資料6 別紙 世田谷区区立保育園における事例検証委員会 検証結果報告書 令和5年8月 世田谷区児童福祉審議会保育部会 目次 はじめに‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 第1章 検証委員会について 1 検証委員会の目的‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 2 検証委員会の概要 (1) 設置根拠‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 (2) 委員構成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 (3)開催状況‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 第2章 事案の概要と経過 1 検証委員会の立上げ等の経緯‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4 2 事案の概要 (1)概要‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4 (2)経過‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5 第3章 検証委員会における議論と主な意見 1 性嗜好障害や小児性愛者の傾向と理解 (1) 課題等の整理‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6 (2) 委員の意見等‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6 2 課題を抱える職員への対応について (1) 課題等の整理‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7 (2) 委員の意見等‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7 3 園や保育課の組織的対応の課題について (1)課題等の整理‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8 (2)委員の意見等‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8 第4章 検証結果と再発防止策の提言 1 本件事案の検証結果 (1) 保育園の体制や環境‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10 (2) 当該保育士の課題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10 (3) 保育園内での人間関係等‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 11 (4) 区立保育園の運営者である保育課の対応‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 12 2 再発防止策の提言 (1)子どもの人権擁護の徹底‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 12 (2)研修のさらなる充実‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 13 (3) 職員採用時の工夫‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 14 (4) 園長等の管理監督者の責務‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15 (5) 保育園職員への適切な支援‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15 3 子どもの最善の利益の保障に向けて‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 17 参考 世田谷区児童福祉審議会部会設置要綱‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 18 はじめに 世田谷区の区立保育園では、令和2年に保育士による虐待(不適切な保育)が明らかとなり、区立保育園が区の特別指導検査を受けることとなった。区では、このことを重く受け止め、外部有識者による「区立保育園における保育のあり方検討会」を立ち上げ、事案の経過や再発防止策等の検討を行った。検討会では報告書を取りまとめ、区は、再発防止策として5つの提言を受け、子どもの人権に対する取り組みを進めたところである。しかし、区内では、その後も保育施設で虐待(不適切な保育)等が行われたほか、令和4年には、区立保育園に勤務する保育士が、園児に対するわいせつ行為の容疑により逮捕され、再び特別指導検査を受けるという重大な事案が発生した。  