資料1-3 (たたき台) 7月22日時点 世田谷区子ども・子育て支援事業計画調整計画(素案) 令和5・6年度 令和4年8月 世田谷区 第1章 子ども・子育て支援事業計画調整計画策定の趣旨 1子ども・子育て支援事業計画調整計画策定の趣旨 世田谷区では、子ども・若者にかかる個別計画として、令和2年度から令和6年度までの5年間を計画期間とする「子ども計画(第2期)後期計画」を策定しています。 この計画に内包するかたちで、子ども・子育て支援法に基づいて基礎自治体が定める法定計画である「子ども・子育て支援事業計画」を策定しています。 子ども・子育て支援事業計画では、令和2年度から令和6年度までの幼稚園、保育所等の就学前の子どもが利用する「教育・保育事業」やひろば事業(地域子育て支援事業)、一時預かり事業等の「地域子ども・子育て支援事業」の需要量見込みと、供給体制の確保の内容及び実施時期を定めています。 令和2年度以降、区政の重点課題であった保育待機児童の解消が実現する一方で、保育施設のなかには、定員が埋まらず、経営上の課題が顕在化しています。 また、育児休業の利用の拡大、テレワークの普及等、コロナ禍の影響もあり、子どもと子育て家庭をとりまく環境や保護者の働き方が急激に変化しています。 さらに、新たな区の人口推計では、0~4歳の転出超過傾向に加え、今後、年少人口(0歳から14歳まで)の減少が見込まれるなど、子ども・子育て政策の背景は大きく変化しています。 本年5月に未就学児及び就学児の保護者12,000名を対象に実施したニーズ調査の結果や本年7月の世田谷区将来人口推計、後期計画及び子ども・子育て支援事業計画の進捗状況及び評価を踏まえたうえで、需要量見込みの再算定を行い、この需要量見込みを満たすための供給体制の確保内容及び実施時期について、令和5・6年度を期間とする「子ども・子育て支援事業計画調整計画」の素案としてまとめました。 なお、今回の「調整計画」は、事業の需要量の見込みと供給体制の確保を定めるだけでなく、「今後の子ども政策の基本的な考え方(グランドビジョン)」を示すものとします。 第2章 子ども・子育て家庭を取り巻く状況 1コロナ禍における子ども・子育て家庭を取り巻く状況の急激な変化 令和2年度以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、テレワークの普及等による職住近接の進展や行動変容等が見られ、子どもと子育て家庭を取り巻く状況が大きく変化しています。 また、コロナ禍において、これまでのように祖父母や友人等に子育ての手伝いを頼みにくい状況や相談をしにくい状況があり、これまで以上に、子育て家庭が孤立していることがうかがえます。 特に、外出自粛等により閉塞感や不安感を高め、児童虐待等の増加・深刻化が懸念されるなど、困難な問題を抱える家庭に特に大きな影響を与えたことが考えられます。 ニーズ調査結果(速報値)から推測される子育て家庭の状況 今回のニーズ調査結果の集計作業や前回調査結果(平成30年度)と比較する中で、以下の状況が明らかとなりました。 1日常的に子どもをみてもらえる親族や友人・知人が「誰もいない」との回答が半数 「日常的に子どもをみてもらえる親族や友人・知人」が「誰もいない」と回答した割合は、未就学児55.5%、就学児49.7%となっており、日常的に周囲からの手伝いを得にくい状況にあります。 2妊娠中や出産後、周囲の手伝いや声掛けが得にくい状況がある 「妊娠中、身近な方できにかけてくれた、助けてくれた人」について、「里帰り出産した父母」は30.4%(前回比-3.9 %)、「近居父母」は22.7%(前回比-2.1 %)と前回調査より下がっています。 また、「近所の人」は6.9%(前回比-3.2 %)となり、地域の声掛けも得にくい状況にあります。 「出産後、一緒に子育てや家事を手伝ってもらった人」について、「配偶者・パートナー」は79.9%(前回比+5.2%)と上昇した一方、それ以外は、「里帰り出産した父母」は32.0%(前回比-4.2%)、「近居父母」は20.8%(前回比-1.1%)、「遠居の父母」は32.3%(前回比-3.0%)、「父母以外の親族」は12.3%(前回比-2.4%)と下がっています。 また、「友人・知人」は16.6%(前回比-3.2%)、「近所の人」は2.6%(前回比-2.2%)となり、コロナ禍の影響もあり、親族や友人・知人、近所の人からの手伝いもない中で、出産後の子育てを家族だけで行っている状況にあります。 3子育ての心配事や悩み事の相談先が少ない状況がある 「子育てに心配ごとや悩みごとの相談先」について、「配偶者・パートナー」等の家族と答えた割合に大きな変化はないものの、「近所の友人・知人」は未就学児18.6%(前回比-5.3%)、就学児25.3%(前回比-3.0%)、「子どもを介して知り合った友人」は未就学児29.6%(前回比-13.0%)、就学児43.2%(前回比-9.1%)、となっており、未就学児の割合が大幅に下がっています。 コロナ禍の影響もあり、外出の機会の減少等により、子育て家庭同志が出会う機会が減り、日常生活の中で、気軽に相談できる相手がいないなど、人と人とのつながりの中での子育てが難しい状況にあります。 2 区の総人口の推移、将来人口推計 (1)乳幼児、年少人口と総人口の推移(各年1月1日現在) 区の総人口・児童人口ともに増加傾向にありましたが、コロナ禍の1年目(令和3年)に増加が鈍り、2年目(令和4年)には、減少に転じました。 年代別では、これまで0〜5歳人口(乳幼児)の増加が顕著でしたが、ここ数年、減少に転じていましたが、総人口の傾向と同様に、コロナ禍で、減少幅が増加しました。 (2)平成29年と令和4年の将来推計人口(0~5歳、6~11歳) 0~5歳の平成29年推計値(前回計画策定時)は、令和6年度まで45,000人前後を横ばいで推移すると推計していました。 しかし、実際の人口は、令和2年43,995人(推計値より約1,000人減)、令和3年42,738人(推計値より約2,000人減)、令和4年40,996人(推計値より約3,500人減)となりました。 令和4年人口推計値では、出生数の減少と生産年齢人口の転出超過の傾向もあり、令和6年には、38,365人となる見込みです。 その後も、減少傾向は継続する見込みで、10年後の令和14年には、35,000人前後となり、その後も、同水準で推移する見込みです。 6~11歳の平成29年推計値(前回計画策定時)は、令和4年度まで毎年約1,000人増加し、それ以降も、増加で推移すると推計していました。 しかし、令和2年44,215人(推計値より約200人減)、令和3年44,903人(推計値より約600人減)、令和4年45,115人(推計値より約1,200人減)となりました。 令和4年人口推計値では、徐々に減少に転じ、令和6年には、44,497人となる見込みです。 