資料4 令和4年8月29日 保育部保育課 保育施設への支援・指導のあり方検討会における外部有識者の検討報告および今後の区の取組みについて 1 主旨 令和4年4月22日の福祉保健常任委員会において報告した、外部有識者による「保育施設への支援・指導のあり方検討会」を令和4年5月より全4回開催し、8月24日に報告書が提出された。 このたびの検討会における検討内容を報告するとともに、これを受けた今後の区の取組みについて報告する。 2 検討会の開催状況 検討会は、保育、福祉等についての専門的な知識又は経験を有する者を委員とし、令和4年5月から全4回開催した。 (1)委員構成 (五十音順 敬称略) あまのたまじ 鶴見大学教授 うえだみか 東洋大学講師 かとうよしかず 元鎌倉女子大学教授 委員長 もりたあけみ 東洋大学名誉教授 (2)開催状況 第1回 令和4年5月30日(月曜日) 男女共同参画センターらぷらす ・委員長の互選、検討会の目的、概要 ・私立保育園内での事故への対応について 第2回 令和4年6月29日(水曜日) 区役所第一庁舎 ・私立保育園内での虐待案件について ・保育施設への支援・指導の方向性 第3回 令和4年7月25日(月曜日) 区役所第二庁舎 ・保育施設への支援・指導の提言の検討 第4回 令和4年8月24日(水曜日) 区役所第一庁舎 ・報告書の取りまとめ 3 検討結果報告書(概要) (1)検討会における議論と主な意見より 検討会では、区内2か所の私立保育園で起きた重大事故と不適切な保育(虐待行為)への区の対応について、それぞれ検討を行った。 1 事故発生時の初動対応 令和3年4月に私立保育園内において園児が意識不明となり救急搬送された重大事故について、園における園児に関する情報共有が十分であったか、園の支援にあたり区の現状把握が行き届いていたか等の検討を行った。 検討会では、入園後の子どもの様子は、保護者と園が常に共有するとともに、園と区が定期的に情報共有できる仕組みや体制の構築が必要である点や、園内の事故報告書については、速やかな報告と対応が必要である等の指摘があった。 2 不適切な保育(虐待行為)を未然に防ぐ対応 令和4年3月の私立保育園における不適切な保育(虐待行為)への区の対応について、巡回支援訪問時や指導検査時に不適切な保育を未然に防ぐための更なる対応は取れなかったのか、保育に関する情報共有が部内で適切になされていたのか等を中心に検討を行った。 検討会では、日頃から園と区が保育内容や園運営について話し合える関係性を構築する必要があること、特別指導検査結果の指摘文は子ども自身に対する見方が固定的、一面的な指摘と受け取られないように工夫してはどうか等の指摘があった。 3 保護者支援や園と区の連携 今回の園内での重大事故では、園の保護者支援も課題であった。 保護者と園、区がそれぞれ情報を共有し保護者の気持ちを受け止めることや要望の聞き取り、適切な助言ができなかったのか等について検討を行った。 検討会では、支援が必要な家庭に対し、園と子ども家庭支援センターが協力し、支援が必要な子どもや保護者を支えるため、専門職同士の連携等の仕組みを検討する必要がある等の指摘があった。 4 保育施設と区の協働のあり方 今後も質の高い保育を目指すにあたり、保育施設間の自主的な活動をどこまで積極的に支援するのか、保育施設と区が協働して保育の質を高めるため、どのような取組みが必要となるのか等の検討を行った。 検討会では、近年の新型コロナウイルス感染症により保育施設内の職員会議や区への相談、および区の指導等の実施が困難となった影響や、保育待機児童解消のため急速に施設整備を進め保育施設数が急増した結果、保育施設への支援が十分に行えていたか、保育の質の向上へ向けた取り組み が十分であったか等を確認した。 今後は、保育施設支援に向け優先して取り組むことができる体制の構築が必要であるとともに、保育の質の向上に向けた保育施設の自主的な活動である保育ネットワーク等への側面からの支援が重要であるとの指摘・意見があった。 (2)検討会からの提言より 1 保育施設との情報共有 ・施設とともに子どもを育てているという視点に立ち返ること。 ・日常の関係性の中で、保育施設と区が円滑に情報共有を可能とする仕組みを構築していくこと。 2 保育部内の支援体制の強化 ・ケース会議をより有効に機能させるためにも、早急に基準等を整備すること。 ・支援が必要な家庭に適切な支援が行き届き、保育施設も円滑に支援が行えるよう、保育部が実施するケース会議に子ども家庭支援センターも関与し保育施設への支援が行える体制を構築すること。 3 児童相談所設置による権限強化を受けた取り組み ・支援部門と指導部門が役割分担を明確にしつつも、それぞれが情報を共有しながら園支援に取り組むこと。 ・児童福祉審議会保育部会の持つ機能を活用し、保育施設における重大事故の検証や運営状況等の確認等を行えるよう、保育部会との連携、情報共有等を行うこと。 ・区独自の「保育の質ガイドライン」を作成し保育の質向上に全力で取り組む自治体として、各保育施設が区内での保育に誇りと責任を持って保育の質向上に取り組める体制づくりや、二度と区内で不適切な保育を起こさないための決意を新たにし、事故や不適切な保育を未然に防ぐための指導や支援体制を構築すること。 4 保育施設の連携強化、保育施設との協働による保育の質向上 ・地域保育ネット等の地域での活動を適切に支援し、保育施設と協働して保育の質向上に向けた取り組みを推進すること。 ・保護者・保育施設・区が、それぞれ子どもの健やかな成長を願い子どもを権利の主体として共に育てるという意識を持ち、お互いが信頼関係を構築し相互理解をすることが重要であるという姿勢を改めて全保育施設に対し発信し、保護者や保育施設と協働しながら保育の質向上に向けた取り組みを進めること。 4 今後の区の取組み 検討会における検討および提言に基づき、改めて保護者や保育施設と連携しながら、次の取組みを進めていく。 (1)保育部における保育施設への支援体制の強化 1 相談や通報に対し迅速に対応するための「フロー図」に基づく対応 これまでの不適切な保育や重大事故等を踏まえ、保護者や保育施設からの相談や通報に対し迅速に対応するための「フロー図」を作成するとともに、各園に対し人権チェックシートや区への相談先等の周知を行った。 特に緊急性のある重要な案件は、部内で実施する「ケース会議」において早急に対応方針等を検討することとし、案件の振り分け基準も含めて運用を開始している。 今後、改めて人権チェックシートの活用等、各園での実践も把握し、各園の実情にあわせた支援を強化する。 