第4章 安全な交通ネットワーク及びライフライン等の確保 本章における対策の基本的考え方 発災後の交通ネットワークとライフライン等の確保による都市機能の維持 道路、鉄道といった交通関連施設は、都市の活動を支える基盤として重要な役割を担っており、人命救助や消火活動、物資輸送等を円滑に行い、区民の生命を守るため、発災時においてもその機能を確保する必要がある。 また、発災後の区民の暮らしを支え、都市機能を維持するためには、上下水道をはじめとした各種ライフラインの機能を確保するとともに、こうした施設を機能させるためのエネルギー(電力・ガス等)の確保が不可欠である。 本章では、区民生活や都市機能を支える交通ネットワークやライフライン等の対策を示す。 第4章 安全な交通ネットワーク及びライフライン等の確保 第1節 現在の到達状況 1 交通関連施設の安全確保 都は緊急輸送道路のうち、特に沿道建築物の耐震化を図るべき道路を特定緊急輸送道路として告示(平成23年6月)するとともに、首都圏三環状道路をはじめとする道路整備や連続立体交差事業など道路ネットワークの構築を推進している。 また、緊急輸送道路等の橋りょうの耐震化や橋りょうの長寿命化対策を進めるとともに、港湾、鉄道施設の耐震化を推進している。 首都圏三環状道路整備率 約82%(平成31年3月) 世田谷区内の緊急輸送道路等の橋りょうの耐震化を完了(平成28年3月) 連続立体交差事業の推進により、事業完了箇所・事業中箇所を含め、395箇所の踏切を除却(平成27年8月) 区内の橋りょう及び道路の整備状況は次のようになっている。 (1)橋りょうの整備の現状 平成24年度 ①橋りょう修繕 1橋 ②架替え     0橋 平成25年度 ①橋りょう修繕 6橋 ②架替え    1橋 平成26年度 ①橋りょう修繕 3橋 ②架替え(新設)1橋 (2)道路整備の現状 世田谷区の道路率や都市計画道路の完成率などの指標は、いずれも23区の中で下位に位置しており、未だに区内の道路整備の状況は低い水準にある。 都市計画道路の整備率 約50% 23区中21位 道路率 約14% 23区中20位 区道総延長約1,100km中、約60%は幅員6m未満 主要延焼遮断帯に指定された都市計画道路の整備率 約51% 一般延焼遮断帯に指定された都市計画道路の整備率 約29% (上記数値は、世田谷区道路整備白書(令和2年4月)による) (3)鉄道の耐震補強の現状 区内各鉄道事業者の鉄道施設については、これまで、阪神・淡路大震災と同規模の地震にも耐えられるよう、国の基準に基づく耐震補強工事を完了しているが、平成30年3月に改正された鉄道耐震に係る省令に基づき、新たに追加されたロッキング橋脚の耐震対策などについて促進していく必要がある。 2 ライフライン等の確保 都では、水道管路の耐震継手化や下水道管の耐震化を進めるとともに、マンホールの浮上抑制対策を実施している。また、電気、ガス、通信については、各事業者において、送電線のネットワーク化、地震計や安全装置付ガスメーターの設置、電気通信設備等の防災設計といった取組みが進められている。 水道管のダクタイル鋳鉄管への取替えをほぼ完了(平成22年3月) 水道管路の耐震継手率44%(平成31年3月) 下水道マンホールの浮上抑制対策について緊急輸送道路など約500kmの対策を完了(平成23年3月)し、更に、避難所などと緊急輸送道路を結ぶ道路に対象を拡大し、対策を推進 指定避難所などから排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部分の耐震化を完了(平成26年3月)し、更に、帰宅困難者が滞留するターミナル駅などに対象を拡大し、対策を推進 第2節 課題 *図表省略 1 交通関連施設の安全確保に向けた課題 (1)道路機能の確保 首都圏三環状道路は、平成31年3月末で整備率82%となっており、整備が着々と進んでいるが、災害時の避難・救急活動のルートを確実に確保するためには、早期の整備が必要となる。 また、幹線道路ネットワークについて、外環道や区部放射・環状道路、多摩東西及び南北道路等でミッシングリンクが生じているため、被災時の代理機能が確保できていない。また、緊急輸送道路の沿道建築物の倒壊により、道路が閉塞する可能性がある。 このほか、都内の踏切数は、平成30年4月時点で約1,050箇所あり、その中には、道路ネットワークを形成する上で課題となる箇所が存在する。また、踏切の閉鎖により、緊急・救急活動の妨げとなる可能性がある。 橋りょうは、ひとたび落下すると、橋りょうがまたぐ道路・河川・鉄道等への影響が大きい。補強だけでなく架け替えなど、抜本的な対策が必要とされる場合もあるため、着実に適切な対策を講じる必要がある。 切迫している首都直下型地震等から多くの区民の命を守るため、「せたがや道づくりプラン」に基づき、防災対策に繋がる道路整備を計画的かつ効率的に進めることが必要である。 2 ライフラインの確保に向けた課題 水道については、耐震化の取組みを進めてきているが、一部はバックアップ機能が十分でないため、断水して耐震化の工事を行うことができない施設や管路が存在している。また、下水道については、震災時でも機能を確保するため、耐震化やマンホールの浮上抑制対策の取組みをさらに強化する必要がある。 電気、ガス、通信については、これまでも耐震設計基準に基づいた施設整備等が進められているが、引き続き、こうした事業者による取組みを着実に進める必要がある。 3 エネルギーの確保に向けた課題 エネルギーは都市の機能を支える上で不可欠なものであり、特に防災上重要な建築物やライフライン施設等については、発災後もその機能を維持できるよう自立電源の確保が重要となる。 第3節 対策の方向性 1 交通関連施設の安全確保 道路や鉄道といった交通関連施設は、都市の活動を支える基盤として重要な役割を担っている。こうした施設が損壊等の物理的被害を受けたり、交通渋滞、車両火災などにより機能不全に陥ると、人命救助や消火活動、物資輸送等の円滑な実施が困難になるおそれがある。 区民の生命を守る交通関連施設の安全確保に向けて、道路ネットワークの整備、道路・橋りょう等の安全確保や新たな交通規制を実施する。また、鉄道の安全確保と早期復旧に向けた対応等を図り、ソフト・ハード両面の対策を進め、発災後においても交通・物流機能を維持する。 橋りょうは、平成26年3月に改定した「橋梁(きょうりょう)長寿命化修繕計画」に基づく修繕及び架替を実施していくとともに、併せて耐震補強対策について検討していく。 道路は、「せたがや道づくりプラン」に基づき、計画的かつ効率的な道路整備(都市計画道路、主要生活道路、地先道路)を推進する。また、東京外かく環状道路の整備に関して調整する。 また、土木施設の被災状況の把握とその対応について、職員行動マニュアルによる訓練を実施し、問題点を洗い出すとともに、必要な対策を実施していく。 2 ライフライン等の確保 水道・下水道施設等の耐震化や、被害発生から復旧までの間のバックアップ機能の確保、早期復旧に向けた仕組みづくりなど、ライフライン機能の確保に向けた対策を実施する。 3 エネルギーの確保 自立・分散型電源の導入促進により、発災後も都市の機能を維持する。 第4節 到達目標 1 幹線道路網の整備及び緊急輸送道路の沿道建築物や橋りょうの耐震化 幹線道路ネットワークの整備、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化、震災時の輸送・避難ルートの確保や消火活動等の機能を確保する。 緊急輸送道路のうち、震災時に一般車両の流入禁止区域の境界となる環状7号線の無電柱化を令和6年度末までに完了する。都は、今後は、都道の重点整備地域をセンター・コア・エリアから環状7号線の内側エリアまで拡大し、重点整備路線として第一次緊急輸送道路と災害拠点病院等を結ぶ都道を新たに位置付け、無電柱化を推進するとともに、区の無電柱化事業に対する支援を行う。 2 首都中枢機能等への耐震化 震災時における水道施設の被害を最小限にとどめ、区民への給水を可能な限り確保するため、都水道局は浄水場や給水所等の耐震化を推進するとともに、指定避難所の給水機能の確保のため、応急給水栓の設置を進めていく。管路は、首都中枢・救急医療機関、指定避難所や主要な駅等への供給ルートを優先して耐震化を推進している。具体的には首都中枢・救急医療機関等については、令和元年度までに耐震継手化を100%完了する。また、中学校及び指定避難所や一日当たりの乗車人数20万人越えの主要な駅については、令和元年度までに、小学校及び一日当たりの乗車人数10万人超20万人以下の主要な駅は令和4年度までに、高等学校・大学・公民館等は令和7年度までに耐震継手化を100%完了する。加えて、指定避難所や主要な駅の給水管は令和元年度までに耐震化を概ね100%完了する。 また、都下水道局は下水道施設の耐震化を推進するとともに、震災時のトイレ機能を確保するため、指定避難所などの施設から排水を受け入れる下水道管の耐震化を平成25年度までに完了した。