資料4 (別紙1) 世田谷区子ども・子育て支援事業計画調整計画(案)令和5・6年度(概要版) (福祉常任委員会資料) 第1章 子ども・子育て支援事業計画調整計画策定の概要 子ども・子育て支援事業計画調整計画策定の趣旨 子ども・子育て支援事業計画の概要 ●子ども施策の基本的な考え方として、令和2年度から令和6年度までの「子ども計画(第2期)後期計画」を策定しており、子ども・子育て支援法に定める「子ども・子育て支援事業計画」を内包している。 ●「子ども・子育て支援事業計画」は、幼稚園や保育園等の教育・保育事業とひろば事業や一時預かり事業等の地域子ども・子育て支援事業の需要量見込み及び供給体制の確保の内容、実施時期を定めている。 子ども・子育て支援事業計画の見直しの背景 ●令和2年度以降、育児休業の利用拡大、テレワークの普及等、コロナ禍の影響もあり、子どもと子育て家庭をとりまく環境や保護者の働き方が急激に変化。 さらに、近年、区の出生数の減少が続いており、今後も、年少人口(0〜14歳)の減少が見込まれる等、子ども・子育て政策の背景は大きく変化している。 ●ニーズ調査や利用者ヒアリング、世田谷区将来人口推計、計画の進捗状況及び評価を踏まえ、「子ども・子育て支援事業計画」を見直し、令和5・6年度の「子ども・子育て支援事業計画調整計画(以下「調整計画」)」の案を策定した。 今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン) ●「調整計画」は、 子どもや子育て家庭をとりまく環境の急激な変化やコロナ禍の影響により新たに生じている課題に迅速に対応し、現在の後期計画の取組みを一層加速させる必要があるため、「世田谷区未来つながるプラン」と連動し、次期子ども計画への展望も見据えて「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」をあわせて定める。 第2章 子ども・子育て家庭を取り巻く状況、計画の進捗状況・評価 子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査結果から推測される子育ての状況 (1)日常的に子どもをみてもらえる親族や友人・知人が「誰もいない」との回答が半数 祖父母同居・近居がない世帯に限ると7割前後 ・日常的に子どもをみてもらえる親族や友人・知人が、「誰もいない」と回答した割合は、未就学児55.5%、就学児49.7% ・祖父母同居・近居がない世帯に限ると、未就学児76.1%、就学児69.7% (2)妊娠中や出産後、周囲の手伝いや声掛けが得にくい状況がある ・妊娠中、身近な方で気にかけてくれた、助けてくれた人は、「里帰り出産をした際の父母」が30.4%(前回比▲3.9 %)、「近居父母」が22.7%(前回比▲2.1 %)、「近所の人」が6.9%(前回比▲3.2 %)と前回調査より下がる。 ・出産後、一緒に子育てや家事を手伝ってもらった人は、「配偶者・パートナー」が79.9%(前回比+5.2%)と上昇した一方、「遠居の父母」が32.3%(前回比▲3.0%)、「里帰り出産をした際の父母」が32.0%(前回比▲4.2%)、「近居父母」が20.8%(前回比▲1.1%)、「父母以外の親族」が12.3%(前回比▲2.4%)、「友人・知人」が16.6%(前回比▲3.2 % )、「近所の人」が2.6%(前回比▲2.2%)、と前回調査より下がる。 (3)子育ての心配事や悩み事の相談先が少なくなっている ・子育てに心配ごとや悩みごとの相談先は、「配偶者・パートナー」と回答した割合は、未就学児88.6%(前回比+2.8%)、就学児85.0%(前回比+2.0%)と大きな変化はないが、「近所の友人・知人」が未就学児18.6%(前回比▲5.3%)、就学児25.3%(前回比▲3.0%)、「子どもを介して知り合った友人」が未就学児29.6%(前回比▲13.0%)、就学児43.2%(前回比▲9.1%)、といずれも前回調査より下がる。 (4)「子育てが辛い」と感じる保護者ほど子育ての心配事や悩み事の相談先の数が少ない傾向がある ・子育ての心配ごとや悩みごとの相談先の数と子育てが楽しいと感じるかとのクロス集計をかけたところ、 未就学児の保護者で「子育てが辛い(どちらかというと辛い、とても辛い)」と感じているほど、相談先が2個以下と少ない割合が高い。 特に「とても辛い」と回答した保護者は相談先なしが20%を超えている。 ・就学児の保護者も「子育てが辛い(どちらかというと辛い、とても辛い)」と感じているほど、相談先が2個以下と少ない割合が高い。 平成29年(2017年)と令和4年(2022年)の将来人口推計(0〜5歳、6〜11歳) 0〜5歳の人口 平成29年推計値(前回計画策定時)は、令和6年まで45,000人程度を推移すると推計していた。 しかし、令和2年43,995人(推計値より約1,000人減)、令和3年42,738人(推計値より約2,000人減)、令和4年40,996人(推計値より約3,500人減)となった。 令和4年人口推計値では、出生数の減少と生産年齢人口の転出超過の傾向もあり、令和6年には、38,365人となる見込みである。 その後も、減少傾向は継続する見込みで、10年後の令和14年には、35,000人前後となり、その後も、同水準で推移する見込みである。 6〜11歳の人口 平成29年推計値(前回計画策定時)は、令和4年まで毎年約1,000人増加し、それ以降も、増加すると推計していた。 しかし、令和2年44,215人(推計値より約200人減)、令和3年44,903人(推計値より約600人減)、令和4年45,115人(推計値より約1,200人減)となった。 令和4年人口推計値では、徐々に減少に転じ、令和6年には、44,497人となる見込みである。 10年後の令和14年には、36,000人前後となり、その後は、35,000人前後で推移する見込みである。 平成29年の人口推計と実際の人口および新たな推計との比較(0〜5歳)の表 平成29年の人口推計と実際の人口および新たな推計との比較(6〜11歳) 乳幼児の養育状況 令和4年度の状況 3〜5歳児の9割程度が保育所や幼稚園を利用している一方、0〜2歳児は家庭養育の割合が比較的高く、特に0歳児の73.3%が家庭で養育されている。 0歳児から2歳児の状況 1歳児及び2歳児は年々家庭での養育の割合が減り、保育所等の利用が増える傾向があるが、0歳児の養育状況の変化はあまりみられない。 3,4,5歳児の状況 年々、家庭での養育や幼稚園の割合が減り、保育所等の割合が増える傾向がある。 乳幼児の養育状況の推移(0〜5歳)(世田谷区)の表 保育待機児童数の推移、認可保育園等の空き状況の推移 令和2年以降、区の保育待機児童は0となっている。 一方で、これまでも5歳児の空きは新規園の開園に伴い発生していたが、特に令和3年は0歳児の空きが増大し、一部の私立保育園等の運営に影響を及ぼす状況となっている(令和3年、4年共に年度途中入園が進み、9月時点で0歳児の空きはほぼ解消されている)。 年齢別待機児童数の推移(世田谷区)(各年4月1日現在) 認可保育園等の空き状況の推移(世田谷区) 子ども・子育て会議による評価・検証及び課題抽出 調整計画の策定にあたり、子ども・子育て会議において、子どもや子育て家庭を取り巻く状況、計画の進捗状況を踏まえ、以下のとおり、評価・検証及び課題抽出を行った。 (1)0歳児は、在宅で子育てしている家庭が多いという現状を踏まえ、子ども・子育て支援事業計画の見直し検討とあわせて、各事業の運用面での検討も必要である。 (2)子どもの数の現状だけをみて支援や施設を減らすのではなく、子ども計画に掲げる「子ども主体」、子どもを権利の主体としてその最善の利益を保障する、という視点で検討しなければならない。 (3)妊娠期から支援につながる仕組みや保育園等の地域の子育て施設の充実が図られた一方、コロナ禍で、これまでのように祖父母や友人等の支援を受けたり、気軽に子育て施設や相談の場に足を運びにくい状況が重なり、人とのつながりの中での子育てが難しい状況にあることから、日常的に支援につながるための仕掛けが必要である。 (4)保育待機児童数が0となっているが、依然として希望する保育施設に入園することができない方や、半径2キロメートル以内の保育施設に空きがありながら入園できていない方なども一定数存在する。 指数の状況から短時間勤務の方が多いことが想定されるが、このような状況を分析する必要がある。 また、コロナ禍において、集団保育での感染を恐れる気持ちと働きたい気持ちの葛藤を抱えている保護者も多い点も、考慮する必要がある。 (5)コロナ禍の影響もあり、育児休業を取得する家庭が多いため、その育児休業中の家庭が一時保育やおでかけひろばを利用する事例が多く、これまで以上に、在宅子育て支援の重要度が上がっている。 第3章 今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン) 今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)策定にあたって 『子ども・子育て応援都市宣言(平成27年・2015年)』では、『地域の宝』である子どもたちを『未来の希望』とするだけでなく『今をきらめく宝』として、子どもの保護者のみならず、すべての地域の大人があたたかく見守る社会をつくることを目指してきた。 23区で初めて制定した『世田谷区子ども条例(平成13年・2001年)』により、子どもの権利条約に則して、子どもを権利の主体とし、子どもの権利が尊重され、成長段階に応じた環境がある『子どもが、すこやかに育つことのできるまち』の実現を目指し、世田谷区の子ども・子育て施策は、妊娠・出産・育児から学齢期の児童・生徒、若者に至るまで、全国をリードしてきた。 子ども・若者、子育て家庭を取り巻く環境の変化から見えてきた課題 子どもや若者、子育て家庭を取り巻く環境に目を向けると、子ども人口の減少の周辺に改善すべき課題が見えている。 コロナ禍の影響もあり、地域の見守りや支えあいのコミュニティが希薄化し、乳幼児期の子育て家庭が孤立しがちになっている。 地域社会全体が子どもと若者の応援団になるための政策展開が必要 出生数の減少に歯止めをかけるため、国・都・区で、様々な支援策を実施。 さらに、子どもや若者たち一人ひとりが生き生きと楽しく元気に輝いていること、失敗しながらも挑んでいけること、そして、あらゆる地域の大人が子どもや若者を温かい目で見守り応援していることが重要。 個別の支援策にとどまらず、地域社会全体が子どもと若者の応援団になるための政策展開が必要である。 今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)で目指すまち 身近な基礎自治体としての理念と役割をしっかりと刻み、事業者を含むすべての区民とともに、「子ども・子育て応援都市」の施策と地域の力を総動員して、これらの課題を積極的に解決する。 子どもや若者、子育て家庭が「このまちで育ってよかった」と思えるまち、「子ども・若者、ど真ん中」を実現するため、「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を定める。 今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン) 出生数の減少による少子高齢社会の進展 国の出生数は、減少の一途を辿っており、令和3年(2021年)は過去最少。 出生数の減少が続くことは、年少人口の減少を招き、生産年齢人口も減少させる。 高齢人口の増加が続く中、少子高齢社会がますます進展して、持続可能な社会モデルから逸脱していく危険があり、区も、同様の兆候がある。 子ども・子育て支援を充実する施策展開と効果 出生数の減少は、子育て世代自体が漸減している中で、晩婚化や晩産化に加え、未婚割合も上昇していること、住居費等の複合的な要因で推移すると推測。 