令和3年第3回世田谷区議会定例会区長招集挨拶

最終更新日 令和3年9月15日

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招集挨拶をする保坂区長

令和3年第3回世田谷区議会定例会にあたり、区議会議員並びに区民の皆様にご挨拶を申し上げます。

今年の夏は、私たちが、昨年春からの新型コロナウイルス感染症に向き合ってきた事態の中で、最も重大で最悪の危機に直面しています。7月から8月にかけての第5波は、感染力の強いデルタ株が中心となり、都内の1日あたりの感染者数も5,000人を超え、区内の感染者数も480人を上回るなど、過去最多を連日更新する感染爆発の様相を呈しました。

感染者の急激な増加により、病床不足が顕著となり、保健所による入院調整は困難を極めていました。本来なら入院をするべき人も、受入れの病床がないために自宅療養となり、酸素吸入が必要な病状となっても、なお入院ができないケースも頻発しました。年末年始にかけての第3波の教訓を踏まえて、やむをえず医師の指示のもとに自宅で酸素濃縮装置を稼働させて、在宅療養者への訪問診療体制の構築をしてきましたが、これまでに入院を待つ81人の方に使用してもらっています。

ただし、自宅における酸素吸入は緊急手段に他なりません。医療スタッフの看護のもとで酸素吸入が可能な酸素療養ステーションを区内で立ち上げる準備を進めて、7床の宿泊療養施設を8月31日に開設し、開設後の運用状況や感染状況も踏まえ、その後の体制整備の開設についても検討を行ってまいります。

デルタ株を中心とした7月から8月にかけての第5波は、ワクチン接種の進んだ高齢者層では感染者が相対的に少なくなりましたが、20代30代の感染は急上昇し、40代50代の感染者の重症化も顕著となりました。

世田谷区の累計感染者数は、令和3年9月2日現在、26,861人となりました。132人の方が亡くなられ、「入院中529人」「宿泊療養中34人」「自宅療養中2,332人」となっています。亡くなられた方々に心より哀悼の意を捧げ、闘病中の方々の1日も早いご快癒をお祈りいたします。

すでに、昨年春から2万5千人以上の区民が罹患歴を持ち、4月中旬までに感染された約9,000人の区民全員を対象に後遺症のアンケートを実施し、この度、速報結果がまとまりました。医師会や医療機関等とも情報を共有して、後遺症に悩む方への対策に活かしてまいります。

次に、ワクチン接種についてです。

4月12日に高齢者施設で最初の住民接種を開始してから、5か月余りが経過しました。8月末現在、1回目の接種を終えた方が、対象者の6割を超えて約50万人、2回目の接種を終えた方は4割を超えて約34万人となりました。

高齢者の接種率はすでに90%に達しており、今月中には12歳以上の区民の7割近くの方が2回接種を終えることができる見通しで、10月中旬には計画数が達成できる見込みです。

当初、19ケ所の区の集団接種会場、300を超える地域医療機関での個別接種に、国や東京都の大規模接種、都内を中心とした職域接種、そして8月から9月にかけて接種の協力を頂いた楽天グループの接種会場により、接種を拡げることが出来ました。7月、国のモデルナ社製ワクチンの不足から自治体向けのファイザー社製ワクチンが削られ、23区が急な供給制限にあって「新規予約」を受けられない時期が続きました。特別区長会は、河野太郎新型コロナウイルス感染症ワクチン接種推進担当大臣に強く抗議して「在庫ワクチン等という認識を改めよ」「2カ月以上の予約分を保管することにペナルティ削減等は見当違い」と厳しい意見を投げかけました。

区でも、7月に入って世代ごとに逐次、接種券を郵送しましたが、楽天グループの接種会場で、世田谷区民の予約受付が始まる8月上旬まで「新規予約」をつくることができませんでした。また隣接する狛江市からも4,500人分のワクチン接種枠を世田谷区民用に譲っていただきました。貴重な接種機会をつくっていただいた楽天グループと狛江市の御厚意に感謝をいたします。

