資料3 令和4年11月8日 教育委員会事務局 区立幼稚園集約化等計画について 1 経緯 平成26年8月に策定した「区立幼稚園用途転換等計画」(以下「用途転換等計画」という。)では、当時の重点課題であった保育待機児の解消にも資するため区立幼稚園を公私立の幼保連携型認定こども園へと用途転換することとした。 しかしながら、未就学児人口の減少や、幼児教育・保育の無償化、保育待機児の解消、区立幼稚園・認定こども園の入園者数が大幅に減少するなど、その後区の乳幼児教育・保育施設をめぐる状況の変化は大きく変化した。 区は、こうした状況の変化を踏まえ、区立幼稚園の管理職も含む検討体制において、保護者アンケートの結果や世田谷区立幼稚園・認定こども園PTA連絡協議会の意見等も参考としながら、用途転換等計画を見直し、今後の区立幼稚園等のあり方について示す「区立幼稚園集約化等計画」(以下「集約化等計画」という。)を取りまとめた。 ※集約化等計画の詳細は別添資料を参照 2 今後の区立幼稚園等のあり方等 (1)背景(乳幼児教育・保育施設をめぐる状況) 1 区立幼稚園・認定こども園の入園児の減少と在園児数に要配慮児が占める割合の上昇 定員の充足率 平成30年度 73% 令和4年度 38% 要配慮児の割合 平成30年度 14.7% 令和4年度 25.2% 2 保育待機児の解消・私立幼稚園入園児数の減少 3 医療的ケア児支援法の施行(令和3年9月18日) 4 乳幼児教育支援センターの開設(令和3年12月20日) (2)用途転換等計画の見直し 保育待機児の解消等の乳幼児教育・保育施設をめぐる状況の変化を踏まえ、区立幼稚園の 公私立の幼保連携型認定こども園への用途転換は行わない。 (3)区立幼稚園の集約化 1 現在8園ある区立幼稚園等については、区内5地域各1か所に段階的に集約化していく。 集約化後の施設類型は、幼稚園もしくは幼稚園型認定こども園とする。 2 集約化に合わせて3年保育を導入し、3歳児から要配慮児・医療的ケア児の受け入れると ともに、3歳児からの質の高い教育・保育についての研究等に取り組む。 (4)集約化後の区立幼稚園等の役割等 1 私立幼稚園や保育所等と連携し相互に補完しながら、配慮を要する児童へのきめ細かな対応や医療的ケア児の対応に取り組むなどインクルーシブな教育・保育を推進していく。 2 地域の教育・保育の拠点として、公私立、幼稚園・保育所等の枠を超えた連携や、保・幼・小・中の交流・連携等を先導・推進する。 3 核家族化の進行・共働き世帯の増大等に伴う働き方の多様化に対応し、保護者の負担軽減・就労支援を図るため、長期休業期間中の預かり保育の実施や、預かり保育の時間延長等の機能充実に取り組む。 4 乳幼児教育支援センターを中心として展開する世田谷区の特色ある取組みの担い手とし て研究や事業を牽引する。 3 各園の集約化の内容・年次 集約化の年次、組み合わせ等について、区立幼稚園の在園状況、地理的条件、長寿命化調査の結果、集約化後の跡地の活用等を総合的に勘案して確定していく。 集約化についての表 4 集約化の進め方について (1)保護者、区立幼稚園職員等を対象とした集約化計画に係る説明会の実施 1 令和4年9月に、集約化の対象となる6園の在園児の保護者を対象として説明会を実施 2 令和4年10月に、認定こども園多聞幼稚園と砧幼稚園の在園児の保護者を対象として 説明会を実施 3 令和4年9月15日の世田谷区立幼稚園・認定こども園PTA連絡協議会定例会において、集約化計画について説明 4 令和4年8月に、区立幼稚園職員を対象としてオンラインにて説明会を実施 5 今後、区立幼稚園の集約化に向けた取組みの進捗に合わせて、まちづくりセンター等 と連携しながら、集約化対象の区立幼稚園近隣の住民への説明を実施予定 (2)集約化の段階的実施 集約化については、乳幼児教育・保育施設をめぐる状況の変化、区の財政状況等を総合的 に勘案し、段階的に進める。 (3)集約化後の跡地活用 集約化後の区立幼稚園の跡地活用については、子どもの減少傾向となる中においても教育を含む子ども・子育て施策を一層バージョンアップするための検討・調整を行う。 (4)集約化等計画の進捗管理 集約化等計画については、次期基本計画の中間見直しや「子ども計画(第3期)」の見直しの時期に合わせて、進捗状況の検証を行う。 