世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画 令和4年度から令和8年度 多様な生き方を認め合い、自分らしく暮らせる せたがやをめざして 令和4年3月 世田谷区   はじめに 「今こそ多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する必要を改めて問いかけ、そして取り組む」 「男女だけでなく多様な性を含めたすべての人が尊重され、参画できる社会をめざす」計画として、平成29年度から10か年の「世田谷区第二次男女共同参画プラン」を策定してから、5年が経過しました。この間、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大があり、健康、経済、安全をはじめとするさまざまな側面で、私たちの暮らす世田谷区にも大きな影響を与えています。また、国連において採択された「持続可能な開発目標のための2030アジェンダ」の前文に掲げられた「SDGs(持続可能な開発目標)」のゴールのひとつ「ジェンダー平等の達成」が、我が国でも大きく意識されるところとなりました。 区は、こうした世界や国、都の情勢を踏まえると同時に、第二次男女共同参画プランの中間評価を行い、令和4年度から5年間を計画期間とする「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」を策定しました。これまでの取組みの成果や課題に基づいた「プラン見直しの視点」に立った内容になっています。 この後期計画策定の過程で、男女共同参画を推進していくことがなぜ必要なのかを、改めて自らに問うこととなりました。この先は、「一人ひとりの人権が尊重され、自らの意思に基づいて個性と能力が十分に発揮できる社会」、そして「性の違いを超え、ともに力をあわせて責任をわかちあう社会」であることの重要性が、より一層高まってきます。それは、まさに「男女共同参画社会」のめざす姿です。また、何がその実現を阻み、進展させていないのか、私自身も「我が事」として考え、具体的に改革していくことが必要だと考えています。そのため、これまでにない根本的な問いかけと現状の見直しを通じて、世田谷における男女共同参画の実現に向けた取組みを進めてまいります。 本計画は平成30年に施行した「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」に定める「行動計画」にも位置付けました。基本理念を区民・事業者・区が共有し、参加と協働の視点を持って、政策の実現を図っていきます。区民の皆様のさらなるご理解とお力添えをお願いいたします。 計画の策定にあたり、世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会の委員の皆様には、諮問から答申までの過程で、たくさんの議論を行ってくださいました。また、男女共同参画に関連する多様な団体の皆様と意見交換を行わせていただくとともに、たくさんの区民の皆様からご意見をいただきました。厚くお礼を申し上げます。 令和4年3月 世田谷区長 保坂 展人 「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」 策定に際して 「男女だけでなく多様な性を含めたすべての人が尊重され、参画できる社会をめざす」計画として、このたび、世田谷区において、「第二次男女共同参画プラン後期計画」が策定されましたこと、大変うれしく思います。資料にありますように、「世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会」は、世田谷区長から「策定にあたっての考え方」について、令和2年11月に諮問を受け、令和3年11月に答申いたしました。その答申を受けて区が策定したのが、この「後期計画」です。審議会は計3回、男女共同参画推進部会は計5回、計8回にわたって、良いプランに近づけるよう、議論を重ねてきました。その間新型コロナウイルスの世界的感染拡大もあり、会議の開催が危ぶまれたり、慣れないリモート会議になったりと、さまざまな出来事がありましたことが、思い出されます。 この「後期計画」策定に際しては、審議会・部会では、特に以下の2つのことが議論されました。1つは、より多くの人々の人権を尊重できるような施策にすること、もう1つは近年の大きな社会変化によって生じている問題にも対処できるような施策にすることです。今、日本社会は、グローバル化や人口減少に直面し、多様な人々が尊重される社会の実現を、切実に求められています。ジェンダー平等、「多様な性」を生きる人々の間の平等、多文化共生等、さまざまな意味で多様な生き方をしている人々が、等しく尊重される世田谷区を作ることが必要なのです。けれども、近年には、経済的格差の拡大も顕著になり、コロナ禍は、まさにその格差をさらに拡大させてしまうような影響をもたらしています。コロナ禍において生じた問題は、コロナ以前の社会が持っていた構造的問題の表出でもあります。 この「後期計画」が、コロナ禍とコロナ後の世田谷を、より平等な、多様な人々が尊重される地域社会になるために寄与してくれることを、堅く信じています。 令和4年3月 世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会 会長 江原 由美子 目 次 第1章 計画の背景 9ページ 1 計画策定の趣旨と目的 11ページ 2 策定の経過 14ページ 3 国際的な動き 15ページ 4 国の動き 16ページ 5 都の動き 18ページ 6 区の動き 19ページ 7 新型コロナウイルス感染症が及ぼす男女共同参画への影響 21ページ 8 プランの中間評価と課題 22ページ 9 プラン見直しの視点 28ページ 第2章 計画の概要 31ページ 1 計画の基本理念と視点 33ページ 2 計画の目標 34ページ 3 計画の体系 42ページ 第3章 計画の内容 45ページ 基本目標Ⅰ あらゆる分野における女性活躍推進 47ページ 課題1.固定的な性別役割分担意識の解消 47ページ 課題2.女性の活躍推進と政策・方針決定過程への女性の参画促進 52ページ 課題3.女性のキャリア形成と多様な働き方の支援 58ページ 基本目標Ⅱ ワーク・ライフ・バランスの着実な推進 65ページ 課題4.ワーク・ライフ・バランスの普及・啓発 65ページ 課題5.男女がともに家事、育児、介護を担える支援の充実 72ページ 課題6.防災・地域活動等への参画促進 80ページ 基本目標Ⅲ 暴力やハラスメントのない社会の構築 87ページ 課題7.配偶者等からの暴力(DV)の防止と被害者支援の充実 87ページ 課題8.性犯罪・性暴力の防止と被害者支援の充実 97ページ 課題9.暴力を容認しない意識づくり 100ページ 基本目標Ⅳ 多様性を認め合い、尊厳をもって生きることができる社会の構築 106ページ 課題10.性差に応じたこころと身体の健康支援 106ページ 課題11.ひとり親家庭等が安心して生活できる環境づくり 113ページ 課題12.性的マイノリティ等多様な性への理解促進と支援 119ページ 第4章 計画の推進体制 127ページ 方策1 男女共同参画センター「らぷらす」の機能の充実 129ページ 方策2 区職員の男女共同参画推進 133ページ 方策3 推進体制の整備・強化 136ページ 資 料 139ページ 1 世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例 140ページ 2 男女共同参画社会基本法 143ページ 3 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律 147ページ 4 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律 155ページ 5 「世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会」構成委員 165ページ 6 世田谷区男女共同参画推進会議、同幹事会、「(仮称)第二次男女共同参画プラン調整計画」策定検討にかかる作業部会 構成員 166ページ 7 「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」策定経過 168ページ 8 パブリックコメント意見要旨 170ページ 9 年表 172ページ 10 用語解説 175ページ 多様な生き方を認め合い、自分らしく暮らせる せたがやをめざして ○「男女共同参画」は持続可能な共生社会をつくるために必要です 日本では、高度経済成長の時代に「男は仕事、女は家庭」という固定的な性別役割分担意識のもとで男性中心型の社会がつくられてきました。世田谷に暮らす私たち自身のことを考えても、社会的につくられた性に基づく規範・役割・関係性の差異(ジェンダー)は、社会生活のあちらこちらに根深く存在し、誰もが多かれ少なかれ、生まれたときから絶えずその影響を受けています。特に女性は、地位向上と社会参加が進められてきたものの、今なお「女であるから」という理由で、ライフステージの各段階において、生活基盤にかかる選択の幅を狭められる場面が残っています。少子高齢化が進展し、社会経済情勢が急速に変化している今だからこそ、生活のあらゆる場面で、「一人ひとりの」人権が尊重され、「自らの」意思に基づいて個性と能力を十分に発揮できる社会をつくることが何よりも必要です。性の違いを超え、ともに力を合わせて、責任を分かち合う男女共同参画社会の実現が求められています。 国は、男女共同参画社会基本法を制定し、「男女共同参画」を人権・家族・労働・教育・医療・福祉を貫く横断的な重要政策のひとつと位置づけ、21世紀日本社会の「最重要課題」としました。この動きは、国際的な広がりを見せている、持続可能な開発目標(SDGs)のゴールのひとつ「ジェンダー平等を実現しよう」と歩みをともにしています。「男女共同参画」は、誰もが幸福に生きられる未来の世田谷区につながります。 ○「男女共同参画」は、「せたがや」に豊かな地域社会を築くことにつながります 「男女共同参画」によって、男女だけではなく多様な性を含めたすべての人が、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されます。そして、区政や地域の意思決定に関わったり、望む仕事で経済的に自立したり、福祉などの社会的なサービスを利用したり、文化や芸術にふれて学んだりできるようになります。 平成30年4月に施行した「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」が掲げる ☆全ての人が、多様性を認め合い、人権が尊重され、尊厳を持って生きることができる。 ☆全ての人が、自らの意思に基づき個性及び能力を発揮し、多様な生き方を選択することができる。 ☆全ての人が、あらゆる分野の活動においてともに参画し、責任を分かち合う。 という3つの基本理念を区、区民及び事業者で共有し、一体となって男女共同参画を推進することで、豊かな地域社会を築いていくことができるはずです。 ○「男女共同参画」を「我が事」としてとらえ、みんなで進めていくことが必要です みんなが「男女共同参画」を「我が事」としてとらえ、よりよい個人の生き方を選択したり、誰一人取り残されることのない地域社会づくりを進めるために、 ・区民は日々のコミュニケーションや行動を通じて、 ・事業者は働く人それぞれに合った働きやすい職場づくりや事業を通じて、 ・区は区民サービス等、行政としての業務を通じて、 個々の意識・行動を変化・進化させ続けていきましょう。 多様な生き方を認め合い、自分らしく暮らせる せたがやをめざして! 第1章 計画の背景 1 計画策定の趣旨と目的 (1)趣旨と目的 男女平等の実現に向けた取組みは、個人の尊重と法の下の平等をうたう日本国憲法の下、昭和54年に採択された「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(以下、「女子差別撤廃条約」)」を支柱とする国際的な取組みとともに着実に進められてきました。男女共同参画社会基本法をはじめ、職場における男女平等の推進や女性に対する暴力防止・被害者支援に関わる法律・制度は整備されつつあるものの、十分とは言えません。また、「男は仕事、女は家庭」という固定的な性別役割分担意識、またさまざまな分野での「男だから、女だから」という「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」も社会のあらゆる分野に依然として残っています。 また、社会情勢が大きく変化するなかで、価値観やライフスタイル、性の概念などが多様化し、新たな状況への対応が求められてきているものの、長時間勤務が当然とされている従来の労働慣行や、個人の自由な意思ではなく「男・女であるから」という性別を前提とした選択肢が根付いたままであり、さまざまな分野での考え方の土台となってしまうことで、男女共同参画社会の実現が妨げられています。 区では、平成25年9月に議決された世田谷区基本構想の九つのビジョンのなかで、「個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、多様性を認め合い、自分らしく暮らせる地域社会を築いていく」としています。この基本構想の考え方を踏まえ、区では男女共同参画社会の言葉の定義を「男女だけではなく多様な性を含めたすべての人が尊重され、参画できる社会」とし、「世田谷区第二次男女共同参画プラン」を策定しました。また、平成30年には、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を制定しました。さらに、「世田谷区第二次男女共同参画プラン」や条例のめざす地域社会の実現に向けた取組みを進めていますが、真の変革にはまだ課題を残しています。 この「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」は、「男女だけではなく多様な性を含めたすべての区民の人権が尊重され、自らの意思に基づき個性と能力を十分発揮することができる男女共同参画社会」をめざし、国や都、国際的な動きと連動させながら、地域に最も身近な基礎自治体として、区の地域特性を踏まえたさまざまな取組みを、区民、地域団体、事業者等と連携・協働して庁内横断的に推進するために策定するものです。 これにより、区における男女共同参画社会の形成に向けて、何がこれを拒み、進展させないのか、根本的な問いかけを行いながら現状を見直し、社会経済情勢や地域の実情にあった取組みをたゆまず展開し続けるものとします。 (2)計画の性格・位置づけ ○ この計画は、男女共同参画社会の実現をめざすために、区の基本的考え方と課題達成のための施策を明らかにするものであり、平成29年3月に策定した、「世田谷区第二次男女共同参画プラン」(平成29年度~令和8年度)を調整する計画です。 ○ この計画は、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」第九条に定められた「行動計画」に該当し、第八条に定められた男女共同参画の基本的施策を総合的かつ計画的に推進するための計画です。 ○ この計画は、「男女共同参画社会基本法」第十四条第3項に定める「市町村男女共同参画計画」であり、国等の計画を踏まえるとともに、区の基本計画・実施計画、関連計画、DX推進方針等との整合を図っています。 ○ この計画は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」)」第六条第2項に定められた「市町村推進計画」に該当し、基本目標Ⅰ及び基本目標Ⅱを「世田谷区女性活躍推進計画」として位置づけます。  ※基本目標Ⅰ「あらゆる分野における女性活躍推進」   基本目標Ⅱ「ワーク・ライフ・バランスの着実な推進」 ○ この計画は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(以下、「DV防止法」)」第二条の三第3項に定められた「市町村基本計画」に該当し、基本目標Ⅲを「世田谷区配偶者等暴力の防止及び被害者保護のための計画」として位置づけます。  ※基本目標Ⅲ「暴力やハラスメントのない社会の構築」 ○ この計画は、区の地域防災計画との整合を図りつつ、災害対策における男女共同参画を進めるための計画です。阪神淡路大震災、中越地震、東日本大震災、熊本地震、豪雨災害、そして、このたびの新型コロナウイルス感染症拡大の経験を踏まえ、平常時や緊急時における、地域社会での男女共同参画の視点に立った取組みを推進します。 (3)計画の期間 令和4年度から令和8年度までの5年間とします。 なお、今後の情勢等に大きな変動が生じた場合、必要に応じて計画の見直しを行うなど、柔軟な対応を講じていきます。 2 策定の経過 (1)世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会への諮問及び審議 「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例(平成30年3月6日条例第15号)」第10条に基づき、区長の附属機関として設置されている「世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会」に計画の策定にあたっての考え方についての諮問を行いました。また、同審議会の「男女共同参画推進部会」において、現計画の中間評価を行い、計画の内容についての検討を進めるとともに、「多文化共生推進部会」とも検討状況の共有を行いました。 (2)庁内での検討体制 副区長を長とし、区の部長級職員で構成する「世田谷区男女共同参画推進会議」、課長級で構成される「世田谷区男女共同参画推進会議幹事会」及び、係長級で構成される「(仮称)世田谷区第二次男女共同参画プラン調整計画」策定検討に係る作業部会において、計画の検討を行いました。世田谷区立男女共同参画センター「らぷらす」とも連携し、内容の検討を進めました。 (3)関係団体、事業者等との意見交換 計画の策定にあたり、統計データだけでは表われない、地域の課題や現状等を把握し、各基本目標の成果と課題や、今後の方向性に反映させるため、団体等との意見交換を行いました。女性のキャリア形成、ワーク・ライフ・バランスの推進、子育て/地域コミュニティ、若者への理解促進・啓発、DV防止、性犯罪・性暴力の防止、性的マイノリティ等多様な性などのテーマを設定し、各分野における活動団体・個人、事業者等とのオンライン会議や、活動場所でのインタビューなどを実施しました。 (4)区民意見提出手続(パブリックコメント)の実施 区のおしらせ「せたがや」や区ホームページを通じて、計画素案についてのパブリックコメントを実施し、計画案に反映させるとともに、いただいた意見に対する区の考え方をまとめ、公表しました。 (5)男女共同参画に関する各種調査結果の活用 検討にあたり、主に以下の調査結果を中心に、男女共同参画にかかる各種統計データを活用しました。 ①世田谷区男女共同参画に関する区民意識・実態調査(令和元年度実施) ②区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査(令和2年度実施) ③世田谷区民意識調査(毎年度実施) ④世田谷区職員の男女共同参画に関する意識調査(令和3年度実施) 3 国際的な動き (1)女性のエンパワーメントと地位向上のための取組み 国際社会における女性の地位向上のための国連の取組みは、昭和50年(1975年)にメキシコシティで開催された「国際婦人年世界会議」とそれに続く昭和51年(1976年)からの10年を「国連婦人の10年」と定めたことから始まりました。昭和54年(1979年)には「女子差別撤廃条約」が採択され(日本は1985年に批准)、昭和60年(1985年)には「西暦2000年に向けての婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略」が採択され、平成7年(1995年)の第4回世界女性会議(北京会議)では、「北京宣言」と「北京行動綱領」が採択され、女性のエンパワーメントと地位向上のための具体的な取組み指針が定められました。 この会議以降、国連では5年ごとにジェンダー平等の進捗と課題を振り返る機会を設け、変化する世界情勢や、紛争や災害が繰り返される状況のなかで、ジェンダーの視点に立った政策の重要性を提起してきました。 (2)SDGsに示されたジェンダー平等への新たな目標と取組み 北京会議から20年となる平成27年(2015年)、人類が貧困や気候変動などこれまでになかったような数多くの課題に直面している現状から、国連では、安定してこの地球上で暮らし続けていくための目標として「我々の世界を変革する:持続可能な開発目標のための2030アジェンダ」を採択しました。実行にあたって、すべての国とステークホルダーで共有されるアジェンダの前文では「誰一人取り残さない」社会をめざしたSDGs(持続可能な開発目標)が掲げられ、17の目標(ゴール)と169のターゲットがうたわれました。このうちゴール5には「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う」と設定され、「あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する」などの9つのターゲットが盛り込まれました。 (3)ジェンダー・ギャップ指数等にみる我が国の政策の状況 そうした取組みが国際的に加速されるなか、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が毎年公表しているジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)における2021年の日本の順位は156か国中120位でした。 ジェンダー・ギャップ指数は、経済、教育、政治、保健の4分野のデータから各国の男女格差を測る指数となっていて、我が国では、特に政治分野で国会議員や閣僚の男女比率、経済分野で管理職に占める女性比率が後れをとっています。 なお、男女共同参画に関する国際的な指数はほかにもあり、2020年の国連開発計画(UNDP)が公表している人間開発指数(HDI。平均寿命、一人あたりGDP、就学率などのデータにより算出)は189か国のうち日本は19位、ジェンダー開発指数(GDI。前述のHDIを、男女別の比率で算出)は167か国中55位、ジェンダー不平等指数(GII。妊産婦死亡率、国会議員の女性割合、中等教育以上の教育を受けた人の男女別割合などから算出)は162か国中24位となっています。 4 国の動き (1)男女共同参画基本法の制定をめぐる取組み 国内では、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、国際社会での取組みと連動しつつ、男女平等の実現に向けたさまざまな取組みが進められてきました。 「女子差別撤廃条約」の批准に向けて国内の法整備を進め、その一環として「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下、「男女雇用機会均等法」)」(昭和60年)を制定しました。 さらに現在の政策の基本となる、「男女共同参画社会基本法」(平成11年)を制定し、少子高齢化や国内経済活動の成熟化など、社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現が、21世紀の我が国社会を決定づける最重要課題と位置づけ、国、地方公共団体は男女共同参画社会の形成の促進に努め、国民は職域、学校、地域、家庭等あらゆる分野で男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めることを、責務として求めました。 (2)法制度の動きと取組み課題 男女共同参画社会基本法が成立して以来、労働の分野では、「女性活躍推進法」の成立や「育児・介護休業法」の改正など、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進に向けた取組みも進められてきました。また、あらゆる暴力やハラスメントを禁止するために、「DV防止法」や、「男女雇用機会均等法」、「労働施策総合推進法」などの成立、改正が進められました。しかしながら、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標は特に政治や経済分野で達成されず、男女共同参画の大きな課題となっています。 (3)「第5次男女共同参画基本計画」の制定 国は、「男女共同参画社会基本法」に基づき、基本的な計画を定めるために、令和2年12月に「すべての女性が輝く令和の社会へ」をキャッチフレーズとした「第5次男女共同参画基本計画」を策定しています。計画では第4次計画までの11分野及び推進体制での取組みの課題を踏まえ、また新型コロナウイルス感染症の拡大をはじめとするさまざまな社会情勢の現状と予想される環境変化を受けて、次の4つの社会の実現をめざしています。 ①男女が自らの意思に基づき、個性と能力を十分に発揮できる、公正で多様性に富んだ、活力ある持続可能な社会 ②男女の人権が尊重され、尊厳を持って個人が生きることのできる社会 ③仕事と生活の調和が図られ、男女が共に充実した職業生活、その他の社会生活、家庭生活を送ることができる社会 ④あらゆる分野に男女共同参画・女性活躍の視点を取り込み、SDGsで掲げられている包摂的かつ持続可能な世界の実現と軌を一にした取組を行い、国際社会と協調する社会 また、実現に向けて取り組むことは、男女にとどまらず、年齢も国籍も、性的指向・性自認(性同一性)に関すること等も含め、幅広く多様な人々を包摂し、すべての人が幸福を感じられる、インクルーシブな社会の実現につながるとしています。 そして、取組みを推進するために、計画では「Ⅰ あらゆる分野における女性の参画拡大」、「Ⅱ 安全・安心な暮らしの実現」、「Ⅲ 男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備」、「Ⅳ 推進体制の整備・強化」という4つの政策領域と、政策領域Ⅰ~Ⅲの下に重点的に取り組む11の個別分野を設けています。 計画では、日本のジェンダー平等に向けた取組みが、国際社会からも後れをとっていることを認識し、「今が、国民一人一人の幸福(well-being)を高めるとともに、我が国の経済社会の持続的発展を確保することができるか否かの分岐点である。」と、危機感を持って、男女共同参画に取組むとした姿勢を明記しています。 5 都の動き (1)「東京都男女平等参画推進総合計画」の策定と改定 平成12年、東京都は全国に先駆けて「東京都男女平等参画基本条例」を施行し、条例を踏まえて平成14年に「男女平等参画のための東京都行動計画『チャンス&サポート東京プラン2002』」を策定、さらに、配偶者等からの暴力への対策としては、平成18年に「東京都配偶者暴力対策基本計画」を策定し、以降、改定を続けています。 平成29年3月には、「男女平等参画のための東京都行動計画『チャンス&サポート東京プラン2012』」の改定に合わせ、女性活躍推進の視点を追加、充実させた「東京都女性活躍推進計画」と「東京都配偶者暴力対策基本計画」の両計画で構成される「東京都男女平等参画推進総合計画」を策定しています。 「東京都男女平等参画推進総合計画」の計画期間は令和3年度までで、令和4年度から新たに改定された計画が開始されます。 (2)「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」の制定、「東京都性自認及び性的指向に関する基本計画」の策定 性自認や性的指向を理由とする不当な差別的取扱いや本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消をめざし、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透した都市となることを目的として、本条例が制定されました。また、条例の目的を達成するために、基本計画を定め必要な取組みを推進しています。 計画では、「声を上げられない当事者に寄り添い、多様な性のあり方を尊重し合う風土を醸成し、オール東京で誰もが輝ける社会を実現する」ことを基本方針に、悩みを抱えても、相談できずに孤立しがちな当事者を必要な社会資源につなげていくことは、喫緊の課題であると認識し、声を上げられない当事者にアプローチする「声なき声に配慮する相談体制の充実」を重点課題として取り組んでいます。 (3)「未来の東京」戦略ビジョンの策定 東京都は、2040年代にめざす東京の姿「ビジョン」と、その実現のために2030年に向けて取組むべき「戦略」を示した「『未来の東京』戦略ビジョン」を策定しました。 ビジョン3では「女性活躍」を掲げ、女性が自らの希望に応じた生き方を選択し、自分らしく輝いている東京をめざしています。 6 区の動き (1)世田谷区の男女共同参画社会の実現に向けた政策の動き 区は、昭和54年、婦人問題の解決を課題とする区の行動計画に準ずるものとして「世田谷区婦人総合対策」、昭和62年に「男女共同社会をめざす世田谷プラン」を策定、翌年には「男女共同社会をめざす世田谷アピール」を発表しました。 その後、女性政策を総合的に推進するとともに、平成3年には女性政策の専管組織「女性政策室」、推進のための拠点施設「せたがや女性センター『らぷらす』」を設置して体制を充実させ、女性施策の一層の推進を図り、平成9年に「男女が共に生きるせたがやプラン」を策定しました。 社会の変化とともに、男性の家庭や地域への参画など、女性だけの問題ではなく、男女がともにあらゆる分野に参画していくという男女共同参画の意識が高まり、平成12年には「世田谷区立男女共同参画センター『らぷらす』(以下、「男女共同参画センター『らぷらす』」)と名称変更しています。 ワーク・ライフ・バランスに関しては、平成21年に「世田谷区ワーク・ライフ・バランス推進指針」を策定し、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて取り組んできました。 (2)「世田谷区男女共同参画プラン」、「世田谷区男女共同参画プラン調整計画」の策定 平成11年に男女共同参画社会基本法が施行され、法第十四条第3項に努力規定として定められた「市町村男女共同参画計画」として平成19年3月に「男女がそれぞれの個性と能力を十分発揮できる社会の創出」を理念に掲げた「世田谷区男女共同参画プラン(平成19年度~平成28年度)」を策定しました。同計画の目標や課題を継承しつつ社会情勢の変化などに対応するため、平成24年11月には「世田谷区男女共同参画プラン調整計画(平成25年度~平成28年度)」を策定し、4つの基本目標のもとに施策を進めてきました。 (3)「世田谷区パートナーシップの宣誓」の取組み 平成27年度に、区は「世田谷区パートナーシップの宣誓」を開始しました。人権尊重の取組みのひとつとして、同性カップルである区民の自由な意思によるパートナーシップの宣誓書を受け取ることにより、同性カップルの方の気持ちを区が受け止めるという取組みです。世田谷区と渋谷区が日本で初めて導入して以降、全国各地でパートナーシップ制度を導入する自治体が増加しています(令和3年12月時点で141自治体、人口カバー率43%)。また、この制度の導入を契機に、平成29年6月の区営住宅管理条例改正により同性カップルも入居可能とするなど、各種制度やサービスにおいて同性カップルへの適用拡大を進めています。 (4)「世田谷区第二次男女共同参画プラン(平成29年度~令和8年度)」の策定 区は、「世田谷区男女共同参画プラン」、「世田谷区男女共同参画プラン調整計画」の計画年度終了に合わせて「世田谷区第二次男女共同参画プラン」を策定しました。策定にあたっては、区の基本構想や基本計画との整合性を図り、これまでの取組みを継承するとともに、国の「第4次男女共同参画基本計画」等を踏まえ、「女性活躍推進法」、「DV防止法」に定められた市町村計画として策定しました。 基本構想や基本計画の「多様性の尊重」を踏まえ、「男女だけではなく多様な性を含めたすべての人が尊重され、参画できる社会」をめざした計画としています。 (5)「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」の施行 平成30年4月、区は「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を施行しました。 すべての人が「多様性を認め合い、人権が尊重され、尊厳を持って生きることができる」、「自らの意思に基づき個性及び能力を発揮し、多様な生き方を選択することができる」、「あらゆる分野の活動においてともに参画し、責任を分かち合う」ことを基本理念に、区の責務や事業者、区民の皆さんへのお願いと必要な取組みを掲げています。 この条例に基づき、男女共同参画と多文化共生施策を総合的かつ計画的に推進するものとして、「世田谷区男女共同参画プラン」と「世田谷区多文化共生プラン」の2つを行動計画に位置づけています。また、同条例に基づき設置された「男女共同参画推進部会」及び「多文化共生推進部会」に、両プランに基づく施策の取組み状況を報告し、意見をいただき、庁内各課はその意見を踏まえて施策の推進に取り組んでいます。 以上の経過を踏まえ、また東京2020大会のレガシーである「共生のまち世田谷」の実現に向けて、「世田谷区第二次男女共同参画プラン」(平成29年度~令和8年度)に基づく取組み等を踏まえ調整するために「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」を策定します。なお、今後の情勢等に大きな変動が生じた場合、必要に応じて計画の見直しを行い、柔軟な対応を講じていくこととします。 7 新型コロナウイルス感染症が及ぼす男女共同参画への影響 【国連の報告書で示された、政策的対応の重点事項】 世界的に流行が続いている新型コロナウイルス感染症の拡大は、男女共同参画に大きな影響を及ぼしています。国連は「新型コロナウイルスの女性への影響」報告書内で、新型コロナウイルスが及ぼす悪影響は、健康から経済、安全、社会保障に至るまでのあらゆる領域において、単に性別だけを理由として、女性及び女児にとって大きくなっていると指摘し、女性への影響を踏まえた政策的対応の重点事項を示しました。 【内閣府「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」からの緊急提言】 国においては、「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」を設置し、新型コロナウイルス感染症が、女性の生活・雇用環境に影響を及ぼす「女性不況」の様相を呈していることを踏まえ、ひとり親家庭への支援、テレワークの普及、柔軟な働き方の推進、デジタルや福祉分野など成長分野等へのシフトに向けた人材育成・就労支援を盛り込んだ緊急提言を行いました。 令和3年4月の報告書によると、女性の自殺者の動向が例年とは明らかに異なり、令和2年は7,026人と前年よりも935人増加し、特に、無職者(主婦等)、女子高校生の自殺が増加しています。女性の自殺の背景については、関係機関等で分析途中ではありますが、令和2年10月の厚生労働大臣の指定法人(一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター)の分析によると、経済生活問題や勤務問題、DV被害や育児の悩み、介護疲れや精神疾患などさまざまな問題が潜み、新型コロナの影響でこうした問題が深刻化し、これらが女性の自殺者数の増加に影響を与えている可能性があり、今後も、女性の自殺リスクがさらに高まっていくことも懸念される、としています。 区において、自殺者は大きく増えていませんが、コロナ禍が長引くなかで注視していく必要があります。 【意識・生活実態調査などで指摘されている課題】 性的マイノリティ当事者への影響も発生しています。民間調査によると、「セクシュアリティについて安心して話せる相手や場所とのつながりが、なくなった、つながりづらくなったと回答した12~34歳の若者が4割弱にのぼり、心理的負荷を抱えている」という結果が明らかになっています。 以上のことから、新型コロナウイルス感染症の拡大により改めて男女共同参画の重要性を認識させられることとなりました。これほどまでに男女共同参画の視点が求められている時代はなく、顕著化、深刻化した男女共同参画にかかる問題の解決と社会的危機下においても性別による不平等が増大しない社会づくりが求められます。 そして、その社会づくりを通じて、誰一人取り残すことのないポストコロナ社会へ変革できるかどうかが、今後の世田谷区をはじめ日本全体の大きな課題であり、コロナ禍を経験した我々にとっての使命であると考えています。 8 プランの中間評価と課題 計画策定にあたり、庁内各課において施策の推進状況を確認するとともに、「世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会」及び「世田谷区男女共同参画推進会議」において、プランの中間評価を行い、そこから得られた課題をまとめました。 (1)基本目標Ⅰ「あらゆる分野における女性活躍推進」について ① プランの中間評価からの成果と課題 〇家庭や地域、教育、職場などあらゆる分野での情報提供・啓発活動  国や都、メディアを通じた、男女共同参画に向けてさまざまな情報提供、啓発活動も相まって、区民の意識の変化は感じられていますが、それが行動の変容にまでは至っていません。今後は男性にとっても「我が事」として感じられる啓発、参加のしやすい事業を展開することが課題となっています。 〇審議会等への女性登用など、行政や事業所での女性の活躍促進  区では区や事業者の女性の活躍推進のための取組みや支援を進めており、区の審議会の女性委員や区内事業者における女性管理職は増えていますが、小規模事業所では取組みがまだ進んでいないのが現状です。 〇女性の就労・再就職支援や多様な働き方支援、参画支援の取組み  区と関連機関、男女共同参画センター「らぷらす」などによる、ライフステージ等に応じた女性の就労、起業支援相談、講座、啓発事業などは常に一定の参加者があり、新たな働き方を支える事業も利用が進んでいます。今後はより多様な働き方や参画支援のために、キャリア形成、より多様な働き方支援、女性が少ない分野の参画支援を図ることが課題となっています。 ② 指標の進捗状況 <数値目標1>区の審議会等の女性の占める割合 区では審議会等における女性登用率調査を実施し、数値目標に達していない審議会等の状況を確認し、今後の登用計画を具体的に検討しています。 直近の実績が34.7%と上昇傾向にあり、プランの目標35%以上の達成に近づいています。数値目標を上方修正するとともに、今後も継続的な取組みが必要となっています。 <数値目標2>庁内の管理監督的立場の女性の占める割合 直近の実績は38.4%と、プランの目標37%を達成しています。しかしながら、行政の対象となる区民や区職員全体の女性比率に比べると未だ低い状況であるため、数値目標を上方修正することで更なる女性活躍をめざします。 <数値目標3>固定的な性別役割分担意識の解消が必要だと考える人の割合 直近の実績は81.5%とプランの目標85%を達成していないため、継続的な取組みが必要となっています。 (2)基本目標Ⅱ「ワーク・ライフ・バランスの着実な推進」について ① プランの中間評価からの成果と課題 〇区民への啓発と事業者への働きかけによる、働き方改革の推進 区では、ワーク・ライフ・バランスを進めるために、情報提供やイベントを通して、区民や事業者に向けてさまざまな啓発、働きかけを行っていますが、区民のワーク・ライフ・バランス実現に向けた希望とその現実とのギャップは依然として大きく、今後も引き続き、社会的サポートの充実と長時間労働の見直しといった事業者の取組みを支援することが必要です。 ○区内事業所における仕事と育児・介護の両立支援制度の充実 法制度の充実や区内事業所に対する働きかけの成果として、育児や介護との両立支援制度は整ってきていますが、その利用状況には男女差があります。両立支援制度を男女ともに使いやすくし、利活用を促進するための情報提供や働きかけの充実が必要です。 ○地域活動や地域防災における男女共同参画の推進 区では町会・自治会長における女性割合状況調査を実施しており、少しずつではありますが、女性の割合は上昇傾向にあります。また、「せたがや女性防災コーディネーター」を養成し、修了生が地域で講習会を実施するなど、地域防災に「多様性に配慮した女性の視点」を活かすための事業を展開しています。災害時だけでなく、平常時からも地域における男女共同参画を一層進めていく必要があります。 ② 指標の進捗状況 <数値目標4>区内事業所におけるポジティブ・アクションの認知度 雇用の場において女性の能力発揮を進めるための事業所等の積極的な取組みを称した「ポジティブ・アクション」の認知度に関して、直近の実績は40.7%と、プランの目標80%を達成していないため、より積極的な取組みが必要となっています。 <数値目標5>仕事と家庭生活をともに優先している人の割合 直近の実績は24.4%と策定時とほとんど変わらず、プランの目標35%を達成していないため、工夫した継続的な取組みが必要となっています。 <数値目標6>町会・自治会長における女性の割合 直近の実績は16.0%と上昇傾向にあるものの、プランの目標20%を達成していません。このため、継続的な取組みが必要となっています。 (3)基本目標Ⅲ「女性に対する暴力の根絶」について ① プランの中間評価からの成果と課題 ○「配偶者暴力相談支援センター」の機能整備 区では、平成30年4月に「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を施行し、「ドメスティック・バイオレンスの根絶」を基本的な施策に掲げました。あわせて、具体的な支援の仕組みや体制づくりに着手し、平成30年12月には「配偶者暴力相談支援センター」の機能を整備しました。これにより、庁内外の関係者との連携を強化しながら、福祉の相談支援と人権施策としてのDV被害者支援の統括的な運用に努めています。配偶者暴力相談支援センターの機能整備に伴い、「通報関係業務」「保護命令関係業務」「被害相談の証明関係業務」を新たに実施するとともに、DV相談専用ダイヤルの開設やDV相談支援専門員の配置、相談記録管理システムの構築のほか、関係機関の支援力向上のための連携会議や研修の充実などに取り組んできました。 〇啓発、相談窓口の充実 DVやデートDVの防止に向けた啓発資料の配布や、相談手法の充実、時間帯の拡大など相談窓口の拡充に取り組んできました。今後は夫に経済的に依存せざるを得ない状態で「逃げないDV被害者」や、子どもがいないDV被害者なども含めて、早期の発見と支援が課題となっています。 ○DV被害者に対する短期的・中長期的支援の取組み 関係機関が緊密な連携を図ることにより、DV被害者とその子どもなどの支援を行ってきました。今後は、児童相談所と子ども家庭支援センターとの連携強化による面前DVへの対応、サポートグループの充実、職員の専門性の向上などが課題となっています。 ○若年世代への人権教育・男女共同参画への意識づくり 区では、区内の中学校・高等学校の生徒を対象とした学校出前講座事業や啓発資料の配布に力を入れてきました。今後はオンラインなど新たな形態での啓発事業の実施など、新たな日常に即した情報発信の充実が課題となっています。 ② 指標の進捗状況 <数値目標7>DV防止法の認知度 直近の実績は30.7%と、プランの目標60%を達成していません。DV防止法の名前は知っているが、その内容を知らない人の割合が増えていることから、目標達成に向けて、より積極的に継続して啓発を進めていく必要があります。 <数値目標8>「DVが100%加害者に責任があり、許せないものである」と考える人の割合 直近の実績は54.0%と上昇傾向にあるものの、プランの目標80%を達成していないため、継続的な取組みが必要となっています。 <数値目標9>デートDVの出前講座実施校数 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に減少しています。しかし、デートDVについての啓発冊子は例年通り、区内の区立・私立・国立全中学校の生徒(令和2年度より2年生を対象)に配布しています。学校出前講座事業は、コロナ禍で実施が困難な場合もありますが、引き続き、若年層に向けた啓発を行っていく必要があります。 (4)基本目標Ⅳ「すべての人が尊厳をもって生きることができる社会の構築」について ① プランの中間評価からの成果と課題 ○性差や年代に応じたこころと身体の健康支援 相談事業や講座等を通して、性差や年代に応じたこころと身体の健康支援、特に、妊娠期・乳幼児期からの母子の支援、若い世代に向けた情報提供などに取り組んでいます。今後は「新しい日常」への対応として、オンライン形式による健康支援の取組みを進めていく必要があります。 ○ひとり親家庭に対する相談、生活・就労・学習などの支援 区では、男女共同参画センター「らぷらす」におけるシングルマザーのための支援講座や居場所事業等を通して相談・情報提供の充実を図っています。ひとり親家庭実態調査を実施し、現状の把握に努めるとともに、就労支援、生活支援、養育費相談会、ひとり親家庭の子どもを対象とした学習支援など、ひとり親家庭への手厚い支援を行っています。今後は、離婚は成立していないがDVで避難しているなど事実上のひとり親への支援の充実や、コロナ禍で厳しい状況に追い込まれている母子家庭の貧困化に対応していく必要があります。 ○同性パートナーシップ宣誓の推進、性的マイノリティへの理解の促進 区では、全国に先駆けて同性パートナーシップ宣誓に取り組んでいます。また、平成30年に施行した「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」には、性の多様性への理解促進とこれに起因する支障を取り除くための支援を行うことを示しました。今後は、宣誓制度や条例の趣旨をさらに周知し、定着を図るとともに、同性パートナーが利用できる制度やサービスについて検討していく必要があります。 ② 指標の進捗状況 <数値目標10>がん検診の受診率 直近の実績では子宮がん25.7%、乳がん23.7%であり、子宮がんについてはプラン策定時の実績を上回りましたが、乳がんについてはプラン策定時の実績値より低下し、プランの目標である現状以上を達成していません。検診受診の必要性を、継続して周知する必要があります。 <数値目標11>ひとり親家庭の養育費相談の実施 直近の実績では新型コロナウイルスの感染拡大の影響により相談会の回数が減少しています。今後は、相談会への参加者数にも目を向けながら、開催方法を工夫するなどしての取組みが必要となっています。 <数値目標12>性的マイノリティという言葉の認知度 直近の実績では88.8%と策定時と比較して伸びていますが、プランの目標である90%以上には届いていません。区民により広く認知してもらうための取組みが必要となっています。 (5)推進体制「男女共同参画社会の実現に向けた方策」について ① プランの中間評価からの成果と課題 〇男女共同参画社会づくりのための「男女共同参画センター」機能拡充 男女共同参画センター「らぷらす」は地域で男女共同参画を推進する拠点として、基本目標Ⅰ~Ⅳすべてにかかる事業を総合的に展開しています。女性を中心にしながらも、男性や性的マイノリティも対象に、すべての区民や地域団体、事業者等が性に起因した社会的な格差・困りごとを緩和し、社会への参画さらには活躍ができるよう、さまざまな取組みを展開してきました。また、他機関との連携により、例えば、生活面や就労面で困窮したひとり親家庭の母親を、専門支援機関につなぐなどの取組みを行ってきました。 また、電話及び面接相談の「女性のための悩みごと・DV相談」は開設曜日や時間帯を拡大するなど、センター機能を拡充しています。しかしながら、区民の認知度や活用の実績は高くないのが現状です。 今後は、幅広い区民が利用できる施設をめざすとともに、団体をつないで協働で事業を実施したり、庁内の専門相談窓口や民間の相談事業等と連携し、困っている人を支援につないだりするなど「地域に開かれたらぷらす」としての充実などが必要です。 〇庁内の管理監督的立場への女性の登用、仕事と生活の両立支援に向けた取組み 女性活躍推進法に基づき、事業主が女性の職業生活における活躍推進に関する取組みを定める「特定事業主行動計画」(「特定」は国や地方公共団体、それ以外の事業者は「一般」と規定し区分している)に沿って、管理監督的立場における女性職員の割合に関する目標設定、昇任選考試験の受験勧奨を行い、着実に成果を上げています。今後は、ロールモデルの紹介や、キャリアに応じた研修の充実などが必要です。 〇仕事と生活の両立支援に向けた取組み 区は、令和2年3月に子育てに関わる休暇制度等をまとめた両立支援ハンドブック(子育てと仕事の両立編)を発行するなど、職員のワーク・ライフ・バランスの推進に取り組みました。今後も男性職員の育児休業の取得促進をはじめとした職員のワーク・ライフ・バランスの推進に一層取り組んでいく必要があります。 ○男女共同参画・多文化共生推進審議会によるフォローアップ 男女共同参画・多文化共生推進審議会において、「第二次男女共同参画プラン」の進行管理を実施しました。また、条例に基づき、「世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会」を設置し、苦情申し立てや相談に対応しています。今後は、審議会・部会の意見を、区事業の見直しにさらに活用していくことが課題となっています。   【数値目標の状況一覧】 実績 直近の実績 目標(令和8年度) 数値目標1  区の審議会等の女性の占める割合  実績 平成28年度30.9%  直近の実績 令和3年度4月1日現在34.7%  目標(令和8年度)35%以上 数値目標2  庁内の管理監督的立場(部長・課長級及び係長級)の女性の占める割合  実績 平成28年度34.2%  直近の実績 令和3年度4月1日現在38.4%(管理職:18.9%)   目標(令和8年度)37% 数値目標3  固定的な性別役割分担意識の解消が必要だと考える人の割合  実績 平成26年度73.3%  直近の実績 令和元年度81.5%  目標(令和8年度)85% 数値目標4  区内事業所におけるポジティブ・アクションの認知度  実績 平成27年度45.3%  直近の実績 令和2年度40.7%  目標(令和8年度)80% 数値目標5  仕事と家庭生活をともに優先している人の割合  実績 平成26年度24.1%  直近の実績 令和元年度24.4%  目標(令和8年度)35% 数値目標6  町会・自治会長における女性の割合  実績 平成28年度8.6%  直近の実績 令和3年度4月1日現在16.0%  目標(令和8年度)20% 数値目標7  DV防止法の認知度(「法律名も内容も知っている」と回答した人の割合)  実績 平成26年度34.3%  直近の実績 令和元年度30.7%  目標(令和8年度)60% 数値目標8  「DVが100%加害者に責任があり、許せないものである」と考える人の割合  実績 平成26年度51.0%  直近の実績 令和元年度54.0%  目標(令和8年度)80% 数値目標9  デートDVの出前講座実施校数  実績 平成27年度 中学校:6校 高等学校:4校  直近の実績 令和2年度 中学校:6校 高等学校:0校 目標(令和8年度) 中学校:10校 高等学校:10校 数値目標10  がん検診の受診率  実績 平成27年度 子宮がん 23.6% 乳がん 25.4%  直近の実績 令和2年度 子宮がん 25.7% 乳がん 23.7%  目標(令和8年度)現状以上 数値目標11  ひとり親家庭の養育費相談の実施  実績 平成28年度9回  直近の実績 令和2年度7回 利用者数30人  目標(令和8年度)現状以上 数値目標12  「性的マイノリティ」という言葉の認知度  実績 平成26年度70.0%  直近の実績 令和元年度88.8%  目標(令和8年度)90%以上   9 プラン見直しの視点 後期計画の策定にあたっては、先に掲げた基本目標ごとの課題を踏まえ、改めて以下の「プラン見直しの視点」に立った見直しを進め、それぞれに掲げる施策・事業を検討します。 (1)実効性の高い計画とする目標設定と手法の見直し 計画目標の見直し 数値目標のうち未達成のもの、社会状況の変化により設定が必要となるものについて、審議会・部会の意見や意識・実態調査結果を踏まえ、見直しを検討します。 政策・方針決定過程への女性の参画をさらに推進するために、特定事業主行動計画に基づく、管理監督職における女性の割合の上方修正をします。 女性活躍推進法等に基づく施策の一層の推進 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表の義務化対象の拡大を受けて、区内企業の実情に合わせたポジティブ・アクションの推進を支援します。 「新しい日常」のもと、男女共同参画を根付かせる新たな手法の導入 男女共同参画に配慮した働き方改革、テレワーク等の環境整備が進むような新たな手法を検討し、支援策を検討します。 男女共同参画センター「らぷらす」の機能強化 男女共同参画社会の拠点施設である、男女共同参画センター「らぷらす」の機能強化を図るため、推進体制の充実や地域へのアウトリーチ、さまざまな団体との連携、幅広い情報発信などを進め、手法の見直しにより機能強化を図ります。 (2)固定的な性別役割分担意識の解消と行動変容を促す施策の充実 固定的性別役割分担意識のさらなる解消やジェンダーに関連した無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)を解消するための情報提供を行います。 また、区民の男女共同参画への行動変容を促していくために、男性、特に若い世代、中高年世代を対象とした啓発、参加しやすい事業を強化します。 特に、男性に対して、仕事と両立できるような家事・育児・介護等への参画の支援を進めます。 (3)コロナ禍の影響等でさまざまな困難を抱える女性への支援の拡充 女性活躍推進にあたっては、女性の管理職比率といった登用面だけではなく、社会状況の変化の影響を受けやすい、非正規雇用やフリーランス、女性で若い世代の就労支援策を充実していきます。 また、ひとり親家庭、とりわけコロナ禍によりさらに厳しい状況に追い込まれている母子家庭の貧困化、虐待・暴力への対応も、関係機関との連携で進めます。 (4)暴力・ハラスメントに対する包括的な支援体制の構築 DV防止法の内容への理解を促すための継続的な啓発や、DVをめぐる男女間の意識の違いに着目した啓発に取り組みます。 DV被害者支援施策の充実に向け、児童相談所と子ども家庭支援センターとの連携強化、相談員の専門性向上に取り組みます。 夫に経済的に依存せざるを得ない「逃げないDV被害者」や男性の被害者、子どもがいないDV被害者など、さまざまなDV相談への対応を充実させます。 男女共同参画センター「らぷらす」と、子ども家庭支援センターとの連携強化によりDV被害者の早期発見・支援につなげる仕組みの充実に向けて検討します。 労働施策総合推進法改正に伴う、職場におけるパワーハラスメント防止対策の義務化を効果的なものとするため、区内事業者への情報提供などを強化し、ハラスメント問題を発生させない、見逃さない職場環境づくりへの支援を充実させます。 とりわけ若年世代に対して、多様な形態や関係性による性犯罪・性暴力の防止に向けた対応と、そのための情報発信を強化します。 (5)尊厳と多様性が尊重される施策の充実 SDGsによる「誰一人取り残さない」社会の実現とともに、東京2020大会のレガシーである「共生のまち世田谷」の実現に向け、すべての人が多様性を認め合い、人権が尊重される地域社会をめざします。 女性だけではなく、男性の理解も深めていきたいリプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する情報提供を、特に若い世代に向けて充実させる必要があります。 平成30年4月に施行された「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」に基づき、性的マイノリティへの理解促進、人権施策を充実させる必要があります。 同性間での子育てをされる方など、多様な形の家族の理解促進と支援の実施に向けて検討します。 (6)世田谷区の特性に合わせた推進体制の拡充 地域活動団体(NPO等)、関係機関とも連携しながら、世田谷区の特性に合わせた施策を推進するとともに、区の先駆的事業や独自事業を展開する体制を拡充する必要があります。 地域共生、地域との連携を打ち出した施策の推進 「地域共生」の考え方を強く打ち出し、地域活動全体に男女共同参画の理念が息づくよう団体等とのさらなる連携を図ります。 コワーキングスペースなど、区独自の事業の拡充と利用促進を図ります。 男女共同参画センター「らぷらす」の体制の強化 今後一層、男女共同参画の視点をもって地域の活動団体をつなぎ、困っている人を支援につないでいくための中間支援組織としての役割を担うなど、地域共生社会の実現に向けた考え方に基づく事業を強化します。 独自施策の推進 区民や区内事業者に向けて、性的マイノリティに対するさらなる理解を深める取組みを通して「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」の周知の強化を図ります。 性的マイノリティの人権施策、多様な形の家族に対する施策の充実を図ります。 パートナーシップ宣誓導入自治体や導入検討自治体との連携を図ります。 第2章 計画の概要 1 計画の基本理念と視点 後期計画では、第二次男女共同参画プランの基本理念、視点を継承します。  基本理念 一人ひとりの人権が尊重され、自らの意思に基づき、個性と能力を十分発揮できる、男女共同参画社会の実現  視点 基本理念「一人ひとりの人権が尊重され、自らの意思に基づき、個性と能力を十分発揮できる、男女共同参画社会の実現」に向けて、基本目標ⅠからⅣまですべてを貫き通す次の「3つの視点」を掲げます。 (1)人権の尊重 性別などを理由に差別されることなく、多様性を認め合い、人権が尊重され、すべての人が尊厳をもって生きることができる社会の実現をめざします。 (2)固定的な性別役割分担意識の解消 「男は仕事、女は家庭」といった固定的な性別役割分担意識にとらわれることなく、自らの意思に基づいて個性と能力を発揮し、多様な生き方を選択することができる社会の実現をめざします。 (3)あらゆる分野における男女共同参画 あらゆる分野の活動において男女がともに参画し、責任を分かち合う社会の実現をめざします。 2 計画の目標 目標の達成状況をより明確にするため、数値目標を追加します。 基本目標Ⅰ あらゆる分野における女性活躍推進 「男女共同参画社会基本法」では、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会を形成すること」を目標としています。 また、世田谷区基本計画で掲げる「多様性の尊重」とは、一人ひとりが自分らしく生き、すべての人が尊重される社会の実現に向け、多様性を認め合うとともに、人権課題への理解を深め、あらゆる人権侵害の根絶を目的とした取組みです。 このような社会の実現のために、男女共同参画の視点から、すべての女性が自らの意思によって社会のあらゆる分野で活躍し、個性と能力を十分に発揮することができる環境づくりを進めます。 後期計画では、新たに、コロナ禍で困難を抱えていることが明らかになった非正規雇用の女性や若年女性に対する支援にも取り組みます。 【数値目標】 数値目標1 区の審議会等の女性の占める割合  第二次計画策定時 平成28年度30.9%  直近の実績 令和3年度4月1日現在34.7%   目標(令和8年度) 40% 数値目標2 庁内の管理監督的立場(部長・課長級及び係長級)の女性の占める割合  第二次計画策定時 平成28年度34.2%  直近の実績 令和3年度4月1日現在38.4%(管理職:18.9%)  目標(令和8年度) 40%(管理職:30%) 数値目標3 固定的な性別役割分担意識の解消が必要だと考える人の割合  第二次計画策定時 平成26年度73.3%  直近の実績 令和元年度81.5%   目標(令和8年度) 85% 【指標の定義】 数値目標1………地方自治法第202条の3に定める審議会、地方自治法第180条の5に定める審議会、その他の審議会等に占める女性委員を合計した割合 数値目標2………世田谷区の管理監督的立場における女性職員の割合(管理職を追加) 数値目標3………「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、「男は仕事、女は家庭」という考え方に対し、「どちらかといえばそう思わない」と「そう思わない」と回答した人を合計した割合 【副次的な数値目標】 数値目標A 女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定・公表している区内事業所数  直近の実績 令和3年度(12月28日時点)73件  目標(令和8年度) 150件 【副次的な指標の定義】 数値目標A………厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」に掲載されている区内事業所の件数 https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/search_int 基本目標Ⅱ ワーク・ライフ・バランスの着実な推進 少子高齢社会の進展や共働き世帯の増加などにより、家庭生活において男女がともに育児や介護などを担うことが求められています。また家庭生活の充実とともに社会貢献としての地域活動への参画などへの関心も高まっています。このような社会情勢の変化を踏まえ、長時間勤務や転勤が当然とされている労働慣行を見直すことで、男女がともに家庭や地域に参画できる「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」がとれた社会をめざします。 後期計画では、新たに、テレワーク等多様な働き方の支援や、法改正で義務化された職場におけるハラスメントの防止の強化にも取り組みます。 【数値目標】 数値目標4 区内事業所におけるポジティブ・アクションの認知度  第二次計画策定時 平成27年度45.3%  直近の実績 令和2年度40.7%  目標(令和8年度) 80% 数値目標5 仕事と家庭生活をともに優先している人の割合  第二次計画策定時 平成26年度24.1%  直近の実績 令和元年度24.4%  目標(令和8年度) 35% 数値目標6 町会・自治会長における女性の割合  第二次計画策定時 平成28年度8.6%  直近の実績 令和3年度4月1日現在16.0%  目標(令和8年度) 20% 【指標の定義】 数値目標4………「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」で、ポジティブ・アクションについて「内容を含め良く知っている」と「内容をある程度知っている」と回答した事業所を合計した割合 数値目標5………「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、ワーク・ライフ・バランスの現実として「『仕事』と『家庭生活』をともに優先している」と回答した人の割合 数値目標6………当該年度の区内の町会・自治会長における女性の割合 【副次的な数値目標】 数値目標B 両親学級・ぷれパパママ講座における男性の参加人数・参加率  第二次計画策定時 平成28年度 平日796人(26.3%)休日1,470人(49.8%)  直近の実績 令和元年度 平日694人(32.7%)休日1,345人(49.6%)  目標(令和8年度) 平日1,070人(45.0%)休日2,000人(50.0%) 数値目標C ワーク・ライフ・バランスに「既に十分に取り組んでいる」と考えている事業所の割合  第二次計画策定時 平成27年度6.6%  直近の実績 令和2年度14.8%  目標(令和8年度) 20.0% 【副次的な指標の定義】 数値目標B……… 両親学級・ぷれパパママ講座における男性の参加人数とその割合(受講する妊婦が全員父親と一緒に参加したとき、男性参加率50%となる) 数値目標C………「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」で、ワーク・ライフ・バランスへの取組みの現状として「既に十分に取り組んでいる」と回答した事業所の割合 基本目標Ⅲ 暴力やハラスメントのない社会の構築 日本国憲法においては個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、「DV防止法」では、「配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害である」として、「人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である」とうたっています。 しかしながら、配偶者等からの暴力、ストーカー行為をはじめ、女性への人権侵害は今なお深刻な社会問題であり、男女平等の実現の妨げとなっています。 後期計画では、DVの防止や被害者支援について、関係機関や民間団体との連携・協働による支援を充実させ、また新たに、国の性犯罪・性暴力対策の強化の方針に沿った性犯罪・性暴力の防止と被害者支援の充実にも取り組むことで、あらゆる暴力の根絶をめざします。 【数値目標】 数値目標7 DV防止法の認知度(「法律名も内容も知っている」と回答した人の割合)   第二次計画策定時 平成26年度34.3%  直近の実績 令和元年度30.7%  目標(令和8年度) 60% 数値目標8 「DVが100%加害者に責任があり、許せないものである」と考える人の割合  第二次計画策定時 平成26年度51.0%  直近の実績 令和元年度54.0%  目標(令和8年度) 80% 数値目標9 デートDVの出前講座実施校数  第二次計画策定時 平成27年度 中学校:6校 高等学校:4校  直近の実績 令和2年度 中学校:6校 高等学校:0校  目標(令和8年度) 中学校:10校 高等学校:10校 【指標の定義】 数値目標7………「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、DV防止法について「法律名も内容も知っている」と回答した人の割合 数値目標8………「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、DVについて「100%加害者に責任があり、許せないものである」と回答した人の割合 数値目標9………当該年度に区内の中学校・高等学校でデートDVに関する出前講座を実施した学校数   【副次的な数値目標】 数値目標D 職員へのDV防止研修の実施回数・参加人数  第二次計画策定時 平成28年度 実施回数:1回 参加人数:51人  直近の実績 令和2年度 実施回数:1回 参加人数:40人  目標(令和8年度) 実施回数:2回 参加人数:80人 数値目標E パワーハラスメント防止対策義務化の認知度  直近の実績 令和2年度57.9%  目標(令和8年度) 90.0% 【副次的な指標の定義】 数値目標D………研修担当課との共催により、区職員にDV防止研修を実施した回数、参加人数 数値目標E………「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」で、労働施策総合推進法の改正により職場におけるパワーハラスメント防止対策が義務化されたことについて「法律も内容も知っている」と回答した事業所の割合 ※令和2年6月1日から義務化(令和4年4月から中小の事業主も義務化) 基本目標Ⅳ 多様性を認め合い、尊厳をもって生きることができる社会の構築 世田谷区基本構想では、「個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、多様性を認め合い、自分らしく暮らせる地域社会を築いていく」というビジョンを掲げ取組みを進めています。 このような地域社会の形成に向けては、男女だけでなく多様な性の「心」と「からだ」の違いを互いに理解し合い、自己への肯定的な認識を深めながら、他者に対する思いやりをもって生きていくことが前提となります。また、障害のある女性やひとり親家庭の母親など、女性であることで複合的に困難な状況に置かれている場合があることにも留意が必要です。 生涯を通じた男女の異なる健康上の問題への留意や「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の視点を持つとともに、ひとり親家庭の直面する生活上の困難な状況への支援や性的マイノリティの抱える生きづらさへの理解・支援を進め、人権尊重の社会の構築をめざします。 後期計画では、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」の施行を受け、区民や事業者における性的マイノリティへの一層の理解促進、区の施策の充実、多様な形の家族の支援にも取り組みます。 【数値目標】 数値目標10 がん検診の受診率  第二次計画策定時 平成27年度 子宮がん:23.6% 乳がん:25.4%  直近の実績 令和2年度 子宮がん:25.7% 乳がん:23.7%  目標(令和8年度) 計画策定時の実績以上 数値目標11 ひとり親家庭の養育費相談の実施  第二次計画策定時 平成28年度9回  直近の実績 令和2年度7回 利用者数30人  目標(令和8年度) 計画策定時の実績以上 数値目標12 「性的マイノリティ」という言葉の認知度  第二次計画策定時 平成26年度70.0%  直近の実績 令和元年度88.8%  目標(令和8年度) 90% 【指標の定義】 数値目標10……当該年度及び前年度に世田谷区の子宮がん検診及び乳がん検診を受診した区民の割合 ※子宮・乳がん検診は2年に1回 数値目標11……当該年度のひとり親家庭の養育費相談の実施回数(利用者数を追加) ※令和5年度以降、養育費相談も含めた相談支援の事業転換を予定 数値目標12……「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、「性的マイノリティ」という言葉について「知っている」と回答した人の割合 【副次的な数値目標】 数値目標F パートナーシップ宣誓の認知度  直近の実績 令和元年度 区民:30.4% 令和2年度 企業:26.5%    目標(令和8年度) 区民:45.0% 企業:40.0% 数値目標G 性的マイノリティへの人権施策等が必要だと考えている人の割合  第二次計画策定時 平成26年度70.0%  直近の実績 令和元年度74.6%  目標(令和8年度) 80.0% 【副次的な指標の定義】 数値目標F……区民は「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、パートナーシップ宣誓の取組みについて「内容を知っている」と回答した人の割合 企業は「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」で、パートナーシップ宣誓の取組みについて「内容を知っている」と回答した事業所の割合 数値目標G……「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」で、性的マイノリティへの人権施策等について「必要だと思う」と回答した人の割合 3 計画の体系 <基本理念・視点、基本目標、課題、施策、推進体制を一覧にした図が入ります> 第3章 計画の内容 基本目標Ⅰ あらゆる分野における女性活躍推進 課題1.固定的な性別役割分担意識の解消 【現状と課題】 女性の活躍を阻害している要因には、高度経済成長期を通じて形成されてきた固定的な性別役割分担意識、性差に関する偏見やさまざまな社会制度・慣行があると考えられます。 区では、男女共同参画推進の拠点である男女共同参画センター「らぷらす」の事業等を通して、固定的な性別役割分担意識の解消に取り組んできました。 令和元年度に実施した「区民意識・実態調査」によれば、固定的な性別役割分担意識(「男は仕事、女は家庭」という考え方には共感する)について、否定派(「そう思わない」と「どちらかといえばそう思わない」の合計)の割合は女性84.7%、男性は76.7%と、平成21年度からの10年間で顕著に上昇しています。 また、家事への参加状況や家事等に従事する時間をみると、この10年で男性の家事等への参加は進みましたが、依然として女性に偏っている状況にあります。労働にかける時間は男性で「8時間以上」が8割を超えて10年間変化がなく、家事・育児・介護に関する男女での生活時間は、その格差が縮まらない状況にあります。 調査結果からは、固定的な性別役割分担意識の解消は一定の進展を見せていると考えられますが、意識と行動との格差がみられます。 一方、男性も「男は仕事」「家族を養わねばならない」などの意識から、人生の選択肢に大きな制約がかかり、本人が望むような社会参加を果たせなかったり、過重労働を余儀なくされたりするなど、困難な状況に置かれるという課題も指摘されています。こうした状況から、ワーク・ライフ・バランスの推進と合わせ、パラレルキャリアの提唱や、仕事を離れた家庭や地域などでの複数の「居場所」と「役割」の創出などの動きがみられています。 男女がともに互いを理解し合い、それぞれの個性を活かすことができるよう、引き続き、固定的な性別役割分担意識の解消に取り組むとともに、意識と行動の格差を埋めるための施策を実施していく必要があります。 図表Ⅰ-1-① 性別役割分担意識<「男は仕事、女は家庭」という考え方には共感する>(性別)【経年比較】 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」 (令和元年度 世田谷区) 図表Ⅰ-1-② 労働や家事・育児・介護にかける時間<収入の得られる労働>(性別)【経年比較】 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」 (令和元年度 世田谷区) 【施策の方向性】 あらゆる分野における女性の活躍の推進に向けて、まず「男は仕事、女は家庭」といった考え方、慣習である「固定的な性別役割分担意識」や、「普通はそうだ」、「こうあるべきだ」、「どうせ無理だ」などと決めつける「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)」を解消するための情報提供、講座による啓発、人権教育による教育分野での取組みを進めます。 また、性差より個性を生かすことの大切さと、多様な生き方や働き方があり自らの意思で選択できることの意義、そして社会全体が多様性を包摂する方向に変遷していることを伝え、啓発する取組みを進めます。 【施策】 ①情報提供・啓発活動の充実 ②男女共同参画に関する男性の理解の促進 ③教育分野における啓発 ④家庭や地域における男女平等教育・学習の充実 ⑤職場における男女平等意識の向上 ⑥意識調査による実態の把握と啓発 【施策に沿った事業展開】 ①情報提供・啓発活動の充実 No.1 取組み内容(事業名) イラストや写真等の選定への配慮 担当課 人権・男女共同参画担当課、(全庁各課) No.2 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.4 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 ②男女共同参画に関する男性の理解の促進 No.5 取組み内容(事業名) さまざまな情報媒体による情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課   ③教育分野における啓発 No.6 取組み内容(事業名) 区内中学・高校等との連携・協働による学校出前事業の拡充 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.7 取組み内容(事業名) 男女平等教育等の人権教育の推進 担当課 教育指導課 No.8 取組み内容(事業名) 区立学校教職員を対象とした人権教育推進にかかわる研修の実施 担当課 教育研究・研修課 ④家庭や地域における男女平等教育・学習の充実 No.9 取組み内容(事業名) 区民企画協働事業の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.10 取組み内容(事業名) 家庭教育学級 担当課 生涯学習・地域学校連携課 No.11 取組み内容(事業名) 世田谷区リカレント学習連携講座 担当課 生涯学習・地域学校連携課 No.12 取組み内容(事業名) 「せたがやeカレッジ」 担当課 生涯学習・地域学校連携課 No.13 取組み内容(事業名) 講座に関する情報提供の充実 担当課 生涯学習・地域学校連携課 ⑤職場における男女平等意識の向上 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行  担当課 人権・男女共同参画担当課 No.14 取組み内容(事業名) 企業への情報提供やセミナー等の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課、工業・ものづくり・雇用促進課 No.15 取組み内容(事業名) 社会保険・労働相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) ⑥意識調査による実態の把握と啓発 No.16 取組み内容(事業名) 「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」の定期的実施と結果公表 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.17 取組み内容(事業名) 「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」の定期的実施と結果公表 担当課 人権・男女共同参画担当課    Column   若い世代のために男女共同参画はどこに向かえばよいか 藤原 由佳(世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会委員) 「女の子だから可愛い格好」「女子には理系はムリ」「PTAはお母さん」…、世田谷区にゆかりのある大学生・高校生に「男だから〜、女だから〜」と意識した経験について訊ねると、さまざまな声が上がってくる。こうした性別役割分担意識は、生育過程で今も家庭内で再生産されている。そして、そうした意識が平等ではないことを知る機会は、主に学校現場にあるようだ。 「荷物を持つなど優しくしてもらうのは嬉しい」「レディーファーストの振る舞いはしてみたい」など、性別による嬉しい区別があることも彼らは認識していた。就職する手前の彼らはとても中立的に見えるが、共通して不安を口にするのは「自身のキャリア」について。「男女の賃金格差がこんなにあるなんて」「出産育児を前提にすると仕事選びも制約がでてしまいそう」「女性のロールモデルがないのが不安」という声があがる。活躍したいのに、希望がもてない現実がある。  私は、女性総合職を多く採用する2つの民間企業に20余年勤務し、育児中の多くの女性たちと仕事をしてきた。余裕のない状況も数多く見てきた。区の調査結果でも、仕事と育児の両立に関する女性たちの満足度は低いまま。女性が活躍する機会は与えられ、男性の育児参加も声高に叫ばれてはいるが、女性の幸福感はいまいちだ。加えて、幼少期の子どもをもつ父親たちからも、「何をやっても褒められない」「家に居場所がない」といった声が聞こえてくる。 どうしたら幸福感のある男女共同参画を根付かせていくことができるのだろうか。 私は、終身雇用、年功序列の職場や社会が長年形成した風土が原因のひとつにあると思っている。ライフステージの変化をポジティブに受け入れられない職場では、育児参加したい女性も男性も不利益を被る。そんな中で育児も仕事も頑張り続けることを強いる社会は個々の能力を活かしているとは言い難いし不寛容にも見えてくる。 皆が豊かな人生を経験するために、仕事に集中する人、両立していく人、に加え、出産育児期は留学期間のように育児も経験しながらキャリアチェンジのための準備期間とする選択肢があってもよいと思う。その期間に学びや副業にトライするのも自由。その代わり自ら努力して身につけていく必要はある。社会はダブルワークやトリプルワーク、能力を活かした人財起用の事例、ロールモデルを増やしていくことに力を入れる。若い人たちには、仕事人としてキャリアを積みたい、子育ても経験したいと思っている人がまだ多数派だ。私自身も今は独立し、一人働き方改革を実践中だ。発想の転換を取り入れ、豊かな生き方の選択肢を広げていきたいと考えている。 課題2.女性の活躍推進と政策・方針決定過程への女性の参画促進 【現状と課題】 女性は人口の半分、労働人口の4割を占め、政治、経済、社会など多くの分野の活動を担っています。令和2年度に実施した「区内企業の意識・実態調査」によると、区内企業では64.7%の事業所が女性管理職を有していますが、管理職に占める女性の割合は23.3%にとどまるなど、女性の登用は少ない状況です。女性の活躍が進むことは、個人、特に女性にとっては、自らの意欲や能力を十分に活用し、自ら人生設計をすることができ、生きがいの向上につながります。また社会・経済にとっても、多様な発想を掛け合わせることでイノベーションが生まれやすくなり、多様な人材を効果的に活かすことで、持続的発展が可能な地域社会の実現に寄与していきます。 そして、女性の政策・方針決定過程への参画をさらに推し進めていくことで、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的立場にある人々の性別に偏りがない社会となることをめざします。 区では、区の政策・方針決定過程への女性の参画を推進するために、審議会等の女性登用率を継続的に調査し、担当部局への働きかけを行っており、令和3年4月現在の審議会・委員会等に占める女性委員の割合は全体で34.7%となりました。「世田谷区第二次男女共同参画プラン」に掲げる目標数値の35%の達成が見えてきているところですが、女性委員がいない審議会もあり、計画年度が終了する5年後に向けて、継続的な取組みが必要となっています。 一方、区内の経済分野における女性の参画について、「区内企業の意識・実態調査」では、回答した事業所の2割弱が、女性活躍推進法に基づく事業主の取組みを定める「一般事業主行動計画」を策定し、うち6割近くが「効果があった」と回答しています。「ポジティブ・アクション」という言葉の認知度は平成27年度調査に比べて低くなっているものの、「一般事業主行動計画」の策定が実質的なポジティブ・アクションとしての役割を果たしており、職場における男女共同参画の推進に寄与しているといえます。「一般事業主行動計画」策定・公表の義務化については、これまで従業員規模301人以上の事業主となっていましたが、女性活躍推進法の改正により、令和4年4月からは従業員101人以上の事業主にも義務付けられることから、対象となる事業所に対し、計画策定・公表の義務化の周知、策定支援のための情報提供などが必要となっています。 なお、女性の活躍が進んでいないと思う理由として「家事・育児等の家庭生活のため、転勤や超過勤務に制約があるから」も多いことから、仕事と家事・育児等の両立支援がますます必要となっています。 図表Ⅰ-2-① 管理職における女性比率(全体)【経年比較】 資料:「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」(令和2年度 世田谷区) 図表Ⅰ-2-② 審議会・委員会等の女性の参画状況(世田谷区、東京都) ※令和3年4月1日現在 ※東京都については、令和2年4月1日現在 ※1:第202条の3(職務・組織・設置) ① 普通地方公共団体の執行機関の付属機関は、法律若しくはこれに基づく法令又は条例の定めるところにより、その担任する事項について調停、審査、審議又は調査等を行う機関とする。 ② 付属機関を組織する委員その他の構成員は、非常勤とする。 ③ 付属機関の庶務は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除く外、その属する執行機関において掌るものとする。 ※2:第180条の5(委員会及び委員の設置)(④~⑧は省略) ① 執行機関として法律の定めるとところによる普通地方公共団体に置かなければならない委員会及び委員は、左の通りである。 一 教育委員会 二 選挙管理委員会 三 人事委員会又は人事委員会を置かない普通地方公共団体にあっては公平委員会 四 監査委員 ② 前項に掲げるものの外、執行機関として法律の定めるところにより都道府県に置かなければならない委員会は、左のとおりである。 一 公安委員会 二 地方労働委員会 三 収用委員会 四 海区漁業調整委員会 五 内水面漁場管理委員会 ③ 第1項に掲げるものの外、執行機関として法律の定めるとところにより市町村に置かなければならない委員会は、左のとおりである。 一 農業委員会 二 固定資産評価審査委員会 資料:東京都男女平等参画 区市町村の男女平等参画推進状況 図表Ⅰ-2-③ 一般事業主行動計画の策定状況(全体) 資料:「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」(令和2年度 世田谷区) 図表Ⅰ-2-④ 一般事業主行動計画の効果(全体、複数回答) 資料:「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」(令和2年度 世田谷区)  図表Ⅰ-2-⑤ ポジティブ・アクションの認知度(全体)【経年比較】 資料:「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」(令和2年度 世田谷区) 図表Ⅰ-2-⑥ 女性の活躍が進んでいないと思う理由(全体、複数回答)【経年比較】 資料:「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」(令和2年度 世田谷区)   【施策の方向性】 区では、区内の企業に向けて、さまざまな働き方を認め、その権利が等しく守られるための情報提供や仕組みづくりの支援を行うとともに、男女共同参画の先進事業者表彰を行ってきました。 