世田谷区未来つながるプラン2022-2023(実施計画) 概要版 令和4年3月 世田谷区 第1章 計画の策定について 計画の位置づけ これまでの取組み 基本計画の実現に向けた具体的な取り組みを示す計画(実施計画)として、「新実施計画」を策定 新型コロナウイルス感染症による影響を鑑みて策定した「政策方針」に基づき、政策課題の優先順位を整理し、あらゆる施策の本質的な見直しを推進 本計画の位置づけ 「政策方針」を踏まえながらも、これまでの計画の継続ではなく、コロナ禍により大きく変化する社会状況を踏まえ、次期基本計画につながる計画として策定 「まち・ひと・しごと創生法」に基づく「第2期世田谷区総合戦略」として位置づけ、一体的に管理 計画期間 計画期間は、令和4年度〜令和5年度の2年間 第2章 策定の背景 社会状況の変化 1 新型コロナウイルス感染症の影響 社会全体の価値観や行動の変化への対応や、持続可能な行財政運営の確保、事務事業の見直しを進める 2 大規模自然災害の発生(気候危機) 気候危機により激甚化・頻発化する災害から区民を守るため、さらなる防災・減災の取組みを強化するとともに、気候変動を緩和する取組みを進め、安全で災害に強いまちづくりを実現する 3 SDGs(持続可能な開発目標)の推進 自治体レベルでもあらゆるステークホルダーと連携した分野横断的な取組みが求められている 東京2020大会を契機とした「共生のまち世田谷」の実現の取組みを、レガシーとして継続する 4 人口トレンドの変化 今後の人口構成の変化にも対応するため、新たなにぎわいや魅力の創出により、自治体として持続的な成長を遂げる必要がある 5 高度情報化社会の到来とデジタル・トランスフォーメーション(DX) 先端技術を積極的に活用し、急速に変容する区民生活に応じた新たな行政サービスの構築や業務の効率化、区民視点での改革を進め、新たな時代を切り拓く世田谷区へと変革していく必要がある(Re・Design SETAGAYA) 6 地域における関わりの多様化 地域行政制度を基軸に、より住民に身近できめ細やかな施策を展開し、誰もが互いに支えあい、安心して住み続けられる共生社会の形成に向けて取り組むことで、持続可能な住民自治を実現する 将来人口推計 平成29年7月に、「新実施計画(後期)」の策定に併せ、人口増加が継続する仮定で推計を実施 平成29年以降の区の人口は推計値を下回って推移し、さらに転入超過の減少など、コロナ禍によるトレンドの変化により推計値と実績値の乖離が拡大 コロナ禍における人口動向を踏まえ、令和3年7月に将来人口推計の補正を実施 推計結果 令和4年に人口減となるも、その後は増加に転じ、年0.4%程度の増加傾向が継続 令和13年の区人口は948,302人に達すると推計(令和3年比:約28,000人増) 中長期的な増加傾向が緩やかに 課題・展望 保育や介護など、今後の福祉サービスの需要の見極めが必要 生産年齢人口の維持や年少人口の増加を図るなど、人口構成のバランスを重視した施策展開により、持続可能で魅力ある世田谷を創出 財政見通し 今後2年間の財政見通し(令和4年1月時点修正) 財政見通し 令和3年9月に公表した今後5か年の中期財政見通しについて、令和4年度当初予算案を踏まえ、現時点における歳入見込みや必要経費等を反映し、今後の区の財政見通しの修正を実施 次期基本計画の策定に向けて 新実施計画の振り返り 基本計画で掲げた目標に向けて、新実施計画に事業を位置づけて取組みを推進(例:保育待機児童の解消、保健医療福祉の拠点「うめとぴあ」の開設) 基本計画策定後に顕在化した課題に対しては、新実施計画を見直すことで対応(例:世田谷版ネウボラの推進、世田谷区児童相談所の開設) マッチング、参加と協働による推進 デジタルを活用して、多様な参加と協働、さらなるマッチングの推進 基本計画で掲げている「協働」や「連携」を土台に、さらにその先も見据え、新たな世田谷を創造することでさらなる発展を目指す 次期基本計画の検討にあたって 