2 子ども家庭支援センター等との連携強化 支援が必要な園児やその家庭に確実に支援が行き届くよう、部内で実施する「ケース会議」に必要に応じて子ども家庭支援センターに出席を求めるなど、引き続き連携を強化する。 3 保育施設の運営支援部門の強化 施設とともに子どもを育てているという視点に立ち返り、日常の関係性の中で保育施設と区が情報共有し、早い段階から園からの相談に対応できるよう組織体制の強化を図る。 体制の強化により、年1回以上の指導検査等による訪問を実施するとともに、重点的に支援が必要な園に対しては、短期間に複数回の訪問を行う。 また、担当者が保育施設との間で日頃からきめ細やかに情報交換を行い円滑に支援が実施できる関係性を構築していく。 (2)児童相談所設置による権限強化を受けた取組みの強化 1 巡回支援相談および指導検査の体制強化 この10年間で約140施設の私立保育園の整備を進めた結果、待機児童は解消したものの、急増した園に対する保育の質の向上に向けた支援、指導の実施方法が課題となっている。 支援部門と指導部門が役割分担を明確にしつつも、それぞれが情報を共有しながら、巡回支援相談と指導検査の体制強化を図り、保育施設の支援に取り組んでいく。 2 指摘文書の表現における子どもの人権の最大限の尊重 今後の指導検査における法人への指摘文書については、引き続き子どもの人権を最大限尊重するとともに、その表現方法は子ども自身に対する見方が固定的、一面的な指摘と受け取られないように一層配慮する。例えば、今回の事例では、「約束を守れなかった子どもをトイレや部屋に閉 じ込めたり、外に閉め出したりする。」というような文章により指摘をしているが、「約束を守れなかった子ども」が悪いという印象を与えてしまう恐れがあるため、今後は、指摘文書の冒頭に「保育従事者の指示通りの行動ができない児童に対し」という文言を加える等の工夫をする。 3 児童福祉審議会保育部会との連携、情報共有 児童相談所の移管により設置された児童福祉審議会の保育部会において、保育施設での重大事故の検証や運営状況の確認を実施する等、保育部会との連携、情報共有等を進めていく。 (3)保育施設との連携強化と協働による保育の質の更なる向上 1 保育施設との意見交換、保育ネットワークの支援等 保育施設と意見交換等を行いながら、保育ネットワーク等の自主的な活動への適切な支援を通じ、保育施設と協働し、保育の質向上を推進する。 世田谷区 保育施設への支援・指導のあり方検討会 検討結果報告書 令和4年8月 世田谷区 保育施設への支援・指導のあり方検討会 はじめに 世田谷区では、平成27年3月に世田谷区の保育の基本的な指針となる「世田谷区保育の質ガイドライン」を定め、子どもの権利を守ることを最優先とした「子どもを中心とした保育」の考え方にもとづき、保育の質向上の取組みを進めてきた。 しかし、令和2年に、区立保育園において保育士による不適切な保育(虐待行為)が行われていたことが明らかとなり、区立保育園が区の特別指導検査を受ける事態が発生した。 区では、このことを重く受け止め、外部有識者による「区立保育園における保育のあり方検討会」を立ち上げ、全4回の検討会議を経て「区立保育園における『子どもの心身に有害な影響を与える行為』に関する検証報告書」を取りまとめた。 上記検討会での議論を受け、区では区内保育施設に対し、改めて子どもの人権に関する研修や保育を振り返るチェックシートの活用等の取組みを進めてきた。 その取組みを進めている最中の令和3年4月に、区内の私立保育園(以下、「A認可保育園」という。)において、園児がお迎えの時間帯に意識不明となる重大な事故が発生した。 また、令和4年3月には、別の区内の私立保育園(以下、「B認可保育園」という。)にて、園児に対する不適切な保育(虐待行為)が行われていることが、第三者からの区への通報により明らかとなった。 公私の保育施設において、連続して事故や不適切な保育(虐待行為)が引き起こされたことを踏まえ、再び外部有識者による「保育施設への支援・指導のあり方検討会」を立ち上げることとした。 検討会では、保育所の設置認可や指導検査等の権限を有する児童相談所設置自治体である区が、事故や不適切な保育(虐待行為)のあった保育施設に対するこれまでの対応が適切であったのか、今後、再発防止のため、どこまで積極的に関与し、質の高い保育を目指して、どのように支援・指導に取り組むべきかの提言を行うこととした。 本検討会での検討を通じ、区内保育施設が、改めて「世田谷区保育の質ガイドライン」に立ち返り、子どもの最善の利益を第一とした保育を実践できるよう区として支援することを求め、本報告書を取りまとめた。 第1章 検討会について 1 検討会の目的 本検討会では、令和3年度に2か所の私立保育園内で起きた、園児が意識不明となる重大事故や不適切な保育(虐待行為)における区の対応を検証するとともに、私立保育園を中心とした区内保育施設に対し、区がどのように支援・指導に取り組むべきかの提言を目的として、外部有識者による検討を行う。 なお、本検討は、本件に対する区の対応を検証することが目的であり、重大事故等にかかる特定の個人、団体の責任追及および関係者の処罰を目的としたものではない。 2 検討会の概要 (1)設置根拠 「世田谷区保育施設への支援・指導のあり方検討会設置要領」にもとづき、区内私立保育園で生じた重大事故および不適切な保育(虐待行為)について、区の対応の課題分析や保育施設への今後の必要な再発防止策を検討し、提言を行うことを目的に設置した。 (2)委員構成 委員は、保育、福祉等についての専門的な知識又は経験を有する者で構成している。 (五十音順 敬称略) あまのたまじ 鶴見大学教授 うえだみか 東洋大学講師 かとうよしかず元鎌倉女子大学教授 委員長もりたあけみ 東洋大学名誉教授 (3)開催状況 令和4年5月30日に第1回の検討会を開催し、毎月1回、計3回の検討会での議論を経て、8月24日に本報告書を取りまとめた。 第1回 令和4年5月30日(月曜日) 男女共同参画センターらぷらす ・委員長の互選 ・検討会の目的、概要 ・私立保育園内での事故への対応について 第2回 令和4年6月29日(水曜日) 区役所第一庁舎 ・私立保育園内での虐待案件について ・保育施設への支援・指導の方向性 第3回 令和4年7月25日(月曜日) 区役所第二庁舎 ・保育施設への支援・指導の提言の検討 第4回 令和4年8月24日(水曜日) 区役所第一庁舎 ・報告書の取りまとめ 第2章 事案の概要と経過 1 検討会の立上げおよび報告書作成に至った経緯 世田谷区では、子どもの最善の利益を守ることを最優先とした「子どもを中心とした保育」の考え方にもとづき、保育の質向上の取組みを進めてきた。 