その後、8月中旬に国から示された9月以降の供給量に加え、東京都から大規模会場用に多く配分されていたワクチンが追加供給される見通しがたったことから、9月以降の区集団接種会場での予約枠を逐次準備することが出来ました。感染による重症化や早産のリスクが高い妊婦に対する優先接種も行っています。

今後は、若い世代の接種率が低く、接種申込みしていただける工夫を凝らしていこうと考えています。12歳以上の小中学生についても、ワクチン接種の影響等、専門家の見解を幅広く保護者に伝えていく努力もしていきます。

昨年10月より開始した社会的検査(社会的インフラを継続的に維持し、重症化を避けるためのPCR検査)については、介護事業所などを対象に、8月末までに約2万9千人、スクリーニング検査約1万5千人で合わせて、約4万4千人を対象に実施しております。

これまで行政検査を「定期検査」と「随時検査」を組み合わせて実施してきましたが、8月末までに高齢者施設内でワクチンを2回接種した入居者が約7,800人、職員が約7,200人、接種率が8割を超えたことから、定期検査を9月末で停止し、随時検査の体制を強化して陽性者発生時の学校や保育園等の感染可能性のある方の検査を迅速に実施していきます。

また、感染拡大局面における検査需要の増加に対応するため、速やかに一定以上のウイルス量を有する陽性者を発見し、適切な措置へとつなげるため、「抗原定性検査キット」を10万テスト分確保し、随時検査の補強に役立てるとともに、小中学校等での校外活動や部活動等の実施の際、感染拡大防止の一環として同検査キットを活用いたします。

社会的検査において、昨年11月から今春にかけて実施した「定期検査」、「随時検査」約1万2千件で確認した78件の陽性事例のうち、33件が「Ct値」25未満の感染力の強い方々でした。「Ct値」とは、検体の中のウイルスを、何回増幅すれば検出できるかを表す数値で、数値が低ければ低いほどウイルス量が多く、感染力が強くなるものです。

社会的検査の分析の結果、無症状であってもウイルス量が多く、周囲に対して強い感染力を持つ可能性がある方がいることがわかり、西原広史(にしはら ひろし)慶應義塾大学教授に監修を依頼して調査報告書をまとめ、今後のコロナ対策に活かすよう厚生労働省に提出いたしました。

デルタ株の陽性者のうち、約40%は無症状であったとの調査結果もあり、無症状者も含めて感染状況をつかむことは大切です。このことからも、これまでの社会的検査の取組みに加え、新たに「抗原定性検査」を導入することにより、無症状の感染者を把握することは、クラスター防止、重症化防止のために、大変有効であると思います。

本年7月23日、東京で57年ぶりとなるオリンピックが開幕されました。新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言下で、原則無観客の異例の形でしたが、オリンピックは33競技、パラリンピックは22競技が行われ、いずれも過去最大級の大会となり、各会場での熱戦が繰り広げられ、世田谷ゆかりの選手も活躍されました。世田谷区では馬事公苑において計16日間、馬術競技が開催されました。大蔵運動場及び大蔵第二運動場は、ハイパフォーマンスセンターとしてアメリカ合衆国選手団の拠点として活用され、延べ3,600人を超える選手のトレーニングやコンディション調整に使われました。

しかし、時間をかけて準備を本格化させてきた「おもてなし・交流・参加実行委員会」を中心とした来訪者の受け入れと交流、にぎわいづくり、公道を走る聖火リレーや、児童生徒の学校連携観戦など、多くの皆さんが楽しみにしていた交流や関連行事は残念ながら、ほぼすべてが中止・延期となりました。厳しい制約下の中、「世田谷区医療的ケア相談支援センターHi・na・ta」のオープニングイベントにおいて、東京2020大会にてトライアスロン競技で銀メダルを獲得したモーガン・ピアソン選手と医療的ケア児とそのご家族との交流事業を感染防止対策に万全を期し実施いたしました。東京2020大会後も、アメリカオリンピック・パラリンピック委員会を通じてアメリカ選手等との交流を継続すると共に、障害者スポーツの推進などをレガシーとして引き継いでまいります。