その後も、0~5歳児の減少の影響を受けて、10年後の令和14年には、3,6000人前後となり、その後は、3万5,000人前後で推移する見込みです。 3 区の世帯の推移 (1)世帯構成の推移 区の世帯構成は、令和2年では「単独世帯」が47.3%で最も多く、「夫婦と子ども世帯」が23.4%、「夫婦のみ世帯」が17.0%、「女親と子ども」が6.4%で続いています。 平成27年と比較すると、「単独世帯」の割合は低下し、「女親と子ども」の割合が高くなっています。 (2)子どもがいる世帯の推移(6歳未満、18歳未満) 区の子どもがいる世帯は増加傾向にあります。 令和2年では、18歳未満世帯員のいる一般世帯数は83,454世帯、うち6歳未満のいる一般世帯数は35,020世帯となっています。 4少子化の傾向 (1)出生数と合計特殊出生率の推移 区の出生数及び合計特殊出生率は、ともに増加傾向にありましたが、平成28年から減少傾向にあり、令和2年の出生数は6,684人、合計特殊出生率は0.99(国1.33、東京都1.13)となっています。 全国の出生数は平成28年に100万人を割り込んでから減少し続け、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、令和3年には84万835人となっています。また、合計特殊出生率は、平成27年の1.45から低下傾向にあり、2020年は1.33となっています。 さらに、東京都の出生数、合計特殊出生率も平成27年から減少傾向にあり、国や東京都ともに、出生率・出生数の減少傾向に歯止めがかからない状況です。 (2)区の人口及び合計特殊出生率対象年齢(15~49歳)女性の人口の割合 区の合計特殊出生率対象年齢である15~49歳の女性の総人口に占める割合は、全国よりも割合は高いですが、全国の傾向と同様に低下傾向にあり、令和4年は24.5%となっています。 今後、子育て世代の女性人口の減少が下げ止まらない場合、その影響により出生数の減少が継続する可能性があります。 5婚姻と出産の状況 (1)婚姻件数の推移及び初婚年齢の推移 減少傾向にあった区の婚姻届出件数は、全国と同様の傾向にあり、令和元年には増加しましたが、令和2年には急激に減少し、9,599件と10,000件を割っています。 東京都及び全国の初婚年齢は、男女ともに横ばいの傾向です。 (2)区における母親の年齢別出産状況の推移 区の母親の年齢別出産状況は、平成28年以降、30~34歳で出生した母親が最も多くなっています。 続いて、35~39歳、25~29歳となっています。 なお、全国では、世田谷区と同様に、30~34歳で出生した母親が最も多くなっていますが、続いて25~29歳、35~39歳となっています。 (3)区の出生順位別の状況 区の出生順位別の状況をみると、平成28年以降、第1子が全体出生数の50%台後半を占めており、全国よりも割合が高くなっています。 第2子は全体出生数の30%台、第3子は7~8%となっています。 6女性の就労状況 (1)区における女性(20~49歳)の就業状況 区における女性(20~49歳)の就業状況の割合をみると、25~29歳は平成27年、令和2年ともに「主に仕事」が90%以上となっています。 30~34歳、35~39歳、40~44歳、45~49歳は、平成27年から令和2年にかけて、「家事のほか仕事」の割合が低下し、「主に仕事」の割合が高くなっています。 (2)女性の労働力率の推移 区の女性の労働力率について、すべての年齢層で上昇傾向にあり、30~34歳、35~39歳のいわゆるM字の底の労働力率も上昇しています。 7乳幼児の養育状況 (1)区の乳幼児の養育状況 区の1歳児及び2歳児は家庭での養育から保育所等の利用に移る傾向がありますが、0歳児の養育状況の変化はみられません。 3歳児は家庭での養育や幼稚園から保育所等の利用に移る傾向があり、4歳児及び5歳児は幼稚園から保育所等の利用に移る傾向があります。 (2)区の乳幼児の養育状況(推移) 区の幼稚園の利用状況割合は年々減少しており、令和3年度は全体の22.6%が幼稚園を利用しています。 一方、保育所等(認可保育施設・事業、保育室・保育ママ・認証保育所)の入所割合は年々上昇しており、令和3年度は全体の46.0%が保育を利用しています。 (3)区の乳幼児の養育状況(年齢別の推移) 区の令和3年度の0~5歳児の養育状況は、3~5歳児の9割程度が保育所や幼稚園を利用しています。 一方、0~2歳児は家庭養育の割合が高く、特に0歳児の75.1%が家庭で養育されています。 8保育施設、待機児童の状況 (1)認可保育園の申込者数 区の認可保育園への4月入園の申込者数は、令和2年度6,643人から令和3年度は6,015人と減少に転じています。 平成23年度4,407人から令和3年6,015人と10年間で約1.4倍に増加しました。 (2)認可保育園の申込者数保育施設の定員数 区の保育施設の定員数は、平成23年度11,265人から令和4年度20,852人となり、10年間で約1.85倍に拡充しました。 (3)保育待機児童数の推移、認可保育園等の空き状況の推移 令和2年度、令和3年度は、区の保育待機児童は0となっています。 令和2年度に保育待機児童が解消した一方で、認可保育園の空き数が増加しており、特に令和3年は0歳児の空きが増大したため、一部の私立保育園等の運営に影響を及ぼす状況となっています。 (令和3年9月時点で0歳児の途中入園が進んだため、空きはほぼ解消されています) 9国や東京都の子ども関連政策の動向 国は、令和3年12月に「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」を閣議決定しています。 基本方針では、常に子どもの最善の利益を第一に考え、子どもに対する取組・政策を我が国社会の真ん中に据えて(「こどもまんなか社会」)、子どもの視点で、子どもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子どもの権利を保障し、子どもを誰一人取り残さず、健やかな成長を後押しするため、新たな司令塔として、令和5年4月の「こども家庭庁」設置を予定している。 また、子どもの権利を守るための理念などを規定する「こども基本法」の施行が予定されています。 また、児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている状況等を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化等を行うことを趣旨とし、令和6年4月1日に「児童福祉法」等の一部改正が予定されています(一部をのぞく)。 