区長記者会見(令和5年3月27日)
最終更新日 令和5年3月30日
ページ番号 203315
令和5年3月27日(月曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。
区長あいさつ
世田谷区長定例記者会見を始めます。今年度最後の、また、私の3期目最後の記者会見となります。
今回の任期を振り返りますと、コロナとの闘い、取り組みがとても大きく、正解がはっきりあるわけではない状況の中で取り組んできました。現在、集計中ですが、区内では3月半ば時点で353人の方が新型コロナウイルス感染症で亡くなりました。心からご冥福をお祈りいたします。
2020年、3年前の春のちょうど今時分、緊急事態宣言が発出される段階であった3月、4月は、連日、医療関係者や様々な専門家と連絡を取っていました。高齢者施設でクラスターが発生し、多くの方が同時に重症化し命を落とすという例が、当時のヨーロッパで多数見られたため、重症化する方、亡くなる方をできる限り減らすことを重点的に取り組み、積極的なPCR検査の活用や昨年からはオンライン診療も行ってきました。
PCR検査では、施設で一人ないし二人の方が感染すると、ただちにその日か翌日に100人であれ200人であれ施設内の全員に検査してもらえることとし、感染者の分離を図り、感染拡大を防いできました。東京都全体では10万人あたり約57人の方が亡くなられており、世田谷区は若い方が多いということを差し引いたとしても、比較的低く抑えられました。これからも、亡くなる方や重症化する方をどれだけ抑止できるのか考えていきます。
5月8日(月曜日)以降は5類に移行されますが、制度が変わるだけでウイルスが変化することはありません。保健所ともこれからの方針を協議しているところですが、やはり一番は、医療体制をしっかりと継続できるかどうかだと考えています。地元の医師会や医療機関、また緊急搬送にあたる東京消防庁とよく連携していきたいと思っています。今年の1月にも救急は大変にひっ迫し、救急隊員はほとんど消防署に帰れない状態であり、例えば心筋梗塞等で緊急措置が必要な方も入院することができないといった事態もあったと聞いています。
本当に来てほしくありませんが、第9波は誰も予想できない状態です。1月に起きたような医療ひっ迫が再び起こらないよう、比較的感染者が少ないうちに、しっかりと準備していきたいと思います。
5類移行にあたっては、例えば、人口透析をされている方、障害をお持ちの方、出産を控えている妊婦の方、出産時陽性が確認された方などをどのように取り扱うのか課題があります。また、子ども達の感染の問題等、世田谷区は約91万人の人口がいるため、様々なケースが出てくるかと思います。移行に伴い平常に戻ることは私たちの願いでもありますが、第9波が襲ってきた場合、そのことを想定していなかったということにならないように課題を明確にし、決まっていないことは、しっかり対応方針を立てていきたいと思います。
続いて、公園と春のイベントについてです。広報紙の区のおしらせ「せたがや」3月15日号では「春はすぐそこ、公園に行こう!」として特集しています。
二子玉川公園は、二子玉川が再開発等で大きく生まれ変わった時期に開園して10年が経ちました。現在も多くの人で賑わい、住民参加の管理運営活動が行われており、この度10周年記念イベントが住民の手で実施されます。また、上用賀公園については、JRA馬事公苑や東京農業大学一帯のみどりの拠点に隣接した国の敷地(3.1ヘクタール)と、国の重要文化財が出土した野毛大塚古墳のある玉川野毛町公園に隣接した国土交通省の宿舎跡地(2.8ヘクタール)を取得し、拡張事業に取り組んでいます。
まず、平成25年4月に開園し、10周年を迎える二子玉川公園についてです。