次に、「(仮称)世田谷区未来つながるプラン」についてです。

平成30年度(2018年)から開始した「新実施計画(後期)」も最終年度となり、令和4年度・5年度(2022年~2023年)の2年間の次期実施計画として、「(仮称)世田谷区未来つながるプラン」の素案をとりまとめました。

長期にわたる新型コロナウイルス感染症の影響、激甚化する気候危機への対応、人口トレンドの変化、デジタル化の急速な進行など、日本社会が転換点を迎えるなか、世田谷区もまさに区政の変容(トランスフォーメーション)が求められています。また、コロナ禍により、地域経済の動向はきわめて厳しい状況が続いており、今後も区民生活の切実なニーズに応え、ぎりぎりの財政状況が予測されます。

こうした視点を踏まえ、次の基本計画を見据えた新たな政策の柱として、第1に「高齢者・障害者をはじめすべての区民の健康と生命を守る」、第2に「区民・事業者の活動を支え地域活性化を図る」、第3に「子ども若者の学びと育ちの支援」、第4に「コロナ後を見据えた持続可能な社会の実現」、の4つの柱を設定しました。これらの政策の柱に基づき、19の施策を位置づけました。また、DXの推進、行政経営改革の取組みなども加えて、2年間の取組みの方向性をまとめています。

そのうえ、昨年から続いているコロナ禍は、ウイルスの変異により長期的に深い傷跡を地域社会にも残しています。一方で、区民の健康と生命を守るために区職員が一丸となって奮闘してきたことで、改めて見えてきたことや気づきがあります。今後の2年間は、過去の延長の2年間ではなく、これからの地域社会が10年かけて変貌していく未来に向けたものだと考えます。すべての政策、施策、事業について、コロナ禍を克服していく視点で見直していくことが重要です。

折しも来年は、区政90周年を迎えます。これからの10年とは、区政100年に向かう道筋となります。感染症のパンデミックにあわせて、気候危機と激甚化する自然災害を前に、私たちは「環境の修復」「ライフスタイルの転換」を選択する以外にありません。次の10年とは、生存の条件が持続可能な条件を保てるのか、きわめて厳しい時代となります。グリーンインフラをはじめ、環境修復と経済再生を結合させる社会経済構造が必要な事態となります。

大量生産、大量消費型の産業構造から、環境価値を基本とした資源再生と、モノを大切にする修復型の地域経済をつくりあげていく役割が求められます。

DXの取組みは、自治体と住民の関係を可視化し、中間的な手続きやサービスが圧縮され、区と区民・事業者が知恵と力を出し合い、文字通りの「参加と協働」の区政を生み出すことが技術的に可能となります。DXの目指すところは、第1に自治体事務の抜本的改革であり、第2に住民サービスの電子化や統合によるワンストップサービスの実現、第3に、「参加と協働」の充実した自治基盤であるデジタル・デモクラシーの構築です。

現在の基本計画策定時には、「マッチング」の議論を重ねました。縦割りを横つなぎへというかけ声の下で、所管を超えたいくつかの先進的な取組みが展開された反面、一時的なチームやプロジェクトにとどまり、日常的な「越境」や「協働」を実現していないという課題もあります。

DX=デジタル化ではありません。アナログの世界で「重ね合わせ」「巧みな応用」「事務手続きや手順の改善」等が基本にあって、デジタル技術が改革を加速する場合もあれば、旧来のままに個々バラバラにデジタル化される失敗例もあります。DX改革は、自由闊達な議論と挑戦を生む基盤とし育てることを目指し、危機管理体制や地域行政制度の発展に不可欠なものです。今後、議会でのご議論や区民の皆さんのご意見を踏まえて「(仮称)世田谷区未来つながるプラン」を策定していきます。

次に、地域行政の推進についてです。

地域行政の推進に関する条例の制定に向けて、この間、条例骨子案に関するパブリックコメントやオンラインによる区民説明会、町会・自治会の方々との意見交換、区民意識調査等を行ってきました。身近な行政拠点であるまちづくりセンターに期待する声や、地域課題の解決に向けた機能の充実に期待する意見も多く寄せられています。