「子ども・子育て応援都市」の施策を結集して、子ども・子育て支援を充実する施策展開と効果により、出生数の減少に歯止めをかけ、子育て世帯の定住や転入につなげる。 妊娠や出産、子育てが孤立しており、その対応が急務 コロナ禍で、妊娠や出産、子育てが、配偶者やパートナーだけで行われている現状があり、妊娠期からの「世田谷版ネウボラ※」をさらに深化させ、すべての子どもと子育て家庭が、日々の暮らしの身近なところに、地域の人々や子育て支援につながるための場や機会を充実させることが急務となっている。 ※「世田谷版ネウボラ」とは、妊娠期から就学前までの子育て家庭を切れ目なく支えるための、区・医療・地域が連携して相談支援する、顔が見えるネットワーク体制。 妊娠期からの子ども・子育て支援の充実 区民にとって分かりやすく、訪ねやすい身近な拠点をつくり、機能を拡充する必要があるため、親子の居場所での育児相談や産前産後の母体ケア、離乳食教室等のプログラムを充実する。 0歳から入園前も含めて、在宅で子育てをしている家庭を対象に、子ども一人ひとりの成長と発達を支える支援を充実させる。 子育て家庭が、児童館の子育て支援やおでかけひろば、拠点園を含む区立保育園等を有効に使えるように、地域資源につなぐことを目的とした新たな産後ケア事業を含む多機能拠点を設けることや、区民から分かりやすい仕組みづくりに取り組む。 グランドビジョンが目指す子ども政策の一体的な展開 持続可能な地域社会を目指し、「子ども・子育て応援都市」にふさわしい妊娠、出産、乳幼児期をシームレスに支える子ども・子育て支援施策を充実する。 年少人口の減少にあわせて、単に支援や施設を縮小していく方策を採らずに、妊娠期から低年齢期を含めたすべての子育て家庭を対象にした子ども・子育て支援施策を拡充することをベースに、支援や施設ごとに分かれていた施策を総合的な視点で組みかえ、一体化する方向をめざす。 かつて、区では、「保育待機児童問題」を抱えながら、地域の各所に多くの保育園整備を手がけていたさなかに、次のように「子ども・子育て応援都市宣言」をした。 子ども・子育て応援都市宣言 子どもは、ひとりの人間としてかけがえのない存在です。 うれしいときには笑い、悲しいときには涙を流します。 感情を素直にあらわすのは、子どもの成長のあかしです。 子どもは、思いっきり遊び、失敗しながら学び、育ちます。子どもには、自分らしく、尊重されて育つ権利があります。 子どもは、地域の宝です。 大人は、子どもをしっかり見守り、励まし、支えます。 地域は、子育て家庭が楽しく子育てできるように応援します。 子どもは、成長に応じて社会に参加し、自分のできることと役割、みんなで支えあう大切さを学んでいきます。 子どもは、未来の希望です。 今をきらめく宝です。 大人は、子どもにとっていちばんよいことを選び、のびのびと安心して育つ環境をつくります。 世田谷区は、区民と力をあわせて、子どもと子育てにあたたかい地域社会を築きます。 ここに、「子ども・子育て応援都市」を宣言します。 平成27年3月3日 世田谷区 生まれてきた子どもを歓迎し、子どもの保護者のみならず、あらゆる「地域の大人」が子どもたちの育ちを見守る地域社会をつくることを目指したものが、この宣言の核となる内容である。 子ども・子育て関連施策全体で子ども・子育てを切れ目なく支える政策を再構築することで、「子ども子育て応援都市」をバージョンアップする。 (1)子どもの権利保障と子どもを中心とした地域づくり 子どもや若者が、地域社会の中で、多様な活動に主体的に参加して、自分の意見を安心して表明することができるよう意見形成の支援も含めた環境をつくる。 子どもや若者が主体的に活動する場や機会の充実を図り、地域の人々に温かく見守られながら、いきいきとのびやかに育ち、社会の一員として尊重される地域社会の実現を目指す。 (2)地域や人とのつながりの回復に向けた日常的な見守りネットワークの強化 まちづくりセンターを単位とする地区の「四者連携」(まちづくりセンター・あんしんすこやかセンター・社会福祉協議会・児童館)を通じて、日常的に子どもや若者、子育て家庭をあたたかく見守り支えるネットワークを緊密にし、包摂した地域コミュニティを活性化させる。 