区長記者会見(令和5年2月9日)
最終更新日 令和5年2月16日
ページ番号 202614
令和5年2月9日(木曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。
発表項目
予算概要:令和5年度当初予算(案)~子ども全力応援予算~
令和5年度当初予算(案)の概要について説明します。区民生活の実態や物価高・エネルギー価格の高騰等を踏まえ、社会経済動向の変化を捉えて喫緊の課題に対応を図るものであり、「子ども全力応援予算」として編成しました。
一般会計当初予算(案)は、前年度比284億円(8.5%)増の3,620億円としました。歳入面では、特別区税は人口動向等を踏まえ、令和5年度は前年比で58億円の増を見込み、特別区交付金においても、財源である固定資産税や市町村民税法人分の増を見込み、前年度比で74億円の増額とし、特別区税とあわせて132億円の増額としました。
グランドビジョンに基づく子ども・子育て支援の充実
はじめに、グランドビジョンに基づく妊娠期から就学前までの子ども・子育て支援の充実についてです。
妊娠から出産、その後と多くの支援があり、1歳あるいは1歳を超えて保育園、幼稚園に入園するまでの期間の在宅子育て支援が重要だと考えています。
まず、「妊娠」から「出産」の間の支援として「(1)伴走型相談支援体制の強化」です。新たに妊娠8か月面談を希望する方に実施します。また、区の特徴として現在も、保健師や母子保健コーディネーター、子育て応援相談員で構成される「ネウボラ・チーム」があり、子育てをシームレスに支援していますが、そこに、子育て団体等の地域子育て支援コーディネーターを加え、さらに充実した妊娠期の支援を行っていきます。
伴走型相談支援に関連して、新たに「(2)出産・子育て応援ギフト」を開始します。現在、区に妊娠届を提出された方にネウボラ面接を行っており、実施率は90%台と非常に高い値です。まず、このネウボラ面接を受けていただいた妊婦の方に、新たに5万円相当の出産応援ギフトを支給します。子育てに必要なものを選べるように、ギフトの内容は都と協議中です。そして、出産後の家庭訪問で子育て状況を確認して、さらに5万円相当の出産応援ギフトを支給します。
区ではこれまでも、妊娠期の面接や出産後の乳児期家庭訪問を行っており、面接や訪問でコミュニケーションをとることで、また子育て状況を把握した段階で、子育て応援ギフトを支給する流れとなります。
また、出産前の両親学級についてです。男性の育児参加という点で大事なスタートラインと言えます。これまでの平日と休日のプログラムを一体的に見直し、区内25か所の児童館をしっかり活用していくことで拡充します。
次に、「出産」から「1歳」の間での支援です。
まず、区の独自支援として、「(4)出産費助成の充実」です。出産育児一時金について、国が42万円から50万円へ増額することを打ち出しましたが、実際の区内での出産費用はばらつきがあるため、現在は第3子から区独自で5万円を助成しています。今回それを見直し、所得制限なしで、第1子から一律5万円を助成します。1人目、2人目、3人目などその都度助成していきます。
次に、区独自の政策として「(5)子育て支援館(児童館)の全館展開」を説明します。児童館は、現在も午前中からお昼頃の時間を中心に子育て世代の交流の場となっています。この区内25か所の児童館すべてを子育て支援館とし、妊娠期から出産、1歳、2歳という在宅子育て期間をカバーします。
さらに、区の独自の政策「(6)おでかけひろばでのほっとひと息事業(レスパイト事業)」として、親子が気兼ねなく行くことができるおでかけひろばの一角で、保護者に子どもと一緒に休んでいただき、また子どもや子育てに関する相談ができる事業を開始します。おでかけひろばは、民間の貸家等を利用し、地域で子育てに関わるNPOの方々や、子育て世代と年齢的にも近い保育士の方々により、子どもたち、親子の居場所として現在区内に68か所あります。今後、時間をかけて80か所に拡充していき、15分歩けば区内どこかのおでかけひろばに行くことができる状態を目指していきます。