なお、市町村による包括的な支援のための体制の強化等については、市町村は、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターの見直しによる「こども家庭センター」の設置に努めることなどが示されています。 東京都は、令和3年4月に「東京都子ども基本条例」を施行しています。 この条例は、子どもの権利条約の精神にのっとり、子どもを権利の主体として尊重し、子どもの最善の利益を優先することを理念として掲げ、東京都が取り組むべき施策の基本となる事項を定めています。 また、条例が成立・施行したことを受け、東京都の関係各局で子どもに関する施策を連携して推進するため、令和4年4月に「子供・子育て施策推進本部」の下に、関係22局で構成する「施策推進連携部会」を設置しています。 第3章 計画の進捗状況及び中間評価 1子ども計画(第2期)後期計画及び子ども・子育て支援事業計画の進捗状況 子ども計画(第2期)後期計画では、「子どもが地域の中で自ら生きる力を育むことを支えます」、「妊娠期から地域の中で子育てを楽しめるよう子育て家庭を支えます」、「基盤の整備と質の確保・向上により子どもと子育て家庭を支えます」、「緊急対応の着実な運用により子どもの命と権利を守り、その後の地域生活を支えます」の4つを重点政策として掲げています。 この重点政策に基づく主な取組みの評価は、次のとおりです。 重点政策1 子どもが地域の中で自ら生きる力を育むことを支えます 子どもの権利擁護・意識の醸成 毎年、区立小学校1年生の保護者、区立小学校4年生の児童、区立中学校1年生の生徒に配布している子ども条例パンフレットについて、子ども・子育て会議での意見、児童館や青少年交流センターでの子どもへのヒアリングでの意見を反映した形で、改訂を行い、これまでの配布先に加えて、区内の子ども・子育て関連施設にも、配布先を拡大する等、子どもの権利に関する啓発活動を充実しました。 区内の小中学校及び高校の全生徒向けに啓発物を配布するとともに、要望のあった区内小中学校には、子どもサポート委員が子どもの権利についての出前講座を実施し、子どもに向けて啓発活動を実施しました。 さらに、活動報告を動画により広く配信することで、子どもに関わる大人への啓発活動にも取り組みました。 周知・啓発活動を通じて、子どもが持っている権利への子どもの理解を深めるとともに、保護者や子どもに関わる大人の理解を促進し、子どもの権利が守られる地域社会づくりを進めました。 幼児教育・保育施設における人権研修の実施 幼児教育・保育施設において、子どもが安心して生活ができるように、子どもの人権・権利に関する研修を実施しました。 子どもは権利の主体であり、一人の人間として認められることを幼児教育・保育施設全体が理解するように、動画も配信し、周知に取り組みました。 また、令和3年度から、区立保育園で人権チェックシートを一部で導入し、子どもの人権について、職員一人ひとりが自分の保育を見つめ直し、クラス間や園全体で定期的に振り返り保育を語り合う機会を設けました。 今後は人権保育に向けた施設全体への啓発の継続が課題になっています。 学校における居場所づくりと人権に関する各種研修の実施 各学校においても、全ての児童・生徒が互いを認め、心の通う望ましい人間関係を育むために、日々の授業や道徳教育、体験活動、学校行事等を充実させるとともに、「学校生活アンケート」や「QU調査」等を実施・分析し、児童・生徒にとって安心感のある居場所づくりを行いました。 また、「せたがやホッと子どもサポート」と協働した取組みや、教育相談員・スクールカウンセラー等と子どもの人権擁護機関との連絡会の実施など、関係機関との連携・協力体制を推進し、子どもの人権侵害について、同一の方針で指導・対応を行いました。 さらに、各学校で年間3回の「いじめに関する研修」、各学校の人権教育担当教員を対象とした年間3回の人権教育研修、教育委員会が主催するあらゆる研修の最後に設定する短時間の服務研修など、子どもの人権を大切にした指導について様々な場面で繰り返し研修を行い、教職員の人権意識の向上に取り組みました。 青少年交流センターや児童館等での取組み コロナ禍の影響により、子どもや若者の主体的な活動や地域・社会への参加・参画の取組みに影響があったが、意見箱やアンケート等により、子ども・若者の意見を取り入れた事業の実施や青少年交流センターと児童館との合同事業の実施等、主体的に活動する場や機会を設けました。 また、オンラインによる活動にも取り組むことにより、若者がより主体的に参加するための活動の機会の創出や地域ネットワークを広げることができました。 さらに、青少年交流センターでは、日々の運営で、ユースワーカーがロビーワークで子ども・若者と信頼関係を構築し、意見・声を受け止める等、子ども・若者が安心して話せる環境を整えました。 ソーシャルワーク研修をはじめとする各種研修を通じて、児童館職員のスキルアップに取り組みました。各児童館が、サポーターの講座を行うなど、地区の見守りの構築に取り組みました。 また、青少年交流センター職員が、職員研修及び児童課研修に参加することにより、子ども・若者の権利について意識醸成を図りました。 青少年交流センター若者運営委員会や子ども・青少年協議会においては、若者を登用することにより、子ども・若者の地域・社会への参加・参画を推進しました。 さらに、外遊びの推進に関しては、各児童館で遊び場マップの調査を行い、その内容を職員や地域住民と共有し、子どもの権利も含め大人の理解促進に取り組みました。 支援幼児教育・保育施設職員への指導・研修、医療的ケア児の保育 療育機関と連携し、各施設の職員向けに巡回指導や研修を実施した。 配慮が必要な子どもへの関わり方をはじめとして、専門的な知識・技能の支援を行いました。 また、医的ケアが必要な子どもの受け入れを区立保育園の指定保育園4園で行い、保育園と医療機関、区が連携して安心・安全な保育を実施した。 乳幼児期から、学童期へのスムーズな連携が地域の中で行われるように見通しを持って進めていくことが課題となっています。 また、障害児の受け入れを行う私立幼稚園に対する助成の拡充等、支援の充実に取り組みます。 発達障害相談・療育センター「げんき」の運営及び多様な居場所の確保 発達障害相談・療育センター「げんき」は、発達障害支援の中核的拠点として相談や療育、保護者支援、地域の人材育成(研修会、巡回支援)などを実施し支援の充実に取り組みました。 また、児童発達支援や放課後等デイサービス等障害児通所施設の整備を進め、自己肯定感を高めることができる多様な居場所の確保に努めました。 配慮が必要な子どもについて、学校における環境整備 配慮を要する児童・生徒の増加に伴い、人的支援のニーズは依然高いことから、学校生活サポーターを適切に配置し、合理的配慮の提供を実施しました。 