今後も、誰もが働きやすい仕組みづくりや環境づくりへの取組みを支援し、経営者自身が女性の雇用や管理職への登用等に積極的になれるよう、事業者に向けた働きかけを強化していきます。 男女共同参画社会の実現に向けて、職場、家庭、地域等あらゆる分野において女性が参画でき、それぞれの分野の意思決定過程に女性が参画していくことが重要です。引き続き、区の審議会等への女性登用率の向上への働きかけを進めます。 また、区内の事業所に対しては、令和4年4月から従業員101人以上の事業主に一般事業主行動計画の策定・公表が義務付けられることから、積極的に情報提供するなど、事業者における女性の参画推進に向けた取組みを支援します。 【施策】 ①事業者に向けた女性の活躍推進のための意識啓発 ②審議会等の女性登用率の向上 ③事業者への支援 【施策に沿った事業展開】 ①事業者に向けた女性の活躍推進のための意識啓発 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.17(再掲) 取組み内容(事業名) 「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」の定期的実施と結果公表 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.18 取組み内容(事業名) 男女共同参画先進事業者の表彰 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.19 取組み内容(事業名) 区内事業者や地域経済団体等との連携・協働によるワーク・ライフ・バランス等関連事業の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課   ②審議会等の女性登用率の向上 No.20 取組み内容(事業名) 審議会の女性登用率調査の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.21 取組み内容(事業名) 男女共同参画推進会議における女性の積極的登用についての働きかけ 担当課 人権・男女共同参画担当課 ③事業者への支援 No.18(再掲)  取組み内容(事業名) 男女共同参画先進事業者の表彰 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.19(再掲)  取組み内容(事業名) 区内事業者や地域経済団体等との連携・協働によるワーク・ライフ・バランス等関連事業の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.22 取組み内容(事業名) 情報媒体を活用した先進的な取組みの紹介 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.23 取組み内容(事業名) 産業団体を通じた女性活躍推進のための情報提供 担当課 人権・男女共同参画担当課、工業・ものづくり・雇用促進課 課題3.女性のキャリア形成と多様な働き方の支援 【現状と課題】 働くことは、生活の経済的基盤を支えるとともに、自己実現につながるものです。また、経済的自立は、暴力などによる困難な状況から抜け出す重要な鍵ともなります。働きたい人が性別に関わりなく、その能力を十分に発揮できることは、個人の幸福の根幹をなすものであると同時に、能力を十分に活かせないことは、社会にとっても大きな損失です。 人生100年時代を迎え、働きたい人すべてが、多様な働き方をより安心して選択できる環境の整備が必要です。新型コロナウイルス感染症拡大を契機として進んだテレワークやオンライン会議の活用、副業の解禁の促進も、多様で柔軟な働き方の可能性につながるといえます。 本区の女性の労働力率について、この10年間の推移をみると、25歳以上すべての年齢層で上昇傾向にあり、30~34歳、35~39歳のいわゆるM字の底の労働力率も上昇しています。しかし、従業上の地位をみると女性はパート・アルバイト・非正規雇用の割合が男性に比べ高く、男女間の収入格差につながっています。また、共働き世帯の割合は36.8%で、東京都の41.7%、特別区部の41.8%を下回り、本区においては、子育てなどが一段落した後で再び働きたいといった意欲のある女性にとって働きやすい労働環境を整えることで、労働分野で今以上に女性が力を発揮できる可能性があることがうかがえます。 しかしながら、コロナ禍の影響により、全国的に令和2年4月以降の就業者数、雇用者数は男女ともに減り、非労働力人口・完全失業者数は男女ともに大幅に増加しています。世田谷区でも同様の状況があり、世田谷区内での、失業等給付の基本手当の初回受給者数をみると、6月から8月にかけて特に女性の受給者数が増えています。また、ワークサポートせたがや(ハローワーク窓口)の「おしごと相談」では令和2年10月以降、女性からの相談が増えています。 多様な生き方・働き方があることを前提に、職業生活においても一人ひとりがその選択において能力を十分に発揮できるよう、再就職支援など、女性の就業環境の整備を進めるとともに、既存の制度では十分な支援を受けられずに働く女性たちが取り残されることがないよう、セーフティ・ネットとしての施策の整備が必要です。 後期計画においては、コロナ禍の影響により、就労及び生活面での困難を抱えることになったフリーランスや非正規雇用で働く女性などの支援に取り組む必要があります。 図表Ⅰ-3-① 女性の労働力率の推移(世田谷区) ※労働力状態「不詳」を除く。 資料:国勢調査(平成17年、22年、27年) 図表Ⅰ-3-② 就業者総数に占める従業上の地位別割合(東京都、特別区部、世田谷区、性別) ※就業者は15歳以上 ※就業者総数には、従業上の地位「不詳」を含む。 ※雇人のある業主:個人経営の商店主・工場主・農業主などの事業主や開業医・弁護士などで、雇人がいる人 ※雇人のない業主:個人経営の商店主・工場主・農業主などの事業主や開業医・弁護士・著述家・家政婦などで、個人又は家族とだけで事業を営んでいる人 資料:国勢調査(平成27年) 図表Ⅰ-3-③ 夫婦の就業・非就業別夫婦のいる一般世帯数(東京都、特別区部、世田谷区) ※1 夫の労働力状態「不詳」を含む。 ※2 妻の労働力状態「不詳」を含む。 資料:国勢調査(平成27年) 【施策の方向性】 女性が自らの望む働き方を選択でき、能力を発揮できる仕組みづくり、女性のキャリア形成、育児や介護をしながら働き続けることを可能にする職場環境の整備に向けた支援、女性が少ない分野への女性の進出に向けた支援などに取り組みます。 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、生活・雇用環境に大きな打撃を受けている非正規雇用、若年、フリーランスなど、困難を抱えて働く可能性が大きい女性等への支援に取り組みます。 【施策】 ①女性の就労・再就職支援  ②女性のキャリア形成、キャリア教育の推進  ③女性が少ない分野への女性の参画支援 ④非正規雇用の女性等への支援   【施策に沿った事業展開】 ①女性の就労・再就職支援 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.24 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労・起業支援相談の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.25 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労支援講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.26 取組み内容(事業名) ワーク・ライフ・バランス啓発イベント情報の集約及び区民・事業者に向けた発信 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.27 取組み内容(事業名) 女性起業家育成支援のための講座・相談事業の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.28 取組み内容(事業名) 再就職に関するセミナーの開催 担当課 人権・男女共同参画担当課、世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.29 取組み内容(事業名) 創業支援事業(創業相談、創業メール相談、創業融資あっせん相談、創業者フォローアップ支援、創業セミナー)の実施 担当課 世田谷区産業振興公社(産業連携交流推進課) No.30 取組み内容(事業名) ミニ面接会の開催 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.31 取組み内容(事業名) キャリアカウンセリング相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.32 取組み内容(事業名) 再就職をめざす女性向けの支援 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.33 取組み内容(事業名) コワーキングスペースの提供 担当課 工業・ものづくり・雇用促進課、子ども家庭課 No.34 取組み内容(事業名) 世田谷区建設業人材確保・区内中小企業等人材マッチング及び定着促進事業 担当課 工業・ものづくり・雇用促進課 No.35 取組み内容(事業名) マザーズハローワーク等との連携による、女性の就業支援、チャレンジ・再チャレンジを支援するセミナー・相談会の実施 担当課 子ども家庭課(各総合支所保健福祉センター生活支援課)、(人権・男女共同参画担当課) No.36 取組み内容(事業名) 保育士就労支援プログラムの開催 担当課 保育運営・整備支援課、世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課)   ②女性のキャリア形成、キャリア教育の推進  No.24(再掲) 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労・起業支援相談の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.25(再掲) 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労支援講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.26(再掲) 取組み内容(事業名) ワーク・ライフ・バランス啓発イベント情報の集約及び区民・事業者に向けた発信 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.31(再掲) 取組み内容(事業名) キャリアカウンセリング相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.37 取組み内容(事業名) 若者総合支援センター事業の実施(せたがや若者サポートステーション) 担当課 工業・ものづくり・雇用促進課(世田谷区産業振興公社) No.38 取組み内容(事業名) 区立小・中学校におけるキャリア教育の充実 担当課 教育指導課 No.39 取組み内容(事業名) 中学校の職場体験 担当課 教育指導課 ③女性が少ない分野への女性の参画支援 No.6(再掲) 取組み内容(事業名) 区内中学・高校等との連携・協働による学校出前事業の拡充 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 ④非正規雇用の女性等への支援 No.24(再掲) 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労・起業支援相談の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.25(再掲) 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労支援講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.40 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 「働きたい・働く女性のための講座・相談等のご案内」の作成・配布 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.15(再掲) 取組み内容(事業名) 社会保険・労働相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.31(再掲) 取組み内容(事業名) キャリアカウンセリング相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.41 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 「せたがやWork&Plus」(就業マッチング企画)の実施 担当課 工業・ものづくり・雇用促進課 No.35(再掲) マザーズハローワーク等との連携による、女性の就業支援、チャレンジ・再チャレンジを支援するセミナー・相談会の実施 担当課 子ども家庭課(各総合支所保健福祉センター生活支援課)(人権・男女共同参画担当課) 基本目標Ⅱ ワーク・ライフ・バランスの着実な推進 課題4.ワーク・ライフ・バランスの普及・啓発 【現状と課題】 国のワーク・ライフ・バランス憲章(平成19年)において、仕事と生活の調和が実現した社会は、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定義しています。 この憲章に基づき、働くことを希望するすべての人が、仕事と子育て・介護・社会活動等を含む生活との二者択一を迫られることなく働き続け、その能力を十分に発揮することができるよう、長時間労働の削減や生産性の向上をはじめとした労働環境の整備が、さまざまな創意工夫のもとで行われています。また、ライフステージや個別の事情等に応じた柔軟な働き方を選択できる仕組みづくりも進められています。 また、人生100年時代の到来に伴い職業人生が長期化することを見越して、若いときから仕事と生活の調和を図り、息の長い現役生活を送っていくという視点も重要となります。職業能力を高める、また、キャリア選択を行うための学び直しの機会が求められてきます。そうした新しい人生のビジョンに合ったワーク・ライフ・バランスの在り方や支援策の検討も必要となります。 「区民意識・実態調査」によれば、ワーク・ライフ・バランスの希望として、男女ともに「仕事と家庭生活をともに優先したい」が多くなっているにもかかわらず、現実には女性は「家庭生活」、男性は「仕事」を優先しているという状況がうかがえます。 また、「区内企業の意識・実態調査」によれば、ワーク・ライフ・バランスへの取組みとして、現在行っている取組みは、「計画的な年休取得の促進」が最も高く、「仕事の見直しや長時間労働の削減」が次いで高くなっています。今後、新たに実施したい取組みとしては、「育児等対象者と対象者外の従業員との間に不公平感の出ない制度の設置」が最も高く、「定期的な従業員満足度調査の実施」が次いで高くなっていることから、制度を成熟化させるための具体策が必要であり、企業における好事例の情報提供などの支援が必要です。 育児休業などは、男性の低取得率が課題として挙げられています。「区内企業の意識・実態調査」によれば、従業員が働きながら育児や介護を行うために「休業取得に対する上司、同僚の理解浸透」が最も大切であると回答されています。男性の育児休業等の取得率を上げるためにも、男性も育児休業を取得してよいという上司や同僚の意識改革、安心して育休がとれるような職場風土づくり、育休取得者が出た場合の業務の分担や人員体制の整備が求められ、そのための支援、啓発が必要です。 図表Ⅱ-4-① ワーク・ライフ・バランスの希望(全体、性別) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区) 図表Ⅱ-4-② ワーク・ライフ・バランスの現実(全体、性別) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区) 図表Ⅱ-4-③ ワーク・ライフ・バランスへの取組みで現在行っているもの・今後実施したいもの(全体、複数回答) 資料:「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」(令和2年度 世田谷区) 図表Ⅱ-4-④ 従業員が働きながら育児や介護をおこなうために重要なこと(全体、複数回答) 資料:「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」(令和2年度 世田谷区) 【施策の方向性】 区民のワーク・ライフ・バランスの希望と現実は依然としてギャップが大きいため、区は「区内企業の意識・実態調査」を実施し、男女の育児・介護休業の取得状況や、ワーク・ライフ・バランスの実現へ向けた区内企業の実態やニーズについて把握につとめています。見えてきた実態やニーズを踏まえて、イベントによる啓発、講演会やセミナーでワーク・ライフ・バランスの考え方について普及をしてきました。国では、育児・介護休業法などの改正が進められていることから、区として法改正の周知や啓発の強化が図られます。加えて、中小企業両立支援助成金制度等の周知や法全体の周知などを通じて、中小企業に対しての啓発を行ってきました。企業規模によらず、中小企業で働く人にとっても、ワーク・ライフ・バランスが確保できるよう啓発、支援を図ります。 さらに、テレワークや副業を行う人の増加、フリーランスなど、多様化する働き方についても、子育て機能を併設したコワーキングスペースとの連携や、情報提供を通じて個人が望む働き方を実現できるように支援します。 【施策】 ①ワーク・ライフ・バランスの考え方の普及 ②事業者への働きかけと支援 ③多様な働き方の支援 ④男女の育児・介護休業の取得促進 ⑤「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」等による実態の把握と啓発 【施策に沿った事業展開】 ①ワーク・ライフ・バランスの考え方の普及 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.26(再掲) 取組み内容(事業名) ワーク・ライフ・バランス啓発イベント情報の集約及び区民・事業者に向けた発信 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.42 取組み内容(事業名) ワーク・ライフ・バランス推進事業の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.15(再掲) 取組み内容(事業名) 社会保険・労働相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.43 取組み内容(事業名) 講演会やセミナーの開催 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課)、人権・男女共同参画担当課 ②事業者への働きかけと支援 No.18(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画先進事業者の表彰 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.19(再掲) 取組み内容(事業名) 区内事業者や地域経済団体等との連携・協働によるワーク・ライフ・バランス等関連事業の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.22(再掲) 取組み内容(事業名) 情報媒体を活用した先進的な取組みの紹介 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.44 取組み内容(事業名) 事業者への情報提供やセミナー等の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課、工業・ものづくり・雇用促進課 No.15(再掲) 取組み内容(事業名) 社会保険・労働相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課)   ③多様な働き方の支援 No.24(再掲) 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労・起業支援相談の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.25(再掲) 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労支援講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.26(再掲) 取組み内容(事業名) ワーク・ライフ・バランス啓発イベント情報の集約及び区民・事業者に向けた発信 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.27(再掲) 取組み内容(事業名) 女性起業家育成支援のための講座・相談事業の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.45 取組み内容(事業名) 融資・経営相談 担当課 世田谷区産業振興公社(商業課)(産業連携交流推進課) No.33(再掲) 取組み内容(事業名) コワーキングスペースの提供 担当課 工業・ものづくり・雇用促進課、子ども家庭課 No.46 取組み内容(事業名) 創業セミナー 担当課 世田谷区産業振興公社(産業連携交流推進課) No.15(再掲) 取組み内容(事業名) 社会保険・労働相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.31(再掲) 取組み内容(事業名) キャリアカウンセリング相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) ④男女の育児・介護休業の取得促進 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.44(再掲) 取組み内容(事業名) 事業所への情報提供やセミナー等の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課、工業・ものづくり・雇用促進課 No.47 取組み内容(事業名) 中小企業両立支援助成金制度等の周知及び法全体の周知 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) ⑤「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」等による実態の把握と啓発 No.17(再掲) 取組み内容(事業名) 「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」の定期的実施と結果公表 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.22(再掲) 取組み内容(事業名) 情報媒体を活用した先進的な取組みの紹介 担当課 人権・男女共同参画担当課 課題5.男女がともに家事、育児、介護を担える支援の充実 【現状と課題】 男性片働き世帯が多い時代に形成された、長時間労働や転勤等を当然とする、いわゆる「男性中心型労働慣行」や固定的な性別役割分担意識などを背景として、家事や育児、介護などの多くを女性が担っている実態があり、結果的に女性の過重負担から就労継続など、職場における困難に直面する場合が多くなっています。 区は、待機児童問題に積極的に取り組み、待機児童は解消されましたが、引き続きゼロを継続できるよう、また、区民の多様な保育へのニーズへの対応が求められています。 一方、男性は、例えば介護の場面などにおいて、家事に不慣れなどの状況や、地域とのつながりが乏しいなかで、周囲の協力を得られず苦しい状況に立たされる場合もあります。このため、すべての世代の男性が、家事・育児・介護に参画し、地域との関わりをもつことが可能となる環境の整備を推進する必要があります。若いときからの家事・育児・介護等を通じた多様な経験は、マネジメント力の向上や多様な価値観の醸成など、キャリア形成の重要な機会を得ることにもつながり、仕事と生活の調和において相乗効果をもたらすと考えられています。 「社会生活基本調査」によれば、家事関連時間は、共働きか否かによらず、男女間で大きな差が見られ、「区民意識・実態調査」でも、家事の実施状況について「いつもしている」と答えた割合は女性が男性を大きく上回っています。さらに、この結果は平成21年、26年、令和元年度の調査においてもほとんど変化がなく、女性の家事の負担が重くなっていることがうかがえます。 誰もが、自らの望む働き方や家庭生活を選択できるようにする必要があり、特に女性においては家事・育児・介護等における負担の軽減を図るとともに、男性の家庭生活への参画支援をより一層推進していくことが求められています。   図表Ⅱ-5-① 家事関連時間(週全体) ※家事関連時間=家事、介護・看護、育児及び買い物 資料:「社会生活基本調査」(平成23年、28年) 図表Ⅱ-5-② 家事の実施状況(性別) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区) 【施策の方向性】 区は、保育、育児に関するサービス、子育て支援、子育て世代の交流支援のほか、父親向けの育児講座、介護講座などを実施し、男性の家事・育児・介護等への参画支援に取り組んできました。 誰もが、自らの望む働き方や家庭生活を選択できるようにするために、育児や介護等サービスを充実するとともに、男性の家庭生活への参画をさらに支援することで、男女がともに家事・育児・介護等の担い手として活躍できる環境を整備します。特に育児は、子育て世代の負担や不安感を緩和・軽減するため、地域で子育て家庭を支えられるよう連携、支援します。 【施策】 ①保育等の拡充 ②育児に関するサービスの充実 ③子育て世代への支援 ④地域・地区での子育て支援 ⑤介護者への支援 ⑥男性の家事・育児・介護等への参画支援   【施策に沿った事業展開】 ①保育等の拡充 No.48 取組み内容(事業名) 新BOP学童クラブ運営 担当課 児童課、生涯学習・地域学校連携課 No.49 取組み内容(事業名) ほっとステイ事業の推進 担当課 子ども家庭課 No.50 取組み内容(事業名) 緊急保育・一時預かり保育の拡充 担当課 保育課、保育運営・整備支援課 No.51 取組み内容(事業名) 病児・病後児保育施設の拡充 担当課 保育課 No.52 取組み内容(事業名) 保育施設再整備方針に基づく保育施設の整備 担当課 保育課 No.53 取組み内容(事業名) 第三者評価受審の促進、地域保育ネットワーク等による保育の質の向上 担当課 保育課 No.54 取組み内容(事業名) 障害児保育の充実 担当課 保育課 No.55 取組み内容(事業名) 私立認可保育園の整備による定員拡充 担当課 保育課 No.56 取組み内容(事業名) 認証保育所の整備による定員拡充 担当課 保育課 No.57 取組み内容(事業名) 小規模保育事業等の整備による定員拡充 担当課 保育課 No.58 取組み内容(事業名) 認可外保育施設新制度移行支援事業 担当課 保育認定・調整課 No.59 取組み内容(事業名) 新規開設園等の施設を活用した定期利用保育事業の実施 担当課 保育運営・整備支援課、保育課 No.60 取組み内容(事業名) 就労形態の多様化に伴う保育ニーズへの対応(幼稚園預かり保育、延長保育、休日・年末保育) 担当課 保育運営・整備支援課、保育課   ②育児に関するサービスの充実 No.61 取組み内容(事業名) 乳児期家庭訪問指導の充実 担当課 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.62 取組み内容(事業名) EPDSを導入した、産後うつ病の早期発見と予防 担当課 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.63 取組み内容(事業名) 乳幼児健診、離乳食講習会 担当課 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.64 取組み内容(事業名) 児童館支援を通しての育児支援 担当課 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.65 取組み内容(事業名) 歯科衛生士による歯の相談 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.66 取組み内容(事業名) 子ども初期救急診療事業の実施 担当課 保健医療福祉推進課 No.67 取組み内容(事業名) 子ども医療費助成 担当課 子ども育成推進課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課) No.68 取組み内容(事業名) 産前・産後セルフケア事業の実施 担当課 児童課 No.69 取組み内容(事業名) 子育ての悩み、不安、子どもの家庭環境の問題、出産費用等の相談 担当課 子ども家庭課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課) No.70 取組み内容(事業名) 世田谷版ネウボラ(妊娠期からの切れ目のない子育て支援) 担当課 子ども家庭課、世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.71 取組み内容(事業名) 赤ちゃんショートステイ・子どものショートステイ、トワイライトステイ 担当課 児童相談支援課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課) No.72 取組み内容(事業名) 産後ケア事業 担当課 児童相談支援課 No.73 取組み内容(事業名) 世田谷子ども・子育てテレフォン(電話相談事業) 担当課 児童相談支援課   ③子育て世代への支援 No.74 取組み内容(事業名) 乳児健診前の母親を対象に、情報提供、仲間づくりをサポートする交流会を実施 担当課 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.75 取組み内容(事業名) 妊娠から育児に関する不安や悩みの相談・支援 担当課 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.76 取組み内容(事業名) 乳幼児健康診査など、子どもの発育発達に関する相談・支援 担当課 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.77 取組み内容(事業名) 児童館の子育てひろば事業 担当課 児童課 No.78 取組み内容(事業名) 子育てメッセの開催 担当課 子ども家庭課 No.79 取組み内容(事業名) 認証取得マンションの情報提供 担当課 居住支援課 No.80 取組み内容(事業名) キッズルーム整備事業 担当課 居住支援課 No.81 取組み内容(事業名) 認証基準による子育てに配慮した住宅供給の誘導 担当課 居住支援課 ④地域・地区での子育て支援 No.82 取組み内容(事業名) 地域の育児グループ等の活動支援 担当課 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.83 取組み内容(事業名) 地域支えあい活動「子育てサロン」への支援 担当課 世田谷区社会福祉協議会(生活福祉課) No.84 取組み内容(事業名) 子育てサポーターの人材発掘と参画の場の提供 担当課 児童課 No.85 取組み内容(事業名) 地域での子育て交流の開催 担当課 児童課 No.86 取組み内容(事業名) 子ども基金による子ども・子育て支援団体の活動への支援 担当課 子ども家庭課 No.87 取組み内容(事業名) 子育て活動団体への助成 担当課 子ども家庭課 No.88 取組み内容(事業名) 世田谷区ファミリー・サポート・センター事業 担当課 子ども家庭課 No.89 取組み内容(事業名) おでかけひろば事業の実施 担当課 子ども家庭課、保育課   ⑤介護者への支援 No.90 取組み内容(事業名) 介護保険サービスの充実 担当課 高齢福祉課、介護保険課(各総合支所保健福祉センター保健福祉課) No.91 取組み内容(事業名) あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)での介護相談 担当課 介護予防・地域支援課 No.92 取組み内容(事業名) 障害福祉サービスの充実 障害施策推進課(各総合支所保健福祉センター保健福祉課) ⑥男性の家事・育児・介護等への参画支援 No.93 取組み内容(事業名) 男性のための食育講座の実施 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業 No.94 取組み内容(事業名) 父親向けの育児講座の開催(男女共同参画センター) 担当課 人権・男女共同参画担当課 ※男女共同参画センター事業含む No.95 取組み内容(事業名) あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)いきいき講座の実施 担当課 介護予防・地域支援課 No.96 取組み内容(事業名) 介護予防、認知症ケアに関する講習会、講演の実施 担当課 介護予防・地域支援課 No.97 取組み内容(事業名) 父親向けの育児講座の開催 担当課 児童課 No.98 取組み内容(事業名) 両親学級・ぷれパパママ講座の開催 担当課 世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター 健康づくり課    Column   バランス、低空飛行、ボウイ 魚返 洋平 (コピーライター、区内在住) 共働きのわが家に娘が生まれ、妻と二人で育休を取ってから、4年が過ぎた。あれこれ試行錯誤を経た結果、いまの僕の分担は、保育園の送り迎え、スーパーへの買い出し、夕飯づくり、子どもの入浴などだ(わが家は僕だけ在宅勤務である)。 といってもスマートなワーク・ライフ・バランスからは程遠く、両立の忙しさのなかで眩暈がしそうになりながら、いわゆるツーオペでなんとかやれている状態だ。 毎日、基本的に17時半までしか働けない。仕事でめざましい活躍ができているか?と問われれば、僕は「正直、いまいち」と答えるだろう。職人としていい仕事がしたい。その思いは揺らがないが、自分が第一線や最前線で活躍しているとは思わない。 育児のせいか? いや、違うな。自分の能力のそもそもの限界とか有限性みたいなものだ。人に限界なんてない、というのは嘘だ。そこから逃げず、それを認めること。そのきっかけに、育児がなったような気がしている。空高く飛躍できなくても、墜落せずに飛び続けることが大事だといまは感じる。 一方、幸いなことに職場の理解はかなりあるほうだと思う。仕事仲間に対して、「保育園から呼び出しがありまして」「夕方以降は働けません」などなど、3年ほど言い続けていたら、魚返は「そういうキャラ」としてOKな感じにだいぶなってきた。でも、これって「キャラ」の問題なんだろうか? 男性というだけで社会では下駄を履いた状態なのだ。男性「だけど」両立を頑張っている、そんな奴がいても素敵じゃないか、という雰囲気が暗黙のうちにあって、その評価自体はいまだジェンダーバイアス下にあると言えるだろう。会社も社会も、僕に対してちょっと甘いというか、優しい部分がある。女性に対するよりも。 いや、優しくしてくれるなと言いたいのではない。逆だ。むしろ万人に対して(家庭の有無すら問わず)、社会はそれぐらい優しく、なんなら甘くあるといい。 ところで、ロックスターのデヴィッド・ボウイは生前、「人生で後悔していることはあるか?」と質問され、「子どもが幼い頃あまり一緒に居られなかったこと」を挙げたそうだ。うわあ、と思った。世界が羨む才能とキャリアの持ち主が、そう言うのか。じゃあ、凡庸な僕(たち)にできることはなんだろう。 僕の場合は、育休を取ったのも、いまツーオペ育児にこだわっているのも、そもそもは「妻と仲良くやっていきたかったから」に過ぎない。家族を家族たらしめるのは、「言葉と記憶を共にすること」ではないかと思うのだ。いまはそこに娘も加わった。彼女たちとひとつでも多くの共通言語を分かち合っていきたいと考えている。 うがえり・ようへい。広告会社勤務。2019年に著書「男コピーライター、育休をとる。」を出版、のちにドラマ化。ワーク・ライフ・バランス推進に向けた区のイベントや広報に参加。   課題6.防災・地域活動等への参画促進 【現状と課題】 東日本大震災や熊本地震、豪雨災害など相次いで自然災害が発生するなか、地域防災計画における女性の参画、女性の視点を活かした避難所運営、災害時におけるDVや性暴力の被害への対応など、防災・災害復興の分野への女性の参画の必要性が高まり、取り組まれてきました。 区では、区防災会議における女性委員の割合は、東日本大震災の翌々年の平成25年度には女性委員の割合は10%を超え、令和3年度には15.1%となっています。 「区民意識・実態調査」によれば、防災分野で男女共同参画の視点を活かすには「避難所設備に女性の意見を反映させる」が約6割と最も高く、「備蓄品に女性の視点を活かす」も5割半ばと、災害時の避難所でのハード面に男女共同参画の視点を活かすことが求められています。そのためには、意思決定の場において、子育て世代や高齢女性など、多様な立場の女性の参画が求められています。 また、一部の町会・自治会では、女性の視点に立って防災や災害時における避難所運営の仕組みづくりを進めています。しかし、区全体でみると町会・自治会長における女性の割合は、1割台にとどまっており、依然として男性リーダーが高い割合を占めている現状があります。災害時のみならず、平常時からも男女共同参画の視点を持った地域社会を構築する必要があるため、男女がともに地域活動の担い手となり、地域で女性がリーダーシップを発揮し、意思決定に関わる仕組みづくりを進める必要があります。 「区民意識・実態調査」によれば、日常的に交流の持てるグループ・団体への参加状況は、男性より女性が多くなっています。女性の40代、60代では4割を超え、男性はすべての年代で4割に満たない結果となっています。特に40代の参加状況は2割を切る状況となっています。さらに、参加している人のうち、自治会・町内会活動に参加している人は1割にも到達していません。グループ・団体に参加していない理由としては、男女ともに「時間に余裕がないから」が最も高くなっています。現役世代を中心に、グループ・団体等の地域活動に参加しやすい仕組みづくりが求められます。   図表Ⅱ-6-① 区防災会議における女性の参画 資料:世田谷区 図表Ⅱ-6-② 防災分野で男女共同参画の視点を活かすために重要だと思うこと(全体) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区) 図表Ⅱ-6-③ 町会・自治会長における女性の割合 ※各年度4月1日現在 資料:世田谷区 図表Ⅱ-6-④ グループ・団体への参加状況(性・年代別) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区)  図表Ⅱ-6-⑤ グループ・団体へ参加していない理由(性別) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区)   【施策の方向性】 区の防災会議においては女性の視点部会を設置し、避難者対策や生活再建支援における女性の視点について対策の強化を検討し、平常時の取組みの充実、災害時のDVや性暴力の防止の取組みについて、地域防災計画に位置づけています。 また、多様性に配慮した女性の視点から、災害対策について地域への普及・啓発を進めるため、その担い手となる「女性防災コーディネーター」の育成と活用を進めていきます。 区では、「団塊の世代」の男性が定年退職後に地域でセカンドライフを送り始めていることを視野に、生涯現役情報ステーションでの地域活動団体などに関する情報発信や、生涯現役ネットワークが行う、地域活動参加推進の取組みへの支援、子育て世代の男性の地域活動への支援などに取り組んでいます。 また、人生100年時代の到来により、仕事中心の現役生活を引退して、仕事のない老後生活へ移行するという1つの選択肢だけでなく、現役生活の時からワーク・ライフ・バランスを充実させ、地域活動などに取り組むといったことをしながら老後生活に移行していく発想も大切となります。そのために、ワーク・ライフ・バランスを進め、誰もが家庭生活を充実させることができ、地域活動などへの参画が活発になるよう支援をします。 さまざまな経験を積んでいる高齢者や、仕事のノウハウを活用できる現役世代の方、柔軟な発想を持つ大学生をはじめとする若年世代など、能力やキャリアを活かして、男女共同参画の視点から、地域の課題解決をめざすことを支援します。 