令和3年第4回世田谷区議会定例会区長招集挨拶

最終更新日 令和3年11月29日

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招集挨拶をする保坂区長

令和3年第4回世田谷区議会定例会にあたり、区議会議員並びに区民の皆様にご挨拶を申し上げます。

この夏、猛威をふるった新型コロナウイルス感染症のデルタ株の影響で、世田谷区でも検査陽性者は、一時は一日に400人を超え、在宅で療養される方が約3,500人と危機的な事態を生み出しました。医療機関での治療はもとより、訪問診療や在宅酸素吸入、また酸素療養ステーションの設置等、医療関係者の懸命な努力もあって、第5波はピークアウトし、8月23日からは東京都内でも検査陽性者が前の週を下回る状況になりました。10月1日、東京都においても「緊急事態宣言」が解除され、10月25日には東京都の飲食店に対する時短要請も解除され、社会経済活動も次第と活発になってきています。11月第一週、東京都で検査陽性者141人、区では7人と落ち着いています。

他方で世界に目を転じてみれば、流行は周期的な波形を描いており、ワクチン接種が進んでいる国や、感染者増加を抑えていた国でも、感染者増は繰り返しやってきており、これから寒くなる冬の時期に、第6波の襲来への備えも怠ることは出来ません。世田谷区でも8割を超えるワクチン接種率や、罹患時に重症化を防ぐ抗体カクテルや経口薬等の治療手段が使用できるようになっているのが、昨年春との大きな違いです。一方で、2回のワクチン接種にもかかわらず、すでにブレイクスルー感染も報告されており、高齢者施設等を中心に警戒していく必要があります。

今後、流行が懸念されるインフルエンザ対策も含め専門家の助言も得て、ウイルスの変異等の警戒情報をいち早く取得し、第5波の教訓を生かして、すべての検査陽性者に「診断と治療」が可能となる体制を築き、世田谷区・玉川両医師会、地域の診療所、病院等の医療ネットワークを日常的に保ち、保健所を中心とした公衆衛生と機敏で緻密な連携ができる体制を構築していきます。

また、来年は区制90周年を迎えます。地域社会全体がコロナ禍の影響を受けて、コミュニティ活動が停滞し、社会的孤立が広がる等、まちの将来というものが見えづらくなってきています。区制90周年とは、次の区制100周年に向けてのスタートアップの最初の年として、今後の明るい希望に満ちた世田谷区政のあり方を区民の皆様と考えていきたいと思います。

次に、ワクチン接種についてです。

ちょうど1年前の12月、区では92万区民に対しての2回のワクチン接種を実施するという未曾有の仕事を着実にやり遂げるために、新たに使用されることになる「メッセンジャーRNAワクチン」の特性や取り扱い上の課題等について、専門家を招いて勉強会を開催し、国や東京都とも連携して集団接種を基軸とし、個別接種と巡回接種を組み合わせていく方針を策定して、本年2月には保健所内に新たに住民接種担当部を立ち上げました。

4月に高齢者施設の巡回接種を開始し、5月の連休中より集団接種を始めて約半年間で、12歳以上の区民の接種率は11月10日で80%を超えました。途中、深刻なワクチン入荷不足もありましたが、楽天グループ株式会社や狛江市による住民接種へのご協力、地域医療機関での精力的な個別接種、職場での職域接種等の取組みが短期間で接種率を引き上げてくれました。改めて、それぞれの持ち場で接種にあたっていただいた関係機関の皆様への感謝を申し上げる次第です。

先に触れたように、ワクチンの効果を持続させるための3回目の接種が、12月から始まります。現在のところ対象者は、2回目接種完了後8か月を経過した方とされています。すでに11月24日に初回の接種券を発送しており、まずは医療関係者から開始します。今後、2回目接種から8か月を迎える方に順次接種券の発送を進めていきます。年明けからは高齢者施設の入所者と従事者、続いて、1月下旬からは一般の高齢者の接種が始まります。高齢者施設でのクラスター等で、ブレイクスルー感染で症状が悪化する方を抑止するために、少しでも早く効率的な3回目接種を国に求めていきます。