また、「特別支援学級」においては、令和3年4月に「自閉症・情緒障害特別支援学級」を3校開設するとともに、全区的な需要が増加している状況を踏まえ、令和4年度の旭小学校の開設に向け、必要な整備を行いました。 生活困難を抱える子どもに対する居場所づくりの充実 生活困窮世帯等の中学生を対象に、区内1か所にて、週5日16時~21時まで、居場所提供、学習・生活支援、保護者を含む相談支援を実施する、子どもと家庭を支える学習・生活支援の拠点事業「まいぷれいす」を令和3年8月より開始し、居場所の充実を図りました。 学校における学習支援事業の充実による多様な居場所の確保 多様な学びの場や居場所の確保に向けて、NPO法人と協働でオンラインでの不登校児童・生徒支援事業のモデル実施や別室登校の支援を目的とした学校生活サポーターのモデル的配置(5校)、不登校特例校の令和4年4月開設に向けた準備を行いました。 教育・保育内容の質の向上に向けた取組み 保育所保育指針のもと、「世田谷区保育の質ガイドライン」を具体化し、世田谷区の目指す「子ども中心の保育」を目指して様々な研修を実施しました。 また、幼稚園や認定こども園の教育保育内容の適合性については、乳幼児期の教育・保育のあり方検討委員会にて意見交換や情報共有を行い、大切なポイントについてワークショップ等で話し合いや確認を重ね、「世田谷区教育・保育実践コンパス」を作成しました。 さらに、令和3年12月に開設した教育総合センター内に区の乳幼児期の教育・保育の推進拠点として乳幼児教育支援センター機能を設置しました。 また、乳幼児教育支援センターを中心に取組む保育者の指導力・専門性の向上のための研修、「学び舎」を活用した公私立幼稚園・保育所等の連携や保・幼・小の連携の促進等に向けて検討・準備しました。 外遊び環境の整備と外遊び推進のための関係機関との協働 プレーパークや砧・多摩川あそび村、プレーリヤカーや外遊び推進委員の活動により、外遊びの空白地域がないよう環境を整備しました。 また、砧地域のプレーパーク設置に向けて、候補地での活動回数を増やし、地域住民や公園利用者へ意見を聞くためのワークショップの開催やアンケートを実施し、周知活動を行いました。 活動団体と協働し、全区ネットワーク会議を実施し、区民、地域、団体、関係機関等とネットワークの構築を進めました。 また、外遊び推進員による人や団体を繋げる取組みを進め、子どもの理解を深め、身近な場所で遊ぶ環境づくりを行いました。 あわせて、児童館を利用する子どもを対象に遊びの調査を行い、地域の課題を抽出し、地域や児童館と共有しました。 児童館による地区ごとの地域資源開発 地域で日頃から子どもと関わる大人が、より身近な環境で子どもの活動を見守ることができるよう、児童館を中心とした地区の相談支援や見守りネットワークを構築し、その中核的役割を果たせるよう、社会福祉協議会や子育て支援コーディネーターとの会議を定期的に開催し、地域資源開発に取り組むことで、地域の協力を得ながら、大人が子どもを見守り、成長を支える地域づくりを進めました。 重点政策2 妊娠期から地域の中で子育てを楽しめるよう子育て家庭を支えます 児童館を拠点とした地区における見守りのネットワークの強化と機能強化 児童館では、地区ごとに、社会福祉協議会や子育て支援コーディネーターと連携を行い、見守りネットワークの構築に向けた取組みを開始しました。 また、子ども家庭支援センターや児童相談所等の関係機関と連携しながら、身近な相談や見守りの場としての中核的役割を果たすことが求められているため、ソーシャルワーク関連の研修を積極的に受講し、人材育成に努めました。 さらに、児童館の再整備計画の早期実現に向けて、その条件整理等を進めました。 保育園における子育て相談支援の拡充 令和3年度には一時保育の定員拡大や、区立拠点保育園のおでかけひろばにおける理由を問わない預かり(ほっとステイ)事業の試行を開始しました。 利用率が高く、在宅子育て家庭のニーズに合った支援となっています。 当事者主体の支援を念頭に置き、各園が特性を生かした子育て支援を行っています。 事例によっては、区立保育園が核となり、相談者の課題解決に向けた支援の中心的役割を担い、関係機関とのネットワークを構築しています。 今後は、日常保育の様々な機会を捉えた相談・助言や関係機関との連携など、保育園におけるソーシャルワーク機能をより充実させていきます。 ヤングケアラー・若者ケアラーへの支援 子ども家庭支援センター・児童相談支援課の職員や福祉サービス事業の従事者向けに、ヤングケアラー支援についての個別講座を行いました。 また、青少年地区委員会・補導連絡会合同研修会においては講演と当事者・体験者の若者2名による対談を動画にし、ユーチューブで一般公開した。 今後は令和4年度に行うヤングケアラー実態調査の結果を踏まえ、庁内連絡会等で支援の検討を進めていきます。 妊娠期から地域につながる取組みの推進 各地域のネウボラチームと地域子育て支援コーディネーターは、定例的な連絡会等での情報共有や顔の見える関係を構築し、個別ケース等についても、必要に応じ連携を図っています。 妊娠時から小学校入学までの子育てに関する必要な情報をまとめたガイドブック「せたがや子育て応援ブック」を作成し、妊娠届出時は母子手帳と一緒に母子保健バックに入れて配付し、転入時には出張所等にて配付することで、すべての妊婦や子育て家庭へ必要な情報が確実に届くよう努めました。 さらに、子育てを地域全体で応援する気運醸成を図る世田谷版ウィーラブ赤ちゃんプロジェクトや赤ちゃんの存在を実感し、理解する機会をつくるための乳幼児ふれあい体験の実施により、子育て家庭を地域全体であたたかく見守る社会の実現を図りました。 医療機関との顔の見える関係構築を目指し、毎年度、産科医療機関への訪問等を重ねていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、医療機関への訪問が実施できなかったため、電話による情報交換と連携の確認を行いました。 加えて、地域の子育て活動への巡回は、連絡会として実施しました。 新型コロナウイルス感染拡大の中にあっても、医療機関や地域子育て支援コーディネーター等との連携体制を継続することができました。 また、ネウボラ・チームによる妊娠期面接において、「せたがや子育て利用券」を妊婦へ直接配付していますが、令和2年度から、産後の転入者や里親、妊娠中に妊娠期面接を受けていなかった産婦等も利用できる制度としました。 相談支援からつながる育児不安の軽減に向けた支援・サービスの充実 児童福祉司OBによる子ども家庭支援センターへの個別ケースに係る助言のほか、計画的・体系的な人材育成を図る観点から、子ども家庭支援センター新任・横転職員、中堅職員、係長、課長級などを対象とした研修を実施しました。 また、一部の研修については、子ども家庭支援センターと児童相談所の一元的な運用が適切に実施できるよう、児童相談所職員と合同で研修を実施することにより、理念の共有と共通認識の醸成を図りました。 