区は、平成27年3月に世田谷区の保育の基本的な指針となる「世田谷区保育の質ガイドライン」を定め、子どもの権利を守ることを最優先とした「子どもを中心とした保育」の考え方にもとづき、保育の質向上の取り組みを進めてきた。さらに、保育待機児童が全国最多の時期にあっても独自の保育室の面積基準や保育士の配置基準を堅持し、質の高い保育を目指してきた。しかし、今回の重大な事案は、これまでの区の保育の質に関わる取り組みを根幹から揺るがす事態であり、極めて遺憾である。また、過去の区内園での事例検証による提言が生かされていたとは言い難く、その点は重く受け止めなければならない。  本来、保育園は利用する子どもにとって安心、安全な生活の場でなくてはならないが、今回のわいせつ行為の事案は、子どもを守るべき存在である保育士により引き起こされた、許し難いものである。しかし、問題は一保育士の行為に留まらず、このことを防ぐことができなかった保育園や保育課等、区全体の体制にあり、組織的な課題が背景にあると考えられる。こうした事態を二度と引き起こさないためには、事案が引き起こされた背景や組織の抱える課題を明らかにする必要があった。今回の事案を多角的に検証し、再発防止策を検討するとともに、区立保育園のみならず、子どもに関わる区内の施設において同様の事案が発生することがないよう、児童福祉審議会保育部会の委員と学識経験者で構成する検証委員会を立ち上げ、検証を行った。  本検証委員会での検証結果を通して、改めて「世田谷区保育の質ガイドライン」に掲げる「子どもを中心とした保育」を、区内保育施設の職員一人ひとりが自覚し責任を持って振り返り、子どもの最善の利益を追及した保育に立ち返るため、本報告書を取りまとめた。 第1章 検証委員会について 1 検証委員会の目的 本検証委員会は、令和4年度に区立保育園に勤務する保育士が、保育中に園児に対しわいせつな行為を行った容疑により逮捕されたことを重く受け止め、本件事案が引き起こされた背景や課題等を明らかにし、再発防止に向け区が取り組むべき事項を提言することを目的に設置された。  検証委員会では、本件に対する課題の検証と再発防止策の検討を目的としており、本件事案等に係る特定の個人や関係者の処罰を目的としたものではない。また、被害者保護のため、本報告書では検証過程における詳細な内容は記載しないこととする。 2 検証委員会の概要 (1) 設置根拠  「世田谷区児童福祉審議会部会設置要綱」にもとづき、区立保育園で生じた重大事故について、事案の背景や課題を検証し、再発防止策の提言を行うことを目的に設置した。 (2) 委員構成  委員は、児童福祉審議会保育部会委員のうち、保育の専門的知見を有する委員と外部の学識経験者で構成した。 (五十音順 敬称略) 氏名 所属 委員長 天野 珠路 鶴見大学教授 委員 井上 眞理子 洗足こども短期大学教授 委員 宮ア 豊 玉川大学教授 (3) 開催状況  令和5年5月26日に第1回の検証委員会を開催した。5月より毎月1回、計3回の検証委員会での議論を経て、第4回の8月25日に本報告書を取りまとめた。 日時・場所 検討内容 第1回 令和5年5月26日(金)区役所第一庁舎 ・委員長の互選 ・検証委員会の目的、概要 ・本件事例の背景や課題 ・園や保育課の組織的対応の課題 第2回 令和5年6月19日(月)区役所第一庁舎 ・課題を抱える職員への対応について ・園や保育課の組織的対応の課題について ・再発防止策について 第3回 令和5年7月18日(火)区役所第二庁舎 ・再発防止策について ・報告書案について 第4回 令和5年8月25日(金)区役所第一庁舎 ・報告書の取りまとめ 第2章 事案の概要と経過 1 検証委員会の立上げ等の経緯 世田谷区では、令和2年度に区立保育園の保育士による園児に対する虐待(不適切な保育)が明らかとなり、区立保育園が特別指導検査を受けることとなった。区では、このことを重く受けとめ、外部有識者による「区立保育園における保育のあり方検討会」を立ち上げ、検討会による検証の実施と再発防止策等の提言を受けた。  しかし、令和3年度には、区内の私立保育園2園において、送迎時に園児が意識不明となり救急搬送される重大事故や、保育士による虐待(不適切な保育)が引き起こされた。このため、令和2年度の虐待を受け進めてきた区の虐待防止等にかかる取り組みの課題等を明らかにするとともに、私立保育園を含めた保育施設への適切な支援について検討する必要が生じた。区では、保育施設への支援のあり方や課題を検証することを目的に「保育施設への支援・指導のあり方検討会」を立ち上げ、保育施設との連携強化や虐待等にいち早く対応するための体制づくり等の提言を受けた。  こうした過去の事例を教訓に、保育現場での人権チェックシートを活用した取り組みや、保護者や園からの虐待等に関する通報を迅速に受け付ける窓口の設置等を進めていたが、令和4年11月に区立保育園に勤務していた保育士による園児に対するわいせつ行為の疑いが明らかとなり、その後、職員が逮捕起訴されるという深刻な事態が生じた。  区内保育施設での虐待の根絶に向け取り組みを進めているさなかに、区立保育園の保育士がわいせつ容疑で逮捕起訴されたことは極めて重大な事案である。