第7回世田谷区基本計画審議会 議事録 【日  時】 令和5年3月14日(火) 午後6時30分~午後9時15分 【場  所】 教育総合センター 2階研修室 【出 席 者】 ■ 委 員  大杉会長、鈴木副会長、江原委員(オンライン)、汐見委員(オンライン)、中村委員、長山委員、森田委員、涌井委員、安藤委員、尾中委員、佐伯委員(オンライン)、下川委員、羽毛田委員(以上13名) ■  区   保坂区長、中村副区長、松村副区長、岩本副区長(オンライン)、渡部教育長(オンライン)、松村技監(オンライン)、加賀谷政策経営部長、片桐生活文化政策部長(オンライン)、舟波地域行政部長(オンライン)、田中保健福祉政策部長(オンライン)、畝目都市整備政策部長(オンライン)、知久教育総務部長(オンライン)、髙井経営改革・官民連携担当課長(オンライン)、箕田政策研究・調査課長、真鍋政策経営部副参事(計画担当) 開会 【大杉会長】  それでは、定刻になりましたので、第7回世田谷区基本計画審議会を開催いたしたいと思います。  本日も、お忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございます。  まず議事に入る前に、事務局より、本日の出席状況の報告と配付資料の確認をお願いいたします。 【真鍋副参事】  それでは、事務局より御報告をさせていただきます。  本日は、青柳委員、小林委員より御欠席の連絡をいただいております。また、江原委員、汐見委員、佐伯委員がオンラインでの御参加となります。  続きまして、配付資料でございますが、次第に配付資料一覧を記載してございます。御確認いただければと思います。不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。  資料1から4につきましては、議題の中で改めて御説明させてください。  参考資料1は、第6回基本計画審議会の傍聴者からの御意見・御感想となります。参考資料として共有を図らせていただければと存じます。  参考資料2は、2月24日に開催されました区議会企画総務常任委員会にて、本審議会の検討状況を報告した際に出された意見でございます。共有させていただきますので、議論の参考としていただければと存じます。  参考資料3でございますが、委員の皆様宛てに、3月1日時点での大綱(案)ということでお送りさせていただいたものを、参考資料としてお付けしているところです。  参考資料4は、基本計画大綱と来年度策定する基本計画との対応関係を表した図になっております。  参考資料5は、この間お示ししてきました区の基本計画策定の考え方でございます。  配付資料の確認は以上でございます。 1 基本計画大綱(案)について 【大杉会長】  それでは、議事に入りたいと思います。  今月の29日に開催されます次回第8回が、この審議会の最終回ということになります。そこでは審議会から区に対して基本計画大綱を答申することが予定されていますが、そう考えますと、次回につきましてももちろん議論の時間はあるんですけれども、今日は、最終案をいただきたいところでもありますので、皆様からの議論の出方次第では、もしかしたら若干お時間を延長させていただくこともあるかもしれませんが、その点はどうか御容赦いただき、本日の議論、会議を進めていただきたいと思います。  それでは、まず議題1、基本計画大綱(案)について、事務局から説明をお願いします。 【真鍋副参事】  それでは、事務局より、基本計画大綱(案)の修正箇所を中心に資料の説明をさせていただきます。  資料1は、第6回、前回の審議会での大綱(たたき台)に対する主な御意見を整理したものになっておりますので、御確認いただければと思います。  続きまして、資料2、こちらが基本計画大綱(案)となります。  1枚おめくりいただきまして、表紙裏面に記載しておりますけれども、原則として、前回の審議会で示した「大綱(たたき台)」から、先ほど申し上げました3月1日時点に委員の皆様に事前送付させていただいた「大綱(案)」、こちらでの修正箇所を赤字で記載しております。その後、委員の皆様から事前に意見をいただきまして、一部修正をしました。そちらを反映した箇所が緑字となっております。まずは、緑字を除く「大綱(たたき台)」からの修正箇所、つまり赤字になりますけれども、そちらについて簡単に説明します。  1ページを御覧ください。右上に囲みがありますけれども、1ページから3ページは、「計画策定にあたって」のうち、(1)と(2)は、赤字にしていないんですけれども、全て新たに追加した部分になっております。  前回、安藤委員より、憲法の前文のように、例えば、区民の方がそれを読めば、審議会の委員の方々がどんな課題認識を持って、どんな未来を目指しているかということを議論して、この大綱が出されたんだというようなことが伝わるような文章があるとよいといった御意見をいただきました。また、基本方針が抽象的であったがために、目指す姿とか目標とする像が見えないといった意見もいくつかいただきまして、これを受けて追加した項目になります。  (1)は、世田谷区をめぐる状況として、社会状況等の変化、それを受けて、重視すべき事項、だから持続可能な未来を確保する必要があるといった内容を記載してございます。  (2)は、目指すべき未来の世田谷の姿について、区民生活、地域経済、都市基盤、自然環境、自治体経営に分けて記載してございます。  併せて、資料3も一緒に御覧いただきたいのですけれども、こちら、先ほどの(1)社会状況、(2)目指すべき姿の文章を構成する要素を抜き出して整理した資料でございます。  この間、審議会にて委員の皆様からいただいた御意見が中心になっていると思いますけれども、どのような要素が含まれているかということで、大綱(案)と併せて御確認いただければと存じます。  新たに追加した項目になりますので、本日の議論では、特にこちらについて御意見を頂戴したいなと思っております。  資料2にお戻りいただきまして、5ページを御覧ください。前回、体系、構成について分かりにくいという御意見を多くいただいたかと思っております。  前回、中村委員から、5ページに記載の3つぐらいに整理してはどうかという具体的な御提案がございまして、ほかの委員の皆様からも、おおむね賛同いただいておりましたので、記載のとおり、3つに整理してございます。  基本方針の目指すべき方向性として、持続可能な未来を確保し、あらゆる世代が安心して住み続けられる世田谷をともにつくる、とした上で、今まで計画全体を貫く考え方としていましたけれども、計画の理念として、御議論いただいてきた6つを記載してございます。その後、政策と、計画推進の指針ということで、3つに整理したというところでございます。  6ページ以降に一部赤字の修正がございますけれども、こちらは後ほど御確認いただければと思います。  1点だけ、10ページを御覧ください。⑤の脱炭素社会の構築と自然との共生につきましては、第6回審議会終了後に小林委員からの具体的な御示唆をいただきまして、かなり大きく修正してございますので、御了承いただければと思っております。  以上、「大綱(たたき台)」からの修正箇所となります。  続いて、最後に、資料4を御覧ください。これは3月1日時点の大綱(案)に対して、委員の皆様よりいただいた御意見になります。  小林委員、羽毛田委員よりいただいた意見につきましては、一部御意見を受けまして、資料2として修正をしております。  涌井委員からいただいた意見について、4ページ以降にお付けしていますが、資料送付に間に合わなかったこともございまして、修正までは至っておりません。本日の審議会で御議論いただきたいと考えております。  説明は以上でございます。 【大杉会長】  ありがとうございます。  それでは、議論に入りたいと思います。  今、事務局からの御説明もありましたが、3名の委員より既に御意見をいただいています。まず、次の会議があるため、19時過ぎには出なくてはいけないということですので、涌井委員より、資料4の意見について御発言いただけますでしょうか。 【涌井委員】  ありがとうございます。大変勝手なことでございますが、単発で国のほうもいろいろ委員会があって、何重にも組み立てられていまして、伺わなければいけないものですから、大変失礼いたしました。  私はこの資料2を拝見して、小林委員の御議論にはかなり共鳴しておりまして、小林委員の受け止めが赤字で修正されているところを拝見しますと、大変ベーシックなものができたのかなというような印象を持っております。  資料の中にも書いてございますように、今までの行政というのは何かというと、区民、つまり、「私(わたくし)」に対する行政サービスの質量の水準みたいなものを議論するということが非常に多かったんですが、今回の議論というのは、非常に熟議を重ねて、私にとっても非常に新鮮で、専門分野以外のところでも明確になってきたわけであります。行政任せという結果を可能な限り避けて、区民自らが積極的にどうやってシビルミニマム的な水準というのを共通解にしながら、どうやってこの辺に関与していくのかという形が、少しずつ出てきたのかなというふうに私は考えております。  区民自らが積極的にかかわりを持ち、経済的要素以外の相互の扶助の仕組みがこれから求められると思います。  というのも、成長という方向を地球環境と見合わせて考えてみると、必ずしも成長は正義ではない。成熟した社会をどうつくるべきなのかという論点が非常に必要です。としますと、今までの行政計画というのは、横に重ねて並べていくわけです。言ったら、レイヤーが非常に重要です。世田谷区のレイヤーというのは、成長から成熟への方向の中で、区民のシビルミニマムをどのように水準を設定して、なおかつ、それに対して区民自らがどう行動していくか。こういう組立がないと、本当の意味での参加と協働は成し得ないだろうと思います。  それを解釈いたしますと、大変僭越なのですが、ベーシックにあるのは、もうプラネタリー・バウンダリーという、地球環境の限界が近いんだよと。こういう認識の中で、世田谷という地域が持っているポテンシャリティ、自然の特質みたいなものを明確に区民が意識しながら、これを様々な、Nature-based Solutionsというのは最近のはやり言葉でございますけれども、社会的共通課題を、まず自然に返して一度解釈をしていこうと。これは昨年12月のモントリオール区民議定書の大きなポイントであります。  そういう考え方に従って、レジリエンスな社会をどうやってつくっていくのか。災害がレジリエンスだけではなくて、お互いにゲゼルシャフト的な考え方ではなくて、ゲマインシャフト。つまり、ゲゼルシャフトというのは利益共同体でありますから、利益の交換がベースにある。ゲマインシャフトというのは、地縁共同体です。その土地、自然というもの、あるいは、この空間というのに一緒に生きているという原資をどうやってコミュニティに反映していって、「公共私」が今「公共」と「私」に分けられちゃっていますけれども、「公共」の中から「共」をどうやって独立させて、それを区民の力で、いわゆるコミュニティ、コモンズという、そういう一つの観点から、区民自らが参加して協働して、それで社会をつくっていくという方向が非常に重要なのではないか。  では、その究極の目的は何かと言えば、ワンヘルスということをこの間も申し上げて、中村先生の御意見も伺ったんですけれども。これまでは個人が健康であればという観点だけがWHOでの議論だったんですが、最近では、個人の健康であるためには地域が健康でなければいけない。地域が健康であるということは何かというと、イグザクトリー、ライフということですね。地球環境が健康であるという、こういう一つの考え方。こういう考え方に従って、いわゆるウェルビーイングな世田谷をどう実現するのかということが非常に重要なのかなと。  そこに書かれていないのは市民協働、区民協働。「公」に任せるだけではなくて、「共」自らがどのようにそれに働きかけるかという、そうした行動が非常に環境の面からいっても、あるいは、このベーシックな世田谷の自然特性という面からいっても非常に重要だと。それが、例えば、グリーンインフラの話でありますとか、様々な話、あるいは、安心安全というような、非常に重要なところであります。  ところが、これがまた難しいことに、地縁共同体というのは、ある種のシンボリックな要素というのが非常に重要なんですね。例えば、二子玉川、あるいは、下北沢がよりよいというような形で、自分たちの共同体のイメージが集約できるような、そうしたものがないと、なかなか議論が分散しちゃうということもあり得るわけです。  もう一つ考えていかなければいけないのは、次の計画の中で議論していってほしいなと思っていることは、この間も申し上げたように、三軒茶屋の問題です。この三軒茶屋の問題というのは、実は、世田谷区だけではなくて東京都全体の安全に関わる話です。それからもう一つ、全然別な観点から言えば、成城と烏山、この地域の残されている都市農地や、あるいは、交通の不便さというものについて、どういう解決の仕方をしていくのかというようなところをしっかり考えて、ここから地球環境から世田谷の環境、そして、世田谷の自然、そして、その中で、組み立てられるべきシビルミニマム、そして、その目標のウェルビーイングを達成するために、行政と区民が共に行動し協働していくという、こういう主題と、それから、象徴的な世田谷区の場所、解決しなければならない場所を明示して、具体的な世田谷区の都市像というものをみんなが共有できればいいなと。  都市像が共有できないと、一体ここは何区なんだということがはっきりしてきませんので、そうしたイメージも共有できればいいなというのが私の意見でございまして、この基本計画大綱というのは、まさにそういう意味で、そういう方向への基礎の基礎となっているわけで、今回赤字で訂正していただいた部分を拝見しますと、かなりそれに近い様子が見えてきたということで、私としては安心をしているというのが今日の意見でございます。  長くなり、すみませんでした。 【大杉会長】  ありがとうございました。  涌井委員の御意見ですけれども、それに対して何か皆様のほうから御意見等ございますでしょうか。  今お話しいただきましたけれども、基本的には、都市像を明確にして表明していくということが大切だということで、今日の大綱のほうにかなり反映されてきたということでよろしいというようなお話でした。ありがとうございます。  また何かありましたら、御意見いただければと思います。  それでは、続きまして、資料4の内容につきまして、羽毛田委員より御説明と御発言いただけますでしょうか。  続きまして、小林委員が本日御欠席ですので、事務局から小林委員の御意見と、お二人の御意見を踏まえて修正した箇所について、併せて説明をお願いしたいと思います。  羽毛田委員からお願いします。 【羽毛田委員】  区民委員の羽毛田でございます。  事前に提出した意見につきまして、一部反映していただいているかなと思いますが、「世田谷区をめぐる状況」について、マクロ的な課題認識が多いなというのを感じたので、世田谷区ならではの実情とか課題というのを記載していただいたらよかったなと思っています。