また、法的及び医学的な知見を要するケースについて、弁護士や精神科医による助言を受けることを目的として、子ども家庭支援センター向けの職員相談を実施しました。 養育困難や虐待危惧のある家庭を対象とし、子ども家庭支援センターのアセスメントに基づいて実施するショートステイは、支援シートを用いたことで調整会議にて支援方針の確認やモニタリングを適切に行うことができました。 子どものショートステイ事業は、令和3年度から委託先を1か所増やしたことにより、これまで利用しにくかった地域からの利用に繋げることができました。 妊娠期から1歳未満の子どもを育てる家庭に対し、出産前又は出産後の生活において支援が必要と認められる妊産婦、また、多胎妊婦及び多胎児を育てる家庭を対象に、日常生活を支援する者が家庭を訪問し、母子の生活の安定及び児童虐待の予防を図りました。 総合支所健康づくり課では、乳児期家庭訪問、乳幼児健診等において、対象者全数の状況を把握し、育児不安等を早期に発見し対応しています。 アウトリーチ型の訪問支援事業が必要な家庭には、子ども家庭支援課と連携し、さんさんプラスサポートや、養育支援等ホームヘルパー訪問事業等へ繋いでいます。 養育支援等ホームヘルパー訪問事業は、家庭養育を支えるための事業であり、当初の見込みより実績が上回りましたが、委託事業者が増えたことにより必要な支援を提供することができました。 乳児期の虐待を予防する「産後ケア事業」は、未熟児等で入院期間が長かった場合には産後4か月以降についても利用できるよう体制を整えました。 また、女性に対する暴力スクリーニング尺度の使用や産後1年未満の母を対象にオンライン相談を実施するなど、支援の充実と児童虐待のリスクの早期発見に努めました。 令和元年度より実施している食の支援事業(対象は、孤食や栄養の偏りなど子どもの食に課題があるものの必要な支援につながっておらず孤立しやすい家庭等)のうち、「子どもの配食事業」においては、保護者の疾病や新型コロナウイルスの影響による収入減で生活困難な状況にある家庭への対策としても取り組み、必要な支援の利用につなげる機会の推進を図りました。 食の支援サポーター派遣事業は、子ども家庭支援センターや各関係機関の会合等で事業の周知を図ったことにより、新規相談件数が増加しました。 重点政策3 基盤の整備と質の確保・向上により子どもと子育て家庭を支えます 子育て家庭のニーズに沿った教育・保育及び子ども・子育て支援事業の基盤の整備 認可保育園の新設を中心とした施設整備による保育定員の拡充を進め、令和2年度に初めて保育待機児童を解消し、令和3年度も保育待機児童ゼロを継続することができました。 その一方で、就学前人口の減少等により、令和3年度から既存の保育施設の欠員増(特に0歳児)が目立ち始めました。 その対応として、区立保育園の定員調整や定員の弾力化解消を進め、保育定員の適正化に取り組んだことで、令和4年4月の認可保育園等の0歳児の欠員数は減少しました。 今後も保育需要を見定めながら、保育待機児童ゼロを継続するとともに保育定員の適正化を図っていきます。 平成30年度末に閉園した区立塚戸幼稚園の跡地に令和2年4月に開設公私連携の幼保連携型認定こども園を開設しました。 同園に対して協定に基づき助言・支援等を行いました。 また、未就学児人口の減少や保育待機児の解消、区立幼稚園の入園者の大幅な減少等の乳幼児教育・保育施設をめぐる状況の変化を踏まえ、平成26年8月に策定した「区立幼稚園用途転換等計画」の見直し及び今後の区立幼稚園・認定こども園のあり方について、検討の方向性を整理しました。 私立幼稚園では、保護者の就労状況の変化等を捉え、保育時間の拡充に取り組みました。 令和2年度以降に新たに5園で預かり保育を開始し、令和4年度は42園が実施しています。 新型コロナウイルスの影響等で減少した利用者数は回復傾向にありますが、時間や日数の拡充に向けては人員確保が課題となっています。 私立保育園及び私立認定こども園で実施する一時預かり事業について、利用要件緩和の検討を行い、令和4年4月から利用要件に「子育て不安や育児疲れにより、保護者が必要とするとき」を追加するとともに、区立保育園においても、一時保育の定員拡充および、併設ひろば2園にて、保護者の理由を問わず利用できる一時預かり(ほっとステイ)を開始することで、子育て家庭への支援を強化しました。 おでかけひろばについては、令和2年度に現在の42か所の運営体制を確立しました。 令和2年度は新型コロナの影響で利用者数が大幅に減少し、令和3年度においては利用者数は回復傾向となったものの、コロナ禍前の水準に戻っていません。 一方で、ひろば等における相談件数は、令和3年度においてはコロナ前の水準を上回っており、コロナ禍など社会環境の変化によって、子育てやその環境、子どもの成長に不安を持つ家庭が増えたのでソフト面での支援強化が必要です。 教育・保育の質の確保・向上 世田谷区独自のシステムである「地域保育ネット(保育施設間のネットワーク)」の運営支援を通して、地域での顔の見えるつながりを強化しています。 地域別に5地域に分かれて全体会やグループ会を開催しています。 コロナ禍だからこそ、ズーム等での情報共有・意見交換を行い支え合っている意識を共有することができました。 自主学習会では、保育内容等、相互に学び合う場として機能しています。 今後は、認可外保育施設にも輪を広げるとともに、このつながりが、互いに支え合う関係へと発展し、地域保育の強化に向かうように支援していきます。 また、保育施設への支援強化のため、令和3年度から、区立保育園が認証保育所の「サポーター園」となり、保育内容や保護者対応などの相談を受ける体制を作り、支援に努めました。 また、各地域で取り組んでいる「地域保育ネット(保育施設間のネットワーク)」の運営において、区立保育園が事務局機能を担い、保育施設同士をつなぐ役割を果たすなど、その活動の強化に取り組んでいます。 保育の質の維持・向上のため、認可・認可外保育施設への細やかな巡回支援を行っています。 コロナ禍においては、ズームによるオンライン巡回を実施しました。 また、案件が発生した場合は、保育施設への伴走型訪問支援を継続し支援にあたりました。 令和3年度は、「子どもの人権」についての視点をテーマに巡回訪問を実施し、「子ども中心の保育」が展開されるべく相談支援を継続しています。 また、所管課との情報共有や連携を通して多角的なアプローチにつなげていきます。 令和2年4月より児童相談所の開設に伴い、認可外保育施設の指導監督権限が都から区へ移管されました。 児童福祉法に基づく立入調査や巡回指導等を通じて、認可外保育施設の施設・設備の適切な整備や運営体制の確保、保育の質の向上が行われるように努めました。 