令和4年7月27日 教育委員会事務局 区立幼稚園集約化等計画(案)について 1 主旨 近年、乳幼児期の教育・保育に求められる役割は大きなものとなっており、平成30年4月に施行された「幼稚園教育要領」、「保育所保育指針」、「幼保連携型認定 こども園教育・保育要領」(以下「幼稚園教育要領等」という。)では、「幼児期の教育・保育において育みたい資質・能力」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」 が示され、3歳以上の教育・保育の内容が共通化された。 こうした中、世田谷区でも、平成29年7月に「世田谷区幼児教育・保育推進ビジョン」(以下「幼保ビジョン」という。)を策定し、区の乳幼児期の教育・保育のあり方を示した。 また、令和3年度には、幼保ビジョンや幼稚園教育要領等を踏まえ、区の乳幼児期の教育・保育の推進拠点として、教育総合センター内に乳幼児教育支援センターを設置するとともに、区内教育・保育関係者が共有すべき基本的方向性を示した「世田谷区教育・保育実践コンパス」を作成するなど、就学前の子どもの教育・保育の充実に取り組んできた。 一方、令和元年10月に幼児教育・保育の無償化が開始し、令和2年4月には区の保育待機児は解消した。 こうした中、令和2年度以降、区立幼稚園・認定こども園(以下「区立幼稚園等」という。)は、入園者数の減少が顕著となり、園の小規模化により集団教育・保育から得られる様々な体験や活動に制約が生じることが懸念されるなど、区の乳幼児教育・保育施設をめぐる状況は大きく変化している。 また、今後策定される「子ども・子育て支援事業計画調整計画」では、単に子どもの人口の減少に合わせて支援や施設を減らすのではなく、これまでの施設や財源・人材を在宅子育て支援などに振り向け、子ども・子育て施策の一層の充実をめざす「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を示すことを予定している。 このような状況に対応し、区立幼稚園等における質の高い教育・保育の実践と区全体の乳幼児期の教育・保育の質の向上を図るため、「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を踏まえ、平成26年8月に作成した「区立幼稚園用途転換等計画」(以下「用途転換等計画」という。)を見直し、今後の区立幼稚園等のあり方を示す「区立幼稚園集約化等計画(案)」を取りまとめたので報告する。 2 計画の内容 詳細は、別紙1・2のとおり (1)用途転換等計画の進捗状況 用途転換等計画では、当時の重点課題であった保育待機児の解消にも資するため区立幼稚園9園について、5園を区立幼保連携型認定こども園に、4園を公私連携の私立幼保連携型認定こども園へと転換することとしている。 これに基づき、平成28年度に多聞幼稚園を幼稚園型認定こども園へ用途転換するとともに、平成30年度をもって塚戸幼稚園を閉園し、同園跡地に公私連携の私立幼保連携型認定こども園を開設した。 (2)区立幼稚園等の現状及びそれを取り巻く状況 1 区立幼稚園等入園者数の減少と配慮を要する児童の割合の上昇 区立幼稚園等では、幼児教育・保育の無償化や未就学児人口の減少等により在園児数が急激に減少しており、令和4年度の定員に対する在園児数の割合(充足率)は38%となっている。 一方、在園児に占める配慮を要する児童(以下「要配慮児」という)の割合は、25.2%に上っている。 区立幼稚園在園児数の推移の表 幼稚園における要配慮児数の表 2 保育待機児の解消・私立幼稚園入園児数の減少 保育待機児数は、区内保育施設の整備の進捗等により、令和2年4月には0人となり、解消された。 また、私立幼稚園においても入園者は、減少に転じている。 3 医療的ケア児支援法の施行 令和3年9月18日に医療的ケア児支援法が施行され、区立幼稚園等を含む学校等の設置者は、在籍する医療的ケア児のため、看護師の配置その他の必要な措置を講ずる責務を負うこととなった。 4 乳幼児教育支援センターの開設 区では、令和3年12月に区の乳幼児期の教育・保育の推進拠点として、乳幼児教育支援センターを設置し、子どもたちに質の高い教育・保育の提供する体制の構築に取組んでいくこととした。 (3)用途転換等計画の見直し 保育待機児が解消したことにより、区として当面の間、新規の保育施設の整備を見合わせることとした。 これを踏まえ、区立幼稚園等の区立幼保連携型認定こども園及び公私連携の私立幼保連携型認定こども園への用途転換は行わない。 (4)区立幼稚園の集約化について 区立幼稚園等を取り巻く状況の変化を踏まえ、現在8園ある区立幼稚園等については、区内5地域に1か所程度とし、地域の教育・保育の拠点として乳幼児期の教育・保育を先導・推進する役割を果たすよう、段階的に集約化していく。 区立幼稚園の集約化にあたっては、区立幼稚園の築年数が概ね45年〜50年程度であり、施設の耐用年数である築65年には至っていないことや、財政負担の軽減、平準化の観点を踏まえて、要配慮児等の受入れに向けた機能強化を目的とした一部改修を行い、既存施設を活用することを基本とする。 また、施設の改修にあたっては、各施設の調査を行うとともに、医療的ケア児の区立学校等での円滑な受け入れに関する作業部会の検討も踏まえて、医療的ケア児の受入れ等のために必要な機能とその整備手法について可能な限り反映させていく。 集約化後の区立幼稚園等の施設類型については、幼稚園又は幼稚園型認定こども園とする。 集約化後の各園の機能や役割としては、3歳児の段階から要配慮児等を含めた児童の受入れを行っていくことを基本とする。 また、新たに開設した乳幼児教育支援センターにおいては学識経験者等の知識・経験を活用しながら、保・幼・小の連携や乳幼児期の教育・保育の実践充実に向けたモデル研究の取組みを進めていることから、各幼稚園等と連携しながら3歳児からの教育・保育について先進的な研究等に取り組んでいく。 そのような機能・役割を十分に果たすために、区立幼稚園及び幼稚園型認定こども園における3歳児保育の導入に向けて、検討を進めるものとする。 検討にあたっては、区立認定こども園多聞幼稚園も含め、各園の在園児数や区全体の乳幼児教育・保育施設の利用状況のバランス、要配慮児や医療的ケア児のニーズ等を踏まえ、具体的な定員等を定めるものとする。 1 区立砧幼稚園について 区立砧幼稚園については、区立砧小学校との複合化による改築を行い、給食の提 供や預かり機能の充実を目的として、幼稚園型認定こども園に用途転換する。 また、医療的ケア児支援法の施行を踏まえ、改築後には、医療的ケア児を幼稚園等から小学校、新ボップまで一貫して受け容れるモデル的取組みを行うこととし、複合化による改築を行う中で、必要な設備等の整備を図ることとする。 幼稚園枠及び保育枠の定員等の詳細については、個別の「用途転換移行計画」において定める。 2 区立認定こども園多聞幼稚園について 既に幼稚園型認定こども園へ用途転換している区立認定こども園多聞幼稚園は、三宿の杜なごみ保育園の連携園となっており、同園を卒園した4歳児の受け入れ先となっていることなどから、当面の間、現在と同様の運営を基本とする。 ただし、学年数、クラス数、定員等の詳細については、必要に応じて見直しを行う。 3 区立砧幼稚園、区立認定こども園多聞幼稚園以外の園について 区内の幼稚園全体の園児数が減少傾向にある中で、乳幼児教育・保育施設の利用状況のバランスとこれまで担ってきた役割及び今後果たすべき役割に留意しながら、区立幼稚園の集約化を進めていくものとする。 各施設の学年数、クラス数、定員等の詳細は、施設ごとに作成する個別の集約化に係る計画において定める。 4 集約化の年次等について 集約化の年次・組み合わせ等については、区立幼稚園の在園状況、地理的条件、集約化後の跡地の活用等を総合的に勘案して確定していく。 各園の集約化等の内容・年次についての表 (5)今後の区立幼稚園等のあり方 これまで区立幼稚園においては、経験豊富な幼稚園教諭により、個々の児童の発達や特性に応じたきめ細やかな教育・保育が実践されてきた。 また、要配慮児について、介助員により個々の特性に応じた手厚い支援が行われてきた。 区立幼稚園等の集約化後においては、このような各園において蓄積された様々な経験や知識を活用して、5つの園が乳幼児教育支援センターと連携しながら、以下のような役割を担うとともに、それぞれの機能の強化を図っていく。 1 乳幼児期の教育・保育の質の向上に向けた連携の先導・推進 「学び舎」の構成園、地域の教育・保育の拠点として、私立幼稚園や保育所等と協力しながら、乳幼児期の教育・保育の質の向上に向けて、公私立、幼稚園・保育所等の枠を超えた連携や、保・幼・小・中の交流・連携、就学前教育と義務教育の円滑な接続の実現等を先導・推進する。 