第5章 応急対応力、広域連携体制の強化 本章における対策の基本的考え方 広域的な視点からの応急対応力強化の基本的考え方 大規模な震災が発生した場合、発災直後の的確かつ迅速な初動対応が多くの命を救うことにつながる。このため、区本部においても、被害の状況に応じた機動的な対応や、各部、都、自衛隊をはじめとした関係防災機関との迅速かつ円滑な連携ができる体制の強化が必要である。一方で、一自治体単独での対応には自ずと一定の限界もあり、近年の災害の教訓を踏まえると、初動時からの円滑な広域応援の調整が必要である。また、応援部隊が円滑に活動できる拠点施設等の確保も必要である。 本章では、大規模な地震が発生した場合における、区本部の体制や、国及び都や他自治体などとの広域的な連携及び応援部隊の活動拠点の整備等について示す。 第5章 応急対応力、広域連携体制の強化 第1節 現在の到達状況 1 初動対応 区内において大規模な災害が発生し、又は発生すると認められたときは、迅速に災害対策活動を実施できるよう区本部を設置する。なお、平成25年度より、非常配備態勢指定における参集基準を変更し、震度5弱以上の地震が発生した場合は、区本部を自動的に設置し、職員が参集する体制を整備した。 2 広域連携体制 災害時に他の地方公共団体の円滑な協力が得られるよう、広域連携体制として以下のとおり災害時の相互応援に関する協定を締結し、応援体制を構築している。 区は、他自治体との協力協定、各種協定締結の継続を推進しており、令和2年4月現在の協定数は345となる。 相互協力支援協定 東京23区 相互援助協定 狛江市、群馬県川場村 相互応援協定 城南5区(品川区、目黒区、大田区、渋谷区、世田谷区)、調布市、つくば市、高崎市、小山市、熊谷市、十日町市、三鷹市、松本市 令和2年4月1日現在 3 大規模救出救助活動拠点の整備 大規模な災害発生後すぐに、広域支援・救助部隊等が被災者の救出、救助等を行うための活動拠点として、都が指定するオープンスペースを大規模救出救助活動拠点の候補地として活用する。 〔屋外施設〕 候補地名称 都立駒沢オリンピック公園 所在地 駒沢公園1丁目 想定候補面積(m2)18,000 ヘリ離発着想定面(m) 100×80 現況 陸上競技場 候補地名称 都立砧公園 所在地 砧公園 想定候補面積(m2)15,000 ヘリ離発着想定面(m) 80×100 現況 野球場 〔屋内施設〕 候補地名称 世田谷清掃工場 所在地 大蔵1-1-1 アクセス道路 環状8号線 候補地名称 千歳清掃工場 所在地 八幡山2-7-1 アクセス道路 環状8号線 *災害時臨時離着陸上候補地一覧〔資料編資料第30・P71〕 第2節 課題 【被害想定(東京湾北部地震)】 *図表省略 1 初動対応 東日本大震災の被害は、広範かつ甚大なものであり、被災地では自治体自身が被災した例もあったことから、被害状況や支援要請の集約に時間を要した。現行の被害想定では、多くの負傷者や自力脱出困難者、建物被害の発生が想定されることから、迅速な救出・救助活動の実施に向けてより効率的かつ効果的な体制を構築する必要がある。 具体的には、区として次のような課題がある。 区本部としての全体的な職員配置体制の具体化 職員の安否確認態勢の確立 情報システムが稼動できない間の業務継続について、各所管課による検討 2 広域連携体制 広域的な物資調達のほか、帰宅困難者対策や広域避難などについては、自治体の枠を超えた対応が求められる場合もあり、近隣自治体等との円滑な連携を図るため、広域連携体制の実効性を高める必要がある。 また、災害時における支援協定のあり方について、連絡体制・運用の更なる検討が必要となる。 3 大規模救出救助活動拠点の整備 救出・救助活動やライフライン等の復旧活動を迅速に実施するためには、部隊のベースキャンプ地や資器材等の置き場所などが必要であり、連絡体制や使用施設等について事前に十分な調整を行う必要がある。 第3節 対策の方向性 1 初動対応体制の再構築 区と関係防災機関が一体となって活動を展開できるよう、区本部体制を見直し、災害対応・総合調整機能の強化や、自衛隊・警察・消防等との連絡調整機能の強化を図り、円滑な初動態勢を構築する。 具体的には次の取組みを行う。 【ハード対策】 新たな本庁舎の整備に際し、災害対策本部機能の強化を図る。 【ソフト対策】 区本部の職員配置体制を検討する。 職員の安否確認の手段を周知徹底する。 図上訓練等による応援手順を検証する。 2 広域連携体制の強化 協定間や関係機関で円滑な連絡調整や情報共有ができるよう、広域連携に係る調整体制を強化するとともに、防災関係機関や事業者を含めた協力機関との連携を推進する。 具体的には、各種団体との協定締結を推進し、定期的な協定内容の確認、修正を行う。また、区が実施する訓練に協定締結団体の参加を検討する。 3 大規模救出救助活動拠点の活用、区独自の拠点の整備、拡大 都が確保する広域支援・救助部隊のベースキャンプやライフラインの復旧活動拠点として確保するオープンスペースを活用し、大規模な救出・救助活動や復旧活動を円滑に実施する。 第4節 到達目標 1 迅速かつ的確な活動を可能とする強固な初動態勢の構築 災害対応の総合調整機能を強化するため、自衛隊・警察・消防等との連絡調整機能の強化を図るなど、区と関係機関とが連携して区本部の対処能力を向上するための体制を構築する。 2 近隣自治体や民間事業者等との連携強化による円滑な体制の構築 現在の協定自治体等の広域連携体制の一層の強化や、国、都、他自治体、関係機関等と円滑な協力体制が取れるよう、協力体制及び受援応援体制の構築を図る。また、関係防災機関や事業者と連携して応急対応を実施するための連携チームを編成し、協定自治体や関係機関等からの人員や支援物資を受け入れる態勢を具体化する。 3 大規模な救出・救助活動や復旧活動拠点の確保 区と都等が連携し、公園等の整備などを行い、大規模な救出・救助活動や復旧活動のための拠点となるオープンスペースを確保するとともに、その円滑な活用に向けて、受援や発災時に備えた大規模救出救助活動拠点、復旧活動拠点に係る計画を策定し、迅速な活動のための環境を整備していく。 第5節 具体的な取組み 第1 予防対策 1 初動対応体制の整備 2 業務継続体制の確保 3 消火・救助・救急活動体制の整備 4 広域連携体制の構築 5 応急活動拠点の整備 1 初動対応体制の整備 (1)対策内容と役割分担 機関名 区(災対各部) 対策内容 災対各部での災害マニュアル等の整備・更新・訓練を実施する。 職員の研修等を実施する。 他の防災関係機関による訓練への積極的な参加を推進する。 機関名 都水道局 対策内容 各部と事業所が一体となった総合訓練及び事業所ごとに行う個別訓練を、年1回以上行う。 機関名 都下水道局 対策内容 下水道局南部下水道事務所と区は、共同して、災害時し尿投入場所マンホール確認訓練を年1回以上行う。 機関名 警視庁・警察署 対策内容 9月1日の震災警備訓練のほか、宿直時間帯における初動措置訓練等、年間を通じて区及び地域住民と協力して随時実施する。 機関名 東京消防庁・消防署 対策内容 地震火災等地震時の各種災害に対処するため、各消防署において、消防団、災害時支援ボランティア、防災区民組織、区民、事業所を対象として防災訓練を行う。 建物の倒壊や電車脱線等による多数の死傷者が発生する救助救急事象及び大規模な市街地火災に対処するため、医療機関、民間団体等と協力体制を確立し、連携した総合訓練を実施する。 機関名 NTT東日本 対策内容 大規模地震を想定し、防災訓練を年1回以上実施する。 都、区、市の防災会議等が主催して行う総合的な防災訓練に積極的に参加し、これに協力する。 機関名 首都高速道路 対策内容 震災時において総合的かつ実践的な訓練を関係機関と連携しつつ実施する。 機関名 東京電力グループ 対策内容 非常時における迅速・的確な情報連絡態勢の充実などを目的に、情報連絡を中心とした訓練を年1回以上、全社的に実施する。 