資料7 令和4年2月7日 乳幼児教育・保育支援課 「世田谷区教育・保育実践コンパス」(暫定版)について 日ごろより世田谷区の教育・保育行政にご理解ご協力いただき、ありがとうございます。 この度、乳幼児期の教育・保育のあり方検討委員会での検討を踏まえ、別添のとおり「世田谷区教育・保育実践コンパス」(暫定版)をとりまとめましたので配布いたします。 私たちの教育・保育をもっと楽しく 世田谷区教育・保育実践コンパス 世田谷区 世田谷区教育委員会 令和3年12月 はじめに 乳幼児期は、生涯にわたる生きる力の基礎を培う重要な時期です。 世田谷区では、子ども・子育てにあたたかい地域づくりを進めるとともに、平成29年には「世田谷区幼児教育・保育推進ビジョンを策定するなど、乳幼児期の教育・保育の充実を図っています。 子どもたちが現在を最もよく生き、生涯にわたる人格形成の基礎を培うにあたっては、心に響く様々な体験や人との関わりを重ねる中で、乳幼児期にふさわしい生活を営み、心豊かに成長していくことが大切です。 区内の全ての子どもが、多様な個性を尊重したインクルーシブな教育・保育の考え方の下で、豊かな経験をしながら成長していくことができるよう、区内の教育・保育関係者の皆さんに大切にしていただきたい基本的な方針を「私たちの教育・保育をもっと楽しく 世田谷区教育・保育実践コンパス」として作成しました。 本年12月に教育・保育の充実に向けた拠点として、「乳幼児教育支援センター」を開設します。 区の取組みと連携しながら、全ての関係者の皆さんが、この「実践コンパス」を様々な形で活用していただき、実践の充実につなげていただければ幸いです。 最後に、この「実践コンパス」作成に当たり、議論を重ねていただいた実践者の代表、学識経験者とワークショップ等で様々にお声を寄せていただいた全ての皆様に感謝申し上げます。 令和3年12月 世田谷区 世田谷区教育委員会 世田谷区教育・保育実践コンパスとは 世田谷区では、これまで乳幼児期の教育・保育の質の向上に向けて様々な取り組みを行ってきました。 今後さらに、区の全ての子どもが豊かな経験をしながら成長していくことができるよう、区内の全ての教育・保育の関係者が、施設の種別を問わず共有すべき基本的な方針を明確にし、実践の充実を図っていくためのツールとして、この「世田谷区教育・保育実践コンパス」を作成しました。 世田谷区教育・保育実践コンパスの構成と主な内容 1 私たちがめざす乳幼児期の教育・保育の基本 区内全ての教育・保育施設が実践を進める上で基本となる理念・原則を記載 子どもを権利の主体(一人の人間)として捉える 子ども一人ひとりに対する理解を基盤とする 環境を通して教育・保育を行う 育みたい資質・能力、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を意識する 保育者が主体性を発揮する コラム 発達の過程を捉える基本的な視点 乳幼児期の教育・保育を行うための発達を捉えるポイントを記載 発達とは、乳幼児期の発達と学びの概要について 2 実践の視点(例) 発達に即した教育・保育とその過程、家庭や地域と連携した実践について記載 大切にしたい子どもの経験 0〜5歳児までの各時期の教育・保育において育みたい力とそのために大切にしたい経験 子どもの力を育む保育のプロセス 「教育・保育の基本」を踏まえ、子どもの理解を基盤とした実践のプロセスや配慮 教育・保育をつないでいく 子どもの豊かな経験を育み育ちをつなぐ、園の教育・保育と小中学校、家庭、地域との連携促進 3 教育・保育の質の向上に向けた取組みの充実 「実践コンパス」を活用した、関係者の協働による取組みについて記載 研修の実施、研究の促進、専門人材の派遣、関係者ネットワークの充実等 「世田谷区教育・保育実践コンパス」の活用について 各施設が特色ある教育・保育の実践を充実させていくために、本書が、以下に示すような、様々な場面で活用されることを想定しています。 各園で 保育の振り返りや計画づくりの参考、教育・保育の評価の視点、園内研修のテーマづくりや対話のきっかけなど 地域で ワークショップや公開保育の協議の視点の参考、小中学校との連携など 世田谷区は、乳幼児教育支援センターを起点に、研修の充実やアドバイザーの派遣、関係者がつながるための場づくりなど、多様な支援を行っていきます。 1 私たちがめざす乳幼児期の教育・保育の基本 子どもは、一人ひとりが今を生きる主体であるとともに、未来の「希望」です。 子どもを一人の人間として捉え、その権利を尊重することは、子どもに関わる全ての大人に求められる、欠かすことのできない原則です。 子どもを権利の主体(一人の人間)として捉える 子どもは、一人ひとりが独自の個性をもった存在です。 それぞれの特性、発達の状況を踏まえた教育・保育を実践するためには、その子のよさや可能性を捉えていくことが求められます。 子ども一人ひとりに対する理解を基盤とする 子どもは、乳幼児期からの生活で出会う様々な環境に自ら関わることを通じて成長していきます。 