2 社会の変化に伴う働き方の多様化等に対応した機能充実 核家族化の進行や共働き世帯の増大等の社会の変化に伴う保護者の働き方の多様化に対応し、子どもたちへ質の高い教育・保育を提供するとともに、保護者の負担軽減・就労支援のため、長期休業期間中の預かり保育の実施や、預かり保育の時間延長等の機能充実を図る。 3 世田谷区の特色ある取組みの実施 乳幼児教育支援センターを中心として展開するモデル研究とその成果の共有化、子どもたちが非認知的能力等の「これからの社会を生き抜く力」を培うことのできる環境づくり、地域団体等と連携した家庭教育・子育て支援の取組み、大学等と連携した研究・試行事業など、世田谷区の特色ある取組みの担い手として研究や事業を牽引する。 4 要配慮児・医療的ケア児の対応 区立幼稚園等は、従来から要配慮児の受け入れを行ってきた。 集約化後においても、私立幼稚園や保育所等と連携し相互に補完しながら、これまで培われたノウハウや教育・保育内容を活かし、きめ細やかな対応を行うとともに、医療的ケア児支援法を踏まえ、医療的ケア児の対応に取り組み、インクルーシブな 教育・保育を推進していく。 (6)今後の進め方について 区立幼稚園の集約化については、本計画に基づき、区の乳幼児教育・保育施設をめぐる状況の変化、区の財政状況等を総合的に勘案し、段階的に進めていく。 区立幼稚園集約化後の跡地活用については、「子ども・子育て支援事業計画調整計画」に示される予定の「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を踏まえ、区立保育園の再整備計画の方向性との整合性等も勘案しながら、「子ども・ 子育て応援都市」として、教育を含む子ども・子育て施策を一層バージョンアップするための検討・調整を行う。 また、次期基本計画の中間見直しや「子ども計画(第3期)」見直しの時期に合わせて、本計画についても、その進捗状況の検証等を行う。 3 今後のスケジュール 令和4年8月 策定 8〜9月 各園保護者等への周知 区立幼稚園集約化等計画 今後の区立幼稚園・認定こども園のあり方について 令和4年8月 世田谷区教育委員会 1 「区立幼稚園集約化等計画」策定の趣旨 近年、乳幼児期の教育・保育に求められる役割は大きなものとなっており、平成30年4月に施行された「幼稚園教育要領」、「保育所保育指針」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」(以下「幼稚園教育要領等」という。)では、「幼児期の教育・保育において育みたい資質・能力」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が示され、3歳以上の教育・保育の内容が共通化された。 こうした中、世田谷区でも、平成29年7月に「世田谷区幼児教育・保育推進ビジョン」(以下「幼保ビジョン」という。)を策定し、区の乳幼児期の教育・保育のあり方を示した。 また、令和3年度には、幼保ビジョンや幼稚園教育要領等を踏まえ、区の乳幼児期の教育・保育の推進拠点として、教育総合センター内に乳幼児教育支援センターを設置するとともに、区内教育・保育関係者が共有すべき基本的方向性を示した「世田谷区教育・保育実践コンパス」を作成するなど、就学前の子どもの教育・保育の充実に取り組んできた。 また、この間、幼稚園・保育所等を利用する家庭のあり方・保護者の働き方が多様化したことに伴い、乳幼児期の教育・保育に関するニーズも多様化する一方で、令和元年10月には3歳以上の幼児教育・保育の利用料が無償化するとともに、令和3年9月には「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下「医療的ケア児支援法」という。)が施行され、幼稚園・保育所等の設置者が医療的ケア児に対して適切な支援を行う責務を負うこととなった。 こうした中で、令和2年4月に区の保育待機児が解消するとともに、令和2年度以降、区立幼稚園・認定こども園の入園者数の減少が顕著となり、園の小規模化により集団教育・保育から得られる様々な体験や活動に制約が生じることが懸念されるなど、区の乳幼児教育・保育施設をめぐる状況は大きく変化している。 今後策定される「子ども・子育て支援事業計画調整計画」では、「子ども計画(第2期)後期計画」及び「子ども・子育て支援事業計画」の進捗状況を踏まえ、子どもと子育て家庭をとりまく急激な変化に対応するため、単に子どもの人口の減少に合わせて支援や施設を減らすのではなく、これまでの施設や財源・人材を在宅子育て支援などに振り向け、子ども・子育て施策の一層の充実をめざす「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を示すことを予定している。 