暮らしに役立つ情報をお届けする生活情報誌 せたがや消費生活センターだより 2021年(令和3年)12月号ナンバー232 p.2〜3 「2022年4月1日から成年年齢は18歳に」 p.4〜5 今知っておきたい!若者の消費者トラブル p.6 高齢者見守り通信 還付金詐欺を防ごう!STOP!ATMでの携帯電話 エシカルコラム あなたのエコバッグは清潔ですか?〜5つのポイント教えます 世田谷区消費生活センター 相談窓口のご案内 相談専用電話 電話03-3410-6522 高齢者(65歳以上)専用電話 電話03-5486-6501 相談日時 ※祝・休日、年末年始を除く [お願い]新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、来所による相談をお控えいただき、電話でのご相談をご利用くださいますようお願いします。 電話でのご相談をご利用ください。 月曜〜金曜(電話・来所)午前9時〜午後4時30分 土曜(電話のみ)午前9時〜午後3時30分 日曜・祝日は消費者ホットライン 電話188 午前10時〜午後4時(国民生活センター)※年末年始を除く 世田谷線「三軒茶屋駅」徒歩3分 田園都市線「三軒茶屋駅」北口A徒歩1分 バス すべて「三軒茶屋」バス停下車 回覧 ホームページでの情報提供 http://www.city.setagaya.lg.jp/ 世田谷区公式HP 目次から探す くらし手続き 消費生活 2〜3ページ 2022年4月1日から成年年齢は18歳に 東京経済大学現代法学部 教授 弁護士 村 千鶴子 名古屋大学法学部卒。消費者問題等を専門とする弁護士。 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員、一般財団法人日本消費者協会理事長、東京都消費者被害救済委員会会長、国民生活センター客員講師 消費者教育の推進活動を長年行っている。著書多数。 はじめに 民法では、成年年齢を20歳と定めています。1896年(明治29年)の制定時から、100年以上にわたり成年年齢はずっと20歳でした。この規定は、2018年(平成30年)民法改正により18歳に引き下げられ、施行までの準備期間の4年間を経て、来年の2022年(令和4年)4月1日から施行されます。つまり、来年4月1日になると、一斉にそれまで未成年だった18歳と19歳の若者全員が成年になるわけです。 民法でいう「成年」とは何でしょうか。自分でどの契約を締結するかを選択することができ、締結した契約を守る法的義務を負うことになる年齢を意味します。 文部科学省の調査によると98.8%が高校に進学する(2020年度の調査データ)ということですから、ほとんどが高校三年生の誕生日から「成年」として一人前の大人としての法的責任を負うことになるわけです。高校三年生には、成年と未成年が混在することになります。 成年年齢引下げで変わること 民法では、まだ成年には達していない人を未成年として保護しています。契約に関する知識も社会的な経験も十分ではないことから一定の保護を図る制度を設けているわけです。 具体的には、未成年者が契約をする場合には、原則として、法定代理人(通常は、戸籍上の親)の同意が必要とされます。親の同意がない場合には、その契約を未成年者本人か親が取り消すことができます。未成年者が自分の考えだけで契約して、そのあとで「失敗した」ことに気が付いたときや親が知って「その契約はとんでもない」と考えた場合には、その契約を取り消すことができます。 これまで、この未成年者として保護される対象は20歳未満の若者でした。2022年4月以降は、未成年者として保護されるのは18歳未満の若者だけになり、18歳、19歳の若者は「一人前の大人」として扱われ、保護されなくなります。 未成年者はどのように保護されてきたか 抽象的な法律の説明だけではわかりにくいですね。身近な具体例で、未成年者がどのように保護されてきたかを見てみましょう。 若い人にとって身近なものにスマートフォン(スマホ)があります。スマホを持つ契約をする場合、未成年者の場合は、事業者から法定代理人の同意を求められます。クレジットカードを持つ場合、高額な買い物や賃貸住宅を借りる場合、学生ローンなどで借金する場合も(まともな業者であれば)同様です。これは、民法に未成年者保護制度があるためです。 高校生や大学生のほとんどはスマホを持っていますが、契約者は親で使用者を子供としている場合が多く、多少は、法定代理人の同意のもとに学生が契約しています。これは、20歳未満が未成年として保護されているためです。 2022年4月以降は18歳から成年となるので、高校三年生の誕生日以降に契約する場合には、法定代理人の同意はいらない、つまり若者が単独で契約できることになります。