公園内にある日本庭園「帰真園(きしんえん)」が特徴的です。開園の半年前に国土緑化推進機構よりいただいた1,400本の苗を、750人もの区民の方々とともに丁寧に植え付けました。。平成24年9月の植樹から3年経つと薮のようになり、現在では8メートルから10メートル近くまで育ちました。一見すると小さな森のようになっており、隣接する高層マンションも見えなくなるほどに成長しました。「帰真園(きしんえん)」は、珍しい日本庭園で、縮景庭園となっており、富士山、丹沢の山々、多摩川を見ることができます。また、庭園内に「旧清水邸書院」を復元しており、先日も、こちらでお茶会等が開かれました。書院は30数年、区の文化財として倉庫にあったものを組み立てて再建したもので、区登録有形文化財となっています。
開園当初、アメリカから3,000本のハナミズキが友好の木として日本に贈られ、アメリカ大使館の首席公使が参加して53本のハナミズキが植樹されました。
この「世田谷いのちの森づくり植樹祭」は、世界中で植林をされた故宮脇昭(みやわき あきら)氏の指導のもと、世田谷区でも森ができるんだということで、鎮守の森を参考にしながら、様々な種類の木を混合して植えたものです。自然と森が育っていくわけではなく、開園後も公園サポーターとして地域住民の方々に関わっていただいています。こうした森の手入れ、花壇づくり、自然遊び、木が枯れてしまったところへの植樹等、住民の手によるイベントを4月8日(土曜日)から9日(日曜日)、15日(土曜日)から16日(日曜日)の4日間に渡って開催し、開園10周年をお祝いします。
続いて、拡張事業を進めている公園を二つ紹介します。
まず、上用賀公園についてです。
財務省の官舎があった3.1ヘクタールの跡地を取得し、約1ヘクタールある既存の上用賀公園の拡張を進めて、4ヘクタールとかなり広大な公園へと整備を進めています。この公園は世田谷通り等に接しているため、緊急時の物資や流通の防災拠点となるように、そしてみどり豊かで、平時はスポーツ活動を基軸とした公園とすることを検討しており、多目的な中規模体育館の整備も予定しています。今後も区民の意見を聞きながら基本計画をとりまとめていき、令和8年以降の設計・工事、10年度以降の開設を目指します。
次に、玉川野毛町公園についてです。
4月21日(金曜日)と22日(土曜日)に、春のオープンパークを実施します。今後、整備を進めていく予定で、ランドスケープデザイナーの忽那裕樹(くつな ひろき)氏とともに、徹底的な住民参加を目指して多くのワークショップや話し合いを重ねてきました。現在、その計画がまとまってきたところで、地域の住民が公園づくりを軸にして様々な活動を自発的に行っています。実際に、公園の向かいのマンションの方たちは、リサイクルをテーマに活動をされています。また、等々力渓谷からみどりを楽しみながら散歩してきて玉川野毛町公園にたどり着くというウォーキングのルート等も作り上げていき、100年後も楽しまれる公園を目指していきます。
次は、駒澤大学が箱根駅伝の往路・復路で総合優勝し、大学駅伝三冠を達成したことについてです。
駒澤大学は区内の大学で、区と包括連携協定を結んでいます。この陸上競技部が、今年度の出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝を全て優勝し三冠を達成しました。三冠達成は史上5校目、駒澤大学としては初めてのことです。今年度限りで退任される前に大八木監督がこの素晴らしい偉業を成し遂げたということで、山野力キャプテンや鈴木芽吹新キャプテンとともに、2月に区役所を訪問していただきました。日頃の練習やチームのことに加え、大八木監督からは、ただ頑張れと伝えるだけではなく、選手と対話する形で関係づくりに力を入れてきたといった話をお聞きしました。
また、3月14日(火曜日)に二子玉川ライズで、会場に詰めかけたおよそ1,000人の方々が見守る中、大学駅伝3冠達成報告会で大八木監督や選手たちが区民の方々に報告する機会がありました。花束贈呈のときには、サプライズゲストとして、松任谷正隆さん、名誉区民である松任谷由実さんが登場し、会場は大いに盛り上がりました。
発表項目
小田急線駅上部利用の街づくりについて
区では、小田急線が地下化した世田谷代田から下北沢を経て東北沢に至る1.7キロメートルの線路跡地に加えて、京王井の頭線下北沢駅の高架化に伴ってできた一部区間において、防災、減災、みどりを基軸とした街づくりを進めてきました。