次に「産後ケア事業」についてです。桜新町に区立産後ケアセンターがあり、母子が1週間程度ゆっくり過ごしながら助産師の育児指導を受けられるということで大変好評です。ただ、好評であるがゆえに混み合っている状況ということで、今回、ショートステイ型の事業について、実施箇所を2か所に拡大します。加えて、産後1年未満の母子を対象に、訪問して産後ケアを行うアウトリーチ型事業を行っていきます。
次に、「1歳」の支援として、「バースデーサポート事業」を開始します。1歳を迎えた子どもがいる保護者に育児パッケージを支給し、現在の子育て状況等のアンケートによる状況把握を行います。
こうして妊娠期から就学前までの支援の状況を俯瞰してみると、コロナ禍が3年続いたことから感染対策などで交流が難しくなり、妊娠期から出産前後の特に一番大変な時期に育児で孤立化してしまうような状況が長く続きました。グランドビジョンを構築する中で、妊娠から出産、そして乳児期の育児にあたる母親・父親が、孤立することなく、社会資源や地域資源に支えられていると実感できるよう、シームレスな支援基盤を作っていく。この点が、子ども全力応援予算の骨格部分として一番重点化したところです。
区にも少子化の波が波及しています。6、7年前、待機児童が課題となっていた頃には、年間1,000人ずつ子どもが増加していましたが、現在は少しずつ減少している状態です。区では、2015年に「子ども・子育て応援都市宣言」を宣言しています。そして、子育てから手が離れた方、今は子育てに携わっていない方も含め、地域全体で子育てを応援していこうという理念で2001年に制定した「世田谷区子ども条例」で打ち出した、「子どもが、すこやかに育つことのできるまち」を目指していきます。
エネルギー価格・物価高騰への緊急的対応
学校給食費について、エネルギー価格・物価高騰への緊急的対応のため、区立小・中学校全校の給食費無償化を実施します。
区では、令和元年度に就学援助制度の支給対象者を拡大しており、一定の所得制限のもとで、現在小学校では約4分の1、中学校で約3分の1の児童・生徒の給食費が無償化となっています。今年度には、高騰する食材費への対応として(令和4年6月分から)学校給食費単価の10%相当分を食材費に上乗せし、上乗せ分は公費負担とするなど、保護者負担を求めずに取り組んできました。
そして現在、エネルギー価格・物価高騰が激しくなり、学齢期の子どもがいる保護者の経済的負担も増加している状況であることから、所得制限のない緊急的な措置として、区立小・中学校の学校給食の無償化を実施します。また、物価上昇が続いているため、引き続き給食費単価の10%相当分を食材費に上乗せし、上乗せ分を無償化の対象とします。
なお、給食費無償化は緊急的対応のため、令和6年度以降の給食費無償化の継続については、エネルギー価格・物価高騰の状況や社会経済状況を踏まえて、改めて検討します。
次に、こちらはエネルギー価格・物価高騰への緊急的対応ではなく継続事業ですが、学校給食に関する対応です。学校給食室を改修する際、工事期間中には弁当の持参をお願いしています。大規模改修になると給食を出せない期間が長期化し、保護者の負担も増加することから、新たに協力金として1日あたり360円を支給し、令和5年度は今回の学校給食費無償化にそろえ、食材費単価相当分270円を上乗せし、1日あたり630円を支給します。
また、事業者への支援として、せたがやPayによる支援を行います。区内の中小個店の決済について、常時5%分のポイント還元を実施し、さらに、物価高騰対策として7月から8月のお中元の時期には、10%分のポイント還元を実施します。
教育
次に、不登校児童・生徒への支援と教員の負担軽減についてです。
まず、不登校児童・生徒の支援について、オンラインを活用した居場所提供や学習支援等のモデル事業を行います。区ではこれまで、教育支援センター「ほっとスクール」の運営の拡充や、「不登校特例校分教室ねいろ」の開設など、不登校の子どもたちの支援と学びの場の整備に取り組んできました。来年度も多くの方が利用を希望しているため、これまで民間事業者に協力いただき行ってきた、オンラインを介した居場所提供や学習支援等について、令和5年度は個別支援に加えて、複数の子どもが同時に参加し、学習支援・居場所支援、子ども同士の交流を行う「(仮称)オンラインほっとルーム」を設置するなど、支援内容や利用人数を拡充し、委託事業として実施します。
