世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例 目次  前文  第1章 総則(第1条−第7条)  第2章 基本的施策等(第8条・第9条)  第3章 世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会(第10条)  第4章 苦情処理(第11条・第12条)  第5章 雑則(第13条)  附則  個人の尊厳を尊重し、年齢、性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、多様性を認 め合い、自分らしく暮らせる地域社会を築くことは、国境及び民族の違いを越えて私 たち人類の目指すべき方向である。また、一人ひとりの違いを認め合うことが、多様 な生き方を選択し、あらゆる活動に参画し、及び責任を分かち合うことができる社会 の実現につながる。  世田谷区は、こうした理念を区、区民及び事業者で共有し、一体となって男女共同 参画及び多文化共生を推進することにより、多様性を認め合い、人権を尊重する地域 社会を実現することを目指し、この条例を制定する。    第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、男女共同参画及び多文化共生の推進に関し、基本となる理念を 定め、区、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画及び多文 化共生を推進する施策(以下「男女共同参画・多文化共生施策」という。)の基本 的な事項を定めることにより、男女共同参画社会及び多文化共生社会を形成し、も って全ての人が多様性を認め合い、人権が尊重される社会の実現に寄与することを 目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 男女共同参画 性別等にかかわらず、全ての人が、自らの意思によって社会の   あらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、政治的、経済的、社会的   及び文化的利益を享受することができることをいう。 (2) 多文化共生 全ての人が、国籍、民族等の異なる人々の互いの文化的違いを認   め合い、対等な関係を築こうとしながら、共に生きていくことをいう。 (3) 性別等 生物学的な性別及び性自認(自己の性別についての認識をいう。以下   同じ。)並びに性的指向(どの性別を恋愛の対象にするかを表すものをいう。以   下同じ。)をいう。 (4) 区民 区内に居所、勤務先又は通学先を有する者をいう。 (5) 事業者 区内において事業活動を行う個人、法人又は団体をいう。 (6) 性的マイノリティ 性自認、性的指向等のあり方が少数と認められる人々をい   う。 (7) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、交際相手等の親密な関係にある者又   はあった者の間で起こる暴力(これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行動を含   む。)のことをいう。 (基本理念) 第3条 男女共同参画及び多文化共生を推進するための基本理念(以下「基本理念」  という。)は、次のとおりとする。 (1) 全ての人が、多様性を認め合い、人権が尊重され、尊厳を持って生きることが   できる。 (2) 全ての人が、自らの意思に基づき個性及び能力を発揮し、多様な生き方を選択 することができる。 (3) 全ての人が、あらゆる分野の活動においてともに参画し、責任を分かち合う。 (区の責務) 第4条 区は、基本理念にのっとり、男女共同参画・多文化共生施策を総合的かつ計  画的に実施する責務を有する。 2 区は、男女共同参画・多文化共生施策の実施に当たっては、区民及び事業者の協  力を得るとともに、国、他の地方公共団体その他関係機関等と連携協力して取り組  むものとする。 (区民の責務) 第5条 区民は、基本理念を踏まえ、男女共同参画及び多文化共生について理解を深  め、あらゆる分野の活動において、男女共同参画社会及び多文化共生社会の形成に  寄与するよう努めなければならない。 2 区民は、区が実施する男女共同参画・多文化共生施策に協力するよう努めなけれ  ばならない。 (事業者の責務) 第6条 事業者は、基本理念を踏まえ、男女共同参画及び多文化共生について理解を  深め、その事業活動及び事業所の運営において、男女共同参画社会及び多文化共生  社会の形成に向けた必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 2 事業者は、区が実施する男女共同参画・多文化共生施策に協力するよう努めなけ  ればならない。 (性別等の違い又は国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる差別の解消等) 第7条 何人も、性別等の違い又は国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる不  当な差別的取扱いをすることにより、他人の権利利益を侵害してはならない。 2 何人も、公衆に表示する情報について、性別等の違い又は国籍、民族等の異なる  人々の文化的違いによる不当な差別を助長することのないよう留意しなければなら  ない。    第2章 基本的施策等 (基本的施策) 第8条 男女共同参画・多文化共生施策は、次に掲げるものを基本とする。 (1) 固定的な性別役割分担意識の解消 (2) ワーク・ライフ・バランス(個人の仕事と生活の調和を図ることをいう。)に   係る取組の推進 (3) ドメスティック・バイオレンスの根絶 (4) 性別等の違いに応じた心及び身体の健康支援 (5) 性的マイノリティの性等の多様な性に対する理解の促進及び性の多様性に起因   する日常生活の支障を取り除くための支援 (6) 外国人、日本国籍を有する外国出身者等(以下「外国人等」という。)への情   報の多言語化等によるコミュニケーション支援 (7) 外国人等が安心して安全に暮らせるための生活支援 (8) 外国人等との交流の促進等による多文化共生の地域づくりの推進 (9) 外国人等の社会参画及び社会における活躍を推進するための支援 (10) 国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる偏見又は不当な差別の解消 2 区長は、前項に定める基本的施策を効果的に推進するため、必要な教育又は啓発を積極的に行うものとする。 (行動計画) 第9条 区長は、男女共同参画・多文化共生施策を総合的かつ計画的に推進するため、 行動計画を策定し、これを公表するものとする。 2 区長は、行動計画の策定に当たっては、あらかじめ次条に規定する世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会の意見を聴かなければならない。 3 区長は、毎年1回、行動計画に基づく施策の実施状況を公表するものとする。    第3章 世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会 (世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会) 第10条 男女共同参画・多文化共生施策を総合的かつ計画的に推進する上で必要な事項を調査審議するため、区長の附属機関として、世田谷区男女共同参画・多文化共生推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。 2 審議会は、区長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。 (1) 行動計画に関すること。 (2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画・多文化共生施策の推進に関し区長が必要と認める事項 3 審議会は、学識経験者、区内に住所を有する者その他必要があると認める者のう  ちから区長が委嘱する委員15名以内をもって組織する。 4 前項の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、  前任者の残任期間とする。 5 審議会に、男女共同参画、多文化共生に関する事項その他の専門的事項を調査審  議するため又は調査審議を効率的に行うため、部会を置くことができる。 6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。    第4章 苦情処理 (苦情の申立て等) 第11条 区民又は事業者は、男女共同参画・多文化共生施策に関する事項について、 区長に対し苦情若しくは意見の申立て又は相談をすることができる。 2 区長は、前項の規定による申立て又は相談(以下「苦情の申立て等」という。) を受けたときは、速やかに調査等を行い、必要に応じて適切な措置を講ずるものと する。この場合において、区長は、必要と認めるときは、次条に規定する世田谷区 男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会に諮問し、その意見を聴くものとする。 (世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会) 第12条 苦情の申立て等について、公正かつ適切に処理するため、区長の附属機関 として、世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会(以下「苦情処理委員 会」という。)を置く。 2 苦情処理委員会は、前条第2項の規定による区長の諮問に応じ、苦情の申立て等について調査審議し、区長に対して意見を述べるものとする。 3 苦情処理委員会は、男女共同参画及び多文化共生に関し、深い理解と識見を有する者のうちから区長が委嘱する委員3名以内をもって組織する。 4 前項の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。 5 苦情処理委員会は、審議のため必要があると認めたときは、関係職員その他の関係人の出席を求めて意見若しくは説明を聴き、又はこれらの者から必要な資料の提出を求めることができる。 6 前各項に定めるもののほか、苦情処理委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、 規則で定める。    第5章 雑則 (委任) 第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。    附 則  この条例は、平成30年4月1日から施行する。