子どもや若者、子育て家庭に関わる施設や機関、子育て団体等の社会資源をつなぎ、子どもや若者、子育て家庭を支援する。 (3) すべての子育て家庭が、日々の暮らしの身近なところで、人や支援につながるためのサポートの充実(世田谷版ネウボラの深化) 妊娠期から就学前までを切れ目なく支えるために、区・医療・地域が連携しながら、相談や子育て支援等に取り組み、顔が見えるネットワークの中で「世田谷版ネウボラ」を展開している。 すべての子育て家庭が、妊娠期から孤立することなく、日々の暮らしの身近なところで、地域の人々や子育て支援につながりながら、安心して暮らせるよう、国の出産・子育て応援事業や都の事業も十分に活用しながら、妊娠期からの子ども・子育て支援を充実させ、「世田谷版ネウボラ」をより伴走型に深化させる。 「ネウボラ・チーム(地区担当保健師、母子保健コーディネーター、子育て応援相談員)」に地域子育て支援コーディネーターを加えて体制強化を図るとともに、妊娠期面接、乳児期家庭訪問、産後ケア等の事業の専門性の維持・向上に取り組む。 居住地により身近な距離(ベビーカーや子どもが歩いて15分)にある「おでかけひろば」が「まちのおうち機能(実家のようなもう一つの家)」を担うことを目的に、更なる支援や場を充実する。 在宅で子育てしている0歳児から2歳児の家庭が多いという現状を踏まえ、低年齢期に焦点をあてた新たな産後ケア事業を含む多機能拠点の整備を検討する。 (4)子ども・子育て支援の基盤整備(教育・保育及び支援の質の向上と機能転換・拡充) これまでの幼児教育・児童福祉分野の施設を必要な再配置をおこない、教育・保育及び支援の質の確保・向上を前提とした上で、施設・財源ともに、妊娠期から低年齢期を含めたすべての家庭を対象とした子ども・子育て支援に重点的に振り向け、多世代交流を含めた地域や人とのつながりの回復に資する等、包括的に強化する。 子ども・子育て関連施策をわかりやすく可視化し、シームレスな仕組みに向上させる。 (5)セーフティネットの強化 児童相談所と子ども家庭支援センターが役割分担のもと協働する「のりしろ型」支援を継続する。 地域のネットワークの中で、虐待の兆候を捉え、早期に対応する。 子どもの権利を尊重し、保護者も丁寧に支援し、虐待予防と困難な養育環境にある親子の再統合に向けた支援に取り組む。 社会的養護が必要となった子どもが、家庭と同様の環境で養育されるよう、里親の拡充と支援を強化する。 さらに、児童養護施設や里親のもとから自立していく若者支援のための「フェアスタート事業」を拡充する。 第4章 調整計画の策定の基本的考え方 1 目指すべき姿と3つの視点 調整計画の策定にあたっては、子ども計画(第2期)後期計画(令和2〜6年度)の「目指すべき姿」である「子どもがいきいきわくわく育つまち」、基本コンセプトの「子ども主体」、子どもを権利の主体としてその最善の利益を保障することを実現するための「つなぐ・つながる」、「参加と協働」、「地域の子育て力」の3つの視点、4つの重点政策を継承する。 世田谷区子ども計画(第2期)後期計画(令和2〜6年度)で定めた目指すべき姿の図 2 4つの重点政策の更なる取組み 「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を踏まえ、子ども計画(第2期)後期計画(令和2〜6年度)に掲げる4つの重点政策ごとに更なる取組みを進める。 