表紙 世田谷区瞬間ボランティア(世田谷区スクラム防犯別冊) 世田谷区都市型故郷づくり ガイドブック 第1版 目次 挨拶 世田谷区は犯罪からの安全安心を一層確かなものとするためのガイドブック「スクラム防犯」を作成し、 区民の皆様にお届けしました。その冊子を通し「犯罪はさまざまな生活の隙間から生まれる」こと、その瞬間をうめるのは他でもない 区民の皆様の普段の温かい声かけや眼差しなどがとても大切な働きをすることをお伝えしました。 そしてこの「普段の温かい声かけや眼差し」を投げかける人を「瞬間ボランティア」と呼びました。 ボランティアと言えば何か特別なことをする人のように思います。毎朝通学路見守りをしてくださっている大切なボランティアの方も いますが、普段お買い物に出かけるあなたでも「ちょっとあの横断歩道を渡っているご高齢の方を見守ってあげようか」と 足を止めるだけでも「ボランティアする」とことができるのです。こういうボランティアが町中に溢れることにより「24時間安全安心に暮らし続ける ことのできる故郷世田谷」が実現します。この冊子ではこの瞬間ボランティアのやり方などを取り上げました。 最初の冊子「スクラム防犯」と今回の「瞬間ボランティア」を合わせ、さりげない、しかし心温かい絆で結びあった安全安心世田谷づくり推進マニュアルとしてご活用ください。 ページ1 変化する危ないこと発生観 ページ3 瞬間ボランティアってなーに? ページ4 瞬間ボランティアって、どうやるの? ページ6 瞬間ボランティアが大切な理由 ページ7 わたしの町内をアンアン特別区に ページ8 町内を瞬間ボランティアあふれる故郷に ページ8 あなたの町内のアンアン度を測ろう ページ9 瞬間ボランティア事例集 ページ1 変化する危ないこと発生観を紹介します。 犯罪を中心に、周りで起こる危ないことの原因についての考えが変わってきています。 犯罪を例に取ると以下のようです。 その1これまでの犯罪発生観 犯罪は「犯罪者」を中心に「被害者」「周囲の環境」の三者が交わりあった1点で起こります。 したがって、いかに早く犯罪者を捕まえることが大切になります。 その2安全安心生活を確かなものとするための最近の犯罪発生観 私たちの普段の生活はラグビーボール、幾枚もの皮がしっかり組み合わさってできていれば大丈夫ですが その皮い割れ目が広がると、その隙間から犯罪がスルッと入り込みます。 ページ3 その3だから大切なことは? 毎日の安全安心を保つには個人や地域の生活全体に隙間・割れ目のないことが大切です。 そこで安全安心の隙間・割れ目ふさぎは「わたしたちのマチ(世田谷区)」が責任をもって取り組む大きな仕事となったのです。 でも実際のところ、どんなに役所の人やボランティアの人、力強いおまわりさんがしっかり見ていても わがマチの隅々まで365日24時間見守り続けることは無理むずかしいです。 だから普段そのマチ365日24時間暮らしている皆さんの隙間・割れ目をふさぐ助け合いや絆の力が大切になったのです。 標語「見守り合い(愛」」 見守り合いには様々なやり方がありますが犯罪などの恐ろしいことや困ったことなど いつどこで起こるか分かりません。そこで登場するのが「瞬間ボランティア」です。 ページ4 瞬間ボランティアってなーに? 瞬間ボランティアとは、どんなボランティアでしょうか。 瞬間ボランティアとは、町内全員、ボランティアです。 困ったこと、困りそうなことにあっている人を見たその場、その時、その人に瞬間的に差し出す ちょっとした温かい手、ほほえみ、声掛け、眼差しなどを投げかける人 では瞬間ボランティアは、どんな特色を持つのでしょうか。 