必要となる目安の築30年以上のものは、286となり全体の約56%となります。また、築50年以上の建物は66となり約13%もの割合を占めます。このことからも、今後の施設の改築・改修に多くの経費がかかることが予想されます。 D地域別施設機能数 区が保有・管理する施設(借上げを含む)を地域別に見ると、世田谷地域が242施設と最も多く、次いで玉川地域が211施設となっています。また、区外とは、群馬県川場村にある区民健康村2施設と、河口湖林間学園になります。 〔図表V-8:地域別施設機能数〕 世田谷地域242施設 北沢地域150施設 玉川地域211施設 砧地域146施設 烏山地域134施設 区外3施設 合計886施設 ※(旧)守山小学校と(旧)若林中学校の仮設利用中の学校を含む。   2.施設維持管理経費等の状況(本編39ページ) (1)建築物のライフサイクルコスト 建築物のライフサイクルコストとは、企画設計、建設、運用管理から建物の解体まで、建築物の生涯に必要なすべてのコストの合計です。 このうち運用管理にかかるコストは、保全費、修繕費、改善費や運用費(光熱水費等)などで、建物の使用年数を65年とした場合、「建築物のライフサイクルコスト構成比試算」によると、一般的に庁舎、区民利用施設等の場合、施設維持管理経費などが建設費の3倍近く(学校の場合は同額)に達することがわかります。 世田谷区では、公共施設中長期保全計画に基づき、建物の耐用年数を60〜65年とした使用年数を設定し、改修サイクルを原則15年としていますが、実際には、変化する行政需要に対応するため財政負担や老朽化の状況を踏まえ、前倒しや先送りをするなど改修サイクルを変更して対応しており、設備などの老朽化により緊急工事による対応を行うケースも多くなっています。 今後、安全・安心に利用できる公共施設を維持するためには、区が保有する公共施設の見直し、効率的な配置を工夫する必要があり、個別の施設については、引き続き維持管理経費の縮減に取り組み、適正なライフサイクルで維持管理できる環境を整える必要があります。 (2)施設を維持するための経費 平成27年度の施設を維持するための経費(運営費を除く)の合計額は、約160億円となります。内訳は、施設の維持に関わる人件費は約32億円(約20%)、光熱水費が約31億円(約20%)、清掃や設備保守点検などの委託料等が約60億円(約38%)、土地建物設備の賃借料が約25億円(約15%)、施設の修繕費(工事費を除く)が約11億円(約7%)、備品他は約0.2億円(約0.2%)です。合計額の160億円が、歳出決算額約2,721億円に占める割合は約6%になります。 ここで示す施設を維持するための経費とは、この公共施設白書で対象としている施設の経費合計額です。 (3)土地、建物の借上げ等の状況 施設を維持するための経費の内訳では、土地建物設備賃借料は約25億円で全体の約15%を占めます。この内、土地と建物の賃借料は約23億円となります。これを施設の用途別割合で見ると、庁舎等が約26%で次に住宅施設が約23%となり、この2つの用途で全体の過半を占めます。 また、国や都、民間からの借上げ施設の数を用途別に見ると、その他の施設に分類されている職員住宅と住宅施設(区営住宅)がそれぞれ18施設と一番多く、合わせて約32%を占めます。次に児童や障害、高齢者施設が続き、合わせると約38%となります。 (4)施設改修・改築等経費の割合 平成27年度における改修経費は約47億円、改築等経費は約76億となり合わせて約123億円になります。これは平成27年度の歳出決算額2,721億円に占める割合の約5%に相当します。 過去10年間(平成18〜27年度)の施設改修・改築等にかかった経費は、約1,032億円で年平均は約103億円になります。改修経費と改築等経費の内訳を見ると、改修経費が約383億円、改築等経費は約649億円となり、改築等経費が約63%を占めます。 今後、多くの施設が改築時期を迎えることにより改築等経費の増加が見込まれます。更に、既存施設において、適正なライフサイクルコストの視点で維持管理できたとしても、全体の施設数の増加や、老朽化施設増加に伴う改修工事などにより改修経費も増加すると考えられます。施設に多額の経費をかけることが困難な財政状況において、現在の世田谷区が保有・管理している施設をすべて維持していくことは非常に困難になると予想されます。 ※改築等経費には、改築のほか新築、増築、解体、校庭・外構整備(新築・改築に伴うもの)が含まれており、その他の経費を改修経費としています。 (5)今後の改修・改築等にかかる経費 「公共施設等総合管理計画」では、建物と都市基盤施設を合わせた公共施設全般の更新・維持管理にかかる経費は、老朽化する施設の更新需要が急速に高まるため、今後30年間の年平均経費は約629億円となり、これまでの予算額を約100億円超過することになると推計しています。 