本計画は、このような状況の変化に対応し、区立幼稚園・認定こども園における一層質の高い教育・保育の実践と区全体の乳幼児期の教育・保育の質の向上を図るため、「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を踏まえ、「区立幼稚園用途転換等計画」(平成26年8月策定)を見直すとともに、今後の区立幼稚園・認定こども園のあり方について示したものである。 2 「区立幼稚園用途転換等計画」見直しの背景 (1)「区立幼稚園用途転換等計画」の進捗状況 平成26年8月に策定した「区立幼稚園用途転換等計画」(以下「用途転換 等計画」という。)では、当時の重点課題であった保育待機児の解消にも資するため、区立幼稚園9園について、5園を区立の幼保連携型認定こども園へ、4園を公私連携の私立の幼保連携型認定こども園へと用途転換を進めることとした。 用途転換にあたっては、5園を3歳児から5歳児を対象とした区立の幼保連携型認定こども園に用途転換し、4園を0歳児から5歳児を対象とした公私連携の私立の幼保連携型認定こども園へと用途転換することを想定していた。 これに基づき、将来的に幼保連携型認定こども園への移行を検討することを前提として、平成28年度に区立多聞幼稚園について幼稚園型認定こども園への用途転換を行った。 また、区立塚戸幼稚園については、平成30年度をもって閉園し、令和2年度、同園跡地に公私連携の幼保連携型認定こども園を開設した。 区立松丘幼稚園は、区立弦巻中学校の改築に合わせて、複合化による改築・用途転換を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う事業見直しにより、区立弦巻中学校との複合化による改築・用途転換は中止となった。 区立砧幼稚園についても、区立砧小学校の改築に合わせた複合化による改築・用途転換を計画しており、改築後は医療的ケア児を幼稚園から小学校、新ボップまで受け入れるモデル的取組みを行うことが予定されている。 用途転換等計画(平成26年8月策定)における移行年次等について 多聞幼稚園 区立認定こども園 改修(一部増築) 平成28年度予定 松丘幼稚園 区立認定こども園 改築 平成30年度以降 桜丘幼稚園 私立認定こども園 改築 平成33年度以降 三島幼稚園 区立認定こども園 改修または改築 平成34年度以降 中町幼稚園 私立認定こども園 改築 平成35年度以降 塚戸幼稚園 私立認定こども園 改築 平成31年度以降 砧幼稚園 区立認定こども園 改築 平成32年度以降 給田幼稚園 区立認定こども園 改修(一部増築) 平成31年度以降 八幡山幼稚園 私立認定こども園 改築 平成31年度以降 (2)区立幼稚園・認定こども園の現状及びそれを取り巻く状況 1 区立幼稚園・認定こども園入園者数の減少と配慮を要する児童の割合の上昇 区立幼稚園・認定こども園では、幼児教育・保育の無償化や未就学児人口の減少等の影響により在園児数が急激に減少しており、定員に対する在園児 数の割合(充足率)を比較すると平成29年度が76.4%、平成30年度が73.0%なのに対して、令和4年度は38.0%となっている。 また、定員に対する新規入園児の応募倍率は、平成31年度が0.72倍なのに対して、令和4年度が0.31倍となっている。 一方、配慮を要する児童(以下「要配慮児」という。)の数は、平成29年度が142人、令和4年度が104人と減少傾向にあるが、在園児に要配慮児が占める割合は、平成29年度が15.2%に対して、令和4年度は25.2%と上昇している。 区立幼稚園在園児数の推移の表 過去5年間の新入園児数の状況の表 幼稚園における要配慮児数の表 2 未就学児人口の減少 令和4年の世田谷区の0歳〜5歳の未就学児人口は、ピーク時の平成30年と比較すると9%減少している。 特に、1歳、2歳の減少が著しく、対平成30年比で1歳が17.0%減、2歳が14.0%減となっている。 なお、「世田谷区将来人口推計」(令和4年7月)の令和9年の人口予測による未就学児人口では、平成30年と比較すると約18%の減少となっている。 