特に町会・自治会の加入率低下とか、何度か議論にも上がっていましたし、統計的にも明確な課題なので、ぜひ記載いただきたいということです。  2番目の「目指すべき未来の世田谷」について、これもフラットに読んでみた感想に近いところではあるんですけれども、住んでいる人向けのメッセージが中心になっていたかなと思っていて、世田谷区の特徴の一つで、単身世帯が多い、半数以上であるというのは、この傾向もしばらく続くのかなと想定をしたところで、外の人々への魅力をきちんとアピールできるような、選ばれる世田谷というようなところも、目指すべき未来としてあるのかなと思います。こちらも3番と1番のところで、この辺、文言としては修正していただいたというふうに理解しています。  3番目のところは、コメントを後でいただければということなんですけれども、子ども・若者が住みたくなるまちを目指すというところの記載についてですが、前段のところ、働き手が住むまちという側面もあるのかなと思って、その「若者」というのがどこの範囲を指すのかというのが分からなくて、30代の単身世帯も含むのであれば、そういう単身の若者にもアピールとしているのかなと読めたんですけれども、普通に読むと、中学生、高校生、大学生というふうに読めたので、ここはご説明いただけたらありがたいと思っています。  最後のところですけれども、消費と生産の近接度が高い「住民都市」というのは、世田谷区の特徴なのかなと思っていて、それに比べると、ちょっと地域経済とか産業人口予想みたいな記載が少なめで、もったいないなと思っているので、世田谷区の地理的特徴を活かしたような点は本来はもっと強く打ち出してもいいのかなと思っています。  まず、このようなところでございます。 【真鍋副参事】  では、事務局より、小林委員が本日欠席でございますので、小林委員からの御意見と、お二人の御意見の結果、修正箇所等を説明させていただきます。  資料4の1ページを御覧ください。小林委員からの御意見をいただいておりまして、全体としては、これまでの審議の結果をよく反映してくれているという声もいただいておりますが、幾つかのコメントございます。  (1)でございますけれども、先ほど説明させていただいた、「策定にあたって」前文を置くことは賛成であると。  一文が長いという御指摘がその後に続きます。そこにつきましては、資料2の大綱(案)の緑字、ちょっと長いですけれども、中段5~6行かけているところですけれども、ちょっと文章を分割するということで修正させていただきました。  その後、多様性の尊重の御意見があります。こちら、(3)で詳しく御説明させていただきますので、(2)のほうに移らせていただきますが、(2)ですけれども、大綱(案)4ページ下段の基本計画の体系のうち、一番下でございます。「計画推進の指針」という言葉を使っているんですけれども、こちらについて、「計画は推進するものではないのでは」ということで、「計画実行の指針」としたでよいのではないかという御意見なんですね。こちらについては、ほかの委員の意見も聞きたいなということで、修正はしていないところでございます。後ほど御意見をいただければと思います。  続いて、御意見の(3)です。大綱(案)7ページ、「計画の理念」のうちの「多様性を尊重する」というところですね。こちらの部分なんですけれども、「多様性を尊重する」というところに留まらず、「多様性を尊重し、発揮を容易にする」とか、こういった表現がよいのではないかという御意見です。  この考え方の根本にあるのが、「多様性こそ価値であり、意味がある」というところに基づいた御意見となっているんですけれども、多様性という言葉に対しては、区民が持っている共通認識と小林委員の言うような多様性、イコール個性に近いのかなと思うんですけれども、そこが共通認識に立てるかを含めて、こちらの表現についても、本審議会での御意見を聞きたいなということで、今の時点では修正していないというところでございます。  続きまして、意見の(4)でございます。資料4の2ページの(4)でございますけれども、大綱(案)10ページを併せて御覧ください。⑤の脱炭素社会ということで、赤字が多いところに、1つ緑字がありますけれども、「行動変容を支える基盤として、ルールというものを明示すべきだ」ということで、ご意見を反映しているところです。  続いて、意見の(5)でございますけれども、「九つのビジョン」というものが、大綱(案)で言うところの11ページ、「分野別政策」の説明の中で初めて出てくるということで、説明文の修正案と「九つのビジョン」をここに掲載してはという御意見をいただいております。文言については、大綱(案)11ページを修正したところです。  大綱(案)の4ページを御覧いただきまして、実は、ここにも先ほどの分野別政策の説明がございまして、「九つのビジョン」はここで出てくるということもございまして、注記というよりは、上段に少し書かせていただきました破線囲みの中で、基本構想に定める「九つのビジョン」、こちらに置かせていただいたというところでございます。  続きまして、羽毛田委員の御意見による修正につきましては、資料4の3ページ、先ほど御説明いただいたところでして、併せておっしゃっていただいたかなと思いますけれども、(1)の「世田谷区をめぐる状況」、中間層の分断については、少し分かりやすいように、格差の広がりということで、大綱(案)の1ページのとおり修正したり、マクロ的だというところで具体例をというところについては、下の区民生活についてのところに、「地域コミュニティの分断」というような言葉もあったことから、少しこちらのほうで具体的に反映したというふうな修正をしています。  (2)についても、先ほど羽毛田委員から御説明があったので、このとおり修正したというところです。  (2)の2段落目、「若者」の定義ですけれども、第5回のときに森田委員からも御発言いただいたとおりですけれども、世田谷区では39歳までを若者と捉えて、様々な施策を展開しているというところで、「若者の活動と交流の推進」という積極的な部分と、少し生きづらさを抱えた方へのひきこもり対策とか、そういったものを含めて、39歳を若者としてずっとこれまでやってきており、若者の定義としています。なかなかひきこもりという問題はそのまま長く続いてきたので、39歳までをターゲットとしてきたものから、今度は8050問題とか、そういったものに移行しつつあるというところで、いろいろと施策を分野横断的にやっているところではありますけれども、一応39歳ということで、単身世帯も含めて考えていくことをやっていくべきということで、今回書かせていただいています。  4番目といいましょうか、一番下、消費と生産の近接度が高いという御意見をいただいています。ここは、これまで使ってきた「職住近接」、長山先生からは「職住一体」という言葉もいただいているんですけれども、この「職住近接」と「消費と生産の近接」という、これは異なる概念だなというところもございまして、こちらも併せて審議会で御意見を伺えればなと思って、修正まで反映していないというところです。  御説明は以上でございます。 【大杉会長】  ありがとうございます。  それでは、先ほど事務局からの説明がありましたとおり、大綱(案)の中には、「計画策定にあたって」の1ページから3ページ、この部分はたたき台から新たに追加された部分だということになるわけですけれども、まずこの部分を先に議論させていただきたいと思います。  まず初めに、資料4のほうで、ただいまも御発言いただきましたけれども、羽毛田委員の御意見で、消費と生産の近接度が高い「住民都市」であるということが区の特徴だという御意見がございました。この点につきまして、先に議論させていただければと思っています。  この点に関連しまして、産業経済関係でありますので、専門分野に近い長山委員にぜひ御発言いただければと思うんですが、いかがでしょうか。 【長山委員】  私としては、大綱(案)のとおりでよろしいのではないかと思います。  これまで「職住近接」ということで言われていましたけれども、それは生活としての「住」と、仕事としての「職」というところの話で、それがコロナ禍において、日常的な生活の中でリモート等のワークが入り込んできているので、そういった意味で、職住が一体なんだということ。これは特に大都市、さらに言うと、世田谷区の一つの特徴だと思うのです。住宅都市というようなこともありますので。ですので、大綱(案)のとおりでよろしいと思います。  「消費と生産の近接度が高い」というのは、これは世田谷区に限った話ではなくて、いわゆる市場経済の中においては、消費があり、生産がありというところで、そういったものをつないでいくというところがあるわけなんですけれども、最近はプラットフォームビジネスにも象徴されるように、消費者が小商いをして、生産者となるような、そういった面で、恐らく消費と生産の概念自体が曖昧になっていると。まさにVUCAの時代なんだけれども曖昧性の時代というのがその中に入っていますけど、これは消費と生産というところが、担い手が曖昧になってきている。誰でもが生産者になる。資本家だけではなく、大衆までが生産者になれる。ただこれは市場経済のありようが変わってきたということで、それはまさにデジタル化の話でそれは進んできたような話なのです。文脈からすると、住民都市であることという、いわゆる世田谷区の特徴というところで言うと、若干齟齬がある感じがします。  ですので、「住」と「職」、「職住」というところでよろしいのではないかなと思います。つまり、大綱(案)のままでよろしいのではないかなというのが私の意見です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  突如振ってしまって恐縮でしたけれども、この点、羽毛田委員、いかがですか。 【羽毛田委員】  羽毛田でございます。御意見いただいてありがとうございます。  こちらで書いたことは、自分の仕事で、新規事業開発みたいなところをやっているんですけれども、そうした意味での開発が常に一番難しい課題で、何か新しい事業をするときに、今、世の中で売れるような人をつくりたい、そのときに、本当に正しい人に正しい前提の情報を与えて、きちんと正しい質問をしたときに、初めて正しい商品開発のためのビルドアップが得られるもの。そのときに、人口も多く、多様な世代が住んでいる世田谷で、そういうことがやりやすいのではないか。産業、開発するすぐそばに良質な消費者がたくさんいるという。同じ目線で、消費と生産というのも曖昧になっていると言っていただいたとおり、消費者も共にやりやすい土壌があるのではないかなということを感じて、こういうコメントをさせていただいています。なので、一人の人が職住近接で、働き方も変わってというのとはちょっと違う文脈でしたが、いただいているのは分かります。  基本的に、住民都市とか書いていたので、そのことによる認識は、全体的に書けなければ、これを絶対入れたいというわけではないので、世田谷区の特徴というところがあって、それを書こうとすると、区民、良質な消費者が近いところで産業振興しやすいだろうというふうに、自分の経験からも思った次第です。 【大杉会長】  今、住民都市とか、あるいは、住宅都市なんていうのもいただいてはいますけれども、大綱のほうでも、区民自身も産業振興の時代に、先ほど長山委員からもいただきましたけれども、そこにちょっと通底しているところはあるんですけど、今言われたところは、そういうような環境の中で事業をしていくというニュアンスは、どう仕切ればいいんでしょうね。 【羽毛田委員】  住民による参加がひとつの姿かなと思っていて、開発をするだけではなく、近くで何か開発の話をしようというときに、きちんと意見を聞いています。共に良いものをつくろうとするというようなことの一つの具体例なのかなというように。 【大杉会長】  この2ページの地域経済についての中でも、起業家の輩出や育成を支える基盤づくりとありますが、この地域の中でというところがもうちょっとニュアンスとしてあると、今言われたことに近いのかなという気がしたんですが、そういう理解でよろしいですか。 【羽毛田委員】  そうですね。地域の中で産業をつくろうと頑張っている人、担い手として活動しようとしている人もいる。それを消費者の方が黙って待っているのではなくて、きちんと応援する、意見を伝えてあげる、そのようなコミュニティになるといいかなと思っています。 【大杉会長】  なかなか微妙なところになるんですけれども、思いとしてはよく分かりましたので、そこは工夫させていただけるような受け止めが出ればと思いますので、このまますぐこうだという修正にはならないかと思いますが。  長山委員。 【長山委員】  先ほど小林委員の意見のところでも、多様性のところの話があって、ただ尊重しているだけではなくて、発揮をするという話があったと思うんですけど。産業に関しては、大綱の10ページの一番下のところに、私も気に入っている文章なんですけど、世田谷は人口が多いということで、多様な人がいて、多様な地域課題があるので、だから、ビジネスチャンスが生まれるんだ。ということで、創業なり、フリーランスの方たちも含めた担い手の活躍の場があるんだという文があって、それは先ほど羽毛田委員の言いたかったことは、割とここに反映されているのものと思っております。 【大杉会長】  よく分かりました。  では、この10ページのところで受けているということで、2ページのほうでも反映できる余地があれば考えさせていただきますけど、基本的には、そういうことでよろしいのかと。ありがとうございます。  それでは、どうぞ。 【森田委員】  1ページの世田谷区をめぐる状況のところもそうなんですが、小林委員がお書きになったところの多様性というところと、外国につながるという言い方で表現がされているんですが、それを多文化と書き込むか、あるいは、いろいろな文化という言い方のほうが分かりやすいと思います。  つまり、宗教にしても、文化にしても、多くの国々、外国とつながる方たちがいらっしゃれば、文化がそこの中にある。そうした文化をも包み込んでいくような世田谷区のまちというような視点が、全体に弱い気がします。  多様性だけでは、それは表せないと思います。それは、外国につながるだけではなくて、例えば、子どもを育てる人たちの文化、高齢者の文化であるというような、それは価値とか、生き方というところにもつながるのかもしれません。多様な文化が世田谷区に存在できるというようなことがないと、様々な形で外国とつながる方たちが、多数出入りされる社会になっているときに、その視点が弱いのではないかと思います。そこで、この多様性のところに、具体的には多文化をキーワードとして入れてみるとどうだろうかと考えました。  以上です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  文化という言葉は確かに出ているんですけれども、やっぱり一般的な文化・芸術とか、文化地域性とか、一般的な言い方をされていないという点があろうかと思います。