また、建物の改修・改築等にかかる経費に着目すると、今後庁舎整備等の大きなプロジェクトの着手が予定されており、今後30年間の年平均経費は約214億円かかると見込まれ、過去3年間(平成25〜27年度)の年平均経費約148億円を大きく上回ります。 そのため、「公共施設等総合管理計画」では、既存施設を適切に保全、長寿命化しつつ、必要かつ合理的な更新を進めるとともに、新規施設は計画的に整備し、より少ない投資で必要な機能を提供する「省インフラ」を実現することを全体方針として掲げています。さらに、建物については、下記の3つの基本方針を踏まえ、必要な行政サービス水準を維持しつつ、将来にわたり健全な財政運営を実現するため、より一層、施設の改修・改築等にかかる経費の縮減に取り組む必要があります。 公共施設等総合管理計画 基本方針《建物編》 方針1 施設はできるだけ長く使い、簡素にする @安全を基本とした簡素で低廉な施設整備 A将来に対応できる建物への転換 B長寿命化改修の徹底 C仮設建築の抑制 D維持管理経費の抑制 方針2 施設総量を抑制しつつ、公共的空間の拡充を図る @複合化・多機能化 A施設規模の総量抑制 B施設跡地の資産としての活用 方針3 民間の知恵と力を、最大限活かす @民間資本、発想、ノウハウ等の活用 A施設跡地での民間の活用 B新たな公共施設運営体制の検討、利用者負担の見直し (6)専有面積uあたりの施設維持にかかる経費(コスト) 施設種別比較 公共施設整備・運営の適正化に活用するため、施設の専有面積1uあたりの施設維持にかかる経費(コスト)をグラフ化しました。ここでは、施設種別単位で、1施設あたりの平均コストとともにグラフ化していますが、本白書の後半部分の「W.施設種別ごとの現状」では、19の施設種別で、各施設のデータを専有面積とともにグラフ化し、同じ種別の施設間でわかりやすくコストを比較できるよう工夫しました。グラフ化したデータは、各施設の施設維持に掛かる経費内訳と合わせて比較検証することにより、施設整備後のランニングコスト推計や維持管理上の課題・問題点を把握するための基礎資料とします。 〔図表V-16:用途別コストグラフ〕 本庁舎等 施設あたりのコスト64,841,398円/施設 uあたりのコスト17,187円/u 総合支所 施設あたりのコスト86,266,833円/施設 uあたりのコスト26,728円/u 出張所・まちづくりセンター 施設あたりのコスト8,615,644円/施設 uあたりのコスト23,123円/u 区民会館 施設あたりのコスト48,879,140円/施設 uあたりのコスト31,838円/u 区民センター 施設あたりのコスト51,507,400円/施設 uあたりのコスト35,702円u 地区会館 施設あたりのコスト9,140,074円/施設 uあたりのコスト19,666円/u 区民集会所 施設あたりのコスト8,340,183円/施設 uあたりのコスト24,865円/u 図書館・図書室 施設あたりのコスト22,271,312円/施設 uあたりのコスト18,673円/u 美術館等 施設あたりのコスト53,375,817円/施設 uあたりのコスト25,223円/u スポーツ施設 施設あたりのコスト175,416,828円/施設 uあたりのコスト36,249円/u 特別養護老人ホーム 施設あたりのコスト141,088,430円/施設 uあたりのコスト17,854円/u あんしんすこやかセンター 施設あたりのコスト848,354円/施設 uあたりのコスト18,244円/u 保育園(区立区営)施設あたりのコスト8,710,255円/施設 uあたりのコスト13,472円/u 保育園(区立民営)施設あたりのコスト4,513,341円/施設 uあたりのコスト7,099円/u 児童館 施設あたりのコスト7,749,363円/施設 uあたりのコスト12,327円/u 区営住宅 施設あたりのコスト16,711,852円/施設 uあたりのコスト8,533円/u 小学校 施設あたりのコスト56,593,153円/施設 uあたりのコスト8,364円/u 中学校 施設あたりのコスト69,297,662円/施設 uあたりのコスト7,768円/u 幼稚園 施設あたりのコスト8,127,625円/施設 uあたりのコスト11,139円/u ※コストは過去3か年(平成25〜27年度)の施設維持にかかる経費の光熱水費、委託料等、土地建物設備賃貸借料、修繕費等、備品等、減価償却費の合計値とし決算額平均値を採用しています。 3.これまでの区の取組み(本編45ページ) (1)公共施設の耐震化等 @耐震診断及び耐震化の実施方針 区は平成19年に耐震改修促進計画を策定し、防災上重要な区公共施設※の耐震化を図り、区所有の施設については、区分所有である奥沢センタービル・三敬ビル内の区立奥沢区民センター等(耐震診断の結果に基づき管理組合で調整中)を除き耐震化は完了しています。 