【風水害編】 第2部 災害予防計画 第2部 災害予防計画 第1章 水害予防対策 本区では、台風や集中豪雨等によって過去に洪水や内水氾濫が発生し、大きな被害をもたらしており、近年では、いわゆる都市型水害の発生が見られるようになった。 このため、洪水対策(総合的な治水対策)、がけ崩れ対策、浸水対策及び都市型水害対策等についてそれぞれの施策を推進している。 第1節 洪水対策(総合的な治水対策) 都では、平成17年9月の杉並区、中野区を中心に甚大な被害が発生した豪雨を契機に、集中豪雨に対し対策を推進するため、有識者による検討を経て、平成19年度に「東京都豪雨対策基本方針」を策定した。 平成26年6月に「東京都豪雨対策基本方針」を改定し、河川整備、下水道整備、流域対策を実施し、区部では最大1時間降水量75mm/h、多摩部では最大1時間降水量65mm/hの降雨まで浸水被害の解消を目標とした。 近年の降雨特性や被害の発生状況、「東京都内の中小河川における今後の整備について」の提言を踏まえ、平成26年6月に東京都豪雨対策基本方針の改定を行った。   <豪雨対策の体系> *図表省略 <出典>東京都豪雨対策基本方針(平成26年6月) 1 東京都豪雨対策基本方針 頻発する局地的集中豪雨に対し、降雨特性、浸水実績、費用対効果等の検討を踏まえ、ハード・ソフト両面からの取組みの方向性を明らかにした。 (1)基本的な考え方 今後の豪雨対策においては、おおむね30年後を目標に年超過確率1/20規模の降雨(最大1時間降水量:区部75mm/h、多摩部65mm/h)に対し床上浸水等の防止を目指し、河川整備や下水道整備、流域対策を進めることに加え、目標を超える降雨に対しても生命安全の確保を目指し、浸水被害を最小限にとどめる減災対策を推進する。(2)対策強化流域、対策強化地区の設定豪雨や水害の発生頻度などを踏まえ、対策強化流域、対策強化地区を設定する。これらの流域・地区では、河川、下水道の整備水準のレベルアップを図り、目標降雨に対して浸水被害の防止を目指す。 (2)対策強化流域、対策強化地区の設定 豪雨や水害の発生頻度などを踏まえ、対策強化流域、対策強化地区を設定する。これらの流域・地区では、河川、下水道の整備水準のレベルアップを図り、目標降雨に対して浸水被害の防止を目指す。 (3)家づくり、まちづくり、避難方策の強化 大規模地下街の浸水対策計画の充実や豪雨災害に関する情報の提供や災害発生時の体制の整備等により、避難方策を強化する。 2 河川改修 (1)大河川改修 都では、利根川、荒川、多摩川、鶴見川の各水系について、洪水による災害の防止を図るため治水対策を推進している。区に関連する多摩川水系については、次のとおりである。 ① 現況 水系 多摩川 現況 多摩川については、全川にわたって水衝部対策や無堤部対策を実施するとともに、下流部においては高規格堤防事業を実施している。 ② 計画 区分 多摩川水系 河川整備基本方針 計画高水流量は、日野橋において4,700m3/sとし、さらに浅川の合流量をあわせ、石原において6,500m3/sとする。その下流では野川及び残流域からの流入量をあわせ、田園調布(下)において7,000m3/sとし、河口まで同一流量とする。 実施計画 本川については、無堤部の改修、堰の改築等の促進や水衝部対策を実施するとともに、下流部においては高規格堤防整備を実施する。支川である浅川については、護岸等の整備を促進する。 (2)中小河川の整備 都では、中小河川に対して、50mm/hの降雨に対応できるよう、河川の整備を進めており、護岸整備まで相当期間を要する中・上流域においては、洪水の一部を貯留する調節池を設置し水害の早期解消に努めている。 都内46河川、324kmにおいて、川幅を広げたり(河道拡幅)、河床を掘り下げる(河床掘削)等の河道整備を進めてきており、引き続き50mm/hに対応する河道整備を推進する。 <中小河川整備計画> 事業内容 50ミリメートル毎時降雨に対処する整備 区域 区部 全体計画(昭和49年度~)107.0キロメートル 平成30年度末整備 93.2キロメートル 令和元年度以降整備 13.8キロメートル 区域 多摩地区 全体計画(昭和49年度~)217.0キロメートル 平成30年度末整備 166.6キロメートル 令和元年度以降整備 50.4キロメートル 区域 合計 全体計画(昭和49年度~)324.0キロメートル 平成30年度末整備 259.8キロメートル 令和元年度以降整備 64.2キロメートル 区部で75mm/h、多摩で65mm/hの降雨に対応する目標整備水準達成に向けた調節池等の整備を推進する。 目標整備水準の達成に向け、総貯留量約560万㎥の調節池が必要となり、現在、環状七号線地下広域調節池や野川大沢調節池等の8施設で整備を進めている。 <現在整備中の8施設(調節池等)の概要> 河川名 善福寺川 施設名称 和田堀公園調節池 貯留量(㎥) 17,500 着手年度 H28 河川名 神田川 施設名称 下高井戸調節池 貯留量(㎥) 30,000 着手年度 H28 河川名、施設名称 環状七号線地下広域調節池(石神井川区間) 貯留量(㎥)681,000 着手年度 H28 河川名   石神井川 施設名称 城北中央公園調節池(一期) 貯留量(㎥)90,000 着手年度 H28 河川名   野川 施設名称 野川大沢調節池(規模拡大) 貯留量(㎥)68,000 着手年度 H28 河川名   境川 施設名称 境川金森調節池 貯留量(㎥) 151,000 着手年度 H29 河川名  境川  施設名称 境川木曽東調節池 貯留量(㎥)49,000 着手年度 H29 河川名  谷沢川 谷沢川分水路 貯留量(㎥) 50㎥/s(分水流量) 着手年度 H30 更に、新たな調節池の事業化に向けた検討や環七地下広域調節池の延伸等の検討を進めていく。   (3)多摩川無堤防箇所での溢水対策 区は、令和元年東日本台風(台風第19号)の教訓を踏まえ、以下について取り組む。 ア 無堤防箇所専用の土のうを保管するための倉庫を近傍に設置する。 イ 多摩川無堤防箇所における堤防整備、暫定堤防の計画高さまでの嵩上げの実施について、国土交通省と連携し、早期に取り組む。 ウ 堤防が完成するまでは、専用土のう以外のほか、可搬式止水板・大型土のうの設置など、京浜河川事務所と連携しての止水対策に取り組む。 3 雨水流出抑制施設の整備 総合的な治水対策の一環として、雨水の貯留・浸透を行う雨水流出抑制施設の設置について、都は、昭和56年に関係局からなる「総合治水対策連絡会」を発足させ、昭和58年度に創設した「総合治水対策流域貯留・浸透事業実施要綱」に基づき、都所管施設に雨水流出抑制施設の設置を推進してきている。 一方、都は島しょ部を除く都内53区市町村と総合治水対策協議会を立ち上げ、総合的な治水対策に関する計画の策定、執行状況の把握、調整、技術上の改善策の検討等を行っている。 