重点政策1 子どもが地域の中で自ら生きる力を育むことを支えます 1 子ども・若者が意見を表明しやすい環境づくりと地域社会への参加・参画の推進 子どもや若者を対象とした施策の策定や実施、評価にあたり、その対象となる子どもや若者、保護者等の意見を反映したり、フィードバックするための場や機会、手法等の検討と、子ども・若者の参加・参画の取組みの拡充 子どもや若者の意見を言いやすい環境づくり、子どもの意見形成や意見表明を支える大人(ファシリテーターやサポーター)の育成 地域の中で子どもや若者が主体的に活動する場や機会の充実を図るため、子どもや若者が運営・企画する活動の場や機会の拡充と支援 日常を過ごす場で子どもが安心して思っていることを言える環境を整えるために、子どもに関わるすべての大人が、子どもの権利をしっかりと認識し、子どもの声を受け止め、思いを尊重し、共に考えることができるよう、大人への意識の醸成のための広報・啓発の一層の充実 2 すべての子どもが地域で豊かな体験を重ね、力を発揮できる場や居心地よく安心して過ごせる場を身近にもてる環境づくり 子どもを中心とする放課後等の過ごし方について、区や保護者、地域との関わりの中での多様な居場所づくりやつながる仕組みを検討し、子ども自らが、その時々のニーズにあわせて、放課後等の居場所を選び、遊び、成長することができる環境の充実 児童館の閉館後や休館日を活用した中高生の活動や地域の団体による子ども・子育て支援、学習支援の場の充実 生活困難を抱える子どもの成長と家庭の生活の安定に向けた多様な居場所の確保 ヤングケアラーの早期発見と適切な支援へつながる仕組みづくり 保育施設や幼稚園、新BOP学童クラブ等でのインクルーシブなプログラムや合理的配慮の実施、職員等のスキル向上のための専門職の助言の仕組みづくり、障害に対する理解を深めるための取組みの実施 不登校児童・生徒の実態に合わせた教育課程を編成した不登校特例校等の整備 重点政策2 妊娠期から地域の中で子育てを楽しめるよう子育て家庭を支えます 1 日々の暮らしの身近なところで、すべての子育て家庭が人や支援につながるための妊娠期からの子育て支援の充実(世田谷版ネウボラの深化) 妊娠期から就学前までの子育て家庭を切れ目なく支えるために、区・医療・地域が連携しながら、相談や子育て支援等に取り組み、顔が見えるネットワークの中で、「世田谷版ネウボラ」を展開 すべての子育て家庭が、妊娠期から孤立することなく、地域の人々や子育て支援につながりながら、安心して暮らせるよう、国の出産・子育て応援事業や都の事業も十分に活用しながら、日々の暮らしの身近なところに、産前産後からの子育て支援を充実させ、「世田谷版ネウボラ」をより伴走型に深化 「ネウボラ・チーム(地区担当保健師、母子保健コーディネーター、子育て応援相談員で構成)」に、地域子育て支援コーディネーターを加え、伴走型相談支援を強化 国の出産・子育て応援交付金事業を活用した経済的支援として、新たに「ネウボラ面接(妊娠期面接)」受けた妊婦に出産応援ギフトを、「乳児期家庭訪問事業」を受けた家庭に子育て応援ギフトの給付を開始 両親学級における支援の充実として、児童館を活用した地域展開や、妊娠期からの地域資源へのつなぎを強化 子どもが1歳を迎える時期に、子どもの成長に合わせた情報提供やアンケートを実施し、育児パッケージを配付する「バースデーサポート事業」を開始 おでかけひろば(児童館の子育てひろばを含む)をより身近な場所(ベビーカーや子どもが歩いて15分)に整備(令和4年度68か所→令和8年度80か所※) ※各地区に児童館整備完了時88か所(令和16年度) 「ほっとひと息事業(レスパイト事業)」の実施 児童館の「子育て支援館」をすべての児童館に展開(令和4年度5か所→令和16年度33か所) 「(仮称)ようこそ児童館へ」事業の実施、ピアサポーターによる多胎児支援事業の実施、産前産後セルフケア事業の拡充等 保育の質の確保を前提とした上で、区立保育園での健康、発達や食事等についての専門職による育児相談等の実施、体験保育や離乳食、沐浴等の講座を充実、私立保育園における育児相談等の推進 等 2 妊娠を希望する区民への支援と出産への支援 不妊治療に悩んでいたり、将来子どもを持ちたいと思っている区民へ、専門職(不妊症看護認定看護師等)によるオンライン相談と、妊娠・出産の正しい知識や、将来の妊娠のための健康管理(プレコンセプションケア* )、不妊(男性不妊を含む)の正しい知識等に関する普及啓発事業を実施 *プレコンセプションケア・・・プレは「〜の前の」、コンセプションは「受精・懐妊」で、プレコンセプションケアは「妊娠前の健康管理」という意味。 