また、継続的に建物の耐震性を確保するため、適切に維持管理を図ると共に、耐震基準に関する情報や建物の経年劣化等の状況を見据え、必要と判断した場合は、再度、耐震診断を実施することとしています。 ※災害対策本部及び災害対策地域本部が設置されている庁舎、避難所となる学校、その他、災害時応急対策に必要な施設(区民利用施設、出張所など)    A災害時の拠点施設等としての機能確保について 公共施設の耐震性は、世田谷区地域防災計画に定める公共建築物(災害対策本部等が設置される庁舎、避難所となる学校等)及び不特定多数が利用する施設の他、災害時における地域での公共施設の役割に鑑み、一般的な建物の耐震強度の1.25倍以上の耐震性の確保を目標とし、その中でも庁舎(本庁舎、総合支所)は、防災拠点としての役割を担うことから、一般的な建物の耐震強度の1.5倍以上の耐震性の確保を目標としています。 さらに、災害直後の庁舎等では、災害初期の情報のコントロール、災害復旧など、迅速かつ的確に業務を遂行しなければなりません。このため、建物としての被害を防ぐだけではなく、室内の機器や書類の被害を最小限に留めるため、新たな建物計画に当たっては免震構造の採用を検討しています。 また、施設営繕担当部で策定した「災害(地震)時対応設計の手引き(平成23年8月)」、「用途別標準仕様書」等に基づき非構造部材や設備機器等の耐震化も含め災害時における施設機能を確保することに努めています。 なお、施設計画においては、これら震災時を想定した機能確保だけではなく、浸水災害などについても、公共施設としての機能確保に留意しています。 (2)施設の複合化 「公共施設等総合管理計画」では、実施方針の中で、施設の改築、改修の際には、近隣施設の利用状況、更新時期や、後利用の可能性を考慮して可能な限り複合化を進める、としています。 現在は、出張所・まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターや、集会施設などの合築を進めていますが、複合化にあたってどのような施設機能の組み合わせが有効か検討していくことが必要です。 なお、施設の複合化を検討する際に、設計に配慮すべき共通事項として「公共施設設計標準仕様書」(平成26年12月改訂)を策定しています。 〔図表V-17:主な建設予定の複合化施設〕 上馬複合施設【竣工:平成28年度 約1,479u】 上馬まちづくりセンター478.64u 上馬あんしんすこやかセンター19.55u 上馬地区会館349.00u 希望丘複合施設(一部、旧希望丘中学校校舎活用)【竣工:平成30年度予定 約7,060u】 船橋西保育園732.96u 希望丘保育園555.32u 希望丘区民集会所181.20u 希望丘運動施設(仮称)新規 ほっとスクール希望丘(仮称)新規 希望丘青少年交流センター(仮称)新規 代沢小学校・代沢まちづくりセンター複合【竣工:平成31年度予定 約8,500u】 代沢小学校4,981.00u 代沢まちづくりセンター324.25u 代沢あんしんすこやかセンター27.00u 若林小学校・世田谷保育園・代田保育園複合【竣工:平成31年度予定 約9,620u】 若林小学校5,321.00u 世田谷保育園1,157.58u 代田保育園690.73u 豪徳寺アパート・豪徳寺保育園・梅丘保育園複合【竣工:平成32年度予定 約3,743u】 豪徳寺保育園204.95u 梅丘保育園477.50u ※掲載内容は現在予定値となります。 ※複合後の施設は、現在の法令に基づく設備の増(ユニバーサルデザイン化によるエレベータなど)や、新たな施設需要(学区域変更に伴うクラス数の増など)による規模拡充を含むため、必ずしも面積は減少していません。 ※学校面積には新BOPを含む。   (3)ユニバーサルデザイン 区では、昭和57年よりバリアフリーの推進に向け施策を進め、平成7年に福祉環境整備を推進することを目的に「世田谷区福祉のいえ・まち推進条例」を制定、さらに平成19年には、すべての人々にとって使いやすい環境整備を推進することを目的に「世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例」を制定しました。 公共施設においては、平成18年度に行ったバリアフリー整備状況の調査をもとに、「区立施設バリアフリー整備方針」を策定し、平成19年度から平成27年度までの9年間で277施設のバリアフリー設備の整備を完了しました。 今後は、設備の維持管理を行うとともに、新築時には「世田谷区ユニバーサルデザイン推進条例」に基づく整備基準に適合し、必要に応じてユニバーサルデザインの更なる工夫の検討などを行うなど、利用者にとって使いやすい施設の整備を進めます。 (4)維持管理経費の縮減 区では、電力購入契約の見直しやESCO事業の導入の他、様々な手法を取り入れて省エネルギー化や維持管理費の縮減を図っています。 @入札等による電力購入 電力自由化に伴い電力購入に競争入札を導入するなど、経費縮減を図っています。 〔図表V-20:新電力の導入実績〕 契約施設数 27年度 競争入札等による電力購入 181施設 28年度 競争入札等による電力購入 183施設 経費削減効果額※ 27年度 約2億円 28年度 約2億4千万円(予定)(前年度比+4千万円増) ※東京電力エナジーパートナーの一般的な電気料金と比較した効果額です。    AESCO事業※の導入  民間の資金・ノウハウを活用したESCO事業の導入により、維持管理経費の削減を図っています。 ※ESCO事業…民間の企業であるESCO事業者が建物の省エネルギーに関する包括的なサービス(診断、設計、施工、設備の保守、運転管理など)を提供することにより省エネルギーを実現し、さらにその省エネルギー効果を保証する事業。 〔図表V-21:ESCO導入実績表〕 導入施設 総合運動場 導入時期 平成25年4月にサービスを開始(〜平成34年3月) 光熱水費削減額 約6,100万円(平成27年実績)※従来の年間光熱水費 約1億8,400万円の約33%を削減 導入施設 北沢タウンホール 導入時期 平成27年4月にサービスを開始(〜平成30年3月) 光熱水費削減額 約1,200万円(平成27年実績)※従来の年間光熱水費 約6,700万円の約18%を削減 導入施設 玉川中学校温水プール 導入時期 平成28年4月にサービスを開始(〜平成31年3月) 光熱水費削減予定額 約460万円※従来の年間光熱水費 約2,300万円の約20%を削減予定 導入施設 大蔵第二運動場 導入時期 平成29年4月にサービス開始予定(〜平成32年3月) 公滅水肥削減予定額 約1,300万円※従来の年間光熱水費 約6,500万円の約20%を削減予定 導入施設 世田谷美術館 導入時期 平成30年4月にサービスを開始予定(〜平成33年3月) 光熱水費削減予定額 約420万円※従来の年間光熱水費 約4,800万円の約9%を削減予定 BLED照明器具 新築・改築工事で採用する他、庁舎、区民集会施設、高齢者施設、保育園、児童館などの施設の照明器具をLED照明に交換することで、消費電力の削減やランプ交換経費の削減に努めています。   Cコージェネレーションシステム※の導入 玉川中学校温水プール、烏山中学校温水プール、特別養護老人ホームきたざわ苑、総合運動場温水プールなどで導入し、都市ガスによる高効率な発電を行うことにより買入電力の削減と排熱を有効利用しています。 ※コージェネレーションシステム…機器の排熱を利用して動力や熱を取り出し、総合エネルギー効率を高めるエネルギー供給システム。 W.施設種別ごとの現状と課題 1.庁舎等(本編53ページ) (1)本庁舎等 応急整備は行いましたが、災害対策の中枢管理機能を果たすには未だ十分な状態ではありません。 狭あい化により、窓口や事務スペースなどが不足するとともに、多くの建物に庁舎機能が分散化し、事務の非効率化を招き、来庁者にとって分かりにくい状態です。また、区民交流や区民と区が協働して事業を進めるためのスペースが不足しています。 躯体や外装・内装の劣化が進むとともに、省エネルギーやバリアフリー化等への対応を考える必要があります。 (2)総合支所 総合支所は、地域行政制度において核となる拠点であり、より身近なところで総合的な行政サービスを提供する窓口としての機能が期待されますが、機能の分散化や区民の動線がわかりにくいなどの課題があります。 分散した庁舎機能の統合などサービスの向上を図る必要があります。 災害時における地域の防災拠点としての庁舎機能の強化を図る必要があります。 北沢保健福祉センターの建物の借上げに多くの経費を要しています。 (3)出張所・まちづくりセンター まちづくりセンターは、地域包括ケアの地区展開に取り組むため、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会との一体整備を行う必要があります。 災害発生時に拠点隊としての活動ができる施設機能を確保する必要があります。 (4)その他の庁舎 【土木・公園管理事務所】 バリアフリー対応が十分ではありません。 北沢土木・公園管理事務所と砧土木・公園管理事務所は、事務室や作業用車両置き場に必要なスペースが十分に確保されていません。 【清掃事務所】 砧清掃事務所以外は、バリアフリー対応が十分ではありません。 世田谷清掃事務所本所庁舎及び弦巻分室は、収集作業開始時の駐車スペースがなく、周辺にも十分な駐車スペースを確保できる土地がありません。 砧清掃事務所は、合築施設である千歳清掃工場の設備更新に伴う改築の頻度が20年〜30年ごとと想定され、その都度代替施設が必要となります。 【職員研修会場・事務室】 建物のほか、各種設備も老朽化しているため、修繕により良好な研修環境、職員の執務環境の維持管理をする必要があります。 