今年の春、4月末から5月にかけて区の高齢者の方々のワクチン予約が始まった際に、「コールセンターに何度かけても、つながらない」「予約システムにアクセスできない」、といった苦情を多く頂きました。今回は、この春の反省を踏まえ、コールセンターの回線数を前回のスタート時の20回線から最大83回線へ拡大した規模を、12月の開始当初から100回線を用意し、最大150回線まで対応可能とするとともに、接種券の発送時期を週単位で小刻みに分け、予約や問い合わせの集中を避けるなど、予約しやすい環境整備に取り組んでいきます。

また、予約等の手続きに支援の必要な高齢者を中心として、まちづくりセンターでの職員による予約支援も引き続き体制を組んでいきます。3回目の接種を希望される方が、円滑かつ速やかに接種を受けられるよう、庁内一丸となって取り組んでいきます。

次に、「世田谷区新型コロナウイルス感染症後遺症アンケート」の結果についてです。

区では令和2年2月以降から令和3年4月15日にいたるまで、区内で感染された方の療養後の症状を把握し、後遺症への適切な対応や感染予防の啓発を行うためのアンケート調査を行いました。調査の対象は8,959人で、3,710人から、回答いただいた結果を報告書にまとめました。

まず、アンケートに回答いただいた48.1%の方々に何らかの後遺症があったことが分かりました。実に二人に一人は、後遺症に悩まれていました。また、後遺症は、男性より女性のほうが発症しやすく、年齢別にみると30~50代の50%以上の方が発症していることも分かりました。

感染後の症状別でみた場合、「軽症」「中等症」の方は60%以上、「無症状」の場合でも27.5%の方に、後遺症があることが分かりました。この「無症状」の検査陽性者は、区が高齢者施設等での社会的検査で把握した方たちも含まれています。

年代別の後遺症の症状では、10~30代は「嗅覚(きゅうかく)障害」、40~60代は「全身の倦怠感」と年代によって多く出る症状に差があることが分かりました。

後遺症が続いた期間を見ますと、陽性と診断されてから30日後では、後遺症があるとお答えいただいた方のうち、男女ともにほぼすべての年代で60%以上の方に後遺症が残っているという結果となりました。

10月31日現在、区で新型コロナウイルス感染症に感染された方の累計は2万8千人にのぼっています。アンケート調査から浮かび上がってきたのは、多くの方に、罹患後治療が終了してからも日常生活を送る上で支障となる後遺症が見られたことと、それぞれの症状に応じた治療につながる相談窓口を強化していく上で、重要な調査となりました。4月15日までの検査陽性者が対象であったことで、その後に拡大したアルファ株、デルタ株の症例がほとんど含まれていないこともあり、引き続き、本年9月末までの感染者を対象とした追加調査も続行していきます。

今後、本調査の報告書をオープンデータとして区のホームページに掲載するとともに、調査結果について国や東京都、医師会、医療機関、関係所管等に情報提供して意見交換し、区として分析の上、感染予防の啓発に加え、後遺症対策にかかる国への要望等を含め、今後の対応について検討してまいります。

次に、本庁舎等整備についてです。

本庁舎等整備が本格化しています。7月に着手した区民会館の低層部、中庭部分の解体作業が11月末でひと段落し、12月からは、いよいよ新庁舎建設のステップに移行します。今後、新庁舎の基礎工事のため、地表より深さ17mまで掘り下げていくとともに、保存再生する区民会館については、外壁コンクリートの修復などの作業を開始します。

世田谷の文化・芸術の魅力の発信拠点となる、区民会館ホールは、このたびの大改修での整備によって、音響・照明等の性能が大幅に向上するとともに、定員を1,200名から900名に減じたことで、座席空間も従来より広く確保されます。また、ホワイエ地下のリハーサルにも利用可能な練習室や、舞台のバックヤードの楽屋も増築・充実し、より使いやすい施設となって令和5年度中に、リニューアルオープンの予定です。

