区長記者会見(令和4年9月7日)

最終更新日 令和4年9月15日

ページ番号 200063

会見を行う区長
記者会見の様子

令和4年9月7日(水曜日)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。

動画はこちらからご覧になれます。新しいウインドウが開きます

PDFファイルを開きます会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。

区長あいさつ

これから今年度第5回の記者会見を始めます。

児童養護施設退所者等についての発表の手前で一度区切って、質疑応答の時間を設けます。その後、児童養護施設退所者の当事者の若者にも登場していただき進めていきます。

 まず、世田谷区の区制90周年イベントについてです。10月16日(日曜日)に、昭和女子大学人見記念講堂で記念式典・記念イベントを行います。当日は、名誉区民として、歌手の石川さゆりさん、せたがや文化財団の理事長を長らく務められてきた永井多惠子さん、絵本「ぐりとぐら」で有名な中川季枝子さん、そして、歌手・俳優・演出家の美輪明宏さんを顕彰するとともに、区政功労者1,300人の顕彰を行います。式典の後、第二部として記念イベントを行います。石川さゆりさんにご出演いただくほか、区内で活動するダンス、合唱、ゴスペル、器楽演奏団体にも出演いただきます。区制90周年をお祝いするとともに、次の区制100周年に向けて歩んでいきたいと思っています。イベント参加の応募は9月16日(金曜日)締め切りで、約500名をご招待します。区のホームページまたはせたがやコールまで、お問い合わせください。

次に、気候危機についてです。このたびの台風11号の被害にあった各地の皆様にお見舞いを申し上げます。この夏も、大変な猛暑や豪雨という激甚化した気象災害に襲われています。この気候危機の問題について、区では、令和2年10月に「世田谷区気候非常事態宣言」を行いました。宣言では、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すことも表明しました。

目標達成に向けて、次世代、今の子どもたちとの協働が大事だということで、今回、環境出前授業や若者主体の啓発イベントを企画しました。環境出前授業は、大学生のボランティアを公募し、区が研修を行い「環境サポーター」として育成した上で、小学校に派遣して授業を行うというものです。対象は、区立小学校の4年生から6年生の学級、10校です。10月から来年3月の間に各小学校で実施します。地球温暖化の原因や気候危機問題を学び、暮らしの中のエネルギーや食品ロス、森林の役割等、身近なテーマから子どもたち自身ができることを考え、発表してもらいます。環境サポーターは、大学や専門、学年の異なるメンバーで構成された17名が登録し、4名から5名のグループとなって当日の授業運営を行うスタイルを予定しています。この後紹介します環境啓発イベントの企画運営の役割も担ってもらいます。

環境啓発イベントについてです。若者たち自身による気候危機に対する取組み事例の発表や意見表明、また若者同士の交流の場として、昨年、「若者環境フォーラム」をオンラインで開催しました。参加者からは、「服のリサイクルやフードロスの削減等、身近なことから取り組みたい」、「団体同士の集まりによって、活動のモチベーションが上がった」等の声が聞かれました。こうした取組みを継続するため、昨年に続き、「若者環境フォーラム2022」を開催します。10月23日(日曜日)午後3時から、オンライン開催で、対象は中学生以上、200名となります。内容としては、環境サポーター等による話題提供や区立中学校の代表生徒等の発表があります。先日、子どもたちのプラごみ削減についてのプレゼンテーションを見る機会がありましたが、若い世代で非常に関心が高まっていると感じています。詳しくは、9月15日(木曜日)より、区のおしらせやホームページ等でお知らせしていきます。

次に、リアルに開催するイベントとして「若者環境デー2022」を開催します。12月18日(日曜日)午前10時から、会場は希望丘青少年交流センター「アップス」です。対象は小学生及び保護者のペア、1日合計48組96名で、感染対策のため入れ替え制で行います。内容として大きくは二つ、ワークショップとポスターセッションです。ワークショップでは、気候危機を踏まえた行動変容をテーマとした工作や講義、ポスターセッションの方は各団体の活動・取組み紹介等のプレゼンで、どちらも高校生、大学生の環境保護サークルが実施します。ワークショップでは森林循環をテーマとして、最初に講義を行った上で間伐材を使ったコースターづくりを行う等、地球温暖化の問題と行動変容の必要性をしっかり学べるプログラムです。ぜひご取材もお願いしたいと思います。