更に、帰宅困難者が滞留するターミナル駅や国、都、区の庁舎などの災害復旧の拠点となる施設等に対象を拡大して耐震化を進めている。 さらに、電気、ガス、通信については、事業者による耐震化等の取組みを継続する。 これらの取組みにより、ライフライン機能を維持・早期復旧するバックアップ体制を確保する。 第5節 具体的な取組み 第1 予防対策 1 道路・橋りょう 2 鉄道施設 3 緊急輸送ネットワーク 4 水道 5 下水道 6 電気・ガス・通信等 7 ライフラインの復旧拠点の確保 1 道路・橋りょう (1)対策内容と役割分担 ① 道路・橋りょうの安全確保等 道路整備事業の推進や、道路・橋りょうの安全確保とともに、非常時の情報収集体制の充実や障害物除去用資器材の確保等を進める。 機関名 区(災対土木部) 対策内容 せたがや道づくりプラン等に基づく計画的な整備を推進 機関名 警視庁・警察署 対策内容 震災時の交通情報収集方策の検討 ITSを活用した震災時の交通情報発信の検討 機関名 都建設局 対策内容 外環など首都圏三環状道路の整備を促進するとともに、連続立体交差事業等、道路整備を推進 骨格幹線道路をはじめとした第四次事業化計画優先整備路線に位置付けられた都市計画道路の整備を推進 東京都緊急輸送道路ネットワーク計画の見直しを実施 情報収集用資器材や、障害物除去用資器材を確保 緊急道路障害物除去路線の見直し 分かりやすい標識整備等 機関名 関東地方整備局東京国道事務所 対策内容 緊急輸送道路等の橋りょうについて、必要な耐震化を推進 首都近隣区域において防災資器材備蓄基地を計画的に整備 首都圏三環状道路(外環、圏央道)等の高速道路網を早期に完成 機関名 首都高速道路、東日本高速道路、中日本高速道路 対策内容 緊急輸送路として速やかに機能を回復するための地震防止対策を推進 機関名  東日本高速道路、中日本高速道路 対策内容 首都圏三環状道路(外環、圏央道)等の高速道路網を早期に完成 機関名  都都市整備局 対策内容 緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を推進   ② 緊急通行車両等の確認 震災時に緊急通行車両等として使用を予定している車両について、事前に確認する。 機関名  区(災対物資管理部) 対策内容 緊急通行車両等の事前届出 機関名  区(災対地域本部) 対策内容 緊急通行車両等の事前届出 機関名  警視庁・警察署 対策内容 緊急通行車両等の確認 機関名  都各局 対策内容 緊急通行車両(所管関係車両)等の確認 (2)詳細な取組み内容 ① 道路・橋りょうの安全確保等 【実施主体】区災対土木部 【道路の整備】 道路は、区民の日常生活を支え、街の骨格を形成する重要な都市基盤であり、歩行者や交通の単なる移動空間としての役割だけでなく、日照、通風等の環境保全機能、上・下水道、都市ガス、通信ケーブル等供給処理施設の設置機能を有している。 災害時においては、延焼の防止、円滑な消防活動や避難路、避難所への物資の輸送等の機能を有し、東日本大震災においてもその重要性が改めて認識されたところである。 区では、これらの道路整備が不十分であることから、道路の新設・拡幅整備に関する総合的な方針である「道路整備方針」及び「地先道路整備方針」を、その上位方針である「都市整備の基本方針」の改定及び区政の総合計画である「基本構想・基本計画」の策定に合わせて全面的に改定、統合し、平成26年3月に「せたがや道づくりプラン」として策定し、計画的な道づくりを進めている。 【主要な生活道路の整備】 ア 地区幹線道路 幹線道路と併せて延焼遮断帯の形成や緊急輸送等、震災時に大きな役割を担っている道路であるが、幹線道路が85.5%完成しているのに対して、地区幹線道路は、完成率が36.1%という状況である。 都と23区では、平成16年に策定した「区部における都市計画道路の整備方針」及び区の「道路整備方針(調整計画)」に基づき、都と区が連携しながら、事業を進めてきたが、今後も、「東京における都市計画道路の整備方針(平成28年3月)」及び「せたがや道づくりプラン」に基づき、計画的に事業を進めていく。 イ 主要生活道路 区の「せたがや道づくりプラン」に基づき、計画的な整備を進めていくが、事業手法については、多様な手法を検討し、効率的かつ効果的な事業の執行を図る。   【地先道路の整備】 災害時における円滑な避難や消防活動困難地区の解消などを図るため、地先道路の整備指針を定め、指針を基に地区ごとに「地先道路整備計画」を策定し、計画的な地先道路の整備を進める。 【電線共同溝の整備】 電線の地中化は、美しい街並み景観の確保、交通環境の改善はもちろんのこと、防災活動の円滑化、安全確実なライフライン確保の観点から、道路整備事業に合わせて事業を推進する。 【安全で快適な歩行空間の整備】 平常時の歩行者の安全性と快適性、また、避難路としての安全を確保するため、広幅員の道路については、歩道を新設するとともに、段差解消や視覚障害者誘導用ブロックの整備などの安全対策を行い、幼児や高齢者、障害者など誰もが安全で安心して移動できる歩行空間の整備を推進する。 【道路と鉄道の連続立体交差】 連続立体交差事業は、都市交通の円滑化をはじめ、交通渋滞・踏切事故の解消、地域の一体化による都市の再生・活性化、高架下空間や鉄道地上部の有効利用など、様々な効果がある。また、本事業に併せて駅前広場や道路等が整備され、市街地の防災機能が強化されるなど、災害に強いまちづくりに貢献することから事業を促進する。 【橋りょうの整備】 ア 計画目標 災害時における避難、救援、消防活動などに支障をきたさないように、橋りょうの震災予防対策として、老朽橋の架替、耐震補強、狭あい橋の拡幅などを行う。整備にあたっては、世田谷区緊急時障害物除去路線上など緊急度の高い橋りょう(跨線橋、跨道橋等)を優先的に実施する。 イ 経過 平成24年3月に、区が管理する道路橋りょう159橋のうち、修繕計画策定に必要な点検が完了していた124橋を対象に「世田谷区橋梁(きょうりょう)長寿命化修繕計画」を策定した。また、平成25年3月には、残る35橋についても点検が完了したため、平成26年3月に159橋を対象とした修繕計画として改定した。   【実施主体】首都高速道路 【首都高速道路】 ア 現況 (ア)道路の現況 名称  高速3号渋谷線(都道首都高速3号線) 区内延長 6.4km 入口  〔上り〕用賀・三軒茶屋 出口  〔上り〕池尻 〔下り〕三軒茶屋・用賀 非常電話  上り20箇所 下り18箇所 非常口   上り1箇所 下り8箇所 名称   高速4号新宿線(都道首都高速4号線) 区内延長  なし 入口  [下り]永福 出口   [下り]永福 非常電話  なし 非常口   なし 区内延長  計 6.4km 入口   なし 出口    なし 非常電話  なし 非常口   なし ※高速4号新宿線は、出入口のみ世田谷区内 (イ)耐震性と施設の安全対策 首都高速道路の構造物は、兵庫県南部地震級の地震防災対策として橋脚耐震補強、上部工耐震補強を平成8年度から実施し、落橋や倒壊等の致命的な損傷を防ぐ対策を完了している。また、トンネルや高架橋等には、非常口を整備し、災害時の緊急事態においても、お客様等は、これらの非常口から安全に脱出できるよう安全性を確保している。 イ 事業計画 (ア)事業計画の概要 首都高速道路は、阪神・淡路大震災における高架橋等の被害状況を踏まえ、兵庫県南部地震級の地震に対しても落橋や倒壊を生じないよう、高架橋の安全性を向上する対策を完了している。現在は、被災後に損傷が限定的なものに留まり、緊急輸送路として速やかに機能を回復するための地震防止対策を順次実施している。 災害に備え、道路構造物等について定期点検を行う。 (イ)実施計画の内容 高架橋の安全性の強化 緊急輸送路として速やかに機能を回復するための地震防災対策を引き続き実施していく。 道路構造物、管理施設等の定期点検 災害時における情報収集・伝達等に必要な通信施設等の定期点検 (ウ)お客様等の安全確保 お客様等の安全を確保するため、次の対策を講ずる。 お客様等への情報伝達の充実 避難・誘導施設の整備 (エ)資器材の備蓄等の措置 震災時における緊急点検、応急復旧等の対策を実施するために必要な資器材及び物資の備蓄等を行う。 【実施主体】国、都 【東京外かく環状道路の整備】 東京外かく環状道路は、都心から15km圏を環状方向に結ぶ広域的な幹線道路で、放射方向の幹線道路を相互に連結して都心部に集中する交通を円滑に分散導入するとともに、都心に起終点を持たない交通をバイパスさせることにより、首都圏における交通渋滞の緩和や都市間の円滑な交通ネットワークを実現する役割が期待されており、現在、関越自動車道から東名高速道路までの16kmの区間で事業が進められている。 震災時には、交通ネットワークを活かした救援物資・資器材の輸送路、大型重機の移送路として、大きな役割が期待されている。