誰でもできる子どもからご高齢の方まで  24時間できる 目が覚めている時、歩いている時いつでも  どこでもできる 家の中でも公園、商店街、通学路でもどこでも  どんなことにも飛び入りでできる どんな困ったことにもお助けできる  あなたでもできる! 普通の人が普通にできる  ようするに「上品なお節介」 なぜ「瞬間ボランティア」? 困った、困りそうな人を見たとき、みんな何かしたいと思います。 でも「これはお節介?」あるいは「目立って恥ずかしい」などと思いなかなかできません。 しかし「わたしはボランティア!」と言えば軽く前に踏み出せます。 ためらう心に勇気や弾みをつけるのが「瞬間ボランティア」です。 だから「瞬間ボランティア」 ボランティアと思えばだれがどう見ていようと、どう思っていようとためらいも恥ずかしさもなく 困っている誰かのために自然に瞬間的に行動できるのです。 さあ ボランティアしましょう。 瞬間ボランティアの合言葉「後で後悔するより一歩踏み出そう」 ページ4 瞬間ボランティアって、どうやるの? その1どういった人やコトにやるの? 自分の周りで @助けが必要な人が助けを得られずにそこに「いた」そこで「出会った」 A普段には感じない、何か不安だ変だおかしいと「感じた」「思った」 その2どうするの? 状況に応じて声や目等で以下の方法で知らせましょう。 声は「無言で語りかける」「ささやく・つぶやく」「普段の声で呼びかける」「大声を出す、叫ぶ」 目は「目の横で見る」「目をそらす」「ちらっと見る」「じっと見る、見つめる」 表現は「笑いかける、ほほえむ」「手を引き込める」「手を差し出す」 動作は「覗き込む」「視線を下げる、しゃがむ」「止まる、立ち止まる」「走る」「離れる」「近寄る」 耳は「うなずく」「顔を合わせず聴く」「顔を向けて聴く」 その3それでは具体的に「とっさ(瞬間的)」にどうするの? これが「おかしい」「変だ困っている」のでは、と「感じた 目にした 耳にした」その場にいる、 通りかかった「その人」に@瞬間見守り、聞き耳ボランティアA瞬間ほほえみボランティア B瞬間声かけボランティアC瞬間お手伝いボランティアなどをしましょう。 その4特にこうした人にはこうしよう。 小学校低学年以下の幼児、児童、障害者、高齢者には目線を同じにして柔らかく片腕広げた間を置いて手助けする、 注意する、話しかける、ほほ笑みましょう。 その5瞬間ボランティアがしてはならない3つのこと。 瞬間ボランティアは見方によれば「上品なお節介」です。それが「余計なお節介」にならないため、 次のことを心掛ける必要があります。 1、しつこく声をかけ続けないこと 理屈で押さない、べたべたしない、だまって見守り続けることは大変良いことです。 2、個人の生活には注意し、緊急時を除き深入りしないこと 特に私生活にしつこく干渉しないこと。公的機関や専門機関につなぎましょう 3、自分の価値や判断を主張し押し付けないこと あくまでも瞬間お節介です。必要なときはためらわずに公的機関に連絡しましょう。 ページ6 瞬間ボランティアが大切な理由 2つの理由を紹介します。 理由1、瞬間ボランティアは安全安心生活に4つの長所を生み出します。 いつでもどこでも誰でも安全安心活動ができます。 安全安心生活を脅かす様々な隙間、割れ目を「その場その時すぐさま」ふさぐことができます。 活動に特例な組織やテクニック、予算などが不要で手軽に参加できます。 ボランティアする人、される人の間に温かい心の交流=絆が生まれます。 理由2、「瞬間ボランティア」は「都市型故郷」の基盤づくりを進めます。 瞬間ボランティアの行いは、線に例えるなら「細い点線」です。何本もの点線が濃密に引かれることで 点は面(空間)となります。 特に町内のような日々顔を合わせる「身近な場」で形成される濃密な瞬間ボランティアの集まりは、 過剰なお節介を排し、互いに温かく優しく見守りあう安全安心で「住み心地良い」「住み続けたい」「そこに帰りたい」 居場所を容易につくります。