自治体主催の総合防災訓練への参加、社員の防災教育 機関名 東京ガス 対策内容 非常事態対策関係諸規則等に基づき、防災訓練を実施する。 機関名 京王電鉄 対策内容 公衆等の安全確保並びに早期復旧を図るため、随時所属員の教育及び訓練を行う。 機関名 小田急電鉄 対策内容 地震発生時等における初動対応、旅客の避難誘導、運転取扱い等また防災知識に関する教育・訓練を実施する。 機関名 東急電鉄 対策内容 乗客の安全を確保するため、関係機関と協力して訓練を実施する。 防災対策に従事する従業員に対し、防災対策に必要な教育訓練を実施する。 災害時の情報連絡を円滑にするため、非常無線訓練(無線統制定期訓練、災害情報連絡訓練)をその都度実施する。 機関名 世田谷サービス公社(エフエム世田谷) 対策内容 訓練を実施する 機関名 郵便局 対策内容 防災週間及び防災とボランティア週間を中心に防災訓練を実施するほか、計画的な机上訓練を実施し、職員の意識の高揚を図る。 機関名 世田谷ケーブルテレビ協議会 対策内容 世田谷区及びケーブルテレビ事業者間における情報連絡に関する事項 放送機器類等の非常用設備動作に関する事項 機関名 都総務局 対策内容 首都直下地震等対処要領の策定 総合防災訓練の実施 *各機関における情報連絡体制一覧〔資料編資料第31・P73〕 (2)詳細な取組み内容 ①活動庁舎 *図表省略 ア 災害対策本部機能の強化 災害対策本部長室等を耐震性が優れている本庁第3庁舎に移転した。 本庁第3庁舎全体に供給できる非常用発電機と72時間稼動できる燃料タンクを整備した。 必要給水量の確保として飲料用にも使用できる井戸と浄水設備を設置した。また、4日分の容量を確保できる排水貯留槽を設置した。 【新庁舎における災害対策機能の強化】 2027年に完成予定である新庁舎について災害対策機能の強化に向けた施設計画を進めていく。 新庁舎は大地震動後、人命の安全確保に加えて十分な機能確保ができる免震構造とする。 発災直後から災害対策機能が確立できるよう災害対策本部長室、災害対策本部会議室、オペレーションルーム、無線室等の災害対策本部機能を東棟3階に集約する。 大規模災害時の対応において、被害状況の把握、災対統括部から災対各部間の情報伝達や情報共有を行うため、サーバー室を東棟地下1階と西棟地下2階に設置する。 情報収集・分析及び災害対策本部内での情報共有を迅速かつ効果的なものにし、対応方針等の意思決定を適切に行うことを目的とした防災情報システムを導入する。 広場は緊急車両(自衛隊・警察車両など)・物資供給車両のスペースとしての活用、東2期棟1階に様々な情報発信の場として、エフエム世田谷のサテライトスタジオの設置、区民会館を災害時の物資集積場所として利用するなど、物資・情報供給拠点として活用する。 低層階全体の災害対策施設へと転換できるよう、東2期棟1階の区民交流スペースを災害時に活用可能なスペースとする。 災害時の本庁舎従事職員1300人分の食糧、飲料水3日分及び排便収納袋を収納する防災備蓄倉庫を東1期棟地下1階に配置する。 東西敷地に1箇所ずつ防火水槽を設置する。 区民、職員が災害時に適切に避難できるよう分かりやすい案内を行うとともに、障害者の避難も考慮し、デジタルサイネージの活用、火災報知器と連動した光警報器や音声誘導装置等を設置する。 災害時の電力確保として、受変電設備や非常用発電機を東西に分散して適切に設置し、災害発生時からインフラ復旧までの庁舎機能を維持する。 太陽光発電やコジェネ発電を設置し、日常利用時の環境性能と災害時の防災性能を両立する。 情報収集のため、防災無線、電話、情報、テレビ等が利用できるよう、各機器には非常用電源を供給する。 上水を受水できない場合、受水槽の水を活用し、感震器により作動する遮断弁を計画する。また、防災井戸の地下水は、区民及び職員への給水や雨水の貯留がなくなった場合に、トイレ洗浄水への利用とする。 震災時に下水道本管に放流できない場合、トイレなどの排水をピット内の汚水槽に放流できるよう切替装置を計画する。汚水槽の容量は東棟・西棟の合計で約250㎥を確保する。 マンホールトイレに代わり、東西1期棟の屋内トイレを災害時に使用する。 震災時に破断による供給停止のリスクが小さく、東京ガスによる遮断弁の開作業により復旧する中圧ガスを引き込む。 ガス熱源機器の稼働により、空調可能範囲は発電機容量を拡張する。 震災時に冷暖房を必要とする室は、発電機からの電源供給、ガス熱源機器により運転する。 イ 区本部の代替機能の確保 区は、区本部が被災した場合等、区本部を本庁第3庁舎内に設置できない場合は、下記の順位に従い、区本部の予備施設を指定する。 〔区本部施設の指定〕 本部長室等を原則本庁第3庁舎内に設置する。 本部長室等を本庁第3庁舎内に設置できない場合に備え、次のとおり、区本部の予備施設を指定し、通信設備などの整備を図る。 次に掲げる順位で、区本部の予備施設を指定する。なお、事態の状況に応じ、区長の判断により順位を変更することができる。 順位 第1順位 施設名 砧総合支所 場所  成城6-2-1 順位 第2順位 施設名 玉川総合支所 場所  等々力3-4-1 ウ まちづくりセンターの防災機能の強化 区本部が立ち上がった場合には、区内のまちづくりセンターは、拠点隊として被災状況等の情報収集を行う。震災初動期における迅速な対応を図るため、まちづくりセンターに対し、防災無線、非常用発電機などの装備の充実により、防災機能の強化を図る。 ②発災時の受援応援体制の充実 庁内、都・区間、区・協定締結団体間等の受援・応援に係る調整体制を強化する。 ボランティア、NPOと区との連絡調整体制等を強化する。 災害時における防災関係機関と区災対各部の連絡員の連携体制を確立するとともに、発災初動期に区本部に集結する連絡員との定期的な連携訓練を行うなど、平時からより一層顔の見える関係づくりに努める。 区災対各部と協定締結団体との平時から顔の見える関係づくりに努める。 ③区及び防災関係機関による防災訓練 区、防災関係機関が災害時の協力態勢と応急対策活動の習熟を図り、災害時の防災行動力の向上を目指す。 【実施主体】区災対各部 災害対策本部運営訓練 災害対策本部長を中心に指揮・命令が円滑に伝達されるよう被害想定に基づき、ICS(IncidentCommandSystem(インシデント・コマンド・システム)の略。緊急時に複数の関係機関が効率良く連携することができる緊急体制・組織の運用法。)の考え方、図上訓練の手法を取り入れ、本部員及び職員の教育・訓練を実施する。 職員参集訓練 勤務時間外に震度6弱以上の地震が発生又は警戒宣言が発せられたという想定で、職員を対象に実施する。 情報通信訓練① 区移動系・地域防災系無線システム定期交信訓練 情報通信訓練② 区防災情報システム運用訓練 高所カメラ情報システム、防災情報管理システム 情報通信訓練③ 都防災無線システム 一斉通報定期訓練、無線統制定期訓練、災害情報システム通信訓練、画像通信訓練、風水害情報連絡訓練、警戒宣言情報連絡訓練 区災対各部における訓練 現在、区災対各部では、拠点隊訓練(区災対地域本部)や福祉避難所(高齢者)(障害者)指定施設等との訓練(区災対保健福祉部)等を実施しているが、区災対各部の事務分掌において、マニュアルの検証や課題の整理等を目的とした訓練の実施を更に進める。   2 業務継続体制の確保 災害時には、本地域防災計画で定める応急活動を行う一方で、区の通常の行政サービスについても、継続すべき重要なものは一定のレベルを確保できるよう、あらかじめ対策をたてておく必要がある。 (1)対策内容と役割分担 機関名 区 対策内容 世田谷区業務継続計画(BCP)等の検証・更新 機関名 都各局 対策内容 都政のBCPに基づいた各局マニュアルの整備 区市町村、監理団体の業務継続計画(BCP)の策定支援 (2)詳細な取組み内容 業務継続計画とは、災害発生時等に優先すべき業務を特定するとともに、業務実施に必要な資源の確保・配分やそのための手続きの簡略化、指揮命令系統の明確化等について必要な措置を講じることにより、業務立ち上げ時間の短縮や発災直後の業務レベルの向上を図り適切な業務執行を行うことを目的とした計画である。 