そこに多様性との関係で多様性の言及に文化をいれるかどうか、というところを関連づけてという御提案だと思いますが、関連して何か御意見等いかがでしょうか。  中村委員、どうぞ。 【中村委員】  意見ではなくて、質問なんですが、「外国につながる」という言い方が、僕は不勉強で聞いたことがないんですが、これが確立している言葉なのか、あるいは、世田谷区の用語なのか、その辺を教えていただければと思います。私も外国につながっていると思っているんですが、外国につながるというのはどういう点になるんですか。つながるというと、スパイみたいな、そういうふうな感じなので、配慮しているようで、かえって変な誤解を生むのではないかと。よろしくお願いします。 【真鍋副参事】  外国人とか、国籍だけではなく、例えば、アメリカで育って、こちらに来て、言葉がしゃべれない子も含めて、ハーフで国籍はあるけれども日本語ができない子というような、いろいろあって、ほかの計画では、外国にルーツがあるとか、そういう言葉を使ったりしているんですけれども、外国籍、外国人ということではあまり使っていなかったかなと思います。  外国とつながるというのは、江原先生からいただいた言葉で、多分こちらは、例えば、外国にルーツがあるということに近い概念で使われていたのかなということで、この言葉を生かしているというのが今の状態でございます。 【大杉会長】  江原先生、では、よろしくお願いします。 【江原委員】  外国につながるという言葉というのは、この分野ではよく使われております。決して特異な言葉ではなくて、世田谷区固有でもございません。事務局から御説明ありましたように、国籍と、それから、身体的形、皮膚の色とか人種とかという問題と、それから、文化という問題は大変入り組んでおりまして、日本国籍でも、例えば、海外でお育ちになった方でも、母語が日本語でないとか、そういった問題で大変苦労されている方もいらっしゃいますし、逆に、日本に長く住まれていて、外国籍だけれども、母語としたら、文化は日本の文化だみたいな方もいらして、そういう方には、またそれぞれ固有の悩みがございます。  それぞれ非常に複雑に入り組んでおりますので、それらの方々全てに関連して、それぞれ固有の問題というのを十分配慮した様々な施策というのを、多文化共生といったような領域の審議会、私もその中の一つをやっておりますけれども、そういうことをお考えになっていただいておりますので、この表現については、ここでは特に問題はないかと私は思っております。 【大杉会長】  ありがとうございます。  比較的最近よく聞くようにはなってきたんですが、まだまだ一般には浸透している言葉とは言えないかとは思いますので。 【江原委員】  外国籍と言うと、ちょっと限定過ぎるんですね。日本国籍でも問題を抱えている方ってかなりいらっしゃいますので、籍の問題だけではないんですね。 【大杉会長】  ありがとうございます。  この今の言葉もそうなんですけれども、それ以外にも、この大綱の中には、一般の区民の方がお聞きいただくと、にわかには分かりにくいものであるとか、言葉の意味はそのまま取ろうと思ったら何となく分からなくはないけれども、あるいは、誤解されてしまうかもしれないけれども、今の外国につながるというのは、比較的最近よく言われ出している言葉なので、注をつけるなりして、補足をする必要はあるかなと思いますが、ただ、より適切な表現であるとか、あるいは、ここではということでもし御提案があれば。 【中村委員】  「外国につながる」ことというのは、英訳するとどうなるか、参考までに教えてください。 【江原委員】  今すぐは出てきませんけれども、日本では相当よく使われている言葉だということは存じております。様々な書物の中で、日本語の書物の中で使われております。  だから、ルーツを持つみたいな、ルーツを持つということがきっと絡むのか、ただ、ルーツだけではございませんので、なかなかそれが難しいですね。今最初におっしゃっていただいたように、説明をつけるということが必要かなとは思います。 【中村委員】  ですので、英語で訳すとどうなのか教えてください。後で結構です。 【江原委員】  それも含めて、注にするということが必要ですね。了解しました。お願いします。 【大杉会長】  ほかに何か。どうぞ。 【松村副区長】  松村です。  今の議論と別なんですが、7ページの④、多様性を尊重する、この2行目の表現なんですけど、多様性を尊重するところで、一体となるというのは、すごく違和感が強いというのと、一つの社会を構築するというのは全然ありだと思うんですけど、多様性は、それも含めて一体でないというのはすごく解釈として外してないかと思うんですね。 【大杉会長】  これ、事務局としては、どういう意図でこの「一体」という言葉を書いたのですか。 【真鍋副参事】  恐らく議事録などから取らせていただいかなとは思っています。結構前の段階で作った文章なので、最近の議事録ではないかもしれないけれど、恐らく御発言から使っているかと思います。 【大杉会長】  一つの社会を構築するというのは、特段違和感はないのかなと思うんですが、「一体となり」と言うと、やや強く捉えられてしまう可能性があるという御指摘かと思いますので、ほかの委員の方で。涌井委員。 【涌井委員】  「一体となって」というのは、本当に気持ち悪いです。これはどうやって一体化するんだという意味があるので、一体となって多様性と言ったって、この一体が、例えば帯だったらいいんだけど、ここでは帯があまりなじまないので。だから、この言葉は使わないほうが意味が出てくるのではないかなという気がいたしますが。 【大杉会長】  ありがとうございます。 【涌井委員】  それで、もうここで失礼するので、一言だけよろしいですか。申し訳ございません、わがままを言って。  世田谷区基本構想に定める「九つのビジョン」、この中に環境に配慮したまちをつくる、これは当たり前だと思うんですね。当たり前なので、これは必要な表現だと思いますが、世田谷区でできることは、この地域の環境に配慮するというのがまず一番重要なのではないでしょうか。したがって、この環境の前に「地域」を入れていただきたい。その結果、地域環境に配慮し、ネイチャー・ポジティブを受け継ぐ。ネイチャー・ポジティブというのは、先ほど申し上げたモントリオール議定書の2030年に対する国際的な目標なんですね。つまり、自然をもう一度反転して取り戻そうというのがネイチャー・ポジティブなんですけれども。  つまり、世田谷は、単に自然を消費するのではなくて、ネイチャー・ポジティブ、自然を次の世代にも受け継げるような、こうしたまちをつくるというような表現にしていただけると。非常にサステナビリティというところとも明確だし、それから、国際用語としても、条約で強制された言葉で、そういったものをまねしていただくことは、別に何ら問題ないことでございます。  どうも、大変勝手なことを言って失礼しました。 【大杉会長】  ありがとうございます。  事務局のほうも、そのビジョンは、恐らく事務局的には基本構想で掲げて、既に議会に了承をもらっているので、変えられないという答えはあるでしょうけれども、だから、これはどうかというところで、今御発言があったことをしっかりと書き込んでいくということは必要かと思いますので、例えば、2ページのところの自然環境についてとか、それ以降のところでも、さっき御発言いただいた部分なども含めて、お考えを反映させていただくということで対応できるのではないかと思うんですが、事務局、どうぞ。 【真鍋副参事】  会長がおっしゃっていただいたとおり、ここの言葉自体は変えられないですけど、環境に配慮したまちをつくるの中に、地域環境の問題も意識して、地域内の循環というのに地域のことが書かれている。  やはり20年やるものを変えるわけではないんですけど、この10年で大幅に変わったので、やらなければいけないエッセンスを、こちら、基本計画の中で謳うということで、今の委員の発言がどこかに入れられればと思います。ありがとうございます。 【大杉会長】  今御指摘いただいた点もそうですが、10年ほど前の基本構想で定められたものでして、どうしても今の時点で言うと、あるいは、大づかみにはそのとおりなんですけれども、そこで取り組んでいくことは当然この10年で変わってきたということがありますので、そこの部分を、この大綱として、基本計画のほうで具現化していただくということが重要ではないかと思いますので、その辺御了解いただければと思います。  ほかにいかがでしょうか。  中村委員、どうぞ。 【中村委員】  何点か質問というか、提案なんですが、まず1ページの(1)世田谷区をめぐる状況、これは直してくれという意味ではないんですが、皆さんと共有したいということなんですが。  最初の2行ですが、「これまで人口減少とは無縁であった世田谷区においても、今後は2039年をピークに」と書いてありますと、皆さん、どういうイメージですか。2039年までは人口が増えるというイメージですか。2039年のピークの人口は知っていますか。ほとんど増えないです。今たしか92万人ですけれども、世田谷区の人口推計の、2048年まで推計していますが、やはり92万人で、2,000人ぐらい減るというものなんです。  だから、本当は、「これまでは2017年の人口推計では108万人まで右肩上がりに上がると見込んでいたのが横ばいになる」というのが本当は正しい状況で、2039年をピークと言うと、2039年までは増えて、それから減るみたいなイメージですが、人口推計ではほとんど横ばいです。2039年のピーク時でも、今より1万人も増えないと、たしかそんな感じではなかったかと思います。  ですので、全国の自治体と同じように人口減少に直面していると言っても、減る人口は2048年で二、三千人しか減らないんですね。だから、これはちょっとミスリーディングかもしれない。私は、右肩上がりで推移してきっため、「右肩上がり」を想定していた行政ですが、少なくともコロナによって人口が増えなくなった、「今より増えない」、「減っても微減だ」というのは基本認識ではないかと思います。文章を直す必要があるかどうかはお任せしますが、少しミスリーディングだと感じます。  それから、(1)の最後のパラグラフ、「持続可能な未来とは」のところで、「地球環境や生態系が適切に維持保全され」はいいんですが、「現役世代の要求の実現により将来世代が必要とするものを損なう」ことが、この「現役世代の要求の実現により」というのは、言いたい気持ちは分かるんですが、要求の実現が何を指しているのか分からないし、「現役世代はもう要求するな」と主張したいのか、というところが表現として気になりますので、この言葉はほかの箇所にも出てきているんですけれども、そこのところの配慮をお願いしたいと思います。  「現在の世代が、将来の世代が必要とするものを損なうことなく」で十分通じると思うので、なぜ「要求の実現」ということを言う必要があるのかなというのが2つ目です。  3つ目は、2ページ、(2)の目指すべき世田谷の姿の区民生活についてのところですが、2ページの2つ目のパラグラフで、「人口減少や少子高齢化の進行を踏まえ、子ども・若者が住みたくなるまちを目指すことも重要である」。「ことも」なのか、「ことが」なのか、いかがですか。私は「が」ではないかと思うんですが。  その次、「子ども・若者を主体として位置づけ」と出てきて、後のほうでは少し説明がありますが、唐突に「主体として位置づけ」と言われると、ちょっと意味が取りにくいところがありますし、子どもは赤ちゃんもいるかもしれないので、赤ちゃんを主体というのもちょっとなあという感じもあります。  この表現は、7ページのほうでは、「③子ども・若者を中心に、地域を一緒につくっていく主体として位置づけ」と書いてあるんですが、こっちのほうが少し分かりやすいんですけれども。言いたいことは、行政の主体ではなく、先ほどから話が出ている、「区民が共につくる」という意味で、子ども・若者も大人と同様に扱うという意味のように取れますから、それで良いのかどうかということも含め、少なくとも最初に出てくる「主体として位置づけ」のところは何らかの説明を加えていただいたほうが良いのではないかということです。  以上です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  3点ほどいただきましたが、最初の2点は私のほうから。  1点目、御指摘のとおりかと思いますのと、もっと言えば、人口減少とは無縁と言っていますから、かつて減っていたというのもありますので、そもそも無縁ではなかったわけで、そういったことも含め、ここは表現は中村委員御指摘のとおり考えていただく必要があるかと思います。  それから、2点目なんですけれども、この「持続可能な未来とは」というところ、私のほうのサジェスチョンもあって、こういう表現にしているんですが、これも1987年の国連の委員会報告に基づいた表現ですが、現在のニーズというものを満たしたときに、将来の世代のニーズが満たされなくならないようにするという表現だったかと思います。  要求と言うと、やや強い感じはそうかと思いますのと、現役世代がいろいろ要求し過ぎて、将来世代のことを損なってしまうって、ちょっと強く言い過ぎているところもあるかのように受け取られるかもしれませんので、あえて警告的にそういうふうに言うというのは戦略的にはあるのかもしれませんが、この表現は考えさせていただいたほうがいいかなと思いますので、事務局のほうでもお答えいただきたいと思います。  3点目のほうですけれども、この点は、事務局、いかがですか。 【真鍋副参事】  ありがとうございます。  主体のところです。この文章を作るに当たって、これまでの議論ですとか、その後ろにある文章から上手に取ってこよう、取ってこようとすると説明が足りなかったかなと思いますけれども、おっしゃるとおり、7ページにございますとおり、大人と同様、地域社会を構成する一員なんだと、その地域を一緒につくる主体なんだというところで、なかなか今まで子どもというところの意見がしっかりと聞けていなかったのではないかということで、子ども基本法の改正があって、子どものことを決めるときは、子どもの声を聞きなさい、保護者の声だけを聞いて子どもの声を聞いたことにするんじゃないよということから、書いたつもりでございます。その意図が分かるように、前文のほうでも少し加筆をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 【森田委員】  よろしいでしょうか。  今、中村委員がおっしゃった赤ちゃんですが、子ども・子育て審議会は、国連も尊重しているように、赤ちゃん、生まれたときから子どもの権利の主体であるという考え方を取っています。実は、そこのところは非常に世界的にも取組が弱くて、国連の一般的意見でも出されて、このところについては、生まれたときからの権利保障ということをきちんと考えていく必要があるのかというふうな位置づけになってきておりますので、そういう意味で、子どもというのは、子ども全体を指すというふうに考えていただいていいと思います。 