WHOは、「妊娠前の女性やカップルを対象として、医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義している。 現行の第3子出産費助成制度について、対象を第1子に拡大し、すべての出産に対して、児童1人につき一律5万円の出産費助成金の支給を実施(所得制限なし) 3 一時預かり事業の拡充 保育施設における理由を問わない一時預かり事業の拡充 一時預かり事業が、子育て負担を軽減する目的での利用が可能であることの周知、及び地域社会に向けた子育て支援の必要性に関する啓発 4 地区の見守りネットワークから日常的に支援につながる仕組みづくり 子ども家庭支援センターや健康づくり課、地域子育て支援コーディネーター、保育園や幼稚園、おでかけひろば等の子ども関連の機関や施設、福祉の相談窓口(まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会)、地域の団体や人々が、有機的につながれるよう児童館を中核とした日常的に子どもや子育て家庭をあたたかく見守り支えるネットワークの連携強化 5 子ども・子育て支援に関する分かりやすい情報の発信 子どもや子育て支援に関する情報を可視化し、区民に分かりやすく発信 重点政策3 基盤の整備と質の確保・向上により子どもと子育て家庭を支えます 1 子ども・子育て支援の基盤整備 (教育・保育及び支援の質の向上と機能転換・拡充による更なる支援の充実) おでかけひろば(児童館の子育てひろばを含む)をより身近な場所(ベビーカーや子どもが歩いて15分)に整備 (令和4年度68か所→令和8年度80か所※) ※未整備児童館完了時88か所(令和16年度)(再掲) 地区において子どもにかかる身近な相談や見守りの中核の役割を担うため、児童館を未整備地区に順次開設 (令和4年度25館→令和16年度33館) 区立保育園は、園児に限らず就学前の子どもの育ちのセーフティネット、計画的な再整備の実施 (令和4年度46園→令和16年度39園) 区立幼稚園は、インクルーシブな教育・保育を推進、3歳児保育の実施(令和4年度8園→令和10年度以降各地域に1園) 乳幼児教育支援センターを中心に「教育・保育実践コンパス」や「保育の質ガイドライン」を活用しながら、教育・保育の質の確保・向上に向けた取り組みを充実し、子どもたちが、区立や私立を問わず、すべての教育・保育施設で、質の高い教育・保育を受けることができる環境を構築 低年齢期に焦点をあてた産後ケア事業を含む多機能拠点の整備の検討 2 子育て家庭のニーズに沿った多様な受け皿の確保 保育施設における理由を問わない一時預かり事業の拡充(再掲) 重点政策4 緊急対応の着実な運用により、子どもの命と権利を守り、その後の地域生活を支えます 1 地域で安心して暮らすことができるための環境整備と支援の充実 訪問型などの産後ケア事業の更なる充実、緊急保育等の充実 2 家庭養育を優先した社会的養護の推進 里親養育の支援の充実、児童養護施設の小規模地域分散化、子どもの意見表明に関する仕組みの整備 第5章 需要量見込み及び確保の内容と実施時期 (1)教育・保育事業 1号認定及び2号認定のうち「幼児期の学校教育の希望が強い」 幼稚園及び認定こども園 ニーズ調査の結果、確保量が需要量を上回っている一方で、3歳以降も「左記以外(保育の希望が強い方)」の需要が比較的高いことから、幼稚園による一時預かりの拡充をすすめる。 また、次期子ども計画以降、区立幼稚園等は、地域の教育・保育の拠点として集約化(8園→5園)を行うとともに、引き続き、配慮を要する児童のニーズに対応するなどインクルーシブな教育・保育の推進に取り組む。 