各園は、子どもが生き生きと世界を広げていくことができるよう、環境を通して、教育・保育を行うことが基本となります。 環境を通して教育・保育を行う 乳幼児期の教育・保育は、生きる力の基礎を培うために、この時期にどのような資質・能力を育んでいくか、育まれた力がどのような姿として表れていくのかを意識し、見通しをもった実践が求められます。 「育みたい資質・能力」、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を意識する 子どもの園生活が豊かで、自己を十分に発揮できるものとなっていくためには、保育者自身が生き生きと保育を楽しみながら、主体性を発揮し、専門性を高めていくことが大切です。 保育者が主体性を発揮する 子どもを権利の主体(一人の人間)として捉える 子どもは一人の人間であり、独自の存在としての権利を有していることは、教育・保育の最も重要な前提となります。 このことは、「児童の権利に関する条約」などに示されています。 生まれたばかりの乳児から、子どもは権利の主体であり、言葉にはならなくても内々の思いがあります。 保育者には、その声を聞き取り、一人ひとりの人格を尊重することが求められます。 子どもの人権に配慮し、子どもの最善の利益を考慮した教育・保育の実践は、保育者一人ひとりの人間性や倫理観、職務及び責任の自覚が基盤となります。 また子どもを権利の主体として捉える姿勢を積極的に発信し、保護者・地域と共有していくことは保育者及び園の重要な役割です。 子ども一人ひとりに対する理解を基盤とする 子ども一人ひとりを理解し、応答的に関わっていく中で、子どものよさや可能性を捉えていくことが、教育・保育の実践のあらゆる場面での起点となります。 子ども一人ひとりと触れ合い、心を通わせながら、愛情をもってその思いや考えなど心の動きや心身両面の育ちを理解し、遊びや生活の中での子どもの姿の変容を捉えることが基本となります。 こうした「子どもの理解」に当たっては、保育者自身の枠組みや視点を自覚すること、子どもと保育者の関係の中で理解すること、子どもを多面的に理解することが重要です。 また、子どもがどのように育ってきたのか、これからどのように育とうとしているかといった、過去・現在・未来をつなぐ、長期的な視点からの理解も必要となります。 環境を通して教育・保育を行う 子どもは、乳児期からその生活において、安心感を基盤に、自ら興味をもって主体的に、周囲の様々な人やもの、事柄といった生活の中で出会う全ての環境に関わることを通して、人への信頼感を育み、学び、成長していきます。 乳幼児期の教育・保育は、この時期の特性を踏まえ、子ども自身がその世界を生き生きと広げていくことができるよう、環境を通して行うことが基本となります。 実践に当たっては、子どもの自発的な活動としての遊びを通した総合的な援助・指導を中心とし、一人ひとりの発達の特性に応じて行っていくことが重要です。 子どもが園生活において安心感をもって、意欲的に周囲に関わっていくためには、健康や安全が守られていること、安定した情緒の下で自己を発揮できるよう保育者との信頼関係に支えられていることが欠かせません。 周囲との関わりを通じて、子どもの園生活が充実したものとなるためには、子どもの発達に即して主体的・対話的で深い学びが実現するものとなっているかを捉えていくことが大切です。 育みたい資質・能力、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を意識する 乳幼児期の教育・保育は、「生きる力」の基礎を育んでいくものです。 そのために、「どのような力を育むか」、「それぞれの子どもに育まれつつある力はどの様な観点から捉えていくことができるか」について認識を共有し、それぞれの子どもの個性や発達の特性に応じて実践していくことが重要です。 「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性等」の資質・能力(「育みたい資質・能力」)は、子どもの自発的な活動としての遊びを中心とした教育・保育の中で、一人ひとりの発達の特性に応じて、一体的に育むことが重要です。 「育みたい資質・能力」が育まれている5歳児後半の姿である「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」については、発達の方向性を示すものです。 このことを意識しながら、子どもたちの「生きる力」の基礎を育めるような教育・保育の環境づくりや、多様な体験が関連し、発達に即して主体的・対話的で深い学びの実現につながるように実践に取り組むことが求められます。 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を教育・保育の関係者間で共有し、質の高い乳幼児期の教育・保育を実践していくとともに、これを手掛かりに、小学校教育との円滑な接続を図っていくことが重要です。 保育者が主体性を発揮する 乳幼児期における教育・保育は、子どもと保育者の関係の中でこそ行われるものです。 