しかし、令和3年度に、区内の異なる私立保育園において子どもの権利を侵害する事案が引き起こされ、ほぼ同時期に表面化したことによって、これまでの区の対応や保育施設への関わり方等に関する課題が明らかとなった。 それらの課題を踏まえた今後の区の保育施設への関わり等の方向性を議論するため、本検討会を立ち上げ、保育の根幹に関わる子どもの権利擁護や組織の特性、保護者とのつながりなどについて議論を行った。 区内の保育施設が、改めて「世田谷区保育の質ガイドライン」に立ち返り、子どもの最善の利益を第一とした保育を実践できるよう区として支援することを求め、本報告書を取りまとめた。 2 事案の概要 (1)A認可保育園における重大事故 令和3年4月、A認可保育園において、保護者のお迎え時に園児が園内で意識変容をきたし、救急搬送されるという事故が発生した。 園から区への事故の第一報は事故4日後であり、速やかな事故報告書の提出を園に要請したものの、最終的な事故報告書の提出は事故から約2か月後となった。 また、事故の検証を目的とする第三者検証委員会の設置について、法人側は、区が立ち上げないことから法人自ら立ち上げるという認識であった。 一方、区が第三者検証委員会の実施を視野に入れながら事故報告書の提出を要請するとともに、園の対応について助言を行っている中で、法人自身で第三者検証委員会を立ち上げるとの報告があり、区ではなく法人側が第三者検証委員会を設置することとなった。 (2)B認可保育園における不適切な保育(虐待行為) 令和4年3月上旬、B認可保育園において、不適切な保育(虐待行為)が行われているとの通報が区にあった。 当該園長の園内における事実確認を踏まえ、至急保育体制を見直すよう指示を行った後、児童福祉法および子ども・子育て支援法にもとづき、特別指導検査を当該園に対し実施した。 3 事案の経過と区の対応 (1)A認可保育園における重大事故 令和3年4月に発生した園児の救急搬送の経過については、以下のとおりである。 ・令和3年4月13日(火曜日) 保護者のお迎え時に園内で本児の体調が急変し、救急搬送されるも意識不明となる。 ・令和3年4月17日(土曜日) 園より区へ第一報が入る。 ・令和3年4月19日(月曜日) 区から園に対し、事故報告書の提出を要請。 ・令和3年4月19日(月曜日)〜6月18日(金曜日) 園が、事故報告書の作成と修正を複数回行う。 区より園を訪問する等、事実確認と指導を行う。 ・令和3年4月23日(金曜日) 園より一部未完成の事故報告書が提出される。 ・令和3年6月18日(金曜日) 園より区に事故報告書が提出される。 同時に、法人が第三者検証委員会を設置する旨の報告がある。 ・令和4年3月9日(水曜日) 園より区に第三者検証委員会報告書が提出される。 (2)B認可保育園における不適切な保育(虐待行為) 区は、特別指導検査で実施したヒアリング、アンケートに基づき、以下の点を指摘し、改善を指導した。 1 法人に対する指摘事項 1 約束を守れなかった子どもをトイレや部屋に閉じ込めたり、外に閉め出したりする。 2 切り替えが苦手な子ども、食事中に自分でできることをしない子ども、給食を食べない子ども、寝ない子どもへの指導で、年齢より小さいクラスに連れていく。 3 話を聞いていない子どもの顎をつかんで、自分の方へ顔を向かせるようにする。 4 子どもに対し「ブサイク」と言う。 5 鬼を恐がる子どもに、「鬼がくるよ」と鬼の映像やお面を見せ、泣いて怖がる様子を見て笑う。 6 食事の際、次のとおり完食するよう厳しく指導する。 食事に時間がかかる子ども、泣いている子ども、苦手な給食を減らし忘れた子どもを、1時間ほど一人残して食べさせる。 食事に時間がかかる子どもに、嘔吐してしまうほど食べさせる。 2 法人に対する改善指導事項 ・子どもの人権に十分配慮するとともに、子ども一人ひとりの人格を尊重して保育を行うこと。 ・一人ひとりの子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができ、周囲から主体として受け止められ、主体として育ち、自分を肯定する気持ちが生まれるようにすること。 第3章 検討会における議論と主な意見 1 世田谷区の保育の考え方 世田谷区では、日々、保育の質の向上に取り組んでおり、保護者とともに、一人ひとりの子どもに寄り添いながら子どもの権利を守り、子どもが安心して生活できる環境をつくることを最も重視している。 保育の実施にあたっては、子どもの疾患や障害の有無、特別な配慮の必要性等にかかわらず、あらゆる子どもを受け入れていくことを基本的な方針としている。 保育の質を向上させ、子どもの最善の利益を保証するため、保護者の了解のもとに子どもの情報を適切に把握・共有し、専門的な助言や支援により一人ひとりに寄り添った保育を目指していく。 2 事故発生時の初動対応 (1)検討の視点 A認可保育園における重大事故への区の対応について検討を行った。 本件では、園内や園と区との情報共有のあり方や事故報告書提出の遅れ、第三者検証委員会の立ち上げ等への対応が適切であったのかという点を中心に議論を行った。 配慮を必要とする子どもに関する情報共有が十分であったのか、事故報告書の提出が遅れていた時点で、事故報告書を早急に提出するよう要請していたが、園の認識に基づいた事故報告書を早急に提出させ区が第三者検証委員会を立ち上げることが最優先だったのか、私立園に対しどこまで強く働きかけるべきであったのか等の観点から議論を進めた。 (2)明らかとなった課題 園では世田谷区の保育方針にもとづき、特別な支援が必要となる当該園児も受け入れていたが、園内では保育する子どもの情報が十分に共有されていなかったことから適切な支援がなされていたとは言い難く、区も園の支援にあたって現状把握が行き届いていなかった。 入園後の子どもの様子は、保護者と園が常に共有するとともに、園と区の定期的な情報共有や専門的な助言が可能となる仕組みや体制の構築が必要である。 保育施設内で事故が発生した際の事故報告書は、事実発生から7日以内に区に提出されることとなっているが、適切に報告がなされているのか、報告が必要となる案件かどうかが園側に明確に認識されているのか等を改めて確認する必要がある。 また、事故報告を受けた区でも、部内ケース会議の対象となる事案かどうかの判断基準や重大事故の検証をどのように行うのか等について、明確化する必要がある。 (3)委員の主な意見等 ・第三者検証委員会の立ち上げに関し、事故当事者による第三者検証委員会の立ち上げを待つべきではなかった。 ・第三者検証委員会を区が実施することで、多角的な検証が可能となったのではないか。 ・第三者検証委員会の立ち上げは、より客観性を持たせるため区が行うべきであり、第三者検証委員会設置の基準を作るべきである。 ・医療も含めた福祉、医療、保育の情報共有について検証し、ネットワークを構築すべきである。 ・支援が必要な子どもや保護者を支えるため、専門職同士の連携や地域での支援が必要である。 ・支援につなげるためには、適切な情報共有が必要であり、そのためには保育園と保護者との信頼関係構築が重要となる。 3 不適切な保育(虐待行為)を未然に防ぐ対応 (1)検討の視点 B認可保育園の不適切な保育(虐待行為)への区の対応について検討を行った。 巡回支援訪問時や指導検査時においては、不適切な保育が行われている点は確認できなかったものの保育士の声の大きさや行われていた保育内容に気になる点が見受けられた。 少しでも園の保育に違和感を持った際に、不適切な保育を未然に防ぐための更なる対応は取れなかったのか、園の保育に関する情報共有が保育部内で適切になされていたのか等について、現在の取組みを含めて検討を行った。 (2)明らかとなった課題 保育施設に対しては、定期的な巡回支援訪問や指導検査等により、園での保育の確認や助言、指導等を行っているが、施設数が急増した現状では、一つの園に対し複数回の訪問が難しくなっている。 日頃の巡回等の機会を捉え、園との間で、保育内容や園運営について話し合える関係性を構築する必要性が重要となっている。 また、不適切な保育(虐待行為)を引き起こさない対応に加え、不適切な保育(虐待行為)が起きてしまった時の迅速かつ適切な対応方法も、改めて検討しておく必要がある。 (3)委員の主な意見等 ・特別指導検査の指摘に対する改善計画の取扱いについて、区として今後どのように対応して行くのか。 ・第三者評価や巡回支援訪問、指導検査において保育への違和感を捉え、どのように防ぐのかについての対応が必要である。 ・そもそも専門職としての保育士であるという自覚がないのではないか。 保育者の思い通りにするために厳しい指導をする、手を出すというのは大問題である。 ・特定の保育士によるものではなく、複数の保育士が不適切な保育(虐待行為)を行っていることや、それに気づいていながら何らかの行動を起こす職員がいなかったことが問題である。 離職率の確認など運営状況の確認を丁寧に行う必要がある。 ・特別指導検査により指摘した点は、職員へのヒアリング等をもとにした指摘であるものの、実施通知での指摘文は、子ども自身に対する固定的、一面的な指摘と受け取られないよう、子どもの特性や成長発達を踏まえた権利を考慮した書き方にする必要がある。 (4)特別指導検査における指摘事項と本検討会における検討内容 B認可保育園での不適切な保育(虐待行為)に関しては、区による特別指導検査によって6つの行為が虐待行為にあたるとして、文書にて法人側へ指摘したところである。 (本報告書4ページ、第2章3(2)。) 生まれたばかりの乳児から、子どもは権利の主体であり、言葉にはならなくてもそれぞれの思いがある。 一人ひとりの子どもの人権に配慮し、子どもの最善の利益を最優先にして子どもの主体的な育ちを支えていく観点から、これらの指摘事項について、本検討会として次のように考え方を示した。 (特別指導検査における指摘) 1 約束を守れなかった子どもをトイレや部屋に閉じ込めたり、外に閉め出したりする。 (本検討会における考え方) 子どもが育つ過程では、様々な姿が表出される。 その背景にある心情を、深く考えて関わる必要があるが、「約束を守れなかったことを理由に、子どもをトイレや部屋に閉じ込めたり、外に閉め出したりした。」。 これは、閉じ込めや閉め出し行為事体が不適切であり、理由を問わずやってはいけないことである。 (特別指導検査における指摘) 2 切り替えが苦手な子ども、食事中に自分でできることをしない子ども、給食を食べない子ども、寝ない子どもへの指導で、年齢より小さいクラスに連れていく。 (本検討会における考え方) 普段できることをしなかった、できなかったということは、日常の中で起こり得るため、一人ひとりの発達やその時々の子どもの気持ちに寄り添った対応が必要であるが、「切り替えが苦手、給食を食べない、寝ないという保育者の一方的な考えにより、食事中に自分でできることをしない子ども、給食を食べない子ども、寝ない子どもへの指導として、年齢より小さいクラスに連れていった。」。 これは、子どもの自尊心を傷つける行為であるだけでなく、子ども一人ひとりの発達過程を考慮していない対応であり、保育に必要のない行為である。 (特別指導検査における指摘) 3 話を聞いていない子どもの顎をつかんで、自分の方へ顔を向かせるようにする。 (本検討会における考え方) 子どもにはできなかった理由やその時はやりたくなかった意思があるが、「保育者の都合で一方的に話を聞かせようと、顎をつかみ自分の方に向かせた。」。 これは、子どもの気持ちや心情をくみ取ることができず、子どもの意思を否定し、自尊心を傷つけ、身体的な苦痛も伴う行為であり、理由を問わずやってはいけないことである。 (特別指導検査における指摘) 4 子どもに対し「ブサイク」と言う。 (本検討会における考え方) 容姿を揶揄する言葉に相当する言葉かけ、「子どもに対し、『ブサイク』と言った。」。 これは、子どもを侮辱するものであり、理由を問わずやってはいけないことである。 (特別指導検査における指摘) 5 鬼を恐がる子どもに、「鬼がくるよ」と鬼の映像やお面を見せ、泣いて怖がる様子を見て笑う。 (本検討会における考え方) 「鬼を恐がる子どもに、『鬼がくるよ』と鬼の映像やお面を見せ、泣いて怖がる様子を見て笑った。」。 これは、乳幼児期の記憶は深く刻まれてしまうこともあり、想像上の存在である鬼を過度に畏怖させることにつながりかねず、さらに、その反応を見て笑うことは保育士の倫理観が問われる問題である。 (特別指導検査における指摘) 6 食事の際、次のとおり完食するよう厳しく指導する。 食事に時間がかかる子ども、泣いている子ども、苦手な給食を減らし忘れた子どもを、1時間ほど一人残して食べさせる。 食事に時間がかかる子どもに、嘔吐してしまうほど食べさせる。 (本検討会における考え方) いかなる理由があっても、子どもに無理やり食べさせることはやってはならない。 また、精神的、身体的な苦痛が長時間にわたって及んでいる。 