令和4年6月1日 子ども・若者部 児童課 放課後児童健全育成事業の運営方針(素案)の検討状況等について 1 主旨 令和4年1月31日及び2月25日の文教常任委員会、並びに、同年2月1日及び2月28日の福祉保健常任委員会において報告した放課後児童健全育成事業の運営方針等について、検討状況を報告する。 2 子ども・保護者へのアンケート結果について (1)アンケートの目的について 新ボップ学童クラブにおける活動場所の不足や登録児童数の増加による狭隘化や大規模化の喫緊の課題、また多様化する子どもと保護者ニーズへの対応と民間事業者の活用を視野に入れた区の放課後児童健全育成事業の質の確保の方策により課題を解決するため、子どもと保護者に向けてアンケートを実施した。(別紙1) (2)アンケートの概要 1保護者アンケート 調査対象は、区立小学校に通学している低学年児童(1〜3年生)の保護者と新ボップ学童クラブに登録している高学年児童(4〜6年生)の保護者 ・回収状況 配布数 19,219人 (2021年5月1日現在の区立小学校への在籍児童数に基づき、各家庭へ配布) ・有効回答数 7,038人 回収率 36.6% 2児童アンケート 調査対象は、新ボップ学童クラブ登録者は、新ボップ学童クラブに登録している1年生から6年生の児童 ・回収状況 配布数 7,444人 (2022年2月1日現在の新ボップ学童クラブ登録児童数に基づき、各新ボップへ配布) ・有効回答数 3,394人 回収率 45.6% 3新ボップ学童クラブ未登録者(1〜6年生) 調査対象は、ボップ利用児童、プレーパーク利用児童、児童館利用児童、青少年交流センター(アップス)利用児童 ・回収状況 有効回答数 1,007人 3 「世田谷区放課後児童健全育成事業の運営方針」の素案について(別紙2) (1)「世田谷区放課後児童健全育成事業の運営方針」について これまで3回にわたり、世田谷区放課後児童健全育成事業運営方針検討委員会において以下の内容について検討してきた。 令和4年4月27日に開催した第4回世田谷区放課後児童健全育成事業運営方針検討委員会では、子ども・保護者へのアンケート結果を踏まえ「放課後児童健全育成事業の運営方針(素案)」を検討した。 検討内容 第1回 令和3年 12月21日 「運営方針」の策定に向けて、「考え方・作成のプロセス・支援の質確保のための手法等」及び「運営方針に子どもと保護者の意見を反映させるため実施するアンケートの内容」について意見交換を行った。 第2回 令和4年 1月18日 「運営方針」で大切にする基本的な理念について検討を行うとともに、アンケートの内容について意見交換を行った。 第3回 令和4年 2月10日 「運営方針」をより充実させるため、アンケートの趣旨や目的が回答者に伝わるよう個々の設問の趣旨や狙いについて、意見交換を行った。 (2)放課後児童健全育成事業運営方針検討委員会での「放課後児童健全育成事業の運営方針(素案)」に対する主な意見について 1アンケート結果についての意見 ・時間延長のニーズは確認できるが前回モデル実施では利用者が少なかったことへの検証が必要。 ・子どもの自立について、保護者に充分伝わっていない。 ・保護者、子どもアンケートともに新ボップの環境を「にぎやかで楽しい」と感じていることは、厳しい環境の中でも職員の目が行き届いているのではないか。 ・約75%の子どもが楽しいと回答する一方、わからない、楽しくないが約25% もいるという印象を受けたことに留意すべきである。 2素案についての意見 ・子どもが成長し発達(成育)する力を尊重し、それを保護者や社会が支援することの必要性を重視する立場を明確にするため成育支援とすべき。 ・放課後の過ごし方について、学童クラブや児童館のほか地域を含め包括的なケアを検討すべき。 ・さまざまな家庭環境にある子どもたちや、障害のある子どもたちが、互いを尊重し、ともに過ごすインクルーシブな放課後の環境づくりと、そのための支援について示すべき。 ・全体を通し、子どもの視点(子どもの最善の利益の視点)に立った運用方針にすべき。 ・社会的養育専門委員会報告を反映させ「子どもへの意見・意向支援をし、子どもの意見・意向を聴き、受け止め、子どもが参加することを保障すること。 ・保護者への情報提供や支援、事業への参加・参画の内容を示すべき。 ・保護者との信頼関係を築くことに努めるとともに、子育てのこと等についての保護者への情報提供や相談支援に心がけること。 ・職員の人材育成について、基盤研修と発展研修など体系化するとともに、OJT により資質向上を図ること。 ・第三者評価もしくは自己評価と利用者評価を公表するべき。 (3)意見を踏まえた運営方針案の策定にあたっての方向性について 子ども支援 ・子どもが安心できる環境のもとで、生きる力と主体性を伸ばし、成育を支える ・子どもの最善の利益の視点に立ち、子どもにとって楽しく安心して過ごせる場所となるよう、国や都の基準にプラスして区で定める支援の質やより良い環境づくり ・放課後に子どもが自らの過ごし方を選択する環境や機会の提供を通じた子どもの成長に応じた自立支援 ・さまざまな状況や状態の子どもが互いを尊重し、ともに過ごすインクルーシブな放課後の環境づくり 保護者支援 ・保護者との信頼関係を築くことに努めるとともに、保護者への情報提供や相談支援等に心がける 学校及び地域連携 ・世田谷区の地域性や関係機関の状況等を反映した連携・協働 ・児童館や地域のネットワークをはじめ、日ごろの支援、子どもたちの緊急時の支援体制の構築や保護者支援の強化 職員の資質向上 ・職員の専門性の維持・向上を図り、一層ソーシャルワークの取り組みが可能となる人材育成 事業内容の向上 ・放課後児童健全育成事業の適正な運営のため、第三者評価を行い事業の安定性及び継続性、質の確保を図る 4 運営時間延長モデル事業の再開について 新型コロナウィルス感染症の拡大により、令和3年度から一旦休止としている新ボップ学童クラブ運営時間延長モデル事業(以下「モデル事業」という。)については、保護者アンケートの結果や他区の状況等を踏まえ、年内のできるだけ早期にモデル事業を再開し、今後、全校で時間延長の実施に向けた検討を進めていく。 (1)アンケート結果の検証 保護者アンケートの中で、開所時間で困ったことがあったと回答したのは23.9%であり、その内、週に数日程度や月に数日程度必要な児童も一定数いることから、スポット的な運用の導入など、必要性の検証が必要である。 (2)国の「放課後児童クラブ運営指針」では、その解説書で保護者の就労時間や就労状況が多様化している実態を踏まえ、地域における保育所等の開所時間等も参考とすることが望まれるとしている。 (3)23区では民間の活用も含め、世田谷区以外の区で19時以降の運営時間を実施している。 世田谷区においても、福祉的な観点から真に運営時間の延長が必要な保護者や児童に対し、必要な対応を行うため、早期の運営時間の見直しが必要となっている。 5 活動スペース拡大に向けた学校施設の利用確保について 大規模化、狭隘化している新ボップについて、活動スペースの拡大に向けて、普通教室及び特別教室等の利用確保を進めている。 (1)調整状況 ・児童数の増加や、国が定める35人学級による教室増の対応等により、学校施設の 状況は変容しており、全新ボップを対象として、ヒアリング調査及び現地調査により、活動スペースの拡大が必要な新ボップを確認している。 ・利用確保の状況 (令和4年5月13日現在) 利用可能な教室等 烏山小学校 普通教室2室 ※通常は1室利用 奥沢小学校 会議室 松丘小学校 会議室、理科室 山野小学校 算数少人数教室、第2音楽室、家庭科室 祖師谷小学校(調整中) すまいるルーム 照明工事等、整備を実施 (2)今後の進め方 児童が安全に利用しやすい状況とすることを主眼に、普通教室に加え、特別教室等の利用も含め、調整を進めていく。 6 今後のスケジュール(予定) 令和4年6月 第5回 世田谷区放課後児童健全育成事業の運営方針検討委員会 7月 第6回 世田谷区放課後児童健全育成事業の運営方針検討委員会 福祉保健・文教常任委員会(運営方針案、時間延長モデル等) 9月 福祉保健・文教常任委員会(民間の放課後児童健全育成事業の活 用の考え方等) 令和5年2月 福祉保健・文教常任委員会(民間の放課後児童健全育成事業者の募集) 令和6年1月頃 民間放課後児童健全育成事業所の開設(プレオープン含む)