さらに、区の不登校の児童・生徒数が1,200人台となるなど増えている中で、そのニーズが多様化していることに着目した取り組みを考えています。
まずは、文科省の「特定分野に特異な才能のある児童生徒の支援の在り方に関する研究事業」を活用して、全ての子どもたちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を目指します。今ある学校がこの事業に取り組むことで、行きたくなる学校づくりに繋がることを期待しています。
一方で、子どもがワクワクして、生き生きと学んでいけるような新たな学校の在り方、新たな学びの場の在り方についてもこれから検討していきます。
今の学校環境に馴染めずにいる子どもが増えている中で、区内には、芸術・文化、科学技術など、第一線ですばらしい活動をされている方が、若い世代からベテランの方まで多くいらっしゃいます。昨年秋に開催した総合教育会議では、東京大学名誉教授の汐見先生より、子どもたちに新たな学びを提供し、面白いなと感じてもらえる可能性があるのではないかと提言がありました。実現するためにどのような課題があるのか、どう構築していけばいいのか、今後、総合教育会議の場を通して議論していきたいと考えています。
また、教員の負担軽減として、校務システムと学習面を管理しているシステムがこれまで分離していたため、システムの統合を進め、令和5年4月より新たな統合型校務支援システムを導入します。また、ICT支援員を拡充し、この新たなシステムの導入とあわせて、デジタル採点支援システムを試行し、教員の業務負担軽減に努めていきます。
健康・福祉
次は、高校生以下の医療費無償化についてです。
高校生世代は、生涯に渡る健康づくりの基礎を培う大事な時期です。区では、中学生までの医療費助成において、所得制限のない完全無償化を実現しており、来年度から高校生世代まで拡大するにあたり、中学生と同様に所得制限と自己負担のない制度として実施します。
開始から3年間は、所得制限において対象となる方々については都が負担し、所得制限において対象とならない方々を区で負担します。
都は、18歳以下への5,000円給付や第2子以降の保育料無償化に対して所得制限は行わないと示しており、高校生以下の医療費無償化についても所得制限なしとしないのであれば、矛盾するのではないかと思います。高校生以下の医療費無償化における所得制限については、23区全体で協議をしていきたいと思います。
次は生活困窮世帯の子どもの成長と家庭の安定に向けて、現在区内1か所で実施している学習生活支援の拠点事業「まいぷれいす」についてです。
「まいぷれいす」では、生活困窮世帯の家庭や、地域に安心して過ごせるような居場所がない子どもたちに食と学習の機会を提供しています。夕方4時から夜の9時まで開館し、勉強を見てもらい、一緒に美味しくご飯を食べることができる「まいぷれいす」は、現在、区内北部で一か所開設しています。児童相談所等で措置をする手前の子どもたちが、ぐんぐんと力を回復していくことに大変役に立っているという声もいただいていることから、令和6年に2か所目を区内南部に開設することを目指して準備を始めていきます。
新型コロナウイルス感染症の発生から3年目を迎えました。3年前の今日などは大変な状況で、未知のウイルスへの対応に区でも取り組んできました。現在は第8波も落ち着いてきていますが、今まで何度も感染の波を繰り返しているため、第9波についても想定し、保健所の防疫体制の確保、医療機関支援、検査体制の確保等、感染症防止対策を継続して行います。
暮らし・コミュニティ・DX
続いて、暮らし・コミュニティの分野から、産業振興についてです。
はじめに、地域連携型ハンズオン支援事業について、小規模事業者を対象とした伴走型の支援と地域連携型ハンズオン支援事業を「SETA COLOR」として、プログラムを3つ設けています。令和5年度はスクール型のコースを拡充し、より多くの事業者の新たな挑戦や経営改善を支援してまいります。
商店街に対しては、都とともに伴走型支援を実施してDX推進やコミュニティ機能の強化、エリアリノベーションなど時代の流れに対応した商店街づくりについて、支援していきます。
次に、旧池尻中学校跡地を産業再活性化の拠点にするプロジェクトについてです。施設運営を行う事業者候補が先月選定されました。今後は、新たな利用に即した改修工事や企画内容を更に詳細に検討していき、若い世代や子どもたちが先端的な事業者に刺激を受けて育っていくような拠点にしたいと思います。