東名高速道路と中央自動車道の2箇所のジャンクション建設にあたっては、延焼遮断や避難空間などの防災性に配慮した配置・構造となるよう、また、予定路線の位置づけとなっている東名以南の区間についても、防災対策等の課題を踏まえた計画の早期具体化が図られるよう、事業者である国や都に要望していく。 【実施主体】都各局、関東地方整備局東京国道事務所 【共同溝の整備】 共同溝は、地下埋設物の破壊防止に有効で、道路の陥没など大きな被害を避ける効果もあり、事業の促進や適切な維持を図る。 〔共同溝への対応〕 機関名 東京消防庁・消防署 共同溝に関する現況及び整備計画 一定規模以上のとう道・共同溝及び道路トンネル等については、火災予防条例で消防活動上必要な事項について届出を義務付け、情報を把握 非常用施設の設置、出火防止に関すること等について、届出に添付を求める。 機関名 関東地方整備局東京国道事務所 共同溝に関する現況及び整備計画 地震に対する安全性向上を図るため、幹線のライフラインを収容する共同溝整備を推進 機関名 都建設局 共同溝に関する現況及び整備計画 経年変化により安全性が低下した共同溝については、適切に補修 大規模な埋設物工事などが発生する箇所については、他の施設の整備計画を踏まえ、共同溝整備を検討・調整   ② 緊急通行車両等の申請・確認 【実施主体】区災対物資管理部、区災対地域本部 区は、災害発生時等において緊急通行車両の事務の効率化等を図るため、事前に緊急通行車両等として使用される車両を申請する。 *緊急通行車両実施要領(警視庁)〔資料編資料第28・P51〕 【実施主体】各機関 各機関は、震災時に緊急通行車両等としての使用を予定している車両について、緊急輸送業務等の実施の責任者から申請書の提出を受けた場合には、事前に審査を行う。 緊急通行車両等に該当すると認められるものについては、届出済証を申請者に交付する。 各機関は、届出済車両について確認の申請があった場合には、提出された届出済証により審査を省略し、標章を交付する。   2 鉄道施設 (1)対策内容と役割分担 鉄道の安全確保策や、早期復旧に向けた対策を図る。 機関名  各鉄道事業者(京王電鉄、小田急電鉄、東急電鉄) 対策内容 内部での情報連絡のほか、運行再開に当たって、国や各鉄道事業者等と再開時刻等必要な調整をするための通信手段を確保 気象庁から配信される「緊急地震速報」を活用し、大きな揺れが到達する前に列車無線で乗務員に通報し、列車を停止 エレベーターの安全対策の推進 機関名  東京消防庁・消防署 対策内容 東京都震災対策条例第10条及び第11条に基づく事業所防災計画の作成を指導 (2)詳細な取組み内容 【実施主体】各鉄道事業者 国土交通省が開催する「大規模地震発生時における首都圏鉄道の運転再開の在り方に関する協議会」の検討成果等を踏まえ、早期の運行再開を図るため、国や各鉄道事業者と再開時刻等を調整するための通信手段を確保する。 【実施主体】京王電鉄 ①計画目標 都市計画事業と併せて、線路の高架化と駅舎及び諸施設の改良、新設を推進し交通施設の整備強化を図り、安全輸送の確保に努める。 ②事業計画 ア 駅舎 (ア)2年に1回の定期検査により点検を実施する。 (イ)建物の位置構造については、建築基準法その他の関係法令に基づき耐震性の安全を確保する。 イ 高架橋・盛土部分 国土交通省通達及びその他技術基準に基づき、耐震性を検証し、「災害時の復旧困難性」なども考慮して、順次補強工事を実施する。 【実施主体】小田急電鉄 ①計画目標 輸送の安全確保の取組みとして、高架橋、橋りょう、トンネル等の構造物については、耐震基準等に基づき、適切な耐震性能を維持する。 ②事業計画 各施設を定期的に点検し、必要により補修や改良等を実施して安全性を維持する。   【実施主体】東急電鉄 ①計画目標 輸送の安全確保のための取組みとして、各施設の耐震性の検討及び補強工事等を推進する。 ② 事業計画 ア 駅施設等 国土交通省通達及び建築基準法その他関係法令に基づき、耐震性を検証し、順次補強工事を実施する。 イ 高架橋・橋りょう・トンネル等 国土交通省通達及びその他技術基準に基づき、耐震性を検証し、「災害時の復旧困難性」なども考慮して、順次補強工事を実施する。 【実施主体】東京消防庁・消防署 震災時の安全性の確保のため、東京都震災対策条例第10条及び第11条に基づき、事業所防災計画の作成を指導する。 3 緊急輸送ネットワーク 緊急輸送ネットワークについては、第2部第10章第5節第1「4 輸送体制の整備」による。 4 水道 (1)対策内容と役割分担 水道施設の耐震化や管路の耐震継手化の推進を図るとともに、バックアップ機能を強化対策等を推進する。   (2)詳細な取組み内容 【実施主体】都水道局 区民生活への影響を最小限に抑えるため、水道施設については、浄水場や給水所等の耐震化を推進するとともに、管路については、より効果的に震災時の断水被害を軽減できるよう、医療機関や首都中枢機関等への供給ルートの耐震継手化を令和元年度までに100%完了する。加えて、その他の重要施設にも対象を拡大するなど、耐震化を一層推進する。また、液状化危険度や想定地震動、耐震継手化の進捗等を考慮し、被害が大きいと想定される地域においても、耐震継手化を推進する。  5 下水道 (1)対策内容と役割分担 施設の耐震化やマンホール浮上抑制対策の推進を図るとともに、施設のバックアップ機能を強化する。 機関名 都下水道局 対策内容 下水道管とマンホールの接続部の耐震化について、対象を拡大し、対策を推進 マンホール浮上抑制対策について、対象を拡大し、対策を推進 水再生センター、ポンプ所の耐震対策 停電時などの非常時においても下水道機能を維持 ネットワーク化の推進 区市町村と連携した応急復旧体制を強化・充実 応急復旧業務に関する協定を締結している民間団体との連携 災害復旧用資器材の整備   6 電気・ガス・通信等 (1)対策内容と役割分担 公共施設や拠点施設の機能を維持するために電源多重化の整備などにより、必要な電力確保策を図り、保有する電源設備等について、安全性の確保や平常時からの点検、操作訓練等に努めるとともに、LPガスの活用を促進する。 機関名  区 対策内容 避難所等、災害時の拠点となる施設等における自立・分散型電源の設置 機関名  東京電力グループ 対策内容 「被災しにくい設備づくり」「被災時の影響軽減」「被災設備の早期復旧」を基本方針として実施 被災状況により実施する計画停電に備えた体制の構築 機関名  東京ガス、ガス事業者 対策内容 供給停止ブロックの細分化 移動式ガス発生設備による臨時供給の実施 災害時におけるLPガスの活用を促進 機関名  警視庁・警察署 対策内容 信号機の滅灯対策 機関名  東京消防庁・消防署 対策内容 東京都震災対策条例第10条及び第11条に基づく事業所防災計画の作成指導 機関名  NTT東日本 対策内容 電気通信設備等の高信頼化を推進 機関名  各通信事業者 対策内容 人口密集地及び行政機関の通信確保に向けた対策を実施 コンビニエンスストアの店舗に非常用電話機を設置 早期サービス復旧のための対策等   機関名  都各局 対策内容 ライフライン及び応急・復旧活動の拠点となる施設等における自立・分散型電源設置の促進 事業者と災害時における各種燃料油の優先供給に関する協定の締結を推進し、燃料を安定調達する 各施設においては電力を供給する設備の優先順位を定める 大規模救出救助活動拠点や避難場所に非常用発電設備等を設置 機関名  都環境局 対策内容 コージェネレーションシステムなどの自立・分散型電源の確保を促進 災害時におけるLPガスの活用の促進 (2)詳細な取組み内容 【実施主体】区 公共施設や拠点施設の機能を維持するために電源多重化の整備などにより、必要な電力確保策を図るとともに、避難所等、災害時の拠点となる施設等におけるコージェネレーションシステムなど、自立・分散型電源の設置を推進する。 災害時に非常用電源としても有効な蓄電池、家庭用燃料電池等の導入を支援する。   【実施主体】東京電力グループ 【電気施設】 電気施設は、次の耐震設計基準に基づき設置されており、軟弱地盤の地域など特に問題のある箇所については、きめ細かい設計を行い、施工している。 〔設備別基準〕  設備名  変電 電気施設関連の耐震設計基準 機器の耐震・液状化については,変電所設備の重要度,その地域で予想される地震動などを勘案するほか,電気技術指針である「変電所等における電気設備の耐震設計指針」に基づいて設計を行う。 設備名  送電(架空線) 電気施設関連の耐震設計基準 電気設備の技術基準に規定されている風圧荷重が地震動による荷重を上回るため,同基準に基づき設計を行う。また,液状化については,設備の重要度等を勘案し必要に応じて対策を行う。 設備名  送電(地中線) 電気施設関連の耐震設計基準 終端接続箱,給油装置等については,電気技術指針である「変電所等における電気設備の耐震設計指針」に基づき設計を行う。洞道は,「トンネル標準示方書(土木学会)」等に基づき設計を行う。また,地盤条件に応じて,可とう性のある継手や管路を採用するなど耐震性や液状化を配慮した設計とする。 