このことから、保育者は子どもの主体性を尊重するための専門性が求められるとともに、自分自身も教育・保育の主体と言えます。 子どもは保育者との信頼関係に支えられながら、子どもたち自身で遊びを発展させていく中で、様々な体験を重ね、達成感を味わっていきます。 こうした経験を支えるためには、保育者自身が生き生きと保育を楽しみながら、主体性を発揮し、専門性を高めていくことが大切です。 保育者は、自身のもつ「子どもによりよく育ってほしい」といった思いや願いが、子どもの主体性をさらに伸ばすものとなるよう配慮しながら、子どもの経験が豊かなものとなるよう、環境を構成していくことが重要です。 調理職員など園の様々な職種を含めた全職員が願いや思い、認識を共有し、協働して教育・保育を実践していくことが求められます。 さらに、保護者や地域とも子どもへの互いの願いや思いを共有し、教育・保育を充実させていくことが保育者には求められます。 様々な人々に見守られながら、子どもが自己を十分に発揮し、乳幼児期にふさわしい園生活を送っていくためには、保育者の専門性に基づく、一人ひとりへの丁寧な関わりが必要となります。 保育者は、環境との出会いの中で子どもが自発的に始めた遊びを見守るとともに、発達に必要な経験が得られるよう、状況に応じて一緒に準備をしたり、一緒に考えたりするなどの援助を行うことが求められます。 コラム 発達の過程を捉える基本的な視点 教育・保育の内容を考え、実践を進めるに当たっては、子どもの発達を理解し、捉え、見通しをもつことが基盤となります。 各園で子どもに育みたい力に対して、その時期や状況に応じた経験に思いを巡らせ、それにふさわしい環境や援助を想定(計画)しながら保育を進めていく(実践・評価)上で、子どもの発達の過程を捉え、見通しをもつことが欠かせません。 その際、参考となる視点を以下に示します。 発達とは 自然な心身の成長に伴い、自ら周囲の環境と関わり合う中で、生活に必要な能力や態度などを獲得していく過程全体が「発達」である。 子どもは、保護者や保育者など、身近な養育者とともに過ごし、互いに関わり合う中で影響し合い、発達していく。 発達を捉える上では、特定の年齢で何ができているかどうかではなく、いろいろな面の発達が、どのように変化してきているか、それぞれがどのように関連しているかも含めて、育ちゆく過程全体から見ることが重要である。 乳幼児期の発達と学びの概要 子どもは身近な大人の受容的・応答的な関わりから安定した関係が育ち、この関係を基盤とした安心感に支えられ、自分の周りの世界に関わる行動を広げながら育っていく。 乳幼児期には、探索し、自分から様々なものと関わることで、その反応や影響から学ぶとともに、人との関わりの中で、自ら多くを学ぶ。 特に、遊びは肯定的な感覚の中で様々なことを柔軟に異なるやり方で行えるようになることを助ける。 子ども自身が遊びの中で見たり、聞いたり、試したりしながら学びを深めていく上で、共に過ごす大人や年長者による様々な関わり(手助けや導き、見守りなど)は重要な役割を果たす。 子どもの気質やごく幼い時期からの育ちなどの違いから、一人ひとりの発達の筋道のたどり方は(これまで考えられていたよりも)多様である。 0・1歳のころは、人への基本的な信頼感を育みながら、主に身体の諸感覚を働かせ、直接感じることを中心に、人の顔を見分けるなど身の回りの基本となる物事や人間関係についての理解の発達が始まる。 2・3歳くらいから、見立てたり振りをしたり、また以前のことを思い出したりなど、目の前にないことをイメージできるようになっていき、それまでとは違う発達の広がりがみられるようになっていく。 幼児期には、身の回りの大人、年上の子どもやほかの子どもたちとの関係を中心に、社会・文化との関わりが大きくなり、様々なことへの好奇心と学びが大きく広がる。 こうした人との関わりの中で、周りの物事とともに、周囲の信頼できる人の振る舞い、言葉、会話を通じて様々なことを自ら学ぶ。 子どもは「なぜ」という問いかけによって、自分の前に広がる世界についての情報を得ようとし、さらには物事の因果関係を知ろうとする。 こうした質問を繰り返すことを通じて、多くのことを学んでいく。(おおむね3歳頃から) 乳児期の後半(9〜10か月頃)から、相手が困っているとわかったら助けるといった思いやりの気持ちが育ちはじめ、3歳から6歳くらいにかけて徐々に園での遊びや生活での決まりや約束事を理解し、さらに自分たちとしてそうしたルールを変えたり、作ったりするようになっていく。 幼児期後半(4歳から6歳ころ)には、自分の気持ちや考えをコントロールする力が大きく発達する。 自分をコントロールする力には、他者とのやり取りを通して交渉する能力、自分の感情を管理する能力、目標を達成する能力などが含まれる。 目標を達成するために、自分の気持ちを収めたり、考えを集中させたり、切り替えたりする能力は幼児期に特に発達する。 幼児期の終わりに向けて、欲求をその場面に応じて抑えたり、後回しにしたりする力が発達する。 さらに欲求を抑えるための工夫やついやってしまう行動や思い込みを場面によって変えていくことが5・6歳になるとできるようになっていく。 