世田谷区業務継続計画(BCP)の策定 区は、都の計画を踏まえ平成22年11月に「世田谷区業務継続計画<震災編>」(BCP)を策定し、現在は平成30年(2018年)修正が最新版となっている。 世田谷区業務継続計画は、震災時に区民の生命及び財産を保護し、区民生活に必要不可欠な業務を早期再開することを目的とする。 「業務継続計画」は、「世田谷区地域防災計画」、各種マニュアル等との整合を図ることとする。 区は、平成30年(2018年)の計画の修正にあたっては、「世田谷区震災時職員行動マニュアル」及び「世田谷区震災復興マニュアル」との整合を図った。これら既存のマニュアルを有効活用するため、各個別マニュアルは、「世田谷区地域防災計画」の一部を構成するとともに、「業務継続計画」を具体化するものとして位置付けを併せて持つこととした。 業務継続の取組みは、以下の特徴を持っている。 事業に著しいダメージを与えかねない重大被害を想定すること。 災害後に活用できる資源に制限があると認識し、継続すべき重要業務を絞り込むこと。 各重要業務の担当ごとに、どのような被害が生じるとその重要業務の継続が危うくなるかを抽出して検討すること。 重要業務の継続に不可欠で、再調達や復旧の制約となりかねない重要な要素(ボトルネック)を洗い出し、重点的に対処すること。 重要業務の目標復旧時間を設定し、その達成に向け事前準備をすること。 指揮命令系統の維持、情報の発信・共有、災害時の経営判断の重要性など、危機管理や緊急時対応の要素を含んでいること。   〔BCP策定による事業の確保と早期復旧のイメージ図〕 *図表省略 BCPの策定に当たっては、同計画に基づき対策を実践するとともに、その結果を点検・是正し、見直しを行うなど、継続的な取組みを平時から実施することが重要である。 3 消火・救助・救急活動体制の整備 (1)対策内容と役割分担 消火・救助・救急活動等を迅速かつ的確に行うため、必要な体制を整備する。 機関名 区(災対地域本部、災対統括部) 対策内容 東京消防庁等と連携し、消火・救助・救急活動等を行うため、必要な体制を整備 機関名 警視庁・警察署 対策内容 災害時に必要な装備資器材の整備及び充実強化 緊急交通路等を確保するために必要な体制の強化 機関名 東京消防庁・消防署 対策内容 災害時に必要な装備・資器材の充実強化を図り、消火・救助・救急体制を整備 関係機関と連携した多数傷病者の搬送体制の確立 区内の消防団の教育訓練を充実 機関名 関係防災機関 対策内容 防災業務計画等について見直しを行い、必要に応じて修正 機関名 自衛隊 対策内容 災害派遣計画等の整備 機関名 関東地方整備局 対策内容 関東ブロックを管轄する防災関係機関が連携した、「関東防災連絡会」による、情報共有・連絡体制の構築 (2)詳細な取組み内容 ①消防団体制の強化 【実施主体】東京消防庁・消防署 消防団は、震災時には消防署隊と連携し災害活動に当たるとともに、普段は地域住民への防災指導を行うなど、地域防災の中核として重要な役割を担っている。 こうした住民指導体制の充実を図るため、人口動態、職業構成など、区内の特性に対応した事業所団員等、消防団員の確保策を推進し、消防団組織を強化するほか、活動の拠点として、分団本部を整備する。 また、消防団員が、生業において使用する資格を震災等の大規模災害時に有効に活用できる体制(特殊技能団員、消防団協力事業所等)の整備を図るとともに、可搬ポンプ、可搬ポンプ積載車及び簡易救助器具、防塵マスク、照明器具、携帯無線機、非常食料、応急救護資器材等の整備・増強を図る。 *消防団格納庫一覧〔資料編資料第32・P74〕 ②東京消防庁・消防署の消防活動体制 【実施主体】東京消防庁・消防署 平時の消防力を地震時においても最大限に活用するため、地震被害の態様に即した各種の計画等を策定し、有事即応体制を確立する。 震災時等に重機等の特殊な車両や資器材の円滑な活用が図れるよう、平時から技術者養成や訓練を継続して行うことで更なる災害対応力の向上に努める。 震災時に同時多発する救急事象に対応するため、整備計画に基づいて救急隊の増強整備を図り、非常用救急車の運用を含め震災時の傷病者搬送体制を強化する。 長期間に及ぶ消防活動を間隙なく継続するため、震災時等における職員の後方支援体制や、消防車両の整備体制の充実強化を図る。 緊急消防援助隊など全国からの応援部隊の受入れや平常時の消防隊の訓練などが可能な総合的な防災拠点を活用し、災害対応力の強化を図る。 ③警視庁・警察署の救出救助体制 【実施主体】警視庁・警察署 災害時に必要な装備資器材の整備及び充実強化を図り、効果的に資器材を活用した迅速、的確、安全な救出救助活動ができるようにする。 発災時に迅速な救出救助活動が実施できるよう、警察署に平素から、機動隊等のレスキュー隊経験者を中心とした救出救助部隊を編成し、各種訓練を反復、継続して実施することにより、署員の災害対処能力の向上に努める。 発災直後から緊急自動車専用路を速やかに確保するため、継続して交通規制訓練を実施するとともに、交通規制用資器材の整備を図る。 ④自衛隊の活動体制 【実施主体】自衛隊 東日本大震災の教訓等を踏まえ、災害派遣に関する各種計画等を修正する。 都、関係防災機関等と連携した実践的な防災訓練の実施、参加により、その連携を強化する。  4 広域連携体制の構築 (1)他区市町村等との協力 災害時における応急対策に万全を期すため、区は、平素から他区市町村と連携を密にし、協力体制確立に努めるものとする。 区が他の区市町村に対し応援を求め、又は応援する場合、その事務が円滑に行われるよう、あらかじめ応援の種類、手続き等必要な事項について、一定の要件に基づき職員を派遣できる態勢を整えておくものとする。 区と同一災害で同一被災地とならないよう、遠隔地の自治体との間で、災害時における相互援助協定の締結を行っている。 直下型地震が発生した場合を想定し、遠隔地の自治体に限らず近隣自治体とも協定締結に向けて、必要により協議を行うものとする。 区が都を通じて他の区市町村等に対し人的応援を求め、又は応援する場合、その事務が円滑に行われるよう、あらかじめ応援の種類、手続き等必要な事項について、一定の要件に基づき職員を派遣できる態勢を整えておくものとする。 人的支援の受入れに係る総合調整窓口を区災対総務部に設置する。また、応援側との連絡調整や区内部の調整等を行うため、受援調整会議を開催する。 協定締結市町村・交流自治体からの応援受入の窓口を災対区民支援部に設置する。 災対各部に受援業務担当を設置し、受援調整会議を通じた応援要請及び応援職員の受入を円滑に実施できる体制を整備する。 *災害対策基本法第67条 *協力協定・覚書等一覧〔資料編資料第144・P368〕 (2)都との協力 区は、平素から都と災害対策上必要な資料の交換等連絡連携を密にするとともに、災害時には一層その連携の強化に努め、相互に協力して区内の応急対策の円滑な実施を図るものとする。 (3)民間団体等との協力 区は、災害時に万全の対策を期するため、各民間協力団体と協力協定を結び、平素から連絡を密にするとともに、協力業務内容や協力方法を定め、協力団体との体制を確立しておくものとする。 *協力協定・覚書等一覧〔資料編資料第144・P368〕 (4)ボランティアとの協力 区、世田谷ボランティア協会、世田谷区社会福祉協議会、NPOは、災害時におけるボランティア活動の支援について、相互に協定を締結し、協力することとする。 *災害時におけるボランティア活動等に関する協定書(世田谷ボランティア協会) 〔資料編資料協定第68・P527〕 *災害時における活動等に関する協定書(世田谷区社会福祉協議会) 〔資料編資料協定第78・P547〕 *災害時における被災者への支援活動に関する協定        (世田谷ボランティア協会・世田谷区社会福祉協議会) 〔資料編協定資料第79・P549〕 5 応急活動拠点の整備 (1)対策内容と役割分担 機関名 区(災対統括部) 対策内容 応急活動拠点の整備について、都に協力する 機関名 都総務局、都関係局 対策内容 オープンスペースの確保・整備 大規模救出救助活動拠点等の確保・整備 ヘリコプター活動拠点の確保 ヘリサインの整備 (2)詳細な取組み内容 ①オープンスペースの確保・整備 【実施主体】都総務局、都関係局 区は、都が実施する次の取組みに協力する。 〔都が実施する取組み〕 震災時には、避難誘導、救出・救助、医療搬送、ボランティア参集、ライフライン復旧などの応急対策活動を迅速かつ効率的に行うことで、人命の保護と被害の軽減を図るとともに、震災後の都民生活の再建と都市復興を円滑に進めることができる。そのため、事前にこれらの活動の拠点等となる土地及び家屋の確保に努めることを東京都震災対策条例で定めている。 都は、都内の利用可能なオープンスペースを国及び関係機関と協議の上で把握し、具体的な使用方法等を確立する。 震災時の応急対策活動が円滑に行えるよう、活動拠点やアクセス機能の整備について、施設管理者が都及び関係市区町村の協力の下に取り組むとともに、都と施設管理者は、発災時の使用に係るマニュアル等を作成する。   ②ヘリコプター活動拠点の確保 【実施主体】都総務局、都関係局、区 区は、都が実施する次の取組みに協力する。 〔都が実施する取組み〕 都及び区は、ヘリコプターによる援助物資や人員の緊急空輸を考慮して、予め災害時臨時離着陸場候補地を選定し、関係機関との調整を図るものとする。 医療機関近接ヘリコプター緊急離着陸場については、都が指定する災害拠点病院から概ね5km以内の陸路地点に医療機関近接ヘリコプター緊急離着陸場を選定する。 都及び区は、上記以外の用途のヘリコプター離着陸場としての候補地をあらかじめ選定し、災害時には、この候補地の中から必要に応じて使用するための措置を国や関係機関と連携して行う。 *災害時臨時離着陸場候補地一覧〔資料編資料第30・P71〕 ③大規模救出救助活動拠点等の確保・整備 【実施主体】都総務局、都関係局 区は、都が実施する次の取組みに協力する。 〔都が実施する取組み〕 都は、自衛隊、広域緊急援助隊(警察)、緊急消防援助隊(消防)、その他の広域支援・救助部隊等のベースキャンプとして活用するオープンスペースを国や区市町村及び関係機関と協議の上、あらかじめ確保することとしている。 区内においては、令和元年度現在、以下のとおり都が指定・告示している。 救出及び救助の活動拠点 •救出・救助部隊の活動拠点 都立駒沢オリンピック公園、都立砧公園、世田谷清掃工場、千歳清掃工場 •ライフライン復旧活動拠点 世田谷清掃工場、千歳清掃工場 ④ヘリサインの整備 【実施主体】都関係局、区 区は、都が実施する次の取組みに協力する。 〔都が実施する取組み〕 震災時に、被災地上空から被害状況を確認するとともに、地上の救助機関部隊や都本部と連携し、迅速・効率的なヘリコプターによる応急対策活動を行うため、ヘリサインは、応援航空部隊の道しるべとして、また、災害対策上重要な施設を上空から即時に特定する上で、重要な役割を果たす。区では、区内小中学校38箇所(平成31年4月現在)に整備している。 第2 応急対策 1 初動態勢 2 消火・救助・救急活動 3 応援協力・派遣要請 4 応急活動拠点の調整 1 初動態勢 (1)区の活動体制 *図表省略   ① 区本部の設置等 【実施主体】区災対統括部、区災対総務部 ア 区本部の設置 区長は、区の地域において災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に区本部を設置する。 危機管理部長は、区本部の本部員から区本部設置の要請があった場合、その他区本部を設置する必要があると認めるときは区本部の本部員を招集して協議の上、区本部の設置を区長に申請する。 緊急の場合、危機管理部長の判断により、区長に区本部の設置を申請する。 区長と連絡がとれないときは、「世田谷区災害対策本部条例施行規則」第4条に定める本部長の職務代理者により、区本部を設置できるものとする。 区は、夜間休日等の勤務時間外の地震発生に備え、情報連絡体制を確保する。 新型コロナウイルス等感染症について拡大防止を図るため、必要に応じ、災害対策本部の設置及び運営にあたり、災害対策本部設置場所の座席配置の工夫や換気の徹底、手洗い、咳エチケット、マスク着用の徹底、共同で使用する物品・機器等の消毒の徹底に努める。 また、電話やTV会議システム等の活用を図る。 *世田谷区災害対策本部条例〔資料編資料第33・P76〕 *世田谷区災害対策本部条例施行規則〔資料編資料第34・P77〕 イ 区本部の設置基準 「災害対策基本法第23条の2第1項」に基づき、区長が次の基準に達したときに設置する。 大規模な地震、火災、爆発その他重大な災害が発生し、総合的な応急対策を必要とするとき。 暴風雨、大雨、浸水、洪水等による災害の発生のおそれがあり区本部の設置が必要と認められるとき。 ウ 区本部設置の通知 本部長は、区本部が設置されたときは、次に掲げる者のうち都知事、各部長については必ず、その他の者については必要と認めた者に対して、直ちにその旨を通知する。 (ア)都知事 (イ)各部長 (ウ)区内防災機関 (エ)隣接区市長 エ 区本部の標示の掲出 区本部設置後は、「世田谷区災害対策本部」の標示を掲出する。 オ 区本部の廃止等 本部長は、区の地域において災害の発生するおそれが解消したとき、又は災害応急対策がおおむね完了したと認めたときは区本部を廃止する。 区本部が廃止された場合において、引き続き災害応急対策を実施する必要があるときは所管事業を関係部長に引き継ぐものとする。 ②区本部等の配備態勢計画 【実施主体】区災対統括部 ア 情報連絡態勢 危機管理部長は、各本部員からの要請又は自らの判断により災害に関する情報を収集する必要があると認めたときは、災対各部に情報連絡態勢の職員配備を指令する。 イ 区本部の配備態勢 本部長は、区本部の活動に必要な職員を配置し、配置された職員は災害対策業務に従事する。 本部長は、災害の発生、又はそのおそれがある場合には、下記の基準により災害の状況に応じて、非常配備態勢への移行を指令する。 基準 災害(区内で震度4発生、水害の発生若しくはおそれがあるとき) 情報連絡態勢 災害対策課・広報広聴課職員 基準 災害 情報連絡態勢 災害対策課・広報広聴課職員、災害対策課、各総合支所地域振興課(調整係、地域振興・防災係等)、広報広聴課、総務課、職員厚生課職員全員 上記以外の全所属係長級以上の職員 ○ ○ 基準 災害(区内震度5弱以上発生) 情報連絡態勢  災害対策課・広報広聴課職員、災害対策課、各総合支所地域振興課(調整係、地域振興・防災係等)、広報広聴課、総務課、職員厚生課職員全員 上記以外の全所属係長級以上の職員 非常配備態勢 上記以外の全職員 ※区内で震度5弱・強の地震が発生した場合、保育園職員及び清掃事務所勤務職員は、指定する職員のみ参集する。 *世田谷区災害対策本部運営要綱〔資料編資料第35・P89〕   ウ 震災時初動期職員行動マニュアル 世田谷区では「震災時職員行動マニュアル」を各部で整備している。 (ア)マニュアルの構成 総論 時系列での行動目標 地震発生、参集までの行動 参集から態勢が整うまでの行動 区災対各部における応急対応行動 (イ)平常時の備え 災害時区民行動マニュアルに従い、職員は区民として平常時の備えをしておく。 時間外発災時には、職員体制が整うまでの間、参集した少人数の職員が様々な課題や作業に対応することが求められる。各人がそのような立場に置かれたことをイメージするためにもマニュアルを平常時から熟読し、いざという時に備えるようにする。 