設備名  配電 電気施設関連の耐震設計基準 地震による振動・衝撃荷重の影響は、電気設備の技術基準に規定されている風圧荷重が一般的な地震動による荷重を上回るものと評価されているため、同基準に基づいた設備形成をしている。 設備名  通信 電気施設関連の耐震設計基準 電力保安通信規定に基づいて、耐震設計を行っている。 (注)1Gは、おおむね地球の重力による加速度に相当する980ガル 電力系統は、発電所から連係する放射状の送電線からの電力供給を、首都圏の周囲に張り巡らした二重三重の環状の送電線で一旦受け止め、そこから網の目のようなネットワークを使い電力供給するよう構成されている。 送電線は変電所で接続変更できるため、万一、一つの送電ルートが使用できなくなっても、別のルートから速やかに送電することができる。 電気の供給信頼度の一層の向上を図るため、災害時においても、系統の切り替え等により、早期に停電が解消できるよう系統連携の強化に努める。 【実施主体】東京ガス 【ガス施設】 製造所・整圧所設備 重要度及び災害危険度の大きい設備の耐震性を向上させ安全性を確保する。 防消火設備、保安用電力等の強化を行い、二次災害防止に努める。 供給設備 導管を高・中・低圧別に区分し、それぞれの状態に応じた最適な材料・継手構造等を採用し、耐震性の向上に努める。 全ての地区ガバナーにSIセンサーを設置し、揺れの大きさ(SI値)・ガスの圧力・流量を常時モニタリングする。 この情報を解析し高密度に被害推定を行い、迅速な供給停止判断及び遮断する体制を整備する。 〔施設別安全化対策〕 施設名  製造施設 都市ガス関連の安全化対策 施設の重要度分類に基づき、それぞれのクラスに応じた設計法を適用し、耐震性の向上及び安全性を確保 緊急遮断弁、防消火設備、LNG用防液堤の設置、保安用電力の確保等の整備を行い、二次災害を防止 施設名  供給施設 都市ガス関連の安全化対策 新設設備は、ガス工作物の技術上の基準等に基づき耐震性を考慮した設計とし、既設設備は必要に応じて補強 二次災害の発生を防止するため、ホルダーの緊急遮断装置、導管網のブロック化、放散塔など緊急対応設備を整備 施設名  通信施設 都市ガス関連の安全化対策 ループ化された固定無線回線の整備 ○   施設名  その他の安全設備 都市ガス関連の安全化対策 地震計の設置 工場・整圧所・幹線ステーションに地震計を設置するとともに、地区ガバナー(整圧器)には感震・遠隔遮断装置を設置 安全装置付ガスメーターの設置 建物内での二次災害を防止するため、震度5程度の地震時にガスを遮断するマイコンメーターを設置   【実施主体】各通信事業者 【電気通信施設】 電気通信設備及び附帯設備の防災設計(耐震・耐火・耐水設計等)を実施するとともに、通信施設が被災した場合においても応急の通信が確保できるよう、通信設備の整備を行う。 事項 電気通信設備 安全化対策 電気通信設備等の高信頼化 次のとおり電気通信設備と、その附帯設備(建物を含む。以下「電気通信設備等」という。)の防災設計を実施 ①豪雨、洪水、高潮又は津波等のおそれがある地域にある電気通信設備等について、耐水構造化を実施 ②暴風又は豪雪のおそれのある地域にある電気通信設備等について、耐風又は耐雪構造化を実施 ③地震又は火災に備えて、主要な電気通信設備等について耐震及び耐火構造化を実施 事項 電気通信システム 安全化対策 電気通信システムの高信頼化 災害が発生した場合においても通信を確保するため、次の各項に基づき通信網を整備 ①主要な伝送路を多ルート構成又はループ構成とする。 ②主要な中継交換機を分散設置 ③大都市において、洞道(共同溝を含む。)網を構築 ④通信ケーブルの地中化を推進 ⑤主要な電気通信設備について、必要な予備電源(移動電源車配備、燃料確保/供給オペレーション等)を確保 ⑥重要加入者については、当該加入者との協議により加入者系伝送路の信頼性を確保するため、2ルート化を推進 事項 電気通信処理システムに関するデータベース等の防災化 安全化対策 電気通信設備の設備記録等重要書類並びに通信処理システム及び通信システム等のファイル類について、災害時における減失、若しくは損壊を防止するため、保管場所の分散、耐火構造容器への保管等の措置を講ずる。 事項 災害時措置計画 安全化対策 災害時等において、重要通信の確保を図るため、伝送装置、交換装置及び網装置に関する措置計画を作成し、現行化を図る。 事項 重要通信の確保 安全化対策 ①災害時に備え、重要通信に関するデータベースを整備する。 ②常時疎通状況を管理し、通信リソースを効率的に運用する。 ③災害時には、設備の状況を監視しつつ、必要に応じてトラヒックコントロールを行い電気通信の疎通を図り、重要通信を確保する。 事項 災害対策用機器及び車両等の配備 安全化対策 ①災害発生時において通信を確保し、又は災害を迅速に復旧するためにあらかじめ保管場所及び数量を定め、必要に応じて次に掲げる機器及び車両等を配備する。 ア 非常用衛星通信装置 イ 非常用無線装置 ウ 非常用交換装置 エ 非常用伝送装置 オ 非常用電源装置 カ 応急ケーブル キ その他の応急復旧用諸装置 ②災害復旧用機器、車両等の災害時の出動、運用を円滑に行うため、必要な運転要員を含めた手配連絡網を整備し、維持するとともに必要な運用訓練を行う。 ③災害等の緊急事態に備え、緊急車両の許認可の手続きを事前に実施する。 事項 災害対策用資材等の確保 安全化対策 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、電気通信設備等の被害を防御し、又は被害の拡大を防止するため、平常時から災害対策用資材、器具、工具、消耗品等を確保するための具体的措置を定め講じる。 事項 電気通信設備及び災害対策用資器材の整備点検 安全化対策 ①電気通信設備及び災害対策用資器材等の数量を常に把握しておくとともに、必要な整備点検を行い非常事態に備える。 ア 電気通信設備等の防水、防風、防雪、防火又は耐震の実施 イ 可搬型無線機等の災害対策用機器及び車両等 ウ 予備電源設備、燃料及び冷却水等 エ その他、防災上必要な設備及び器具等 ②重要書類及びプログラムファイル類の保管にあたっては、災害時における重要データベースの滅失あるいは損壊を防止するため、保管場所の分散、耐火構造容器への保管等の措置を講じる。   7 ライフラインの復旧拠点の確保 (1)対策内容と役割分担 ライフラインの早期復旧のため、広域応援を受け入れる活動拠点を確保する。 機関名 区、東京消防庁・消防署、都 対策内容 ライフラインの復旧活動の拠点を確保 (2)詳細な取組み内容 【実施主体】都総務局、都財務局、東京消防庁・消防署 ライフライン復旧のための活動拠点について、都は、広域応援を受け入れるため、東京二十三区一部事務組合の清掃工場21箇所を救出及び救助の活動拠点(ライフライン復旧活動拠点)として指定し、災害時に活用する。 【実施主体】区災対統括部 ライフライン復旧のための活動拠点について、区は、広域応援を受け入れるための場所を関係団体と連携し、確保する。 8 エネルギーの確保 (1)対策内容と役割分担 災害応急対策に係る機関は、都市機能の維持に向けたエネルギーの確保を推進するため、発電設備を備えた防災拠点の整備、公共施設や拠点施設の機能を維持するための自立・分散型電源の確保を図り、保有する電源設備等について、安全性の確保や平常時からの点検、操作訓練等に努めるとともに、コージェネレーションの導入やLPガスの活用を促進するなど、民間事業者との連携を推進する。 第2 応急対策 1 道路・橋りょう 2 鉄道施設 3 河川施設等 4 水道 5 下水道 6 電気・ガス・通信等 1 道路・橋りょう (1)対策内容と役割分担 第一次・第二次交通規制の実施、緊急通行車両等の確認、道路・橋りょうの情報収集、緊急道路障害物除去等を行う。 道路の復旧等の応急活動を一体的に実施するため、各局、防災機関、関係団体、事業者で連携し、相互に情報の共有化等を図るなど、各対策における円滑な調整に必要な体制を構築する。 ①道路交通規制等 機関名  警視庁・警察署 対策内容 発災直後は道路交通法に基づく第一次交通規制を実施 その後、災害対策基本法に基づく第二次交通規制を実施 緊急通行車両等の確認 機関名  都水道局、都下水道局、東京消防庁・消防署、警視庁・警察署、都交通局 対策内容 緊急通行車両(所管関係車両)等の確認 機関名 都財務局 対策内容 緊急通行車両(都水道局、都下水道局、東京消防庁、都交通局を除く都関係車両)等の確認 ②緊急道路障害物除去 機関名  都建設局、警視庁・警察署、関東地方整備局東京国道事務所、区、首都高速道路、東日本高速道路、中日本高速道路 対策内容 震災初期における被害状況や通行可能道路の情報を収集 道路上の障害物の除去等を実施   ③その他応急措置 機関名  都建設局、関東地方整備局東京国道事務所、首都高速道路、東日本高速道路、中日本高速道路 対策内容 発災時における通行止め等の措置など通行者の安全対策を講じる。 