更に、令和7年に予定する2期工事完了時には、「区民自治と協働・交流の拠点」として区民が交流し、世代やテーマを超えて活動する人々が活用できる「区民交流スペース」が、現在の第一庁舎1階の位置に完成します。

区民会館やホワイエ、中庭、屋上庭園等とも一連となって、より広がりをもった活用が可能となります。長い工期を要する本庁舎等整備事業ですが、区民がアイデアを出し合い、こうした空間を活用するためのワークショップや意見募集等を重ねていき、多くの区民が新庁舎の誕生を心待ちにするような環境と運営のあり方をつくりあげていきます。

次に、教育総合センターについてです。

教育総合センターは、旧若林小学校跡地に「教育推進拠点」として12月20日にスタートします。ここには、不登校の子どもたちを支える「ほっとスクール城山」が移転して、のびのびと過ごすことのできる施設が併設され、区の職員研修所やせたがや自治政策研究所も、センターの事務スペースを使用し、区民や地域住民の皆さん、子どもたちが集う場としての機能も持つ複合的施設として開設します。

この4年間、実施してきた総合教育会議では、教育委員の皆さんとともに「学びの質の転換」を議論してきました。コロナ禍の中で、教育は大きなターニングポイントを迎えています。教育総合センターでは、世田谷区にある地域資源を存分に生かし、区の総合力を生かした教育現場を担う教員へのバックアップや、子どもの学びを支える教育スキルを醸成する拠点としての機能を発揮していきます。

新型コロナウイルス感染症の流行や激甚化する自然災害、地球規模で常態化した「異常気象」は、人類の生存の条件すら脅かしています。子どもたちはこれからの時代を想定外の事態と向き合いながら、学び、成長していくこととなります。大人自身も「正解」を持っていない予測不可能な未来を生きるためには、従来の「学力観」から脱して、自ら問いかけて考える力を育み、「利他の心」を培って他者を尊重し、多くの人々と協働しながら物事を実現するコミュニケーションの力、試行錯誤をいとわない粘り強い探究心等、不安定な社会を生き抜いていける資質や、知力と体力を育成することが求められています。

第2次教育ビジョンの教育目標や基本的な考え方に掲げている、「あらゆる生命・人権の尊重、他者への思いやり、豊かな情操や規範意識、自己肯定感、コミュニケーション能力、ものごとを成し遂げる力の育成等」を図るとともに、「発達段階に応じた体力の維持向上、健康増進を図る」ことは、時代の変化にかかわらず重要です。

学校での学びにおいては、子どもたち一人ひとりが「未来」に向けて、自らの将来像を描きながら、主体となって人生の指針を創ることができるよう、「キャリア・未来デザイン教育」を通して、主体的に課題を解決する「探求的な学び」を積極的に推進することとし、そのためにも「ICT活用」を充実させていきます。

令和2年3月からは全国の学校で臨時休業措置が取られる中、学びを保障する手段としてのオンライン教育の実施などICT環境整備は必要不可欠となり、せたがや版ICT教育の充実のための前倒しを行いました。ICTの技術開発は日進月歩で、すでに日常生活を先端技術が大きく変えようとしています。ICT機器を効果的に活用することによって、世田谷の教育を就学前から小・中学校を通じて知識を教えることを重視した従来型の教育から、子どもたち一人ひとりが課題を見つけ協働して解決を目指す探究的な学びへと転換できるよう、教育全体の質的改革を進め、そのため、教育総合センターを教育実践と学校運営を支えるための拠点としてまいります。

次に、DXの推進についてです。

区では現行の「世田谷区基本計画」において、「参加と協働」を区政運営の土台に据えてきました。デジタル技術の飛躍的発展を応用して、区政のボトムアップと政策形成の練度を向上させていくために、地域課題に積極的な住民参加と熟議を定着させるツールとして活用し、デジタル・デモクラシーの深化を生み出すDXを実現します。

