資料5 (別紙) 世田谷区児童福祉審議会臨時部会(児童相談所が関わる子どもの権利擁護に関する検討部会) 中間報告書(検討経過のとりまとめ) 令和5年1月 1 本報告書の位置づけ 世田谷区児童福祉審議会臨時部会(児童相談所が関わる子どもの権利擁護に関する検討部会)は、令和4年6月に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律」(以下「改正児童福祉法」という。)のうち、以下の事項に係る区の対応について検討するため、令和4年7月22日の世田谷区児童福祉審議会本委員会において承認を受け、設置されたものである。 【主な改正児童福祉法の内容】 1 子どもの権利擁護の環境整備を行うことを都道府県等の業務として位置づけ。 2 施設入所措置や一時保護をはじめとした児童相談所長が行う措置等の決定時において、子どもの意見聴取等を行うこと。 3 子どもの意見表明等を支援するための事業を制度に位置づけ、その体制整備に努めること。 子どもの意見聴取等の仕組みの整備 (出典:厚生労働省) 都道府県等において、引き続き、子どもの権利擁護の取組みを推進するため、 1 子どもの権利擁護の環境整備を行うことを都道府県等の業務として位置づけ、 2 都道府県知事又は児童相談所長が行う措置等の決定時において、子どもの意見聴取等を行うこととし、 3 子どもの意見表明等を支援するための事業を制度に位置づけ、その体制整備に努めることとする。 子どもの権利擁護に係る環境整備 都道府県知事又は児童相談所長が行う意見聴取等や入所措置等の措置、児童福祉施設等における処遇について、都道府県の児童福祉審議会等(※)による調査審議・意見具申その他の方法により、子どもの権利擁護に係る環境を整備することを、都道府県等の業務とする。 ※ 児童福祉法に基づき都道府県に設置され、子ども等の福祉に関する事項を調査審議し、また関係行政機関に意見具申することができる。 児童相談所や児童福祉施設における意見聴取等 都道府県知事又は児童相談所長が行う在宅指導、里親委託、施設入所等の措置、指定発達支援医療機関への委託、一時保護の決定時等(※)に意見聴取等を実施 ※ 措置等の解除、停止、変更、期間の更新の時点についても同様。 一時保護など緊急で意見聴取等の時間がない場合は事後も許容。 子どもの最善の利益を考慮するとともに、子どもの意見又は意向を勘案して措置等を行うために、あらかじめ、年齢、発達の状況その他の子どもの事情に応じ意見聴取その他の措置を講じなければならない。 意見表明等支援事業(都道府県等の事業※都道府県、政令市、児相設置市) 児童相談所長等の意見聴取等の義務の対象となっている子ども等を対象 子どもの福祉に関し知識又は経験を有する者(意見表明等支援員)が、意見聴取等により意見又は意向を把握するとともに、それを勘案して児童相談所、都道府県その他関係機関との連絡調整等を行う。 臨時部会では令和4年8月22日に第1回目の検討を開始し、同年12月末時点で計5回部会を開催し、検討を進めてきたところである。 区における対応を検討するにあたっては、これまで子どもの権利擁護に率先して取り組んできた世田谷区として、子どもの権利擁護を担っている既存の機関や社会的養護の当事者からのヒアリングを丁寧に進めていく必要があることから、3回に分けて各関係機関や当事者からのヒアリングを実施してきた。 また、国においても改正児童福祉法を踏まえた取組みについて検討が進められており、今後、具体の方策等が示される予定とされている。 さらに、東京都においても、子どもの意見表明を支援する仕組みの在り方に関する検討を行うため、東京都児童福祉審議会専門部会を設置し議論が行われており、令和4年12月に検討を終えたところである。 こうした動きも踏まえ、世田谷区としてのあるべき姿について十分に議論を深めながら取りまとめる必要があることから、令和4年12月時点で検討結果を取りまとめることは難しいと判断した。 本中間報告書は、この間の臨時部会で検討した内容と主な意見を取りまとめ、現時点においての目指すべき方向性を記載したものである。 最終報告については、本中間報告書に記載した内容を踏まえ、今後の臨時部会における検討結果を改めて取りまとめ、令和5年度第1回世田谷区児童福祉審議会本委員会において報告する予定である。 2 検討体制等について (1)検討体制(臨時部会委員) いけだきよたか 弁護士 いしわたかずみ 東洋英和女学院大学 名誉教授 うかいよしあき 日本女子大学 名誉教授 のとかずこ NPO法人東京養育家庭の会 理事長 まつだたけとし 児童養護施設東京家庭学校 校長 もりときほ NPO法人子どもアドボカシーをすすめる会とうきょう代表 よしだつねお NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク 理事長 (2)臨時部会所掌事項イメージ 臨時部会所掌事項イメージ図 ポイント1 子どもの権利擁護の環境整備(権利擁護システム全体像の整理) ポイント2 措置決定時等における子どもの意見聴取等の在り方 (意見聴取等を行うタイミング、方法、子どもへのフィードバックの在り方、意見表明等支援事業や既存の子どもの権利擁護機関などとの連携の在り方など) ポイント3 意見表明等支援事業(意見表明等支援員の設置等)について (事業の位置づけ、実施方法、質の担保、児童相談所や既存の子どもの権利擁護機関などとの連携の在り方など) (3)検討経過 8月22日(月曜日) ●第1回臨時部会 ・臨時部会の進め方について ・子どもの権利擁護に係る取組みの現状について ・児童相談所における意見聴取等措置について ・関係機関等へのヒアリングの実施について 9月19日(月曜日) ●第2回臨時部会 ・関係者へのヒアリング ・ヒアリングの振り返り 10月26日(水曜日) ●第3回臨時部会 ・せたホッとへのヒアリング・振り返り ・審議期間の見直しについて ・中間報告書骨子(案)について 11月22日(火曜日) ●第4回臨時部会 ・一時保護所第三者委員へのヒアリング・振り返り ・子どもの権利擁護機関の所掌イメージ(案) ・中間報告書(案)について 12月26日(月曜日) ●第5回臨時部会 ・世田谷区の子どもの権利擁護機関における役割の整理  (児童相談所の措置等に対する不満について) ・その他の主な子どもの意見について ・意見表明等支援事業について 3 区の現状 (1)子どもの権利擁護の環境整備に関すること(ポイント1) 区における児童相談所が関わる子どもの権利擁護に係る取組みを児童相談所の援助の流れに沿って俯瞰すると以下の図のとおりである。 児童相談所における援助の流れと子どもの権利擁護に係る取組みの図 児童相談所における援助方針等の決定に際して 一時保護の決定を含め、児童相談所の援助方針については、原則あらかじめ、子どもの意向を担当児童福祉司が確認の上、所内援助方針会議で意向を共有するとともに、援助方針を決定している。 また、児童相談所が児童福祉法第27条第1項第1号から第3号まで若しくは同条第2項の措置を採る場合、または解除、停止若しくは変更する場合であって、子どもの意向と当該措置が一致しないときや、児童福祉法第28条に基づく申立を行う場合など、援助方針の要件次第で児童相談所は、その援助方針を児童福祉審議会措置部会(以下「措置部会」という。)に諮問し答申を得た上で、援助決定している。 措置部会では子どもの権利擁護の観点から、児童相談所の援助方針の適正性を確認している。 (参考)児童福祉法第27条各項に基づく措置について(一部抜粋) 【第1項第1号】訓戒・誓約措置 【同第2号】児童福祉司指導 等 【同第3号】ファミリーホーム委託、里親委託、児童福祉施設入所措置 【第2項】指定発達支援医療機関委託 一時保護所における子どもの権利擁護に係る取組み 一時保護所入所時に、一時保護所のしおりを活用した保護所内の生活、悩みがあった場合の相談方法を説明している。 一時保護所内に意見箱を設置し、子どもが誰にも見られずに自身の意見を職員や子どもの権利擁護機関「せたがやホッと子どもサポート」(以下「せたホッと」という。)、一時保護所第三者委員に相談できる仕組みを構築している。 また、原則毎週子ども会議を開催し、一時保護所内の基本的なルールを子ども自身が話し合い決める取組みや、月1回程度一時保護所職員による子どもの意見を聴く会を実施し、子どもが一時保護所内での生活における不満や意見を直接一時保護所職員に話す機会を設けている。 さらに、一時保護所第三者委員を設置し、月1回程度、一時保護所を訪問し、子ども達の様子の確認や子どもから意見を聞き取るなど、入所児童の権利擁護と福祉サービスの向上を図っている。 その他、一時保護所において子どもの権利が守られている体制であるかを含めた第三者による外部評価を3年に1回実施している。 なお、外部評価を実施していない年は内部評価を実施している。 一時保護所における子どもの権利擁護取組みイメージの図 在宅指導における子どもの権利擁護に係る取組み 継続指導や児童福祉司指導など、在宅指導を行っている子どもに対しては、担当児童福祉司による定期的な訪問や、児童相談所での面接をとおして、子どもの状況と意向を確認している。 また、せたホッとでは、普及啓発の一環として、区内の学校等へせたホッとリーフレット等を毎年配布している。 児童福祉施設へ入所している子どもの権利擁護に係る取組み 児童福祉施設入所措置決定時に担当児童福祉司が子どもに対して、子どもの権利ノートを活用しながら施設等での生活、権利についての説明を行っている。 また、権利ノートには、悩みがある場合の相談先の記載や、せたホッとに相談するためのはがきを同封し、子どもが確実に相談できるよう工夫がなされている。 児童福祉施設入所時には、施設長が子どもの自立支援計画を策定している。 この際、児童福祉施設は児童相談所と連携を図りながら、子どもの意見を聞くことに努めている。 児童福祉施設入所中は、担当児童福祉司による定期的な訪問等のほか、施設独自の取組みとして、苦情箱の設置、第三者評価、第三者委員制度などの権利擁護に係る取組みを各施設が行っている。 里親・ファミリーホームへ委託されている子どもの権利擁護に係る取組み 児童福祉施設入所時と同様、里親等への養育委託決定時に担当児童福祉司が子どもに対して、子どもの権利ノートを活用しながら施設等での生活、権利についての説明を行っている。 また、権利ノートには、悩みがある場合の相談先の記載や、せたホッとに相談するためのはがきを同封し、子どもが確実に相談できるよう工夫がなされている。 里親等への委託時には、児童相談所長が子どもの自立支援計画を策定している。 この際、児童相談所は子どもの意見を聞くことに努めている。 在宅指導時と同様、里親等へ委託された子どもに対しては、担当児童福祉司による定期的な訪問や、児童相談所での面接をとおして、子どもの状況と意向を確認している。 