パトロール等を兼ねた広報を実施 被災道路、橋りょうについての応急措置及び応急復旧対策を実施 機関名  警視庁・警察署 対策内容 発災時における、被災状況に応じた交通規制等の措置など、通行者の安全対策を講じる。 パトロール等を兼ねた広報を実施   (2)業務手順 ①道路交通規制 *図表省略 ②緊急道路障害物除去 *図表省略 (3)詳細な取組み内容 ①道路交通規制等 【実施主体】警視庁・警察署 ア 道路交通規制 (ア)第一次交通規制 次の路線では、消防、警察、自衛隊等の緊急自動車専用の路線となる。 緊急自動車専用路(7路線):高速道路、国道4号、国道17号、国道20号、国道246号、目白通り、外堀通り ※自転車・路線バスは、環状7号線から都心方向への車両流入禁止の対象車両から除外。ただし、「緊急自動車専用路」上は通行禁止。 *大震災発生時における交通規制〔資料編資料第29・P70〕 〈参考〉震災時の交通規制のための可動式のパイプ柵(震災ゲート) 震災時には、主要な道路については交通規則が徹底されることになるが、その他の通行可能な区道等には一般の車両が入り込むことが予想される。そこで主として区道を中心として、震災時に車両の進入を規制できる可動式のパイプ柵(震災ゲート)を設置した。 (震災時交通遮断ゲート設置場所) 三軒茶屋2丁目45番、駒沢1丁目20番、野沢2丁目1番、新町1丁目23番、野沢3丁目30番、用賀1丁目10番、代田1丁目39番  *震災時交通遮断ゲートに関する協定〔資料編資料協定第17・P422〕 (イ)第二次交通規制 第一次交通規制における7路線を「緊急交通路」とするほか、その他の路線についても、被災状況等に応じて緊急交通路に指定する。「緊急交通路」では、災害応急対策に従事する車両(緊急自動車及び災害対策基本法に基づく標章を掲示している車両)しか通行できない。 緊急交通路として指定される代表的な路線(38路線):上記「緊急自動車専用路」の7路線、国道1号(永代通り)、国道1号(第二京浜ほか)、国道6号(水戸街道ほか)、国道14号(京葉道路)、国道15号(第一京浜ほか)、国道17号(新大宮バイパス)、国道122号(北本通りほか)、国道254号(川越街道ほか)、国道357号(湾岸道路)、都道2号(中原街道)、都道4号ほか(青梅街道ほか)、都道7号ほか(井の頭通りほか)、都道312号(目黒通り)、都道7号(睦橋通り)、都道315号(蔵前橋通りほか)、国道16号(東京環状ほか)、国道20号(日野バイパスほか)、国道139号(旧青梅街道)、国道16号(東京環状)、国道16号(大和バイパスほか)、国道246号(大和厚木バイパス)、都道9号(稲城大橋通りほか)、都道14号(東八道路)、都道15号ほか(小金井街道)、都道17号ほか(府中街道ほか)、都道18号(鎌倉街道ほか)、都道20号ほか(川崎街道)、都道29号ほか(新奥多摩街道ほか)、都道43号ほか(芋窪街道ほか)、都道47号ほか(町田街道)、都道51号(町田厚木線)、都道59号(八王子武蔵村山線)、都道121号(三鷹通り)、都道153号ほか(中央南北線ほか)、都道158号(多摩ニュータウン通り)、都道169号ほか(新滝山街道ほか)、都道173号(北野街道)、都道248号ほか(新小金井街道)、都道256号(甲州街道) ※自転車・路線バスは、環状7号線から都心方向への車両流入禁止の対象車両から除外。ただし、「緊急自動車専用路」上は通行禁止。 *大震災発生時における交通規制〔資料編資料第29・P70〕 イ 緊急通行車両等 (ア)緊急通行車両等の確認 第二次交通規制実施時には、災害対策基本法施行令(昭和37年7月9日政令第288号)第33条に基づく緊急通行車両を優先して通行させる。 (イ)緊急通行車両等の種類 災害対策基本法第50条第1項に規定する災害応急対策を実施するために使用される計画がある車両 道路交通法第39条に定める緊急用務を行う機関が当該目的のために使用する車両 (ウ)規制除外車両 民間事業者等による社会経済活動のうち大規模災害発生時に優先すべきものに使用される車両であって、公安委員会の意思決定に基づき、通行禁止の対象から除外する。 ② 緊急道路障害物除去 【実施主体】区災対土木部 【緊急道路啓開(道路障害物除去等)】 緊急道路啓開(道路障害物除去等)とは、原則として救援活動のために選定された緊急道路障害物除去路線に、緊急車両の通行に要する上下各一車線を確保することである。 地震時、道路に看板や電柱の倒壊などの障害物が散乱することが予想され、被災者の救援救護活動はもちろん緊急物資の輸送に支障が生じるおそれがある。このため、都では、緊急輸送道路等を確保するため、緊急道路障害物除去(啓開)作業路線を選定している。震災時、各道路管理者は、この選定路線における障害物の除去及び路面の亀裂等の応急補修を優先的に行うこととする。 なお、都が指定する緊急輸送道路は、全て緊急道路障害物除去(啓開)作業路線に含まれる。 *世田谷区緊急輸送道路障害物除去作業要務集(区災対土木部) *緊急道路障害物除去(啓開)作業マニュアル(都建設局) 【放置車両対策】 道路管理者は、緊急道路啓開(道路障害物除去等)にあたり、放置車両対策の強化に係る所要の措置を講ずる。 緊急車両の妨げとなる車両の運転者等に対して移動を命令する。 運転者の不在時等は、道路管理者自らが、ホイールローダー等により車両を移動する。その際、やむを得ない限度で当該車両を破損することもあるが、この場合、区は、災害対策基本法に基づき損失を補償するものとする。 沿道での放置車両の保管場所の確保等のため、やむを得ない必要がある時、道路管理者は、その必要な限度において、他人の土地の一時使用、竹木その他の障害物の処分を行う。 【緊急啓開(道路障害物除去)路線の選定】 都の選定する路線のほかに、第4章第1「3 緊急輸送ネットワーク」に記載したとおり、区道を中心として緊急啓開(道路障害物除去)路線を定めた。 路線の選定は、次の基準による。 ア 緊急交通路の路線 イ 緊急物資輸送ネットワークとなる路線 ウ 広域避難場所に接続する応急対策活動のための路線 エ 主要公共施設(病院、防災倉庫、土木資材倉庫等)、給水所、警察署及び消防署等を結ぶ路線 【障害物除去資器材の整備】 区は平素から資器材の整備を行うとともに、災害時に速やかに資器材の供給を得られるよう民間協力団体と連携をとる。 ア 道路上の障害物の除去及び施設復旧 世田谷建設協同組合 世田谷区建設団体防災協議会 イ 道路上の倒木等の除去 日本造園組合連合会東京都支部東京庭職組合 日本造園組合連合会東京都支部世田谷植木職組合 日本造園組合連合会東京都支部玉川造園組合 世田谷造園協力会 ウ 道路上の放置自転車、車両の除去及び整備 東京都自動車整備振興会世田谷支部 *災害時における応急対策業務に関する協定書(世田谷区建設団体防災協議会) 〔資料編資料協定第132・P684〕 *災害時における応急対策業務に関する実施細目(世田谷区建設団体防災協議会) 〔資料編資料協定第133・P687〕 *災害時における施設復旧等応急措置に関する協力協定 (東京庭職組合、世田谷植木職組合、玉川造園組合) 〔資料編資料協定第53・P496〕 *災害時における応急対策業務に関する協定書(世田谷造園協力会) 〔資料編資料協定第54・P498〕 *災害時における障害物除去等応急措置に関する協力協定(世田谷建設協同組合) 〔資料編資料協定第55・P500〕 *災害時における障害物除去等応急措置に関する協力協定 (東京都自動車整備振興会世田谷支部) 〔資料編資料協定第56・P502〕 〔各機関の緊急道路障害物除去〕 機関名 都本部 取組み内容 初期活動が一段落したら、緊急物資輸送のための路線を指定する。 災害時の緊急道路障害物除去路線等の選定は、次の基準により行う。(緊急交通路等の交通規制を行う路線・緊急輸送道路・避難場所に接続する応急対策活動のための路線・原則として、幅員15m以上の道路の路線) 機関名 都建設局 取組み内容 震災初期における被害状況や通行可能道路の情報収集を迅速・的確に集約して行う。 協定等に基づき、協力業者が道路上の障害物の除去等を実施する。 障害物除去用資器材の充実を図る。 機関名 警視庁・警察署 取組み内容 道路交通に関する被害状況等については、関係機関の現場担当者と緊密な情報交換を図り、実態把握に努める。 放置車両対策班を編成し、放置車両の排除に当たる。 機関名 関東地方整備局、東京国道事務所 取組み内容 震災後速やかに緊急点検及び緊急道路障害物の除去を実施する。 機関名 首都高速道路 取組み内容 緊急点検を実施し、損壊状況等の把握に努めるとともに、他の関係防災機関と緊密な連携を図る。 残置車両や道路上の障害物の状況を調査し、関係機関等とも協力の上、所管する道路上の障害物等の除去を実施する。 緊急道路障害物除去等作業に当たっては、通行可能道路の情報や被害情報を収集し、路線及び区間の優先順位の決定を行う。 