安全安心・都市づくり
続いて、安心安全・都市づくりについてです。
かつて区内には国家公務員宿舎がいくつもあり、その多くは、時代により、不足していた保育園や高齢者施設などに活用してきました。
区立玉川野毛町公園に隣接する土地は、元は国土交通省の宿舎でしたが、現在は区が取得してワークショップを盛んに開催しており、区民と一体となって拡張を進めていく予定です。
また、上用賀には、財務省の宿舎がありました。現在の上用賀公園にかつての広大な財務省の宿舎用地を合わせて公園を拡張するため、基本構想から詳細なゾーニング等の検討を進めてまいります。
最後に、北烏山7丁目にある非常に貴重な雑木林についてです。こちらも、かなり広大な土地のため、区で取得し、都市の中の自然として区民に開いていこうとしています。
続いて、地域防災力についてです。
地区別の防災カルテの作成や、避難所運営の見直しを行います。そして、在宅避難者に対する電力提供体制の整備として、充電スポットを一部の区民施設に設置するなど、都が発表した新たな首都直下地震等による被害想定を踏まえて取り組んでいきます。
今年は東日本大震災から間もなく12年、阪神淡路大震災から28年、そして関東大震災から100年という、大きな節目にあたります。
トルコやその近隣で発生した大規模災害についてもお見舞いを表明します。
震災時には、建物の被害や火災を最小限に抑えながら、避難生活の中で健康を損なうなど二次被害をいかに防ぐかが重要です。在宅避難の推進や避難所運営の見直しは、過去の経験から得た教訓を活かしつつ進めていきます。地域防災力の向上として、いつ発生するかわからない災害にしっかり備えておくこととして予算に盛り込んでいます。
質疑応答
- 記者
給食費の無償化について、区長は無償化を推進する立場であったと思うが、今回なぜ時限的にしたのか。また、社会情勢やその時の区長によって無償と有償の判断が左右すると、保護者にも影響があると思うが、それに対する思いを伺いたい。
- 区長
今回の給食費の無償化は、エネルギー価格・物価高騰への緊急的対応として、来年度に限定したスキームで動き出すため、1年に留まるということは制度的にはあり得る。今回の給食費無償化の背景には、子ども・子育て支援があり、少子化が相当深刻であるとの認識を持ったために、できる限り負担軽減したいと考えた。
時限的なスタートとする理由としては、財政上の見通しを堅実に行ったことによる。今年度予算で支出しなかった残金を財政調整基金に積み立て、開始できる見込みがたったことからスタートすることとした。今後については、恒久財源などをしっかり組み立てながら、できる限り混乱が生じることのないようにしていきたいと思う。
- 記者
特定分野に様々な才能を持つ児童生徒支援について、今後検討するとのことだが、区長としてはどのようなモデルを描いているか、構想を伺いたい。また、今回、不登校対策という枠組みの中にあるが、特定の分野に様々な才能を持つ子どもの中には、不登校ではなく通学している子もいると思う。不登校対策として盛り込んだ理由を教えていただきたい。
- 区長
教育を巡っては、国でも様々な議論や改革が繰り返されてきた。一方で、学校に通えない、家に帰りたくないという子どもが激増する状況について、これまでは、そのような子どもが増えていることが問題であるという考え方をされてきたが、学校そのものの在り方方の問題も関係していると思っている。私たちは、私自身も含めて、時間割があって、始業の挨拶がありチャイムが鳴る、というような一斉授業の学校の姿しか知らない。世界を見てみると、異年齢で学んだり時間割を自分で作成したりといったことも行われている。こうした学びを小中学生の時期に行うことで、自分の将来像を考えたり、素晴らしかったと思える体験をしたり、世の中や社会に対して、ポジティブな気持ちになって学ぶ動機を創り出していくような学びの場が必要だと思う。学校制度の中でできることを考えると、制約はやはり多い。ただ、現在、総合教育会議で有識者と話していることとして、まず、この諸制度ある学校教育を支える、そのスタートの手前で、今の社会にどのような学びが必要かという具体像をしっかり描いていく。そこに今の制度がどのように合うのか、合わない場合にはどのようなやり方があるのか、不登校特例校なのかなど、加速して議論を進めていきたいと考えている。