児童相談所業務におけるせたホッとを活用した取組み 一時保護や措置された子どもが、児童相談所が行った措置に対する不服・不満がある場合や、施設入所者同士の人権侵害、入所施設等の処遇不満、改善要望などがあった場合は、児童相談所や当該施設等において対応することを基本とするほか、せたホッとへ相談等できるよう、児童相談所は前述のとおり「一時保護所のしおり」や「子どもの権利ノート」を用いて、せたホッとの仕組みや連絡方法を周知している。 子どもからの意見がせたホッとへ寄せられた際には、児童相談所はせたホッととも連携しながら、その内容に応じて必要な改善を図る等の対応を行っている。 被措置児童等虐待への対応 施設職員や里親による被措置児童等虐待への対応については、事務局である児童相談支援課が届出・通告の受理及び調査を行う。 調査結果に基づき必要な措置を講じ、都度その結果を措置部会へ報告している。 参考 被措置児童等虐待とは(児童福祉法第33条の10から第33条の17まで 要約) ・被措置児童等虐待とは、「施設職員等※1」が「被措置児童等※2」に行う「虐待行為※3」をいう。 ※1 施設職員等: ファミリーホーム従事者、里親、児童養護施設の長その他の従業者、一時保護所を設けている児童相談所長、一時保護所の職員等 ※2 被措置児童等: ファミリーホームや里親、児童養護施設などに入所している児童又は一時保護された児童 ※3 虐待行為: 身体的虐待、性的虐待、ネグレクト又は心理的虐待 ・世田谷区は、被措置児童等虐待に係る通告等を受けたときは、速やかに、当該被措置児童等の状況の把握その他事実について確認するための措置を講ずる。 ・世田谷区長は、上記の措置を講じたときは、速やかに、当該措置の内容、当該被措置児童等の状況等を世田谷区児童福祉審議会に報告しなければならない。 ・世田谷区児童福祉審議会は、上記の報告に係る事項について、世田谷区長に対し、意見を述べることができる。 (2)児童相談所が行う意見聴取等措置に関すること(ポイント2) 区児童相談所では、改正児童福祉法に規定されている意見聴取等措置を行うタイミングにおいて、すべて子どもの意見を確認している。 措置の種別と実施、意見の所内共有の表 (3)意見表明等支援事業に関すること(ポイント3) 現在区において、意見表明等支援事業は実施していない。 4 今後の方向性(検討経過のとりまとめ) 第5回臨時部会までの議論や関係者からのヒアリング等を踏まえ、今後、児童相談所が関わる子どもの権利擁護の仕組みを構築する上で、目指すべき方向性は以下のとおりである。 なお、これらの報告については、現時点での検討状況を取りまとめたものであり、臨時部会としての最終的な判断は第6回臨時部会以降の議論を経て行うこととする。 (1)子どもの権利擁護の環境整備に関すること 児童相談所が関わる子どもの権利擁護の環境整備(権利擁護システム全体像の整理)では、主に一時保護や施設入所措置などの児童相談所の措置等に対する不満や不服がある場合の対応について、既存の措置部会とせたホッととの役割を整理しつつ、今後の方向性を検討した。 1 児童相談所の措置等に対する不満や不服への対応について <現状と検討のポイント> 児童相談所は、子どもの意向を最大限尊重した援助方針の決定や子どもに対して援助内容の丁寧な説明を現在も実施しているところであり、今回の検討では、それを経てもなお、子どもが児童相談所の措置等に対して不満がある場合にかかる対応について検討するものである。 現在措置部会においては、児童相談所が児童福祉法第27条第1項第1号から第3号まで若しくは同条第2項の措置を採る場合、またはこれらの措置を解除、停止若しくは変更する場合であって、子どもの意向と当該措置が一致しないとき、児童相談所からの諮問を受け、措置の適否を答申しているが、一時保護の決定や解除時における子どもとの意向不一致や、措置決定後、子どもの意向が一致しなくなった場合には措置部会への諮問は行なわれていない。 そのため、一時保護や施設入所措置等という子どもの環境が変化する場面でも、子どもの権利擁護の観点から、児童相談所の援助内容が子どもの権利擁護のために適切であることを担保する仕組みの構築が必要である。 さらに、現行制度下では措置部会は児童相談所から諮問するといった形のみで審議を行っているところであるが、子どもが自分の意見を直接措置部会へ伝えたい場合や、子どもが保護や措置等を求めているのにも関わらず、児童相談所が対応しない場合などに、子ども本人から措置部会へ直接意見を申し立てる仕組みの構築も必要である。 一方で、せたホッとにおいては、現在でも児童相談所の措置等への不満に関する相談を受けた場合、子どもの権利擁護に係る第三者機関として、子どもの意見や気持ちに寄り添いながら、必要な支援を行うこととしているが、この間、社会的養護(一時保護含む)における子どもからの相談実績は少ない現状がある。 今後の方向性 (措置部会について) ・ 現在措置部会の諮問対象とされていない、一時保護の決定・解除時における子どもとの意向不一致や、措置等決定後の経過の中で子どもの意向が児童相談所の援助方針と一致しなくなった場合には、児童相談所は措置部会から意見を聴くこととし、援助内容が子どもの権利擁護のために適切であることを都度担保する仕組みを構築する。 ・ 子どもが保護や措置を求めているにもかかわらず、児童相談所がそうした対応を行わない場合などに、子ども本人または今後検討する意見表明等支援員を通じた措置部会への申立て制度や、必要に応じて措置部会へ出席し、直接子ども本人等が措置部会へ意見を表明できる仕組みを構築する。 (せたホッとについて) ・ せたホッとに児童相談所の措置等への不満に関する相談があった場合、せたホッとは子どもの意見に寄り添いながら相談に応じ、子どもへの必要な助言や支援、児童相談所との調整等を行う。 (その他) ・ せたホッとや措置部会の存在、それぞれの役割及び相談・申立てができること等について、一時保護された子どもや措置された子どもに分かりやすく説明するなど、子どもの権利擁護機関の普及啓発に取り組む。 ・ 措置等の決定そのものを取り消す機能は行政不服審査法に基づく審査請求により対応するものとする。 児童相談所の措置等に対する不満(意向不一致)への基本的な対応イメージ 2 その他の主な子どもの意見への対応 現状と検討のポイント 児童相談所の措置等に対する不満や不服以外の主な子どもの意見としては、被措置児童等虐待に関する相談、施設等(一時保護所含む)における生活上の不満、里親等や在宅ケースにおける生活上の不満が想定される。 被措置児童等虐待に関する相談については、措置部会事務局(児童相談支援課)が届出・通告として受理し、調査する。 調査結果は児童福祉法の定めるところにより、措置部会事務局から措置部会へ報告することとされている。 一方、施設等(一時保護所含む)における生活上の不満(児童相談所の措置等に関する事項を除く)については、通常は施設等が子どもの意見を受け止め、改善を図るものであるが、子ども等が施設等第三者委員や、児童相談所または施設等所管部署等に意見を伝え、施設等第三者委員や、児童相談所または施設等所管部署等から、施設等に働きかけることも可能である。 また、子ども等がせたホッとによる対応を希望する場合は、せたホッとに意見を伝え、意見の内容に応じて、せたホッとから施設等、施設等第三者委員、児童相談所、施設等所管部署等に働きかけることとなる。 同様に、里親等、在宅ケースにおける生活上の不満(児童相談所の措置等に関する事項を除く)については、通常は里親等や保護者が子どもの意見を受け止め、改善を図るものであるが、子ども等が児童相談所または里親等所管部署等に意見を伝え、児童相談所または里親等所管部署等から、里親等や保護者に働きかけることも可能である。 また、子ども等がせたホッとによる対応を希望する場合は、せたホッとに意見を伝え、意見の内容に応じて、せたホッとから里親等、保護者、児童相談所、里親等所管部署等に働きかけることとなる。 今後、具体の意見表明等支援事業の内容を検討する際には、上記の基本的な対応方針を念頭に置いて進める必要がある。 今後の方向性 ・ 児童相談所の措置等に対する不満や不服以外の主な子どもの意見に対する調整について、現状の対応の流れを踏まえ、今後、意見表明等支援事業を実施した場合の調整方法を検討していく。 その他の主な子どもの意見に対する調整イメージ (2)児童相談所が行う意見聴取等措置に関すること 現在、児童相談所では、改正児童福祉法に規定されている意見聴取等措置を行うタイミングにおいて、すべて子どもの意見を確認しているところである。 引き続き、適切なタイミングで子どもの意見を聴取するとともに、今後、具体的な聴取の方法や意見の取扱い等が国の指針等で示された際には、適切に対応するものとする。 (3)意見表明等支援事業に関すること 意見表明等支援事業については、この間の議論や関係者からのヒアリングを踏まえ、現時点で見えてきた今後の方向性を整理した。 なお、現在、区においては意見表明等支援事業を実施していないため、【現状と検討のポイント】ではなく、臨時部会で出た【主な意見】を記載することとする。 1 意見表明等支援事業の実施形態について <主な意見> 意見表明等支援事業の実施主体は独立している立場であることが必要である。 既存の子どもの声を聴く仕組みと意見表明等支援員が別々に存在していて、子どもはどちらにも相談できるという制度が良いのではないか。 その場合、両者でケース共有をする等の調整が必要である。 今後の方向性 ・ 児童相談所とは別の組織(子ども・若者部など)が意見表明等支援事業を所管する。 ・ 意見表明等支援事業は外部委託し、受託事業者が意見表明等支援員を確保する。 2 意見表明等支援員の役割 主な意見 意見表明の前段階として、意見形成支援が必要である。 子どもと関係機関との間で、意見の代弁や対応結果の伝達を繰り返すことで、子どもを妥協させるということではなく、現実的なところで子どものニーズを叶えていく、そういう関係機関との「調整」という役割もあるのではないか。 家族背景やその子どもの問題行動等、そうしたことに関係もなく、その子どもの気持ちや意見を支え、共に考えるという役割が必要である。 一時保護所第三者委員の、保護所全体の改善に向けた助言等もするという点は、意見表明等支援員にはない役割である。 今後の方向性 ・ 意見表明等支援員はアウトリーチを中心に活動し、日常生活から子どもに寄り添い、考えを整理して意見を形成することの支援、子どもが意見を表明することの支援、意見の代弁をする。 ・ 子どもの意見を伝えた機関の対応結果を子どもにフィードバックする役割も担うが、意見表明等支援員は子どもの側に立つ役割であり、子どもを説得する立場にはならない。 ・ 第三者委員制度と異なり、施設等のサービスの質の向上のために自発的に意見を述べる役割は負わない。 3 意見表明等支援員の担い手 主な意見 子どもの意見形成の支援や意見を代弁するための専門性が必要である。 年齢や資格よりも、子どものことをそのまま受け止めて真剣に話を聞くこと、子どもと合うかどうかが重要である。 子どもの意見を正しく把握するため、施設等の状況や子どもが置かれている状況を把握していることが必要である。 今後の方向性 ・ 意見表明等支援員は年齢や資格のみを要件にするのではなく、必要な専門性を備えていることを要件とする。 ・ 意見表明等支援員は施設等の状況や子どもが置かれている状況を把握しながら業務を行う。 4 意見表明等支援事業の実施方法 主な意見 遊びや勉強など、何かしながら実施するのが良いのではないか。 子どもと信頼関係を築くにあたっては、食事を一緒に摂ることが重要である。 話したことを口外されない安心感が必要である。 身体的にも心理的にも安全な環境で実施することが必要である。 相談してみて、合わなければ別の人に相談できる仕組みが良いのではないか。 意見表明等支援員の心理面に配慮すると、スーパーバイズ機能が必要ではないか。 なるべく継続的に長期間関わることが必要である。 月に1回程度の活動では意見形成支援までは行うことができない。 より高い頻度で日常生活に寄り添うことが必要である。 今後の方向性 ・ 遊びや勉強、食事などを一緒にしながら、信頼関係を構築していく。 ・ 業務内容に守秘義務を盛り込み、心理的な安全を確保する。 ・ 意見表明等支援員は複数名が対応できる体制を確保し、スーパーバイズ機能を設けることとする。 ・ 継続的に関わりながら信頼関係を築けるよう、実施頻度について検討する。 5 事業実施時の留意点 主な意見 十分な子どもの権利擁護システムを構築するためには、せたホッとや施設の第三者委員等の既存の機関がどのように対応するかを想定し、横断的な対応ができるように工夫することが必要ではないか。 児童相談所の職員、施設等職員、実親、里親等の理解を得た上で実施することが必要である。 意見表明等支援員が全て解決するというものではなく、子どもの権利を守る機能の1つとして位置づけることが適当ではないか。 意見表明等支援員という名称では硬すぎるのではないか。 子どもが親しみやすい名称や内容が分かるカードなどを用意できると良いのではないか。 今後の方向性 ・ 独立性を確保しつつも、関係機関との連携が必要になるため、関係機関に事前説明を行い理解を得る。 また、関係機関との連携を深めるための仕組みについて検討する。 ・ せたホッとや第三者委員制度など、既存の制度があることに留意し、事業の主旨や意見表明等支援員の位置づけを子どもが理解できるよう、丁寧に説明する。 ・ 子どもが親しみやすい制度となるよう、名称や周知方法を検討する。 (4)その他 今回検討している、児童相談所が関わる子どもの権利擁護全体の留意点として、対象となる子どもの範囲を、一定の年齢に達しているか否か、自分の意見を言葉で表明できるか否か、障害の有無といった事柄によって狭めるべきではないとの意見があった。 対象となる子どもの考え方や、子どもの特性に応じた意見等把握の方法については、引き続き検討していく必要がある。 5 臨時部会での主な意見 第1回臨時部会での主な意見(全て委員からの意見) 1 子どもの権利擁護の環境整備に関すること ・ 児童福祉法改正により、施設入所児童の年齢上限が撤廃されたこともあり、議論の対象となる子どもの年齢の考え方を整理する必要がある。 ・ 物心つかない子どもや、幼児の権利をどのように守るか考える必要がある。 ・ 生育環境や知的な発達の違いによって、権利擁護に対する子どもの理解度に違いがある。 それを踏まえ、大人がどう受け止めるかが課題である。 ・ 在宅の子どもを対象として考える必要がある。 また、意見を言うことが得意でない子どもの意見を取りこぼすことがないようにする必要がある。 ・ 一時保護しない場合、子どもと保護者の意見・意向を確認し、一時保護しないことについて、苦情申し立てができることを児童相談所から教示する必要がある。 ・ 施設や里親家庭での被措置児童等虐待には至らないような権利侵害の事案について、取りこぼしがないようにする必要がある。 ・ 十分な子どもの権利擁護システムを構築するためには、せたホッとや施設の第三者委員等の既存の機関がどのように対応するかを想定し、横断的な対応ができるように工夫することが必要ではないか。 ・ 里親家庭の場合、児童相談所に言うと家にいられなくなるのではないか、という恐怖心が子どもにあることも踏まえ、子どもの意見聴取の方法を検討しなければならない。 ・ 施設や里親に関するせたホッとへの相談が少ないことから、子供の権利ノート等での書き方や、周知の仕方を工夫しなければ、今後新しい権利擁護の制度を設けたとしても、十分に意見を拾うことができない恐れがある。 ・ せたホッとは、子どもから申出を受けて動く仕組みであることに留意し、協力体制等を検討する必要がある。 ・ 区の取組みに加え東京都の制度も利用できる。 複数の機関がある中、取りこぼしがないよう、広くカバーできるようにしておけると良い。 2 児童相談所が行う意見聴取等措置に関すること ・ 一時保護や入所措置等をしない家庭について、児童相談所が意見聴取するタイミングを定められると良い。 3 意見表明等支援事業に関すること ・ 里親支援専門相談員は、子どもと密にやり取りがあるため、子どもの意見を聞き取る者として適切ではないか。 ・ フォスタリング機関の職員で、日常的に子どもと関係性を築いている者は適切なのではないか。 ・ フォスタリング機関やせたホッととは別に、子どもの声を100%聞く役割を持つ機関が必要ではないか。 第2回臨時部会での主な意見(委員及びヒアリング参考人からの意見) 1 子どもの権利擁護の環境整備に関すること (ヒアリング参考人からの意見) ・ 子どもの意見を聴取するだけで終わらせず、活かしていくこと、フィードバックすること等が必要。 