【施策】 ①防災・災害復興の分野への女性の参画促進 ②地域活動への参画支援 ③地域活動における女性リーダーの育成支援 ④男性の地域活動への参画支援 ⑤高齢者の社会参画の促進 【施策に沿った事業展開】 ①防災・災害復興の分野への女性の参画促進 No.99 取組み内容(事業名) 地域防災計画や避難所運営等への男女共同参画の視点からの導入 担当課 災害対策課 No.100 取組み内容(事業名) 地域防災計画修正段階からの女性の参画 担当課 災害対策課 No.101 取組み内容(事業名) 防災、地域活動関連講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業   ②地域活動への参画支援 No.102 取組み内容(事業名) 企画講座の開催 担当課 各総合支所地域振興課 No.103 取組み内容(事業名) 生涯学習セミナー 担当課 各総合支所地域振興課 No.104 取組み内容(事業名) 生涯現役ネットワークへの支援 担当課 市民活動・生涯現役推進課 No.105 取組み内容(事業名) 生涯現役情報ステーションでの地域活動団体等に関する情報発信 担当課 市民活動・生涯現役推進課 No.106 取組み内容(事業名) NPO等市民活動に関する相談 担当課 市民活動・生涯現役推進課 No.101(再掲) 取組み内容(事業名) 防災、地域活動関連講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.107 取組み内容(事業名) 区民農園・体験農園 担当課 都市農業課 No.108 取組み内容(事業名) 区民講師による出前講座の実施 担当課 消費生活課 No.109 取組み内容(事業名) 地域支えあい活動の支援 担当課 世田谷区社会福祉協議会(生活福祉課) No.110 取組み内容(事業名) 住民主体・住民参画による介護予防 担当課 介護予防・地域支援課 No.84(再掲) 取組み内容(事業名) 子育てサポーターの人材発掘と参画の場の提供 担当課 児童課 No.111 取組み内容(事業名) 総合型地域スポーツ・文化クラブの支援 担当課 生涯学習・地域学校連携課、スポーツ振興財団 ③地域活動における女性リーダーの育成支援 No.112 取組み内容(事業名) 防災士資格取得助成事業の実施(女性枠の拡充) 担当課 災害対策課 No.113 取組み内容(事業名) 女性防災コーディネーター(避難所運営組織における女性リーダー)育成研修の実施 担当課 災害対策課 No.101(再掲) 取組み内容(事業名) 防災、地域活動関連講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.114 取組み内容(事業名) 町会・自治会長の女性割合状況調査の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課   ④男性の地域活動への参画支援 No.102(再掲) 取組み内容(事業名) 企画講座の開催 担当課 各総合支所地域振興課 No.103(再掲) 取組み内容(事業名) 生涯学習セミナー 担当課 各総合支所地域振興課 No.104(再掲) 取組み内容(事業名) 生涯現役ネットワークへの支援 担当課 市民活動・生涯現役推進課 No.101(再掲) 取組み内容(事業名) 防災、地域活動関連講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.108(再掲) 取組み内容(事業名) 区民農園・体験農園 担当課 都市農業課 No.115 取組み内容(事業名) 「男性のための健康教室」の実施 担当課 世田谷保健所健康企画課(世田谷区保健センター) No.116 取組み内容(事業名) 区立小・中学校のPTAや「おやじの会」活動の活性化・参画促進 担当課 生涯学習・地域学校連携課 No.117 取組み内容(事業名) おやじと子どもフェスタ 担当課 生涯学習・地域学校連携課 ⑤高齢者の社会参画の促進 No.104(再掲) 取組み内容(事業名) 生涯現役ネットワークへの支援 担当課 市民活動・生涯現役推進課 No.30(再掲) 取組み内容(事業名) ミニ面接会の開催 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.118 取組み内容(事業名) 高齢者の就業相談の実施 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課) No.110(再掲) 取組み内容(事業名) 住民主体・住民参画による介護予防 担当課 介護予防・地域支援課 基本目標Ⅲ 暴力やハラスメントのない社会の構築 課題7.配偶者等からの暴力(DV)の防止と被害者支援の充実 【現状と課題】 DVは、犯罪行為を含む重大な人権侵害です。暴力の防止、被害者の安全確保、回復、生活自立を支援し、暴力の根絶を図ることは、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題となっています。DVは家庭等で起こるため、外部から見えづらいことなどから潜在化しやすく、被害が深刻化するなどの状況にあります。 また、DVは子どもへの直接的な暴力がなくても精神面や行動面の問題が生じることから、児童虐待であるといわれています。障害者や高齢者、外国人のDV被害者は、複合的な困難を抱えていることに留意し、それぞれの状況に応じて支援を行っていく必要があります。 DV防止法の認知度は、令和元年度に実施した「区民意識・実態調査」によれば、平成27年度調査と比べて低下し、DV防止法の内容を知らない人の割合が増えています。DV防止法の内容について、今後も継続的かつ繰り返して啓発し、周知していくことが必要です。 区のDV被害者支援については、平成30年12月に「配偶者暴力相談支援センター」の機能を整備しました。子ども家庭支援センターが被害者支援の窓口として相談を受け、関係各課や民間支援団体とも連携しながら、一時保護や生活再建に向けた支援を行っています。また、「女性のための悩みごと・DV相談」、「DV相談専用ダイヤル」、「男性電話相談」など、相談先の整備や時間帯、曜日の拡大により、相談体制の充実を図ってきました。 DV相談件数は年々増加する傾向にありますが、特に、新型コロナウイルス感染症の拡大という緊急事態下では急増し、平時における問題がより顕著に表れていることがうかがえます。さまざまな被害者の状況も顕在化し、夫に経済的に依存せざるを得ない状態で「逃げないDV被害者」や男性の被害者が一定数見られ、子どもがいないDV被害者や性的マイノリティのDV被害者の発見と支援も課題となっています。 また、DV防止法の一部改正を機に、区においては子ども家庭支援センターと児童相談所が連携して、DV対応と児童虐待対応との一層の連携を強化することが必要になっています。 これらのことから、区の関係所管と民間支援団体との連携強化や、相談員の専門性の向上により、被害者の相談と支援体制の充実を図ることが一層重要になっています。 図表Ⅲ-7-① DV防止法の認知度(全体) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区) 図表Ⅲ-7-② 配偶者暴力についての相談件数の推移(東京都) 資料:東京都生活文化局 図表Ⅲ-7-③ 子ども家庭支援センターにおけるDV相談件数(世田谷区) 資料:世田谷区  図表Ⅲ-7-④ 人権・男女共同参画担当課におけるDV電話相談件数(世田谷区) ※1 平成13年度10月から毎月2回実施。20年度から週1回実施。 ※2 平成16年度から毎月2回実施。24年度から週1回実施。被害者だけでなく、家族、知り合いなど周囲の方々からの相談にも応じる。※1とは別の事業者に委託。 ※3 平成29年度から被害者のための電話相談とDV全般に関する電話相談を統合し、「DV電話相談」として実施。平成30年度より「女性のための悩みごと・DV相談」として、男女共同参画センター「らぷらす」への委託事業として実施。(表内の件数は電話相談に加え面接相談件数も含む。令和2年度分からはメール相談件数も含む) ※4 令和元年度から、相談対応時間が10時間/週から18時間/週に拡充。令和2年5月10日より、相談対応時間が18時間/週から30時間/週に拡充。また、令和2年7月10日より、メール相談も開始した。 資料:世田谷区 図表Ⅲ-7-⑤ DV相談専用ダイヤル件数の推移(世田谷区) 資料:世田谷区   【施策の方向性】 ○ DVの防止 区は、「DV防止」を実施計画事業に位置づけ、DVに関する相談、DV防止講座、民間支援団体を含めた支援者研修を実施するとともに、啓発資料の発行やDV防止ネットワーク会議の開催、中学生・高校生を対象にデートDVをテーマとした学校出前講座などの施策を推進してきました。 DVを未然に防ぐために、精神的暴力もDVであるとの認識を徹底するなど、早期発見につながる啓発や地域ぐるみでDVを防止する意識づくりを強化し、DVのない社会をめざし、男女平等の人権尊重に基づいて、DV防止、若年層を対象としたデートDV防止、早期発見に向けた働きかけに取り組みます。 また、DV防止法について聞いたことはあるが内容は知らない人に向けて、「DVは犯罪行為を含む重大な人権侵害である」というメッセージとあわせて、DV防止法の内容について継続的な啓発を行います。 ○ DV被害者支援の充実 区は、関係機関やNPOなど民間支援団体と連携し、DV被害者の一時保護による安全確保、住民票等の交付拒否をする支援措置などによって保護・支援を行ってきました。被害者が抱えている問題が複雑化している現状に対応して、さらに関係機関等との連携を強化し、支援体制を拡充します。 また、夫に経済的に依存せざるを得ない「逃げないDV被害者」、子どもがいないDV被害者、男性の被害者、性的マイノリティの被害者などについて、被害者を早期に発見し、支援につなげる仕組みの充実に取り組みます。行政と民間支援団体の相談窓口が連携し、さらに児童虐待を受けている子どもへの支援機関との連携、障害者や高齢者、外国人など、複合的な困難を抱える女性へのDV被害については、DV担当所管と障害・高齢等の担当所管とが連携を図り、DV被害者への切れ目のない支援を進めます。 DV被害者が精神的な障害に苦しむことなどから、こころと身体の健康を回復し、さらに経済的にも自立できるよう中長期的な生活再建の支援が不可欠であるため、相談員の専門性向上や関連機関との連携を強化し、総合的な支援に取り組みます。   【施策】 ①暴力の未然防止と早期発見 ②相談体制の充実 ③被害者の安全確保と体制整備 ④被害者支援の充実 ⑤被害者の中長期的支援(生活再建の支援) ⑥被害者の子どもへの支援 ⑦支援体制の充実と関係機関との連携強化 ⑧高齢者、障害者、外国人の被害者への支援 ⑨男性、性的マイノリティの被害者への支援 ⑩DV被害者支援と児童虐待防止の連携強化 【施策に沿った事業展開】 ①暴力の未然防止と早期発見 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.119 取組み内容(事業名) DV防止啓発物の充実 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.120 取組み内容(事業名) デートDV防止啓発物による若年層への啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課、若者支援担当課 No.121 取組み内容(事業名) DV等暴力防止・被害者支援関連講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.122 取組み内容(事業名) 区内中学・高校等との連携・協働によるデートDV防止講座等学校出前事業の拡充 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.123 取組み内容(事業名) パンフレット等の発行(「子どもの虐待防止ハンドブック」「DVによる心理的虐待」等) 担当課 児童相談支援課 No.124 取組み内容(事業名) 子ども虐待に関する関係機関向け人材研修 担当課 児童相談支援課 ②相談体制の充実 No.125 取組み内容(事業名) 家族関係、離婚、養子縁組、相続などに関する「家庭相談」の実施 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.126 取組み内容(事業名) 女性相談の実施 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.127 取組み内容(事業名) DV相談の実施(DV相談専用ダイヤル、女性のための悩みごと・DV相談) 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業含む No.128 取組み内容(事業名) 相談事業の充実検討と拡大カンファレンスの実施 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.129 取組み内容(事業名) DV相談カード及びデートDV相談カードの区内施設内トイレ及び医療機関への設置 担当課 人権・男女共同参画担当課 ③被害者の安全確保と体制整備 No.130 取組み内容(事業名) 配偶者等暴力相談の実施(被害者の安全確保に向けた周知や情報提供を含む) 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.131 取組み内容(事業名) 配偶者暴力相談支援センターや民間シェルター等への緊急一時保護の実施 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.132 取組み内容(事業名) 子ども家庭支援センターによる支援 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.133 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 情報連携の自動応答不可設定及びマイナポータルでの自己情報不開示設定の確実な運用 担当課 番号制度・マイナンバーカード交付推進担当課、(全庁各課)   ④被害者支援の充実 No.130(再掲) 取組み内容(事業名) 配偶者等暴力相談の実施(被害者の安全確保に向けた周知や情報提供を含む) 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.131(再掲) 取組み内容(事業名) 配偶者暴力相談支援センターや民間シェルター等への緊急一時保護の実施 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.132(再掲) 取組み内容(事業名) 子ども家庭支援センターによる支援 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.121(再掲) 取組み内容(事業名) DV等暴力防止・被害者支援関連講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.127(再掲) 取組み内容(事業名) DV相談の実施(DV相談専用ダイヤル、女性のための悩みごと・DV相談) 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業含む No.128(再掲) 取組み内容(事業名) 相談事業の充実検討と拡大カンファレンスの実施 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.134 取組み内容(事業名) DV被害者への同行支援の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.135 取組み内容(事業名) 配偶者暴力相談支援センターの機能運営 担当課 人権・男女共同参画担当課 ⑤被害者の中長期的支援(生活再建の支援) No.136 取組み内容(事業名) 暴力被害者に対する健康問題及び回復に関する相談 担当課 各総合支所保健福祉センター 健康づくり課 No.137 取組み内容(事業名) DV被害者保護のための生活面での支援(生活保護や子どもの安全な転校支援) 担当課 各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課、各総合支所保健福祉センター生活支援課 No.138 取組み内容(事業名) 子ども家庭支援センターによる子育て支援 担当課 各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.121(再掲) 取組み内容(事業名) DV等暴力防止・被害者支援関連講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.139 取組み内容(事業名) DV被害者に対する特例的な国民健康保険証の交付 担当課 国保・年金課 No.140 取組み内容(事業名) 公営住宅への単身入居機会の提供 担当課 住宅管理課 No.141 取組み内容(事業名) 民間賃貸住宅の空き室情報の提供 担当課 居住支援課   ⑥被害者の子どもへの支援 No.142 取組み内容(事業名) 子どもの人権擁護機関「せたホッと」相談・救済事業 担当課 子ども家庭課 No.143 取組み内容(事業名) 子どもの就学、転校の配慮 担当課 学務課 ⑦支援体制の充実と関係機関との連携強化 No.134(再掲) 取組み内容(事業名) DV被害者への同行支援の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.144 取組み内容(事業名) 区職員向けDV被害者対応の手引き配付 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.145 取組み内容(事業名) 区職員へのDV防止研修の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課(研修担当課) No.146 取組み内容(事業名) DV被害者支援団体連絡会の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.147 取組み内容(事業名) DV防止ネットワーク会議の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.148 取組み内容(事業名) 区民・団体によるDV被害者支援及び支援者養成活動への支援 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.149 取組み内容(事業名) 住民票等の交付拒否による保護と支援措置 担当課 住民記録・戸籍課(各総合支所区民課) ⑧高齢者、障害者、外国人の被害者への支援 No.150 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 DV被害者の通訳同行の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.151 取組み内容(事業名) 高齢者虐待対策事業 担当課 高齢福祉課(各総合支所保健福祉センター保健福祉課) No.152 取組み内容(事業名) 障害者虐待防止対策 担当課 障害施策推進課(各総合支所保健福祉センター保健福祉課)   ⑨男性、性的マイノリティの被害者への支援 No.125(再掲) 取組み内容(事業名) 家族関係、離婚、養子縁組、相続などに関する「家庭相談」の実施 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.127(再掲) 取組み内容(事業名) DV相談の実施(DV相談専用ダイヤル、女性のための悩みごと・DV相談) 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業含む No.134(再掲) 取組み内容(事業名) DV被害者への同行支援の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.153 取組み内容(事業名) 性的マイノリティの相談、居場所事業の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.154 取組み内容(事業名) DV被害者支援団体との連携 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.155 取組み内容(事業名) 広報紙・ホームページでの啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.156 取組み内容(事業名) 男性電話相談の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 ⑩DV被害者支援と児童虐待防止の連携強化 No.157 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 配偶者暴力相談支援センター機能と子ども家庭支援センター・児童相談所のケース対応における連携 担当課 人権・男女共同参画担当課、各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課、児童相談支援課、児童相談所 No.158 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 DV被害者支援と児童虐待防止に携わる官民組織の連携 担当課 人権・男女共同参画担当課、児童相談支援課 No.159 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 DV被害者支援と児童虐待防止に関する広報・周知の一体的展開 担当課 人権・男女共同参画担当課、児童相談支援課  Column   世田谷区のDV相談・支援における現況 -婦人相談員とDV相談支援専門員から- 区は平成30年12月に「世田谷区配偶者暴力相談支援センター」としての機能を整備したことに伴い、人権・男女共同参画担当課に「DV相談支援専門員」を配置しました。専門員は、世田谷区内5か所の子ども家庭支援センターに配置されている婦人相談員(※注)と、新規ケースや継続ケースの対応を一緒に考え、支援に使える社会資源の情報提供や使い方の助言等を行い、子ども家庭支援センターは組織的に支援方針を決定していきます。支援終了後も振り返りが必要なケースについては、話し合い、今後のケース支援に活用しています。 〈生活環境を変えない選択をするDV被害者〉 「モラルハラスメント(精神的・心理的・経済的暴力)を受けている」との主訴で、相談が入ることが多いのですが、その中には、「離婚はしたくない」というケースが多く見られます。その背景には、経済的な理由や、生活環境を変えたくないという事情があります。各子ども家庭支援センターで婦人相談員と子ども担当とが連携し、DV被害者とその子どもの気持ちを受け止め、「安全プラン」(いまの生活の中で、身体・生命の安全を保つための行動パターンや、相談先、居場所など)を個々のケースごとに確認し、いざというときには「一時保護」も利用できる、という情報を伝えています。そうして、被害者が加害者と同居を継続したり、近い場所での別居生活が安全に続けられるよう、支援を続けています。 〈65歳以上のDV被害者〉 日常生活の動作に問題のない65歳以上の方が、地方から世田谷区在住の子どもの近くに自費で避難して来ているケースが複数あり、「この選択でよかったのか」と迷い、子ども家庭支援センターでの相談につながるケースもありました。今後、このようなケースは増えると思われます。避難当初は元気であっても、その後年数が経過して、高齢者施策での支援が必要になった時には高齢担当部署に、心身の不調については保健師などに、適切につなげていくことは、区民の生活全般にかかわる区役所として重要な視点です。 〈同性カップルのDV相談〉 世田谷区は平成27年11月から「世田谷区パートナーシップの宣誓」を実施している自治体でもあります。まだ相談件数は少ないですが、同性カップルの間でのDV相談を受けており、継続的に支援しているケースもあります。 DV防止法は、もともと被害者の保護が中心になっており、「被害者が逃げ、一時保護をし、保護命令で安全を確保する」という枠組みになっています。しかし、一時保護を実施した人数は、DV被害者の実人数の1割にも満たない状況です。世田谷区ではすでに、「地域で暮らし続ける」という選択をした被害者が特徴となっており、DV被害者とその子どもへの精神的なサポートと生活を維持するためのソーシャルワーク、加害者対応に関しては警察との連携、法的な対応などの包括的な支援が今後も重要であると考えます。 ※注:文中の「婦人相談員」という用語は、売春防止法・DV防止法に規定された職名です。この名称は、1956年の売春防止法制定時から改正のないまま、今日に至っています。 課題8.性犯罪・性暴力の防止と被害者支援の充実 【現状と課題】 性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を踏みにじる行為であり、心身に長期にわたる深刻な影響を及ぼすものです。 各都道府県には、性犯罪・性暴力の被害者に対し、被害直後からの総合的な支援を提供し、心身の負担の軽減と健康回復を図ることを目的とした「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」が設置されており、その相談件数は年々増加しています。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の拡大で在宅時間が長くなった影響で同居人などから受けた性暴力の相談が増加し、年度間の合計は前年度比23.6%増の5万1141件に上っています。 国は、近年の性犯罪の実情などに鑑み、事案の実態に即した対処をするために、平成29年6月に刑法を改正し、同年7月に施行しました。主な改正点は、強姦罪の構成要件を性別を問わないものに改めるとともに、法定刑を「3年以上の有期懲役」から「5年以上の有期懲役」に引き上げ、罪名を強制性交等罪とするものです。施行後3年を目途として性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方を検討し、令和2年6月には性犯罪・性暴力対策の強化の方針が決定されました。 この動きに対応し、令和2年度から4年度を性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」として、性犯罪・性暴力の根絶に向けた取組みや被害者支援、性犯罪・性暴力の加害者・被害者・傍観者にさせないための取組みなどを強化することとしています。 性犯罪・性暴力は、年齢、性別、パートナーや配偶者の有無にかかわらず、被害を受けることがあり、また、「被害者が悪い」といった偏見や誤解も大きな問題となっています。被害者支援の充実を図るとともに、誰もが「性犯罪・性暴力は許されないものである」という意識を持てるよう、啓発していく必要があります。 区においては、これまでに区内の中学校・高等学校の生徒を対象としたデートDV防止を目的とした出前講座の実施や、啓発冊子の配布などを行ってきました。また、令和3年6月から、犯罪被害者等相談窓口を開設しています。 後期計画においても「集中強化期間」に合わせ、性犯罪・性暴力被害者に対する支援の充実を図るとともに、国や東京都の施策とも連携していく必要があります。 図表Ⅲ-8-① 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの相談件数の推移(月別)(全国、令和元年度、2年度) ※相談件数は、電話・面接・メール・SNSによる相談の合計 資料:令和3年版 内閣府男女共同参画白書 図表Ⅲ-8-② 性犯罪・性暴力対策の強化の方針(概要) 資料:内閣府 「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」より作成 【施策の方向性】 誰一人として、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないために、啓発と教育に取り組みます。 区内の中学校、高等学校に向けた発信の強化を図るとともに、被害者が相談や支援につながることができるよう、相談窓口の周知を強化します。 被害者の支援については、国や東京都、民間の支援団体等と連携しながら取り組みます。 【施策】 ①性犯罪・性暴力被害者への区の支援 ②国や東京都の施策との連携 【施策に沿った事業展開】 ①性犯罪・性暴力被害者への区の支援 No.160 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 犯罪被害者等相談窓口による支援 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.161 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 性犯罪・性暴力被害者へのさらなる支援策検討 担当課 人権・男女共同参画担当課 ②国や東京都の施策との連携 No.162 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 「若年層の性暴力被害予防月間」に合わせた普及啓発  担当課 人権・男女共同参画担当課 No.163 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 被害者支援都民センター、性暴力救援センター・東京との連携による区相談窓口のスキルアップ 担当課 人権・男女共同参画担当課 課題9.暴力を容認しない意識づくり 【現状と課題】 暴力やハラスメントの背景には、力(パワー)と支配(コントロール)が存在します。例えばDVや性暴力のほかにも、ストーカー行為、セクシュアル・ハラスメント、パワーハラスメント、近年ではマタニティハラスメントやインターネット上の新たなコミュニケーションツールを利用したリベンジポルノなどがあります。 また、加害者への対策については、司法との連携の必要性があるなど、区が単独で実施することが困難な状況にあるため、暴力を生まない、暴力の連鎖を断つための啓発が重要です。 区では、区内の大学、企業等に向けた働きかけ、情報紙「らぷらす」等を通じた啓発・情報提供を行ってきました。また、毎年、区内の中学校、高等学校と連携し、デートDV防止講座等学校出前事業を実施しているほか、啓発小冊子を配布し、若年層を対象とした人権教育に取り組んでいます。 また、区職員や関係機関の職員に対して、DV防止研修を実施しています。 あらゆる暴力を根絶するためには、暴力を容認しない意識づくりを進める必要があります。 令和元年度に実施した「区民意識・実態調査」では、DVについての考え方としては、身体的暴力はほとんどの人がDVであるとの認識があり、男女でも違いがないものの、「100%加害者に責任があり、許せないものである」と「加害者に責任があるとしても、被害者側にも原因の一端があると思う」の考え方については、男性で後者と回答した割合が高く、男女間の認識に違いがみられます。DVに対する理解の意識づくりが課題となっています。 さらに誰にとっても働きやすい職場づくりを進めるために、国では、労働施策総合推進法の改正を行いました。改正により、職場におけるパワーハラスメント防止対策が令和2年6月1日から、中小事業主は令和4年4月1日から事業主の義務となり、ハラスメントがなく、誰もが働きやすい職場づくりが求められています。 セクシュアル/マタニティ/パワー/SOGI(ソジ)など、各種のハラスメントへの対策が求められ、事業主に求められる各種ハラスメント対策の周知や管理職、人事労務担当者に対しての理解促進の強化を図る必要があります。 図表Ⅲ-9-① 警察におけるストーカー行為等の相談件数の推移(東京都) 資料:警視庁調べ 図表Ⅲ-9-② デートDV防止講座の実施件数(全体) 資料:世田谷区 図表Ⅲ-9-③ 区職員へのDV防止研修の実施回数・参加人数(全体) 資料:世田谷区 図表Ⅲ-9-④ DVについての考え(全体、性別) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区) 【施策の方向性】 主に女性に対する暴力として問題となっているDV、ストーカー行為、性暴力にとどまらず、暴力を容認しないという意識の醸成を図るため、家庭、教育現場、職場また地域での意識啓発を進め、あらゆる暴力の根絶をめざします。 DV被害者などの二次被害防止や支援者のレベルアップを目的とした区職員・教職員等の研修を充実させていきます。 職場においては、セクシュアル・ハラスメントなど性別に関わりなく起きるハラスメントやマタニティハラスメントなどの実態を把握し、防止に取り組みます。 【施策】 ①人権尊重と暴力防止の意識づくり ②学校における人権教育の推進 ③性暴力・ストーカー行為等暴力防止の意識づくり ④職場等におけるハラスメントの防止   【施策に沿った事業展開】 ①人権尊重と暴力防止の意識づくり No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.155(再掲) 取組み内容(事業名) 広報紙・ホームページでの啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.164 取組み内容(事業名) 職員に対する人権研修の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 ②学校における人権教育の推進 No.122(再掲) 取組み内容(事業名) 区内中学・高校等との連携・協働によるデートDV防止講座等学校出前事業の拡充 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.165 取組み内容(事業名) 区内中学2年生を対象としたデートDV防止啓発物の配布 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.7(再掲) 取組み内容(事業名) 男女平等教育等の人権教育の推進 担当課 教育指導課 No.8(再掲) 取組み内容(事業名) 区立学校教職員を対象とした人権教育推進にかかわる研修の実施 担当課 教育研究・研修課   ③性暴力・ストーカー行為等暴力防止の意識づくり No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.121(再掲) 取組み内容(事業名) DV等暴力防止・被害者支援関連講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.155(再掲) 取組み内容(事業名) 広報紙・ホームページでの啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.166 取組み内容(事業名) 虐待防止についての周知啓発 担当課 教育指導課 No.167 取組み内容(事業名) 校長会、副校長会、生活指導主任研修会等での説明 担当課 教育研究・研修課   ④職場等におけるハラスメントの防止 No.126(再掲) 取組み内容(事業名) 女性相談の実施 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.17(再掲) 取組み内容(事業名) 「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」の定期的実施と結果公表 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.19(再掲) 取組み内容(事業名) 区内事業者や地域経済団体等との連携・協働によるワーク・ライフ・バランス等関連事業の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.44(再掲) 取組み内容(事業名) 事業者への情報提供やセミナー等の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課、工業・ものづくり・雇用促進課 No.127(再掲) 取組み内容(事業名) DV相談の実施(DV相談専用ダイヤル、女性のための悩みごと・DV相談) 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業含む No.168 取組み内容(事業名) 区内大学、企業等への働きかけ 担当課 人権・男女共同参画担当課、工業・ものづくり・雇用促進課 No.15(再掲) 取組み内容(事業名) 社会保険・労働相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課)   基本目標Ⅳ 多様性を認め合い、尊厳をもって生きることができる社会の構築 課題10.性差に応じたこころと身体の健康支援 【現状と課題】 男女が互いの身体的性差に関する正しい知識を持ち、十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりを持って生きていくことは、男女共同参画社会の形成にあたっての前提といえます。一人ひとりが主体的に行動し、社会に参画していく上で、こころと身体の健康について正確な知識・情報を入手し、生涯を通じて健康を享受できるようにすることが大切です。特に、女性は妊娠・出産、女性特有の疾病を経験する可能性があることに留意する必要があり、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)は、個人としての尊厳を重んぜられる男女共同参画社会の実現にとって欠かすことができない視点です。これは、女性だけでなく、男性の理解も求められるものであるため、性差や年代に応じた性教育などによる啓発や学習が求められます。 区では「健康せたがやプラン」(第二次)に基づき、生涯にわたる女性の健康づくりのために、女性特有の疾病に対する支援、若い女性の健康づくりの支援、妊娠・出産・育児等に伴う健康的な生活への支援に取り組んでいます。そのなかで、平成28年の本区の女性における、乳がん、子宮がんの標準化死亡比(地域による人口・年齢構成比の違いを取り除いて死亡率を比較するための指標)は、平成22年~平成26年の平均よりも高くなっており、子宮がんは東京都に比べて高くなっていることから、積極的に検診を受診してもらうなど取組みが求められます。 また、妊娠・出産・育児等にあたっては、父親も「パタニティブルー」と呼ばれるような、精神的に不安定な状況に陥ってしまう場合があります。今後は、男性の育児参画がさらに推進されることも踏まえ、母親だけでなく父親のこころの健康のためにも不安感の解消などに対しての支援も求められます。 区の合計特殊出生率(15歳~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性が一生に産む子どもの数の平均)は1.01で、国・東京都より低い状況にあります。また、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの観点から、女性の生き方・働き方に応じた妊娠・出産に関わる選択を尊重し、支援する体制の充実を図る必要があります。   図表Ⅳ-10-① 女性の大腸がん、子宮がん、乳がんの標準化死亡比(世田谷区、東京都 平成22年~平成26年、平成28年) ※標準化死亡比(SMR:Standardized Mortality Ratio) 人口構成の違いを除去して死亡率を比較するための指標。ここでは東京都の標準化死亡比を100(基準値)とした場合、100より多ければ死亡率が高いことを表している。 資料:世田谷保健所健康企画課 図表Ⅳ-10-② 合計特殊出生率の推移(世田谷区、東京都、全国) ※各年1月1日現在 資料:世田谷区 世田谷区の統計書 東京都 東京都人口動態統計 国 人口動態統計 【施策の方向性】 男女が互いの身体的な性差を理解し合い、子を産み育てることに関わる健康と権利(自己決定権)への配慮、性差を考慮した健康支援を進めます。 性差や年代によって異なる健康問題に応じた意識啓発や情報を提供します。 人権教育としての視点を持ち、年代に応じた性教育に取り組みます。 取組みの実施にあたっては、多様な性に対しての適切な配慮が取れるよう、職員の理解を進めます。 【施策】 ①疾病予防、健康づくりの推進 ②こころの健康対策 ③親子の健康支援 ④年代に応じた性教育の普及   【施策に沿った事業展開】 ①疾病予防、健康づくりの推進 No.169 取組み内容(事業名) 区民健診 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.170 取組み内容(事業名) 更年期障害等に関する情報発信 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.171 取組み内容(事業名) リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する講座等の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.172 取組み内容(事業名) 介護予防に関する普及・啓発、介護予防講座の実施 担当課 介護予防・地域支援課 No.173 取組み内容(事業名) あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)もの忘れ相談 担当課 介護予防・地域支援課 No.174 取組み内容(事業名) 世田谷区地域・職域連携推進連絡会における取組み 担当課 世田谷保健所健康企画課 No.175 取組み内容(事業名) 成人健診 担当課 世田谷保健所健康企画課 No.176 取組み内容(事業名) がん検診(肺がん、子宮がん、乳がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん)及び胃がんリスク(ABC)検査 担当課 世田谷保健所健康企画課(各総合支所保健福祉センター健康づくり課) No.177 取組み内容(事業名) がん相談コーナー 担当課 世田谷保健所健康企画課 No.178 取組み内容(事業名) せたがや元気体操リーダー養成 担当課 世田谷保健所健康企画課 No.179 取組み内容(事業名) こころの健康を支える人材育成に関する講座 担当課 世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.180 取組み内容(事業名) 食育講座等の食育事業の普及・啓発 担当課 世田谷保健所健康推進課(各総合支所保健福祉センター健康づくり課) No.181 取組み内容(事業名) エイズや性感染症の抗体検査・相談対応 担当課 世田谷保健所感染症対策課 No.182 取組み内容(事業名) 学校を中心とした食育推進事業の普及・啓発、健康教育推進研修の実施 担当課 教育指導課 No.111(再掲) 取組み内容(事業名) 総合型地域スポーツ・文化クラブの支援 担当課 生涯学習・地域学校連携課、スポーツ振興財団   ②こころの健康対策 No.62(再掲) 取組み内容(事業名) EPDSを導入した、産後うつ病の早期発見と予防 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.183 取組み内容(事業名) 依存症相談(アルコール等) 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.155(再掲) 取組み内容(事業名) 広報紙・ホームページでの啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.171(再掲) 取組み内容(事業名) リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する講座等の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.173(再掲) 取組み内容(事業名) あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)もの忘れ相談 担当課 介護予防・地域支援課 No.179(再掲) 取組み内容(事業名) こころの健康を支える人材育成に関する講座 担当課 世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.184 取組み内容(事業名) こころの健康に関する相談 担当課 世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.185 取組み内容(事業名) 世田谷区自殺対策協議会の開催 担当課 世田谷保健所健康推進課 No.186 取組み内容(事業名) 思春期青年期精神保健部会の開催 担当課 世田谷保健所健康推進課(学校健康推進課)   ③親子の健康支援 No.64(再掲) 取組み内容(事業名) 児童館支援を通しての育児支援 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.187 取組み内容(事業名) 食生活・歯科相談 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.188 取組み内容(事業名) 親子の心身の健康相談 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.189 取組み内容(事業名) 乳幼児健診や離乳食講習会、両親学級等の機会での食に関する啓発 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.190 取組み内容(事業名) 非課税世帯への保健指導票の交付 担当課 各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.191 取組み内容(事業名) 低所得世帯への出産費補助 担当課 各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課、子ども家庭課 No.192 取組み内容(事業名) 児童館事業での食育推進 担当課 児童課 No.70(再掲) 取組み内容(事業名) 世田谷版ネウボラ(妊娠期からの切れ目のない子育て支援) 担当課 子ども家庭課、世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.98(再掲) 両親学級・ぷれパパママ講座の開催 担当課 世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.193 取組み内容(事業名) 母子健康手帳の交付 担当課 世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課(各出張所・まちづくりセンター等) No.194 取組み内容(事業名) 妊婦健康診査 担当課 世田谷保健所健康推進課 No.195 取組み内容(事業名) 妊娠高血圧症候群等医療助成 担当課 世田谷保健所健康推進課(各総合支所保健福祉センター健康づくり課) No.196 取組み内容(事業名) 乳幼児健康診査 担当課 世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.197 取組み内容(事業名) 家庭教育学級での保護者への食育推進 担当課 生涯学習・地域学校連携課   ④年代に応じた性教育の普及 No.198 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 妊娠を希望する区民への相談支援事業(仮) 担当課 世田谷保健所健康推進課 No.199 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業リプロダクティブ・ヘルス/ライツ理解促進のためのリーフレット作成及び活用 担当課 世田谷保健所健康推進課、人権・男女共同参画担当課、教育指導課 No.200 取組み内容(事業名) エイズ予防啓発活動 担当課 世田谷保健所感染症対策課 No.201 取組み内容(事業名) 学園祭やイベント会場でのキャンペーン 担当課 世田谷保健所感染症対策課 No.202 取組み内容(事業名) 差別や偏見をなくすためのPR活動 担当課 世田谷保健所感染症対策課 No.203 取組み内容(事業名) エイズ/性感染症相談・検査の実施、充実 担当課 世田谷保健所感染症対策課 No.204 取組み内容(事業名) 学校への計画的な保健師等の派遣 担当課 世田谷保健所感染症対策課 No.205 取組み内容(事業名) 予防啓発用媒体・資材の貸し出し、配布 担当課 世田谷保健所感染症対策課 No.206 取組み内容(事業名) 性教育の推進 担当課 教育指導課  Column   中絶に関する女性の負担と日本の動き 妊娠は女性にとって人生における重要なできごとのひとつですが、心身の不調・経済的な問題・望まない・性暴力被害などの理由で継続ができず、妊娠を中断させる手段として、中絶を選択する場合があります。 