5月に入って、新型コロナウイルスワクチン接種の予約が混み合い、電話がつながらずにパソコンやスマートフォンを使えない高齢者の方々に対して、全28カ所のまちづくりセンターが大きな役割を果たしました。多くの高齢者の方をまちづくりセンターに迎えて、職員による予約の支援を行い、その数は、延べ14,000人を超えました。改めてまちづくりセンターが、区民の身近な相談や困りごとの支援の拠点として機能することを再認識させられる好事例となりました。今後区は、「福祉の相談窓口」を軸とした「地域包括ケアシステムの地区展開」の充実を図るとともに、地区を重視し、まちづくりセンターを中心とした、地区情報の把握や相談機能の充実、区民の主体的な地域活動の支援、活動や交流の機会・場づくりを進めてまいります。

さらに、DX改革が地域行政を大きく変える可能性があります。これまでは、本庁や総合支所に来庁して行ってきた各種手続き・相談などが、デジタル化によって在宅や移動中にもできるようになっていきます。一方で「福祉の相談窓口」が定着してきたように、まちづくりセンターにおいても、このような仕組みのもとにワンストップサービスを実現し、職員のアドバイスによって、広範囲の行政サービスへのアクセスが可能となります。

ワクチン予約サポートのように、デジタル技術に遠い方が置き去りにされることのないように、地区の行政拠点であるまちづくりセンターが生活基盤を支援しなくてはならない場となります。また、地域コミュニティの中で、地域活動団体が、SNS等のICTも活用した身近でタイムリーな情報発信や多世代による区民参加へのアプローチを強化していきます。DX改革の進展によって、定型的に反復する業務が自動化され、窓口業務は丁寧な相談や案内という区民とのやりとりに比重が移っていきます。区民にとって身近なまちづくりセンターの相談機能を強化し、積極的に区民の生活現場に目を向け、出向き、語り合い、情報収集やまちづくりを推進していくことが必要だと考えます。

地域行政制度の充実に向けては、区民に最も身近な行政機関であるまちづくりセンターの機能の充実・強化を主眼として検討を進めていき、一般市並みの人口を抱える総合支所における住民参加や、組織改革についても課題とします。

DXの推進を踏まえた新たな行政サービスと「参加と協働」の変革に取り組む中で、まちづくりセンターや総合支所における広報広聴の機能を強化し、「参加と協働」を土台として、より住民参加を推進する姿勢と取組みを条例に組み込んでまいります。来年9月の条例提案に向けて、地域のかたち・自治のあり方に関わるより多くの論点を掘り下げ、地域行政制度の充実により地区や地域がどう変わるのかということを区民との共有や対話、区議会でのご議論も尽くさせていただき、条例・推進計画の検討を進めてまいります。

次に本庁舎等整備についてです。

長期間に渡り準備を進めてきた本庁舎等整備ですが、7月に着工となりました。まずは、10階建てとなる災害対策本部や議会施設等が配置される1期棟を2年後となる令和5年(2023年)7月の完成に向けて整備します。保存する区民会館ホールは内部の大改修を進め、楽屋部分の建替えや、リハーサルにも利用可能な練習室の新設等、音響や照明、舞台まわりも最新のものにリニューアルして、区民が親しみ、使いやすいホールとして生まれ変わります。今後、区役所機能は工事の進捗に合わせて窓口も、段階的に移転していく計画です。令和9年(2027年)の新庁舎全体の完成まで工事が続きますが、来庁者が目的とする窓口まで円滑に到達できるようサインの整備や丁寧な誘導案内につとめ、区民サービスの水準を維持してまいります。

本庁舎等整備は、これまで経験のない最大規模で、難易度の高い工事となります。現在、区民会館集会室の解体工事が始まり、騒音・振動などで区民の皆さんにはご迷惑をお掛けしますが、安全対策には万全を期すとともに、区民の生命や財産を守る区政の拠点としての本庁舎等整備を、着実に進めてまいります。

次に、川場村との縁組協定締結40周年についてです。

区では、昭和56年(1981年)に川場村と「区民健康村相互協力に関する協定」を締結し、区民の「第二のふるさとづくり」を進めてきました。40年の長きにわたって、区民健康村を開設し、区立小学校5年生の移動教室のほか、世田谷区民・川場村民の交流事業を進めてきました。