本マニュアルに沿った訓練や研修等を通して、実践的な対応能力の向上を図るとともにマニュアルの改定を適宜行うようにする。 (ウ)部の職員体制が整うまでの初期段階においてはICSの考え方とする。 ③災害等の警戒勤務態勢 【実施主体】区災対統括部 ア 管理職等による警戒待機勤務 自然災害等にいち早く対応し、被害の発生や拡大を未然に防止するため、管理職等による夜間及び土曜日・日曜日・休日における警戒待機勤務を実施する。 勤務場所 区役所本庁舎内 勤務者 管理職員等 基本的な職務内容 (ア)地震災害発生時の初動対応(災害対策本部要員として従事) (イ)(ア)に準ずる災害及び危機事態に対する初動対応 *世田谷区災害等に対する職員の警戒待機に関する規程〔資料編資料第36・P94〕 イ 災害対策職員住宅 区危機管理部災害対策課兼務の災害対策職員住宅入居職員が、平常時は輪番制で待機するとともに、災害時は連絡態勢が整うまでの間の連絡業務や、初動期の情報収集その他の応急対策活動に従事するものとする。  ④職員の服務 【実施主体】区災対総務部 職員は、区本部が設置された場合は、次の事項を遵守しなければならない。 災害に関する情報に留意し、区本部の指示に従うこと。 不急の行事、会議、出張等を中止すること。 正規の勤務時間が終了しても、原則として上司の指示があるまでは退庁しないこと。 勤務場所を離れている場合においても、常に所在を明らかにし、進んで上司と連絡を取ること。 非常配備態勢が発令されたときは、あらかじめ指定された参集場所に速やかに参集すること。 ⑤区本部従事者等の給食 【実施主体】区災対総務部 区本部従事者等の給食については、3日分を目安に備蓄を図る。また、協定を締結した民間協力団体からの給食の供給を受けるなど、従事者等に対する継続的な給食態勢の整備を図る。 ⑥職員の災害補償 【実施主体】区災対総務部 災害対策業務に従事した職員の災害に対する補償は、「地方公務員災害補償法」等、関係法令の定めるところにより実施する。 ⑦区本部の財務等 【実施主体】区災対財政・広報部、区災対物資管理部 災害時の応急復旧事業に係る財政需要の見込み額の速やかな把握と財源対策について、事前に算定報告方法等を検討する。 災害時に必要な資金を確保するために、出納事務に執行する体制を整える。なお、「災害時における世田谷区会計事務取扱要領」に基づく。   2 消火・救助・救急活動 (1)対策内容と役割分担 機関名 区 対策内容 都、他の区市町村及び指定地方行政機関等並びに区域内の公共的団体及び区民等の協力を得て、災害応急対策の実施に努める。 必要があるときは区本部を設置し、直ちに、知事にその旨を報告するとともに、関係機関に通報する。 区の地域に災害救助法が適用されたときは、本部長は、知事の指揮を受けて、法に基づく救助事務を補助する。 夜間休日等の勤務時間外の地震発生に備え、情報連絡体制を確保する。 機関名 防災区民組織、区民等 対策内容 自らの身の安全を図るとともに、自助、共助の精神に基づき、発災初期における初期消火、救出救助、応急救護活動等を実施する。 詳細は、第2部「第2章 区民と地域の防災力向上」のとおり。 機関名 東京消防庁・消防署・消防団 対策内容 災害の規模等に応じ、所定の計画に基づき部隊を運用する。 限られた消防力を最大限に活用し、消火活動を実施する。 特別救助隊及び救急隊が連携し、組織的な人命救助・救急活動を行う。 警視庁、自衛隊、東京DMAT、消防団、防災区民組織等と連携協力し、消火・救助・救急の万全を期する。 所定の計画に基づき、多様な手段を活用して、災害情報の収集伝達、関係防災機関との情報交換等を行う。 機関名 警視庁・警察署 対策内容 救出救助活動は、生存者の救出を最優先に行う。 救出した負傷者は、速やかに医療救護所等に引き継ぐ。 救出救助活動に当たっては、重機類等装備資器材等を有効に活用する。 救出救助活動を速やかに行うため、第一次交通規制及び第二次交通規制を実施する。 東京消防庁・消防署、自衛隊、防災区民組織等と連携協力し、救出救助に万全を期する。 機関名 自衛隊 対策内容 知事からの派遣要請等に基づき、部隊を派遣する。主な活動は下記のとおり。 被害状況の把握 避難の援助 避難者等の捜索援助 人員及び物資の緊急搬送 応急医療、救護及び防疫 など 機関名 都本部 対策内容 救出・救助活動並びに応急対策に関し、総合防災部・自衛隊・警視庁・東京消防庁・海上保安庁を構成員とする救出・救助統括室を開催し、調整を図る。 (2)詳細な取組み内容 ①区の活動態勢 【実施主体】区 区は、発災後、関係機関、職員、区民等からの被害状況・救出・救助に関する情報を集約し、関係機関と情報を共有する。 区は、防災関係機関及び区民等からの協働の下、救出・救助活動を支援する。 本部長は、区の救出能力を超えると判断した時は、都知事を通じ、自衛隊の派遣を要請する。緊急を要し、都知事を経由するいとまがない場合は、直接自衛隊に対して通報し、事後速やかにこれを都知事に通知する。 ②区民等の活動態勢 【実施主体】防災区民組織、区民等 震災時においては、広域的又は局所的に救助・救急事象の多発が予想されることから、以下の行動を行う。 救出活動技術の普及・啓発 応急救護知識及び技術の向上 消防団の救出・救護活動能力の向上 要配慮者に対する救護活動能力の向上 社会福祉施設やボランティア組織が区と連携する。 在宅で人工呼吸器を使用する方を対象として、区の保健師等関係者の連携により災害時個別支援計画の作成を推進する。 ③東京消防庁・消防署の活動態勢 【実施主体】東京消防庁・消防署 ア 消防活動体制 (ア)震災署隊本部の設置 消防署には、災害活動組織として署隊本部を常設し、常時震災に即応できる体制を確保している。発災時には、これら機能を強化し震災消防活動体制の中枢とする。 (イ)配備動員態勢 種別 震災配備態勢 内容 区内震度5弱の地震が発生した場合、又は地震が発生し、当該地震による被害状況等により警防本部長が必要と認めたときは、所要の人員を確保する。 種別 震災非常配備態勢 内容 区内震度5強以上の地震が発生した場合、又は地震が発生し、警防本部長が必要と認めた場合は、全職員及び全団員を確保する。 種別 非常招集 内容 震災非常配備態勢が発令されたときは、全消防職員及び全消防団員は、招集計画に基づき、直ちに所定の場所に参集する。 イ 震災消防活動 (ア)活動の方針 火災が多発したときは、全消防力をあげて消火活動を行う。 震災消防活動体制を早期に確立し、消火活動と並行して救助・救急活動等、人命の安全確保を最優先とした活動を行う。 延焼火災が少ない場合は、救助・救急活動を主力に活動する。 (イ)部隊の運用等 地震に伴う火災・救助・救急等の災害発生件数・規模等により、所定の計画に基づき部隊運用及び現場活動を行う。 地震被害予測システム及び延焼シミュレーション等を活用した震災消防活動支援システムによる効率的な部隊運用を図る。 (ウ)情報収集 方面隊本部、署隊本部は、所定の計画に基づき地震被害予測システムの結果、119番通報、高所見張情報、情報活動隊及び参集職(団)員情報による早期災害情報システム等を活用した情報、災害時支援ボランティア情報など積極的な災害情報収集を行う。 防災関係機関へ職員を派遣し、相互に知り得た災害の情報交換を行う。 ウ 消火活動 (ア)防火水槽をはじめ、あらゆる水源を活用するとともに、現有の消防部隊及び消防装備を最大限に活用して、火災の早期発見及び一挙鎮圧を図る。 (イ)延焼火災が拡大又は合流し、大規模に延焼拡大した場合は、人命の安全確保を優先し、延焼阻止線活動や避難場所・避難道路の防護活動を行う。 (ウ)道路閉鎖、がれき等により消火活動が困難な地域では、消防団、防災市民組織等と連携し、可搬ポンプ等を活用して消火活動を実施する。 エ 救助・救急活動 (ア)救助・救急活動は、特別救助隊及び救急隊が連携し、救助・救急資器材を活用して組織的な人命救助・救急活動を行う。 (イ)救助・救急活動に必要な重機等に不足を生じた場合は、関係事業所との協定等に基づく迅速な調達を図り、実効性のある活動を行う。 (ウ)救助・救急活動に当たっては、医療救護所が開設されるまでの間、消防署に仮救護所を設置するとともに、救助・救急現場に現場救護所を設置し、医療関係機関、消防団員、東京消防庁災害時支援ボランティア等と連携し、救急資器材等を有効に活用して傷病者の救護に当たる。 (エ)傷病者の搬送は、救急救命士等のトリアージに基づき、緊急度の高い傷病者を最優先とし、救急車を活用して、医療機関へ迅速に搬送する。 (オ)警視庁、自衛隊、東京DMAT、自主防災組織等と連携し、救助・救急の万全を期する。 ④ 消防団の活動態勢 消防団は、地域に密着した防災機関として、分団受け持ち区域内の区民に対して出火防止、初期消火、救出・救護等の指導を実施する一方、火災その他の災害に対しては現有装備を活用した消防活動にあたる。 事項 出火防止 内容 発災と同時に付近の区民に対して出火防止と初期消火を呼びかける。 事項 情報収集活動 内容 災害の初期対応を行うとともに、携帯無線機を活用し、消防活動上必要な情報や被災状況の情報収集・伝達を行う。 事項 消火活動 内容 同時多発火災の拡大防止を図るため、消防隊との連携を強化するとともに、分団受け持ち区域内の建物火災等の消火活動あるいは避難道路防護活動を消防団独自に、若しくは消防署隊と協力して行う。 事項 消防署隊への応援 内容 所轄消防署(所)の消防署隊応援要員として消火活動等の応援をするとともに、道路障害の排除等の活動を行う。 事項 救出・救護 内容 簡易救助器具を活用し、区民と一体となった救出活動を行うとともに、負傷者に対する応急処置を行い、安全な場所への搬送を行う。 事項 避難場所の防護等 内容 避難命令、避難勧告等が出された場合は、これを地域住民に伝達するとともに関係機関と連絡をとりながら、避難者の安全確保と避難場所の防護活動を行う。 ⑤警察機関の活動態勢 【実施主体】警視庁・警察署 ア 活動態勢 (ア)大地震発生とともに救出救助部隊を編成する。 警備要員は、震度6弱以上の地震が発生した場合には、自所属に参集する。 東京都に震度5強の地震が発生した場合は、当務員以外の指定警備要員は自所属に参集し、警備本部の設置、関係防災機関との連絡調整等に当たる。 各警察署は、災害事務の処理に必要な最小限の要員を除いて部隊を編成し、被害実態の把握、交通規制、救出救助、避難誘導等の措置をとる。 (イ)被災地域が広範囲、被災規模が大きい、要救助者の数が多い場合は、機動隊、警察災害派遣隊等の応援部隊を要請する。 イ 活動計画 (ア)被害実態の把握と分析 交番、駐在所、交通配置員、関係防災機関、地域住民等の情報から、早期に被災実態を把握し分析するとともに関係機関へ報告(連絡)する。 建物倒壊、火災等により発生する被害の拡大防止のため、次の警備活動等を行う。 被害実態の把握及び各種情報の収集 交通規制 被災者の救出救助及び避難誘導 行方不明者の捜索及び調査 遺体の調査等及び検視 公共の安全と秩序の維持 震災が発生した場合、総力を挙げて、被災地における治安維持に万全を期するため、必要な装備資器材の整備を図る。 (イ)救出救助活動 被災の規模、火災の延焼、危険物の漏出、要救助者の数、二次災害の危険性等から、緊急に救出活動を要する被災現場を優先に救出救助活動にあたる。 救出救助活動は、生存者の救出を最重点に部隊を投入する。 救出救助活動に当たっては、災害資器材を有効に活用するものとするが、重機資器材などの不足資器材については、区又は民間業者に対して要請する。 (ウ)負傷者の引継ぎ 救出した負傷者について、軽傷者は現場医療救護所等へ、重傷者は病院等の医療機関に引き継ぐ。 なお、重傷者の搬送は、原則として救急車を要請する。 ⑥防災機関の活動体制 【実施主体】指定地方行政機関、指定公共機関及び指定地方公共機関 地震による災害が発生した場合、指定地方行政機関、指定公共機関及び指定地方公共機関は、所管に係る災害応急対策を実施するとともに、区及び都が実施する応急対策が円滑に行われるよう、その業務について協力する。 指定地方行政機関等は、上記の責務を遂行するため必要な組織を整備するとともに、災害応急対策に従事する職員の配置及び服務の基準を定める。   3 応援協力・派遣要請 (1)対策内容と役割分担 機関名 区 対策内容 都、特別区、災害時相互援助自治体、協定締結団体、防災関係機関との相互協力 機関名 区(災対統括部) 対策内容 災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合で、区長が応急措置を実施するため必要があると認めた場合、知事に対して自衛隊派遣を要請 要請するいとまがない場合は、直接自衛隊の部隊へ通報し、知事に通知 機関名 区(災対総務部) 対策内容 人的支援の受入れに係る総合調整窓口を設置 災害対応の人員不足が見込まれる場合、災対各部の応援ニーズを情報収集し、都本部へ人的応援を要請 機関名 区(災対区民支援部) 対策内容 協定締結市町村・交流自治体からの応援受入の窓口を設置 災害対応の人員不足が見込まれる場合、災対各部の応援ニーズを情報収集し、災害時相互援助自治体及び交流自治体へ応援を要請 機関名 区(災対各部) 対策内容 受援業務担当を設置し、受援調整会議を通じた応援要請及び応援職員の受入を円滑に実施できる体制を整備 専門性を必要とする災害対応の人員不足が見込まれる場合、都、特別区、災害時相互援助自治体、協定締結団体、防災関係機関等の関係部局へ応援を要請 機関名 防災機関 対策内容 知事に応援又は応援のあっせんを求める。 防災機関相互の応援協力について実施 災害派遣の対象となる事態が発生し、自衛隊の災害派遣を依頼しようとする時は、知事に対して依頼 いとまがない場合は、直接部隊へ通報し、速やかに所定の手続を行う。 機関名 都本部 対策内容 他の区市町村に対し応援すべきことを指示し、又は防災機関の応援をあっせんする。 他の地方公共団体・九都県市・全国知事会との応援協力について実施 地震により災害が発生し人命若しくは財産の保護のために必要があると認めた場合、又は区市町村から災害派遣要請の要求があった場合は、自衛隊に対して災害派遣を要請 機関名 自衛隊 対策内容 部隊を派遣した場合は、知事に派遣部隊の指揮官の官職・氏名その他必要事項を通知 (派遣部隊の派遣要請・活動内容は、P229以降参照) (2)業務手順 〔応援協力・派遣要請のフロー〕 *図表省略 (3)詳細な取組み内容 【実施主体】区 ①区と区内防災機関等との協力 区は、災害応急対策活動を円滑に実施するため、日頃から情報共有し、協力態勢の確立を図るものとする。 災害時における指定公共機関等に対する経費負担については、各計画に定めるもののほか、相互に協議して定めることとする。 ②都との協力 ア 都との協力 本部長は、災害の状況に応じて、都あるいは自衛隊等の応援を求めることが必要であると判断した場合には、必要に応じ、「イ 応急措置等の要請要領」の定める手続により、都知事に協力を要請するものとする。 区は、「災害救助法」に基づく救助をはじめ、区の区域内で行われる都の応急対策について積極的に協力するものとする。 区は、都知事より他の区市町村又は指定行政機関等に協力することを依頼されたときは、自らの応急措置に支障がない範囲で可能な限り協力するものとする。 イ 応急措置等の要請要領 本部長は、都に対し、他区市町村、指定行政機関、指定地方行政機関、指定公共機関又は特定公共機関の応援又は応援のあっせんを求める場合には、都本部に対し、次に掲げる事項についてまず口頭または電話等をもって要請し、後日文書により改めて処理する。 