中絶もまた、女性の心身に大きな影響を与えます。日本では母体保護法で中絶に関する規定がありますが、現在、国際的に主流となっている術式である経口堕胎薬の承認申請が提出されたところです。また、パートナーの同意書の取り扱い(原則として必要。不要な場合もあるが、医療機関がDV加害者の同意書を求めるケースが報道されており、厚生労働省が見解を示しています。)についての整理がなされるなど、女性の負担を少しでも軽くする動きが模索されているところです。   課題11.ひとり親家庭等が安心して生活できる環境づくり 【現状と課題】 全国のひとり親家庭の生活の状況をみると、母子世帯は父子世帯に比べて平均年間収入が低く、相対的貧困率が高くなっています。長時間勤務や転勤が当然とされている正社員型の労働慣行のなかで、母子世帯は正規雇用として就労することができず非正規雇用として就労している割合が高いことから、貧困等の生活上の困難に陥りやすいことが指摘されています。生活保護を受給する母子世帯については減少傾向にありますが、こうした貧困等の生活上の困難により、子どもに十分な教育機会が与えられず、貧困等の世代間連鎖が危惧されています。特に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けやすい非正規雇用の母子世帯に対しての影響は大きく一層厳しい状況となっています。世代間連鎖を引き起こさないためにも、ひとり親の経済的自立に向けた就労支援や子どもへの学習支援の充実が必要となっています。 また、非正規雇用の問題は男性にも広がっており、今後は父子世帯や共働き世帯であっても貧困等の生活の困難を抱える世帯に対して、経済的支援や、生活支援の充実を図ることも必要となっています。こういった状況もあり、区では平成27年4月から生活保護には至らない生活困窮者の自立支援、生活困窮家庭の子どもの学習支援などの取組みが始まっています。今後、関連部署との緊密な連携による、切れ目のない総合的な支援がさらに必要となっています。 さらに、別居中であったり、離婚前で離婚が成立していなかったりする実質的なひとり親が、社会制度のはざまで困窮に陥っている場合があります。そういった方を含めて、誰一人取り残すことなく安心して生活できる環境づくりをするため、実質的なひとり親への支援は大きな課題となっています。 図表Ⅳ-11-① ひとり親家庭の主要統計データ(平成28年度全国ひとり親世帯等調査の概要) (出典)全国ひとり親世帯等調査 ※上記は、母子又は父子以外の同居者がいる世帯を含めた全体の母子世帯、父子世帯の数。 母子のみにより構成される母子世帯数は約75万世帯、父子のみにより構成される父子世帯数は、約8.4万世帯。(平成27年国勢調査) ※「平均年間収入」及び「平均年間就労収入」は、平成27年の1年間の収入。 図表Ⅳ-11-② ひとり親世帯の推移(世田谷区) 資料:国勢調査(平成17年、22年、27年)  図表Ⅳ-11-③ 生活保護世帯数(世田谷区) ※‰(パーミル)は千分率であり、1,000分の1を1とする単位 ※各年1月現在 資料:東京都福祉行政統計 図表Ⅳ-11-④ 生活保護支給延世帯数_母子世帯 資料:世田谷区の統計(平成27年、令和2年)  【施策の方向性】 男女共同参画センター「らぷらす」や子ども家庭課をはじめとするさまざまな支援機関、地域団体等との連携を深めながら、母子世帯・父子世帯にかかわらず、ひとり親家庭への支援の充実を図ります。加えて、別居中や正式に離婚が成立していない実質的なひとり親家庭への支援も実施していきます。 母子世帯は父子世帯に比べて非正規雇用が多いため収入が少なく、経済的に困窮するケースが少なくないことから、支援の充実を図ります。DV被害に起因する場合、精神的な回復、自立への模索が長期間にわたることなどから、安定した生活を営むために、当事者の立場に立った就労支援、精神的な支援などを進めます。 また、ひとり親家庭の子どもの支援として、子どもの貧困対策と連携した支援を行います。 【施策】 ①ひとり親家庭への相談・情報提供の充実 ②ひとり親家庭の親への就労支援 ③ひとり親家庭への生活支援 ④ひとり親家庭の子どもへの支援   【施策に沿った事業展開】 ①ひとり親家庭への相談・情報提供の充実 No.125(再掲) 取組み内容(事業名) 家族関係、離婚、養子縁組、相続などに関する「家庭相談」の実施 担当課 各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課 No.132(再掲) 取組み内容(事業名) 子ども家庭支援センターによる支援 担当課 各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.155(再掲) 取組み内容(事業名) 広報紙・ホームページでの啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.207 取組み内容(事業名) シングルマザー支援講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.208 取組み内容(事業名) シングルマザーのための居場所事業の充実 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.209 取組み内容(事業名) 養育費相談会 担当課 子ども家庭課、人権・男女共同参画担当課 ②ひとり親家庭の親への就労支援 No.210 取組み内容(事業名) 母子・父子自立支援プログラム 担当課 子ども家庭課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課) No.211 取組み内容(事業名) 母子家庭及び父子家庭自立支援教育訓練給付金 担当課 子ども家庭課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課) No.212 取組み内容(事業名) 母子家庭及び父子家庭高等職業訓練促進給付金 担当課 子ども家庭課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課) No.213 取組み内容(事業名) ひとり親家庭の高等学校卒業程度認定試験合格支援事業 担当課 子ども家庭課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課)   ③ひとり親家庭への生活支援 No.214 取組み内容(事業名) 児童扶養手当 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.215 取組み内容(事業名) 児童育成手当 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.216 取組み内容(事業名) ひとり親家庭等医療費助成 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課 No.217 取組み内容(事業名) 母子及び父子福祉資金等貸付 担当課 各総合支所保健福祉センター 子ども家庭支援課(生活福祉課) No.218 取組み内容(事業名) 母子生活支援施設入所 担当課 子ども家庭課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課) No.219 取組み内容(事業名) 養育支援等ホームヘルパー訪問事業 担当課 児童相談支援課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課) ④ひとり親家庭の子どもへの支援 No.213(再掲) 取組み内容(事業名) ひとり親家庭の高等学校卒業程度認定試験合格支援事業 担当課 子ども家庭課(各総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課) No.220 取組み内容(事業名) ひとり親家庭等の子どもの学習支援事業 担当課 子ども家庭課 No.221 取組み内容(事業名) 教育相談 担当課 教育相談・支援課   課題12.性的マイノリティ等多様な性への理解促進と支援 【現状と課題】 性的マイノリティは、性的指向や性自認を理由として、社会の偏見や生活上の困難に直面するといわれています。性的指向や性自認を理由とした差別や偏見をなくすための知識や理解を深めるとともに、当事者への支援が求められています。 国の自殺総合対策大綱では、性的マイノリティの自殺念慮の割合などが高いと指摘されていること、その背景には性的マイノリティに対する無理解や偏見等があることにふれ、年代に合わせた情報提供・支援の中心的役割を担う人材として、教職員の理解を促進することを求めています。区では、研修を受講した先生には、性的マイノリティ支援(ALLY)バッジを配布し、つけてもらうことでLGBTフレンドリー(性的マイノリティに対して偏見なく平等に接するさま)な環境の形成をめざしています。 区では、「区民意識・実態調査」で性的マイノリティに関する実態の把握に取り組んでいます。その結果、今まで自分の性別に悩んだ経験があると回答した人は、2.8%となっています。しかし、性・年代別でみると20代女性では11.8%、20代男性では6.1%の人が悩んだ経験があると回答しており、若年層では、自分の性別に悩みを感じた経験がある人が多い状況となっています。「性的マイノリティ」という言葉の認知度は88.8%、性的マイノリティの人権施策等が「必要だと思う」は74.6%となっており、支援の必要性の認識が高まっていることが明らかになりました。 区はこれまで性的マイノリティへの理解講座をはじめ、相談、職員研修、トイレや更衣室の改修に取り組んできました。 さらに「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」を定め、平成27年11月には同性カップルである区民がその自由な意思によるパートナーシップの宣誓を区長に対しておこない、同性カップルの気持ちを受け止めるといった、世田谷区パートナーシップの宣誓の取組みを行っています。令和3年12月末現在、通算181組の宣誓を受領してきました。 また、平成30年には、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を施行し、性の多様性への理解促進とこれに起因する支障を取り除くための支援を行うことを明示しています。 今後は、就労、住まい、高齢化、災害時の対応などの性的マイノリティが直面する具体的な課題に対しての解決が求められます。 取組みを推進するためには、企業による理解、協力も欠かせません。しかし、「区内企業の意識・実態調査」をみると、性的マイノリティへの各種配慮への取組みは、十分とはいえません。 区は、性的マイノリティへの支援に取り組む先進的な自治体のひとつとして、地域・学校・職場において多様な性への理解促進と支援に取り組む必要があります。   図表Ⅳ-12-① 性別の悩みの有無(全体、性・年代別) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区) 図表Ⅳ-12-② 性的マイノリティという言葉の認知(全体、経年比較) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区) 図表Ⅳ-12-③ 性的マイノリティへの人権施策等の必要性(全体、経年比較) 資料:「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」(令和元年度 世田谷区) 図表Ⅳ-12-④ 性的マイノリティへの配慮の取組み状況(全体) 資料:「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」(令和2年度 世田谷区)   【施策の方向性】 一人ひとりの人権が尊重され、自らの意思に基づき、個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現に向けて、人権尊重の観点から、就労、相談体制の充実、居場所づくり、住まい、医療、介護等、日常生活における支援を進めます。また、平常時だけではなく、災害時にも安心・安全に過ごせるよう支援します。 性的マイノリティへの理解促進にあたっては、当事者団体や若者グループと連携し、リーフレットやSNSなどを通じた情報発信を強化します。 さらに、パートナーシップ宣誓開始以来、同性間で子育てをするなど、多様な形の家族の支援も求められています。区職員や事業者等を対象とする研修を通じて、誰もが人生のパートナーや大切な人と安心して暮らすことのできる支援体制を構築します。 区全体で多様な性のあり方に対しての理解を促進するためには、区民を対象とする講座や情報発信を充実させるとともに、事業者の理解を促進する取組みも必要です。就労や働く場、提供するサービスにおいて性的マイノリティへの公平な扱いや配慮がされるよう進めます。 【施策】 ①就労・災害時等における性的マイノリティへの支援 ②区民や事業者の性的マイノリティへの理解の促進 ③同性パートナーシップに関する取組み ④性的マイノリティの相談体制・居場所づくりの整備 ⑤区職員・教育分野等における理解促進 ⑥多様な形の家族の支援 【施策に沿った事業展開】 ①就労・災害時等における性的マイノリティへの支援 No.222 取組み内容(事業名) 地域防災計画への配慮等の取組みの位置づけ 担当課 災害対策課 No.223 取組み内容(事業名) 性的マイノリティに関する相談・居場所事業の充実 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.15(再掲) 取組み内容(事業名) 社会保険・労働相談 担当課 世田谷区産業振興公社(工業・ものづくり・雇用促進課)   ②区民や事業者の性的マイノリティへの理解の促進 No.2(再掲) 取組み内容(事業名) 情報紙「らぷらす」の発行 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、ポスター等の収集・提供 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.155(再掲) 取組み内容(事業名) 広報紙・ホームページでの啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.224 取組み内容(事業名) 性的マイノリティ理解講座等の開催 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 ③同性パートナーシップに関する取組み No.225 取組み内容(事業名) 世田谷区パートナーシップ宣誓の取組み 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.226 取組み内容(事業名) 世田谷区パートナーシップ宣誓の取組みの関係機関への働きかけ 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.227 取組み内容(事業名) 住まいの確保の支援 担当課 住宅管理課 ④性的マイノリティの相談体制・居場所づくりの整備 No.223(再掲) 取組み内容(事業名) 性的マイノリティに関する相談・居場所事業の充実 担当課 人権・男女共同参画担当課※男女共同参画センター事業 No.184(再掲) 取組み内容(事業名) こころの健康に関する相談 担当課 世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.221(再掲) 取組み内容(事業名) 教育相談 担当課 教育相談・支援課   ⑤区職員・教育分野等における理解促進 No.228 取組み内容(事業名) 職員に対する研修の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.229 取組み内容(事業名) 保健福祉領域基本研修による理解促進 担当課 保健医療福祉推進課 No.179(再掲) 取組み内容(事業名) こころの健康を支える人材育成に関する講座 担当課 世田谷保健所健康推進課、各総合支所保健福祉センター健康づくり課 No.230 取組み内容(事業名) 実践的な人権教育の計画的な実施 担当課 教育指導課 No.231 取組み内容(事業名) 性的マイノリティの理解の授業のための教材の作成・活用 担当課 教育指導課 No.8(再掲) 取組み内容(事業名) 区立学校教職員を対象とした人権教育推進にかかわる研修の実施 担当課 教育研究・研修課 ⑥多様な形の家族の支援 No.232 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 ファミリーシップ宣誓制度の導入検討 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.233 取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 多様な形の家族に関する周知・啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課  Column   性の多様性を理解するための取組みについて 【世田谷区パートナーシップの宣誓】 世田谷区では、平成27年11月に、東京都渋谷区と同時に全国で初めて「パートナーシップ宣誓」の取組みを始め、宣誓件数は令和3年12月末時点で181件となりました。 国内の他の自治体でも同様の取組みが始まり、令和3年12月1日時点で、141自治体、35都道府県に制度が導入されています。宣誓をされた方を対象とするアンケートや、他の自治体の取組みを参考に、小型受領証の発行や、宣誓要件の変更(双方が区へ転入予定の場合や、一定の要件に当てはまる養子縁組をしている場合も宣誓できる)など、制度を変更してきました。今後、宣誓制度のある他の自治体との連携や、ファミリーシップ制度についても、研究・検討を進めていきます。 【区民に向けた啓発、職員研修など】  令和2年10~11月に、宣誓制度の開始から5年が経過したことを記念して、区役所第3庁舎1階にて、区内で活動する当事者団体と共催でパネル展示を行いました。宣誓制度について、区のおしらせに掲載するとともに、区民のみなさんに「性の多様性」についての理解を深めていただくことを目的としたリーフレットを作成し、令和3年度には、民生委員、医師会や不動産団体、区内の学校などに配布しています。男女共同参画センター「らぷらす」は、平成29年度より「セクシュアル・マイノリティフォーラム」を実施しています。  区職員や区立小学校・区立中学校の教員を対象とした「性的マイノリティ理解促進」についての研修を定期的に実施し、修了者には「setagaya ally」というロゴをデザインした缶バッジをお渡しして、ネームプレートにつけていただくようお願いしています。また、区内では平成30年度より、「性的マイノリティ支援者養成研修講座」も実施されています。(令和3年度は実施せず。) 【その他の区の取組み】 平成29年度 同性カップルも区営・区立住宅へ入居が可能になりました。また、区の委託事業として、性的マイノリティ当事者、家族、支援者などを対象とした相談事業・居場所事業を開始しました。 平成30年度 区立中学校の標準服が男女に関わりなく選択可能になりました。 令和2年度 区職員が、同性パートナーとその親族を対象とした慶弔休暇や介護休暇等を取得できるようになり、区の外郭団体などでも対応が始まっています。また、世田谷区国民健康保険被保険者の同性パートナーへの傷病手当金相当額の支給に関する要綱が制定されました。 第4章 計画の推進体制 方策1 男女共同参画センター「らぷらす」の機能の充実 男女共同参画センター「らぷらす」は、平成3年(1991年)に開設以来30年間にわたり、世田谷区の男女共同参画推進の拠点施設として、すべての人が性別にかかわりなく自分らしく生き生きと暮らすことができる社会の実現をめざした事業を推進してきました。 男女共同参画センター「らぷらす」の事業は、男女共同参画の視点から課題を解決するための実践的な取組みとして《講座・研修》、《情報収集・提供》、《相談》を中心に、それらを有機的に連携させ、切れ目なく行っていることが特徴であり、全国の男女共同参画センターを牽引しながら、先駆的な事業展開をしてきました。 また、ライフステージなどに応じた女性の就労、起業支援相談、講座、啓発事業などは常に一定の参加者があり、新たな働き方を支える事業も利用が進んでいます。 こうした取組みを通じて、利用者が抱える課題の「気づき」を促し、課題を解決・緩和したり、技能を習得するために、必要な専門支援機関や地域団体などへ適切に「つなぎ」、実社会の中で実践・活用していくための「動機付け」をしています。「らぷらす」は、これら一連の段階を「伴走」し続けることで、自ら望む生き方や活動を選択することができるよう「エンパワーメント」を行う場であることを追求してきました。 しかしその一方で、区民の認知度や利用状況は低迷しており、意識調査における男女共同参画センター「らぷらす」の認知度や利用状況をみると、「知っている(利用したことがない人も含む)」は2割、男性の認知度は1割以下となっており、これまで事業に参加したことのない方にも、必要な意識と情報を持ってもらうためのアプローチが課題となっています。 また、区民・団体・地域の支援者などと一体となって男女共同参画を推進できるよう、情報を共有し補完し合えるネットワークを形成し、「地域に開かれたらぷらす」としていく取組みが必要となっています。 そこで、まず運営協議会等の会議体を設置し、より多くの区民が気軽に利用できる施設の在り方を共に考えるとともに、区民・団体・地域の支援者等が主体的に関わりながら企画できる活動の場や機会を拡充し、地域と共に男女共同参画を推進していきます。 次に、活動団体支援や交流の場・機会の充実を図り、地域に開かれた多様な交流ができる施設づくりをめざします。 さらに、男女共同参画センター「らぷらす」の事業を知る機会をもち、男女共同参画への理解を深めることができるよう、区民・団体・地域の支援者などの協力を得ながらアウトリーチでの事業展開や、情報発信の強化を図っていきます。 引き続きこれまでの各種相談や就労支援などの女性に対する支援を基本としつつ、区民に寄り添い、社会状況やその時々の変化をとらえ、区民ニーズを捉えながら事業を展開し、男女及び多様な性を含めたすべての人が尊重される「男女共同参画」実現をめざす拠点としての役割を果たしていきます。   【施策】 ①地域と共に男女共同参画を推進するための仕組みの強化と体制の充実 ②区民・団体・地域の支援者が主体となった多様な交流の場・機会の充実 ③地域との連携・利用促進のための情報発信の強化 ④講座・研修、情報収集・提供、相談機能の横断的展開 図表 男女共同参画センター「らぷらす」機能充実の方向性 【施策に沿った事業展開】 ①地域と共に男女共同参画を推進するための仕組みの強化と体制の充実 No.1001  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 地域懇談会の実施 No.1002  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 運営協議会の実施 No.1003  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 アドバイザリー委員会の実施 ②区民・団体・地域の支援者が主体となった多様な交流の場・機会の充実 No.9(再掲) 区民企画協働事業の実施 No.1004  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 らぷらすフェスタの実施 No.1005  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 セクシュアル・マイノリティフォーラムの実施 No.1006  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 起業ミニメッセの実施 No.1007  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 シングルマザー応援フェスタの実施 No.1008  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 起業家交流会の実施 No.1009  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 らぷらすカフェ ③地域との連携・利用促進のための情報発信の強化 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 No.19(再掲) 取組み内容(事業名) 区内事業者や地域経済団体等との連携・協働によるワーク・ライフ・バランス等関連事業の実施 No.122(再掲) 取組み内容(事業名) 区内中学・高校等との連携・協働によるデートDV防止講座等学校出前事業の拡充 No.1010  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 アウトリーチ型の情報提供   ④講座・研修、情報収集・提供、相談機能の横断的展開 No.3(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画センター「らぷらす」によるホームページ・啓発物等での情報発信 No.4(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画関連図書資料、チラシ、ポスター等の収集、提供 No.24(再掲) 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労・起業支援相談の実施 No.25(再掲) 取組み内容(事業名) ライフステージ等に応じた女性の就労支援講座等の開催 No.27(再掲) 取組み内容(事業名) 女性起業家育成支援のための講座・相談事業の実施 No.101(再掲) 取組み内容(事業名) 防災、地域活動関連講座等の開催 No.121(再掲) 取組み内容(事業名) DV等暴力防止・被害者支援関連講座等の開催 No.127(再掲) 取組み内容(事業名) DV相談の実施(DV相談専用ダイヤル、女性のための悩みごと・DV相談) No.128(再掲) 取組み内容(事業名) 相談事業の充実検討と拡大カンファレンスの実施 No.156(再掲) 取組み内容(事業名) 男性電話相談の実施 No.171(再掲) 取組み内容(事業名) リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する講座等の実施 No.207(再掲) 取組み内容(事業名) シングルマザー支援講座等の開催 No.208(再掲) 取組み内容(事業名) シングルマザーのための居場所事業の充実 No.223(再掲) 取組み内容(事業名) 性的マイノリティに関する相談・居場所事業の充実 No.224(再掲) 取組み内容(事業名) 性的マイノリティ理解講座等の開催 No.1011  取組み内容(事業名) 災害時の女性支援拠点としての相談機能の整備   方策2 区職員の男女共同参画推進 男女共同参画施策を総合的に推進するには、区のあらゆる部署の職員・教職員が男女共同参画の重要性を意識し、すべての事業において男女の格差をデータに基づき検討・精査して反映させる「ジェンダー主流化」の視点から業務を進めていくことが重要であり、区では、これまでも各々の部署で取組みを進めてきました。 今後さらに、多様性を認め合い、誰もが働きやすい環境づくりに向け、区全体で一層の取組みを進めていくことが求められます。 こうした施策を進めていくにあたっては、今後とも男女共同参画に関する職員研修を通じて男女平等意識の一層の醸成を図っていくほか、職員の働き方改革を進めていくことも重要です。 区では、「世田谷区役所版働き方改革」として、ワーク・ライフ・バランスの推進、勤務時間の適正管理、ワークスタイル改革の3つの取組み方針を掲げてきました。今後も、「働き方改革」を進め、誰もが働きやすい環境の整備に取り組んでいくことが必要です。 また、職場におけるハラスメントの防止について、区では、令和2年4月に「職場におけるハラスメント防止に関する基本方針」を定めたところです。引き続き、年齢、性別、国籍、障害の有無、職層を問わず、職員が互いに尊重し合いながら快適に働くことのできる環境の確保に取り組んでいくことが必要です。 こうした取組みを通じ、区内最大規模の事業者である世田谷区が、区内企業に先駆けて、誰もが働きやすい環境づくりに取り組み、そのモデルを示していくことで、区内の企業において、労働慣行等の変革や女性の活躍促進を進める契機としていくことが重要であると考えます。 今後も引き続き、区は、庁内の管理監督的立場への女性の登用を進めるとともに、職員の家事・育児・介護等の家庭生活と仕事との両立促進や職場におけるハラスメントの防止に取り組んでいきます。 【施策】 ①区職員・教職員の男女平等意識の向上 ②庁内の管理監督的立場への女性の登用 ③区職員の仕事と生活の両立支援 【施策に沿った事業展開】 ①区職員・教職員の男女平等意識の向上 No.1012  取組み内容(事業名) ハラスメントに関する基本方針に基づく取組み 担当課 職員厚生課 No.1013  取組み内容(事業名) 区職員、区立学校教員への「職場のハラスメント」の防止に関わる研修の実施 担当課 職員厚生課、教育指導課(研修担当課) No.1014  取組み内容(事業名) 区職員の男女共同参画に関する調査の定期的実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.1015  取組み内容(事業名) 男女共同参画研修の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課(研修担当課) No.1016  取組み内容(事業名) 「ワーク・ライフ・バランス・デー」の啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課(職員厚生課)(環境計画課) No.1017  取組み内容(事業名) 区立小・中学校内及び教育指導課にセクシュアル・ハラスメントに関わる相談窓口を設置 担当課 教育指導課 ②庁内の管理監督的立場への女性の登用 No.1018  取組み内容(事業名) すべての職員の能力が発揮できるよう、性別にこだわらず適材適所の配置を行う 担当課 人事課(全庁各課) No.1019  取組み内容(事業名) 女性の管理監督職への任用状況を継続的に把握するとともに、昇任選考試験の受験勧奨等を行い、昇任意欲向上を図る 担当課 人事課(人権・男女共同参画担当課) No.1020  取組み内容(事業名) 管理監督職から昇任に関する経験談等を聞くことができるキャリア研修の実施 担当課 研修担当課、人事課、人権・男女共同参画担当課 No.1014(再掲) 取組み内容(事業名) 区職員の男女共同参画に関する調査の定期的実施 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.1015(再掲) 取組み内容(事業名) 男女共同参画研修の実施 担当課 人権・男女共同参画担当課(研修担当課) No.1021  取組み内容(事業名) 区の外郭団体理事の男女比率調査 担当課 人権・男女共同参画担当課   ③区職員の仕事と生活の両立支援 No.1022  取組み内容(事業名) 妊娠中及び出産後の女性職員に対する休暇等支援制度の周知徹底及び職場における健康や安全への配慮 担当課 人事課 No.1023  取組み内容(事業名) 育児休業・介護休暇等を取得しやすい環境の整備 担当課 人事課、職員厚生課 No.1024  取組み内容(事業名) 男性職員の子育て目的の休暇の取得促進 担当課 人事課、職員厚生課 No.1025  取組み内容(事業名) 勤務時間の適正管理に関する取組み 担当課 職員厚生課 No.1016(再掲) 取組み内容(事業名) 「ワーク・ライフ・バランス・デー」の啓発 担当課 人権・男女共同参画担当課(職員厚生課)(環境計画課)   方策3 推進体制の整備・強化 「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」に基づき、「男女共同参画」と「多文化共生」の取組み状況を共有しながら、総合的かつ計画的に施策を推進します。 プラン後期計画の推進にあたっては、PDCAサイクルに則り、計画の進行管理とフォローアップを行います。毎年、男女共同参画推進会議において施策の進捗状況や成果に対する評価を行い、「世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会」に報告して意見を伺うとともに、今後の男女共同参画推進事業の取組みについて検討します。 あわせて、同条例に基づき、区民・事業者が男女共同参画推進及び多文化共生に関する事項について、区長に対し苦情もしくは意見の申立てまたは相談を受けた際には、速やかに調査等を行い、必要に応じて適切な処置を講じるとともに、必要と認めるときは「世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会」に諮問し、その意見を聞き、改善に向けた処置を講じます。 区政におけるジェンダー主流化をさらに進めるため、各部署での取組みや横断的な連携を進め、区のあらゆる施策に男女共同参画の視点を定着させ、推進していく取組みを継続します。その成果の共有や、課題の発信などにより、国や都、他自治体の連携を強化させます。 それらとあわせ、男女共同参画を地域に根差し、より地域で考えていくために、男女共同参画社会の形成の促進を図る活動を行う市民活動団体などの発掘、育成、支援を行うとともに、それらと連携・協働した推進体制を構築します。 また、男女共同参画施策に多様性の尊重をうたった「パートナーシップ宣誓」をほかの自治体に先駆けて制定し、「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」の施行とともに、我が国の多様性を推進する施策の流れを大きく変化させました。先導自治体として、区は今後も取組みを充実し、推進体制の強化を進めるともに、同様の制度をもつ自治体との連携・協力を進めます。 【施策】 ①「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」に基づく推進体制の整備 ②国や都、他自治体との連携強化 ③男女共同参画に関わる市民活動団体の育成 ④市民活動団体との連携・協働の推進   【施策に沿った事業展開】 ①「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」に基づく推進体制の整備 No.1026  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 「世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会」によるフォローアップ 担当課 人権・男女共同参画担当課、国際課 No.1027  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 「世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会」による苦情等申立てへの対応 担当課 人権・男女共同参画担当課、国際課 ②国や都、他自治体との連携強化 No.1028  取組み内容(事業名) 全国市長会、特別区長会等で要望 担当課 人権・男女共同参画担当課 No.1029  取組み内容(事業名) ★新規・拡充事業 東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワークによる連携 担当課 人権・男女共同参画担当課 ③男女共同参画に関わる市民活動団体の育成 No.1030  取組み内容(事業名) NPOとの協働事業の推進 担当課 市民活動・生涯現役推進課 No.1031  取組み内容(事業名) 「せたがや市民活動勉強会」の開催 担当課 市民活動・生涯現役推進課 No.86(再掲) 取組み内容(事業名) 子ども基金による子ども・子育て支援団体の活動への支援 担当課 子ども家庭課 ④市民活動団体との連携・協働の推進 No.1032  取組み内容(事業名) 地域保健福祉等推進基金によるNPOへの支援 担当課 市民活動・生涯現役推進課 No.1033  取組み内容(事業名) NPOと区の連携・協力の拡大 担当課 市民活動・生涯現役推進課 資 料 1 世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例 (平成30年4月1日施行) 前文 第1章 総則(第1条-第7条) 第2章 基本的施策等(第8条・第9条) 第3章 世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会(第10条) 第4章 苦情処理(第11条・第12条) 第5章 雑則(第13条) 附則 個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、多様性を認め合い、自分らしく暮らせる地域社会を築くことは、国境及び民族の違いを越えて私たち人類の目指すべき方向である。また、一人ひとりの違いを認め合うことが、多様な生き方を選択し、あらゆる活動に参画し、及び責任を分かち合うことができる社会の実現につながる。世田谷区は、こうした理念を区、区民及び事業者で共有し、一体となって男女共同参画及び多文化共生を推進することにより、多様性を認め合い、人権を尊重する地域社会を実現することを目指し、この条例を制定する。 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、男女共同参画及び多文化共生の推進に関し、基本となる理念を定め、区、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画及び多文化共生を推進する施策(以下「男女共同参画・多文化共生施策」という。)の基本的な事項を定めることにより、男女共同参画社会及び多文化共生社会を形成し、もって全ての人が多様性を認め合い、人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 ⑴ 男女共同参画 性別等にかかわらず、全ての人が、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができることをいう。 ⑵ 多文化共生 全ての人が、国籍、民族等の異なる人々の互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、共に生きていくことをいう。 ⑶ 性別等 生物学的な性別及び性自認(自己の性別についての認識をいう。以下同じ。)並びに性的指向(どの性別を恋愛の対象にするかを表すものをいう。以下同じ。)をいう。 ⑷ 区民 区内に居所、勤務先又は通学先を有する者をいう。 ⑸ 事業者 区内において事業活動を行う個人、法人又は団体をいう。 ⑹ 性的マイノリティ 性自認、性的指向等のあり方が少数と認められる人々をいう。 ⑺ ドメスティック・バイオレンス 配偶者、交際相手等の親密な関係にある者又はあった者の間で起こる暴力(これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行動を含む。)のことをいう。 (基本理念) 第3条 男女共同参画及び多文化共生を推進するための基本理念(以下「基本理念」という。)は、次のとおりとする。 ⑴ 全ての人が、多様性を認め合い、人権が尊重され、尊厳を持って生きることができる。 ⑵ 全ての人が、自らの意思に基づき個性及び能力を発揮し、多様な生き方を選択することができる。 ⑶ 全ての人が、あらゆる分野の活動においてともに参画し、責任を分かち合う。 (区の責務) 第4条 区は、基本理念にのっとり、男女共同参画・多文化共生施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。 2 区は、男女共同参画・多文化共生施策の実施に当たっては、区民及び事業者の協力を得るとともに、国、他の地方公共団体その他関係機関等と連携協力して取り組むものとする。 (区民の責務) 第5条 区民は、基本理念を踏まえ、男女共同参画及び多文化共生について理解を深め、あらゆる分野の活動において、男女共同参画社会及び多文化共生社会の形成に寄与するよう努めなければならない。 2 区民は、区が実施する男女共同参画・多文化共生施策に協力するよう努めなければならない。 (事業者の責務) 第6条 事業者は、基本理念を踏まえ、男女共同参画及び多文化共生について理解を深め、その事業活動及び事業所の運営において、男女共同参画社会及び多文化共生社会の形成に向けた必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 2 事業者は、区が実施する男女共同参画・多文化共生施策に協力するよう努めなければならない。 (性別等の違い又は国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる差別の解消等) 第7条 何人も、性別等の違い又は国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる不当な差別的取扱いをすることにより、他人の権利利益を侵害してはならない。 2 何人も、公衆に表示する情報について、性別等の違い又は国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる不当な差別を助長することのないよう留意しなければならない。 第2章 基本的施策等 (基本的施策) 第8条 男女共同参画・多文化共生施策は、次に掲げるものを基本とする。 ⑴ 固定的な性別役割分担意識の解消 ⑵ ワーク・ライフ・バランス(個人の仕事と生活の調和を図ることをいう。)に係る取組の推進 ⑶ ドメスティック・バイオレンスの根絶 ⑷ 性別等の違いに応じた心及び身体の健康支援 ⑸ 性的マイノリティの性等の多様な性に対する理解の促進及び性の多様性に起因する日常生活の支障を取り除くための支援 ⑹ 外国人、日本国籍を有する外国出身者等(以下「外国人等」という。)への情報の多言語化等によるコミュニケーション支援 ⑺ 外国人等が安心して安全に暮らせるための生活支援 ⑻ 外国人等との交流の促進等による多文化共生の地域づくりの推進 ⑼ 外国人等の社会参画及び社会における活躍を推進するための支援 ⑽ 国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる偏見又は不当な差別の解消 2 区長は、前項に定める基本的施策を効果的に推進するため、必要な教育又は啓発を積極的に行うものとする。 (行動計画) 第9条 区長は、男女共同参画・多文化共生施策を総合的かつ計画的に推進するため、行動計画を策定し、これを公表するものとする。 2 区長は、行動計画の策定に当たっては、あらかじめ次条に規定する世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会の意見を聴かなければならない。 3 区長は、毎年1回、行動計画に基づく施策の実施状況を公表するものとする。 第3章 世田谷区男女共同参画・多文化共 生推進審議会 (世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会) 第10条 男女共同参画・多文化共生施策を総合的かつ計画的に推進する上で必要な事項を調査審議するため、区長の附属機関として、世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。 2 審議会は、区長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。 ⑴ 行動計画に関すること。 ⑵ 前号に掲げるもののほか、男女共同参画・多文化共生施策の推進に関し区長が必要と認める事項 3 審議会は、学識経験者、区内に住所を有する者その他必要があると認める者のうちから区長が委嘱する委員15名以内をもって組織する。 4 前項の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。 5 審議会に、男女共同参画、多文化共生に関する事項その他の専門的事項を調査審議するため又は調査審議を効率的に行うため、部会を置くことができる。 6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。 第4章 苦情処理 (苦情の申立て等) 第11条 区民又は事業者は、男女共同参画・多文化共生施策に関する事項について、区長に対し苦情若しくは意見の申立て又は相談をすることができる。 2 区長は、前項の規定による申立て又は相談(以下「苦情の申立て等」という。)を受けたときは、速やかに調査等を行い、必要に応じて適切な措置を講ずるものとする。この場合において、区長は、必要と認めるときは、次条に規定する世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会に諮問し、その意見を聴くものとする。 (世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会) 第12条 苦情の申立て等について、公正かつ適切に処理するため、区長の附属機関として、世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会(以下「苦情処理委員会」という。)を置く。 2 苦情処理委員会は、前条第2項の規定による区長の諮問に応じ、苦情の申立て等について調査審議し、区長に対して意見を述べるものとする。 3 苦情処理委員会は、男女共同参画及び多文化共生に関し、深い理解と識見を有する者のうちから区長が委嘱する委員3名以内をもって組織する。 4 前項の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。 5 苦情処理委員会は、審議のため必要があると認めたときは、関係職員その他の関係人の出席を求めて意見若しくは説明を聴き、又はこれらの者から必要な資料の提出を求めることができる。 6 前各項に定めるもののほか、苦情処理委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。 第5章 雑則 (委任) 第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 附則 この条例は、平成30年4月1日から施行する。   2 男女共同参画社会基本法 (平成十一年六月二三日法律第七十八号) 改正 平成十一年 七月 十六日法律第 百二号 同 十一年十二月二十二日同 第百六十号 前文 第一章 総則(第一条―第十二条) 第二章 男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的施策(第十三条―第二十条) 第三章 男女共同参画会議(第二十一条―第二十八条) 附則 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が、国際社会における取組とも連動しつつ、着実に進められてきたが、なお一層の努力が必要とされている。 一方、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要な課題となっている。 このような状況にかんがみ、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。 ここに、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、将来に向かって国、地方公共団体及び国民の男女共同参画社会の形成に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、男女の人権が尊重され、かつ、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することの緊要性にかんがみ、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。 二 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。 (男女の人権の尊重) 第三条 男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。 (社会における制度又は慣行についての配慮) 第四条 男女共同参画社会の形成に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。 (政策等の立案及び決定への共同参画) 第五条 男女共同参画社会の形成は、男女が、社会の対等な構成員として、国若しくは地方公共団体における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。 (家庭生活における活動と他の活動の両立) 第六条 男女共同参画社会の形成は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。 (国際的協調) 第七条 男女共同参画社会の形成の促進が国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、男女共同参画社会の形成は、国際的協調の下に行われなければならない。 (国の責務) 第八条 国は、第三条から前条までに定める男女共同参画社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第九条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (国民の責務) 第十条 国民は、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならない。 (法制上の措置等) 第十一条 政府は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。 (年次報告等) 第十二条 政府は、毎年、国会に、男女共同参画社会の形成の状況及び政府が講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての報告を提出しなければならない。 2 政府は、毎年、前項の報告に係る男女共同参画社会の形成の状況を考慮して講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。 第二章 男女共同参画社会の形成の促進に関 する基本的施策 (男女共同参画基本計画) 第十三条 政府は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画基本計画」という。)を定めなければならない。 2 男女共同参画基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の大綱 二 前号に掲げるもののほか、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 内閣総理大臣は、男女共同参画会議の意見を聴いて、男女共同参画基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、男女共同参画基本計画を公表しなければならない。 5 前二項の規定は、男女共同参画基本計画の変更について準用する。 (都道府県男女共同参画計画等) 第十四条 都道府県は、男女共同参画基本計画を勘案して、当該都道府県の区域における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(以下「都道府県男女共同参画計画」という。)を定めなければならない。 2 都道府県男女共同参画計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 都道府県の区域において総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の大綱 二 前号に掲げるもののほか、都道府県の区域における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 市町村は、男女共同参画基本計画及び都道府県男女共同参画計画を勘案して、当該市町村の区域における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(以下「市町村男女共同参画計画」という。)を定めるように努めなければならない。 4 都道府県又は市町村は、都道府県男女共同参画計画又は市町村男女共同参画計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 (施策の策定等に当たっての配慮) 第十五条 国及び地方公共団体は、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画社会の形成に配慮しなければならない。 (国民の理解を深めるための措置) 第十六条 国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、基本理念に関する国民の理解を深めるよう適切な措置を講じなければならない。 (苦情の処理等) 第十七条 国は、政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情の処理のために必要な措置及び性別による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因によって人権が侵害された場合における被害者の救済を図るために必要な措置を講じなければならない。 (調査研究) 第十八条 国は、社会における制度又は慣行が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響に関する調査研究その他の男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の策定に必要な調査研究を推進するように努めるものとする。 (国際的協調のための措置) 第十九条 国は、男女共同参画社会の形成を国際的協調の下に促進するため、外国政府又は国際機関との情報の交換その他男女共同参画社会の形成に関する国際的な相互協力の円滑な推進を図るために必要な措置を講ずるように努めるものとする。 (地方公共団体及び民間の団体に対する支援) 第二十条 国は、地方公共団体が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策及び民間の団体が男女共同参画社会の形成の促進に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。 第三章 男女共同参画会議 (設置) 第二十一条 内閣府に、男女共同参画会議(以下「会議」という。)を置く。 (所掌事務) 第二十二条 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。 一 男女共同参画基本計画に関し、第十三条第三項に規定する事項を処理すること。 二 前号に掲げるもののほか、内閣総理大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な方針、基本的な政策及び重要事項を調査審議すること。 三 前二号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を述べること。 四 政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況を監視し、及び政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を述べること。 (組織) 第二十三条 会議は、議長及び議員二十四人以内をもって組織する。 (議長) 第二十四条 議長は、内閣官房長官をもって充てる。 2 議長は、会務を総理する。 (議員) 第二十五条 議員は、次に掲げる者をもって充てる。 一 内閣官房長官以外の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者 二 男女共同参画社会の形成に関し優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者 2 前項第二号の議員の数は、同項に規定する議員の総数の十分の五未満であってはならない。 3 第一項第二号の議員のうち、男女のいずれか一方の議員の数は、同号に規定する議員の総数の十分の四未満であってはならない。 4 第一項第二号の議員は、非常勤とする。 (議員の任期) 第二十六条 前条第一項第二号の議員の任期は、二年とする。ただし、補欠の議員の任期は、前任者の残任期間とする。 2 前条第一項第二号の議員は、再任されることができる。 (資料提出の要求等) 第二十七条 会議は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、監視又は調査に必要な資料その他の資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。 2 会議は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。 (政令への委任) 第二十八条 この章に定めるもののほか、会議の組織及び議員その他の職員その他会議に関し必要な事項は、政令で定める。 附 則 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から施行する。 (男女共同参画審議会設置法の廃止) 第二条 男女共同参画審議会設置法(平成九年法律第七号)は、廃止する。 (経過措置) 第三条 前条の規定による廃止前の男女共同参画審議会設置法(以下「旧審議会設置法」という。)第一条の規定により置かれた男女共同参画審議会は、第二十一条第一項の規定により置かれた審議会となり、同一性をもって存続するものとする。 2 この法律の施行の際現に旧審議会設置法第四条第一項の規定により任命された男女共同参画審議会の委員である者は、この法律の施行の日に、第二十三条第一項の規定により、審議会の委員として任命されたものとみなす。この場合において、その任命されたものとみなされる者の任期は、同条第二項の規定にかかわらず、同日における旧審議会設置法第四条第二項の規定により任命された男女共同参画審議会の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。 3 この法律の施行の際現に旧審議会設置法第五条第一項の規定により定められた男女共同参画審議会の会長である者又は同条第三項の規定により指名された委員である者は、それぞれ、この法律の施行の日に、第二十四条第一項の規定により審議会の会長として定められ、又は同条第三項の規定により審議会の会長の職務を代理する委員として指名されたものとみなす。 附 則(平成十一年七月十六日法律第百二号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 略 二 附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日 (委員等の任期に関する経過措置) 第二十八条 この法律の施行の日の前日において次に掲げる従前の審議会その他の機関の会長、委員その他の職員である者(任期の定めのない者を除く。)の任期は、当該会長、委員その他の職員の任期を定めたそれぞれの法律の規定にかかわらず、その日に満了する。 一から十まで 略 十一 男女共同参画審議会(別に定める経過措置)第三十条 第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。 附 則(平成十一年十二月二十二日法律第百六十号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 (以下略)  3 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律 (平成二十七年九月四日 法律第六十四号) 最終改正:令和元年六月五日 法律第二十四号 目次 第一章 総則(第一条―第四条) 第二章 基本方針等(第五条・第六条) 第三章 事業主行動計画等 第一節 事業主行動計画策定指針(第七条) 第二節 一般事業主行動計画等(第八条―第十八条) 第三節 特定事業主行動計画(第十九条) 第四節 女性の職業選択に資する情報の公表(第二十条・第二十一条) 第四章 女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置(第二十二条―第二十九条) 第五章 雑則(第三十条―第三十三条) 第六章 罰則(第三十四条―第三十九条) 附則 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、近年、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍すること(以下「女性の職業生活における活躍」という。)が一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法(平成十一年法律第七十八号)の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定、女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等について定めることにより、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的とする。 (基本原則) 第二条 女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性に対する採用、教育訓練、昇進、職種及び雇用形態の変更その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならない。 2 女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活を営む女性が結婚、妊娠、出産、育児、介護その他の家庭生活に関する事由によりやむを得ず退職することが多いことその他の家庭生活に関する事由が職業生活に与える影響を踏まえ、家族を構成する男女が、男女の別を問わず、相互の協力と社会の支援の下に、育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ職業生活における活動を行うために必要な環境の整備等により、男女の職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として、行われなければならない。 3 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない。 (国及び地方公共団体の責務) 第三条 国及び地方公共団体は、前条に定める女性の職業生活における活躍の推進についての基本原則(次条及び第五条第一項において「基本原則」という。)にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。 (事業主の責務) 第四条 事業主は、基本原則にのっとり、その雇用し、又は雇用しようとする女性労働者に対する職業生活に関する機会の積極的な提供、雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備その他の女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を自ら実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に協力しなければならない。 第二章 基本方針等 (基本方針) 第五条 政府は、基本原則にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一 女性の職業生活における活躍の推進に関する基本的な方向 二 事業主が実施すべき女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する基本的な事項 三 女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に関する次に掲げる事項 イ 女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置に関する事項 ロ 職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備に関する事項 ハ その他女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に関する重要事項 四 前三号に掲げるもののほか、女性の職業生活における活躍を推進するために必要な事項 3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。 5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。 (都道府県推進計画等) 第六条 都道府県は、基本方針を勘案して、当該都道府県の区域内における女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画(以下この条において「都道府県推進計画」という。)を定めるよう努めるものとする。 2 市町村は、基本方針(都道府県推進計画が定められているときは、基本方針及び都道府県推進計画)を勘案して、当該市町村の区域内における女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画(次項において「市町村推進計画」という。)を定めるよう努めるものとする。 3 都道府県又は市町村は、都道府県推進計画又は市町村推進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 第三章 事業主行動計画等 第一節 事業主行動計画策定指針 第七条 内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主が女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を総合的かつ効果的に実施することができるよう、基本方針に即して、次条第一項に規定する一般事業主行動計画及び第十九条第一項に規定する特定事業主行動計画(次項において「事業主行動計画」と総称する。)の策定に関する指針(以下「事業主行動計画策定指針」という。)を定めなければならない。 2 事業主行動計画策定指針においては、次に掲げる事項につき、事業主行動計画の指針となるべきものを定めるものとする。 一 事業主行動計画の策定に関する基本的な事項 二 女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容に関する事項 三 その他女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する重要事項 3 内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主行動計画策定指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 第二節 一般事業主行動計画等 (一般事業主行動計画の策定等) 第八条 国及び地方公共団体以外の事業主(以下「一般事業主」という。)であって、常時雇用する労働者の数が百人を超えるものは、事業主行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画(一般事業主が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画をいう。以下同じ。)を定め、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。 2 一般事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一 計画期間 二 女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標 三 実施しようとする女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容及びその実施時期 3 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を定め、又は変更しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、採用した労働者に占める女性労働者の割合、男女の継続勤務年数の差異、労働時間の状況、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合その他のその事業における女性の職業生活における活躍に関する状況を把握し、女性の職業生活における活躍を推進するために改善すべき事情について分析した上で、その結果を勘案して、これを定めなければならない。この場合において、前項第二号の目標については、採用する労働者に占める女性労働者の割合、男女の継続勤務年数の差異の縮小の割合、労働時間、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合その他の数値を用いて定量的に定めなければならない。 4 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を定め、又は変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、これを労働者に周知させるための措置を講じなければならない。 5 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を定め、又は変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、これを公表しなければならない。 6 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画に基づく取組を実施するとともに、一般事業主行動計画に定められた目標を達成するよう努めなければならない。 7 一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が百人以下のものは、事業主行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画を定め、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出るよう努めなければならない。これを変更したときも、同様とする。 8 第三項の規定は前項に規定する一般事業主が一般事業主行動計画を定め、又は変更しようとする場合について、第四項から第六項までの規定は前項に規定する一般事業主が一般事業主行動計画を定め、又は変更した場合について、それぞれ準用する。 (基準に適合する一般事業主の認定) 第九条 厚生労働大臣は、前条第一項又は第七項の規定による届出をした一般事業主からの申請に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業主について、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関し、当該取組の実施の状況が優良なものであることその他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができる。 (認定一般事業主の表示等) 第十条 前条の認定を受けた一般事業主(以下「認定一般事業主」という。)は、商品、役務の提供の用に供する物、商品又は役務の広告又は取引に用いる書類若しくは通信その他の厚生労働省令で定めるもの(次項及び第十四条第一項において「商品等」という。)に厚生労働大臣の定める表示を付することができる。 2 何人も、前項の規定による場合を除くほか、商品等に同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。 (認定の取消し) 第十一条 厚生労働大臣は、認定一般事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、第九条の認定を取り消すことができる。 一 第九条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき。 二 この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき。 三 不正の手段により第九条の認定を受けたとき。 (基準に適合する認定一般事業主の認定) 第十二条 厚生労働大臣は、認定一般事業主からの申請に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業主について、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関し、当該事業主の策定した一般事業主行動計画に基づく取組を実施し、当該一般事業主行動計画に定められた目標を達成したこと、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十三条の二に規定する業務を担当する者及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二十九条に規定する業務を担当する者を選任していること、当該女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施の状況が特に優良なものであることその他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができる。 (特例認定一般事業主の特例等) 第十三条 前条の認定を受けた一般事業主(以下「特例認定一般事業主」という。)については、第八条第一項及び第七項の規定は、適用しない。 2 特例認定一般事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年少なくとも一回、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施の状況を公表しなければならない。 (特例認定一般事業主の表示等) 第十四条 特例認定一般事業主は、商品等に厚生労働大臣の定める表示を付することができる。 2 第十条第二項の規定は、前項の表示について準用する。 (特例認定一般事業主の認定の取消し) 第十五条 厚生労働大臣は、特例認定一般事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、第十二条の認定を取り消すことができる。 一 第十一条の規定により第九条の認定を取り消すとき。 二 第十二条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき。 三 第十三条第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。 四 前号に掲げる場合のほか、この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき。 五 不正の手段により第十二条の認定を受けたとき。 (委託募集の特例等) 第十六条 承認中小事業主団体の構成員である中小事業主(一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が三百人以下のものをいう。以下この項及び次項において同じ。)が、当該承認中小事業主団体をして女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施に関し必要な労働者の募集を行わせようとする場合において、当該承認中小事業主団体が当該募集に従事しようとするときは、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十六条第一項及び第三項の規定は、当該構成員である中小事業主については、適用しない。 2 この条及び次条において「承認中小事業主団体」とは、事業協同組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合若しくはその連合会であって厚生労働省令で定めるもの又は一般社団法人で中小事業主を直接又は間接の構成員とするもの(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)のうち、その構成員である中小事業主に対して女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を実施するための人材確保に関する相談及び援助を行うものであって、その申請に基づいて、厚生労働大臣が、当該相談及び援助を適切に行うための厚生労働省令で定める基準に適合する旨の承認を行ったものをいう。 3 厚生労働大臣は、承認中小事業主団体が前項に規定する基準に適合しなくなったと認めるときは、同項の承認を取り消すことができる。 4 承認中小事業主団体は、第一項に規定する募集に従事しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、募集時期、募集人員、募集地域その他の労働者の募集に関する事項で厚生労働省令で定めるものを厚生労働大臣に届け出なければならない。 5 職業安定法第三十七条第二項の規定は前項の規定による届出があった場合について、同法第五条の三第一項及び第四項、第五条の四、第三十九条、第四十一条第二項、第四十二条第一項、第四十二条の二、第四十八条の三第一項、第四十八条の四、第五十条第一項及び第二項並びに第五十一条の規定は前項の規定による届出をして労働者の募集に従事する者について、同法第四十条の規定は同項の規定による届出をして労働者の募集に従事する者に対する報酬の供与について、同法第五十条第三項及び第四項の規定はこの項において準用する同条第二項に規定する職権を行う場合について、それぞれ準用する。この場合において、同法第三十七条第二項中「労働者の募集を行おうとする者」とあるのは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第十六条第四項の規定による届出をして労働者の募集に従事しようとする者」と、同法第四十一条第二項中「当該労働者の募集の業務の廃止を命じ、又は期間」とあるのは「期間」と読み替えるものとする。 6 職業安定法第三十六条第二項及び第四十二条の三の規定の適用については、同法第三十六条第二項中「前項の」とあるのは「被用者以外の者をして労働者の募集に従事させようとする者がその被用者以外の者に与えようとする」と、同法第四十二条の三中「第三十九条に規定する募集受託者」とあるのは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)第十六条第四項の規定による届出をして労働者の募集に従事する者」とする。 7 厚生労働大臣は、承認中小事業主団体に対し、第二項の相談及び援助の実施状況について報告を求めることができる。 第十七条 公共職業安定所は、前条第四項の規定による届出をして労働者の募集に従事する承認中小事業主団体に対して、雇用情報及び職業に関する調査研究の成果を提供し、かつ、これらに基づき当該募集の内容又は方法について指導することにより、当該募集の効果的かつ適切な実施を図るものとする。 (一般事業主に対する国の援助) 第十八条 国は、第八条第一項若しくは第七項の規定により一般事業主行動計画を策定しようとする一般事業主又はこれらの規定による届出をした一般事業主に対して、一般事業主行動計画の策定、労働者への周知若しくは公表又は一般事業主行動計画に基づく措置が円滑に実施されるように相談その他の援助の実施に努めるものとする。 第三節 特定事業主行動計画 第十九条 国及び地方公共団体の機関、それらの長又はそれらの職員で政令で定めるもの(以下「特定事業主」という。)は、政令で定めるところにより、事業主行動計画策定指針に即して、特定事業主行動計画(特定事業主が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画をいう。以下この条において同じ。)を定めなければならない。 2 特定事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一 計画期間 二 女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標 三 実施しようとする女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容及びその実施時期 3 特定事業主は、特定事業主行動計画を定め、又は変更しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、採用した職員に占める女性職員の割合、男女の継続勤務年数の差異、勤務時間の状況、管理的地位にある職員に占める女性職員の割合その他のその事務及び事業における女性の職業生活における活躍に関する状況を把握し、女性の職業生活における活躍を推進するために改善すべき事情について分析した上で、その結果を勘案して、これを定めなければならない。