こうした発達の特徴から、小学校以降は、より集中的で自覚的で効率的な学びへと向かい、思春期を経て、成人期の成熟へと向かっていく。 2 実践の視点(例) 教育・保育を行うに当たっては、子どもの発達を理解し、その過程を捉えることが前提となります。 その上で、実践に取り組む際の視点を明確にし、園全体で共有していくことで、子どもの経験が豊かになっていくとともに、保育の手ごたえが生まれていきます。 また、園が保護者や地域とともに子どもを育み、その育ちをつないでいくことで、一人ひとりの子どもの育ちを総合的に保障していくことが可能になります。 本章では、それぞれの園が実態に応じて教育・保育を実践する際の、具体的な視点を示しています。 (1) 大切にしたい子どもの経験 0歳児の保育 0歳児の保育では、愛情豊かな、需要的・応答的な関わりが基本となることを踏まえ、以下に示す視点を参考に、教育・保育の実践を進めていきます。 0歳児の保育で育みたい力 健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力の基盤 受容的・応答的な関わりの下で、何かを伝えようとする意欲や身近な大人との信頼関係を育て、人と関わる力の基盤 身近な環境に興味や好奇心をもって関わり、感じたことや考えたことを表現する力の基盤 0歳児の保育で大切にしたい経験(例) 安全で清潔に過ごせる空間や時間が保障され、心地よい関わり・環境の中で、ゆったりと過ごす。 食べること、寝ることなど生理的欲求が満たされ、心地よく過ごすことができる生活のリズムの感覚が芽生えていく。 自ら体を動かし、様々に周囲に働きかけ、体を動かす心地よさ、身の回りの世界が広がる楽しさを味わう。 表情、発声、体の動きなどで自身の思いを表し、様々な心の動きを十分に受け止めてもらう中でやりとりを楽しむ。 身近な環境に興味関心を寄せ、見る、聞く、触る、持つ、声をかけるなど身近なものと関わる中で諸感覚を十分に働かせて遊ぶ。 など 1・2歳児の保育 1・2歳児の保育では、子どもの生活の安定を図り、自分でしようとする気持ちを尊重し愛情豊かな、受容的・応答的な関わりが基本となることを踏まえ、以下に示す視点を参考に、教育・保育の実践を進めていきます。 1・2歳児の保育で育みたい力 健康な心と体を育て、自ら意欲的に生活をする力 身近な人々と親しみ、一緒に生活し、いろいろなことを自分でしてみようとする気持ちを育て、人と関わろうとする力 周囲の様々なものや事柄などに興味や関心をもって関わり、それらに親しみ、生活に取り入れていこうとする力 感じたことや経験したことなどを自分なりの言葉で伝えようとしたり、相手の話に関心をもって聞こうとしたりする意欲を育て、言葉を楽しむ感覚や言葉で表現しようとする力 周囲の様々な環境との関わりを通じて、自分の気持ちに気づき、感じたことや考えたことを自分なりに表現することで、心の中のイメージを豊かにし、自分らしく表現する力 1・2歳児の保育で大切にしたい経験(例) 愛情豊かに受け止められ、欲求を満たし、安定感をもって生活する中で、自分でいろいろなことをやってみようとする。 食事や午睡、遊びなど園での生活のリズムが形成されていく中で、生活習慣を徐々に身に着けていく。 全身を様々に使う遊びや指先を使った遊びなどを楽しむ。 園外を含め、戸外で様々に体を動かし、いろいろな事物や人との出会いや関わりを楽しむ。 身近な人と心地よい関わりをもち、自分や相手の気持ちに気づいたり、かかわり方を身に着けたりしていく。 充実した遊びや友達とのかかわりの中で、決まりや生活の仕方を意識するようになっていく。 行動範囲の広がりに応じて、探索行動や身近なものを使うことなどを試したり、やり直したりしながら心ゆくまで行い、発見・感動をする中で、いろいろなものや事柄などへの興味・親しみをもつ。 身近な人の言葉を理解し、絵本などを楽しむことを通じ、自分から言葉を使おうとし、やり取りや挨拶などを楽しむ。 遊びや生活の中で、身体のいろいろな感覚を働かせて、さまざまなものの感触や性質、自分の体の動きなどを楽しむとともに、自分の気持ちや興味・関心、イメージなどについて、自分なりに表そうとする。 など 3歳以上児の教育・保育 3歳以上児の教育・保育では、一人ひとりの子どもの情緒の安定を支え、個の成長と集団としての活動の充実を図ることが基本となることを踏まえ、以下に示す視点を参考に、教育・保育の実践を進めていきます。 3歳以上児の教育・保育で育みたい力 健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活を作り出す力 他の人々と親しみ、支えあって生活するために自立心を育て、人と関わる力 周囲の様々な環境に好奇心や探求心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力 経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力 感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現するする力、豊かな創造性 3歳以上児の教育・保育で大切にしたい経験(例) 園の内外で、思い切り体を動かす気持ちよさを感じながら、充実感をもって遊び生活する中で、さまざまな体の動かし方を身に着けていく。 