そこは狭いけれどわたしの町内であり故郷になるのです。 ページ7 05わたしの町内をアンアン特区に 瞬間ボランティアは故郷づくり・コミュニティづくりのいしずえ 温かい心を持った瞬間ボランティアのあふれる町内 あなたの手で町内を安全安心なアンアン特区にしよう そうした特区(町内)が集まりスクラムを組んで初めて安全安心な世田谷区ができあがります 1なぜアンアン特区の基本は「町内」なの? 第1に町内は狭いことがあげられます。何か急いでみんなが集まれるし、情報の細やかなやり取りができます。 第2にそこに住む多くの人は、「そこに住み続けたい」という気持ちを共有しています。そのためには、安全安心は欠かせません。 第3に犯罪者が被害者に狙いを定め「よしやるぞ」と決心する距離は、被害者や家のおよそ20メートル手前だということが元犯罪者調査から判りました。 特に家に入り込むドロボウがそうです。ということは犯罪被害に遭わないためには、自分の家だけ守っていたのでは十分でなく、わが家の周りを囲む方々と普段から手を結び合って守りを固める必要があるということです。 だから狭い町内でまず絆を固め安全安心を確かなものとするアンアン特区が大切なのです。 2町内をアンアン特区にするための3つの活動目標 町内だからできる総合的生活安全安心活動 具体的には以下の3つの活動目標です。 第一原則 標語「町内のスキマは町内でふさぐ」目的:町内に犯罪等の危機をもたらしかねない危険箇所の「スキマふさぎ」の空間的対応(物理的環境設計論) 具体的取り組み:防犯モデル道路の設定(通勤・通学路等の安全強化)、街灯の点検、植栽の手入れ、街路消火器、歩車道分離etc 第二原則 標語「町内の住民の安全安心は町内で守る」目的:町内の危機問題に対応する「スキマふさぎ」町内人材の育成(社会的環境設計論) 具体的取り組み:瞬間ボランティア活動の推進、各種安全教室・講演会の開催(高齢者向け防犯・災害安全教室の開催等)、危機情報チラシの配布etc 第三原則 標語:「町内の子どもは町内で育てる」目的:町内の安全安心を担う次世代人材の強化・育成 具体的取り組み:町内の安全安心対策・運営への子ども参加、防犯や生活安全教室の開催、防犯ブザーの配布etc ページ8 06町内を瞬間ボランティアあふれる故郷に 1コミュニティ よく使われる言葉「コミュニティ」の始まりは、インドアーリン語「共に(コム)」(ここに住むために)「私がしなければならないこと(ニュテ)」瞬間ボランティアをあなたの手でわたしの町内に溢れさせましょう。 それが町内であなたが「しなければならないこと」。そこからコミュニティが生まれます。 2都市型故郷 町内との関わりが希薄な人。特にコロナ禍社会=分断社会の下にあっては「ひとりぼっち」のわたしは時に戸惑い、時に心もとなく、時に淋しくお節介が欲しい。しかしお節介が義務になり過剰になることは煩わしい。そこのところを上品にわきまえた瞬間ボランティアで見守り合いましょう。それが世田谷都市型故郷づくりにつながります。 3集まれアンアン特区 瞬間お節介、それは故郷づくり・コミュニティづくりのいしずえ。温かい心を自然に備えた瞬間ボランティアあふれる町内アンアン特区。そうした特区が集まりスクラムを組んで安全安心な地域ができる。犯罪が起ころうと大地震が起ころうと、どんな危ないことが起ころうと、これでだいじょうぶ!瞬間ボランティアは万能薬だ! 07あなたの町内のアンアン度を測ろう 瞬間ボランティアを基にした町内の大切さが見えてきました。 最後にそうした町内の下地があなたの周りでどのくらい育っているかを計ってみましょう。 下の質問に○をつけて下さい。 