【中村委員】  権利の主体という意味ならば、権利の主体と書いていただいたほうがはっきりすると思います。権利と入れていただければ、私はそれで結構です。 【大杉会長】  汐見委員、よろしいですか。それから、江原委員、お願いします。  まず汐見委員からお願いします。 【汐見委員】  読ませていただいて、随分すっきりさせてくださって、大変感謝しております。御苦労様でした。  その上で、もし可能ならばということで、2つだけお願いしたいんですが。  7ページのところ、①から⑥まであるんですけれども、最初が、子ども・若者が笑顔で過ごせる環境の整備と、これはある程度総論的なんですが、②が、新たな学校教育と生涯を通じた学びの充実ということで、これはもう主に教育、特に学校教育の在り方ですよね。  そこで、1番目が、参加協働型の新しい学びということと、それから、2番目が、不登校の子どもの学びへの支援、それから、急激に変化するのでリカレント教育ということと、最後に、学んだことが生かせるということになっているんですが。  世界の教育改革の一つの流れ、今度はSDGsなんかでも特に強調されているのが、インクルーシブな教育という視点なんですね。例えば、SDGsの4番目で、質の高い教育とあるんですが、元の文章を読むと、インクルーシブな教育をというふうな言い方で、実は、障害があるとか、国籍がどうだこうだとか、宗教が違うとか、そういうことを何らかの形で分けてしまうというような教育というのはもう時代に合わないということで、最もそれを推進しているのが、実はユネスコなんですよね。  それで、日本の文科省もインクルーシブ教育を行うということについては、ちゃんと文書も出しているんですが、今やっている日本のインクルーシブ教育は、この間国連によって厳しく批判されたんですね。御存じだと思うんですが。つまり、障害のある子と障害のない子が時々一緒に授業を受けるというのは、そういうのをインクルーシブ教育と言っているのではないんだというような、そういう厳しい批判を受けて。  実は、障害がない子が、障害があるという子どもたち、あるいは、自分と全く違う宗教だとか背景を持っている子どもたちと一緒に生活、言葉がなかなか理解できない子どもも一緒に教育を受けることによって、実は、障害がないという子どもたちが多様な利益を受けるという関係性をつくるということが一番の眼目なんですね。いろんな多様な人たちと一緒に学びの場でいるということが、双方にプラスになるという関係性をどうつくっていくのかということが、実は今のインクルーシブ教育のテーマになっているんですね。  だけど、今の日本の授業の形態でやっていると、やっぱり障害のある子が一緒に算数の授業を受けたら、これはもう分からないわけですから、今の授業の形態を続けている限り、実はインクルーシブ教育というのは、なかなか日本は手が届かないんですよ。  だから、ここはそう簡単ではないので、あまりきつくは書けないと思うんですけれども、やはり世界の大きな流れというのは僕はよく理解できるので、ここは一つ、インクルーシブな教育ということを目指すなり、可能性を探るというようなことは一言入れておいたほうがいいような気がいたします。これが一つですね。  それから、もう一つは、ずっと全体を見たんですけれども、先ほど森田委員のほうからも発言がありましたけれども、実は、ヨーロッパのほとんどの国は、自国の教育政策の中で、どこの教育に一番力を入れるかということがかなり議論になりまして、実は今、それは大学教育でも中等教育でもなくて、実は保育・幼児教育だとなってきているわけです。  それで、実は子どもが育つ環境というのが激減していましてね。以前は地域で子どもたちは群れて遊んでいて、お母さん方にも、血縁は世田谷はあまりなかったと思うんですが、地縁の関係は豊かにあって、それで支え合って育てていくということが当たり前に行えていたわけですよね。ところが、そういうのも今はないわけで、親が地縁につながらなければ、子どももつながらないんですよね。そこで、遊ぶだとか、いろんな仕事を手伝うということによって、実は人間性の基本が育っていったわけですよね。児童公園も何もない中で、子どもたちが異年齢で知恵を出して遊ぶということを繰り返すことによって、いわゆる非認知的な能力というものの基礎が育っていたんですが、実は、今それはほとんど不可能になっているわけですよね。そのために、認知能力、つまり、学力に近い能力を学校で丁寧に育てるという、その前提となっている非認知能力の育ちが生活の中でほとんど期待されなくなった。  それで、ヨーロッパの基本的な教育改革は、非認知能力と認知能力を両方育てるような教育に切り替えなければいけないんだということで、大急ぎで今やっているわけなんですね。その非認知的能力というのは、教えて育つものではなくて、経験してしか育たないものなんですね。それはやっぱり最初は遊びの中でだとか、そういうところで育つ。それも赤ちゃんからが一番大事なんだということで、実は、赤ちゃんからの育ちを、学びの組織化という形で捉え直しているわけなんですね。  そこで、例えば、フランスなんかは、義務教育は3歳からに移しました。各国が義務教育をどんどん下へ下ろしてきているんですよね。フランスは、3歳が学校教育の基礎課程という名前に変わっています。そういうふうにして、4歳からやっているところもたくさんあるんですが。学校教育という枠に入れるかどうかは別として、子どもを丁寧に温かく包みながら、しかし、その子の持っている可能性を上手に引き出していく。そういうのを教育だとすると、実は、それは赤ちゃんからやらなければいけないんだと。  そういう意味で、ここにもう少し保育・幼児教育の大事さということが入ってこないと、世田谷にはその視点が抜けているというふうになりかねないなと思ったので、その点を何かの形で付け加えていただきたいと、これがもう一つのお願いです。  以上です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  大変貴重な御意見ですが、今の意見に対して、皆さんから御意見をいただきたいところなんですが、事務局のほうからは。 【真鍋副参事】  ありがとうございます。  汐見委員にも入っていただいて、乳幼児教育ビジョンなんかもつくっているので、今のお話のような非認知能力の向上のために様々な体験をということに基づいて、幼稚園、保育園併せて、共通の理念でやっているというのは現状としてある中で、あまり今回審議会の中でその話が出なかったので、今載っていないんですけれども。学校教育としているので、学びということで②でいいのか、子ども・若者の欄の中に入れるのか、枠はありますけれども、もう少し今のエッセンスが入れられたらなと思います。ありがとうございました。 【大杉会長】  今御指摘の点、やはり重要な点だと思いますので、ほかの計画等で、汐見先生が入られる審議会等で御議論があるということであれば、それを踏まえて、今回そういうふうに入れていただく。それから、インクルーシブという言葉、その辺をやはり、ここだけなのかというところはありますけれども、考えなければいけないなと思います。  ほかにいかがでしょうか。  ごめんなさい、その前に江原先生、よろしいですか。 【江原委員】  どうも。後のほうがいいかと思ったんですが、7ページの④の多様性を尊重するというところに対して、もうかなり意見出ておりますので、少し私も考えてきたことがございますので、今言っておいたほうがいいのかなと思いまして、手を挙げさせていただきました。  全体としては良くなっていると思います。大体読みやすいですし、説得的な論点になっていると思います。  小林委員のほうから、④の多様性を尊重するについて、幾つか御意見ございました。その論点も大変参考になり、私も同意いたします。  また、先ほど御意見ございましたように、「一体となり」という文章は、やはり大変奇妙な感じがいたしますので、せいぜい「共に」ぐらいかなという感じでおります。その点も大変参考になって、ありがたかったんですが。  1つ、基本的に分からないことをまず申し上げますと、この文章なんですが、誰もが尊重するという文章なんですよね。基本的に。非常に長い文章なんですが、誰もが多様性の尊重を意識し、いろいろな方々が一体となり一つの社会を何とかするように、身体などの多様性からライフスタイルの多様性まで、広く多様性を尊重するという文章ですので、まず非常に長いということで、分かりにくいということ。  また、誰もが尊重することを書いているんですが、むしろここは区の計画ですので、そういうことを尊重すると、どのような区のほうの方針が必要なのかということにまで広げていただきたいということがあります。  確かに、誰もが多様性の尊重を意識して、尊重するようになるということは、大事な論点ではございます。特に大事という点で言えば、うまく言えないんですけど、マジョリティの人がマイノリティの人を理解するということだけで、多様性を尊重するというようなことを今述べると、大変強い反発がマイノリティの人から来ます。理解なんか要らない、ちゃんと法をつくってくれと、差別しないという法律をつくってくれということを物すごく強く言われます。重要なのは制度であり、それがないままに理解ということで全部お茶を濁すと。LGBT理解の法案をつくるとか言ってますけどね。そういうこと、理解なんて求めていないんだ、ちゃんと差別しないでくれというふうなことを大抵の方々は強くおっしゃいます。  そういうことで言いますと、マジョリティの人が理解してあげますよ、理解を促進しますよということを、区が、理解しますよ、それを促進するような施策をしますよということを言っているのかなというニュアンスでこれを読みますと、足りないよねということを物すごく強く感じるんですね。それでは全然足りません。まさにそういう多様性を尊重することのために必要な様々な、皆さんが多様性を尊重できるように、また、マイノリティの人が、それで多様性を尊重されているというふうに認識できるような施策を展開してほしいわけですよね。基本的に。  それはどういうものかと言うと、例えば、多様なニーズに対応した施策。今までの施策というのは、特定のライフスタイルの人だけがそれを享受できるような施策だったり、そういう施策の穴がたくさんあるわけですよ。ただ多様性を尊重したような施策を展開してくれるんだったら、とてもよく分かる。あるいは、皆さんが参加するときに、多様性を発揮できるような、それで、小林先生の御意見ございましたね。発揮できるような社会環境を整備するというようなことが必要なのではないかと思います。  それが緑色のところにつながっていくのかなと思いまして、意見としては、誰もが尊重するという文章の構造が一体何を意味しているのかということをクリアにしていただきたいのと、それから、今言ったようなことを加味した文章を付け加えて、区の施策、こういうことを尊重するような理念を持つと、どういうふうに区の施策にそれが反映されるのかということについてのちょっと示唆を。今のままだと、理解を尊重するように啓発事業に努めますというのかなというふうに読めてしまうところがあって、そういう問題じゃないでしょうということを強く感じました。  以上です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  ここに限らず、全体として、文章が長くて分かりづらいというところがありますので、直さなければいけないところがあるんですが。今の点については、江原先生おっしゃっている、こういう社会の方向へ持っていきたいということと、そして、では行政としては多様性を踏まえた多様なニーズを実現させる政策を実現していくとか、そういった形で示してはどうかというお話だったと思いますので、そうした方向でここを修文するということについて、事務局、何かありますか。 【真鍋副参事】  ありがとうございます。  文章が長いのも含めてなんですけれども、かなりこれまでの御意見で、多様性というものが、こういうものだけではなく、こういうものもということで、結構並べて今入れているんですね。ここまで入れたので、ほぼほぼこの多様性が個性みたいな感じに映っていて、もはやマジョリティやマイノリティというところを超えているような文章にはなっているんですね。その辺り、ちょっと悩ましいなというところが1点。  もう一つが、これは二文に分けちゃったので、余計分かりにくくなったんですけど、最後、配慮するとか、そういう視点を取り入れるで終わっているんですけど、ここのページは何かというと、基本方針として、これから計画をつくっていくに当たって、重点政策とか、分野別政策を掲げていく中で、計画全体を貫いて、こういう視点を持って政策を落とし込みなさいねという部分なんですね。なので、ここに具体的な政策を入れるということをイメージしてつくった章ではないですので、そこも含めて、江原委員の御意見を含めて、どんな修正が可能かというのは、少し時間をいただければなと思います。 【大杉会長】  よろしいでしょうか。 【江原委員】  どうもありがとうございました。よろしくお願いします。 【大杉会長】  安藤委員。 【安藤委員】  それでは、行動的な話と、あと、ちょっと現実的なところと2つございますので、まず最初に行動のところから話をさせていただきます。  前文を入れていただいたというのは、非常にありがとうございます。読みやすくなったと思っております。  そのために、何度も御指摘いただいたのであれなんですけれども、ざっと読むと、5ページに、基本方針、計画の理念というページがあると思うんですけれども、ここが前文とほとんど同じ内容を繰り返しております。これは、もともとこっちが先にあって、前文をつけたからそうなっていると思うんですけれども。なので、ここは何かしら冗長性を排除しないと、読んで、あれ、また同じ問題が出てきたぞと読めました。例えば、計画の理念のところは、もうキーワードだけ並べて、前文のところに詳細を並べるというふうにするか、あるいは、前文には現れない、また、政策のほうには出てこない、独自に言いたいことということを表現するというふうにしたほうがいいかなと思いました。  あと、全般的に、先ほども幾つかございましたけど、言葉が、一般の区民からすると意味が複数に取れちゃう恐れがある言葉があるなと思いました。  例えば、計画策定の(1)のところに、レジリエンスという言葉がある。ここを読みますと、幸福感や肯定感を生み出して、レジリエンスを高めるということで、普通にレジリエンスというと、回復力というふうな意味だと思うんですけれども、文脈からすると、回復力というのではなくて、恐らく生きがいとか何か、こういうふうなことを言おうとしているのかなというふうに文脈から読めるんですが。なので、最初に出てきたワードみたいなところは、無理にそういうのを使うのではなくて、もっと言葉を開いて、誰が読んでも読み間違いがないような言葉で、これまで使っているような言葉に置き換えていただくのがいいのかなと思いました。  