まずは、昨年7月に整備したシモキタ雨庭広場についてです。ここには、降雨の際には水が溜まり、晴天時には乾くような構造のレインガーデンを設置しました。
レインガーデンの設置等、線路跡地にみどりを拡充するといったグリーンインフラに力を入れたことで、先日、グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」をいただき、街づくりの中で様々な反響を与えています。区民や事業者と連携しながら線路跡地の整備・維持に取り組んでいて、商業施設が立ち並ぶエリアではプランターへの水やり等を各店舗にご協力いただいており、ソフト面についても国土交通大臣賞に評価されたことを嬉しく思います。
下北沢の新しい再開発は、今まで行ってきた再開発とは随分違います。取り組みの中で最も特徴的なのはみどりを育てていくことです。グリーンインフラをしっかり根付かせていくということで地域に「シモキタ園藝部」という活動団体等が誕生し、子どもたちと一緒に種まきをする等、みどりと触れ合いながら、植物の成長を観察されています。線路跡地につくられた「ののはら広場」は原っぱのように見えますが、このような場所が下北沢等にはほとんどありませんでした。あまり広くはありませんが、このような草地ができると、トンボ等の虫が住み着くこともあり、子どもたちにとって居心地の良い、親子で楽しめる場所になります。
区では、防災とみどりの拡充というコンセプトで、線路跡地の1.7キロメートルの整備に取り組んできました。現在は地下に埋設されているためほとんどの方はご存じないですが、下北沢の駅前に防火貯水槽100トンが2基設置されています。
下北沢の再開発をめぐる議論の中では、消防水利の問題が数多く挙がりました。駅前広場の完成時には、火災が発生した際の水源として200トンもの大きな防火貯水槽があることをお伝えしたいと思います。
駅前広場の整備について、最終的にどのような設えとするか議論を進めていますが、平常時の交通広場に加え、時には駅前の広さを活かしてイベント等も開催し、街がにぎわう空間としても活用していこうと想定しています。
また、駅前広場に敷設する舗装ブロックに寄附者名を刻印し顕彰する名入れブロックを、ふるさと納税のお礼の品として、募集を開始したところ大きな反響がありました。プロジェクト全体の寄附金額は、3月23日時点で1,157件、約4,646万円となっています。名入れブロックは、ご家族等のお名前を入れたブロックが広場に敷かれます。令和5年度工事で600枚分がすでに予約で埋まり、令和6年度工事分も600枚分のうち、残り216枚となっています。この名入れブロックは区民の方もエントリーできるお礼の品となっています。いただいた寄附金は、駅前広場のケヤキ並木や、ベンチ等駅前の環境整備に幅広く活用させていただきます。
名入れブロック以外にもお礼の品を用意しています。これらは区外の方のみ対象となりますが、京王井の頭線の鉄道架線をアップサイクルしたカードスタンドや、シモキタ園藝部等の活動とも絡みますが下北沢産のハチミツ「シモキタハニー」といったお礼の品を充実させています。
下北沢駅前周辺の整備は最終段階に入り、駅前広場のみ未完成ですが、先日も北沢デザイン会議を開いて議論したように、住民参加の取組みを今後も進めていきたいと思っています。
バンタンデザイン研究所との官学共同プロジェクトによる下北沢公衆トイレのマナー啓発について
次に、恵比寿にあるバンタンデザイン研究所との共同プロジェクトについてです。
下北沢は、人が集まり、賑わいが作られてきたことの影の面として、路上飲みや夜間人口の増加による騒音等が課題になります。その課題の一つが、下北沢駅東口から南へ進み、京王井の頭線の高架下を通ったところにある下北沢南口公衆トイレです。この公衆トイレは、ごみの不法投棄が増えており、トイレ内で、直接声をかけて注意することが難しいこともあり、これまで啓発ポスター等を掲示し注意喚起してきましたが、なかなか効果が出ませんでした。