次に、ヤングケアラーに関する実態調査についてです。ヤングケアラーとは、本来大人が担うとされている家事やご家族の世話等を日常的に行っている子どもとされています。本来、子どもの成長発達に必要な遊びや勉強の時間が取れず、守られるべき子どもの権利が侵害されている可能性があることが指摘されています。

この問題にどう取り組むのか、まずは実態を知らなければいけないということで、調査を実施しました。区立小学校の4年生から6年生、区立中学校の全生徒、区内在住の高校生世代の約5万1,000名で、ウェブアンケートで調査しました。

調査結果について、自分が世話をしている家族が「いる」と回答した人が、小学生では17.7%、中学生では7.7%、高校生で4.9%でした。小学生の割合が特に高いですが、これは、小学生ということもありヤングケアラーという言葉を使わずに、「お世話」の説明を例示に留めたため、「お世話」が日常生活におけるお手伝いと混同されたために数字が上がっている側面もあるかと思います。世話を必要としている家族について、小学生の調査では、「きょうだい」が圧倒的に多く、次いで「お母さん」や「お父さん」となりました。

中学生でも、「きょうだい」が圧倒的に多く、「お母さん」「お父さん」と続いています。また、「祖父」「祖母」については、世話の内容は「見守り」が多くなっています。

高校生世代も同様に、「きょうだい」が多く、次いで「母親」、「父親」、「祖母」、「祖父」になっています。世話の内容は、母親、父親、きょうだいでは「家事」が高く、「祖母」「祖父」では「見守り」が高くなっています。詳細は、今後ホームページで公開していきます。

今回のアンケート結果から読み取れることとして、低年齢の子どもは自分の生育環境を当たり前だと思ってしまい、自分の置かれている立場、状況を客観的に判断することが難しいため、周囲の大人が広く見守る中で、子どもの小さな変化を敏感に捉え、心理的な配慮をしながら本人に働きかけていく必要があると考えます。そして、学習支援や居場所支援が必要だということ、また、本人が身近なところで相談できる環境づくりも必要です。また、世話をすることが本人のやりがいになっている場合もあることから、本人の心情や、家庭等の背景に十分配慮した見守りや働きかけが重要であると感じています。

当事者が相談しやすい気運を作るために、ヤングケアラーと子どもの人権について、当事者を含め、広く普及啓発を行う必要があります。今後、支援者側へのヒアリングや、12月にはシンポジウム等も開催していきます。

 発表項目

新型コロナウイルス感染症における区の取り組みについて

オンライン診療に関する区の取組みについて

まず、8月10日(水曜日)より開始した、オンライン診療に関する区の取組みについてです。

発熱外来のひっ迫により、診療を受けられないという声が多くあった状況で、世田谷区としての解決方法を提示した形になります。

まず、発熱があった方で、手元に医療用抗原定性検査キットを持っていない場合は、インターネットで申し込むことで、バイク便がキットを配送します。そして、医療用抗原定性検査キットで検査して陽性疑いが出た場合には、診療の予約に進みます。オンライン診療で効率的かつ正確に進めるために、事前に問診票等の情報の記載や、検査結果の写真の格納等を、専用Webフォームで行っていただきます。その後、予約した時間にオンライン接続していただきます。この取組みの特徴は、オンライン診療センターに院内薬局があるので、痛み止めや解熱剤等を処方し、バイク便で配送するという仕組みです。診察後、多くは当日中に、診察が遅い時間となった場合は翌日に配送されます。陽性と判断された場合は、医療機関から保健所へ発生届が提出されます。

診療を行い、薬の処方や配送まで行う点が、各都道府県で行っている陽性者登録センターの取組みとの違いです。

オンライン診療のこれまでの実績として、9月2日(金曜日)までに、予約件数1,726件、診療件数1,589件でした。診療件数のうち、陽性者は1,294人となっており、陽性率は81.4%という状況です。診療件数の年代別内訳につきましては、30代が最も多い状況です。続いて、抗原定性検査キットの配送実績は881件です。先ほど薬を処方することが特徴だとお話ししましたが、処方件数は1,167件で、配送件数が976件、配送率は83.6%です。この差は院外処方によるものです。院外処方の場合は、処方箋を患者指定の調剤薬局にFAXし、調剤薬局より受け取ってもらうこととなります。ここで強調したいのは、ラゲブリオを41件処方している点です。ラゲブリオは抗ウイルス剤ですが、自身が軽い症状と思っていても、診療していく中で、重症化のリスクがあると医師が判断した場合に処方されます。オミクロン株では、比較的に軽症の方が多いと言われ、若い人には自宅で様子を見てもらうことが多い中であっても、症状を悪化させる方やその懸念がある方は実際にいらっしゃるわけです。この41件は、そういった方々での重症化を未然に防ぐ役割を果たしたのではないかと思っています。

