【震災編】 第3部 災害復興計画 第4章 災害復興計画 第1節 住宅の確保 【実施主体】区災対都市整備部、都都市整備局 災害により被害を受けた住宅の復興は、被災した区民の生活復興のために最も重要な課題である。民間住宅の復興は自主再建が基本となるが、区・都及び関係機関は、区民の自力再建を支援する施策の充実を図る。また、自立再建の困難な被災者のための公的住宅を都と連携して供給する。 *世田谷区震災復興マニュアル 1 応急仮設住宅の運営 応急仮設住宅の入居者の募集・選定・入居に係る手続きを実施するとともに、応急仮設住宅内のコミュニティ形成等の支援や、自治会創設の支援を行う。 2 マンション等再建の支援 ①所有者の合意形成の支援 被害を受けたマンションの再建に必要な居住者の合意形成などを支援する。 ②マンションの建替えの支援 マンションの建替え等の円滑化に関する法律を活用した支援を行う。また、被害マンションが既存不適格建築物である場合等においては、建築基準法第52条第8項の区域指定、総合設計制度等の活用により、再建を支援する。 3 民間住宅の供給促進 ①良質の民間住宅の早期・大量供給を図るため、生産者団体、不動産業界団体、消費者団体、国、都、区などから構成する「復興住宅供給協議会(仮称)」において、狭小・欠陥住宅の建設防止や、劣悪な住環境形成の防止に係る協力体制について検討する。 ②市街地再開発事業等により、まちづくりと一体になって、良質な住宅供給に努める。 4 公的住宅の供給 ①自力再建の困難な被災者のための公的住宅を、都及び都住宅供給公社・独立行政法人都市再生機構の協力を得て供給する。 ②区営住宅等の被害状況に応じて実施計画を策定し、補修・補強工事、建替え等の工事を実施する。   第2節 保健福祉の充実 【実施主体】区災対保健福祉部、区災対地域本部 災害によりサービス供給事業者や福祉施設も被災しサービス供給の激減や混乱が予想される。 区は、区民生活の早急な生活復興を支援するため、サービス提供事業者と連携して保健福祉サービス提供体制の早期回復に向け、最大限の努力を払う。 介護保険及び高齢者福祉サービス、または障害福祉サービスが必要な方に、効率よくサービスを供給するため、利用調整を行う。 また、実態調査や地域での安否確認、保健師による避難所訪問等により特別な注意が必要と認められる高齢者・障害者に対しては、都と連携のうえ定期的な巡回体制をとる。 第3節 地域医療の再建 【実施主体】区災対医療衛生部、区災対地域本部 災害時には、東京都、地区医師会などから情報を収集するとともに診療所、歯科診療所の実態把握に努め、区民が適切な医療を受けられるよう広報を行う。 第4節 地域産業の復興 【実施主体】区災対区民支援部 被災した事業所等の事業継続・再開は、当該事業主の生活復興だけでなく、雇用の確保や地域社会の復興の推進力となる。区は、中小企業に対し、被災状況に応じた支援方針を策定し、区内中小企業等の事業復興を支援する。 第5節 離職者の就労・生活支援 【実施主体】区災対区民支援部、区災対地域本部 区民生活を再建するためには、経済的な基盤である就業の確保、事業の存続が不可欠である。区は応急的に窓口を開設し、災害により失職した区民に対し、再就職に関する情報提供や労働・雇用に関する相談を関係機関の協力をもとに実施する。 第6節 教育の復興 【実施主体】区災対教育部 区は、区立学校施設の被害程度の把握に努め、被災状況に応じた校舎の補修・改修・再建計画を策定する。また、計画に基づいて仮設校舎の建設や補修工事等を進め、代替施設の調査・検討も含め、授業の早期再開に取り組む。 併せて、被災児童・生徒等への学用品等の支給等の支援施策を実施する。  第7節 都市の復興 【実施主体】区災対都市整備部 *世田谷区災害対策条例〔資料編資料第125・P290〕 1 都市復興基本方針 災害により市街地が大規模な被害を受けたときは、区はその復興に際し、都及びその他関係地方公共団体と連携を図りつつ、速やかに「世田谷区都市復興方針(区の市街地の復興に関する基本的方針)」を策定する。 この方針に基づき、市街地の復興に関する事業(以下「市街地復興事業」という。)を推進し、その他必要な施策を実施するものとする。 2 復興対象地区の指定 区長は、市街地復興事業を推進するため、復興対象地区を指定することができる。なお、この指定をしたときは、その旨を告示する。 