このことを一保育士個人の問題としてのみ捉えるのではなく、園や保育課が抱える組織的な問題として受け止め、背景にある課題を明らかにし、当該事案の詳細な検証と再発防止策を検討するため、園内の重大事故を検証する機関である児童福祉審議会保育部会を中心に検証委員会を立ち上げることとした。 2 事案の概要 (1) 概要 令和4年11月、区立保育園に勤務していた保育士による園児へのわいせつ嫌疑があり、令和5年2月に逮捕、その後起訴されるという重大な事案が発生した。当該保育士は、過去に勤務していた他の区立園(以下、「区立A保育園」という。)でもわいせつ行為に対する二度の嫌疑があったが、確定的な事実は把握できなかった。1回目の嫌疑後、当該保育士が一人で園児の午睡や着替えの援助に対応しないよう配慮を行い、当該保育士の異動先の園(以下、「区立B保育園」という。)でもその対応は継続した。その後、区立A保育園で は、当該保育士の勤務態度に問題がなかったこと等から複数での対応を一部緩和していたところ、2回目の嫌疑が生じたため、一人で対応しない措置を継続することとした。  本件事案のあった区立B保育園でも、複数の職員での対応を継続していたが、職員の休職や新型コロナウイルスの影響等を受けた保育体制等が重なり、園内の死角を利用し園児の体を触るわいせつ行為の嫌疑が生じた。 (2) 経過 ・平成27年4月 人事異動により、当該保育士が、区立A保育園勤務となる。 ・平成29年1月 女児に対するわいせつ行為の嫌疑。 園児に一人で対応しない等の対応を行う。 ・令和元年11月 女児に対するわいせつ行為の嫌疑。 当該保育士からの申し出により、午睡や着替えの援助等の対応は行わないこととした。 ・令和2年4月 人事異動により、当該保育士が、区立B保育園勤務となる。 園児に一人で対応しない等の対応は継続。 ・令和4年11月 当該保育士のわいせつ行為の嫌疑。 当該保育士への聞き取り。当該保育士は行為を否定。 ・令和4年12月 区立B保育園の常勤職員への聞き取り。気になる様子を見た一人を除き、行為を見聞きした職員はいなかった。 当該保育士とヒアリング。3回目の嫌疑であり保育園での勤務はできない旨を説明。 所轄の警察署へ相談開始。 ・令和5年1月 当該保育士を保育園勤務から、保育課勤務とする。 ・令和5年2月 当該保育士が逮捕され、その後、起訴される。 第3章 検証委員会における議論と主な意見 1 性嗜好障害や小児性愛者の傾向と理解 (1) 課題等の整理  本件の検証にあたっては、性嗜好障害や小児性愛者の一般的傾向の把握と特性の理解に努めた。当該保育士は、今回の逮捕容疑を含め3回の嫌疑がかけられた。就職当初の状況は明らかではないが、最初の嫌疑がかけられた平成29年には子どもへの身体接触が増え、女児に対する特別な興味を抱いていたと考えられる。その後、自身の欲求を制御しにくくなり、行為がエスカレートすることとなった。 このことは、当該保育士の特性によって引き起こされたが、こうした事態に至った保育課や保育園の責任も問われる。特に子どもに携わる職種であることに鑑み、子どもへの被害を防止するため、有害な行動に至る前の相談体制の整備や、嫌疑が生じた際の対応の仕方について具体的に検討しておく必要性がある。  園長等の管理監督職員は、性嗜好障害や小児性愛者の特徴等を把握しておくとともに、周囲が少しでも違和感を持った場合、その兆候を見逃さないための取り組みと医療機関へのさりげない促し等、必要な対応が求められる。一方で、全職員に対するスクリーニング等の過度な対応は適切ではなく、職員一人ひとりの人権への配慮も同時に行わなければならない。 (2) 委員の意見等 ・性嗜好障害や小児性愛者への対応としては、対象となる子どもが側にいるといった衝動が起きやすい環境から離すことが有効である。 ・着替えの援助やおむつ替え等の保育行為は、子どものプライバシーを守りつつも、複数の目が行き渡るような環境の下で行う必要があり、園ではそうした体制をマニュアル等に明記し対応すべきである。 ・管理監督者層や職員に対して、性嗜好障害や小児性愛者の理解に資する研修等が必要である。 ・幼い頃の性被害が、成長とともに甚大な影響を与える可能性がある。性被害が及ぼす心と体の問題を真剣に受け止め、子どもの人格形成に係る職責を自覚し人権の尊重について認識を深めなければならない。 ・小児性愛の傾向があっても、生涯、行動に移さない者もいる。今回の事案を踏まえるとともに、職員間の連携を図り信頼関係を構築していくことが求められる。同僚を疑った状態で保育することは避けなければならない。 2 課題を抱える職員への対応について (1) 課題等の整理 当該保育士は、今回の容疑とは別に過去に勤務していた園で2回にわたるわいせつ行為の嫌疑があった。いずれも確定的な事実が確認できなかったことから、子どもには一人で関わらせないとする対応を取った上で、保育園での勤務を継続した。そうした対応策を講じていたが十分ではなく、わいせつ行為が繰り返された可能性がある。嫌疑があった際の職員への聞き取り等で懸念された意見等を踏まえ、当該保育士の行動を注視しておく必要があった。 