「食事の際、次のとおり完食するよう厳しく指導した。 食事に時間がかかる子ども、泣いている子ども、苦手な給食を減らし忘れた子どもを、1時間ほど一人残して食べさせた。 食事に時間がかかる子どもに、嘔吐してしまうほど食べさせた。」。 これは、保育者が完食させることにとらわれたことにより行われた行為であり、子どもの健康状態や心持ちの変化への配慮がなく、子どもの人権が守られていない。 本来、食事は温かな雰囲気の中、保育者や友達と一緒に楽しく食べることで、自ら進んで食べるようになっていく。 給食を減らしてほしいことを言えなかったことを察知したのであれば、「もう、おしまいにしようね」といった子どもの気持ちに寄り添った対応が望ましく、保育者の感情や都合を押し付けることがあってはならない。 4 保護者支援や区の連携 (1)検討の視点 今回のA認可保育園における重大事故では、園児への対応だけではなく、保護者に寄り添い助言する等の保護者に対する適切な支援の必要性も課題であった。 園や区が適切に情報を共有し、保護者の気持ちを受け止め要望を聞き取ることや保護者に対し適切に助言を行うことができなかったのか、そうした役割をどこが担っていくべきなのか等について検討を行った。 (2)明らかとなった課題 保育園利用者の中には、保護者自身に支援が必要な家庭も少なくない。 支援の形態も一様ではなく、保育施設だけでは解決できない課題も多い。 これまでも地域の子ども家庭支援センターが対応しているものの、子ども家庭支援センターによる対応件数が増加している現状では、より支援が必要なケースを優先せざるを得ない状況となっている。 そのような状況にあっては、支援が必要な子どもや保護者を支えるため、専門職同士の連携等の仕組みを検討する必要がある。 (3)委員の主な意見等 ・保育部で実施するケース会議については、どのような案件をケース会議の案件とするのか、緊急を要する案件なのか否かの判断が重要となる。 ・子ども家庭支援センターが保育施設、特に民間の保育施設との連携をはかることは難しい面がある。 どこまで連携が可能なのかを考える必要がある。 ・子ども家庭支援センターが対応するまでに至らないケースについて、保育園が関係を築くことができなかったのか。 園とセンターがチームとして支援ができれば良いのではないか。 ・保育園での日々の保育支援によって、深刻な状態に至るのを予防できたり早期に解決できた事例は多数ある。 子ども家庭支援センターが介入しないようなケースこそ保育園側の力量が問われる。 5 保育施設と区の協働のあり方 (1)検討の視点 区では令和2年度の児童相談所設置により、保育所の設置認可や指導検査等の権限を持つこととなった。 これまでの取組みを踏まえて、個別の保育施設への支援を通じ質の高い保育を目指すとともに、今回の件も含めた事故等の再発防止に向けどのように取り組むべきかの検討を行った。 また、保育施設が自主的に保育の質を高めて行くためのネットワークの構築等に対して、どこまで積極的に支援し、区と保育施設が協働して保育の質を高めていくため、どのように取り組むべきなのかについても検討を行った。 (2)明らかとなった課題 令和元年度の冬頃から本格的に流行の始まった新型コロナウイルス感染症の影響により、園でこれまで日常的に行われてきた保育や職員会議をはじめ、対面での区の相談および指導等がほとんど行えない状況となった。 また、保育待機児童解消に向け新規施設整備を急速に進めた結果、私立保育園の施設数は10年前の約3.4倍となり、園数の急増による保育施設への支援が十分に行えていたか、保育の質の向上へ向けた取組みが十分であったか。 そのような中にあっても、園支援に向け優先して取り組む事項等を整理し実践できるような支援体制の構築が必要である。 さらに保育の質向上に向けた保育現場の主体的な取組みを支え促すとともに、各地域における保育ネットワークの活動・発展を側面から支援することが重要である。 (3)委員の主な意見等 ・児童相談所設置自治体となった際にも、困難な状況を抱える子どもの育ちや子育て家庭に対して子ども家庭支援センターをそのまま残した意味は大きい。 地域での支援を子ども家庭支援センターが担うという点で、保育施設等との連携を考えてもらいたい。 ・児童福祉審議会に保育部会が設置されている。 認可を行うか否かの議論に加え、事故報告の内容や部内のケース会議にかかった案件を保育部会で共有することも検討すべきである。 ・区として、園内で問題を起こさないためにどうするか、起きてしまった時にどうするか、支援や指導の仕組みを整えておく必要がある。 また、区内での園運営の実績年数に関わらず、法人自体に保育の専門機関としての自覚を持たせる必要がある。 ・地域内で相談できる関係づくりは重要であり、特に問題が重大化する以前の予防的に早期に対応できる関係性づくりが必要である。 第4章 子どもの最善の利益と保育の質向上のために(提言) 子どもの最善の利益を守り一層の保育の質向上に向けた取組みを推進するためには、すべての子どもが安心して過ごせる保育環境が不可欠であり、世田谷の保育に携わるすべての関係者が保育環境の向上に向けた不断の努力を継続する必要がある。 区および各保育施設が努力を継続することは当然であるが、各施設が特色を生かし良質な保育を提供するためには、各施設が保護者との良好な関係を築き情報を共有しながら共に子どもを育てていくということが必要であり、区も適切に施設の支援を継続する必要がある。 それらを踏まえ、区内の保育施設が区の掲げる「保育の質ガイドライン」にもとづく保育を実践できるようにするため、改めて区には以下の視点に立って保育施設への支援を行うよう望む。 1 保育施設との情報共有 (1)区への適切な情報提供体制の構築 保育施設に対しては、園内での事故については速やかに区に報告するよう機会を捉え要請している。 しかし、年度替わり等、施設長が変更になった際などは園から連絡が円滑に行われない場合も生じている。 また、区に報告すべきすべての案件が適切に報告されるべきであるがそのような状況になっていない。 保育施設が報告すべきすべての情報を区と共有するためには、区との信頼関係の構築が不可欠である。 改めて施設とともに子どもを育てているという視点に立ち返るとともに、日常の関係性の中で保育施設と区が、円滑に情報共有が可能となる仕組みを構築していくことを提言する。 2 保育部内の支援体制の強化 (1)保育部内ケース会議の活用 区では区立保育園における不適切な保育(虐待行為)や今般の私立保育園での重大事故等を踏まえ、保育部内に相談や苦情に対し迅速に対応するための部内ケース会議を設置する仕組みとしたところである。 