区の発熱相談センターにおける相談件数について、オンライン診療が始まる前の7月25日(月曜日)から29日(金曜日)には1日平均86件ありましたが、オンライン診療が始まって1日平均26件と減少しました。区の発熱相談センターからオンライン診療を紹介した件数は、8月9日(火曜日)から9月2日(金曜日)までの約1ヶ月で1,082件となります。

オンライン診療が、地域医療のひっ迫、地元医療機関の混雑状況を解消する役割を果たし、対面診療が必要な高齢者が受診しやすい体制づくりができたのではないかと思っています。

新型コロナワクチンについて

 次に、新型コロナワクチンについてです。

最初に、新型コロナワクチンの4回目及び3回目接種の状況についてです。4回目接種は60歳以上の61.3%の方が、3回目接種では68.8%の方が終えています。ワクチン接種事業の新たな動きでは、オミクロン株対応ワクチンによる追加接種ついて、9月半ばに開始時期となることを国が示しております。ワクチンの供給量などまだはっきりしていませんが、9月19日(月曜日)の週から配送が始まり、3週間で約3,000万回のワクチンが国内全体に供給される予定です。

 こういった国の動きに対して、区では当初、現行の4回目接種対象者未実施の方から開始して、10月以降、本格的にオミクロン株対応ワクチンによる接種が実施できるようにと、13会場を確保して準備しておりました。また、4回目接種の対象者拡大を見据えて、4月30日(土曜日)までに3回目接種を終えた18歳以上60歳未満の方々に、あらかじめ4回目用の接種券を送付しています。この接種券は、オミクロン株対応ワクチンの接種においても使用できる予定です。

最後に、子どもの追加接種(3回目接種)について、9月6日(火曜日)の閣議決定により、子どもの3回目接種が可能となりました。区では、会場確保や接種券の送付準備を進めております。3回目用接種券は、10月5日(水曜日)に送付予定です。

 下北沢駅前広場整備に伴うふるさと納税の活用について

次に、「下北沢駅前広場整備に伴うふるさと納税を活用について」です。

お手元に、下北沢駅前プロジェクトの寄附金募集に関するパンフレットと下北沢の街が今どうなっているのかをお示しした「北沢デザイン通信」の両方をお配りしています。

下北沢駅周辺では、小田急電鉄の「下北線路街」、そして、京王電鉄の「ミカン下北」等が次々とグランドオープンし、残るは駅前広場等の整備に絞られてきました。駅前広場は、電線を地中化する工事等が完了し、来年度からは、歩道の舗装や街路樹等、地上部分の整備が始まります。

この下北沢の駅前広場については、多くの住民参加の意見交換がございました。駅前広場のイメージは画面に投影しているとおりで、幅広い歩道、バス・タクシー等が入ってくるロータリーがあります。自動車を止めて、マーケットやイベントを行うことができ、かなりの広さとなります。

機能面だけではなく、下北沢らしい駅前広場をこれからも作り上げていきたいと考え、今般、「下北沢駅前広場プロジェクト~Welcome! We Love! シモキタ!」として、ふるさと納税による寄附金募集を行います。寄附金は、ケヤキ並木をはじめとした駅前の緑等の環境づくりに使わせていただき、街路樹のほか、ベンチ等の駅前の環境づくり等に活かしてまいります。寄附の募集期間は、9月7日(水曜日)から令和5年12月31日(日曜日)までと長く設定しています。

世田谷区では、ふるさと納税による減収に苦しむ反面、知恵を凝らした様々な取り組みを行ってきた中で、「せたがやみやげ」をふるさと納税のお礼の品としています。今回はこれに加え、独自のお礼の品を3つ用意しています。

1つ目は、4万円以上の寄附をいただいた方へお礼として、駅前広場の歩道に埋め込む舗装ブロックに寄附者のお名前を刻印して顕彰させていただきます。家族のお名前や、ニックネーム等でも構いません。縦横20センチの御影石で、区内・区外どちらの寄附者も対象となります。令和5年度と6年度の2ヵ年にわたり、約1,200枚の設置を予定しております。