まず着手するのは「区民に時間を返す」改革です。これまでの書類申請中心の手続きを見直してデジタル化を進めるとともに、区民に最も身近な「まちづくりセンター」で、デジタル情報発信や総合支所・本庁の窓口とつなぐオンライン相談、各種手続きのサポートを丁寧に行います。現在、地域行政制度の条例化を準備していますが、街づくりや福祉の課題について、より身近な区役所組織が区民ニーズに機敏に応えられるように細部の制度設計にあたっていきます。

保育園の入園申請などオンライン手続の拡充を進めています。引き続き区民の利便性向上に向けて、子育て関係・介護関係など、来年度以降もオンライン化対象業務を拡充するとともに、LINEを活用した、対象者別の行政情報の配信(セグメント配信)、窓口におけるキャッシュレス決済の導入などの実現をはかります。

誰一人取り残さない社会的包摂を基本とするデジタル社会の実現のためには、デジタルデバイド対策を徹底する必要があります。この春以来のまちづくりセンターでの「ワクチン接種予約支援業務」を振り返り、高齢者を中心にスマートフォン操作等を支援するプログラムを組み立てます。まずは、都事業を活用して、今年度、区内16か所のまちづくりセンターで11月下旬から令和4年2月まで、高齢者向けスマートフォン体験会を実施いたします。中高生から学生等の若者が高齢者を支援するボランティアとして地域参加する道筋も描いていきます。

また、5月に成立したデジタル改革関連法のうち、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」では、住民基本台帳など15の基幹情報システムについて、令和7年度を目途に、国が定める標準仕様に基づくシステムへの移行が求められており、新庁舎への移転後の区民サービスの在り方を見据え、更に、世田谷らしい地域行政の充実に向けて全庁を挙げた検討体制のもとで対応してまいります。

次に、グリーンインフラ・グリーンリカバリーについてです。

教育で触れたように、近年の気候危機は、豪雨災害や大雪、異常高温による熱波等、激甚化する自然災害となって私たちの暮らしを脅かしています。まさに「異常気象」が常態化し、自然災害のリスクが大きくなっています。とりわけ、台風や低気圧による集中豪雨による水害は、区内でも一昨年の台風第19号の被害が記憶に新しいところです。

アスファルトやコンクリートに覆われた都市構造の中で、短時間の集中豪雨が下水道や河川に流入することで起きる内水氾濫を軽減・防止するため、下水道の整備や洪水調節池の新たな整備等を促進させるとともに、雨水の下水道への流入を抑制し減少させる「グリーンインフラ」の取組みを計画的に進めていきます。

「グリーンインフラ」を取り入れた施設整備例として、「うめとぴあ」があります。地上に降った雨水を一時的にため込む「レインガーデン」や、屋上からの雨水を吸水しながら下に流す「じゃかご樋」などを考案し、施設全体がグリーンインフラとして機能するようになっています。そのほか、雨庭を有する公園の整備など、区が率先して取り組んだ事例を「せたがやグリーンインフラ・ライブラリー」にまとめて紹介しています。

一方、大型施設や公共用地だけではなく、区民の参加によって実現する下水流入抑制策にも力を入れています。区では、雨水浸透施設・雨水タンク設置や緑化などの助成制度を用意しています。また、「グリーインフラ」の啓発を目的に開催している「グリーンインフラ学校」では、今年度、自分でもできる「雨庭づくり」をテーマにし、高い関心を集めています。今後、効果的な補助支援策も織り込みながら、92万人区民が取り組む「グリーンインフラ」に広げていきたいと考えています。