取引相手の事業者は法定代理人の同意を求める必要はなくなります。そして、契約後に失敗したと思っても、もう取り消すことはできなくなります。クレジットカード、消費者金融からの借金なども同じことです。「一人前の大人」としての法的責任を求められるわけです。 成年年齢引下げにより起こりうる変化 2022年4月1日からは、一斉に18歳と19歳の若者と契約する場合にも、事業者は法定代理人の同意を取らなくてもよくなります。 成年が大人としての法的責任を負うということは、契約についての知識も社会的な経験も十分に積んで一人前になった、として扱うということです。しかし、現実はどうでしょうか。小学校、中学校、高校と親や社会の保護のもとで生活してきています。が、周りから保護されていることは、保護されてきた未成年からは見えにくく、自覚しにくいものです。 むしろ、高校生は、それまで保護されてきたので大きな失敗を経験しておらず、失敗体験がない分、「自分は賢いから、失敗しない」という認識を持ちがちです。18歳の誕生日になって「今日から一人前の大人」として扱われることになったとしても、一日の違いでいきなり十分な契約知識や社会的経験が身につくわけではありません。 若者の消費者被害から見えること 消費生活センターに寄せられる若者の消費者被害を見ると、20歳以降は訪問販売・マルチ商法・詐欺的な儲け話などの被害が目立つようになり、被害金額も100万円を超えるものも珍しくありません。お金もちの若者が狙われるからではなくて、消費者金融から借金させられ高額な被害になっています。 もう未成年ではないので借金や高額契約であっても、事業者は、法定代理人の同意を得る必要はなく、消費者は、契約の未成年取消しをすることはできません。解決は難しくなります。 18歳の誕生日を迎える前に、「契約についての基礎知識」や「契約するときの注意点」「自分の意思をしっかり伝える力」などを身に着けることが大切です。また、若者を狙う悪質商法はどんどん変化しています。「今のトレンド」を知ることも重要です。家族、学校、地域、消費生活センターなどの行政機関の役割が極めて重要といえるでしょう。 4ページ 今知っておきたい! 若者の消費者トラブル 大学の先輩から「必ず儲かる」と誘われた投資話、儲かるどころか消費者金融で借金をすることに! 大学の先輩から「必ず儲かる投資話に興味はないか。」と誘われたので、話を聞いてみることにした。そこで紹介された男性に「特別なノウハウが必要になる。」と言われ、50万円で情報商材のUSB購入を勧められたので、学生ローンで借金をして契約した。その後、USBの情報を参考に投資を始めたが、全く儲からないため騙されたのではないかと思う。 こんなことに気を付けましょう 「情報商材」とは、インターネット等を仲介して販売されている、お金の儲け方などに関する情報のことです。ただし、その内容は購入して確認するまではよく分からず、得られる情報も期待していたものとは異なることがあります。 大学の先輩や高校時代の友達に誘われ、人間関係を優先して内容をよく理解しないまま高額な契約をしてしまうケースがよくありますが、断る勇気も大切です。 また、儲け話のために消費者金融から借金するのも絶対にやめましょう。 「必ず儲かる」や「誰でも簡単に儲かる」という甘い言葉には注意しましょう! SNSをきっかけにネットワークビジネスを始めたことで大切な友達を失うことに! SNSで知り合った男性から「ネットワークビジネスに参加して友達を紹介すれば、誰でも簡単に儲かる。」と言われた。これなら簡単にできると思ったので、複数のクレジットカードで借金をして販売用の化粧品等を購入し、友達を勧誘してみたが、誰にも相手にされず、その後、男性とも連絡が取れなくなった。 こんなことに気を付けましょう 「ネットワークビジネス」とは、自分が販売組織に加入して商品やサービスを契約した上で、友達などを誘って新しい会員にすると紹介料などをもらえる仕組みです。最近では、SNSやマッチングアプリ等で知り合った相手を勧誘するケースも多くあります。 知り合って間もない相手の説明をうのみにして、すぐに契約するのは危険なので、注意しましょう。また自身が友達を勧誘することにより、人間関係にヒビが入るなど、結果として大切な友達を失うかもしれません! 5ページ 「これはとてもお買い得」と思ったのになぜか定期購入に! インターネットの広告で「初回お試し価格980円」という除毛剤の広告を見つけたので、リンク先の販売サイトから申し込みをした。その後、2回目の商品が送られてきたので、その時に初めて定期購入と知った。一度きりの購入と思っていたので、解約したい。 