道路に倒壊するおそれのある障害物がある場合は、法令上の取扱いを含めて関係機関が協議して処理する。 障害物除去用資器材を整備・確保する。 ③ その他応急措置 【実施主体】区災対土木部 道路の陥没、路面の亀裂、橋りょう、横断歩道橋等の落橋等は、速やかに復旧し、避難路の確保及び緊急車両等災害応急車両の通行確保のため次の応急対策を実施する。 ア 啓開道路は、道路の損傷を確認し、車両通行確保を直ちに行う。 イ 占用物件の損傷を確認し、占用企業者と連絡を取り、必要に応じて常備の応急車及び雇上げ車両による埋戻し作業をする。 ウ アスファルト舗装の修繕は、備蓄している常温合材等によって速やかに補修する。 エ 落橋したものは、流水の妨げとならぬよう速やかに撤去し、主要道路より仮橋を設置する。 オ 落橋した横断歩道橋等は、交通の妨げにならぬよう安全を確保しながら直ちに撤去する。 カ 国道及び都道が損傷した場合はそれぞれ管理者に連絡し協力する。 *道路啓開用務集 〔各機関のその他応急措置〕 機関名 関東地方整備局 東京国道事務所 取組み内容 パトロールカー等による巡視を実施する。 応急復旧・迂回道路の選定等の処置を行い、緊急輸送路の確保に努める。 機関名 東京都建設局、第二建設事務所 取組み内容 管理道路の被害状況を調査し、関係機関との情報交換を行う。 緊急道路啓開路線を優先的に啓開して交通の確保に努める。 機関名 首都高速道路 取組み内容 災害対策本部を設置し、情報収集連絡体制を確立して、必要な措置を速やかに講ずる。 二次災害の防止と緊急輸送機能の確保、機能回復を図る。 規制状況等を利用者に広報する。 道路構造物、管理施設等を緊急点検し、必要に応じ応急復旧に努める。 工事が必要な箇所については、その被災状況に応じて必要な措置を講じる。   2 鉄道施設 (1)対策内容と役割分担 初動措置として運転規制や乗客の避難誘導を行うほか、浸水事故発生対応や駅などでの各種情報提供等を行う。 機関名 各鉄道事業者(京王電鉄、小田急電鉄、東急電鉄) 対策内容 災害対策本部等の設置 災害情報及び応急措置の連絡指示並びに被害状況の収集等の通信連絡の実施 徐行等の運転規制の実施 乗客の避難誘導の実施 負傷者救護の優先的実施 浸水事故発生時の浸水防止及び排水作業の実施 (2)業務手順 旅客及び施設等の安全確保を行うため、災害対策本部等を設置する。 列車及び旅客の安全確認のため、徐行等の運転規制を実施する。 駅での混乱防止や、列車内の乗客の安全確保のため、速やかに避難誘導を実施する。 駅や列車内での混乱防止のため、案内放送等による情報提供を行うとともに、利用者に対してホームページやSNS等による情報提供を行う。 事故が発生した場合、災害対策本部と協力し、負傷者の救護を優先して実施する。 (3)詳細な取組み内容 【実施主体】各鉄道事業者 災害時の活動態勢 震災が発生した場合は、各鉄道事業者は全機能を挙げて、旅客及び施設等の安全確保を行うため、災害対策本部等を設置する。 災害情報及び応急措置の連絡指示並びに被害状況の収集等の通信連絡は、列車無線、指令電話、鉄道電話等を利用するとともに、必要に応じて、移動用無線機等の無線設備を利用する。 発災時の初動措置 各鉄道事業者は、震災初動期に列車及び旅客の安全を確認するため、各社の規定に従い徐行等の運転規制を実施する。 乗客の避難誘導 震災時に予想される駅における旅客の集中による混乱防止や、列車内の乗客の安全確保のため、各鉄道事業者は各社の規定により速やかに避難誘導を実施する。 駅にいる乗客に対しては、混乱防止のため案内放送等による情報提供を行い、あらかじめ定めた場所に誘導する。 列車内の乗客に対しては、混乱防止のため案内放送等による情報提供を行い、安全な場所又は最寄り駅まで、駅長(運転司令等)と連絡の上、誘導する。 外国人の旅客に対しては、多言語を用いた文字や音声による情報提供を行い、適切な避難誘導を実施する。 自家発電設備、蓄電池設備等により、停電時であっても、乗客の避難誘導に必要な照明、非常灯等最低限の電力を確保する。 事故発生時の救護活動 各鉄道事業者は、震災時に事故が発生した場合、災害対策本部と関係機関が協力し、負傷者や障害者・高齢者等の避難行動要支援者の救護を優先して実施する。 併発、続発事故等の二次災害の防止に万全を講じるとともに、引き続き旅客の安全確保を図り輸送力の確保に努め、必要に応じ関係機関の出動・救護の要請を行う。 【実施主体】京王電鉄 ①基本方針 地震等による災害に対しては、被害を最小限に止め、平素より地震発生時における初動対応、旅客の避難誘導方等について周知徹底させておき、災害発生時には、災害対策本部を設置し、早期復旧を図り、輸送の確保に全力で努める。 ②応急対策 地震発生時には各種規定により対処するように定めてあるが、災害が発生した場合の体制は、次のとおりである。 ア 応急態勢 (ア)鉄道事業本部長を長とする災害対策本部を設置し、被災情報を的確に把握し、復旧作業、救援作業の迅速化を図る。 (イ)本社及び現場での動員数は災害の程度に応じて定めてある動員計画による。 イ 通信連絡体制 (ア)列車無線又は沿線電話を使用し、被災情報や応急活動等の連絡を行う。 (イ)列車無線、沿線電話が使用不能な時は、緊急自動車(衛星電話搭載)を現場に急派し、本社等の基地局との通信連絡にあたる。 ウ 応急用資材の確保 各職場では救援復旧資材を常備している。 【実施主体】小田急電鉄 ①基本方針 公共輸送機関としての使命を達成するために、平時から地震発生時等における初動対応、旅客の避難誘導、運転取扱い等について周知徹底を図る。更に災害発生時には対策本部を設置して、早期復旧を図り輸送の確保に努める。 ②応急対策 地震発生時には、社内規定に基づき対処方法を定めてあり、災害が発生した場合の対応は、次のとおりである。 ア 応急態勢 (ア)対策本部を設置して、情報を的確に把握し、復旧作業及び救援作業の迅速化を図る。 (イ)対策本部及び現業の要員数は災害の程度に応じて想定した基準により配置する。 (ウ)応急復旧業務、代替バス輸送業務に関して工事業者並びにバス会社等と協定を締結してあり、災害時の復旧活動、代替輸送の迅速化を図る。 イ 通信連絡体制 (ア)列車無線、鉄道内線、携帯電話・衛星携帯電話等を利用し、災害情報の収集や復旧作業指示等の必要な通信連絡を行う。 (イ)設置してある災害時優先電話で必要な通信連絡を行う。 ウ 応急用資材の確保 各職場においては、各種応急資機材を常時確保している。 【実施主体】東急電鉄 ①基本方針 地震による被害を最小限に止め、かつ旅客の安全を確保するため、平時より地震発生時における旅客並びに運転等取扱い方について周知徹底させておく。また災害発生時には災害対策本部を設置し、人命の安全を確保した上で早期復旧を図り輸送の確保に努める。 ②応急対策 ア 応急態勢 (ア)災害対策本部を設置し、情報を的確に把握し復旧作業及び救援作業の迅速化を図る。 (イ)災害対策本部及び現業の動員数は災害の程度に応じて想定した人員配置の基準による。 イ 通信連絡態勢 (ア)通信線路使用可能のときは、指令電話、鉄道電話及び電話局加入電話・駅管内間電話を活用し、所定の緊急通信連絡を行う。 (イ)必要に応じて移動局等により保守無線回線の構築をおこない、電力司令所及び運輸司令所と通信連絡を行う。 ウ 応急用資材の確保 復旧用資材については必要量を常時確保している。   3 河川施設等 (1)対策内容と役割分担 ①河川関係障害物除去 機関名 都建設局 対策内容 舟航河川における障害物を除去しゅんせつ 清掃船の航行可能河川における浮遊物を除去 ②河川及び内水排除施設 機関名 区(災対土木部) 対策内容 水防活動と並行して管内の河川管理施設を重点的に巡視。被害箇所については、直ちに都に報告するとともに必要な措置を実施 機関名 都建設局 対策内容 河川管理施設及び工事箇所の被災の発見に努め、必要な応急措置を実施 機関名 都下水道局 対策内容 管路や高潮防潮扉、水再生センター、ポンプ所等の被害状況を確認し、必要な応急措置を実施 機関名 関東地方整備局京浜河川事務所 対策内容 堤防、護岸、排水施設等の河川管理施設及び工事箇所の被災の発見に努める。 【防災船着場の運用】 都は、災害時に河川が物資等の緊急輸送経路として活用できるように、避難場所等に隣接して防災船着場を整備している。 このうち、都所有の防災船着場についての発災時の運用は、統一的な運用の観点から、下記のとおりとする。 機関名 都本部 都・区災害対策本部等設置期間中  運用指示主体(都全体の災害対策活動の中で調整を行い、必要がある場合、区本部に運用の指示をする。) 都・区災害対策本部等立ち上げ時  都本部は、区本部が防災船着場の運用主体になり、防災船着場として利用が可能になった事を防災機関に周知 機関名 都建設局 都・区災害対策本部等設置期間中  運用支援主体(損傷等に対する修繕・補修) 都・区災害対策本部等立ち上げ時  損傷の有無の点検を行い、安全を確認し、区本部へ引き継ぐ。