なお、認可保育園については、児童相談所開設前より子ども・子育て支援法に基づく指導検査を実施しており、児童福祉法に基づく指導権限も区に移管され、これらの権限に基づく指導検査を実施しました。 私立幼稚園の教育の質の確保・向上に向け、適切な子ども・子育て支援の提供が行われるよう、毎年巡回等による指導検査を行うとともに、乳幼児教育支援センター事業の活用や各種研修等を通じて、幼児理解や学校評価等の取組みを支援しています。 子ども・子育てを支える施設・事業に携わる専門人材の確保・育成 令和2年度より乳幼児期の教育・保育のあり方検討委員会で検討を重ね、令和3年12月に区内の教育・保育関係者が共有すべき方向性を示した「世田谷区教育・保育実践コンパス」とりまとめました。 その後、乳幼児教育支援センターにおいて、実践コンパスの内容を踏まえ、区内の公私立幼稚園・保育所等の保育者を対象として実施する研修の検討・準備を行いました。 重点政策4 緊急対応の着実な運用により子どもの命と権利を守り、その後の地域生活を支えます 子どもの命と権利を守るセーフティネットの整備 子ども家庭支援センターと児童相談所職員同士が適切に連携を図れるよう、子ども家庭支援センターと児童相談所の双方が「住所地域担当制」を実施し、年間を通して同一住所地域を同一の担当者が担当することで、ひとつのチームとして顔の見える職員体制の構築を図りました。 また、子ども家庭支援センターと児童相談所がそれぞれ適切に役割分担できるよう、子ども家庭支援センターと児童相談所は、相談ケースのリスク評価を行うにあたり、共通アセスメントシートを用いて、リスクに対する視点の共有化を図りました。 さらに、子どもを緊急一時保護する必要がある児童虐待相談等に迅速に対応できるよう、令和2年4月の児童相談所開設と同時に、世田谷区児童虐待通告ダイヤルを開設し、児童虐待通告は児童相談所で一括して受理し、初動対応の一次的方針の判断を行う体制を構築しました。 一時保護が必要な子どもの速やかな保護を行い、子どもがあたたかい家庭的な雰囲気の中で安心して過ごせるよう、個室での対応や手作りの食事提供等を実施するなど、子どもの状況に応じた支援を行いました。 また、区の一時保護所に加え、都や特別区の一時保護所を協定のもとに活用することや里親、児童養護施設等への一時保護委託を行い、子どもの状況に応じた適切な生活環境を提供しました。 家庭復帰が望めないと判断される場合には、里親委託や児童養護施設等の入所等の措置を行い、子どもの安定した生活の場の保障に努めました。 子どもの権利擁護の取組みの推進 児童相談所が子どもを施設へ入所する際に、子どもの権利ノートの意味の説明を加えて渡す等、権利擁護の質の向上を図りました。 子どもが一時保護所へ入所する際の初回面接時には、一時保護所のしおりを使って一人ひとりの子どもの権利が保障されていることを一時保護所職員が説明したほか、自身の意見を、第三者委員、人権擁護機関へ相談をすることができる意見箱の設置、入所している子どもたちによる会議の開催や職員による子どもの意見を聴く会の実施など、一時保護所内における子どもの権利の保障にかかる取組みを実施しました。 令和2年4月の児童相談所開設と同時に、一時保護所における権利擁護体制として、一時保護所の第三者委員が毎月、保護された子どもと会い生活状況の把握や子どもの意見等を聴き、必要に応じて一時保護所へ伝達し、改善を図ることなどをとおして、一時保護所の適切な運営を図りました。 令和2年度は外部評価機関により、一時保護所において子どもの権利が守られている体制であるかを含めた外部評価を実施しました。 また、令和3年度は、令和2年度に実施した外部評価の評価項目と同項目について内部評価を実施し、外部評価で指摘された事項に対しての改善を確認するとともに、各項目について改めて評価付けを行いました。 家庭養育を優先した社会的擁護の推進 里親の新規開拓及び普及啓発については、区内児童養護施設にフォスタリング業務委託をして、里親制度の普及促進、里親の養育力向上や里親委託を促進する等の業務を実施しました。 地域の子育て支援者や、大学などへの制度説明等のほか、おでかけ広場や保育園などでの里親トレーニングの実施、地域子育て支援コーディネーターと里親の交流、緊急保育による受け入れなど、様々な形で地域の関係機関等との連携による里親子の支援に取り組みました。 また、里親カウンセリングや里親家庭の訪問等による相談支援、里子の自立支援などの里親支援機関業務を実施し、受託中の里親の支援を行いました。 さらに、里親のスキルアップを目的としたフォローアップ研修において、様々な専門性のあるテーマをとりあげ、安定的な里親養育の支援に取り組みました。 地域で安心して暮らすことができるための環境整備と支援の充実 世田谷区 『子ども家庭支援センターと児童相談所の一元的な運用』(「のりしろ型支援」・「併走支援」)に関する共通手引きに基づき、子ども家庭支援センターと児童相談所の強力な連携の下、必要に応じ、問題の解決まで協働して両者が対象児童などに関わり、両機関の持つ機能を有効に組み合わせた支援を行っています。 また、児童相談所における家族再統合に向けた取組みとして、児童心理司を中心に個別カウンセリングによる継続的支援を行うとともに、効果が期待できるケースには子どもの心理的課題や親子関係の改善を図るプログラムを行いました。 要保護児童支援全区協議会では、子ども家庭支援センターや児童相談所の取組状況についての説明を行ったほか、関係機関からも児童虐待防止対策やDV対策への取組発表を頂き、参加者全体で認識の共有化を図りました。 2子ども・子育て会議による評価・検証及び課題抽出 本章1のとおり、令和2年度からの子ども計画(第2期)後期計画に基づき、多様な取り組みが進められています。 子ども・子育て支援事業計画調整計画の策定にあたっては、子ども・子育て会議として、現状の子どもや子育て家庭を取り巻く状況を踏まえ、以下のとおり、評価・検証及び課題抽出を行いました。 (1)0歳児は、在宅で子育てしている家庭が多いという現状を踏まえ、子ども・子育て支援事業計画の見直し検討とあわせて、制度の運用面での検討を行う必要がある。 (2)子どもの数の現状だけをみて支援や施設を減らすのではなく、子ども計画に掲げる「子ども主体」、当事者主体の視点で、検討する必要がある。 (3)妊娠期から支援につながる仕組みや保育所等の地域の子育て施設の充実が図られた一方、コロナ禍でこれまでのように祖父母や友人等の支援を受けにくい状況や気軽に子育て施設や相談の場に足を運びにくい状況も重なり、人とのつながりの中での子育てが難しい状況にある。 (4)保育待機児童数が0となっているが、依然として希望する保育施設に入園することができない方や、半径2キロメートル以内の保育施設に空きがありながら入園できていない方なども一定数存在する。 