そこで、しもきた商店街振興組合と地域の活性化を目的として、ファッションや映像、デザイン等で連携してきたバンタンデザイン研究所を紹介していただき、デザインの力でマナー改善に取り組む共同プロジェクトを行うことになりました。若者が多く、生まれ変わってきている下北沢の街の雰囲気に合ったポスターデザインを、プロのデザイナーの指導のもと学生が自由な発想で提案してくれました。20作品の中から選ばれたのは、明樂(あきら)あゆみさんの作品で、トイレのブースをアパートの部屋に見立て、扉には表札を掲げ、『人んちのトイレならどう使う』というメッセージを投げかけるポスターとなっています。単にポイ捨てをしないでくださいという文字だけが書かれたポスターと違って、訴求力があるのではないかと思います。3月25日(土曜日)にはバンタンデザイン研究所、学生、商店街、町会関係者等が参加し、ポスターのお披露目と内覧会を行いました。トイレのきれいさが維持されていくことを期待します。
マイナンバーカード交付における体制強化について
最後に、マイナンバーカード交付における体制強化についてです。
この間、国から示されるマイナポイント事業に伴い、急増した交付申請に対応するため、専用の交付窓口の設置や本庁舎内での期間限定窓口の開設等、交付体制を強化してきたところです。そうした中、マイナポイント第2弾の申込み期限が5月末と極めて短い期間が示されたことで、現在の申請状況では約2万枚が交付できない状況となることが想定され、緊急対応として、4月6日(木曜日)から5月19日(金曜日)まで、全庁による職員の応援体制を講じて、交付窓口の開設日及び開設時間を拡充します。
拡充内容として、本庁舎内の期間限定窓口、三軒茶屋の専用窓口、5つの総合支所内にある特設窓口において、平日の開設時間を19時まで延長または9時に前倒しします。また、休日についても、現在平日のみ開設している期間限定窓口では、5月のゴールデンウイークも含めた土曜・日曜・祝日も開設し、現在も土曜・日曜開設の三軒茶屋の専用窓口は開設時間を延長します。全庁的な職員体制により何とか交付窓口の拡充を実現し、マイナポイントの申込み期限内に区民の皆さんに交付できるよう進めていきます。私からの報告は以上です。
質疑応答
- 記者
マイナポイントカード交付における体制強化について伺いたい。今回の見直しによって、マイナポイント申込み期限までに間に合わない見込みであった2万枚は期間内に交付できる見通しとなるということでよいか。
- 区長
その通りである。
- 地域行政部長
現行の体制では2万枚が交付できない見込みのため、4月6日から5月19日までの期間に、土日を含めて窓口を拡充することで、2万枚を配り切れるような体制を予定している。
- 記者
政府のマイナポイント事業は、5月末までに手続きをすればマイナポイントが受け取れるという仕組みと思うが、区の窓口拡充の終了日を5月19日としたことに理由はあるか。
- 地域行政部長
マイナポイントのポイントを取得するには、カードが手元にある状態でなければいけないため、カードが手元に行き渡るために、5月19日までと設定した。マイナポイントを受けとるためには、マイナポータル画面での申請や、自身が利用するキャッシュレスサービスやクレジットカードと連携するための操作等を行う必要がある。区でも操作方法を支援しているが、交付後も各種登録に期間が必要になるため、少し前倒しにしている。
- 記者
職員による応援体制とのことで、人件費等については国から手当てされるのか。
- 地域行政部長
マイナポイント事業については、国からの補助金がある。例として、時間外の手当や休日出勤の手当などについては基本的に100%補助で交付申請ができると聞いている。
- 記者
小田急線の上部利用に関して、区ホームページを見ると、ワークショップや様々な会議を行っていることがわかり、区民の意見を反映させているように思う。再開発にあたって区がこのように進めていくということを示すのではなく、繰り返し区民の意見を聞いて要望を反映させていったのか、経緯を伺いたい。
- 区長
区ホームページに掲載している「北沢デザイン会議」は比較的規模の大きな会議で、およそ年に1回開催しており、先週9回目を終えたところである。その他にも大きな会議として、最近まで「北沢PR戦略会議」という名称で開催していた「シモキタリングまちづくり会議」がある。