1町内の人と何かにつけよく挨拶する 2町内の人からよく声を掛けられる 3わたしは、この町内に「これからも住み続けたい」 4わたしは、この「町内の人が好きだ」 5わたしは旅先から、この町内に帰ると「ホッとひと安心する」 6この町内には、小さなことでも何かあったら「気軽に相談に乗ってくれる人が多い」 7可能ならこの町内を「わたしの生涯の故郷(ふるさと)にしたい」 8この町内は犯罪や地震・交通事故などの「危機」から、「おおむね安全だ」 9この町内の人は何かとお互いに「助け合おうという気持ちが強い」 7 9個=アンアン度高い 3 6個=まあまあ 0 2個=アンアン度低い どれだけ〇がつけられましたか?瞬間ボランティアで〇の数を増やしていきましょう。 ページ9 08瞬間ボランティア事例集 ささいな瞬間ボランティアかもしれません。でもこんなボランティアが町中に溢れてたら毎日が楽しく嬉しく安心で、この町に住みたい・住み続けたいと思いませんか? 子ども2人共が道端でぐずってしまい、どうしようもなくなっていた時、見知らぬ奥様が「飴あげる!ママ頑張ってるからママに!」と言っていただきました!救われました!(世田谷区2021年 T・Mさん) スーパーの前で荷物を盛大に落とした人をみた女の子たちが、ささっと拾い集めて何事もなかったかのように去って行った。(世田谷区2021年 T・Hさん) 駐車場の車のハザードランプがついていたのを、家の前を通りがかった若者がピンポンして教えてくれた。(世田谷区2021年 K・Rさん) いつも子どもの安全のためにご協力いただいている地域の方々には感謝の気持ちでいっぱいです!(世田谷区2021年K.K 40代) 町内の通りで、近所の小学校の女の子が中年の男性に声を掛けられ腕を掴まれ、人の居ない方に連れていかれようとした。その子は嫌がってた。通りのクリーニング屋の主人が仕事をしながら、それを見て大声で「こらー何するんだやめろ!」と叫んだら男性は慌てて逃げていった。(文京区2018年 町内商店主 50代) ご近所のWさんは昔からここに住んでて、この近所のことはよく知ってるので、夕方など若い女性や子どもが通りかかると、笑いながら『あそこの角の所は夜真っ暗になるから気を付けてね』などと注意している。(文京区 匿名 60代女性) 目の不自由な学校へ通う高校生が横断歩道を渡りきるまで、登校途中の小学4年の女の子が立ち続けじっと見守っていた。(文京区2018年) 保育園帰りの親子を見かける時間帯に自宅前の花壇の水やりをする。その親子と交わす短い会話が楽しみ。(世田谷区2021年 N.Sさん 81歳) 朝早い小学生、地域の人に「おはようございます!」元気でステキ!(世田谷区2021年 E.O 40代) 横断歩道付近で泣いていた区内の幼稚園に通う男の子を見つけた。「どうしたの」と声をかけ、男の子が落ち着くのを待った。名前や母親の電話番号などを聞き出し、両親に電話で連絡した。男の子はその日、両親と市内の商店へ買い物に訪れた際にはぐれた迷い子だった。子どもを見失った両親は犯罪被害に遭ったのではと血眼になって探していた。(仙台市2019年) 「瞬間ボランティア」を実行していて、何か役所などの「力」を借りたいとき、役所や専門家などのアドバイスを受けたいと思ったときがありましたら、世田谷区の冊子「スクラム防犯」の最終ページをご覧ください。 「困った・悩んだときの即相談先リスト」の「相談先電話番号」を掲載しています。 裏表紙 令和3年 発行:世田谷区 郵便番号154-8504 世田谷区世田谷4丁目21番27号 電話番号5432-2267 ファクシミリ5432-3066 執筆監修:株式会社ステップ総合研究所長 清永奈穂 広報印刷物登録番号No.2047 この冊子の記載内容は全て無断転載を禁じます。