世田谷区は学校選択制ではない。区で1,200人に上る不登校の児童生徒が実際に学びの場を失っていることが、今の体系とは異なる学びの場を作る理由の一つである。また、おっしゃるように不登校の子どもだけが問題を抱えているわけではない。学び方の新しいモデルができていくならば、教育総合センターの機能も活用して、90校ある区立小中学校に速やかに広げていくようにしたい。
- 記者
新型コロナ対策について、政府が感染法上の分類の5類への引き下げを春に行うことを表明し、マスク着用の推奨も緩和していく状況だが、区長として何か懸念はあるか。
- 区長
3年におよぶ新型コロナへの対応は、社会の多くを疲弊させ、子どもたちの心の中にも大きな影響があったと感じている。マスク着用は感染拡大防止に有効だが、一方で、コミュニケーションの難しさや子どもたちの成長・発達への影響、高齢者の方の孤立や孤独など、大きな問題も産んできた。コロナ前の社会に立ち戻るように緩和していく方向性は、地域コミュニティなど様々な集まりや学校教育の現場において良いことだと思う。ただ、懸念の一つは、感染拡大の波の再来である。先日、区内の医療関係者との会議に区内3か所の消防署長など代表の方にもご参加いただいた。第7波の時にもお聞きしたが、救急車が出発して消防署に戻ってくるまでに24時間を超えてしまうことが実際に起きており、仮眠を取ることも難しく限界であるといったことをおっしゃっていた。なぜ救急がそこまでひっ迫したかと言えば、病床が空かないことが原因だと思う。都と世田谷保健所が連携して入院調整を行ってきたが、第7波においても受け入れが難しくなることがあったため、その点を一番懸念している。5類になることで、保健所での入院調整ではなく、季節性インフルエンザのような、かかりつけ医からの紹介状等により大規模な病院に入院するような地域医療は、新型コロナの場合はすぐに実施できる状態ではないと聞く。都は猶予期間を設けながら、段階的に移行していく方針を発表したが、区が懸念するのは、救急医療のひっ迫により、新型コロナで重篤な方だけではなく、普段の医療体制なら治療できる、それ以外の疾患等の治療や救命ができなくなる事態であり、それを繰り返してはならないと考えている。今後、世田谷区医師会や玉川医師会、或いは実際にコロナ病床を運営されている病院とも相談しながら、自治体として最後までしっかり支えていくこと、できていない状態であれば、それをできるようにすることはやらなければならないと考えている。
- 記者
新しい学びの場づくりについて伺いたい。まず、特定分野に特異な才能のある児童生徒とは、いわゆるギフテッドと諸外国で言われているものかと思うが、発表の中で言及された研究とは、新しい学校で研究を行うのか、それとも既存の学校等で研究したことを新しい学校の場に活かすイメージか。
- 区長
発表で触れた事業は、文部科学省の「特定分野に特異な才能のある児童生徒の支援の在り方に関する研究事業」であり、既存の学校での研究の中で生まれた教訓等を、新しい学校にも活かしていくという関係になる。
- 記者
総合教育会議にあたり、新年度、具体的にどのような枠組みで動いていくか、いつ頃までに学校を開設したいといった目標はあるか。
- 区長
先ほどの回答の補足にもなるが、今回の特定分野に特異な才能がある児童生徒という部分について、いわゆるギフテッドと言われるような子どもたちを選抜するようなイメージは全くない。もちろん、そうした子どもたちも歓迎するが、そこに焦点を絞った教育機関としては考えていない。そして、小学校か中学校か、どのようなものとなるのかといったことも総合教育会議の中で話し合うことになる。総合教育会議は区長が招集し、教育長並びに教育委員と議論する場だが、役割の一つとして、大綱(教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱)を定め、改定する役割がある。現在、大綱の改定に向けた議論を始めており、検討会議や有識者の意見等を丁寧に積み上げ、どのようなものとしたいのか土台から議論し、組み立てていく。大綱を改正するタイミングで、そうした提言について総合教育会議という区民の方々にもご覧いただける公開の場で行うことになる。
