資料8(別紙1) 令和5年2月7日 保育部 保育運営・整備支援課 私立認可保育園における虐待(不適切な保育)及び区の対応について 1 主旨 令和4年11月18日、私立認可保育園の保護者から不適切な保育が行われていると区へ通報があった。 区は直ちに、園に対して事実確認とその報告を依頼し、園も対応していたが保護者からの苦情が続いてたので、12月12日、13日に区による当該園職員ヒアリングを実施したところ、虐待(不適切な保育)を確認した。 これについての経過と再発防止策に向けた区の対応を報告する。 (1) 区が把握した虐待(不適切な保育)の内容 1 子どもの名前を呼び捨てにしていること 2 子どもに対する乱暴な声かけ、強い口調、必要以上に大きな声を出すこと 3 子どもに対する厳しい叱責 4 子どもの自尊心を傷つけるような言動がされていること 5 食事に時間のかかる子どもへの厳しい声かけ、配慮が不足していること 6 トイレに行きたい子どもに我慢させること (2)法人が把握した虐待不適切な保育)の内容及び背景 以下、別添当該保育施設の調査報告より抜粋。 内容 ・行為のほとんどが幼児組の担当保育士(もうひとりの担当保育士についての言及は少ないが一緒に保育していた。)によるものと考えられ、現在出勤停止の暫定措置をとっている。 (1)子ども一人ひとりの人格を尊重しない関わり 1 子どもの名前を呼び捨てにしていること(不特定) (2)物事を強要するような関わり、脅迫的言葉(子どもに対する乱暴な声かけ、強い口調、必要以上に大きな声を出すこと・子ども対する厳しい叱責) 1 調理保育の日、エプロンを結べない幼児が、泣きながらも自分でやろうとしていた時に、「前言ったよね!」「泣き止んで!」と強い口調で言った。 2 午睡の時間に、ふざけたりしていた幼児を別室(食堂)に連れ出し、長時間??責した。 3 「うるさい」「うるさい」マジでむかつく」「いい加減にしろ」「泣けば何とかなると思うのか」「はい終わり」「ずっと泣いていなさい」「大きな声出さないと分からないの?」「もういい。うるさい」「調子乗りすぎ」などと叱る。(不特定) 4 公園への散歩の際「早く」「急いで」「遅い」などの言葉で帰園をせかせた。(不特定) (3) 罰を与える・乱暴な関わり 1 「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣きながら保育士の脚にしがみついた幼児を、引きずり、手で引き離した。 同じ遊びに「もうはいらなくていい」「横で見ていなさい」と叱責する。 2 幼児にデコピンした。 3 遊戯室から連れ出すときに、「こっちに来なさい」と手を引っ張る。 4 午睡の時、言うことを聞かない幼児のコットの頭部をゆさぶり、「もう寝なくていい」と言った。 5 食事中、追い立てるような口調で「ここまで食べておしまいにしな」などと言う。 6 食事の時、箸を落とした子に自分で給食室に行き「箸を落としました。代わりの箸をください。」と言わせる。(不特定) 7 「野菜を食べた後にご飯ものを食べる」ことなっている幼児が、パスタの日に野菜を食べるのに時間がかかりすぎ、(本人も食べないといったため)パスタを食べられなかった。 8 プールの帽子を忘れて注意され、長い時間泣いたまま放置され、プールに入れさせられなかった。 9 忘れ物をした子どもをひどく叱った。(不特定) 10 食事中トイレに行きたい子に我慢させた。(不特定) <不適切保育(虐待)が行われた主な背景> ・当該行為は2022年4月以降にみられるようになった。 幼児組は、3月まで要配慮児のため1名の保育士が加配されていたが、今年度は2名の保育士で担当しなければならなくなった。 該当保育士がそのリーダーを続けた。 保育士は4月に異動で着任し幼児組ははじめての担当であったため、保育士はその指導を含めて保育に余裕のない状態であった。 ・大勢の幼児を一定の統率をするために大声や乱暴な関わりを持たざるを得なかった。 ・ニックネームや呼び捨てで呼ぶ、箸を落とした時の対応など園内に経験主義に基づく古い保育の習慣があり、それを踏襲していた。また、不適切保育を指摘する組織が育っていなかった。 <再調査> ・1月25日現在、保護者より園児からの証言で重大な事実があること判明したので再調査する。 この件については本報告と別に調査し、事実確認をする予定であり、判明次第追加の報告をする。 2 経過 令和4年11月18日(金曜日) ・当該園の保護者から、不適切な育があると区へ通報があった。 ・区は、すぐに園に対して、事実確認とその報告を依頼し、園もも保護者面接するなどと対応していたが、保護者からなお区への苦情が続いていた。 12月12日(月曜日)、13日(火曜日) ・区による当該園職員ヒアリングを実施。 12月14日(水曜日) ・区は職員ヒアリングの結果 (区が把握した虐待(不適切な保育 ))を法人に通知。 ・法人は関係保育士2人を現場からはずす。 12月20日(火曜日) ・法人が保護者会を実施し、それまでの経緯を保護者に説明し謝罪。 12月23日(金曜日)から1月17日(火曜日) ・法人が保護者へのアンケートと希望に対する面談調査を実施。 1月23日(月曜日) ・区に保護者から新たな情報提供(ゲンコツや平手打ちをされた)があった。 1月25日(水曜日) ・法人が情報提供した保護者と面談を実施。 2月1日(水曜日) ・法人より区へ調査報告提出。 (再調査の部分については今後改めて報告予定と記載)(別添) ・法人より保護者へ、区へ提出されたものと同じ調査報告を配布。 ・法人より保護者へ(ゲンコツなどの暴力行為を受けたとお子さんから聞いたことがありますかという)追加アンケートを依頼。 ・区による当該園職員ヒアリングを追加実施。 2月3日(金曜日) ・区による法人面談(再発防止の取り組みを確認)。 3 区における再発防止策 (1) 現場からの改善 1 「子どもの人権チェックシート」「世田谷区の主な相談先」活用の徹底 区が作成した「子どもの人権チェックシート」、保育士が不適切な保育を感じた時の「世田谷区の主な相談先」の掲示の活用状況について、各園からの報告を求める。 各保育園が、これまで実践してきた保育を過信せずに点検や見直しを行っているか、主体的に日々の保育内容を振り返り、特に子どもの人権対する感度を点検し高める。 2 世田谷区民間保育園連盟と連携した取り組み 私立園の多くが加盟する世田谷区民間保育園連盟と連携し、虐待(不適切な保育)を防ぐための取り組みについて、同連盟役員と区立園長会役員による検討会を立ち上げて具体的な方策を実施し、保護者や子どもが安心して過ごせる環境と信頼を取り戻していく。 (2月中に第1回検討会開催予定) また今年度、試行的に実施した交換研修(半日又は一日、保育士が他の園で業務を行うことによりお互いの保育を体験する)において、各保育園での 改善すべき事項に気が付くといった成果を上げており、更なる実施に取り組む。 加えて、昨今のコロナ禍において園同士つながりが希薄化していることから、既存の園長会に加え、オンラインや対面の手法より各園の保育士の代表が集い意見交換を行えるような場を、拡充する。 3 保護者への相談窓口の周知徹底 区内保育施設を利用しているすべての保護者の不安を払しょくするために、各私立園と区への相談窓口を改めて明確にし、周知する。 2月13日の私立園長会において具体的な様式を配布の上、各園を通じてすべての保者に案内する。 各園において相談内容や苦情に個別に対応するよう促すとともに、区に寄せられた相談苦情には、該当施設に確認し指導にあたる対応を強化する。 (2)保育の質の維持向上のための体制強化(組織改正) 1 指導検査体制を強化して、私立保育園への年1回以上の指導検査を行う体制とする。 2 保育の質向上担当副参事を設置するともに、園運営や保育内容について支援する担当を強化し、苦情や相談のあった施設に集中して支援にはいる。 3 補助金支給などの給付に特化した担当を設置して、事務処理の正確性を確保する。 (3)保育事故防止カメラの設置の推進 国と都からの 10分の10補助により、防犯カメラ等設置費が補助対象となることを2月13日の私立園長会においても、再周知し、虐待防止の観点や事故発生時の原因究明、保育士の証言を裏付けて支援していくためにも設置を進めるよう促す。 (4)区が把握した保育施設におけるすべての虐待(不適切保育)報告 園名を除く、行為の内容、園が講じた対応策などを、年に1度、「児童福祉審議会の保育部会」(直近の開催予定:令和5年3月22日)に報告し意見を求める。 審議会資料とあわせて審議会の際にいただいた意見についても議会へ報告する。 また、子どもの命に関わるような重大事故や著しく子どもの心身や人権を侵害する虐待行為、区が改善・再発防止の取り組みに重点的に関与する事案については、園名を除き随時報告する。 4 今後の スケジュール (予定) 2月13日 私立園長会にて再発防止策等周知 2月中 (仮称)虐待(不適切保育)を防ぐ検討会開催 3月22日 児童福祉審議会保育部会 ※法人の再調査結果についても報告書が区に提出され次第、議会へ報告する。