都における総合的な治水対策のあり方については、昭和61年に「総合治水対策調査委員会」の「本報告」が出され、これにより区部中小河川については、将来目標である基本計画を100mm/h程度とし、雨水流出抑制施設による流域対策で10mm/h程度を分担するものとしている。 当面の目標である50mm/h程度の治水安全度を確保するため、都総合治水対策協議会では、当面10か年程度の「総合的な治水対策暫定計画」を策定し、神田川流域、目黒川流域、石神井川流域、野川流域、渋谷川・古川流域、呑川流域、谷沢川・丸子川流域の「総合的な治水対策暫定計画」を策定した。 都は「東京都豪雨対策基本方針」(平成26年6月改定)を策定し、この方針に基づいて都総合治水対策協議会は、平成21年5月に神田川流域、渋谷川・古川流域において「豪雨対策計画」を策定し、平成21年11月に石神井川流域、目黒川流域、呑川流域、野川流域、白子川流域についても「豪雨対策計画」を策定した。なお、「豪雨対策計画」が策定された河川については、「総合的な治水対策暫定計画」は廃止されている。 「豪雨対策計画」は平成26年の「東京都豪雨対策基本方針」の改定に伴い、平成27年度以降、順次、見直しや新規策定を予定している。平成30年3月に神田川流域及び石神井川流域の「豪雨対策計画」の改定、平成31年3月に谷沢川・丸子川流域の「豪雨対策計画」の策定及び野川流域、呑川流域の「豪雨対策計画」の改定を行った。 4 下水道の整備 下水道の基本的な役割には、汚水の排除・処理による生活環境の改善や公共用水域の水質保全とともに、雨水の排除による浸水の防除がある。 このため「東京都豪雨対策基本方針(改定)」に基づき、概ね30年後の浸水被害解消を目標に、50mm/h降雨に対応する下水道施設を整備している。 大規模地下街や甚大な被害が発生している地区について、整備水準をレベルアップした下水道施設を整備している。 計画規模を超える降雨に対しても、ハード・ソフト両面から対策を検討・実施し、安全を確保する。 (1)区部下水道の浸水対策 区部では、都市化に伴う雨水流出量の増大によって、下水道が整備された地区でも浸水被害が発生するようになっている。このため、浸水の危険性が高い対策促進地区を選定し、50mm/h降雨に対応する幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を進めている。これに加え、浅く埋設された下水道幹線の流域など、幹線からの雨水の逆流による浸水の危険性のある地区を新たに重点地区として追加し、効果的な対策を進めている。また、特に浸水被害の大きい地下街などでは、75mm/hの降雨に対応できる貯留施設等の整備を進めている。 (2)「経営計画2016」の推進 本計画では、世田谷区玉川を含む、浸水の危険性の高い対策促進地区について、50mm/hの降雨に対応する下水道施設整備を推進することとしている。 さらに、一定規模以上の床上浸水が集中して発生した地区では、既存幹線の下に新たな幹線を整備するなど、75mm/h降雨に対応できる施設の建設を実施する(世田谷区弦巻、深沢地区含む)。 5 豪雨対策の重点的な実施 豪雨や水害の発生頻度などを踏まえ、対策促進エリアを設定し、これらのエリアでは、流域別の豪雨対策計画を策定し、河川や下水道の整備に加え、浸透ますの設置などの流域対策を重点的に促進している。 近年の降雨特性や浸水被害の発生状況等を踏まえて東京都豪雨対策基本方針を平成26年に改定した。対策強化流域、対策強化地区を設定し、おおむね30年後を目標に年超過確率1/20(区部75mm/h、多摩部時間65mm/h)の降雨に対して浸水被害の防止を目指している。 河道の蛇行区間や狭隘箇所等について、これまでの調査結果も活用しつつ、詳細な調査を実施し、局所改良による流下能力向上や水衝部の護岸の強化など早期に安全性が向上できる対策を実施する。 (1)世田谷区内の対策促進エリア 名称 対策促進エリア 対策強化流域 選定条件  過去の浸水被害状況(浸水棟数、被害額) 降雨状況(豪雨の発生頻度) 流域特性(人口、資産額などの被害ポテンシャル) 対策状況(河川整備、下水道整備などの対策状況) 区内のエリア 野川流域、呑川流域、目黒川流域、神田川流域、谷沢川・丸子川流域 名称 対策促進エリア 対策促進地区 選定条件 浸水被害の発生状況(浸水棟数) 施設の重要性や浸水に対する脆弱性(大規模な地下施設など) 下水道施設の能力評価(下水道幹線の流下能力) 対策状況(下水道整備、河川整備などの対策状況) 区内のエリア 玉川地区 (2)「世田谷区豪雨対策基本方針」・「世田谷区豪雨対策行動計画」 【実施主体】区災対土木部 区では、「東京都豪雨対策基本方針」や過去に多くの区民が被災された水害などの状況を踏まえた検討を進め、平成21年度に「世田谷区豪雨対策基本方針」(以下「基本方針」という。)ならびに「世田谷区豪雨対策行動計画」(以下「行動計画」という。)を策定した。 また、東京都が、平成26年6月に「東京都豪雨対策基本方針」を改正したことに伴い、平成28年3月に「基本方針」を修正した。 「基本方針」は、10年後及び30年後の目標を定めるとともに、3つの基本的な視点と、具体的な取り組みについて4つの柱を掲げ、区として実施すべき方針を取りまとめたものである。 ①10年後の目標 概ね55mm/hの降雨までは、床上浸水や地下浸水被害を可能な限り防止することを目指す。 既往最大降雨などが発生した場合でも、生命の安全を確保することを目指す。 ②30年後の目標 概ね60mm/hの降雨までは、浸水被害を防止することを目指す。 区部では概ね75mm/hの降雨、多摩部では概ね65mm/hの降雨までは、床上浸水や地下浸水被害を可能な限り防止することを目指す。 目標を超える降雨に対しても、生命の安全を確保することを目指す。 また、平成21年度に策定された「行動計画」で述べられている「基本方針」で掲げた豪雨対策の取り組みについての4つの柱に対応した施策に基づく個々の目標の達成に向けて設定されていた「取組み内容」、「具体の行動」及び「年次別計画」等に対し10年後の目標年次であった平成29年度までに活動を推進してきたところである平成29年度までの活動実績を踏まえ、平成30年6月に「行動計画」を策定し、平成30年度から平成33年度までの目標を示すとともに、目標の達成に向けた「取組み内容」、「具体の行動」及び「年次別計画」等を設定している。 さらに、近年の集中豪雨による区内中小河川の流域で内水や越水により浸水被害が発生していることから、次の点について、行動計画に基づき引き続き取り組む。 