2つ目は、カードスタンドと京王井の頭線のトレーディングカードになります。カードスタンドは、京王井の頭線の鉄道架線のアップサイクル品です。こちらに長年使用された鉄道架線と、使用される前の架線があります。もともとは、材質である銅そのものの色でしたが、だんだん黒ずんでいきます。これを磨き上げ、無垢材を含めて全部で5色のセットを作りました。銅その物となる無垢材に、熱や薬品を加えることで色を変えていくため、下北沢の多様性を表現する意味を込めて、こちらのカードスタンドを利用しております。なお、無垢材1個については寄附金4万円以上、無垢材1個と4色のセットについては寄附金15万円以上のお礼の品としています。どちらも、カードスタンドの裏に「IN05下北沢」の刻印をつけてお渡しします。INは井の頭線、05は渋谷から数えて5番目の駅となる下北沢をあらわしています。鉄道ファンの方々にとっては、大変なレア物になるとのことでございます。こちらは区外の寄附者のみが対象となります。

3つ目は、下北沢産のハチミツ、シモキタハニーです。駅前のビルの屋上で養蜂しており、下北沢周辺の花の蜜を吸った蜂からとれる蜂蜜のため、農薬とは無縁で大変おいしいと評判です。寄附金1万円以上の区外の寄附者のみが対象になります。

また、だんだんと出来上がっていく街を、区民や区外の方にも応援していただき盛り上げていこうということで、地元商店街を中心に「下北沢オリジナルロゴ」の制作に向けたデザインコンテストの実施も予定しており、区もこれを応援しております。

10月8日(土曜日)には、区が後援し、建築専門誌やNPOが主催する、下北沢の街づくりに関するシンポジウムが開催されます。過去の街づくりの経緯を振り返り、これからの下北沢を語る場が企画されております。

世田谷区児童養護施設退所者等支援事業(せたがや若者フェアスタート事業)の拡充について

それでは、第二部の世田谷区児童養護施設退所者等支援事業(せたがや若者フェアスタート事業)の拡充についてです。

報道機関の皆様のご協力もあって、世田谷区で始めてきた児童養護施設退所者等支援事業、いわゆるフェアスタート事業については、大変反響があり、多くの寄附金を寄せていただきました。

児童養護施設や里親のもとを巣立つ若者は、親、親族等からのサポートが難しいため、住居をはじめ、学費や生活費、仲間との繋がりなどが厳しい現状にあります。このフェアスタート事業は、「給付型奨学金」、「住宅支援」、「居場所・地域交流支援」の3つの要素で実施してまいりました。「給付型奨学金」は、企業や一般の方々からの寄附金を原資とし事業を実施するという、非常に特色ある形で運営をされています。全国からの寄附で運営され、令和4年7月末現在で、2億1345万1440円の寄附をいただいております。フェアスタート事業に寄せられるご厚志の期待に対し、より幅広くこたえるため、寄附金をどのように活かしていくのかということをテーマに、本日この後お話しいただく田中れいかさんといった児童養護施設を退所した若者、区内児童養護施設の理事長・園長、福祉に詳しい学術経験者に加わっていただき、児童養護施設退所者等支援事業の検討会で議論いたしました。

例えば、「施設や里親のもとで生活した後、家庭に戻ってから困っている若者がいるため、その支援を何とか届けられないのか」、「早く経済的に自立したいと考え進学を選ばない子がいるが、資格や免許の取得によって進路や可能性が広がっていくため、その支援にもニーズがあるのではないか」、「住宅については、1人で住みたい、自分のスペースが欲しいとった願望がある一方、共同生活の安心感からシェアハウスが良いといった若者もいるため、選択できると良い」、「相談できないことが共通の悩みであるため、退所者を幅広く支援していく必要がある」等の意見が、今年1月から5月までの間に4回開催している中で、出てまいりました。

そこで、今後の拡充にむけ、「就職やキャリアアップを応援するため、資格取得支援を始める」、「給付型奨学金や資格を取得する支援において、過去に児童養護施設や里親のもとで生活して家庭復帰した方についても、一定の条件のもとで支援の対象にする」、「退所者等の多様な住宅ニーズを踏まえて、家賃補助を開始する」、「入所中から退所後の30代までの一貫した支援を行えるように、新たな相談支援の場を作っていく」といった方向性を取りまとめました。