2号認定のうち「左記以外(保育の希望が強い方)」及び3号認定の方 保育所、認定こども園保育時間利用、地域型保育事業等 ニーズ調査結果には、保育利用に対する潜在需要が多く含まれているため、特に影響の大きい3号認定(0歳児及び1-2歳児)については、実態に即し、需要量見込みを見直す。 (2)子ども・子育て支援事業 1)利用者支援に関する事業 利用者支援事業は、地域において、緊密に連携し、ネットワークによる相談支援を実施している。 令和5年度以降も現行の事業量(実施体制)を維持しつつ、ネウボラ・チーム(地区担当保健師、母子保健型(母子保健コーディネーター)、特定型(子育て応援相談員))に、基本型(地域子育て支援コーディネーター)を加え、伴走型相談支援の体制を強化する。 ・基本型:おでかけひろばのうち各地域1か所(5か所)に地域子育て支援コーディネーターを配置、センター機能を担う1か所を加えた計6か所で実施 ・特定型:各総合支所子ども家庭支援課(5か所)に子育て応援相談員を配置して実施 ・母子保健型:各総合支所健康づくり課(5か所)に母子保健コーディネーターを配置して実施 利用者支援に関する事業の表 2)延長保育(時間外保育事業) ニーズ調査結果に基づく需要量見込みが大幅に減っている点については、コロナ禍の影響が見込まれるが、希望する保護者が延長保育を利用できるように現在の事業量を維持する。 ※コロナ禍の影響等により、令和2年度、3年度の利用実績は、コロナ以前と比べ、約5〜6割程度となっている。 延長保育(時間外保育事業)の表 3)一時預かり事業 幼稚園等に通園する児童を対象とした「幼稚園による一時預かり」は、令和6年度の需要量見込みに対し、令和4年度の実績見込みとの差を2年間で解消することを目指し、幼稚園独自の預かり保育事業や一時預かり事業(幼稚園型)、区独自の預かり事業等の拡充により確保する。 「その他の一時預かり」は、ほっとステイと保育所等での一時保育の「一時預かり」と「ファミリー・サポート・センター事業」をあわせて確保することにしており、令和6年度の需要量見込みに対して、保育所等での一時保育の拡充を中心に、確保する。 一時預かり事業の表 4)ファミリー・サポート・センター事業〔就学児〕(子育て援助活動支援事業) ニーズ調査結果に基づく需要量見込みは、潜在需要を含んでおり、令和2年度、3年度の利用実績は、利用会員登録者のうち月利用者の割合が1割程度であることから、利用実績及び需要量の見込みを踏まえて事業量を確保する。 ファミリー・サポート・センター事業(子育て援助活動支援事業)の表 5)学童クラブ事業(放課後児童健全育成事業) 低学年(1〜3年生)については、定員を設けることなく条件を満たしている児童の受け入れを行っている。 今後も、民間事業者の誘致も含め、各年度の需要量見込みに対応していく。 また、配慮が必要な児童に対しては、6年生まで実施する。 学童クラブ事業(放課後児童健全育成事業)の表 6)ショートステイ事業(子育て短期支援事業) 育児不安等を解消し児童虐待予防のための支援をする機能も担っており、時期を逃さず適切に利用へつなげる必要があるため、令和4年度の実績を踏まえた事業量を確保する。 ショートステイ事業(子育て短期支援事業)の表 7)養育支援訪問事業 利用実績及び需要量の見込みを踏まえて事業量を確保する。 養育支援訪問事業の表 8)ひろば事業(地域子育て支援拠点事業) 「ベビーカーや子どもが歩いていける距離(15分)」の面的整備を目指し、次期子ども計画の期間を含めて80ヶ所程度を確保する。 ひろば事業(地域子育て支援拠点事業)の表 9)病児・病後児保育事業 需要量見込みの伸びを勘案し、現在の事業量(施設数と定員数)を維持する。 病児・病後児保育事業の表 10)乳児期家庭訪問事業(乳児家庭全戸訪問事業) 令和4年度の実績見込み数である委託訪問指導員、嘱託訪問員あわせて59人の体制を維持する。 乳児期家庭訪問事業(乳児家庭全戸訪問事業)の表 11)妊婦健診事業 現在の都内契約医療機関で実施する体制により、充足できている。 引き続き、現行体制を維持する。 妊婦健診事業の表