「北沢デザイン会議」では線路上部をどのようにデザインするかというテーマに対して、「北沢PR戦略会議」では、それぞれの人が気になる分野について議論してきた。例えば、みどりが少ないからみどりを増やしたいという人は「みどり部会」を作り、活発に活動する中で「シモキタ園藝部」となるなど、8つほどの部会が各々活動している。
これまで、多くの会議を開催し、長年に渡り話し合いを重ねてきた。最初は、話し合うこと自体が難しく、対立もあった。道路事業に対して、道路計画自体をどう考えるのか、やめたほうがいいのではないか、緊急時に救急車両や消防車が入れない、といった意見等もあり、最初から和気あいあいと話が進んだわけではなかったが、提案型のPR戦略会議などでは、何年か積み重ねていくうちに打ち解けてきた。
下北沢駅南西口を例にすると、当初は広場を設ける予定はなかったが、住民のアンケートや意見の中で、駅前に人が多く集まることを想定して、小さくても広場が必要ではないかという意見があった。小田急電鉄株式会社の理解もあって、商業施設の規模を少し削ることで、現在の広場を整備することができた。また、当初、南西口は立体緑道とする構想だったが、地面を早く整備した方がいいのではないかという意見が強かったため、区の計画は留保して現在のような整備状況となった。
ハード面を変えることは大変なことだが、住民等の意見が反映されて実際に街の形が変わった例を2つ挙げた。現在整備が続いている駅前広場についても、賑わいの使い方について非常に強い要望が出されていて、それに相応しいデザインについての議論が今も続いている。
- 記者
玉川野毛町公園の拡張について、私も、オープンパークに一度行ったことがある。
私が在住する大田区では、新しく公園や設備をつくるときに区民の意見を聞くとしても、区側で決定している計画を示し、区民からは若干の修正を受け付けるといった印象で比較的進んでいると感じている。それに対して世田谷区は、オープンパークを何度も開催し、区民にアンケートをしっかりとって意見を反映させているように思う。そういった面でも、世田谷区は、非常に区民の意見を聞いているように感じるが、そのあたりの姿勢というのは、保坂区長の考え方なのか、それとも前区長、または区政としての姿勢なのか伺いたい。
- 区長
まず、私自身が参加と協働を目指しているということがもちろんある。
ただ、私が始めたというわけではない。大場元区長の時代に、「打てば響くまちづくり」という言葉があった。住民が何か意見を出せば、響いて反映されるということであり、区の封筒などにも掲載していた。
わかりやすい例として、北沢川緑道がある。今は桜の名所となっていて、花を見ながら散策する人が多い場所である。40年以上前のことだが、北沢川緑道にせせらぎをつくる案を区が提示した。当時、区が考えたせせらぎは用水路のような直線だった。それに対して、住民が参加するワークショップの中で、せせらぎは小川であり、蛇行もするし中州もあるという意見が出されて、全面的に変更となった。現在、そこに非常に豊かなみどりや植栽があるのは、住民の方々が参加してくれたということがあるのだと思う。
落葉や草木の手入れなどの協力が頻繁に行われた時期が80年代だが、徐々にそういった協力が薄れてきたことや、区の財政が非常に厳しい時期などには、新規事業がほとんどない状態だったことから、参加と協働や、住民参加ワークショップなどを知っている世代が少なくなっていった。下北沢の街づくりにおいては、その時代を経験していた職員が管理職などになっていたために活かすことができた。経験した世代が若手職員もつないで、住民参加ができるように取り組んでいる。
住民参加については、計画を進めるにあたり時間がかかる。何も決まらなかったり、蒸し返しがあったりして効率が悪く感じるが、一つ一つをしっかり積み上げていくと、皆で作ったということで、愛着がわいたりする。
- 記者
下北沢公衆トイレのマナー啓発について、区として費用はかかっていないと伺った。なぜ費用がかからず実施できたのか、教えていただきたい。
- 公園緑地課長