この場合において、前項第二号の目標については、採用する職員に占める女性職員の割合、男女の継続勤務年数の差異の縮小の割合、勤務時間、管理的地位にある職員に占める女性職員の割合その他の数値を用いて定量的に定めなければならない。 4 特定事業主は、特定事業主行動計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを職員に周知させるための措置を講じなければならない。 5 特定事業主は、特定事業主行動計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 6 特定事業主は、毎年少なくとも一回、特定事業主行動計画に基づく取組の実施の状況を公表しなければならない。 7 特定事業主は、特定事業主行動計画に基づく取組を実施するとともに、特定事業主行動計画に定められた目標を達成するよう努めなければならない。 第四節 女性の職業選択に資する情報の公表 (一般事業主による女性の職業選択に資する情報の公表) 第二十条 第八条第一項に規定する一般事業主(常時雇用する労働者の数が三百人を超えるものに限る。)は、厚生労働省令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関する次に掲げる情報を定期的に公表しなければならない。 一 その雇用し、又は雇用しようとする女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績 二 その雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績 2 第八条第一項に規定する一般事業主(前項に規定する一般事業主を除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関する前項各号に掲げる情報の少なくともいずれか一方を定期的に公表しなければならない。 3 第八条第七項に規定する一般事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関する第一項各号に掲げる情報の少なくともいずれか一方を定期的に公表するよう努めなければならない。 (特定事業主による女性の職業選択に資する情報の公表) 第二十一条 特定事業主は、内閣府令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事務及び事業における女性の職業生活における活躍に関する次に掲げる情報を定期的に公表しなければならない。 一 その任用し、又は任用しようとする女性に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績 二 その任用する職員の職業生活と家庭生活との両立に資する勤務環境の整備に関する実績 第四章 女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置 (職業指導等の措置等) 第二十二条 国は、女性の職業生活における活躍を推進するため、職業指導、職業紹介、職業訓練、創業の支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 2 地方公共団体は、女性の職業生活における活躍を推進するため、前項の措置と相まって、職業生活を営み、又は営もうとする女性及びその家族その他の関係者からの相談に応じ、関係機関の紹介その他の情報の提供、助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 3 地方公共団体は、前項に規定する業務に係る事務の一部を、その事務を適切に実施することができるものとして内閣府令で定める基準に適合する者に委託することができる。 4 前項の規定による委託に係る事務に従事する者又は当該事務に従事していた者は、正当な理由なく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (財政上の措置等) 第二十三条 国は、女性の職業生活における活躍の推進に関する地方公共団体の施策を支援するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。 (国等からの受注機会の増大) 第二十四条 国は、女性の職業生活における活躍の推進に資するため、国及び公庫等(沖縄振興開発金融公庫その他の特別の法律によって設立された法人であって政令で定めるものをいう。)の役務又は物件の調達に関し、予算の適正な使用に留意しつつ、認定一般事業主、特例認定一般事業主その他の女性の職業生活における活躍に関する状況又は女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施の状況が優良な一般事業主(次項において「認定一般事業主等」という。)の受注の機会の増大その他の必要な施策を実施するものとする。 2 地方公共団体は、国の施策に準じて、認定一般事業主等の受注の機会の増大その他の必要な施策を実施するように努めるものとする。 (啓発活動) 第二十五条 国及び地方公共団体は、女性の職業生活における活躍の推進について、国民の関心と理解を深め、かつ、その協力を得るとともに、必要な啓発活動を行うものとする。 (情報の収集、整理及び提供) 第二十六条 国は、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に資するよう、国内外における女性の職業生活における活躍の状況及び当該取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 (協議会) 第二十七条 当該地方公共団体の区域において女性の職業生活における活躍の推進に関する事務及び事業を行う国及び地方公共団体の機関(以下この条において「関係機関」という。)は、第二十二条第一項の規定により国が講ずる措置及び同条第二項の規定により地方公共団体が講ずる措置に係る事例その他の女性の職業生活における活躍の推進に有用な情報を活用することにより、当該区域において女性の職業生活における活躍の推進に関する取組が効果的かつ円滑に実施されるようにするため、関係機関により構成される協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。 2 協議会を組織する関係機関は、当該地方公共団体の区域内において第二十二条第三項の規定による事務の委託がされている場合には、当該委託を受けた者を協議会の構成員として加えるものとする。 3 協議会を組織する関係機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。 一 一般事業主の団体又はその連合団体 二 学識経験者 三 その他当該関係機関が必要と認める者 4 協議会は、関係機関及び前二項の構成員(以下この項において「関係機関等」という。)が相互の連絡を図ることにより、女性の職業生活における活躍の推進に有用な情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた女性の職業生活における活躍の推進に関する取組について協議を行うものとする。 5 協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。 (秘密保持義務) 第二十八条 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (協議会の定める事項) 第二十九条 前二条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。 第五章 雑則 (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告) 第三十条 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、第八条第一項に規定する一般事業主又は認定一般事業主若しくは特例認定一般事業主である同条第七項に規定する一般事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。 (公表) 第三十一条 厚生労働大臣は、第二十条第一項若しくは第二項の規定による公表をせず、若しくは虚偽の公表をした第八条第一項に規定する一般事業主又は第二十条第三項に規定する情報に関し虚偽の公表をした認定一般事業主若しくは特例認定一般事業主である第八条第七項に規定する一般事業主に対し、前条の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。 (権限の委任) 第三十二条 第八条、第九条、第十一条、第十二条、第十五条、第十六条、第三十条及び前条に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。 (政令への委任) 第三十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。 第六章 罰則 第三十四条 第十六条第五項において準用する職業安定法第四十一条第二項の規定による業務の停止の命令に違反して、労働者の募集に従事した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 第三十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 一 第二十二条第四項の規定に違反して秘密を漏らした者 二 第二十八条の規定に違反して秘密を漏らした者 第三十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。 一 第十六条第四項の規定による届出をしないで、労働者の募集に従事した者 二 第十六条第五項において準用する職業安定法第三十七条第二項の規定による指示に従わなかった者 三 第十六条第五項において準用する職業安定法第三十九条又は第四十条の規定に違反した者 第三十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 一 第十条第二項(第十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者 二 第十六条第五項において準用する職業安定法第五十条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者 三 第十六条第五項において準用する職業安定法第五十条第二項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者 四 第十六条第五項において準用する職業安定法第五十一条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者 第三十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十四条、第三十六条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 第三十九条 第三十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。 附 則 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章(第七条を除く。)、第五章(第二十八条を除く。)及び第六章(第三十条を除く。)の規定並びに附則第五条の規定は、平成二十八年四月一日から施行する。 (この法律の失効) 第二条 この法律は、平成三十八年三月三十一日限り、その効力を失う。 2 第二十二条第三項の規定による委託に係る事務に従事していた者の当該事務に関して知り得た秘密については、同条第四項の規定(同項に係る罰則を含む。)は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。 3 協議会の事務に従事していた者の当該事務に関して知り得た秘密については、第二十八条の規定(同条に係る罰則を含む。)は、第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。 4 この法律の失効前にした行為に対する罰則の適用については、この法律は、第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。 (政令への委任) 第三条 前条第二項から第四項までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。 (検討) 第四条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 附 則 (平成二九年三月三一日法律第一四号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十九年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 第一条中雇用保険法第六十四条の次に一条を加える改正規定及び附則第三十五条の規定 公布の日 二・三 略 四 第二条中雇用保険法第十条の四第二項、第五十八条第一項、第六十条の二第四項、第七十六条第二項及び第七十九条の二並びに附則第十一条の二第一項の改正規定並びに同条第三項の改正規定(「百分の五十を」を「百分の八十を」に改める部分に限る。)、第四条の規定並びに第七条中育児・介護休業法第五十三条第五項及び第六項並びに第六十四条の改正規定並びに附則第五条から第八条まで及び第十条の規定、附則第十三条中国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第十条第十項第五号の改正規定、附則第十四条第二項及び第十七条の規定、附則第十八条(次号に掲げる規定を除く。)の規定、附則第十九条中高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)第三十八条第三項の改正規定(「第四条第八項」を「第四条第九項」に改める部分に限る。)、附則第二十条中建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和五十一年法律第三十三号)第三十条第一項の表第四条第八項の項、第三十二条の十一から第三十二条の十五まで、第三十二条の十六第一項及び第五十一条の項及び第四十八条の三及び第四十八条の四第一項の項の改正規定、附則第二十一条、第二十二条、第二十六条から第二十八条まで及び第三十二条の規定並びに附則第三十三条(次号に掲げる規定を除く。)の規定 平成三十年一月一日 (罰則に関する経過措置) 第三十四条 この法律(附則第一条第四号に掲げる規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。 (その他の経過措置の政令への委任) 第三十五条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。 附 則 (令和元年六月五日法律第二四号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 第三条中労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第四条の改正規定並びに次条及び附則第六条の規定 公布の日 二 第二条の規定 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日 (罰則に関する経過措置) 第五条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。 (政令への委任) 第六条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。 (検討) 第七条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。   4 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律 (平成十三年四月十三日法律第三十一号) 最終改正:令和元年法律第四十六号 目次 前文 第一章 総則(第一条・第二条) 第一章の二 基本方針及び都道府県基本計画等(第二条の二・第二条の三) 第二章 配偶者暴力相談支援センター等(第三条―第五条) 第三章 被害者の保護(第六条―第九条の二) 第四章 保護命令(第十条―第二十二条) 第五章 雑則(第二十三条―第二十八条) 第五章の二 補則(第二十八条の二) 第六章 罰則(第二十九条・第三十条) 附則 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、人権の擁護と男女平等の実現に向けた取組が行われている。 ところが、配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかった。また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。 このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。 ここに、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備することにより、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、この法律を制定する。 第一章 総則 (定義) 第一条 この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(以下この項及び第二十八条の二において「身体に対する暴力等」と総称する。)をいい、配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むものとする。 2 この法律において「被害者」とは、配偶者からの暴力を受けた者をいう。 3 この法律にいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含むものとする。 (国及び地方公共団体の責務) 第二条 国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力を防止するとともに、被害者の自立を支援することを含め、その適切な保護を図る責務を有する。 第一章の二 基本方針及び都道府県基本計画等 (基本方針) 第二条の二 内閣総理大臣、国家公安委員会、法務大臣及び厚生労働大臣(以下この条及び次条第五項において「主務大臣」という。)は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針(以下この条並びに次条第一項及び第三項において「基本方針」という。)を定めなければならない。 2 基本方針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の都道府県基本計画及び同条第三項の市町村基本計画の指針となるべきものを定めるものとする。 一 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本的な事項 二 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の内容に関する事項 三 その他配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する重要事項 3 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。 4 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 (都道府県基本計画等) 第二条の三 都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県における配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本的な計画(以下この条において「都道府県基本計画」という。)を定めなければならない。 2 都道府県基本計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本的な方針 二 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施内容に関する事項 三 その他配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する重要事項 3 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、基本方針に即し、かつ、都道府県基本計画を勘案して、当該市町村における配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本的な計画(以下この条において「市町村基本計画」という。)を定めるよう努めなければならない。 4 都道府県又は市町村は、都道府県基本計画又は市町村基本計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 5 主務大臣は、都道府県又は市町村に対し、都道府県基本計画又は市町村基本計画の作成のために必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならない。 第二章 配偶者暴力相談支援センター等 (配偶者暴力相談支援センター) 第三条 都道府県は、当該都道府県が設置する婦人相談所その他の適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとする。 2 市町村は、当該市町村が設置する適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするよう努めるものとする。 3 配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のため、次に掲げる業務を行うものとする。 一 被害者に関する各般の問題について、相談に応ずること又は婦人相談員若しくは相談を行う機関を紹介すること。 二 被害者の心身の健康を回復させるため、医学的又は心理学的な指導その他の必要な指導を行うこと。 三 被害者(被害者がその家族を同伴する場合にあっては、被害者及びその同伴する家族。次号、第六号、第五条、第八条の三及び第九条において同じ。)の緊急時における安全の確保及び一時保護を行うこと。 四 被害者が自立して生活することを促進するため、就業の促進、住宅の確保、援護等に関する制度の利用等について、情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助を行うこと。 五 第四章に定める保護命令の制度の利用について、情報の提供、助言、関係機関への連絡その他の援助を行うこと。 六 被害者を居住させ保護する施設の利用について、情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助を行うこと。 4 前項第三号の一時保護は、婦人相談所が、自ら行い、又は厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行うものとする。 5 配偶者暴力相談支援センターは、その業務を行うに当たっては、必要に応じ、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体との連携に努めるものとする。 (婦人相談員による相談等) 第四条 婦人相談員は、被害者の相談に応じ、必要な指導を行うことができる。 (婦人保護施設における保護) 第五条 都道府県は、婦人保護施設において被害者の保護を行うことができる。 第三章 被害者の保護 (配偶者からの暴力の発見者による通報等) 第六条 配偶者からの暴力(配偶者又は配偶者であった者からの身体に対する暴力に限る。以下この章において同じ。)を受けている者を発見した者は、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない。 2 医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報することができる。この場合において、その者の意思を尊重するよう努めるものとする。 3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前二項の規定により通報することを妨げるものと解釈してはならない。 4 医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その者に対し、配偶者暴力相談支援センター等の利用について、その有する情報を提供するよう努めなければならない。 (配偶者暴力相談支援センターによる保護についての説明等) 第七条 配偶者暴力相談支援センターは、被害者に関する通報又は相談を受けた場合には、必要に応じ、被害者に対し、第三条第三項の規定により配偶者暴力相談支援センターが行う業務の内容について説明及び助言を行うとともに、必要な保護を受けることを勧奨するものとする。 (警察官による被害の防止) 第八条 警察官は、通報等により配偶者からの暴力が行われていると認めるときは、警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)、警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)その他の法令の定めるところにより、暴力の制止、被害者の保護その他の配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 (警察本部長等の援助) 第八条の二 警視総監若しくは道府県警察本部長(道警察本部の所在地を包括する方面を除く方面については、方面本部長。第十五条第三項において同じ。)又は警察署長は、配偶者からの暴力を受けている者から、配偶者からの暴力による被害を自ら防止するための援助を受けたい旨の申出があり、その申出を相当と認めるときは、当該配偶者からの暴力を受けている者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該被害を自ら防止するための措置の教示その他配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な援助を行うものとする。 (福祉事務所による自立支援) 第八条の三 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所(次条において「福祉事務所」という。)は、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)、母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)その他の法令の定めるところにより、被害者の自立を支援するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 (被害者の保護のための関係機関の連携協力) 第九条 配偶者暴力相談支援センター、都道府県警察、福祉事務所、児童相談所その他の都道府県又は市町村の関係機関その他の関係機関は、被害者の保護を行うに当たっては、その適切な保護が行われるよう、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。 (苦情の適切かつ迅速な処理) 第九条の二 前条の関係機関は、被害者の保護に係る職員の職務の執行に関して被害者から苦情の申出を受けたときは、適切かつ迅速にこれを処理するよう努めるものとする。 第四章 保護命令 (保護命令) 第十条 被害者(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫(被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫をいう。以下この章において同じ。)を受けた者に限る。以下この章において同じ。)が、配偶者からの身体に対する暴力を受けた者である場合にあっては配偶者からの更なる身体に対する暴力(配偶者からの身体に対する暴力を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力。第十二条第一項第二号において同じ。)により、配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた者である場合にあっては配偶者から受ける身体に対する暴力(配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力。同号において同じ。)により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者。以下この条、同項第三号及び第四号並びに第十八条第一項において同じ。)に対し、次の各号に掲げる事項を命ずるものとする。ただし、第二号に掲げる事項については、申立ての時において被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。 一 命令の効力が生じた日から起算して六月間、被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この号において同じ。)その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないこと。 二 命令の効力が生じた日から起算して二月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること及び当該住居の付近をはいかいしてはならないこと。 2 前項本文に規定する場合において、同項第一号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して六月を経過する日までの間、被害者に対して次の各号に掲げるいずれの行為もしてはならないことを命ずるものとする。 一 面会を要求すること。 二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。 三 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。 四 電話をかけて何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。 五 緊急やむを得ない場合を除き、午後十時から午前六時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メールを送信すること。 六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。 七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。 八 その性的羞しゆう恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。 3 第一項本文に規定する場合において、被害者がその成年に達しない子(以下この項及び次項並びに第十二条第一項第三号において単に「子」という。)と同居しているときであって、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、第一項第一号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して六月を経過する日までの間、当該子の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)、就学する学校その他の場所において当該子の身辺につきまとい、又は当該子の住居、就学する学校その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。ただし、当該子が十五歳以上であるときは、その同意がある場合に限る。 4 第一項本文に規定する場合において、配偶者が被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者(被害者と同居している子及び配偶者と同居している者を除く。以下この項及び次項並びに第十二条第一項第四号において「親族等」という。)の住居に押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、第一項第一号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して六月を経過する日までの間、当該親族等の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)その他の場所において当該親族等の身辺につきまとい、又は当該親族等の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。 5 前項の申立ては、当該親族等(被害者の十五歳未満の子を除く。以下この項において同じ。)の同意(当該親族等が十五歳未満の者又は成年被後見人である場合にあっては、その法定代理人の同意)がある場合に限り、することができる。 (管轄裁判所) 第十一条 前条第一項の規定による命令の申立てに係る事件は、相手方の住所(日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 前条第一項の規定による命令の申立ては、次の各号に掲げる地を管轄する地方裁判所にもすることができる。 一 申立人の住所又は居所の所在地 二 当該申立てに係る配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫が行われた地 (保護命令の申立て) 第十二条 第十条第一項から第四項までの規定による命令(以下「保護命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。 一 配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた状況 二 配偶者からの更なる身体に対する暴力又は配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた後の配偶者から受ける身体に対する暴力により、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる申立ての時における事情 三 第十条第三項の規定による命令の申立てをする場合にあっては、被害者が当該同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため当該命令を発する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情 四 第十条第四項の規定による命令の申立てをする場合にあっては、被害者が当該親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため当該命令を発する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情 五 配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し、前各号に掲げる事項について相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実の有無及びその事実があるときは、次に掲げる事項 イ 当該配偶者暴力相談支援センター又は当該警察職員の所属官署の名称 ロ 相談し、又は援助若しくは保護を求めた日時及び場所 ハ 相談又は求めた援助若しくは保護の内容 ニ 相談又は申立人の求めに対して執られた措置の内容 2 前項の書面(以下「申立書」という。)に同項第五号イからニまでに掲げる事項の記載がない場合には、申立書には、同項第一号から第四号までに掲げる事項についての申立人の供述を記載した書面で公証人法(明治四十一年法律第五十三号)第五十八条ノ二第一項の認証を受けたものを添付しなければならない。 (迅速な裁判) 第十三条 裁判所は、保護命令の申立てに係る事件については、速やかに裁判をするものとする。 (保護命令事件の審理の方法) 第十四条 保護命令は、口頭弁論又は相手方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより保護命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。 2 申立書に第十二条第一項第五号イからニまでに掲げる事項の記載がある場合には、裁判所は、当該配偶者暴力相談支援センター又は当該所属官署の長に対し、申立人が相談し又は援助若しくは保護を求めた際の状況及びこれに対して執られた措置の内容を記載した書面の提出を求めるものとする。この場合において、当該配偶者暴力相談支援センター又は当該所属官署の長は、これに速やかに応ずるものとする。 3 裁判所は、必要があると認める場合には、前項の配偶者暴力相談支援センター若しくは所属官署の長又は申立人から相談を受け、若しくは援助若しくは保護を求められた職員に対し、同項の規定により書面の提出を求めた事項に関して更に説明を求めることができる。 (保護命令の申立てについての決定等) 第十五条 保護命令の申立てについての決定には、理由を付さなければならない。ただし、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りる。 2 保護命令は、相手方に対する決定書の送達又は相手方が出頭した口頭弁論若しくは審尋の期日における言渡しによって、その効力を生ずる。 3 保護命令を発したときは、裁判所書記官は、速やかにその旨及びその内容を申立人の住所又は居所を管轄する警視総監又は道府県警察本部長に通知するものとする。 4 保護命令を発した場合において、申立人が配偶者暴力相談支援センターの職員に対し相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実があり、かつ、申立書に当該事実に係る第十二条第一項第五号イからニまでに掲げる事項の記載があるときは、裁判所書記官は、速やかに、保護命令を発した旨及びその内容を、当該申立書に名称が記載された配偶者暴力相談支援センター(当該申立書に名称が記載された配偶者暴力相談支援センターが二以上ある場合にあっては、申立人がその職員に対し相談し、又は援助若しくは保護を求めた日時が最も遅い配偶者暴力相談支援センター)の長に通知するものとする。 5 保護命令は、執行力を有しない。 (即時抗告) 第十六条 保護命令の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 2 前項の即時抗告は、保護命令の効力に影響を及ぼさない。 3 即時抗告があった場合において、保護命令の取消しの原因となることが明らかな事情があることにつき疎明があったときに限り、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、保護命令の効力の停止を命ずることができる。事件の記録が原裁判所に存する間は、原裁判所も、この処分を命ずることができる。 4 前項の規定により第十条第一項第一号の規定による命令の効力の停止を命ずる場合において、同条第二項から第四項までの規定による命令が発せられているときは、裁判所は、当該命令の効力の停止をも命じなければならない。 5 前二項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 6 抗告裁判所が第十条第一項第一号の規定による命令を取り消す場合において、同条第二項から第四項までの規定による命令が発せられているときは、抗告裁判所は、当該命令をも取り消さなければならない。 7 前条第四項の規定による通知がされている保護命令について、第三項若しくは第四項の規定によりその効力の停止を命じたとき又は抗告裁判所がこれを取り消したときは、裁判所書記官は、速やかに、その旨及びその内容を当該通知をした配偶者暴力相談支援センターの長に通知するものとする。 8 前条第三項の規定は、第三項及び第四項の場合並びに抗告裁判所が保護命令を取り消した場合について準用する。 (保護命令の取消し) 第十七条 保護命令を発した裁判所は、当該保護命令の申立てをした者の申立てがあった場合には、当該保護命令を取り消さなければならない。第十条第一項第一号又は第二項から第四項までの規定による命令にあっては同号の規定による命令が効力を生じた日から起算して三月を経過した後において、同条第一項第二号の規定による命令にあっては当該命令が効力を生じた日から起算して二週間を経過した後において、これらの命令を受けた者が申し立て、当該裁判所がこれらの命令の申立てをした者に異議がないことを確認したときも、同様とする。 2 前条第六項の規定は、第十条第一項第一号の規定による命令を発した裁判所が前項の規定により当該命令を取り消す場合について準用する。 3 第十五条第三項及び前条第七項の規定は、前二項の場合について準用する。 (第十条第一項第二号の規定による命令の再度の申立て) 第十八条 第十条第一項第二号の規定による命令が発せられた後に当該発せられた命令の申立ての理由となった身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫と同一の事実を理由とする同号の規定による命令の再度の申立てがあったときは、裁判所は、配偶者と共に生活の本拠としている住居から転居しようとする被害者がその責めに帰することのできない事由により当該発せられた命令の効力が生ずる日から起算して二月を経過する日までに当該住居からの転居を完了することができないことその他の同号の規定による命令を再度発する必要があると認めるべき事情があるときに限り、当該命令を発するものとする。ただし、当該命令を発することにより当該配偶者の生活に特に著しい支障を生ずると認めるときは、当該命令を発しないことができる。 2 前項の申立てをする場合における第十二条の規定の適用については、同条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる事項」とあるのは「第一号、第二号及び第五号に掲げる事項並びに第十八条第一項本文の事情」と、同項第五号中「前各号に掲げる事項」とあるのは「第一号及び第二号に掲げる事項並びに第十八条第一項本文の事情」と、同条第二項中「同項第一号から第四号までに掲げる事項」とあるのは「同項第一号及び第二号に掲げる事項並びに第十八条第一項本文の事情」とする。 (事件の記録の閲覧等) 第十九条 保護命令に関する手続について、当事者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。