こんなことに気を付けましょう 「定期購入」を条件に初回のみ安価に設定している事業者が数多く存在します。「初回お試し価格○○円」という表示があっても、実際の申込条件(定期購入など)を目立たない様に表示していることもあります。 インターネット通販やテレビショッピングなどの通信販売は、クーリングオフ制度の対象外なので、申込条件(定期購入かどうか)や返品特約(どのような場合に返品可能なのか)をよく確認しましょう。 ★他にもまだある、若者の消費者トラブル★ トイレ詰まりのトラブル ●夜中に賃貸アパートのトイレが詰まり困ってしまった。スマホで見つけた修理業者が「数百円〜」だったので修理を依頼したところ、約20万円の請求をされ、支払うまで帰らないと居座られた。 エステ契約のトラブル ●友達から「エステ無料体験」を紹介されたので、軽い気持ちで行ってみた。施術後に店員から「今日なら特別価格で契約できる」と執拗に勧誘され、結局高額なコースを契約するまで帰れなかった。 アパート契約のトラブル ●2年間住んだ賃貸アパートを退去することになり、部屋の補修費や清掃費等が合計で15万円だった。敷金が戻らないどころか追加で7万円を支払った。普通に生活していてもこんなに高額になるのか。 ★官公庁の公式LINEアカウントからの情報もぜひお役立てください★ 6ページ 高齢者見守り通信 還付金詐欺を防ごう!STOP!ATMでの携帯電話 還付金詐欺被害多発中!! 電話で区役所の職員を騙り、「医療費・保険料の還付があります」などと言ってATMに向かわせ、携帯電話で指示しながら現金を振り込ませる還付金詐欺が多発しています。 ※本年(1〜6月)の区内における還付金詐欺被害はすでに47件発生! 携帯電話で通話をしなければ被害は防げる! 仮に電話の内容を信じてATMへ向かっても、そこで犯人と携帯電話で通話をしなければ、被害を防ぐことができます。 病院や映画館等と同様、ATMでは携帯電話で通話をしない・させないマナーの推進にご協力をお願いします。 特殊詐欺被害を防止するための電話相談 世田谷区特殊詐欺相談ホットライン 電話03−5432−2121 相談時間 月〜金曜日 午前9時〜午後5時(祝・休日、年末年始を除く) 【※上記相談時間以外のお問い合わせにつきましては、区内警察署へご連絡ください】 世田谷警察署 03-3418-0110  北沢警察署 03-3324-0110  玉川警察署 03-3705-0110  成城警察署 03-3482-0110 自動通話録音機の無料貸出 電話を使った詐欺を撃退するため、自動通話録音機を貸し出しています。 区内在住で、おおむね65歳以上の方 申込:電話で地域生活安全課(03-5432-2267)へ エシカルコラム あなたのエコバッグは清潔ですか? 〜5つのポイント教えます 私たちの生活において、持ち歩くことの多くなった便利なエコバッグ。見た目はキレイに見えても、実は意外に汚れていることはご存知ですか。 エコバッグを衛生的に使用するために、気をつけておきたい5つのポイントをご紹介します。 1 定期的に洗いましょう  取扱い表示に従って洗濯し、しっかり乾かしましょう。 2 肉、魚、野菜はポリ袋に入れましょう  肉や魚の汁、野菜の土が付着しないようにポリ袋に入れましょう。  (使用したポリ袋は再利用しません。) 3 エコバッグに入れる順番に気をつけましょう  肉、魚、冷蔵・冷凍食品などの冷たいものは、まとめて入れて、温かいものと密着しないようにしましょう。 4 エコバッグを使い分けしましょう  食品を入れるバッグと、日用品を入れるバッグとを使い分けると衛生的です。 5 エコバッグの持ち運びは、短時間にしましょう  肉、魚、冷蔵・冷凍食品などが入ったバッグを持ち運ぶ際は、短時間で帰宅し、直ちに冷蔵庫に入れましょう。  車で運ぶ際は、トランクを避け、涼しく衛生的な場所に置きましょう。 参考:「賢く楽しくお買い物!〜エコバッグでも食中毒予防〜」(農林水産省) (https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/ecobag.html)をもとに作成 発行:世田谷区経済産業部消費生活課 年4回(3月・6月・9月・12月)発行 聴覚等が不自由な方は、ファクシミリでお問い合わせください。 〒154-0004 世田谷区太子堂2-16-7 区役所三軒茶屋分庁舎3階 電話 03-3410-6521・6523 ファクシミリ 03-3411-6845 『消費生活センターだより』は、区役所、総合支所、出張所、まちづくりセンター、図書館、区民センター、地区会館等で配布しています。 消費生活センターの各事業は、区のホームページからご覧いただけます。