都への応援要請又は応急措置の実施の要請 (ア)災害の状況及び応援を求める理由(災害の情況及びあっせんを求める場合はその理由) (イ)応援を希望する機関名 (ウ)応援を希望する人員、物資、資材、機械、器具等の品名及び数量 (エ)応援を必要とする場所、期間 (オ)応援を必要とする活動内容 (カ)その他必要な事項 *災害対策基本法第30条・第68条 次の事項については、各節参照のこと (ア)「災害救助法」の適用申請:第2部第12章第5節第2「9 災害救助法等の適用」を参照 (イ)自衛隊の災害派遣要請のあっせんを求める場合:本節⑤を参照 (ウ)民間団体への協力依頼を求める場合:本節④を参照 (エ)他区市町村等の職員の派遣のあっせんを求める場合:本節③を参照 (オ)放送各社への放送依頼のあっせんを求める場合:第2部第6章第5節第2「3 広報体制」を参照 ③他自治体への人的応援要請・受入 【実施主体】災対総務部、災対区民支援部、災対各部 ア 都本部及びカウンターパート団体への要請 区は、区の人員のみでは十分な災害対応が困難と見込まれる場合、速やかに都本部(人員調整部門)に対し、応援要請を行う。 応援要請を受けた都は、庁内各局及び都内の非被災区市町村と応援に向けた調整を進めるとともに、広域応援協定団体への応援要請を行う。 応援要請の実施は、応援要請の内容を可能な限り明確にし、都本部(人員調整部門)に対し、応援要請を行う。 <要請の内容> (ア)要請人数   (イ)期間 (ウ)集合場所    (エ)活動内容 (オ)活動場所    (カ)応援職員に求める要件(職種、資格、経験) (キ)必要な資機材等 *応援要請シート(区市町村)〔資料編資料第37・P96〕 *応援職員等名簿〔資料編資料第38・P97〕 *受援状況報告書(区市町村)〔資料編資料第39・P98〕 ただし、大規模災害などで被害状況の把握ができず、具体的な要請内容の記載が困難な場合は、速やかに包括的な応援要請を行う。 広域応援協定団体において被災区自治体の支援を担当するカウンターパート団体が決定した場合、都本部(国・他県市等広域調整部門)から決定通知がある。 区は、カウンターパート団体決定後の応援職員に関する具体的な調整は、都本部(人員調整部門)と同様の手順により、カウンターパート団体と直接実施する。 イ 協定自治体・交流自治体への要請 相互応援協定を締結している区市町村に対しては、それぞれ協定に定める方法による。 *災害対策基本法第29条、第67条 *地方自治法第252条の17 ウ 専門性が必要な業務に関する応援要請 被災建物の応急危険度判定や応急救護・医療等に携わる応援職員については、専門性を必要とする区の関係部署(都市整備政策部、世田谷保健所等)において都等への応援要請及び調整を行い、専門性に応じて必要とされる業務に配属する。 エ 応援受入の流れ 災対総務部職員班は、受援調整会議を開催する。受援調整会議では、応援要請・調整結果の共有、各部の応援ニーズと外部からの応援職員とのマッチング等を調整するものとする。 応援職員の受入は、都本部及びカウンターパート団体を通じた応援、協定自治体・交流自治体からの応援は、原則、災対総務部にて受入れを行い、応援を要する災対各部へ配置する。 オ 経費負担 他の区市町村等から派遣された職員に対する給与及び経費の負担方法については、所定の方法により区が負担する。 *災害対策基本法第32条 *災害対策基本法施行令第18条 *世田谷区職員の給与に関する条例第22条の2 *世田谷区災害派遣手当に関する規則 ④民間団体との応援協力 区は、民間団体等との協定に基づき、各部長から災害応急活動に必要な業務や施設利用について要請する。協定先及び要請者については、資料編に記載のとおりである。 *協力協定・覚書等一覧〔資料編資料第144・P368〕 ⑤区による自衛隊への災害派遣要請 【実施主体】区災対統括部 ア 派遣の要請 区長は、災害が発生し、又は発生するおそれがあり、人命又は財産保護のため、自衛隊派遣の必要があると認めた場合には、都知事に対し自衛隊派遣を要請するものとする。 なお、自衛隊の災害派遣は、災害の様相等から次の3つの派遣形態をとる。 <自衛隊による災害派遣の形態> (ア)都知事の派遣要請に基づく派遣 (イ)区長の派遣要請に基づく派遣 ※ 自衛隊の災害派遣は都知事からの派遣要請に基づくことが原則であるが、災害に際し、通信の途絶等により部隊等が都知事と連絡が不能な場合は、区長からの災害に関する通報が自主派遣の判断材料とされる。 (ウ)自衛隊の自主的判断による派遣 自衛隊の災害派遣は都知事からの派遣要請に基づくことが原則であるが、下記のような場合等には、自衛隊の自主的判断により派遣されることがある。 A 災害に際し、その事態に照らし、特に緊急を要し、都知事からの派遣要請を待ついとまがないと認めて、自衛隊が自主的に派遣する場合 B 庁舎・営舎、その他の防衛省の施設又はこれらの近傍に、災害が発生したことにより、自衛隊が自主的に派遣する場合 イ 派遣要請の方法 大規模の災害が発生し、区長が自衛隊派遣の要請をしようとするときは、次に掲げる事項を明らかにし、口頭、電話又は防災行政無線等により都知事(都本部を経由)に要請し、後日速やかに所定の手続をとるものとする。 ただし、都知事に対して派遣の要請をするいとまがないとき、又は通信の途絶等により都知事に対して派遣の要請ができないときは、直接自衛隊に派遣の要請をするものとし、速やかに都知事にその旨を通知するものとする。 <要請の内容> (ア)災害の状況及び派遣を要請する理由 (イ)派遣を希望する期間 ※ 災害時の混乱した状況下で都知事が派遣要請する際においては、その時点において知り得た情報から判断し得る程度を示すことで足りる。 (ウ)派遣を希望する区域及び活動内容 (エ)その他参考となる事項 ※ 都知事が災害派遣を要請する際に派遣を希望する人員、船舶、航空機等の概数を明らかにできる場合は、その他参考となるべき事項の一つとして当該事項を示す。 緊急の場合の連絡先 部隊等名(駐屯地名) 陸上自衛隊第1普通科連隊(練馬) 連絡責任者及び電話番号 時間内 第3科長又は運用訓練幹部 代表:3933‐1161 内線(2503、2531)FAX(2534) 時間外 部隊当直司令 代表:3933‐1161 内線(2505) 【実施主体】自衛隊 ウ 災害派遣部隊の活動範囲及び活動内容 (ア)災害派遣部隊の行う救援活動の目的 災害派遣部隊は、危険な状態にある多数の人命を救助し、被災者を混乱から回復し勇気づけるとともに、関係機関の機能を早期に回復してその救援復旧活動の端緒を開き、国民の生命及び財産の保護に寄与することを目的として、人命救助を最優先とした各種救援活動を行う。 (イ)救援活動全般の方針 陸上自衛隊第1普通科連隊(練馬)は、発震に際し速やかに東京都23区に対する即時救援活動を実施する。 その後、引き続き応急救援活動を行い、状況の推移に応じ所要の部隊の増援を受け、被災地域の応急復旧及び民生支援を主体とする組織的救援活動に移行する。 この際、道路の応急啓開・港湾及び埠頭の応急復旧・関係機関に対する支援を、対処可能な部隊(支援・増援部隊を含む。)をもって継続的に実施する。 (ウ)平時・非常事態宣言発令時及び発震時の連絡調整 陸上自衛隊第1普通科連隊(練馬)が担当する。発震後、状況により上級部隊(師団、方面総監部等)が一元的に実施することがある。 非常事態宣言発令時又は発震後、直ちに連隊から連絡班(2~3名)を区役所(区本部)に派遣し、所要の連絡調整及び情報収集に当たらせる。また、偵察班(状況に応ずる編成)を派遣し、所要の情報収集を行う。 (エ)各種救援活動の基準及び内容 (国及び都との調整に基づき、活動の内容・地域・程度は異なる。) A 即時救援活動 緊急の状態にある人命の救助を重視し、次の基準により実施する。 (救出・救援) 倒壊家屋、崖崩れ等からの救出 火災現場からの救出(能力の範囲内) 交通(鉄道・高速道路等)途上の被災者の救出 倒壊家屋・落下物等による負傷者に対する応急救護 (避難の援助) 火災・有毒ガスの発生、堤防の決壊、余震等に関する情報の収集・伝達 避難者の誘導及び輸送 避難路の啓開 B 応急救援活動 即時救援に引続き、放置すれば生命に危険が及ぶ状態にある孤立者・傷病者に対する救出・救護を重視し、次の基準により実施する。 (人命救助) 倒壊家屋、地下街、水没地域等に取り残された孤立者の救出 災害による行方不明者の捜索・救出 緊急患者・医師・救援物資等の輸送 消火活動又はその支援 (二次災害の防止(火災・爆発等の再発、浸水地域の拡大、余震等による死傷者の発生防止)) 決壊した堤防の締切、土のうの作成・運搬・積込み等の水防活動 火薬類・爆発物等の危険物の保安措置及び除去(半壊建物の倒壊作業を含む。) 流出油のせき止め (民生支援(主として避難地域に集合した被災者を対象に、関係機関の準備する補給品・資材によることを原則として行う支援活動)) 給水及び配水 炊飯及び給食 避難者の輸送 救援物資の輸送・配分 C 組織的救援活動 被災者に対して必要最小限の生活環境を整備し、混乱からの回復を図るとともに復旧活動への意欲を振起させることを重視し、次の基準により実施する。 (民生支援) 給水・配水及び入浴 炊飯及び給食 救援物資の輸送・配分 被災者等の輸送 防疫活動 その他 (復旧支援) 倒壊・焼失・浸水・埋没地域の整理 建築資器(機)材・応急施設資器材等の輸送 道路又は水路の啓開、応急橋りょうの設置 (災害による行方不明者の捜索) (その他) 関係機関の行う遺体収容作業の支援等 D 地震発生後、派遣の終始を通じて行う救援活動 道路の応急啓開・港湾及び埠頭の応急復旧 災害発生の範囲・程度特に人口密集地域における被災状況と、道路被害状況等を勘案し、即時救援活動又は応急救援活動、あるいは組織的救援活動の段階から、救援道路及び幹線道路の応急啓開及び港湾・埠頭の応急復旧を行い、迅速かつ大規模な救援活動の基盤を確立する。 関係機関等に対する支援 地震発生直後から、関係機関の機能の早期回復及び組織的・効率的な救援活動のため、次の要望を主体として継続的な支援を行う。 被災状況等の情報収集・提供及び伝達 通信及び連絡手段の確保(通信支援) 災害対策関係者の空輸・偵察等 関係機関の機能回復のための諸作業 救援物資の無償貸与又は譲与 「防衛省所管に属する物品の無償貸付及び譲与等に関する省令」(昭和33年総理府令第1号)に基づき、救援物資を無償貸与又は譲与する。 エ 災害派遣部隊の受け入れ態勢 自衛隊の災害派遣が決定又は実施された場合、次の事項に留意して派遣部隊の活動が十分に行えるように、受け入れに万全を期する。 (ア)連絡調整のために早期に派遣される連絡班(2~3名)を区役所(区本部)に受入れ、被災状況に関する情報交換を行うとともに、救援活動の実施要領・作業計画・派遣部隊の進入経路・活動拠点・宿泊場所等について直ちに必要な調整を行う。 (イ)派遣を要請した場合、応援を求める作業(救援活動内容)について速やかに作業計画を調整・策定するとともに、必要な資器材の確保に努め、派遣部隊到着後、速やかに作業が開始できるように準備する。 (ウ)区の連絡責任者(連絡員)を、派遣部隊が救援活動を行う現地へ派遣し、派遣部隊の指揮官と所要の調整を行う。併せて、派遣部隊の活動に対し、周辺住民の積極的な協力を求める。 (エ)災害派遣部隊の宿泊等 派遣部隊の宿泊施設及び野営施設(地域)並びに車両(重車両を含む。)の保管場所を確保する。 この際、国及び都の施策に基づき、被災の状況により調整し、区立小中学校及び公園等の公共施設を利用する。区立小中学校を利用する場合、学校教育に支障のないように留意し、使用条件は救護活動に必要な条件に基づき、区本部と教育委員会との調整による。 オ 経費の負担 自衛隊の救援活動に要した次に列挙する経費は、原則として派遣を受けた当区が負担するものとし、2以上の自治体にわたって活動した場合の負担割合は、関係機関が協議して定める。 (ア)派遣部隊が救援活動を実施するため必要な資器材(自衛隊装備品を除く。)等の購入費、借上料、及び修繕費 (イ)派遣部隊の宿営に必要な土地、建物等の使用及び借上料 (ウ)派遣部隊の宿営及び救援活動に伴う光熱水費・電話料等 (エ)派遣部隊の救援活動の実施に際し生じた(自衛隊装備品を除く。)損害の補償 (オ)その他救援活動の実施に要する経費で、負担区分に疑義ある場合は、自衛隊と派遣を受けた当区とで協議するものとする。 カ 派遣部隊の撤収要請 区長は、自衛隊の災害派遣の目的を達したとき、又はその必要がなくなった場合、派遣部隊の撤収を要請するものとする。 ⑥応援の受入れに係る新型コロナウイルス等感染症に係る留意事項について 区は、新型コロナウイルス等感染症の感染拡大期等、応援の受入れにあたり特に留意が必要な場合には、次の感染症の拡大防止を図るための措置について留意する。 ア 応援要員を含む職員が活動する場所において、十分な換気に努め、手洗い、咳エチケット、マスク着用の徹底、共同で使用する物品・機器等の消毒の徹底に努める。 イ 遠隔地においても処理が可能となる業務等の可能性のほか、地元事業者等への業務委託等についても検討する。 ウ 応援要請にあたっては、区内の感染者発生状況等の情報について、応援側地方公共団体及び関係機関に提供する。また、受援開始後の情報についても、災害対応に従事する職員等に係る状況を含め、同様に応援側地方公共団体及び関係機関に提供する。 エ 新型コロナウイルス等感染症への感染が疑われる応援要員が生じた場合は、保健所及び応援側地方公共団体及び関係機関への連絡し、必要な対応の調整を行う。 4 応急活動拠点の調整 区は、都のオープンスペースや航空機の使用に関する取組みについて、必要に応じて支援する。 <都が実施する取組み> 地震が発生したとき、応急活動を効果的に実施するために、応急対策上重要な役割を果たすオープンスペースや航空機の使用について、必要に応じて、都本部で総合的に調整する。 都本部は、地震発生後、オープンスペースの被害状況、使用の可否について、現地機動班、都各局、区市町村、関係機関等から情報収集し、その状況について継続的に把握する。 都各局及び区市町村は、オープンスペースの利用要望を都本部に提出する。 都本部は、都各局及び区市町村の利用要望と、自衛隊、他県等の警察・消防の応援部隊の使用見込との調整を行う。 オープンスペースを使用する機関は、使用状況を定期的に都本部へ報告する。 都本部は、報告に基づき、時系列に応じたオープンスペースの有効活用を図る。 都本部は、航空機使用について東京航空局等と連携・協力し、次の調整を行う。 離発着場の指定 応急対策に使用する航空機の需給調整   5 他自治体への応援 区は、都内外で大規模な災害が発生した際に、他自治体への応援を迅速かつ的確に行うため、必要な体制を整備する。 区総務部は、都総務局行政部(人員調整部門)及び災害時相互応援自治体、交流自治体から職員の応援派遣要請を受けた場合、応援要請の内容を確認のうえ、速やかに必要な体制を整備する。 <要請の内容> ア 要請人数    イ 期間 ウ 集合場所    エ 活動内容 オ 活動場所    カ 応援職員に求める要件(職種、資格、経験) キ 必要な資機材等 区危機管理部は、必要に応じ、応援側との連絡調整や区内部の調整等を行うため、友好都市等被災時対策連絡会議を開催する。 区総務部は、庁内の応援職員の人数の割り振り・調整を行う。 被災建物の応急危険度判定や応急救護・医療等に携わる応援職員について、専門性を必要とする区の関係部署(都市整備政策部、世田谷保健所等)が、都等から直接の応援要請及び調整をうけた場合、専門性に応じて必要とされる業務の応援を実施する。 また、応援の内容等について友好都市等被災時対策連絡会議へ適宜報告する。 相互応援協定を締結している自治体に対する応援はそれぞれの協定に定める方法による。 応援職員の派遣にあたり、新型コロナウイルス等感染症の感染拡大防止を図る必要がある場合、感染予防に必要な携行品を持参するとともに、派遣先においても基本的な感染予防対策及び健康管理を徹底する。