職務を行う上で、職員に課題が見られた場合でも本人の適性に合った職場で職務を継続することは可能である。職員が能力を発揮できる職場への配置が望まれ、一人ひとりの状況や特性を踏まえた適切な人事配置を行う必要がある。また、子どもへの対応や保育について対話し、相互理解を深めながら同僚性を高めていくことが保育士としてのやりがいや責任につながり、不適切な保育の防止となる。 (2) 委員の意見等 ・職員一人ひとりの多様性を認め、相互理解を図ることが大切である。園長等の管理監督者は職員に関心を持ち、職員に関する情報を積極的に取得する必要がある。 ・午睡時のスキンシップ等、身体接触のある行為のあり方と意義、援助方法等を検討する研修機会が十分ではない。午睡時によく見られる「身体へのトントン」という行為が必要であるのかも含め考えていく必要がある。 ・同僚に対し気になることを言わず対話を避けることは不誠実であり、保育集団として共に役割を担っていくためには話し合いが不可欠である。園長や主任等に対しても必要な情報を伝える責任がある。また、折に触れて対話が生まれる工夫や環境の整備が望まれる。 ・職務を行う上で課題が見られる職員も、本人の特性にあった職場へ配置することにより、職員の能力を発揮できるのではないか。 3 園や保育課の組織的対応の課題について (1) 課題等の整理 当該保育士の過去2回の嫌疑を受け、園長間では当該保育士を「気になる職員」として午睡や着替えの援助に一人で従事させないことを引継ぎ事項としていた。その内容は保育課とも共有されていた。最初の嫌疑の報告を受けた園長は、確定的な証拠がないことから、即時に保育現場から当該保育士を外すという判断ができなかった。また、最初の嫌疑後の当該保育士の勤務態度等を踏まえ、制限をかけていた対応を園長の判断により緩めていた。保育課では、当該保育士に対する保護者からの苦情を受けていたが、定期的に園に状況を確認する等の対応を十分に行っていなかった。それらが要因となり、結果として2回目、3回目の嫌疑につながったと考えられる。  本件事案を受け、わいせつ嫌疑が発生した際には、嫌疑のあった職員を保育から外すとともに捜査機関へ相談することとした。特に、子どもの証言を重視したことは、これまでより前進した点である。その際、あくまでも嫌疑であることを前提に、どのような状況で嫌疑が生じたのかを見極め事実を検証することが必要である。また、自ら訴えることができない乳児への対応は、周囲の保育士の気づきが欠かせない。 (2) 委員の意見等 ・今回の件は、当該保育士が嫌疑のある行為を継続することができた土壌に問題があった。 ・過去の区立保育園での虐待事案を受け、虐待に対する意識は高まっていると思われるが、わいせつ嫌疑についての気づきの感度が十分とは言い難い。性的虐待とまでは言えないスキンシップ等との線引きをどう行うかを検討する必要がある。 ・園長は、職員への違和感やクラスの雰囲気、保護者の表情や態度の変化等から感じられる運営・管理上のリスクの予兆にセンサーを持ち、おかしいと思い、気づく敏感さを持つことが必要である。 ・ハラスメントではないかと疑われることへの懸念から園長自身、声を出せないケースがあるのではないか。ハラスメントを生じさせない文化や仕組みが必要だが、管理監督者としての指導とハラスメントとの線引き、その狭間を乗り越える仕組みづくりを考える必要がある。 ・子どもが3歳頃になると、体つきや性別に気づき、同時にプライベートゾーンへの関心が高まる傾向にある。子どもから保育士へのスキンシップも見られるため、触れても良い部分と触れてはいけない部分をしっかりと伝えていく必要がある。・性について話題にすることは、これまでどちらかというと避けられてきたが、今後は大人がしっかりと向き合い子どもに分かる言葉で伝えていかなければならない。また、子どもの心と体を大切に、一人ひとりの尊厳を守るためにも保育士間で真剣に話し合うことが重要である。 第4章 検証結果と再発防止策の提言 1 本件事案の検証結果 今回のわいせつ嫌疑が引き起こされた背景には、当該保育士の特性のほか、園や保育課の体制等、様々な要因がある。本事案の検証にあたっては、それぞれの要因を明らかにし、なぜこうした重大な事案が保育園で生じたのか、それを未然に防ぐことができなかったのか等について検証を行い、その結果を以下のとおりまとめた。 (1)保育園の体制や環境  保育園は、児童福祉法にもとづき保育を必要とする子どもの保育を行い、健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、利用者である子どもが安心して生活できる場でなければならない。日常の保育では、職員が万全の態勢で環境を整え注意を払っているが、複数の要因が重なり事故につながる可能性も否めない。  本来安全であるべき施設内において、当該行為が引き起こされた背景には、以下のようないくつかの要因がある。 【検証結果】 @過去の嫌疑を受けて対応していたものの、当該保育士が一人で子どもに対応する場面や保育室内に死角が生じていた。 A周囲に他の職員がいたが、当該保育士の行動に疑問を持てなかった。 