まず、給付型奨学金事業については、新型コロナウイルス感染症のまん延で大きな影響があり、令和2年に臨時的な見直しを行い、緊急措置として給付額の上限を撤廃したり、教科書や関連図書の購入費、技能習得費等を対象経費に追加したりしました。

令和4年度からは、給付上限額や対象年齢の引き上げを行います。具体的には、上限36万円だった給付額を上限50万円とし、対象者が大学等に進学する前年度末時点で23歳未満だったものを、30歳未満とします。また、対象経費も拡充し、10万円を上限としてパソコンの購入経費のほか、安定した生活や学業の継続を支援する修学継続支援費を対象に追加します。令和5年度からは、措置延長中や自立援助ホーム入所中のほか、18歳の年度末前に退所した方も一定の条件付きで奨学金の給付対象とします。

そして、新たに資格等取得支援を行います。働いていたり、就職を目指したりする若い方々の話を聞くと、まずは自分で稼ぎ、生活基盤を作ることを優先したいという思いが強いです。そこで、様々な資格の中でも特に必要になると思われる普通自動車第一種運転免許に対しては上限30万円、その他の資格に対しては上限10万円で、資格等の取得を応援します。

一方で、住宅支援も拡充を行います。これまでの住宅支援は、区営住宅に月1万円で住めるという内容で、シェアハウス方式でした。しかし、検討会の中ではシェアハウスに馴染めない方について様々な意見があったため、経済的支援として、新たに月3万円の家賃補助を行います。なお、シェアハウス方式も引き続き実施するため、各自の住まいを選択することができます。

次に、現在区内2ヶ所で実施している居場所・地域交流支援についてです。改正児童福祉法の中で、「社会的養育経験者の自立支援として、措置解除者等や自立支援を必要とする者を対象に、相互の交流を行う場を開設し、対象者に対する情報の提供、相談・助言、関係機関との連絡調整を行う」ことが、都道府県等の努力義務として位置づけられました。世田谷区は児童相談所設置市のため、法律で位置づけられたことをいち早く受け止め実現できるよう、一般財源と国の財政支援補助金を活用し、新たな相談支援事業を運営していきます。

新たな相談支援事業について、相談支援の対象は、区内の施設や里親のもとを巣立った方、世田谷区児童相談所の措置により施設や里親のもとで生活した方のほか、それ以外の社会的養護出身者で、世田谷区内に住んでいる方も対象にしました。この相談支援拠点では、様々な悩みや困難等を抱えた退所者が交流する、居場所支援を実施します。児童相談所や児童養護施設のほかにも、青少年交流センターや世田谷若者総合支援センター、メルクマールせたがや等があり、引きこもりの相談支援を受けています。様々な若者支援の資源を周辺に置きながら、相談支援拠点にて、若い方々の困難をサポートする役割を果たす予定です。

最後に、7歳から18歳までの11年間、世田谷区内の児童養護施設で暮らし、退所後は短期大学に進学し、その後、モデルの仕事をする夢も実現され、現在、社会的養護について様々な講演活動や情報発信をされている、「一般社団法人たすけあい」の代表理事、同じく「一般社団法人ゆめさぽ」の代表理事等を務めて、最近、「児童養護施設という私のおうち」という本も出版された田中れいかさんに、当事者としてお話を伺いたいと思います。

  • 田中れいか氏

皆さんこんにちは。ただいまご紹介に預かりました田中れいかです。私自身は、7歳から18歳までの11年間、世田谷区にある福音寮という児童養護施設で生活をしていました。現在は、大きく分けて3つの活動をしています。一つ目は、大阪府内の児童養護施設で暮らす高校3年生を対象に受験料を助成する「一般社団法人ゆめさぽ」の代表理事で、二つ目は、社会的養護専門情報サイト「たすけあい」及びYouTubeチャンネル「たすけあいch」の運営、最後の三つ目は、自分の暮らしていた施設で、退所者のための居場所づくり活動を月1回程度開催しています。本日、私からは、世田谷区の児童養護施設で育ち、「せたがや若者フェアスタート事業」を利用した当事者として、また、このたび検討会に当事者委員として参加させていただいたことについてお話をさせていただきます。