例えば、同様のが、シナジー効果なんていうところがございますけれども、これもよく読んでみると、1つは、複眼的な視点からシナジーをというような、前文の後ろのほうにございますけれども、よく読んでみると、何と何をシナジーと言っているのかというのが非常にぼんやりしていて、もう少しこれも言葉を開いて、例えば、何と何のシナジーを発揮するんだというふうに書く。誰もが読んで誤解をしないような言葉を選んだほうがいいかなと思います。  あと幾つかございまして、一番最初の前文の冒頭に、参加と協働についてというところがあると思います。こちらのところで、「参加と協働の基盤を強化し」というふうにうたって、これ自体はいいんですけれども、世田谷区もずっとその参加を進めてきていると思っています。なので、基盤を強化するというよりも、どんな体制になろうと、参加と協働というのが制度の中にビルトインされて、揺るがずずっと続いていくような、社会システムにとって参加と協働というのを組み込んでいくというような形で、ここにしっかり据えていただくことにしたいかなと思います。  あと、最後になりますけれども、誰もが取り残されることなく、きちんと暮らせるための支援の強化というふうなところで、男女共同参画に触れているところがございます。触れているんですけれども、基本的に触れているのは、女性のことを触れていると思います。今後人口が減少して、子育ても男女で担っていかなきゃいけないといったときに、男性が子育てをしていく環境を、区としてもより取り組んでいくというところで非常に大事なのではないかということで、女性のことも書いていただくとともに、男性に対して、子育てについて主体として取り組むというふうなところもぜひ何かしら言葉として入れられるといいかなと思いました。 【大杉会長】  ありがとうございます。  事務局のほうから、今4点ほどありましたが。 【真鍋副参事】  一番最初の、重なりがあるから切ってというのは、事務局として、とにかく審議会での議論をお願いしたいかなと。前文に書いてあるから、ここはキーワードだけでいいんだということであれば、キーワードにしますけれども、今、一委員からの意見だけですと、分かりましたとは事務局としては言いづらいかなというのが、まず前文の部分と計画の部分の重なりの部分。 【大杉会長】  その点ですけど、先ほどの江原先生とのやり取り、ほかの先生方とのやり取りもありましたけれども、基本方針の計画の理念のところが、例えば、尊重するとか配慮するとか、これは計画上、政策に取っていく意味合いのところなんですね。方向性としては。最初のほうに出てくるのは、実現したい姿という話と、それを具体的に行政としての計画をつくっていくことで、政策化させて実現させていくんだということの違いとしてあるので、言葉としてどうしても重複してしまうんですが、その違いが今の書きぶりではなかなか区別がつかないので、私も、ここ重複しているような形になっていると思ってしまったんですけれども、ここに書いていることは重要ですので、重複があった上で、しっかりと行政として、この計画どおり実現させていくんだということが受け取れるような書き方にしていくというのがまず筋ではないかなと思っているんですが、事務局としてはどうですか。 【真鍋副参事】  実現の方策みたいなのは、計画推進の指針ということで。 【大杉会長】  方策というよりは、考え方の理念ですからね、ここは。 【真鍋副参事】  理念なので、イメージとしては、今は重点政策の方向性だけを審議会として御意見をもらって、それから、区のほうで、そこに政策、施策、事業を掲げていくときに、重点とか分野別というふうに分野に分かれるでしょうけれども、この6つの視点というのは常に考えながら施策を検討していきなさいねというのが、ここの項目立ての意味となります。なので、こういう視点を取り入れるとか、そういう論点というのが今の理念ではある。  今の御意見だと、策定に当たってということで、審議会の議論の中で大事だということで、こういうのは重要だよね、だから、こういうのを目指していこうというのが(1)、(2)なんですけれども、重なりは当然あろうかなとは思ってはおるんですが、どこまで整理するかというのは、ちょっと難しいかなと思って聞いてはいました。 【安藤委員】  内容的に重なっているのは全然いいと思うので、例えば、後ろのページのほうでは、それが箇条書というのか、全く同じ内容だよねというのでちょっと違和感があります。なので、表現が違っていればいいのかという話かもしれません。 【大杉会長】  ほかにはありますか。 【真鍋副参事】  今のところを確認したいのですが、なるべく意図が残るように、御発言なども含めて書いてきて、恐らく箇条書にした時点で、大分そこの文面からは読み取れなくなるかなとは思っていて、そこを、このタイミングで事務局に作文を箇条書にするというのを任せていただけるということであれば、その努力はしますけれども、「あれ? こんな話だったっけ?」というふうになるんじゃないかなというのはすごく思うところで、極力その御発言の意図というのを残してきたと思っています。  なので、箇条書にできないわけではないので、その辺りは、ほかの委員の方がどうお考えなのかというのを少しお聞きしたいなと思います。 【大杉会長】  それでは、下川委員、どうぞ。 【下川委員】  区民委員の下川でございます。  ちょっとレベルの低い話になってしまうかもしれないですが、私は日頃こうした文章をなかなか読む機会がないので、今まで毎回いただいて、自分なりに読み込むんですけれども、何度も読まないと分からないようなところが多々ありました。ただ、今回、一番最初の「計画策定にあたって」の項目を加わったことによって、最後まで読み進めながら、すごくすんなりと今までよりも入ってきたという印象がありまして。なので、どういった方が今後読んでいくのかというところにもよると思いますけれども、一区民の意見としましては、今までよりも全体を通して読ませる中で入ってきたという感覚がありました。 【大杉会長】  ありがとうございます。  どうぞ。 【保坂区長】  これ、6ページの基本方針、理念のところで、これは審議会の皆様方に私たちに言っていただくというつくりになっているわけですが、その事務局案で、今、箇条書にするかどうかという、逆に、1のところのこのボリュームだと、箇条書になっていることによって、より分からなくなってしまっているという気がするんですね。  ベクトルとして、ここにビルトインしなさいよと。つまり、1の前書きのところの状況を俯瞰して、今こういう状況で、こう体制があるという話と、ここはより絞り込んで、その計画の中にはこういう視点も必ず入れていきなさいよという、文章に全部つなげていくということをすれば、主語がない文章にはならないはずなんですね。誰もが多様性をというふうな。  だから、そこを、短いものも含めて、審議会として、区に言うというベクトルをはっきり文章上も描きながらまとめていただくと、あるいは、事務局もそう努力してもらえると、うまくいくのかなと思いました。 【大杉会長】  ありがとうございます。  それぞれの御意見があるんですけれども、箇条書って、どの程度の箇条書かにもよるんですけれどもね。 【安藤委員】  箇条書にしてくださいというつもりはなくて、あまりにも表現が同じところがあったので、全く同じものが繰り返して出ているのではないかという程度で。 【大杉会長】  先ほども申し上げましたけれども、かえって繰り返しだし、その方向性をしっかりと計画の中に入れ込んでくださいと、今、安藤委員言われましたけれども、という趣旨もございますので、そこは御理解いただきたいところと、下川委員からも、大分分かりやすくなって、今まで審議会をやり続けてきたのがようやく役に立ちましたので、まだ確認しなければいけないところはあろうかと思いますけれども、つくりとして、本当は3ページまでを検討の対象にしていたんですが、だんだん後ろのほうに移ってきましたので、全体を通して御意見いただくのは構いませんけれども、全体の構成として御理解をいただきたいところでもあります。  ほかにいかがでしょうか。  中村委員、どうぞ。 【中村委員】  ただ、今の議論に関連してですけれども、つくりとして、「計画策定にあたって」と書いてあって、3ページまで来て、その後、4と5と、図が書いているので、さっと読みにくいので、図は図で冒頭に持ってくるか、説明図として持ってきて、むしろ区長が言われたように、3ページの後に、6ページできちんと書くべきではないでしょうか。基本方針とか何だか分からないので。  何だか分からないという意味は、1~3ページは、「計画策定にあたって」でしょう。じゃ、次に出てくる基本方針というのは、何の基本方針かというのをちゃんと日本語で書いたほうが良いと思います。私は箇条書に反対で、文章としてきちんと書いてみたらどうか。そういった場合に、例えば、「区政が目指すべき方向性」で、また青い箱の中に書いてありますけど、こういう形にしないで、ちゃんと文章で、図示しないで結構ですから、文章でずっと、1、2、3ページ、次は6、7、8ページと、一連の文章で書いてみて、あまりにダブるところがあれば調整するという形で作業したほうがいいと思います。  世田谷区基本計画大綱となっているけれど、一番の問題は、世田谷区基本計画大綱の全体図がない。つまり、世田谷区大綱の中に、「計画策定にあたって」ということと、次に何が出てくるのかという、大綱の目次を書く必要があるのではないか。「計画策定にあたって」、次は「基本方針」となっていますが、何の基本方針なのかを書かないといけない。そういうふうにつくってみたほうがいいのではないか。  したがって4ページ、5ページは、巻末に来る。見取図なだけなので、その見取図も、大綱全体の見取図になっていないから、不完全だと思います、という認識なんです。「基本計画体系図」とあるけど、基本計画体系図と、この基本計画大綱(案)との関係はどうなっているんですか。  という意味では、世田谷区基本計画大綱を一気に書き下ろしてみる必要があると思います。その大綱の中に、「計画策定にあたって」という部分と、次に「中身」が出てくるということなのではないかと思います。だから、繰り返しますが4ページ、5ページは余分だと思う。その全体像を示したいならば、基本計画大綱の目次をつくる。  以上です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  基本計画大綱の目次がないというのは、御指摘のとおりですので、これは最終的には入れさせていただくことになるかと思いますが、このつくりとして、事務局をかばうとすれば、「計画策定にあたって」というのは後から入れようという話が出てきて、前倒し的にこれが入ってきたということもあって、今こういう構成になっているかと思います。ですので、もともとは4ページ以降といいますか、6ページ以降の本文があってというところだったんですけれども、そこにこの前がついたので、本編に当たる基本計画大綱の部分の見え方がちょっと分かりにくくなっているという御指摘はそのとおりかなと思いますので、そこは工夫して、私も今、3ページまでと言いながら、どうしても後ろにつながっていかなかったので、出来上がってしまったのが、そういうところもあろうかと思いますので、今の中村委員の御指摘を踏まえた形で。 【中村委員】  よろしいですか。日本国憲法といったときに、日本国憲法というのは前文と条文が入っているわけですね。だから、世田谷区基本計画大綱というのは、やっぱり前回も安藤委員が「前文のようなもの」というので、「計画策定にあたって」というのは前文の位置づけだと思うんです。それも大綱の中身なんでしょう。ですから、前文と、会長が言われる中身なのか本文なのか分かりませんけど、それを一体のものとしてつくっていただきたい。その際、重複というものの観点から、重複をどうしても避けたいものは、重複をもう一回調整すればいいということではないかと思いますので、ぜひ、前文と本文とを一体のものとしてつくって出せば、もう少し分かりやすくなるのではないかということがあります。  以上です。 【大杉会長】  それでは、現在の計画策定にあたってと6ページ以降の基本計画の部分の構成ということが見える形ということでお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。  ほかにいかがでしょうか。  鈴木先生。 【鈴木副会長】  考え方として共有をしておきたいので。僕が話した後に、汐見先生と中村先生にコメントしていただきたいんですけれども。  どういうことかと言いますと、多様性のところがございます。7ページの④、多様性を尊重する。この多様性というところは非常に個人的な概念で、各専門分野でいろんな使われ方をしていまして、小林先生は今回も出されていますけど、多様性こそが価値であるということであれば、この多様性ということで言い尽くされているし、それは尊重され、これは先生方も、それが発揮できるようにというのがあります。  前回の基本計画、世田谷区のを見ていると、社会的包摂というところは書いてあって、僕が自分の分野のところでよくあるのが、多様性だけではならないと。多様性だけではなくて、やっぱり包摂ということが必要であってということが議論されているんですね。  一方で、多様性尊重というのを広義で使うと、社会的包摂という、ダイバーシティ&インクルージョン、インクルージョンのほうも含んでいるんだという概念で多様性というのを使うというのもあるので、世田谷区がここで言っている7ページの多様性尊重というのはどういうものなのかというのが、この委員の中での共有。ここでは社会的包摂というのを含んでいるんですよという意味であれば、このままの多様性尊重でいいのかなというのは思うんです。  さっき汐見先生のお話を聞かせていただいて、そこと議論が関係してくるのは、8ページのところで、新たな学校教育と生涯を通じた学びの充実。ここで多様な学びというのがあるんです。なので、汐見先生おっしゃったように、インクルーシブな教育というのも、多様性ということで、それから、多様なというところに、さらにインクルーシブ、インクルージョンの考え方をここで入れたほうがいいんだよということで、それを明記するのかというところで、汐見先生は、それを明確に入れたほうがいいとおっしゃっているのかなと思って聞いていました。  そうすると、ここだけ入れるのではなくて、やはり上のところの①の子ども・若者がというところ、これ、僕もプレゼンさせていただいて、中村先生からの御指摘があって、学校教育だけではないよね、子どもの立場のところからというところも含めて御検討くださいとか、子育て、親支援のところが①のところに入ってはいるんですけれども、ここにもインクルーシブというのが入っていく必要があるのかなというところと、総論のところの7ページに戻りますけれども、多様性の尊重というところが、多様性尊重だけではなくて、ダイバーシティ&インクルージョンというような形で入れていったほうが、僕の考えとしては、全部のところに結局重なっていて、総論的なものにも入れていく必要があるのかなと。  