【事務センター】 区の情報システムのデータセンター機能として、情報システムを安全かつ安定的に運用するため、電気・空調設備や建物の漏水対策など、施設維持のための恒常的な点検・修繕を行う必要があります。 エネルギー使用量が多い施設であるため、サーバー機器類の集約化等を進め、エネルギー使用量の削減を図る必要があります。 【消費生活センター】 多種多様な消費生活相談や消費者への啓発等に対応するため、必要に応じて改修等を行う必要があります。 【エムケイアースビル】 平成32年12月に賃貸借期間が満了します。更新時には、建物所有者と契約内容の協議が必要になります。 2.区民集会施設(本編74ページ) (1)区民会館  世田谷区民会館が築57年、玉川区民会館が築49年を経過しており、本庁舎や玉川総合支所の検討にあわせて、今後の対応を検討する必要があります。 (2)区民センター 奥沢区民センター等が区分所有で入る奥沢センタービル・三敬ビルは、利用者の安全確保の観点から耐震工事を実施する必要があります。 施設が老朽化し、改修や改築が必要な状況となった場合には、施設維持管理経費や利用状況、近隣の区民集会施設の劣化状況などを踏まえ、施設の統合や区民集会施設の再編などを含めて検討する必要があります。 (3)地区会館 築50年以上となる世田谷地区会館の他、6か所の地区会館が築40年以上を経過しており、老朽化の度合いや改修工事の履歴を踏まえ、改修や改築などを検討する必要があります。 地区会館の利用率は、築年数に関わらずバラつきがあり、利用率の平均が30%を下回る施設が2か所あります。 (4)区民集会所 7か所の区民集会所が、民間の施設等を借り上げており、その内6か所は有償借上となっています。 区民集会所の利用率は、築年数に関わらずバラつきがあります。 (5)区民斎場 施設が老朽化し、改修や改築が必要になった場合には、民間の葬儀施設の整備状況、施設の利用状況などを踏まえた検討を行う必要があります。  3.防災施設(本編103ページ) (1)防災施設 避難所運営用防災倉庫には1日分の備蓄があり、都との役割分担により2日目以降の物資が供給されることになっていますが、都からの供給途絶に備え、発災後3日間は区内備蓄で対応するために、広域用防災倉庫を拡充し備蓄量を増やす必要があります。 4.交流施設(本編109ページ) (1)交流施設 積雪する寒冷地という地域性のため設備の故障や躯体の劣化など老朽化が早いペースで進んでいます。 ふじやまビレジの施設構造は、ユニバーサルデザインに対応できません。 全館休館が必要な工事を実施するには、5月〜10月の移動教室実施期間中を避ける必要があり、また屋外作業を伴う場合は12〜3月の積雪期を避ける必要があるなど移動教室等を継続しながら工事を行うには多くの制限が生じ、コスト増や工期の長期化など区民サービスの低下も想定されます。 調理場や入浴施設など基幹設備の代替設備がなく、また、改築時の代替施設もないため、大規模改修、改築時の対応を検討する必要があります。 現状の施設規模では、平日の区民利用ができないなど区民ニーズに十分に対応できていません。 5.文化・学習施設(本編111ページ) (1)図書館・図書室 奥沢図書館等が入る奥沢センタービル・三敬ビルは、利用者の安全確保の観点から、耐震工事を実施する必要があります。 梅丘図書館は羽根木公園と一体的に整備して有機的なつながりを創出することで、互いの魅力を高めあう工夫を図る必要があります。 中央図書館の機能拡充にあたっては、図書館ネットワークの中枢機関としての機能を十分に果たすことを念頭に、中央館としてふさわしい規模・設備を有するよう機能拡充の検討を進めていく必要があります。 (2)美術館等 【世田谷美術館、分館】 世田谷美術館は、事業への影響を最小限とすることを基本に、修繕や改修などを実施する必要があります。 美術品等の寄贈の申出に対しては、精査した上で受領していますが、保管場所が不足しています。 向井潤吉アトリエ館、清川泰次記念ギャラリー、宮本三郎記念美術館の3つの美術館分館については改修計画に際して、それぞれの寄贈された経緯や昨今の経済状況、費用対効果等を踏まえ、そのあり方や運営方法も含めて検討する必要があります。 【平和資料館】 寄贈物品は、精査した上で受領していますが、保管場所が今後不足する可能性があります。 【宇奈根考古資料室、分室】 埋蔵文化財資料・出土品を管理する施設は、その資料や出土品などの増加により、保管場所が不足しています。 整理作業の作業スペースに資料や出土品が保管されており、整理作業に支障をきたしています。  体験学習など教育機能を充実させる必要があります。 【郷土資料館】 設備の老朽化が進み、空調機の不具合等が発生しています。 当該建物は特殊な構造であるため、長寿命化には特段の検討を要します。 歴史資料を適切に保管するために、館内収蔵庫を確保し、湿度調整をする必要があります。   (3)その他の文化・学習施設 【男女共同参画センター“らぷらす”】 世田谷区第二次男女共同参画プラン(平成29〜38年度策定)に基づき、機能拡充を検討する必要があります。 【世田谷文化生活情報センター】 キャロットタワーの躯体や共用部分について、管理組合の改修計画にあわせて、改修を実施する必要があります。 【教育センター、プラネタリウム】 研修室等の施設面でのキャパシティ不足及び多様な研修・研究を支える設備や機能等が必要なため機能を拡充する必要があります。 プラネタリウムは、施設の運営や関連事業のあり方等を検討する必要があります。 【民家園】 区有形文化財の保全の観点から、施設が持つ価値を考慮しながら修繕や改修などを行う必要があります。 6.スポーツ施設(本編129ページ) (1)スポーツ施設 【拠点スポーツ施設(全区施設)】 拠点施設においては、大蔵運動場と大蔵第二運動場におけるスポーツ・レクリエーション施設としての効率的かつ一体的な整備を検討する必要があります。 大蔵運動場、大蔵第二運動場、二子玉川緑地運動場は、築年数の経過等により、改修すべき箇所が多くあります。 【地域スポーツ施設】 玉川地域、砧地域(整備中)、烏山地域に地域体育館を整備しているものの、世田谷・北沢の各地域は未整備です。 千歳温水プールや尾山台地域体育館は、設備機器が経年劣化により、修繕すべき箇所が多くあります。 【地区スポーツ施設】 既存の区有施設等の有効活用だけではなく、多様な手法によりスポーツをする場の拡充を検討する必要があります。 北烏山地区体育室の運動広場は整地や施設の経年劣化により区民サービスの低下を招いています。 7.リサイクル関連施設(本編138ページ) (1)清掃・リサイクル関連施設 資源のリサイクルを更に適切かつ効率的に行うため、選別、一時保管を行う施設の整備を検討する必要があります。 区内のガラスびん回収量の増加に対応するため、資源循環センター(リセタ)の処理能力を増強させる必要があります。 エコプラザ用賀は普及啓発施設及び粗大ごみ中継所としており、他のリサイクル施設とさらに連携して運用していく必要があります。 8.高齢者施設(本編143ページ) (1)特別養護老人ホーム 居ながら工事が困難なため、改修時の代替施設確保等、計画的な改修検討を行う必要があります。 (2)あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター) 施設運営の効率化と地域包括ケアの地区展開のため、まちづくりセンター、社会福祉協議会との一体整備を行う必要があります。 (3)その他の高齢者施設 【老人休養ホーム】 利用者の利便性、安全性の確保や、省エネルギー、効率的な運営の観点から、施設機能の見直しを図る必要があります。 【老人福祉センター、敬老会館、土と農の交流園、健康増進・交流施設、地域支えあい活動拠点】 現施設の活性化・有効活用を進めるとともに、高齢者の利用だけではなく、多世代交流や地域交流の場としての利用を促進する必要があります。 【通所介護施設(デイ・ホーム)、高齢者就業施設、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護、その他の高齢者施設】 各施設の状況を踏まえ、適切な維持管理と計画的な修繕を行う必要があります。 今後の認知症高齢者の増加に対応するため、あんしんすこやかセンターやケアマネジャーが行う認知症在宅支援業務の後方支援や、介護する家族の支援などを中核的に担う拠点が必要です。 9.障害者施設(本編162ページ) (1)相談等施設 総合福祉センターは、梅ヶ丘拠点施設に障害者の地域生活を支える拠点施設を整備するにあたり、事業の継承を円滑に行う必要があります。 (2)障害者(児)日中利用施設 民間法人が運営する区立施設、区が民間法人に貸付け運営する区有施設については、築年数が経過している施設があり、改修を計画的に進める必要があります。 特別支援学校の卒後進路予測等から医療的ケアを要する利用者等を含め不足が見込まれているため、障害者日中利用施設(就労継続支援B型、生活介護)の整備が求められています。 医療的ケアが必要な未就学児が通う重症心身障害児施設の需要に対し、受入れ者数が不足しています。 (3)障害者自立体験施設 松原けやき寮、身体障害者自立体験ホームなかまっちともに、宿泊を伴う運営を行っている施設であり、ニーズの高い施設でもあるため、大規模改修時には、代替施設の確保など、利用者へ配慮した施設運営を検討する必要があります。 松原けやき寮は借上げ施設のため、建物の修繕等について建物所有者と協議して対応する必要があります。   (4)その他の障害者施設 利用者への影響に配慮しながら計画的な保全に取り組む必要があります。 10.児童福祉施設(本編177ページ) (1)保育施設 待機児童数は、今後も当面の間増加が見込まれるため、限られた事業手法及び候補地のなかで、引き続き保育施設整備を最優先課題として取り組む必要があります。 