具体的な政策や施策検討にあたっての視点 「コロナ禍からの復興」 例:緊急時対応、グリーンリカバリー 「誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができる社会」 例:超高齢社会への対応、気候変動の緩和と適応、災害に強いまちづくり、「共生のまち世田谷」の実現の取組み 「地域コミュニティ」 例:地域行政の推進、居場所づくり 「子ども・若者支援と教育の充実」 例:児童館、切れ目のない子育て支援、ICT活用 「持続可能な循環型社会」 例:カーボンニュートラル、グリーンインフラ、持続可能な地域経済、多様性、SDGs 「新たな自治体経営」 例:DX、官民連携手法による公共施設、持続可能な行財政運営 ※その他、つながるプランにおける施策の状況や、コロナ後の社会状況等も踏まえて、総合的に検討 第3章 4つの政策の柱に基づく取組み 基本的な考え方 政策の柱1 高齢者・障害者をはじめすべての区民の健康と生命を守る 政策の柱2 区民・事業者の活動を支え地域活性化を図る 政策の柱3 子ども若者の学びと育ちの支援 政策の柱4 コロナ後を見据えた持続可能な社会の実現 次期基本計画へ 次期基本計画につなげていくために、4つの政策の柱を設け、施策を推進 4つの政策の柱に位置づける施策の考え方 位置づける施策 新規条例の制定など、大きな動きがある施策 次期基本計画でも重要な位置づけとなることが想定され、今後2年間に重点的に取り組む必要がある、組織横断的連携や区民・事業者等との参加と協働により推進する施策 位置づけない施策 分野別計画に位置づけられている施策(左記の条件に該当する重要な取組みは除く) 施設整備等のハード系事業 ※新型コロナウイルス感染症対策の施策は、時期を捉えて柔軟かつ機動的に対応する性質であるため、本計画には位置づけない SDGsの推進 人権の尊重とジェンダー主流化の視点をもち、参加と協働により経済、社会、環境の側面から取り組むことで、ウェルビーイングの向上を図り、「誰一人取り残さない」包摂的な社会の実現を目指す 施策体系 4つの政策の柱に位置づける施策について、「政策の柱-施策-事業」の体系に整理 施策ごとに「目指す姿」「施策を構成する事業」「取組みの方向性」「実現に向けた取組み(行動量)」「成果指標」を設定 政策の柱(基本的考え方)-施策(政策実現のための方策)-事業(施策実現のための具体的取組み) 指標設定 指標の設定にあたり、ロジックモデルを活用 成果指標は、最終目標に近づくほど外的要因によって左右されやすくなるため、計画期間も考慮し、行動量の成果や影響が直接的に生じる「直接的アウトカム」を成果指標として設定することを原則とする。 ※直接的アウトカム:活動の結果として区民・事業者等の対象に与える直接的な効果 1 活動(行政サービス・事業) 2 活動アウトプット(活動による結果)-行動量 3 直接的アウトカム(活動の結果として対象に生じる直接的な効果)-成果指標 4 中間的アウトカム(最終目標達成のために、中期的に達成すべきもの) 5 最終的アウトカム(長期的に達成を目指す姿) 政策の柱1 高齢者・障害者をはじめすべての区民の健康と生命を守る 施策1 地域防災力の向上 施策2 安全で災害に強いまちづくり 施策3 ひきこもり支援の推進 施策4 「世田谷区認知症とともに生きる希望条例」に基づく認知症施策の総合的な推進 施策5 障害者の地域生活の支援 施策6 区民の健康の保持増進と健康危機管理体制の強化 施策7 住み慣れた地域で安心して住み続けられる居住支援の推進 政策の柱2 区民・事業者の活動を支え地域活性化を図る 施策8 地域行政の推進 施策9 高齢者の地域参加促進 施策10 持続可能な地域経済の基礎づくり 施策11 知と学びと文化の情報拠点としての新たな図書館の創造 政策の柱3 子ども若者の学びと育ちの支援 施策12 支援を必要とする子どもと家庭のサポート 施策13 社会的養育の推進 施策14 ICT基盤を活用した新たな教育の推進 施策15 教育総合センターを拠点とした質の高い教育及び保育の推進 政策の柱4 コロナ後を見据えた持続可能な社会の実現 施策16 多様性の尊重 施策17 気候変動の緩和と適応に対応する取組みの推進 施策18 循環型社会形成に向けた3Rの取組みの推進 施策19 参加と協働による魅力ある街づくり 第4章 DXの推進 Re・Design SETAGAYAへのステップ(2年間の取組み) 1 行政サービスのRe・Designの取組み オンライン手続き 離れた場所から好きな時に電子申請や電子データによる手続きができる。 