また、コロナ禍からの経済復興・再生政策として、「グリーンリカバリー」の取組みが、世界中で始まっています。

昨年10月の「世田谷区気候非常事態宣言」を区において実効性のある行動と施策に結びつけていくために庁内の「気候危機対策会議」の場で議論を進めてきました。環境を重視した施策の実施を通して、地域経済を活性化させ、雇用の創出・拡大につながる成果を引き出すことで、コロナ禍前とは異なる持続可能な経済と社会の復興を目指すことを、区における「グリーンリカバリー」として定義しました。

平成25年(2013年)から取り組んでいる環境配慮型住宅リノベーション推進事業は、区内事業者による施工を補助の要件としており、昨年度から今年度にかけて当初予算規模を上回る需要を喚起して、補正予算をお願いして2年続けて対応してきました。住宅の熱効率と断熱性能を高めヒートショックのリスクが抑えられるよう、壁や窓等の断熱改修をさらに促進するメニューについても検討を指示しました。環境配慮型住宅リノベーション推進事業の地域的な経済効果は高いため、今後の地域経済政策の中でも重点化したいと考えています。

さらに、気候危機対策の困難な課題は、温室効果ガスの排出削減です。区におけるCO2排出は、電力消費に相当する部分が5割を超えるため、その電力を全て再生可能エネルギー由来の電源に切り替えることが出来れば、相当なC02削減効果があります。

夏に作成した「世田谷区気候非常事態宣言」のリーフレットの中で、気候危機に対し、私たち一人ひとりができる取組みの例として、住宅や事業所への太陽光パネルの設置や区民・事業者が再生可能エネルギー電気を購入することなどを呼びかけています。

区民や議会の皆さんとも、今後最大の課題となる気候危機の課題を共有し、地域経済の活性化と両立することができる区の事業や政策について議論を重ね、具体化をはかります。

次に、交流の推進についてです。

世田谷区は、多くの自治体と自治体同士あるいは住民同士が交流し、多様な価値観に触れ、受け入れることでお互いの親睦を深め、緩やかな協力を進めてきました。こうした中で、豊かな自然を有する山村自治体である群馬県川場村を世田谷区民の「第2のふるさと」として、昭和56年(1981年)に「区民健康村相互協力に関する協定(縁組協定)」を締結し、40年を迎えました。

この間、小学生の移動教室と交流事業を柱に事業を展開するとともに友好の森事業等、木質バイオマス発電による自然エネルギー連携や環境保全の分野など政策課題解決に向けた事業にも取り組んできました。

また、世田谷区総合戦略を策定し、心豊かな暮らしを実現するための地方・都市との連携・交流を戦略の柱として位置づけ、全国35の自治体との自然エネルギー利用の促進や災害時の協力協定等の具体的な取組みを進めてきました。すでに、この総合戦略のもとで平成27年(2015年)に「首長会談」を開催し、その後、「自治体間連携フォーラム」は、開催地として交流自治体を巡りながら過去7年にわたって5回、実施してきました。

さらに、区内及び近隣には、17の大学・学部があり、平成26年(2014年)より、年1回の区長と学長の懇談会を定期的に開催しています。大学のもつ専門性や資源を活かしながら、区と大学が相互に連携・協力する取組みとして教育、災害対策、生涯学習、地域コミュニティ等約120の事業を展開しています。

東京2020大会が終わりました。世田谷区を訪れる多くの方々と区民が「交流」することで、多様性を尊重する世田谷の特色を伸ばし、「共生のまち世田谷」の実現をレガシーとして次世代につなげるため、区民の代表の方々とともに、おもてなし・交流・参加実行委員会として準備を進めてきました。新型コロナウイルス感染症の拡大により、対面での交流が難しく多くの事業が中止となりましたが、「交流」を基軸とする区民の「参加と協働」を主体とした取組みは、大会後も、民間、大学、他自治体等、多様なステークホルダーとともに、新たな地域でのつながりを強化する価値創造へと回路は継続し、今後に生かします。