中でも、約80ヘクタールに及ぶ山林を「友好の森」として保全・育成作業を続ける協働事業は自然環境の維持と環境教育に寄与し、川場村での農業体験などは、区民・村民の中で根づいています。また、川場村の豊かな森林資源を生かした木質バイオマス発電で生み出された自然エネルギーを世田谷区民が利用する取り組みなど、新しい連携も生まれています。
これほどの長期間にわたって都市部と農山村部とが交流・連携をしている事例は、全国的に他には例がないもので、高く評価されるものと考えております。川場村は「第二のふるさと」として世田谷区民の中に深く定着し、さらに持続可能な都市基盤を強化するためにも、川場村との縁組協定の実績は他の交流自治体との指標ともなります。

11月28日には、「縁組協定締結40周年」の区切りとして、記念式典を行うとともに、都市部との山村の交流をテーマにシンポジウムを行い、自治体間連携の重要性を発信していきます。

次に、高齢者の地域参加促進施策についてです。

コロナ禍の影響が長期化して、高齢者の社会的孤立防止やフレイル予防、健康寿命の延伸などが喫緊の課題となっています。

区では、まちづくりセンターの「福祉の相談窓口」を機軸に、地域包括ケアの地区展開を深めています。「参加と協働」による区民同士の支えあいを土台にして、高齢者の地域での活動や健康づくりを推進していくため、「居場所づくり」「健康づくり」「地域参加・地域貢献」「知と学び」「就労・就業支援」の5つのプロジェクトを立ち上げ、検討を進めています。

現在、休憩スペースと浴場が併設された千歳温水プール4階の健康運動室では、スマホ講習会や有段のインストラクターによる囲碁教室など、多様な高齢者の嗜好に合わせた参加型プログラムを提供して、高齢者がくつろぎ、交流できる新たな居場所づくりに取り組んでいます。

また、区内85の高齢者クラブの中で、体を動かす機会の比較的少ない文科系や趣味の集まりやサークルを対象に、日常活動にあわせて運動指導員が訪れ、体操指導を行う健康づくりプログラムなどの取り組みを進めています。

今後は、情報誌やアプリを活用した情報提供を行うほか、がやがや館の活用に加えて、ひだまり友遊会館や、代田地区会館をはじめとした地域区民利用施設等を活用し、高齢者が楽しめる多様なプログラム等の提供とともに、時代の変化に即した新たな活動や、自由にゆったりとくつろげ、趣味の活動等を多彩に展開できる居場所の実現に向けて準備を進めていきます。

次に、高齢者福祉についてです。

施設やサービスの充実整備については、令和5年度(2023年)までに認知症高齢者グループホームを44か所から50か所へ、通い・訪問・宿泊のサービスを組み合わせて提供する小規模多機能型居宅介護を13所から19か所へ、また地域密着型特別養護老人ホームを3か所から5か所へ増やす計画です。補助金を活用した民有地における整備を進める他、区立施設の移転や改築、複合化等を契機とした整備も進めて、旧若林小学校跡地では、認知症高齢者グループホーム及び小規模多機能型居宅介護を併設する地域密着型特別養護老人ホームを令和4年度に開設します。

介護の現場では、人材不足が深刻です。区では、現場で働く職員を支援するために特別養護老人ホーム等を対象に「デジタル環境整備促進事業」を実施し、ICTを活用した見守り支援機器の導入を促進しています。また、介護現場で働く人材を確保するためのプラットフォームとして、介護サービスの事業者団体やハローワークなどの支援機関、学識経験者等で構成する「世田谷区介護人材対策推進協議会」を6月に設立しました。介護人材確保のための課題整理や、今後の取組みについて具体的な検討を進めていきます。

次に、三軒茶屋駅周辺地区のまちづくりについてです。

三軒茶屋駅周辺まちづくり基本方針を踏まえ、区民や事業者、町会、商店街、大学など、多くの方々の参加による「まちづくり会議」により、まちづくりの基本計画となる「(仮称)三茶のミライ」の策定に取り組んでいます。