ちょっと議論を戻しますと、総論のところに多様性&インクルージョンという形のところを入れておけば、各論のところとか政策のところではあえて入れなくてもいいという、こういうやり方もあるでしょうし、全部のところにも入れるというやり方もあるんですけれども、多様性というところが、それぞれの先生方がいて、専門分野によって使い方が違うところがあるので、そこを整理した形がいいのかな。汐見先生がさっき話されていたことを、7ページの多様性の尊重というのがリンクするのか、足らないのかというのを確認したいなと思います。 【大杉会長】  では、江原先生、どうぞ。 【江原委員】  いいですか。簡単です。  ダイバーシティ&インクルージョンでも、基本的にそういうふうに使っていますので、7ページの④の多様性を尊重するというのは、ダイバーシティ&インクルージョンの意味で使っております。  というふうに、ちゃんとしたほうがいいということであれば、賛成です。  以上です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  中村先生。 【中村委員】  汐見先生のおっしゃったインクルーシブな教育というのは、日本は教育が画一的であって、そういう教育の中で、障害を持ったお子さんとか、そういう方々に対する教育もやってきたけれども、本当の意味でインクルーシブになっていないということではないかと思います。  だから、多様性の尊重というのは、従来の日本の制度・政策では、どうしてもマジョリティ中心になっているので、取り残されている部分がある。「多様性そのものに価値がある」とする社会のほうが強いし、それぞれの個人にとっても、社会にとっても価値があるという価値観から、「多様性」を言われる。であれば、制度・政策のほうとしては、例えば、9ページにあるように、「誰もが取り残されることなく」というのがそこで出てくるわけで、従来どうしても光が当たっていなかった少数のニーズ、例えば、難病の人とかが該当します。  日本の難病の定義というのは、「数が少ない」というのが定義になっているんですね。つまり、原因不明、治療法が確立していなくて、なおかつ、数が少ないことです。例えば、がんなんかは数が多いので、難病と言わないという政策だったんです。つまり、患者さんが少ない分野は、医療でも医学でも取り残されがちになるわけで、ここに光を当てるということで、難病という概念をつくってやってきた。そういう歴史なわけです。  そういう難病以外にも、福祉の分野でも、その他の分野でも、数が少ない、あるいは、問題が複雑なゆえにこれまで光が当たってこなかった、多様なニーズがある。そこに対して、制度・政策的に言えば、そういったニーズを取り残さないで、ちゃんとやっていこうというのが、この基本計画の精神だと思うので、そこは言われなくてもインクルージョンは当然入っているということであると思います。  以上です。 【大杉会長】  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 【下川委員】  下川でございます。  今回、先ほどお伝えしたとおり、すごく読みやすく入ってきた中で、一区民として感じた点なんですけれども、今回挙がっているキーワードを一通りずっと読んでいた中で、全体的に食育というところがすごく親和性の高いリード等もありましたので、最後にいま一度皆さんに認識していただければと思い、発言させていただきます。  今回、資料のキーワードとして出てきた、例えば、脱炭素社会の実現に向けてでしたり、目指すべき未来や環境問題、多様性の尊重、子ども・若者を中心に捉える、区民の生命と基本法、新たな学校教育に関わっていることでもありますし、さらに、世田谷の地域・地区の特性を踏まえて取り組めることとして、食育がありますので、一言でも触れられてもいいのかなと思いました。  この食育というトピックがなぜ今回の基本計画、このテーマと親和性が高いのか、例を交えつつ、手短に2つお話にします。  1つ目は、脱炭素社会の実現に向けてと言ったり、持続可能な社会、環境問題というキーワードに対してです。脱炭素社会に向けて、温室効果ガス発生源の三分の一は食に由来しているという意味の共同研究テーマが2011年に論文も出ているんですけれども、日本の環境白書でも触れられておりまして。そんな中、世田谷区の農地は、御存じのとおり、東京23区内で2番目の規模です。生産される農作物としては、旬の野菜や果物など多岐にわたっておりまして、それらが環境負荷が低い食材である。そういった環境もあることから、学校教育上の上で、体験の場の創出でしたり、コラボレーションを満たして、最初のテーマに挙げたことに対して考える、知るきっかけの場も生み出すことが可能だと考えます。  2つ目として、先ほどのキーワードに加えて、多様性の尊重や子ども・若者を中心に捉える、区民の生命と健康、新たな学校教育も加えたところです。  世田谷にある成城大学では、学長賞コンペティションという、学校主体のコンペで、学生が自身のアイデアを応募して、選ばれると、学校がそのアイデア実現の支援をするという企画がございます。  その中で、今年は食環境についてというテーマが出されました。そこで選ばれたのが、学食に環境負荷の低いプラントベースの商品を置き、世田谷の規格外野菜を使った学食メニューを作ること。特徴としては、1つは食のバリアフリーの実現、2つ目が地球環境に優しい学食、3つ目が食品ロスの解決や野菜の魅力を若い子に知ってもらえるよう、世田谷野菜、規格外野菜を使用の3つが特徴です。  実際にJAのショップが世田谷野菜とのコラボレーションをすることになり、4月の実現に向けて動いております。さらに、取組についても、世田谷区とも話が進んでいるとのことなんですけれども、今後も横展開していきたいと。ここは世田谷の小学校や中学校に向けても、試食会に招待するなど、計画していると聞いております。  環境問題などにあまり意識のなかった若者に対しても、体験によって知るきっかけの種にもなりますし、これは私の仕事柄でもあるんですけれども、宗教上でしたり、アレルギーなどで食べられない食がある人にとっても、 その空間でフレキシブルに食べられる場になると感じております。  食育を通した環境や多様性、健康、教育、地域コミュニティの分野への展開が、世田谷の特性を生かして可能かと思いましたので、食育ということについても一言触れてもよいのかなと感じました。  以上です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  分野横断的な重要なテーマだと思いますが、この中にどう入れていくかというと、なかなか悩ましい、逆に言うと、分野横断と言いながら、そこまで重要ではないと言われれば、そういうことになるのかもしれませんが、事務局のほうで何かありますか。  先に、では、中村委員。 【中村委員】  下川委員の御提言は、本当に良い提言だと考えます。ただ、反対するわけではないんですけれど、例えば、食育は重要、そうすると、食べるためには口腔ケアも重要、そうすると、口腔ケアの話はどうなる。それから、高齢者が増えていくと、フレイルが大変。そうすると、フレイル予防で、そういう施策をしてはどうという議論が出てくる。このように、食育と同じように重要なテーマは様々、たくさんあると。そうすると、基本計画の中で食育だけ書くということはできなくなるという問題が出てくると思います。  したがって、3ページに書いてあるように、基本計画は最上位の行政計画で、各分野の個別計画では描けないものを書くべきではないかということになる。  医療・福祉・保健の分野では、今この基本計画と併せて、保健・医療・福祉総合計画というのをつくることになっています。その総合計画の議論もしています。そこでは保健・医療・福祉の横断的なものをつくる。さらに、その下に、地域保健福祉審議会がある。そこでは、障害者、高齢者、それから、生活関係の福祉というような審議もしています。基本計画、総合計画、それから、地域保健福祉計画という個別計画という三層構造になっていますので、下川委員の御提案は、その総合計画か個別計画の中で書かれるべきではないかと私は思って聞いていました。否定する意味ではないです。ここで御発言されたので、私も総合計画や個別計画の審議にも参画していますので、そちらのほうで取組が取り上げられるように、そこに参加している人間として努力したいと思います。  私からは以上のことを申し上げたいと思います。 【大杉会長】  ありがとうございます。  十分にお答えいただいた形になりますが、事務局、何か付け足すことはありますか。 【真鍋副参事】  下川委員、何度か御意見いただいていて、キーワードとしては、事務局としても受け止めていたんですけれども、なかなか具体的な個別具体の取組というのが入れづらくて入れられていないということで、例示として入れることは可能かもしれないんですけれども、あれを入れれば、これが入っていないという議論は出てくるので、すんなり入るようなものがあればあり得るかなと。例えば、グリーンインフラだと、こちらとしても、インフラによる効果があるということで、キーワードとして入っている。そういう使い方ができるようであればというところはある。  ただ、今の例示を入れていただくと、このままの多様性とかというのが、逆に今度は、たまたま施策にその観点を見ていってねというものをさらに串を刺していただいたので、なかなか今の言い方だと入れる場所がちょっとないなというところで聞いていました。  ちょっと個別に、こういうところにこういうふうに入るのではないかというような御提案があれば、お伺いをしたいなというふうには。 【下川委員】  御丁寧にコメントいただきまして、ありがとうございます。勇気を振り絞って発言してみてよかったです。  個人的に、今働いている場が、例えば、ベジタリアン、ビーガン、お肉が大好きな方、アレルギーがある方などと、家族とも一緒に御来店される方、車いすで来られる方や、バギーで来られる方など、本当に多種多様な皆さんに集まって利用していただけるような空間をつくっておりまして、そこで皆さんがすごくそれぞれフレキシブルな対応をすることによって、ストレスフリーに生活されている姿を日々見ておりますので、今回、こうやって関わらせていただいている中で、多様性を尊重する部分の議論でしたり、一つ一つにこれからの世田谷の未来は明るくなっていくことを、一区民としても非常に思いながら参加させていただいておりました。  ありがとうございます。 【大杉会長】  ありがとうございます。  先ほど中村委員からも説明がありましたように、個別の計画もそうですし、この基本計画は、今回、地域計画という非常に細かい段階に関わるところともつながっていますので、世田谷区も食育の取組は何らかの形でされていますよね。そちらのほうに当然ながら生かされていく。  今回、仮にこの中に取り込むことはできないとしても、この審議会は全庁職員、特に管理職の人たちにきちんと伝わっていると思っておりますので、今の御意見は当然そういう形でも反映させていただくことになりますので。こういうところで出すといろいろ出てきてしまうというのがありますけれども、いただいた意見は貴重な御意見として行政側も受け止めていただけるのかと思います。  ほかにいかがですか。 【長山委員】  先ほど実施計画の話がありましたので、そこの(6)の行政評価のところですが、赤い字で今回書き込まれていて、指標の設定ということまで書かれているので、この指標というのは何を使うのかということは、この後検討されると思うんですけれども、この間、ウェルビーイングという話がありまして、個人とコミュニティと。これの両方とも関わっているのがLWC指標ということで、事務局のほうからも、それは御提案あったと思うんですよね。ただ、LWC指標は、世田谷区の場合は、地価が高くて、そういった点が低いとかということがあって、不都合な部分もあるという話でした。ただ、項目はよく練られているものなので、ここに世田谷独自の指標とか、世田谷の特徴を生かした指標を開発・設計してみたいな形でできないかと。  これは実施計画をつくる段階で、恐らく指標についても併せて考えていくと思うんですけど、12ページで、それこそ大杉会長がやられているような新開発のことで、EBPMのことも書かれていましたけれども、となると、やはり指標自体を独自で開発するということ自体は、議論を進める上では非常によろしいのではないか。開発を独自にやるとなると仕事が増えてしまいますので、特に事務局にとってはあまりよろしくない提案かなと思いますけど、最後なので、御検討をというところが一つ。  もう一つは、産業の分野で、何となく違和感があったのは、10ページのところの⑥で、産業連携による新たな価値の創出と書いてあるんですけど、産業連携という言葉ってあまり使っていなくて、確かに農商工連携とか、産学連携とか、産学官連携とかはあるんですけど、産業だけが連携するというのは少し違和感がありました。  私たちのほうでよく使っているのは、「産業連関」です。産業連関ということの意味は、地域内の経済を循環させていくという考え方の中にあります。地域経済には、移出産業と地域市場向け産業との2つあります。前者は外から稼いでくる産業(製造業など)、後者は地域住民向けの小売商業のようなものですが、これらがうまく循環できるかというところで、地域内経済循環という概念があります。地域内経済循環には、地域内の産業連関による発展が重要といわれます。そのようなことならば、産業連関という用語の方が適切です。ここでは、産業連携をどういう意味で使われているのか。もちろん、異業種が連携してイノベーションを起こすという意味で使われているなら、それはそれでいいんですが。そういったイノベーションを起こすという話ではなく、地域の経済を循環させていくという考え方なら、産業連関のほうがいいのではないか。 【大杉会長】  事務局としてどうですか。 【真鍋副参事】  魅力的なまちづくりについてこの⑥では謳っている中で、産業部門の書き込みが足りないよというのを委員からも言われましたし、ステークホルダー意見聴取ということで、団体さんに聞いたときも、結構その話があったので、産業面のことも入れようという中で、様々な事業体が連携して新たな価値の創出ができればと使ったものなので、今2つ言っていただいた産官学連携と産業連関といただいたんですけれども、例えば、こちらに書いてあるような意図を含めると、どちらのほうが適しているかというところまでいただけるとありがたいかなと。 【長山委員】  そうですね。両方書かれていて、例えば、既存産業の振興に加えて、コミュニティビジネスなども推進するみたいな話、これは既存産業を再生して新しい産業を創出するという話になりますので、それは産業連関ほうがよろしいのかなという感じはいたします。一文で表現するのは大変なご苦労だと思いますけれども、産業連携という言葉はあまり使われていないので、修正というか、何か考えていただけたらと思います。 【真鍋副参事】  ありがとうございます。こちらについては、その方向で修正したいと思います。  もう1点が、評価のお話をいただきまして、評価指標ですね。