来年度、総合教育会議のもとで検討会議をスタートし、一定の段階で提案ができるよう議論を積み上げていきたい。具体的な開始時期について、私は、現状をかなり深刻な状況だと考えている。これまでの教育や学校制度においては、5年から10年といった長期間の検討を要してきたと思うが、現在はそこまで余裕のある状況ではないと認識しているため、可能な限り早く、または、実証的に始めるという選択肢もあって良いのではないかと考えている。そうなれば、少し早い段階で始められるのではないか。しかし、いつ開始するかについては、検討会で皆さんの意見を伺いながら決定していきたい。
- 記者
先ほど区長が話されたように、学習指導要領、不登校特例校や教育課程特例校など既存の枠組みがあるかと思う。どういった枠組みとなるのか、また内容自体については検討会議での議論の中で決めていくかと思うが、授業のイメージなど何か具体的に考えていることはあるか。
- 区長
特例校には教育課程特例校や不登校特例校などあるが、何か枠組みとして使えるのか、或いはそのような制度を使わずに何かできるのかなど、これから様々な教育行政の有識者の意見も参考にしながら考えていくべきだと思っている。個人的な思いとしては、子どもの頃に色々なことに興味を持ち、集中して一つの分野、芸術などの表現でも化学の実験、観察でも良い。熱中して一つのことをやり遂げたという実感が持てる、そして、学ぶことはこんなに面白いのかと感じることができる学びができないかと思う。世界にはそうした学びも行われており、高い授業料を払って海外に子どもを連れていくという話も聞く。しかし、誰もが通うことができる公立学校で、小さな試みではあるが、何か変わるきっかけとなればいいという思いがある。
- 記者
他自治体においても、新年度予算案で給食費無償化に取り組んでいる。一連の動きをどのように捉えているか。
- 区長
給食費無償化の重要性が広がったことは良いことだと考えている。一方で、自治体によって給食費の扱いが異なることが顕在化してきている。また、給食の提供がない自治体もある。岸田首相は、異次元の少子化対策として児童手当を一つの柱としているが、23区において給食費無償化の方針が多く示されたことを、国にも受けとめていただきたいと考えている。
- 記者
ふるさと納税について、昨年12月の時点で、令和4年度において87億円の減収を見込んでいたと思うが、令和5年度はどの程度の減収を見込んでいるか。
- 政策経営部長
現段階では同規模の87億円を見込んでる。実際は税額の確定後に明らかになるため、早くて6月か7月頃に見えてくる。
- 記者
ふるさと納税について、昨年の秋に返礼品ラインナップが拡充されたが、それを盛り込まずに同規模と見込んでいるのか。
- 政策経営部長
マイナスの影響額についてはそのとおりである。一方、区への寄付額は昨年度より倍額である約4億円程度を見込んでいる。
- 区長
区はこれまで、返礼品競争に加わらず、地域貢献や社会福祉に帰するような寄付文化の醸成を掲げて取り組んできた。しかし、減収額が87億円に達したということで、本当に忸怩(じくじ)たる思いがある。自治体が返礼品競争に加わらなければ、区長は何をやっているのかと批判もでてくる。特別区長会でもこの問題について提言してきたが、物価高騰等により生活が厳しくなると、自治体としてできることはやろうという力も働く。制度の抜本的な見直しを求めるスタンスは全く変わらないが、区としてできるだけのことをして、寄付をいただく。また、具体的な事業として確定しているわけではないが、区は数多くの自治体と友好的な交流関係にあるため、それらの自治体と連携し、競争関係ではなく共に果実を得るようなモデルも考えていきたいと思っている。
- 記者
それはふるさと納税の枠組みの中で行うことを考えているのか。
- 区長
これまでも、ふるさと納税の枠組みの外で交流自治体からの電力購入等を行ってきた。今後はふるさと納税の仕組みに関連して、他自治体と連携ができるか研究してきたいと考えている。
- 記者
来年度予算に計上されているのか。
- 区長
他自治体との連携という項目では計上されていない。
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