まず、私がこの事業に出会うまでのお話です。18歳を迎え、児童養護施設を退所して短大へ進学したころの私の基本的な生活は、午前中から午後5時まで短大、午後6時から23時までアルバイトというものでした。施設出身で、親に学費や生活費の援助を頼ることができなかった私は、多いときでアルバイトを3つ掛け持ちして、平日も土日も深夜まで休みなく働かなくてはいけない状況でした。ですが、そのように働いても所詮はアルバイトなので、当時の家賃等の生活に関する固定費が約9万円の中、月10万円程度を稼ぐのが精一杯で、アルバイトもほとんど休めないぎりぎりの生活でした。加えて、周りにいるほとんどの友達は一般家庭出身で、親御さんから仕送りをもらい、アルバイト代のほとんどを遊びに使っている子ばかりでした。そのような状況から、「なぜ私だけこんなに生活費のためだけに働かなくてはいけないのか」と思うようになり、次第に、友達と自分は違うという疎外感を覚え、最終的にはその差に精神が耐えられなくなりました。しまいには、「学校に行かなくてもアルバイトさえできれば生きていける」という思考になってしまい、学校をさぼるようになり、単位の不足で留年が確定しました。このとき、何よりも辛かったのは、この悶々とした気持ちを誰にも相談することができなかったことです。この時、自分の中では、学校をやめてアルバイトだけして生きていこうと思っていたのですが、私の現状を知った施設出身の自立支援コーディネーターの先生から連絡が来て、「これから世田谷区で施設出身者を対象とした支援制度が始まるから受けてみてはどうか」と言われました。それがこの事業との出会いでした。

事業の中で私が利用できたのは住宅支援で、約1年間利用させていただきました。当時の動機としては、家賃が安くなるという単純な理由です。事業を利用しての入居手続きは、不動産屋で契約するよりも、簡易的な手続きであったと記憶しています。そして、入居してから数日後、施設職員と一緒に、区営住宅で暮らす各ご家庭に挨拶に行きました。いつしか、昔着ていたものだけど捨てられなかったという洋服を、入居している方から何着かいただくことがありました。最初は挨拶もご近所付き合いも面倒と思っていましたが、この出来事だけはよく覚えています。

そして、入居してから数ヶ月後、事業を利用してもう1人別の人が入居してきました。同じ施設で育った1歳下の顔なじみの女の子でした。最初は嫌な気持ちもなく、施設職員を通して良好なコミュニケーションがとれていましたが、お互いの生活サイクルが異なることから、徐々にすれ違いが起きていきました。最終的に施設職員がいなければコミュニケーションをとることも難しくなり、お風呂に入るのも、キッチンで料理をするのも、いちいち相手の機嫌や存在を気にしないとできないような生活環境となってしまいました。きっと相手も同じように過ごしづらい生活環境だったと思います。最初に、掃除の役割分担等の取り決めを行いましたが、時間が経つにつれてどんどん曖昧になり、だんだん気まずい状況が重なりました。これはあくまで個人的なケースですが、私たちの場合は、自分たちでシェアハウスを運営することが難しかったです。このような経験から、参加させていただいた検討会では、住宅支援のあり方について発言をさせていただきました。これについては思いが強かったので、独自にアンケートをとって提出をしようとも思ったのですが、最終的に区の担当課に、施設を出て一人暮らしをするときの住宅に関するアンケートを作成、集計してもらい、先輩や後輩の思いを集めていただきました。その結果、現行の支援は残しつつも、住宅補助を新設するという形になりました。アンケートに答えてくれた先輩や後輩の性格、現在の状況について今もわかる方がいたので、みんなの声が事業に反映させられたことが非常に嬉しく、区議会で承認がされたら今すぐにでも伝えたいと思っています。

また、この度の制度拡充の中で、印象に残っていることが、あと二つあります。

一つ目は、就職者への支援についてです。これまでの社会的養護経験者の支援は、進学する子を対象とした支援ばかりが注目されてきました。その一方で、就職した子たちに関しては、全体的に非正規雇用が多く、中には進学した子たちよりも厳しい生活環境にいるのにも拘らず、支援がかなり限られていました。当事者で活動している者の中には、この差についておかしいという子もいて、私自身も同じように思いながら活動していたため、就職者も利用できる住宅支援や資格等取得支援が盛り込まれたことは、統計的に就職者の多い施設出身者にとって朗報です。