当然、これから計画をつくっていくと、それを評価していくための指標を設計していくわけですけれども、かねて御議論いただいた(2)の目指すべき姿というところで、先ほど要素を取り出した資料3みたいなのがありましたけれども、あの辺りが、持続可能な未来を確保して、あらゆる世代が住み続けたいまちというのを具体的に分野別に分けると、こういうような姿というところを少し意識して議論いただきたいと思いまして、資料3をつけたんですけれども、ああいったものが指標の軸にはなってくるのかなと思います。  それと、あまり細かい指標を設定すると本来の目標を見失うということで、早い段階で中村委員から御指摘をいただいたところもあって、政策・施策・事業とこれからつくっていくと、政策レベルで大きな目標を掲げる。例えば、重点政策で言うと、この6つございますけれども、あまり小さい指標をというよりは、子ども・若者が笑顔で過ごせる環境になっているかという視点で、どういうものを取っていくか。そのときに、主観的な指標も客観的な指標もあろうかと思いますけれども、やり方としては、それを両方取っていくので、当然参考にはなるかなと思っていますが、独自の開発というまでは言わないんですけれども、そこも参考にしながら、何が一番適切にそこに近づいたのか、測れる指標を設定していきたいとは考えているところです。  以上です。 【大杉会長】  今の件に関しまして、私も少し言いたかったんですけれども、長山委員から御指摘ありましたけれども、人材育成、調査研究の中で、EBPMとの関連と、もう一つ、SGDsの推進がありまして、こういったことでの評価に関連することが書かれているんです。このSDGsをどう利用するかといいますか、SDGsそのもの自体は、今これは広く受け入れられるようになってきたということもありますが、世田谷区としてSDGsをどういうふうに活用していくのかという視点で、計画作成にあたっても、考えていただくことが重要かと思いますので、その辺を含めて、ここら辺、計画推進の指針のところの書きぶりについては、今のも交えて考えていただく必要があるなと思っています。  ほかにいかがでしょう。どうぞ。 【羽毛田委員】  区民委員の羽毛田でございます。  この審議会のここに入って聞くのはどうかなと、惑わせては申し訳ないですけれども。区民として読んでいて、文章になって、分かりやすいなと思って読んでいました。  ちょっと気になったのは、いずれ正式に決議された段階なのか、何らかの形で広報されると思うんですけど、結局、ある程度収まって、キーワードでやっているような形になるのかなと思って、できれば、そういう形で発信をするのかというのも、大綱の文章と併せて、理解のためにも御用意いただけたら非常にありがたいなと思っています。  というのは、自分に照らして考えても、結局、家族であったり、子どもだったりに、世田谷区ってこんなことを考えているんだよということを話すときに、まさかこの文書を読めというわけにはいかないので、ぜひ、そういうことはできるか分からないけれども、一枚で説明するとこうだよというのも作っていただいたらなと思っています。 【大杉会長】  この点、非常に重要なんですが、なるべく話を進めさせていただいてよろしいですか。後ほど聞くので、どう答えるか考えてください。  どうぞ。 【尾中委員】  委員の尾中です。  下川委員と同じくです。大分読みやすくなっていて、ありがたいと思いました。  読んでいる中で、1点だけなんですけれども、2ページ目の⑤の部分、自治体経営について。所々に、リモートワークでDXという言葉が出てきます。その中で、DXの取組を促進という言葉が出てきます。ただ、時代に応じて、どの時点で加速化されているのかというのは判断しづらいので、例えば、今後のDX化によりであったり、DXが例えば住民の方となじんでいる状態のような言葉を付け加えていただくと、どの時点でどういうDXが妥当なのかというところが文言として分かりやすいのではないかと思いました。  あとは、10ページの⑥のところで、商店街などを拠点に、起業家の輩出や育成を支える基盤づくりを進めるということがあるんですけど、この拠点という部分も、例えば、今後リモートワークで、こんなインフラ、プラットフォームというところの形成を図っていくのであれば、特にこの拠点の部分をオンライン事業なり、インフラっていう面であったり、そのあたり書いたら、限定的な範囲で捉えなくてすむかと。そういった部分が気になるところです。  以上です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  今御指摘の点は、事務局、何かありますか。 【真鍋副参事】  文言のお話が中心だと思うので、修正できるかと思います。 【大杉会長】  必ずしもデジタルだけではないかもしれませんけれども、今の話ですと、そういうオンライン上でやるとか、そういうのも含めて、最後の質問のほうは、どちらかというと、これは計画推進の指針だと思いますので、行政内部のデジタル化とか、DXとかという話という部分に関わるかと思います。これは現に計画も区のほうでつくられておりますし、国全体での動きというのもある中では、そこをしっかりやっていくということがあるんでしょうけれど、それについてではない部分の、区民生活というところも当然ながらあります。そこなどが、先ほど産業人口とか、そういうようなところとの関わりもそうですし、どういう形で示していくのか、これは行政計画ではありますけれども、そこに行政がどう関わっていくのかという点が必要になってくるかと思いますので、ここら辺はやはりあってもいいのかなというところがあるんですね。御指摘ありがとうございます。  ほかにいかがでしょう。どうぞ。 【鈴木副会長】  鈴木ですけれども、何点かあります。  まず12ページのところで、計画推進の指針のところの(3)なんですけれど、緊急時・非常時の体制整備というので、3つ目のところで、「緊急事態・非常事態に可能な限り迅速かつ柔軟に対応するため、組織の垣根を超えた全庁的な応援体制を構築し、対応にあたる。」入れなければいけないのは、「司令塔を構築し、」とかということなのかな。応援体制って、大本になる司令塔とかをちゃんとしないと、災害のときにそこが意外と閉まっているということが、よくいろんな事故とかあってある例でして、応援体制のその前に、そもそも災対本部がちゃんと開いて、具体的な話はその後でしょうけれども、基本構想のところでも、大本のところで、庁舎の整備を進め、災害時の拠点として機能するようにしますというのがあって、それとも連動させるという意味でも、ここでちゃんと司令塔の構築、もっと具体的に言えば、ハードとかソフトとかいろいろあるんですけど、言葉で入れるんだったら、ちゃんと司令塔を構築してというような言葉を入れるのが必要なのかなというのが1つの御提言です。  もう一つは、同じページの(2)のDXの推進というところで、ここでも、「業務改善を図り」が当然ここにつながっていくんですけど、まさにDXを何のためにそれをやっていくのかというところからすると、そこも絡んでいくと思うんですけど、命を守っていくためとか、その生活を守っていくためにDXを推進していくんだよというような言葉が入っていくといいのかなと思いました。  もう一つは、7ページの③で、子ども・若者を中心に据える。いろいろ読んだときに、なぜ子どもなのか。多様に高齢者だって、いろんな区民がいるのに、子どもを掲げるのはいかがなものかというような御意見があったのに対してなんですけど、今日、汐見先生が話されていたことが、ここで文章で書き加えられるといいのかなとは思います。子どもの支援とか、いろいろ掲げ持ってやっていくと、その権利保障をちゃんとしていく。そうしていくことが、大人のケアというか、そういうところにもつながっていくんだよといったことが文章に書いてあると、子どもをやっていくところが、高齢者とか、ほかのところも多様な領域につながってくるんだよというようなところが文章で入ると、誤解が解けるのかなというか、より理解が進むのかなと思います。  あと、最後、4ページなんですが、4ページの重点政策が何のためにあるのかというところも使うことが共通理解なんですけれども、ここだと、「基本方針の目標実現に直結し、」というのがあって、「特に重点的に取り組むべき政策」、「横断的」というふうに書いておられます。前回の基本計画のところの重点のところですと、 「確実に重要な課題を解決し、施策を展開するにあたって」みたいな形で書いていて、これはプラスなのかなとは思いますし、前回横断は書いていないけど、今回はあえて横断というのを強調したい形でここに書いてあるのかというのがあるんですけれども。  何が言いたいかというと、ここに直結しなくても、いつか話されたと思うんですけれども、どのような場面の中でもここに入れているものが全てのものに入り込むという話だと、逆に直結しないものでも、重要なものとしてここに挙げているものについては入っていくんだよというような形になるのかなという。この重点政策の位置づけというのは、もう一回確認したほうがいいかなと。かなり言葉の問題なのか、そうではなくて、考え方とか位置づけの問題も絡んでくるのかなと思って、最後は問題提起になります。  以上です。 【大杉会長】  重要な点で、事務局からあればですけれども、委員の方々からもいただければ。どうぞ。 【中村委員】  鈴木委員の意見にちょっと関連して、私は7ページの③の子ども・若者を中心に据えるというところなんですが。鈴木委員は、汐見委員の言われたことを盛り込めとおっしゃいましたけど、どういうことを盛り込むかちょっと分からなかったんですが。これはこれとして、この文章で、「今を生きる子ども・若者は」と、「今を生きる」とわざわざ書いてあるのはどういう意味なのかなと、非常に文学的な表現で心を打つんですけど、意味がよく分からなかったので。  子ども・若者は、むしろここで大事なのは、それこそ今も主体なんでしょうけど、次の社会を支える存在ということのほうが大きいんだと思いますね。次のポツのところでは、「将来の人口減少局面を見据え」と、こう出てきて、これは何でそう書いてあるのかもよく考えなくてはいけないんですけれども。前書きの前文のほうでも、子どもは次世代につないでいくということが書いてありますよね。だから、そういう意味では、子ども・若者は、次の社会を中心になって支える存在であるというのが1つのポイントではないかと思います。だから、人口が伸びない、あるいは減少する社会の中で、次の世代に期待するということ、次の世代を育てていくということも含めて、子ども・若者を中心に据える。なぜ子ども・若者が中心かと言ったら、そういう存在であるからというのが答えではないかと思うんですね。  ベビーブームの時代みたいに、どんどんお子さんが生まれ、人口ボーナスが生まれるときであれば、子ども・若者は中心に据えられないと、据える必要はないということになるでしょう。非常に極端な言い方をすると、あなた方にも権利はあるんですが、中心に据える必要はないんだということになります。なぜ、あえて高齢者を中心に据えなくて、子ども・若者を中心に据えるかというと、人口減少の中で、子ども・若者は極めて貴重な存在であり、能力を高めていかなくてはならない。各国が競争して幼児教育に取り組んでいるのは、そういう視点があるからだと私は思います。  そういった意味で、なぜ子ども・若者を中心に据えるかということが分かるように書くべき。それは「今を生きる」のではなくて、将来を支えるということがキーワードになるんじゃないかと思います。  以上です。 【森田委員】  森田です。  今、中村委員がおっしゃったことについてなんですが、子どもは将来、未来の地域の担い手である、あるいは国の担い手であるという形での支援というのは、これまで行われきた支援の考え方でした。  それに対して、いや、子どもたちは、今生きている主体でもある、そういう意味で、子どもたちは今遊び、学び、時には休みという、人間として当たり前の権利主体として今を生きているというところをきちんと私たちは認識した上で、この施策をつくっていかなければいけない。  そういう意味で、「今を生きる」ということは、これは先ほどの多様性というのと同じように、子どもの国際的な定義などにはもう当たり前に使われています。そうした意味で「今を生きる主体である」という形でここでも使われていると理解しています。 【大杉会長】  他に御意見ありますか。 【中村委員】  揚げ足を取るわけではないんですが、「今を生きる」の反対は何なんですか。 【森田委員】  反対というよりは、今までは「今を生きる」ということが重視されてこなかった。具体的には、「将来のために今頑張る」という形での支援になっていた。だから、今現在、子どもたちがどんなに一生懸命に生きているか、それを豊かにするために支えることが重要であるということを、今の教育や、保育の場で、支えることが非常に弱かったということに対する深い見直しの中から、今の様々な支援というものが行われているということです。 【中村委員】  そういう趣旨であれば、「今を生きる子ども・若者は」というのは、そういう意味を込めているのであれば、その次に続く「大人と同様に地域社会を構成する一員であり」とつながる意味がよく分からないです。むしろ、そういうことを強調するのであれば、ちゃんとそういうふうに書くべきであって、説明不足だと思います。 【森田委員】  その点については、もう少し事務局と調整して、今のこの文面の中できちんと書き込んだらいいと思いますので、そこは一緒に考えたいと思います。 【保坂区長】  何度もこの大綱の文章を見ながら気がつかなかったんですけれども、DXの記載があって、今「未来つながるプラン」を見ていたんですけれども、一応この「Re・Design SETAGAYA」という形で、プランの中には、「行政サービス」と「参加と協働」と「区役所」という3類型でやって、いわゆるデジタルによる業務改善ということが今回言葉に出てくる。つまり、オープンデータとか、ここで2年間取りあえずやりますということをはみ出していないというかその枠にきれいに収まっているので、今日、区民委員の方でも、デジタル関係のご職業の方は多いので、デジタル化されることによる便利さとIT、あるいは、人権の問題とか、8年間やっていたら、デジタルの問題というのは、チャットGPTまで出てきたので、もう区長もいらないみたいな話も出てくるわけですね。要するに、AIがする。だけど、その中で、非常に不安定な社会に逆に入ってきちゃうという部分についての、こういうところを伝えていこうとか、この2年間に書かれていないことが多分必要なのかなと思いますので、今日時間も押していますので、何か追加で、IT関係の仕事をされている区民委員の方も多いので、意見を述べていただいて、2年間を少しはみ出してみるというか、8年に橋を架けていくようなところもちょっとお願いしたいなと思いました。 【森田委員】  いいでしょうか。 「計画推進の指針」のところで、これ当たり前と判断されて書いていないのかもしれませんが、「情報の発信」「情報の公開」とか、「行政評価」というところに、子どもたちも含めた市民を書き込む必要があると思う、当事者たちが参加しない行政評価というのは非常に多いので、市民や当事者が参加するいろんな形での行政評価というものをきちんと入れていくべきではないかと思います。