園の生活を通じ、健康な生活のリズムや生活の仕方を身に着ける。 友達との場やもの、イメージの共有や互いの気持ちの共感などをとおして、一緒に遊ぶ楽しさ、友達のよさを感じながら、葛藤を乗り越え、やり遂げる喜びを味わう。 身近な出来事や地域の生活に興味や関心をもち、自分の生活や遊びに取り入れようとする。 生活の中でものの色や形などに関心をもち、作ったり試したりすることなどを通じて仕組みに気づいたり、数や量、文字などに興味をもち使ってみようとする。 身近な自然や生き物などへの興味・関心をもち、変化などに気づいたり、不思議さを感じたりする。 自然や生き物、身近な事象や事柄がもつ特徴や法則などに気づいたり、面白がったりしながら、興味・関心を広げ、深めていく。 安心して自分の気持ちや経験などを表し、相手の話を聞こうとする中で、言葉を交わす楽しさを味わう。 生活の中で必要な言葉を知るとともに、言葉の楽しさや美しさを感じながら、友達と思いや考えを伝え合い、相談しながら遊びや生活を進める。 気に入ったこと、興味や関心をもったことに没頭し、夢中になって遊びこんだり、自分なりの表現を楽しみ表現する喜びを味わったりする。 など 5歳児後半の子どもの姿から、小学校の教師と子どもの育ちを共有する視点 以下の、要領・指針等に示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい」子どもの姿を活用し、小学校以降の育ちも見据えながら、一人ひとりの子どもに育ちつつある資質・能力をとらえ、指導の参考とします。 その際、こうした姿が到達すべき目標ではないことや、個別に取り出されて指導されるものではないことに十分に留意します。 また、小学校の教師との視点の共有に積極的に活用していきます。 園生活の中で、充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ、見通しをもって行動し、自ら健康で安全な生活をつくりだすようになる。(健康な心と体) 身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり、工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信をもって行動するようになる。(自立心) 友達とかかわる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したり、充実感をもってやり遂げるようになる。(協同性) 友達と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことがわかり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる。 また、きまりを守る必要性がわかり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いをつけながら、きまりをつくったり、守ったりするようになる。(道徳性・規範意識の芽生え) 家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに、地域の身近な人と触れ合う中で、人との様々な関わり方に気づき、相手の気持ちを考えて関わり、自分が役に立つ喜びを感じ、地域に親しみをもつようになる。 また、幼稚園・保育所等内外の様々な環境にかかわる中で、遊びや生活に必要な情報を取り入れ、情報に基づき判断したり、情報を伝え合ったり、活用したりするなど、情報を役立てながら活動するようになるとともに、公共の施設を大切に利用するなどして、社会とのつながりなどを意識するようになる。(社会生活とのかかわり) 身近な事象に積極的にかかわる中で、物の性質や仕組みなどを感じ取ったり、気づいたりし、考えたり、予想したり、工夫したりするなど、多様な関わりを楽しむようになる。 また、友達の様々な考えに触れる中で、自分と異なる考えがあることに気づき、自ら判断したり、考え直したりするなど、新しい考えを生み出す喜びを味わいながら、自分の考えをよりよいものにするようになる。(思考力の芽生え) 自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、好奇心や探求心をもって考え言葉などで表現しながら、身近な事象への関心が高まるとともに、自然への愛情や畏敬の念をもつようになる。 また、身近な動植物に心を動かされる中で、生命の不思議さや尊さに気づき、身近な動植物への接し方を考え、命あるものとしていたわり、大切にする気持ちをもってかかわるようになる。(自然とのかかわり・生命尊重) 遊びや生活の中で、数量や図形、標識や文字などに親しむ体験を重ねたり、標識や文字の役割に気づいたりし、自らの必要感に基づきこれらを活用し、興味や関心、感覚をもつようになる。