ただし、相手方にあっては、保護命令の申立てに関し口頭弁論若しくは相手方を呼び出す審尋の期日の指定があり、又は相手方に対する保護命令の送達があるまでの間は、この限りでない。 (法務事務官による宣誓認証) 第二十条 法務局若しくは地方法務局又はその支局の管轄区域内に公証人がいない場合又は公証人がその職務を行うことができない場合には、法務大臣は、当該法務局若しくは地方法務局又はその支局に勤務する法務事務官に第十二条第二項(第十八条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の認証を行わせることができる。 (民事訴訟法の準用) 第二十一条 この法律に特別の定めがある場合を除き、保護命令に関する手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定を準用する。 (最高裁判所規則) 第二十二条 この法律に定めるもののほか、保護命令に関する手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 第五章 雑則 (職務関係者による配慮等) 第二十三条 配偶者からの暴力に係る被害者の保護、捜査、裁判等に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は、その職務を行うに当たり、被害者の心身の状況、その置かれている環境等を踏まえ、被害者の国籍、障害の有無等を問わずその人権を尊重するとともに、その安全の確保及び秘密の保持に十分な配慮をしなければならない。 2 国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、被害者の人権、配偶者からの暴力の特性等に関する理解を深めるために必要な研修及び啓発を行うものとする。 (教育及び啓発) 第二十四条 国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。 (調査研究の推進等) 第二十五条 国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に資するため、加害者の更生のための指導の方法、被害者の心身の健康を回復させるための方法等に関する調査研究の推進並びに被害者の保護に係る人材の養成及び資質の向上に努めるものとする。 (民間の団体に対する援助) 第二十六条 国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとする。 (都道府県及び市の支弁) 第二十七条 都道府県は、次の各号に掲げる費用を支弁しなければならない。 一 第三条第三項の規定に基づき同項に掲げる業務を行う婦人相談所の運営に要する費用(次号に掲げる費用を除く。) 二 第三条第三項第三号の規定に基づき婦人相談所が行う一時保護(同条第四項に規定する厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行う場合を含む。)に要する費用 三 第四条の規定に基づき都道府県知事の委嘱する婦人相談員が行う業務に要する費用 四 第五条の規定に基づき都道府県が行う保護(市町村、社会福祉法人その他適当と認める者に委託して行う場合を含む。)及びこれに伴い必要な事務に要する費用 2 市は、第四条の規定に基づきその長の委嘱する婦人相談員が行う業務に要する費用を支弁しなければならない。 (国の負担及び補助) 第二十八条 国は、政令の定めるところにより、都道府県が前条第一項の規定により支弁した費用のうち、同項第一号及び第二号に掲げるものについては、その十分の五を負担するものとする。 2 国は、予算の範囲内において、次の各号に掲げる費用の十分の五以内を補助することができる。 一 都道府県が前条第一項の規定により支弁した費用のうち、同項第三号及び第四号に掲げるもの 二 市が前条第二項の規定により支弁した費用 第五章の二 補則 (この法律の準用) 第二十八条の二 第二条及び第一章の二から前章までの規定は、生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。)をする関係にある相手からの暴力(当該関係にある相手からの身体に対する暴力等をいい、当該関係にある相手からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が当該関係を解消した場合にあっては、当該関係にあった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含む。)及び当該暴力を受けた者について準用する。この場合において、これらの規定中「配偶者からの暴力」とあるのは「第二十八条の二に規定する関係にある相手からの暴力」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第二条 被害者 被害者(第二十八条の二に規定する関係にある相手からの暴力を受けた者をいう。以下同じ。) 第六条第一項 配偶者又は配偶者であった者 同条に規定する関係にある相手又は同条に規定する関係にある相手であった者 第十条第一項から第四項まで、第十一条第二項第二号、第十二条第一項第一号から第四号まで及び第十八条第一項 配偶者 第二十八条の二に規定する関係にある相手 第十条第一項 離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合 第二十八条の二に規定する関係を解消した場合   第六章 罰則 第二十九条 保護命令(前条において読み替えて準用する第十条第一項から第四項までの規定によるものを含む。次条において同じ。)に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 第三十条 第十二条第一項(第十八条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第二十八条の二において読み替えて準用する第十二条第一項(第二十八条の二において準用する第十八条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により記載すべき事項について虚偽の記載のある申立書により保護命令の申立てをした者は、十万円以下の過料に処する。 附 則 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。ただし、第二章、第六条(配偶者暴力相談支援センターに係る部分に限る。)、第七条、第九条(配偶者暴力相談支援センターに係る部分に限る。)、第二十七条及び第二十八条の規定は、平成十四年四月一日から施行する。 (経過措置) 第二条 平成十四年三月三十一日までに婦人相談所に対し被害者が配偶者からの身体に対する暴力に関して相談し、又は援助若しくは保護を求めた場合における当該被害者からの保護命令の申立てに係る事件に関する第十二条第一項第四号並びに第十四条第二項及び第三項の規定の適用については、これらの規定中「配偶者暴力相談支援センター」とあるのは、「婦人相談所」とする。 (検討) 第三条 この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。 附 則 (平成一六年六月二日法律第六四号) (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。 (経過措置) 第二条 この法律の施行前にしたこの法律による改正前の配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(次項において「旧法」という。)第十条の規定による命令の申立てに係る同条の規定による命令に関する事件については、なお従前の例による。 2 旧法第十条第二号の規定による命令が発せられた後に当該命令の申立ての理由となった身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものと同一の事実を理由とするこの法律による改正後の配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下「新法」という。)第十条第一項第二号の規定による命令の申立て(この法律の施行後最初にされるものに限る。)があった場合における新法第十八条第一項の規定の適用については、同項中「二月」とあるのは、「二週間」とする。 (検討) 第三条 新法の規定については、この法律の施行後三年を目途として、新法の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。 附 則 (平成一九年七月一一日法律第一一三号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。 (経過措置) 第二条 この法律の施行前にしたこの法律による改正前の配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第十条の規定による命令の申立てに係る同条の規定による命令に関する事件については、なお従前の例による。 附 則 (平成二五年七月三日法律第七二号) 抄 (施行期日) 1 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。 附 則 (平成二六年四月二三日法律第二八号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 略 二 第二条並びに附則第三条、第七条から第十条まで、第十二条及び第十五条から第十八条までの規定 平成二十六年十月一日 附 則 (令和元年六月二六日法律第四六号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、令和二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 附則第四条、第七条第一項及び第八条の規定 公布の日 (その他の経過措置の政令への委任) 第四条 前二条に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。 (検討等) 第八条 政府は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行後三年を目途に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第六条第一項及び第二項の通報の対象となる同条第一項に規定する配偶者からの暴力の形態並びに同法第十条第一項から第四項までの規定による命令の申立てをすることができる同条第一項に規定する被害者の範囲の拡大について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 2 政府は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行後三年を目途に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第一条第一項に規定する配偶者からの暴力に係る加害者の地域社会における更生のための指導及び支援の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 5 「世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会」構成委員 (敬称略) 池田 ひかり 明治学院大学ハラスメント相談支援センターコーディネーター 男女共同参画推進部会 上杉 崇子 弁護士 男女共同参画推進部会   上田 啓子 世田谷区町会総連合会副会長(令和3年7月12日から) 多文化共生推進部会 会長 江原 由美子 東京都立大学名誉教授 男女共同参画推進部会   加藤 秀一 明治学院大学社会学部教授 男女共同参画推進部会   小島 和子 世田谷区人権擁護委員 男女共同参画推進部会   ゴロウィナ・クセーニヤ イクリスせたがや 副代表 多文化共生推進部会   蔡 和美 公募委員 男女共同参画推進部会、多文化共生推進部会   斎藤 利治 NPO法人アジアの新しい風 理事 多文化共生推進部会 霜崎 敏一 東京商工会議所 世田谷支部 事務局長 男女共同参画推進部会   田村 太郎 一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事 多文化共生推進部会   藤井 美香 公益財団法人横浜市国際交流協会 多文化共生推進部会   藤原 由佳 公募委員 男女共同参画推進部会、多文化共生推進部会   藥師 実芳 NPO法人Rebit 代表理事 男女共同参画推進部会 矢島 嗣久 世田谷区町会総連合会副会長(令和3年6月30日まで) 多文化共生推進部会 副会長 山脇 啓造 明治大学国際日本学部教授 多文化共生推進部会   6 世田谷区男女共同参画推進会議、同幹事会、「(仮称)第二次男女共同参画プラン調整計画」策定検討にかかる作業部会 構成員 (令和3年6月1日現在) (1)世田谷区男女共同参画推進会議 副区長 教育長 世田谷総合支所長 北沢総合支所長 玉川総合支所長 砧総合支所長 烏山総合支所長 政策経営部長 デジタル改革担当部長 交流推進担当部長 総務部長 庁舎整備担当部長 区長室長 危機管理部長 財務部長 施設営繕担当部長 生活文化政策部長 地域行政部長 スポーツ推進部長 環境政策部長 経済産業部長 清掃・リサイクル部長 保健福祉政策部長 高齢福祉部長 障害福祉部長 子ども・若者部長 児童相談所長 保育部長 世田谷保健所長 住民接種担当部長 技監 都市整備政策部長 防災街づくり担当部長 みどり33推進担当部長 道路・交通計画部長 土木部長 会計管理者 教育監 教育総務部長 教育政策部長 生涯学習部長 区議会事務局長 選挙管理委員会事務局長 監査事務局長 (2)世田谷区男女共同参画推進会議幹事会 生活文化政策部長 総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課長(代表) 政策経営部政策企画課長 総務部職員厚生課長 経済産業部工業・ものづくり・雇用促進課長 保健福祉政策部保健福祉政策課長 子ども・若者部子ども育成推進課長 都市整備政策部都市計画課長 教育委員会事務局教育総務課長 生活文化政策部人権・男女共同参画担当課長 (3)「(仮称)第二次男女共同参画プラン調整計画」策定検討にかかる作業部会 ① 女性活躍推進とワーク・ライフ・バランス関連作業部会 総合支所地域振興課生涯学習・施設担当係長(代表:烏山) 総合支所保健福祉センター健康づくり課事業係長(代表:砧) 災害対策課災害対策担当係長 工業・ものづくり・雇用促進課工業・ものづくり・建設・雇用促進担当係長 介護予防・地域支援課介護予防・地域支援担当係長 児童課児童育成担当係長 子ども家庭課子ども・子育て支援担当係長 保育課保育職員係長 ② DV等暴力防止と被害者支援関連作業部会 総合支所保健福祉センター生活支援課保護・自立促進担当係長(代表:北沢) 総合支所保健福祉センター保健福祉課地域支援担当係長(代表:玉川) 総合支所保健福祉センター保健福祉課障害支援担当係長(代表:砧) 総合支所保健福祉センター健康づくり課保健相談係長(代表:世田谷) 総合支所保健福祉センター子ども家庭支援課子ども家庭支援センター担当係長(代表:玉川) 住民記録・戸籍課住民記録担当係長 国保・年金課資格賦課担当係長 子ども家庭課子ども・子育て支援担当係長 児童相談支援課要保護児童支援担当係長 住宅管理課住宅担当係長 居住支援課居住支援担当係長 学務課就学係長 ③ 男女及び多様な性と人権尊重関連作業部会 子ども家庭課子ども・子育て支援担当係長 世田谷保健所健康企画課計画担当係長 世田谷保健所健康推進課こころと体の健康担当係長 教育指導課指導主事 ④ 区職員・教職員の男女共同参画推進作業部会 人事課障害者活躍推進担当係長 研修担当課研修担当係長 職員厚生課勤務条件担当 教育指導課指導主事 ⑤ 推進体制の整備強化作業部会 市民活動・生涯現役推進課まちづくり推進係長 子ども家庭課子ども・子育て支援担当長   7 「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」策定経過 (1)世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会 令和2年11月16日 令和2年度 第2回審議会 (1)策定にあたっての考え方について(諮問文手交) 令和2年11月16日 令和2年度 第3回男女共同参画推進部会 (1)策定にあたっての検討課題について (2)策定にかかる進め方について 令和3年2月1日 令和2年度 第4回男女共同参画推進部会 (1)男女共同参画社会の考え方について 令和3年6月2日 令和3年度 第1回男女共同参画推進部会 (1)素案たたき台について 令和3年7月1日 令和3年度 第1回審議会 (1)素案について 令和3年7月28日 令和3年度 第2回男女共同参画推進部会 (1)素案の検討状況について 令和3年10月29日 令和3年度 第3回男女共同参画推進部会 (1)策定にあたっての考え方について(答申)(案) (2)計画案について (3)素案に対するパブリックコメントの実施状況について 令和3年11月9日 令和3年度 第2回審議会 (1)策定にあたっての考え方について(答申) (2)計画案について (3)素案に対するパブリックコメントの実施状況について (2)庁内での検討体制 ①男女共同参画推進会議    全4回開催 ②男女共同参画推進会議幹事会 全4回開催 ③作業部会 各2回開催 ・作業部会1「女性活躍推進とワーク・ライフ・バランス関連作業部会」 ・作業部会2「DV等暴力防止と被害者支援関連作業部会」 ・作業部会3「男女及び多様な性と人権尊重関連作業部会」 ・作業部会4「区職員・教職員の男女共同参画推進作業部会」 ・作業部会5「推進体制の整備強化作業部会」 (3)関係団体・事業者等との意見交換 「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」を策定するにあたり、統計データだけでは表われない、地域の課題や現状等を把握し、各基本目標の成果と課題や、今後の方向性の部分に反映させるため、実際に関係団体・事業者等と意見交換する機会を設けた。(全9回) テーマ1:女性のキャリア形成、男女共同参画センター「らぷらす」の機能 令和3年7月8日 テーマ2:ワーク・ライフ・バランス 令和3年7月14日 テーマ3:子育て・地域コミュニティ 令和3年7月9日、令和3年7月21日 テーマ4:若者への理解促進・啓発 令和3年6月16日、令和3年6月22日 テーマ5:DV防止、性犯罪・性暴力の防止 令和3年6月14日、令和3年6月23日 テーマ6:性的マイノリティ等多様な性 令和3年6月28日 【主な意見】 (テーマ1) ・性差より、個性。行政も、いろんな女性像を提案できるといよい。 ・らぷらすも団体の事業に一緒に参加して、それを発信できるとよい。 (テーマ2) ・男女問わず誰もが働きやすい、ハラスメントのない環境をつくることが大事。 (テーマ3) ・父親がイベント・講座等に参加するのはハードルが高い。趣味に関することや、仲間づくりやコミュニケーションの要素があるものだとよい。 ・縦割りを超えて、さまざまな分野で男女共同参画の視点を入れてほしい (テーマ4) ・らぷらすについて、ふらっと入れる施設だと情報発信できたらよい。 ・相談窓口の情報は、カード型のものを学校から配るのが効果的。 (テーマ5) ・いろいろな背景や状況があって性被害を受けていることを理解できる専門家の対応が必要。 ・性教育は人権教育である。生まれた時から、性教育は始まっている (テーマ6) ・啓発物は、子どもたちや子育て中の保護者にも配布してほしい。 ・生活の中で当事者が身近にいることを感じてほしい。  8 パブリックコメント意見要旨 (1)実施期間  令和3年9月15日から10月6日まで (2)寄せられた意見数 はがき 66件 47人 手紙 0件 0人 FAX 0件 0人 持参 0件 0人 ホームページ 41件 18人 その他 0件 0人 合計 107件 65人 (3)意見の概要 計画全体に関すること 12件 計画の目標に関すること 2件 基本目標Ⅰに関すること 9件 基本目標Ⅱに関すること 16件 基本目標Ⅲに関すること 9件 基本目標Ⅳに関すること 17件 方策1に関すること 6件 方策2に関すること 5件 方策3に関すること 6件 計画素案以外の区の施策に関すること 13件 住所氏名がないもの 12件 合計 107件   (4)意見の要旨(抜粋) ① 計画全体について  社会が時代につれて変化し、男女平等という考え方や、働く女性についての理解は進み、環境も改善されてきたことは良かったと思う。しかしそれは、それまでに女性が苦労して社会に訴えてきたからである。そのことを忘れず、このような人々が取り残され、虐げられないような政策を実行してほしい。 ② 計画の目標について  計画には、具体的な数値目標が必要である。区職員自体や、管理監督職の男女比を5:5にすることを計画してはどうか。 ③ 基本目標Ⅰに関すること 女性登用については数値目標ではなく、真に有能な人を登用するような仕組みづくりをしてほしい。 ④ 基本目標Ⅱに関すること 子どもが保護者の働き方を通してワーク・ライフ・バランスの重要性を知る場を設けてほしい。 防災・地域活動への参画促進には、あらゆる年代の人が参加しやすい仕組みが必要である。町会とは別に人を集める仕組みをつくり、地域団体を固定化させないでほしい。 ⑤ 基本目標Ⅲに関すること DV被害者の支援は重要だが、暴力を容認しない意識づくりのためにも、「加害者プログラム」が必要である。加害者が「プログラム」を受講しないと社会復帰できないくらいの強制力があってもいいのではないか。 男性へのDVについて、特に妻から夫への精神的攻撃について、もっと啓発してほしい。 ⑥ 基本目標Ⅳに関すること 科学的に事実を踏まえた性教育を推進してほしい。 性的マイノリティに対する政策をさらに進め、パートナーシップ宣誓についてたくさんの人に知ってもらい、世田谷区が性的マイノリティを応援しているということを周知してほしい。 ⑦ 方策1に関すること 男女共同参画センター「らぷらす」の事業手法の見直しが、区民が男女共同参画センター「らぷらす」の事業を知る機会を増やし認知度を上げるだけでなく、機能強化により区民ニーズの把握や課題解決に主体的に取り組む団体・地域との連携を果たし、時代に即した事業展開を加速することを期待する。 ⑧ 方策2に関すること 男性育休取得推進を区として国以上に進めてほしい。また、男女問わず育児目的の時間休制度(保育園等への急なお迎え等を想定)を区として推進し、区職員に対してもモデルケースとして導入してほしい。 ⑨ 方策3に関すること 政策の周知のために、区民にもっと情報を届ける手法を工夫したり、努力すべきだ。   9 年表 昭和50年(1975年) 国連・国の動き ・国際婦人年、国際婦人年世界会議開催(メキシコシティ) 昭和51年(1976年) 国連・国の動き ・国連婦人の10年(~1985年) [目標:平等・開発・平和] 昭和52年(1977年) 世田谷区の動き ・世田谷区立婦人会館開設 国連・国の動き ・「国内行動計画」策定 昭和53年(1978年) 世田谷区の動き ・総務部に婦人青少年副主幹、主査を設置 昭和54年(1979年) 世田谷区の動き  ・「世田谷区婦人総合対策推進会議」設置  ・「世田谷区婦人総合対策」策定 国連・国の動き ・第34回国連総会で「女子差別撤廃条約」採択 昭和55年(1980年) 国連・国の動き ・国連婦人の10年中間年世界会議開催 (コペンハーゲン) 昭和58年(1983年) 世田谷区の動き ・婦人児童部婦人青少年課婦人対策係設置 昭和59年(1984年) 世田谷区の動き ・世田谷区婦人問題懇話会発足 昭和60年(1985年) 世田谷区の動き ・世田谷区婦人問題ニュース「あやおり」創刊 国連・国の動き ・「男女雇用機会均等法」成立  ・「女子差別撤廃条約」批准   ・国連婦人の10年最終年世界会議開催(ナイロビ)「ナイロビ将来戦略」採択 昭和61年(1986年) 世田谷区の動き ・「世田谷区婦人総合対策推進会議」を「世田谷区婦人関係行政推進会議」に改称 昭和62年(1987年) 世田谷区の動き ・「男女共同社会をめざす世田谷プラン」策定 国連・国の動き ・「西暦2000年に向けての新国内行動計画」策定 昭和63年(1988年) 世田谷区の動き ・「男女共同社会をめざす世田谷アピール」発表 平成2年(1990年) 世田谷区の動き ・「婦人」から「女性」への名称変更 国連・国の動き ・「ナイロビ将来戦略の実施に関する第1回見直しと評価に伴う勧告及び結論」採択(国連経済社会理事会) 平成3年(1991年) 世田谷区の動き ・「せたがや女性センター“らぷらす”」開設  ・区民部女性政策室設置 国連・国の動き ・「育児休業法」成立  ・「西暦2000年に向けての新国内行動計画 (第1次改定)」策定 平成4年(1992年) 世田谷区の動き ・「男女共同社会をめざす世田谷プラン-調整計画」策定 平成5年(1993年) 世田谷区の動き・女性人材情報の整備   ・世田谷女性史編纂着手 平成6年(1994年) 世田谷区の動き ・男女共同参画推進委員会設置 国連・国の動き ・男女共同参画推進本部設置  ・男女共同参画審議会設置  ・男女共同参画室設置 平成7年(1995年) 世田谷区の動き ・生活文化部女性政策室(組織改正) 国連・国の動き ・「育児・介護休業法」成立  ・第4回世界女性会議「北京宣言及び行動綱領」採択 平成8年(1996年) 世田谷区の動き ・「男女が共に生きるせたがやプラン」の策定に向けて(提言) 国連・国の動き ・「男女共同参画ビジョン」(男女共同参画審議会答申)、「男女共同参画2000年プラン」策定 平成9年(1997年) 世田谷区の動き ・「男女が共に生きるせたがやプラン」策定 ・生活文化部男女共同参画推進室設置 平成11年(1999年) 世田谷区の動き ・生活文化部子ども・男女共同参画課設置 国連・国の動き ・「女子差別撤廃条約の選択議定書」採択   ・「男女共同参画社会基本法」成立、施行   ・「新エンゼルプラン」策定 平成12年(2000年) 世田谷区の動き ・「せたがや女性センター“らぷらす”」を「世田谷区立男女共同参画センター “らぷらす”」に名称変更 国連・国の動き ・国連特別会議「女性2000年会議」(ニューヨーク)  ・「男女共同参画基本計画」策定   ・「ストーカー規制法」成立 平成13年(2001年) 国連・国の動き ・内閣府「男女共同参画局」設置 ・「DV防止法」成立 平成14年(2002年) 国連・国の動き ・「少子化対策プラスワン」決定 平成15年(2003年) 国連・国の動き ・「次世代育成支援対策推進法」成立 ・「少子化社会対策基本法」成立 平成16年(2004年) 世田谷区の動き ・「男女が共に生きるせたがやプラン調整計画」の策定 国連・国の動き ・「DV防止法」改正 ・「育児・介護休業法」の改正 平成17年(2005年) 世田谷区の動き ・世田谷区男女共同参画基本計画策定委員会設置 国連・国の動き ・「北京+10ハイレベル会合」開催(ニューヨーク) ・「第2次男女共同参画基本計画」策定 平成19年(2007年) 世田谷区の動き ・「世田谷区男女共同参画プラン」策定 国連・国の動き ・「DV防止法」改正  ・「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」策定 平成20年(2008年) 国連・国の動き ・「次世代育成支援対策推進法」改正 平成21年(2009年) 世田谷区の動き ・「世田谷区ワーク・ライフ・バランス推進指針」策定 平成22年(2010年) 国連・国の動き ・「北京+15」開催(ニューヨーク) ・「第3次男女共同参画基本計画」策定 ・「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」改定 平成23年(2011年) 世田谷区の動き ・世田谷区男女共同参画プラン調整計画検討委員会設置 国連・国の動き ・ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国際機関(UN Women)発足 平成24年(2012年) 世田谷区の動き ・「世田谷区男女共同参画プラン調整計画」策定 国連・国の動き ・「第56回国連婦人の地位委員会」開催(ニューヨーク) 平成25年(2013年) 国連・国の動き ・「ストーカー規制法」改正  ・「DV防止法」改正 平成26年(2014年) 国連・国の動き ・「第58回国連婦人の地位委員会」開催(ニューヨーク)  ・「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」改定  ・「リベンジポルノ被害防止法」の成立 平成27年(2015年) 世田谷区の動き ・世田谷区第二次男女共同参画プラン検討委員会設置 ・世田谷区パートナーシップの宣誓の取組みを開始 ・区内企業の「男女共同参画に関する意識・実態調査」 国連・国の動き ・「北京+20」記念会合(第59回国連婦人の地位委員会)開催(ニューヨーク) ・「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」成立  ・「第4次男女共同参画基本計画」策定 平成28年(2016年) 国連・国の動き ・「第60回国連婦人の地位委員会」開催(ニューヨーク) ・「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」策定 平成29年(2017年) 世田谷区の動き ・「世田谷区第二次男女共同参画プラン」策定 国連・国の動き ・「育児・介護休業法」の改正 ・「男女雇用機会均等法」改正 ・「ストーカー規制法」改正 ・性犯罪に関する「刑法」改正 平成30年(2018年) 世田谷区の動き ・「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」施行 国連・国の動き ・「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」成立、施行・「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」成立、施行 平成31/令和元年(2019年) 世田谷区の動き ・「男女共同参画に関する区民意識・実態調査」 国連・国の動き ・「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」改正・「DV防止法」改正 令和2年(2020年) 世田谷区の動き ・「区内企業の男女共同参画に関する意識・実態調査」 国連・国の動き ・「政策概要: 新型コロナウイルスの女性への影響」報告書を発出・「北京+25」記念ハイレベル会合開催(ニューヨーク) ・「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」の決定 ・「第5次男女共同参画基本計画」策定 令和3年(2021年) 国連・国の動き ・「育児・介護休業法」の改正 令和4年(2022年) 世田谷区の動き ・「世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画」策定   10 用語解説 アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み) 誰もが潜在的に持っているバイアス(偏見、思い込み)のこと。育つ環境や所属する集団のなかで知らず知らずのうちに脳にきざみこまれ、既成概念、固定観念となっていく。 EBPM(エビデンスド・ポリシー・メイキング、エビデンスに基づく政策立案) 政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすること。 ウェルビーイング(well-being) 身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも多い言葉である。世界保健機関(WHO)憲章の前文では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)」にあることとしている。 SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標) 「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標。2015年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられている。2030年を達成年限とし、17のゴールと169のターゲットから構成され、目標5で、「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられている。 NPO Non-Profit-Organization(非営利組織)の略称。非営利の市民団体のことで、営利法人との対比に着目した表現である。NGOも非営利の市民団体であるが、政府の組織との対比で民間であることに着目した表現である。 LGBTQ レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、クエスチョニング(性のあり方をあえて決めないまたは決められない人)またはクイア(多様な性を包括する言葉)の頭文字をとった言葉。 エンパワーメント(Empowerment) 「力をつけること」と訳される。特に「女性が力をつけること」について使われる言葉。主に、自己決定する力、仕事上の技術力、経済的な力、物事を決定する場での発言力などを身につけ、その力を発揮し、さまざまな政策決定過程に参画することを意味する。 合計特殊出生率 15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する。 固定的性別役割分担意識 「男は仕事、女は家庭」など、性別によって役割を分担(分業)すること。最近では、「男は仕事、女は仕事も家庭も」という「新性別役割分業」になっているともいわれ、固定的な性別役割分担が男女の多様な活動を妨げるといわれている。 コワーキングスペース オフィスや会議室やネットワーク設備などを共有する、「Co(共に)working space(働く場所)」のこと。各利用者の作業スペースであるとともに、利用者同士の交流の場となっており、新たなビジネスチャンスを創造する効果もあると期待されている。 シェルター 緊急一時的に暴力から逃れて避難する場所のこと。公的には婦人保護施設などがあるが、不足していることや柔軟な対応の必要性から民間の支援組織やボランティアで運営されているところもある。 ジェンダー(社会的性別、Gender) 社会的規範にもとづく男女の分類を包括的に表すことば。「男らしさ」や「女らしさ」に関する社会的通念や、性別に応じて異なる役割期待などに加え、近年では単に「性別」を指す場合にも用いられるようになりつつある。生物学的性別(セックス/sex、肉体的な特徴にもとづいて出生時に割り当てられた性別)と密接に関連はしているが、両者は同じものではない。 ジェンダー・ギャップ指数(Gernder Gap Index: GGI) 経済分野、教育分野、政治分野及び保健分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を意味しており、政治分野における女性の割合や女性管理職の割合の低さ等が我が国の順位に反映されているものと考えられる。各国における男女格差を測る国際的な指標のひとつ。 ジェンダー主流化 法律、政策、事業など、あらゆる分野のすべてのレベルにおける取組みが及ぼしうる女性と男性への異なる影響を精査するプロセスのこと。それは、政治、経済、社会の領域のすべての政策と事業の策定、実施、モニタリング、評価を含むすべてのプロセスに、女性と男性の関心事と経験を統合し、女性と男性が平等に恩恵を受け、不平等が永続しないようにするための戦略。 ジェンダー統計 社会的・文化的に形成された男女の生活や意識における偏り、格差、差別を明らかにする統計のことを指す。 女性差別撤廃条約 1979年(昭和54年)に国連総会で採択された国際条約。政治的、経済的、社会的、その他あらゆる分野における女性差別の撤廃と、性別役割分業に基づく差別的慣習、慣行を廃止するための措置をとることが規定されている。日本は1985年(昭和60年)に批准した。 女性の労働力率 女性の15歳以上人口(労働力状態「不詳」を除く)に占める労働力人口の割合のこと。 性自認(性同一性、ジェンダー・アイデンティティ) 自分の性別が女性・男性のいずれであるかについての内的な感覚・自覚。大半は生物学的性別(肉体的な特徴にもとづいて出生時に割り振られた性別)と一致するが、一致しないケースもあり、また、そもそも男女の二分法にあてはまらないケースもある。核となる部分は幼年期におおむね形成されるが、その後も生育環境の影響も受けながら発達すると考えられている。 性的指向 人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのかを示す概念をいう。具体的には、恋愛・性愛の対象が異性に向かう異性愛(ヘテロセクシュアル)、同性に向かう同性愛(ホモセクシュアル)、男女両方に向かう両性愛(バイセクシュアル)を指す。 性的マイノリティ 「性的少数者」「セクシュアル・マイノリティ」とも表現される。「からだの性」と「自認する性」が異なる人や、「好きになる性」が同性である人など、多数派とは違う性のあり方を持つ人々、すべてを含んだ言葉。 セクシュアル・ハラスメント(Sexual Harassment) 性的ないやがらせのこと。職場に限らず学校や地域社会も含めあらゆる場面で問題となっている。ヌードポスターを提示するなどの「環境型」や地位や立場を利用して性的関係を求める「対価型」などがある。 相対的貧困率 貧困線に満たない世帯員の割合をいう。貧困線とは、等価可処分所得の中央値の半分の額をいう。 SOGI(ソジ) 性的指向(Sexual Orientation)」と「性自認(Gender Identity)」の頭文字。「好きになる性」と「自認する性」の組み合わせのことを指し、すべての人の性のあり方を尊重する言葉として、国際的に使用されている。 多様性 年齢、性別、国籍、障害の有無等によって制限・限定されない人々のあり方のこと。性別や国籍、年齢などに関わりなく、多様な個性が力を発揮し、共存できる社会のことをダイバーシティ社会という。 男女共同参画社会 「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に、政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」を「男女共同参画社会」という。 男女雇用機会均等法 正式には「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」といい1985年(昭和60年)に制定された。数回にわたる改正を重ね、差別禁止規定、職場のセクシュアル・ハラスメント防止、ポジティブ・アクションの促進、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等が盛り込まれている。また、同性間での言動も職場のセクシュアル・ハラスメントに該当するとして、均等法の指針が改正された。 デジタルトランスフォーメーション(DX: Digital Transformation) データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 デートDV 同棲していない恋人同士による暴力のこと。 メスティック・バイオレンス(Domestic Violence, DV) 配偶者や恋人等の親密な関係間で起こる暴力のこと。同棲していない恋人の間でおこるデートDVもドメスティック・バイオレンスの一形態である。男女間だけでなく、同性同士のカップルの暴力もある。 トランスジェンダー 出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人。 バイセクシュアル 男性も女性も好きになること(両性愛)、またその人。両性愛者。 フリーランス 実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る人を指す。 パワーハラスメント 職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより③その雇用する労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素をすべて満たしたもの。 パンセクシュアル すべてのセクシュアリティを恋愛の対象とする状態、またその人。 PDCAサイクル Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(見直し)という政策サイクル。 ポジティブ・アクション(積極的改善措置) 雇用の場において、形式的な男女均等が確保されるだけでなく、事実上生じている格差を解消するため期限を設定して行われる事業所等の積極的な取組みのこと。 マタニティハラスメント 働く女性が妊娠・出産を理由とした解雇・雇止めをされることや、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントのこと。 ライフステージ 人間の一生を、少年期・青年期・壮年期・老年期などに分けて考えた段階のこと。 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(Reproductive Health/rights) 1994年(平成6年)にカイロで開催された国際人口・開発会議において、リプロダクティブ・ヘルス/ライツという概念が提唱された。いつ何人子どもを産むか産まないかと選ぶ自由、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠・出産、子どもが健康に産まれ育つことなどが含まれている。また、思春期や更年期における健康上の問題等、生涯を通じての性と生殖に関する課題が広く含まれている。 リベンジポルノ 元交際相手の性的な写真等を嫌がらせ目的でインターネット上に公開することなどをいう。このような行為の多くは、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(平成26年法律第126号)による規制の対象となる。必ずしもこのような行為が規制の対象に限定されるものではない。 ワーク・ライフ・バランス 仕事と生活のバランス。個人の生活と仕事の調和のこと。 世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画 多様な生き方を認め合い、自分らしく暮らせる せたがやをめざして 令和4年度~令和8年度 発行年月 令和4年3月 編集・発行 世田谷区生活文化政策部人権・男女共同参画担当課 〒156-0043 東京都世田谷区松原6-3-5 TEL 03―6304―3453 FAX 03-6304-3710 世田谷区広報印刷物登録番号/第2044号