しかしながら、事案の緊急度と重要度の判断は非常に難しい。 ケース会議が機能し的確な判断を可能とするためには、基準を明確にしておく必要がある。 ケース会議をより有効に機能させるためにも早急な基準等の整備を求めたい。 (2)子ども家庭支援センターとの連携 区は、児童相談所の設置後も、区内5地域にある子ども家庭支援センターを残したことは、子どもや家庭を丁寧に支援していくという姿勢を示している。 支援が必要な家庭に適切な支援が行き届き、保育施設も円滑に支援が行えるよう、保育部が実施するケース会議に子ども家庭支援センターも関与し保育施設への支援が行える体制の構築を提言する。 3 児童相談所設置による権限強化を受けた取組み (1)巡回支援相談と指導検査体制の強化 保育待機児童対策として、区はこの10年間で約140施設の私立保育園の整備を加速させてきた。 一方、急増した私立園に対応するための人員が限られる中で、質向上に向けた支援等が十分に行えていない状況も生じてきている。 区と保育施設との間の信頼関係構築や、実施されている保育内容等に違和感を持った際に迅速に対応するためには、現在の巡回支援相談と指導検査体制の強化が必要である。 支援部門と指導部門が役割分担を明確にしつつも、それぞれが情報を共有しながら園支援に取組み、保育士等専門職の倫理観を一層高める必要がある。 その上で、区独自の「保育の質ガイドライン」を作成し保育の質向上に全力で取り組む自治体として、各保育施設が区内での保育に誇りと責任を持って保育の質向上に取り組める体制づくりを強く望む。 また、二度と区内で不適切な保育を起こさないための決意を新たにし、事故や不適切な保育を未然に防ぐための指導や支援体制の構築を提言する。 (2)児童福祉審議会保育部会との連携 令和2年度の児童相談所の移管により、区はこれまで東京都が有していた認可保育施設の設置認可権や保育施設に対する指導監督権限等を有することとなった。 児童福祉審議会には保育部会が設置され保育施設の設置認可等にかかる審議を行っている。 今後は、保育部会の持つ機能を活用して保育施設における重大事故の検証や運営状況等の確認等を行い、児童福祉審議会との連携、情報共有等を求めていく。 4 保育施設の連携強化、保育施設との協働による保育の質向上 (1)地域保育ネットワークの活用 世田谷区には各地域に保育ネットワークが存在し、それぞれが地域の特色を生かしながら地域の子どもたちの健やかな成長のため活動している。 区ではそうした地域での活動を適切に支援し、保育施設と協働して保育の質向上に向けた取組みを推進することを望む。 (2)保育施設との情報共有 区立保育園における不適切な保育(虐待行為)や、今回の私立保育園における事故等に共通していた点として、保育施設と保護者、区との間での情報の共有が不十分であったことがあげられる。 保育施設内は外部の目が届きにくく、保護者等に対しては保育施設側からの適切な情報発信が重要となる。 保護者と保育施設の関係は「保育する側・される側」、保育施設と区の関係は「指導する側・される側」という構図になりがちであるが、保護者・保育施設・区が、それぞれ子どもの健やかな成長を願い子どもを権利の主体として共に育てるという意識を持ち、お互いが信頼関係を構築し相互に理解することが重要である。 その上で、子どもに関する情報を共有することにより保育の質の向上をはかり、風通しの良い園運営が可能となる。 区では、こうした姿勢を改めて全保育施設に対し発信し、保護者や保育施設と協働しながら保育の質向上に向けた取組みを進めることを期待したい。 参考 令和4年5月13日 4世保育第139号 世田谷区保育施設への支援・指導のあり方検討会設置要領 (目的および設置) 第1条 世田谷区内の私立保育園で生じた事故および不適切な保育(以下「不適切な保育等」という。)について、事実関係の把握や発生原因の確認等を通じ、区の対応の課題分析を行うとともに、区内保育施設における今後の必要な再発防止策を検討し、提言を行うため、保育施設への支援・指導のあり方検討会(以下「検討会」という。)を設置する。 (所掌事項) 第2条 検討会は、次の事項を調査審議する。 (1)不適切な保育等を行った園に対する区の対応に関すること。 (2)不適切な保育等の再発防止にあたり、今後の区の関与等に関すること。 (3)前2号に掲げるもののほか、第1条に規定する設置目的を達成するために必要と認められること。 (組織) 第3条 検討会は、次に掲げる5名以内の委員をもって組織する。 1 委員は、保育、福祉等についての専門的な知識又は経験を有する者とする。 2 検討会に委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。 3 委員長は、検討会を代表し、会務を総理する。 4 委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、あらかじめ委員長の指名する委員がその職務を代理する。 (任期) 第4条 委員の任期は、区に対し報告書を取りまとめ提出するまでとする。 (会議) 第5条 検討会は委員長が招集する。 2 検討会は、必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させて意見若しくは説明を聴き、又はその者から必要な資料の提出を求めることができる。 (委員長の専決処理) 第6条 委員長は、特に緊急を要し検討会を招集するいとまがないと認めるときは、検討会の所掌事項を処理することができる。 この場合においては、速やかに検討会に報告し、その承認を得なければならない。 2 委員長は、検討会の所掌事項についてあらかじめ検討会の指示を受けた時は、これを処理することができる。 (議事録の公開) 第7条 検討会の議事録は、概要版として公開するものとする。 ただし、委員長は、会議の審議内容に個人情報が含まれる場合又は公開することにより公正かつ円滑な会議運営が損なわれる恐れがある場合は、議事録の全部又は一部を非公開とすることができる。 (秘密の保持) 第8条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。 その職を退いた後も同様とする。 (作業部会) 第9条 検討会は、必要があると認めた事項を調査および検討するための部会を置くことができる。 2 部会は、委員長が指名する委員および委員以外の区職員で組織する。 3 部会は委員長が指名する部会長を置く。 