自治体には、住民の福祉の向上に全力を傾注する責務があります。一方で世田谷区のように92万人口を抱える都市部では、全国の地方自治体と「顔の見える関係」を構築することで、互恵関係を発展させていくことには大きな意義があります。区内での大規模な再生可能エネルギーの創出には限りがありますが、自治体間連携を深めることで、小水力、地熱、木質バイオマス、大規模太陽光発電の電力供給が可能となりました。今や世田谷区の主催する「自然エネルギー活用による自治体間ネットワーク会議」には113自治体が参加しています。

平成23年(2011年)の東日本大震災や、平成28年(2016年)の熊本地震、平成30年(2018年)の北海道胆振東部地震において寄附金の贈呈や被災地支援のための職員派遣等を積極的に行ってきました。「顔と顔の見える自治体間の相互扶助」は、支援活動を通して持続的な交流関係へと発展してきています。

交流は継続し深化することで、一時的な表面的な関係でなく、世田谷区と区民の見えない社会的資産を構築します。地方自治体や大学等の高等教育機関、小中学校、区民の個人やグループ、そして区内事業者、商店街等が重層的に豊かな関係を紡ぎ出し、世田谷区の特性を十分に生かしたネットワークを稼働させる時、良質な社会資源を醸成することを確信しています。

次に、小田急線上部利用についてです。

長い年月をかけて、北沢デザイン会議を中心にして、北沢PR戦略会議など重層的に展開してきた上部利用を基軸とした街づくりは、鉄道事業者の商業施設等が次々とオープンして、「街を支える支援型開発」として注目を集め、仕上げの時期が近づいてきています。

区は、これまで、世田谷代田・下北沢・東北沢駅間の線路跡地約1.7kmにわたって、防災とみどりの基軸となる通路や緑地広場、そして、駅前広場の整備を進め、世田谷代田駅及び東北沢駅周辺の整備が完了しました。今年度は、下北沢駅周辺における整備を進めています。

下北沢駅東口の駅前広場予定地では、電線類地中化に向けた電線共同溝整備を、下北沢駅南西口や京王井の頭線の高架下では、鉄道事業者と区の施設整備がそれぞれ進められており、京王井の頭線高架下の商業施設内には、来年3月下旬の開設に向け、二子玉川、三軒茶屋に続く、3か所目として、予約資料の貸出・返却等を主な機能とする「図書館カウンター」の設置準備を進めております。

次に、花見堂小学校跡地・複合施設の開設についてです。

本年12月22日、旧花見堂小学校の跡地に花見堂複合施設を開設します。

児童館、地区会館と、来年度に開設する、医療的ケア児を含む障害児の通所施設を併設します。地域が活用でき、多目的利用ができるフリースペースを設置するとともに、災害時は地域の避難所となります。

平成25年(2013年)11月に、「花見堂小学校跡地活用検討ミーティング」として、地域の皆さんをはじめ、花見堂小学校関係者と区の関係所管が、同じテーブルで意見を出し合い、跡地活用の検討を始めてから、計26回を数えるミーティングを重ねてきました。

現在、新たな地域のコミュニティ拠点となる施設の運営を進めるための運営体制を立ち上げる準備が進んでいます。地域の施設運営への参加と施設内のフリースペースの「場」を通して、地域活動を繋ぐ運営を地域のみなさんと協働して進めてまいります。

次に、松原複合施設の開設についてです。

来年1月に松原まちづくりセンターが、松原小学校敷地内に新築した施設に移転します。まちづくりセンターの機能が小学校に併設するのは、代沢まちづくりセンターに続いて2か所目となります。また、この施設にはプールや新BOPなどの小学校施設と、松原ふれあいルームも併設されます。

松原複合施設の開設で、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の一体整備が、28地区すべてで完了しました。平成28年(2016年)に全地区で開始した「地域包括ケアの地区展開」の取り組みが各地区で進んでいます。松原地区でも施設完成とともに、三者連携がより緊密化され、身近な「福祉の総合窓口」として区民の身近な相談に応じるとともに、参加と協働の地域づくりを一層進めてまいります。