この間のワークショップやシンポジウムには、多くの区民が参加し、熱心な議論が行われています。今年1月、オンラインで実施した第3回まちづくり会議では、三軒茶屋に関わる21の団体が活動の紹介や意見交換を行い、100名を超える参加がありました。また、こうした熱気ある議論の内容や、取組みの経過をPRコーナーの設置やニュースの発行などにより、まちづくりの関心や気運の醸成にも努めてきました。この度、参加と協働によるまちづくりの未来像を描いた「(仮称)三茶のミライ」の素案をとりまとめました。今後、区民の皆さんにも意見を伺ってまいります。

次に、京王線沿線の街づくりについてです。

区は、東京都、京王電鉄などとともに連続立体交差事業に取り組んでおり、この間、沿線の地区の特性を活かした駅周辺街づくりにも取り組んでおります。
千歳烏山駅では、街づくり協議会からの地区街づくり計画原案の提案を踏まえ、地域住民の皆様と意見交換を重ね、本年6月に街づくりのルールである地区計画を策定しました。区は引き続き、商店街や地域住民の活動と連携し、地区計画で生まれる空間の使い方などについて、意見交換を行ってまいります。

また、下高井戸駅では、地元の街づくり協議会により「みんなでつくる明日のしもたかブック」がまとめられました。区は、そこに描かれたまちづくりの将来像を地域と共有しながら、地区計画の策定を視野に入れた取組みを進めています。こうした住民主体の取り組みを支援しながら、他の駅周辺についても、参加と協働を土台に各駅周辺の特性を活かしたまちづくりを着実に進めてまいります。

次に、玉川野毛町公園拡張事業についてです。

区は、本年5月に国土交通省等々力宿舎跡地を玉川野毛町公園として拡張するため、住民参加による検討などを経て公園整備の基本計画を策定しました。この基本計画をベースにした具体的設計を進めるにあたり、事業者選考の上で、忽那裕樹(くつな ひろき)氏を代表とした共同企業体「玉川野毛町公園パートナーズ」を新たに設計事業者として選定しました。忽那氏は、日本を代表するランドスケープデザイナーの1人と言われています。

また、住民参加も継続して進め、区民発意の取り組みを検討する「パークらぼ」と共に、公園予定地を一般に開放し、実際に活動してみる「オープンパーク」を定期的に実施し、実践と検証のサイクルを継続して設計を進めてまいります。

今後、オーケストラの指揮者のような役割を担う忽那氏がトータルデザインを担いながら、学識経験者の助言も受けつつ、住民参加で将来の公園利用者の活動が公園をかたち作っていくプロセスを皆で共有し、令和6年3月の一部開園に向け、世田谷区を代表する質の高い公園づくりに取り組みます。

次に、旧池尻中跡地についてです。

これまで世田谷ものづくり学校として平成16年(2004年)から事業に取り組んできた旧池尻中学校跡地は、来年度から始まる耐震工事が終了する令和5年度(2023年)から新たな事業展開を図ります。この間、幅広い専門家や事業者等と意見交換を重ね、今年2月に新たな基本コンセプトを策定しました。基本コンセプトでは「地域特性を活かした賑わいをつなぐ場」「多様な企業・人材が新たな価値を創造する場」「未来を担う子どもへの新たな学びを実践する場」「職住近接のため、多様な働き方の支援拠点」の4つを柱にしています。

7月には、この基本コンセプトに基づいて、事業展開の可能性について民間事業者の意見を聞く「サウンディング調査」を実施し、多様なプランや発想を聞かせていただきました。(仮称)世田谷イノベーターズベースというプロジェクト名称のもと、時代を切り開く知性と感性をあわせ持つ価値創造の拠点として、起業や教育、先端技術や研究者のアドバイスと、区民意見を伺いながら事業者選定の準備をしていきます。

次に、第2次世田谷区教育ビジョン・調整計画についてです。

教育委員会では、第2次世田谷区教育ビジョンの総仕上げとなる今後2カ年の調整計画の策定を進めております。現行の第2期行動計画4年間を振り返ると、「誰一人取り残さない持続可能な開発目標(SDGs)」が社会全体で広く認知されるようになりました。また、教育現場では、昨年来のコロナ禍によってGIGAスクールの前倒しが進み、児童・生徒に一人一台のタブレット端末を配布する等、ICT教育環境が劇的に進展しています。