4 部会長は、委員長の要請に基づき部会を招集し、主宰する。 (庶務) 第10条 検討会の庶務は、保育部保育課において処理する。 (委任) 第11条 この要領に定めるもののほか、検討会の運営に関する事項その他必要な事項は、委員長が別に定める。 附則 (施行期日) この要領は、令和4年5月1日から施行する。 参考 保育部における相談・通報の流れの図 参考 相談・通報の流れの振り分けの図 参考 世田谷区児童福祉審議会部会設置要綱 令和2年3月30日31世子育第1464号 改正 令和3年3月17日2世子育第1345号 世田谷区児童福祉審議会部会設置要綱 (趣旨) 第1条 世田谷区児童福祉審議会条例(令和元年10月世田谷区条例第29号)第1条に規定する世田谷区児童福祉審議会(以下「審議会」という。)に世田谷区児童福祉審議会条例施行規則(令和2年3月世田谷区規則第52号)第4条の規定に基づき設置する部会の運営について必要な事項を定めるものとする。 (常設の部会) 第2条 審議会に、部会として、里親部会、措置部会、児童虐待死亡事例等検証部会および保育部会を置く。 2 里親部会の所掌事項は、次のとおりとする。 (1) 児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号。以下「令」という。)第29条に基づき、里親(児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第6条の4に規定する里親をいう。以下同じ。)の認定をするに当たって、諮問を受けて答申すること。 (2) 更新又は継続が不適当と認められる者および適否の確認を要する者について、里親の登録の更新又は継続に当たって、諮問を受けて答申すること。 (3) 里親の登録の更新を行ったときに報告を受けること。 3 措置部会の所掌事項は、次のとおりとする。 (1) 令第32条第1項に規定する児童又はその保護者の意向が当該措置と一致しない場合その他児童相談所長が必要と認める場合に諮問を受けて答申すること。 (2) 法第33条の15第2項の規定による被措置児童等虐待(法第33条の10に規定する被措置児童等虐待をいう。)に係る措置についての報告を受け、法第33条の15第3項に規定するその報告に係る意見を述べること。 (3) 児童虐待9防止等に関する法律(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」という。)第9条第1項の規定による立入りおよび調査又は質問並びに法第33条第1項および第2項の規定による一時保護の実施状況等の報告を受けること。 4 児童虐待死亡事例等検証部会の所掌事項は、児童虐待防止法第4条第5項に規定する児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例を分析するとともに、その事例の分析に基づき児童虐待の予防、早期発見等の事項の調査研究および検証を行うものとする。 5 保育部会の所掌事項は、次のとおりとする。 (1) 法第34条の15第4項の規定に基づき、同条第2項に規定する認可をするに当たって、諮問を受けて答申すること。 (2) 法第35条第6項の規定に基づき、同条第4項に規定する認可をするに当たって、諮問を受けて答申すること。 (3) 法第46条第4項の規定に基づき、事業停止命令を行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (4) 法第59条第5項の規定に基づき、事業停止命令又は閉鎖命令を行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (5) 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号。以下「認定こども園法」という。)第17条第3項の規定に基づき、同条第1項に規定する認可を行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (6) 認定こども園法第21条第2項の規定に基づき、同条第1項の規定により事業停止命令又は閉鎖命令を行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (7) 認定こども園法第22条第2項の規定に基づき、同条第1項の規定による取消しを行うに当たって、諮問を受けて答申すること。 (8) 特定教育・保育施設、特定地域型保育事業、地域子ども・子育て支援事業、認可外保育施設、認可外の居宅訪問型保育事業等における重大事故の検証を行うこと。 (9) 特定教育・保育施設、特定地域型保育事業、地域子ども・子育て支援事業、認可外保育施設および認可外の居宅訪問型保育事業等における運営状況等を調査および検証すること。 6 前各項に定めるもののほか、部会は、委員長(世田谷区児童福祉審議会条例第4条に規定する委員長をいう。)又は部会長(世田谷区児童福祉審議会条例施行規則第4条第3項に規定する部会長をいう。以下同じ。)が必要と認める事項を調査審議することができる。 (臨時の部会) 第3条 前条に規定する部会のほか、審議会は、調査審議に係る事項の専門性等に応じて臨時に部会を設置することができる。 (部会の会議の特例) 第4条 世田谷区児童福祉審議会条例施行規則第4条第6項の規定にかかわらず、部会長は、部会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときは、持ち回りその他の方法により当該部会の開催に代えることができる。 この場合における議事については、同条第7項の規定を準用する。 (議事録) 第5条 部会長は、次に掲げる事項を記載した議事録(以下「議事録」という。)を作成し、保存するものとする。 (1) 部会の開催年月日および開催場所 (2) 出席した委員、臨時委員等の氏名 (3) 部会に付した議題 (4) 議事のてんまつ (5) 前各号に掲げるもののほか、部会の経過に関する事項 2 議事録には、部会長および部会長が部会において指名する委員1名が署名するものとする。 3 議事録は、非公開とする。 ただし、部会長が必要があると認めた場合は、公開とすることができる。 (委員等の除斥) 第6条 委員および臨時委員は、自己に直接の利害関係のある事項については、その議 事に加わることができない。 ただし、部会の同意があったときは、部会に出席し、発言することができる。 (庶務) 第7条 里親部会、措置部会および虐待死亡事例等検証部会の庶務は、子ども・若者部児童相談支援課において、保育部会の庶務は、保育部保育課において、それぞれ処理する。 2 第3条に規定する臨時の部会に係る庶務は、当該部会の調査審議に係る事項を所掌する課(世田谷区組織規則(平成3年3月世田谷区規則第7号)第11条第1項に規定する課および担当課をいう。)において処理する。 (雑則) 第8条 この要綱に定めるもののほか、部会の運営に関し必要な事項は、部会長が別に定める。 附則 この要綱は、令和2年4月1日から施行する。 附則(令和3年3月17日2世子育第1345号) この要綱は、令和3年4月1日から施行する。 参考 会議録 第1回 世田谷区保育施設への支援・指導のあり方検討会 令和4年5月30日(月曜日)午後4時00分〜午後6時00分 出席者 森田委員長(東洋大学名誉教授) 天野委員(鶴見大学短期大学部教授)、 上田委員(東洋大学講師) 加藤委員(元鎌倉女子大学教授) 中村副区長、和田保育部長、伊藤保育課長、松岡保育認定・調整課長、志賀保育運営・整備支援課長 1 議事内容 (1)開会挨拶 (2)委員の紹介 (3)委員長の互選 (4)検討会の運営について 2 検討会の概要 (1)資料説明 (2)議論や意見等 ・検討会で議論する内容について、委員間で確認を行った。 ・児童相談所設置自治体になったことによる従前からの変更点や、児童福祉審議会保育部会の役割等の確認があった。 ・事故報告書や第三者検証委員会の立ち上げに関する流れ等について、確認があった。 第三者検証委員会の立ち上げは、より客観性を持たせるため区が行うべきであり、第三者検証委員会設置の基準を作るべきではないか、という意見があった。 ・子ども家庭支援センターと保育園、保育部との連携等についての確認があった。 医療も含めた福祉、医療、保育の情報共有について検証し、ネットワークを構築すべきとの意見があった。 ・支援が必要な子どもや保護者を支えるため、専門職同士の連携や地域での支援が必要であるとの意見があった。 3 今後の予定 第2回 世田谷区保育施設への支援・指導のあり方検討会は、令和4年6月29日(水曜日)の午後6時から開始する予定である。 会議録作成所管課 保育部 保育課 参考 会議録 第2回 世田谷区保育施設への支援・指導のあり方検討会 令和4年6月29日(水曜日)午後6時00分〜午後8時00分 出席者 森田委員長(東洋大学名誉教授)、 天野委員(鶴見大学短期大学部教授)、 上田委員(東洋大学講師)、 加藤委員(元鎌倉女子大学教授) 和田保育部長、伊藤保育課長、松岡保育認定・調整課長、志賀保育運営・整備支援課長 1 議事内容 (1)第1回検討会の議論について (2)私立保育園内での虐待案件について (3)保育施設への支援・指導の方向性 2 検討会の概要 (1)資料説明 (2)議論や意見等 ・現在の区への事故報告の仕組みについて、区へ報告が必要となるものや報告する時期等を、改めて区と園で共通認識を持つ必要がある。 ・部内に設置したケース会議について、ケース会議に付議する案件や緊急を要する案件についての基準を明確化する必要がある。 ・保育園から報告のあった事故について、児童福祉審議会保育部会とも情報提供する仕組みとしたい。 ・地域の子ども家庭支援センターと保育部、保育園が適切に情報を共有しながら園を支援する仕組みの構築が必要である。 ・巡回でも指導検査でも園での虐待行為に気づかないのであれば、今後、気づける仕組みを考えて行かなければならない。 3 今後の予定 第3回 世田谷区保育施設への支援・指導のあり方検討会は、令和4年7月25日(月曜日)の午後4時から開始する予定である。 会議録作成所管課 保育部 保育課 参考 会議録 第3回 世田谷区保育施設への支援・指導のあり方検討会 令和4年7月25日(月曜日)午後4時00分〜午後6時00分 出席者 森田委員長(東洋大学名誉教授)、 天野委員(鶴見大学短期大学部教授)、 上田委員(東洋大学講師)、 加藤委員(元鎌倉女子大学教授) 和田保育部長、伊藤保育課長、松岡保育認定・調整課長、志賀保育運営・整備支援課長 1 議事内容 (1)あり方検討会の報告書について 2 検討会の概要 (1)資料説明 (2)議論や意見等 ・それぞれの保育園で起きた事案について、全ての保育園が我が事として受け止め、保育の根幹に関わる子どもの権利擁護や保護者とのつながりなど共通する部分に関わることとわかるような書き方にする必要がある。 ・情報共有の重要性や世田谷区のスタンスについて、表明していかなければならない。 ・不適切な保育と指摘した内容について、子どもの最善の利益や成長発達を踏まえた権利を考慮した書き方にする必要がある。 ・子どもの養育のために必要な情報をどのように共有し、連携をとっていくのかについて記載したほうが良い。 ・区が保育施設を指導、支援するだけでなく、協働という視点を取り入れる必要がある。 ・当事者主体の保育を作り上げるために、保育園と保護者の信頼関係を醸成し、情報共有や児童の理解を深めていかなければならない。 3 今後の予定 第4回 世田谷区保育施設への支援・指導のあり方検討会は、令和4年8月24日(水曜日)の午後4時から開始する予定である。 会議録作成所管課 保育部 保育課 参考 会議録 第4回 世田谷区保育施設への支援・指導のあり方検討会 令和4年8月24日(水曜日)午後4時00分〜午後5時30分 出席者 森田委員長(東洋大学名誉教授)、 天野委員(鶴見大学短期大学部教授)、 上田委員(東洋大学講師)、 加藤委員(元鎌倉女子大学教授) 和田保育部長、伊藤保育課長、松岡保育認定・調整課長 1 議事内容 (1)あり方検討会の報告書について (2)検討会を受けた今後の対応について 2 検討会の概要 (1)資料説明 (2)議論や意見等 ・保育施設に対する指導検査での指摘事項について、指摘事項が改善されているのかの確認を行っているのか等の確認があった。 ・保育の質を高めていくため、世田谷区での保育に責任を持ち、子どもの権利をしっかり守って行くため、法人側も覚悟を持って区で保育を行ってもらいたい。 ・特色ある保育の実践は、子どもの権利が守られていることが大前提である。 権利擁護の仕組みを作りつつ保育士に対する支援も充実させてもらいたい。 ・今後、児童福祉審議会とも連携して取り組みを進めて行く方向となったことは評価できる。 会議録作成所管課 保育部 保育課 世田谷区 保育施設への支援・指導のあり方検討会 検討結果報告書 「保育施設への支援・指導のあり方検討会」 事務局 世田谷区保育部保育課 世田谷区世田谷4−21−27 電話 03−5432−2448