グリーンインフラの視点を踏まえた流域対策の推進 国、東京都、鉄道事業者などの公共・公益事業者に対して、建物・施設整備の際の雨水流出抑制施設の設置を要請 民間施設への雨水流出抑制施設の設置指導、助成制度の普及促進 6 インターネット等を活用した区民への情報提供 都建設局は、都内の中小河川の水位や降雨の状況、河川監視画像、指定河川の洪水予報、土砂災害警戒情報、水位周知河川の氾濫危険情報など、水防災総合情報システムからの情報をホームページに掲載している。また、同様の情報を位置情報を活用した形でスマートフォン等へも配信し、より利便性を高めるとともに、英語・中国語・韓国語でも配信している。 都下水道局は、下水道光ファイバーケーブルを活用して、下水道管きょ内の水位情報を区などに迅速に提供している。また、レーダー雨量計システムからの降雨情報を「東京アメッシュ」としてホームページに掲載するとともに、GPS機能による現在地表示が可能なスマートフォン版を配信することなどにより、きめ細やかな降雨情報を、リアルタイムで配信している。 国土交通省は、荒川、多摩川などの河川の水位や降雨、カメラ映像の情報をインターネットを活用して提供している。 7 水防災総合情報システム 都では、水防災総合情報システムは、洪水や高潮による被害を軽減するため、水防関係機関等に河川水位・雨量等、水防に関する情報を迅速・的確に提供することを目的として、平成3年4月から稼動をはじめ、二度のシステム更新を行って、現在の形で運用を行っている。 このシステムは、以下に示す①観測・監視システム、②洪水予報発表システム、③土砂災害警戒情報発表システム、④気象伝達・態勢表示システム、⑤伝達文作成・伝達システム、⑥インターネット公開システムから構成されている。 8 下水道施設における降雨情報システム(東京アメッシュ)、幹線水位情報の提供 都下水道局では、雷雨や集中豪雨、台風による豪雨の際に、降雨状況を的確に把握し、水再生センター、ポンプ所のポンプを適切に運転するため、降雨情報システムを設置している。 下水道幹線内に水位計を設置して水位を測定し、光ファイバーを活用して水位情報を区等へ提供し、水防活動を支援する。 9 下水道におけるリスクコミュニケーションの充実 都下水道局は次のようにリスクコミュニケーションに取り組む。 (1)事前の情報提供 ① 浸水予想区域図の作成・公表 浸水の危険性を区民や防災関係者に事前に周知するとともに、区が作成する洪水ハザードマップ作成支援のために、7河川流域(①神田川流域、②隅田川・新河岸川流域、③石神井川・白子川流域、④城南地区河川流域、⑤江東内部河川流域、⑥野川等流域、⑦中川・綾瀬川圏域)の「浸水予想区域図」を河川管理者と連携し、作成・公表している。 ② 洪水ハザードマップ作成の支援 浸水予想区域図の作成主体(河川管理者及び下水道管理者)として、関係区市町村の洪水ハザードマップ作成を支援していく。 ③ 防災意識の啓発 浸水対策リーフレットの配布 区民自身が行う浸水に対する備えを分かりやすく周知するとともに、戸別訪問により住民からの意見を伺い、パートナーシップを構築する。 道路雨水ますの点検(区、町会との連携) 道路雨水ます機能を確保するため、区や町会と連携を強化する。 体感できるイベントの開催 浸水対策強化月間の取組みとして、半地下・地下室水圧体験装置「水圧くん」による浸水時の避難体験、ポンプ所の見学会など住民が浸水対策の必要性を体感できるイベントを実施する。 見学会や出前授業等の開催 現場見学会(幹線工事など)を開催し、住民への雨水対策事業を周知するとともに、小学校の総合的な学習の時間等を利用し、浸水対策を分かりやすく周知する。 (2)降雨時の情報提供 ① 降雨情報の提供 「東京アメッシュ」で住民へ降雨情報をリアルタイムに提供する。 ② 幹線水位情報の提供 下水道幹線内に水位計を設置して水位を測定し、光ファイバーを活用して水位情報を区等へ提供し、水防活動を支援する。 (3)関係機関との連携 ①区等との連携 樋門の開閉状況や時刻、水位など操作情報の共有を図る。 また、浸水に対する予防措置を図るため、地下室・半地下室の危険性を区民に周知する。 周知に当たっては、建築確認申請の窓口で浸水対策のリーフレットを配布するよう、区等に協力を依頼する。 樋門の役割や開閉による浸水の危険性、樋門の操作情報などの共有を図る。 ②東京消防庁・消防署との連携 浸水発生時に適切な対応を図るため、水防訓練での土のう積みや簡易水防工法の実演を通し、都民に技能を習得させる。 10 水門(樋門・樋管) 区は、令和元年東日本台風(台風第19号)等の教訓を踏まえ、次の事項に取り組む。 樋門・樋管の操作体制の強化 避難準備・高齢者等避難開始及び避難勧告のタイミングの見直し 11 陸閘 区は、陸閘の閉鎖には人手を要することから、現場体制を充実させることを検討する。 現場体制の充実にあたって、玉川東陸閘および玉川西陸閘を閉鎖する際は、二子玉川南地区の区民を避難させる必要がある。京浜河川事務所で検討されている久地陸閘の廃止の件も踏まえ、京浜河川事務所と連携し、検討していく。 12 土のうステーションの拡充 区は、令和元年東日本台風(台風第19号)等の教訓を踏まえ、土のうステーションを増設する。 区は、見直した土のうの持ち出しルールを区民に周知する。 第2節 がけ崩れ対策 1 がけ崩れ対策 (1)基本 がけ、よう壁対策は、原則として所有者、管理者等が行うべきものである。 区は、建築基準法(昭和25年法律第201号)、宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)に基づく規制指導を行う。 都は、自然がけについて、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号。以下、「急傾斜地法」という。)による急傾斜地崩壊対策事業の推進に努める。(※世田谷区内での対象箇所は無い。) (2)がけ・よう壁に関する指導・支援 区は、がけ地に、建築物やよう壁等を設ける場合、建築基準法及び都建築安全条例に基づき、防災上の見地から指導を行っており、また、宅地造成工事規制区域内にあっては、宅地造成等規制法に基づき指導を行っている。 既設の危険ながけ・よう壁は災害時に崩壊する恐れがある。災害の発生を未然に防ぐために、管理者責任を負う所有者自らが危険性を認識し、安全対策に取り組めるよう、「我が家の擁壁チェックシート(案)(国土交通省都市局)」の配布・区のホームページ掲載により、安全点検方法を周知すると共に、適切な管理を啓発する。 (3)宅地の安全化 宅地造成等規制法は、宅地造成に伴い、災害が生ずるおそれの著しい市街地又は市街地になろうとする土地の区域を、宅地造成工事規制区域として指定し、この区域内における宅地造成工事には、技術的基準に従った造成を確保するため、区長の許可及び工事完了検査を義務付けており、必要な指導・監督を行うとともに、宅地の所有者等に対しても宅地保全の努力義務を課している。 