二つ目は、事業名にもある児童養護施設退所者等にあたる対象者についてです。これについては、検討会の中でも様々な議論がありました。例えば、高校2年生で家庭復帰したらこの支援は受けられないのかという発言があり、そこから皆さんと議論を交わし、結果的に家庭復帰した子たちも対象になりました。あくまで個人的な思いですが、家に帰った後も地域と繋がりを持てることは、施設と繋がり直せるだけではなく、地域への愛着という点でも非常に大切だと感じています。そして、世田谷区から転居していたとしても支えていただけることは、親を頼れない私たちにとって生きる源になると思っています。私は区外に住んでいるのですが、今回の結果をもって、より世田谷区が好きになりました。

まとめになりますが、今回の検討会は、これからの当事者参加型検討会のロールモデルになったと思っています。この取り組みを持続可能なものにしていくためには、当事者が世代交代をしていくことも大切になりますが、何よりも、検討会に出席される皆さんの理解がなければできなかったことです。区長をはじめ、担当課の皆さんも同様です。本日はお集まりいただいた皆さんもありがとうございます。

以上で私の話を終わります。

質疑応答

  • 記者

オンライン診療の今後の実施について、現状どのように考えているか。

  • 区長

開始当初は、100~150といった予約数であったが、先週あたりから余裕が出てきたため、現在は、オンラインで受診した方の健康観察も開始している。

  • 保健福祉政策部次長

9月16日(金曜日)までは、現在の体制を中心に進めていく予定であり、10月末までは、感染状況を踏まえ、規模を増減させながら進めていきたいと考えている。11月以降については、インフルエンザ等も懸念しながら、体制について改めて検討していきたいと考えている。 

  • 記者

下北沢駅前広場プロジェクトについて、寄附金のお礼の品である名入れブロックは、令和5年度と6年度の2カ年にわたって約1,200枚の設置を予定しているとのことだが、会見スライド資料にある写真のように間隔を空けて敷き詰めていくのか、設置のイメージを伺いたい。

  • 北沢総合支所拠点整備担当課長

約1平方メートルあたりに1枚から2枚程度の間隔で敷き詰めていく予定である。

  • 記者

ヤングケアラーに関する実態調査について、調査対象の人数は多かったと思うが、全数調査で行ったのか。

  • 子ども・若者部長

区立小学校に在籍する4年生から6年生の児童、区立中学校に在籍する全生徒、区内に住民登録のある高校生世代の区民に、調査を行った。

  • 記者

有効回答率が低いような印象を受けるが、何か理由はあるのか。

  • 子ども・若者部長

区立小・中学校在籍者へは学校を通じてアンケート調査を行い、自宅等への帰宅後に二次元コードを読み込んで回答する形式であった。高校生世代には自宅に送付した二次元コードによるWEB調査を実施しており、いずれも自宅での回答となったことなどが、理由としてあるのではないかと考えている。

  • 記者

安倍元首相の国葬について、世田谷区として、半旗の掲揚や黙祷等、何かしらの形で弔意を示すのか。

  • 区長

私の考え方と区としての対応の二つに分けて説明させていただく。

私の考え方として、まず、非業の死を遂げられた安倍元首相に対して、追悼の意を表したいと思っている。その上で、国葬については、個人としては違和感を持っている。戦前に制定された国葬令はすでに失効しており、吉田茂元首相を除く戦後の歴代首相の葬儀は、内閣・自民党合同葬又は衆議院・内閣合同葬の形で行われている中で、なぜこの形を踏襲できなかったのか、疑問に思っている。区の対応としては、8月27日(土曜日)の閣議において、弔意表明を求めるという決定が見送られたこと、8月31日(水曜日)の岸田首相の記者会見において、地方公共団体や教育委員会に対する弔意表明協力の要望も行う予定がないと表明されたことを踏まえて、区庁舎や学校等で、半旗の掲揚や黙祷等の特段の対応は行わない方針で臨みたいと考えており、区教育委員会にもすでに伝えているところである。このことで新たに分断が起こることのないように臨みたいと思っている。

  • 記者

世田谷区児童養護施設退所者等支援事業の拡充について、資格等取得支援と家賃補助の給付の対象者は、相談支援と同様に、世田谷区出身または在住で区の児童養護施設を退所した方で問題ないか。

  • 児童相談支援課長

給付型奨学金および資格等取得支援については、区内の児童養護施設や里親の出身者のほか、世田谷区児童相談所の支援により区内外を問わず施設や里親のもとで生活していた方を対象としている。