書いておかないと、「行政だけが評価していく」みたいなふうに読めてしまうのではないかなという気がします。  それから、情報発信については、既に若者たちが、世田谷区では「ねつせた」のようないろんな形で今発信してくれていますけれども、そういう意味で、「市民が参加する情報発信」を、このDXと絡めて書くなど、もっともっと市民に開いていくのが必要なのではないかと思います。あまりにも、行政だけで収めています。 【大杉会長】  ありがとうございます。  区長からもお話ありましたけど、DX関係について、私もここが今の時代にしてはDX弱いなと思っているところなんですけれども、今森田委員のほうからもお話ありましたが、この3の「計画推進の指針」のところは、行政のあり方に関わってくるところではあるんですが、大きな流れとしては、実は「オープンガバメント」という考え方ですね。政府として開かれたものになっていくという考え方と、それからもう一つは、これは別に必ずしも政府・自治体だけの話ではないんですが、「オープンイノベーション」と言っていて、この両方の交錯するところが、実は本当はほしいところで、先ほど尾中委員が産業の話でちょっと出されたんですが、もうちょっとここをしっかりとした形で入れ込めるような考え方を、先ほど区長が言われたこの2年間の計画に続くものとして打ち出すところが必要なのかなと。大きく変えることにはならないと思うんですけれども、考え方として、どう文言として入れたらいいかということがすぐ出てくるわけではないんですが、当然ながら区民の方々が参加して協働していくということがありつつ、最近ではコ・クリエーションと言われるようなものに関わっていく部分には、当然、一方でデジタル化というものが、課題とかいろいろ言われていることも含めて進めていくという趣旨のことが、ここに書いておく必要があるのかなというのは、私からも申し上げようと思っていたところではあるんですけれども。 【安藤委員】  ここに書くかどうかというところはあるんですけれども、今後、DXを推進していくというと、自治体がシステムを自前でつくるということになってしまいがちなんですけれど、それもやっていくと非常にコストがかかるので、実際にはなかなかできない、人材も全部揃えるということは難しいので、そういったことに非常に前向きな自治体さんは、ほかにもいっぱいいるから、自治体の枠を超えてある程度共通化ができる部分、簡単に言うと、行政事務を共通化するかというのは今でもあるんですけれども、例えば、住民サービスとか、そういった住民に対する情報を発信していくとか、そういう情報発信のほうがエッジが効いて、どこの自治体でもやることというのではないけれども、ある程度有志で、ある程度理念を持った自治体さんが勇気を出すと、そういったところと幅広く提携をして、自治体間で連携をしていく。それで、共同のサービスをつくっていて、コストもある程度下げながらイニシアチブを取ってやっていくというようなところが今後求められていくのではないかなと思っています。  ここに書けるような話ではないんですけれども、そういうふうにしていかないと、何でもかんでも個別のサービスをつくっていくというふうに、みんなで意見を聞いてしまうとそうなってしまうんですけど、必ずしもそういうのではなくて、ある程度皆さん共通したものがあると、そういったものをある程度意識しながら普及して、自治体間でやっていけるような、こういった仕組みもできたらいいと思います。 【大杉会長】  ありがとうございます。  どうでしょうか。 【尾中委員】  私も安藤委員と同じ意見で、新たにプラットフォームを作るとなると莫大なコストとかがかかって、例えば、もう既にあるLINEであったりとか、利用者数も多いプラットフォーム等をこのプッシュ型・プル型の情報発信に使っていただけると、もう少しなじんでいきやすくなるのでは。 【大杉会長】  ほかに。 【羽毛田委員】  区民委員の羽毛田です。  今さらDXのことを考えたとき、目的、何のために活用するのかというところは重要かなと思っていて、色々な活用方法はあるけれども、この基本計画の中では出ていますけど、参加と協働のところに、このDXというのを使って、多様な意見を取り入れたりするというような感じで盛り込んでいただくといいのかなと思いました。  簡単ですが、以上です。 【大杉会長】  安藤委員、どうぞ。 【安藤委員】  先ほどのChatGPTじゃないですけれども、やっぱり個人の情報とか、そういったところというのが、例えば、オープンデータの公開でも、いろんなものがかき集めていくと、類推できてしまうというようなところがどんどん進んでいくと思います。そういった個人の情報といったところがある意味重要だと思っていますので、個人の情報の保護というのは当然言われているわけですけれども、AIとか、そういった時代に相応しい個人情報の保護といったところも、行政として考えていっていただきたいなと思っております。完全に何かと何か、名前とか、そういうふうな話ではなくて、個人の行動とか、全般的なものを入れると、人となりが分かってしまうというふうなところが今後普通に出てきてしまう。協定の中で、AIを活用していくというふうなところが普通になると思いますが、その際に、個人の情報のコントロールということについても十分に配慮するというところをぜひ入れておくとよいと思います。 【大杉会長】  ありがとうございます。  長山委員、どうぞ。 【長山委員】  私もずっと思っていたことなんですけど、結局、今の基本計画と比べて何が今回新しいのかとなったときに、理念だとかいろいろ議論はしていて、それが今の時代とか、将来のこともバックキャスティングでいろいろ考えられていますが、ただペーパーとして出てくると、あまり大幅な変化は見られないというふうに思っています。そうなったときに、デジタル技術の変化というところの対応というのは、まさに一段とここが将来大きく変わるし、8ページ以降の政策のところで、①の子どものところから始まって、⑥の産業のところもありますけど、それぞれの①から⑥までのところ全てに、それぞれ将来のデジタル技術の変化を見通しての何らかの政策の方針を書き込むべきかと思います。  ただ、これは、事務局の負担になるかもしれないんですけど、子どものところとデジタル技術の変化への対応、②の学校教育もそうですし、⑥の産業のところにおいても、先ほど尾中委員も言われたように、デジタルプラットフォームみたいな話があります。この①から⑥まで、重点政策のところを、バックキャスティングからデジタル技術の変化という文脈で、政策の方針ということを書けるといいのではないかと思います。 【大杉会長】  ありがとうございます。  個別に書けるかというとなかなか難しいかもしれませんが、いずれも分野にもかかわってきて、私も大学に勤めていて、先ほどのチャットGPTについては、どうなるのかという話もありますし、一方で、学びをより広げていきながら変えていく、働き方を変えていくという可能性があるという様々な分野に関わってきますので、デジタルの要素は全体で考えていただくと同時に、この「計画推進の指針」の中で言うと、「人材育成」、「調査研究」もそうなんですが、人材育成面でのデジタル人材というのをどういうふうに育成していくか。  もっと言うと、デジタルとは別に、私は法務的な要素もきちんと議論して、あえて書き込みたいぐらいの気持ちがあるところです。公務員として必要な法務能力というのをしっかりと持っていただくということは、これからますます必要ではないかというふうにも思っているところです。  予定した時間も大幅に超えるという予告の時間も超えているんですけれども、ほかに全体を通じていかがですか。 【松村副区長】  DXに関連した担当の、DXの担当として今考えていることを。今皆さんの御指摘の答え、回答させてください。  8年後にDXという言葉はもうなくなっていると思います。DXはデジタル化ではないので、全く別な話で、ツールです。なので、これ自体が目的ではないです。  今、世田谷区のDX、議会の皆さんからご指摘を受けて、考えようというところなんですけれど、目的は、本区の基本計画の達成です。なので、全ての政策は、住みやすい世田谷をつくるというのがDXの目的です。当然、そこには人権という話も出てくるし、個人情報という話も出てくるし、安全安心も入っている。  何でなくなるかというと、今まで役所って、デジタル化の中で、全然やってこなかったわけではなく、あたりは別にちゃんとやっているんですけど、時代に遅れてきていますから。ポイントは、時代に追いついて、常にそのときに最適なデジタルツールを使いながら、組織も変えていきましょうというのがDXのⅩの部分なので。ここがすごく重要です。ここを今急激にやろうとしている。ですので、できたら、AIがあれば何でもできちゃうのか、それはすごいことであって、全然すごいことではないので、やりたいことがあったら、それを使うツールなだけなんです。それを実現する方法としてデジタル化もあるし、組織も変えていく。  それだけなので、大して今までと変わってないじゃないかという御指摘もそうなんです。変わっていないんです。だって、やらなきゃいけないことをやるだけなので。8年後にこれがDXということをやっているというだけが現状です。 【大杉会長】  ありがとうございます。  ツールという点は非常に重要だと思います。まさにトランスフォーメーションの部分をこの中に書いて、かつ計画に落とし込んでいかなきゃいけない。その指針を示すのが我々の仕事ということになると思います。  私のほうから、6ページのところの「区民の生命と健康を守る」ということで、ベーシックサービスという言葉が使われています。これは私は専門外なので、ここで使われているサービスというのはどういう意味合いで使われているのかということは、どういうふうに理解するか。これは区民に対しても説明できなければいけないので、中村委員に伺いたいと思います。 【中村委員】  多分、私がプレゼンをしろと言われてしたときに、「ベーシックサービス」を申し上げたので、書いていただいたと思います。  私が意味いたしましたのは、医療や教育や保育、そういったまさに人間として、「社会的共通資本」という言い方もあると思いますが、そういったものがきちっとしているということが、(前文にも書かれている所得格差とか、そういうものが広がる中で、)誰でもベーシックなサービスは共通に受けられるということが、所得の再分配が達成されていない日本(日本はなかなか税金が取れませんし、法人税や所得税は現役世代にかかるので、高齢者が出さないという問題もあるわけですので、なかなか現金の所得再分配が発生できていない)においては、ベーシックサービス(ベーシックインカムという言葉がありますが、ベーシックインカムではなくて、ベーシックサービス)が日本では最も格差是正にも有効な手段であり、何よりも、そういったことで、幼児のときから貧富の差なく共通の教育が受けられるということが、機会の平等にもつながるということで、ベーシックサービスと言いました。それを取っていただいたんだと思います。もし必要であれば、出していただければよいかということです。 【大杉会長】  中村委員に御質問したいんですけれども、今御説明の中にあったように、ベーシックインカムの話でいうと、ここではベーシックサービスを堅持するとともにと書いていって、既にベーシックサービスが達成されているということで捉えられて。 【中村委員】  世田谷区は、例えば、子どもの教育は無償にしている、そういったことは非常に評価しているので、少なくとも後退しないようにという意味で、それから、待機児童も解消されましたし、そういう意味では、区としてできる分野については、かなり頑張ってきていただいているのではないかと思います。それは堅持していただき、さらにもっとやっていただければ、なお結構です。 【大杉会長】  そうですね。なかなかできているというふうには思いますが、できている部分とできていない部分も当然ありますので、そこはきちんと分かるような書き方をしないと、既にもうできているんだという言い方で受け取られると、ちょっと誤解になってしまうと思いますので。  ほかに何か、ここでどうしてもというところはございますでしょうか。  大分時間が過ぎてまいりましたけれども、今の点は御議論いただけたのかと思います。ここに関して何かお気づきの点は、事務局のほうにまた御連絡いただくとともに、最後に出たDXの点であるとか、幾つかの点、まだもう一度、それを踏まえた修正案も作っていただくことになろうかと思います。  そういう事柄も含めた、あともう1点、これは言ったほうがいいですね。小林委員から出ている御意見ですが、計画は推進ではなく実行という議論があるんですが、いかがでしょうか。推進ではなくて、実行だということですけれども。行政としては、どちらがよいなどありますか。。 【真鍋副参事】  我々は計画を推進すると使っていたんですけれども、小林委員の御発言は、計画は実行するもので、施策を推進するものだ。だから、計画実行の指針とすべきという論調ではあるんですが、あまり計画実行の指針という章は見慣れないなという気はします。 【大杉会長】  いかがでしょうか。  実行に換えるということでもよろしいですか。特にこだわりがないということであれば、入れさせてもらいます。  それでは、今日の議題、最後になります。  それでは、最後、事務局から、今後に向けてどうぞ。 【真鍋副参事】  ありがとうございました。  議事録と動画の公開についてはこれまで通りのため割愛しますけれども、次回が3月29日水曜日6時半から第8回の審議会。ということは、2週間後になります。ここで答申をいただきたいと思ってございます。  今会長からも、事前に確認をというところで、いつお送りできるかというのがなかなかお約束はできないんですが、2週間、極力早い段階で、何かしら修正案をお示しすると。幾つかどうしようかなという部分は残っているので、個別に御相談させていただく機会もあるかと。 【大杉会長】  最近、郵便事情も悪いということもありますので、なかなか皆さんお手元に、郵便で受け取られている方は受け取りにくかったりもすると思いますが、心がけていただきつつ、普通に言えば、セレモニー的なところになるところですが、内容確認をしっかりする会になるということで臨んでいただくということでお願いしたいと思いますが、そういうことでどういうふうに進めるかはなるべく早くお伝えいただければと思いますので。 【真鍋副参事】  分かりました。早い段階で、3月29日までに何をしていただくか、何を見ていただくかとか、何をしていくかということも含めて御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 【大杉会長】  ということで、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。  本当に申し訳ありません。大変時間を延長してしまいましたが、これにて第7回基本計画審議会は以上です。どうもお疲れさまです。 ―― 了 ――