区内では、平成27年4月時点で、246haが宅地造成工事規制区域に指定され、この法律に基づく規制を受けている。 第3節 土砂災害に関するソフト対策 土砂災害警戒区域 土砂災害警戒区域は、都が土砂災害により被害を受けるおそれのある区域において、地形、地質、土地利用状況に関する基礎調査を実施し指定するものである。都は、大雨で土砂災害の危険性が高まったとき、迅速で適切な避難行動がとれるよう、土砂災害警戒区域の指定を進めている。 区は、土砂災害を防止・軽減する基本的な方針として、平成28年度に「世田谷区がけ・擁壁等防災対策方針」を策定し、これまで実施している対策をさらに強化するハード・ソフト両面からのさまざまな防災対策を推進する。 機関名 区(災対都市整備部) 対策内容 土砂災害防止法に基づく区域の警戒巡視態勢の整備 機関名 区(災対土木部) 対策内容 道路・公園等に属するがけ地の震災防止 機関名 区(災対統括部、災対地域本部) 対策内容 土砂災害防止法に基づくソフト対策 土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等における避難体制の整備及びハザードマップの作成・周知 機関名 都建設局 対策内容 土砂災害防止法に基づくソフト対策 土砂災害警戒区域等の指定 土砂災害警戒情報の提供 機関名 気象庁 対策内容 土砂災害警戒情報の提供 1 土砂災害防止法 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(「土砂災害防止法」)は、土砂災害から国民の生命を守るため、土砂災害のおそれのある区域についての危険の周知、警戒避難体制の整備を図るとともに、著しい土砂災害が発生するおそれがある区域において住宅等の新規立地の抑制等のソフト対策を推進しようとするものである。 2 土砂災害警戒区域等の指定 都建設局は、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)に基づき、土砂災害防止対策の推進を図るため、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域をあらかじめ明らかにし、当該区域における警戒避難体制の整備や建築物の移転勧告などソフト対策を推進する。土砂災害警戒区域は平成31年1月末までに13,281箇所を指定しており、指定に当たっては地元自治体との合意形成を図り順次進められている。 都建設局は、大雨で土砂災害の危険性が高まったとき、迅速で適切な避難行動がとれるよう土砂災害警戒区域の指定などを進める。 土砂災害特別警戒区域の指定により、特定の開発行為の抑制、建築物の構造規制を行い、土砂災害の発生するおそれのある箇所の増加抑制と建物の安全性を高め、土砂災害による人的被害を防止する。 <都の土砂災害警戒区域等指定数>              (令和元年10月現在) 指定箇所数 土砂災害警戒区域 15,478 土砂災害特別警戒区域 13,660  区は、土砂災害に関する情報の区民への伝達方法等を記載した印刷物(ハザードマップ、区民行動マニュアル等)の作成・周知に取り組む。 <世田谷区の土砂災害警戒区域等指定数>(令和元年9月現在) 地域 世田谷(池尻四丁目) 土砂災害警戒区域 3  土砂災害特別警戒区域  3 地域 世田谷(桜一丁目、宮坂一丁目)  土砂災害警戒区域 1  土砂災害特別警戒区域 0 地域 北沢地域(代田四丁目) 土砂災害警戒区域 1  土砂災害特別警戒区域 1 地域 北沢地域(北沢一丁目) 土砂災害警戒区域 1 土砂災害特別警戒区域 1 地域 砧地域(成城一丁目)  土砂災害警戒区域  4 土砂災害特別警戒区域 2 地域 砧地域(成城三丁目) 土砂災害警戒区域 5 土砂災害特別警戒区域 4 地域 砧地域(成城四丁目)  土砂災害警戒区域 13 土砂災害特別警戒区域 9 地域 砧地域(大蔵三丁目)  土砂災害警戒区域 6 土砂災害特別警戒区域 3 地域 砧地域(大蔵四丁目)  土砂災害警戒区域 4 土砂災害特別警戒区域 4 地域 砧地域(大蔵五丁目) 土砂災害警戒区域 1 土砂災害特別警戒区域 1 地域 砧地域(大蔵六丁目)  土砂災害警戒区域 2 土砂災害特別警戒区域 2 地域 砧地域(喜多見六丁目) 土砂災害警戒区域 3 土砂災害特別警戒区域 1 地域 砧地域(岡本一丁目)  土砂災害警戒区域 4 土砂災害特別警戒区域 4 地域 砧地域(岡本二丁目)  土砂災害警戒区域 6 土砂災害特別警戒区域 6 地域 砧地域(岡本三丁目)  土砂災害警戒区域 4 土砂災害特別警戒区域 3 地域 玉川地域(中町一丁目) 土砂災害警戒区域 3 土砂災害特別警戒区域 3 地域 玉川地域(等々力一丁目)土砂災害警戒区域 2 土砂災害特別警戒区域 2 地域 玉川地域(等々力二丁目)土砂災害警戒区域 2 土砂災害特別警戒区域 2 地域 玉川地域(瀬田一丁目) 土砂災害警戒区域 5 土砂災害特別警戒区域 4 地域 玉川地域(瀬田四丁目) 土砂災害警戒区域 7 土砂災害特別警戒区域 6 地域 玉川地域(野毛一丁目) 土砂災害警戒区域 4 土砂災害特別警戒区域 4 地域 玉川地域(野毛二丁目) 土砂災害警戒区域 5 土砂災害特別警戒区域 5 地域 玉川地域(野毛三丁目) 土砂災害警戒区域 2 土砂災害特別警戒区域 2 地域 玉川地域(上野毛二丁目)土砂災害警戒区域 2 土砂災害特別警戒区域 2 地域 玉川地域(上野毛三丁目)土砂災害警戒区域 3 土砂災害特別警戒区域 2 地域 玉川地域(上野毛二丁目、上野毛三丁目)  土砂災害警戒区域 2 土砂災害特別警戒区域 1 地域 玉川地域(尾山台一丁目、玉川田園調布一丁目) 土砂災害警戒区域 2  土砂災害特別警戒区域 1 地域 玉川地域(尾山台二丁目) 土砂災害警戒区域 3 土砂災害特別警戒区域 1 合計 土砂災害警戒区域 100 土砂災害特別警戒区域 79 地域 隣接市への指定に伴う影響区域(成城四丁目) 土砂災害警戒区域 2 土砂災害特別警戒区域 0 総合計 土砂災害警戒区域 102 土砂災害特別警戒区域 79   3 土砂災害警戒情報の提供 大雨による土砂災害発生の危険度が高まったときに、区市町村長が防災活動や住民等への避難勧告の発令等を適切に行えるよう支援するため、国土交通省水管理・国土保全局(旧河川局)と気象庁が連携して判断基準となる土砂災害警戒避難基準雨量の設定手法を策定した。 都建設局は、これに基づき、下記のとおり発表基準を作成し、気象庁と都が共同して発表するための情報伝達体制を整備し、平成20年2月1日に発表を開始した。 (1)土砂災害警戒情報の目的 土砂災害警戒情報は、大雨により土壌雨量や積算雨量等が一定の基準を超過し、土砂災害の危険度が高まった区市町村を特定し、都と気象庁が共同して発表する情報である。 