オンライン相談 離れた場所からでも職員と顔を合わせて、相談が可能になる。 キャッシュレス 現金以外にも様々な方法で支払いが可能になる。 デジタルデバイド対策 ICT機器の利活用による情報格差を生まない。 2 参加と協働のRe・Designの取組み 気軽な区民参加 いつでも、どこでも、誰でも区政に意見が言える。 コミュニケーションの多様化 区民や地域団体、事業者、行政などがそれぞれコミュニケーションをとれるようになる。  ニーズのみえる化 ニーズのみえる化によってEBPMの取組みや事業者提案型の地域課題解決を促す。 マッチングによる協働 マッチングにより地域活動に参加する機会を多様化する。 3 区役所のRe・Designの取組み どこでも繋がるネットワーク インターネット環境へのスムーズな接続や回線速度向上、事務用端末の利便性向上を図る。 コミュニケーションの活性化 チャットやフリーアドレスで他部署の職員とも連携でき、横断的なプロジェクトを生み出せる。 オンラインツール活用の拡充 全員がいつでも、どこでも、誰とでも繋がる。多様な選択肢でフレキシブルな働き方ができる。 庁内オープンデータ 必要な時に必要な情報を取り出せる。データ分析に基づいたEBPMの取組を実現する。 4 Re・Designを支える人材の確保・育成 STEP01 ICTツールの活用 STEP02 DXの成功体験 STEP03 マインドの変化 第5章 行政経営改革の取組み  行政経営改革10の視点に基づく取組み 自治の推進と独自性のある自治体経営の確立に向け、行政経営改革の3つの基本方針と10の視点により、行政経営改革の取組みを着実に推進 デジタル技術を活用する(検討を含む)取組み項目を明確化(DXマークを付記) 基本方針1 区民に信頼される行政経営改革の推進 1 自治体改革の推進 (1)自治権拡充、都区制度改革、地方分権改革 (2)自治体間連携等の推進(総合戦略) 2 自治の推進と情報公開、区民参加の促進 (1)地域行政の推進(再掲) (2)公文書の適正な管理・活用の推進 (3)情報公開・個人情報保護制度の見直し (4)情報公開の推進 (5)広報機能の充実 (6)広聴機能の充実 (7)寄附文化の醸成とふるさと納税対策の推進 3 世田谷区役所、職員の率先行動、職場改革の推進 (1)勤務時間の適正管理及びワーク・ライフ・バランスの推進、ワークスタイル改革 (2)DX推進を支える情報化基盤の強化 (3)保育園入園事務における勤務時間の適正管理に向けた取組み (4)ペーパーレス化の取組み及び本庁舎整備に向けた紙文書量の削減 (5)機能的な窓口の実現に向けた取組み (6)災害対策本部機能の充実 (7)区役所全体のエネルギー使用量の削減 4 執行体制の整備 (1)執行体制の整備と人材育成 基本方針2 持続可能で強固な財政基盤の確立 5 施策事業の必要性、有効性、優先度の視点やプロセス評価による見直し (1)行政評価の活用による事業の検証 (2)効果的な新公会計制度の運用 6 民間活用や官民連携によるサービスの向上とコスト縮減 (1)官民連携の取組み (2)魅力ある図書館運営・サービスの推進 (3)職員の給与・福利厚生事務の手法の見直し 7 施策事業の効率化と質の向上 (1)時代にあった業務改善の取組み (2)事業手法の見直しによる効率化 (3)補助金の見直し (4)庁有車の統廃合 (5)区立保育園の今後のあり方(「区立保育園の今後のあり方」による取組み) 