(数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚) 保育者や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に着け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝え合いを楽しむようになる。(言葉による伝え合い) 心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で、様々な素材の特徴や表現の仕方などに気づき、感じたことや考えたことを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりし、表現する喜びを味わい、意欲をもつようになる。(豊かな感性と表現) コラム 世田谷区の教育・保育施設における実践事例 実践コンパスに基づく実践の参考となるよう、本コンパス検討過程で寄せられた、園の実践事例を紹介します。 事例1(A園の実践) 子どもの主体性を尊重する。子どもの理解を基盤として 私たちの園では、子どもがどのように育ちたいのか、何を学びたいのかをまずは理解しようと心がけています。 そのうえでその気持ちに応えることを大切にした保育をしています。 行事も、内容を子どもたちと話し合いながら進めています。 その際、ただ意見を聞いて進めるだけでなく、必ず遊び終わった後に子どもたち自身で振り返りをして、次の活動につなげていくことを大切にしています。 もちろん日頃の遊びでも子どもたちが発信するものを取り上げて、活動をすべて子どもたちが考えるという形で進めるようにしています。 たとえば、4歳児の子どもたちが「コンサートをしたい」と相談してきたことをきっかけに、担当の保育者がそれを受け止め、子どもと一緒に準備を進め、園庭で子どもたちがライブを行うという遊びにつながったことがあります。 この活動はさらに続き、鑑賞していた子どもたちが触発されて、新たなグループが生まれました。 それぞれのグループが「自分たちのコンサートを開く」ことを目的に、ダンスレッスンをしたり、自分たちでチケットを作って集客したりするなど、一人ひとりが様々な役割を担いながら、いろいろな要素が組み合わされた遊びに発展していきました。 事例2(B園の実践) 子どもが生き生きと遊ぶ環境づくり 日常のなかで、子どもが頭と体を真剣に使う生活を過ごせるよう心がけています。 たとえば、子どもが自分からものを作りたくなるよう、素材がおける場所を環境の中に設定しています。 こうした環境は、子どもと日々相談しながら変えていくようにしています。 また、「この遊びをまたやりたい」という気持ちを受け止め、楽しさを友達や保育者と共有できるように、遊びを継続できる場所を設けています。 こうした保育を園全体で進めていくために、クラス毎に保育環境を担当する職員を置き、担当者同士が話し合いながら環境を整えて、子どもたちがどういう反応だったかを園内研修に取り入れ、次の環境構成の話し合いに生かすようにしています。 直接体験から様々なことを子ども自身感じ取り、学びが深まっていくような環境づくりの一つとして、園庭で畑を土づくりから始めて野菜を育てています。 園庭に緑が育つと虫が集まってくるので、小さい子が虫を手に乗せて「大きくなったね」などと虫と対話している様子も見られます。 子どもたちは、栽培から収穫、調理活動の過程で、刻んだり匂いをかいだり、自然物の成長を身近で感じたりする中で、科学的な学びの芽も育ちつつあると感じています。 事例3(C園の実践) 保護者とともに子どもの育ちを支える 保育を始めるにあたっては、親子の関係を踏まえて、それぞれの親子と私たちがどういう関係を築いて園生活を過ごしていくのがよいかを考えています。 中でも、愛着の関係を築いていくというのは、はぐくみたい資質・能力の中でも、特に「学びに向かう人間性」の基礎にあたると考えています。 ですから、入園前の成育歴、家庭環境、発達の様子を理解し把握に努めています。 子どもにとっての入園は、慣れた生活の流れやそれまで親しんできた大人との信頼関係、友達関係が新しい環境に変わるため、なじむのに時間がかかる場合もあります。 子どもが入園するということは、保護者にとっても環境が大きく変わる事柄ですし、子育てに自信がもてていなかったり、不安を抱えていたりする場合もあります。 家庭の様子や保護者の思いを共有し、安心して園に通ってもらう中で信頼関係を築き、園と保護者が連携して子どもの育ちを支えることを大切にしています。 また、地域全体で子育てを支える視点をもって、子育てステーションや様々な集いの場とも協力しながら取り組んでいくことが重要だと感じています。 (2)子どもの力をはぐくむ保育のプロセス 各園で、「私たちがめざす乳幼児期間の教育・保育の基本」を常に心にとめながら、日々の保育を進めるにあたっては、 1 発達の理解を基盤に、子どもの「いま」をとらえ(子どもの理解) 2 具体的な保育のねらいと内容と、そのために必要な環境の構成と保育者の援助を想定し(計画) 3 1、2を踏まえ、保育を進め(実践) 4 実践を進めながら、子どもの実態をとらえなおし、保育を振り返り、次の保育を検討する(評価と改善) という過程(プロセス)を日々の中で繰り返しながら教育・保育の質を高めていくことを意識し、園全体で対話を通じて認識の共有を図りながら、実践を重ねていくことが重要です。 具体的なねらいと内容の明確化 教育・保育の計画に当たっては、園全体で共有している教育・保育の方針を念頭に置きながら、何より子どもの思いや実態をとらえます。 一人ひとりの子どもの理解を踏まえ、その時期の子どもにふさわしいと考えられる具体的なねらいや内容を設定します。 環境の構成と保育者の援助 具体的に設定したねらいと内容に即し、子どもが夢中になって遊びこめるよう環境を構成します。 「環境の構成」は、ものや人、自然や社会的な事柄、時間や空間など園の生活で子どもが関わる全てを関連させて検討を行います。 その際、園の状況とともに、地域の状況も考慮します。 また、子ども自身が環境に深くかかわり、主体性を発揮していくために、子ども一人ひとりの発達の特性、実情を考慮します。 環境の構成と合わせて、生活の中で子どもが発達に必要な経験を得られるよう、具体的なねらいと内容に応じた援助についても検討します。 計画時に想定した環境の構成や援助は、実践の過程で、常に子どもにとってどのような環境が適切かを考え、柔軟に再構築していくことが大切です。 子どもの理解に基づく振り返りを通じて、明日の保育を考える。 実践の中では、常に子どもの実態をとらえなおし、子どもの理解を深めていきます。 日々の、また一定期間の保育を振り返ることを通じ、ねらいや内容が子どもにとって適切なものとなっていたか、子どもの生活が豊かなものとなるよう環境の構成がされていたか、一人ひとりにふさわしい援助となっていたかなどについて評価を行います。 評価の取り組みは、子どもの実態に即して、子どもにふさわしい経験とそのための環境の再構築を検討し、明日の保育の見通しをもてるように進めます。 子どもの理解を深め、実践を省察し、改善につなげていくために、保育の記録を適切に行い、有効に活用していくことが重要です。 実践の中で感じる、子どもの言動に対しての驚きや喜びなど、保育者自身の様々な心の動きについて、自分自身で、また同僚と振り返ることを通じ、多くの気づきが得られるとともに、子どもの姿をとらえる視点・受け止める感性も豊かになっていきます。 園全体で質の高い教育・保育を実現していく 各園は、その理念や目標が実現されるように、全体的な計画等に基づき、組織的かつ計画的に教育・保育活動の質の向上を図るために、カリキュラム・マネジメントを実施します。 全体的な計画等に基づいて、ある程度長期的な見通しをもって作成される長期の指導計画と、これに関連しながら実際に子どもの生活する姿に応じたねらいや内容、方法などを想定して短期の指導計画を作成します。 日々の実践の過程の中で行われる保育の改善に加え、一定期間の保育を改めてとらえなおし、自園のカリキュラムの改善を図っていくことが必要です。 教育・保育の評価は常に「子どもにとってどうだったのか」という視点から実施することが重要です。 評価に基づく改善を含めた実践の過程全体が、継続可能で、効果的なものとなるためには、全職員が互いを尊重しながら、主体性を発揮できるような職場環境づくりの工夫をしていくことが欠かせません。 また、園の教育・保育の理念や方針と大きな道筋(グランドデザイン)を家庭や地域と共有していくことは、園の教育・保育への理解を促進するとともに、改善への取り組みにもつながっていきます。 カリキュラム・マネジメントにあたっては、園長だけではなく担任の保育者を含めたすべての職員が、チームとして行う教育・保育の在り方の検討をあわせて行っていくことが求められます。 すべての子ども一人ひとりに応じた適切な配慮 園は、すべての子どもにとって、日々の生活や遊びを通してともに育ちあう場です。 そのため、子ども一人ひとりが安心して過ごせる環境となるよう、それぞれの特性や様々な発達上の課題、経験の違いなどに応じて、適切に配慮する必要があります。 子どもたちが共に過ごす経験は、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会の基盤になるものです。 こうした多様性を尊重した、インクルーシブな教育・保育を実践していく上で、より個別的で特別な配慮が必要な場合もあります。 以下に、特別な配慮が必要になることが考えられる子どもへの配慮の例を示します。 個別的で特性に応じた配慮は、以下の例にとどまらず子どもの必要に応じて行っていきます。 併せて、配慮の必要性や属性などで子どもを一括りにとらえたり、先入観をもったりしないよう留意することが重要です。 障害のある子ども 集団の中での生活や遊びを通じて全体的な発達を促すことへの配慮、関係機関との連携、指導内容や指導方法の工夫などが求められます。 医療的ケアが必要な子ども 子どもの特性に応じた体制の整備とその下での育ちの支援、関係機関との協議、保護者の十分な理解などが必要となります。 