都と気象庁は、大雨警報発令時において、土壌雨量や積算雨量等が一定の基準を超過し、土砂災害の危険度が高まった区市町村を対象に、区市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう区市町村ごとに発表する。なお、都と気象庁は、必要に応じて警報及び土砂災害警戒情報等の発表基準の引き下げを実施するものとする。 (2)土砂災害警戒情報の基本的な考え方 区市町村や住民等に必要な防災情報を効果的に提供し、迅速かつ適切な対応を支援していくために、災害対策基本法に基づき大雨警報に伴って都が区市町村等へ通知する「予想される土砂災害等の事態とこれに対してとるべき措置」と、気象庁が行う大雨警報が発表されている際の土砂災害のおそれについての解説とを1つに統合した情報として、都と気象庁が共同して作成・発表する情報である。 発表対象地域を設定する際は、災害対策基本法に基づく避難勧告等の権限者である区市町村長を利用者として考える。 住民の自主避難の判断等にも利用できるよう留意する。 伝達は、発表者(都及び気象庁)から水防計画で定めた伝達経路により行うものとする。指定公共機関及び指定地方公共機関への情報伝達に関しては、大雨警報の伝達に準ずる。 大雨による土砂災害発生の危険度を降雨に基づいて判断して、土砂災害に対する警戒及び警戒解除について作成・発表するものである。また、大雨警報を受けての情報であることから大雨警報発表後に発表する。 区市町村の防災上の判断を迅速かつ的確に支援するため、分かりやすい文章と図を組み合わせた情報として作成する。 土砂災害に対する事前の対応に資するため、土砂災害の危険度に対する判断には気象庁が提供する降雨予測と土壌雨量指数を利用する。 局地的な降雨による土砂災害を防ぐためには、精密な実況雨量を把握する必要がある。そのため、気象庁のデータに加えて都の持つきめ細かな雨量情報を活用する。 国土交通省、気象庁及び都は、区市町村をはじめとする関係機関、住民の防災対応に活用されるよう、土砂災害警戒情報の目的及び内容等について、連携して広報活動に努める。 今後、新たにデータや知見が得られた時は、土砂災害警戒情報の発表の判断に用いる指標・基準の見直しを適宜行う。 (3)土砂災害警戒情報の特徴及び利用に当たっての留意事項 大雨による土砂災害発生の危険度を、降雨に基づいて判定し発表するもので、個々の急傾斜地等における植生・地質・風化の程度等の特性や地下水の流動等を反映したものではない。したがって、情報の利用に当たっては、個別の災害発生個所・時間・規模等を詳細に特定するものではないことに留意する必要がある。 (4)土砂災害警戒情報の発表基準 都と気象庁は共同して、発表のタイミング、発表頻度等を検討し、利用者の意向を考慮の上、情報の警戒基準・警戒解除基準を作成・決定し、これを用いて情報の発表を行う。 (5)土砂災害警戒情報の伝達 気象庁は、都地域防災計画及び気象庁防災業務計画に基づき情報を専用通信施設等により、都総合防災部等関係機関、日本放送協会(NHK)等報道機関へ伝達する。 都は、区市町村及び各支庁・建設事務所へ、防災ファックス及びDIS(災害情報システム)を利用し伝達する。 区は、災対統括部、災対地域本部、拠点隊が連携し、避難勧告等を的確に伝達する。 (6)区の対応 【実施主体】区災対統括部、区災対地域本部 土砂災害警戒情報を受けた区は、直ちに適切な手段で区民へ伝達し、避難先の確保等に取り組む。 【実施主体】区災対都市整備部、区災対土木部 降雨の状況や土砂災害警戒情報により、土砂災害の恐れのある場合は、人身への被害を未然に防ぐため、予め定められた職員態勢により、土砂災害(特別)警戒区域について警戒巡視に取り組む。 土砂災害警戒情報により、土砂災害の恐れのある場合は、交通管理者である警察と連携し、土砂災害特別警戒区域内の、区で管理する道路等について通行規制を行う。 (7)区の取り組み 【実施主体】区災対統括部 区は、区地域防災計画に、土砂災害警戒情報の取扱いについて定める。 区は、ホームページ等で土砂災害警戒区域等の周知を図るとともに、土砂災害警戒情報が発表された場合には、ホームページや災害・防犯情報メール配信サービス、ツイッター等により注意喚起に取り組む。 4 避難体制等の整備・確立 平成25年に発生した大島町での土砂災害の教訓を踏まえ、内閣府が策定した「避難勧告等に関するガイドライン(平成31年3月)」を参考に、区は避難勧告等の発令基準について、必要に応じて見直しを実施する。 区は、降雨の状況や土砂災害警戒情報、職員巡回や区民等からの通報等により、区内に土砂災害のおそれのある地域が確認された場合には、当該地域を対象に避難勧告等を発令するとともに、広報車や塔等による周知や避難所の開設、避難誘導等を行う。 区は、土砂災害警戒区域内にある、特に防災上の配慮を要する者が利用する施設(いわゆる要配慮者施設)を地域防災計画に定める。(「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第8条」)該当する施設の名称、所在地、情報の伝達方法は「地域防災計画(資料編)」に掲載。 なお、「地域防災計画(資料編)」に記載された要配慮者利用施設の施設管理者は、「避難確保計画」を作成し、区に提出するとともに自ら一般に公表することが求められる(「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第8条の2」)。 区は、当該要配慮者施設の施設管理者に対し、「避難確保計画」の速やかな作成、公表に向けた指導、助言等を行う。 *土砂災害警戒区域内の特に防災上の配慮を要する者が利用する施設 〔資料編資料第107・P252〕 (1)情報の収集・伝達 【実施主体】区災対統括部 豪雨時に、雨量情報、土砂災害警戒情報、避難所開設状況等を区民に提供 平常時より、土砂災害(特別)警戒区域等をハザードマップで区民に提供 防災行政無線の整備に加え災害・防犯情報メール配信サービス、ツイッター等による伝達手段を多重化 避難勧告等の判断のため、区民から前兆現象や近隣の災害発生情報等を収集 (2)避難勧告等の発令 【実施主体】区災対統括部 区は的確に避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告及び避難指示(緊急)を発令 在宅の要配慮者等については、避難が夜間になりそうな場合には、日没前に避難を完了できるよう避難勧告等を発令 避難勧告等を的確に発令できるよう、気象に関する専門家等の助言を活用   (3)避難所の開設・運営 【実施主体】区災対地域本部 区職員を開設・運営に当たらせることや、自主防災組織等と連携した運営体制を確保 避難所は、日頃より情報が集まる日常性のある施設とすることに配慮 在宅の要配慮者等の早期避難に備えて、安全性が確保されている身近な区立施設等の避難所を確保 安全な避難所の確保が難しい場合は、他の公共施設や民間施設等を避難所として選定 (4)要配慮者への支援 要配慮者関連施設への情報伝達方法を施設管理者と相互に確認 在宅の要配慮者について、防災関係部局と福祉関係部局が連携して情報共有を図り、避難支援体制を確立 (5)防災意識の向上 水防月間、土砂災害防止月間等における広報活動、防災訓練等を実施 区民主体のハザードマップの作成等、区民の取組みの活発化を支援 地区の防災リーダーについて、講習会の実施等を通じて育成 災害による人的被害を軽減する方策は、住民等の避難行動が基本となることを踏まえ、警報等や避難指示(緊急)等の意味と内容の説明等、啓発活動を区民等に対して実施   5 その他 土砂災害発生後の対応については、3「土砂災害警戒情報の提供」 (6)「区の対応」における記述内容のうち、必要な取組みを執り行う。 