引継ぎ後、都建設局本部に引継完了を報告 機関名 区本部 都・区災害対策本部等設置期間中  運用主体(一切の運用管理権限を掌握) 都・区災害対策本部等立ち上げ時  都建設局の安全確認点検後、運用主体として、引継ぎを受け、都本部に報告 (2)業務手順 ① 河川関係障害物除去 都建設局は、舟航河川における障害物をしゅんせつする。 関東地方整備局京浜河川事務所は、河川機能確保のため、土砂等の障害物を除去する。 ② その他応急措置 発災直後において道路通行が不可能なときは、医療救護班や重篤患者の移送手段として、都建設局が所有する水上バス等を活用する。移送に当たっては、清掃船等により河川障害物除去が行われた後、安全を確保した上で実施する。 (3)詳細な取組み内容 ①河川関係障害物除去 【実施主体】区災対土木部、都第二建設事務所、関東地方整備局京浜河川事務所 【河川及び内水排除施設・砂防施設】 ア 工事中の箇所及び危険箇所を重点的に巡視し、被害箇所を発見した場合には、直ちに適切な処置を講ずるとともに、地震による施設の破壊が予想される箇所についても、あらかじめ調査し、対策に万全を期す。 (ア)工事中の現場で氾濫等の危険ありと判断される場合、関係者に対し、締切り又は仮設物の撤去をさせる。 (イ)低地帯へ浸水防止のため、土のう積みを実施する。 (ウ)多摩川の水位が氾濫注意水位(警戒水位)以上に達した場合には、水門陸閘(こう)を閉鎖し、内水防止のため排水ポンプを設置する。 イ 河川管理者は、河川が地震等により被害を受けた場合は、被害状況を速やかに調査し、復旧を行うものとする。特に公共の安全確保上緊急に復旧を行う必要のある対象は次のとおりである。 (ア)堤防の破壊、護岸、天然河岸の決壊で区民の日常生活に重大な影響を与えているもの。 (イ)堤防護岸等の決壊で破堤のおそれがあるもの。 (ウ)河川の堤防護岸等の脚部の深掘れで根固めをする必要があるもの。 (エ)河川の埋そくで流水のそ通を著しく阻害するもの。 (オ)護岸、床止、水門、ひ門、ひ管又は天然の河岸の全壊又は決壊でこれを放置することにより、著しい被害を生ずるおそれがあるもの。 ② 河川及び内水排除施設 【実施主体】都下水道局 水再生センター、ポンプ所等の排水施設に被害を受けた場合は、特に、氾濫水による被害の拡大防止に重点を置き、区関係部局及び水防団体との相互の協力及び応援態勢の確立を図り、速やかに施設の応急復旧に努める。   4 水道 (1)対策内容と役割分担 情報収集及び連絡、点検、調査等を行う。 機関名  都水道局 対策内容 異常箇所等についての情報収集及び連絡を徹底 施設の点検・被害調査を実施 被害箇所の復旧までの間、二次災害発生のおそれがある場合及び被害の拡大するおそれがある場合の応急措置を実施 (2)業務手順 *図表省略 5 下水道 (1)対策内容と役割分担 下水道局災害対策本部を設置し、下水道施設の調査、点検を行い、被害状況を把握する。 機関名 都下水道局 対策内容 下水道施設の調査、点検等を実施し、被害情報の収集及び連絡を徹底 復旧までの間、二次災害発生のおそれがある場合、被害の拡大するおそれがある場合の応急措置を講じるとともに、工事現場の応急対策を実施 ポンプ所、水再生センターにおけるポンプ及び諸機械の運転を継続 (2)業務手順 *図表省略 6 電気・ガス・通信等 (1)対策内容と役割分担 情報収集、点検、危険予防措置、資器材等の調達、広報活動等を行う。 機関名 東京電力グループ 対策内容 資材の調達・輸送 震災時における危険予防措置 応急工事 災害時における電力の融通 機関名 東京ガス、ガス事業者 対策内容 被害情報の収集 事業所設備等の点検 製造所、整圧所における送出入量の調整又は停止等の措置 ガス導管網の地域ブロック化及び被害状況に応じた減圧措置  被害推定に基づく応急措置 遠隔再稼働による速やかなガス供給再開 資器材等の調達 移動式ガス発生設備による臨時供給 避難所等へのLPガス供給 機関名 NTT東日本 対策内容 各対策組織相互の通報、連絡は情報を統括する組織を窓口として行う。 重要通信の確保、若しくは被災した電気通信設備等を迅速に復旧するため、必要な情報を収集し、関係組織相互間の連絡、周知を行う。 災害等に際し、通信ふくそうの緩和及び重要通信の確保を図るために臨機に措置を取る。 区立小中学校等の避難所に、被災者が利用する特設公衆電話の設置に努める。 安否等の情報を円滑に伝達できる災害用伝言ダイヤル等を速やかに提供する。 機関名 各通信事業者 対策内容 被害状況、通信施設の疎通状況等の情報収集 重要通信の確保による応急復旧対策、広報活動等 災害対策用機材、車両等の確保 通信回線の確保や通信の途絶防止などの応急対策 (2)業務手順 災害対策本部や報道機関等から被害情報を収集するとともに、自社の被害状況を把握する。 資材の在庫を常に把握し、応急対策に必要な資材で不足するものは調達・確保する。 防災活動等において、安全確保のため必要な場合は、危険予防措置を実施する。 応急措置を実施する。 (3)エネルギーの確保 施設の機能を維持するため、自立・分散型電源等の活用により、エネルギーを確保する。 第3 復旧対策 1 道路・橋りょう 2 鉄道施設 3 河川及び内水排水施設等 4 水道 5 下水道 6 電気・ガス・通信等 1 道路・橋りょう (1)対策内容と役割分担 道路の障害物除去及び搬出、応急復旧等を行う。 機関名 区(災対土木部) 対策内容 区道上の障害物除去及び応急復旧の実施 道路・路面・橋りょう等の被害は、速やかに復旧する 関係機関と連携し、必要に応じて埋戻し作業をする 舗装を速やかに補修する。 落橋したものは、速やかに撤去し、主要道路より仮橋を設置する 落橋した横断歩道橋等は、安全を確保しながら直ちに撤去する 道路損傷は、管理者に連絡し協力する 機関名 都建設局 対策内容 道路の被災箇所で、被害がある箇所の復旧 都道上の障害物除去作業及び障害物の搬出 機関名 首都高速道路 対策内容 災害の再度発生防止等の観点から、可能な限り改良復旧を図る。 機関名 関東地方整備局東京国道事務所 対策内容 応急復旧工事を行い、緊急輸送路としての機能を確保 機関名 都港湾局 対策内容 所管道路の障害物除去及び応急復旧の実施 機関名 東日本高速道路、中日本高速道路 対策内容 速やかに交通を確保し、被害の拡大を防止する観点から応急復旧を実施 2 鉄道施設 (1)対策内容と役割分担 施設の被害状況に応じた復旧を行う。 機関名 各鉄道事業者(京王電鉄、小田急電、東急電鉄) 対策内容 施設の被害状況に応じた復旧の実施 (2)詳細な取組み内容 【実施主体】各鉄道事業者 鉄道施設は、震災後の都市機能の確保や各種の復旧対策に寄与するため、速やかに応急復旧を行い、輸送の確保に努める。 各鉄道事業者は、応急対策の終了後、被害原因等の調査分析を行い、この結果に基づき、再び同様な被害を受けないよう、本復旧計画を立て実施する。 3 河川及び内水排除施設等 (1)対策内容と役割分担 河川管理施設の応急復旧、各機関が所管する施設の緊急工事等を行う。 ①河川及び内水排除施設 機関名 区(災対土木部) 対策内容 区内の河川管理施設・排水場施設に被害が生じた場合の復旧対策 機関名 都建設局 対策内容 破損等の被害を受けた場合の復旧対策 23区内の河川管理施設の応急・復旧を図るとともに、区市町村の実施する応急措置を支援 機関名 都下水道局 対策内容 管路、水再生センター、ポンプ所等の排水施設の復旧対策 機関名 関東地方整備局京浜河川事務所 対策内容 都及び区市町村等の行う応急対策への支援 (2)詳細な取組み内容 【実施主体】区災対土木部、都第二建設事務所、関東地方整備局京浜河川事務所 排水場施設に被害を生じた場合は、直ちに都建設局に報告し、移動式排水ポンプ車の派遣を求め、これにより排水作業を継続し、内水の氾濫による被害の拡大を防止する。 23区内の区が管理する河川管理施設の応急復旧対策については、大規模なものを除き、都の助言の下にこれを実施する。 工事中の箇所及び危険箇所を重点的に巡視し、被害箇所を発見した場合には、直ちに適切な処置を講ずるとともに、地震による施設の破壊が予想される箇所についても、あらかじめ調査し、対策に万全を期す。 ア 工事中の現場で氾濫等の危険ありと判断される場合、関係者に対し、締切り又は仮設物の撤去をさせる。 イ 低地帯へ浸水防止のため、土のう積みを実施する。 ウ 多摩川の水位が氾濫注意水位(警戒水位)以上に達した場合には、水門陸閘(こう)を閉鎖し、内水防止のため排水ポンプを設置する。 河川管理者は、河川が地震等により被害を受けた場合は、被害状況を速やかに調査し、復旧を行うものとする。特に、公共の安全確保上緊急に復旧を行う必要のある対象は、次のとおりである。 ア 堤防の破壊、護岸、天然河岸の決壊で区民の日常生活に重大な影響を与えているもの。 イ 堤防護岸等の決壊で破堤のおそれがあるもの。 ウ 河川の堤防護岸等の脚部の深掘れで根固めをする必要があるもの。 エ 河川の埋そくで流水のそ通を著しく阻害するもの。 