今般策定を進めている第2次世田谷区教育ビジョン・調整計画は、乳幼児期からの質の高い教育を推進することで、小・中学校とつながる切れ目のない9年教育との連続性や一体性を構築していきます。急速に充実するICT環境を一層活用して、探究的で協働的、かつ個別最適な学びの支援と実現に向け、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を位置付けていきます。また、一人ひとりの個性を伸ばす教育やいじめ防止対策、不登校支援等の積極的な推進も計画に盛り込んでいきます。
今般、素案をまとめたところですが、区議会のご意見をいただきながら、今年度中の策定を目指して取り組んでまいります。

次に気候変動対策についてです。

今年も、台風シーズンを迎えています。地球温暖化に伴い世界各地で豪雨や洪水が頻発しており、深刻な被害をもたらしています。国内でも、気候変動による被害は年々激甚化しており、熱海市での土石流災害による被害は死者26名と甚大な被害に、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りします。

災害から生命を守る防災・街づくりの重要性に鑑み、暮らしのインフラを守り再生させる仕事に力を入れていきます。

区は7月に、「世田谷区地球温暖化対策地域推進計画の見直し」を環境審議会に諮問し、議論をスタートさせました。今後、中学生・高校生・大学生を中心に「気候変動」をテーマとしたとした「若者環境フォーラム」や、区民の皆さんと脱炭素社会への転換をどう進めていくかを議論する「区民ワークショップ」を実施していきます。今月上旬に、全庁一体となって気候変動に取り組む推進体制として、関係部長で組織した「気候危機対策会議」を発足予定です。今後、区議会でのご議論をいただきながら、区内の二酸化炭素排出量実質ゼロを目指してまいります。

また、第3次補正予算でご提案しています「環境配慮型住宅リノベーション推進事業」について、環境価値と事業機会を両立させる枠組みとして、今後はいっそう成熟・発展させていきたいと考えています。防災とグリーンインフラや緑の充実とあわせて、環境都市世田谷を思い切って描く時期が来ています。8月19日には新潟県津南町との自然エネルギー活用を通じた連携・協力協定を締結し、同町の小水力発電を活用して、区内への電力供給のフレームをつくります。9月7日には約40自治体の参加を得て、自然エネルギー活用による自治体間ネットワーク会議をオンラインにて開催しました。今後も都市と地方とのエネルギーの地域間連携を進める際の先導的役割を果たしていきます。

次に、決算についてです。

本定例会でご審議いただく、令和2年度の歳入歳出決算の概要について申し上げます。一般会計の決算ですが、歳入は、特別区税が増収となったほか、特別定額給付金の給付にかかる国庫補助金の増額などにより、歳入総額は、4,286億円、前年度と比較して、30.1%の増、歳出は、特別定額給付金の給付や新型コロナウイルス感染症対策関連経費の増などにより、歳出総額は、4,112億円、前年度と比較して、29.9%の増となっており、歳入歳出ともに、4,000億円を超える決算総額となっております。

この結果、令和2年度決算の実質収支は、139億円となりました。なお、年度末における基金残高は、過去最高の1,119億円となり、昨年度に引き続き、特別区債残高736億円を上回っております。また、「健全化判断比率」につきましては、令和2年度においても、引き続き健全な状況を維持いたしました。

次に、補正予算案についてです。

このたびの補正予算は、ワクチン住民接種事業などの感染症防止対策をはじめ、区民の生活と区内事業者等の活動を守る取組みなどについて速やかに対応するため計上するものです。あわせまして、国民健康保険事業会計など4つの特別会計につきましては、前年度繰越金の確定などに伴う補正を行っております。すべての会計を合わせますと、136億1,100万円の増額補正となっております。

最後に、本議会にご提案申し上げます案件は、令和3年度世田谷区一般会計補正予算(第3次)など議案24件、認定5件、諮問1件、同意1件、報告27件です。

何とぞ慎重にご審議の上、速やかにご議決賜りますようお願いしまして、ご挨拶とします。

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