ネット広告をめぐる消費者トラブル 〜その広告は信頼できますか〜 一般社団法人ECネットワーク理事 原田由里 インターネット(ネット)上にはさまざまな広告が出ています。もちろん有益なものもありますが、注意して見ないと消費者トラブルのきっかけにつながるものもあります。 ネット広告のしくみを知り、トラブルに遭わないための知識をつけましょう。 ネット広告の種類は? 中には広告と分かりにくいものも…。 ネット広告にはどのようなものがあるでしょうか?「バナー広告」は連想しやすいかもしれませんね。広告枠にリンクが貼られ、クリックするとスポンサー先のページに移動します。最近はテレビCMのように完成度が高いものもあります。 その他にも下記のようなしくみがあります。全て知っていますか? ・リスティング広告 検索ワードに連動して検索結果の上位に表示されます。 ・ネイティブ広告 ニュース記事やSNSなどのフォーマット(書式)と一体化して表示される広告です。 リスティング広告とともに、サイト構成や内容にうまく溶け込んでいます。 ・ターゲティング広告 閲覧履歴や登録情報など見る人に合わせて表示される広告です。 閲覧履歴により表示される「行動ターゲティング広告」では、閲覧履歴の利用停止の申出が可能なこともあります※1。 広告は見る側が必ず「広告」だと分かるしくみが必要です。リスティング広告やネイティブ広告にも、広告記事には必ず「広告」と表示されています。 一方、見る側が広告と分らないものを「ステルスマーケティング(隠した広告:ステマ)」と呼び、このような広告手法は法的にも問題視されています※2。 過去に、飲食店の口コミや芸能人のブログなどで、お金をもらって良い評判を書いていると疑いの目が向けられたことがありましたが、その他にもランキングサイトや商品等の評価欄などに存在すると見られています。日頃から、ネット上の評判や書き込みは全て鵜呑みにしないほうが良いかもしれませんね。 ※1 一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会 「JIAAインフォメーションアイコンプログラム」参照 https://www.jiaa.org/ ※2 消費者庁 インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/b_to_c/b_to_c.html こんな広告に注意! ・いきなり警告音とともに表示されるため、あわてて電話をかけてしまうと、遠隔操作で不要なセキュリティソフト等を契約してしまいます。海外事業者です。すぐにブラウザを閉じましょう。 ・大きく「お試し」とありますが、定期購入が条件となっていて途中解約ができない契約です。化粧品・サプリ・健康食品などの契約は、定期購入かどうかを必ず確認するようにしましょう。SNS上で属性に合わせて表示されるターゲティング広告により、お試しと思わせて大量の化粧品を購入させるものも! ・検索上位に欲しい靴を安価で販売しているサイトがみつかりました。でも、検索結果の上位だから安心できるお店とは限りません。コピー品やお金を払っても商品が届かない詐欺サイトを見分けるチェックポイントを確認しましょう。 (1)サイトURLが、規則性のないアルファベット・数字の羅列で構成されている。 (2)日本語が不自然。 (3)品薄品なのに安い。 (4)住所が明確ではない。電話番号の記載がない。 (5)支払先が記載所在地と離れている。個人口座。(カード払いもある) 広告を見極めるセンスを持とう わたしたちは「安い」「儲かる」「やせる」「お得」などの言葉に弱いですが、すぐに飛びつかず、何か条件や根拠、理由がないかどうか、客観視して考える癖をつけましょう。それだけでも広告トラブルはずいぶん防げると思います。 悪質な広告に惑わされたり、情報を何も疑わずに人に勧めたりすると、自分だけではなく他人も傷つけてしまいます。日頃からネットリテラシー(使いこなす能力)の向上を心掛けて行動すると良いかもしれません。