未就学児人口の推移・推計(全体)の表 未就学児人口の推移の表 未就学児人口の人口推計の表 3 保育待機児の解消・私立幼稚園入園児数の減少 保育待機児数は、平成28年度にピークに達したが、その後、区内保育施設の整備が進んだことや未就学児人口が減少傾向に転じたことにより、令和2年4月に0人となり、保育待機児は解消された。 また、私立幼稚園の入園者数は、減少傾向に転じており、東京都の「学校 基本調査」によれば、平成30年度と比較すると、令和2年度の入園者数は12.0%減、令和3年度の入園者数は19.5%減となっている。 年齢別待機児等数の表 私立幼稚園入園児数の推移の表 4 医療的ケア児支援法の施行 令和3年9月18日に医療的ケア児支援法が施行され、区立幼稚園・認定こども園を含む学校等の設置者は、その設置する学校に在籍する医療的ケア児が保護者の付き添いがなくとも適切な医療的ケアその他の支援を受けることができるようにするため、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずる責務を負うこととなった。 5 乳幼児教育支援センター機能の設置 区では、令和3年12月に開設した教育総合センターの中に乳幼児教育支援センター機能を設置し、区の乳幼児期の教育・保育の推進拠点として位置づけた。 今後は、乳幼児教育支援センターを中心として、保育者の指導力や専門性の向上を図るとともに、公私立、幼稚園・保育所等の枠を超えた連携を促進するなど、乳幼児期の子どもたちに質の高い教育・保育を提供する体制の構築に取組むこととなった。 3 区立幼稚園集約化等計画 用途転換等計画策定後の区立幼稚園・認定こども園を取り巻く状況の変化を踏まえ、用途転換等計画の内容を大幅に見直し、今後の区立幼稚園・認定こども園のあり方について、「区立幼稚園集約化等計画」として、以下のとおり示すものとする。 (1)用途転換等計画の見直し 保育待機児が解消したことにより、区としては、当面の間、新規の保育施設の整備を見合わせる方針とした。 このことを踏まえ、区立幼稚園の3歳児から5歳児を対象とした区立幼保連携型認定こども園への用途転換及び0歳児から5歳児を対象とした公私連携の私立幼保連携型認定こども園への用途転換についても、当面行わないものとする。 (2)区立幼稚園の集約化について 幼児教育・保育の無償化以降、区立幼稚園・認定こども園への入園者が著しく減少しているとともに、区立幼稚園が発足した昭和40年代において、その量的補完を目的としていた私立幼稚園の入園者についても既に減少傾向に転じている。 また、区立幼稚園が区の乳幼児期の教育・保育の中で果たすべき役割も時代とともに大きく変わってきている。 現在8園ある区立幼稚園・認定こども園については、区の乳幼児期の教育・保育の推進拠点として乳幼児教育支援センターが設置されたことなどを踏まえ、区内5地域に各1園程度存立し、地域の拠点として乳幼児期の教育・保育を先導・推進する役割を果たすように、段階的に集約化していく。 区立幼稚園の集約化にあたっては、区立幼稚園の築年数が概ね45年〜50年程度であり、施設の耐用年数である築65年には至っていないことや、財政負担の軽減、平準化の観点を踏まえて、要配慮児等の受入れに向けた機能強化を目的とした一部改修を行い、既存施設を活用することを基本とする。 また、施設の改修にあたっては、各施設の調査を行うとともに、医療的ケア児の区立学校等での円滑な受け入れに関する作業部会の検討も踏まえて、医療的ケア児の受入れ等のために必要な機能とその整備手法について可能な限り反映させていく。 集約化後の各園の機能や役割としては、3歳児の段階から要配慮児等を含めた児童の受入れを行っていくことを基本とする。 また、新たに開設した乳幼児教育支援センターにおいては、学識経験者等の知識・経験を活用しながら、保・幼・小の連携や乳幼児期の教育・保育の実践充実に向けたモデル研究の取組みを進めていることから、各幼稚園等と連携しながら3歳児からの教育・保育について先進的な研究等に取り組んでいく。 そのような機能・役割を十分に果たすために、区立幼稚園及び幼稚園型認定こども園における3歳児保育の導入に向けて、検討を進めるものとする。 検討にあたっては、区立認定こども園多聞幼稚園も含め、各園の在園児数や区全体の乳幼児教育・保育施設の利用状況のバランス、要配慮児や医療的ケア児のニーズ等を踏まえ、具体的な定員等を定めるものとする。 1 集約化後の施設類型等 集約化後の区立幼稚園・認定こども園の施設類型については、幼稚園として継続又は幼稚園型認定こども園へ用途転換するものとする。 