指数の状況から短時間勤務の方が多いことが想定されるが、このような状況を分析し、どのような希望があるのか丁寧なニーズ把握が必要である。 また、コロナ禍において、集団保育での感染を恐れる気持ちと働きたい気持ちの葛藤を抱えている保護者も多い点も、考慮する必要がある。 (5)コロナ禍の影響もあり、育児休業を取得する家庭が多いため、その育児休業中の家庭が一時保育やおでかけひろばを利用する事例が多く、これまで以上に、在宅子育て支援の重要性が増している。 第4章 1調整計画の策定の基本的考え方 調整計画の策定にあたっての視点 現在の子ども計画(第2期)後期計画は、子ども計画(第2期)で10年後に目指すべき姿として掲げた「子どもがいきいきわくわく育つまち」を引き続き継承し、その実現を目指しています。 また、子ども計画(第2期)後期計画を貫く基本コンセプトに「子ども主体」を掲げ、「子ども主体」を実現する手段として「つなぐ・つながる」、「参加と協働」、「地域の子育て力」の3つの視点を持って、重点政策や子ども・子育て施策に取り組んでいます。 調整計画の策定にあたっては、後期計画の「目指すべき姿」、基本コンセプトの「子ども主体」、 子ども主体を実現する「つなぐ・つながる」、「参加と協働」、「地域の子育て力」の3つの視点、4つの重点政策を継承します。 コロナ禍の影響もあり、子どもをとりまく環境は大きく変化しており、新たな区の人口推計(令和4年7月)では、今後、年少人口(0歳から14歳まで)の減少が見込まれるなど、子ども・子育て施策の背景は大きく変化しています。 この変化を的確にとらえ、後期計画に掲げる「目指すべき姿」を機動的、かつ実効性のある形で実施するために、「子ども・子育て応援都市」として、令和7年度からの子ども計画(第3期)につながる施策の展望も見据えて、次の5つの視点を踏まえて、策定しました。 なお、策定後も、コロナ禍からの復興の状況によって、方向性を見直す必要が生じた場合は、子ども計画(第3期)策定の中で、改めて検討します。 (1)子どもを権利の主体としてその最善の利益を保障するという視点 近年、出生数や未就学児童数が減少しているが、子どもの数の減少にあわせて確保量を減少させるのではなく、子どもが健やかに育つことを支えるための支援や、出産や子育てを希望する方が子どもと楽しみながら子育てできる環境を確保し、後期計画に掲げる子どもを権利の主体としてその最善の利益を保障するという視点で、各事業の必要性や効果を十分に考慮して検討します。 (2)すべての子どもや子育て家庭を対象とした支援の充実 後期計画では、すべての子どもが、障害の有無や家庭の経済状況、多文化とのルーツ等によって、守られるべき権利が侵害されることなく、安心して楽しく過ごすことのできる環境が守られることを目指しています。 困難な状況にある家庭を必要な支援につなげることも重要ですが、日常的に子育て家庭が、地域の人々や子育て支援につながっていることがより大切であるため、すべての子どもや家庭を対象に、子どもが安心して健康に暮らせることを目的とした施策(一次予防)を充実させます。 (3)在宅子育て家庭への支援の強化 0~2歳児の在宅子育て家庭が多いという現状を踏まえ、教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の確保量だけでなく、利用要件の見直し等も検討し、在宅子育て家庭の育児負担を軽減するための支援策を強化します。 (4)働き方や子育ての多様化への対応 育児休業の利用の拡大、テレワークの普及等により、働き方や子育ての環境は変化しており、子どもと子育て家庭の状況は、これまで以上に多様化しています。 人口推計や世帯の動態、子育て家庭へのニーズ調査や利用者へのヒアリング等をもとに、保護者のライフスタイルや働き方、教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の利用意向の変化を把握・検証し、確保量の見込みを検討します。 (5)子どもをまちの中心に、人と人とがつながる地域づくり (子ども・子育て応援都市のバージョンアップ) 「子ども・子育て応援都市」として、区民、保護者、子育て支援者、事業者等と「協働」して、地域の中で子どもが健やかに育ち、保護者が安心して子育てを楽しむことができる地域社会づくりに取り組んできました。 しかし、長引くコロナ禍において、地域の中で子どもが周囲の大人等に見守られながら多様な経験しながら育つことや、人とのつながりの中で子育てすることが難しい状況にあります。 子どもをまちの中心に、人と人とがつながる地域づくりを目指し、地域の子育て力の向上のためのネットワークの連携強化を図ります。 2今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン) 今回の「調整計画」は、後期計画及び子ども・子育て支援事業計画の進捗状況及び評価を踏まえ、単に事業の需要量の見込みと供給体制の確保を定めるだけでなく、子どもと子育て家庭をとりまく急激な変化に迅速に対応し、令和7年度からの「子ども計画(第3期)」につながる施策の展望を見据える必要があることから、子ども・子育て施策をより一層加速させるための「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を定めます。 (1)子どもの権利保障と子どもを中心とした地域づくり 子どもや若者が、地域で、様々な活動に参加し、意見を述べる中で、地域住民の一人として位置づけられ、多くの人々に温かく見守られる必要があります。 子どもや若者が、様々な経験を重ね、のびやかに育つことで、地域の人々が子どもや若者を中心にすべての人がつながり、すべての人々が、いきいきと暮らすことができる地域社会の実現を目指します。 (2)子ども・子育て支援の基盤整備(支援の質の向上と機能転換・拡充) 子どもや若者を中心とした地域社会の実現に向けて、子どもや若者、子育て家庭を支える基盤整備を重点的に取り組んできましたが、出生数や年少人口、人とのつながりの減少など、新たな課題が生じており、早急に、積極的な子ども政策を実施しなければなりません。 そのためには、これまで整備してきた子どもや若者、子育て家庭を支える基盤を新たな課題に対応できるよう組み立て直す必要があり、その施設や財源、人材を在宅子育て支援や多様な子どもの居場所等の事業、場の確保、施設の機能転換・機能拡充を行い、子ども・子育て施策を充実します。 (3)地域や人とのつながりの回復 児童館が、まちづくりセンターやあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会との四者連携のもと、相談支援や見守りの中核となり、保育園や幼稚園、おでかけひろば等の子ども関連施設、「ネウボラ・チーム」や地域子育て支援コーディネーター、地域活動団体や地域の人々とを有機的につなぐためのマネジメントを行います。 