名称 重点復興地区 内容 災害により、建築物等の集中的倒壊若しくは大規模な焼失又は都市基盤施設の損壊等の壊滅的な被害を受け、都市基盤施設の整備等を緊急かつ重点的に行うことが必要な区域 指定の基準 基盤未整備地区であって、大被害地区であるもの 名称 復興促進地区 内容 災害により、相当数の建築物等が倒壊し、又は焼失し、さらに、その区域内の一部の地域が建築物等の集中的破壊若しくは大規模な焼失又は都市基盤施設の損壊等の甚大な被害を受け、当該地域を含めた都市基盤施設の整備等を一体的に行うことが必要な区域 基盤未整備地区であって、中被害地区であるもの 指定の基準 基盤整備済み地区であって、大被害地区又は中被害地区であるもの 名称 復興誘導地区 内容 災害により、建築物等が倒壊し、又は焼失し、当該建築物等の更新を誘導することが必要な区域 指定の基準 基盤未整備地区又は基盤整備済み地区であって、小被害地区であるもの (備考) (1)「都市基盤施設の整備等」とは、災害に強いまちづくりを推進するために耐震性及び耐火性の高い建築物等の新築、改築又は増築を行うこと、及び、都市基盤施設の整備を行うことをいう。 (2)「基盤整備済み地区」とは、区長が基盤の整備済みと認めた区域をいう。 (3)「基盤未整備地区」とは、基盤整備済み地区に該当しない区域をいう。 (4)「大被害地区」とは、被害度(一の街区における全家屋棟数に占める全壊家屋、半壊家屋、全焼家屋及び半焼家屋の棟数を合算した棟数の割合の百分比をいう。以下同じ。)がおおむね80%以上である街区が連なり、かつ、当該面積がおおむね1ha以上である区域をいう。 (5)「中被害地区」とは、被害度がおおむね50%以上80%未満である街区が連なり、かつ、当該面積がおおむね1ha以上である区域をいう。 (6)「小被害地区」とは、被害度がおおむね50%未満の部分的な被害が見られる街区が連なり、かつ、当該面積がおおむね1ha以上である区域をいう。 (7)その他、指定の基準に関することは、「世田谷区災害対策条例施行規則」の例による。 3 都市復興基本計画 区は、「東京都都市復興基本計画」との整合を図り、「世田谷区都市復興基本方針」に基づき、「世田谷区都市復興基本計画」を策定する。 4 市街地復興事業の推進 (1)重点復興地区及び復興促進地区 区は、「世田谷区都市復興基本計画」に基づき、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の整備事業の施行、道路、公園等の公共の用に供する施設の整備、地区計画等の決定、建築物等の不燃化その他の必要な措置を講ずるよう努める。 (2)復興誘導地区 区は、「世田谷区都市復興基本計画」に基づき、地区計画等の決定、建築物等の不燃化その他の必要な措置を講ずるよう努める。 5 被災市街地復興推進地域 区長は、重点復興地区及び復興促進地区において、土地の形質の変更又は建築物の新築、改築若しくは増築を制限する必要のある区域については、「被災市街地復興特別措置法」の規定により、都市計画に被災市街地復興推進地域を定めることができる。 6 復興訓練の継続的な実施(平常時の取組み) 震災後の復興に向けてすみやかな行動ができるよう、区民・専門家・職員等による復興訓練を実践的・継続的に進め、災害時の協力体制を構築する。 (備考) 区では、復興訓練を「世田谷区都市復興プログラム」に則して実施することとしている。 ※「世田谷区都市復興プログラム」は、本計画及び本計画の復興にかかる部分を具体化する「世田谷区震災復興マニュアル」のうちハード面の計画としての都市復興について、自助・共助・公助の基本理念に立ち、区民、事業者、区が協働して震災後の復興に取り組むための方針や行動手順等を、街づくりの視点から復興プロセスの時間経過とともに分かりやすくまとめたものである。  第8節 世田谷区震災復興マニュアルの策定 【実施主体】区災対財政・広報部、区災対統括部 区は、区民生活の復興を支援するための基本問題及び取り組みの基本的方向や、事前に検討・準備すべき事項及び検討手順、実際時の手続や態勢等を示した「世田谷区震災復興マニュアル」を平成14年7月に策定した。 さらに、東京都「区市町村震災復興標準マニュアル(平成29年3月)」等の修正を踏まえ、都の支援・連携内容との整合を図り、平成30年3月に修正した。 同マニュアルは、被災後、混乱期から復興期にかけて区民生活の再建と安定に必要とされる区の復興対策業務を遅滞なく、かつ混乱のないように行うための震災復興活動の指針として作成するものであり、行政のとるべき施策や必要な事業についてのチェックリストとしての役割と、復興事務遂行上の手引書としての役割を持つ。 また、同マニュアルは、各部課において個別に作成、管理している分野別マニュアルの総括編としてまとめており、区の取るべき行動や実施すべき事業、復旧すべき施設等についての全体的なチェック機能の強化を図るものとする。 なお、同マニュアルは、必要に応じて適宜見直しを行うものとする。 (項目例示) 策定担当部課/マニュアルの概要・目的/具体的行動名/所管部課/内容、方法等/準備状況/検討課題/関連する物品・データ・様式等/都との連携