震災編 第2部「施策ごとの具体的計画」 第3章「安全な都市づくりの実施」 第5節「具体的な取組」 第3「復旧対策」 1「公共の安全確保、施設の本来機能の回復」 (3)「震災後の二次的な土砂災害防止対策」における記述内容による取組みを必要に応じて執り行う。 震災編 第2部「施策ごとの具体的な計画」 第12章「区民の生活の早期再建」 第5節「具体的な取組」 第2「応急対策」 1「被災住宅の応急危険度判定」 2「被災宅地の危険度判定」における記述内容による取組みを必要に応じて執り行う。 第4節 浸水対策 1 浸水想定区域の指定及び水深の公表 水防法(昭和24年法律第193号)の改正(平成27年7月19日一部施行、11月19日完全施行)により、国又は都は、洪水予報河川及び水位周知河川を対象として、想定し得る最大規模の降雨により河川が氾濫した場合に、浸水が想定される区域を浸水想定区域として指定している。 国又は都建設局は、浸水想定区域に指定した区域及び浸水した場合に想定される水深等を公表するとともに、関係区市町村長に通知する。 水防法に規定する浸水想定区域のうち、世田谷区において指定されているのは洪水浸水想定区域で、次の河川である。 <国管理河川>(国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所) 多摩川(洪水予報河川) 平成28年公表 ※想定最大規模降雨改定 <都管理河川>(東京都建設局) 野川、仙川(洪水予報河川) 令和元年6月公表 ※想定最大規模降雨改定 谷沢川、丸子川、呑川(水位周知河川) 令和元年6月公表 ※想定最大規模降雨改定 2 浸水想定区域における避難体制確保 【実施主体】区災対統括部、区災対地域本部、区災対物資管理部、区災対医療衛生部、区教育部 ①浸水想定区域内の要配慮者施設への対策 区は、浸水想定区域内にある、特に防災上の配慮を要する者が利用する施設(いわゆる要配慮者利用施設)を地域防災計画に定める。(「水防法第15条第1項第4号ロ」)該当する施設の名称、所在地、情報の伝達方法は「地域防災計画(資料編)」に記載。 なお、「地域防災計画(資料編)」に記載された要配慮者利用施設の施設管理者は、法の規定により、「避難確保計画」を作成し、区に提出するとともに自ら一般に公表することが求められる(「水防法第15条の3」)。 区は、当該要配慮者利用施設の施設管理者に対し、「避難確保計画」の速やかな作成、公表に向けた指導、助言等を行う。 該当する施設の名称、所在地、情報の伝達方法は資料編に掲載。 *浸水想定区域内の地下街等及び特に防災上の配慮を要する者が利用する施設 〔資料編資料第108・P254〕 ②洪水ハザードマップの作成、公表 区は、国土交通省京浜河川事務所が作成した「多摩川洪水浸水想定区域図」等に示される浸水想定区域について広く周知し、事前の備えに役立てていただくため、洪水・内水氾濫ハザードマップを作成し、区民に配布するとともに、区ホームページにて公開している。(「水防法第14条」、「水防法第15条第5項」) また、区は、令和元年東日本台風(台風第19号)等をうけ、「世田谷区洪水ハザードマップ(多摩川版、全区版)」から「世田谷区洪水・内水氾濫ハザードマップ(多摩川洪水版、内水氾濫・中小河川洪水版)」に改定し、区民への日頃からの周知啓発を図る。 <洪水・内水氾濫ハザードマップのホームページ> https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/005/003/003/d00005601.html *多摩川洪水浸水想定区域図                     (計画規模、浸水継続時間、想定最大規模、家屋倒壊等氾濫想定区域) (国土交通省京浜河川事務所)〔資料編資料第109・P258〕 *野川、仙川、入間川、谷沢川及び丸子川流域 浸水予想区域図 (都市型水害対策連絡会)〔資料編資料第110・P263〕 *城南地区河川流域 浸水予想区域図(改定)(都市型水害対策連絡会) 〔資料編資料第111・P264〕 ③日頃からの周知啓発 風水害時の避難方法や日頃からの備え等について、区のおしらせ、防災啓発物(世田谷区洪水・内水氾濫ハザードマップ(多摩川洪水版、内水氾濫・中小河川洪水版)等)、防災塾や地区の訓練、防災講話などの機会をとらえて、事前の周知啓発に取り組む。 多摩川洪水浸水想定区域内において、日頃から水害リスクを把握し、水防災に対する意識向上を図ることを目的として、想定浸水深表示板を電柱に設置する。設置箇所は、多摩川洪水想定浸水深の特に深いところや令和元年東日本台風(台風第19号)で浸水被害のあった地域を中心に設置する等、適宜見直しを図る。 ④水害時避難所の拡充 区は、多摩川洪水浸水想定区域外で、より身近な水害時避難所を確保するため、特に玉川、砧地域を中心に、大学や都立高校、民間施設等に対して、水害時避難所の拡充について協議を行い、早期運用を目指す。 また、活用の了承を得た施設については、使用方法等の具体的な運用方法を調整する。 (区が指定する水害時避難所は、法で指定する指定緊急避難場所の位置付けである。) ⑤水害時避難所等の周知 区は、水害時避難所について、「世田谷区洪水・内水氾濫ハザードマップ(多摩川洪水版、内水氾濫・中小河川洪水版)」や区ホームページ、ツイッターなどを活用し、水害時避難所の場所を周知する。なお、多摩川洪水浸水想定区域内には、多摩川洪水避難のための水害時避難所を開設しない(特に指定避難所)ことを区民への日頃からの周知啓発を図る。 区は、事前に駐車可能な場所を確認し(※水害時避難所が区立小中学校の場合は、施設内および校庭への駐車は原則禁止とする)、駐車場の利用が可能な水害時避難所を区ホームページ等で周知を行う。周知にあたっては、原則、公共交通機関での避難を促すこと等を併せて周知するほか、日頃から自主避難、縁故避難についての周知に努める。   ⑥水害時避難所の運営ルール等の事前調整 水害時避難所施設の鍵を災対地域本部で管理するとともに、施設の使用範囲、ペット、介助犬の受入スペースなど事前に施設側と調整を行う。 避難所運営マニュアル(標準版)を基に、水害時避難所の運営マニュアルを整備する。 ⑦水害時避難所への備蓄物品搬送等の事前調整 防災倉庫から備蓄物品の搬出及び搬送に必要な人員、車両等について事前に調整を行う。 3 地下空間への浸水被害対策 (1)浸水想定区域内の地下街等への対策 区は、浸水想定区域内の地下街等を地域防災計画に定める。(「水防法第15条第1項第4号イ」)該当する施設の名称、所在地、情報の伝達方法は「地域防災計画(資料編)」に掲載。 なお、「地域防災計画(資料編)」に記載された地下街等の所有者又は管理者は、法の規定により、「避難確保計画」(利用者の洪水時の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な措置に関する計画)を作成し、区に提出するとともに自ら一般に公表することが求められる。(「水防法第15条の3」) 区は、当該地下街の所有者又は管理者に対し、「避難確保計画」の速やかな作成、公表に向けた指導、助言等を行う。 *浸水想定区域内の地下街等及び特に防災上の配慮を要する者が利用する施設 〔資料編資料第108・P254〕 令和元年東日本台風(台風第19号)では、排水ポンプの能力が不足し、宅地での排水作業に時間と労力を要した。そのため、区は、排水ポンプ車(排水能力毎分10m3)を増配備する。 (2)施設管理者等への情報提供 区は、地下街、地下駐車場等の地下空間の分布把握に努めるとともに、地下空間の施設管理者等に対して、気象情報等の浸水の危険性に関する情報を提供する。 (3)普及啓発 区は、既存の地下空間の施設管理者及び今後地下室等を新設する建築主等に浸水対策の必要性等を積極的に広報していく。また、施設管理者等に浸水防止対策の先進事例等の情報を提供する。 (4)都による支援 都は、区市町村が地下空間の浸水被害対策を実施する際に、必要な情報提供や技術的支援などを行う。 (5)地下空間管理者による情報判断 地下空間管理者は、日頃から浸水実績図や浸水想定区域図をもとに、当該地下空間の浸水の危険性を把握し、避難誘導経路を確保した上、施設利用者の避難確保計画及び浸水防止計画を作成し、区市町村長に報告し、公表する。 また、地下空間管理者は、提供される降雨に関する情報等を積極的に活用するとともに、出口付近の地盤高を目安にして、早めの警戒策を講じる。 第5節 都市型水害対策 区及び都は、都市化に伴う排水能力の低下や局所的集中豪雨の多発に対応し、水害に強い街づくりを推進するため、以下の対策に取り組んでいる。 1 総合治水対策の推進 (1)河川の整備 都建設局は、区部や多摩部の中小河川において、50mm/hの降雨に対処するため、河床掘削を含めた整備をするとともに、近年の50mm/hを超える降雨への対応として、公共空間を活用した調節池による効率的な整備を、優先度を考慮し流域ごとに対策を進めていく。 また、治水施設の整備を図るとともに、下水道事業や流域の雨水流出抑制施設とを連携させた総合的な治水対策を推進し、水害の早期軽減を図る。 (2)下水道の整備 都市化の進展に伴い、雨水流出量の増大している地域において、50mm/hの降雨に対処するため、雨水幹線などの整備を行い、雨水排水能力の増強を図っている。 近年の局所的集中豪雨により浸水被害が多発したことを受け、都下水道局では、対策を工夫しながら区民が実感できる効果を短期間のうちにあげるために、「豪雨対策下水道緊急プラン」として緊急的に取り組む事業を実施している。 また、「経営計画2016」においては、水害の危険性の高い20地区に対し10地区完了したが、世田谷区玉川地区は未完である。大規模地下街など浸水による人命や都市機能に重大な影響が予想される地区では、75mm/h降雨に対応できる施設を先行的に整備する(世田谷区では、深沢地区及び弦巻地区)。 (3)流域対策の推進 都及び区は、治水施設(河川、下水道)の整備を促進するとともに、流域対策として歩道における透水性舗装や浸透ますの設置、住宅等における各戸貯留・浸透施設の設置等いわゆる雨水流出抑制対策や適切な土地利用への誘導などを推進していく。 雨水貯留効果の高い緑地を保全・創出する。 公園、緑地、学校の校庭、広場、集合住宅の駐車場など、都市部の既存の大規模・中規模施設を利用した雨水流出抑制施設の設置を進めている。 今後も引き続き流域対策を推進するとともに、ビルの屋上緑化や車道における透水性・保水性舗装の本格実施についても、あわせて推進する。 (4)河川・下水道の連携 都及び区は、河川・下水道施設の連携による調節池・貯留管など、総合的な治水施設の効率的運用を図り、流域全体の治水安全度をバランス良く調整する。   2 建築物における浸水予防対策 建築物の地下施設や排水逆流等による浸水被害を予防するため、建築物に地下施設を設ける場合や、建築物の周囲の状況により便所・浴室等の排水が逆流するおそれのある場合には浸水予防対策を講じるよう、建築主等に指導している。 *世田谷区建築物浸水予防対策要綱〔資料編資料第112・P265〕 3 雨水浸透施設・雨水タンクの設置助成 降雨時に大量の雨水を一時に河川や下水道に流出させない雨水流出抑制施設(雨水浸透施設や雨水タンク)の設置により、浸水被害の軽減が図れる。区では、民間住宅等に雨水浸透施設や雨水タンクを設置する場合に、費用の一部を助成している。 *世田谷区雨水浸透施設設置助成金交付要綱〔資料編資料第113・P267〕 *世田谷区雨水タンク設置助成金交付要綱〔資料編資料第114・P274〕 4 洪水情報の提供 (1)雨量・気象情報等の即時伝達 浸水の危険が予想される際に、迅速かつ的確に判断を下せるよう、都は、区市町村はもとより、特に甚大な被害が想定される鉄道・地下街等、不特定多数が往来する大規模地下空間の管理者等に、雨量・気象情報を提供する。 ①各管理者の役割 河川管理者(都) 降雨情報や河川の水位に関する情報を提供 下水道管理者(都) 降雨情報や下水道管きょ内水位に関する情報を提供 水防管理者(区市町村) 住民からの通報や気象情報の問合せの窓口を充実 地下空間管理者 地下街の店舗などに対して、気象情報等を提供し、注意を喚起するとともに、地下にいる人々の避難誘導などを行う。 ②降雨情報等の提供方法 都は、インターネット等を活用し広く降雨情報等を提供している。 都は、区などへ防災対策等に活用できるよう、下水道管理用光ファイバーケーブルを活用し、幹線管きょ内の水位情報を提供する。 区は、防災機関に配信しているレーダー雨量計システムから得られる降雨情報を、インターネットや携帯電話を活用し広く提供している。 