外国につながりがある子ども 子どもや家庭の多様性を認識し、子ども同士が互いを尊重する心の育成、現在の環境への適応を支えることとともに将来的なアイデンティティ形成も考慮することなどが必要となります。 その際の保護者の意向の尊重と園の相互理解が重要となります。 家庭環境に特別な配慮が必要な子ども 家庭が様々な要因から社会的困難を抱えている場合、その問題が複雑化・多様化しているケースも多くあるため、関係機関と連携して家庭を支援しながら、子どもの育ちを保障していくことが必要となります。 こうした配慮を継続的に行っていくために、子どもの状況等に応じて個別の配慮を含めた指導計画を作成するとともに、必要に応じて個別的な指導計画を作成します。 また、様々な機関と連携した個別的な支援を進めるための見通しをもち、必要に応じて支援の計画を作成します。 就学にあたっては、園での取り組みを、切れ目のない支援にいかすよう、保護者、関係機関、小学校等と連携した情報共有を行います。 (3)教育・保育をつないでいく 幼児教育と小学校教育との円滑な接続 乳幼児期から義務教育終了までの育ちを見通した教育・保育を充実させていく上で、就学前の教育・保育と、小学校教育との円滑な接続を図ることが求められます。 発達や学びの連続性を踏まえ、小学校以降の学びを見通しながら、乳幼児期の教育・保育において「育みたい資質・能力」を育むことが重要となります。 「幼児期のおわりまでに育ってほしい姿」を手掛かりに、5歳児後半の子どもの育ちをとらえる視点を明確化するとともに、小学校の教師とこの時期の子どもの育ちを共有する取り組みを充実させていきます。 小・中学校の教師と連携して、幼児教育と小学校以降の教育における子どもの学び方の特徴やよさ、それぞれの場での生活の仕方の違いなどについての相互理解が深まり、認識の共有が進むよう、交流や連携した取り組みを進めます。 中学校区を単位に、地域とともに子どもを育てる教育をめざす「学び舎」のネットワークを通じて、交流・連携を進める中で、互いに顔の見える関係をつくりながら、子どもの学びと生活をつないでいくとともに、保護者もつないでいくことが重要です。 地域の関係者間の交流を通じて相互理解を深めていくために、園の生活・就学後の子どもの育ちを定期的に見合う場を設定したり、園内・校内研修に互いに参加したり、合同の研究会を実施するなどの取り組みを充実させていきます。 さらには、年長児から小学1年生にかけての学びや育ちの全体をとらえながら、双方の接続期のカリキュラム改善等についても連携を深めていくことが大切です。 家庭との連携 園は家庭と連携して、子どもの生活に理解を深め、子どもを共に育てていきます。 その際、遊びの中で豊かな育ちがあることを具体的に伝えながら、園と保護者が互いに理解を深めていくようにすることが重要です。 子どもの教育・保育及び子育てに関する専門性、子どもがそこで生活を送っている場であるという特性を活かし、保護者が子どもの成長に気づき、子育ての喜びを感じられるよう、子育ての支援を積極的に実施していきます。 さらには、地域の子ども・家庭に対しても、園の特性を活かした子育ての支援を行うことが大切です。 地域に開かれた教育・保育 園と地域の様々な人々とのかかわりの広がり・深まりから、より多様で豊かな環境との出会いが生まれていくことで、子ども自身が暮らすまち・世田谷ならではの教育・保育活動が充実していきます。 園が主体的に開かれた運営を行う中で、地域から乳幼児期の教育・保育についての理解を得ていくことが重要です。 さらには地域の様々な資源を活用する中で、園と地域がともに子どもを育てる協働的な関係へと発展していくことをめざしていきます。 3 教育・保育の質向上に向けた取り組みの充実 区の各施設は、それぞれの法人・施設の理念や方針を尊重したうえで「世田谷区教育・保育実践コンパス」で示す「乳幼児期の教育・保育の基本」や「実践の視点(例)」を活用しながら、共通認識の醸成、教育・保育の振り返りを通じた評価、園内研修等の実施、各園の保育者の資質向上などを通じ、実践の質の向上を図ります。 「学び舎」のつながりなどを活用しながら、小中学校を含めた地域の関係者が互いに教育・保育を見合う場や対話の機会をもち、つながりを深め、地域全体での教育・保育の質を向上させる取り組みを作り出していきます。 区は、乳幼児教育支援センターを起点として、区内すべての教育・保育施設を対象に、園内の実践・課題と連動した研修や園内研修・研究の支援など、各園の実践の質向上に向けた取り組みを実施していきます。 その際、乳幼児教育アドバイザーなどの専門人材による、園のニーズに即した支援を充実させていきます。 また、地域の教育・保育関係者のネットワーク構築とその仕組みへの支援などを積極的に実施します。 さらに、家庭・地域にむけても、実践コンパスに示す乳幼児期の子どもの育ちに関する大切なポイントについて積極的に発信し、家庭や地域と連携して子どもの育ちや学びを支えていきます。 乳幼児期の教育・保育の在り方検討委員会委員一覧 「世田谷区教育・保育実践コンパス」作成の経緯の表