日常的に子どもや子育てをあたたかく見守り支えるネットワークの連携強化を図り、地域や人のつながりの中で子どもや若者が育つ環境づくりに取り組みます。 (4)在宅子育て支援の充実 すべての子どもや子育て家庭が、身近な地域(ベビーカーや子どもが歩いて15分)で、日常的に、地域の人々や子育て支援につながるために、母子保健、福祉等とが連携し、妊娠期からより健やかで安心して暮らせることを目的とした子ども・子育て支援を強化します。 (5)セーフティネットの強化 児童相談所と子ども家庭支援センターによる「のりしろ型」支援の中で、虐待等の早期発見、早期対応、再発防止を図るため、地域で多様な支援や見守りを行えるよう、子どもの不安や困難な状況、保護者の育児困難の解消を目的とする子ども・子育て支援をさらに充実します。 これまで以上に、虐待予防と回復の重層的な支援を行うことで、子どもの命を守るためのセーフティネットとしての区の責任を果たします。 3今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)を踏まえた重点政策ごとの更なる取組み 「今後の子ども政策の考え方(グランドビジョン)」を踏まえ、後期計画に掲げる4つの重点政策ごとに更なる取組みを進めます。 重点政策1 子どもが地域の中で自ら生きる力をはぐくむことを支えます (1)子ども・若者が意見を表明しやすい環境づくりと地域社会への参加・参画の推進 子どもや若者を対象とした施策を検討する際は、対象となる子どもや若者が意見を表明する場や機会を設けます。 また、地域の中で、子どもや若者が主体的に関わり運営・企画する活動の場や機会を拡充するとともに、その活動を支えます。 まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の3者に児童館を加えた4者連携により、子どもと子育てに関するネットワークと、町会自治体等のネットワークの結びつきを強化します。 (2)すべての子どもが地域で豊かな体験を重ね、力を発揮できる場や居心地よく安心して過ごせる場を身近にもてる環境づくり 小学生から中高生世代の子どもが放課後等の時間を地域で安心して過ごすことができ、成長段階やそれぞれの子どもの思いに応じて、自分で選択できるような居場所づくりに向け、更なる取組みを検討します。 生活困難を抱える子どもが、地域の中で安心して過ごすことができ、様々な体験や他者との関わりの中で、自己肯定感を高めることができるよう多様な居場所の確保に努めます。 ヤングケアラーについて、令和4年度調査により実態を明らかにし、ヤングケアラーの早期発見と適切な支援へつながる仕組みづくりを進めます。 配慮が必要な子どもが、日常的に過ごす保育園や幼稚園、新ボップ学童クラブ等で安心して過ごすことができるようインクルーシブなプログラムや合理的配慮の実施、職員等のスキル向上のための専門職の助言の仕組みづくりに取り組みます。 また、障害に関する保護者への理解を深めるための取組みを実施し、住み慣れた地域で自分らしく生活できる環境整備に努めます。 不登校の児童・生徒が安心して過ごし、自分らしい進路を探すことのできる「心の居場所」づくりや、不登校児童・生徒の実態に合わせた教育課程を編成した不登校特例校の整備に努めます。 重点政策2 妊娠期から地域の中で子育てを楽しめるよう子育て家庭を支えます (1)妊娠期から地域につながる取組みの更なる推進 すべての子どもや子育て家庭が、身近な地域(ベビーカーや子どもが歩いて15分)で、日常的に、地域の人々や子育て支援につながり、妊娠期からより健やかで安心して暮らせるよう、区立児童館、区立保育園、おでかけひろばでの妊娠期を含めた産前産後の支援の充実(セルフケア事業や離乳食等の育児相談等)に取り組みます。 保育園は、区立児童館やおでかけひろばと連携し、子育て相談・地域交流・園庭開放などの子育て支援事業の充実に取り組みます。 児童館やおでかけひろばを中心に、子ども関連施設や子育て支援の認知度の向上に向けて取り組みます。 (2)相談からつながる育児不安や負担感の軽減に向けた支援・サービスの充実 保育施設での理由を問わない一時預かり事業を拡充します。 一時預かり事業が、子育て負担を軽減する目的での利用が可能であることを周知と地域社会に向けた啓発、社会的な受け皿の整備に取り組みます。 (3)地区における見守りネットワークから日常的に支援につながる仕組みづくり 地区の児童館が、まちづくりセンターやあんしんすこやかセンター、社会福祉協議会との四者連携のもと、相談支援や見守りの中核となり、保育園や幼稚園、おでかけひろば等の子ども関連施設、「ネウボラ・チーム」や地域子育て支援コーディネーター、地域活動団体や地域の人々とを有機的につなぐためのマネジメントを行います。 日常的に子どもや子育てをあたたかく見守り支えるネットワークの連携強化を図り、地域や人のつながりの中で子どもや若者が育つ環境づくりに取り組みます。 重点政策3 基盤の整備と質の確保・向上により子どもと子育て家庭を支えます (1)子ども・子育て施策の機能転換や機能拡充による子ども・子育て施策の更なる充実 出生数の急激な減少や人とのつながりの減少などの新たな課題に早急に対応するため、これまで整備してきた子どもや若者、子育て家庭を支える基盤となる施設や財源、人材を在宅子育て支援や多様な子どもの居場所等の事業や施設に機能転換や機能拡充し、子ども・子育て施策を更に充実します。 (2)子育て家庭のニーズに沿った多様な受け皿の確保 子育て家庭が、子どもの育ちやそれぞれの家庭のライフスタイルに沿った施設や事業を選択できるよう、質の確保・向上を前提とした上で多様な受け皿を確保していきます。 また、子育て家庭が、身近な地域で安心して子育てできるよう、相談や交流できる場と機会を確保するとともに、一時預かり事業等を充実します。 重点政策4 緊急対応の着実な運用により子どもの命と権利を守り、その後の地域生活を支えます (1)地域で安心して暮らすことができるための環境整備と支援の充実 児童虐待を未然に防止するとともに、深刻化・再発の防止を図るため、子どもの養育に困難を抱える家庭、一時保護や入所措置から家庭復帰した子どもの家庭が地域の中で安心して暮らすことができるよう、産後ケア事業、緊急保育などの充実を図ります。 (2)家庭養育を優先した社会的養護の推進 子どもの安全と最善の利益を最優先していく観点から、代替養育の元で暮らす子どもが、家庭と同様の養育環境で、それが困難な場合はできる限り家庭的環境で養育されるよう、里親養育の支援の充実、児童養護施設の小規模地域分散化を進めるとともに、子どもの最善の利益を最優先し、子どもの意見を尊重していく仕組みの整備に取り組んでいきます。