区は、インターネット等を活用し、雨量水位観測システムにより得られる降雨情報や河川の水位情報を提供している。   5 洪水ハザードマップ等の作成・公表 (1)浸水予想区域図の作成 浸水予想区域図の目的 区民が住居地区内の浸水予想から、それぞれの地域における危険性を認識し、自らが避難等の対策を講じる資料とする。 建築の際、浸水被害を防止する建築構造上の配慮を行うための参考資料とする。 予想浸水深を知ることにより、区民が水害に強い生活様式の工夫を図る。 水防活動を円滑に行うための資料とする。 浸水予想区域図は、都及び流域内の区市等で構成された都市型水害対策検討会及び連絡会において流域ごとに作成され、平成13年の神田川を皮切りに、既往の東海豪雨版について平成20年9月には都が管理する全ての河川について、作成・公表されている。現在は、想定し得る最大規模の降雨を前提とした図への早期改定を進めている。 (2)洪水ハザードマップの作成・公表 浸水予想区域や浸水深、また避難所などを、区民に分かりやすく示した「洪水ハザードマップ」は、事前情報の提供手段の一つであり、区民の迅速かつ円滑な避難行動や危機管理意識の高揚に役立つ有効な手段である。 区は、都市型水害対策検討会及び連絡会が作成した「浸水予想区域図」に示される浸水のおそれがある区域について広く周知し、事前の備えに役立てていただくため、洪水・内水氾濫ハザードマップを作成し、区民に配布するとともに、区ホームページにて公開している。 区は令和元年東日本台風(台風第19号)を受け、「世田谷区洪水ハザードマップ(全区版)」から「世田谷区洪水・内水氾濫ハザードマップ(内水氾濫・中小河川洪水版)」に改定し、区民への日頃からの周知啓発を図る。 *城南地区河川流域 浸水予想区域図(改定)(都市型水害対策連絡会) 〔資料編資料第111・P264〕 *野川、仙川、入間川、谷沢川及び丸子川流域 浸水予想区域図 (都市型水害対策連絡会)〔資料編資料第110・P263〕 ①作成主体 洪水ハザードマップは、洪水時の区民の避難などに役立てることを目的とすることから、地域の防災の責任を有する区市町村が作成する。 ②洪水ハザードマップの作成 区は、都市型水害対策検討会及び連絡会で作成した流域ごとの浸水予想区域図をもって、洪水ハザードマップの原案及び防災上の課題について調査・検討した上で、洪水ハザードマップを作成する。 区は、地域の実情と作成の目的を的確に反映するため、都など関係機関(学識経験者、気象専門機関、関連区市町村、防災市民組織関係者、地域の代表者等)の協力を得ることとする。 洪水ハザードマップ原案の作成 洪水ハザードマップの作成条件を設定するとともに、浸水や避難に係る情報を収集整理し、洪水時において、どうすれば区民が安全に避難できるのかを十分に議論し、その検討結果をもとに原案を作成する。 防災上の課題の検討・整理 洪水ハザードマップ作成の検討過程から明らかになった防災上の課題を抽出・整理する。例えば、避難手段、避難所、避難ルート、情報伝達体制、伝達手段、要配慮者の避難、ライフラインなどに関する課題を整理する。 ①区民への普及啓発 区は、作成した洪水ハザードマップが有効に活用されるよう、区民に対し速やかに公表・配布するなど、積極的に普及啓発する。 ②水防計画、地域防災計画等への活用 区は、作成した洪水ハザードマップを水防計画、地域防災計画等へ活用する。 区は、浸水想定区域内の地下街や要配慮者が利用する施設等の名称、所在地を把握する。 6 水害時避難行動マップの作成支援 区は、平成26年度豪雨対策モデル地区(鎌田一丁目、二丁目)において平成27年度に、モデル地区外の鎌田四丁目・大蔵六丁目地区で水害時避難行動マップを作成し、配布・周知している。 区は、地区の実情に応じた個別の水害ハザードマップ等の作成を支援する。 7 避難体制等の整備・確立 (1)防災拠点施設の現状の点検と浸水時における対策 区は、風水害対策の要である防災拠点施設が、氾濫、浸水時に機能を果たせるかどうか点検と対策の推進を行う。 防災拠点施設:庁舎・支庁舎、水防倉庫、避難所、排水機場等 対策例:施設の床面・機器の嵩上げ、止水壁・止水板の設置等 区は、要配慮者の避難方法、避難所を検討する必要がある。 (2)避難計画・ハザードマップの見直し 内閣府より示された「避難勧告等に関するガイドライン」に基づき、屋内安全確保(垂直避難)の考え方について、避難計画やハザードマップ等へ反映する。   (3)資器材、物資の備蓄 【実施主体】区災対土木部 区は、管内における水防活動が迅速かつ十分に行えるように以下の点に留意し、備蓄体制を整えるものとする。 ①水防倉庫の整理及び資機材等の備蓄・補給 ②車両の確保、輸送経路等の十分な措置 *水防倉庫所在地及び備蓄資材一覧表〔資料編資料第115・P277〕 【実施主体】都第二建設事務所 水防管理者から緊急要請があった場合に即応できるよう水防倉庫を設け、土のう・スコップ・つるはし等の資機材を備蓄している。 *水防倉庫及び備蓄資材(都第二建設事務所)〔資料編資料第116・P278〕 (4)迅速かつ正確な情報収集及び伝達 区は、洪水氾濫の対策として、迅速かつ的確な災害対応のために、まず正確な情報の収集・伝達が必要である。このため、防災関係機関が連携を図り、情報の交換に努め、必要な情報を共有・伝達できる体制をつくる。 区は、区地域防災計画に記載された地下街や要配慮者が利用する施設等に対し、洪水予報等の伝達を確実に行うとともに、地下街管理者や区民などが必要としている情報をテレビ、ラジオ等マスメディアを通じ、情報を迅速に提供するなど、マスコミ等との連携の強化を図る。 防災行政無線放送の伝達、音達性能の向上・検討を進め、防災行政無線のスピーカーのよりよい伝達方法の検討を行い、改善に取り組んでいくことに加え、災害・防犯情報メール、ツイッター等による情報伝達手段の多重化を図る。 8 水防・水害対策に関する体制の強化 区は、豪雨時の避難所として、大学や民間公共施設等との連携を進めている。 降雨時には、車両の速度規制等の交通規制が必要となるため、交通管理者との連絡・連携態勢の再構築を行い、また警備会社等を活用する等、区内協力団体との協力関係構築が必要となる。また、要配慮者の避難を考える場合には、福祉施設の協力も必要となるため、支所の枠を超えた水防態勢の再検討が必要となる。今後は、各関係機関と連携を強化していく。 9 広報・啓発 区は、浸水予想区域図や「世田谷区洪水・内水氾濫ハザードマップ(多摩川洪水版、内水氾濫・中小河川洪水版)」により、区民が浸水の危険性や避難所・避難経路を事前に認識できるようにする。 区民に対しては、水害の危険性や対策の必要性をパンフレット等の配布やインターネット等への掲載を通じて広める。 国や都、関係機関、区関係所管と連携し、災害リスクと取るべき避難行動等の普及啓発を推進する。