8 区民負担等の適切な見直し (1)使用料・利用料の見直し 基本方針3 資産等の有効活用による経営改善 9 公有財産等の有効活用 (1)公共施設跡地の民間への条件付貸付、売却 10 税外収入確保策の推進、債権管理の適正化と収納率の向上 (1)区の刊行物・デジタルサイネージ等を活用した広告事業の推進 (2)ネーミングライツによる税外収入の確保 (3)区有地を活用した税外収入の確保 (4)公園を活用した税外収入の確保 (5)安全かつ効率的な公金運用 (6)債権管理重点プランに基づく取組み 外郭団体の見直し 外郭団体を取り巻く状況 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業運営や経営への影響 NPO等の公共サービスの担い手増加、民間事業者による公共的役割の高まり、官民連携手法の多様化 SDGsの推進、世田谷区におけるDXの推進 取組みの方向性 外郭団体を取り巻く状況の変化を踏まえ、外郭団体改革基本方針における5つの改革の取組み方針に基づき、区民サービスの向上とより一層の効率的・効果的な経営体制の確立を目指して11団体ごとに改革を進める 改革の取組み方針 1 外郭団体のあり方に関する見直し 2 外郭団体への委託事業に関する見直し 3 財政的視点・関与の見直し 4 人的支援・関与の見直し 5 中期経営目標の設定及び人事・給与制度の見直し 公共施設等総合管理計画に基づく取組み 世田谷区公共施設等総合管理計画(令和3年9月一部改訂)に基づき、持続可能な公共施設の維持管理の実現に取り組む 重点方針1 学校を中心とした複合化整備の推進 重点方針2 効果的・効率的な公共施設整備の徹底 重点方針3 既存施設の区民利用機会の更なる拡充 用語解説 SDGs 2015年9月に国連サミットで採択された国際目標であり、2030年を期限とし、持続可能な生活を実現するための17のゴールと、達成すべき169のターゲットから構成されている。「誰一人取り残さない」社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範囲な課題に対応している。 ステークホルダー 「利害関係者」のこと。区にかかわるすべての人を指す。 レガシー 東京2020大会を契機として、スポーツや文化、教育などの様々な分野で残っていく有形、無形の遺産のこと。 DX(デジタル・トランスフォーメーション) ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させること。 ネウボラ フィンランド語で「相談・アドバイスの場所」を意味する言葉。区では、フィンランドの取組みを参考に、「世田谷版ネウボラ」を実施し、妊娠期から就学前までの子育て家庭を切れ目なく支えるための、区・医療・地域が連携して相談支援する、顔の見えるネットワーク体制を構築している。 グリーンリカバリー コロナ禍からの復興にあたり、元どおりの生活状況に戻すのではなく、その復興に投じられる資金などを通じて、地球温暖化の防止や生物多様性の保全を実現し、新しい持続可能な社会を築く考え方。 カーボンニュートラル 2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること。全体としてゼロとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いた、実質ゼロを意味する。 グリーンインフラ 自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方。社会資本整備や土地利用等、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある地域づくりを進めるもの。 ウェルビーイング 直訳すると「幸福」(well-being)。個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。