このプロジェクトは、区とバンタンデザイン研究所による官学共同プロジェクトとして実施している。バンタンデザイン研究所としては、区の事業に関わる機会を得られることがメリットの一つとなる。区としては、区の困りごとを解決してもらうことができる。両者の求めるものが合致し、無償で行うこととなった。
- 記者
区史編さん問題について、執筆者の方に著作権譲渡の契約を求めており、書類提出の締め切りは3月中旬頃であったかと思う。この契約に反発している委員から契約書は届いているのか、伺いたい。
- 政策経営部長
提出の締め切りは3月10日であるが、当該委員から提出いただいていない状況である。
- 記者
その他の委員の方からの提出状況について、教えていただきたい。
- 政策経営部長
全体で41名の委員がおり、うち1名は他の仕事に就かれるとのことで、39名の方から提出いただいている。
- 記者
当該委員は、今後、区史編さん事業において、執筆しないこととなるのか。
- 政策経営部長
3月31日まで委員としての身分をお持ちで、中世の執筆を担う委員会に属しており、その段階での判断になるかと思う。
- 記者
3月31日まで提出がなかった場合はどうなるのか、教えていただきたい。
- 政策経営部長
4月1日の段階での中世の委員にて、執筆を担当するパートを割り振り、執筆を担っていただくことになると思われる。
- 記者
区史編さんの委員、執筆者に対し、著作権を整理することは妥当なことだと考えるが、委員会設立から5年経ち、執筆の直前になって契約を持ちかけることについて、区に落ち度等はなかったのか、伺いたい。
- 区長
著作権等の確認を当初からしておくべきではなかったのかというご指摘かと思うが、そのご指摘は受けとめたい。専門家の方が自身で研究されているテーマについて執筆されたことをホームページ等に引用したことに断りがなかったことについて、区ではお詫びをしているところである。
区史の編さんにあたっては、区史偏さんの委員会があり、区が発行する区史となるため、区史編さんの責任者から指摘やここを直したらどうかという話は、これまでも出ていたと聞いている。専門家の方の研究は、私どもも大変貴重なものだと認識しているため、自身の見解や学説について、コラムなどの形式で責任を持って執筆いただくことはあり得るのではないかと考えている。そのあたりの協議については上手くいかなかったと聞いており、極めて残念に思っている。
私も、20代から30代にかけ20年間程、多くの雑誌や新聞に寄稿した。編集者にリードや見出し、原稿の順番の修正を受けたこともある。場合によっては、印刷されたら変わっていたこともあり抗議をしたこともあった。今回のケースは、区を代表して区史を出すこととなるため、一定の話し合いのうえ、区史編さん委員会全体の合意が必要だと考えている。今後、一定の協議や合意のもとで作成を進めることであれば、区史の執筆に関わっていただくことも十分できると考える。
今回、著作権譲渡の契約を依頼したことについて、異例の事態だと指摘を受けていることもあるが、権利問題等が整理できないと区史が発行できないという事態は避けたいと考えており、一番良い形での解決を望んでいる。
- 記者
地方統一選挙の関係で伺いたい。最近、「世論調査ドットコム」と名乗り、区民の意識調査として、公用車や区長室の家具に関する週刊誌の報道について知っているかを尋ねる電話が、区内の自宅にかかってくることがあると聞いた。このことについて、区長は把握しているのか。また把握している場合、どのような対応をとる予定か、伺いたい。
- 区長
政治家である私自身について、行政の内容や政治家としての基本姿勢に関して広く批判や論評を受けることは当然であると考えている。しかし、今回聞かれている内容は、すべて週刊誌の報道を脚色したものであるため、看過できないと考えている。私のところにも、区民の方から「区長を誹謗中傷する電話がかかってきた」、「アンケートに回答したが、「1知っていた」、「2知らなかった」とどちらを選択しても電話が切れてしまった。本当に調査しているのか」といった声等が寄せられている。
批評や論評については受けとめるが、虚偽や歪曲によって人格を毀損することは許されないと思っている。虚偽事実を広範囲に公表することは、違法性が疑われるということもあるため、毅然とした対応をするべく、警視庁及び世田谷警察署に被害事実を届け、告訴に関する協議を始めているところである。