次に、ひきこもり支援の今後の展開についてです。

区では、令和3年3月に「世田谷区ひきこもり支援に係る基本方針」を策定し、「ひきこもりの状態を含む、社会との接点が希薄な方や社会との接点がもちづらい状況にある方とその家族が、気軽に相談・支援につながることができ、当事者が自分らしく暮らすことができる地域づくりをめざす」ことを基本目標に掲げ、令和3年度から、国の重層的支援体制整備事業を活用し、ひきこもり支援を推進しています。

令和4年4月にはメルクマールせたがやとプラットホーム世田谷を同一建物内に配置し、(仮称)ひきこもり相談窓口を開設します。また、メルクマールせたがやの対象年齢を40歳以上にも拡大し、ぷらっとホーム世田谷とともに、双方の専門性を活かした、年齢を問わない、伴走型の支援を行います。

更に、令和4年度より(仮称)ひきこもり支援機関連絡協議会を設置し、窓口開設後のアウトリーチによる支援や居場所事業の共同実施などの取り組み内容の効果検証を行うとともに、地区の福祉の相談窓口や教育委員会、医療機関等と連携できる体制を整備し、ひきこもり支援の一層の充実と一体的な実施に向け取り組んでまいります。

次に、「世田谷区食品ロス削減推進計画」についてです。

食品ロスは、本来食べることができるにもかかわらず廃棄されている食品のことですが、世田谷区においても、家庭ごみの組成分析調査により、食べかけのお惣菜や未開封の食材、買ったまま使われていない野菜等が可燃ごみの中に確認されています。

これまで、区では食品ロスに関して、平成26年度に全国の自治体に先駆けて実施した「フードドライブ」や、小学生向けの「エコなお買い物体験」などにより、「発生抑制」を中心に広く区民に普及啓発してきました。

今般、令和4年度(2022年)から令和12年度(2030年)の9年間の計画として、「世田谷区食品ロス削減推進計画」の素案をとりまとめました。区民、事業者、行政がそれぞれの役割を認識し、区民、事業者の皆さんと連携を強化しながら、食品ロス削減に取り組むことを目的としています。

今後、区民の皆さんや、区議会のご意見もいただきながら、来年7月の策定をめざして取り組んでまいります。

次に、世田谷区公文書管理条例の改正についてです。

これまで、公文書管理委員会における議論を経て、公文書管理条例の改正素案に対する区民意見募集の結果を踏まえ、公文書のうち、将来にわたって残していくべき重要な公文書を永久保存するとともに、それを広く利用していただくことができる仕組みに関する規定を、この条例に追加するための検討を行ってまいりました。

今般、この仕組みの追加により、文書を適切に保存することを通して、現在だけではなく、将来の区民に対しても説明責任を果たし、更に開かれた参加と協働の区政の実現を目指し、本定例会へ条例の一部改正案を提案します。

次に、職員の給与改定等についてです。

去る10月20日に、特別区人事委員会より、職員の特別給について引き下げるべき旨の勧告がなされました。また、特別職の報酬等については、11月22日に世田谷区特別職報酬等審議会より、職員と同様に、特別給を引き下げるべき旨の答申をいただきました。これらを受け、職員並びに特別職の特別給の引き下げを実施する必要があると判断いたしました。このため、条例改正を行う必要が生じましたので、ご提案する次第でございます。

次に、令和3年度一般会計第5次補正予算について申し上げます。

ワクチン住民接種事業をはじめとした新型コロナウイルス感染症防止対策や、せたがやPayを活用した事業者支援など、速やかに対応すべき施策について、歳入歳出それぞれ、78億8,054万4千円の補正予算を計上するものであります。

最後に、本議会にご提案申し上げます案件は、令和3年度世田谷区一般会計補正予算(第5次)など議案20件、諮問1件、同意1件、報告12件です。

何とぞ慎重にご審議の上、速やかにご議決賜りますようお願いしまして、ご挨拶とします。

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