B新型コロナウイルスの影響等により、一時的に職員体制が手薄になっていた。 C同一職員による複数回にわたる過去の嫌疑に対し、周囲の認識の甘さがあった。 (2)当該保育士の課題  当該保育士は、普段の勤務態度から子どもや保護者の信頼を得ていた。また、同僚職員のほとんどが当該保育士に対し悪い印象を持っておらず、そのことが当該保育士の発言力を高める結果となった可能性がある。しかし、当該事案を受け行われた特別指導検査時の職員への聞き取りでは、当該保育士に対する課題の指摘が複数あった。  今回の事案では、以下のような当該保育士の課題が特に大きく影響した。当該保育士の保育への考え方や姿勢、子どもや保護者への対応等に違和感を持った職員は複数いたものの、それが当該事案を防ぐ方向には至らなかった。 【検証結果】 @園児への接し方に差が大きいことや特定の保護者との距離が近すぎることなど、当該保育士に疑問を感じていた職員もいたが、周囲からは一定の信頼を得ていたために嫌疑後も保護者からの苦情はほとんどなかった。 A保育には熱心に取り組んでいたが、自分を良く見せようという意識が強く、子どものためではなく自身の満足のために行動しているようだと感じる職員もいた。 B当該保育士は、数人の特定の子どもとの距離が特に近かった。 C当該保育士は、スキンシップは保育士にとって必要な行為という思いを強く持っていた。 (3)保育園内での人間関係等  保育園では、保育士が子どもに対しわいせつ行為を行うことは考えられず、そうした嫌疑があった際にも、確定的な証拠がない中では即時に保育園での勤務を外す等の対応が取れなかった。また、明確にルール化もされていなかった。  嫌疑を受けた際の園長による同僚職員への聞き取りにおいて、当該保育士の行為に違和感を持つ職員がいたが、その聞き取り以前に、園長等へ伝えられる風通しの良い職場にはなっていなかった。それは保育園特有の問題ではなく、組織全般に生じやすい問題であるが、今回の事案では、以下のような問題点があげられる。 【検証結果】 @同僚職員が当該保育士の言動に疑問を持っても指摘をしなかった、または、できない環境であった。「子どものため」という軸をぶらさず、対話や討論を重ねる職場環境が作られていなかった。 A当該保育士に対しては、1回目の嫌疑以降も、園長や副園長は機会を捉え保育や保護者対応等に対する指導を行っていたが、改善までには至らなかった。 B休職者や感染症対応等で職員にゆとりがなく、周囲に目を配るだけの余裕がなかった。 (4)区立保育園の運営者である保育課の対応  私立保育園の運営主体は、社会福祉法人や株式会社などである。区立保育園の運営主体は言うまでもなく世田谷区であり、担当所管は保育課である。区立保育園では、令和2年の園児に対する虐待(不適切な保育)を受け、子どもの人権を守る取り組みを進めていた。しかし、今回の問題の背景には令和2年の状況と重なる部分も見受けられ、令和2年の検討会の提言やそれを受けた取り組みが十分機能し、生かし切れていたとは言い難い。  園の運営に関する事項を保育課がどこまで園長等に任せ、また、どのような際に保育園の運営に関与するのかが明確ではない。このような状況を踏まえ、以下のような課題があげられる。 【検証結果】 @3回目の嫌疑まで、当該保育士の保育園勤務を継続させた。 A職員の嫌疑に対する確証がない中、園長等がどう対応すべきかが明確ではなく、各園長の判断に任せていた。 B園からの報告や保護者からの苦情で、課題のある職員としての認識はあったものの、機会を捉え、園から追加報告を求めることや定期的に様子を聞き出す等の対応を行っていなかった。 2 再発防止策の提言 今回の事案は、世田谷区の保育の根幹を揺るがす事態であり、被害を受けた子どもやその家族、園利用者の信頼を大きく傷つけたことを区は真摯に受け止める必要がある。その上で、本検証委員会として、区内の保育施設で同様の事案が発生することが二度とないよう、今後の保育施策の推進にあたり強い意志で臨むことを求めるとともに、上記1の検証結果を踏まえ再発防止に向け次のとおり提言を行う。 (1)子どもの人権擁護の徹底  令和2年以降の虐待事案等を受け、子どもの人権擁護に対する意識の徹底をはかるため、園長会等の機会を捉え定期的な人権意識の啓発を進めてきた。また、区では、平成27年に「保育の質ガイドライン」を定め、他自治体に先がけ保育の質向上の取り組みを進めてきたが、それらの取り組みが園長等の管理監督者層だけでなく、保育園に勤務する職員一人ひとりに浸透していたとは言い難い。  改めて、全園の全職員が自身の保育を振り返る機会を設け、各園の取り組みを区立保育園全園で共有する機会を設けることを求める。また、区立園内の取り組みにとどまらず、区内の私立保育園等の好事例も参考として、区内保育園全体で子どもの人権に関する意識の向上を図ることを強く求める。その上で、策定から10年を迎える保育の質ガイドラインについて、子どもの人権擁護の視点を最優先に、子どもの主体性を尊重する「こども基本法」の理念などを踏まえた見直しの必要性を検討してほしい。  今回は子どもに対する保育士のわいせつ行為という極めて悪質な虐待であった。