また、幼稚園型認定こども園へ用途転換する場合は、給食提供のための厨房の設置工事を行うことを基本とする。 2 区立砧幼稚園について 区立砧小学校と複合化し改築する予定の区立砧幼稚園については、幼稚園型認定こども園に用途転換する。 また、医療的ケア児支援法の施行を踏まえ、改築に合わせて医療的ケア児を幼稚園・認定こども園から小学校、新ボップまで一貫して受け容れるモデル的取組みについて、他自治体の先行事例等も参考にしながら、施設・設備面、運営・運用面の両面において必要な検討・取組みを行うものとする。 検討結果は、区立砧幼稚園の改築及びモデル的取組みに反映させるとともに、他の区立幼稚園・認定こども園、小学校、新ボップにおける医療的ケア児対応の取組みに活用する。 区立砧幼稚園における医療的ケア児対応のモデル的取組みの本格実施は、改築工事終了後とする。 医療的ケア児については、NICU(新生児特定集中治療室)等に長期入院した後、医療的ケアが日常的に必要となる児童が多く、比較的早期から医療的ケア児及びその家族への支援に関するニーズが高いことが見込まれる。 また、砧幼稚園は砧小学校との複合化による改築を行う中で、必要な設備等の整備を図ることが可能となることから3歳児保育の実施を基本とする。 以上のような点を踏まえ、幼稚園枠及び保育枠の定員等の詳細については、本計画に基づき作成する個別の「用途転換移行計画」において定める。 3 区立認定こども園多聞幼稚園について 既に幼稚園型認定こども園へ用途転換している区立認定こども園多聞幼稚園については、社会福祉法人なごみ福祉会三宿の杜なごみ保育園の連携園となっており、同園を卒園した4歳児の受け入れ先となっていることなどから、当面の間、現在と同様の運営、学年、クラス数の継続を基本とする。 ただし、学年数、クラス数、幼稚園枠及び保育枠の定員等の詳細については、必要に応じて、在園児数の増減、要配慮児・医療的ケア児に係るニーズ、他の乳幼児教育・保育施設の状況等を踏まえ、検討し、見直すものとする。 4 区立砧幼稚園、区立認定こども園多聞幼稚園以外の園について 区内の幼稚園全体の園児数が減少傾向にある中で、区全体の乳幼児教育・保育施設の利用状況のバランスとこれまで区立幼稚園が担ってきた役割及び今後果たすべき役割に留意しながら、区立幼稚園の集約化を進めていくものとする。 個々の施設の学年数、クラス数、定員等の詳細については、在園児数の増減や医療的ケア児・要配慮児に係るニーズ、他の乳幼児教育・保育施設の状況、既存施設の改修・改築の可能性等を総合的に勘案しながら検討し、本計画に基づき、施設ごとに作成する個別の集約化に係る計画において定めるものとする。 現時点で想定されている集約化の組み合わせは、以下のとおりである。 ア 区立中町幼稚園・三島幼稚園について 区立三島幼稚園と区立中町幼稚園を集約化する。 集約化にあたっては、現中町幼稚園の園舎・園庭を活用する。 イ 区立八幡山幼稚園・給田幼稚園について 区立給田幼稚園と区立八幡山幼稚園を集約化する。 集約化にあたっては、現八幡山幼稚園の園舎・園庭を活用する。 ウ 区立桜丘幼稚園・松丘幼稚園について 区立弦巻中学校との複合化による改築に合わせて区立幼保連携型認定こども園へ用途転換することを計画していた区立松丘幼稚園については、弦巻中学校との複合化は行わず、桜丘幼稚園と集約化する。 集約化にあたっては、現桜丘幼稚園の園舎・園庭を活用する。 5 集約化の年次等について 集約化の年次、集約化の組み合わせ等については、区立幼稚園の在園状況や 地域の教育・保育の拠点としての地理的条件、各施設の築年数や改修・改築等の可能性及びそのコストや乳幼児教育・保育施設の整備状況、集約化後の跡地の活用等を総合的に勘案して確定していく。 なお、集約化の実施にあたっては、対象となる区立幼稚園に、現在在園している児童やその保護者に十分配慮する。 また、在園中に集約化が行われる園に入園予定の児童にも配慮のうえ、保護者への説明などを通し、理解を得ていく。 特に、集約化の実施及びそれに伴う園児募集の停止の予定等については、入園申込みの段階で周知する。 各園の集約化等の内容・年次についての表 (3)今後の区立幼稚園・認定こども園のあり方 これまで区立幼稚園においては、経験豊富な幼稚園教諭により、個々の児童の発達や特性に応じたきめ細やかな教育・保育が実践されてきた。 