オ 護岸、床止、水門、ひ門、ひ管又は天然の河岸の全壊又は決壊でこれを放置することにより、著しい被害を生ずるおそれがあるもの。 【実施主体】都建設局 都が管理する河川管理施設については、応急復旧対策を全般的に実施する。 区市町村の実施する応急措置に関し、技術的助言及び総合調整を行うほか、応急・復旧対策を総合的判断の下に実施する。 排水機場施設の被害をとりまとめるほか、総合的判断の下に、移動式排水ポンプ車の派遣を決定する。 区が管理する河川管理施設の応急・復旧対策について区に技術的助言を行うほか、大規模なものについては直接実施する。 【実施主体】都下水道局 水再生センター、ポンプ所等の排水施設に被害を受けた場合は、特に、氾濫水による被害の拡大防止に重点を置き、区関係部局及び水防団体との相互の協力及び応援態勢の確立を図り、速やかに施設の復旧に努める。 復旧活動に当たっては、災害時における水再生センター等の応急復旧業務に関する協定を締結している民間団体と連携して対処する。 4 水道 (1)対策内容と役割分担 施設、管路、給水装置等の復旧を行う。 機関名 都水道局 対策内容 取水・導水施設の復旧対策 浄水・配水施設の復旧対策 送・配水管路、給水装置の復旧対策 (2)詳細な取組み内容 【実施主体】都水道局 取水・導水施設・配水施設の被害は速やかに復旧活動を行う。 なお、管路の復旧作業の優先作業は、次の順序で順次復旧する。 ①首都中枢機関、災害拠点病院等への供給管路 ②第一次重要路線 ③第二次重要路線、配水本管網の骨格となる路線 ④その他、給水上極めて重要な路線、震災対策用応急給水、避難所等に至る管路 ⑤復旧活動に支障となる箇所:緊急啓開道路、鉄道等の横断箇所など復旧活動に支障となる箇所、二次災害を起こすおそれのある場所 公道内の給水装置の復旧は、配水管の復旧及び通水と並行して実施する。 首都中枢機関、災害拠点病院等の重要施設は、配水小管の復旧及び通水状況に併せ、機能が回復するよう優先して復旧に当たり、順次その他の給水管についても復旧を行う。 一般住宅等の給水装置の復旧は、その所有者等から修繕申し込みがあったものについて応急措置を行う。 5 下水道 (1)対策内容と役割分担 管路、水再生センター・ポンプ所、工事現場等の復旧を行う。 機関名  都下水道局 対策内容 管路の復旧対策の実施 水再生センター・ポンプ所の復旧対策の実施 (2)詳細な取組み内容 【実施主体】都下水道局 被害が発生したときは、主要施設から復旧を図る。復旧順序については、水再生センター、ポンプ所、幹線管きょ等の主要施設の復旧に努め、その後、枝線管きょ、ます・取付管の復旧を行う。 <管きょ等> 緊急調査で判明した被害について、汚水の流下機能を確保するための復旧を行う。 <水再生センター・ポンプ所> 水再生センター・ポンプ所は、流下機能の確保と揚水、簡易処理、消毒及び放流の機能の回復を図り、さらに環境負荷の低減、公共用水域の水質の向上に努める。 被害状況に応じ、他の大都市等へ復旧支援を要請し、その受入に対応する。 6 電気・ガス・通信等 (1)対策内容と役割分担 復旧効果の大きさ、二次災害防止等の観点から復旧を行う。 機関名 東京電力グループ 対策内容 電力供給上復旧効果の大きいものから実施 機関名 東京ガス、ガス事業者 対策内容 二次災害を防止するため、あらかじめ定めた手順により実施 機関名 各通信事業者 対策内容 応急復旧工事、本復旧工事の順で実施 (2)詳細な取組み内容 ① 電気施設 【実施主体】東京電力グループ 災害に伴う応急・復旧対策については、恒久的復旧工事との関連並びに情勢の緊急度を勘案して、二次災害の防止に配慮しつつ、迅速・適切に実施する。 (被害状況の把握) 電力施設等の被害状況及び復旧状況や停電による主な影響状況等を迅速、的確に把握する。 (復旧計画の作成) 早期の停電解消を最優先に、仮復旧を前提とする復旧方針のもと、復旧計画を作成する。 (災害時における応援の組織・運営) 非常災害対策支部のみの災害活動では困難であると判断した場合には、本社本部及び総支社本部に復旧応援隊の編成を要請し、必要な支援を受ける。 (資材の調達・輸送) 非常災害対策支部は、資材の在庫品を再調査し、第一線機関等相互の流用または本社対策本部に対する応急資材の請求により速やかに確保する。 (震災時における危険予防措置) 震災時、原則として送電を継続するが、感電災害を防止のため、感電のおそれがある設備を発見した場合は、送電停止等の適切な危険予防措置を実施する。 警察、消防機関等からの要請があった場合は、危険予防措置を講ずる。 (応急工事) 送電設備については、ヘリコプター、車両等の機動力の活用により仮復旧の標準工法に基づき、迅速に行う。 配電設備については、配電設備の応急復旧による迅速、確実な復旧を行う。 人命に係る3次医療機関等、官公署、報道機関、避難所等を優先するなど災害状況、各施設の被害復旧の難易度等を勘案して、供給上、復旧効用の最も大きいものから行う。 ②ガス施設 【実施主体】東京ガス ガスの供給を停止した場合の復旧作業については、被災した地域施設又は設備の復旧を可能な限り迅速に行うとともに、二次災害を防止するため、あらかじめ定めた手順により実施する。 具体的な手順は以下のとおり。 非常体制が発令された場合は、対策要員はあらかじめ定められた動員計画に基づき速やかに出動する。 予備品、貯蔵品等の復旧用資器材の在庫量を確認し、調達を必要とする資器材は、速やかに確保する。 復旧する地域の被害状況を調べ、被害の程度に応じた復旧方法を選び、材料や要員・車両を手配する。 ガスメーターの近くのメーターガス栓を閉め、地面に埋められているガス管と宅内のガス管を分離する。 都市ガスの復旧は2,000~3,000 軒くらいの地域ごとに行うため、バルブを閉めたりガス管を切断して地域を分割する。 検査用のガスを封じてガス管の健全性をチェックし、被害箇所の修理や仮配管等を行い、発生材で埋め戻しを行う。 宅内配管を確認して、被害箇所を修理する。被害が大きい場合は仮配管を行う。 ガス管の中に入っている空気を抜いて、ガスが出ることを確認する。ガスが安全に使用できる状態を確認して利用再開する。 さらに、必要に応じて次の対応を行う。 社会的優先度の高い病院や老人福祉施設、避難所などには、「移動式ガス発生設備」を用いて、スポット的にガスを臨時供給する。 地震災害などの大きな被害があった場合、全国のガス会社は相互に応援し合って、一日も早い供給再開に向けて対応する。 地震が発生したときには安全な換気方法、ガスメーターの復帰方法、都市ガスの供給停止地域、都市ガスの復旧予定などの情報をいち早く広報する。 ③ 通信施設 【実施主体】NTT東日本 応急復旧 災害に伴う電気通信設備等の応急復旧は、恒久的復旧工事との関連並びに情勢の緊急度を勘案して、迅速・適切に実施する。 (ア)被災した電気通信設備等の復旧は、速やかに実施する。 (イ)必要と認めるときは、災害復旧に直接関係のない工事に優先して、復旧工事に要する要員・資材及び輸送の手当てを行う。 (ウ)復旧にあたっては、行政機関、ライフライン事業者と連携する。 災害復旧 (ア)応急復旧工事終了後、被害原因の調査分析をし、必要な改良事項を組み入れて災害復旧工事を計画、設計する。 (イ)被災地における地域復興計画の作成・実行にあたっては、これに積極的に協力する。 復旧順位とサービス復旧目標 順位 1 復旧する電気通信設備 気象機関に設置されるもの 水防機関に設置されるもの 消防機関に設置されるもの 災害救助機関に設置されるもの 警察機関に設置されるもの 防衛機関に設置されるもの 輸送の確保に直接関係がある機関に設置されるもの 通信の確保に直接関係がある機関に設置されるもの 電力の供給の確保に直接関係がある機関に設置されるもの サービス復旧目標 24時間以内 順位 2 復旧する電気通信設備 ガスの供給の確保に直接関係がある機関に設置されるもの 水道の供給の確保に直接関係がある機関に設置されるもの 選挙管理機関に設置されるもの 新聞社、放送事業者又は通信社の機関に設置されるもの 預貯金業務を行う金融機関に設置されるもの 国又は地方公共団体の機関に設置されるもの(第1順位となるものを除く。) サービス復旧目標 3日以内 順位 3 復旧する電気通信設備 第1順位及び第2順位に該当しないもの サービス復旧目標 10日以内(※) (※)激甚災害の場合は14日以内 【実施主体】各通信事業者 重要通信の確保又は被災した電気通信設備等を迅速に復旧するため、気象等の状況や電気通信設備等の被害状況などの情報を収集し、関係組織間相互の連絡を行う。 非常態勢が発令された場合は、速やかに対策本部等に出動する。 被災した電気通信設備等の応急復旧工事は、災害復旧に直接関係のない工事に優先して、復旧工事に要する要員・資材及び輸送の手当てを行うなど、早期復旧に努める。 応急復旧工事終了後、速やかに被害の原因を調査分析し、この結果に基づき必要な改良事項を組み入れて災害復旧工事を計画、設計する。 被災地における地域復興計画の作成・実行に当たっては、これに積極的に協力する。