また、住宅支援(家賃補助)については、これまで、区内の児童養護施設や里親出身者のみ対象としていたが、区外の施設や自立援助ホーム退所者も追加し、対象者の拡充を行う。

なお、相談支援については、住宅支援の対象者に加えて、区内に在住する社会的養護出身者や、児童相談所の支援により区内外の施設または里親のもとで生活していた方が対象となる。

  • 記者

居場所・地域交流支援を受ける方は、資格等取得支援と家賃補助の対象とはならないということか。

  • 児童相談支援課長

今回は対象ではない。

  • 記者

家賃補助や資格等取得支援の支援額について、具体的な数字を伺いたい。

  • 児童相談支援課長

家賃補助は月額3万円とし、資格等取得支援は、普通自動車第一種運転免許の取得を上限30万円、その他の資格を上限10万円として予定している。

  • 記者

寄附金の総額が年々増加しているという話があったが、今年度の4月1日時点の残高と、新たにこの事業の対象となる方が毎年何名ほどいるのか伺いたい。

  • 区長

これは一つの例だが、遺産相続などでまとまった寄附をしたいと考える方がこの事業の存在を知り、1千万円を超える大きな寄附をいただいたこともある。このような事例も、寄附総額が大きくなった理由の一つだと考えている。また、この寄附金は社会貢献型のふるさと納税という形をとっており、区外からの支援もかなり多い。毎年「世田谷フェアスタート」という冊子を作成し、この寄附をどう活かしているかがわかるように、利用者の声を必ず載せている。また、毎年寄附されるリピーターも多く、冊子の5ページに寄附者からのメッセージも掲載している。

  • 子ども・若者部長

寄附金の残高は、7月末現在の概算として、約2億3,980万円である。

  • 区長

当初の予想では、このような奨学金制度を設ければ、皆さんが進学を選択して、支出が増えるのではないかと思っていた。しかし、対象者の中には、まずは経済的に自立するために働きたいという方も多い。また、対象者については、毎年右肩上がりに増えているわけではない。

  • 児童相談支援課長

給付奨学金の対象者については概ね30名前後となっている。なお、今年度は13名の方に支給している。

  • 区長

支出が一定程度ある一方、寄附金は積み上がっていくため、総合的な支援が必要ではないかということで、田中さんから何か一言ありますか。

奨学金の給付がそこまで増えていない状況について、働いて自立したいという方が多いでしょうか。

  • 田中れいか氏

自立したいという希望はずっと変わらないと思います。

  • 区長

働いて自立したいというのも大事なことだが、それを選択すると奨学金をもらえない仕組みを改善することについては、田中さんたち当事者の意見も大分反映された部分である。

  • 記者

月額3万円の家賃補助ということで、基金の残高からすると、さらに補助することも可能ではないかと思ったが、3万円という金額はどのように設定したのか。

  • 区長

今回の拡充について、奨学金の給付は月額3万円の年間36万円を年間50万に引き上げている。家賃補助については、先ほど田中さんにお話しいただいたように、進学するにしてもアルバイトを数多く掛持ちしなければならないという状態を少しでも助けるための、家賃等生活費全般の支援となる。さらに補助を拡大できるのではというご指摘をいただいたが、今回、支援の間口を広げたこともあり、支援対象は、予算上で2倍以上になるはずである。今後も継続していくことも重要と考えており、今回の拡充金額とした。

  • 記者

10万円の資格補助にある、その他の資格とはどのようなものを想定しているか。

  • 児童相談支援課長

これまでに大学等に進学した方についても一定程度実績があった。その中には、栄養士であったり、秘書検定のようなビジネス関連の資格を取得する方がいた。資格の想定としては、本人の自立に役立てるものであれば、なるべく幅広く柔軟に考えていきたいと思っている。今後、積み上げた実績を踏まえて考えていく。

  • 区長

田中れいかさんは、書籍にも思いを書かれ、社会的養護とは何かを解説されている。

これからも社会的養護に対する偏見の解消を目指すとともに、つらい思いを経験し、希望を持つことが難しい状況で、当事者同士が自力で励まし合うだけではなく、一般の家庭で育つ子どもたちと同程度の土台がしっかりと用意されるような社会にしていきたい。今回、行政だけでなく、一般の方や、企業の方、全国の方々が様々にご協力いただき拡充に踏み切れた。改めてお礼を申し上げるとともに、田中さんたちをはじめ、当事者団体、当事者をサポートする方々にも頑張っていただきたいと思っている。

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