また、要配慮児について、介助員により個々の特性に応じた手厚い支援が行われてきた。 区立幼稚園・認定こども園の集約化後においては、このような各園において蓄積された様々な経験や知識を活用して、5つの園が乳幼児教育支援センターと連携しながら、以下のような役割を担うとともに、それぞれの機能の強化を図っていく。 1 乳幼児期の教育・保育の質の向上に向けた連携の先導・推進 地域とともに子どもを育てる教育をめざす世田谷区独自の仕組みである「学び舎」の構成園であり、地域の教育・保育の拠点としての役割を担う区13 立幼稚園・認定こども園は、私立幼稚園や保育所等と連携しながら、乳幼児期の教育・保育の質の向上に向けて、公私立、幼稚園・保育所等の枠を超えた連携や、区立小・中学校と幼稚園・保育所等との交流・連携、就学前教育と義務教育の円滑な接続の実現等を先導・推進する。 2 社会の変化に伴う働き方の多様化等に対応した機能充実 核家族化の進行や共働き世帯の増大等の社会の変化に伴い、保護者の働き方が多様化したことにより、区立幼稚園における教育・保育を望む保護者にも、長期休業期間中(夏休み、冬休み、春休み)の保育や、長時間保育の実施へのニーズが高まっている。 こうしたニーズに対応し、子どもたちへ質の高い教育・保育を提供するとともに、保護者の負担軽減・就労支援のため、区立幼稚園の集約化に合わせて、各園の職員体制を見直したうえで、長期休業期間中の預かり保育の実施や、預かり保育の時間延長等、区立幼稚園・認定こども園の機能充実を図る。 3 世田谷区の特色ある取組みの実施 区では、乳幼児教育支援センターを中心として、実践コンパスを踏まえた教育・保育の実践や「学び舎」を起点とした連携等のモデル研究を行うとともに、その成果を区内の公私立乳幼児教育・保育施設との共有化を図っていく。 また、子どもたちが様々な「体験」を通して非認知的能力等の「これからの社会を生き抜く力」を培うことのできる環境づくり、保護者の不安を軽減するための地域団体等と連携した家庭教育・子育て支援の取組み、大学等と連携した研究・試行事業などを展開していく。 区立幼稚園・認定こども園は、地域の教育・保育の拠点として、乳幼児教育支援センターとともに、こうした世田谷区の特色ある取組みの担い手として研究や事業を牽引する。 4 要配慮児・医療的ケア児の対応 区立幼稚園・認定こども園は、従来から要配慮児の受け入れを行ってきていた。 集約化後においても、私立幼稚園や保育所等と連携し相互に補完しながら、これまで培われてきた支援のノウハウや教育・保育内容等を活かし、引き続き、要配慮児へのきめ細やかな対応を行うとともに、医療的ケア児支援法の1施行を踏まえ、医療的ケア児の対応に取り組み、インクルーシブな教育・保育を推進していく。 また、対応に取り組むにあたっては、区立砧幼稚園における医療的ケア児受け入れのモデル的取組みについての検討内容や他自治体での先行事例等を踏まえ、運営・運用面及び設備等の面で必要な整備を行う。 (4) 今後の進め方について 区立幼稚園の集約化については、本計画を踏まえ、区の乳幼児教育・保育施設をめぐる状況の変化、区の財政状況等を総合的に勘案し、段階的に進めていく。 区立幼稚園集約化後の跡地活用については「子ども・子育て支援事業計画調整計画」で示される予定の「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を踏まえるとともに、区立保育園の再整備計画の方向性との整合性や、施設の改修・改築等の可能性、医療的ケア児や要配慮児への対応に向けた施設整備等の要素を勘案し、「子ども・子育て応援都市」として、教育を含む子ども・子育て施策を一層バージョンアップするための検討・調整を行う。 また、区立幼稚園の集約化に伴い、影響を受ける要配慮児等への対応についても「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」等の方向性を踏まえ、検討する。 区立幼稚園の集約化にあたっては、集約化途上及び集約化後の区立幼稚園・認定こども園の教育・保育の実施状況や業務量等を踏まえ、運営・人員体制のあり方について検討・調整を行うなど、区全体の乳幼児期の教育・保育の質の向上と区立幼稚園・認定こども園の機能充実に向けて取組みを進めていくものとする。 また、本計画については、次期基本計画の中間見直しや「子ども計画(第3期)」の見直しの時期に合わせて、その進捗状況の検証等を行う。 区立幼稚園の状況の表