保育施設の整備事業を進める際は、近隣住環境に特段の配慮を要します。 地域における就学前人口の動態や整備進捗などの地域特性を踏まえた施設整備が求められており、施設整備や保育の方向性の検討を行う必要があります。 区の財政負担や、区立保育園と私立保育園の役割等を踏まえ、それぞれの園が効率的・効果的にその機能を果たす体制づくりが必要です。 病児・病後児保育事業における未整備エリアがあります。 保育需要の増加に伴い、各地域に急速に保育施設が増える中、多様な保育ニーズに適切かつ迅速に対応し、保育の質や地域の子育て支援機能の向上を図る必要があります。 (2)児童館 第2期子ども計画に基づく子育て支援、中高生支援に対応する機能整備を検討する必要があります。 乳幼児期から小・中・高校生まで継続的に関わる施設であり、同様の機能を持つおでかけひろば、新BOP、青少年交流センター等と、役割を整理する必要があります。 奥沢子育て児童ひろば等が入る奥沢センタービル・三敬ビルは、利用者の安全確保の観点から、耐震工事を実施する必要があります。 (3)新BOP 施設の適正規模を明確にするとともに、特に大規模校においては、活動スペースの適正規模の確保が課題となっています。 (4)その他の児童施設 子育てステーション梅丘は、施設の賃貸借契約が平成31年度末に終了します。 母子生活支援施設は、設備機器が老朽化しています。 母子生活支援施設は、施設の役割や受入れのあり方など、今後の運営を検討する必要があります。    11.その他の福祉施設(本編209ページ) 【ボランティア施設】 施設のバリアフリー化を行う必要があります。 京王線沿線のボランティア施設の整備が求められています。   【その他の福祉施設】 施設のバリアフリー化や適正配置を行う必要があります。 12.自転車関連施設(本編213ページ) (1)レンタサイクルポート 指定管理者との適切な役割分担により、適正な維持管理を行い、安全な施設利用を継続する必要があります。 太陽光パネル(桜上水、桜新町)やバッテリーの耐久年数を踏まえ、計画的な維持管理・改修を進める必要があります。 利用率の向上に向けて、区内観光の視点などからも広報活動の強化など利用促進策を進める必要があります。 今後、コミュニティサイクルシステムのネットワークを充実するためには、既存自転車等駐車場・レンタサイクルポートを再編し、コミュニティ化するなどの検討が必要となります。 (2)自転車等駐車場 自転車等駐車場の収容台数が不足している駅周辺については、鉄道事業者や駅周辺商店街との連携を強化し、整備充実を図る必要があります。 チャイルドシート付き自転車や電動アシスト付き自転車の駐輪スペースの確保など多様なニーズに応え、利便性の向上を図る必要があります。 自転車等駐車場を管理・運営する指定管理者との適切な役割分担により、老朽化した自転車等駐車場や設備の補修改善を図る必要があります。 (3)放置自転車等保管所 放置自転車台数の減少を踏まえ、自転車等の返還率が低下しないよう考慮しつつ、既存施設を整理統合することが課題となっています。 民有地を活用した既存施設については、機会を捉えて区有地等への転換を図ることによって、施設維持経費の削減を図る必要があります。 13.住宅施設(本編23ページ) (1)区営住宅 (2)特定公共賃貸住宅 計画的な保全改修等実施に合わせて、設備の非効率性や室内外の建具の劣化、室内外のUD対応などにも対処する必要があります。 建替等の検討では、現敷地の土地利用のポテンシャルが低い敷地が多く、現施設規模の維持が困難です。 入居者の家賃の一部を基金として改修工事費に当てていますが、計画的な施設整備を行なうためには資金調達が喫緊の課題です。 他の公共施設と複合化している住宅では、施設整備を検討する際に合わせて調整する必要があります。 改築等の計画では、対象の入居者の受け皿が必要です。 区営住宅は昭和45年から60年までの間に23施設が建設されているため、施設の老朽化問題に対応する期間が集中します。 (3)高齢者借上げ集合住宅  借上げ施設については、借上げ期間の満了を順次迎えるため、この間の施設運営状況等を踏まえ、高齢者借上げ集合住宅の供給のあり方を検討する必要があります。 14.学校教育施設(本編244ページ) (1)小学校 児童・生徒数の増加に合せて校舎等を増築してきた経緯もあり、校舎棟によって築年数が相違しているケースがあります。現在の校舎棟は、昭和30〜40年代に建築されたものが59校あり、平成35年度より順次、耐用年数である築65年を迎えます。全ての学校において耐用年数前に改築を行うには、現在までの年1〜2校の改築では対応できず、一方、年3校の改築では財政的に大きな負担となります。 学校施設等はこれまで事後保全による修繕・改修を行っているため、建物や設備の維持管理が適切な状態でない施設が多くあります。 