- 記者
この場合、被疑者不詳として告訴するのか。
- 区長
正体不明のため、そうなるだろう。
- 記者
罪名について、区長側で考えているものはあるか。
- 区長
最終的には弁護士と協議の上、絞り込んでいくことになると思うが、名誉毀損であることも事実であるし、虚偽の事実を公表するというのは、公平公正な選択ができなくなるであろうと思う。また、世論調査を称した無差別電話が幅広く行われていることがわかっており、珍しいケースだと思う。今後このようなことが他で起こってはならないと思っている。
- 記者
新庁舎での区長室の設えで、家具等の合計が1,200万円という見積もりが業者から出ていると聞いた。その点について、既存物品を活用するなどの費用縮減を区長が指示されたことを、区長個人のフェイスブックで確認したが、その見積もりが出た時期と区長が見直しの指示を行った時期を明確に示すことは可能か。
- 区長
見積もりは区として作成依頼したというより、現在、整備を進めている新庁舎のなかで、区長室や応接室の広さやレイアウトにあわせた家具等を委託事業者に提案していただいたもので便宜的に並べたのが昨年3月末頃だったと聞いている。実際に私に話がまわってきたのは昨年末であった。一目見て、1,200万円はありえないだろうということで、今ある家具等を活用するなど見直しをかければ半額以下になるのではないかと指示し、概ねその方向で動き出していると聞いている。何をどれだけ購入するかによって値段は大きく変わるが、この内容では高価過ぎるということを週刊誌の取材にも答えている。
- 記者
1,200万の見積もりについて高額ではないかと、メディアから区長へ取材があったのと、区長が見直しの指示を出したのはどちらが先か。
- 区長
もちろん指示が先である。
- 記者
区長選の立候補を表明している内藤ゆうや氏が、ツイッターで、マスメディアを入れて政策論争をしないかという問いかけのツイートをしているが、受けるつもりはあるか。
- 区長
ツイッター時代であり、別途公開討論の機会もある。世論調査ドットコムについて、私のツイートを引用しつつ、世論調査だったようだと書かれているそうだが、有り得ない判断ではないか。出所不明の、誰がどのように責任をもって発信している情報なのか分からないことを、世論調査とどうして断定できるのか。そういう意味で、政策論争をと言われても、なかなか応じられないと思う。
- 記者
例えば豊島区や渋谷区は区庁舎の建て替えの際、区民負担を減らす手法を採用していたが、世田谷区の庁舎の建て替えではやっていないように思うが、そうした手法を検討しなかった理由があれば教えていただきたい。
- 区長
十二分に検討した。その結果として、豊島区については、再開発地域の中で容積率800%が可能だった。渋谷区については商業地域でであり、一定程度の高層の建物も建てられるが、世田谷区でそのような建物を建てられるのは二子玉川と三軒茶屋以外にない。もしこうした場所に建てるとなれば、大変長い手続きと住民の理解が必要となる。区の新庁舎は、高さ45メートル以下、容積率300%という規制の中でルールを守りながら工事を進めている。区はルールを守りなさいと言う側であり、区自身がルール通りに進めていることで実現している計画である。PFIなど、様々な検討を行った結果、採用しないという結論で現在に至っている。
最後に、今回で任期最後の記者会見となりました。これまで区民や記者の皆さまに熱心に取材・報道、またインターネットで視聴していただいた方も数多く、大変ありがとうございました。お礼の気持ちを述べさせていただきます。
添付ファイル
- 会見スライド資料(PDF形式 6,078キロバイト)
- 1 小田急線上部利用の取り組み状況について(PDF形式 135キロバイト)
- 2 バンタンデザイン研究所との官学共同プロジェクト(PDF形式 354キロバイト)
- 3_マイナンバーカード交付体制の強化について(PDF形式 192キロバイト)
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