2 児童相談所が行う意見聴取等措置に関すること (委員からの意見) ・ 児童福祉司、児童心理司が長期間替わらずに担当することが望ましい。 ・ 担当者が替わった後も、しっかりと繋がれるようなシステムを考えることが必要。 (ヒアリング参考人からの意見) ・ 児童相談所から子どもに対して、子どもが置かれている状況について、より丁寧に説明できると良い。 ・ 措置される子どもに、今後の生活や見通しを説明できると良い。 3 意見表明等支援事業に関すること (委員からの意見) ・ 独立している立場であることが必要である。 ・ なるべく継続的に長期間関わることが必要である。 ・ 職種や年齢は問わず、その子どもに合う人かどうかが重要である。 ・ 話したことを口外されない安心感が必要である。 ・ 子ども自身が、様々な大人の中から自分に合う人を選ぶことができる仕組みが良い。 ・ 子どもは、批判をしたら環境を変えられてしまうかもしれない、という恐れを抱いていることを念頭に置く必要がある。 ・ 意見表明の前段階として、意見形成支援が必要である。 ・ 意見形成と意見表明の前提として、身体的・心理的に子どもの安全が確保されている必要がある。 ・ 子どもが抱える不満感は根源的かつ複合的なものであり、アドボケイトが全て解決するというものではなく、子どもの権利を守る機能の一つとして位置づけることが適当ではないか。 ・ 寄り添って話を聞いてくれる存在がいることが子どもの成長にとって重要である。 ・ 施設の第三者委員よりも身近な存在として、複数の相談先の一つとして、新たに設けられると良いのではないか。 ・ 独立性と守秘義務を担保しながら、関係機関とどう連携するかが課題である。 (ヒアリング参考人からの意見) ・ 子どものことをそのまま受け止め、真剣に話を聞くことが重要で、年齢、資格、頻度はそこまで重要ではないのではないか。 ・ 否定せずに、まずは聞くという姿勢が必要。 ・ 10〜20歳くらい年上の人が担い手としてはふさわしい。 ・ 同性で、20代後半から30代前半の人が担い手としてはふさわしい。 ・ 若いだけではなく、それなりの知識を持っている人が担い手としてはふさわしい。 ・ 社会的養護など、自分と近い経験をもつ、少し年上の人が担い手としてはふさわしい。 ・ 夜間、放課後、休日の日中が相談しやすい。 ・ 生活している部屋や建物とは別の場所が相談しやすい。 ・ 遊びや勉強など、何かしながら実施するのが良い。 ・ 質問や意見を投げかけてもらい、それに反応する方法が良い。 ・ 特に初めの頃は頻繁に子どもと会い、関係性を構築することが望ましい。 ・ 相談してみて、合わなければ別の人に相談できる仕組みが良い。 ・ 思春期、第二次性徴期のタイミングで意見を聞いてもらえると良い。 ・ 進学、進路相談、就職のタイミングで意見を聞いてもらえると良い。 ・ 自立、措置延長のタイミングで意見を聞いてもらえると良い。 ・ 措置変更のタイミングで意見を聞いてもらえると良い。 ・ 幼児、知的能力が低い子ども、感情のコントロールが難しい子どもは意見を伝える能力が低く、支援が必要である。 ・ 子どもの意見が、自発的にあるいは、親の意見、聞き取る者の期待、インターネットの情報等によって、変わり得ることに留意が必要である。 ・ 頻繁に会っていて子どもからの意見が出ないとしても、気にかけている人がいるということが子どもに伝わることが重要である。 ・ 施設の第三者委員との役割の整理は必要だが、子どもの相談先が複数あることは望ましい。 ・ 他自治体の児童相談所から措置された子どもの扱いを整理することが必要である。 ・ 児相の職員、施設職員、実親等の理解を得た上で実施することが必要である。 第3回臨時部会での主な意見(全て委員からの意見) 1 子どもの権利擁護の環境整備に関すること ・ 関係機関との連携を円滑にするためには、関係機関に対して「子どもの権利」についての理解を促進していくことが必要ではないか。 ・ 既存の仕組みはあるが、子どもの意見を聞く仕組みが複数あっても良いのではないか。 複数の仕組みで色々な大人がいる方が、子どもにとって使いやすい制度であると考えられる。 ・ せたホッとも児相が関わる子どもの意見を聞いているという点は、アドボケイトの役割と重なるため、整理する必要がある。 ・ 意見表明等支援員が定期的に来ても、意見を言い出せない子どもはいるのではないか。 意見表明等支援員が聞いた意見だけでなく、他の身近な大人が聞いた意見も拾い上げていく必要があるのではないか。 ・ 東京都で作られるアドボケイトの仕組みとは分けて考え、世田谷区の独自性を出せる形で制度を作る必要がある。 3 意見表明等支援事業に関すること ・ せたホッとの相談・調査専門員とアドボケイトは役割も若干異なることから、求められる専門性も必ずしも一致せず、アドボケイトには子どもの意見を代弁するための専門性が求められるのではないか。 ・ 子どもに接するという点では年齢が近い方が良いと考えられるが、他機関との調整を行う場合は、あまり若いとやりにくさがあると考えられる。 事務局で補う等の工夫が必要ではないか。 ・ せたホッとが子どもの支援を中心に据えているように、アドボケイトも単に子どもの意見を聞いて代弁するだけでなく、児童相談所の支援の中で子どもが置き去りにならないように見ていくことが求められるのではないか。 ・ 幼児、障害のある子ども等を取りこぼさないようにする必要がある。 第4回臨時部会での主な意見(委員及びヒアリング参考人からの意見) 1 子どもの権利擁護の環境整備に関すること (委員からの意見) ・ 措置部会が一度答申をしたケースに対して子どもが不服を申し立てた場合に、その審査を措置部会が行うこととすると、同じ結論しか得られないことになり不適当ではないか。 ・ 毎日子どもと接する職員をどうケアして、いかに余裕を持って子どもに接することができるようにするかが、子どもの生活の豊かさや成長につながっていくのではないか。 (ヒアリング参考人からの意見) ・ 一時保護所職員のケアも重要。職員がもっと余裕をもって子どもと接することができるようになると、第三者委員も子どもから意見を聞きやすくなり、一時保護所全体の雰囲気も明るくなるのではないか。 ・ アドボカシーの体制整備にあたって、子ども、若者、ケアリーバー等の当事者の声も取り入れられることを期待している 3 意見表明等支援事業に関すること (委員からの意見) ・ 一時保護所第三者委員は、アドボケイトの機能も併せ持っていると考えることもできるのではないか。 ・ 一時保護所第三者委員の、保護所全体の改善に向けた助言等もするという点は、アドボケイトにはない役割である。 ・ 家族背景やその子どもの問題行動等、そうしたことに関係もなく、その子どもの気持ちや意見を支え、共に考えるという役割が必要ではないか。 ・ 子どもと関係機関との間で、意見の代弁や対応結果の伝達を繰り返すことで、子どもを妥協させるということではなく、現実的なところで子どものニーズを叶えていく、そういう関係機関との「調整」という役割もあるのではないか。 ・ 一時保護所第三者委員と意見表明等支援員が別々に存在していて、子どもはどちらにも相談できるという制度が良いのではないか。 その場合、両者でケース共有をする等の調整が必要ではないか。 ・ 子どもと信頼関係を築くにあたっては、日々子どもと接している職員が間に入ること、食事を一緒に摂ることが重要。 ・ 子どもの意見を正確に捉えるためには、その子どもや施設等の状況を把握していることが求められるのではないか。 (ヒアリング参考人からの意見) ・ 意見表明支援の前の、意見形成支援も行うことが求められる。 ・ 子どもが表明した意見が全て叶えられるものではなく、できることを一緒に考えて行動することが求められるのではないか。 ・ 決定のプロセスに子どもが参画できることで、希望通りの結果にならなくても、勝手に決められたのではないと感じるため、結果に納得できるようになるのではないか。 ・ 子どもの声にじっくりと耳を傾け、子どもを信じ寄り添い、子どもの力を引き出すことがアドボケイトの仕事になると考える。 ・ 意見表明等支援員は独立性があって、子ども側に立つ存在で、他の機関の都合に基づいて子どもを説得するといったことはしないのではないか。 ・ フィードバックするのは児童相談所等で、意見表明等支援員はそれを子どもと一緒に聞く立場になるのではないか。 ・ 意見表明等支援員は、「必ず子どもにフィードバックする人」とは位置づけず、「子どもの話を聞き、一緒に思考を整理する人」と位置づけることが考えられるのではないか。 ・ 子どもの話を聞くことに特化することも重要ではないか。 ・ 代弁の前に、まずは子どもが自分で意見を言えるように支援していくことが求められるのではないか。 ・ 継続的、定期的に子どもを訪問し、余裕をもって遊ぶこと等を通して信頼関係を構築していくことが必要ではないか。 ・ 子どもと遊びながら話を聞く、話を聞いて一緒に何か考えるといったことをこまめにすることが必要ではないか。 ・ 月に1回程度の活動では意見形成支援までは行うことができない。 より高い頻度で日常生活に寄り添うことが必要ではないか。 ・ 週に1回訪問していれば、訪問の後に相談したいことができても、来週に向けて話したいことを整理することもできて良いのではないか。 ・ 子どもに権利があるということは、子どもが自分で決めてその責任も子どもがとるということではなく、大人が子どもの意見をしっかりと聞いて、大人が子どもと一緒に意思決定をすることだという点に留意すべきではないか。 ・ 意見表明をした子どもにフィードバックすることが必要。 結果が子どもの望んだものでなくても、大人が寄り添って真剣に考えたのだと伝わることが重要ではないか。 ・ 子どもが自己中心的に言いたいことを言うだけの制度にならないように、意見を聞いた個人個人が判断するのではなく一定程度共通の判断基準を設ける等、枠組みを作ることが重要ではないか。 ・ 意見表明等支援事業の実施者と、児童相談所、一時保護所、子ども家庭支援センター等の職員が、相互に役割を理解した上で取り組む必要があるのではないか。 第5回臨時部会での主な意見(全て委員からの意見) 1 子どもの権利擁護の環境整備に関すること ・ 児童福祉審議会に子ども本人が出席することは、非常に心理的な負担が大きいと思われるため、意見表明等支援員が出席することも可能な制度とすることが必要。 ・ 場所、人数等の実施方法を工夫することで子ども本人の心理的負担を減らしながら、児童福祉審議会の委員が子ども本人から直接話を聞くことも考えられるのではないか。 ・ 言葉で意見を表明できなくても、表情や目線から汲み取れることもあるので、言葉で意見を表明できる子どもや一定の年齢に達した子どものみを対象とすることは不適当ではないか。 ・ 障害がある子どもの意見をどう汲み取るかも検討が必要である。 ・ 言葉で意見を表明できない子どもの意見を汲み取るためには、精神科医や臨床心理士が見立てるなど、正確性を確保することが必要ではないか。 ・ 障害福祉分野では、言葉で意見を表明できない人の意見を汲み取るため、ケースワーカー、医師、家族等がチームで判断、決定する取り組みがあるが、応用することが考えられるのではないか。 ・ 今回検討している「子どもの意見を聴く」ということについて、ケースワークを進める上で必要となる子どもの意見の聴取を補強していくものと考えるのか、司法面接と同等のものと考えるのか、整理する必要がある。 これまでの議論の流れとしては、児童相談所のケースワークを進める上で必要となる子どもの意見の聴取を補強するものと考えることが妥当ではないか。 ・ 時期や状況によって子どもの意見は変わるものであり、ある時点の言葉だけによって、その後の子どもの意見を受け入れないといったことがないようにしなければならない。 ・ 措置等する前に、子どもに対して児童福祉審議会の位置づけや役割、そこに申し立てることで何ができるのか、といったことを子どもにしっかり説明する必要がある。 ・ 保護者に行政不服審査法に基づく審査請求が行える旨教示がされていることと同じように、子どもに対しては児童福祉審議会で審議してもらえることを伝えておくことが考えられるのではないか。 ・ 一時保護実施にかかる意向不一致について、保護開始前あるいは保護開始後最初に開催する児童福祉審議会で諮問するとのことだが、子どもにはその期日を明確に伝える必要があるのではないか。 ・ 最初に開催する措置部会にて諮問するだけでなく、措置部会の委員から何名かが意見を聞きに行くといった方法も考えられるのではないか。 ・ 子どもにとって、自分の思いが叶ったという体験をすることが非常に重要である。 ・ 児相の援助方針に対する意向不一致が生じた際に、児相が諮問する方法だけでは なく、子どもが直接申し立てる方法も設けるべきである。 ・ 児相の援助方針について、関係機関から児童福祉審議会へ申立てる方法も検討するべきではないか。 ・ 生活上の不満に関する調整イメージについて、里親等に働きかける可能性のある機関として、区とは別に、フォスタリング機関を記載するべきではないか。 ・ 施設に働きかけても改善されないこともある。 指導権限を強めるというよりも、区が施設と一緒に良い方向に向かっていこうとするような関わりが今後必要になるのではないか。 3 意見表明等支援事業に関すること ・ 子どもは、組織や職名ではなく、顔見知りで身近に感じられるような「人」を頼ることになるのではないか。 ・ 大人の視点で考えると、自分が子どもの意見を聞く余裕がない時も、色々な仕組みで子どもの権利を守る機能があると知っておくことも重要である。 ・ 意見表明等支援員の心理面に配慮すると、スーパーバイズ機能が必要ではないか。 ・ 資格等を要件としないとしつつも、専門性を有することを要件とする等、矛盾しているようにも見受けられる項目があり、外部委託先の確保が難しくなるのではないか。 実施可能な内容にしていくことが必要である。 ・ 意見表明等支援員という名称では硬すぎるのではないか。 子どもが親しみやすい名称や内容が分かるカードなどを用意できると良いのではないか。 (参考)ヒアリング実施概要 児童相談所が関わる子どもの権利擁護について検討するにあたり、関係機関等の意見を聞くために、第2回〜第4回臨時部会において、以下のとおりヒアリングを実施した。 第2回臨時部会でのヒアリングについて (1)ヒアリング参考人 1 養育家庭(里親) 2名 2児童養護施設職員 2施設2名ずつ(計4名) 3 児童養護施設経験者 2名 4 養育家庭(里親)経験者 1名 (2)ヒアリングの進行 1 ヒアリング参考人1名ずつ実施(児童養護施設職員のみ施設単位で実施) 2 ヒアリング参考人が、下記の内容について意見等を述べる(15分程度)。 3 各委員は、参考人の意見を聞いたうえで、適宜質問を行う(15分程度)。 【養育家庭(里親)・児童養護施設職員】 ・ ご自身について(経歴や養育に携わっている年数等) ・ 子どもの意見等を把握するにあたって困難を感じる点 ・ 子どもから多く聞かれる意見 ・ 意見表明等を支援する必要があると感じる年齢や場面 ・ 児童相談所等との連携について ・ 意見表明等支援について、不安に思う事、抵抗を感じること 等 【養育家庭(里親)経験者・児童養護施設経験者】 ・ ご自身について(支障のない範囲) ・ 意見を伝えていた場面 ・ 意見を聞いてもらいたいと思った場面 ・ 自分の意見が伝わっていないと感じた場面 ・ どんな人が意見を言いやすいか ・ どんな環境、方法が意見を言いやすいか(時間帯、場所、聞き方等) 等 第3回臨時部会でのヒアリングについて (1)ヒアリング参考人 1 せたがやホッと子どもサポート 子どもサポート委員 月田 みづえ委員 (2)ヒアリングの進行 1 ヒアリング参考人が、下記の内容について意見等を述べる(20分程度)。 2 各委員は、参考人の意見を聞いたうえで、適宜質問・意見交換を行う(40分程度)。 ・ 具体的な活動内容 ・ 活動の中で困難を感じる点 ・ 活動の中で子どもから多く聞かれる意見 ・ 児童相談所との関係について 等 第4回臨時部会でのヒアリングについて (1)ヒアリング参考人 1 一時保護所第三者委員 明石 眞弓委員 2 一時保護所第三者委員 熊澤 美帆委員 (2)ヒアリングの進行 1 ヒアリング参考人が、下記の内容について意見等を述べる(20分程度)。 2 各委員は、参考人の意見を聞いたうえで、適宜質問・意見交換を行う(40分程度)。 ・ 具体的な活動内容 ・ 活動の中で困難を感じる点 ・ 活動の中で子どもから多く聞かれる意見 ・ 意見表明等を支援する必要があると感じる年齢や場面 ・ 児童相談所、せたホッと等との連携について 等