情報化の進展や環境負荷の低減などの社会的要請や、災害対策機能、地域コミュニティの拠点機能、さらには区長部局の公共施設との複合化による、高機能化、多機能化が求められています。 学校給食は、子どもたちが日常的な生活習慣を身につける機会であり、食育の観点からも重要性が高まっています。他方、年々増加する食物アレルギーを有する児童・生徒へのきめ細やかな対応とともに性能水準の高い給食施設・設備が求められています。 (2)中学校 現在、中学校10校で給食調理施設が整備されていません(太子堂調理場または他の中学校から給食を搬送)。そのうち太子堂調理場搬送7校については、調理場施設の耐用年数を踏まえた自校調理化等の計画を定める必要があります。 ※上記以外の課題は小学校欄に記載 (3)幼稚園 区立幼稚園は、女性の社会進出や就労形態の多様化、乳幼児人口の増加など社会状況の変化等を踏まえ、幼保連携型認定こども園へ用途転換を図る必要があります。 (4)その他の教育施設 【河口湖林間学園】 河口湖林間学園は、施設及び移動教室事業のあり方について、今後検討する必要があります。 【ほっとスクール】 ほっとスクール「城山」は旧城山幼稚園を活用しており老朽化しています。 ほっとスクール「尾山台」は地域体育館内に設置されており狭あいです。 定員超過の状況が続いています。 砧地域及び烏山地域の児童・生徒にとって通室が不便です。 区立小・中学校の不登校児童・生徒の増加により、適応指導教室としての機能拡充を含めた施設拡充の必要があります。 【教育相談室】 世田谷分室は、区借上げ施設内にあるため、移転も視野に入れて配置等を検討する必要があります。 教育相談、就学相談、不登校対策などニーズの高まりに対応する必要があります。 【学校給食太子堂調理場】 給排水管の劣化や厨房機器の不調など、施設・設備の著しい老朽化が進んでおり、安全で安心な給食を提供していく上で多くの問題があります。 用途地域上の制約から、現状では、改築することが困難な状況にあります。 太子堂調理場からの給食搬送校である7校は、直ちに給食室を設置することが困難であり、また、学校改築時の給食提供が今後とも必要となることから調理場の機能を存続する必要があります。 太子堂調理場の耐用年以降における学校改築時の給食供給方法を検討する必要があります。    15.その他の施設(本編275ページ) (1)保健センター・診療所等 子ども初期救急診療所、子ども休日夜間薬局は、待合室が手狭なため、混雑時の利用に課題があります。 休日・夜間の初期救急医療体制について、区民の健康と利便性向上を図る観点から、あり方を検討する必要があります。 世田谷区口腔衛生センターは、設備面で障害者に配慮していますが、大型の電動車椅子の対応等に課題があります。 (2)職員住宅 災害時の必要な人員確保も重要な役割であり、一定程度の確保が必要です。 職員住宅の内訳は、約85%が独身住宅、約15%が家族住宅です。また、約85%が民間アパートの借上げ施設で、約15%は区が保有する施設です。家族住宅の入居率が減少していることなどを踏まえ、職員住宅のあり方について検討する必要があります。 (3)公衆便所 利用や老朽化の状況を踏まえ、適切な維持管理を行う必要があります。 面積や構造等の制約から洋式便器の設置が困難なトイレがあります。 (4)倉庫 青葉橋プレハブと衛生資材倉庫は、隣接する敷地に建物が分散しているため、施設の老朽化の状況を踏まえ、効果的な配置を検討する必要があります。 (5)その他の施設 【青葉橋材料試験室】 青葉橋材料試験室は、施設の老朽化の状況を踏まえ、今後、併設している施設と合理的な利用方法等の検討が必要です。 【FM放送局(エフエム世田谷)】 スタジオや緊急時の放送設備がある建物は、災害時の情報収集の拠点となる区役所本庁舎からは距離が遠く、区民への情報発信を円滑かつ迅速に行うため、立地について移設も含め検討する必要があります。 【なかまちNPOセンター】 全区的に増加しているNPOに対して、利用できる事務室数が限られていること、交通不便な立地であること、および貸事務所の入居率も不安定であること等により拠点づくり機能の効果が薄れてきています。 【起業・創業支援施設(世田谷ものづくり学校)、世田谷若者総合支援センター】 施設の老朽化を踏まえた、改修時の事業運営や施設の継続利用について検討を行う必要があります。 世田谷若者総合支援センターは、改修等で施設が使用できない場合には代替施設が必要です。   世田谷区公共施設白書2017 編集・発行  世田谷区施設営繕担当部公共施設マネジメント推進課 〒154-8504 東京都世田谷区世田谷4−21−27 TEL03-5432-2608 FAX03-5432-3044 http://www.city.setagaya.lg.jp/ 発行日 平成29年3月 広報印刷物登録番号 1465