保育園では、夏場のプール前等の機会を捉え、水着で隠れる部分は触らないなど、具体例を示し自身のプライベートゾーンについての意識が芽生えるように取り組んでいる。引き続き、子どもの心と体を大切に、自分を守るために必要となる意識づけを継続しながら、プール前だけでなく機会を捉えた保育の展開を期待する。また、保育士自身が、心と体を大切にするための健康教育や人権教育に関するさらなる知識や知見を習得し、そのスキルの向上を求めたい。 【区への提言】 @区立園に勤務する全職員が、自身の保育を振り返るとともに相互に気づきを伝え合うなど、客観的な視点も取り入れながら、各園の取り組みを区立園内で共有する機会を設ける。 A私立園も含めた他園の好事例を参考に、区内保育施設全体として子どもの人権への意識を高め、保育の質の向上をはかる。 B平成27年に策定した保育の質ガイドラインの見直しの必要性を検討する。 C子ども自身が自分を大切にし、自分を守ることができるようプライベートゾーンに関する意識を高め、知識を得られる取り組みを進める。あわせて保育士自身が、子どもに対し的確に分かりやすく伝えるための知識等を習得し、さらなるスキル向上を図る。 (2)研修のさらなる充実  保育園職員を対象とした研修は、これまでも様々取り組んでいるが、今回の事案を受け、改めてこれまでの研修内容が十分であったかを検証する必要がある。また、保育経験を重ねると、徐々にその経験が当たり前となり、自ら気づけなくなることがある。経験を重ねた職員が、自身の保育を振り返り、定期的に新たな保育実践の知を更新できるような研修の実施を検討する必要がある。職員の多様性の理解、相互理解につながる内容や研修を受ける機会の少ない職層向けの研修、自身の経験知と合わせて最新の保育を学び、自身と世田谷区の保育の質向上のための機会を提供する研修等の実施を求めたい。令和2年の区立園での虐待事案を受け、全職員を対象とした人権研修等を実施していたにも関わらず、今回の事案が発生したことは、これまでと同様の研修を用意するだけでは十分ではないことを示している。自己評価や振り返りを充実させ、研修後の実践につながる取り組みを進めるなど、保育士自らが問いを出し学び続ける土壌づくりを求める。 【区への提言】 @職員の多様性や相互理解につながるための研修内容を検討し、実施する。 A勤務経験に応じた様々な階層別の研修を実施し、職員が最新の保育動向を学び、保育の質向上のための機会を提供する。 B研修の実施が保育の実践につながっていることが分かるよう、成果を可視化する。 (3)職員採用時の工夫  一般的に、職種に限らず職員の職場への適性について疑問を呈さざるを得ない場面は存在する。子どもの命に直結する保育士であれば、なおさら本人の適性を重視した採用を行わなければならないが、短時間の面接時に職員本人の適性を見極めることは難しい。しかし、今回の事案のような子どもへの重大な影響を考えると、保育園職員としての適性を有しないと判断できる場合には、保育園以外で本人の能力を発揮できる職場への配置転換等を検討すべきである。その際でも、人事が恣意的にならないよう、明確な基準を設け対象者への説明を尽くした上での配置が必要である。  また、採用後6か月は条件付採用期間であることから、当該期間中の職員の勤務態度等を十分に観察し、園長との面談等を重ね本人の適性を見極めることを求める。なお、このことは職員の身分に関する事項であることから、関係部署等とも連携しながら実現に向けた努力を求める。 【区への提言】 @子どもの命を預かる保育園という施設の特性を重視し、保育の提供にあたり課題が見られる職員については、本人の適性に合わせ保育園以外の職場への配置を検討する。 A職員の条件付採用期間中に園長との面接を十分に行い、職員の適性を見極める。 B人事関係は区全体の制度に関わることであるため、関係部署等と連携し取り組みを進める。 (4)園長等の管理監督者の責務  園長は施設の管理責任者として、園児の人権を守るとともに、職員の人権を守る立場にある。しかし、園内で起きるすべてのことを園長一人が抱え込むのではなく、保育課と連携を密にして役割分担しながら園運営を進めることが必要である。また、他の園長との連携により解決が可能となる課題もある。その上で、園の管理監督者の責務として職員の思いを受け止め、その多様性を認めながら人権擁護に対する気づきの感度をあげて園運営に臨んでいただきたい。  職員との信頼関係が構築されることによって、安心して意見を言い合うことができる環境になるとともに、その環境が園の組織力の醸成につながっていく。園長のリーダーシップの下、一人ひとりの保育士が意欲を持ってそれぞれの役割と責任を果たし、同僚と対話しながら自らの力を発揮できる風通しの良い職場環境の整備を求める。 【区への提言】 @園長が職員の特性や経歴等に関心を持ち、積極的に情報を収集し職員理解を深める。 A職員と適切に情報を共有し、直接言いにくいことも伝えられる方法を用意することで、風通しの良い職場環境を構築する。 Bリスクに係る気づきの感度をあげ、事故や虐待(不適切な保育)に関するヒヤリハットの共有や他園の園長と連携して課題に対応できる関係を構築する。 C園長が園運営に集中し、保育士が自分の役割や能力を発揮できるよう、保育課と連携し職場の環境を整える。 (5)保育園職員への適切な支援  区立保育園では、様々な職種の職員が日々の保育に携わっている。区立園の常勤保育士のうち約4%が男性保育士であり、子どもの生活や遊びを豊かにし、育ちを支えることに大きく寄与してきた。また、職員同士の関わりにおいて新たな視点でリーダーシップを発揮し組織力の向上に貢献している。しかしながら、令和2年や今回の事案により、男性保育士の行う保育への影響が少なからず生じ、その士気低下が案じられるところである。そのような状況下でも、保育への意欲を失わず子どもと関わり、その育ちを支える男性保育士は多い。区は、保育園に勤務する職員を適切に支援し、一保育士として誇りを持って保育にあたることができる環境を用意する必要がある。今回の問題の背景には、園職員が周囲の職員に目を配ることが困難だったことが考えられる。区は、職員の意見を取り入れながら働きやすい職場環境を率先して整えていくことが望まれる。 【区への提言】 @本件を受け、保育園に勤務する職員の士気低下が懸念されることから、各保育園で活躍し世田谷の保育を支えている職員に対し、適切な支援を行う。 A園職員が働きやすい職場となるよう、保育園に勤務する職員の意見を聞き取りながら職場環境を整えていく。 3 子どもの最善の利益の保障に向けて  本検証委員会では、令和5年5月から全4回にわたって今回の事案の検証を進めてきた。その過程では、今回の事案をなぜ防止することができなかったのか、職員の逮捕に至る前に周囲は対応できなかったのかという点が問題としてあった。周囲の意識として、保育士が子どもに対しわいせつ行為を行うこと自体が想定外であり、園長を含めた職員もそのような認識であったと推察される。  しかし、振り返ってみると、過去にも同様の嫌疑が複数あり、普段の保育にあたって何らかの兆候が表れていた。検証を進める中では、保育現場における意見の伝えにくさや風通しの悪さのほか、園と保育課との連携が十分に行われていなかった等の課題が明らかになった。  本件事案は、被害者や家族、関係者に禍根を残す結果となってしまったが、保育課や保育園は、この事態を重く受けとめ今後に生かしていく責任がある。令和2年にも保育士による園児への虐待(不適切な保育)があり、再発防止に係る検証を行ったにも関わらず、区立園内でさらなる虐待(不適切な保育)が引き起こされたことは、これまでと同様の取り組みでは不十分であることの証であり、さらに踏み込んだ対策を講じていかなければならない。  本報告書で示した提言のうち、今回の事案を受け既に動き出しているものもあるが、実施に時間を要する内容も含まれている。時間を要する項目であっても保育課と各保育園が、子どもの最善の利益を保障するという共通の目標を持ち、これまでの風通しの悪さを一掃するという覚悟を持って取り組みを進めていく必要がある。そうでなければ、子どもの人権を守ることも利用者の信頼を得ることも困難である。  本検討は区立保育園における重大事案に関する内容であったが、子どもの人権擁護に関する取り組みは、区内すべての保育施設で不断に進められなければならない。また、子どもに関わる者の責任として倫理観に裏付けられた保育実践を重ねていくことが求められる。本検証を通じ、改めて子どもに関わるすべての施設が子どもの人権を見つめ直す契機としていただきたい。 参考 ○世田谷区児童福祉審議会部会設置要綱 令和2年3月30日31世子育第1464号 改正 令和3年3月17日2世子育第1345号 世田谷区児童福祉審議会部会設置要綱 (趣旨) 第1条 世田谷区児童福祉審議会条例(令和元年10月世田谷区条例第29号)第1条に規定する世田谷区児童福祉審議会(以下「審議会」という。)に世田谷区児童福祉審議会条例施行規則(令和2年3月世田谷区規則第52号)第4条の規定に基づき設置する部会の運営について必要な事項を定めるものとする。 (常設の部会) 第2条 審議会に、部会として、里親部会、措置部会、児童虐待死亡事例等検証部会及び保育部会を置く。 2 里親部会の所掌事項は、次のとおりとする。 (1) 児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号。以下「令」という。)第29条に基づき、里親(児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第6条の4に規定する里親をいう。以下同じ。)の認定をするに当たって、諮問を受けて答申すること。 (2) 更新又は継続が不適当と認められる者及び適否の確認を要する者について、里親の登録の更新又は継続に当たって、諮問を受けて答申すること。 (3) 里親の登録の更新を行ったときに報告を受けること。 3 措置部会の所掌事項は、次のとおりとする。 (1) 令第32条第1項に規定する児童又はその保護者の意向が当該措置と一致しない場合その他児童相談所長が必要と認める場合に諮問を受けて答申すること。 (2) 法第33条の15第2項の規定による被措置児童等虐待(法第33条の10に規定する被措置児童等虐待をいう。)に係る措置についての報告を受け、法第33条の 15第3項に規定するその報告に係る意見を述べること。 (3) 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」という。)第9条第1項の規定による立入り及び調査又は質問並びに法第33 条第1項及び第2項の規定による一時保護の実施状況等の報告を受けること。 4 児童虐待死亡事例等検証部会の所掌事項は、児童虐待防止法第4条第5項に規定する児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例を分析するとともに、その事例の分析に基づき児童虐待の予防、早期発見等の事項の調査研究及び検証を行うものとする。 5 保育部会の所掌事項は、次のとおりとする。 (1) 法第34条の15第4項の規定に基づき、同条第2項に規定する認可をするに当たって、諮問を受けて答申すること。 (2) 法第35条第6項の規定に基づき、同条第4項に規定する認可をするに当たって、諮問を受けて答申すること。 (3) 法第46条第4項の規定に基づき、事業停止命令を行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (4) 法第59条第5項の規定に基づき、事業停止命令又は閉鎖命令を行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (5) 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号。以下「認定こども園法」という。)第17条第3項の規定に基づき、同条第1項に規定する認可を行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (6) 認定こども園法第21条第2項の規定に基づき、同条第1項の規定により事業停止命令又は閉鎖命令を行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (7) 認定こども園法第22条第2項の規定に基づき、同条第1項の規定による取消しを行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (8) 特定教育・保育施設、特定地域型保育事業、地域子ども・子育て支援事業、認可外保育施設、認可外の居宅訪問型保育事業等における重大事故の検証を行うこと。 (9) 特定教育・保育施設、特定地域型保育事業、地域子ども・子育て支援事業、認可外保育施設及び認可外の居宅訪問型保育事業等における運営状況等を調査及び検証すること。 6 前各項に定めるもののほか、部会は、委員長(世田谷区児童福祉審議会条例第4条に規定する委員長をいう。)又は部会長(世田谷区児童福祉審議会条例施行規則第4条第3項に規定する部会長をいう。以下同じ。)が必要と認める事項を調査審議することができる。 (臨時の部会) 第3条 前条に規定する部会のほか、審議会は、調査審議に係る事項の専門性等に応じて臨時に部会を設置することができる。 (部会の会議の特例) 第4条 世田谷区児童福祉審議会条例施行規則第4条第6項の規定にかかわらず、部会長は、部会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときは、持ち回りその他の方法により当該部会の開催に代えることができる。この場合における議事については、同条第7項の規定を準用する。 (議事録) 第5条 部会長は、次に掲げる事項を記載した議事録(以下「議事録」という。)を作成し、保存するものとする。 (1) 部会の開催年月日及び開催場所 (2) 出席した委員、臨時委員等の氏名 (3) 部会に付した議題 (4) 議事のてんまつ (5) 前各号に掲げるもののほか、部会の経過に関する事項 2 議事録には、部会長及び部会長が部会において指名する委員1名が署名するものとする。 3 議事録は、非公開とする。ただし、部会長が必要があると認めた場合は、公開とすることができる。 (委員等の除斥) 第6条 委員及び臨時委員は、自己に直接の利害関係のある事項については、その議事に加わることができない。ただし、部会の同意があったときは、部会に出席し、発言することができる。 (庶務) 第7条 里親部会、措置部会及び虐待死亡事例等検証部会の庶務は、子ども・若者部児童相談支援課において、保育部会の庶務は、保育部保育課において、それぞれ処理する。 2 第3条に規定する臨時の部会に係る庶務は、当該部会の調査審議に係る事項を所掌する課(世田谷区組織規則(平成3年3月世田谷区規則第7号)第11条第1項に規定する課及び担当課をいう。)において処理する。 (雑則) 第8条 この要綱に定めるもののほか、部会の運営に関し必要な事項は、部会長が別に定める。 附 則 この要綱は、令和2年4月1日から施行する。 附 則(令和3年3月17日2世子育第1345号) この要綱は、令和3年4月1日から施行する。 世田谷区区立保育園における事例検証委員会 検証結果報告書 世田谷区児童福祉審議会保育部会 事務局 世田谷区子ども・若者部保育課 世田谷区世田谷4−21−27 電話 03−5432−2448